説明

熱硬化性樹脂組成物及び硬化膜

【課題】平坦性、耐熱性に特に優れ、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性等の耐薬品性、耐水性、ガラスなどの下地基板への密着性、透明性、耐傷性、塗布性、耐光性においても優れた硬化膜及びこの硬化膜を与える樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を必須成分として反応させることにより得られるポリエステルアミド酸、エポキシ基を3〜20個含み、かつ重量平均分子量が5,000未満であるエポキシ樹脂、及びエポキシ硬化剤を含む樹脂組成物であって、ポリエステルアミド酸100重量部に対し、エポキシ樹脂が20〜400重量部であり、エポキシ樹脂100重量部に対し、エポキシ硬化剤が0〜13重量部であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、それを加熱、硬化することにより得られる硬化膜に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子などの素子の製造工程中には、有機溶剤、酸、アルカリ溶液などの種々の薬品処理がなされたり、スパッタリングにより配線電極を成膜する際に、表面が局部的に高温に加熱されたりすることがある。そのため、各種の素子の表面の劣化、損傷、変質を防止する目的で表面保護膜が設けられる場合がある。これらの保護膜には、上記のような製造工程中の各種処理に耐えることができる諸特性が要求される。具体的には、耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性等の耐薬品性、耐水性、ガラスなどの下地基板への密着性、透明性、耐傷性、塗布性、平坦性、長期に亘って着色などの変質がおこらない耐光性などが要求される。また、特に近年、液晶表示素子の高視野角化、高速応答化、高精細化などの高性能化が進むなか、カラーフィルター保護膜として用いられる場合には、平坦化特性が向上した材料、及び、スパッタリング工程、焼成工程など、各種の高温に加熱される工程において、デ・ガス(揮発分)の少ない高耐熱性の材料が望まれている。
【0003】
これらの優れた特性を有する保護膜材料としては、シリコン含有ポリアミド酸組成物(特許文献1参照)、ポリエステルアミド酸組成物(特許文献2参照)がある。シリコン含有ポリアミド酸組成物は、平坦性に関しては非常に優れた材料であるが、耐熱性が不十分であり、耐アルカリ性に劣るという欠点があり、ポリエステルアミド酸組成物は、平坦性及び耐熱性が不十分であるという欠点があった。したがって、いずれの材料も保護膜材料としては、耐熱性、平坦性、及びその他諸特性を十分に満足させるものではなかった。
【特許文献1】特開平9−291150号公報
【特許文献2】特開2005−105264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記状況の下、例えば、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性等の耐薬品性、耐水性、ガラスなどの下地基板への密着性、透明性、耐傷性、塗布性、耐光性に優れる樹脂組成物が求められている。さらに、特に、平坦性、耐熱性に優れた硬化膜及びこの硬化膜を与える樹脂組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく種々検討した結果、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を含む化合物の反応から得られるポリエステルアミド酸、エポキシ基を3〜20個含み、かつ重量平均分子量が5,000未満であるエポキシ樹脂及びエポキシ硬化剤を含む樹脂組成物、及び該樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜により、上記目的を達することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の構成を有する。
【0006】
[1] テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を必須成分として反応させることにより得られるポリエステルアミド酸、エポキシ基を3〜20個含み、かつ重量平均分子量が5,000未満であるエポキシ樹脂、及びエポキシ硬化剤を含む樹脂組成物であって、ポリエステルアミド酸100重量部に対し、エポキシ樹脂が20〜400重量部であり、エポキシ樹脂100重量部に対し、エポキシ硬化剤が0〜13重量部であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【0007】
[2] 前記ポリエステルアミド酸が、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、多価ヒドロキシ化合物及び1価アルコールを必須成分として反応させることにより得られる反応生成物である、上記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0008】
[3] 前記ポリエステルアミド酸が、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、多価ヒドロキシ化合物、1価アルコール及びシリコン含有モノアミンを必須成分として反応させることにより得られる反応生成物である、上記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0009】
[4] 前記シリコン含有モノアミンが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びp−アミノフェニルトリメトキシシランから選択される1種以上である、上記[3]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0010】
[5] 前記1価アルコールが、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレングリコールモノエチルエーテル及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンから選択される1種以上である、上記[2]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0011】
[6] 前記ポリエステルアミド酸が、更にスチレン−無水マレイン酸共重合体を反応させて得られたポリエステルアミド酸である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0012】
[7] 前記ポリエステルアミド酸が、Xモルのテトラカルボン酸二無水物、Yモルのジアミン及びZモルの多価ヒドロキシ化合物を、下記式(1)及び式(2)の関係が成立するような比率で反応させて得られる、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
0.2≦Z/Y≦8.0・・・・・・・(1)
0.2≦(Y+Z)/X≦1.5・・・(2)
【0013】
[8] 前記ポリエステルアミド酸が、下記一般式(3)及び(4)で示される構成単位を有する、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化2】

