説明

燃焼流中のCO2排出を減少させるための方法及びシステム

【課題】本明細書において開示されているのは、動力プラント(6、8)のCO排出を減少させるためのシステム及び方法である。
【解決手段】一実施形態では、燃焼流中の排出物を減少させるための方法は、ガス流を燃焼させて、二酸化炭素を含む排気流を生成する段階と、COをメンブランに通過させることによってCOを排気流から分離して、CO生成流及びCO希薄な排気流を生成する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は一般に燃焼流に関し、より詳細には、燃焼流中のCO排出を減少させることに関する。
【背景技術】
【0002】
大気汚染に関する世界的な懸念により、より厳格な排出基準がもたらされてきた。このような基準は、電力事業から発生した窒素酸化物(NOx)、未燃炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び二酸化炭素(CO)の排出を規制する。特に、二酸化炭素は温室効果ガスとして特定されており、大気に放出される二酸化炭素濃度を減少させるための数々の技術の実施に繋がっている。
【0003】
したがって、大量のCOを発生させる動力プラント及び他の工業プラントからCOを分離することが望ましい。CO捕捉の費用は一般に、炭素の捕捉、貯蔵、輸送、及び除去の総費用の4分の3に相当すると推定されている。
【0004】
その結果、CO除去技術、例えば既存の動力プラントなどにレトロフィットすることができるCO除去技術に対する継続的必要性が存在する。
【特許文献1】米国特許出願第11/263165号明細書
【特許文献2】米国特許第5441990号明細書
【特許文献3】米国特許第5637259号明細書
【特許文献4】米国特許第5827569号明細書
【特許文献5】米国特許第5935533号明細書
【特許文献6】米国特許第6033632号明細書
【特許文献7】米国特許第6048472号明細書
【特許文献8】米国特許第6077323号明細書
【特許文献9】米国特許第6114400号明細書
【特許文献10】米国特許第6129861号明細書
【特許文献11】米国特許第6228147号明細書
【特許文献12】米国特許出願第20040141910号明細書
【特許文献13】米国特許出願第20040076874号明細書
【特許文献14】米国特許出願第20020034818号明細書
【特許文献15】米国特許出願第20040224396号明細書
【特許文献16】米国特許出願第20040237406号明細書
【特許文献17】米国特許出願第20050036940号明細書
【特許文献18】米国特許出願第20050172556号明細書
【特許文献19】米国特許出願第20050210881号明細書
【特許文献20】国際公開第99/06138号パンフレット
【特許文献21】国際公開第00/33942号パンフレット
【特許文献22】国際公開第02/092500号パンフレット
【特許文献23】国際公開第03/080229号パンフレット
【特許文献24】欧州特許第1159056号明細書
【特許文献25】国際公開第0048709号パンフレット
【非特許文献1】Bredesen et al., "High-Temperature Membranes in Power Generation with CO2 Capture", Chemical Engineering and Processing 43, pp.1129-1158 (2004), Received February 24, 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書において開示されているのは、動力システム、CO除去システム、その使用方法、及び燃焼流中のCO排出を減少させる方法の実施形態である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、燃焼流中の排出物を減少させるための方法は、ガスタービンエンジンアセンブリ中で動力を生成する段階(ガスタービンエンジンアセンブリから排気流が排出される)と、排気流を圧縮する段階と、COをメンブランに通過させることによってCOを排気流から分離して、CO生成流及びCO希薄(リーン)な排気流を生成する段階とを含む。
【0007】
一実施形態では、動力プラントは、動力と、COを含む排気流とを生成するように構成されたガスタービンエンジンアセンブリ、及び排気流を受けるように構成されたCO分離ユニットを含む。CO分離ユニットは、ユニット熱交換器を介してCO分離リアクター入口と流体連通したユニット圧縮機、及びユニット熱交換器を介してCO分離リアクター出口と流体連通したユニットエキスパンダーを含む。
