説明

燃料電池システム

【課題】安定した運用が行える燃料電池システムを提供することを課題とする。
【解決手段】制御部が、燃料電池システムの停止後監視時又は起動時に、キャッチタンク27に設けられた水位センサ27a又は27bによって検出又は推定された水位が所定の基準水位以上であると判定した場合に、ドレイン弁26を開の状態に切り替えてキャッチタンク27に貯留された水を排出させることを特徴とする。また、キャッチタンク27が角度θだけ傾斜した場合には、傾斜角度θに応じて補正後水排出基準水位及び補正後水位を求めて前記判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素(燃料ガス)と、酸素を含む空気(酸化剤ガス)とを供給することで発電する燃料電池の開発が進められ、例えば燃料電池車の電力源として期待されている。
【0003】
水素(燃料ガス)の利用率を高めるため、燃料電池から排出された水素はエゼクタなどにより再循環されるが、燃料電池から水素とともに排出された水分が、水素と一緒に循環されると、燃料電池が水分過多状態になりやすい。このため、アノードオフガスを循環させるための配管にキャッチタンクを設け、燃料電池から排出された水分が再度燃料電池に戻らないようにしている。
【0004】
特許文献1には、気液分離機(キャッチタンク)に貯留された生成水の水位を検出し、検出された水位に基づいて気液分離機から燃料電池への水分の還流量を推定し、該還流量が所定値以上である場合には気液分離機に貯留された生成水を排出する技術について開示されている。
【0005】
特許文献2には、イグニッションスイッチオフ後、酸化剤ガス流路内の液滴と燃料ガス流路内の液滴とをそれぞれ時間的に分けて除去することによってエアコンプレッサの駆動を抑制し、騒音を低減させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−059221号公報
【特許文献2】特開2007−123040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術において、気液分離機から燃料電池への水分の還流量を推定し、該還流量が所定値以上である場合には気液分離機に貯留された生成水を排出するという動作は、燃料電池が発電している間においてなされるものである。つまり、特許文献1に記載の技術では、ソーク(システム停止後の放置状態)中である場合において発生する結露水が気液分離機に多量に貯留された場合に、当該結露水を外部に排出することができない。したがって、燃料電池システムが次回起動する際のOCV(Open Circuit Voltage)パージ時などに、気液分離機に貯留された生成水が気流に同伴してエゼクタ方向にまわることによって燃料電池が水分過多状態になり、燃料電池システムの起動安定性を損なう可能性がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、イグニッションオフ後、酸化剤ガス流路の液滴と燃料ガス流路内の液滴とをそれぞれ除去した場合でも、燃料ガスを循環させる配管に設けられた水貯留部に液滴が過剰に貯留されている可能性がある。つまり、燃料電池システムが次回起動する際に水貯留部に貯留された生成水がエゼクタ方向にまわることによって発電性能が低下する可能性がある。
【0009】
そこで本発明は、安定した運用が行える燃料電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段として本発明は、制御部が燃料電池システムの停止後監視時又は起動時に、水貯留部に設けられた水位検出手段により検出又は推定された水位が所定の基準水位以上であると判定した場合に、前記水排出手段を動作させて水貯留部に貯留された水を排出させることを特徴とする。
【0011】
これによって本発明は、燃料電池システムが停止し、次回起動する際に水貯留部に貯留された水が気流に同伴して燃料電池に還流することにより、燃料電池が水分過多状態になるという事態を回避することができる。したがって、燃料電池システムの起動安定性を担保することができる。
【0012】
また、本発明は傾斜角度取得手段を備え、水貯留部の傾斜角度によって決まる補正後基準水位と、水位検出手段により検出された水位と前記傾斜角度によって決まる補正後水位と、を比較して前記判定を行うことを特徴とする。
【0013】
燃料電池システムを搭載した移動体が傾斜している場合には、燃料電池システムを構成する水貯留部も傾斜することになり、その分、水貯留部に貯留された水が気流に同伴して燃料電池に還流しやすくなる。本発明では、上記のような場合においても補正後基準水位及び補正後水位を求めることによって、燃料電池が水分過多状態になるという事態を回避することが可能となる。
【0014】
また、本発明は傾斜角度取得手段を備え、燃料電池システムの停止後監視時又は起動時に、水貯留部に貯留された水の体積が、水貯留部の傾斜角度によって決まる補正後基準水量以上であると判定した場合に、水排出手段を動作させて水貯留部に貯留された水を排出させることを特徴とする。
【0015】
