説明

燃焼装置

【課題】燃焼効率がよくて環境性も高く、しかも、良質な炭化物を生成できる燃焼装置を提供する。
【解決手段】炉体内部を囲む壁部の上壁1a,1bに材料投入部2と通じる投入孔16と、排気孔6とが設けてあり、炉体内部を上下に隔てるロストル11を有し、ロストル上下の空間Sa,Sbにはバーナー30,31が各々取り付けてあり、排気部3は、周壁3aで囲まれた内部に煙道24を有する筒状をなし、且つ炉体1上壁1bからほぼ垂直に起立しており、給気部4は、排気部3内の煙道24に沿って取り付けてあり、煙道24とは隔壁4aで隔てられた送風路25aを有し、送風路25aは、排気部3外に通じる外気取入口33と、外気取入口33から取り入れた外気をロストル11近傍に吹き込む送風口34とを有しており、隔壁4aには煙道24に向けて外気を吹き出す多数の噴出孔23が設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を燃料して炭化物を得る燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薪や木材ペレットを燃焼材料として使用する燃焼装置として、特開2000−160166号公報のものがあり、この燃焼装置は、外部に設置した送付手段を使用して炉体内部に外気を送り込みつつ、炉体内部下方から投入された材料をバーナーで燃焼して材料を焼却する構造であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2000−160166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特開2000−160166号公報に開示されるものでは、炉体内部への外気の取り入れが炉体壁部に連通するのみの構造であるから、バーナーや煙道の隅々まで外気が行き渡らず、廃棄物の処理装置としては機能するものの、燃焼後に得られる炭化物はそのまま廃棄されているのが現状であり、したがって、多様な素材に適用できる良質な炭化物を得る手段が模索されている。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、燃焼効率がよくて環境性も高く、しかも、良質な炭化物を生成できる燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1記載の発明は、炉体と、材料投入部と、排気部と、給気部とを備えており、炉体は、炉体内部を囲む壁部の上壁に材料投入部と通じる投入孔と、排気部と通じる排気孔とが設けてあり、炉体内部を上下に隔てるロストルを有し、ロストルで隔てられた上下の空間にはバーナーが各々取り付けてあり、材料投入部は、材料を炉体内部に搬送する搬送路を有する筒状をなし、筒状の一方側開口は、搬送路と通じる材料の投入口となり、他方側開口は、炉体の投入孔と通じており、排気部は、周壁で囲まれた内部に煙道を有する筒状をなし、且つ炉体上壁からほぼ垂直に起立して煙道を排気孔に連通しており、給気部は、排気部内の煙道に沿って取り付けてあり、煙道とは隔壁で隔てられた送風路を有し、送風路は、排気部外に通じる外気取入口と、外気取入口から取り入れた外気をロストル近傍に吹き込む送風口とを有しており、隔壁には煙道に向けて外気を吹き出す多数の噴出孔が設けてあることを特徴とする。
【0006】
本発明のうち請求項2記載の発明では、給気部は、送風口と連通して炉体内部に外気を送る送風ノズルがほぼ同一平面状に複数配設してあるとともに、各送風ノズルは、湾曲しながら斜め下向きに突出していることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項3記載の発明は、材料投入部と排気部の外周には、冷却部を取り付けてあり、各冷却部は、炉体上部と隣接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、材料投入部の搬送路を経て炉体内部に搬送された材料に対し、給気部では、排気熱で熱を帯びることで、送風機から送り込まれる外気が熱くなるとともに、排気部の煙道に外気を吹き出しながら送風口から炉体内に外気を送り込むことにより、炉体内部の温度が下がらない。また、バーナーを燃焼したときに、材料投入部からロストルの上に搬送された材料に外気が効率的に送り込まれて不完全燃焼を起こすことがなく、燃焼効率が高まるとともに、送風部の多数の噴出孔から煙道に噴出した外気により有害な未燃焼ガスの炉体外部への排気が少なくなり、環境に配慮された燃焼装置が提供できる。また、燃焼効率が良くて材料の燃え屑が残りにくいので、炉体内部の目詰まりなどが少なくなって高いメンテナンス性が期待できる。そして、燃焼後の炉体では、不純物が極めて少ない良質の炭化物が生成される。