【0008】
他の実施形態では、動力プラント中で排出物を減少させる方法は、ガスタービンエンジンアセンブリ中で動力を生成する段階(ガスタービンエンジンアセンブリから排気流が排出される)と、排気流の運転圧力を変化させる段階と、排気流の運転温度を変化させる段階と、排気流中のCOをCO分離リアクター中のメンブランに通過させて、CO生成流及びCO希薄な排気流を生成する段階と、CO希薄な排気流の温度を変化させて、冷却した排気流を生成する段階と、冷却した排気流でガスタービンエンジンアセンブリに入る空気を冷却する段階を含む。
【0009】
一実施形態では、燃焼流中の排出物を減少させるための方法は、ガス流を燃焼させて、二酸化炭素を含む排気流を生成する段階と、COをメンブランに通過させることによってCOを排気流から分離し、CO生成流及びCO希薄な排気流を生成する段階とを含む。
【0010】
上記の記載及び他の特徴を、下記の図及び詳細な説明により例示する。
【0011】
ここで例示的であって限定的ではない図を参照されたい。図において、同様の部品・要素には同様に符号を付した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
動力プラントからの二酸化炭素(CO)排出は、京都議定書及び欧州域内排出権取引制度などの国内及び国際規制によって益々ペナルティーを科されている。CO排出の増加する費用に伴い、CO排出の減少が、実利的な動力生成のために益々重要になっている。CO除去技術は、動力プラント又は他のCO生成工程の、大気中燃焼排ガス流のCO浄化に集中し、それによって非常に大きくて費用がかさみ、エネルギー集約型のCO除去ユニットをもたらしている。
【0013】
燃焼排ガスの再循環を用いて、COに富んだ燃焼排ガスを加圧することによって、動力プラントの燃焼排ガス中のCOの分圧が増加し、したがってCO分離工程を容易にする。又圧縮することによって、CO除去ユニット内で処理されるガス容積を減少させ、したがって関連する資金及びエネルギーに対する需要を減少させる。本システムは、圧縮機、エキスパンダー、熱交換器、及びCO分離リアクターを有するCO分離ユニットを含む。COメンブラン技術を使用するリアクターは、一酸化炭素(CO)変換及びCO除去性能の両方を含むことができる。本発明の解決方法は、メイン動力システムに組み込む必要がないため、全ての既存の及び未来の動力プラントに容易に実装できる。(可能な場合は)高温ガスタービンの排気ガス、又はガスタービン中間冷却器からの熱回収を含めた、メイン動力システムからの熱回収をさらに適宜行うことができる。
【0014】
図1は、燃焼工程(例えば、例示的なガスタービンエンジンアセンブリ10)を含めた例示的な動力プラント6の略図である。燃焼器、炉、並びに石炭火力発電所、重油燃焼ボイラー、セメント又は鋼工場などのCO(例えば、政府により規制されたCOの量)を含む流れを生成する他の工程などの、可能な他の燃焼工程も併せて、又は二者択一的に使用することができる。ガスタービンエンジンアセンブリ10には、圧縮機(例えば、高圧圧縮機14(例えば、流れを約45バール以上の圧力に圧縮できるもの)、及び低圧圧縮機20(例えば、約5バールまで圧縮できるもの))、燃焼器16、及びタービン(例えば、高圧タービン18及び低圧タービン22)を含めた、コアガスタービンエンジン12が含まれる。高圧圧縮機14及び高圧タービン18は、第1のシャフト24によって適宜結合され、低圧圧縮機20は、第2のシャフト26によって中間圧力タービン(図示せず)に結合することができる。例示的な実施形態では、低圧タービン22は、シャフト30を介して発電機28などの負荷装置に連結している。例示的な実施形態では、コアガスタービンエンジン12は、General Electric Aircraft Engines,Cincinnati,Ohioから入手可能なLMS100である。
【0015】
ガスタービンエンジンアセンブリ10は、高圧圧縮機14に入る圧縮空気流の温度低下を促進する中間冷却器40を適宜含めることができる。さらに具体的には、低圧圧縮機20から放出された空気流が高圧圧縮機14に供給される前に冷却されるように、中間冷却器40は、低圧圧縮機20及び高圧圧縮機14と流体連通している。例示的な実施形態において、中間冷却器40は、そこを作動流体(図示せず)が流れる水−空気熱交換器である。例えば、作動流体は、動力プラント8近くに位置する例えば湖などの水域から運ばれる原水でよい。適宜、中間冷却器40は、そこを冷却用空気流(図示せず)が流れる空気−空気熱交換器である。
