熱可塑性シリコーンブロックコポリマー類を含む多層膜
多層膜は、第1高分子材料の第1層及び第2高分子材料の第2層から構成される。前記第1材料は、第1屈折率を有し、前記第2材料は、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有する。一実施形態では、前記第2材料は、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーを包含する。別の実施形態では、前記第2材料は、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーを包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年12月23日に出願された米国仮出願第60/753,791号の利益を主張し、該仮出願は、参照として本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
多層ポリマー光学フィルムは、ミラー及び偏光子を含む様々な目的のために広く使用されている。これらのフィルム類は、極めて高い反射率を有することが多く、同時に軽量で、且つ耐破損性を有する。多種多様な多層膜の例は、同一出願人による米国特許第5,882,774号(名称「光学フィルム」)(参照として本明細書に援用する)に包含される。代表的な用途としては、コンパクトな電子ディスプレイがあり、それには携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ、テレビ及び他のデバイスに設置される液晶ディスプレイ(LCD)が挙げられる。
【0003】
既知の多層光学フィルムは、異なる屈折率を有する材料の交互層を有する。ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、このようなフィルム類において、低屈折率材料とされてきた。PMMAは、通常、235℃〜250℃の温度にて押出加工される。このため、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高屈折率材料(通常は、約265℃の最低温度にて押出加工される)又はポリエチレンナフタレート(PEN)(通常は、約270℃の最低温度にて押出加工される)とともに理想的な共押出がされない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、PET及びPENなどの高屈折率ポリマー類と加工適合性である低屈折率材料に対する必要性は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
多層膜は、第1高分子材料の第1層及び第2高分子材料の第2層から構成される。前記第1材料は、第1屈折率を有し、かつ前記第2材料は、前記第1屈折率より少ない第2屈折率を有する。一実施形態では、前記第2材料は、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロック共重合体を包含する。別の実施形態では、前記第2材料は、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロック共重合体を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本開示の典型的な例示実施形態は、2つ又はそれ以上の層を有するフィルムを包含する。本開示の多層膜の特に好適な適用は、光学フィルムとしてである。例えば、多層光学フィルムは、高効率ミラー及び/又は偏光子として有用である。多層光学フィルムを本開示と併せて使用した場合、入射光線の比較的低い吸収及び光軸外での通常光線の高反射率を示す。これらの性質ゆえに、一般に、フィルムは光の純粋反射又は反射偏向のいずれかのために使用される。多層光学フィルムの特有の性質及び利点は、他の光学システムと比較した場合に低吸収損を示すバックライトシステムなどの高効率光学システムを設計する機会を提供する。いくつかの好適な適用は、米国特許第6,531,230号(名称「色相シフトフィルム」)、及び米国特許第6,045,894号(名称「無色乃至有色のセキュリティフィルム」)に記載され、これらは、参照として本明細書に援用する。
【0007】
本開示の多層膜は、予想外に高い剥離抵抗性を有する。更に、いくつかの代表的実施形態において、それらは、より大きな屈折力、より薄い構造、薄膜構造内の材積が減少したことに起因する色の吸収又は損失がより少ないこと、及びその他のフィルムと比較して紫外線吸収がより少ないという利点を示す。
【0008】
本出願にて使用する場合:
「複屈折」とは、直交するx、y、及びz方向における屈折率が、全て同じではないことを意味する。本明細書で記載されるポリマー層においては、前記の軸は、x及びy軸が、前記層平面内にあり、z軸が、前記層平面に対して直角であり、且つ、通常層の厚み又は高さに相当するように選択される。1面内方向での屈折率が、別の面内方向での屈折率より大きい場合、x軸は、一般に、最大屈折率を持つ面内方向となるように選択され、これが場合により、光学フィルムが配向する(例えば、延伸する)方向の1つに相当する。
【0009】
「分散」とは、屈折率の波長依存性である。
【0010】
「高屈折率」及び「低屈折率」は、相対的な語句であり;2つの層を、目的とする少なくとも1つの方向で比較した場合、より大きな面内屈折率を有する層が、高屈折率層であり、より小さな面内屈折率を有する層が、低屈折率層である。
【0011】
「屈折率」とは、特に指示がない限り、材料の平面内における、633nmの光を法線入射させた場合の材料の屈折率を意味する。
【0012】
「ポリマー」とは、特に指示がない限り、重合体及び共重合体(即ち、2種類以上のモノマー類又はコモノマー類から形成された重合体であり、例えば、ターポリマー類を包含する)を意味し、同様に例えば、共押出又は反応(例えば、エステル交換を包含する)による混和性ブレンドに形成可能な共重合体又は重合体を意味する。特に指示がない限り、ブロック、ランダム、グラフト、及び交互重合体が包含され;及び
「Tg(ガラス転移温度)」とは、重合体がガラス状態からゴム状態へ遷移する温度を意味し、示差走査熱量計によって測定される。
【0013】
図1に示す本開示の例示的多層膜10は、少なくとも2種類の材料から成る交互層12,14を有する多層スタックを包含する。一実施形態では、層12及び14の材料は、重合である。多層膜10は、第1主表面13及び第2主表面15を包含する。一般的に、米国特許第6,827,886号(名称「多層光学フィルムの作製方法」)(参照として本明細書に援用する)は、多層膜10の作製に適合可能な方法について記載する。加えて、フィルム10及び層12,14は、平面を有するように図示されてはいるが、フィルム10又は層12,14又は追加の層の少なくとも1つの表面が構造化されてよい。
【0014】
高屈折率層12の面内屈折率n1は、低屈折率層14の面内屈折率n2より高い。層12,14間の各境界での屈折率差によって、光線16の一部が反射される。多層膜10の透過特性及び反射特性は、層12,14間の屈折率差によって生じる光のコヒーレント干渉及び層12,14の層厚に基づいている。等価屈折率(又は法線入射の場合の面内屈折率)が、層12,14間で異なる場合、隣接層12,14間の界面は、反射面17を形成する。界面17の反射能は、層12,14の等価屈折率間の差の2乗(例、(n1−n2)2)に依存する。層12,14間の屈折率差を増大させることによって、屈折力(より高い反射率)、より薄いフィルム(より薄い又はより少ない層)、及びより広い帯域幅応用を向上させることができた。従って、多層膜10は、例えば、反射偏光子又はミラーとして有用となり得る。代表的実施形態における屈折率差は、少なくとも約0.05、好ましくは約0.10超、より好ましくは約0.20超、更により好ましくは約0.30超である。一実施例では、高屈折率層12の材料は、約1.65の屈折率を有するポリエステルである。一実施例では、低屈折率層14の材料は、約1.47未満、より好ましくは約1.44未満、更により好ましくは約1.42未満の屈折率を持つ重合体である。
【0015】
一実施形態では、層12,14の材料は本来的に異なった屈折率を有する。別の実施形態では、層12,14の材料の少なくとも1つが、応力誘発性複屈折の性質を有し、前記材料の屈折率(n)が、延伸加工の影響を受けるようにする。多層膜10を1軸方向乃至2軸方向の範囲に亘って延伸することによって、異なった配向をした面−偏光入射光に対して様々な反射率を持つフィルムを作製することができる。「配位方向」とは、フィルムが延伸する面内方向である。「横断方向」とは、フィルムが配向した方向と直交したフィルム平面内の方向である。
【0016】
代表的実施形態では、多層膜10は、数十、数百又は数千の層を包含し、各層は多数の異なった材料のいずれかから作製することができる。特定スタックのための材料選択を決定する特性は、多層膜10の望ましい光学性能による。多層膜10は、前記スタック内の層が多くなればなる程、多くの材料を含有することができる。しかし、図示を容易にするために、光学薄膜スタックの代表的実施形態は、わずか2〜3種類の異なった材料を示す。
【0017】
一実施形態では、多層膜10内の層の数は、フィルム厚、柔軟性及び経済性の理由により、最小数の層を使用して所望の光学特性を達成するように選択する。偏光子及びミラーなどの反射性フィルムの場合、層の数は、より好ましくは約2,000未満、より好ましくは約1,000未満、更により好ましくは約500未満である。
【0018】
表1は、本開示の多層膜10について、いくつかの実施例の構造を示す。表1の各例示的フィルムは、高屈折率材料及び低屈折率材料の交互層から構成される。各実施例では、低屈折率材料は、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーである。
【0019】
【表1】
【0020】
異なる材料間の、又は化学的に同一の材料間の境界は、異なった物理的性質を持ち、その変化は急激又は緩やかである。解析解を有する、いくつかの単純なケースを除けば、連続的に指数が変化する、後者のタイプの層状媒質の分析は、通常、急激に変化する境界を有するが、隣接する層間での性質変化がわずかであり、かなり大きな数の、より薄い均一層として扱われる。
【0021】
多層膜10の一実施形態は、低屈折率/高屈折率フィルム層の複数ペアから成り、ここでは、各低屈折率/高屈折率層のペアが、反射するように設計された帯域の中心波長の1/2の光学的な結合厚さを有する。このようなフィルムのスタックは、一般に4分の1波長積層と呼ばれる。可視波長及び近赤外波長に対応する多層光学フィルムの場合、4分の1波長積層の設計は、約0.5マイクロメートル以下の平均厚さを有する多層スタック内の各層12,14をもたらす。その他の代表的実施形態では、例えば、広帯域反射光学フィルムが所望される場合、異なる低屈折率/高屈折率層のペアは、異なる光学的な結合厚さを有してよい。
【0022】
反射性フィルム(例えば、ミラー又は偏光子)が所望されるような用途においては、各ポラライゼーション及び入射平面についての所望の平均光透過率は、一般に、反射性フィルムの使用目的による。多層ミラーフィルムを作製するための1つの方法は、多層スタックを2軸延伸することである。高効率反射性フィルムには、法線入射での可視スペクトル(約380nm〜750nm)にまたがる各延伸方向に沿った平均透過率は、望ましくは約10%未満(約90%超の反射率)、好ましくは約5%未満(約95%超の反射率)、より好ましくは約2%未満(約98%超の反射率)、更により好ましくは約1%未満(約99%超の反射率)である。法線方向から約60度での可視スペクトルに亘る平均透過率は、望ましくは約20%未満(約80%超の反射率)、好ましくは約10%未満(約90%超の反射率)、より好ましくは約5%未満(約95%超の反射率)、更により好ましくは約2%未満(約98%超の反射率)、更により好ましくは約1%未満(約99%超の反射率)である。
【0023】
さらに、非対称反射性フィルム(不均衡2軸延伸から生じたフィルムなど)が、特定の応用には望ましい場合がある。その場合、例えば、可視スペクトル(約380nm〜750nm)の帯域幅に亘って、又は可視スペクトル及び近赤外(例えば、約380nm〜850nm)に亘って、1つの延伸方向に沿った平均透過率は、望ましくは、例えば、約50%未満であってよく、一方で、その他の延伸方向に沿った平均透過率は、望ましくは、例えば、約20%未満であってよい。
【0024】
多層光学フィルムは又、反射偏光子としても機能するように設計することができる。多層反射偏光子を作製するための1つの方法は、多層スタックを1軸延伸することである。得られた反射偏光子は、光に対する高い反射率を有し、広範囲の入射角度に対して、第1面内軸線(通常は、延伸方向)と平行する偏光面を持ち、同時に、光に対する低い反射率及び高い透過率を有し、広範囲の入射角度に対して、前記第1面内軸線と直交する第2面内軸線(通常は、非延伸方向)と平行する偏光面を持つ。各フィルムの3つの屈折率(nx、ny及びnz)を調節することによって、所望の偏光子挙動を得ることができる。
【0025】
所望の屈折率関係を得るために選択された条件下にて加工する場合、多層ミラーフィルム又は偏光子を本開示にしたがって形成するために、多種多様な材料を使用することができる。所望の屈折率関係は、フィルム形成中又はフィルム形成後に延伸すること(例えば、有機重合体の場合)、押出成形すること(例えば、液晶材料の場合)、又はコーティングすることを包含する様々な方法で達成することができる。一実施形態では、層12,14の材料は、適合性のある熱処理範囲及び類似した流動学的性質(例えば、溶融粘度)を有し、これにより共押出が可能となる。
【0026】
本開示の代表的実施形態で用いる光学フィルムを作製するのに好適な材料としては、例えば、ポリエステル、コポリエステル、及び変性コポリエステルのようなポリマーが挙げられる。本開示に従って、いくつかの例示的光学フィルムに使用するのに好適なポリエステル類には、一般的にはカルボキシレート及びグリコールサブユニットが挙げられ、カルボキシレートモノマー分子とグリコールモノマー分子との反応によって生成することができる。各カルボキシレートモノマー分子は、2種類又はそれ以上のカルボン酸又はエステル官能基を有し、かつ各グリコールモノマー分子は、2種類又はそれ以上のヒドロキシ官能基を有する。前記カルボキシレートモノマー分子は、全て同一であってもよく、又は2種類又はそれ以上の異なったタイプの分子であってもよい。前記グリコールモノマー分子についても同様である。用語「ポリエステル」には、グリコールモノマー分子と炭酸エステル類との反応から誘導されるポリカーボネート類も包含される。つまり、重合体材料は、通常、分散性であって、屈折率は波長とともに変化するので、これらの選択は問題となる特定のスペクトル帯域幅によって判断されるべきである。
【0027】
高屈折率層12のためのいくつかの例示材料は、結晶性、半結晶性、非晶質又は液晶材料であり、重合体を包含する。多くの高複屈折率重合体は、非晶質であることができる。結晶性は、配向フィルムの複屈折を維持するのに役立つ場合があるが、配向非晶質ポリマーフィルムは、フィルムのガラス転移温度が例えばその最大使用温度より十分に高い場合であっても、複屈折のままである。高屈折率層12のための好適な材料の具体例としては、ポリアルキレンナフタレート類(例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PPN(ポリプロピレンナフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、及びPCN(ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンナフタレート)、PHN(ポリヘキサメチレンナフタレート))並びにこれらの異性体類(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、及び2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート類(例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPT(ポリプロピレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、及びPCT(ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、PHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート))、ポリイミド類(例えば、ポリアクリル酸イミド類)、ポリエーテルイミド類、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート類、ポリメタクリレート類(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、及びポリメチルメタクリレート)、ポリアクリレート類(例えば、ポリブチルアクリレート及びポリメチルアクリレート)、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、シンジオタクチックポリ−α−メチルスチレン、シンジオタクチックポリジクロロスチレン、これらのポリスチレン類のうち任意のもののコポリマー類及びブレンド類、セルロース誘導体類(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、及びセルロースニトレート)、ポリアルキレンポリマー類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、及びポリ(4−メチル)ペンテン)、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリアクリロニトリル、ポリアミド類、エポキシ樹脂類、ポリビニルアセテート、ポリエーテル−アミド類、アイオノマー樹脂類、エラストマー類(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びネオプレン)、並びにポリウレタン類が挙げられる。例えば、PEN、PBN、PPN、PCN、PHN、PET、PBT、PPT、PCT、PHTの共重合体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、及び/又は2,3−ナフタレンジカルボン酸又はこれらのエステル類と(a)テレフタル酸、若しくはそのエステル類;(b)イソフタル酸、若しくはそのエステル類;(c)フタル酸、若しくはそのエステル類;(d)アルカングリコール類;(e)シクロアルカングリコール類(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール);(f)アルカンジカルボン酸類;並びに/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸類(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー類)、ポリアルキレンテレフタレート類の共重合体(例えば、テレフタル酸、又はそのエステル類と(a)ナフタレンジカルボン酸、又はそのエステル類;(b)イソフタル酸、若しくはそのエステル類;(c)フタル酸、若しくはそのエステル類;(d)アルカングリコール類;(e)シクロアルカングリコール類(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール);(f)アルカンジカルボン酸類;並びに/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸類(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー類)、並びにスチレンポリマー類(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー類及びスチレン−アクリロニトリルコポリマー類)などの共重合体、4,4’−重安息香酸及びエチレングリコールも適している。加えて、各個別層は、2種類又はそれ以上の上記重合体又は共重合体の混合(例えば、sPS及びアタクチックポリスチレンの混合)を包含してよい。記載されたcoPENはまたペレットの混合であってもよく、その場合少なくとも1つの構成成分は、ナフタレンジカルボン酸に基づく重合体であり、かつ他の構成成分は、PET、PEN又はcoPENなどのその他のポリエステル類又はポリカーボネート類である。
【0028】
