説明

熱線遮蔽膜形成基材の製法

【課題】十分な熱線遮蔽性能、及び建築用途、車両用途として十分に使用できる耐摩耗性、耐候性を有する熱線遮蔽膜形成基材をより低コストで生産するために、処理剤の基材への塗着効率が改善された該基材の製法を提供することを課題とする。
【解決手段】トリアルコキシシラン又はトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランを出発原料として形成されたゾル溶液、及び錫ドープ酸化インジウム超微粒子が分散された溶液とを混合して処理剤とする工程、及び処理剤を基材に塗布する塗布工程を有し、前記ゾル溶液は、沸点が100乃至200℃の有機溶媒を分散媒とするゾル溶液とし、前記塗布工程を、処理剤を保持した部材を基材に接触させる手段とすること、又は処理剤の噴霧による手段とすること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理剤の塗布により形成される熱線遮蔽膜形成基材の製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築用や車両用の窓等として近赤外線を遮蔽することが可能なガラス基材が注目されている。太陽光エネルギーの中でも、近赤外線は熱的作用が大きいため、それの室内への流入を防ぐことで、快適性の向上、冷房効率の向上等が望める。そして、建築用途、車両用途では、十分な熱線遮蔽性能を有しつつ、耐摩耗性、耐候性といった耐久性、携帯電話、TV、ラジオ、ITS等で使用される波長帯の電波透過性能を有することが求められる。
【0003】
こうした背景の下、錫ドープ酸化インジウム(ITO)超微粒子とバインダ成分を混合する等により得られる処理剤から形成された熱線遮蔽膜形成基材が注目されている。例えば、特許文献1乃至3では、ITO微粉末と、Si、Al、Zr、Ti等のアルコキシド又は有機樹脂よりなるバインダ成分を混合する等により得られる処理剤を基材上にコーティングすることにより得られる熱線カットオフ効果を有する基材が開示されている。
【特許文献1】特開平07−070482号公報
【特許文献2】特開平08−041441号公報
【特許文献3】特開2004−338985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ように処理剤の塗布により熱線遮蔽膜形成基材を製造する方法は、基材に塗布するための手段さえあればいいので、該基材を低コストで得る方法として優れた可能性を有するものである。しかしながら、処理剤を塗布する手段によっては、処理剤の基材への塗着効率が低く、製造過程で処理剤の大部分が無駄になる場合がある。
【0005】
近年、処理剤の主原料の一つである錫ドープ酸化インジウム(ITO)超微粒子は、その価格が高騰している。従って、熱線遮蔽膜形成基材をより低コストで生産するために、処理剤を効率良く基材に塗着させる技術開発が欠かせない。
【0006】
本発明は、上記を考慮し、十分な熱線遮蔽性能、及び建築用途、車両用途の窓ガラス等として十分に使用できる耐摩耗性、耐候性を有する熱線遮蔽膜形成基材をより低コストで生産するために、処理剤の基材への塗着効率が改善された該基材の製法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、処理剤の基材への塗着効率に関し、使用される処理剤のほとんどが基材へ塗着されることを目標に設定した。
【0008】
処理剤の基材への塗着効率が高い塗布方法は、処理剤を保持した部材を基材に接触させる手段によるもので所謂手塗り又はそれに準ずる手段による塗布方法、スプレー等による噴霧による塗布方法である。しかしながら、これら塗布方法では、均質な膜を形成するために、塗布された処理剤が自らの作用で、基材上で均質に水平化、すなわちレベリングされなければならない。
【0009】
塗布された処理剤のレベリングの達成度合い、すなわちレベリング性は、形成される膜のヘーズ等の外観品質に大きな影響を与える。従って、処理剤を基材へ効率良く塗布するためには、レベリング性の良い処理剤が提供されなければならない。そして、基材に塗布された処理剤のレベリング性に与える因子を検討した結果、処理剤の溶媒の揮発速度が処理剤のレベリング性に最も影響を与える因子であるとの知見を得た。
【0010】