ここで、R1はテトラカルボン酸二無水物残基であり、R2はジアミン残基であり、R3は多価ヒドロキシ化合物残基である。
【0014】
[9] 前記ポリエステルアミド酸の重量平均分子量が1,000〜50,000である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0015】
[10] 前記テトラカルボン酸二無水物が、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物及びエチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)から選択される1種以上である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0016】
[11] 前記ジアミンが、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン及びビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンから選択される1種以上である、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0017】
[12] 前記多価ヒドロキシ化合物が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール及び1,8−オクタンジオールから選択される1種以上である、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0018】
[13] 前記エポキシ樹脂が、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンと1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノールとの混合物、または、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンである、上記[1]〜[12]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0019】
[14] 前記エポキシ硬化剤がトリメリット酸無水物及びヘキサヒドロトリメリット酸無水物から選択される1種以上である、上記[1]〜[13]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0020】
[15] 前記テトラカルボン酸二無水物が3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物であり、前記ジアミンが3,3’−ジアミノジフェニルスルホンであり、前記多価ヒドロキシ化合物が1,4−ブタンジオールであり、前記エポキシ樹脂が2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンと1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノールとの混合物、または、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンであり、前記エポキシ硬化剤がトリメリット酸無水物であり、更に溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを含有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0021】
[16] 前記テトラカルボン酸二無水物が3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物であり、前記ジアミンが3,3’−ジアミノジフェニルスルホンであり、前記多価ヒドロキシ化合物が1,4−ブタンジオールであり、前記1価アルコールがベンジルアルコールであり、前記エポキシ樹脂が2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンと1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノールとの混合物、または、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンであり、前記エポキシ硬化剤がトリメリット酸無水物であり、更に溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを含有する、上記[2]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0022】
[17] 上記[1]〜[16]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物から得られる硬化膜。
【0023】
[18] 上記[17]に記載の硬化膜を保護膜として用いたカラーフィルター。
【0024】
[19] 上記[18]に記載のカラーフィルターを用いた液晶表示素子。
【0025】
[20] 上記[18]に記載のカラーフィルターを用いた固体撮像素子。
【0026】
[21] TFTと透明電極間に形成される透明絶縁膜として、上記[17]に記載の硬化膜を用いた液晶表示素子。
【0027】
[22] 透明電極と配向膜間に形成される透明絶縁膜として、上記[17]に記載の硬化膜を用いた液晶表示素子。
【0028】
[23] 上記[17]に記載の硬化膜を保護膜として用いたLED発光体。
【発明の効果】
【0029】
本発明の好ましい態様に係る熱硬化性樹脂組成物は、平坦性及び耐熱性において特に優れており、カラー液晶表示素子のカラーフィルター保護膜として用いた場合、表示品位、及び信頼性を向上させることができる。また、本発明の好ましい態様に係る熱硬化性樹脂組成物を加熱することによって得られる硬化膜は、透明性、耐薬品性、密着性及び耐スパッタ性においてもバランスのとれたものであり、非常に実用性の高いものである。特に、染色法、顔料分散法、電着法及び印刷法により製造されたカラーフィルターの保護膜として有用である。また、各種光学材料の保護膜及び透明絶縁膜としても使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
1.熱硬化性樹脂組成物
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を必須成分として反応させることにより得られるポリエステルアミド酸、エポキシ基を3〜20個含み、かつ重量平均分子量が5,000未満であるエポキシ樹脂、及びエポキシ硬化剤を含む樹脂組成物であって、ポリエステルアミド酸100重量部に対し、エポキシ樹脂が20〜400重量部であり、エポキシ樹脂100重量部に対し、エポキシ硬化剤が0〜13重量部であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物である。
ポリエステルアミド酸の合成には、少なくとも溶剤が必要であり、この溶剤をそのまま残してハンドリング性等を考慮した液状やゲル状の熱硬化性樹脂組成物としてもよいし、この溶剤を除去して運搬性などを考慮した固形状の組成物としてもよい。また、ポリエステルアミド酸の合成には、原料として、必要に応じて、1価アルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、またシリコン含有モノアミンを含んでいてもよく、なかでも、1価アルコールを含むことが好ましい。
