説明

燃焼装置

【課題】二段燃焼を行う燃焼装置を改良し、安定した一次火炎が発生する燃焼装置の開発を課題とする。
【解決手段】 燃焼装置1は、予混合部材2と、炎孔部材3と、空気流路部材5とを有する。予混合部材2と、炎孔部材3とが嵌合て一つ中間部材6を構成し、この中間部材6が二つの空気流路部材5の間に挟まった構成となっている。炎孔部材3の本体部材25の側壁部31,32に保炎形成壁26が固定されており、側面側炎孔27が形成されている。炎孔部材3の主たる炎孔121の頂面部30と、側壁部31,32との間に段部(落差部)120があり、保炎123は、第一火炎の主炎125から離れた位置に発生する。保炎123は段部120に流れ、第一火炎の主炎125の基部に至るが、第一火炎の主炎125と合体する量は少なく、第一火炎の主炎125の長さを過度に延ばすことはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に関するものであり、特に給湯器や風呂装置に採用することが推奨される燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼装置は、給湯器や風呂装置の主要な構成部品であり、工場はもとより一般家庭においても広く普及している。
ところで近年、酸性雨による環境破壊が深刻な社会問題となり、NOx(窒素酸化物)の総排出量を減少させることが急務となっている。
給湯装置の様な小型の装置に採用可能であり、かつNOxの発生量を抑制することができる構成として濃淡燃焼法と称される燃焼方式を採用した燃焼装置がある。
濃淡燃焼法とは、燃料ガスに理論空気量の1.6倍程度の空気を予混合した希薄な混合ガスから主炎を発生させ、この主炎の近辺に、空気の混合量が少なく燃料ガス濃度が高い混合ガスから発生する保炎を配置したものである。
濃淡燃焼を応用した燃焼装置には、例えば特許文献1,2に開示された様な構成が知られている。
【0003】
またNOxの発生量が少ない燃焼方式には他に二段燃焼法と称される燃焼形式がある。二段燃焼法とは、酸素不足の状態で燃料ガスを噴射し、当該ガスに点火して一次火炎を発生させ、未燃ガスに二次空気を供給して二次火炎を発生させる燃焼形式である。
二段燃焼法を採用した燃焼装置は、特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特開平5−118516号公報
【特許文献2】特開平6−126788号公報
【特許文献3】特開昭52−143524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
濃淡燃焼法を採用した燃焼装置は、NOxの発生量が少なく、市場において好評であるが、ターンダウン比(Turn Down Ratio T.D.R.)が小さいという欠点がある。特に濃淡燃焼法を採用した燃焼装置は、発熱量の小さい領域で燃焼させにくいという欠点がある。
即ち濃淡燃焼法では、前記した様に燃料ガスに理論空気量の1.6倍程度の空気を予混合した希薄な混合ガスから主炎を発生させる。この混合ガスは、希薄であるがために燃焼速度が遅い。
【0005】
ところで濃淡燃焼法を採用する燃焼装置は、希薄な混合ガスを生成するために送風機を備えるが、送風機を長年に渡って使用し、送風機が老朽化すると次第に送風量が減少する。フィルターの目詰まりによって送風量が減少する場合もある。この様に経年変化によって送風量が減少すると、主炎を形成させる混合ガスの空気量が減少傾向となり、混合される空気量が理論空気量に近づく。その結果、主炎の燃焼速度が経年変化によって早まる傾向となり、経年変化によって火炎の基端部がしだいに炎孔に近づく傾向となる。そのため発熱量の小さい領域で燃焼させると火炎の基端部が炎孔に近接し、炎孔を傷めてしまう。そのため濃淡燃焼法を採用した燃焼装置は、経年変化を見越して発熱量の小さい領域での燃焼を制限せざるを得ない。
【0006】
加えて、濃淡燃焼法は、使用可能なガスの範囲が狭いという不満がある。即ちガスメーカが供給する燃料ガスは単一の成分だけで構成されている場合もあるが、多くの場合、複数成分の燃料ガスが混在している。そのためたとえ発生する熱量(単位体積あたりの熱量)が同一であったとしても燃焼速度は燃料ガスのメーカごとに相違する。
これに対して濃淡燃焼法は、主炎を空気過剰状態で燃焼させるため、燃焼速度が遅い燃料ガスは火飛びが生じ、安定して燃焼させることができない。
【0007】
一方、二段燃焼法を採用する場合は、濃淡燃焼法を採用する場合に比べてターンダウン比を高くとることができる。また適用可能な燃料ガスの種類も幅広い。しかしながら二段燃焼法は、燃料ガスを酸素不足の状態で燃焼させるために燃焼状態が不安定である。そのため市販された実用的な給湯器等に二段燃焼法を採用したものはない。
【0008】
そこで本発明は従来技術の上記した問題点に注目し、二段燃焼を行う燃焼装置を改良し、安定した一次火炎が発生する燃焼装置の開発を課題とするものてある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、炎孔部材と、空気流路部材とを備え、前記空気流路部材は壁状であって先端側に空気放出開口を有し、炎孔部材は二枚の空気流路部材の間或いは前記空気流路部材と他の壁面との間に配置され、炎孔部材と空気流路部材によって囲まれた空間によって第一燃焼部が形成され、酸素不足状態の燃料ガスが炎孔部材から第一燃焼部に放出されて燃焼し、さらに空気流路部材の空気放出開口から空気の供給を受けて燃焼する燃焼装置であって、炎孔部材は、本体部材と保炎形成壁とを有し、本体部材は頂面部と側壁部とを有し、本体部材の頂面部に主たる炎孔が設けられ、前記本体部分の頂面部と本体部の側壁部との間には落差部があり、保炎形成壁は本体部の側面に設けられ、燃料ガスの流れ方向における保炎形成壁の突端部の位置は、前記落差部と頂面部との境界よりも上流側にあり、本体部の側壁部と保炎形成壁との間に空隙が設けられて側面側炎孔が構成され、側面側炎孔からも燃料ガスが放出され、さらに空気が炎孔部材の側面側炎孔の近傍に流れることを特徴とする燃焼装置である。
【0010】
本発明の燃焼装置は、酸素不足状態の燃料ガスが炎孔部材から第一燃焼部に放出されて燃焼し、さらに空気流路部材の空気放出開口から空気の供給を受けて燃焼するものであり、二段燃焼を行うものである。
そして本発明の燃焼装置では、主たる炎孔の他に側面側炎孔を有し、側面側炎孔からも燃料ガスが放出される。そして側面側炎孔に別途空気が供給される。そのため側面側炎孔に安定した火炎が発生し、一次火炎の基端部を保持する。
本発明の燃焼装置では、本体部分の頂面部と本体部の側壁部との間に落差部がある。また本発明の燃焼装置では、側面側炎孔は保炎形成壁によって形成され、保炎形成壁の突端部の位置は、前記落差部と頂面部との境界よりも上流側にある。
そのため側面側炎孔から発生した火炎(保炎)は、主たる火炎の上流側に発生し、主たる火炎と合体しにくい。そのため本発明の燃焼装置では、一次火炎が過度に長くならない。
この作用を詳細に説明すると次の通りである。
即ち前記した様に、二段燃焼法は、燃料ガスを酸素不足の状態で燃焼させるために燃焼状態が不安定である。そこで本発明者らは、一次火炎の基端部に保炎を形成させ、一次火炎の基端部を保持せんと考えた。
そのため図35に示すように炎孔部材200の本体部201に保炎形成壁202を設け、保炎形成壁202と本体部201の側面203との間によって形成される隙間206からも燃料ガス(図面破線の矢印)を放出させ、保炎形成壁202の近傍に空気を供給した。また保炎形成壁202の突端部の高さを、図35の様に主たる炎孔207の高さよりも高くした。
この理由は、濃淡燃焼を採用する燃焼装置を製造した際の経験に基づくものである。即ち濃淡燃焼の技術では、保炎は、主たる火炎の基端部を保持するものであるから、保炎は主炎の近傍に発生することが望ましいと考えられていた。そのため前記した様に保炎形成壁202の突端部の高さを、主たる炎孔207の高さよりも高くすることが望ましいと考えられていた。
ところが二段燃焼法にこの技術を応用したところ、保炎210が主たる火炎208と合体し、火炎の全長が過度に伸びてしまうことが分かった。
即ち二段燃焼法を採用する場合には、濃淡燃焼法の常識に反し、保炎の位置は、主炎からある程度離れた位置に発生させる方が良いことが分かった。
そこで本発明では、本体部分の頂面部と本体部の側壁部との間に落差部を設け、保炎形成壁の突端部の位置を、前記落差部と頂面部との境界よりも上流側に置いた。
そのため側面側炎孔から発生した火炎(保炎)は、主たる火炎からある程度離れた位置に発生し、主たる火炎と合体しにくい。そのため本発明の燃焼装置では、一次火炎が過度に長くならない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、炎孔部材と、空気流路部材とを備え、前記空気流路部材は壁状であって先端側に空気放出開口を有し、炎孔部材は二枚の空気流路部材の間或いは前記空気流路部材と他の壁面との間に配置され、炎孔部材と空気流路部材によって囲まれた空間によって第一燃焼部が形成され、酸素不足状態の燃料ガスが炎孔部材から第一燃焼部に放出されて燃焼し、さらに空気流路部材の空気放出開口から空気の供給を受けて燃焼する燃焼装置であって、炎孔部材は、本体部材と保炎形成壁とを有し、本体部材は頂面部と側壁部とを有し、本体部材の頂面部に主たる炎孔が設けられ、前記本体部分の頂面部と本体部の側壁部との間には落差部があり、保炎形成壁は本体部の側面に設けられ、燃料ガスの流れ方向における保炎形成壁の突端部の位置は、前記落差部と側壁部との境界よりも上流側にあり、本体部の側壁部と保炎形成壁との間に空隙が設けられて側面側炎孔が構成され、側面側炎孔からも燃料ガスが放出され、さらに空気が炎孔部材の側面側炎孔の近傍に流れることを特徴とする燃焼装置である。
【0012】