これによって本発明は、燃料電池システムを搭載した移動体が傾斜している場合でも、水貯留部に貯留された水の量(体積)を算出し、その値を補正後基準水量と比較することによって、燃料電池が水分過多状態になるという事態を回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、安定した運用が行える燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの燃料電池、キャッチタンク、エゼクタ、ドレイン弁、水素ポンプ及びこれらを接続する配管を示す図であり、(a)は発電停止直後に燃料ガスが還流する様子を示した図、(b)はソーク時において燃料電池内の結露水がキャッチタンクに貯留する様子を示した図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムにおいて、水排出制御処理の流れを示すフローチャートであり、(a)はソーク中にキャッチタンクの水を排出する場合であり、(b)は起動時発電前にキャッチタンクの水を排出する場合である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの水排出制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】水位センサを備えるキャッチタンクに水が貯留される様子を示す図であり、(a)はキャッチタンクが水平の場合であり、(b)はキャッチタンクが傾斜している場合である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムにおいて、キャッチタンクに貯留された水を排出するまでの処理の流れを示すフローチャートであり、(a)はソーク中にキャッチタンクの水を排出する場合であり、(b)は起動時発電前にキャッチタンクの水を排出する場合である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムにおいて、傾斜に対する水排出判断補正の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】キャッチタンクの水位センサ値と補正後水位との関係を示すグラフである。
【図9】キャッチタンクの傾斜角度と補正後水排出基準水位との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムにおいて、キャッチタンクに貯留された水を排出するまでの処理の流れを示すフローチャートであり、(a)はソーク中にキャッチタンクの水を排出する場合であり、(b)は起動時発電前にキャッチタンクの水を排出する場合である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムにおいて、傾斜に対する水排出判断補正の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】キャッチタンクの傾斜角度と補正後水排出基準水量との関係を示すグラフである。
【図13】傾斜する路面上を移動体が走行する場合の速度、空気抵抗、転がり抵抗、勾配抵抗、接地加重、車両総重量を示すベクトルを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
≪第1実施形態≫
本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
<燃料電池システムの構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの構成を示す図である。燃料電池システム1は、燃料電池車(移動体:図13参照)に搭載されている。燃料電池システム1は、燃料電池10、アノード系20、カソード系30、冷媒系40、制御系50等によって構成されている。
【0020】
<1.燃料電池>
燃料電池10は、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)であり、図示しない膜/電極接合体 (Membrane Electrode Assembly:MEA)を一対の導電性のセパレータ(図示せず)で挟持してなる単セル(図示せず)が複数積層されて構成されている。膜/電極接合体は、図示しない電解質膜(Proton Exchange Membrane:PEM)、これを挟持するアノード(図示せず)およびカソード(図示せず)、さらにその外側にガス拡散層である一対のカーボンペーパ(図示せず)等を備えて構成されている。
【0021】
また、燃料電池10は、アノード側のカーボンペーパ(図示せず)に対向するセパレータ(図示せず)の表面に、水素(燃料ガス)が流通する流路10aが形成され、カソード側のカーボンペーパ(図示せず)に対向するセパレータ(図示せず)の表面に、空気(酸化剤ガス)が流通する流路10bが形成されている。また、セパレータには、燃料電池10を冷却する冷媒(例えば、エチレングリコールを含む水)が流通する流路10cが形成されているが、これらは周知なものなので、その説明を省略する。なお、カーボンペーパの流路10cに近い部位が結露により水分過多状態になりやすく、その場合にはガス(水素及び空気)の拡散を阻害して燃料電池10の発電性能を低下させる。
【0022】
<2.アノード系>
アノード系20は、水素タンク21、電磁作動式の遮断弁22、エゼクタ23、パージ弁24、アノードエア排出弁25、ドレイン弁26、キャッチタンク27、希釈ボックス28、水素ポンプ29、配管a1〜a11等で構成されている。
水素タンク21は、配管a1を介して遮断弁22と接続され、高純度の水素が高圧で圧縮充填されている。遮断弁22は配管a2を介してエゼクタ23と接続され、その開閉により、水素タンク21から配管a1を介した水素の供給を調整する。
