説明

燃料噴射弁

【課題】内燃機関からの取り外しが容易で、取り外す際の破損を防止可能な燃料噴射弁を提供する。
【解決手段】筒部材20は、燃料供給源からの燃料が導入される燃料導入部25、燃料導入部25に接続する筒部26、第2筒部材22、第3筒部材23および筒部27、ならびに、筒部27の燃料導入部25とは反対側の端部を塞ぐとともに噴孔281が形成された底部28を有し、底部28が燃焼室に露出するようエンジンに取り付けられる。弁部材30は、筒部材20の内側に往復移動可能に設けられ、底部28から離間または底部28に当接することにより噴孔281を開閉する。電磁駆動部40は、電力が供給されると磁界を生じ弁部材30を開弁方向に吸引する。特定形状部61は、筒部26の燃料導入部25側端部の外壁から径内方向へ凹むようにして形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁駆動部により弁部材を駆動することで噴孔を開閉し、高圧の燃料を内燃機関の燃焼室に噴射する直噴型の燃料噴射弁が知られている。特許文献1に開示された燃料噴射弁は、噴孔側の端部が燃焼室に露出するよう内燃機関のシリンダヘッドに取り付けられる。そのため、シリンダヘッドの取り付け穴に挿入された燃料噴射弁の噴孔側端部の周囲には、燃料の未燃焼成分等からなるデポジットが堆積しやすい。燃料噴射弁の噴孔側端部の周囲にデポジットが堆積している状態では、内燃機関の運転停止後、デポジットが固まることにより燃料噴射弁が内燃機関のシリンダヘッドに固着するおそれがある。燃料噴射弁が内燃機関に固着している場合、燃料噴射弁を交換するとき、燃料噴射弁をシリンダヘッドの取り付け穴から引き抜くためには、デポジットによる固着力以上の力を燃料噴射弁に加える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−168965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の燃料噴射弁の噴孔とは反対側の端部は、単純な円筒状に形成されている。そのため、当該端部の外壁を治具などで保持するのは容易ではない。したがって、燃料噴射弁をシリンダヘッドの取り付け穴から引き抜く際、治具により燃料噴射弁を保持しながら引き抜くことが困難となる。そのため、燃料噴射弁を構成する部位のうち治具で保持可能な部位、例えば本体から径外方向へ突出するよう設けられている電気コネクタ等を治具で保持して引き抜かざるを得なくなる。電気コネクタは、樹脂によりモールド成形されているため、治具により引き抜く際の力によっては、燃料噴射弁の本体から剥がれたり亀裂が生じたりすることで破損するおそれがある。
【0005】
また、燃料噴射弁がサイド噴射式の内燃機関に取り付けられる場合、燃料噴射弁のうち電気コネクタを含む大部分が取り付け穴から露出した状態となるため、取り外しの際に燃料噴射弁を治具等で保持することは可能である。しかしながら、燃料噴射弁がセンター噴射式の内燃機関に取り付けられる場合、燃料噴射弁のうち大部分がシリンダヘッドの取り付け穴に収容された状態となるため、取り外しの際に燃料噴射弁を治具で保持することは困難である。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関からの取り外しが容易で、取り外す際の破損を防止可能な燃料噴射弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、内燃機関に取り付けられ、燃料供給源からの燃料を内燃機関の燃焼室に噴射供給する燃料噴射弁であって、筒部材と弁部材と電磁駆動部と特定形状部とを備えている。筒部材は、燃料供給源からの燃料が導入される燃料導入部、当該燃料導入部に接続する筒部、および、当該筒部の燃料導入部とは反対側の端部を塞ぎ噴孔が形成された底部を有し、当該底部が燃焼室に露出するよう内燃機関に取り付けられる。弁部材は、筒部材の内側に往復移動可能に設けられ、底部から離間または底部に当接することにより噴孔を開閉する。電磁駆動部は、筒部に設けられ、電力が供給されると磁界を生じ弁部材を開弁方向に吸引する。特定形状部は、筒部の燃料導入部側端部の外壁から径内方向へ凹むようにして形成されている。
【0008】
本発明では、筒部に特定形状部が設けられている。そのため、燃料噴射弁の交換時等、燃料噴射弁を内燃機関から取り外す場合、特定形状部に例えば治具の先端部を引っ掛けて保持しつつ内燃機関の取り付け穴から引き抜くことにより、燃料噴射弁を内燃機関から容易に取り外すことができる。特に燃料噴射弁がセンター噴射式の内燃機関に取り付けられる場合、大部分が取り付け穴に収容された状態となるが、このような状態でも、治具により特定形状部を容易に保持することができるため、燃料噴射弁を内燃機関から容易に取り外すことができる。
【0009】
筒部の底部側端部すなわち噴孔側端部の周囲にデポジットが堆積し筒部材が内燃機関に固着しているような場合、燃料噴射弁を内燃機関から取り外すには、デポジットによる固着力以上の力を燃料噴射弁に加える必要がある。そのため、内燃機関に固着している筒部材以外の部位を保持して燃料噴射弁を取り外そうとすると、当該部位が筒部材から剥がれたり破損したりするおそれがある。しかしながら、本発明では、内燃機関に固着している筒部材自体を保持しつつ燃料噴射弁を取り外すことができるため、燃料噴射弁の破損を防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、筒部の径外方向へ突出するよう形成され、電磁駆動部に電力を供給する電力線が接続される樹脂製の電気コネクタをさらに備えている。そして、特定形状部は、筒部の軸方向において電気コネクタが突出する位置よりも燃料導入部側に形成されている。