【0016】
動力プラント6には、ガスタービンエンジンアセンブリ10から放出される比較的熱い排気流を受け、この熱エネルギーを、HRSG50を流れる作動流体に伝達して、例示的な実施形態においては蒸気タービン52を駆動するために使用することができる蒸気を発生させるように構成される、熱回収蒸気発生器(HRSG)50も適宜含まれる(図2を参照)。凝縮器54は、HRSG50の下流に位置し、ガス温度を低下させることによってHRSG50から放出された排気流から水蒸気を実質的に除去することができる。除湿器(図示せず)を、HRSG50の下流及び凝縮器54の上流に使用して、排気流からの水の除去を促進することもできる。除湿器は、デシカント式空気乾燥システムを含むことができる。
【0017】
動力プラント6には、例示的なCO分離ユニット32がさらに含まれる。CO分離ユニット32は、第2の低圧圧縮機60、エキスパンダー62、及び第2の低圧圧縮機60とエキスパンダー62とを結合するために使用されるシャフト64を含む。本明細書で使用する場合、エキスパンダーは、遠心又は軸流タービンでよく、これにより高圧ガスが膨張して低圧圧縮機60などの圧縮機を駆動するために使用することができる仕事を生成する。エキスパンダー62(ターボエキスパンダー又は膨張タービンとも称される)は、シャフト68を介して電動機、ガスタービン、レシプロエンジンなどの原動機66(図2を参照)に連結する。したがって後述するように、原動機66は、エキスパンダー62に補助されて低圧圧縮機60を駆動するために使用される。デシカント式空気乾燥システムは、CO分離ユニット32中、例えば、CO分離リアクター80の下流、中間冷却器34の下流で、適宜使用することができる
動力プラント8は、低圧圧縮機60及びエキスパンダー62と流体連通した第2の中間冷却器又は熱交換器70(図2を参照)も含むことができる。運転中、低圧圧縮機60から放出された排気流は、中間冷却器70を通り、排気流がCO分離ユニット80及びエキスパンダー62に供給される前に冷却される。例示的な実施形態では、中間冷却器70は、そこを作動流体(図示せず)が流れる水−空気熱交換器である。例えば上記のように、作動流体は、動力プラント8近くに位置する水域から運ばれる原水でよい。適宜、湿式冷却塔を使用して冷たい水を生じさせてもよく、及び/又は中間冷却器70は、そこを冷却用空気流(図示せず)が流れる空気−空気熱交換器である。次いでエキスパンダー62から放出された排気流は、後述するように、第3の熱交換器72に供給され、ガスタービンエンジンアセンブリ10に供給される吸気の運転温度の低下を促進することができる。
【0018】
運転中に、ガスタービンに吸い込まれた周囲空気は、熱交換器72を通り、ガスタービンエンジンアセンブリ10に供給される周囲空気の運転温度の低下を促進する。ガスタービンエンジンアセンブリ10は、当技術分野において公知の通り操作され、したがって約600華氏温度(°F)(316摂氏温度(℃))〜約1,300°F(704℃)の温度の排気流を生成する。ガスタービンエンジンアセンブリ10から放出された排気流は、HRSG50を通り、そこで排気流からの熱エネルギーのかなりの部分がランキンサイクルに伝達され、そこを通る作動流体は、上記のように、蒸気タービン52を駆動するために使用できる蒸気を生成する。HRSG50は、排気流の運転温度が約75°F(24℃)〜約248°F(120℃)の温度に低下することを促進する。例示的な実施形態では、HRSG50は、排気流の運転温度の約100°F(38℃)の温度への低下を促進する。他の実施形態では、排気流は、有用な目的に拒絶された熱を利用せずに、単に冷却され、及び/又は蒸気又は熱水の形態で熱を提供する他の工程に連結することができる。一実施形態では、排気流はまた、さらなる熱交換器(図示せず)を通して運ばれ、排気流から水をさらに凝縮させることができ、次いでその水は、例えば凝縮器54を通って放出される。
【0019】
図1に例示するように、図2に示される構成において、圧縮機60の上流で、排気ガスの一部分を、メインガスタービンエンジンアセンブリ10に適宜再循環させることができ、例えば、排気流の約30vol%〜約70vol%を再循環させ、空気と共にガスタービンエンジンアセンブリに入れることができる。再循環した排気ガスと外気との混合を、適宜の熱交換器72の上流又は下流で行うことができる。排気流の一部がガスタービンエンジンアセンブリ10入口へ再循環することによって、作動流体中のCO濃度が増加し、したがってCO分離リアクター80中のCO分離のための駆動力を増加させる。さらに、排気ガス再循環は、NOx形成の減少などの、他の燃焼排出物を減少させる助けとなることができる。