本開示の一例示的実施形態では、層14のための低屈折率材料は、熱可塑性ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーである(ここで、ポリアミド構成成分は、エチレンテレフタルアミド、ヘキサメチレンアジパミド、ブチレンセバカミド、又は任意のその他既知のポリアミド)。本開示の一例示的実施形態では、層14のための低屈折率材料は、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーであり、2005年12月23日出願の米国特許出願第11/317,271号(その全体を本明細書に参照として援用する)に更に記載されている。前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類は、複数のオキサリルアミノ及びアミノオキサリルアミノ基を有する(例えば、オキサリルアミノ基は、アミノオキサリルアミノ基の一部であることができる)。前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドコポリマー類は、多くの既知のポリジオルガノシロキサンポリアミドコポリマー類と比較して、比較的大きな部分のポリジオルガノシロキサンセグメントを含有することができる。前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドコポリマーは通常、明らかな分解をすることなしに、250℃以上の高温にさらすことができる。
【0029】
一実施形態では、化学式Iの繰り返し単位を少なくとも2つ含有する共重合材料が提供される。
【0030】
【化1】
【0031】
この式において、各R1は、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールである。各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組み合わせである。添え字nは、独立して0〜1500の整数であり、且つ添え字pは、1〜10の整数である。基Gは、式R3HN−G−NHR3のジアミンから2個の−NHR3基(即ち、アミノ基)を差し引いたものに相当する残余部分である2価の基であり(式中、R3は、水素若しくはアルキルであるか、又はR3はGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成する)。各基Bは、独立して共有結合、4〜20個の炭素から成るアルキレン、アラルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各基Bが共有結合である場合、式Iのポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーは、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーと呼ばれる。各アスタリスクは、前記繰り返し単位が、例えば別の繰り返し単位といった別の基に結合する箇所を示す。
【0032】
このようなポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類は、広範囲のプロセス温度にわたって熱的に安定でありかつ幅広い粘度を有して調製することもできる。代表的ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類は、633nmにて約1.41の屈折率を有し、これは、ほとんどの高分子材料の屈折率と比較して、低いために望ましい。更に、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類は、数多くの共押出重合体に対して高レベルの粘着力を示す。更に、それらは高度に伸張性又は引っ張り可能でありそれらは、その光学特性が有意に劣化又は変化することなく、高度に延伸することができる。各用途のために、好適なポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーは、選択された高屈折率材料と組み合わせるように選択され、この際、特に処理に必要とされる縦方向の配向及び/又は幅出し操作の間における融解粘度、熱安定性、及び粘着力などの性質との適合性を考慮に入れる。約1%〜約10%のハードセグメント内容物を備えたポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類が特に好ましいが、これは、それらが熱可塑性エラストマー類であり、周囲条件下にて固体であるが、更に高温で軟化し又は流れることができるからである。本明細書では、用語「ハードセグメント」とは、有機アミドブロック及び末端基を意味する。前記ポリアミン残基は、前記ポリアミンから−NHR3基を差し引いたものである。前記ポリジオルガノシロキサン残基は、アミド結合によって前記ポリアミン残基に結合している。
【0033】
低屈折率層14にて使用するポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類の望ましい材料特性としては、例えば、(1)等方性複屈折率又は負複屈折率(2)熱安定性(少なくとも約250℃にて約1時間安定している)、(3)高屈折率層12の材料のプロセス温度と両立し得るプロセス温度(ほぼ室温〜約300℃で、粘度を必要に応じて適切に調整することが前提)、(4)UV安定性又は防御性、(5)高透明度(例えば、関心のある波長において高透過及び低吸収)、(6)低Tg(ガラス転移温度)(この場合、−120℃)、(7)高屈折率層12の材料との粘度適合を促進する粘度(共押出及び流動安定性を確保するため)、(8)高屈折率層12との良好な層間接着、(9)低い光学的分散、(10)高屈折率層12との良好なz−屈折率整合、(11)引抜加工性(例えば、複屈折無しに配向する能力)、及び(12)引っ掻き及び磨耗耐性が挙げられる。
【0034】
様々な屈折率を持つポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類を調製可能であるため、当然のことながら、比較的高い屈折率を有し、かつ本明細書で高屈折率層重合体のために示された全てのその他要求を満足するポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーを高屈折率層12の材料として使用できた。
【0035】
多層膜10内の重合体層12,14間の界面層の剥離は通常、重合体相互作用の知見を使用して予測可能である。前記重合体相互作用は、文献に開示されている重合体溶解度パラメータを使用して計算することができる。前記方法は、凝集エネルギー(Eco)と呼ばれる、所与の一対の重合体の凝集性を計算することを伴う。
【0036】
フェードス(Fedors)のグループ寄与法によりその繰り返し単位を使用して、任意の重合体の凝集エネルギーを計算することができる。
【0037】
【数1】
【0038】
式中、Eo,i及びnは、各々、モル凝集エネルギー及び重合体の繰り返し単位内における各官能基の数である。
【0039】
次に示す様に、同一のグループ寄与法によって計算されるように、モル体積(V)と結び付ける。
【0040】
【数2】
【0041】
式中、Viは、繰り返し単位内における個々の官能基のモル体積である。
【0042】
任意の重合体のための溶解度パラメータ(δ)を計算することができる。
【0043】
【数3】
【0044】
2つの重合体の溶解度パラメータから、これら2つの重合体のフローリー・ハギンス相互作用パラメータを計算することができる。
【0045】
【数4】
【0046】
式中、Vrefは基準体積であり、Rは気体定数であり、Tは温度(ケルビン熱力学温度)である。
【0047】
理想的には、相溶性重合体ペアは、同一の溶解度パラメータを有し、ゼロに極めて近い値をもたらす。これに対して、2つの重合体が全く異なった溶解度を有する場合、前記相互作用パラメータは、ゼロより著しく大きい。異なる重合体ペアの相互作用パラメータを比較することによって、一般に、重合体相互作用の理論的強さを予測することができる。
【0048】
理論上の計算から、層14内にポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類を有し、層12内における、PET又はPENなどのポリエステル類と対になっている多層膜10は、その他の重合体ペアよりも大きな相互作用パラメータ(〜2.2)を有する。これは、多層膜10が、材料間に薄い界面層を有することを理論上示している。それ故に、このような多層膜10が、弱い層間接着を示し、従って剥離しやすいということが予想される。
【0049】
しかし、実際には、キャストして配向させた、本開示の多層膜10は、予想外に大きな層間接着強度値及び剥離抵抗性を示し、これは、理論的予測と一致しなかった。一実施例では、パイロット規模の共押出ラインを使用して、3層構造のフィルムを作製した。前記押出温度は、材料の粘度に依存する。PET、PMMA及びポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーのために、約530°F(277℃)の加工温度を選択した。その融点がより高いために、PENを282℃(540°F)にて押し出した。ダイ及びフィードブロックは、PETについては277℃(530°F)にて、そしてPENについては282℃(540°F)にて実施した。15.2cm(6インチ)幅の押出品を、冷却ロール上で急冷し、762μm(30ミル)のキャストウェブを収集した。剥離試験は、剥離試験機を使用し、剥離角90度及び剥離速度1.52メートル/秒(60インチ/秒)にて実施した。あるサンプルでは、層14内にポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類、及び層12内にPETを有する、キャストした3層フィルム10は、約503.93グラム/cm(1,280グラム/インチ)の平均層間剥離強度を示した。比較すると、PMMA及びPENを有する、キャストした3層フィルムは、約7.08グラム/cm(18グラム/インチ)の平均層間剥離強度を示した。
【0050】
別のサンプルでは、その後に、3層キャストウェブを2軸延伸機(KARO IV、ブルックナー(Bruckner)(ドイツ、ジーグスドルフ)によって製造された市販の装置)にて延伸した。延伸温度は、PEN/PMMAキャストウェブの場合で130℃、PET/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーキャストウェブの場合で95℃であった。両システムについては、延伸比は3×3であり、かつ延伸速度は100〜150%/秒であった。剥離試験は、剥離試験機を使用し、剥離角90度かつ剥離速度1.52メートル/秒(60インチ/秒)にて、これらの配向フィルム上にて実施した。層14内にポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類、及び層12内にPETを有する、配向(延伸)3層フィルム10は、約39.37グラム/cm(100グラム/インチ)の平均層間剥離強度を示した。比較すると、PMMA及びPENを有する、配向(延伸)3層フィルムは、約11.81グラム/cm(30グラム/インチ)の平均層間剥離強度を示した。
【0051】
出願人らは、いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、1つの可能な説明は、界面層のサイズは、相互作用パラメータにより決定されるが、接着力測定は、何種類かの力の複雑な組み合わせであるというものである。測定した接着力に寄与するものの1つは、化学結合又は分子間に生じる相互作用である。例えば、共有結合、水素結合、及びファン・デル・ワールス力が含まれる。むしろ不活性の低インデックス樹脂の場合、この寄与が小さいことが想定される。2番目に寄与するものは、物理的なもの、例えば、混和性に関する絡みである。
【0052】
多層間の接着力に寄与する3番目のものは、剥離又は界面破壊の間のエネルギー散逸である。参照として本明細書に援用した米国特許公開番号第2003−0072931−A1号(名称「低Tg(ガラス転移温度)多層光学フィルム」)を参照のこと。系が破壊中に消費するエネルギーが大きい程、剥離力も大きい。これらの低インデックス樹脂の場合、前記重合体の粘弾性的性質は重要である。ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類のポリジオルガノシロキサンセグメントのTg(ガラス転移温度)(−120℃)は、PMMAなどのその他低インデックス樹脂のTg(ガラス転移温度)(110℃)より低い。非常に低いTg(ガラス転移温度)は、延性/脆性遷移をより低温へとシフトさせる。このため、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類は、外部からの衝撃により、脆性破壊するのではなく、むしろ粘弾性変形をする傾向がある。これにより、引き裂き、破壊、剥離、圧こん及び衝撃に対する高い耐性など、改善された性質をもたらす。
【0053】
更に、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類は、押出成形及びヒートセットにおいて問題となる温度にて熱転移を受ける。押出成形機から最初に出された時、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類は、90℃で伸ばした際に、幾分落下するその他の重合体との高い接着値を示す。このような延伸は、相分離ハードセグメント(アミド部分)が可動性でなく、いくらかの歪を生じる温度にて発生し得る。しかし、表2に示すように、より高温でのヒートセットは、アニーリング又は歪みの消失を可能にし、より大きな剥離力をもたらす。更に、アミド含有量は非常に少ないが、アミド結合及び末端基及び場合によりPETなどのポリマー類のエステル結合の間に、いくらかの水素結合がある可能性があり、この水素結合が、より大きな接着力にわずかに寄与する。用語「水素結合」とは、高度に分極した結合(例えば、O−H又はN−H)の水素と隣接分子内又は別の官能基内にある小さな電気陰性原子(例えば、フッ素、酸素、又は窒素)の孤立電子対との静電相互作用を意味する。これらの相互作用の最適化は、これらの基がお互いに会合できる温度(移動度)にて生じる。一実施例では、前記3層PET系配向多層膜10は、寸法安定性を向上させるための時間、高温にてヒートセットした。配向PET及びポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの多層膜10についての異なるヒートセット温度及びヒートセット時間での剥離結果を、次表にまとめた。
【0054】
【表2】
【0055】
光学フィルムとして使用する場合、多層膜10は通常、薄い。好適なフィルムは、各種厚みを有するが、代表的実施形態では、それらは、約380マイクロメートル(約15ミル)未満、より典型的には約250マイクロメートル(約10ミル)未満、好ましくは約180マイクロメートル(約7ミル)未満の厚みを有する。用途に応じては、好適な多層膜10は、約12.7マイクロメートル(約0.5ミル)以下の薄さ又は約381マイクロメートル(約15ミル)以下の薄さである。光学フィルムは通常、加工中に様々な曲げ及び回転工程をも経るので、本発明の代表的実施形態において、多層膜10は好ましくは可撓性である。
【0056】
上述したように、各種屈折率間で所望の関係を達成する能力(即ち、多層膜10の光学特性)は、多層膜10を作製するために使用する加工条件に影響される。延伸によって配向可能な有機ポリマーの場合、前記フィルム類は、一般に、個々のポリマーを共押出して、多層膜10を形成し次に、選択した温度で延伸することによってフィルム10を配向させ、所望により、続いて選択した温度でヒートセッティングすることにより作製される。あるいは、押出し及び配向工程は、同時に実施してよい。偏光子の場合、フィルム10は実質的に一方向に延伸されるが(1軸配向)、ミラーフィルムの場合には、フィルム10は実質的に2方向に延伸され(2軸配向)、それは、同時に又は連続的に実施してよい。
【0057】
異なる加工実施形態では、多層膜10は、延伸方向と交差する方向での寸法的緩和をさせてもよく、結果として、延伸交差方向での自然減をもたらし(延伸比の平方根に相当する)、多層膜10を制約して、延伸交差寸法の大幅な変化をいかなる場合も制限してよく、あるいは多層膜10の延伸交差寸法を動的に延伸させてもよい。例えば、多層膜10は、長さ方向配向機を使用して機械方向に延伸させても、あるいは幅出し機を使用して幅方向に延伸させてもよい。
【0058】
所望の屈折率相互関係及び物理的寸法を有する多層膜10を作製するために、延伸工程前の温度、延伸温度、延伸速度、延伸比、ヒートセット温度、ヒートセット時間、ヒートセット緩和、及び延伸交差緩和が選択される。これらの変数は、相互依存性であり、したがって、例えば、比較的低い延伸温度と組み合わされる場合、比較的低い延伸速度が使用可能である。一般的に、延伸方向での約1:2〜約1:10(より好ましくは、約1:3〜約1:7)の範囲の延伸比及び延伸方向に直交する方向での約1:0.2〜約1:10(より好ましくは、約1:0.5〜約1:7)の範囲の延伸比が、代表的実施形態において選択される。
【0059】
ミラーが様々な入射角にて光を反射することが要求されるミラーフィルムの応用は、ミラー構造内に複屈折材料を使用することで可能となる。参照として本明細書に援用する米国特許第5,882,774号を参照のこと。例えば、高屈折率層12の材料が、2軸配向ポリエステルの場合、ポリエステル配向時に厚さ方向(z方向)に発現した低屈折率が、p−偏光のブルースター角を排除して、厚さ方向の屈折率(nz)が、低屈折率層14の材料の厚さ方向の屈折率以下となることが示された。図2は、図1の多層膜10のうち、1つの層ペアの代表的実施形態を示す。図示した実施形態の一実施例では、高屈折率層12は、約1.49の厚さ方向の屈折率を有する複屈折材料、例えば、ポリエステルポリエチレンテレフタレート(PET)、(面内屈折率1.65)又はポリエチレンナフタレート(PEN)(面内屈折率1.75)で作製される。本実施例では、低屈折率層14は、一般に、1.45よりも少ない屈折率を有し、好ましい実施形態では、約1.41の屈折率を有する等方性ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーで作製される。本実施例では、入射角に伴う反射率の減少が、すべての等方性材料によって構成されるミラーにとって依然として十分に少ないものであったとしても、ブルースター条件は、排除されない。簡単にするために、2つの層12,14の単一界面17における光線16の反射率を図示した。次に、多層膜10スタックの光学密度を、スタックに加えた層ペアの数に比例して目盛った。図2には、単一の層ペアを図示した。
【0060】
図3は、異なる光入射角での、PEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーフィルム及び完全な等方性フィルムの反射率を示す。PEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー界面のp−偏光に対する反射率が、図3の一番上の曲線で示されている。屈折率1.75及び1.41を有する2つの等方性材料の界面の反射率を、比較のために一番下の曲線で示す。完全な等方性材料の界面での反射率は、入射角の増大に伴ってより一層速やかに低下する。90度におけるPEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー界面の反射率は、その法線入射における値の約60%まで低下する。
【0061】
図4は、異なる光入射角での、PET/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーフィルム並びに屈折率1.65及び1.49を有する完全な等方性フィルムの反射率を示す。PET/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーフィルムの場合、90度での反射率は、その法線入射における値の約50%まで低下する。多層スタック性能について推定すると、これらの曲線は、加えた層の数と直接比例する。対比は、光学密度即ち、−LOG(1−R)又は−LOG(T)とともに行わなければならない。材料が、低吸収値を有する場合、T=1−Rであると考えることができる。このため、PET及びポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーで作製されたミラーの90度での−LOG(T)値は、p−偏光に対する0度でのその値の50%である。例えば、前記ミラーが法線入射で99%反射する場合、p−偏光の反射率は、俯角入射にて90%まで低下する。s−偏光に対する反射率が99%より高いため、全反射率(s及びp−偏光)は、俯角入射にて95%超である。空気界面での表面反射率もまた、これらの角度において非常に高いため、実測した反射率は、この計算された内部反射率より高い。
【0062】
多層膜10を使用するこれらのミラーの高角度性能は、高角度にて光を反射するように調整されたより多くの層を加えることにより改善することができる。多層誘電体ミラーの反射スペクトルは、入射角が増大するに伴い、より低波長へシフトする。このため、例えば、可視光線をすべての角度で反射するために、一実施形態におけるミラーは、法線入射の近赤外光を反射する層を有する。入射角度が大きい場合、スペクトルの赤外部は、可視光スペクトル部分を覆うようにシフトする。このため、一実施形態では、高角度での特定スペクトルを覆うスペクトル部分のみが、余分な層によって高められる必要がある。
【0063】
別の実施形態では、本開示の多層膜10を包含するミラーは、ブルースター角を示さないか、比較的大きなブルースター角を有しない、その他の多層ミラーと組み合わせることができる。スペクトルの低角度部分は、主に多層膜10によって反射され、一部分は高入射角度にてブルースター角を示さないミラーによって反射されることができる。このようなミラーの実施例は、PEN/PMMA及びPET/coPMMA多層ミラーである。
