説明

燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造

【課題】高いクッション性が得られるとともに、年数の経過による結合力の低下を防ぎ、かつ、取付性を向上させる。
【解決手段】燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造1Aであって、緩衝部材3Aは、本体部61と、本体部61から延設され凹部11に係合される脚部71と、を有し、本体部61は、本体部61の中心軸周りに等間隔で車体S側に突出し車体Sに当接する複数の第一山部21と、隣り合う第一山部21の間に形成された複数の第一谷部22と、本体部61の中心軸周りに等間隔で燃料タンク2側に突出し燃料タンク2に当接する複数の第二山部23と、隣り合う第二山部23の間に形成された複数の第二谷部24と、を有し、中心軸Cと平行となる方向において、第一山部21と第二谷部24とが対応する位置に形成され、第二山部23と第一谷部22とが対応する位置に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の燃料タンクと車体との間に介設される緩衝部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用の燃料タンクと車体のフロアパネルとの間にゴムなどの緩衝部材を介設する技術が知られている。燃料タンクとフロアパネルとの間に緩衝部材を設けることで、燃料タンクとフロアパネルとの衝突を防ぐとともに、燃料タンク内の燃料の波立ち等による振動や騒音が車体に伝達するのを防止できる。例えば、特許文献1には、燃料タンクとフロアパネルとの間に緩衝部材を介設する際に、接着剤層を設けることが記載されている。また、特許文献1には、接着剤に代えて両面テープを用いて接着していたことも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−89060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、接着剤や両面テープによる接着では、年数が経過するにつれて緩衝部材に含まれる可塑剤が接着界面へ抽出されることにより、接着力が低下するという問題がある。また、燃料タンクへの接着強度は緩衝部材を押し付ける強弱によって差が出るため、安定した接着力を確保することができないという問題がある。また、一旦接着させると取り外すことが困難になることから、組み付け時には高い正確性が要求される。このため、作業者への負担が増えるという問題がある。また、従来の緩衝部材は、略平板状であるため、クッション性が乏しいという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、高いクッション性が得られるとともに、年数の経過による結合力の低下を防ぎ、かつ、取付性の高い燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、表面に凹部が形成された車両用の燃料タンクと、車体と前記燃料タンクとの間に介設される緩衝部材と、を有する燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造であって、前記緩衝部材は、本体部と、前記本体部から延設され前記凹部に係合される脚部と、を有し、前記本体部は、前記本体部の中心軸周りに等間隔で前記車体側に突出する複数の第一山部と、隣り合う前記第一山部の間に形成された複数の第一谷部と、前記本体部の中心軸周りに等間隔で前記燃料タンク側に突出する複数の第二山部と、隣り合う前記第二山部の間に形成された複数の第二谷部と、を有し、前記本体部の中心軸と平行となる方向において、前記第一山部と前記第二谷部とが対応する位置に形成され、前記第二山部と前記第一谷部とが対応する位置に形成されていることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、緩衝部材に外力が作用した際に、第一山部は第二谷部に、第二山部は第一谷部に入り込むことができるため、クッション性を高めることができる。また、脚部と凹部とを係合させるため、接着剤等の劣化の影響が無く、年数の経過による結合力の低下を防ぐことができる。また、緩衝部材の脚部を凹部に押し込むだけで容易かつ安定的に取り付けることができる。
【0008】
また、本発明は、表面に凹部が形成された車両用の燃料タンクと、車体と前記燃料タンクとの間に介設される緩衝部材と、前記燃料タンクと前記緩衝部材とを連結するクリップと、を有する燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造であって、前記緩衝部材は、底面に形成された穴部と、前記緩衝部材の中心軸周りに等間隔で前記車体側に突出する複数の第一山部と、隣り合う前記第一山部の間に形成された複数の第一谷部と、前記緩衝部材の中心軸周りに等間隔で前記クリップ側に突出する複数の第二山部と、隣り合う前記第二山部の間に形成された複数の第二谷部と、を有し、前記緩衝部材の中心軸と平行となる方向において、前記第一山部と前記第二谷部とが対応する位置に形成され、前記第二山部と前記第一谷部とが対応する位置に形成されており、前記クリップは、前記第二山部と当接する基板部と、前記基板部に形成され、前記凹部に係合される脚部と、前記基板部において前記脚部とは反対側に形成され、前記穴部に係合される頭部と、を有し、前記頭部の外周面には、外側に向けて突出する外れ防止用エッジが形成されていることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、緩衝部材に外力が作用した際に、第一山部は第二谷部に、第二山部は第一谷部に入り込むことができるため、クッション性を高めることができる。