本発明は、上記技術思想を背景として検討してなされたものである。すなわち、本発明の熱線遮蔽膜形成基材の製法は、処理剤の基材への塗着効率が改善された該基材の製法であり、トリアルコキシシラン又はトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを出発原料として形成されたゾル溶液、及び錫ドープ酸化インジウム(以下、ITOと表記する場合あり)超微粒子が分散された溶液とを混合して処理剤とする工程、及び処理剤を基材に塗布する塗布工程を有し、前記処理剤は、沸点が100乃至200℃の有機溶媒を分散媒として有する処理剤とし、前記塗布を、処理剤を保持した部材を基材に接触させる手段とすること、又は処理剤の噴霧による手段とすることで、形成される膜のヘーズ値を0.5%以下とすることを特徴とする。
【0011】
本発明の熱線遮蔽膜形成基材の製法では、処理剤はトリアルコキシシラン又はトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを出発原料として形成されたゾル溶液、及びITO超微粒子が分散された溶液とが混合されることで得られる。そして、処理剤中の溶媒に沸点が100乃至200℃での化学種を含有させれば、ITO超微粒子の処理剤中での分散性を確保したまま、基材に塗布された処理剤からの溶媒の揮発を適度に遅延させることが可能となり、結果、処理剤のレベリング性が格段に向上することとなる。ここで、沸点を上記範囲としたのは、100℃未満では、溶媒の揮発を適度に遅延させることができず、200℃超では、溶媒の揮発に時間がかかりすぎるようになるからである。
【0012】
前記ゾル溶液を調製する際、沸点が100乃至200℃の有機溶媒をゾル溶液の分散媒としてゾル溶液を調製すれば、処理剤の調製工程が簡素化されるので好ましい。
【0013】
又、熱線遮蔽膜では、波長0.8μm以上の赤外線の吸収量は、膜厚に大きく影響されるため、十分な熱線遮蔽性を得るためには、1μm以上の膜厚が必要である。加えて、建築用又は車両用窓ガラスとして使用するためには、実用上十分な耐摩耗性を有することが好ましい。これらの要求を満たすためには、超微粒子と超微粒子とのつなぎに使用されるバインダ成分の選択が重要となる。
【0014】
本発明で得られる熱線遮蔽膜のバインダ成分はケイ素化合物であり、トリアルコキシシラン又はトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを出発原料として得られる。そして、予めアルコキシシランをゾル化し、それをITO超微粒子が分散された溶液と混合することで、ITO超微粒子を凝集・沈降させることなく、処理剤を作製することが可能である。
【0015】
前記したような厚膜を得るためには、塗布された処理剤がゲル化するときに膜内での応力の発生が少ないものとすることが好ましい。ゲル化時の発生応力が大きいと膜にクラックが生じやすくなり、外観が損なわれる。
【0016】
反応活性基が3個であるトリアルコキシシランから形成されるケイ素化合物は、空間的な余裕が生じるために、ゲル化時の発生応力が比較的小さくクラックが生じにくい。また、反応活性基が3個あるため、一つのケイ素化合物が3つの強固なシロキサン結合を形成するため、架橋されたネットワークを形成することが可能である。しかしながら、反応活性基が2個以下のものを使用した場合、ケイ素化合物に空間的余裕をより生じさせるが、鎖状のネットワークしか形成されないため、膜の耐摩耗性などが低下する。
【0017】
また、本発明で得られる膜を、建築用又は車両用窓ガラスとして実用上十分な耐摩耗性を有するものとするためには、バインダ成分のケイ素化合物の架橋密度を高いものとすることが好ましい。そのためには、バインダ成分のケイ素化合物の出発原料には、トリアルコキシシランだけでなく、反応活性基を4個有するテトラアルコキシシランも使用することができる。出発原料としてテトラアルコキシシランも使用すると硬度が高く、耐摩耗性に優れる膜を得やすく、例えば鉛筆硬度において5H以上、又その導入量を増やせば7H以上の膜を得やすくなる。
【0018】
テトラアルコキシシランの使用は、硬度の高い膜の形成に奏功する。しかしながら、該化学種の使用は、膜形成過程におけるゲル化時に、架橋構造中の空間的な余裕を少なくする傾向があるので、膜中にクラックが生じやすくなる。これを考慮すると、ゾル溶液中のテトラアルコキシシランに由来するケイ素化合物量をトリアルコキシシランに由来するケイ素化合物量に対して、重量比で4倍以下となるように調整することが好ましい。
【0019】
また、テトラアルコキシシランの使用は、得られる膜にガラス質な外観、或いは触感をもたらすので好ましい。ガラス質な触感を有する熱線遮蔽膜形成基材を自動車のサイドドアの窓に使用すると、窓の上下動の際に、窓はすべり性が良く、加えて、音鳴きが発生しにくくなる。これを考慮すると、テトラアルコキシシランを使用して形成された熱線遮蔽膜形成基材は、自動車のサイドドアの窓等の上下動される窓への使用に好適である。
【0020】
