説明

熱硬化性樹脂成形装置

【課題】 4つの金型を必要とせず、凹金型のキャビ型と凸金型のコア型の一対のみを要する熱硬化性樹脂成形方法及び装置を提供すること
【解決手段】 対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを有し、前記第1金型及び第2金型によって、成形しかつ成形された材料の内外両面にグレーズコーテイングを行うことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂材料を使用し、圧縮成形法により食器等の成形品が製造されている。この熱硬化性樹脂材料には、補強のために通常パルプ材が充填されている。パルプ材は、汚れ付着の原因となる場合があり、前記熱硬化性樹脂材料からパルプ材を取り除いて純粋に近い樹脂材料、すなわちグレーズを成形品の表面に被膜形成する(以下、グレーズコーテイングという)ことが行われている。
【0003】
成形品が食器等の場合、絵柄を付けることが多い。絵柄は、樹脂を含浸させた絵柄入りのオーバーレイ紙等のフォイルすなわち特殊印刷紙に形成される。これを成形品の上側面に配置して加熱して成形品の表面に密着させ、さらにグレーズコーテイングを行う(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
具体的成形方法は、成形品の凹型にグレーズコーテイング成形を行う一次工程と、前記一次工程で得られた成形品をその上下を反転して凸金型に供給する二次工程と、前記成形品の凸型の表面にグレースコーテイング成形を行う三次工程によって行う。
【0005】
【特許文献1】特開2001−38753号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
成形品は、成形直後から収縮が始まり、特に金型から取り外したときから収縮の割合は大きくなる。そのため、特許文献1に記載の技術においては、一次成形工程すなわち上側が開放の状態の半成形品を成形するために、下側の凹金型のキャビ型と、上側の凸金型のコア型を必要とする。二次成形工程すなわち下側が開放の状態の半成形品を成形するために、下側の凸金型と、容器の糸尻用の凹溝を有する上側の凹金型とを必要とする。すなわち、合計4つの金型を必要としている。その上、一般に、前記収縮は収縮率の大きな樹脂においては48時間続くと言われており、完全に収縮した後に二次成形を行うことは、製造効率が下がり好ましくない。一次成形品の成形後の経過時間と二次成形の寸法の関係を踏まえて二次成形型を製造することは、実際上極めて困難である。
【0007】
また、一次成形品は、その環境温度によっても寸法が変化し、この弊害を除去するために一次製品を温度管理することは大きな支出を伴う。
【0008】
さらに、熱硬化性樹脂成形品はポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂に比べて柔軟性が低く、一次成形品と二次成形金型の寸法に隔たりがあると、一次成形品が破壊される等の問題がある。
【0009】
(目的)
本発明は、従来技術の熱硬化性樹脂成形方法及び装置における上述した問題点に鑑みてなされたものであって、一次成形工程すなわち上側が開放の状態の半成形品を成形するための下側の凹金型のキャビ型と上側の凸金型のコア型、及び二次成形工程すなわち下側が開放の状態の半成形品を成形するための下側の凸金型と容器の糸尻用の凹溝を有する上側の凹金型の合計4つの金型を必要とせず、凹金型のキャビ型と凸金型のコア型の一対のみを要する熱硬化性樹脂成形方法及び装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、従来の一次成形品の温度管理を要することなく、製造歩留まり等が高い製造効率のよい熱硬化性樹脂成形装置を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂に比べて柔軟性が低い熱硬化性樹脂成形品も、製造歩留まり等が高い製造効率のよい熱硬化性樹脂成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明は、対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを有し、前記第1金型及び第2金型によって、成形しかつ成形された材料の内外両面にグレーズコーテイングを行うことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置である。
第1発明の実施態様は、前記第1金型及び第2金型が、絵柄シートの貼り付けも行うことを特徴とする。
【0013】
第2発明は、対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを使用し、
前記第1金型及び第2金型によって成形し、成形された材料を前記第1金型に付着したまま前記第2金型を使用して第1グレーズコーテイングを行い、第1グレーズコーテイングを行った成形された材料を、前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第2グレーズコーテイグを行うことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置である。
【0014】
第3発明は、対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを使用し、
第1回成形において、前記第1金型を下に、及び第2金型を上にして成形し、成形された材料を前記第1金型に付着したまま前記第2金型を使用して第1グレーズコーテイングを行い、第1グレーズコーテイングを行った成形された材料を、下にした前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第2グレーズコーテイグを行い、
第2回成形において、前記第1金型を上に、及び第2金型を下にして成形し、成形された材料を前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第1グレーズコーテイングを行い、第1グレーズコーテイングを行った成形された材料を、下にした前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第2グレーズコーテイグを行いことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置である。
【0015】