エゼクタ23は、配管a3を介して燃料電池10のアノード側の流路10aの入口と接続されている。エゼクタ23は、水素タンク21から供給された水素を図示しないノズルから噴射することによりノズルの周囲に負圧を発生させて、アノード側の流路10aの出口から排出された未反応の水素を吸引するように構成されている。
【0023】
キャッチタンク27は、配管a4を介して燃料電池10のアノードから排出されるオフガスに含まれる水分を分離して貯留する。
パージ弁24は、配管a6から分岐した配管a7に接続され、配管a8を介して希釈ボックス28と接続されている。パージ弁24は、その開閉により、循環経路(配管a3、流路10a、配管a4、a6)に蓄積した不純物を、希釈ボックス28を介して外部(車外)に排出する機能を有する。なお、不純物とは、カソードから電解質膜を介してアノード側に透過した窒素や水分等である。
【0024】
アノードエア排出弁25は配管a5と接続され、配管a9を介して希釈ボックス28と接続されている。アノードエア排出弁25は、アノード掃気を行うためにアノードエア導入弁33を介して導入された空気を希釈ボックス28を介して外部(車外)に排出する機能を有する。
ドレイン弁26は、配管a10を介してキャッチタンク27の下部と接続され、配管a11を介して希釈ボックス28と接続されている。ドレイン弁26は、開弁することによりキャッチタンク27に貯留された水を希釈ボックス28を介して外部(車外)に排出する機能を有する。
希釈ボックス28は、配管a8、a9を介して流入する不純物を希釈し、その濃度を低下させる機能を有する。
水素ポンプ29は、燃料電池10の運転停止後に、水分パージを行う必要があると判定された場合に作動させ、循環経路(配管a3、流路10a、配管a4、a6)に溜まった水をキャッチタンク27に追い込むために、上記循環経路内のオフガスに所定の圧力をかける。また、水素ポンプ29は、運転時においてはエゼクタ23を補助するように作動される。なお、水素ポンプ29は必須の構成ではないので省略可能である。
【0025】
<3.カソード系>
カソード系30は、エアコンプレッサ31、背圧制御弁32、アノードエア導入弁33、配管b1〜b4等で構成されている。エアコンプレッサ31は配管b1と接続されており、外気を圧縮した空気を燃料電池10に供給する。
背圧制御弁32は、配管b2を介して燃料電池10のカソード側の流路10bの出口と接続されており、燃料電池10のカソードに供給されるカソード圧力を調整するものである。アノードエア導入弁33は、一方は配管b1から分岐した配管b3に接続され、他方は配管b4を介して配管a3に接続される。アノードエア導入弁33は、その開閉により、外部から導入する空気の量を調整する。
【0026】
<4.冷媒系>
冷媒系40は、ラジエタ41、冷却水ポンプ42、配管c1〜c3等で構成されている。ラジエタ41は、配管c1を介して流路10cの出口と接続され、配管c2を介して冷却水ポンプ42に接続されている。ラジエタ41は、外気との間で熱交換を行うものであり、冷媒を介して燃料電池10を放熱させる機能を有する。
冷却水ポンプ42は、配管c2を介してラジエタ41と接続され、配管c3を介して流路10cの入口と接続されている。冷却水ポンプ42は、所定の圧力をかけることによって、配管c1、c2、c3中の冷却水を循環させる機能を有する。
【0027】
<5.制御系>
制御系50は、制御装置51、傾斜センサ52、温度センサ(図示せず)等によって構成される。
制御装置51は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)等で構成され、遮断弁22、パージ弁24およびアノードエア排出弁25、ドレイン弁26、アノードエア導入弁33を開閉制御し、エアコンプレッサ31及び冷却水ポンプ42の各モータ(図示せず)の回転速度、背圧制御弁32の弁開度等を制御する。また、制御装置51は温度センサ(図示せず)によって検出された、配管a5を通過するオフガス、配管b2を通過するオフガス、配管c1を通過する冷媒の温度等をそれぞれ監視する。
制御装置51は、水排出制御部511、水排出判断補正部512、傾斜角度取得部513を備えるが、これらについての説明は後述する。
【0028】
<フラッディング(水分過多状態)について>
図2は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの燃料電池、キャッチタンク、エゼクタ、ドレイン弁、水素ポンプ及びこれらを接続する配管を示す図であり、(a)は発電停止直後に燃料ガスが還流する様子を示した図、(b)はソーク時において燃料電池内の結露水がキャッチタンクに貯留する様子を示した図である。
【0029】
図2(a)において、燃料電池10の発電が停止するまでは、燃料ガス(水素)が配管a3を介してアノード側の流路に供給され、燃料電池1内で酸化剤ガス(酸素)と反応する。そして、反応後の燃料ガス、未反応の燃料ガス、及び不純物(これらを合わせて以下、単に「オフガス」という。)が配管a4を通過する。オフガスが配管a4を通過する際に、オフガスに含まれる水分がキャッチタンク27に貯留する。ここで、燃料電池10における発電停止直後のキャッチタンク27に貯留された水の水位はh1となっている。
【0030】