膜の外観、触感、鉛筆硬度で7H以上の硬度を得ること、膜の耐摩耗性等を考慮すると、ゾル溶液中のテトラアルコキシシランに由来するケイ素化合物量をトリアルコキシシランに由来するケイ素化合物量に対して、重量比で1倍以上となるように調整することが好ましい。
【0021】
尚、前記した数値限定の基準となるケイ素化合物量は、原料のテトラアルコキシシラン、又はトリアルコキシシランから形成される酸化ケイ素化合物の量を基準としたものである。
【0022】
そして、前記処理剤の基材への塗布を、処理剤を保持した部材を基材に接触させる手段によるもの、又は処理剤の噴霧による手段とすることで、処理剤の基材への塗着率を高くでき、膜のヘーズ値が0.5%以下で透過性、熱線遮蔽性、及び硬度、耐久性等に優れる膜が形成された熱線遮蔽膜形成基材が得られる。透過性の観点から、膜のヘーズ値は低いことが好ましいが、熱線遮蔽膜形成基材の製造効率の観点から膜のヘーズ値を0.1%以上、さらには0.2%以上としてもよい。
【0023】
尚、前記ヘーズ値は、JIS R 3212(1998年)の耐磨耗性試験の項目に記載のヘーズメーターによるヘーズ値の測定方法に準拠した方法で得られる値で定義される。本発明で得られる熱線遮蔽膜形成基材での前記規定によるヘーズ値の測定では、基材+膜で測定することになるが、基材のヘーズ値が0.2%以下と低い場合には、膜形成基材で得られる測定値を膜のヘーズ値とみなしてよい。尚、基材のヘーズ値が0.2%超の場合、基材を薄く加工して基材のヘーズ値を0.2%以下と小さくする。又は、同じ手法で、ヘーズ値が0.2%以下の基材で熱線遮蔽膜形成基材を形成し、該基材から得られるヘーズ値を膜のヘーズ値として準用してもよい。
【0024】
処理剤中の溶媒は、前記ゾル溶液中の溶媒及びITO超微粒子が分散された溶液中の溶媒からもたらされる。そして、処理剤中の溶媒において高沸点溶媒の割合を上げるとレベリング性が向上する。これら、レベリング性に関して種々の検討を行った結果、処理剤中の溶媒において、沸点が100乃至200℃の有機溶媒量を30重量%以上とすることが好ましいことが分かった。
【0025】
そして、熱線遮蔽膜形成基材の効率的な生産のために、処理剤へのケイ素化合物成分、及びITO超微粒子の添加される量は、処理剤の総量に対して、5重量%乃至50重量%、より好ましくは15重量%乃至40重量%とすることが望ましい。
【0026】
処理剤を基材に塗布後、50〜300℃で焼成することで膜の鉛筆硬度を3H以上とすることが好ましい。熱線遮蔽膜形成基材を自動車用又は建築用の窓として使用することを想定すると、膜の硬度が高い方が好ましく、鉛筆硬度において、3H〜9Hの強度を有する膜が実用的である。処理剤を塗布後に加熱を行うことで、膜が焼きしまるので、膜の実用強度を考慮すると、50〜300℃、好適には130〜300℃で焼成することが好ましい。
【0027】
また、ケイ素化合物濃度を下げれば膜の耐摩耗性が下がり、ITO微粒子濃度を下げると熱線遮蔽性能が低下するため、耐摩耗性及び熱線遮蔽性能を両立する組成を得るためには、処理剤中のケイ素化合物と錫ドープ酸化インジウム超微粒子との重量との比を2:8乃至7:3とすることが好ましい。
【0028】
また、処理剤を形成する際に、さらに有機金属錯体を硬化触媒として添加して処理剤を形成してもよい。該硬化触媒を添加すると、得られる熱線遮蔽膜形成基材の硬度、耐磨耗性が向上するので好適である。該硬化触媒は、処理剤中のケイ素化合物量に重量比で、0.05倍量迄してもよい。0.05倍量超では、添加量に対する触媒効果発揮の効果が薄くなる傾向があるので、大量の触媒を添加する必要はない。他方、触媒効果を発揮させるためには、硬化触媒は処理剤中のケイ素化合物量に重量比で、0.0001倍量以上添加することが好ましい。
【0029】
硬化触媒は、特に、スズ、アルミニウム、チタン、ジルコニウムなどの金属錯体がより好適に用いられる。ここで、有機金属錯体は弗化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アセチルアセトナート塩などが好ましい。
【0030】