第4発明は、対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを使用し、
第1成形において、前記第1金型及び第2金型によって成形し、成形された材料を前記第1金型に付着したまま前記第2金型を使用して第1絵柄シートの貼り付けを行い、第1絵柄シートの貼り付けを行った成形された材料を、前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第2絵柄シートの貼り付けを行うことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置である。
【0016】
第5発明は、対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを使用し、
第1成形において、前記第1金型及び第2金型によって成形し、成形された材料を前記第1金型に付着したまま前記第2金型を使用して第1絵柄シートの貼り付けを行い、第1絵柄シートの貼り付けを行った成形された材料を、前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第2絵柄シートの貼り付けを行うことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置である。
【0017】
第6発明は、対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを使用し、
第1回成形において、前記第1金型を下に、及び第2金型を上にして成形し、成形された材料を前記第1金型に付着したまま前記第2金型を使用して第1絵柄シートの貼り付けを行い、第1絵柄シートの貼り付けを行った成形された材料を、下にした前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第2絵柄シートの貼り付けを行い、
第2回成形において、前記第1金型を上に、及び第2金型を下にして成形し、成形された材料を前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第1絵柄シートの貼り付けを行い、第1絵柄シートの貼り付けを行った成形された材料を、下にした前記第1金型に付着したまま前記第2金型を使用して第2絵柄シートの貼り付けを行うことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の熱硬化性樹脂成形装置によれば、成形半製品を前半成形工程で使用した下側の凸金型のコア型から取り出すことなしに、すべての成形製造工程を行うことができ、製造効率が高く、製造装置の要する面積も小さい効果を有する。
本発明の熱硬化性樹脂成形装置によれば、さらに、成形品に歪応力が発生せず、壊れ難い成形品を製造できる効果を有する。
特に、第4発明及び第6発明においては、第1回成形工程の次に、第1成形工程の略逆の第2成形工程を行って、第1回成形工程の開始状態に戻るので、制御系が簡易になることに加えて、製造時間の短縮化を図ることができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の熱硬化性樹脂成形方法及び装置を実施するための最良の形態について説明する。
(構成)
いわゆる絵柄及び糸尻付き容器を製造する最良の実施形態の熱硬化性樹脂成形装置10は、図1に示すように、成形機本体12と、左型反転機14と、右型反転機16とからなる。
【0020】
成形機本体12は、油圧シリンダー18によって上下運動させられて、鋼鉄製の凸金型20又は鋼鉄製の凹金型30を上向きに載置する下金型ステーション22と、鋼鉄製の凹金型30又は鋼鉄製の凸金型20を下向きに支持する静止した上金型ステーション32とを有する。
【0021】
凸金型20は、電気ヒータ(図示せず)が埋め込まれていて、作動中、160℃に加熱される。凸金型20は、例えば、図2に示すように、下金型ステーション32に固定された固定板35に固着された永久磁石板36に載置され、磁力によって固定されている。永久磁石板36には、凸金型20を位置決めするための複数のノックピン37が植設されている。図1において、凸金型20の下面には、ノックピン37を受け入れる複数のノック孔40が設けられている。
【0022】
凹金型30は、上金型ステーション42に固定された固定板50に固着された永久磁石板52に載置され、磁力によって固定されている。永久磁石板52には、凹金型30を位置決めするための複数のノックピン56が植設されている。図2において、凹金型30の上面には、ノックピン56を受け入れる複数のノック孔60が設けられている。
凸金型20及び凹金型30の側面には、左型反転機14及び右型反転機16によって挟持されるとき左反転ピン70及び右反転ピン72が係合する反転ピン孔76が設けられている。
【0023】
左型反転機14は、図1に示すように、凸金型20及び凹金型30に係合する左反転ピン70を支持する支持アーム80を軸中心に回転させる反転モータ82と、左反転ピン70を凸金型20及び凹金型30に係合させたり離したりする押し出しシリンダー84を有する。
右型反転機16は、図1に示すように、凸金型20及び凹金型30に係合する右反転ピン72を支持する支持アーム86を軸中心に回転させる反転モータ88と、右反転ピン72を凸金型20及び凹金型30に係合させたり離したりする押し出しシリンダー90を有する。
【0024】
(作動)
上述した構成の熱硬化性樹脂成形装置の使用方法すなわち作動は、以下のとおりである。
(1)片道作動
量産ラインにおいて、一連の製造工程を終了した後、該一連の製造工程の最初に戻って繰り返して行う作動である。
第1工程において、図4に示すように、凸金型20の上に硬化前の熱硬化性樹脂材料Mを載置する。
第2工程において、図5に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、上金型ステーション42に固定された固定板50に固着された永久磁石板52と一体の凹金型30と、凸金型20とを温度160℃に加熱して、圧力200kg/cm2で押圧する。これにより、熱硬化性樹脂材料Mは、成形品すなわち糸尻付き容器MMの形状になる。
【0025】
第3工程において、図6に示すように、油圧シリンダー18を短縮化させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を下降させて、凸金型20の上に成形したままの糸尻付き容器MMを露出させる。露出された糸尻付き容器MMの外面に、オーバーレイ紙にオフセット等のインキで絵柄を印刷し、樹脂を含浸させた外面絵柄シート100を配置する。