本発明の燃焼装置は、前記した請求項1に記載の発明によりも、保炎の発生位置をさらに主炎から離したものである。
即ち本発明の燃焼装置では、燃料ガスの流れ方向における保炎形成壁の突端部の位置は、前記落差部と側壁部との境界よりも上流側にある。そのため側面側炎孔から発生した火炎(保炎)は、主たる火炎と合体しにくく、一次火炎が過度に長くならない。
【0013】
請求項3に記載の発明は、落差部は、段差又は傾斜面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置である。
【0014】
落差部は、主たる火炎と保炎とを離すことを主たる目的として設けられたものであり、段差であっても傾斜面であってもよい。ただし本発明者らの実験によると、傾斜面よりも段差の方が保炎と主炎の合体を阻止しやすいものであった。
【0015】
請求項4に記載の発明は、側面側炎孔から放出される燃料ガスの流速は本体部材に設けられた主たる炎孔から放出される燃料ガスの流速よりも遅いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0016】
上記した構成では、側面側炎孔から放出される燃料ガスの流速は主たる炎孔から放出される燃料ガスの流速よりも遅いので、側面側炎孔に発生する火炎は火飛びが少ない。側面側炎孔から放出される燃料ガスは完全燃焼に近い状態で安定して燃焼し、一次火炎の基端部を保持する。その結果、一次火炎が安定する。
【0017】
請求項5に記載の発明は、内部で燃料ガスと空気とを予混合する予混合部材を有し、前記予混合部材で予混合された燃料ガスと空気とが炎孔部材に流れ、前記予混合部材は、燃料ガスと空気とが導入される導入口と、導入口に連通するベンチュリー部と、ベンチュリー部に連通する拡大部及び絞り部が順に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0018】
本発明の燃焼装置では、予混合部材を有し、予混合部材の中で燃料ガスと空気とが予混合される。また予混合部材は、燃料ガスと空気とが導入される導入口と、導入口に連通するベンチュリー部を備え、さらにベンチュリー部に連通する拡大部及び絞り部が順に設けられている。そのためベンチュリー部を出た燃料ガスと空気とが拡大部や絞り部で混合される。従って本発明の構造によると燃料と空気との混合が促進され、導入口から炎孔に至る長さを短くすることができる。本発明の構成によると、炎孔から放出される混合ガスは、燃料ガスと空気とがよく混合されており、均質である。本発明の燃焼装置では、炎孔部材の壁全ての領域から均質に調整された燃料ガスが放出されるので、一次火炎と二次火炎とがバランス良く発生し、且つ燃焼部位の全域に渡って均一に広がる。そのため騒音が低い。
【0019】
また本発明者らの実験によると、ベンチュリー部と拡大部との境界における内壁が軸線に対して45°〜90°の開き角度を有する場合に特に燃料と空気との攪拌が促進されることが分かった(請求項6)。
【0020】
また同様に実験によると、拡大部の最も大きい部位の断面積は、ベンチュリー部の下流端の断面積の1.2〜3倍である場合に特に燃料と空気との攪拌が促進されることが分かった(請求項7)。
【0021】
また絞り部の断面積は、拡大部の最も大きい部位の断面積の0.4倍から0.8倍である場合に特に燃料と空気との攪拌が促進されることが分かった(請求項8)。
【発明の効果】
【0022】
本発明の燃焼装置は、主たる一次火炎の近傍に安定した保炎が発生し、主たる一次火炎が安定する。そのため火飛びが少なく実用的である。また本発明の燃焼装置は、一次火炎の長さが過度に長くならない。
さらに本発明の燃焼装置は、窒素酸化物の発生が少なく、且つターンダウン比を高く設定することができる。さらに本発明の燃焼装置は、燃焼ガスの燃焼速度に対する適応が広く、ガスの種類を選ばない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明の燃焼装置の構造を模式的に説明した燃焼装置の断面斜視図である。図2は、本発明の燃焼装置の炎孔部材近傍の構造及び燃料ガス、空気、火炎の流れを模式的に説明した燃焼装置の断面図である。図3〜図5は、本発明の他の実施例の燃焼装置の炎孔部材近傍の構造及び燃料ガス、空気、火炎の流れを模式的に説明した燃焼装置の断面図である。
【0024】
最初に、本発明の概略構成と基本的な機能を図1,2の模式図を参照しつつ説明する。図1の実施例は、本発明を概念的に説明するものである。
以下の説明において、上下の関係は、燃焼装置1を縦置きして上部側に火炎を発生させる姿勢を基準とする。また上流側、下流側の表現は、空気又は燃料ガスの流れを基準としている。幅方向とは、燃焼装置の最も大きい面積を正面として左右方向に相当する方向(図面の矢印W方向)である。
【0025】
本実施例の燃焼装置1は、ケースに並列に並べて使用されたり、単独で使用されるものである。本実施例の燃焼装置1は、予混合部材2と、炎孔部材3と、二つの空気流路部材5とを有する。本実施例の燃焼装置1では、予混合部材2と、炎孔部材3とが嵌合しあって一つ中間部材6を構成し、この中間部材6が二つの空気流路部材5の間に挟まった構成となっているが、実際に使用される場合には、空気流路部材5、中間部材6、空気流路部材5、中間部材6、空気流路部材5・・・と言ったように予混合部材2と中間部材6とが交互に配置されて面状をなしている。
【0026】
燃焼装置1の構成部材たる予混合部材2は、内部で燃料ガスと空気とを予混合する機能を果たす部材である。予混合部材2は、曲路を有する混合部7と、開口8が列状に設けられた開口列部10を備える。開口列部10は、断面が略四角形をした空洞が長く直線的に延びた部位である。
【0027】
空気流路部材5は概略形状が薄い壁状をした部材である。空気流路部材5は、表裏面11,12が薄板で作られ、この表裏面11,12が僅かな隙間を開けて接合され、さらに下面側を除く3辺が接合されたものであり、内部に空気流路13となる空隙が設けられている。
空気流路部材5は一枚の板を折り重ねて表裏面11,12を構成しており、先端部分には鋭角の折り曲げ部14があり、当該折り曲げ部14によって頂部9が構成されている。頂部9は稜線状に延びている。
一方、空気流路部材5の基端側は、表裏面11,12の板間が開放され、空気導入開口15が形成されている。
【0028】
空気流路部材5には、空気放出用の開口が3つの領域に設けられている。前記した様に予混合部材2と中間部材6とが交互に配置されて面状をなすものであるから、空気流路部材5の表裏面11,12の板には同一の部位に同一個数の開口が設けられている。
空気放出用の開口が設けられた領域は、大きく分けて先端部と、第一燃焼部に面した位置と、中間部材6に面した位置である。
【0029】
即ち空気流路部材5の表裏面11,12の板は、大部分が平行に配置されているが、先端部分だけが山形に折り曲げられており、表面側と裏面側に傾斜面16,17が形成されている。そして当該傾斜面16,17に先端部開口20が設けられている。また最先端部分(稜線部分)にも先端部開口21が設けられている。先端部開口20,21は、二次火炎に二次空気を供給するために設けられている。
【0030】
また空気流路部材5の表裏面11,12は、図1の様に先端側の空気流路13が基端部側に比べて幅狭く作られており、第一燃焼部46の基端部分に相当する部位に段部がある。この段部も傾斜面22となっている。そして前記段部に燃焼部向空気放出開口23が設けられている。燃焼部向空気放出開口23は第一燃焼部46の一次火炎に二次空気を供給し、一次火炎の一部を燃焼させて第一燃焼部46内の一部に二次火炎を発生させるものである。
【0031】
さらに中間部材6に面した位置にも空気放出開口(上流側空気放出開口)48が設けられている。空気放出開口(上流側空気放出開口)48は、炎孔部材3の側面部に空気を供給して保炎を安定化させるものである。
【0032】
炎孔部材3は、本体部材25と保炎形成壁26によって構成されている。炎孔部材3の本体部材25は、一枚の金属板を曲げ加工して作られたものであり、炎孔として機能する頂面部30と、段部(落差部)120及び二つの側壁部31,32を有している。
本実施例では、頂面部30が平坦であり、二つの側壁部31,32はいずれも頂面部30に対して略垂直である。
そして頂面部30の両端と側壁部31,32の境界部分に段部120がある。
炎孔部材3の左右両辺部は閉塞され、図面の下側に位置する面だけが開放されている。炎孔部材3の頂面部30は、長尺状であり細長く広がっている。本体部材25の頂面部30には、炎孔33となるスリットが規則的に配列されている。本体部材25に設けられた炎孔33は、「主たる炎孔」として機能する。
側壁部31,32の中間部分には外側(厚さ方向)に膨らんだ膨出部34が設けられている。膨出部34は、炎孔部材3の全幅に渡って設けられている。
【0033】
側壁部31,32の開放端側は、図の様に二度に渡って約90°折り返され、外側に嵌合用凹溝38が形成されている。嵌合用凹溝38の底壁36は、側壁部31,32に対して垂直であり、嵌合用凹溝38の外壁37は、側壁部31,32と平行である。
【0034】
本体部材25には前記した様に保炎形成壁26が取り付けられている。保炎形成壁26は、本体部材25の側壁部31,32に固定されており、本体部材25の側壁部31,32との間には空隙29がある。空隙29は、図面の上部側が開口している。この開口は、側面側炎孔27として機能する。
保炎形成壁26の高さは、本体部材25に形成された段部120よりも低い。即ち保炎形成壁26の突端部126の高さは、図2の様に燃料ガスの流れ方向を基準として段部(落差部)120と側壁部31,32との境界122よりも上流側にある。
本体部材25の側壁部31,32であって、保炎形成壁26に面した部位には開口35が設けられており、本体部材25の内面と空隙29とを連通している。
【0035】