【0020】
次いで、比較的冷たい乾燥排気流は、例示的な実施形態では、エキスパンダー62、及び必要であれば原動機66によって駆動される、適宜の第2の低圧圧縮機60中で圧縮される。第2の低圧圧縮機60を使用して、そこを通る排気流の運転圧力を、ガスタービンエンジンアセンブリ10から放出された排気流の運転圧力の約4倍の圧力に増加させることができる。さらに、排気流を第2の低圧圧縮機を通すことによって、排気流の温度が上昇する。次いで第2の低圧圧縮機60から放出された排気流は、CO分離リアクター80及び/又はシステムを運転するために有利であれば、第2の中間冷却器70を適宜運ばれ、排気流の運転温度の低下を促進する。例示的な実施形態では、第2の中間冷却器70は、排気流の運転温度を約100°F(38℃)の温度に低下させることを促進する。
【0021】
中間冷却器70から放出されたCOに富んだ排気流は、CO分離リアクター80に入る。CO分離リアクター80は、CO選択メンブラン技術、吸着方法(吸着及び/又は吸収)、隔膜、低温処理などの様々なCO分離方法、並びに上記の方法の1つ以上を含んだ組合せを含むことができる。スイープガスが排気流に入らずにCOを適宜除去できるような任意の方法で、メンブランを排気流の流れから遮断することができる。例えばCOは、メンブランの壁を貫通し、メンブランの反対側の閉鎖された領域へと入るが、一方排気流はリアクターを通り続ける。スイープガスが閉鎖された領域に入り、メンブランを通り過ぎて、メンブランの壁を貫通したCOを除去する。スイープガスは、排気流の残りとは別の出口を通ってリアクターからCOを適宜運び出す。
【0022】
メンブランは、CO選択性であり、したがって必要であればメンブランに加えることができる触媒部分中のCOから適宜生成されたCOを含めて、生成されたCOを連続除去する。メンブランは、運転条件で安定し、運転条件で必要とされるCO透過性及び選択性を有する任意のメンブラン材料を含むことができる。COに対して選択性がある可能なメンブラン材料には、特定の無機材料及び高分子材料、並びにこのような材料の1種類以上を含む組合せが含まれる。無機材料には、マイクロポーラスカーボン、マイクロポーラスシリカ、マイクロポーラスチタノケイ酸塩、マイクロポーラス混合酸化物、及びゼオライト材料、並びにこのような材料の1種類以上を含む組合せが含まれる。いくつかの可能なメンブラン材料が、2005年10月31日に出願されたRuud他の米国特許出願第11/263165号に記載されている。
【0023】
特定の理論に限定されないが、マイクロポーラス材料のCO選択性の作用機序には、表面拡散及び毛管凝縮が含まれる。流れ中で他のガスと比較してCOに対する親和性を有する材料は、COの好ましい吸着及び表面拡散を示すであろう。さらに、毛管凝縮によって吸着されたCO分子の存在によって、より弱い吸着ガスから細孔を効果的に遮断し、したがってその輸送を妨げるであろう。メンブランを通るガス選択性は、クヌーセン流の相対的寄与率及びガスの完全輸送への表面拡散によって決定される。例えば、CO選択性を実現するために、表面拡散は完全なCO輸送のためにかなりの寄与をしなくてはならない。表面拡散速度は、吸着したCOの量及びその相対的移動性によって決まる。
【0024】
第一近似としては、材料上のガスの表面拡散率は、吸着熱から推定することができる。拡散率は、吸着熱と負の関係で指数関数的に変化するので、より低い吸着熱を有する材料は、より高い表面拡散率を示す。物理的にはこれは、機能材料に適した材料は、流れ中の他のガスよりCOに対する親和性が大きいが、COに対する親和性はあまり大きくないので、COが細孔チャネルを通って輸送されずに表面に結合することを意味する。低い吸着熱は、弱く結合したCOに相当し、それは高い拡散率に有利である。したがって、機能材料として使用するために適切な材料は、高い表面被覆率の導関数(dθ/dp)及び低い吸着熱(△H)によって特徴付けられる。このような特徴は、材料のCO吸着等温線から決定することができ、適切な材料を選択できる。例示的な実施形態では、セラミックは、SiO、BaTiO、BaZrO、LaFeO、並びにこのような材料の1種類以上を含む組合せなどの材料を含む。このような酸化物は、理論的にはCOの表面拡散のために有意に高い移動性を示し、したがって必要とされる透過性を実現することができる。