【0026】
第4工程において、図7に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、凹金型30に外面絵柄シート100を配置した糸尻付き容器MMを凸金型20によって温度160℃、圧力200kg/cm2で押圧する。これにより、外面絵柄シート100は糸尻付き容器MMの外面と密着し、絵柄が糸尻付き容器MMに外面に形成される。
【0027】
第5工程において、図8に示すように、油圧シリンダー18を短縮化させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を下降させて、凸金型20の上に外面に絵柄を有する糸尻付き容器MMを露出させる。露出された糸尻付き容器MMの外面に、グレーズを散布する。
【0028】
第6工程において、図9に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、凹金型30にグレーズを散布した糸尻付き容器MMを凸金型20によって温度160℃、圧力200kg/cm2で押圧する。これにより、糸尻付き容器MMの外面にグレーズコーテイングGが形成される。
【0029】
第7工程において、図10に示すように、凹金型30を上金型ステーション32に固定された固定板50に固着された永久磁石板52から離脱させる。さらに、油圧シリンダー18をタイバー24のガイドによって半分程短縮化させて下金型ステーション22を少し下降させて、外観上一体の凸金型20及び凹金型30を、左型反転機14及び右型反転機16によって把持可能な高さ位置に配置する。
【0030】
第8工程において、図11に示すように、外観上一体の凸金型20及び凹金型30を、左型反転機14及び右型反転機16によって把持する。
第9工程において、図12に示すように、油圧シリンダー18をさらに半分程短縮化させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22をさらに下降させて、外観上一体の凸金型20及び凹金型30を左型反転機14及び右型反転機16によってのみ把持し、凸金型20及び凹金型30を左型反転機14及び右型反転機16によって回転可能にする。
【0031】
第10工程において、図13に示すように、外観上一体の凸金型20及び凹金型30を左型反転機14及び右型反転機16によって上下反転させ、凸金型20が下向きに及び凹金型30が上向きになるようにする。糸尻付き容器MMは凹型が上向きになる。
第11工程において、図14に示すように、油圧シリンダー18を半分程伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、凹金型30を下金型ステーション22に固定された固定板35に固着された永久磁石板36に載置し、磁力によって固定させる。
【0032】
第12工程において、図15に示すように、左型反転機14及び右型反転機16を凸金型20及び凹金型30から離脱させ、外観上一体の凸金型20及び凹金型30は下金型ステーション22によって垂直方向に自由に移動可能とする。
第13工程において、図16に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、凸金型20を上金型ステーション32に固定された固定板50に固着された永久磁石板52に磁力で固着する。
【0033】
第14工程において、図17に示すように、油圧シリンダー18を短縮化させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を下降させて、凹金型30の上に成形したままの糸尻付き容器MMを凹型を上向きに露出させる。露出された糸尻付き容器MMの内面に、オーバーレイ紙にオフセットインキ等のインキで絵柄を印刷した内面絵柄シート110を配置する。
【0034】
第15工程において、図18に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、凹金型30に内面絵柄シート110を配置した糸尻付き容器MMを凸金型20によって温度160℃、圧力200kg/cm2で押圧する。これにより、内面絵柄シート110は糸尻付き容器MMの内面と密着し、絵柄のみが糸尻付き容器MMに内面に形成される。
【0035】
第16工程において、図19に示すように、油圧シリンダー18を短縮化させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を下降させて、凹金型30の上に内面に絵柄を有する糸尻付き容器MMを露出させる。露出された糸尻付き容器MMの上に、グレーズを散布する。
【0036】
第17工程において、図20に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、凸金型20にグレーズを散布した糸尻付き容器MMを温度160℃に加熱された凹金型30によって、圧力200kg/cm2で押圧する。これにより、糸尻付き容器MMの外面にグレーズコーテイングGが形成される。
【0037】
第18工程において、図21に示すように、油圧シリンダー18を短縮化させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を下降させて、凹金型30の上に外面に絵柄を有する糸尻付き容器MMを露出させ、取り出す。
【0038】
(2)往復作動
量産ラインにおいて、一連の製造工程を終了した後、該一連の製造工程の最初に戻らず該一連の製造工程の略逆の順序の製造工程を行い、この往復工程を繰り返す作動である。
前記第1工程ないし第18工程の後に続けて以下の第19工程ないし36工程を行う。
【0039】
図22は、第18工程が終了して、糸尻付き容器MMを取り出した状態を示す。
第19工程において、図23に示すように、凹金型30の上に硬化前の熱硬化性樹脂材料Mを載置する。
第20工程において、図24に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させる。上金型ステーション32に固定された固定板50に固着された永久磁石板52と一体の凸金型20と、凹金型30とを温度165℃にして、圧力200kg/cm2で押圧する。これにより、熱硬化性樹脂材料Mは、成形品すなわち糸尻付き容器MMの形状になる。
【0040】