しかし、ソーク中(イグニッションスイッチ(図示せず)がオフ状態となって燃料電池システム1が停止し、放置されている状態)は燃料電池システム1の温度が低下するため、高湿度のアノード系20や燃料電池10に積層されたセル(図示せず)に、結露による水滴が大量に発生する。さらに当該結露による水滴はアノード側の流路及び配管a4を介してキャッチタンク27に流れ込む。
そうすると、図2(b)に示すように、キャッチタンク27に貯留された水の水量が増加し、発電停止直後はh1であった水位がソーク状態に入ってから所定時間経過後にはh2(ここで、h2>h1である。)となる。そして、さらに水位が上昇してh3(ここで、h3>h2である。)となった場合には、燃料電池システム1が次回起動する際のOCVパージ時において、次のような事態が発生することが考えられる。すなわち、キャッチタンク27に貯留された水が、気流に同伴してエゼクタ方向にまわることによってフラッディング(水過多状態)が発生するという事態である。したがって、燃料電池システム1の起動安定性を担保するため、キャッチタンク27に貯留された水の水位が所定の基準水位に達している場合には、キャッチタンク27に貯留された水を排出する必要がある。
【0031】
<水排出制御処理>
図3は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムにおいて、水排出制御処理の流れを示すフローチャートであり、(a)はソーク中にキャッチタンクの水を排出する場合であり、(b)は起動時発電前にキャッチタンクの水を排出する場合である。
まず、図3(a)を参照しつつ、ソーク中にキャッチタンクの水を排出する場合の水排出制御処理の流れを説明する。ステップS101において、燃料電池システム1の制御装置51に内蔵された図示しない所定時間間隔でのシステム健全性監視機能(RTC(real-time clock)監視)が、ソーク中に稼動する。ステップS102において制御装置51は、燃料電池システム1が停止してから所定時間T1が経過したか否かを判断する。ステップS102において燃料電池システム1が停止してから所定時間T1が経過した場合には(ステップS102→Yes)、ステップS103に進む。ステップS102において燃料電池システム1が停止してから所定時間T1が経過していない場合には(ステップS102→No)、ステップS102にリターンする。
【0032】
ステップS103において、制御装置51は、キャッチタンク27に貯留された水の水位Aが、燃料電池システム1のフラッディングを防止するための水排出基準水位(所定の基準水位)B以上になったか否かを判断する。なお、製造段階の試験等において所定距離L(図5(a)参照)が予め求められているため、水排出基準水位Bも既知である。所定距離Lの詳細については後記する。
水位Aが水排出基準水位B以上である場合には(ステップS103→Yes)、水排出制御処理を行い(ステップS104)、終了する。水位Aが水排出基準水位B未満である場合には(ステップS103→No)、水排出制御処理を行わず、そのまま終了する。
【0033】
次に、図3(b)を参照しつつ、起動時発電前にキャッチタンク27の水を排出する場合の水排出制御処理の流れを説明する。ステップS201において、ユーザの操作によりイグニッションスイッチ(図示せず)がオンになる。ステップS202において制御装置51は、キャッチタンク27に貯留された水の水位Aが水排出基準水位(所定の基準水位)B以上になったか否かを判断する。水位Aが水排出基準水位B以上である場合には(ステップS202→Yes)、ステップS203に進んで水排出制御処理を行う。ステップS203の水排出制御処理が終了した場合、又はステップS202で水位Aが水排出基準水位B未満であった場合(ステップS202→No)には、ステップS204に進む。ステップS204において、制御装置51はOCVチェックを行った後、発電を開始する(ステップS205)。
ただし、図3(b)において、ステップS203の水排出制御処理とステップS204のOCVチェックとを並行して行ってもよい。
【0034】
次に、図3(a)のステップS104の水排出制御処理について説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの水排出制御処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS104aにおいて制御装置51の水排出制御部511(図1参照)は、アノード循環経路(配管a3、流路10a、配管a4、a6:図1参照)に溜まった水をキャッチタンク27に追い込むため、水素ポンプ29(図2参照)を作動させる。このときに生じる圧力によって循環流路内のガスは、配管a6、a3、流路10a、配管a4の順に流れて、循環流路内の水分をキャッチタンク27に追い込む。次にステップS104bにおいて水排出制御部511は、ドレイン弁26(図2参照)を閉状態から開状態に切り替え、キャッチタンク27(図2参照)に貯留された水を排出する。ステップS104cにおいて水排出制御部511は、キャッチタンク27に設置された水位センサ(図示せず)によって検出された水位Aが所定値C以下であるか否かを判断する。ステップS104cにおいて水位Aが所定値C以下であった場合(ステップS104c→Yes)、制御装置51はドレイン弁26を開状態から閉状態に切り替えて(ステップS104d)、水排出処理を終了する。ステップS104cにおいて水位Aが所定値Cより大きい場合(ステップS104c→No)、ステップS104aにリターンする。