例えば筒部の軸方向において電気コネクタが突出する位置よりも底部側に特定形状部が形成される構成の場合、治具の先端部を特定形状部に引っ掛けて保持するとき、筒部に対する治具の先端部の周方向の位置または治具の先端部の形状等によっては、当該先端部が電気コネクタに干渉するおそれがある。
一方、請求項2に記載の発明では、特定形状部が、筒部の軸方向において電気コネクタが突出する位置よりも燃料導入部側に形成されているため、治具の先端部を特定形状部に引っ掛けるとき、筒部に対する治具の先端部の周方向の位置または治具の先端部の形状にかかわらず、治具の先端部が電気コネクタに干渉するのを防ぐことができる。したがって、治具による燃料噴射弁の取り外し方法の自由度、および、治具の形状の自由度を高めることができる。これにより、電気コネクタを備えた構成であっても、電気コネクタに治具を干渉させることなく、燃料噴射弁を内燃機関から容易に取り外すことができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、筒部材のうち少なくとも特定形状部が形成される部位、すなわち、筒部の燃料導入部側端部は、金属により形成されている。これにより、筒部のうち特に特定形状部が形成される部位の強度を高めることができる。この構成では、燃料噴射弁を内燃機関から取り外す際、デポジットによる固着力以上の大きな力が治具から特定形状部に加わったとしても、特定形状部および筒部が破損するのを効果的に防止することができる。なお、本発明は、筒部材のすべてが金属により形成される場合も含む。
【0012】
請求項4に記載の発明は、特定形状部から底部側へ所定の距離離れた部位を挟持するよう設けられる挟持部、および、当該挟持部から燃料導入部側へ延びるようにして形成される弾性変形部を有するクリップをさらに備えている。弾性変形部を弾性変形させると、弾性変形部に復元力が生じる。本発明では、燃料噴射弁が内燃機関に取り付けられた状態で、弾性変形部に復元力が生じると、燃料噴射弁に所定のクランプ荷重が作用する。これにより、燃料噴射弁は、クランプ荷重で内燃機関に押し付けられ位置が安定する。つまり、クリップは、燃料噴射弁にクランプ荷重を作用させるために設けられている。
【0013】
本発明では、特定形状部は、弾性変形部の挟持部とは反対側の端部から燃料導入部側へ所定の距離離れた箇所に形成されている。この構成では、燃料噴射弁を内燃機関から取り外す際、治具で特定形状部を保持するとき、治具の先端部がクリップの弾性変形部に干渉するのを防ぐことができる。そのため、燃料噴射弁の位置を安定させるためにクリップを備えた構成であっても、クリップに治具を干渉させることなく、燃料噴射弁を内燃機関から容易に取り外すことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、特定形状部は、筒部の燃料導入部側端部の全周に亘って環状に形成される溝である。本発明では、燃料噴射弁を内燃機関から取り外す場合、筒部に形成された環状の溝(特定形状部)に例えば治具の先端部を引っ掛けて保持しつつ取り付け穴から引き抜くことにより、燃料噴射弁を内燃機関から容易に取り外すことができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、筒部の径外方向へ突出するよう形成され、電磁駆動部に電力を供給する電力線が接続される樹脂製の電気コネクタをさらに備えている。特定形状部は、電気コネクタの突出する方向と平行に延びるようにして筒部の燃料導入部側端部の外壁に、筒部の軸に対し略線対称となるよう2つ形成される溝である。本発明では、燃料噴射弁を内燃機関から取り外す場合、筒部に形成された2つの溝(特定形状部)に例えば治具の先端部を引っ掛けて保持しつつ内燃機関の取り付け穴から引き抜くことにより、燃料噴射弁を内燃機関から容易に取り外すことができる。
【0016】
また、本発明では、例えば特定形状部が筒部の軸方向において電気コネクタが突出する位置よりも燃料導入部側に形成される構成において、電気コネクタが筒部の径外方向に突出し、さらに燃料導入部側へ曲がるよう形成されていたとしても、電気コネクタと前記2つの溝(特定形状部)とが対向することはない。よって、燃料噴射弁を内燃機関から取り外す際、治具で特定形状部を保持するとき、治具の先端部が電気コネクタに干渉するのを防ぐことができる。これにより、電気コネクタを備えた構成であっても、電気コネクタに治具を干渉させることなく、燃料噴射弁を内燃機関から容易に取り外すことができる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、筒部の燃料導入部側端部は、特定形状部に対し燃料導入部側の部分の軸方向の幅が、特定形状部の軸方向の幅以上となるよう形成されている。これにより、筒部の特定形状部に対し燃料導入部側の部分の強度を高めることができる。治具で特定形状部を保持して燃料噴射弁を内燃機関から取り外す場合、筒部の特定形状部に対し燃料導入部側の部分に治具から力が作用する。本発明では、上述のように筒部の特定形状部に対し燃料導入部側の部分の強度が高いため、燃料噴射弁を内燃機関から取り外す際に筒部が破損するのを抑制することができる。