第21工程において、図25に示すように、油圧シリンダー18を短縮化させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を下降させて、凹金型30の上に成形したままの糸尻付き容器MMを露出させる。露出された糸尻付き容器MMの内面に、オーバーレイ紙にオフセット等のインキで絵柄を印刷し、樹脂を含浸させた内面絵柄シート110を配置する。
【0041】
第22工程において、図26に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、凸金型20に内面絵柄シート110を配置した糸尻付き容器MMを温度160℃に加熱した凸金型20によって、圧力200kg/cm2で押圧する。これにより、内面絵柄シート110は糸尻付き容器MMの内面と密着し、絵柄が糸尻付き容器MMに内面に形成される。
【0042】
第23工程において、図27に示すように、油圧シリンダー18を短縮化させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を下降させて、凹金型30の内面に絵柄を有する糸尻付き容器MMを露出させる。露出された糸尻付き容器MMの内面に、グレーズを散布する。
【0043】
第24工程において、図28に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、温度160℃に加熱した凸金型20によって、温度160℃に加熱した凹金型30によって支持されグレーズ散布した糸尻付き容器MMを、圧力200kg/cm2で押圧する。これにより、糸尻付き容器MMの内面にグレーズコーテイングGが形成される。
【0044】
第25工程において、図29に示すように、凸金型20を上金型ステーション32に固定された固定板50に固着された永久磁石板52から離脱させる。さらに、油圧シリンダー18をタイバー24のガイドによって半分程短縮化させて下金型ステーション22を少し下降させて、外観上一体の凸金型20及び凹金型30を、左型反転機14及び右型反転機16によって把持可能な高さ位置に配置する。
【0045】
第26工程において、図30に示すように、外観上一体の凸金型20及び凹金型30を、左型反転機14及び右型反転機16によって把持する。
第27工程において、図31に示すように、油圧シリンダー18をさらに半分程短縮化させ、タイバー24のガイドによって下金型ステーション22をさらに下降させて、外観上一体の凸金型20及び凹金型30を左型反転機14及び右型反転機16によってのみ把持し、凸金型20及び凹金型30を左型反転機14及び右型反転機16によって回転可能にする。
【0046】
第28工程において、図32に示すように、外観上一体の凸金型20及び凹金型30を左型反転機14及び右型反転機16によって上下反転させ、凹金型30が下向きに、及び凸金型20が上向きになるようにする。糸尻付き容器MMは凸型が上向きになる。
第29工程において、図33に示すように、油圧シリンダー18を半分程伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、凸金型20を下金型ステーション22に固定された固定板35に固着された永久磁石板36に載置し、磁力によって固定させる。
【0047】
第30工程において、図34に示すように、左型反転機14及び右型反転機16を凸金型20及び凹金型30から離脱させ、外観上一体の凸金型20及び凹金型30は下金型ステーション22によって垂直方向に自由に移動可能とする。
第31工程において、図35に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、凹金型30を上金型ステーション32に固定された固定板50に固着された永久磁石板52に磁力で固着する。
【0048】
第32工程において、図36に示すように、油圧シリンダー18を短縮化させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を下降させて、凸金型20の上に成形したままの糸尻付き容器MMを凸型を上向きに露出させる。露出された糸尻付き容器MMの外面に、オーバーレイ紙にオフセットインキ等のインキで絵柄を印刷した外面絵柄シート100を配置する。
【0049】
第33工程において、図37に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、温度160℃に加熱した凹金型30によって、外面絵柄シート100を配置した糸尻付き容器MMを、圧力200kg/cm2で押圧する。これにより、外面絵柄シート100は糸尻付き容器MMの外面と密着し、絵柄が糸尻付き容器MMに外面に形成される。
【0050】
第34工程において、図38に示すように、油圧シリンダー18を短縮化させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を下降させて、凸金型20の上に外面に絵柄を有する糸尻付き容器MMを露出させる。露出された糸尻付き容器MMの外面に、グレーズを散布する。
【0051】
第35工程において、図39に示すように、油圧シリンダー18を伸張させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を上昇させて、160℃に加熱した凹金型30によって、グレーズを散布した糸尻付き容器MMを、圧力200kg/cm2で押圧する。これにより、糸尻付き容器MMの外面にグレーズコーテイングGが形成される。
【0052】
第36工程において、図40に示すように、油圧シリンダー18を短縮化させタイバー24のガイドによって下金型ステーション22を下降させて、凸金型20の上に内外面に絵柄を有する糸尻付き容器MMを露出させ、取り出す。
図40に示す糸尻付き容器MMを取り出した後の熱硬化性樹脂成形装置10の状態は、図1に示す状態と同一である。
【0053】
(3)金型の改良
上述した(1)片道作動の第3工程、第5工程、第14工程及び第16工程、及び(2)往復作動の第21工程、第23工程、第32工程及び第34工程において、外面絵柄シート100の配置及びグレーズの散布のために、露出される糸尻付き容器MMは、常に下側の金型に載置されて、糸尻付き容器MMと上側の金型との間に空間が形成されなければならない。糸尻付き容器MMの金型からの剥離性から、糸尻付き容器MMが下側の金型に載置されず、上側の金型に固着したままであるおそれがあるときは、例えば凹金型30を以下に説明する押し出しノブ200付き凹金型230にすることが望ましい。
【0054】