【0025】
実際にはメンブランは、支持層上に配置された分離層を含むことが多い。非対称無機メンブランの場合、多孔質支持層は、分離層とは異なる材料を含み得る。非対称無機メンブランの支持材料には、多孔質アルミナ、チタニア、コーディエライト、炭素、シリカガラス(例えば、Vycor(登録商標))、及び金属、並びにこのような材料の1種類以上を含む組合せが含まれる。多孔性金属支持層には、第一鉄材料、ニッケル材料、並びにステンレス鋼、鉄ベースの合金、及びニッケルベースの合金などの、このような材料の1種類以上を含む組合せが含まれる。高分子メンブランが、高分子又は無機支持体上に配置されてもよい。メンブランには、ポリエーテル及びポリエーテルブレンドなどの高分子材料、及びシラン化されたγアルミナメンブランなどのハイブリッドメンブランを含めることができる。2−アセトキシエチル、2−カルボメトキシエチル及び3−アミノプロピルなどのシランは、セラミックメンブランに組み込まれ、選択的CO輸送を実現することができる。
【0026】
CO分離リアクター80から放出されたCO希薄な排気流は、エキスパンダー62を通り適宜膨張し、エキスパンダーは加圧排気ガスから仕事を抽出し、低圧圧縮機60を駆動させ、したがって排気流の温度を大幅に低下させることができる。例えば、一実施形態では、エキスパンダー62から放出された排気流の温度は、約30°F(−1℃)〜約−30°F(−34℃)である。例示的な実施形態では、エキスパンダー62から放出された排気流の温度は、約−20°Fである。次いで、比較的冷たい排気流が熱交換器72を通って運ばれ、吸入空気流の冷却を促進し、及びガスタービンエンジンアセンブリ10へと運ばれる空気流の空気密度の増加を促進し、したがってコアガスタービンエンジン12の効率性及び出力を増加させることができる。その結果、ガスタービンへの空気流の吸入温度の低下によって、その質量流量と効率性とを増加させ、CO分離工程の経済的影響を減少させる。
【0027】
図3は、他の例示的な動力プラント100の略図である。動力プラント100は、図2に示された動力プラント8と実質的に同様である。例示的な実施形態では、動力プラント100には、熱交換器72が含まれず、むしろエキスパンダー62から放出された比較的冷たい乾燥した排気流は、ガスタービンエンジンアセンブリ10入口に直接排出される第1の空気流部分110と、第2の低圧圧縮機から上流に位置する熱交換器120を通って運ばれる第2の空気流部分112とに分離する。ガスタービンアセンブリ10に入る前に、デシカント式空気乾燥システムを使用して、第1の空気流部分110及び/又は吸入空気流から湿気を適宜除去することができる。
【0028】
運転中に、第1の空気流110は、ガスタービンエンジンアセンブリ12に供給される吸入空気流に直接運ばれる。さらに具体的には、入ってくる外気流中にまだ含まれる湿気を比較的小さい又は微細な液滴状に凝縮し、それは空気流110と混合されて微細な霧又はもやを生成する。次いで、霧又はもやは低圧圧縮機20に運ばれ、そこで液滴は蒸発し、コアガスタービンエンジン12に供給される空気流の運転温度の低下を促進する。その結果、コアガスタービンエンジン12に運ばれる空気流の温度が下がり、したがって圧縮工程に必要な仕事を減少させ、ガスタービンエンジンアセンブリ10の全体的効率が上がる。ガスタービン10における燃焼工程によって、流れ110の酸素含量は減少する。この流れの外気との混合は、燃焼器16中の燃焼用空気の酸素含量の正味の減少をもたらし、燃焼器中のNOx形成の減少を促進する。
【0029】
第2の空気流部分112は、熱交換器120を通って運ばれ、排出された空気流が第2の低圧圧縮機60に入る前に、第2の低圧圧縮機60に運ばれる排気流からの熱エネルギーの取出しが促進され、排出空気流中に含まれる水の凝縮及び除去を促進することができる。
【0030】
本明細書に記載するのは、動力プラントの排出物を減少させ、また動力プラントの効率性を増加させるための方法及びシステムである。この方法には、CO分離リアクターを使用して排気ガス内に含まれた実施的に全てのCO分離を促進することが含まれ、リアクターでは排気流中のCOがCOに変換され、COはCO選択メンブランによって除去され、CO希薄な流れが生成する。CO希薄な流れは排出してもよく、及び/又はガスタービンエンジンアセンブリにリサイクルさせてもよい。これは、圧力を上げず、及び/又は温度を下げずに、ガスタービンエンジンアセンブリからの排気流を使用することよって達成することができる。例えば、排気流は、CO分離リアクター内で、約250℃〜約500℃(例えば、約300℃〜約450℃)の温度、及び約5バール未満(0.5メガパスカル(MPa)、例えば、より詳細には、約1バール〜約4バール(約0.1MPa〜約0.4MPa))の圧力で処理することができる。さらに、CO分離リアクターからのCO希薄な流れは、例えば熱交換器を通過せずに、直接エキスパンダー(例えば、タービン)に送ることができる。この工程では、約5バールに圧縮してさえも、排気流中のCOの約80vol%以上を除去することができ、又はさらに具体的には、排気流中のCOの約80vol%〜約90vol%を除去することができる。