また、クリップを介して緩衝部材を取り付けるため、接着剤等の劣化の影響が無く、年数の経過による結合力の低下を防ぐことができる。また、クリップの頭部には外れ防止用エッジが形成されているため、クリップと緩衝部材との結合力を高めることができる。また、緩衝部材とクリップとを燃料タンクの凹部に押し込むだけで容易かつ安定的に取り付けることができる。
【0010】
また、前記凹部には、この凹部の開口部の中心に向けて突出する突起部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、突起部と脚部との結合力をより向上させることができる。
【0011】
また、前記外れ防止用エッジは、前記頭部の軸中心から離間するにつれて前記基板部側に傾斜する傾斜面と、前記頭部の外周面から前記傾斜面の先端まで延設されたかえし面と、を有し、かえし機能を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、クリップに対して緩衝部材を容易に係合させることができ、一旦係合したらかえし機能によってクリップから緩衝部材が外れ難い。
【0012】
また、前記穴部には、この穴部の開口部の中心に向けて突出する凸部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、穴部とクリップの頭部との結合力をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造によれば、高いクッション性が得られるとともに、年数の経過による結合力の低下を防ぎ、かつ、取付性の高い燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第一実施形態に係る緩衝部材の取付構造を示す全体側断面図である。
【図2】第一実施形態に係る緩衝部材の取付構造を示す分解側断面図である。
【図3】第一実施形態に係る緩衝部材を示した斜視図である。
【図4】第一実施形態に係る燃料タンクの凹部を示した斜視図である。
【図5】第一実施形態に係るクリップの拡大側断面図である。
【図6】第一実施形態に係る緩衝部材の取付構造を示す側断面図である。
【図7】第二実施形態に係る緩衝部材の取付構造を示す分解側断面図である。
【図8】第二実施形態に係る緩衝部材を示した斜視図である。
【図9】第二実施形態に係る緩衝部材の取付構造を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る緩衝部材の取付構造1は、車両用の燃料タンク2と車両の車体Sとの間に介設される緩衝部材3の取付構造に関する。緩衝部材の取付構造1は、燃料タンク2と、緩衝部材3と、クリップ4とで主に構成されている。
【0016】
燃料タンク2は、燃料を貯留するための樹脂製又は金属製の中空容器であって、車体(フロアパネル)Sの底に固定されている。本実施形態では、燃料タンク2の底部が断面視略U字状を呈するタンクバンド5で支持されており、タンクバンド5の両端がブラケット6,6を介して車体Sに固定されている。
【0017】
燃料タンク2の表面には、図2及び図4に示すように、凹部11が形成されている。凹部11は、クリップ4の脚部32が係合する部位である。凹部11は、本実施形態では、燃料タンク2の車体Sと対向する面に形成されている。凹部11は、丸く繰り抜かれた底部12と、開口部において開口部の中心に向けて突出する突起部13とを有する。突起部13の個数は特に制限されないが、本実施形態では等間隔に3つ形成されている。
【0018】
緩衝部材3は、図2及び図3に示すように、燃料タンク2と車体Sとの間に介設される部材である。緩衝部材3の種類は特に制限されないが、本実施形態ではゴムで形成されている。緩衝部材3は、燃料タンク2と車体Sとの衝突を回避するとともに、燃料タンク内の燃料の波立ち等による振動や騒音が車体に伝達するのを防止するための部材である。
【0019】
緩衝部材3は、平面視円形を呈し、第一山部21と、第一谷部22と、第二山部23と、第二谷部24と、穴部25とを有する。
【0020】
第一山部21は、車体S側に突出した突状部であって、中心軸Cを中心とする円上において等間隔で4つ形成されている。各第一山部21は同等の形状になっている。第一山部21は、車体Sに当接する部位であって、水平断面が略台形になっており、先端側(車体S側)に向けて徐々に幅狭になっている。第一山部21は、本実施形態では4つ形成されているが、2つ以上であれば何個形成されていてもよい。また、第一山部21の形状は制限されるものではない。
【0021】
第一谷部22は、隣り合う第一山部21の間に形成された凹状部であって、中心軸Cを中心とする円上において等間隔で配設されている。各第一谷部22は同等の形状になっている。第一谷部22は、第一山部21に対応して4つ形成されている。