【0035】
上記の処理は及び図3(b)のステップS203の水排出制御処理においても同様である。
なお、上記のステップS104aにおいて、エアコンプレッサ31(図1参照)を駆動させ、アノードエア導入弁33(図1参照)及びアノードエア排出弁25(図1参照)を閉状態から開状態に切り替えることにより、アノード掃気を行ってもよい。
また、上記ではステップS104aにおいて水素ポンプ29又はエアコンプレッサ31を作動させて、気流によりキャッチタンク27に水を追い込む例を示したが、気流を作らずとも重力によって水分をキャッチタンク27に落下させるようにしてもよい。
【0036】
本実施形態では、燃料電池システム1のソーク中又は起動時発電前において、キャッチタンク27(図2参照)に貯留されている水の水位Aが水排出基準水位B以上であるか否か判断する。水位Aが水排出基準水位B以上である場合には、ドレイン弁26(図2参照)を開の状態に切り替えてキャッチタンク27に貯留されている水を排出する。
したがって、ソーク中に高湿度のアノード系20内で結露によって発生する水滴がキャッチタンク27に過剰に溜まり、次回起動時にキャッチタンク27に貯留された水が気流に同伴して燃料電池10に達し、フラッディングの状態になってしまうという事態を回避することができる。
よって、本実施形態によれば、燃料電池システム1の発電安定性を確保し、スムーズに起動することが可能となる。
【0037】
≪第2実施形態≫
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。図5は、水位センサを備えるキャッチタンクに水が貯留される様子を示す図であり、(a)はキャッチタンクが水平の場合であり、(b)はキャッチタンクが傾斜している場合である。
アノード出口から排出されたアノードオフガスは、矢印の方向に配管a4を流れている。キャッチタンク27には、水位センサ27a又は27bが設置されている。実際には水位センサ27a、27bのいずれか一方がキャッチタンク27に設置されているが、ここでは便宜的に水位センサ27a、27bの両方が描かれている。
【0038】
車両100(図13参照)が水平な路面を走行又は停車している場合、図5(a)のようにキャッチタンク27も水平な状態になる。なお、Aはキャッチタンク27に貯留された水の水位であり、Bはキャッチタンク27が水平状態である場合において、燃料電池システム1のフラッディングを防止するための水排出基準水位である(以下、単に水排出基準水位ということがあるものとする)。
車両100(図13参照)が水位センサ27aの方向に角度θだけ傾斜した場合、キャッチタンク27は図5(a)の水平状態から図5(b)の傾斜状態となる。図5(b)の傾斜状態において、キャッチタンク27は水位センサ27aの方向に角度θだけ傾斜するが、キャッチタンク27に貯留された水の水面は、ほぼ水平な状態を保っている。ここで、車両100の傾斜角度とキャッチタンク27の傾斜角度とは等しいものとする。
【0039】
なお、キャッチタンク27の水がエゼクタ副流側に流れる条件は、キャッチタンク27の角部である点Pから水面を含む平面までの鉛直方向の距離による。したがって、図5(b)のようにキャッチタンク27が傾斜した場合には、水排出基準水位B´を示す点は、キャッチタンク27の角部である点Pから所定の距離Lだけ鉛直下向き方向に下った点Qを含む水平面がキャッチタンク27の傾き方向において交わる点Rにより与えられる。なお、上記距離Lはキャッチタンク27の傾斜角度の変化に対して一定であり、所定距離Lの値は製造段階の試験等において予め求められている。
なお、図5(b)においてA´はキャッチタンク27に貯留された水の水面が、傾き方向においてキャッチタンク27と接する部分の水位を示している。また、A1は水位センサ27aで検出される水位であり、A2は水位センサ27bで検出される水位である。
【0040】
キャッチタンク27が傾斜した場合、水位A´(補正後水位)は水平状態の場合の水位Aと比較して上昇する。また、上記の所定距離Lは変化しないが、水排出基準水位B´(補正後水排出基準水位)は水平状態の場合と比較して下降する。
つまり、キャッチタンク27が傾斜する角度θが大きいほど水位A´と水排出基準水位B´とが近接することとなる。さらに水位A´が水排出基準水位B´に達すると、燃料電池システム1にフラッディングが生ずる可能性がでてくる。
【0041】
したがって、キャッチタンク27が角度θだけ傾斜した場合に、補正後水位A´及び補正後水排出基準水位B´を推定し、当該補正後水位A´を補正後水排出基準水位B´と比較する必要がある。
なお、角度θの導出方法又は確認方法については後述する。
【0042】
図6は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムにおいて、キャッチタンクに貯留された水を排出するまでの処理の流れを示すフローチャートであり、(a)はソーク中にキャッチタンクの水を排出する場合であり、(b)は起動時発電前にキャッチタンクの水を排出する場合である。
図3で説明した第1実施形態の場合と比べて第2実施形態は傾斜に対する水排出判断補正の処理が追加され、その結果に基づいてその後の比較処理がなされる点が異なるが、その他の部分については第1実施形態と同様である。したがって、当該異なる部分について説明し、第1実施形態の場合と重複する点についてはその説明を省略する。