【0064】
多層膜10の一例示的実施形態では、高屈折率層12内のPEN及び低屈折率層14内のポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーから成る交互層の275層スタックの反射率は、R.M.A.アッザム(Azzam)、N.M.バシャラ(Bashara)共著、「偏光解析法及び偏光(Ellipsometry and Polarized Light)」(エルゼビア社(アムステルダム)、1987年)に詳細に記載されている4×4薄膜光学的モデリング式を使用して計算した。PEN屈折率は、633nmにて1.74であると考え、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの屈折率は、633nmにて1.41であると考えた。層厚み特性は、すべての角度で可視スペクトルを良好に反射するミラーとなるように作製された。図5は、層厚み特性を示し、厚さはナノメートルで与えられる。中抜き記号(下側の線)は、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー層を表す。上側の線は、PEN層を表す。全てのPEN及びポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー層が1/4λとなるように設計し、スタックの全体にわたって厚みが直線勾配になるようにした。図5に示すように、多層膜10の本実施例の各個別層12,14は、異なった波長の光を反射するために、異なった厚みを有する。一例示的実施形態では、多層膜10は、約400nm〜約900nmの範囲の波長を持つ光を反射する。
【0065】
図6は、図5の多層膜実施形態について、0度及び85度の入射角度で計算された光学密度を示し、s偏光及びp偏光の平均反射率を表す。屈折率分散が、スタック計算には包含され、青領域での(in the blue)反射率を押し上げる手助けをする。法線入射反射率は、赤外領域で(in the infrared)非常に高いが、85度では、ブルースター角に接近することによって、この反射率は幾分減少した。380nmでのPENの吸収端に接近するに伴ってPENの屈折率が増大するため、スペクトルの青領域での反射率は高水準にとどまる。本多層スタック設計の平均光学密度約3.0(約99.9%R)は、あらゆる方向からの光入射に対して反射率が非常に高いミラーを、本材料の組み合わせで作製することができることを示す。これらの計算において、PENの屈折率x及びyは同一であると考え、且つポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの屈折率x及びyが同一であると考えた。
【0066】
好適な多層膜10はまた、スピンコーティング(例えば、「複屈折ポリイミド類(birefringent polyimides)」(ボーゼ(Boese)ら著、ジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス(J. Polym. Sci.)パートB、第30巻、1321ページ、1992年)に記載されているようなもの)及び真空蒸着(例えば、「結晶性有機化合物類(crystalline organic compounds)」(ザング(Zang)ら著、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl. Phys. Letters)第59巻、823ページ、1991年)に記載されているようなもの)などの技術を使用して作製してもよい。
【0067】
後者の技術は、ある種の結晶性有機化合物と無機材料との組み合わせに対して特に有用である。多層膜10の外観及び/又は性能は、主表面上のスキン層、スキン層と接触しているアンダースキン層、又はフィルム層スタック内の内部若しくは保護境界層(PBL)などの追加の層を包含させることによって変更してもよい。図7は、単一スキン層20を有する多層膜18を示す。図1を参照すると、図7の多層膜18は、第1主表面13上にスキン層20が追加された図1の多層膜10に類似している。図8は、2つのスキン層20,24を有する多層膜22を示す。図1を参照すると、図8の多層膜22は、第1主表面13、第2主表面15各々の上にスキン層20,24が追加された図1の多層膜10に類似している。図9は、内部層28を有する多層膜26を示す。図1を参照すると、図9の多層膜26は、層12,14のスタック内に内部層28が追加された図1の多層膜10に類似している。
【0068】
各層12,14は通常、約1マイクロメートル厚以下であり、約400nm以下の厚みを有することができる。しかし、本開示のいくつかの代表的実施形態では、より大きな厚さが使用されてもよい。各層12,14は、同一の厚さを有することができる。あるいは、多層光学フィルム10は、反射波長帯を増大させるため、異なる厚さを持つ層12,14を含むことができる。各追加層20,24,28の厚さは、個別層12,14の一般に少なくとも4倍、通常、少なくとも10倍であり、そして少なくとも100倍である場合もある。しかし、本開示のいくつかの代表的実施形態では、より小さな厚さが使用されてもよい。しかし、このような追加の層20,24,28は、多層膜18,22,26が請求の範囲に含まれる出願のために必要な光学特性を著しく損なうべきではない。多層膜10,18,22,26の各層の厚さは、層の数と同様に、特定の所望の厚み及び光学性能レベルを有する多層膜10,18,22,26を作製するために変更することができる。
【0069】
スキン層20,24及び内部層28は、フィルム形成時(共押出により、又は個々のコーティング又は押出し工程のいずれかで)に一体化されてよく、あるいは、それらは後で、完成フィルムへ適用してよく、例えばスキン層20,24をコーティング又はラミネーションによって、既に形成したフィルムへと適用してよい。追加の層20,24,28の総厚は通常、多層膜18,22,26の総厚の約2%〜約50%の範囲で変動する。
【0070】
追加の層又はコーティング材の実施例は、米国特許第6,368,699号及び米国特許第6,459,514号(両方ともに、名称「追加のコーティング材又は追加の層を備えた多層ポリマーフィルム(Multilayer Polymer Film with Additional Coatings or Layers)」であり、両方とも、参考として本明細書に組み込まれている)及び米国特許第6,783,349号(ニーヴィン(Neavin)ら、名称「多層光学フィルムの作製装置(Apparatus for Making Multilayer Optical Films)」)(参照として本明細書に援用する)に記載されている。多層膜10と組み合わせてもよいコーティング材又は層の非限定的列挙については、下記の実施例にてより詳細に記載されている。
【0071】
追加の層20,24,28の組成物は、例えば、加工中又は加工後において、層12,14の一体性を保護するため、多層膜10へ機械的性質又は物理的性質を加えるため、又は多層膜10へ光学的機能を加えるため選択されてよい。機能性構成成分、例えば、帯電防止剤類、紫外線吸収剤類(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤類(HALS)、染料類、染色剤類、顔料類、酸化防止剤類、スリップ剤類、低接着性材料類、導電性材料類、耐摩耗性材料類、光学素子類、形状安定剤類、接着剤類、粘着付与剤類、難燃剤類、燐光材料類、蛍光材料類、ナノ粒子類、落書き防止剤類、結露防止剤類、耐荷重剤類、シリケート樹脂類、光拡散材料類、光吸収材料類及び蛍光増白剤類が、これらの層内に包含されてもよく、それらが、得られた生成物の所望の光学的性質又はその他の性質を実質的に妨害しないことが好ましい。いくつかの代表的実施形態では、1種類以上の追加の層20,24,28は、ディフューザ、例えば、粗い、光沢が無い又は構造化された表面、数珠状ディフューザ又は有機粒子及び/若しくは無機粒子を包含するディフューザ、又はこれらのうちの任意の数の組み合わせであってもよく、あるいはそれらを包含してもよい。上記に掲載された機能性構成成分はまたポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー層(1つの層又は層12,14)中へ組み込まれてもよいが、このような組み込みが、層(単一又は複数)のためのいかなる光学的必要条件へも望ましくない程度にまで悪影響を与えないことが前提である。
【0072】
一実施例では、スキン層20,24は、押出後加工に役立てるために使用され、例えば、フィルムが熱ローラー又はテンタークリップに粘着するのを防ぐのに役立つ。別の実施形態では、所望のバリア性を多層膜18,22へ付与するために、スキン層20,24が加えられる。例えば、バリア膜又はコーティング材は、スキン層20,24として又はスキン層20,24の構成成分として追加してもよく、これにより多層膜18,22の透過性を、液体例えば水若しくは有機溶媒、又は気体例えば酸素若しくは二酸化炭素へと変更する。
【0073】
得られた多層膜18,22の磨耗耐性を付与し又は改善するために、スキン層20,24を追加してもよい。例えば、ポリマーマトリックス内に埋め込まれたシリカ粒子を含むスキン層20,24を使用してもよい。別の実施形態では、スキン層20,24は、耐摩耗性コーティングを含んでよい。耐磨耗性コーティング又は硬質コーティングの例としては、アクリロイド(Acryloid)A−11及びパラロイド(Paraloid)K−120Nなどのアクリル系ハードコート(ローム&ハース社(Rohm & Haas)から入手可能)、米国特許第4,249,011号(参照として本明細書に援用する)に記載されているようなウレタンアクリレート類(サルトマー社(Sartomer Corp.)から入手可能)、及びデスモデュール(DESMODUR)N−3300(マイルズ社(Miles, Inc.)から入手可能)などの脂肪族ポリイソシアネートをトーン・ポリオール(Tone Polyol)0305(ユニオンカーバイド社から入手可能)などのポリエステルと反応させることから得られるようなウレタンハードコート類が挙げられる。
【0074】
得られた多層膜18,22に、耐破壊性及び/又は引裂き抵抗を付与し又は改善するために、スキン層20,24を追加してもよい。耐引裂性層のための材料選択において考慮されるべき因子としては、パーセント破断伸び、ヤング率、引裂強度、内部層に対する接着性、関心のある電磁帯域幅でのパーセント透過率及び吸光度、光学的透明度又は曇価、周波数の関数としての屈折率、テクスチャー及び粗さ、溶融熱安定性、分子量分布、溶融レオロジー及び共押出性、スキン層の材料と光学層の材料との間での混和性及び相互拡散速度、粘弾性応答、引張条件下での緩和及び結晶化挙動、使用温度での熱安定性、耐候性、コーティング材への接着能力並びに様々な気体及び溶媒への浸透性が挙げられる。耐破壊性又は耐引裂性スキン層を製造工程中に適用するか、その後に、多層膜10上にコーティングするか又は積層してよい。製造工程中に、同時押出プロセスなどによって、これらの層を多層膜10へ接着することで、多層膜10が、製造工程中に保護されるという利点を提供する。
【0075】
一実施例では、追加の層20,24,28は、1つ以上のスペクトル選択領域で吸光する染料又は色素を含む。スペクトルの代表的選択領域としては、紫外線及び赤外と同様に可視スペクトルの一部又は全部を挙げることができる。可視スペクトルの全てが吸収される場合、当該層は不透明に見える。層20,24,28のための材料は、多層膜18,22,26により透過又は反射された光の見かけの色を変えるために選択できる。特に、フィルムがいくつかの光周波数を透過させ、一方で他を反射する場合に、当該フィルムの性質を補うためにそれらを使用することもできる。別の実施形態では、紫外線吸収材料をスキンカバー層20,24内で使用することは、特に望ましい。それが紫外線にさらした場合に時々不安定となる内層12,14,28を保護するために使用してもよいからである。一実施形態では、蛍光材料は、層20,24,28中に組み込まれる。蛍光材料は、紫外線スペクトル領域で電磁エネルギーを吸収し、可視スペクトル領域で再放射する。
【0076】
感圧接着剤を包含する接着剤類は、スキン層20,24として多層スタックへ適用してよい、別の望ましい一群の材料を形成する。一般に、感圧接着剤は、多層膜18,22が後でガラス又は金属基材などの別の材料へ積層されることが意図されている場合に、適用される。更に、層14のポリジオルガノシロキサンポリアミド類は、感圧接着剤及び粘着付与剤を含有する加熱活性化接着剤などの接着剤組成物へと処方することができる。ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類を含むこのような接着剤組成物類は、同時係属の2005年12月23日出願の米国特許出願第11/317,602号(その全体を本明細書に参照として援用する)にて更に記載されている。
【0077】
スキン層20,24内に組み込まれてよい別の材料は、スリップ剤である。スリップ剤は、製造工程中に多層膜18,22をより扱い易くする。通常、スリップ剤は、フィルムに照射される光の一部を透過することを目的としているフィルムというよりむしろ、ミラーフィルムとともに使用される。前記スリップ剤を包含する側面は、前記スリップ剤が、反射と関係したかすみを増大させるのを防止するために、通常、支持基材へ積層されることを目的としている側面である。
【0078】
スキン層20,24から得られる多くの利点はまた、図9に示すような多層膜26の類似内部層28からも得ることができる。このため、スキン層20,24に関する前述の説明は、内部層28にもまたあてはまる。更に、1つの内部層28が図示されているが、非常に多くの内部層28を、本開示に従う多層膜26内にて使用することも考えられる。
【0079】
その他の追加の層20,24,28は、ホログラフィー像、ホログラフィーディフューザ、又はその他の拡散層を含有する層を包含する。上述においては、多層膜スタックに適用して、その性質を変更することができる様々な層の例を記載した。一般的に、任意の追加の層を追加してもよく、通常、層12,14のそれとは異なった機械的、化学的、又は光学特性を提供してよい。更に、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー材料それ自体を、多層膜10上並びにその他のフィルム上にあるスキン層又はその他の層内にて使用してもよい。これらの応用は、更に、2005年12月23日出願の米国特許出願第60/753,857号及び本出願と同日に出願の代理人整理番号61495US003の同時係属出願(それら全体を、本明細書に参照として援用する)に記載されている。
【0080】
更に、異なった材料から成る層を、前記スタック並びに1つ又は2つの主表面内に分配してよい。
【0081】
図7に示す代表的実施形態では、追加の層20が、例えば、米国特許第6,096,375号(オーデルカーク(Ouderkirk)ら、名称「光学的偏光子(Optical Polarizer)」)(参照として本明細書に援用する)に記載されているように、吸収層又はダイクロイック偏光子層であってよい。いくつかのこのような構成においては、ダイクロイック偏光子の透過軸は、反射偏光子の透過軸と位置を合わせる。
【0082】
試験方法
硬度試験
ショアA硬度は、ゴム特性−ジュロメータ硬度のためのASTM D2240−5標準試験法にしたがって測定した。本試験方法は、特定のタイプの圧子を特定条件下にて材料中に力を加えて押し込んだ場合に、それが貫入することに基づいている。押し込み硬さは、貫入と逆相関し、かつ材料の弾性率及び粘弾性挙動に依存する。
【0083】
当量を決定するための滴定法
式IIを持つ前駆体化合物、約10グラム(正確に計量する)を瓶に添加した。THF溶媒(正確な計量ではない)約50グラムを添加した。混合物が均質になるまで、電磁撹拌棒を使用して内容物を混合した。前駆体の理論当量を計算し、次に本当量数の3〜4倍の範囲の量のN−ヘキシルアミン(正確に計量する)を添加した。前記反応混合物を最低4時間撹拌した。ブロモフェノールブルー(10〜20滴)を添加し、内容物が均質になるまで混合した。前記混合物を黄色の終点まで1.0N(又は0.1N)塩酸にて滴定した。前駆体の当量数は、試料に加えたN−ヘキシルアミンの当量数から、滴定中に加えた塩酸の当量数を差し引いたものに等しかった。当量(グラム/当量)は、前駆体の試料重量を前駆体の当量数で割ったものに等しかった。
【0084】
ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの固有粘度(IV)
平均固有粘度(IV)は、キャノン・フェンスケ(Canon-Fenske)粘度計(型式50番P296)を使用して、30℃、0.2グラム/デシリットル濃度のテトラヒドロフラン(THF)溶液中にて、30℃で測定した。本発明の材料の固有粘度は、0.1〜0.4グラム/デシリットルの範囲の濃度とは実質的に無関係であることが判明した。前記平均固有粘度は、3回以上の測定の平均とした。平均固有粘度を決定するための任意の変法は、具体例に記述されている。
【0085】
例示的多層膜10を、下記の実施例にて記載する。
【0086】
(実施例1)
ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー、シリコーンポリアミドポリマーを次のようにして調製した:5kシリコーンジアミン(米国特許第5,214,119号(参照として援用する)に記載の通りに調製した分子量=5200、1.0当量、0.0019モルのジアミンを含むポリジメチルシロキサンジアミン)10.00グラムを、ヒートガン及びアスピレータを取り付けた丸底フラスコ内で脱気させた。次に、テトラヒドロフラン(THF)44.8グラムを添加した。次に、トリフルオロエチルオキザラート(分子量=254.09、2.0当量、0.0038モル)0.9773グラムを前記混合物中へ周囲条件下にて滴下させた。蒸留して得たヘキサメチレンジアミン(分子量=116.21、1.0当量、0.0019モル)0.2235グラムを1mlのTHF内に希釈させた。ピペットを用いて、むしろ素早く安定したドリップにて本混合物をフラスコに添加した。周囲条件下にて数分間、前記混合物を撹拌した。次に、反応をサンプリングし、反応が高レベルの重合まで進んだことを確認した。サンプルをキャストし、乾燥させて、透明で強いエラストマーフィルムを作製した。
【0087】
本サンプルの一部を、50重量%メチルエチルケトン及び50重量%イソプロパノールの溶媒ブレンド中に、50重量%の固形分濃度にて溶解させた。
【0088】
PET/シリコーンポリアミド/PETフィルムは、以下の通り形成した。
【0089】
(1)762マイクロメートル(30ミル)のキャストウェブPETフィルムを2つの10センチ(4インチ)×10センチ(4インチ)片へと寸法通りに切り出した。
【0090】
(2)次に、塗装ばけを利用して、シリコーンポリアミドポリマーの50%固形分メチルエチルケトン/イソプロパノールブレンド溶液を前記キャストウェブPETフィルムの片面各々へ適用した。これらのコーティングフィルムを空気乾燥させた。
【0091】
(3)前記キャストウェブフィルムのコーティング面をお互いに接触させ、34473.78kPa(5,000psi)でプレスし、93℃(200°F)に30秒置いた。
【0092】
(4)次に、この圧力をかけたサンプルを85℃実験室用2軸フィルムストレッチャーに締め付けた。次に、前記フィルムを30秒間、95℃にて加熱し、20%/秒にて、平衡2軸3:1延伸比まで延伸した。
【0093】
前記ストレッチャーから取り外す際、前記サンプルは、PETフィルム層間にて、外観上、シリコーンポリアミドの優れた広がり(均一な厚さの連続層)を示した。更に、前記シリコーンポリアミド/PET界面が、大きな接着強度を有することがわかった。
【0094】
(実施例2)
シュウ酸ジエチル(241.10グラム)を、機械的撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した3リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。フラスコを窒素で15分間パージし、5K PDMS ジアミン(約5,000g/モルの平均分子量を持ち、米国特許第5,214,119号に記載のように調製されたポリジメチルシロキサンジアミン(参照として援用する))(2,028.40グラム、分子量=4,918)を、撹拌しながらゆっくりと添加した。室温にて8時間後、前記反応フラスコに、蒸留アダプタ及び蒸留レシーバを装着し、前記内容物を撹拌し、減圧下(133Pa(1トール))にて150℃まで4時間、更なる留出物を集めることができなくなるまで加熱した。前記残留液体を室温まで冷却し、オキサミドエステルで末端処理した生成物2,573グラムを得た。透明で流動性の液体のガスクロマトグラフィー分析は、検出可能濃度のシュウ酸ジエチルが残存していないことを示した。分子量は、1H NMR(分子量=5,477グラム/モル)及び滴定(2,573グラム/モル及び2,578グラム/モルの当量)によって決定した。
【0095】