【0018】
請求項8に記載の発明では、筒部の燃料導入部側端部は、特定形状部に対し燃料導入部側の部分の外径と、特定形状部に対し底部側の部分の外径とが略同一となるよう形成されている。このような構成の筒部材は、例えば外径が均一の円筒状の部材の外壁を切削あるいは押圧等して特定形状部を形成することにより製造することができる。そのため、特定形状部を形成するための加工を容易に行うことができ、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態による燃料噴射弁を示す断面図。
【図2】本発明の第1実施形態による燃料噴射弁を用いた燃料噴射装置を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図。
【図3】(A)は本発明の第1実施形態による燃料噴射弁を用いた燃料噴射装置が内燃機関に取り付けられた状態を示す図、(B)は本発明の第1実施形態による燃料噴射弁が内燃機関に取り付けられた状態を示す図。
【図4】(A)は本発明の第1実施形態による燃料噴射弁の特定形状部近傍を示す図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(B)のC−C線断面図。
【図5】本発明の第1実施形態による燃料噴射弁の内燃機関からの取り外しの手順を説明するための図であって、(A)は治具で特定形状部を保持する前の状態を示す図、(B)は治具で特定形状部を保持した状態を示す図。
【図6】(A)は本発明の第2実施形態による燃料噴射弁の特定形状部近傍を示す図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(B)のC−C線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の複数の実施形態による燃料噴射弁を図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料噴射弁およびそれを用いた燃料噴射装置を図1〜5に示す。
【0021】
図3に示すように、燃料噴射弁2は、内燃機関としてのエンジン3の燃料噴射装置1に用いられ、燃料をエンジン3に噴射供給する。なお、燃料噴射弁2は、高圧の燃料をエンジン3の燃焼室4に直接噴射する電磁駆動式の直噴型燃料噴射弁である。
本実施形態の燃料噴射弁2が取り付けられるエンジン3は、ガソリンを燃料とする4気筒のガソリンエンジンである。そのため、エンジン3は、4つの燃焼室4を有している。エンジン3のシリンダヘッド5には、4つの燃焼室4に対応して4つの取り付け穴6が形成されている。燃料噴射弁2は、当該取り付け穴6に収容されるようにしてエンジン3に取り付けられる。取り付け穴6は、燃焼室4の軸方向に延びるよう形成されている。また、取り付け穴6の深さは、燃料噴射弁2の全長よりも深く形成されている。よって、燃料噴射弁2は、取り付け穴6に取り付けられると、全体が取り付け穴6に収容された状態となる。燃料噴射弁2は、燃焼室4の鉛直方向上側から燃焼室4内に燃料を噴射する。すなわち、エンジン3は、センター噴射式のエンジンである。
【0022】
図2に示すように、燃料噴射装置1は、燃料レール10および4つの燃料噴射弁2を有している。燃料レール10は、レール本体11、分配管12、燃料配管接続部13および圧力検出部14等を有している。レール本体11は、例えば金属により中空筒状に形成されている。レール本体11の両端部は塞がれている。
【0023】
分配管12は、例えば金属により中空筒状に形成され、一方の端部がレール本体11に接続するよう、レール本体11の長手方向に等間隔で並ぶようにして4つ設けられている。燃料配管接続部13は、レール本体11の一方の端部の外壁に形成されている。燃料配管接続部13には、燃料供給源8から延びる燃料配管9が接続される(図3(A)参照)。これにより、燃料配管9および燃料配管接続部13を経由して燃料供給源8からの燃料がレール本体11および分配管12の内部に流入する。
【0024】
圧力検出部14は、レール本体11の長手方向の中央部に設けられている。圧力検出部14は、レール本体11の内部空間に露出する圧力センサ(図示せず)を有している。これにより、圧力検出部14は、レール本体11の内部の圧力を検出することができる。圧力センサで検出したレール本体11の内部の圧力に関する電気信号は、コネクタ17を経由して図示しない電子制御ユニット(以下、「ECU」という)に伝送される。
ECUは、CPU、ROMおよびRAM等を有する小型のコンピュータであり、車両に取り付けられた各種センサからの信号等に基づき、車両に搭載された各種機器および装置類を制御することで車両を統合して制御する。
【0025】
4つの燃料噴射弁2は、それぞれ、分配管12のレール本体11とは反対側の端部に形成された接続カップ15に接続される。図3に示すように、燃料噴射弁2は、接続カップ15に接続された状態で、エンジン3のシリンダヘッド5の取り付け穴6に挿入される。ここで、分配管12に形成された固定部16をボルト7でシリンダヘッド5に締め付けることにより、燃料レール10がシリンダヘッド5に固定される。
【0026】