【0031】
1.1 テトラカルボン酸二無水物
本発明で用いられるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、以下のものを挙げることができる;芳香族テトラカルボン酸二無水物、例えば、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、及びエチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)(商品名;TMEG−100、新日本理化(株)製)等:脂環式テトラカルボン酸二無水物、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、及びシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等:脂肪族テトラカルボン酸二無水物、例えば、エタンテトラカルボン酸二無水物、及びブタンテトラカルボン酸二無水物等。
【0032】
これらのなかでも透明性の良好な樹脂を与える、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)(商品名;TMEG−100、新日本理化(株)製)が好ましく、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
【0033】
1.2 ジアミン
本発明で用いられるジアミンの具体例としては、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル][3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル][3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどを挙げることができる。
【0034】
これらのなかでも透明性の良好な樹脂を与える3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、及びビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンが好ましく、3,3'−ジアミノジフェニルスルホンが特に好ましい。
【0035】
1.3 多価ヒドロキシ化合物
本発明で用いられる多価ヒドロキシ化合物の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量1,000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、分子量1,000以下のポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、3,6−オクタンジオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2,10−デカントリオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ビスフェノールA(商品名)、ビスフェノールS(商品名)、ビスフェノールF(商品名)、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンなどを挙げることができる。
【0036】
これらのなかでも溶剤への溶解性が良好なエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、及び1,8−オクタンジオールが好ましく、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールが特に好ましい。
【0037】
1.4 1価アルコール
本発明で用いられる1価のアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フェノール、ボルネオール、マルトール、リナロール、テルピネオール、ジメチルベンジルカルビノール、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどを挙げることができる。
【0038】
これらのなかでもイソプロピルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンが好ましい。これらを使用してできるポリエステルアミド酸と、エポキシ樹脂およびエポキシ硬化剤を混合した場合の相溶性や、最終製品である熱硬化性樹脂組成物のカラーフィルター上への塗布性を考慮すると、1価のアルコールにはベンジルアルコールの使用がより好ましい。
【0039】
1.5 シリコン含有モノアミン
本発明で用いられるシリコン含有モノアミンの具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、及びm−アミノフェニルメチルジエトキシシランなどを挙げることができる。
【0040】
これらのなかでも塗膜の耐酸性が良好な3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びp−アミノフェニルトリメトキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
【0041】
1.6 重合反応に用いる溶剤
ポリエステルアミド酸を得るための重合反応に用いる溶剤の具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、及びN,N−ジメチルアセトアミドなどを挙げることができる。
これらのなかでもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、及びジエチレングリコールメチルエチルエーテルが好ましい。
【0042】
これらの溶剤は単独、または2種以上の混合溶剤として使用できる。また、30重量%以下の割合であれば上記溶剤以外に他の溶剤を混合して用いることもできる。
【0043】
1.7 ポリエステルアミド酸の製造方法
本発明で用いられるポリエステルアミド酸の製造方法は、テトラカルボン酸二無水物Xモル、ジアミンYモル、及び多価ヒドロキシ化合物Zモルを上記溶剤中で反応させる。このときX、Y及びZはそれらの間に下記式(1)及び式(2)の関係が成立するような割合に定めることが好ましい。この範囲であれば、ポリエステルアミド酸の溶剤への溶解性が高く、したがって組成物の塗布性が向上し、結果として平坦性に優れた硬化膜を得ることができる。
0.2≦Z/Y≦8.0 ・・・(1)
0.2≦(Y+Z)/X≦1.5 ・・・(2)
(1)式の関係は、好ましくは0.7≦Z/Y≦7.0であり、より好ましくは1.3≦Z/Y≦7.0である。また、(2)式の関係は、好ましくは0.5≦(Y+Z)/X≦0.9であり、更に好ましくは0.7≦(Y+Z)/X≦0.8である。
【0044】
本発明で用いられるポリエステルアミド酸が、分子末端に酸無水物基を有している場合には、必要により、上述した1価アルコールを添加して反応させることができる。1価アルコールを添加して反応することにより得られたポリエステルアミド酸は、エポキシ樹脂およびエポキシ硬化剤との相溶性が改善されるとともに、それらを含む本発明の熱硬化性樹脂組成物の塗布性が改善される。
【0045】
また、上述したシリコン含有モノアミンを分子末端に酸無水物基を有するポリエステルアミド酸と反応させる場合には、得られた塗膜の耐酸性が改善される。更に、1価アルコールとシリコン含有モノアミンを同時にポリエステルアミド酸と反応させることもできる。