押し出しノブ200付き凹金型230は、図41に示すように、糸尻付き容器MMの糸尻212の内面に対応する部分を、金型引き抜き摩擦力が押し出しノブ200付き凹金型230が大きくなるように、引き抜き方向と平行な面214を形成する。さらに、押し出しノブ200付き凹金型230の糸尻212に対応する部分の中心に、アクチュエータ(図示せず)によって作動する押し出しノブ200を配置する。
このように構成することによって、図41に示すように、押し出しノブ200付き凹金型230が上側にあって下向きの場合には、金型引き抜き摩擦力によって押し出しノブ200付き凹金型230に付着した糸尻付き容器MMを、押し出しノブ200によって押し下げ、下側の凸金型220に載置されるようになる。図41に示す状態と上下逆で、押し出しノブ200付き凹金型230が下側にあって上向きの場合には、糸尻付き容器MMは、金型引き抜き摩擦力によって押し出しノブ200付き凹金型230に保持され、下側の押し出しノブ200付き凹金型230に載置されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態の熱硬化性樹脂成形装置の構成説明図である。
【図2】図1に示す熱硬化性樹脂成形装置の下金型ステーション及び凸金型の説明図である。
【図3】図1に示す熱硬化性樹脂成形装置の上金型ステーション及び凹金型の説明図である。
【図4】図1〜図4に示す熱硬化性樹脂成形装置を使用した本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第1ステップの説明図である。
【図5】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第2ステップの説明図である。
【図6】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第3ステップの説明図である。
【図7】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第4ステップの説明図である。
【図8】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第5ステップの説明図である。
【図9】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第6ステップの説明図である。
【図10】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第7ステップの説明図である。
【図11】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第8ステップの説明図である。
【図12】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第9ステップの説明図である。
【図13】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第10ステップの説明図である。
【図14】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第11ステップの説明図である。
【図15】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第12ステップの説明図である。
【図16】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第13ステップの説明図である。
【図17】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第14ステップの説明図である。
【図18】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第15ステップの説明図である。
【図19】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第16ステップの説明図である。
【図20】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第17ステップの説明図である。
【図21】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第18ステップの説明図である。
【図22】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第18ステップで糸尻付き容器を取り出した後の説明図である。
【図23】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第19ステップの説明図である。
【図24】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第20ステップの説明図である。
【図25】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第21ステップの説明図である。
【図26】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第22ステップの説明図である。
【図27】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第23ステップの説明図である。
【図28】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第24ステップの説明図である。
【図29】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第25ステップの説明図である。
【図30】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第26ステップの説明図である。
【図31】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第27ステップの説明図である。
【図32】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第28ステップの説明図である。
【図33】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第29ステップの説明図である。