上述の如く調製した793.20gの5k エチルオキサリルアミドプロピル末端処理ポリジメチルシロキサン(793.20g、滴定分子量=5,183)を、機械的撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した3リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。前記フラスコを窒素で15分間パージし、ヘキサンジアミン(17.48グラム)を添加した。前記混合物を機械的に撹拌し、かつ150℃まで窒素雰囲気下で3.5時間加熱した。粘稠な溶融生成物をガラス皿に注ぎ、冷却し、59のショアA硬度を有する透明で強いエラストマースラブとして、シリコーンポリオキサミド生成物を得た。次に、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー樹脂でできた本スラブを砕いて微粒ペレットとした。
【0096】
次に、このポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー樹脂を共押出プロセスによって3層フィルム内へと組み込んだ。この押出成形は、次のようにして実施した。3層ダイ/フィードブロックの最下層(冷却ロール側)を供給するため、1.5インチ(38.1mm)デイヴィス−スタンダード社(Davis-Standard)製単一スクリュー押出成形機にて、DMTクリアとして公知の乾燥させた標準PET樹脂(0.60IV)(3M社から入手可能)を利用した。25mmベルストルフ社(Berstorff)製2軸スクリュー押出機を使用して、ダイの中間層を供給し、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー樹脂をこの押出機へ供給した。3層ダイの最上層を供給するため、1インチ(25.4mm)デイヴィス−スタンダード社(Davis-Standard)製単一スクリュー押出成形機にて、DMTクリアとして公知の乾燥させた標準PET樹脂(0.60IV)(3M社から入手可能)を利用した。PET及びポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー材料のために、約530°F(277℃)の押出加工温度を選択した。15.2cm(6インチ)幅の押出品を、冷却ロール上で急冷し、かつ762マイクロメートル(30ミル)のキャストウェブを収集した。本文書内で既に述べたように、優れたフィルム形成及び層間接着が得られた。
【0097】
(実施例3)
20℃の2ガロンステンレス鋼反応槽内へ、5k エチルオキサリルアミドプロピル末端処理ポリジメチルシロキサン(滴定分子量=6,174)(以前のサンプルについての説明と同様な方法により調製した)3675.4グラムを加えた。前記容器を撹拌し(80rpm)、窒素フローによりパージし、15分間真空にした。次に、ケトルに窒素加圧して34.47kPa(5psig)とし、25分間、90℃まで加熱した。次に、メタ−キシリレンジアミン(TCIアメリカから入手可能)81.08グラムを前記ケトルに添加し、続いてトルエン80グラムを添加した。次に、前記ケトルを105℃の温度まで加熱した。105℃にて65分間経過後、前記ケトルの圧力を5分間かけてゆっくりとベントした。次に、前記ケトルを真空(約20mmHg)に1時間さらして、エタノール及びトルエンを除去する。次に、前記ケトルを再度13.78kPa(2psig)まで加圧し、次に粘稠な溶融ポリマーをテフロン(登録商標)コーティングしたトレイに排出し、冷却させた。冷却されたシリコーンポリオキサミド生成物、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーを砕いて微粒ペレットとした。本材料のIVは、0.853デシリットル/グラム(THF中)であると決定された。
【0098】
次に、このポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー樹脂を共押出プロセスによって61層フィルム内へと組み込んだ。この押出成形は、下記のようにして実施した。
【0099】
1.5インチデイヴィス−スタンダード社(Davis-Standard)製単一スクリュー押出成形機(ネックチューブ付き)へ、インヴィスタ(Invista)8602PET樹脂(インヴィスタ(Invista)社(ノースカロライナ州シャーロット)から入手可能)を供給した。この押出トレイン(extrusion train)は、61層フィードブロック及びダイの31交互「A」層へ材料を供給した。付随するネックチューブ及びギアポンプを備えた25mmベルストルフ社(Berstorff)製2軸スクリュー押出機内へ、上記シリコーンポリオキサミドポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー材料を供給した。この押出トレインは、61層フィードブロック及びダイの30交互「B」層へ材料を供給した。
【0100】
PET押出トレイン用には、282℃(約540°F)の溶融加工温度を利用したが、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー押出成形ラインは、232℃(450°F)の温度まで加熱される。前記61層フィードブロック及びダイは、277℃(530°F)の温度まで加熱した。
【0101】
15.2cm(6インチ)幅の押出品を、冷却ロール上で急冷し、かつ559マイクロメートル(22ミル)のキャストウェブを収集した。優れたフィルム形成及び層間接着が得られた。前記キャストウェブサンプルの光学顕微鏡写真を撮り、別個の層形成を検査した。
【0102】
前記キャストウェブサンプルの一部を10センチ(4インチ)×10センチ(4インチ)四方へと切り、次に85度実験室用2軸フィルムストレッチャーへ取り付けた。前記フィルムを30秒間、95℃にて加熱し、20%/秒にて、平衡2軸3:1延伸比まで延伸した。
【0103】
(実施例4)
20℃の10ガロン(38リットル)ステンレス鋼反応槽内へ、前記のサンプルについての説明と同様な方法により調製した14kエチルオキサリルアミドプロピル末端処理ポリジメチルシロキサン(滴定分子量=14,890)18158.4グラムを加えた。前記容器を撹拌し(75rpm)、窒素フローによりパージし、15分間真空にした。次に、前記ケトルを80℃まで25分間にわたって加熱した。エチレンジアミン(GFSケミカルズ社製)73.29グラムを前記ケトル内へ真空充填し、続いて、トルエン73.29グラムもまた真空充填した。次に、前記ケトルを6.89kPa(1psig)まで加圧し、120℃の温度まで加熱した。30分後、前記ケトルを150℃まで加熱した。一旦150℃の温度に到達したら、前記ケトルを5分間かけて通気した。前記ケトルを真空(約8.7kPa(約65mmHg))に40分間さらして、エタノール及びトルエンを除去する。次に、前記ケトルを13.78kPa(2psig)まで加圧し、次に粘稠な溶融重合体をテフロン(登録商標)コーティングしたトレイに排出し、冷却させた。冷却されたシリコーンポリオキサミド生成物、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーを砕いて微粒ペレットとした。本材料のIVは、0.829デシリットル/グラム(THF中)であると決定された。
【0104】
次に、このポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー樹脂を共押出プロセスによって61層フィルム内へと組み込んだ。この押出成形は、下記のようにして実施した。
【0105】
1.5インチデイヴィス−スタンダード社(Davis-Standard)製一軸スクリュー押出成形機(ネックチューブ付き)へ、インヴィスタ(Invista)8602PET樹脂(インヴィスタ(Invista)社(ノースカロライナ州シャーロット)から入手可能)を供給した。この押出トレイン(extrusion train)は、61層フィードブロック及びダイの31交互「A」層へ材料を供給した。付随するネックチューブ及びギアポンプを備えた25mmベルストルフ社(Berstorff)製2軸スクリュー押出機内へ、上記シリコーンポリオキサミドポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー材料を供給した。この押出トレイン(extrusion train)は、61層フィードブロック及びダイの30交互「B」層へ材料を供給した。
【0106】
前記PET押出トレイン、前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー押出トレイン、及び前記61層フィードブロック及びダイ用に、約540°F(282℃)の溶融加工温度を利用した。
【0107】
15.2cm(6インチ)幅の押出品を、冷却ロール上で急冷し、かつ559マイクロメートル(22ミル)のキャストウェブを収集した。優れたフィルム形成及び層間接着が得られた。前記キャストウェブサンプルの光学顕微鏡写真を撮り、異なる層形成を検査した。
【0108】
前記キャストウェブサンプルの一部を10cm(4インチ)×10cm(4インチ)四方へと切り、次に85度実験室用2軸フィルムストレッチャーへ取り付けた。前記フィルムを30秒間、95℃にて加熱し、20%/秒にて、平衡2軸3:1延伸比まで延伸した。
【0109】
(実施例5)
トリエチルアミンのトルエン溶液(30%)内の152.2部のサリチル酸メチル及び101.2部へ、撹拌しながら91.5部のアジピン酸クロリドの40%トルエン溶液を滴加した。トリエチルアミン塩酸塩の沈殿物が即座に生じた。撹拌は、添加が完了後1時間続けた。前記混合物を濾過し、濾液が乾燥するまでロータリーエバポレーター内で蒸発させて、白色結晶性固体を得た。生成物たるアジピン酸のサリチル酸ジメチルをヘキサン中で懸濁化させ、濾過し、且つオーブン内で乾燥させることにより分離した。生成物は、TLC及びNMRスペクトルによって単一体であることが確認できた。
【0110】
526.0部の分子量5260のポリジメチルシロキサンジアミン(参照として本明細書に援用されている米国特許第5,214,119号に記載されているように調製した)及び11.6部のヘキサメチレンジアミンの30重量%イソプロピルアルコール溶液を調製した。82.9部のサリチル酸メチルアジピン酸エステル(上記のように調製した)の30重量%イソプロピルアルコール溶液を調製し、かつ本溶液を第1溶液へ急速に添加した。前記透明溶液を室温で一晩撹拌し、その間、溶液粘度は急激に上昇した。前記溶液をガラス皿の中へキャストし、溶媒を数時間かけて蒸発させ、オーブン内70℃にて一晩かけて完全に乾燥させて、透明で強いエラストマーフィルム、シリコーンポリアジパミドを得た。
【0111】
前記シリコーンポリアジパミドを、50重量%メチルエチルケトン/50重量%イソプロパノールブレンド中に10重量%固形分にて溶解させた。本溶液を非活性配向ポリエステルフィルム(3M社から入手可能なスコッチパール(Scotchpar)51マイクロメートル(2ミル)PETフィルム)上へマイヤー(Meyer)ロッド12番を使用してコーティングし、コーティング領域の全周囲にコーティングされていない縁を残した。サンプルを乾燥させた。乾燥させたシリコーンポリアジパミドのコーティングした外観は、良好であった。ポリマーコーティングは、フィルムから除去することができなかった。次にコーティングされたPETフィルムをそれ自身の上に折り重ね、コーティングされた面が折り畳んだフィルムの内側になるようにした。本試験体を210℃に置き、13,789.51kPa(2,000PSI)で30秒間圧力を加えた。圧力を取り除き、前記試験体のPET基板フィルムのコーティングされていない縁部分を手でつかみ、引き離した。密着したまま、シリコーンポリアジパミド層内に破壊が生じ、シリコーンポリアジパミド層は、いずれのPET表面からも除去されなかった。
【0112】
好ましい実施形態を参照して、本開示について述べてきたが、当業者は、本開示の趣旨と範囲から逸脱することなく、形態と詳細において変更が可能であることを理解するであろう。
【0113】
上記の図面は本開示のいくつかの例示的実施形態を示すが、他の実施形態も考えられる。本開示は、代表させるための本発明の例示的実施形態を示すが、制限されるものではない。本開示の範囲及び主要な精神に含まれる多数の他の変更及び実施形態が、当業者によって考案されうる。図面は、原寸大ではない。
【0114】
さらには、実施形態及び構成成分は、表記「第1」、「第2」、「第3」等で表され、これらの説明は参照を簡便化し、優先順位を意味するわけではないことを理解されたい。表記は、異なった実施形態間の区別を明瞭にするためだけのものである。
【0115】
特に指示がない限り、本明細書及び請求項において使用される形状、量、及び物理的性質を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という語句によって修正されるものとして理解されるべきである。それゆえに、特に異議を唱えない限り、記載した数字は、本明細書にて開示した教示を使用した所望の性質に応じて変化することがある概算である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本開示の多層光学フィルムの1つの代表的実施形態を示す。
【図2】図1の多層膜10のうち、1つの層ペアの代表的実施形態を示す。
【図3】異なる光入射角での、PEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーフィルム及び完全な等方性フィルムの反射率を示す。
【図4】異なる光入射角に対する、PET/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーフィルム及び完全な等方性フィルムの反射率を示す。
【図5】図1の多層膜の1つの代表的実施形態層の厚み特性を示し、厚さはナノメートルで与えられる。
【図6】図5の多層膜実施形態について、0度及び85度の入射角度で計算された光学密度を示し、s偏光及びp偏光の平均反射率を表す。
【図7】本開示の多層光学フィルムの第2代表的実施形態(スキン層を包含する)を示す。
【図8】本開示の多層光学フィルムの第3代表的実施形態(2つのスキン層を包含する)を示す。
【図9】本開示の多層光学フィルムの第4代表的実施形態(異なる材料から成る内部層を包含する)を示す。
【図10】ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの0.5mm厚フィルムの透過(T)及び反射(R)スペクトルを示す。
【図11】図10のフィルムの屈折率の実部(n)及び虚部(k)(図10のスペクトルから計算した)を示す。当業者が容易に理解できるように、吸収は非常に少なく、k値の測定はノイズが多い。
【図12】PEN/PMMA及びPEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー多層ミラーの計算された透過スペクトルを示す。
【図13】PEN/PMMA及びPEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー多層ミラーの計算された反射スペクトルを示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年12月23日に出願された米国仮出願第60/753,791号の利益を主張し、該仮出願は、参照として本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
多層ポリマー光学フィルムは、ミラー及び偏光子を含む様々な目的のために広く使用されている。これらのフィルム類は、極めて高い反射率を有することが多く、同時に軽量で、且つ耐破損性を有する。多種多様な多層膜の例は、同一出願人による米国特許第5,882,774号(名称「光学フィルム」)(参照として本明細書に援用する)に包含される。代表的な用途としては、コンパクトな電子ディスプレイがあり、それには携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ、テレビ及び他のデバイスに設置される液晶ディスプレイ(LCD)が挙げられる。
【0003】
既知の多層光学フィルムは、異なる屈折率を有する材料の交互層を有する。ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、このようなフィルム類において、低屈折率材料とされてきた。PMMAは、通常、235℃〜250℃の温度にて押出加工される。このため、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高屈折率材料(通常は、約265℃の最低温度にて押出加工される)又はポリエチレンナフタレート(PEN)(通常は、約270℃の最低温度にて押出加工される)とともに理想的な共押出がされない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、PET及びPENなどの高屈折率ポリマー類と加工適合性である低屈折率材料に対する必要性は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
多層膜は、第1高分子材料の第1層及び第2高分子材料の第2層から構成される。前記第1材料は、第1屈折率を有し、かつ前記第2材料は、前記第1屈折率より少ない第2屈折率を有する。一実施形態では、前記第2材料は、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロック共重合体を包含する。別の実施形態では、前記第2材料は、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロック共重合体を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本開示の典型的な例示実施形態は、2つ又はそれ以上の層を有するフィルムを包含する。本開示の多層膜の特に好適な適用は、光学フィルムとしてである。例えば、多層光学フィルムは、高効率ミラー及び/又は偏光子として有用である。多層光学フィルムを本開示と併せて使用した場合、入射光線の比較的低い吸収及び光軸外での通常光線の高反射率を示す。これらの性質ゆえに、一般に、フィルムは光の純粋反射又は反射偏向のいずれかのために使用される。多層光学フィルムの特有の性質及び利点は、他の光学システムと比較した場合に低吸収損を示すバックライトシステムなどの高効率光学システムを設計する機会を提供する。いくつかの好適な適用は、米国特許第6,531,230号(名称「色相シフトフィルム」)、及び米国特許第6,045,894号(名称「無色乃至有色のセキュリティフィルム」)に記載され、これらは、参照として本明細書に援用する。
【0007】
本開示の多層膜は、予想外に高い剥離抵抗性を有する。更に、いくつかの代表的実施形態において、それらは、より大きな屈折力、より薄い構造、薄膜構造内の材積が減少したことに起因する色の吸収又は損失がより少ないこと、及びその他のフィルムと比較して紫外線吸収がより少ないという利点を示す。
【0008】
本出願にて使用する場合:
「複屈折」とは、直交するx、y、及びz方向における屈折率が、全て同じではないことを意味する。本明細書で記載されるポリマー層においては、前記の軸は、x及びy軸が、前記層平面内にあり、z軸が、前記層平面に対して直角であり、且つ、通常層の厚み又は高さに相当するように選択される。1面内方向での屈折率が、別の面内方向での屈折率より大きい場合、x軸は、一般に、最大屈折率を持つ面内方向となるように選択され、これが場合により、光学フィルムが配向する(例えば、延伸する)方向の1つに相当する。
【0009】
「分散」とは、屈折率の波長依存性である。
【0010】
「高屈折率」及び「低屈折率」は、相対的な語句であり;2つの層を、目的とする少なくとも1つの方向で比較した場合、より大きな面内屈折率を有する層が、高屈折率層であり、より小さな面内屈折率を有する層が、低屈折率層である。
【0011】
「屈折率」とは、特に指示がない限り、材料の平面内における、633nmの光を法線入射させた場合の材料の屈折率を意味する。
【0012】
「ポリマー」とは、特に指示がない限り、重合体及び共重合体(即ち、2種類以上のモノマー類又はコモノマー類から形成された重合体であり、例えば、ターポリマー類を包含する)を意味し、同様に例えば、共押出又は反応(例えば、エステル交換を包含する)による混和性ブレンドに形成可能な共重合体又は重合体を意味する。特に指示がない限り、ブロック、ランダム、グラフト、及び交互重合体が包含され;及び
「Tg(ガラス転移温度)」とは、重合体がガラス状態からゴム状態へ遷移する温度を意味し、示差走査熱量計によって測定される。
【0013】
図1に示す本開示の例示的多層膜10は、少なくとも2種類の材料から成る交互層12,14を有する多層スタックを包含する。一実施形態では、層12及び14の材料は、重合である。多層膜10は、第1主表面13及び第2主表面15を包含する。一般的に、米国特許第6,827,886号(名称「多層光学フィルムの作製方法」)(参照として本明細書に援用する)は、多層膜10の作製に適合可能な方法について記載する。加えて、フィルム10及び層12,14は、平面を有するように図示されてはいるが、フィルム10又は層12,14又は追加の層の少なくとも1つの表面が構造化されてよい。