【0046】
反応溶剤は、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物の合計100重量部に対し100重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。反応は40℃〜200℃で、0.2〜20時間反応させるのがよい。シリコン含有モノアミンを反応させる場合には、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物の反応が終了した後に、反応液を40℃以下まで冷却した後、シリコン含有モノアミンを添加し、10〜40℃で0.1〜6時間反応させるとよい。また、1価アルコールは反応のどの時点で添加してもよい。
【0047】
反応原料の反応系への添加順序は、特に限定されない。すなわち、テトラカルボン酸二無水物とジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を同時に反応溶剤に加える、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を反応溶剤中に溶解させた後、テトラカルボン酸二無水物を添加する、テトラカルボン酸二無水物と多価ヒドロキシ化合物をあらかじめ反応させた後、その反応生成物にジアミンを添加する、またはテトラカルボン酸二無水物とジアミンをあらかじめ反応させた後、その反応生成物に多価ヒドロキシ化合物を添加するなどいずれの方法も用いることができる。
【0048】
また、本発明に用いられるポリエステルアミド酸は、酸無水物基を3個以上有する化合物を添加して合成反応を行ってもよい。酸無水物基を3個以上有する化合物の具体例としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体を挙げることができる。スチレン−無水マレイン酸共重合体を構成する各成分の比率については、スチレン/無水マレイン酸のモル比が0.5〜4、好ましくは1〜3であり、具体的には、約1、約2又は約3がより好ましく、約1又は約2がさらに好ましく、約1が特に好ましい。
【0049】
スチレン−無水マレイン酸共重合体の具体例としては、川原油化(株)製、SMA3000P、SMA2000P、SMA1000Pなどの市販品を挙げることができる。これらのなかでも耐熱性及び耐アルカリ性が良好なSMA1000Pが特に好ましい。
【0050】
このようにして合成されたポリエステルアミド酸は前記一般式(3)及び(4)からなる構成単位を含み、その末端は原料であるテトラカルボン酸二無水物、ジアミン若しくは多価ヒドロキシ化合物に由来する酸無水物基、アミノ基若しくはヒドロキシ基であるか、またはこれら化合物以外の添加物がその末端を構成することが好ましい。一般式(3)及び(4)において、R1はテトラカルボン酸二無水物残基であり、好ましくは炭素数2〜30の有機基である。R2はジアミン残基であり、好ましくは炭素数2〜30の有機基である。R3は多価ヒドロキシ化合物残基であり、好ましくは炭素数2〜20の有機基である。
【0051】
得られたポリエステルアミド酸の重量平均分子量は1,000〜50,000であることが好ましく、3,000〜20,000がより好ましい。これらの範囲にあれば、平坦性および耐熱性が良好となる。
【0052】
1.8 エポキシ樹脂
本発明に用いられる、エポキシ基を3〜20個含み、かつ重量平均分子量が5,000未満であるエポキシ樹脂は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を形成する他成分との相溶性がよければ特に限定されることはない。エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の数は、好ましくは3〜15個であり、より好ましくは3〜6個であり、更に好ましくは3個である。これらの範囲にあれば、耐熱性が良好となる。エポキシ樹脂の重量分子量は、好ましくは200〜3,000であり、より好ましくは200〜2,000であり、更に好ましくは200〜1,000である。これらの範囲にあれば、平坦性が良好となる。
【0053】
エポキシ樹脂の好ましい例としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエ−テル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、環式脂肪族エポキシ樹脂などが好ましい。これらのなかでも、グリシジルエ−テル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が、耐熱性に優れているため、特に好ましい。
【0054】
エポキシ樹脂の具体例としては、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンと1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノールとの混合物、及び2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンが特に好ましい。また、これらのエポキシ樹脂としては、下記のような市販品を用いることができる。
【0055】
エポキシ基を3〜20個含み、かつ重量平均分子量が5,000未満であるグリシジルエ−テル型エポキシ樹脂としては、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)、EPPN−501H、502H(商品名;日本化薬(株)製)、JER 1032H60(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)など、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂としては、JER 157S65、157S70(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)など、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPPN−201(商品名;日本化薬(株)製)、JER 152、154(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)など、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EOCN−102S、103S、104S、1020(商品名;日本化薬(株)製)などを挙げることができる。
【0056】
1.9 エポキシ硬化剤
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、平坦性、耐薬品性を向上させるために、エポキシ硬化剤を添加してもよい。エポキシ硬化剤としては、酸無水物系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、及び触媒型硬化剤などがあるが、着色及び耐熱性の点から酸無水物系硬化剤が好ましい。
【0057】
酸無水物系硬化剤の具体例としては、以下のものを挙げることができる;脂肪族ジカルボン酸無水物、例えば、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物など:芳香族多価カルボン酸無水物、例えば、無水フタル酸、トリメリット酸無水物など:スチレン−無水マレイン酸共重合体。これらのなかでも耐熱性と溶剤に対する溶解性のバランスの点からトリメリット酸無水物、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物が特に好ましい。