次に各部材同士の関係について説明する。
本実施例では、前記した様に予混合部材2と、炎孔部材3とが嵌合しあって一つ中間部材6を構成している。より具体的には、炎孔部材3の側壁部31,32の間に予混合部材2の開口列部10が挿入されている。実際の製作過程においては、炎孔部材3の側壁部31,32同士の開口(図面下部)から、予混合部材2を挿し込むことによって両者が接合される。
【0036】
側壁部31,32と開口列部10との間は図示しない凹凸形状によって部分的に接しており、両者は一体化されている。側壁部31,32と開口列部10との間は前記した様に凹凸形状によって部分的に接しているので、逆に言えば両者の間は部分的に離れている。図1の断面は、側壁部31,32と開口列部10が離れている部位における断面を図示している。
側壁部31,32の膨出部34に相当する部位については、内包される開口列部10とは離れている。膨出部34の部位は、開口列部10の開口8の列部に相当する。従って開口列部10の開口8の外側は、側壁部31,32とは離れており、他に比べて広い空間(混合空間)39がある。この空間は、全ての開口8に相当する部位に渡って連通している。
側壁部31,32の間であって開口列部10の頂部と炎孔部材3の頂面部30部分との間には比較的大きな空間47がある。本実施例では、前記した混合空間39と、開口列部10の下流側の空間47によって炎孔上流側流路49が形成されている。
【0037】
中間部材6の両側に空気流路部材5が装着される。空気流路部材5は、基端側の空気導入開口15に、炎孔部材3の嵌合用凹溝38を嵌合させることによって中間部材6と結合される。即ち嵌合用凹溝38の外壁37を空気導入開口15の中に挿入し、空気流路部材5の突端を嵌合用凹溝38に挿入して嵌合用凹溝38の底壁36に当接させる。
【0038】
空気流路部材5と中間部材6(炎孔部材3)との間は、図示しない凹凸形状によって部分的に接しており、両者は一体化されている。両者の間は前記した様に凹凸形状によって部分的に接しているので、逆に言えば部分的には離れている。図1の断面は機能を理解し易い様に空気流路部材5と中間部材6(炎孔部材3)と間が離れた部位を図示している。ただし、燃焼装置1の上流側の端部(図面下端側)においては、空気流路部材5と中間部材6との間の隙間40が嵌合用凹溝38の底壁36によって封鎖されている。従って空気流路部材5と中間部材6との間の隙間40は、直接的には基端側の外界と連通していない。
【0039】
炎孔部材3は、前記した様に二つの空気流路部材5に挟まれた位置にあるが、炎孔部材3の頂面部30は、空気流路部材5よりも図面下部側にあり、空気流路部材5の間に埋もれた位置にある。そのため炎孔部材3の頂面部30よりも先端側の空間は、二つの空気流路部材5の壁よって仕切られている。本実施例では、炎孔部材3の頂面部30と二つの空気流路部材5によって囲まれた空間が第一燃焼部46として機能する。
【0040】
次に燃焼装置1の機能について説明する。
燃焼装置1は、図示しない箱体に多数配列され、図面下部側から送風機41によって送風される。また燃料ガスがノズル42によって予混合部材2のガス導入口43から導入される。
まず送風の流れについて説明する。送風の流れは、図面に実線で示している。
送風機41によって発生された送風は、整流板44の開口45によって整流され、燃焼装置1の基端部(図面下側)から燃焼装置1の内部に入る。
燃焼装置1の中に入る送風のルートは、3ルートである。即ち第一ルートは、空気流路部材5を通るルートであり、送風は空気流路部材5の基端部に設けられた空気導入開口15から空気流路部材5に入り、内部の空気流路13を先端側に向かって真上に流れる。そして空気の大部分は、先端部開口20,21から外部に放出される。
【0041】
また空気流路部材5を流れる空気の一部は、燃焼部向空気放出開口23と空気放出開口(上流側空気放出開口)48からも放出される。
燃焼部向空気放出開口23から放出された空気は、段部の傾斜面22から燃焼装置1の軸線に対して斜め前方に向かって放出される。
また空気放出開口(上流側空気放出開口)48から放出された空気は、空気流路部材5と中間部材6との間の隙間40を流れ、炎孔部材3の側面部に至る。
【0042】
第二のルートは、中間部材6の中を流れるルートである。即ち中間部材6は、予混合部材2の開口列部10が炎孔部材3の側壁部31,32同士の間に挟まれたものであるが、開口列部10と炎孔部材3との間には隙間があり、この隙間の一部は、中間部材6の下部側に開口している。
そのため予混合部材2と炎孔部材3の側壁部31,32との間に開口部28から空気が侵入する。
この空気は、側壁部31,32と開口列部10の間の隙間を流れ、混合空間39に入る。続いて開口列部10と炎孔部材3の頂面部30部分の間の空間47に流れる。即ち上記した空気は、炎孔上流側流路49を流れる。そして炎孔33たるスリットから第一燃焼部46に放出される。また空間47に入った空気の一部は、本体部材25の側壁部に設けられた開口35から本体部材25と側壁部31,32との間の空隙29に入り、側面側炎孔27から第一燃焼部46に放出される。
【0043】
次に、空気の第三のルートについて説明する。第三のルートは、一次空気のルートであり、予混合部材2のガス導入口43から燃料ガスと共に導入される。第三のルートは、燃料ガスが流れるルートと同一であるから、以下は燃料ガスの流れとして説明する。燃料ガスの流れは実線の矢印で図示する。
【0044】
予混合部材2のガス導入口43からは一次空気と共に燃料ガスが導入される。燃料ガスは、混合部7等で空気と混合され、開口列部10に流れ込む。開口列部10では、多数の開口8が直線状に並べて配置されているので、開口列部10に入った燃料ガスは、各開口8から均等に放出される。開口列部10の開口8から放出された燃料ガスは、炎孔部材3の側壁部31,32と開口列部10の開口8の間に形成された混合空間39に入り、炎孔上流側流路(混合空間39を含む)49を流れる空気と混合される。
ここで前記した炎孔上流側流路(混合空間39を含む)49を流れる空気は、燃焼装置1の高さ方向(下から上)に流れるのに対し、開口列部10の開口8から放出された燃料ガスは空気の流れに対して垂直方向に流れ込む。そのため開口列部10の開口8から放出された燃料ガスは、混合空間39の部位でも空気と激しく衝突し、空気との混合が促進される。また混合空間39は、開口列部10の長手方向全域に渡って連通しているから、圧力も平滑化される。
【0045】
燃料ガスは、混合空間39を通過し空間47に流れ込むが、この間においても燃料ガスと空気との混合は促進される。そしてその後は、前記した炎孔上流側流路49の流れと同一であり、開口列部10と炎孔部材3の頂面部30部分の間の空間47に入り、多くの部分が炎孔33たるスリットから第一燃焼部46に放出される。また空間47に入った空気の一部は、本体部材25の側壁部31,32に設けられた開口35から保炎形成壁26と側壁部31,32との間の空隙29に入り、側面側炎孔27から第一燃焼部46に放出される。
【0046】
炎孔33から放出される燃料ガスは、予混合部材2の中で空気と混合され、さらに混合空間39内で空気と混合されるので均質であり、且つ炎孔33から放出される時の速度も均一である。
しかしながら、炎孔33から放出される燃料ガスは、空気が混合されてはいるものの、空気量は理論空気量に満たない。炎孔33から放出される燃料ガスは空気不足の状態であり、これだけでは完全燃焼することができない。
【0047】
燃料ガスに点火すると、燃料ガスは、第一燃焼部46で一次火炎を発生させ、一次燃焼が行われる。ただし燃料ガスは、前記した様に空気不足状態であるから完全燃焼することはできず、未燃成分が多く生成される。
未燃成分は、第一燃焼部46の開口から外部に放出される。ここで第一燃焼部46の外部には、空気流路部材5の先端部から空気が供給されている。そのため未燃成分は酸素の供給を受けて二次燃焼する。即ち第一燃焼部46外側の領域は第二燃焼部として機能し、二次火炎が発生する。
【0048】
また本実施例では、前記した一次火炎の基端部に空気が供給され、一次火炎の基端部に保炎が発生する。
本実施例では、燃料ガスは、「中央部開口」たる炎孔33から放出されるだけではなく、側面側炎孔27からも第一燃焼部46に放出される。ただし、側面側炎孔27から放出される燃料ガスは「中央部開口」たる炎孔33から放出される燃料ガスに比べて流速が遅い。即ち燃料ガスは、本体部材25の側壁部31,32に設けられた開口35から保炎形成壁26と側壁部31,32との間の空隙29に入り、側面側炎孔27から第一燃焼部46に放出される。そのため空隙29に入る燃料ガスは量が制限され、側面側炎孔27から放出される量は少ない。これに対して側面側炎孔27は大きな開口面積を持つので、側面側炎孔27から放出される燃料ガスは流速が遅いものとなる。
【0049】
さらに前記した様に、空気流路部材5の中を通過する空気の一部が、空気放出開口(上流側空気放出開口)48から空気流路部材5と中間部材6との間の隙間40に放出され、当該隙間40を通って炎孔部材3の側面部に至る。そのため炎孔部材3の側面部は他の部位に比べて酸素量が豊富であり、側面側炎孔27から放出される燃料ガスは空気の供給を受けて比較的安定して燃焼する。
前記した様に燃料ガスの流速が低いことと相まって側面側炎孔27の近傍には、安定した保炎が発生する。そのため一次火炎の基端部は側面側炎孔27の近傍に発生する小さな炎によって保持される。
【0050】
また特に本実施例では、炎孔部材3の主たる炎孔の形成部位たる頂面部30と、側壁部31,32との間に段部(落差部)120があり、主たる炎孔121と側壁部31,32との間には、炎孔部材3の厚さ方向に距離Lがある。そのため主たる炎孔121と側面側炎孔27との間には炎孔部材3の厚さ方向に距離Lの間隔がある。
さらに段部(落差部)120の高さをHとすれば、主たる炎孔121と側面側炎孔27との間には、高さ方向(燃料ガスの流れ方向)にH以上の開きがある。