【0043】
図6(a)において制御装置51(図1参照)は、燃料電池システム1が停止してから所定時間T1が経過した場合には(ステップS302→Yes)、ステップS303に進む。ステップS303において制御装置51の水排出判断補正部512(図1参照)は、傾斜に対する水排出判断補正を行う。
【0044】
図7は、傾斜に対する水排出判断補正の処理(ステップS303)の流れを示すフローチャートである。ステップS303aにおいて水排出判断補正部512(図1参照)は、補正後水排出基準水位B´を決定する。水位センサ27a又は27b(図5(a)参照)の取付け位置及び所定距離L(図5(b)参照)が既知であるため、補正後水排出基準水位B´の値は、キャッチタンク27の傾斜角度θ(図5(b)参照)によって決まる。
ステップS303bにおいて水排出判断補正部512は、補正後水位A´を算出する。水位センサ27a又は27bの取付け位置が既知であるため補正後水位A´の値は、水位センサ27a又は27bによって得られる水位A1又はA2と傾斜角度θの値とから算出することができる。
【0045】
再び図6に戻って、ステップS304で制御装置51は、補正後水位A´が補正後水排出基準水位B´以上であるか否か判断する。補正後水位A´が補正後水排出基準水位B´以上である場合には(ステップS304→Yes)、ステップS305において水排出制御部511(図1参照)が水排出制御処理を行う。水排出制御処理については図4を用いて説明したものと同様なので、その説明を省略する。
つまり、水排出判断補正の処理は、水位A1又はA2を補正後水位A´(A´≧A1,A2である。)に補正し、水平時の水排出基準水位Bを補正後水排出基準水位B´(B´≦Bである。)に補正し、両者の大小を比較することによって行われる。
【0046】
図8は、キャッチタンクの水位センサ値と補正後水位との関係を示すグラフである。例えば水位センサが27a(図5(b)参照)側に設置されている場合について考える。水位センサ27a方向にキャッチタンク27が角度θだけ傾き、水位センサ27aによって検出された水位がA1(図5(b)、図8参照)である場合に、補正後水位A´の値はA1より大きくなる。この傾向は傾斜角度θが大きければ大きいほど顕著になる。
図9は、キャッチタンクの傾斜角度と補正後水排出基準水位との関係を示すグラフである。キャッチタンク27の傾斜角度θが大きくなるにしたがって、補正後水排出基準水位B´の値は小さくなる。
【0047】
次に、起動時発電前にキャッチタンク27の水を排出する場合について説明する。図6(b)は図3(b)と比較して、ステップS402で傾斜に対する水排出判断補正の処理が追加されている点とステップS403の比較処理が異なるが、その他の点は図3(b)と同様である。また、ステップS402の水排出判断補正とステップS403の比較処理については図6(a)で説明したステップS303及びステップS304と同様であるので、その説明を省略する。
【0048】
本実施形態では、水排出基準水位Bを補正して補正後水排出基準水位B´とし、水位センサ27a又は27bによって検出された水位A1又はA2を補正して補正後水位A´とする。当該補正によって、キャッチタンク27が水平状態であった場合にはフラッディングが生じない水量でも、キャッチタンク27が傾斜状態となった場合にはフラッディングが生じてしまうという事態を回避することができる。
したがって、車両100(図13参照)が傾斜した路面上に停車した場合でも、上記の水排出判断補正を行うことによって次回起動時のフラッディングを回避し、燃料電池システム1の発電安定性を確保してスムーズに起動することが可能となる。
【0049】
≪第3実施形態≫
第2実施形態ではキャッチタンク27が傾斜している状態において、キャッチタンク水位と水排出基準水位とを比較することで水排出判断補正を行っていた。これに対し、第3実施形態ではキャッチタンク水量と水排出基準水量とを比較することで水排出判断補正を行う。
図10は、本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムにおいて、キャッチタンクに貯留された水を排出するまでの処理の流れを示すフローチャートであり、(a)はソーク中にキャッチタンクの水を排出する場合であり、(b)は起動時発電前にキャッチタンクの水を排出する場合である。
【0050】
図10(a)、(b)は第2実施形態で説明した図6(a)、(b)と比較して、傾斜に対する水排出判断補正の内容(図10(a)のステップS503、図10(b)のステップS602)と、その後の比較処理(図10(a)のステップS504、図10(b)のステップS603)が異なるが、その他の点は図6(a)、(b)と同様である。したがって、図6(a)、(b)と重複する部分についてはその説明を省略する。
なお、角度θの導出方法又は確認方法については後述する。
【0051】
図10(a)のステップS503の傾斜に対する水排出判断補正について説明する。図11は、本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムにおいて、傾斜に対する水排出判断補正の処理の流れを示すフローチャートである。
