説明

熱処理方法

【課題】半導体もしくは半導体デバイスに対する瞬間的熱処理を可能にし、また光エネルギー損失によるエネルギー消費の改善を図る。
【解決手段】被熱処理体上に、カーボンもしくはカーボンを主体とする光吸収層5とに上記光に対して透明な光反射防止層6を形成し、光反射防止層側からパルス光照射を行なって、該光パルス光を上記光吸収層によって吸収させ、該光吸収によるパルス的光エネルギーをもって上記光吸収層を発熱させ、該光吸収層の発熱によって上記被熱処理体の加熱処理を行うことによって瞬時的に熱処理を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被熱処理体に対する熱処理、例えば半導体、半導体デバイス等における熱処理に適用して好適な熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイポーラトランジスタ、絶縁ゲート形電界効果トランジスタ(MOS型トランジスタ)をはじめとする各種単体半導体素子、半導体集積回路等の半導体デバイスの製造において、例えば半導体の結晶欠陥の修復、導入不純物の活性化、非晶質半導体薄膜からの結晶化等において熱処理いわゆるアニール処理が多く行われる。
【0003】
特に、絶縁体ないしは絶縁膜層上に形成される薄膜トランジスタにとってその薄膜の結晶化技術は重要である。
従来の薄膜結晶化技術としては、電気炉を用いて1000℃〜600℃の高温で2時間〜20時間加熱する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
あるいは、パルスレーザを用いて半導体薄膜を短時間溶融して固化結晶化する技術、及び半導体表面に生じるリッジを抑制しながらレーザアニ―ルを行う技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
これらの結晶化技術は、大面積にわたって良質の多結晶シリコン膜の形成を実現することができるものである。
【特許文献1】特開2001−210631号公報
【特許文献2】特開2004−311615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1に開示の技術等にあっては、高温長時間の加熱を必要とし、エネルギー消費が大きいという問題がある。
一方、例えば特許文献2記載の技術のようにレーザ光などの電磁波を使用する方法では、シリコン薄膜半導体表面での電磁波の反射によるエネルギーの損失が大きいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、半導体もしくは半導体デバイスに対する瞬間的熱処理を可能にし、また光エネルギー損失の消費の改善を図ることができるようにした熱処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による熱処理方法は、光エネルギーによって被熱処理体を熱処理する方法であって、被熱処理体上に、カーボンもしくはカーボンを主体とする光吸収層と該光吸収層上に上記光に対して透明な光反射防止層を形成する複合層の形成工程を有し、上記光反射防止層側から光照射を行なって、該光を上記光吸収層で吸収させ、該光吸収層を光エネルギーによって発熱させ、該光吸収層の発熱によって上記被熱処理体の加熱処理を行うことを特徴とする。
【0007】
この本発明による熱処理方法においては、カーボンもしくはカーボンを主体とする光吸収層を設けることによってここで光エネルギーを効率良く吸収させ、この光吸収層において発熱を生じさせて、この光吸収層の熱の、熱伝導及び輻射によって被熱処理体を加熱する加熱態様をとるものである。そして、本発明においては、光吸収層上に光反射防止層を配置したことによって、照射光を、効率良く光吸収層に入射させ、より高い発熱を行なうものである。
【0008】
また、本発明は、上述の熱処理方法にあって、上記被加熱体に対する上記加熱処理が、パルス的加熱とされることを特徴とする。
また、本発明は、上述の熱処理方法にあって、上記被加熱体に対する上記加熱処理が、パルス的加熱とされ、該パルス的加熱が、上記光照射をパルス光によって行うか、上記光吸収層における光照射位置を間歇的に移動させるか、上記光吸収層の加熱部を上記被加熱体に対して相対的に移動させるか、これらの組み合わせによってなされることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述の熱処理方法にあって、上記光エネルギーのλが、0.2μm以上1.5μm以下とすることを特徴とする。