【0058】
1.10 ポリエステルアミド酸、エポキシ樹脂、エポキシ硬化剤の比率
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ポリエステルアミド酸100重量部に対し、エポキシ樹脂は20〜400重量部である。エポキシ樹脂がこの範囲であると、平坦性、耐熱性、耐薬品性、密着性のバランスが良好である。エポキシ樹脂が50〜250重量部の範囲であるとさらに好ましい。
【0059】
平坦性、耐薬品性の向上を目的としてエポキシ硬化剤を添加する場合、エポキシ樹脂とエポキシ硬化剤の比率は、エポキシ基100重量部に対し、エポキシ硬化剤0〜13重量部である。好ましくは、5〜13重量部であり、より好ましくは8〜11重量部である。エポキシ硬化剤の添加量について、より詳細には、エポキシ基に対し、エポキシ硬化剤中のカルボン酸無水物基またはカルボン酸基が0.1〜1.5倍当量になるよう添加するのが好ましい。このとき、カルボン酸無水物基は2価で計算する。カルボン酸無水物基またはカルボン酸基が0.15〜0.8倍当量になるよう添加すると平坦性、耐薬品性が一層向上するので、さらに好ましい。
【0060】
1.11 熱硬化性樹脂組成物のその他の構成材料
本発明の樹脂組成物に用いられる溶剤としては、ポリエステルアミド酸を合成する際の重合反応で用いた溶剤をそのまま用いることができる。上記熱硬化性樹脂組成物の固形分は、塗膜の膜厚により選択することになるが、該樹脂組成物100重量部中に5〜40重量部の範囲で含まれるのが一般的である。なお、溶剤の量は、樹脂組成物のハンドリング等の問題に関係して適宜決定することができる。場合によっては、例えば、樹脂組成物中から溶剤を除去して、固形状態とした樹脂組成物であってもよい。
【0061】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて上記以外の他の成分を含有してもよい。このような他の成分として、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤などが挙げられる。
カップリング剤は、基板との密着性を向上させるために使用するものであり、上記熱硬化性樹脂組成物の固形分100重量部(該樹脂組成物から溶剤を除いた残りの成分)に対し10重量部以下添加して用いられる。
【0062】
カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系及びチタネート系の化合物を用いることができる。
具体的には、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシラン系、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウム系、並びにテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートなどのチタネート系を挙げることができる。これらのなかでも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、密着性を向上させる効果が大きいため好ましい。
【0063】
界面活性剤は、下地基板への濡れ性、レベリング性、または塗布性を向上させるために使用するものであり、上記熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられる。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤などが用いられる。具体的には、Byk−300、Byk−306、Byk−335、Byk−310、Byk−341、Byk−344、及びByk−370(商品名;ビック・ケミー(株)製)などのシリコン系、Byk−354、ByK−358、及びByk−361(商品名;ビック・ケミー(株)製)などのアクリル系、DFX−18、フタージェント250、並びにフタージェント251(商品名;ネオス(株)製)を挙げることができる。
【0064】
酸化防止剤は、透明性の向上、硬化膜が高温にさらされた場合の黄変を防止するために使用するものであり、上記熱硬化性樹脂組成物の固形分100重量部(該樹脂組成物から溶剤を除いた残りの成分)に対し0.1〜3重量部添加して用いられる。酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系などが用いられる。具体的には、IRGAFOS XP40、IRGAFOS XP60、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1135、IRGANOX 1520L(商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)などを挙げることができる。
【0065】
2.熱硬化性樹脂組成物から得られる硬化膜
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ポリエステルアミド酸及びエポキシ樹脂を混合し、目的とする特性によっては、さらに溶剤、エポキシ硬化剤、カップリング剤及び界面活性剤を必要により選択して添加し、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。
上記のようにして調製された、熱硬化性樹脂組成物(溶剤がない固形状態の場合には溶剤に溶解させた後)を、基体表面に塗布し、例えば加熱などにより溶剤を除去すると、塗膜を形成することができる。基体表面への熱硬化性樹脂組成物の塗布は、スピンコート法、ロールコート法、ディッピング法、及びスリットコート法など従来から公知の方法により塗膜を形成することができる。次いでこの塗膜はホットプレート、またはオーブンなどで加熱(プリベーク)される。加熱条件は各成分の種類及び配合割合によって異なるが、通常70〜120℃で、オーブンなら5〜15分間、ホットプレートなら1〜5分間である。その後、塗膜を硬化させるために180〜250℃、好ましくは200〜250℃で、オーブンなら30〜90分間、ホットプレートなら5〜30分間加熱処理することによって硬化膜を得ることができる。
【0066】
このようにして得られた硬化膜は、加熱時において、1)ポリエステルアミド酸のポリアミド酸部分が脱水環化しイミド結合を形成、2)ポリエステルアミド酸のカルボン酸がエポキシ樹脂と反応して高分子量化、及び、3)エポキシ樹脂が硬化し高分子量化、しているため、非常に強靭であり、透明性、耐熱性、耐薬品性、平坦性、密着性及び耐スパッタ性に優れている。したがって、本発明の硬化膜は、カラーフィルター用の保護膜として用いると効果的であり、このカラーフィルターを用いて、液晶表示素子や固体撮像素子を製造することができる。また、本発明の硬化膜は、カラーフィルター用の保護膜以外にも、TFTと透明電極間に形成される透明絶縁膜や透明電極と配向膜間に形成される透明絶縁膜として用いると効果的である。さらに、本発明の硬化膜は、LED発光体の保護膜として用いても効果的である。
【実施例】
【0067】
次に本発明を合成例、実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