【0014】
高屈折率層12の面内屈折率n1は、低屈折率層14の面内屈折率n2より高い。層12,14間の各境界での屈折率差によって、光線16の一部が反射される。多層膜10の透過特性及び反射特性は、層12,14間の屈折率差によって生じる光のコヒーレント干渉及び層12,14の層厚に基づいている。等価屈折率(又は法線入射の場合の面内屈折率)が、層12,14間で異なる場合、隣接層12,14間の界面は、反射面17を形成する。界面17の反射能は、層12,14の等価屈折率間の差の2乗(例、(n1−n2)2)に依存する。層12,14間の屈折率差を増大させることによって、屈折力(より高い反射率)、より薄いフィルム(より薄い又はより少ない層)、及びより広い帯域幅応用を向上させることができた。従って、多層膜10は、例えば、反射偏光子又はミラーとして有用となり得る。代表的実施形態における屈折率差は、少なくとも約0.05、好ましくは約0.10超、より好ましくは約0.20超、更により好ましくは約0.30超である。一実施例では、高屈折率層12の材料は、約1.65の屈折率を有するポリエステルである。一実施例では、低屈折率層14の材料は、約1.47未満、より好ましくは約1.44未満、更により好ましくは約1.42未満の屈折率を持つ重合体である。
【0015】
一実施形態では、層12,14の材料は本来的に異なった屈折率を有する。別の実施形態では、層12,14の材料の少なくとも1つが、応力誘発性複屈折の性質を有し、前記材料の屈折率(n)が、延伸加工の影響を受けるようにする。多層膜10を1軸方向乃至2軸方向の範囲に亘って延伸することによって、異なった配向をした面−偏光入射光に対して様々な反射率を持つフィルムを作製することができる。「配位方向」とは、フィルムが延伸する面内方向である。「横断方向」とは、フィルムが配向した方向と直交したフィルム平面内の方向である。
【0016】
代表的実施形態では、多層膜10は、数十、数百又は数千の層を包含し、各層は多数の異なった材料のいずれかから作製することができる。特定スタックのための材料選択を決定する特性は、多層膜10の望ましい光学性能による。多層膜10は、前記スタック内の層が多くなればなる程、多くの材料を含有することができる。しかし、図示を容易にするために、光学薄膜スタックの代表的実施形態は、わずか2〜3種類の異なった材料を示す。
【0017】
一実施形態では、多層膜10内の層の数は、フィルム厚、柔軟性及び経済性の理由により、最小数の層を使用して所望の光学特性を達成するように選択する。偏光子及びミラーなどの反射性フィルムの場合、層の数は、より好ましくは約2,000未満、より好ましくは約1,000未満、更により好ましくは約500未満である。
【0018】
表1は、本開示の多層膜10について、いくつかの実施例の構造を示す。表1の各例示的フィルムは、高屈折率材料及び低屈折率材料の交互層から構成される。各実施例では、低屈折率材料は、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーである。
【0019】
【表1】
【0020】
異なる材料間の、又は化学的に同一の材料間の境界は、異なった物理的性質を持ち、その変化は急激又は緩やかである。解析解を有する、いくつかの単純なケースを除けば、連続的に指数が変化する、後者のタイプの層状媒質の分析は、通常、急激に変化する境界を有するが、隣接する層間での性質変化がわずかであり、かなり大きな数の、より薄い均一層として扱われる。
【0021】
多層膜10の一実施形態は、低屈折率/高屈折率フィルム層の複数ペアから成り、ここでは、各低屈折率/高屈折率層のペアが、反射するように設計された帯域の中心波長の1/2の光学的な結合厚さを有する。このようなフィルムのスタックは、一般に4分の1波長積層と呼ばれる。可視波長及び近赤外波長に対応する多層光学フィルムの場合、4分の1波長積層の設計は、約0.5マイクロメートル以下の平均厚さを有する多層スタック内の各層12,14をもたらす。その他の代表的実施形態では、例えば、広帯域反射光学フィルムが所望される場合、異なる低屈折率/高屈折率層のペアは、異なる光学的な結合厚さを有してよい。
【0022】
反射性フィルム(例えば、ミラー又は偏光子)が所望されるような用途においては、各ポラライゼーション及び入射平面についての所望の平均光透過率は、一般に、反射性フィルムの使用目的による。多層ミラーフィルムを作製するための1つの方法は、多層スタックを2軸延伸することである。高効率反射性フィルムには、法線入射での可視スペクトル(約380nm〜750nm)にまたがる各延伸方向に沿った平均透過率は、望ましくは約10%未満(約90%超の反射率)、好ましくは約5%未満(約95%超の反射率)、より好ましくは約2%未満(約98%超の反射率)、更により好ましくは約1%未満(約99%超の反射率)である。法線方向から約60度での可視スペクトルに亘る平均透過率は、望ましくは約20%未満(約80%超の反射率)、好ましくは約10%未満(約90%超の反射率)、より好ましくは約5%未満(約95%超の反射率)、更により好ましくは約2%未満(約98%超の反射率)、更により好ましくは約1%未満(約99%超の反射率)である。
【0023】
さらに、非対称反射性フィルム(不均衡2軸延伸から生じたフィルムなど)が、特定の応用には望ましい場合がある。その場合、例えば、可視スペクトル(約380nm〜750nm)の帯域幅に亘って、又は可視スペクトル及び近赤外(例えば、約380nm〜850nm)に亘って、1つの延伸方向に沿った平均透過率は、望ましくは、例えば、約50%未満であってよく、一方で、その他の延伸方向に沿った平均透過率は、望ましくは、例えば、約20%未満であってよい。
【0024】
多層光学フィルムは又、反射偏光子としても機能するように設計することができる。多層反射偏光子を作製するための1つの方法は、多層スタックを1軸延伸することである。得られた反射偏光子は、光に対する高い反射率を有し、広範囲の入射角度に対して、第1面内軸線(通常は、延伸方向)と平行する偏光面を持ち、同時に、光に対する低い反射率及び高い透過率を有し、広範囲の入射角度に対して、前記第1面内軸線と直交する第2面内軸線(通常は、非延伸方向)と平行する偏光面を持つ。各フィルムの3つの屈折率(nx、ny及びnz)を調節することによって、所望の偏光子挙動を得ることができる。
【0025】
所望の屈折率関係を得るために選択された条件下にて加工する場合、多層ミラーフィルム又は偏光子を本開示にしたがって形成するために、多種多様な材料を使用することができる。所望の屈折率関係は、フィルム形成中又はフィルム形成後に延伸すること(例えば、有機重合体の場合)、押出成形すること(例えば、液晶材料の場合)、又はコーティングすることを包含する様々な方法で達成することができる。一実施形態では、層12,14の材料は、適合性のある熱処理範囲及び類似した流動学的性質(例えば、溶融粘度)を有し、これにより共押出が可能となる。
【0026】
本開示の代表的実施形態で用いる光学フィルムを作製するのに好適な材料としては、例えば、ポリエステル、コポリエステル、及び変性コポリエステルのようなポリマーが挙げられる。本開示に従って、いくつかの例示的光学フィルムに使用するのに好適なポリエステル類には、一般的にはカルボキシレート及びグリコールサブユニットが挙げられ、カルボキシレートモノマー分子とグリコールモノマー分子との反応によって生成することができる。各カルボキシレートモノマー分子は、2種類又はそれ以上のカルボン酸又はエステル官能基を有し、かつ各グリコールモノマー分子は、2種類又はそれ以上のヒドロキシ官能基を有する。前記カルボキシレートモノマー分子は、全て同一であってもよく、又は2種類又はそれ以上の異なったタイプの分子であってもよい。前記グリコールモノマー分子についても同様である。用語「ポリエステル」には、グリコールモノマー分子と炭酸エステル類との反応から誘導されるポリカーボネート類も包含される。つまり、重合体材料は、通常、分散性であって、屈折率は波長とともに変化するので、これらの選択は問題となる特定のスペクトル帯域幅によって判断されるべきである。
【0027】
高屈折率層12のためのいくつかの例示材料は、結晶性、半結晶性、非晶質又は液晶材料であり、重合体を包含する。多くの高複屈折率重合体は、非晶質であることができる。結晶性は、配向フィルムの複屈折を維持するのに役立つ場合があるが、配向非晶質ポリマーフィルムは、フィルムのガラス転移温度が例えばその最大使用温度より十分に高い場合であっても、複屈折のままである。高屈折率層12のための好適な材料の具体例としては、ポリアルキレンナフタレート類(例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PPN(ポリプロピレンナフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、及びPCN(ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンナフタレート)、PHN(ポリヘキサメチレンナフタレート))並びにこれらの異性体類(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、及び2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート類(例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPT(ポリプロピレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、及びPCT(ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、PHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート))、ポリイミド類(例えば、ポリアクリル酸イミド類)、ポリエーテルイミド類、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート類、ポリメタクリレート類(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、及びポリメチルメタクリレート)、ポリアクリレート類(例えば、ポリブチルアクリレート及びポリメチルアクリレート)、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、シンジオタクチックポリ−α−メチルスチレン、シンジオタクチックポリジクロロスチレン、これらのポリスチレン類のうち任意のもののコポリマー類及びブレンド類、セルロース誘導体類(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、及びセルロースニトレート)、ポリアルキレンポリマー類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、及びポリ(4−メチル)ペンテン)、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリアクリロニトリル、ポリアミド類、エポキシ樹脂類、ポリビニルアセテート、ポリエーテル−アミド類、アイオノマー樹脂類、エラストマー類(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びネオプレン)、並びにポリウレタン類が挙げられる。例えば、PEN、PBN、PPN、PCN、PHN、PET、PBT、PPT、PCT、PHTの共重合体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、及び/又は2,3−ナフタレンジカルボン酸又はこれらのエステル類と(a)テレフタル酸、若しくはそのエステル類;(b)イソフタル酸、若しくはそのエステル類;(c)フタル酸、若しくはそのエステル類;(d)アルカングリコール類;(e)シクロアルカングリコール類(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール);(f)アルカンジカルボン酸類;並びに/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸類(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー類)、ポリアルキレンテレフタレート類の共重合体(例えば、テレフタル酸、又はそのエステル類と(a)ナフタレンジカルボン酸、又はそのエステル類;(b)イソフタル酸、若しくはそのエステル類;(c)フタル酸、若しくはそのエステル類;(d)アルカングリコール類;(e)シクロアルカングリコール類(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール);(f)アルカンジカルボン酸類;並びに/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸類(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー類)、並びにスチレンポリマー類(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー類及びスチレン−アクリロニトリルコポリマー類)などの共重合体、4,4’−重安息香酸及びエチレングリコールも適している。加えて、各個別層は、2種類又はそれ以上の上記重合体又は共重合体の混合(例えば、sPS及びアタクチックポリスチレンの混合)を包含してよい。記載されたcoPENはまたペレットの混合であってもよく、その場合少なくとも1つの構成成分は、ナフタレンジカルボン酸に基づく重合体であり、かつ他の構成成分は、PET、PEN又はcoPENなどのその他のポリエステル類又はポリカーボネート類である。
【0028】
本開示の一例示的実施形態では、層14のための低屈折率材料は、熱可塑性ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーである(ここで、ポリアミド構成成分は、エチレンテレフタルアミド、ヘキサメチレンアジパミド、ブチレンセバカミド、又は任意のその他既知のポリアミド)。本開示の一例示的実施形態では、層14のための低屈折率材料は、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーであり、2005年12月23日出願の米国特許出願第11/317,271号(その全体を本明細書に参照として援用する)に更に記載されている。前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類は、複数のオキサリルアミノ及びアミノオキサリルアミノ基を有する(例えば、オキサリルアミノ基は、アミノオキサリルアミノ基の一部であることができる)。前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドコポリマー類は、多くの既知のポリジオルガノシロキサンポリアミドコポリマー類と比較して、比較的大きな部分のポリジオルガノシロキサンセグメントを含有することができる。前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドコポリマーは通常、明らかな分解をすることなしに、250℃以上の高温にさらすことができる。
【0029】
一実施形態では、化学式Iの繰り返し単位を少なくとも2つ含有する共重合材料が提供される。
【0030】
【化1】
【0031】
この式において、各R1は、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールである。各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組み合わせである。添え字nは、独立して0〜1500の整数であり、且つ添え字pは、1〜10の整数である。基Gは、式R3HN−G−NHR3のジアミンから2個の−NHR3基(即ち、アミノ基)を差し引いたものに相当する残余部分である2価の基であり(式中、R3は、水素若しくはアルキルであるか、又はR3はGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成する)。各基Bは、独立して共有結合、4〜20個の炭素から成るアルキレン、アラルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各基Bが共有結合である場合、式Iのポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーは、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーと呼ばれる。各アスタリスクは、前記繰り返し単位が、例えば別の繰り返し単位といった別の基に結合する箇所を示す。
【0032】
このようなポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類は、広範囲のプロセス温度にわたって熱的に安定でありかつ幅広い粘度を有して調製することもできる。代表的ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類は、633nmにて約1.41の屈折率を有し、これは、ほとんどの高分子材料の屈折率と比較して、低いために望ましい。更に、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類は、数多くの共押出重合体に対して高レベルの粘着力を示す。更に、それらは高度に伸張性又は引っ張り可能でありそれらは、その光学特性が有意に劣化又は変化することなく、高度に延伸することができる。各用途のために、好適なポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーは、選択された高屈折率材料と組み合わせるように選択され、この際、特に処理に必要とされる縦方向の配向及び/又は幅出し操作の間における融解粘度、熱安定性、及び粘着力などの性質との適合性を考慮に入れる。約1%〜約10%のハードセグメント内容物を備えたポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類が特に好ましいが、これは、それらが熱可塑性エラストマー類であり、周囲条件下にて固体であるが、更に高温で軟化し又は流れることができるからである。本明細書では、用語「ハードセグメント」とは、有機アミドブロック及び末端基を意味する。前記ポリアミン残基は、前記ポリアミンから−NHR3基を差し引いたものである。前記ポリジオルガノシロキサン残基は、アミド結合によって前記ポリアミン残基に結合している。
【0033】
低屈折率層14にて使用するポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類の望ましい材料特性としては、例えば、(1)等方性複屈折率又は負複屈折率(2)熱安定性(少なくとも約250℃にて約1時間安定している)、(3)高屈折率層12の材料のプロセス温度と両立し得るプロセス温度(ほぼ室温〜約300℃で、粘度を必要に応じて適切に調整することが前提)、(4)UV安定性又は防御性、(5)高透明度(例えば、関心のある波長において高透過及び低吸収)、(6)低Tg(ガラス転移温度)(この場合、−120℃)、(7)高屈折率層12の材料との粘度適合を促進する粘度(共押出及び流動安定性を確保するため)、(8)高屈折率層12との良好な層間接着、(9)低い光学的分散、(10)高屈折率層12との良好なz−屈折率整合、(11)引抜加工性(例えば、複屈折無しに配向する能力)、及び(12)引っ掻き及び磨耗耐性が挙げられる。
【0034】
様々な屈折率を持つポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類を調製可能であるため、当然のことながら、比較的高い屈折率を有し、かつ本明細書で高屈折率層重合体のために示された全てのその他要求を満足するポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーを高屈折率層12の材料として使用できた。
【0035】
多層膜10内の重合体層12,14間の界面層の剥離は通常、重合体相互作用の知見を使用して予測可能である。前記重合体相互作用は、文献に開示されている重合体溶解度パラメータを使用して計算することができる。前記方法は、凝集エネルギー(Eco)と呼ばれる、所与の一対の重合体の凝集性を計算することを伴う。
【0036】
フェードス(Fedors)のグループ寄与法によりその繰り返し単位を使用して、任意の重合体の凝集エネルギーを計算することができる。
【0037】
【数1】
【0038】
式中、Eo,i及びnは、各々、モル凝集エネルギー及び重合体の繰り返し単位内における各官能基の数である。
【0039】
次に示す様に、同一のグループ寄与法によって計算されるように、モル体積(V)と結び付ける。
【0040】
【数2】
【0041】
式中、Viは、繰り返し単位内における個々の官能基のモル体積である。
【0042】
任意の重合体のための溶解度パラメータ(δ)を計算することができる。
【0043】
【数3】
【0044】
2つの重合体の溶解度パラメータから、これら2つの重合体のフローリー・ハギンス相互作用パラメータを計算することができる。