図11のステップS503aにおいて水排出判断補正部512(図1参照)は、補正後水排出基準水量を決定する。ここで、キャッチタンク27が水平状態である場合(図5(a)参照)の水排出基準水量をYとし、キャッチタンク27が傾斜した場合(図5(b)参照)の水排出基準水量(補正後水排出基準水量)をY´とする。補正後水排出基準水量Y´は、キャッチタンク27に貯留されている水の水面が図5(b)における補正後水排出基準水位B´を与える点にかかっている場合の水量である。
キャッチタンク27の形状、所定距離L(図5(b)参照)、及び水位センサ27a、27bの取付け位置は既知であるため、補正後水排出基準水量Y´は傾斜角度θによって決まる。
【0052】
ステップS503bにおいて水排出判断補正部512(図1参照)は、キャッチタンク27に貯留された水の量(体積)を算出する。なお、外部の配管から水が供給されない限り、キャッチタンク27の傾斜角度θによってキャッチタンク27に現在貯留されている水の水量(体積)が変化することはないので、補正するのは水排出基準水量のみでよい。また、キャッチタンク27に貯留された水の量(体積)は、キャッチタンク27の形状、及び水位センサの取り付け位置は既知であるため、水位センサ27a又は27bによって検出された水位A1又はA2と、傾斜角度θとから求めることができる。
【0053】
図10(a)のステップS503において水排出判断補正を行った後、ステップS504において制御装置51は、キャッチタンク水量Xが補正後水排出基準水量Y´以上であるか否かを判断する。キャッチタンク水量Xが補正後の水排出基準水量Y´以上あった場合には(ステップS504→Yes)、水排出制御部511は水排出制御処理を行う(ステップS505)。
図12はキャッチタンクの傾斜角度と補正後水排出基準水量との関係を示すグラフである。
図12に示すようにキャッチタンク27の傾斜角度θが大きくなるにつれて、補正後の水排出基準水量Y´の値は小さくなる。
【0054】
次に、起動時発電前にキャッチタンクの水を排出する場合について説明する。図10(b)のステップS601でイグニッションスイッチ(図示せず)がオンになった後、制御装置51の水排出判断補正部512(図1参照)は、傾斜に対する水排出判断補正を行う(ステップS602)。なお、当該水排出判断補正については上記と同様である。ステップS603において制御装置51(図1参照)は、キャッチタンク水量Xが補正後水排出基準水量Y´以上であるか否か判断する。キャッチタンク水量Xが補正後の水排出基準水量Y´以上である場合には(ステップS603→Yes)、ステップS604において水排出制御部511(図1参照)が水排出制御処理を行う。
【0055】
以上説明したように本実施形態では、キャッチタンク27が水平状態であった場合にはフラッディングが生じない水量でも、キャッチタンク27が傾斜状態となった場合にはフラッディングが生じてしまうという事態を、水排出基準水量を補正することによって回避することができる。
したがって、車両100(図13参照)が傾斜した路面上に停車した場合でも、上記の水排出判断補正を行うことによって次回起動時のフラッディングを回避し、燃料電池システムの発電安定性を確保してスムーズに起動することが可能となる。
【0056】
≪傾斜角度θの導出について≫
傾斜角度θの導出はさまざまな方法を用いて行うことが可能であるが、ここでは主に移動体の走行抵抗等を利用して傾斜角度θを算出する場合について説明する。図13は、傾斜する路面上を移動体が走行する場合の速度、空気抵抗、転がり抵抗、勾配抵抗、接地加重、車両総重量を示すベクトルを表した図である。
車両(移動体)100が水平面から角度θだけ傾斜した路面上を速度Vで走行している場合を考える。傾斜角度θを導出するために、上記速度Vで傾斜路面を走行する車両100の走行抵抗Dを求める。ここで、空気抵抗をA、転がり抵抗をF、勾配抵抗をGとすると、走行抵抗Dは以下のようになる。
D=A+F+G ・・・(式1)
【0057】
なお、空気抵抗A、転がり抵抗F、勾配抵抗Gは、以下の式から求められる。ここで、空気抵抗係数をμc、車両100の前面投影面積をS、転がり抵抗係数をμR、車両総重量をW、重力加速度をgとしている。
A=μcSVg ・・・(式2)
F=μRWg・cosθ ・・・(式3)
G=Wg・sinθ ・・・(式4)
【0058】
上記式の中で、cosθ及びsinθ以外については既知の値である。
一方、走行抵抗Dは、以下の式からも求められる。ここで駆動力をJ、余裕駆動力をKとする。
D=J−K ・・・(式5)
【0059】
なお、駆動力J(駆動中の場合をJ1、回生中の場合をJ2とする)、余裕駆動力Kは、以下の式から求められる。ここで、モータ軸トルクをM、ギア比をN、トランスミッション効率をα、車両100のタイヤ半径をR、車両100の加速度をa、車両総重量をW、イナーシャウェイト(回転慣性)をIとする。
J1=MNα/R ・・・(式6)
J2=MN/(αR) ・・・(式7)
K=a(W+I) ・・・(式8)
【0060】
上記の値(モータ軸トルクM、ギア比L、トランスミッション効率α、タイヤ半径R、加速度a、車両総重量W、回転慣性I)については全て計算等により取得することができるから、駆動力J(J1又はJ2)及び余裕駆動力Kも(式6)〜(式8)により算出することができる。
式(1)、式(5)から、走行抵抗Dを消去すると、以下のようになる。
A+F+G=J−K ・・・(式9)
【0061】
(式9)に(式2)、(式3)、(式4)をそれぞれ代入すると、以下のようになる。
μcSVg+μRWg・cosθ+Wg・sinθ=J−K ・・・(式10)