まず、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、多価ヒドロキシ化合物の反応生成物からなるポリエステルアミド酸溶液を以下に示すように合成した(合成例1,2、表1)。
【0068】
[合成例1]
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた1000mlの四つ口フラスコに、脱水精製した3−メトキシプロピオン酸メチル(以下「MMP」と略記)446.96g、1,4−ブタンジオール31.93g、ベンジルアルコール25.54g、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(以下「ODPA」と略記)183.20gを仕込み、乾燥窒素気流下130℃で3時間攪拌した。その後、反応液を25℃まで冷却し、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン(以下「DDS」と略記)29.33g、MMP183.04gを投入し、20〜30℃で2時間攪拌した後、115℃で1時間攪拌、30℃以下に冷却することにより淡黄色透明なポリエステルアミド酸の30重量%溶液を得た。
この溶液の回転粘度は28.5mPa・sであった。ここで回転粘度とはE型粘度計(商品名;VISCONIC END(株)東京計器製)を使用して25℃で測定した粘度である(以下同じ)。また、GPCで測定した重量平均分子量は4,200(ポリスチレン換算)であった。
【0069】
[合成例2]
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた1000mlの四つ口フラスコに、脱水精製したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と略記)504.00g、ODPA47.68g、SMA1000P(商品名;スチレン・無水マレイン酸共重合体、川原油化(株)製)144.97g、ベンジルアルコール55.40g、1,4−ブタンジオール9.23g、脱水精製したジエチレングリコールメチルエチルエーテル(以下「EDM」と略記)96.32gの順に仕込み、乾燥窒素気流下130℃で3時間攪拌した。その後、反応液を25℃まで冷却し、DDS12.72g、EDM29.68gを投入し、20〜30℃で2時間攪拌した後、115℃で1時間攪拌、30℃以下に冷却することにより淡黄色透明なポリエステルアミド酸の30重量%溶液を得た。
この溶液の回転粘度は36.2mPa・s、GPCで測定した重量平均分子量は21,000(ポリスチレン換算)であった。
【0070】
【表1】

MMP :3−メトキシプロピオン酸メチル
ODPA :3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
DDS :3,3'−ジアミノジフェニルスルホン
PGMEA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
SMA1000P:スチレン・無水マレイン酸共重合体、川原油化(株)製
EDM :ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
【0071】
次に、合成例1,2で得られたポリエステルアミド酸を用いて、熱硬化性樹脂組成物を以下に示すように調製し、該熱硬化性樹脂組成物から硬化膜を得て、この硬化膜の評価を行った(実施例1〜5、比較例1,2、表2〜4及び5)。
【0072】
[実施例1]
撹拌羽根の付いた500mlのセパラブルフラスコを窒素置換し、そのフラスコに、合成例1で得られたポリエステルアミド酸溶液100g、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)60g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン4.5g、IRGANOX 1010(商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.47g、脱水精製したMMP170.6g、及び脱水精製したEDM60.2gを仕込み、室温で5hr撹拌し、均一に溶解させた。次いで、Byk−344(商品名;ビック・ケミー(株)製)0.44gを投入し、室温で1時間撹拌し、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過して塗布液を調製した。
次に、この塗布液をガラス基板上及びカラーフィルター基板上に700rpmで10秒間スピンコートした後、ホットプレート上で80℃で3分間プリベークして塗膜を形成させた。その後、オーブンで、230℃で30分間加熱することにより塗膜を硬化させ、膜厚1.5μmの硬化膜を得た。
このようにして得られた硬化膜について、平坦性、耐熱性、透明性、耐薬品性、密着性及び耐スパッタ性について特性を評価した。これらの評価結果を表5に示す。
【0073】
[平坦性の評価方法]
得られた硬化膜付きカラーフィルター基板の硬化膜表面の段差を段差・表面あらさ・微細形状測定装置(商品名;P−15、KLA TENCOR(株)製)を用いて測定した。ブラックマトリクスを含むR、G、B画素間での段差の最大値(以下、最大段差と略記)が0.2μm未満である場合を○、0.2μm以上である場合を×とした。また、使用したカラーフィルター基板は、最大段差約1.1μmの樹脂ブラックマトリクスを用いた顔料分散カラーフィルター(以下、CFと略記)である。
【0074】
[耐熱性1の評価方法]
得られた硬化膜付きガラス基板を250℃で1時間再加熱した後、加熱前の膜厚に対する加熱後の残膜率、及び加熱後の400nmでの透過率を測定した。加熱後の残膜率が95%以上であり、かつ、加熱後の400nmでの透過率が95%以上の場合を○とした。加熱後の残膜率が95%未満、または、加熱後の400nmでの透過率が95%未満の場合を×とした。
【0075】
[耐熱性2の評価方法]
得られた硬化膜付きガラス基板より硬化膜を削り取り、示差熱熱重量同時測定装置(商品名;TG/DTA6200、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)により以下の条件で硬化膜の1%重量減少温度を測定した。1%重量減少温度が、290℃以上を○とし、290℃未満を×とした。
・温度条件 25℃→(昇温速度10℃/min)→350℃
・100℃の重量を基準(100%)とし、それより1%重量が減少する温度を1%重量減少温度とした。
【0076】
[透明性の評価方法]
得られた硬化膜付きガラス基板において、分光光度計(商品名;MICRO COLOR ANALYZER TC−1800M、(有)東京電色技術センター製)により硬化膜のみの光の波長400nmでの透過率を測定した。透過率が95%以上の場合を○、95%未満の場合を×とした。
【0077】
[耐薬品性の評価方法]
得られた硬化膜付きガラス基板に、5重量%水酸化ナトリウム水溶液に60℃で10分間浸漬処理(以下、NaOH処理と略記)、36%塩酸/60%硝酸/水=40/20/40からなる混合液(重量比)に50℃で3分間浸漬処理(以下、酸処理と略記)、N−メチル−2−ピロリドン中に50℃で30分間浸漬処理(以下、NMP処理と略記)、γ−ブチロラクトン中に50℃で30分間浸漬処理(以下、GBL処理と略記)、イソプロピルアルコール中に50℃で30分間浸漬処理(以下、IPA処理と略記)、超純水中に50℃で30分間浸漬処理(以下、純水処理と略記)を別々に施した後、各処理前の膜厚に対する各処理後の残膜率及び各処理前後の透過率を測定した。各処理後の残膜率が95%以上であり、かつ、各処理後の400nmでの透過率が95%以上の場合を○とした。各処理後の残膜率が95%未満、または、各処理後の透過率が95%未満の場合を×とした。