尚、前記したケイ素化合物とITO超微粒子との比、ケイ素化合物と硬化触媒との比での数値限定の基準となるケイ素化合物量は、原料のテトラアルコキシシラン、又はトリアルコキシシランから形成される酸化ケイ素化合物の量を基準としたものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明の熱線遮蔽膜形成基材の製法で供される処理剤は、基材を塗布する際のレベリング性に優れるので、処理剤を効率良く基材に塗着させることができる。よって、本発明による熱線遮蔽膜形成基材の製法では、十分な熱線遮蔽性能、及び建築用途、車両用途の窓ガラス等として十分に使用できる耐摩耗性、耐候性を有する熱線遮蔽膜形成基材をより低コストで生産することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の熱線遮蔽膜形成基材の製法は、トリアルコキシシラン又はトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを出発原料として形成されたゾル溶液、及び錫ドープ酸化インジウム(以下、ITOと表記する場合あり)超微粒子が分散された溶液とを混合して処理剤とする工程、及び処理剤を基材に塗布する塗布工程を有し、前記処理剤は、沸点が100乃至200℃の有機溶媒を分散媒として有する処理剤とし、前記塗布工程での塗布を、処理剤を保持した部材を基材に接触させる手段とすること、又は処理剤の噴霧による手段とすることを特徴とする。
【0033】
前記ITO超微粒子は、1000nm以上の近赤外線を吸収することが知られている。一般的に、ある物質には固有のプラズマ共鳴周波数があり、この周波数より長波長の光は反射され、短波長の光は透過することが知られている。このプラズマ共鳴周波数は、伝導電子密度が増加することにより短波長側にシフトすることが知られている。ATOなどの他の透明導電材料に比べて、ITOは伝導電子密度が高いため、1000nm乃至1300nm付近から吸収が始まることが知られている。
【0034】
前記ITO超微粒子は、その平均粒径が200nm以下、好適には100nm以下のものを使用することが好ましい。一般的に、ある光の波長のちょうど半分前後の粒径の粒子において、その散乱が最大になるといわれている。そのため、ITO超微粒子の平均粒径は可視光線の最短波長である400nmの半分である200nm以下、より好ましくは100nm以下とすることが好ましい。
【0035】
尚、上記平均粒径は、JIS H 7804(2005年)に準拠した方法で測定される。尚、本JISでは、紹介されているものは、平均粒径が100nmサイズの大きさまでであるが、100nm超のものであっても、平均粒径100nmサイズのものの測定方法を援用して測定される。
【0036】
前記ITO超微粒子は分散媒中に分散された状態で供される。該分散媒には、ゾル溶液との相溶性を考慮し、アルコール系溶媒、特には低級アルコール系溶媒を主成分とする分散媒、シリカゾルの分散媒として使用される沸点が100乃至200℃の有機溶媒を主成分とする分散媒が使用されることが好ましい。
【0037】
前記トリアルコキシシランには、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、イソブチルトリプロポキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、イソブチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン等を使用できる。
【0038】
さらに、アルコキシ基以外の部位の有機基により、何らかの機能を付与することも可能である。例えば、耐摩耗性を向上させる目的でエポキシ基やオキセタニル基がついた3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−オキセタニルプロピルトリエトキシシラン等を使用できる。
【0039】
処理剤のレベリング性の向上のためには、前記したトリアルコキシシランの有機基は、サイズの大きな有機基を用いることが好ましい。例えば、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが好ましい。
【0040】
他方、得られる膜の触感をよりガラス質に近いものにするために、前記したトリアルコキシシランの有機基は、サイズの小さな有機基を用いることが好ましい。例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランなど、有機基がメチル基であればより好ましい。
【0041】
前記テトラアルコキシシランには、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシランなどを使用することが可能である。そして、前記トリ及びテトラアルコキシシランは、それぞれ単独種の化合物を使用してもよいし、複種の化合物を使用してもよい。
【0042】