そのため保炎123は、第一火炎の主炎125から少し離れた位置に発生する。保炎123は図2の様に段部120に流れ、第一火炎の主炎125の基部に至るが、第一火炎の主炎125と合体する量は少なく、第一火炎の主炎125の長さを過度に延ばすことはない。
【0051】
また本実施例では、燃焼部向空気放出開口23から放出された空気によって二次火炎が安定化する。即ち本実施例では、空気流路部材5の表裏面11,12であって第一燃焼部の基端部分に相当する部位に傾斜面22があり、この傾斜面22に燃焼部向空気放出開口23が設けられているので、第一燃焼部の基端部分から空気の進行方向に対して斜め方向に空気が供給される。そのため供給された空気は、一次火炎や未燃ガスの流れを妨げることなく、第一燃焼部46の中に供給される。その結果、第一燃焼部46の内の未燃ガスの一部が燃焼を開始し、一部に二次火炎が生じる。そしてこの二次火炎は外部の二次火炎と繋がるので外部に発生する二次火炎についても安定している。
また本実施例では、燃焼部向空気放出開口23は斜め方向に開口し、前記した様に一次火炎や未燃ガスの流れを妨げることがないので、二次火炎は空気流路部材5から離れた位置で発生し、空気流路部材5を過度に加熱しない。
そのため本実施例の燃焼装置は、一次火炎及び二次火炎が共に安定し、実用的である。
【0052】
上記した実施例では、炎孔部材3の本体部材25に段部120を設けたが、段部120に代わって傾斜面を設けてもよい。また上記した実施例では、保炎形成壁26の突端部126の高さが、燃料ガスの流れ方向を基準として段部(落差部)120と側壁部31,32との境界122よりも上流側にある様に設計したが、保炎形成壁26がもう少し高くてもある程度の効果が期待できる。
即ち保炎形成壁26の突端部126の位置は、段部(落差部)120よりも低いことが望ましいが、段部(落差部)120に相当する位置であってもある程度の効果は期待できる。言い換えると、保炎形成壁26の突端部126の位置が、落差部120と頂面部30との境界よりも上流側にあれば、一次火炎が伸びることを抑制する効果が期待できる。
【0053】
図3,4,5は、段部を傾斜面に置き換えた例や、保炎形成壁26の突端部126の位置を高めに設計した例を示すものである。
即ち図3に示す実施例では、炎孔部材3の本体部材25に段部120を設け、保炎形成壁26の突端部126の位置を、段部120の下面127と炎孔部材3の頂面部30の端部との間に設定した。図3に示す実施例では、燃料ガスの流れ方向における保炎形成壁26の突端部126の位置は、段部(落差部)120と頂面部30との境界128よりも上流側にある。
また図4に示す実施例では、炎孔部材3の本体部材25に傾斜部130を設け、保炎形成壁26の突端部126の位置を、傾斜部130の下端131よりも下部に設定した。
図5に示す実施例では、炎孔部材3の本体部材25に傾斜部130を設け、保炎形成壁26の突端部126の位置を、傾斜部130の上端132と上端131との間に設定した。
【0054】
また逆に保炎形成壁26の突端部126が過度に低い位置にあると保炎による主炎の保持効果が損なわれる。従って保炎形成壁26の突端部126の高さは、段部(落差部)120の下面127の高さに比べて0〜3mm程度低いことが望ましく、利用者の差が3mmを越えることは望ましくない。
【0055】
次に、本発明のより実用的な構成例について図2以下の図面を参照しつつ説明する。以下に説明する実施例は、本発明を実施するために実用的に設計されたものであり、最も推奨される構成である。
図6以降の図面で示す燃焼装置の基本構成及び基本的な機能は、前記した実施例と同一であるが、細部に実用的な工夫が施されている。先の実施例と同一の機能を果たす部材については同一の記号を付し、重複する機能の説明は簡単なものに止める。
【0056】
図6に示す燃焼装置1は、図7,8に示すようにケース54に並列に並べて使用されるものである。本実施例の燃焼装置1についても、予混合部材2と、炎孔部材3と、空気流路部材5とを有する。そして予混合部材2と、炎孔部材3とが嵌合しあって一つ中間部材6を構成し、この中間部材6が二つの空気流路部材5の間に挟まった構成となっている。
【0057】
予混合部材2の形状は、図14,15,16の通りである。予混合部材2は、一枚の鋼板をプレスして表面に凹凸を有する展開図形を成形し、これを曲げ加工した後、周囲をスポット溶接によって接合されたものである。スポット溶接は、周囲のフランジ部51で行われている。
【0058】
組み立て後の予混合部材2の形状は、図13,14の様な正面板52と、これに対称形状の裏板53が重ね合わされたものである。予混合部材2の外観はずんぐりした形をしており、平坦な頂部50を有し、周囲はガスが漏れない様に閉塞されている。
そして内部には正面板52と裏板53の間によって一連の気体流路が形成されている。即ち正面板52と裏板53の凹凸が合致する部分では、金属板同士が隙間を形成して配列された状態となっており、この隙間によって気体流路が形成される。
【0059】
本実施例で採用する予混合部材2では、気体流路は、図14の様に大きく上下の部位に分かれている。具体的には気体流路は、大きく分けて混合流路19と開口列部10からなる。
混合流路19は、図14の様に予混合部材2の下部側にあり、気体流路の入口から開口列部10に至るまでの流路である。気体流路の入口から説明すると、燃焼装置1の下側角には、図14の様に、ガス導入口43が開口している。ガス導入口43の近傍は、内径形状が略一定の導入部102となっている。導入部102の先端は内径がテーパ状に縮まったベンチュリー部103となっている。ベンチュリー部103は、流速を増大させて空気や燃料ガスを吸引する作用を持つ。ベンチュリー部103の末端には、最も断面積が絞られた絞られた絞り部55があり、さらにその下流側は断面積が次第に大きくなっていく拡径部56がある。そしてその後は、断面積が一様な均一断面部57となっている。ガス導入口43から絞り部55、拡径部56を経て均一断面部57に至る迄の間は、流路が直線的である。
均一断面部57の末端部は、流路が垂直に曲がって開口列部10に繋がっている。
なお本実施例では、開口列部10の直前部分に絞りとなる部位はない。
【0060】
開口列部10は、予混合部材2の上端部に位置し、図14の様に長手方向全域に渡って延びている。開口列部10の断面積、言い換えれば当該部分での正面板52と裏板53の隙間は、図15,16の様に大きい。
開口列部10の断面形状は、図15,16の様に二段形状となっており、頂部側は狭面積部58となっており、断面積がやや狭い。
即ち開口列部10の断面形状を説明すると、頂部50は平坦であり、頂部50の両辺から垂直に上部側垂直壁81がある。そして垂直壁81の端部は傾斜壁に繋がってやや外側にひろがっている。さらに傾斜壁の末端は下部側垂直壁82となっている。
【0061】
そして開口列部10の外表面であって、前記した狭面積部58には、正面板52と裏板53の双方に、それぞれ多数の開口8が設けられている。開口8は、一定の間隔を開けて直線状に並んで列状に設けられている。
本実施例では、開口8は開口列部10の正面側と裏面側にだけ設けられ、頂部50には開口は無い。
【0062】
次に空気流路部材5について図13,17,25を参照しつつ説明する。空気流路部材5についても一枚の鋼板をプレスして表面に凹凸を有する展開図形を成形し、これを曲げ加工した後スポット溶接によって接合されたものである。空気流路部材5では、図13の様に表裏面11,12が僅かな隙間を開けて接合され、内部に空気流路13となる空隙が設けられている。
空気流路部材5の先端部分には鋭角の折り曲げ部があり、当該折り曲げ部によって頂部9が構成されている。頂部9は稜線状に延びている。
空気流路部材5は、図17の様に折り曲げ部と接する二辺にフランジ部83が設けられ、当該フランジ部83がスポット溶接されている。
空気流路部材5の基端側は、図13の様に表裏面11,12の板間が開放され、空気導入開口15が形成されている。
【0063】
空気流路部材5の外観形状は図17の様に薄い壁状である。空気流路部材5は、図17の様な縦置き状態を基準として高さ方向に対して大まかに3つの領域に分かれている。
即ち基端部から約1/3の高さまでが導入部60である。さらに高さ方向に約1/3の領域は中間部61である。そして先端側の約1/3の領域は第一燃焼部構成部62である。
【0064】
空気流路部材5は、空気導入開口15から先端部側に向かう流路を構成するものであるが、流路の断面積は、先端側に向かうほど狭くなっている。
即ち空気導入開口15から全高の約1/3までの部位(導入部60)は、図13の様に断面積が略一定である。言い換えれば導入部60は、図13の断面図の様に表裏面11,12が平行であり、間隔は変わらない。
【0065】
中間部61は、概ねテーパー状である。
即ち中間部61は図の様に下方が広く、上に向かうに連れて間隔が狭まるテーパー状である。ただし、テーパーの先端側末端部分と第一燃焼部構成部62との境界部分には、膨出部84が設けられている。膨出部84を構成する外壁部分は、表裏部分が平行である。
【0066】
第一燃焼部構成部62については断面積が略一定であるが(頂部9を除く)、この間の単位長さ当たりの断面積は導入部60のそれに比べて1/3程度である。
第一燃焼部構成部62と中間部61との間には傾斜面22からなる段部がある。
【0067】
空気流路部材5には、3箇所の領域に空気放出用の開口が設けられている。
空気放出用の開口が設けられた位置は、大きく分けて先端部と、第一燃焼部に面した位置と、中間部材6に面した位置である。
【0068】
即ち空気流路部材5の表裏面11,12の板の先端部分は山形に折り曲げられており、表面側と裏面側に傾斜面16,17が形成されている。そして当該傾斜面16,17に図17の様に円形の先端部開口20が設けられている。また最先端部分(稜線部分)にも円形の先端部開口21が設けられている。