【0045】
【数4】
【0046】
式中、Vrefは基準体積であり、Rは気体定数であり、Tは温度(ケルビン熱力学温度)である。
【0047】
理想的には、相溶性重合体ペアは、同一の溶解度パラメータを有し、ゼロに極めて近い値をもたらす。これに対して、2つの重合体が全く異なった溶解度を有する場合、前記相互作用パラメータは、ゼロより著しく大きい。異なる重合体ペアの相互作用パラメータを比較することによって、一般に、重合体相互作用の理論的強さを予測することができる。
【0048】
理論上の計算から、層14内にポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類を有し、層12内における、PET又はPENなどのポリエステル類と対になっている多層膜10は、その他の重合体ペアよりも大きな相互作用パラメータ(〜2.2)を有する。これは、多層膜10が、材料間に薄い界面層を有することを理論上示している。それ故に、このような多層膜10が、弱い層間接着を示し、従って剥離しやすいということが予想される。
【0049】
しかし、実際には、キャストして配向させた、本開示の多層膜10は、予想外に大きな層間接着強度値及び剥離抵抗性を示し、これは、理論的予測と一致しなかった。一実施例では、パイロット規模の共押出ラインを使用して、3層構造のフィルムを作製した。前記押出温度は、材料の粘度に依存する。PET、PMMA及びポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーのために、約530°F(277℃)の加工温度を選択した。その融点がより高いために、PENを282℃(540°F)にて押し出した。ダイ及びフィードブロックは、PETについては277℃(530°F)にて、そしてPENについては282℃(540°F)にて実施した。15.2cm(6インチ)幅の押出品を、冷却ロール上で急冷し、762μm(30ミル)のキャストウェブを収集した。剥離試験は、剥離試験機を使用し、剥離角90度及び剥離速度1.52メートル/秒(60インチ/秒)にて実施した。あるサンプルでは、層14内にポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類、及び層12内にPETを有する、キャストした3層フィルム10は、約503.93グラム/cm(1,280グラム/インチ)の平均層間剥離強度を示した。比較すると、PMMA及びPENを有する、キャストした3層フィルムは、約7.08グラム/cm(18グラム/インチ)の平均層間剥離強度を示した。
【0050】
別のサンプルでは、その後に、3層キャストウェブを2軸延伸機(KARO IV、ブルックナー(Bruckner)(ドイツ、ジーグスドルフ)によって製造された市販の装置)にて延伸した。延伸温度は、PEN/PMMAキャストウェブの場合で130℃、PET/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーキャストウェブの場合で95℃であった。両システムについては、延伸比は3×3であり、かつ延伸速度は100〜150%/秒であった。剥離試験は、剥離試験機を使用し、剥離角90度かつ剥離速度1.52メートル/秒(60インチ/秒)にて、これらの配向フィルム上にて実施した。層14内にポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類、及び層12内にPETを有する、配向(延伸)3層フィルム10は、約39.37グラム/cm(100グラム/インチ)の平均層間剥離強度を示した。比較すると、PMMA及びPENを有する、配向(延伸)3層フィルムは、約11.81グラム/cm(30グラム/インチ)の平均層間剥離強度を示した。
【0051】
出願人らは、いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、1つの可能な説明は、界面層のサイズは、相互作用パラメータにより決定されるが、接着力測定は、何種類かの力の複雑な組み合わせであるというものである。測定した接着力に寄与するものの1つは、化学結合又は分子間に生じる相互作用である。例えば、共有結合、水素結合、及びファン・デル・ワールス力が含まれる。むしろ不活性の低インデックス樹脂の場合、この寄与が小さいことが想定される。2番目に寄与するものは、物理的なもの、例えば、混和性に関する絡みである。
【0052】
多層間の接着力に寄与する3番目のものは、剥離又は界面破壊の間のエネルギー散逸である。参照として本明細書に援用した米国特許公開番号第2003−0072931−A1号(名称「低Tg(ガラス転移温度)多層光学フィルム」)を参照のこと。系が破壊中に消費するエネルギーが大きい程、剥離力も大きい。これらの低インデックス樹脂の場合、前記重合体の粘弾性的性質は重要である。ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類のポリジオルガノシロキサンセグメントのTg(ガラス転移温度)(−120℃)は、PMMAなどのその他低インデックス樹脂のTg(ガラス転移温度)(110℃)より低い。非常に低いTg(ガラス転移温度)は、延性/脆性遷移をより低温へとシフトさせる。このため、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー類は、外部からの衝撃により、脆性破壊するのではなく、むしろ粘弾性変形をする傾向がある。これにより、引き裂き、破壊、剥離、圧こん及び衝撃に対する高い耐性など、改善された性質をもたらす。
【0053】
更に、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類は、押出成形及びヒートセットにおいて問題となる温度にて熱転移を受ける。押出成形機から最初に出された時、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー類は、90℃で伸ばした際に、幾分落下するその他の重合体との高い接着値を示す。このような延伸は、相分離ハードセグメント(アミド部分)が可動性でなく、いくらかの歪を生じる温度にて発生し得る。しかし、表2に示すように、より高温でのヒートセットは、アニーリング又は歪みの消失を可能にし、より大きな剥離力をもたらす。更に、アミド含有量は非常に少ないが、アミド結合及び末端基及び場合によりPETなどのポリマー類のエステル結合の間に、いくらかの水素結合がある可能性があり、この水素結合が、より大きな接着力にわずかに寄与する。用語「水素結合」とは、高度に分極した結合(例えば、O−H又はN−H)の水素と隣接分子内又は別の官能基内にある小さな電気陰性原子(例えば、フッ素、酸素、又は窒素)の孤立電子対との静電相互作用を意味する。これらの相互作用の最適化は、これらの基がお互いに会合できる温度(移動度)にて生じる。一実施例では、前記3層PET系配向多層膜10は、寸法安定性を向上させるための時間、高温にてヒートセットした。配向PET及びポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの多層膜10についての異なるヒートセット温度及びヒートセット時間での剥離結果を、次表にまとめた。
【0054】
【表2】
【0055】
光学フィルムとして使用する場合、多層膜10は通常、薄い。好適なフィルムは、各種厚みを有するが、代表的実施形態では、それらは、約380マイクロメートル(約15ミル)未満、より典型的には約250マイクロメートル(約10ミル)未満、好ましくは約180マイクロメートル(約7ミル)未満の厚みを有する。用途に応じては、好適な多層膜10は、約12.7マイクロメートル(約0.5ミル)以下の薄さ又は約381マイクロメートル(約15ミル)以下の薄さである。光学フィルムは通常、加工中に様々な曲げ及び回転工程をも経るので、本発明の代表的実施形態において、多層膜10は好ましくは可撓性である。
【0056】
上述したように、各種屈折率間で所望の関係を達成する能力(即ち、多層膜10の光学特性)は、多層膜10を作製するために使用する加工条件に影響される。延伸によって配向可能な有機ポリマーの場合、前記フィルム類は、一般に、個々のポリマーを共押出して、多層膜10を形成し次に、選択した温度で延伸することによってフィルム10を配向させ、所望により、続いて選択した温度でヒートセッティングすることにより作製される。あるいは、押出し及び配向工程は、同時に実施してよい。偏光子の場合、フィルム10は実質的に一方向に延伸されるが(1軸配向)、ミラーフィルムの場合には、フィルム10は実質的に2方向に延伸され(2軸配向)、それは、同時に又は連続的に実施してよい。
【0057】
異なる加工実施形態では、多層膜10は、延伸方向と交差する方向での寸法的緩和をさせてもよく、結果として、延伸交差方向での自然減をもたらし(延伸比の平方根に相当する)、多層膜10を制約して、延伸交差寸法の大幅な変化をいかなる場合も制限してよく、あるいは多層膜10の延伸交差寸法を動的に延伸させてもよい。例えば、多層膜10は、長さ方向配向機を使用して機械方向に延伸させても、あるいは幅出し機を使用して幅方向に延伸させてもよい。
【0058】
所望の屈折率相互関係及び物理的寸法を有する多層膜10を作製するために、延伸工程前の温度、延伸温度、延伸速度、延伸比、ヒートセット温度、ヒートセット時間、ヒートセット緩和、及び延伸交差緩和が選択される。これらの変数は、相互依存性であり、したがって、例えば、比較的低い延伸温度と組み合わされる場合、比較的低い延伸速度が使用可能である。一般的に、延伸方向での約1:2〜約1:10(より好ましくは、約1:3〜約1:7)の範囲の延伸比及び延伸方向に直交する方向での約1:0.2〜約1:10(より好ましくは、約1:0.5〜約1:7)の範囲の延伸比が、代表的実施形態において選択される。
【0059】
ミラーが様々な入射角にて光を反射することが要求されるミラーフィルムの応用は、ミラー構造内に複屈折材料を使用することで可能となる。参照として本明細書に援用する米国特許第5,882,774号を参照のこと。例えば、高屈折率層12の材料が、2軸配向ポリエステルの場合、ポリエステル配向時に厚さ方向(z方向)に発現した低屈折率が、p−偏光のブルースター角を排除して、厚さ方向の屈折率(nz)が、低屈折率層14の材料の厚さ方向の屈折率以下となることが示された。図2は、図1の多層膜10のうち、1つの層ペアの代表的実施形態を示す。図示した実施形態の一実施例では、高屈折率層12は、約1.49の厚さ方向の屈折率を有する複屈折材料、例えば、ポリエステルポリエチレンテレフタレート(PET)、(面内屈折率1.65)又はポリエチレンナフタレート(PEN)(面内屈折率1.75)で作製される。本実施例では、低屈折率層14は、一般に、1.45よりも少ない屈折率を有し、好ましい実施形態では、約1.41の屈折率を有する等方性ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーで作製される。本実施例では、入射角に伴う反射率の減少が、すべての等方性材料によって構成されるミラーにとって依然として十分に少ないものであったとしても、ブルースター条件は、排除されない。簡単にするために、2つの層12,14の単一界面17における光線16の反射率を図示した。次に、多層膜10スタックの光学密度を、スタックに加えた層ペアの数に比例して目盛った。図2には、単一の層ペアを図示した。
【0060】
図3は、異なる光入射角での、PEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーフィルム及び完全な等方性フィルムの反射率を示す。PEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー界面のp−偏光に対する反射率が、図3の一番上の曲線で示されている。屈折率1.75及び1.41を有する2つの等方性材料の界面の反射率を、比較のために一番下の曲線で示す。完全な等方性材料の界面での反射率は、入射角の増大に伴ってより一層速やかに低下する。90度におけるPEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー界面の反射率は、その法線入射における値の約60%まで低下する。
【0061】
図4は、異なる光入射角での、PET/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーフィルム並びに屈折率1.65及び1.49を有する完全な等方性フィルムの反射率を示す。PET/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーフィルムの場合、90度での反射率は、その法線入射における値の約50%まで低下する。多層スタック性能について推定すると、これらの曲線は、加えた層の数と直接比例する。対比は、光学密度即ち、−LOG(1−R)又は−LOG(T)とともに行わなければならない。材料が、低吸収値を有する場合、T=1−Rであると考えることができる。このため、PET及びポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーで作製されたミラーの90度での−LOG(T)値は、p−偏光に対する0度でのその値の50%である。例えば、前記ミラーが法線入射で99%反射する場合、p−偏光の反射率は、俯角入射にて90%まで低下する。s−偏光に対する反射率が99%より高いため、全反射率(s及びp−偏光)は、俯角入射にて95%超である。空気界面での表面反射率もまた、これらの角度において非常に高いため、実測した反射率は、この計算された内部反射率より高い。
【0062】
多層膜10を使用するこれらのミラーの高角度性能は、高角度にて光を反射するように調整されたより多くの層を加えることにより改善することができる。多層誘電体ミラーの反射スペクトルは、入射角が増大するに伴い、より低波長へシフトする。このため、例えば、可視光線をすべての角度で反射するために、一実施形態におけるミラーは、法線入射の近赤外光を反射する層を有する。入射角度が大きい場合、スペクトルの赤外部は、可視光スペクトル部分を覆うようにシフトする。このため、一実施形態では、高角度での特定スペクトルを覆うスペクトル部分のみが、余分な層によって高められる必要がある。
【0063】
別の実施形態では、本開示の多層膜10を包含するミラーは、ブルースター角を示さないか、比較的大きなブルースター角を有しない、その他の多層ミラーと組み合わせることができる。スペクトルの低角度部分は、主に多層膜10によって反射され、一部分は高入射角度にてブルースター角を示さないミラーによって反射されることができる。このようなミラーの実施例は、PEN/PMMA及びPET/coPMMA多層ミラーである。
【0064】
多層膜10の一例示的実施形態では、高屈折率層12内のPEN及び低屈折率層14内のポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーから成る交互層の275層スタックの反射率は、R.M.A.アッザム(Azzam)、N.M.バシャラ(Bashara)共著、「偏光解析法及び偏光(Ellipsometry and Polarized Light)」(エルゼビア社(アムステルダム)、1987年)に詳細に記載されている4×4薄膜光学的モデリング式を使用して計算した。PEN屈折率は、633nmにて1.74であると考え、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの屈折率は、633nmにて1.41であると考えた。層厚み特性は、すべての角度で可視スペクトルを良好に反射するミラーとなるように作製された。図5は、層厚み特性を示し、厚さはナノメートルで与えられる。中抜き記号(下側の線)は、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー層を表す。上側の線は、PEN層を表す。全てのPEN及びポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー層が1/4λとなるように設計し、スタックの全体にわたって厚みが直線勾配になるようにした。図5に示すように、多層膜10の本実施例の各個別層12,14は、異なった波長の光を反射するために、異なった厚みを有する。一例示的実施形態では、多層膜10は、約400nm〜約900nmの範囲の波長を持つ光を反射する。
【0065】
図6は、図5の多層膜実施形態について、0度及び85度の入射角度で計算された光学密度を示し、s偏光及びp偏光の平均反射率を表す。屈折率分散が、スタック計算には包含され、青領域での(in the blue)反射率を押し上げる手助けをする。法線入射反射率は、赤外領域で(in the infrared)非常に高いが、85度では、ブルースター角に接近することによって、この反射率は幾分減少した。380nmでのPENの吸収端に接近するに伴ってPENの屈折率が増大するため、スペクトルの青領域での反射率は高水準にとどまる。本多層スタック設計の平均光学密度約3.0(約99.9%R)は、あらゆる方向からの光入射に対して反射率が非常に高いミラーを、本材料の組み合わせで作製することができることを示す。これらの計算において、PENの屈折率x及びyは同一であると考え、且つポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの屈折率x及びyが同一であると考えた。
【0066】
好適な多層膜10はまた、スピンコーティング(例えば、「複屈折ポリイミド類(birefringent polyimides)」(ボーゼ(Boese)ら著、ジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス(J. Polym. Sci.)パートB、第30巻、1321ページ、1992年)に記載されているようなもの)及び真空蒸着(例えば、「結晶性有機化合物類(crystalline organic compounds)」(ザング(Zang)ら著、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl. Phys. Letters)第59巻、823ページ、1991年)に記載されているようなもの)などの技術を使用して作製してもよい。
【0067】
後者の技術は、ある種の結晶性有機化合物と無機材料との組み合わせに対して特に有用である。多層膜10の外観及び/又は性能は、主表面上のスキン層、スキン層と接触しているアンダースキン層、又はフィルム層スタック内の内部若しくは保護境界層(PBL)などの追加の層を包含させることによって変更してもよい。図7は、単一スキン層20を有する多層膜18を示す。図1を参照すると、図7の多層膜18は、第1主表面13上にスキン層20が追加された図1の多層膜10に類似している。図8は、2つのスキン層20,24を有する多層膜22を示す。図1を参照すると、図8の多層膜22は、第1主表面13、第2主表面15各々の上にスキン層20,24が追加された図1の多層膜10に類似している。図9は、内部層28を有する多層膜26を示す。図1を参照すると、図9の多層膜26は、層12,14のスタック内に内部層28が追加された図1の多層膜10に類似している。
【0068】
各層12,14は通常、約1マイクロメートル厚以下であり、約400nm以下の厚みを有することができる。しかし、本開示のいくつかの代表的実施形態では、より大きな厚さが使用されてもよい。各層12,14は、同一の厚さを有することができる。あるいは、多層光学フィルム10は、反射波長帯を増大させるため、異なる厚さを持つ層12,14を含むことができる。各追加層20,24,28の厚さは、個別層12,14の一般に少なくとも4倍、通常、少なくとも10倍であり、そして少なくとも100倍である場合もある。しかし、本開示のいくつかの代表的実施形態では、より小さな厚さが使用されてもよい。しかし、このような追加の層20,24,28は、多層膜18,22,26が請求の範囲に含まれる出願のために必要な光学特性を著しく損なうべきではない。多層膜10,18,22,26の各層の厚さは、層の数と同様に、特定の所望の厚み及び光学性能レベルを有する多層膜10,18,22,26を作製するために変更することができる。
【0069】
スキン層20,24及び内部層28は、フィルム形成時(共押出により、又は個々のコーティング又は押出し工程のいずれかで)に一体化されてよく、あるいは、それらは後で、完成フィルムへ適用してよく、例えばスキン層20,24をコーティング又はラミネーションによって、既に形成したフィルムへと適用してよい。追加の層20,24,28の総厚は通常、多層膜18,22,26の総厚の約2%〜約50%の範囲で変動する。
【0070】
追加の層又はコーティング材の実施例は、米国特許第6,368,699号及び米国特許第6,459,514号(両方ともに、名称「追加のコーティング材又は追加の層を備えた多層ポリマーフィルム(Multilayer Polymer Film with Additional Coatings or Layers)」であり、両方とも、参考として本明細書に組み込まれている)及び米国特許第6,783,349号(ニーヴィン(Neavin)ら、名称「多層光学フィルムの作製装置(Apparatus for Making Multilayer Optical Films)」)(参照として本明細書に援用する)に記載されている。多層膜10と組み合わせてもよいコーティング材又は層の非限定的列挙については、下記の実施例にてより詳細に記載されている。