そして、沸点が100℃乃至200℃の有機溶媒は、水酸基を含む化学種であることが望ましい。これは、バインダ成分に用いるトリアルコキシシラン又はトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランやこれらの加水分解成分、加水分解により生成するアルコールなどとの相溶性が望めるからである。また、該処理剤中に水酸基を含む化学種を多く含むため、ITO超微粒子の分散媒は、水酸基を含む化学種に適したものを用いる。よって、ITO超微粒子の分散安定性という観点からも、水酸基を含む化学種であることが望ましい。さらに、基材がガラス基材である場合、水酸基を含む化学種を分散媒とすると、処理剤を基材に塗布する塗布工程において、処理剤の基材への濡れ性が良くなる。これは、基材表面にはシラノール基(Si-OH)が多数存在するため、水酸基を含む化学種との親和性が良いためである。結果、形成される膜のヘーズ値を下げる効果がある。
【0043】
沸点が100℃乃至200℃で、かつ水酸基を含む化学種とは、エチレングリコール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,2プロパンジオール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルなどのセロソルブ系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル系などが挙げられる。そして、水、又は水との相溶性の良い低級アルコールとの相溶性を考慮するとプロピレングリコールモノアルキルエーテル系の化学種を使用することが好ましい。
【0044】
さらに、膜を高機能化することを目的として、特定の波長を遮蔽する材料を、処理剤に添加しても良い。例えば、紫外線を遮蔽することを目的として、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、酸化チタン微粒子、又は酸化亜鉛微粒子などを添加することが出来る。
【0045】
本発明の熱線遮蔽膜形成基材の製法で使用される基材には、建築用途、車両用途のガラス基材に通常使用されているフロ−ト法、又はロ−ルアウト法で製造されるソーダ石灰ガラス等無機質の透明性があるガラス基材を使用することが好ましい。該ガラス基材種は、無色品、着色品、他の機能性膜との組み合わせ品、そして、形状等特に限定されるものではない。
【0046】
例えば、平板形状品、曲板形状品、さらには風冷強化ガラス、化学強化ガラス等の各種強化ガラス品や網入りガラス品等を使用できる。加えて、ホウケイ酸塩ガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス、低膨張結晶化ガラス、ゼロ膨張結晶化ガラス、TFT用ガラス、PDP用ガラス、光学フィルター用基材ガラス等の各種ガラス品を用いてもよい。
【0047】
また、ガラス基材以外にポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂等の樹脂基材を使用してもよい。
【0048】
近年、建築用途、車両用用途には、700nm乃至1100nmの波長領域を吸収する緑色系ガラス基材が多く用いられている。ITO超微粒子により遮蔽可能な波長領域は1000nm以上であるため、該緑色系ガラス基材上で熱線遮蔽膜形成基材を形成することにより、広い近赤外線波長領域で、透過率を抑えたガラス基材を作製することが可能である。該熱線遮蔽膜形成基材では、車両用ガラス窓で法規上必要な可視光線透過率70%以上を満足しつつ、日射透過率を45%以下に抑えることが可能である。
【0049】
本発明での供される処理剤は、基材の塗布後のレベリング性に優れるので、曲板形状品による基材への塗布が容易である。そして、塗布がより難しい凹面への塗布も容易である。従って、本発明では、曲形状を有する熱線遮蔽膜形成基材を低コストで製造することを可能とする。曲形状の熱線遮蔽膜形成基材を車両用途の窓に適用する場合、凹面側は膜の形成に好ましい室内側となることから、上記特性は、本発明の車両用途への適用に対して好ましいものである。
【0050】
次に本発明を実施する手順を説明する。アルコキシシランを出発原料として形成されたゾル溶液は、例えば、アルコキシシラン、沸点が100乃至200℃の有機溶媒、及び酸性触媒等を所定量混合、攪拌することで得られる。
【0051】
攪拌のための時間は、10分から20日が好ましく、特に1時間から4日が好ましいが、室温以外で攪拌する場合はこれに限定されるわけではない。また、加熱することで、反応を促進させ、攪拌時間を短くすることが可能である。以上のようにアルコキシシランの加水分解は、少量の水と酸触媒を添加し行うことができ、その加水分解物を室温または加熱しながら攪拌することにより重縮合させ、ゾル溶液を得ることができる。ここで、2種以上のアルコキシシランを用いた場合、加水分解は別々に行った後に混合しても良いし、一緒に行っても良い。なお、ゾル溶液の調製方法としては、上記の方法に限定されるものではないが、上記のようなアルコキシシランを溶媒で希釈したものと、溶媒で希釈した酸性水溶液を徐々に混合する方法は、急激な反応を避けることができ、より均質な反応が得られるので好ましい。