また、本発明は、上述の熱処理方法にあって、上記光反射防止層は、その屈折率nが、上記光吸収層の屈折率と同じか小さく、消衰係数kが、上記光吸収層の消衰係数より小さい光反射防止層であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述の熱処理方法にあって、上記光反射防止層が、カーボン及び水素を含む化合物であることを特徴とする。
また、本発明は、上述の熱処理方法にあって、上記光反射防止層の膜厚が、上記光エネルギーの波長/(上記光反射防止層の屈折率×4)の略1倍、3倍または5倍であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述の熱処理方法にあって、上記被熱処理体が、少なくとも一部が非晶質半導体であり、上記加熱処理によって上記非晶質半導体の少なくとも一部を結晶化することを特徴とする。
また、本発明は、上述の熱処理方法にあって、上記被熱処理体が、少なくとも一部が不活性な不純物を含む半導体であり、上記加熱処理によって上記不純物の少なくとも一部を活性化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述したように、本発明の熱処理方法においては、被熱処理体に対して光エネルギーの照射によって直接的に熱処理する方法によるものではなく、光吸収層に光エネルギーを吸収させ熱に変換してこれを発熱させて熱処理することから、被熱処理体の光吸収特性に制約されることなく、任意の被熱処理体に対する光照射による熱処理を行うことができる。そして、光吸収層としては所定の波長範囲の光が有効に吸収されるカーボンもしくはカーボンを主体とする光吸収層としたことによってこの光エネルギーを有効に熱エネルギーに変換され、瞬時的にこの光吸収層が発熱する。すなわち、この光吸収層が発熱体として機能する。そして、この熱が、熱伝導および熱輻射によって被熱処理体を加熱する。
この光カーボンもしくはカーボンを主体とする光吸収層は、所定の波長範囲に対して高い光吸収性を示し、発熱が効果的になされるが、本発明においては、上述したように光反射防止層を配置したことにより、この波長光が、光吸収層表面で反射することを効果的に回避するものであり、このようにして光エネルギーの損失を激減させてより高い効率をもって光吸収層の発熱が高められ、かつ瞬時的発熱が助長されるものである。
【0013】
そして、この加熱をパルス的に行なうことにより、不要な領域、もしくは必要以上の加熱を回避できるものである。
【0014】
そして、照射する光エネルギーの波長を、カーボンもしくはカーボンを主体とする光吸収層が高い吸収率を示す0.2μm以上1.5μm以下、さらに好ましくは後述するように0.2μm以上1.1μm以下とすることによって、発熱効果を高めることができるものである。
【0015】
また、光反射防止層は、その屈折率nが、光吸収層の屈折率と同じか小さく、消衰係数kが、光吸収層の消衰係数より小さい光反射防止層とすることにより、光吸収層への光の入射が効率的になされる。
そして、この光反射防止層は、カーボン及び水素を含む化合物とするとき、光吸収層への光入射が効率よくなされるものである。
また、光反射防止層の膜厚は、上記光エネルギーの波長/(上記光反射防止層の屈折率×4)の略1倍、3倍または5倍とすることによって光反射防止効果が高められる。ここで5倍以下とするのは、光反射防止膜の厚さが余り厚くなることは、製造上等の不利益を来たすことによる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を例示説明する。しかしながら、本発明は、これに限定されないものである。
図1は、本発明の熱処理方法を実施する被熱処理体に係わる構成の一例の概略断面図である。
この実施の形態例においては、その被熱処理体1が、基体2例えばガラス基体上に熱処理を行う例えばSi半導体層による被熱処理材層3が形成された構成を有する。
この例においては、熱処理を行なう被熱処理材層3上に、伝熱層4を介在させて、この上にカーボンもしくはカーボンを主体とするすなわち例えばその成膜時に添加される程度の水素等を含む光吸収層5とその上に透明な光反射防止層6を被着形成した複合層7を形成する。
このSi半導体層による被熱処理材料層3の熱処理は、例えばこの被熱処理材層3にイオン注入等によって導入されたp型不純物、n型不純物の活性化熱処理である。
【0017】