次に、燃料噴射弁2の構成について説明する。燃料噴射弁2は、図1に示すように、筒部材20、弁部材30、電磁駆動部40および特定形状部61等を備えている。
筒部材20は、第1筒部材21、第2筒部材22、第3筒部材23および第4筒部材24から構成されている。第1筒部材21は、金属により略円筒状に形成されている。第1筒部材21は、筒状の燃料導入部25と筒部26とからなる。燃料導入部25の径外側には、ゴム製のOリング251および樹脂製のスペーサ252が設けられている。一方、燃料導入部25の径内側には、フィルタ253が設けられている。
【0027】
筒部26は、燃料導入部25の一方の端部に接続し、燃料導入部25と一体に形成されている。筒部26は、燃料導入部25より外径が大きく形成されている。筒部26の外径は、スペーサ252の外径と概ね同じである。
第2筒部材22は、磁性材により略円筒状に形成されている。第2筒部材22は、一方の端部が第1筒部材21の筒部26に接続するよう設けられている。
第3筒部材23は、非磁性材により略円筒状に形成されている。第3筒部材23は、一方の端部が第2筒部材22の第1筒部材21とは反対側の端部に接続するよう設けられている。
【0028】
第4筒部材24は、磁性材により形成されている。第4筒部材24は、筒部27と底部28とからなる。第4筒部材24は、筒部27の一方の端部が第3筒部材23の第2筒部材22とは反対側の端部に接続するよう設けられている。底部28は、筒部27の他方の端部を塞いでいる。底部28には、噴孔281が形成されている。また、底部28には、噴孔281を取り囲むようにして環状の弁座282が形成されている。
【0029】
第1筒部21、第2筒部22、第3筒部23および第4筒部24は、溶接等によって互いに接続され、筒部材20を構成している。ここで、第1筒部材21の燃料導入部25が特許請求の範囲における「燃料導入部」に対応し、第1筒部材21の筒部26、第2筒部材22、第3筒部材23および第4筒部材24の筒部27が特許請求の範囲における「筒部」に対応し、第4筒部材24の底部28が特許請求の範囲における「底部」に対応する。
【0030】
弁部材30は、磁性材により形成され、筒部材20の内側に設けられている。ニードル31および可動コア32からなる。ニードル31は、棒状に形成され、一方の端部が弁座282に当接可能である。可動コア32は、略円柱状に形成され、ニードル31の他方の端部に接続しニードル31と同軸かつ一体に設けられている。
【0031】
弁部材30は、可動コア32が第3筒部材23と第4筒部材24の筒部27との接続部分の内側に位置するよう設けられている。可動コア32の外径は、第3筒部材23および筒部27の内径よりやや小さい。そのため、弁部材30は、可動コア32の外壁が第3筒部材23および筒部27の内壁と摺動することで、第3筒部材23および筒部27の内側で軸方向に往復移動可能である。
【0032】
可動コア32には、可動コア32を軸方向に貫く複数の通孔34が形成されている。また、可動コア32およびニードル31の中央には、ニードル31の途中まで延びる穴35が形成されている。さらに、ニードル31には、ニードル31の径外側と穴35とを接続する孔33が形成されている。
【0033】
弁部材30は、ニードル31が弁座282から離間または弁座282に当接するよう往復移動することで噴孔281を開閉する。以下、ニードル31が弁座282から離間するときの弁部材30の移動方向を「開弁方向」といい、ニードル31が弁座282に当接するときの弁部材30の移動方向を「閉弁方向」という。
【0034】
第2筒部材22および第3筒部材23の内側、弁部材30の底部28とは反対側には、固定コア71が設けられている。固定コア71は、磁性材により略円筒状に形成され、外壁が第2筒部材22および第3筒部材23の内壁に嵌合することで筒部材20に固定されている。
ニードル31が弁座282に当接した状態においては、固定コア71と可動コア32との間に所定の隙間が形成されている。弁部材30は、当該隙間分だけ往復移動可能である。つまり、当該隙間は弁部材30のフルリフト量に対応する。
【0035】
固定コア71の内側には、略円筒状のアジャスティングパイプ73が設けられている。また、アジャスティングパイプ73と可動コア32との間には、付勢部材75が設けられている。付勢部材75は、本実施形態ではコイルスプリングであり、弁部材30を閉弁方向に付勢するよう設けられている。
【0036】
電磁駆動部40は、筒部材20の径外側に設けられている。電磁駆動部40は、コイル41およびホルダ42等を有している。環状のコイル41は、第2筒部材22と第3筒部材23と第4筒部材24との接続部分の径外側に設けられている。ホルダ42は、磁性材により形成され、コイル41の径外側を覆うよう、かつ、第4筒部材24の筒部27に当接するようにして設けられている。
【0037】
本実施形態では、第2筒部材22の径外側に電気コネクタ50が設けられている。電気コネクタ50は、樹脂によりモールド成形されている。電気コネクタ50は、筒部51、突出部52およびターミナル53を有している。筒部51は、コイル41の第1筒部材21側で第2筒部材22の外壁を覆うようにして形成されている。突出部52は、筒部51から第2筒部材22の径外方向へ突出し、さらに燃料導入部25側へ曲がるようにして形成されている。ターミナル53は、一方の端部が露出するよう突出部52にインサート成形され、他方の端部がコイル41に接続されている。