【0062】
さらに、(式10)を整理すると、以下のようになる。
μRcosθ+sinθ={(J−K)/g−μcSV}/W ・・・(式11)
【0063】
ここで、sinθに対してμRcosθの値は十分に小さいため、(式11)は以下のように近似される。
sinθ={(J−K)/g−μcSV}/W ・・・(式12)
【0064】
よって傾斜角度θは以下のようになる。
θ=sin−1[{(J−K)/g−μcSV}/W] ・・・(式13)
【0065】
上記の傾斜角度の導出は、制御装置51(図1参照)の傾斜角度取得部513(図1参照)によってなされる。なお、傾斜角度θは車両100が走行している際に、常時又は定期的に算出する。車両が停止した場合において、停止する直前の車両100の傾斜角度の値θを用いて上記第2実施形態又は第3実施形態の水排出判断補正の処理を行う。
また、傾斜角度θは、例えば傾斜センサ52(図1参照)やGPS情報等からも推定することができる。しかし、傾斜センサ52等を装備した場合、その分だけ車両100の製造コストが高くなる。上記の方法を用いると、車両総重量W等の値の他、車両100の速度及びモータトルク等を得ることができれば傾斜角度θを求めることができるので、車両100の製造コストをより低く抑えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 燃料電池システム
10 燃料電池
100 車両(移動体)
20 アノード系(アノード)
21 水素タンク
22 遮断弁
23 エゼクタ
24 パージ弁
25 アノードエア排出弁
26 ドレイン弁(水排出手段)
27 キャッチタンク(水貯留部)
27a,27b 水位センサ(水位検出手段)
28 希釈ボックス
29 水素ポンプ
30 カソード系(カソード)
31 エアコンプレッサ
32 背圧制御弁
33 アノードエア導入弁
40 冷媒系
41 ラジエタ
42 冷却水ポンプ
50 制御系
51 制御装置(制御部)
511 水排出制御部(制御部)
512 水排出判断補正部(制御部)
513 傾斜角度取得部(制御部、傾斜角度取得手段)
52 傾斜センサ(傾斜角度取得手段)
a1,a2,a3,a4,a5,a6,a7,a8,a9,a10,a11,b1,b2,b3,b4,c1,c2,c3 配管
10a,10b,10c 流路
A 水位
A´ 補正後水位
B 水排出基準水位(基準水位)
B´ 補正後水排出基準水位(補正後基準水位)
X 水量(水の体積)
Y´ 補正後水排出基準水量(補正後基準水量)
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードに供給される燃料ガスと、カソードに供給される酸化剤ガスとにより発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池から排出されるオフガスを再度燃料電池に戻す循環流路と、
前記循環流路に設けられ、前記オフガスから分離した水を貯留する水貯留部と、
前記水貯留部に貯留された水の水位を検出又は推定するための水位検出手段と、
前記水貯留部に貯留された水を排出するための水排出手段と、
制御部とを有し、
前記制御部は、燃料電池システムの停止後監視時又は起動時に、前記水位検出手段により検出又は推定された前記水位が所定の基準水位以上であると判定した場合に、前記水排出手段を動作させて前記貯留された水を排出させること
を特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記燃料電池システムを搭載した移動体の傾斜角度を取得する傾斜角度取得手段を備え、
前記傾斜角度によって決まる補正後基準水位と、
前記傾斜角度と前記水位検出手段により検出又は推定された水位によって決まる補正後水位と、を比較して前記判定を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
アノードに供給される燃料ガスと、カソードに供給される酸化剤ガスとにより発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池から排出されるオフガスを再度燃料電池に戻す循環流路と、
前記循環流路に設けられ、前記オフガスから分離した水を貯留する水貯留部と、
前記水貯留部に貯留された水の水位を検出又は推定するための水位検出手段と、
前記水貯留部に貯留された水を排出するための水排出手段と、
制御部とを有し、
前記制御部は、前記燃料電池システムを搭載した移動体の傾斜角度を取得する傾斜角度取得手段を備え、
前記傾斜角度によって決まる補正後基準水量と、
前記傾斜角度と前記水位検出手段により検出又は推定された水位によって決まる前記水貯留部に貯留された水の体積とを算出し、
燃料電池システムの停止後監視時又は起動時に、前記水貯留部に貯留された水の体積が前記補正後基準水量以上であると判定した場合に、前記水排出手段を動作させて前記貯留された水を排出させること
を特徴とする燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−99445(P2012−99445A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248658(P2010−248658)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】