この熱処理は、光反射防止層6側からカーボンもしくはカーボンを主体とする光吸収層5において高い光吸収率を有する波長λの、0.2μm以上1.5μm以下、好ましくは0.2μm以上1.1μm以下の照射光8を、例えば照射時間長が所要の温度、すなわち通常半導体における熱処理600℃〜1800℃とすることができる0.1μs〜10sのパルス的レーザ光照射によって行なう。
光反射防止層6は、この波長光に対してできるだけ小さい反射率と高い透過率を示す構成とされる。
このようにして、このレーザ光7は、光反射防止層6によって殆ど反射されることなく、複合層7に導入され、光反射防止層6を透過してこの波長に対して高い吸収率を有する光吸収層で効率よく吸収され熱エネルギーに変換され、この光吸収層5が発熱し、発熱層となる。この発熱層の光吸収層5からの熱は、この例では、伝熱層4を介して被熱処理体1の被熱処理材層3に伝達ないしは輻射され被熱処理材層3を加熱処理し、例えばその不純物の活性化がなされる。
【0018】
伝熱層4は、光吸収層5のカーボンによって被熱処理体ないしは被熱処理材層3を汚染する恐れがある場合において、これを回避する目的をもって隔離効果を奏する層として介在させる。この伝熱層4は、例えばSiO層によって構成することができ、その厚さは10nm以上であれば、隔離効果が得られ、100μm以下であれば被熱処理体ないしは被熱処理材層3への熱の伝達を速やかに効果的に行うことができる。
【0019】
光吸収層5は、光吸収が良好になされ、かつ速やかに上述した600℃〜1200℃の高温加熱がなされる程度に小さい熱容量を有する0.1μm〜200μmの厚さに選定することが望ましい。
この光吸収層5の形成は、例えばプラズマCVD(化学気相堆積)法、プラズマスパッタ法、イオン化蒸着法等によって形成することができる。
プラズマCVD法においては、例えば原料ガスとしてメタンCH、アセチレンCHを用いてプラズマ放電によってガスを分解し、この例ではカーボンを主体とするものの、水素を微量含む化合物による光吸収層5を被熱処理体上に形成する。
プラズマスパッタ法においては、例えばカーボンターゲットを用いて、例えばアルゴン、水素、あるいはこれらの混合ガスを用いてプラズマ放電によって高エネルギーのイオンを発生させ、このイオンをターゲットに衝突させてカーボンを被熱処理体上にスパッタさせることによってカーボンもしくはカーボンを主体とする光吸収層5を形成する。
イオン化蒸着法においては、例えばCHあるいはCHを用い、このガスを例えば加熱フィラメントへの通電によって加熱して分解イオン化し、CHイオン、CHイオン、CHイオンを発生させ、さらにそのイオン化効率を高めるために磁場印加がなされる。そして、被熱処理体を保持した保持体に所要の電位を印加した状態で、イオン化蒸着をいって光吸収層5を形成する。この場合、光吸収層5は、カーボンに水素を微量含む化合物による光吸収層が被熱処理体上に形成される。
【0020】
光反射防止膜6は、その屈折率nが、光吸収層5の屈折率と同じか小さく、同時に消衰係数kが、光吸収層の消衰係数より小さい光反射防止層とされる。
この光反射防止層6は、例えば水素量の選定されたカーボン及び水素を含む化合物層によって構成することができる。
また、この光反射防止層6は、その膜厚を、照射光7の波長λ/(光反射防止層6の屈折率×4)の奇数倍とすることによって、波長λに対する反射防止がなされるが、略1倍、3倍または5倍とする。ここで5倍を上限とするのは、余り膜厚が大になると製造上の問題からもなんら利益をもたらさないことによる。
【0021】
上述したように、本発明による場合、照射光に対して高い光吸収性を有する光吸収層5を設けたこと、さらにこの上に光反射防止層6が形成されたことにより、効率よく瞬時的に光吸収層5を発熱昇温させることができる。
このようにして熱処理を行って後は、光反射防止層6及び光吸収層5を例えばプラズマ放電による高エネルギーの酸素イオン及びラジカルによって除去する。あるいはオゾンによってカーボンを酸化させてCO化するなどの方法によって除去する。
【0022】
上述した実施形態例では、被熱処理体1が、ガラス基体上に半導体層が形成され、この半導体層に熱処理を行うようにした場合であるが、被熱処理体1が半導体基板による場合、あるいは例えば半絶縁性半導体基板による基体2上に形成された半導体層に対する熱処理を行うことができる。
そのほか、各種の形態をとる被熱処理体1の少なくとも一部、すなわち所要部位に対する熱処理を行うことができる。
【0023】
例えば半導体層、あるいは半導体基板に対する導入不純物、例えばpn接合形成における不活性不純物等においても上述した光吸収層5及び光反射防止層6を形成し、照射光8を光反射防止層6側から光照射することによる熱処理を行なうことができる。