【0038】
電気コネクタ50には、ECUに接続された図示しない電力線が接続される。これにより、図示しないバッテリからの電力が、ECU、電力線およびターミナル53を経由してコイル41に供給される。ECUは、バッテリからコイル41に供給する電力を制御する。
【0039】
コイル41に電力が供給されると、コイル41の周囲に磁界が生じる。コイル41の周囲に磁界が生じると、磁束が第3筒部材23を避けて第2筒部材22、ホルダ42、第4筒部材24の筒部27、可動コア32および固定コア71に流れることで磁気回路が形成される。これにより、可動コア32は、付勢部材75の付勢力に抗して固定コア71側に吸引される。その結果、可動コア32と一体のニードル31が弁座282から離間し開弁する。一方、コイル41への電力の供給が停止するとコイル41の周囲の磁界が消滅し、可動コア32は付勢部材75の付勢力により弁座282側へ移動する。その結果、ニードル31が弁座282に当接し閉弁する。
【0040】
本実施形態では、電気コネクタ50の筒部51の外壁にクリップ80が取り付けられている。クリップ80は、例えば金属により形成され、挟持部81、弾性変形部82および回り止め部83からなる(図3(B)、図4(B)参照)。
挟持部81は、電気コネクタ50の筒部51の外壁のうち突出部52以外の部位を挟持可能なよう略C字状に形成されている。弾性変形部82は、挟持部81の周方向の中央部から燃料導入部25側へ延び、2つに分岐してさらに燃料導入部25側かつ突出部52側へ延びるようにして形成されている。これにより、弾性変形部82は、挟持部81とは反対側の端部に力が加わると弾性変形する。回り止め部83は、弾性変形部82の2つに分岐している箇所から燃料導入部25側へ延びるよう形成されている。
【0041】
図1および図4に示すように、特定形状部61は、筒部材20の筒部の燃料導入部25側端部、すなわち、第1筒部材21の筒部26の外壁から径内方向へ凹むようにして形成されている。本実施形態では、特定形状部61は、筒部26の全周に亘って環状に形成される溝である(図4(A)および(B)参照)。
特定形状部61は、電気コネクタ50の筒部51と突出部52との接続箇所、すなわち、筒部26の軸方向において電気コネクタ50が突出する位置よりも燃料導入部25側に形成されている。
【0042】
図4(A)に示すように、特定形状部61は、クリップ80の弾性変形部82の挟持部81とは反対側の端部から燃料導入部25側へ所定の距離s離れた箇所に形成されている。ここで、sは0以上の値である。また、筒部26は、特定形状部61に対し燃料導入部25側の部分の軸方向の幅w1が、特定形状部61の軸方向の幅w2以上となるよう形成されている。なお、図3(B)に示すように、クリップ80の挟持部81は、特定形状部61から底部28側へ所定の距離離れた部位(電気コネクタ50の筒部51)を挟持している。
【0043】
図4(C)に示すように、筒部26は、特定形状部61に対し燃料導入部25側の部分の外径d1と、特定形状部61に対し底部28側の部分の外径d2とが略同一となるよう形成されている。つまり、本実施形態では、特定形状部61は、略円筒状の筒部26の外壁を切削することにより形成されている。
【0044】
次に、燃料噴射弁2のエンジン3への取り付け方法について説明する。
まず、図2に示すように、燃料レール10の4つの分配管12の接続カップ15のそれぞれに燃料噴射弁2を接続することにより燃料噴射装置1を構成する。このとき、接続カップ15の内側に燃料噴射弁2の燃料導入部25を挿入することにより、燃料噴射弁2を接続カップ15に接続する。また、このとき、接続カップ15の開口端部外縁に形成された溝にクリップ80の回り止め部83が嵌り込むようにして燃料噴射弁2を接続カップ15に接続する。これにより、燃料噴射弁2の接続カップ15に対する相対回転が規制される。
【0045】
続いて、図3に示すように、4つの燃料噴射弁2のそれぞれをエンジン3のシリンダヘッド5の取り付け穴6に挿入するようにして、燃料噴射装置1をシリンダヘッド5に取り付ける。これにより、燃料噴射弁2の噴孔281が形成された底部28が、エンジン3の燃焼室4に露出する。
最後に、分配管12に形成された固定部16をボルト7でシリンダヘッド5に締め付けることにより、燃料レール10をシリンダヘッド5に固定する。これにより、燃料噴射弁2(燃料噴射装置1)のエンジン3への取り付けが完了する。
【0046】
燃料レール10がシリンダヘッド5に固定された状態では、クリップ80は、弾性変形部82の挟持部81とは反対側の端部が、接続カップ15の開口端部によって燃焼室4側へ押圧されている。そのため、弾性変形部82は、弾性変形し筒部材20の軸方向に縮んだ状態となる。これにより、弾性変形部82に第1筒部材21の軸方向の復元力が生じる。その結果、燃料噴射弁2は、前記復元力によりシリンダヘッド5の取り付け穴6の段差面に押し付けられ、その位置が安定する。このように、前記復元力は、所定のクランプ荷重として燃料噴射弁2に作用する。また、燃料噴射装置1がエンジン3に取り付けられた状態において、接続カップ15の内壁と燃料導入部25の外壁との間は、Oリング251によって液密にシールされている。
【0047】
次に、燃料噴射弁2の作動について説明する。