【0071】
追加の層20,24,28の組成物は、例えば、加工中又は加工後において、層12,14の一体性を保護するため、多層膜10へ機械的性質又は物理的性質を加えるため、又は多層膜10へ光学的機能を加えるため選択されてよい。機能性構成成分、例えば、帯電防止剤類、紫外線吸収剤類(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤類(HALS)、染料類、染色剤類、顔料類、酸化防止剤類、スリップ剤類、低接着性材料類、導電性材料類、耐摩耗性材料類、光学素子類、形状安定剤類、接着剤類、粘着付与剤類、難燃剤類、燐光材料類、蛍光材料類、ナノ粒子類、落書き防止剤類、結露防止剤類、耐荷重剤類、シリケート樹脂類、光拡散材料類、光吸収材料類及び蛍光増白剤類が、これらの層内に包含されてもよく、それらが、得られた生成物の所望の光学的性質又はその他の性質を実質的に妨害しないことが好ましい。いくつかの代表的実施形態では、1種類以上の追加の層20,24,28は、ディフューザ、例えば、粗い、光沢が無い又は構造化された表面、数珠状ディフューザ又は有機粒子及び/若しくは無機粒子を包含するディフューザ、又はこれらのうちの任意の数の組み合わせであってもよく、あるいはそれらを包含してもよい。上記に掲載された機能性構成成分はまたポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー層(1つの層又は層12,14)中へ組み込まれてもよいが、このような組み込みが、層(単一又は複数)のためのいかなる光学的必要条件へも望ましくない程度にまで悪影響を与えないことが前提である。
【0072】
一実施例では、スキン層20,24は、押出後加工に役立てるために使用され、例えば、フィルムが熱ローラー又はテンタークリップに粘着するのを防ぐのに役立つ。別の実施形態では、所望のバリア性を多層膜18,22へ付与するために、スキン層20,24が加えられる。例えば、バリア膜又はコーティング材は、スキン層20,24として又はスキン層20,24の構成成分として追加してもよく、これにより多層膜18,22の透過性を、液体例えば水若しくは有機溶媒、又は気体例えば酸素若しくは二酸化炭素へと変更する。
【0073】
得られた多層膜18,22の磨耗耐性を付与し又は改善するために、スキン層20,24を追加してもよい。例えば、ポリマーマトリックス内に埋め込まれたシリカ粒子を含むスキン層20,24を使用してもよい。別の実施形態では、スキン層20,24は、耐摩耗性コーティングを含んでよい。耐磨耗性コーティング又は硬質コーティングの例としては、アクリロイド(Acryloid)A−11及びパラロイド(Paraloid)K−120Nなどのアクリル系ハードコート(ローム&ハース社(Rohm & Haas)から入手可能)、米国特許第4,249,011号(参照として本明細書に援用する)に記載されているようなウレタンアクリレート類(サルトマー社(Sartomer Corp.)から入手可能)、及びデスモデュール(DESMODUR)N−3300(マイルズ社(Miles, Inc.)から入手可能)などの脂肪族ポリイソシアネートをトーン・ポリオール(Tone Polyol)0305(ユニオンカーバイド社から入手可能)などのポリエステルと反応させることから得られるようなウレタンハードコート類が挙げられる。
【0074】
得られた多層膜18,22に、耐破壊性及び/又は引裂き抵抗を付与し又は改善するために、スキン層20,24を追加してもよい。耐引裂性層のための材料選択において考慮されるべき因子としては、パーセント破断伸び、ヤング率、引裂強度、内部層に対する接着性、関心のある電磁帯域幅でのパーセント透過率及び吸光度、光学的透明度又は曇価、周波数の関数としての屈折率、テクスチャー及び粗さ、溶融熱安定性、分子量分布、溶融レオロジー及び共押出性、スキン層の材料と光学層の材料との間での混和性及び相互拡散速度、粘弾性応答、引張条件下での緩和及び結晶化挙動、使用温度での熱安定性、耐候性、コーティング材への接着能力並びに様々な気体及び溶媒への浸透性が挙げられる。耐破壊性又は耐引裂性スキン層を製造工程中に適用するか、その後に、多層膜10上にコーティングするか又は積層してよい。製造工程中に、同時押出プロセスなどによって、これらの層を多層膜10へ接着することで、多層膜10が、製造工程中に保護されるという利点を提供する。
【0075】
一実施例では、追加の層20,24,28は、1つ以上のスペクトル選択領域で吸光する染料又は色素を含む。スペクトルの代表的選択領域としては、紫外線及び赤外と同様に可視スペクトルの一部又は全部を挙げることができる。可視スペクトルの全てが吸収される場合、当該層は不透明に見える。層20,24,28のための材料は、多層膜18,22,26により透過又は反射された光の見かけの色を変えるために選択できる。特に、フィルムがいくつかの光周波数を透過させ、一方で他を反射する場合に、当該フィルムの性質を補うためにそれらを使用することもできる。別の実施形態では、紫外線吸収材料をスキンカバー層20,24内で使用することは、特に望ましい。それが紫外線にさらした場合に時々不安定となる内層12,14,28を保護するために使用してもよいからである。一実施形態では、蛍光材料は、層20,24,28中に組み込まれる。蛍光材料は、紫外線スペクトル領域で電磁エネルギーを吸収し、可視スペクトル領域で再放射する。
【0076】
感圧接着剤を包含する接着剤類は、スキン層20,24として多層スタックへ適用してよい、別の望ましい一群の材料を形成する。一般に、感圧接着剤は、多層膜18,22が後でガラス又は金属基材などの別の材料へ積層されることが意図されている場合に、適用される。更に、層14のポリジオルガノシロキサンポリアミド類は、感圧接着剤及び粘着付与剤を含有する加熱活性化接着剤などの接着剤組成物へと処方することができる。ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類を含むこのような接着剤組成物類は、同時係属の2005年12月23日出願の米国特許出願第11/317,602号(その全体を本明細書に参照として援用する)にて更に記載されている。
【0077】
スキン層20,24内に組み込まれてよい別の材料は、スリップ剤である。スリップ剤は、製造工程中に多層膜18,22をより扱い易くする。通常、スリップ剤は、フィルムに照射される光の一部を透過することを目的としているフィルムというよりむしろ、ミラーフィルムとともに使用される。前記スリップ剤を包含する側面は、前記スリップ剤が、反射と関係したかすみを増大させるのを防止するために、通常、支持基材へ積層されることを目的としている側面である。
【0078】
スキン層20,24から得られる多くの利点はまた、図9に示すような多層膜26の類似内部層28からも得ることができる。このため、スキン層20,24に関する前述の説明は、内部層28にもまたあてはまる。更に、1つの内部層28が図示されているが、非常に多くの内部層28を、本開示に従う多層膜26内にて使用することも考えられる。
【0079】
その他の追加の層20,24,28は、ホログラフィー像、ホログラフィーディフューザ、又はその他の拡散層を含有する層を包含する。上述においては、多層膜スタックに適用して、その性質を変更することができる様々な層の例を記載した。一般的に、任意の追加の層を追加してもよく、通常、層12,14のそれとは異なった機械的、化学的、又は光学特性を提供してよい。更に、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー材料それ自体を、多層膜10上並びにその他のフィルム上にあるスキン層又はその他の層内にて使用してもよい。これらの応用は、更に、2005年12月23日出願の米国特許出願第60/753,857号及び本出願と同日に出願の代理人整理番号61495US003の同時係属出願(それら全体を、本明細書に参照として援用する)に記載されている。
【0080】
更に、異なった材料から成る層を、前記スタック並びに1つ又は2つの主表面内に分配してよい。
【0081】
図7に示す代表的実施形態では、追加の層20が、例えば、米国特許第6,096,375号(オーデルカーク(Ouderkirk)ら、名称「光学的偏光子(Optical Polarizer)」)(参照として本明細書に援用する)に記載されているように、吸収層又はダイクロイック偏光子層であってよい。いくつかのこのような構成においては、ダイクロイック偏光子の透過軸は、反射偏光子の透過軸と位置を合わせる。
【0082】
試験方法
硬度試験
ショアA硬度は、ゴム特性−ジュロメータ硬度のためのASTM D2240−5標準試験法にしたがって測定した。本試験方法は、特定のタイプの圧子を特定条件下にて材料中に力を加えて押し込んだ場合に、それが貫入することに基づいている。押し込み硬さは、貫入と逆相関し、かつ材料の弾性率及び粘弾性挙動に依存する。
【0083】
当量を決定するための滴定法
式IIを持つ前駆体化合物、約10グラム(正確に計量する)を瓶に添加した。THF溶媒(正確な計量ではない)約50グラムを添加した。混合物が均質になるまで、電磁撹拌棒を使用して内容物を混合した。前駆体の理論当量を計算し、次に本当量数の3〜4倍の範囲の量のN−ヘキシルアミン(正確に計量する)を添加した。前記反応混合物を最低4時間撹拌した。ブロモフェノールブルー(10〜20滴)を添加し、内容物が均質になるまで混合した。前記混合物を黄色の終点まで1.0N(又は0.1N)塩酸にて滴定した。前駆体の当量数は、試料に加えたN−ヘキシルアミンの当量数から、滴定中に加えた塩酸の当量数を差し引いたものに等しかった。当量(グラム/当量)は、前駆体の試料重量を前駆体の当量数で割ったものに等しかった。
【0084】
ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの固有粘度(IV)
平均固有粘度(IV)は、キャノン・フェンスケ(Canon-Fenske)粘度計(型式50番P296)を使用して、30℃、0.2グラム/デシリットル濃度のテトラヒドロフラン(THF)溶液中にて、30℃で測定した。本発明の材料の固有粘度は、0.1〜0.4グラム/デシリットルの範囲の濃度とは実質的に無関係であることが判明した。前記平均固有粘度は、3回以上の測定の平均とした。平均固有粘度を決定するための任意の変法は、具体例に記述されている。
【0085】
例示的多層膜10を、下記の実施例にて記載する。
【0086】
(実施例1)
ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー、シリコーンポリアミドポリマーを次のようにして調製した:5kシリコーンジアミン(米国特許第5,214,119号(参照として援用する)に記載の通りに調製した分子量=5200、1.0当量、0.0019モルのジアミンを含むポリジメチルシロキサンジアミン)10.00グラムを、ヒートガン及びアスピレータを取り付けた丸底フラスコ内で脱気させた。次に、テトラヒドロフラン(THF)44.8グラムを添加した。次に、トリフルオロエチルオキザラート(分子量=254.09、2.0当量、0.0038モル)0.9773グラムを前記混合物中へ周囲条件下にて滴下させた。蒸留して得たヘキサメチレンジアミン(分子量=116.21、1.0当量、0.0019モル)0.2235グラムを1mlのTHF内に希釈させた。ピペットを用いて、むしろ素早く安定したドリップにて本混合物をフラスコに添加した。周囲条件下にて数分間、前記混合物を撹拌した。次に、反応をサンプリングし、反応が高レベルの重合まで進んだことを確認した。サンプルをキャストし、乾燥させて、透明で強いエラストマーフィルムを作製した。
【0087】
本サンプルの一部を、50重量%メチルエチルケトン及び50重量%イソプロパノールの溶媒ブレンド中に、50重量%の固形分濃度にて溶解させた。
【0088】
PET/シリコーンポリアミド/PETフィルムは、以下の通り形成した。
【0089】
(1)762マイクロメートル(30ミル)のキャストウェブPETフィルムを2つの10センチ(4インチ)×10センチ(4インチ)片へと寸法通りに切り出した。
【0090】
(2)次に、塗装ばけを利用して、シリコーンポリアミドポリマーの50%固形分メチルエチルケトン/イソプロパノールブレンド溶液を前記キャストウェブPETフィルムの片面各々へ適用した。これらのコーティングフィルムを空気乾燥させた。
【0091】
(3)前記キャストウェブフィルムのコーティング面をお互いに接触させ、34473.78kPa(5,000psi)でプレスし、93℃(200°F)に30秒置いた。
【0092】
(4)次に、この圧力をかけたサンプルを85℃実験室用2軸フィルムストレッチャーに締め付けた。次に、前記フィルムを30秒間、95℃にて加熱し、20%/秒にて、平衡2軸3:1延伸比まで延伸した。
【0093】
前記ストレッチャーから取り外す際、前記サンプルは、PETフィルム層間にて、外観上、シリコーンポリアミドの優れた広がり(均一な厚さの連続層)を示した。更に、前記シリコーンポリアミド/PET界面が、大きな接着強度を有することがわかった。
【0094】
(実施例2)
シュウ酸ジエチル(241.10グラム)を、機械的撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した3リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。フラスコを窒素で15分間パージし、5K PDMS ジアミン(約5,000g/モルの平均分子量を持ち、米国特許第5,214,119号に記載のように調製されたポリジメチルシロキサンジアミン(参照として援用する))(2,028.40グラム、分子量=4,918)を、撹拌しながらゆっくりと添加した。室温にて8時間後、前記反応フラスコに、蒸留アダプタ及び蒸留レシーバを装着し、前記内容物を撹拌し、減圧下(133Pa(1トール))にて150℃まで4時間、更なる留出物を集めることができなくなるまで加熱した。前記残留液体を室温まで冷却し、オキサミドエステルで末端処理した生成物2,573グラムを得た。透明で流動性の液体のガスクロマトグラフィー分析は、検出可能濃度のシュウ酸ジエチルが残存していないことを示した。分子量は、1H NMR(分子量=5,477グラム/モル)及び滴定(2,573グラム/モル及び2,578グラム/モルの当量)によって決定した。
【0095】
上述の如く調製した793.20gの5k エチルオキサリルアミドプロピル末端処理ポリジメチルシロキサン(793.20g、滴定分子量=5,183)を、機械的撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した3リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。前記フラスコを窒素で15分間パージし、ヘキサンジアミン(17.48グラム)を添加した。前記混合物を機械的に撹拌し、かつ150℃まで窒素雰囲気下で3.5時間加熱した。粘稠な溶融生成物をガラス皿に注ぎ、冷却し、59のショアA硬度を有する透明で強いエラストマースラブとして、シリコーンポリオキサミド生成物を得た。次に、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー樹脂でできた本スラブを砕いて微粒ペレットとした。
【0096】
次に、このポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー樹脂を共押出プロセスによって3層フィルム内へと組み込んだ。この押出成形は、次のようにして実施した。3層ダイ/フィードブロックの最下層(冷却ロール側)を供給するため、1.5インチ(38.1mm)デイヴィス−スタンダード社(Davis-Standard)製単一スクリュー押出成形機にて、DMTクリアとして公知の乾燥させた標準PET樹脂(0.60IV)(3M社から入手可能)を利用した。25mmベルストルフ社(Berstorff)製2軸スクリュー押出機を使用して、ダイの中間層を供給し、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー樹脂をこの押出機へ供給した。3層ダイの最上層を供給するため、1インチ(25.4mm)デイヴィス−スタンダード社(Davis-Standard)製単一スクリュー押出成形機にて、DMTクリアとして公知の乾燥させた標準PET樹脂(0.60IV)(3M社から入手可能)を利用した。PET及びポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー材料のために、約530°F(277℃)の押出加工温度を選択した。15.2cm(6インチ)幅の押出品を、冷却ロール上で急冷し、かつ762マイクロメートル(30ミル)のキャストウェブを収集した。本文書内で既に述べたように、優れたフィルム形成及び層間接着が得られた。
【0097】
(実施例3)
20℃の2ガロンステンレス鋼反応槽内へ、5k エチルオキサリルアミドプロピル末端処理ポリジメチルシロキサン(滴定分子量=6,174)(以前のサンプルについての説明と同様な方法により調製した)3675.4グラムを加えた。前記容器を撹拌し(80rpm)、窒素フローによりパージし、15分間真空にした。次に、ケトルに窒素加圧して34.47kPa(5psig)とし、25分間、90℃まで加熱した。次に、メタ−キシリレンジアミン(TCIアメリカから入手可能)81.08グラムを前記ケトルに添加し、続いてトルエン80グラムを添加した。次に、前記ケトルを105℃の温度まで加熱した。105℃にて65分間経過後、前記ケトルの圧力を5分間かけてゆっくりとベントした。次に、前記ケトルを真空(約20mmHg)に1時間さらして、エタノール及びトルエンを除去する。次に、前記ケトルを再度13.78kPa(2psig)まで加圧し、次に粘稠な溶融ポリマーをテフロン(登録商標)コーティングしたトレイに排出し、冷却させた。冷却されたシリコーンポリオキサミド生成物、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーを砕いて微粒ペレットとした。本材料のIVは、0.853デシリットル/グラム(THF中)であると決定された。
【0098】
次に、このポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー樹脂を共押出プロセスによって61層フィルム内へと組み込んだ。この押出成形は、下記のようにして実施した。
【0099】
1.5インチデイヴィス−スタンダード社(Davis-Standard)製単一スクリュー押出成形機(ネックチューブ付き)へ、インヴィスタ(Invista)8602PET樹脂(インヴィスタ(Invista)社(ノースカロライナ州シャーロット)から入手可能)を供給した。この押出トレイン(extrusion train)は、61層フィードブロック及びダイの31交互「A」層へ材料を供給した。付随するネックチューブ及びギアポンプを備えた25mmベルストルフ社(Berstorff)製2軸スクリュー押出機内へ、上記シリコーンポリオキサミドポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー材料を供給した。この押出トレインは、61層フィードブロック及びダイの30交互「B」層へ材料を供給した。
【0100】
PET押出トレイン用には、282℃(約540°F)の溶融加工温度を利用したが、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー押出成形ラインは、232℃(450°F)の温度まで加熱される。前記61層フィードブロック及びダイは、277℃(530°F)の温度まで加熱した。
【0101】
15.2cm(6インチ)幅の押出品を、冷却ロール上で急冷し、かつ559マイクロメートル(22ミル)のキャストウェブを収集した。優れたフィルム形成及び層間接着が得られた。前記キャストウェブサンプルの光学顕微鏡写真を撮り、別個の層形成を検査した。
【0102】
前記キャストウェブサンプルの一部を10センチ(4インチ)×10センチ(4インチ)四方へと切り、次に85度実験室用2軸フィルムストレッチャーへ取り付けた。前記フィルムを30秒間、95℃にて加熱し、20%/秒にて、平衡2軸3:1延伸比まで延伸した。
【0103】
(実施例4)
20℃の10ガロン(38リットル)ステンレス鋼反応槽内へ、前記のサンプルについての説明と同様な方法により調製した14kエチルオキサリルアミドプロピル末端処理ポリジメチルシロキサン(滴定分子量=14,890)18158.4グラムを加えた。前記容器を撹拌し(75rpm)、窒素フローによりパージし、15分間真空にした。次に、前記ケトルを80℃まで25分間にわたって加熱した。エチレンジアミン(GFSケミカルズ社製)73.29グラムを前記ケトル内へ真空充填し、続いて、トルエン73.29グラムもまた真空充填した。次に、前記ケトルを6.89kPa(1psig)まで加圧し、120℃の温度まで加熱した。30分後、前記ケトルを150℃まで加熱した。一旦150℃の温度に到達したら、前記ケトルを5分間かけて通気した。前記ケトルを真空(約8.7kPa(約65mmHg))に40分間さらして、エタノール及びトルエンを除去する。次に、前記ケトルを13.78kPa(2psig)まで加圧し、次に粘稠な溶融重合体をテフロン(登録商標)コーティングしたトレイに排出し、冷却させた。冷却されたシリコーンポリオキサミド生成物、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーを砕いて微粒ペレットとした。本材料のIVは、0.829デシリットル/グラム(THF中)であると決定された。