【0078】
[密着性の評価方法]
得られた硬化膜付きガラス基板について、温度=120℃、湿度=100%、及び圧力=0.2MPaという条件で24時間プレッシャークッカーテスト(以下、PCT処理と略記する)を行った後、硬化膜のテープ剥離によるゴバン目試験(JIS−K−5400)を行い、残存数を数えた。残存数/100が、100/100である場合を○、99/100以下である場合を×とした。
【0079】
[耐スパッタ性の評価方法]
得られた硬化膜付きガラス基板において、10Ω/cm2の抵抗値が得られるように、スパッタにより200℃でITO膜を硬化膜上に形成し、室温に戻したときの、ITO膜のシワ発生の有無を目視により観察した。シワがない場合を○、シワが発生した場合を×とした。
【0080】
[実施例2]
撹拌羽根の付いた500mlのセパラブルフラスコを窒素置換し、そのフラスコに、合成例1で得られたポリエステルアミド酸溶液100g、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)60g、トリメリット酸無水物6g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン4.8g、IRGANOX 1010(商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.50g、脱水精製したMMP186.6g、及び脱水精製したEDM64.2gを仕込み、室温で5hr撹拌し、均一に溶解させた。次いで、Byk−344(商品名;ビック・ケミー(株)製)0.46gを投入し、室温で1時間撹拌し、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過して塗布液を調製した。
実施例1と同様に、平坦性、耐熱性、透明性、耐薬品性、密着性及び耐スパッタ性について特性を評価した。これらの評価結果を表5に示す。
【0081】
[実施例3]
実施例2と同様の方法で、TECHMORE VG3101LのみをJER 157S65(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)に変更して、塗布液を調製した。
実施例1と同様に、平坦性、耐熱性、透明性、耐薬品性、密着性及び耐スパッタ性について特性を評価した。これらの評価結果を表5に示す。
【0082】
[実施例4]
実施例2と同様の方法で、TECHMORE VG3101LのみをEPPN−501H(商品名;日本化薬(株)製)に変更して、塗布液を調製した。
実施例1と同様に、平坦性、耐熱性、透明性、耐薬品性、密着性及び耐スパッタ性について特性を評価した。これらの評価結果を表5に示す。
【0083】
[実施例5]
実施例2と同様の方法で、ポリエステルアミド酸溶液を合成例2で得られた溶液に変更して、塗布液を調整した。
実施例1と同様に、平坦性、耐熱性、透明性、耐薬品性、密着性及び耐スパッタ性について特性を評価した。これらの評価結果を表5に示す。
【0084】
[比較例1]
実施例2と同様の方法で、TECHMORE VG3101Lのみを2官能エポキシ樹脂であるJER 828(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)に変更して、塗布液を調製した。
実施例1と同様に、平坦性、耐熱性、透明性、耐薬品性、密着性及び耐スパッタ性について特性を評価した。これらの評価結果を表5に示す。
【0085】
[比較例2]
実施例2と同様の方法で、TECHMORE VG3101Lのみをメチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体(モル比30:70、ポリスチレン換算重量平均分子量10,000)に変更して、塗布液を調製した。
実施例1と同様に、平坦性、耐熱性、透明性、耐薬品性、密着性及び耐スパッタ性について特性を評価した。これらの評価結果を表5に示す。
【0086】
【表2】

【表3】

【表4】

TECHMORE VG3101L:三井化学(株)製
JER 157S65 :ジャパンエポキシレジン(株)製
EPPN-501H :日本化薬(株)製
JER 828 :ジャパンエポキシレジン(株)製
共重合体A :メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体
モル比30:70、ポリスチレン換算重量平均分子量10,000
3−GPMS :3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
IRGANOX 1010 :チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
Byk-344 :ビック・ケミー(株)製
【0087】
【表5】

【0088】
表5に示した結果から明らかなように、実施例1〜5の硬化膜は、平坦性、耐熱性に優れており、さらに透明性、耐薬品性、密着性及び耐スパッタ性の全ての点においてバランスがとれていることが分かる。一方、比較例1の2官能エポキシ樹脂を用いた硬化膜は、平坦性は優れているものの、耐熱性、耐スパッタ性が劣り、比較例2の分子量が5,000以上のエポキシ樹脂(メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体)を用いた硬化膜は、平坦性が劣るというものであった。以上のように、エポキシ基を3〜20個含み、かつ重量平均分子量が5,000未満であるエポキシ樹脂を用いた場合のみ全ての特性を満足させることができた。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の熱硬化樹脂組成物より得られた硬化膜は、耐スパッタ性及び透明性など光学材料としての特性にも優れている点から、カラーフィルター、LED発光素子及び受光素子などの各種光学材料などの保護膜、並びに、TFTと透明電極間及び透明電極と配向膜間に形成される透明絶縁膜として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び多価ヒドロキシ化合物を必須成分として反応させることにより得られるポリエステルアミド酸、エポキシ基を3〜20個含み、かつ重量平均分子量が5,000未満であるエポキシ樹脂、及びエポキシ硬化剤を含む樹脂組成物であって、ポリエステルアミド酸100重量部に対し、エポキシ樹脂が20〜400重量部であり、エポキシ樹脂100重量部に対し、エポキシ硬化剤が0〜13重量部であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリエステルアミド酸が、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、多価ヒドロキシ化合物及び1価アルコールを必須成分として反応させることにより得られる反応生成物である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリエステルアミド酸が、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