燃料レール10内の所定の圧力の燃料が燃料導入部25を経由して燃料噴射弁2に導入されると、燃料がフィルタ253を経由して噴孔281側へ流れ、筒部材20の内側の空間に充満する。このとき、フィルタ253は、燃料中の異物を捕集する。なお、燃料は、固定コア71の内側、アジャスティングパイプ73の内側、弁部材30に形成された通孔34、穴35および孔33を流通し、噴孔281の近傍まで到達する。このように、筒部材20の内側には、燃料が流通可能な燃料通路が形成されている。
【0048】
筒部材20の内側の空間が燃料で満たされた状態で、ECUの制御によりコイル41に電力が供給されると、弁部材30が固定コア71側へ吸引されて開弁し、噴孔281から燃料が噴射される。一方、弁部材30が開弁しているとき、ECUの制御によりコイル41への電力の供給が停止されると、弁部材30が弁座282側へ移動して閉弁し、噴孔281からの燃料の噴射が遮断される。
【0049】
次に、燃料噴射弁2のエンジン3からの取り外し方法について説明する。
まず、燃料レール10をシリンダヘッド5に固定しているボルト7を取り外し、燃料レール10の分配管12を取り付け穴6から引き抜く。このとき、燃料噴射弁2の噴孔281側端部の周囲にデポジットが堆積し筒部材20がシリンダヘッド5に固着している場合、図3(B)に示すように、燃料噴射弁2がシリンダヘッド5に固着した状態で取り付け穴6に残ることがある。
【0050】
燃料噴射弁2がシリンダヘッド5に固着した状態で取り付け穴6に残った場合、図5に示すように、治具100を用いて燃料噴射弁2を取り付け穴6から引き抜く。すなわち、図5(A)に示すように、まず、治具100の先端部を燃料噴射弁2の特定形状部61近傍に位置させる。そして、図5(B)に示すように、特定形状部61(環状の溝)に治具100の先端部を引っ掛けて保持する。その後、デポジットによる固着力以上の力で治具100を鉛直方向上側へ引っ張ることで燃料噴射弁2を取り付け穴6から引き抜く。以上により、燃料噴射弁2のエンジン3からの取り外しが完了する。なお、治具100で燃料噴射弁2を取り付け穴6から引き抜くとき、第1筒部材21の筒部26の特定形状部61に対し燃料導入部25側の部分には、治具100から固着力以上の力が作用する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態では、筒部材20の筒部の燃料導入部25側端部、すなわち、第1筒部材21の筒部26に特定形状部61が設けられている。特定形状部61は、筒部26の外壁から径内方向へ凹むようにして形成されている。本実施形態では、特定形状部61は、筒部26の全周に亘って環状に形成される溝である。燃料噴射弁2の交換時等、燃料噴射弁2をエンジン3から取り外す場合、特定形状部61に治具100の先端部を引っ掛けて保持しつつシリンダヘッド5の取り付け穴6から引き抜くことにより、燃料噴射弁2をエンジン3から容易に取り外すことができる。特に本実施形態では燃料噴射弁2がセンター噴射式のエンジン3に取り付けられているため、燃料噴射弁2の全てが取り付け穴6に収容された状態である。このような状態でも、治具100により特定形状部61を容易に保持することができるため、燃料噴射弁2をエンジン3から容易に取り外すことができる。
【0052】
筒部材20の噴孔281側端部の周囲にデポジットが堆積し筒部材20がエンジン3のシリンダヘッド5に固着しているような場合、燃料噴射弁2をエンジン3から取り外すには、デポジットによる固着力以上の力を燃料噴射弁2に加える必要がある。そのため、エンジン3に固着している筒部材20以外の部位、例えば電気コネクタ50を保持して燃料噴射弁2を取り外そうとすると、電気コネクタ50が筒部材20から剥がれたり破損したりするおそれがある。しかしながら、本実施形態では、エンジン3に固着している筒部材20自体を保持しつつ燃料噴射弁2を取り外すことができるため、燃料噴射弁2の破損を防止することができる。
【0053】
また、本実施形態は、筒部(筒部26)の径外方向へ突出するよう形成され、電磁駆動部40に電力を供給する電力線が接続される樹脂製の電気コネクタ50を備えている。そして、特定形状部61は、筒部(筒部26)の軸方向において電気コネクタ50が突出する位置よりも燃料導入部25側に形成されている。そのため、治具100の先端部を特定形状部61に引っ掛けるとき、筒部(筒部26)に対する治具100の先端部の周方向の位置または治具100の先端部の形状にかかわらず、治具100の先端部が電気コネクタ50に干渉するのを防ぐことができる。したがって、治具100による燃料噴射弁2の取り外し方法の自由度、および、治具100の形状の自由度を高めることができる。これにより、電気コネクタ50を備えた構成であっても、電気コネクタ50に治具100を干渉させることなく、燃料噴射弁2をエンジン3から容易に取り外すことができる。
【0054】
また、本実施形態では、筒部材20のうち少なくとも特定形状部61が形成される部位、すなわち、筒部の燃料導入部25側端部(筒部26)は、金属により形成されている。これにより、筒部のうち特に特定形状部61が形成される部位(筒部26)の強度を高めることができる。この構成では、燃料噴射弁2をエンジン3から取り外す際、デポジットによる固着力以上の大きな力が治具100から特定形状部61に加わったとしても、特定形状部61および筒部(筒部26)が破損するのを効果的に防止することができる。なお、本実施形態では、筒部26を含む筒部材20のすべてが金属により形成されている。