【0104】
次に、このポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー樹脂を共押出プロセスによって61層フィルム内へと組み込んだ。この押出成形は、下記のようにして実施した。
【0105】
1.5インチデイヴィス−スタンダード社(Davis-Standard)製一軸スクリュー押出成形機(ネックチューブ付き)へ、インヴィスタ(Invista)8602PET樹脂(インヴィスタ(Invista)社(ノースカロライナ州シャーロット)から入手可能)を供給した。この押出トレイン(extrusion train)は、61層フィードブロック及びダイの31交互「A」層へ材料を供給した。付随するネックチューブ及びギアポンプを備えた25mmベルストルフ社(Berstorff)製2軸スクリュー押出機内へ、上記シリコーンポリオキサミドポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー材料を供給した。この押出トレイン(extrusion train)は、61層フィードブロック及びダイの30交互「B」層へ材料を供給した。
【0106】
前記PET押出トレイン、前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー押出トレイン、及び前記61層フィードブロック及びダイ用に、約540°F(282℃)の溶融加工温度を利用した。
【0107】
15.2cm(6インチ)幅の押出品を、冷却ロール上で急冷し、かつ559マイクロメートル(22ミル)のキャストウェブを収集した。優れたフィルム形成及び層間接着が得られた。前記キャストウェブサンプルの光学顕微鏡写真を撮り、異なる層形成を検査した。
【0108】
前記キャストウェブサンプルの一部を10cm(4インチ)×10cm(4インチ)四方へと切り、次に85度実験室用2軸フィルムストレッチャーへ取り付けた。前記フィルムを30秒間、95℃にて加熱し、20%/秒にて、平衡2軸3:1延伸比まで延伸した。
【0109】
(実施例5)
トリエチルアミンのトルエン溶液(30%)内の152.2部のサリチル酸メチル及び101.2部へ、撹拌しながら91.5部のアジピン酸クロリドの40%トルエン溶液を滴加した。トリエチルアミン塩酸塩の沈殿物が即座に生じた。撹拌は、添加が完了後1時間続けた。前記混合物を濾過し、濾液が乾燥するまでロータリーエバポレーター内で蒸発させて、白色結晶性固体を得た。生成物たるアジピン酸のサリチル酸ジメチルをヘキサン中で懸濁化させ、濾過し、且つオーブン内で乾燥させることにより分離した。生成物は、TLC及びNMRスペクトルによって単一体であることが確認できた。
【0110】
526.0部の分子量5260のポリジメチルシロキサンジアミン(参照として本明細書に援用されている米国特許第5,214,119号に記載されているように調製した)及び11.6部のヘキサメチレンジアミンの30重量%イソプロピルアルコール溶液を調製した。82.9部のサリチル酸メチルアジピン酸エステル(上記のように調製した)の30重量%イソプロピルアルコール溶液を調製し、かつ本溶液を第1溶液へ急速に添加した。前記透明溶液を室温で一晩撹拌し、その間、溶液粘度は急激に上昇した。前記溶液をガラス皿の中へキャストし、溶媒を数時間かけて蒸発させ、オーブン内70℃にて一晩かけて完全に乾燥させて、透明で強いエラストマーフィルム、シリコーンポリアジパミドを得た。
【0111】
前記シリコーンポリアジパミドを、50重量%メチルエチルケトン/50重量%イソプロパノールブレンド中に10重量%固形分にて溶解させた。本溶液を非活性配向ポリエステルフィルム(3M社から入手可能なスコッチパール(Scotchpar)51マイクロメートル(2ミル)PETフィルム)上へマイヤー(Meyer)ロッド12番を使用してコーティングし、コーティング領域の全周囲にコーティングされていない縁を残した。サンプルを乾燥させた。乾燥させたシリコーンポリアジパミドのコーティングした外観は、良好であった。ポリマーコーティングは、フィルムから除去することができなかった。次にコーティングされたPETフィルムをそれ自身の上に折り重ね、コーティングされた面が折り畳んだフィルムの内側になるようにした。本試験体を210℃に置き、13,789.51kPa(2,000PSI)で30秒間圧力を加えた。圧力を取り除き、前記試験体のPET基板フィルムのコーティングされていない縁部分を手でつかみ、引き離した。密着したまま、シリコーンポリアジパミド層内に破壊が生じ、シリコーンポリアジパミド層は、いずれのPET表面からも除去されなかった。
【0112】
好ましい実施形態を参照して、本開示について述べてきたが、当業者は、本開示の趣旨と範囲から逸脱することなく、形態と詳細において変更が可能であることを理解するであろう。
【0113】
上記の図面は本開示のいくつかの例示的実施形態を示すが、他の実施形態も考えられる。本開示は、代表させるための本発明の例示的実施形態を示すが、制限されるものではない。本開示の範囲及び主要な精神に含まれる多数の他の変更及び実施形態が、当業者によって考案されうる。図面は、原寸大ではない。
【0114】
さらには、実施形態及び構成成分は、表記「第1」、「第2」、「第3」等で表され、これらの説明は参照を簡便化し、優先順位を意味するわけではないことを理解されたい。表記は、異なった実施形態間の区別を明瞭にするためだけのものである。
【0115】
特に指示がない限り、本明細書及び請求項において使用される形状、量、及び物理的性質を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という語句によって修正されるものとして理解されるべきである。それゆえに、特に異議を唱えない限り、記載した数字は、本明細書にて開示した教示を使用した所望の性質に応じて変化することがある概算である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本開示の多層光学フィルムの1つの代表的実施形態を示す。
【図2】図1の多層膜10のうち、1つの層ペアの代表的実施形態を示す。
【図3】異なる光入射角での、PEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーフィルム及び完全な等方性フィルムの反射率を示す。
【図4】異なる光入射角に対する、PET/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーフィルム及び完全な等方性フィルムの反射率を示す。
【図5】図1の多層膜の1つの代表的実施形態層の厚み特性を示し、厚さはナノメートルで与えられる。
【図6】図5の多層膜実施形態について、0度及び85度の入射角度で計算された光学密度を示し、s偏光及びp偏光の平均反射率を表す。
【図7】本開示の多層光学フィルムの第2代表的実施形態(スキン層を包含する)を示す。
【図8】本開示の多層光学フィルムの第3代表的実施形態(2つのスキン層を包含する)を示す。
【図9】本開示の多層光学フィルムの第4代表的実施形態(異なる材料から成る内部層を包含する)を示す。
【図10】ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの0.5mm厚フィルムの透過(T)及び反射(R)スペクトルを示す。
【図11】図10のフィルムの屈折率の実部(n)及び虚部(k)(図10のスペクトルから計算した)を示す。当業者が容易に理解できるように、吸収は非常に少なく、k値の測定はノイズが多い。
【図12】PEN/PMMA及びPEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー多層ミラーの計算された透過スペクトルを示す。
【図13】PEN/PMMA及びPEN/ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマー多層ミラーの計算された反射スペクトルを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1屈折率を有する第1高分子材料を含む第1層;及び
当該第1層に隣接した第2層を含むフィルムで、前記第2層が、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有する第2高分子材料を含み、当該第2高分子材料が、式Iの繰り返し単位を少なくとも2個含む、
【化1】
(式中、各R1は、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、又はハロで置換されたアリールであり;
各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組み合わせであり;
Gは、式R3HN−G−NHR3のジアミンから2個の−NHR3基を差し引いたものに相当する2価の残余部分であり;
R3は、水素若しくはアルキルであるか、又はR3はGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成し;
nは、独立して0〜1,500の整数であり;
各Bは独立して共有結合、4〜20個の炭素から成るアルキレン、アラルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせであり;及び
pは、1〜10の整数である。)前記フィルム。
【請求項2】
各Bが共有結合である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記第1材料が複屈折である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記第1屈折率と前記第2屈折率との差が、約0.05より大きい、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記第1屈折率と前記第2屈折率との差が、約0.10より大きい、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記第1屈折率と前記第2屈折率との差が、約0.20より大きい、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
前記第1屈折率と前記第2屈折率との差が、約0.30より大きい、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記第1高分子材料が、ポリアルキレンナフタレート類、ポリアルキレンナフタレート類の異性体類、及びポリアルキレンナフタレート類の共重合体から成る基から選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記第1高分子材料が、ポリアルキレンテレフタレート類及びポリアルキレンテレフタレート類の共重合体から成る基から選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記第1層又は前記第2層と接触している第3層を更に含み、当該第3層が第3材料を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
前記第3材料が、帯電防止剤類、紫外線吸収剤類(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤類(HALS)、染料類、染色剤類、顔料類、酸化防止剤類、スリップ剤類、低接着性材料類、導電性材料類、耐摩耗性材料類、光学素子類、形状安定剤類、接着剤類、粘着付与剤類、難燃剤類、燐光材料類、蛍光材料類、ナノ粒子類、落書き防止剤類、結露防止剤類、耐荷重剤類、シリケート樹脂類、光拡散材料類、光吸収材料類及び蛍光増白剤類から成る基から選択される1種類以上の材料を包含する、請求項10に記載のフィルム。
【請求項12】
前記第2層が、帯電防止剤類、紫外線吸収剤類(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤類(HALS)、染料類、染色剤類、顔料類、酸化防止剤類、スリップ剤類、低接着性材料類、導電性材料類、耐摩耗性材料類、光学素子類、形状安定剤類、接着剤類、粘着付与剤類、難燃剤類、燐光材料類、蛍光材料類、ナノ粒子類、落書き防止剤類、結露防止剤類、耐荷重剤類、シリケート樹脂類、光拡散材料類、光吸収材料類及び蛍光増白剤類から成る基から選択される1種類以上の材料を更に包含する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
前記第3層が、前記第1層と前記第2層との間に配置される、請求項10に記載のフィルム。
【請求項14】
第1屈折率を有する第1高分子材料を含む第1層;及び
前記第1層に隣接した第2層を含むフィルムで、当該第2層が、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有する第2高分子材料を含み、当該第2材料が、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーを含む、前記フィルム。
【請求項15】
前記第2材料が、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーを含む、請求項14に記載のフィルム。
【請求項16】
前記第1屈折率と前記第2屈折率との差が、約0.05より大きい、請求項14に記載のフィルム。
【請求項17】
前記第1材料が複屈折である、請求項14に記載のフィルム。
【請求項18】
前記第1高分子材料が、ポリアルキレンナフタレート類、ポリアルキレンナフタレート類の異性体類、及びポリアルキレンナフタレート類の共重合体から成る基から選択される、請求項14に記載のフィルム。
【請求項19】
前記第1高分子材料が、ポリアルキレンテレフタレート類及びポリアルキレンテレフタレート類の共重合体から成る基から選択される、請求項14に記載のフィルム。
【請求項20】
前記第1層又は前記第2層と接触している第3層を更に含み、前記第3層が、第3材料を含む、請求項14に記載のフィルム。
【請求項1】
第1屈折率を有する第1高分子材料を含む第1層;及び
当該第1層に隣接した第2層を含むフィルムで、前記第2層が、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有する第2高分子材料を含み、当該第2高分子材料が、式Iの繰り返し単位を少なくとも2個含む、
【化1】
(式中、各R1は、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、又はハロで置換されたアリールであり;
各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組み合わせであり;
Gは、式R3HN−G−NHR3のジアミンから2個の−NHR3基を差し引いたものに相当する2価の残余部分であり;
R3は、水素若しくはアルキルであるか、又はR3はGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成し;
nは、独立して0〜1,500の整数であり;
各Bは独立して共有結合、4〜20個の炭素から成るアルキレン、アラルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせであり;及び
pは、1〜10の整数である。)前記フィルム。
【請求項2】
各Bが共有結合である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記第1材料が複屈折である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記第1屈折率と前記第2屈折率との差が、約0.05より大きい、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記第1屈折率と前記第2屈折率との差が、約0.10より大きい、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記第1屈折率と前記第2屈折率との差が、約0.20より大きい、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
前記第1屈折率と前記第2屈折率との差が、約0.30より大きい、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記第1高分子材料が、ポリアルキレンナフタレート類、ポリアルキレンナフタレート類の異性体類、及びポリアルキレンナフタレート類の共重合体から成る基から選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記第1高分子材料が、ポリアルキレンテレフタレート類及びポリアルキレンテレフタレート類の共重合体から成る基から選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記第1層又は前記第2層と接触している第3層を更に含み、当該第3層が第3材料を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
前記第3材料が、帯電防止剤類、紫外線吸収剤類(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤類(HALS)、染料類、染色剤類、顔料類、酸化防止剤類、スリップ剤類、低接着性材料類、導電性材料類、耐摩耗性材料類、光学素子類、形状安定剤類、接着剤類、粘着付与剤類、難燃剤類、燐光材料類、蛍光材料類、ナノ粒子類、落書き防止剤類、結露防止剤類、耐荷重剤類、シリケート樹脂類、光拡散材料類、光吸収材料類及び蛍光増白剤類から成る基から選択される1種類以上の材料を包含する、請求項10に記載のフィルム。
【請求項12】
前記第2層が、帯電防止剤類、紫外線吸収剤類(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤類(HALS)、染料類、染色剤類、顔料類、酸化防止剤類、スリップ剤類、低接着性材料類、導電性材料類、耐摩耗性材料類、光学素子類、形状安定剤類、接着剤類、粘着付与剤類、難燃剤類、燐光材料類、蛍光材料類、ナノ粒子類、落書き防止剤類、結露防止剤類、耐荷重剤類、シリケート樹脂類、光拡散材料類、光吸収材料類及び蛍光増白剤類から成る基から選択される1種類以上の材料を更に包含する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
前記第3層が、前記第1層と前記第2層との間に配置される、請求項10に記載のフィルム。
【請求項14】
第1屈折率を有する第1高分子材料を含む第1層;及び
前記第1層に隣接した第2層を含むフィルムで、当該第2層が、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有する第2高分子材料を含み、当該第2材料が、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーを含む、前記フィルム。
【請求項15】
前記第2材料が、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーを含む、請求項14に記載のフィルム。
【請求項16】
前記第1屈折率と前記第2屈折率との差が、約0.05より大きい、請求項14に記載のフィルム。
【請求項17】
前記第1材料が複屈折である、請求項14に記載のフィルム。
【請求項18】
前記第1高分子材料が、ポリアルキレンナフタレート類、ポリアルキレンナフタレート類の異性体類、及びポリアルキレンナフタレート類の共重合体から成る基から選択される、請求項14に記載のフィルム。
【請求項19】
前記第1高分子材料が、ポリアルキレンテレフタレート類及びポリアルキレンテレフタレート類の共重合体から成る基から選択される、請求項14に記載のフィルム。
【請求項20】
前記第1層又は前記第2層と接触している第3層を更に含み、前記第3層が、第3材料を含む、請求項14に記載のフィルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−521344(P2009−521344A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547551(P2008−547551)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/048809
【国際公開番号】WO2007/075900
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/048809
【国際公開番号】WO2007/075900
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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