【0052】
酸触媒は、用いられるアルコキシシランのアルコキシ基の加水分解速度に応じて、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、酢酸、フタル酸、コハク酸などの有機酸等が選択される。そして、ゾル溶液中でのpH値が0乃至5となるように酸触媒が添加されることが好ましい。例えば、メチルトリエトキシシランの場合、pH値が低いとゲル沈殿物が生じやすくなるので、pH値が3〜4となるようにすることが好ましく、該pH値に設定しやすい酢酸、フタル酸等を酸触媒とすることが好ましい。
【0053】
また、処理剤にはレベリング性を向上させる目的で、レベリング剤を微量添加してもよい。そして本発明の本処理剤との相溶性を考慮すると、水溶性のシリコーン系レベリング剤が好ましい。
【0054】
そして、ゾル溶液とITO超微粒子が分散された溶液とを混合することで処理剤が得られる。該処理剤への基材への塗布は、処理剤を保持した部材を基材に接触させる手段によるもの、又は処理剤の噴霧による手段で行われる。
【0055】
処理剤を保持した部材を基材に接触させる手段は、所謂手塗り又はそれに準ずる手段による塗布方法である。布、スポンジ、刷毛、ブラシ、不織布等部材に処理剤を含浸、浸透させる等の手段で処理剤を保持させ、該部材をロボットや人間の手等で基材に接触させることで基材上に処理剤を塗着させる。又、処理剤の噴霧による手段は、スプレーによる塗布方法で、ロボットや人間の手等で基材に処理剤を噴霧し、基材上に処理剤を塗着させる。
【0056】
尚、処理剤の基材への塗着効率は、処理剤中のケイ素化合物(酸化物換算量)と錫ドープ酸化インジウム超微粒子の量、すなわち処理剤中の固形分量に対して何%が基板上に付着したかで計算される。例えば、平滑な薄膜を作製可能な塗布方法として、スピンコーティング法が挙げられる。スピンコーティング法の場合、基板上に付着する処理剤中の固形分量は10乃至40%程度であり、残り60乃至90%は系外に廃棄される。しかしながら、本発明の場合、処理剤中の固形分量の60%〜99%を基板上に塗着させることが可能である。そして、塗布を、処理剤を保持した部材を基材に接触させる手段によるものとした場合、塗着効率を80%〜99%とすることが可能となる。
【実施例】
【0057】
以下に本発明の実施例について説明する。
〔熱線遮蔽膜の評価方法〕
(1)外観評価
熱線遮蔽膜の外観、透過性、クラックの有無を目視で評価し、問題ないものを合格(○)、問題のあったものを不合格(×)とした。そして、透過性、クラックの有無等で問題がなく、膜の外観がガラス質状であると観察されるものを合格で且つ優(◎)として評価した。
【0058】
(2)光学特性
日立製U−4000を用いて、熱線遮蔽膜付きガラス基材の透過スペクトルを測定した。この測定データをもとに、“JIS R 3106(1998年)”に準拠した日射透過率Ts、可視光線透過率Tv、1450nm及び1900nmでのそれぞれの透過率T1.45、及びT1.9を求めた。Tsは50%以下、Tvは70%以上、T1.45は15%以下、T1.9は5%以下を建築用、車両用ガラスとして十分な熱線遮蔽性能があるとした。ヘーズ値は、“JIS R 3212(1998年)”に準拠して、日本電色製NDH2000を用いて測定した。ヘーズ値が0.5%以下のものは建築用、車両用ガラスとして実用上問題のないレベルであるとした。
【0059】
(3)鉛筆硬度試験
“JIS K 5600(1999年)”に準拠して、鉛筆硬度試験を行った。3H以上を、建築用、車両用ガラスとして実用性のある硬度(○)、7H以上を優れた硬度(◎)とした。
【0060】
(4)表面抵抗値
SSD社製MEGARESTAを用いて表面抵抗値を測定した。通常、導電性酸化物微粒子を含有した膜において、表面抵抗値が100MΩを超えると通常のガラスと同等の電波透過性を示すと言われている。本発明では、表面抵抗値が100MΩを越える場合、良好な電波透過性をもつものとした。
【0061】
(5)膜厚
カッターナイフで膜を削り取り、小坂研究所製サーフコーダET4000Aの段差測定モードで測定した。
【0062】
実施例1
(処理剤の調製)
メチルトリエトキシシラン(MTES)15.5g、プロピレングリコールモノエチルエーテル23.5g、0.5N酢酸11gを混合し、50℃で72時間攪拌して、ゾル溶液を得た。
【0063】
その後、ゾル溶液5gと平均粒径50nmのITO超微粒子が分散された溶液(ITO超微粒子の含有量30重量%、溶媒:イソプロピルアルコール;三菱マテリアル社製ITO微粒子分散液(30重量%))5gとを混合し処理剤を得た。