さらに本実施例では、頂部及び傾斜面16,17にスリット状の先端部開口63,64が設けられている。スリットの長さは大小二種類あり、小さい方のスリット状の先端部開口63は、双方の傾斜面16,17の全てと頂部9とを連通するスリットである。大きい方のスリット(先端部開口)64は、さらに長く、表裏面11,12が平行である部位から頂部9にまで至っている。
【0069】
大きいスリット(先端部開口)64の方が小さいスリット(先端部開口)63よりも数が多く、大きなスリット64が連続して2列または3列設けられ、次いで小さいスリット63が設けられ、さらにそれに続いて大きなスリット64が連続して2列または3列設けられ、これが空気流路部材5の長さ方向の全域に渡って連続している。
前記した円形の先端部開口20,21は、各スリット(先端部開口)63,64の間に設けられている。
【0070】
先端部開口20,21は、先の実施例と同様、二次火炎に二次空気を供給するために設けられたものである。
【0071】
また前記した第一燃焼部構成部62と中間部61との間の傾斜面22に燃焼部向空気放出開口23が設けられている。燃焼部向空気放出開口23は第一燃焼部46の一次火炎に二次空気を供給し、一次火炎の一部を燃焼させて一部に二次火炎を発生させるものである。
【0072】
さらに導入部60と中間部61との境界近傍にも空気放出開口(上流側空気放出開口)48が設けられている。空気放出開口(上流側空気放出開口)48は、炎孔部材3の側面部に空気を供給して保炎を安定化させるものである。
【0073】
空気流路部材5の表裏面11,12には、両者の間に隙間を設けるためや、他の部材との間に隙間を設けることを目的として各部に凹凸形状が設けられている。
順次説明すると、先端側の第一燃焼部構成部62を構成する壁面には、高さ方向に延びる凹溝70,71が複数設けられている。凹溝70,71は、いずれも表面側から見て凹んだ形状であり、高さ方向に延びている。凹溝70は凹溝71よりも短い。凹溝70,71は、いずれも平行に並べて配置されている。凹溝70,71は主として板体の補強のために設けられたものである。
本実施例では、複数の短い凹溝70が設けられ、続いて長い凹溝71が設けられ、さらに短い凹溝70が複数設けられるという配列で空気流路部材5の全幅に渡って凹溝70,71が配置されている。
【0074】
また長い凹溝71同士の間は他の凹溝同士の間隔に比べて広い。
そして長い凹溝71同士の間であって、凹溝71の基端部近傍の位置には、図17,18の様な流線形の凹変部72が設けられている。凹変部72についても表面側から見て凹んだ形状である。凹変部72の形状は、具体的には、大円と小円とが中心を離れて配置され、両者を共通の接線で結んだものであり、大円側が空気流路の上流側に位置し、小円側が空気流路の下流側に位置している。二つの円の中心を結ぶ線は、空気の流れ方向に対して平行である。二つの円を結ぶ共通接線は、円の中心を結ぶ線に対して30°以下の傾きを持つ。
【0075】
空気流路部材5の中間部61には、図17の様に6条の凸条73が設けられている。凸条73の方向は、空気の流れ方向に対して平行である。凸条73は、後記する様に中間部材6の外面と当接して両者の間に隙間を設けるものであり、凸条73の突端(稜線)の位置(空気流路部材5の中心線からの距離)は、どの部位においても等しい。即ち前記した様に中間部61は、流路の断面形状がテーパ状であるが、凸条73の高さ(出っ張りの大きさ)は逆テーパ状に変化し、突端部分の位置は揃っている。
【0076】
空気流路部材5の導入部60にも複数の凹溝75が多数平行に設けられている。凹溝75は、いずれも空気流路部材5の基端側から先端側に延びている。凹溝75は、表面側から見て凹んだ形状である。
【0077】
空気流路部材5の導入部60近傍には、横方向(空気の流れに対して垂直方向)に延びる凹溝77が設けられている。
凹溝77は、主として位置決めのために設けられたものである。
【0078】
また空気流路部材5の側面部分に目を移すと、両側面の中央部分に略三角形の突起80が設けられている。
【0079】
次に炎孔部材3について説明する。炎孔部材3は、図13,19の様に本体部材25の側面に保炎形成壁26が溶接されたものである。
炎孔部材3の本体部材25についても一枚の鋼板をプレスして表面に凹凸を有する展開図形を成形し、これを曲げ加工した後スポット溶接して作られている。本体部材25についても図19の様に頂面部30に繋がる2辺にフランジ85があり、当該フランジ85で接合され、頂面部30と対向する面は解放されている。
【0080】
炎孔部材3の、本体部材25は、図13,19の様に炎孔として機能する頂面部30と、段部(落差部)120がある。そして段部(落差部)120から約90°折り曲げられた二つの側壁部31,32を有している。
【0081】
炎孔部材3の頂面部30は、長尺状であり細長く広がっている。また頂面部30は本実施例では平坦である。
本実施例では、段部(落差部)120は垂直状である。即ち段部(落差部)120は頂面部30に対して垂直に折り曲げられた垂直壁131と、垂直壁131に対してさらに垂直の折り曲げられた下面127を備える。
炎孔部材3は、前記した様に鋼板を曲げ加工したものであるが、頂面部30には鋼板が折り込まれている。そのため図の様に内部の空洞には、折り込まれた部位が垂直壁88として垂下している。
【0082】
本体部材25の頂面部30には炎孔(中央側開口)33となるスリット状の開口が設けられている。スリット(炎孔33)は、頂面部30の幅方向に延びるものであり、その両端は、段部(落差部)120の垂直壁131に至っている。
【0083】
スリット状の開口は複数、平行に並んで、頂面部30の長手方向の全域に設けられている。そして、図19の様に、複数のスリット状の開口を一組にして炎孔群89が構成されており、炎孔群89は頂 面30に一定間隔毎に配置される構成となる。
【0084】
本体部材25の断面形状に注目すると、本体部材25は、図13の様に2か所の絞り部78,79がある。逆に言えば基端部を除いて二箇所の膨出部90,91がある。
即ち前記した頂面30の部位を含む先端側膨出部90と、中間部に設けられた中間膨出部91とがある。そして中間膨出部91と先端側膨出部90との間に先端側絞り部78がある。また中間膨出部91の基端部側には基端部側絞り部79がある。
【0085】
前記した膨出部90,91及び絞り部78,79の中で、先端側膨出部90と中間膨出部90は、共に炎孔部材3の全幅に渡って設けられている。
また先端側膨出部91の側面には図19の様に一列に開口35が設けられている。開口35は、小さな孔である。
基端部側絞り部79には、図19の様に複数の凸条92が設けられている。凸条92は、表面側から見て外側に突出するものであり、内部には図11の様に溝93が形成されている。凸条92は、炎孔部材3の高さ方向に延びる。そして凸条92は、炎孔部材3の幅方向に平行に広がっている。
【0086】
側壁部31,32の開放端側は、図11,13,21,22の様に二度に渡って約90°折り返され、外側に嵌合用凹溝38が形成されている。嵌合用凹溝38の底壁36は、側壁部31,32に対して垂直であり、嵌合用凹溝38の外壁37は、側壁部31,32と平行である。
嵌合用凹溝38を構成する外壁37は、正面形状が略台形である。即ち外壁37の両側の辺は図20の拡大図の様に傾斜しており、テーパー状に先側が細くなっている。また嵌合用凹溝38内における側壁部31,32には、図21,22の様に突起95が設けられている。突起95の位置は、嵌合用凹溝38の両端であり、両端に各1個づつ突起95が設けられている。
【0087】
保炎形成壁26は、本体部材25の側壁部31,32の上端部に固定されている。保炎形成壁26は図19の様に長尺の板状であり、本体部材25の先端側膨出部90を全域に渡って覆う。本体部材25の側壁部31,32と保炎形成壁26との間には空隙29がある。空隙29は、図面上部側が開口している。この開口は、側面側炎孔27として機能する。なお保炎形成壁26の内面には図13の様に小さな突起97があり、当該突起97が本体部材25と当接して側面側炎孔27の間隔を規制している。
【0088】
保炎形成壁26の突端部126の高さは、図10,13の様に段部(落差部)120の下面127よりも低い。即ち保炎形成壁26の突端部126は、段部(落差部)120と側壁部31,32との境界122よりも上流側にある。
【0089】
前記したように先端側膨出部90には一列に開口35(図19)があり、この開口35が本体部材25の内面と空隙29とを連通している。
【0090】
本体部材25の両端部は、側壁部31,32同士が重ね合わされてフランジ85を構成し、スポット溶接によって接合されているが、基端側から中間膨出部の近傍までの間は、側壁部31,32同士の間にスリット98がある。
【0091】
次に各部材同士の関係について、図9,10,11を参照しつつ説明する。
本実施例の燃焼装置についても、予混合部材2と、炎孔部材3とが嵌合しあって中間部材6を構成している。
炎孔部材3(中間部材6)は、前記した様に二つの空気流路部材5に挟まれた位置にあるが、炎孔部材3の頂面30は、空気流路部材5の上端よりも図面下部側にあり、空気流路部材5の間に埋もれた位置にある。そのため炎孔部材3の頂面30よりも先端側の空間は、二つの空気流路部材5の壁によって仕切られている。本実施例では、炎孔部材3の頂面30と二つの空気流路部材5によって囲まれた空間が第一燃焼部46として機能する。
【0092】
中間部材6は、炎孔部材3に予混合部材2が装着されたものであり、予混合部材2の頂部50側が炎孔部材3の空洞部分に挿入されている。この時、予混合部材2の両端のフランジ部51が炎孔部材3の両端に形成されたスリット98に嵌まり込む。そして予混合部材2の突端とスリット98の奥端とが当接して挿入方向の位置決めがなされている。