【図34】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第30ステップの説明図である。
【図35】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第31ステップの説明図である。
【図36】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第32ステップの説明図である。
【図37】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第33ステップの説明図である。
【図38】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第34ステップの説明図である。
【図39】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第35ステップの説明図である。
【図40】本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第36ステップの説明図である。
【図41】本発明の実施形態の熱硬化性樹脂成形装置の改良金型の構成説明図である。本発明の熱硬化性樹脂成形成形方法の第36ステップの説明図である。
【符号の説明】
【0056】
M 熱硬化性樹脂材料
MM 糸尻付き容器
G グレーズコーテイング
10 熱硬化性樹脂成形装置
12 成形機本体
14 左型反転機
16 右型反転機
18 油圧シリンダー
20 凸金型
22 下金型ステーション
24 タイバー
30 凹金型
32 上金型ステーション
35 固定板
36 永久磁石板
37 ノックピン
52 永久磁石板
56 ノックピン
70 左反転ピン
76 右反転ピン
80 支持アーム
82 反転モータ
84 押し出しシリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを有し、前記第1金型及び第2金型によって、成形しかつ成形された材料の内外両面にグレーズコーテイングを行うことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置。
【請求項2】
前記第1金型及び第2金型が、絵柄シートの貼り付けも行うことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂成形装置。
【請求項3】
対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを使用し、
前記第1金型及び第2金型によって成形し、成形された材料を前記第1金型に付着したまま前記第2金型を使用して第1グレーズコーテイングを行い、第1グレーズコーテイングを行った成形された材料を、前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第2グレーズコーテイグを行うことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置。
【請求項4】
対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを使用し、
第1回成形において、前記第1金型を下に、及び第2金型を上にして成形し、成形された材料を前記第1金型に付着したまま前記第2金型を使用して第1グレーズコーテイングを行い、第1グレーズコーテイングを行った成形された材料を、下にした前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第2グレーズコーテイグを行い、
第2回成形において、前記第1金型を上に、及び第2金型を下にして成形し、成形された材料を前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第1グレーズコーテイングを行い、第1グレーズコーテイングを行った成形された材料を、下にした前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第2グレーズコーテイグを行いことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置。
【請求項5】
対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを使用し、
第1成形において、前記第1金型及び第2金型によって成形し、成形された材料を前記第1金型に付着したまま前記第2金型を使用して第1絵柄シートの貼り付けを行い、第1絵柄シートの貼り付けを行った成形された材料を、前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第2絵柄シートの貼り付けを行うことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置。
【請求項6】
対をなす第1金型及び第2金型と、前記第1金型及び第2金型を固着可能で独立して垂直移動可能な下金型ステーションと、前記第1金型及び第2金型を固着可能で位置固定の上金型ステーションと、組み合った前記第1金型及び第2金型を支持し反転させる金型反転部とを使用し、
第1回成形において、前記第1金型を下に、及び第2金型を上にして成形し、成形された材料を前記第1金型に付着したまま前記第2金型を使用して第1絵柄シートの貼り付けを行い、第1絵柄シートの貼り付けを行った成形された材料を、下にした前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第2絵柄シートの貼り付けを行い、
第2回成形において、前記第1金型を上に、及び第2金型を下にして成形し、成形された材料を前記第2金型に付着したまま前記第1金型を使用して第1絵柄シートの貼り付けを行い、第1絵柄シートの貼り付けを行った成形された材料を、下にした前記第1金型に付着したまま前記第2金型を使用して第2絵柄シートの貼り付けを行うことを特徴とする熱硬化性樹脂成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2006−62345(P2006−62345A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109031(P2005−109031)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000148885)株式会社台和 (4)
【Fターム(参考)】