あるいは例えば被熱処理材層3が、非晶質半導体層であって、その少なくとも一部の活性化の熱処理、欠陥修復等の熱処理を要する部分を、上述した光吸収層5を発熱体とすることによって熱処理する。すなわち、この熱処理材層3を一旦溶融し、徐冷することによって多結晶ないしは単結晶化する熱処理を行う。このようにすることによってこの多結晶あるいは単結晶かされた薄膜に、薄膜トランジスタ等を形成することができる。
【0024】
図2は、透明ガラス基板より成る基体上に、順次厚さ200nmのカーボン膜による光吸収層5と、水素含有量の選定がなされた厚さxの光反射防止膜6を形成した複合層7を形成し、その光反射防止層の厚さを、x=0(すなわち光反射防止層を設けなかった場合)としたとき、x=30nm、x=45nm、x=60nmとしたときの、それぞれの照射光の波長と光反射防止層6側から光を照射したときの光反射率の関係を示した図である。
また、図3は、同様の構成において、x=0、x=30nm、x=45nm、x=60nmとしたときの、それぞれの照射光の波長と光透過率の関係を示した図である。
さらに、図4は、同様の構成において、x=0、x=30nm、x=45nm、x=60nmとしたときの、それぞれの照射光の波長と光反射防止層6側から光を照射したときの光吸収率の関係を示した図である。
【0025】
図2によれば、光反射防層を設けることにより、また、その厚さの選定によって波長が200nm〜1100nm(0.2μm〜1.1μm)で光反射率を5〜8%とすることができることが分かり、光反射防止層を設けなかった場合の光反射率20%に比し、大きく低減できることが分かる。さらに、例えば500nm近辺で反射率0も可能となる。したがって、有効に光吸収層5に光導入がなされ発熱が高い効率をもって行なうことができることが分かる。
【0026】
また、図3によれば、光反射防止層6を設けないx=0の場合と、設けた場合においてその光透過率の変化は殆どみとめられないことから、光反射防止層6を設けることによる光損失が生じないことが分かる。
さらに、図4によれば、光反射防止層を設けたことによって光吸収率を90%以上に高めることができ、光利用が効率良くなされていることが分かる。
【0027】
上述したところから明らかなように所要の範囲の波長に対してすぐれた光吸収すなわち発熱がなさることから、照射光としては、単一波長光のレーザ光によらず、発光波長が上述した0.2μm〜1.1μmの範囲の発光がなされる光を用いることが好ましいものである。
図5は被熱処理が半導体デバイス、図示の例では薄膜MOSトランジスタである場合の熱処理状態の概略断面図を示す。この薄膜トランジスタは、ガラス基板等の絶縁基板より成る基体12上に形成された薄膜半導体層13に例えば不純物のイオン注入によってソース及びドレイン各領域13S及び13Dが形成されている。薄膜半導体層13上には、例えばSiO層による絶縁層14が形成され、ゲート部には例えば熱酸化によるゲート絶縁膜15が形成される。
そして、ゲート絶縁膜15上にゲート電極16が形成され、ソース及びドレイン領域13S及び13D上にソース及びドレイン各電極17S及び17Dが、それぞれ例えば不純物ドープされたSi半導体層のCVD膜に形成されている。
このMOSトランジスタ上に、図1で説明したように伝熱層4、光吸収層5、光反射防止層6を形成し、照射光8を照射して前述したと同様の本発明による熱処理を行って、ソース及びドレイン領域13S及びドレイン領域13、及びゲート電極16の各不活性不純物の活性化がなされる。
【0028】
このようにして、必要に応じて、照射光の照射条件等を選定することによって、ゲート絶縁層との半導体層の界面準位の改善のための熱処理、すなわちアニールを行うこともできるものである。なお、同図において、図1と対応する部分には同一符号を付して詳細説明は省略する。
また、被熱処理体は、上述した薄膜MOSトランジスタによる半導体デバイスに限られるものではなく、他の半導体デバイス、そのほか各種の熱処理を必要とする被熱処理体に適用できることはいうまでもない。
【0029】
上述したように、本発明においては、光吸収層5における光吸収による発熱によって被熱処理体の熱処理を行うとともに、この光吸収層5上に光反射防止層6を設けたことによって光吸収層に対して効率よく光導入がなされるようにしたことから、光吸収層5において選択的に局部的に発熱を生じさせることができ、瞬時的に高温発熱を行なうことができる。
また、このカーボンもしくはカーボンを主体とする光吸収層5は、2000℃〜5000℃という高い耐熱温度を有するので高温の熱処理ができるものである。またその伝熱性はSiと同程度に高い。