また予混合部材2の開口列部10の下部側に設けられた垂直壁82が炎孔部材3の基端部側絞り部79の内壁と当接して厚み方向の位置決めがなされている。
予混合部材2の開口列部10の狭面積部58は炎孔部材3の中間膨出部91の位置となる。
【0093】
予混合部材2の開口列部10と、炎孔部材3の間の隙間に注目すると、前記した様に炎孔部材3の側壁部31,32の中間膨出部91に開口列部10の狭面積部58がある。即ち中間膨出部91の部位は、開口列部10の開口8の列部に相当する。従って開口列部10の開口8の外側は、側壁部31,32から離れており、開口8の外側には他に比べて広い空間(混合空間)39がある。この混合空間39は、全ての開口8に相当する部位に渡って連通している。
【0094】
一方、前記した様に予混合部材2の開口列部10の下部側が炎孔部材3の基端部側絞り部79の内壁と当接している。そのため当該部位については、幅方向の殆どの位置で開口列部10の外壁と炎孔部材3の内壁が接しており、隙間がない。しかしながら、基端部側絞り部79には、前記した様に複数の凸条92が設けられており、凸条92の内面側は凹溝93(図11)となっている。従って凸条92の部分については開口列部10の外壁と炎孔部材3の内壁との間が離れている。また凸条92は、炎孔部材3の高さ方向に延びているから、前記した混合空間39は炎孔部材3の基端側に連通している。
【0095】
ここで凸条92の位置と予混合部材2の開口列部10に設けられた開口8との位置関係に注目すると、図23の様に凸条92の真上の位置に開口8がある。即ち凸条92を延長すると開口8の位置と交わる。本実施例では、図23の様に凸条92と開口8とは一対一に対応する。ただし図24の様に開口8の方が数が多かったり、逆に凸条92の方が数が多いといった様に、両者は必ずしも一対一に対応していなくてもよい。
【0096】
炎孔部材3の基端部と予混合部材2との間には隙間がある。従って前記した混合空間39は、凸条92(凹溝93)及び基端部の隙間を介して外部と連通している。
一方、混合空間39のさらに先端側に注目すると、側壁部31,32の間であって開口列部10の頂部50と炎孔部材3の頂面部30部分との間には比較的大きな空間47がある。本実施例では、前記した混合空間39と、開口列部10の下流側の空間47によって炎孔上流側流路49が形成されている。
【0097】
中間部材6の両側には図9,11の様に空気流路部材5が装着されている。空気流路部材5は、基端側の空気導入開口15に、炎孔部材3の嵌合用凹溝38を嵌合させて中間部材6に固定されている。即ち嵌合用凹溝38の外壁37を空気導入開口15の中に挿入し、空気流路部材5の突端を嵌合用凹溝38入れて嵌合用凹溝38の底壁36に当接させる。
なお嵌合用凹溝38の外壁37は、前記した様に正面から見た形状が台形であり、両側の辺がテーパー状であるから、空気流路部材5を装着する際に空気導入開口15の内壁が嵌合用凹溝38外壁37のテーパに倣い、幅方向の位置決めが行われる。
空気流路部材5が炎孔部材3に対して正規の位置に納まると、図22に示すように空気流路部材5の開口近傍に設けられた凹溝77の外上端に嵌合用凹溝38内に設けられた突起95が係合し、「カチッ」という節度感が得られる。
また、空気流路部材5が正規の位置に装着されると、燃焼部向空気放出開口23は、幅方向で炎孔部材3の炎孔群89と炎孔群89との間に位置することになる。
燃焼装置1の上流側端部(図面下端側)においては、空気流路部材5と中間部材6との間の隙間40は、嵌合用凹溝38の底壁36によって封鎖されている。従って空気流路部材5と中間部材6との間の隙間40は、直接的には基端側の外界と連通していない。
【0098】
空気流路部材5と中間部材6(炎孔部材3)との間の隙間40に注目すると、図9,11の様に空気流路部材5の上流側空気放出開口48の側面側には、炎孔部材3の先端側絞り部78が位置する。先端側絞り部78は炎孔部材3の表面が凹んだ部位であるから、上流側空気放出開口48の近傍においては、空気流路部材5と炎孔部材3との間に隙間がある。
またこの隙間は、第一燃焼部46に連通している。即ち空気流路部材5の上流側空気放出開口48よりも先端側は、空気流路がテーパー状となっており、空気流路部材5の外壁は、下流に向かうほど空気流路の内側に位置し炎孔部材3との間に隙間が生じる。なお空気流路部材5の外壁と炎孔部材3とは、空気流路部材5に設けられた凸条73によって部分的に当接している。
【0099】
次に燃焼装置1の機能について説明する。
燃焼装置1は、図7に示す様にケース54に多数配列され、図8の様に図面下部側から送風機41によって送風される。また燃料ガスがノズル(図示せず)によって予混合部材2のガス導入口43から導入される。
送風の流れは、前記した実施例と略同一であり、送風機41によって発生された送風は、整流板44(図8)の開口によって整流され、燃焼装置1の基端部(図面下側)から燃焼装置1の内部に入る。
燃焼装置1の中に入る送風のルートは、先の実施例と同一であり、3ルートである。即ち第一ルートは、図11に示すように空気流路部材5を通るルートであり、送風は空気流路部材5の基端部に設けられた空気導入開口15から空気流路部材5に入り、内部の空気流路13を先端側に向かって流れる。そして空気の大部分は、先端部開口20,21から外部に放出される。
【0100】
ここで本実施例では、図25の示すように、空気流路部材5の先端形状が鋭角であり、且つ先端部開口の内、先端部開口63,64は、傾斜面16,17と頂部に渡って設けられたスリットであるから、先端部分で空気が滞留したり、乱流が生じたりしにくい。
例えば図26に示すように空気流路部材5の先端形状が円形であるならば、空気導入開口15から導入された空気が天井面たる円弧面と衝突し、円弧面に沿って基端側に回り込む。そして回り込んだ空気が矢印の様に新たに供給された空気流と衝突し、新たに供給される空気の放出を阻害して放出方向を歪める。この様に空気流路部材5の先端形状を円形にすると乱流や渦の発生によって空気流の方向が不安定となる。そのため二次火炎が揺らぐと言う不具合が生じる。また本発明者らの実験によると、騒音が高いという不具合もある。
【0101】
これに対して本実施例では、図25に示すように先端部が鋭角であるから、供給された空気が衝突する部位が少なく、空気の回り込みが少ない。またスリット状の開口が傾斜面に設けられているから、傾斜面に衝突する空気の多くはスリット状の開口から外部に放出される。そのため空気の放出方向が安定し、二次火炎の揺らぎが少なくなる。また騒音についても低下する。ただし本発明は、空気流路部材の先端形状を限定するものではなく、図26の様な先端形状が円形のものであってもよい。
【0102】
実施例の説明に戻ると、本実施例の燃焼装置1では、空気流路部材5を流れる空気の一部は、燃焼部向空気放出開口23と空気放出開口(上流側空気放出開口)48からも放出される。
燃焼部向空気放出開口23から放出された空気は、段部の傾斜面22から、炎孔部材3の炎孔群89と炎孔群89との間に向けて、燃焼装置1の軸線に対して斜め前方に放出される。
また空気放出開口(上流側空気放出開口)48から放出された空気は、空気流路部材5と中間部材6との間の隙間40を流れ、炎孔部材3の側面部に至る。具体的には空気放出開口(上流側空気放出開口)48から放出された空気は、炎孔部材3の先端側絞り部78とによって構成される空隙に放出される。そしてこの空気は、空気流路部材5のテーパー状の壁面によって形成される隙間を流れ、炎孔部材3の側面部に放出される。
【0103】
第二のルートは、中間部材6の中を流れるルートであり、予混合部材2と炎孔部材3の側壁部31,32との間に開口部28から空気が侵入する。
この空気は、炎孔部材3の内面に形成された凹溝93(凸条92の裏側)を通過して
混合空間39に入る。そして開口列部10と炎孔部材3の頂面部30部分の間の空間47に入る。即ち上記した空気は、炎孔上流側流路49を流れる。そして炎孔(中央側開口)33たるスリットから第一燃焼部46に放出される。また空間47に入った空気の一部は、本体部材25の側壁部に設けられた開口35から本体部材25と側壁部31,32との間の空隙29に入り、側面側炎孔27から第一燃焼部46に放出される。
【0104】
次に、空気の第三のルートについて説明する。第三のルートは、一次空気のルートであり、予混合部材2のガス導入口43から燃料ガスと共に導入される。第三のルートは、燃料ガスが流れるルートと同一であるから、以下は燃料ガスの流れとして説明する。燃料ガスの流れは実線の矢印で図示する。
【0105】
予混合部材2のガス導入口43からは一次空気と共に燃料ガスが導入され、混合部7等で空気と混合され、開口列部10に流れ込む。ここで本実施例では、混合部7の均一断面部57から開口列部10にかけての間に絞りとなる部位がない。従って燃料ガスは、突出して流速が異なる部分が無く開口列部10に入る。
開口列部10に入った燃料ガスは、各開口8から均等に放出される。即ち開口列部10は、相当の内容積を持つので予混合部材2の曲路等で発生した微小な渦は収斂している。また前記した様に開口列部10の直前に絞りとなる部位が無く、開口列部10に導入される燃料ガスは、流路の断面における流速のばらつきが小さい。そのため開口列部10の内部における圧力ばらつきは少なく、燃料ガスは、各開口8から均等に放出される。開口8の口径を噴出ガス量が均整化するように順次小さくしてもよい。
【0106】
開口列部10の開口8から放出された燃料ガスは、炎孔部材3の中間膨出部91によって構成される混合空間39に入り、炎孔上流側流路(混合空間39を含む)49を流れる空気と混合される。
【0107】
一方、混合空間39を流れる空気は、図面下側から上方向に流れるものであり、整流されたものである。