、多価ヒドロキシ化合物、1価アルコール及びシリコン含有モノアミンを必須成分として反応させることにより得られる反応生成物である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記シリコン含有モノアミンが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びp−アミノフェニルトリメトキシシランから選択される1種以上である、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記1価アルコールが、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレングリコールモノエチルエーテル及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンから選択される1種以上である、請求項2〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記ポリエステルアミド酸が、更にスチレン−無水マレイン酸共重合体を反応させて得られたポリエステルアミド酸である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記ポリエステルアミド酸が、Xモルのテトラカルボン酸二無水物、Yモルのジアミン及びZモルの多価ヒドロキシ化合物を、下記式(1)及び式(2)の関係が成立するような比率で反応させて得られる、請求項1〜6のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
0.2≦Z/Y≦8.0・・・・・・・(1)
0.2≦(Y+Z)/X≦1.5・・・(2)
【請求項8】
前記ポリエステルアミド酸が、下記一般式(3)及び(4)で示される構成単位を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化1】

ここで、R1はテトラカルボン酸二無水物残基であり、R2はジアミン残基であり、R3は多価ヒドロキシ化合物残基である。
【請求項9】
前記ポリエステルアミド酸の重量平均分子量が1,000〜50,000である、請求項1〜8のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
前記テトラカルボン酸二無水物が、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物及びエチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)から選択される1種以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
前記ジアミンが、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン及びビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンから選択される1種以上である、請求項1〜10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
前記多価ヒドロキシ化合物が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール及び1,8−オクタンジオールから選択される1種以上である、請求項1〜11のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項13】
前記エポキシ樹脂が、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンと1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノールとの混合物、または、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンである、請求項1〜12のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項14】
前記エポキシ硬化剤がトリメリット酸無水物及びヘキサヒドロトリメリット酸無水物から選択される1種以上である、請求項1〜13のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項15】
前記テトラカルボン酸二無水物が3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物であり、前記ジアミンが3,3’−ジアミノジフェニルスルホンであり、前記多価ヒドロキシ化合物が1,4−ブタンジオールであり、前記エポキシ樹脂が2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンと1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノールとの混合物、または、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンであり、前記エポキシ硬化剤がトリメリット酸無水物であり、更に溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項16】
前記テトラカルボン酸二無水物が3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物であり、前記ジアミンが3,3’−ジアミノジフェニルスルホンであり、前記多価ヒドロキシ化合物が1,4−ブタンジオールであり、前記1価アルコールがベンジルアルコールであり、前記エポキシ樹脂が2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンと1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノールとの混合物、または、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンであり、前記エポキシ硬化剤がトリメリット酸無水物であり、更に溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを含有する、請求項2〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物から得られる硬化膜。
【請求項18】
請求項17に記載の硬化膜を保護膜として用いたカラーフィルター。
【請求項19】
請求項18に記載のカラーフィルターを用いた液晶表示素子。
【請求項20】
請求項18に記載のカラーフィルターを用いた固体撮像素子。
【請求項21】
TFTと透明電極間に形成される透明絶縁膜として、請求項17に記載の硬化膜を用いた液晶表示素子。
【請求項22】
透明電極と配向膜間に形成される透明絶縁膜として、請求項17に記載の硬化膜を用いた液晶表示素子。
【請求項23】
請求項17に記載の硬化膜を保護膜として用いたLED発光体。

【公開番号】特開2008−156546(P2008−156546A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348994(P2006−348994)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】