したがって、照射光は、短時間のパルス光によることができるなど、従来の電気炉におけるように、所要の温度に昇温させるまでに長時間を要し、また、電力消費が大きいと言問題が解決されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による熱処理方法の一例の説明に供する被熱処理体の熱処理状態における概略断面図である。
【図2】本発明による熱処理方法における光反射防止層の厚さをパラメータとする光反射率の波長依存性を示す図である。
【図3】本発明による熱処理方法における光反射防止層の厚さをパラメータとする光透過率の波長依存性を示す図である。
【図4】本発明による熱処理方法における光反射防止層の厚さをパラメータとする光吸収率の波長依存性を示す図である。
【図5】本発明による熱処理方法の他の例の説明に供する被熱処理体の概略断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1……被熱処理体、2……基体、3……被熱処理材層、4……伝熱層、5…光吸収層、6……光反射防止層、7……複合層、8……照射光、12……基体、13……薄膜半導体層、13S……ソース領域、13D……ドレイン領域、14……絶縁層、15……ゲート絶縁膜、16……ゲート電極、17S……ソース電極、17D……ドレイン電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光エネルギーによって被熱処理体を熱処理する方法であって、
被熱処理体上に、カーボンもしくはカーボンを主体とする光吸収層と該光吸収層上に上記光に対して透明な光反射防止層を形成する複合層の形成工程を有し、
上記光反射防止層側から光照射を行なって、該光を上記光吸収層で吸収させ、該光吸収層を光エネルギーによって発熱させ、
該光吸収層の発熱によって上記被熱処理体の加熱処理を行うことを特徴とする熱処理方法。
【請求項2】
上記被加熱体に対する上記加熱処理が、パルス的加熱とされる
ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項3】
上記被加熱体に対する上記加熱処理が、パルス的加熱とされ、
該パルス的加熱が、上記光照射をパルス光によって行うか、上記光吸収層における光照射位置を間歇的に移動させるか、上記光吸収層の加熱部を上記被加熱体に対して相対的に移動させるか、これらの組み合わせによってなされる
ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項4】
上記光エネルギーの波長λが、0.2μm以上1.5μm以下とする
ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項5】
上記光反射防止層は、その屈折率nが、上記光吸収層の屈折率と同じか小さく、
消衰係数kが、上記光吸収層の消衰係数より小さい光反射防止層である
ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項6】
上記光反射防止層が、カーボン及び水素を含む化合物である
ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項7】
上記光反射防止層の膜厚が、
上記光エネルギーの波長/(上記光反射防止層の屈折率×4)の略1倍、3倍または5倍である
ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項8】
上記被熱処理体が、少なくとも一部が非晶質半導体であり、上記加熱処理によって上記非晶質半導体の少なくとも一部を結晶化する
ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項9】
上記被熱処理体が、少なくとも一部が不活性な不純物を含む半導体であり、上記加熱処理によって上記不純物の少なくとも一部を活性化する
ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−115927(P2007−115927A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306400(P2005−306400)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【出願人】(594157050)株式会社ハイテック・システムズ (3)
【Fターム(参考)】