【0055】
また、本実施形態では、特定形状部61から底部28側へ所定の距離離れた部位を挟持するよう設けられる挟持部81、および、当該挟持部81から燃料導入部25側へ延びるようにして形成される弾性変形部82を有するクリップ80をさらに備えている。弾性変形部82を弾性変形させると、弾性変形部82に復元力が生じる。本実施形態では、燃料噴射弁2がエンジン3に取り付けられた状態で、弾性変形部82に復元力が生じると、燃料噴射弁2に所定のクランプ荷重が作用する。これにより、燃料噴射弁2は、クランプ荷重でエンジン3に押し付けられ位置が安定する。つまり、クリップ80は、燃料噴射弁2にクランプ荷重を作用させるために設けられている。
【0056】
本実施形態では、特定形状部61は、弾性変形部82の挟持部81とは反対側の端部から燃料導入部25側へ所定の距離s離れた箇所に形成されている(sは0以上の値)。この構成では、燃料噴射弁2をエンジン3から取り外す際、治具100で特定形状部61を保持するとき、治具100の先端部がクリップ80の弾性変形部82に干渉するのを防ぐことができる。そのため、燃料噴射弁2の位置を安定させるためにクリップ80を備えた構成であっても、クリップ80に治具100を干渉させることなく、燃料噴射弁2をエンジン3から容易に取り外すことができる。
【0057】
また、本実施形態では、筒部26は、特定形状部61に対し燃料導入部25側の部分の軸方向の幅w1が、特定形状部61の軸方向の幅w2以上となるよう形成されている。これにより、筒部26の特定形状部61に対し燃料導入部25側の部分の強度を高めることができる。治具100で特定形状部61を保持して燃料噴射弁2をエンジン3から取り外す場合、筒部26の特定形状部61に対し燃料導入部25側の部分に治具100から力が作用する。本実施形態では、上述のように筒部26の特定形状部61に対し燃料導入部25側の部分の強度が高いため、燃料噴射弁2をエンジン3から取り外す際に筒部26が破損するのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、筒部26は、特定形状部61に対し燃料導入部25側の部分の外径d1と、特定形状部61に対し底部28側の部分の外径d2とが略同一となるよう形成されている。このような構成の筒部材20(筒部26)は、例えば外径が均一の円筒状の部材の外壁を切削あるいは押圧等して特定形状部61を形成することにより製造することができる。そのため、特定形状部61を形成するための加工を容易に行うことができ、製造コストを低減することができる。
【0059】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による燃料噴射弁の一部を図6に示す。第2実施形態では、筒部材に形成される特定形状部の形状が第1実施形態と異なる。
【0060】
図6(B)に示すように、第2実施形態では、特定形状部62は、電気コネクタ50の突出部52の突出する方向(突出方向)と平行に延びるようにして筒部26の外壁に、筒部26の軸に対し略線対称となるよう2つ形成される溝である。そのため、電気コネクタ50の突出部52は筒部26の径外方向へ突出しさらに燃料導入部25側へ曲がるよう形成されているものの、電気コネクタ50の突出部52と2つの溝(特定形状部62)とが対向することはない。
第2実施形態の上述した構成以外の点は、第1実施形態と同様である。
【0061】
本実施形態では、燃料噴射弁をエンジン3から取り外す場合、筒部26に形成された2つの溝(特定形状部62)に治具100の先端部を引っ掛けて保持しつつシリンダヘッド5の取り付け穴6から引き抜くことにより、燃料噴射弁をエンジン3から容易に取り外すことができる。
【0062】
また、本実施形態では、電気コネクタ50の突出部52は筒部(筒部26)の径外方向に突出し、さらに燃料導入部25側へ曲がるよう形成されているものの、電気コネクタ50の突出部52と2つの溝(特定形状部62)とが対向することはない。よって、燃料噴射弁をエンジン3から取り外す際、治具100で特定形状部62を保持するとき、治具100の先端部が電気コネクタ50の突出部52に干渉するのを防ぐことができる。これにより、電気コネクタ50を備えた構成であっても、電気コネクタ50に治具100を干渉させることなく、燃料噴射弁をエンジン3から容易に取り外すことができる。
また、本実施形態では、筒部26の周方向の一部に溝(特定形状部62)を形成する構成のため、第1実施形態のように筒部26の全周に亘って溝(特定形状部61)を形成構成と比べ、筒部26の強度を高めることができる。
【0063】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、クリップを金属により形成する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、クリップの弾性変形部は、弾性変形し復元力を生じることが可能であれば、どのような材料および形状で形成されていてもよい。また、クリップは回り止め部を有していなくてもよい。また、燃料噴射弁はクリップを備えない構成としてもよい。
【0064】