【0009】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、給気部の送風側に複数の送風ノズルが同一平面上に配設されることにより、湾曲した送風路を通って送風口から送り込まれた外気が炉体内部に隈なく行き渡って効率的な燃焼が行われる。
【0010】
本発明のうち請求項3記載の発明によれば、材料投入部と排気部との外周を囲むように冷却部を設けてあることで、炉体壁部が過剰に熱を持たずに故障等の発生を抑え、安定且つ長期的な炉体の運用ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施による燃焼装置の縦断面図である。
【図2(a)(b)】(a)は、本実施による燃焼装置の平面図であり、(b)は、図1中A−A線横断面図である。
【図3(a)(b)】(a)は、燃焼時の炉体内における給気部の作用について一部を拡大して示す縦断面図であり、(b)は、給気部の炉体内部への送風側を拡大して示す横断面図である。
【図4】排気部の排気路における給気部の作用を示す一部を拡大した縦断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す燃焼装置を構成する炉体、材料投入部、排気部の斜視図である。
【図6】図5の炉体、材料投入部、排気部、その他の構成部を組んで完成した燃焼装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面に基づいて本実施による燃焼装置の実施の形態を説明する。
本実施による燃焼装置は、図1のように、炉体1と、炉体1内にゴムチップ(材料)9を投入するための材料投入部2と、燃焼後に炉体内部で発生する燃焼ガスおよび未燃焼ガスを排気する排気部3と、炉体内部に外気を送り込む給気部4と、冷却部5a,5bとからなっている。
【0013】
炉体1は、図1と図2(a)(b)のように、鉄、ステンレスなどの耐熱性素材で形成された壁部(上壁1a,1b、側壁1c)により、炉体内部にゴムチップ(材料)9を燃焼するための空間Sa,Sbを形成するほぼ矩形状をなすものである。また、後述するロストル11で炉体内部は上下に区画されており、ロストル11を隔てた炉体内部の上側燃焼空間(空間)Saと面する炉体1側壁1cには第一バーナー(バーナー)30が取り付けてあり、ロストル11を隔てた炉体内部の下側燃焼空間(空間)Sbと面する炉体1側壁1cには第二バーナー(バーナー)31が取り付けてある。また、炉体1を構成する上壁1aのほぼ中央には、排気孔6が設けてある。排気孔6の上壁1a外周側には、フランジ受け具21aが設けてあり、フランジ受け具21aには、後述するが排気部3側のフランジ21が当接してボルト22で各々を固定してある。また、炉体内部の材料投入部2と通じる側には、炉体内部に向かって下方に傾斜するスロープ8が設けてあり、これにより、材料投入部2に投入されたゴムチップ9がスロープ8に沿って常に下方に流れ落ちるようにしてあり、炉体内部へのゴムチップ9の投入を円滑に行っている。また、スロープ8や炉体1側壁内周側(炉体内部と面する側)は、耐火レンガ10で囲んでおり、第一バーナー30と第二バーナー31で燃焼したときに、耐火レンガ10の輻射熱で炉体内部の燃焼効果を高めている。さらに、炉体1側壁1c内周側に沿って積み上げた耐火レンガ10の上端面には、耐火レンガ10で囲む空間Sa,Sbを上下に遮る位置に、材料投入口2側にロストル11を配置するとともに、ロストル11の排気部3と通じる側には、ロストル11とほぼ同一平面上に鉄板12が配設してあり、炉体内部を上下に隔てている。また、炉体1の排気孔6側に位置する側壁1cには、ゴムチップ9の燃焼後に生成される炭化物32を取り出すための扉39が設けてあり、この扉39は、炉体1側壁1cの外周部に垂直軸回りで開閉し、炉体内部の空間Sa,Sbを開放または閉塞する。
【0014】