【0022】
第二山部23は、クリップ4側に突出した突状部であって、中心軸Cを中心とする円上において等間隔で4つ形成されている。各第二山部23は、同等の形状になっている。第二山部23は、クリップ4に当接する部位であって、水平断面が略台形になっており、先端側(クリップ4側)に向けて徐々に幅狭になっている。第二山部23は、本実施形態では4つ形成されているが、2つ以上であれば何個形成されていてもよい。また、第二山部23の形状は制限されるものではない。
【0023】
第二谷部24は、隣り合う第二山部23の間に形成された凹状部であって、中心軸Cを中心とする円上において等間隔で配設されている。各第二谷部24は同等の形状になっている。第二谷部24は、第二山部23に対応して4つ形成されている。
【0024】
図3に示すように、中心軸Cと平行となる方向、つまり、図3上では上下方向において、第一山部21と第二谷部24とは対応する位置に形成されている。また、第二山部23と第一谷部22とは対応する位置に形成されている。
【0025】
穴部25は、図2に示すように、緩衝部材3の底面の中央に設けられている。穴部25は、後記するクリップ4の頭部33が挿入される部位である。穴部25は、頭部33の形状に合わせて円柱状に繰り抜かれている。穴部25の開口部には、中心方向に向けて突出する凸部26が形成されている。凸部26は、穴部25の開口部の全周に亘って形成されている。なお、凸部26は必要に応じて設ければよい。
【0026】
クリップ4は、図2に示すように、燃料タンク2と緩衝部材3とを連結する樹脂製の部材である。クリップ4は、基板部31と、脚部32と、頭部33とで主に構成されている。
【0027】
基板部31は、円板状を呈し、緩衝部材3よりも大きい直径で形成されている。基板部31は、多角形状を呈する板状であってもよい。基板部31の一方面(図2では基板部31の上面)は第二山部23と当接する。脚部32は、基板部31から燃料タンク2側に延設されており、凹部11に係合する部位である。脚部32は、本実施形態では4つ(図2中では3つ描画されている)の係合片34で構成されている。4つの係合片34は同形状からなり、中心軸Cを囲むように等間隔で形成されている。4つの係合片34は、自由端になっているため、先端が水平方向に弾性変形可能になっている。
【0028】
係合片34は、基板部31から延設された基端部35と、基端部35の先端側に形成された弾性係合部36とを有する。弾性係合部36は、中心軸Cから離間するにつれて上方(基板部31側)に傾斜するテーパー部36aと、基端部35から外側に張り出した水平部36bとを有する。
【0029】
頭部33は、基板部31の中央において、脚部32とは反対側の面に立設されている。頭部33は、緩衝部材3の穴部25に挿入される部位である。頭部33は、円筒状を呈し、その外周面40には外れ防止用エッジ41が形成されている。外れ防止用エッジ41は、頭部33の上端側に三段設けられている。
【0030】
外れ防止用エッジ41は、図5に示すように、断面視三角形状を呈し、頭部33の全周に亘って形成されている。外れ防止用エッジ41は、頭部33の外周面40から延設された傾斜面41aと、外周面40から延設されたかえし面41bとで構成されている。傾斜面41aは、外周面40において、中心軸Cから離間するにつれて下方(基板部31側)に傾斜している。かえし面41bは、外周面40に対して略垂直になっており傾斜面41aの先端まで延設されている。外周面40とかえし面41bとからなる角度αは、90度以下であることが好ましい。
【0031】
外れ防止用エッジ41は、本実施形態では三段設けられているが、何段であってもよい。また、本実施形態では断面視三角形状としたが、緩衝部材3が頭部33から外れ難ければ他の形状であってもよい。
【0032】
図2に示すように、凹部11の突起部13,13間の距離W1は、脚部32の外径W2(平常時)よりも小さくなっている。また、頭部33の外径W3と穴部25の凸部26,24間の距離W4は、略同等の長さになっている。穴部25の内径W5は、凸部26,24間の距離W4よりも若干大きくなっている。
【0033】
緩衝部材3及びクリップ4を燃料タンク2に取り付ける場合は、まず、クリップ4の頭部33に緩衝部材3の穴部25を押し込む。次に、燃料タンク2の凹部11に、クリップ4の脚部32を押し込む。これにより、燃料タンク2に緩衝部材3を取り付けることができる。
【0034】
本実施形態に係る緩衝部材の取付構造1によれば、図3に示すように、第一山部21と第二谷部24とが上下方向に対応する位置に形成され、第二山部23と第一谷部22とが上下方向に対応する位置に形成されている。これにより、緩衝部材3に上下方向成分を有する外力が作用した際に、第一山部21は第二谷部24に、第二山部23は第一谷部22に入り込むことができるため、クッション性を高めることができる。例えば、図6の矢印Fに示すように、緩衝部材3に上下方向成分を有する外力が作用した際に、第一山部21は第二谷部24側に撓む。同様に、第二山部23は第一谷部22側に撓む。これにより、緩衝部材3のクッション性を高めることができる。
【0035】