また、本発明の他の実施形態では、筒部の燃料導入部側端部は、特定形状部に対し燃料導入部側の部分の軸方向の幅が、特定形状部の軸方向の幅より小さくなるよう形成されていてもよい。また、特定形状部の軸方向の幅および径内方向への凹みの深さは、治具の先端部の大きさ等に応じてどのような幅および深さに設定してもよい。
【0065】
また、本発明の他の実施形態では、筒部の燃料導入部側端部は、特定形状部に対し燃料導入部側の部分の外径と、特定形状部に対し底部側の部分の外径とが異なるよう形成されていてもよい。
上述の第2実施形態では、特定形状部を筒部の燃料導入部側端部の周方向に2箇所形成する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、特定形状部を筒部の燃料導入部側端部の周方向に3箇所以上形成することとしてもよい。
【0066】
また、本発明の他の実施形態では、筒部のうち特定形状部が形成される部位は、金属に限らず例えば樹脂により形成されていてもよい。また、特定形状部が形成される部位を金属で形成するとともに、特定形状部(溝)を例えば樹脂により覆う構成としてもよい。
本発明の燃料噴射弁は、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジンに適用することもできる。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0067】
2 ・・・・・燃料噴射弁
3 ・・・・・エンジン(内燃機関)
4 ・・・・・燃焼室
8 ・・・・・燃料供給源
20 ・・・・筒部材
22 ・・・・第2筒部材(筒部)
23 ・・・・第3筒部材(筒部)
25 ・・・・燃料導入部
26、27 ・・・筒部
28 ・・・・底部
281 ・・・噴孔
30 ・・・・弁部材
40 ・・・・電磁駆動部
61、62 ・・・特定形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に取り付けられ、燃料供給源からの燃料を前記内燃機関の燃焼室に噴射供給する燃料噴射弁であって、
前記燃料供給源からの燃料が導入される燃料導入部、当該燃料導入部に接続する筒部、および、当該筒部の前記燃料導入部とは反対側の端部を塞ぎ噴孔が形成された底部を有し、当該底部が前記燃焼室に露出するよう前記内燃機関に取り付けられる筒部材と、
前記筒部材の内側に往復移動可能に設けられ、前記底部から離間または前記底部に当接することにより前記噴孔を開閉する弁部材と、
前記筒部に設けられ、電力が供給されると磁界を生じ前記弁部材を開弁方向に吸引する電磁駆動部と、
前記筒部の前記燃料導入部側端部の外壁から径内方向へ凹むようにして形成される特定形状部と、
を備えることを特徴とする燃料噴射弁。
【請求項2】
前記筒部の径外方向へ突出するよう形成され、前記電磁駆動部に電力を供給する電力線が接続される樹脂製の電気コネクタをさらに備え、
前記特定形状部は、前記筒部の軸方向において前記電気コネクタが突出する位置よりも前記燃料導入部側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
【請求項3】
前記筒部材のうち少なくとも前記特定形状部が形成される部位は、金属により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射弁。
【請求項4】
前記特定形状部から前記底部側へ所定の距離離れた部位を挟持するよう設けられる挟持部、および、当該挟持部から前記燃料導入部側へ延びるようにして形成される弾性変形部を有するクリップをさらに備え、
前記特定形状部は、前記弾性変形部の前記挟持部とは反対側の端部から前記燃料導入部側へ所定の距離離れた箇所に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
【請求項5】
前記特定形状部は、前記筒部の前記燃料導入部側端部の全周に亘って環状に形成される溝であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
【請求項6】
前記筒部の径外方向へ突出するよう形成され、前記電磁駆動部に電力を供給する電力線が接続される樹脂製の電気コネクタをさらに備え、
前記特定形状部は、前記電気コネクタの突出する方向と平行に延びるようにして前記筒部の前記燃料導入部側端部の外壁に、前記筒部の軸に対し略線対称となるよう2つ形成される溝であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
【請求項7】
前記筒部の前記燃料導入部側端部は、前記特定形状部に対し前記燃料導入部側の部分の軸方向の幅が、前記特定形状部の軸方向の幅以上となるよう形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
【請求項8】
前記筒部の前記燃料導入部側端部は、前記特定形状部に対し前記燃料導入部側の部分の外径と、前記特定形状部に対し前記底部側の部分の外径とが略同一となるよう形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−72283(P2013−72283A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209500(P2011−209500)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】