即ち混合空間39に流れ込む空気は、予混合部材2と炎孔部材3の側壁部31,32との間の開口部28から導入されるものであるが、混合空間39に至る前に炎孔部材3の内面に形成された凹溝93(凸条92の裏側)を通過しているので、層流となっている。
より詳細に説明すると、本実施例では、炎孔部材3の基端部側絞り部79においては、大半の部位が予混合部材2の外壁と接しているが、基端部側絞り部79の内面には多数の凹溝93が形成されており、凹溝93の部位については空隙がある。そして各凹溝93は、混合空間39と連通している。そのため側壁部31,32との間の開口部28から導入された空気は、複数の凹溝93を通過し、混合空間39に至る。そして凹溝93は、細長い流路であり、且つ等間隔であって平行に設けられているので、導入された空気は、複数の凹溝93を流れることによって整流される。
【0108】
炎孔上流側流路(混合空間39を含む)49を流れる空気は、燃焼装置1の高さ方向に流れるのに対し、開口列部10の開口8から放出された燃料ガスは空気の流れに対して垂直方向に流れ込む。そのため開口列部10の開口8から放出された燃料ガスは、混合空間39の部位でも空気と激しく衝突し、空気との混合が促進される。
加えて本実施例では、凹溝93(凸条92の裏側)の延長線上に開口列部10の開口8があるから、凹溝93を出た空気はより確実に開口8から放出された燃料ガスと衝突する。
また混合空間39は、開口列部10の長手方向全域に渡って連通しているから、圧力も平滑化される。
【0109】
燃料ガスは、混合空間39を通過して上昇し、先端側膨出部90によって構成される空間に流れ込むが、この間においても燃料ガスと空気との混合は促進される。そして燃料ガスの大部分が炎孔33たるスリットから第一燃焼部46に放出される。
スリットから放出される燃料ガスは、予混合部材2の中で空気と混合され、さらに混合空間39内で空気と混合されるので均質であり、且つスリットから放出される時の速度も均一である。
空間47に入った空気及び燃料ガスの一部は、本体部材25の側壁部に設けられた開口35から本体部材25と側壁部31,32との間の空隙29に入り、側面側炎孔27から第一燃焼部46に放出される。
【0110】
燃料ガスに点火すると、燃料ガスは、第一燃焼部46で一次火炎を発生させ、一次燃焼が行われる。そして未燃成分は、第一燃焼部46の開口から外部に放出され、空気流路部材5の先端部から空気が供給されて二次燃焼する。
【0111】
また本実施例では、前記した一次火炎の基端部に空気が供給され、一次火炎の基端部に保炎が発生する。
即ち本実施例では、燃料ガスの一部が側面側炎孔27から第一燃焼部46に放出される。ただし、側面側炎孔27から放出される燃料ガスはスリットから放出される燃料ガスに比べて流速が遅い。即ち燃料ガスは、本体部材25の側壁部に設けられた開口35から本体部材25と側壁部31,32との間の空隙29に入り、側面側炎孔27から第一燃焼部46に放出される。そのため空隙29に入る燃料ガスは量が制限され、側面側炎孔27から放出される量は少ない。これに対して側面側炎孔27は大きな開口面積を持つので、側面側炎孔27から放出される燃料ガスは流速が遅いものとなる。
【0112】
さらに前記した様に、空気流路部材5の中を通過する空気の一部が、側面側炎孔27から放出される燃料ガスに供給されて完全燃焼する。
即ち空気放出開口(上流側空気放出開口)48から放出された空気は、炎孔部材3の先端側絞り部78とによって構成される空隙から空気流路部材5のテーパー状の壁面によって形成される隙間に沿って流れ、炎孔部材3の側面部に至る。
【0113】
前記した様に燃料ガスの流速が低いことと相まって側面側炎孔27の近傍には、安定した保炎が発生する。そのため一次火炎の基端部は側面側炎孔27の近傍に発生する小さな炎によって保持される。
【0114】
また本実施例においても、炎孔部材3の主たる炎孔の形成部位たる頂面部30と、側壁部31,32との間に段部(落差部)120があり、保炎123は、炎孔部材3の主たる炎孔121から放出される燃料から発生する主炎125よりも上流側で発生する。また保炎123は、燃料ガスの流れ方向に離れているばかりでなく、横方向にも離れた位置に発生する。このように保炎123は、第一火炎の主炎125から少し離れた位置に発生する。そのため前記した様に保炎123は第一火炎の主炎125と合体しにくく、第一火炎の主炎125の長さを過度に延ばすことはない。
【0115】
また本実施例においても、傾斜面22に設けられた燃焼部向空気放出開口23から斜め方向に空気が供給され、第一燃焼部46の内の未燃ガスの一部が燃焼を開始し、一部に二次火炎が生じる。そしてこの二次火炎は外部の二次火炎と繋がる。
さらに本実施例では、炎孔部材3の炎孔群89と炎孔群89との間に空気が放出されるため、炎孔群89の周囲には空気が十分に供給されており、一次火炎を確実に保炎することができる。
また本実施例においても燃焼部向空気放出開口23から供給された空気は、一次火炎や未燃ガスの流れを妨げることなく、二次火炎は空気流路部材5から離れた位置で発生し、空気流路部材5を過度に加熱しない。
そのため本実施例の燃焼装置は、一次火炎及び二次火炎が共に安定し、実用的である。
【0116】
上記した実施例では、炎孔部材3の頂面部30かいずれも平坦面であったが、本発明は、この構成に限定されるものではなく、屋根形に代表される様な傾斜面を持つものであったり、円弧面を有するものであってもよい。
図27は、本発明の他の実施例における燃焼装置の炎孔部材の頂部近傍を含む部位の拡大図である。
図27に示す燃焼装置136では、炎孔部材3の頂面部137が屋根形であり、中央の稜線部86が最も高く、その両側は緩やかな傾斜部87となっている。
本実施例においても、保炎形成壁26の突端部126は、段部(落差部)120と側壁部31,32との境界122よりも上流側にある。
【0117】
上記した各実施例では予混合部材の例として側面側に燃料ガスを放出する開口を設けた構成を示した。この構成によると、空気流に対して垂直方向に燃料ガスを放出するので燃料ガスと空気との衝突機会が多く、混合が促進される。
【0118】
図6以下に示す実施例では、各部材の表面に多数の凹凸形状が設けられている。凹凸形状は流路を構成する機能の他、板体の剛性を向上させる機能を果たす。また流路を構成しない凹凸形状は、板体の剛性を向上させる機能のみを果たす。
【0119】
上記した各実施例では、金属板同士の隙間によって一連の流路を構成している。すなわち一方又は双方の板に凹部を設け、他方の板との間に隙間を形成している。ここで流路を形成する際にいずれの板に凹溝等を設けるかは設計事項の一つであり、本発明は上記した実施例に限定されるものではない。例えば上記した実施例では、空気の第2ルートの一部に、炎孔部材3の内面と予混合部材の外周面との間を通過する流路があり、炎孔部材3の内面に凹溝93を設けて流路を確保した。しかしながら、逆に予混合部材側に凹溝等を設けて流路を構成してもよい。
【0120】
次に予混合部材の変形例について説明する。前記した実施例で採用する予混合部材2は、混合流路19と開口列部10を有し、混合流路19は、一時的に断面積が絞られた絞り部55があり、さらにその下流側は断面積が次第に大きくなっていく拡径部56がある。。この様に前記した実施例で採用する予混合部材2は、絞り部55を一か所しか持たないが、絞り部を複数設けることによって燃料ガスと空気との攪拌を促進させることができる。
即ち図28は、図6に示す実施例で採用する予混合部材内における燃料ガスと空気との混合作用を示すモデル図である。
図6に示す燃焼装置で採用する予混合部材では、ノズル42から噴射された燃料ガス139が一次空気と共にガス導入口43から導入され、混合流路19を通過する内に空気と混合されるが、例えば図28の様に拡径部56の導入部分においては、攪拌は不十分であり、断面Cにおける濃度分布は相当にばらつく。即ち断面Cにおける濃度分布は、図33の実線の様であり、中央部分のガス濃度が極端に高い。
【0121】
これを改善する手段として、例えば流路中に邪魔板を置いて気流を乱す方策が考えられる。しかしながら、邪魔板等による方策は、気流の乱れによる騒音が発生するという新たな問題がある。
【0122】
これに対して絞り部及び拡径部を複数設けると、騒音が増大することなく燃料ガスと空気との攪拌を促進させることができる。
図29は、本発明の燃焼装置で採用する予備混合部材の変形例を示す斜視図である。図30は、図29の予混合部材のガス導入口近傍の斜視図である。図31は、図29の予混合部材のガス導入口近傍の流路の変化の様子、及び各部位における流路の断面形状を示す断面図である。図32は、図29の予混合部材のガス導入口近傍の内部を示す断面図である。図33は、図28及び図29の予混合部材内の特定断面における燃料ガスの濃度分布を示すグラフである。図34は、他の実施例における予混合部材のガス導入口近傍の斜視図である。
【0123】
図29に示す予混合部材140では、先の実施例と同様のベンチュリー部103及び絞り部55の他に、第一拡径部141及び第二絞り部142を持つ。
即ち図29に示す予混合部材140では、先に説明した図14の予混合部材2と同様に、ガス導入口43が開口しており、ガス導入口43の近傍は、内径形状が略一定の導入部102となっている。そして導入部102の先端は内径がテーパ状に縮まったベンチュリー部103となっている。ベンチュリー部103の末端には、第一絞り部55がある。
【0124】
そして本実施例では、第一絞り部55の先に第一拡径部141が設けられている。第一拡径部141の下流側は、内径形状が略一定の安定部143があり、さらにその先端部はテーパ状に縮径した縮径部145が設けられている。
そして縮径部145の末端たる第二絞り部142があり、第二絞り部142を境として内径がテーパ状に拡大した第二拡径部146がある。そしてその後は、断面積が一様な均一断面部57となっている。ガス導入口43から第一絞り部55、第一拡径部141、縮径部145等から均一断面部57に至る迄の間は、流路が直線的である。