【0031】
さらなる利点には、圧縮機−エキスパンダーユニットをメイン動力システムに組み込む必要がないという事実が含まれ、本システムはCOを捕捉する既存のシステムにレトロフィットすることができる。このようにレトロフィットできることは、ガスタービンをベースとした動力サイクルに限定されず、COを生成する任意の燃焼工程に適用することができる。有利であれば、熱交換器はメイン動力システムと適宜統合することができる。これによって圧縮機−エキスパンダーユニットを駆動するのに必要な所要動力の減少をもたらし、又はそれがエネルギー的に自立できることさえ促進する。次いで、(大きな)原動機又はモーターを有する必要性を減少させるか、又はなくす。圧縮機−エキスパンダーユニット内の動力需要を最小限にするために、二者択一的に又は併せて、熱交換器又は同様のもの(図に示す)による圧縮機−エキスパンダーユニット内で適宜の再加熱を行うことができ、及び/又は他の熱回収方法及び加湿を、有利に用いることができる。圧縮後の作動流体の加湿を行って、プロセス加熱を利用し、流体の質量流量を増加させることができ、それによってサイクルの全体的効率を増加させ、CO希薄な作動流体が膨張する場合にエキスパンダー部分における動力発生を増加させる。
【0032】
再加熱と対照的に、圧縮機−エキスパンダー中の加圧作動流体は、適宜冷却することができ、CO除去後に大気圧に膨張させることができる。この場合、冷たい(非常に低い又はさらに零下の温度の)膨張した作動流体を、メインガスタービンへの吸気流量の入口冷却のために使用することができる。
【0033】
本明細書において開示された範囲は包含的で組み合わせできる(例えば、「約25重量%まで、又はさらに具体的には、約5重量%〜約20重量%」の範囲は、「約5重量%〜約25重量%」などの範囲の端点及び全ての中間値を含む)。「組合せ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含める。さらに、本明細書において「第1の」「第2の」などという用語は、いかなる順番、量、又は重要性も示さず、むしろ1つの構成要素と他の構成要素を区別するために使用され、本明細書において単数形の用語は量の制限を意味するものではなく、標記のものが1以上存在することを意味する。量と関連して使用される修飾語の「約」は、状態値を含み、文脈によって決定される意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連する一定の誤りを含む)。本明細書を通して「一実施形態」、「他の実施形態」、「実施形態」などの言及は、実施形態に関連して記載された特定の要素(例えば、特長、構造及び/又は特徴)が、本明細書に記載する1つ以上の実施形態に含まれ、他の実施形態においては存在し得る、又は存在し得ないことを意味する。さらに、記載された要素は、様々な実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができることを理解すべきである。
【0034】
全ての引用した特許、特許出願、及び他の参照文献は、全内容が参照により本明細書中に組み込まれている。しかし、本出願中の用語が、組み込まれた参照文献中の用語と矛盾又は対立する場合は、本出願からの用語を、組み込まれた参照文献からの相反する用語より優先する。
【0035】
好ましい一実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、その要素を等価物で代用し得ることを理解されよう。さらに、特定の状況又は材料に適応するために、本発明の本質的な範囲から逸脱することなしに、本発明の教示に多くの修正を加えることができる。したがって、本発明を実施するために意図した最良の態様として開示された特定の実施形態に、本発明を限定することは意図しないが、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれる全ての実施形態を含むことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】CO分離ユニットを有する例示的な動力プラントの略図である。