また、緩衝部材3は平面視円形になっており、第一山部21、第一谷部22、第二山部23及び第二谷部24が同一の円上に等間隔でそれぞれ同数ずつ配設されているため、外力が作用した際の異方性を無くすことができる。
【0036】
また、クリップ4を介して緩衝部材3を取り付けるため、接着剤等の劣化の影響が無く、年数の経過による結合力の低下を防ぐことができる。また、緩衝部材3とクリップ4とを燃料タンク2の凹部11に押し込むだけで容易かつ安定的に取り付けることができる。
【0037】
また、凹部11には、この凹部11の開口部の中心に向けて突出する突起部13が形成されているため、突起部13とクリップ4の脚部32との結合力を向上させることができる。
【0038】
また、脚部32(係合片34)の先端は、弾性変形可能に形成されており、脚部32の先端側には、突起部13と係合する弾性係合部36が形成されている。これにより、脚部32が凹部11の中に挿入されると、脚部32の係合片34が突起部13に押されて縮径し、突起部13を通り過ぎると中心から外側方向に向けて付勢力が働く。これにより、脚部32の弾性係合部36と凹部11の突起部13とが強固に係合するため、より結合力を高めることができる。
【0039】
また、弾性係合部36には、テーパー部36aが形成されているため、凹部11にスムーズに押し込むことができる。また、弾性係合部36には、水平部36bが形成されているため、一旦凹部11の突起部13と係合すると、上向きの力が作用したとしても容易には外れない構成になっている。これにより、凹部11とクリップ4との結合力をより高めることができる。
【0040】
また、本実施形態では頭部33に外れ防止用エッジ41を備えているため、傾斜面41aによって緩衝部材3をスムーズに取り付けることができるが、一旦取り付けるとかえし面41bによって緩衝部材3が容易には外れない構成になっている。これにより、緩衝部材3とクリップ4との結合力をより高めることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、緩衝部材3及びクリップ4の再組み付けも可能である。また、緩衝部材3とクリップ4とを分解することもできるため、リサイクル性も高い。また、緩衝部材3及びクリップ4を凹部11に押し込んで、脚部32が凹部11の突起部13に係合する際、脚部32(係合片34)の弾性変形に伴って音及び振動が発生する。これにより、作業者は凹部11にクリップ4が確実に取り付けられたことを確認することができる。
【0042】
以上本発明の第一実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、クリップ4の脚部32は、本実施形態では4つに分割されているが、何分割であってもよいし、分割されていなくてもよい。また、外れ防止用エッジ41の数や間隔は適宜設定すればよい。また、緩衝部材3の形状は他の形状であってもよい。
【0043】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。図7に示すように、第二実施形態に係る緩衝部材の取付構造1Aは、燃料タンク2と、緩衝部材3Aと、で主に構成されている。第二実施形態に係る緩衝部材の取付構造1Aは、クリップを備えていない点で第一実施形態と相違する。燃料タンク2については、第一実施形態と同等であるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
緩衝部材3Aは、図7に示すように、ゴム製であって燃料タンク2と車体Sとの間に介設される。緩衝部材3Aは、本体部61と、本体部61から凹部11側に延設された脚部71とを有する。緩衝部材3Aは、本実施形態では一体成形されている。
【0045】
本体部61は、図7及び図8に示すように、平面視円形を呈し、第一山部21と、第一谷部22と、第二山部23と、第二谷部24と、を有する。本体部61は、穴部25が形成されていないことを除いては、第一実施形態の緩衝部材3と同等の構成である。
【0046】
脚部71は、本体部61の底面から凹部11側、つまり、図8では下方に向けて突出して形成されている。脚部71は、一定の外径からなる基軸部72と、基軸部72の先端に形成された拡径部73とを有する。拡径部73は、基軸部72よりも大きい外径で形成されており、凹部11の突起部13と係合する部位である。拡径部73の先端は略球面になっている。
【0047】
緩衝部材3Aを燃料タンク2に取り付ける場合は、燃料タンク2の凹部11に緩衝部材3Aの脚部71を押し込んで、凹部11の突起部13と脚部71の拡径部73を係合させる。これにより、燃料タンク2に緩衝部材3Aを取り付けることができる。
【0048】
本実施形態に係る緩衝部材の取付構造1Aによれば、図8に示すように、第一山部21と第二谷部24とが上下方向に対応する位置に形成され、第二山部23と第一谷部22とが上下方向に対応する位置に形成されている。これにより、緩衝部材3Aに上下方向成分を有する外力が作用した際に、第一山部21は第二谷部24に、第二山部23は第一谷部22に入り込むことができるため、クッション性を高めることができる。例えば、図9の矢印Fに示すように、緩衝部材3Aに上下方向成分を有する外力が作用した際に、第一山部21は第二谷部24側に撓む。同様に、第二山部23は第一谷部22側に撓む。これにより、緩衝部材3Aのクッション性を高めることができる。