処理剤中の有機溶媒成分は、プロピレングリコールモノエチルエーテルが40重量%、イソプロピルアルコール(iPA)が60重量%となった。また、処理剤中のケイ素化合物及びITO超微粒子の合計濃度は、26.7重量%であった。
【0064】
(熱線遮蔽膜形成基材の作製)
300mm×300mm×3.45mm(厚)のUVカットグリーンガラス基材(Ts47.3%、Tv74.5%、T1.4533.2%、T1.946.4%)の表面を研磨液で研磨し、水洗及び乾燥した。なお、ここで用いた研磨液は、ガラス用研磨剤ミレークA(T)(三井金属鉱業製)を水に混合した2重量%のセリア懸濁液である。
【0065】
上記処理剤1ccが含浸された綿布(商品名;ベンコット)を手作業で基材に接触させて、塗布された処理剤を該綿布で基材片側全面に十分引き伸ばした。結果、綿布への含浸によるロスが若干あったものの、ほぼ全量が基板上に付着した。
【0066】
その後、200℃で10分間焼成し、室温まで冷却させて外観が良好な熱線遮蔽膜形成基材を得た。得られた基材の物性値を表1に示す。本実施例では低いヘーズ値で良好な熱線遮蔽性を示した。また、表面抵抗値も100MΩを超えるものであり、膜厚は1.6μmであった。
【0067】
該熱線遮蔽膜形成基材を切断し、該熱線遮蔽膜の断面を、JIS H 7804(2005年)に準拠して、走査型電子顕微鏡で観察したところ、ITO微粒子の平均粒径は約50nmであった。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例2
焼成温度を250℃とした以外は、実施例1と同様の手順で熱線遮蔽膜形成基材を得、そして、実施例1と同様の評価を行った。本実施例で得られた熱線遮蔽膜形成基材は低いヘーズ値で良好な熱線遮蔽性を示した。
【0070】
実施例3
上記処理剤の塗布をスプレーを用いて行った。それ以外は実施例1と同様の手順で熱線遮蔽膜形成基材を得、そして、実施例1と同様の評価を行った。本実施例で得られた熱線遮蔽膜形成基材は低いヘーズ値で良好な熱線遮蔽性を示した。
【0071】
実施例4
(処理剤の調製)
テトラエトキシシラン(TEOS)16.0g、メチルトリエトキシシラン(MTES)6.6g、プロピレングリコールモノエチルエーテル16.4g、0.5N酢酸11gを混合し、40℃で24時間攪拌して、ゾル溶液を得た。
【0072】
その後、ゾル溶液10gと平均粒径50nmのITO超微粒子が分散された溶液(ITO超微粒子の含有量30重量%、溶媒:イソプロピルアルコール;三菱マテリアル社製ITO微粒子分散液(30重量%))5gとを混合し処理剤を得た。
処理剤中の有機溶媒成分は、プロピレングリコールモノエチルエーテルが48重量%、イソプロピルアルコール(iPA)が52重量%となった。また、処理剤中のケイ素化合物及びITO超微粒子の合計濃度は、20重量%であった。その後、実施例1と同様に塗布、焼成を行った。そして、実施例1と同様の評価を行った。結果、鉛筆硬度試験において8Hと高い硬度を示した。
【0073】
実施例5
開始材料にテトラエトキシシラン(TEOS)2.9g、メチルトリエトキシシラン(MTES)19.7g、プロピレングリコールモノエチルエーテル16.4g、0.5N酢酸11gを用いてゾルを得た以外は、実施例4と同じ手順で熱線遮蔽膜形成基材を得、そして、実施例1と同様の評価を行った。結果、鉛筆硬度試験において5Hと実用上十分な硬度を示した。
【0074】
実施例6
(処理剤の調製)
テトラエトキシシラン(TEOS)9.05g、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)2.84g、プロピレングリコールモノエチルエーテル9.86、0.5N酢酸8.25gを混合し、室温で24時間攪拌して、ゾル溶液を得た。
【0075】
その後、ゾル溶液10gと平均粒径50nmのITO超微粒子が分散された溶液(ITO超微粒子の含有量30重量%、溶媒:イソプロピルアルコール;三菱マテリアル社製ITO微粒子分散液(30重量%))5gとを混合し処理剤を得た。
処理剤中の有機溶媒成分は、プロピレングリコールモノエチルエーテルが48重量%、イソプロピルアルコール(iPA)が52重量%となった。その後、実施例1と同様に塗布を行った。さらに、160℃で焼成を行った。そして、実施例1と同様の評価を行った。結果、鉛筆硬度試験において8Hと高い硬度を示した。
【0076】
実施例7
実施例6と同様の手順でゾル溶液を得た。その後、ゾル溶液10gとITO超微粒子5gとを混合した後、硬化触媒としてジブチルスズジアセテート(DBDA)0.01gを添加し、さらに1時間攪拌することで、処理剤を得た。その後、実施例1と同様に塗布を行い、さらに200℃で焼成を行った。そして、実施例1と同様の評価を行った。結果、鉛筆硬度試験において9Hと高い硬度を示した。