【図2】CO分離ユニットを有する動力プラントの他の実施形態の略図である。
【図3】CO分離ユニットを有する動力プラントのさらに他の実施形態の略図である。
【符号の説明】
【0037】
6 動力プラント
8 動力プラント
10 ガスタービンエンジンアセンブリ
12 コアガスタービンエンジン
14 高圧圧縮機
16 燃焼器
18 高圧タービン
20 低圧圧縮機
22 低圧タービン
24 シャフト
26 シャフト
28 発電機
30 シャフト
32 CO分離ユニット
34 中間冷却器
40 中間冷却器
50 熱回収蒸気発生器
52 蒸気タービン
54 凝縮器
60 低圧圧縮機
62 エキスパンダー
64 シャフト
66 原動機
68 シャフト
70 中間冷却器
72 熱交換器
80 CO分離リアクター
110 空気流
112 空気流
120 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流を燃焼させて、二酸化炭素を含む排気流を生成する段階と、
メンブランを通過させることによってCOを前記排気流から分離して、CO生成流及びCO希薄な排気流を生成する段階と
を含む、燃焼流中の排出物を減少させるための方法。
【請求項2】
前記ガス流を燃焼させることが、ガスタービンエンジンアセンブリ(10)中で動力を生成する段階をさらに含み、前記排気流を圧縮する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記排気流を圧縮する前に、熱回収蒸気発生器(50)中で前記排気流から熱を回収し、前記排気流の運転温度を下げる段階と、
前記排気流をCO分離リアクターに導入する前、及び前記排気流を圧縮した後に、中間冷却器(34)中で前記排気流の運転温度を下げる段階と
をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記CO分離リアクターへの導入前に、前記排気流の運転圧力を約0.5MPa以下の圧力に調節する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記排気流の残りの部分を前記CO分離リアクターに導入する前に、前記排気流の一部を前記ガスタービンエンジンアセンブリ(10)にリサイクルすることをさらに含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記CO希薄な排気流中の含水率を下げる段階をさらに含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記CO希薄な排気流を第1の部分(110)及び第2の部分(112)に分離する段階と、前記CO希薄な排気流の前記第1の部分(110)と、前記ガスタービンエンジンアセンブリ(10)に入る空気とを混合する段階とをさらに含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
冷却した前記排気流で、前記ガスタービンエンジンアセンブリ(10)に入る空気を冷却することをさらに含む、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
動力と、COを含む排気流とを生成するように構成されたガスタービンエンジンアセンブリ(10)と、
ユニット熱交換器(34)を介してCO分離リアクター入口と流体連通したユニット圧縮機、及び前記ユニット熱交換器(34)を介して前記CO分離リアクター出口と流体連通したユニットエキスパンダー(62)を含む、前記排気流を受けるように構成されたCO分離ユニットと
を含む、動力プラント(6、8)。
【請求項10】
前記ガスタービンエンジンアセンブリ(10)からの前記排気流を受け、前記排気流から水を除去するように構成された凝縮器をさらに含み、前記CO分離ユニットが、前記凝縮器からの前記排気流を受けるように構成された、請求項9記載の動力プラント(6、8)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−149317(P2008−149317A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317840(P2007−317840)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】