【0049】
また、脚部71を介して取り付けるため、接着剤等の劣化の影響が無く、年数の経過による結合力の低下を防ぐことができる。また、緩衝部材3の脚部71を燃料タンク2の凹部11に押し込むだけで容易かつ安定的に取り付けることができる。また、拡径部73が、突起部13と係合することにより、一旦取り付けると緩衝部材3が容易には外れない構成になっている。また、緩衝部材3Aを一体成形することで、緩衝部材3Aを容易に製造することができる。
【0050】
以上本発明の第二実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、本実施形態では緩衝部材3Aを一体成形したが、本体部61と脚部71を別々に成形して、一体にしてもよい。また、本実施形態では、緩衝部材(本体部)を平面視円形となるように形成したが、平面視多角形状となるように形成してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 緩衝部材の取付構造
2 燃料タンク
3 緩衝部材
3A 緩衝部材
4 クリップ
5 タンクバンド
6 ブラケット
11 凹部
12 底部
13 突起部
21 第一山部
22 第一谷部
23 第二山部
24 第二谷部
25 穴部
26 凸部
31 基板部
32 脚部
33 頭部
34 係合片
36 弾性係合部
41 外れ防止用エッジ
41a 傾斜面
41b かえし面
61 本体部
71 脚部
72 基軸部
73 拡径部
S 車体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹部が形成された車両用の燃料タンクと、
車体と前記燃料タンクとの間に介設される緩衝部材と、を有する燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造であって、
前記緩衝部材は、
本体部と、
前記本体部から延設され前記凹部に係合される脚部と、を有し、
前記本体部は、
前記本体部の中心軸周りに等間隔で前記車体側に突出する複数の第一山部と、
隣り合う前記第一山部の間に形成された複数の第一谷部と、
前記本体部の中心軸周りに等間隔で前記燃料タンク側に突出する複数の第二山部と、
隣り合う前記第二山部の間に形成された複数の第二谷部と、を有し、
前記本体部の中心軸と平行となる方向において、前記第一山部と前記第二谷部とが対応する位置に形成され、前記第二山部と前記第一谷部とが対応する位置に形成されていることを特徴とする燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造。
【請求項2】
表面に凹部が形成された車両用の燃料タンクと、
車体と前記燃料タンクとの間に介設される緩衝部材と、
前記燃料タンクと前記緩衝部材とを連結するクリップと、を有する燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造であって、
前記緩衝部材は、
底面に形成された穴部と、
前記緩衝部材の中心軸周りに等間隔で前記車体側に突出する複数の第一山部と、
隣り合う前記第一山部の間に形成された複数の第一谷部と、
前記緩衝部材の中心軸周りに等間隔で前記クリップ側に突出する複数の第二山部と、
隣り合う前記第二山部の間に形成された複数の第二谷部と、を有し、
前記緩衝部材の中心軸と平行となる方向において、前記第一山部と前記第二谷部とが対応する位置に形成され、前記第二山部と前記第一谷部とが対応する位置に形成されており、
前記クリップは、
前記第二山部と当接する基板部と、
前記基板部に形成され、前記凹部に係合される脚部と、
前記基板部において前記脚部とは反対側に形成され、前記穴部に係合される頭部と、を有し、
前記頭部の外周面には、外側に向けて突出する外れ防止用エッジが形成されていることを特徴とする燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造。
【請求項3】
前記凹部には、この凹部の開口部の中心に向けて突出する突起部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造。
【請求項4】
前記外れ防止用エッジは、
前記頭部の中心軸から離間するにつれて前記基板部側に傾斜する傾斜面と、
前記頭部の外周面から前記傾斜面の先端まで延設されたかえし面と、を有し、かえし機能を備えていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造。
【請求項5】
前記穴部には、この穴部の開口部の中心に向けて突出する凸部が形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の燃料タンクにおける緩衝部材の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−179994(P2012−179994A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43575(P2011−43575)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(390023917)八千代工業株式会社 (186)
【Fターム(参考)】