均一断面部57の末端部は、先の実施例と同様に流路が垂直に曲がって開口列部10に繋がっている。
【0125】
予混合部材内における流路の各部位の断面形状は、図31の通りである。即ち安定部143の断面積は、第一絞り部55の断面積の1.2〜3倍である。
言い換えると、第一拡径部(拡大部)141の最も大きい部位の断面積は、ベンチュリー部103の下流端の断面積の1.2〜3倍である。
【0126】
また第二絞り部142の断面積は、安定部143の断面積の0.4倍から0.8倍である。即ち第二絞り部142の断面積は、第一拡径部(拡大部)141の最も大きい部位の断面積の0.4倍から0.8倍である。
【0127】
また第一拡径部(拡大部)141の広がり角度θは、約100°である。第一拡径部(拡大部)141の広がり角度θの推奨範囲は、90°〜180°である。
本実施例では、第一拡径部(拡大部)141の断面形状が略円形であるから、各内壁の軸線に対する角度θ’は、50°であり、推奨範囲は、45°〜90°である。第一拡径部(拡大部)141の断面形状が略円形以外の形状である場合は、いずれかの内壁が上記した関係にあることが望ましい。
【0128】
またガス導入口43の直径をDsとしたとき、ガス導入口43から第一拡径部(拡大部)141の末端までの距離Aは、0.5〜3倍の範囲である。
安定部143の直径をDwとしたとき、第一拡径部(拡大部)141の末端から第二絞り部142までの距離Bは、0.5〜3倍の範囲である。
理由
【0129】
本発明者らは、透明の素材で本実施例の予混合部材140を試作し、内部の燃料ガス及び空気の流れを観察したところ、図32に示す様であった。また即ち断面Bにおける濃度分布は、図33の破線の様であり、略均一であった。
この様に、ベンチュリー部103の下流側を一旦拡大し、再度これを縮小した後、さらに再度広げる構造を採用することで、燃料ガスが流れる断面積を拡大することができ、燃料と空気との混合を促進することができる。そのため予混合部材140及び燃焼装置の全体を小型化することができる。
【0130】
予混合部材140における流路の断面形状は、円形であることが望ましいが、長円形であったり、矩形であっても構わない。例えば図34に示す予混合部材140の様な長方形に近い断面を有するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の燃焼装置の構造を模式的に説明した燃焼装置の断面斜視図。
【図2】本発明の燃焼装置の炎孔部材近傍の構造及び燃料ガス、空気、火炎の流れを模式的に説明した燃焼装置の断面図。
【図3】本発明の他の実施例の燃焼装置の炎孔部材近傍の構造及び燃料ガス、空気、火炎の流れを模式的に説明した燃焼装置の断面図。
【図4】本発明のさらに他の実施例の燃焼装置の炎孔部材近傍の構造及び燃料ガス、空気、火炎の流れを模式的に説明した燃焼装置の断面図。
【図5】本発明のさらに他の実施例の燃焼装置の炎孔部材近傍の構造及び燃料ガス、空気、火炎の流れを模式的に説明した燃焼装置の断面図。
【図6】本発明の実用的な実施例における燃焼装置の斜視図。
【図7】図6の燃焼装置をケースに収納した場合の平面図。
【図8】図7のA−A断面図。
【図9】図6の燃焼装置の断面図。
【図10】図9の炎孔部材の頂部近傍を含む部位の拡大図。
【図11】図6の燃焼装置を段階的に破断して内部構造を示した斜視図。
【図12】図6の燃焼装置の分解斜視図。
【図13】図6の燃焼装置の分解断面図及び炎孔部材の一部拡大断面図。
【図14】図6の燃焼装置の予備混合部材の斜視図。
【図15】図14のA−A断面図。
【図16】図14のB−B断面図。
【図17】図11の燃焼装置の空気流路部材の斜視図。
【図18】図17の空気流路部材の凹変部の拡大図。
【図19】図6の燃焼装置の炎孔部材の斜視図。
【図20】図19の炎孔部材の嵌合用凹溝部の正面拡大図。
【図21】炎孔部材と予混合部材とを結合した状態の側面図。
【図22】図21の炎孔部材の基端部近傍の拡大図。
【図23】予混合部材の開口と空気流路部材の凸条との位置関係を示す説明図。
【図24】他の実施例における予混合部材の開口と空気流路部材の凸条との位置関係を示す説明図。
【図25】本実施例における空気流路部材内における空気の流れを示す説明図。
【図26】他の実施例における空気流路部材内における空気の流れを示す説明図。
【図27】他の実施例における燃焼装置の炎孔部材の頂部近傍を含む部位の拡大図。
【図28】図6に示すの実施例で採用する予混合部材内における燃料ガスと空気との混合作用を示すモデル図。
【図29】本発明の燃焼装置で採用する予備混合部材の変形例を示す斜視図。
【図30】図29の予混合部材のガス導入口近傍の斜視図。
【図31】図29の予混合部材のガス導入口近傍の流路の変化の様子、及び各部位における流路の断面形状を示す断面図。
【図32】図29の予混合部材のガス導入口近傍の内部を示す断面図。
【図33】図28及び図29の予混合部材内の特定断面における燃料ガスの濃度分布を示すグラフ。
【図34】他の実施例における予混合部材のガス導入口近傍の斜視図。
【図35】従来技術の燃焼装置の炎孔部材近傍の構造及び燃料ガス、空気、火炎の流れを模式的に説明した燃焼装置の断面図。
【符号の説明】
【0132】
1 燃焼装置
2 予混合部材
3 炎孔部材
5 空気流路部材
25 本体部材
26 保炎形成壁
27 側面側炎孔
30 頂面部
43 ガス導入口
55 第一絞り部
103 ベンチュリー部
120 段部(落差部)
121 主たる炎孔
123 保炎
125 主炎
122 段部(落差部)と側壁部との境界
128 段部(落差部)と頂面部との境界
130 傾斜部
140 予混合部材
141 第一拡径部
142 第二絞り部
143 安定部
145 縮径部
146 第二拡径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎孔部材と、空気流路部材とを備え、前記空気流路部材は壁状であって先端側に空気放出開口を有し、炎孔部材は二枚の空気流路部材の間或いは前記空気流路部材と他の壁面との間に配置され、炎孔部材と空気流路部材によって囲まれた空間によって第一燃焼部が形成され、酸素不足状態の燃料ガスが炎孔部材から第一燃焼部に放出されて燃焼し、さらに空気流路部材の空気放出開口から空気の供給を受けて燃焼する燃焼装置であって、炎孔部材は、本体部材と保炎形成壁とを有し、本体部材は頂面部と側壁部とを有し、本体部材の頂面部に主たる炎孔が設けられ、前記本体部分の頂面部と本体部の側壁部との間には落差部があり、保炎形成壁は本体部の側面に設けられ、燃料ガスの流れ方向における保炎形成壁の突端部の位置は、前記落差部と頂面部との境界よりも上流側にあり、本体部の側壁部と保炎形成壁との間に空隙が設けられて側面側炎孔が構成され、側面側炎孔からも燃料ガスが放出され、さらに空気が炎孔部材の側面側炎孔の近傍に流れることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
炎孔部材と、空気流路部材とを備え、前記空気流路部材は壁状であって先端側に空気放出開口を有し、炎孔部材は二枚の空気流路部材の間或いは前記空気流路部材と他の壁面との間に配置され、炎孔部材と空気流路部材によって囲まれた空間によって第一燃焼部が形成され、酸素不足状態の燃料ガスが炎孔部材から第一燃焼部に放出されて燃焼し、さらに空気流路部材の空気放出開口から空気の供給を受けて燃焼する燃焼装置であって、炎孔部材は、本体部材と保炎形成壁とを有し、本体部材は頂面部と側壁部とを有し、本体部材の頂面部に主たる炎孔が設けられ、前記本体部分の頂面部と本体部の側壁部との間には落差部があり、保炎形成壁は本体部の側面に設けられ、燃料ガスの流れ方向における保炎形成壁の突端部の位置は、前記落差部と側壁部との境界よりも上流側にあり、本体部の側壁部と保炎形成壁との間に空隙が設けられて側面側炎孔が構成され、側面側炎孔からも燃料ガスが放出され、さらに空気が炎孔部材の側面側炎孔の近傍に流れることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
落差部は、段差又は傾斜面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
側面側炎孔から放出される燃料ガスの流速は本体部材に設けられた主たる炎孔から放出される燃料ガスの流速よりも遅いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
内部で燃料ガスと空気とを予混合する予混合部材を有し、前記予混合部材で予混合された燃料ガスと空気とが炎孔部材に流れ、前記予混合部材は、燃料ガスと空気とが導入される導入口と、導入口に連通するベンチュリー部と、ベンチュリー部に連通する拡大部及び絞り部が順に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項6】
ベンチュリー部と拡大部との境界における内壁の少なくとも一部は、軸線に対して45°〜90°の開き角度を有することを特徴とする請求項5に記載の燃焼装置。
【請求項7】
拡大部の最も大きい部位の断面積は、ベンチュリー部の下流端の断面積の1.2〜3倍であることを特徴とする請求項5又は6に記載の燃焼装置。
【請求項8】
絞り部の断面積は、拡大部の最も大きい部位の断面積の0.4倍から0.8倍である。ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2007−225267(P2007−225267A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50463(P2006−50463)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】