【0077】
実施例8
(処理剤の調製)
テトラメトキシシラン(TMOS)5.32g、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)1.27g、プロピレングリコールモノエチルエーテル7.59g、0.5N酢酸5.82gを混合し、室温で24時間攪拌して、ゾル溶液を得た。
【0078】
その後、ゾル溶液10gと前記ITO超微粒子分散液5gとを混合し処理剤を得た。処理剤中の有機溶媒成分は、プロピレングリコールモノエチルエーテルが52重量%、イソプロピルアルコール(iPA)が48重量%となった。その後、実施例1と同様に塗布を行った。さらに、200℃で焼成を行った。そして、実施例1と同様の評価を行った。結果、鉛筆硬度試験において9Hと高い硬度を示した。
【0079】
比較例1
ゾル溶液を得るための溶媒をイソプロピルアルコールとした以外は実施例1と同様の手順で熱線遮蔽膜形成基材を得た。結果、ピンホールなどの外観不良が多く、またヘーズ値は0.6%と高かった。
【0080】
比較例2
MTESの代わりにテトラエトキシシラン(TEOS)を用いた以外は実施例1と同様の手順で熱線遮蔽膜形成基材を得た。結果、膜表面に発生したクラックを主因とする外観不良が観察された。
【0081】
比較例3
ITO超微粒子の代わりにアンチモンドープ錫酸化物(ATO)超微粒子(ATO超微粒子の含有量30wt%、溶媒:水;石原産業製、SN−100D、)を用いた以外は、実施例1と同じ手順で熱線遮蔽膜形成基材を得た。処理剤の調製過程で生じた微粒子の凝集が原因と考えられるヘーズ値の高い膜が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱線遮蔽膜形成基材の製法であり、トリアルコキシシラン又はトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを出発原料として形成されたゾル溶液、及び錫ドープ酸化インジウム超微粒子が分散された溶液とを混合して処理剤とする工程、及び処理剤を基材に塗布する塗布工程を有し、前記処理剤は、沸点が100乃至200℃の有機溶媒を分散媒として有する処理剤とし、前記塗布工程での塗布を、処理剤を保持した部材を基材に接触させる手段とすること、又は処理剤の噴霧による手段とすることで、形成される膜のヘーズ値を0.5%以下とすることを特徴とする熱線遮蔽膜形成基材の製法。
【請求項2】
処理剤中の溶媒において、沸点が100乃至200℃の有機溶媒量を30重量%以上とすることを特徴とする請求項1に記載の熱線遮蔽膜形成基材の製法。
【請求項3】
処理剤を基材に塗布後に50〜300℃で焼成することで膜の鉛筆硬度を3H以上とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱線遮蔽膜形成基材の製法。
【請求項4】
処理剤中のケイ素化合物と錫ドープ酸化インジウム超微粒子との重量比が2:8乃至7:3とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の熱線遮蔽膜形成基材の製法。
【請求項5】
沸点が100乃至200℃の有機溶媒が、プロピレングリコールモノアルキルエーテル系溶媒とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の熱線遮蔽膜形成基材の製法。
【請求項6】
ゾル溶液中のテトラアルコキシシランに由来するケイ素化合物量をトリアルコキシシランに由来するケイ素化合物量に対して、重量比で4倍以下とすることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の熱線遮蔽膜形成基材の製法。
【請求項7】
前記処理剤とする工程で、さらに有機金属錯体を添加することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の熱線遮蔽膜形成基材の製法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の熱線遮蔽膜形成基材の製法に使用されるゾルと錫ドープ酸化インジウム超微粒子が分散された溶液とを混合して得られる熱線遮蔽膜形成用処理剤。

【公開番号】特開2008−30015(P2008−30015A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243649(P2006−243649)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】