材料投入部2は、内周側に搬送路13を有する断面ほぼ矩形筒型状をなすものであり、筒の長手方向一方側の外周壁にはフランジ15を有しており、このフランジ15は、炉体1を構成する傾斜壁部(上壁)1bに設けてある投入孔16の外周部に有するフランジ受け部17に合わせ、各々をボルト18で締結して炉体1と材料投入部2とを固定するものである。また、材料投入部2は、炉体1の傾斜壁部1bに固定されることで、炉体内部にあるスロープ8の傾斜とほぼ同じ傾斜角度となるように設定してある。そして、材料投入部2の上端は、ゴムチップ9の投入口19となっており、投入口19は、搬送路13を囲む周壁の端面に垂直軸回りに軸支された開閉蓋20の開閉によって使用時には開放し、また、未使用時には閉塞する。
【0015】
排気部3は、前述した材料投入部2と同様に断面ほぼ矩形筒型状に形成してあり、炉体1の上壁1aに略垂直に固定されており、排気部3における筒の下方の開口部にフランジ21を有しており、このフランジ21を炉体1上壁1aに設けてあるフランジ受け具21aに当接して炉体内部の空間Sa,Sbと連通させ、各々をボルト22で固定する。
【0016】
給気部4は、前述したように、ほぼ垂直に起立する排気部3に沿って排気部3の内周側に配設するパイプ状をなすものであり、外気の取入口となるパイプの上側開口がほぼ90°屈曲し、排気部3の周壁3aを貫通して炉体1外部に連通する一方、炉体内部への送風側となるパイプの下側開口は、炉体内部に配置したロストル11上方に位置している。また、給気部4の周壁には、約4〜5mm径ほどの噴出孔23が多数設けてあり、給気部4にて外気を取り入れたときに、図4のように、前述の各噴出孔23から排気部3の煙道24の全体に外気が送り込まれる。そして、図3(a)(b)のように、給気部4下方の送風側には、ほぼ120°間隔の3箇所に、給気部4の周壁から離れる方向で且つ斜め下側に向けて突出する送風ノズル25を有している。さらに、各送風ノズル25は、それぞれが緩やかな半円弧状に湾曲させてあるとともに、送風ノズル25の先端の径を絞って送風口34を狭めてある。これにより、送風機(外気取入口)33から取り入れた外気をそれぞれの湾曲した送風路25aを通して送風口34から拡散し、炉体内部の空間Sa,Sbの全体に外気を送り込むことができる。尚、本実施による給気部4では、外気の取り入れ手段として送風機33を取り付けてあるが、送風機33を取り付けず、単に給気部4の一方側を開放し、自然給気により炉体内部に外気を送り込んでもよい。
【0017】
冷却部5a,5bは、内部に貯水のできる中空状に形成してあり、材料投入部2と排気部3の外周を囲む状態でそれぞれに取り付けてある。そして、材料投入部2に取り付けるもの(以下、投入部側冷却部5aとする)は、材料投入部2の周壁外周における炉体1に近い部分を覆う状態で全周にわたって配設してあり、また、排気部3に取り付けるもの(以下、排気部側冷却部5bとする)は、炉体1傾斜壁部1bに台座26を介して設置してあり、排気部3外周壁3aの炉体1に近い部分を覆う状態で全周にわたって配設してある。また、排気部側冷却部5bの周壁には給水口27が設けてあるとともに、投入部側冷却部5aの周壁には排水口28が設けてあり、両冷却部5a,5b内に収容された水の入れ替えができるようになっている。また、投入部側冷却部5aと排気部側冷却部5bとは自在に変形するフレキシブルパイプ29で連結しており、これによって、給水口27から給水すれば、一度で投入部側冷却部5aと排気部側冷却部5bの両方に給水でき、また、排水口28を開放すれば、両方の水を排水できるように形成してある。
【0018】
次に、本実施による燃焼装置の燃焼状態について説明する。
第1の手順として、材料投入部2の開閉蓋20を開けてゴムチップ9を搬送路13に投入する。そして、炉体1に設置してある第一バーナー30と第二バーナー31をそれぞれ点火する。
第2の手順として、前述した第1の手順にて第一バーナー30および第二バーナー31の燃焼が確認できたら、材料投入部2の開閉蓋20を開け、ゴムチップ9を搬送路13に投入し、第一バーナー30の近傍でのゴムチップ9の燃焼が継続的に行われることを確認する。そして、搬送路13に投入されたゴムチップ9は、炉体内部Saに近いものから次第に燃焼されていき、その燃焼後の炭化物32が炉体内部Saに配置してある柵状のロストル11の上に少しずつ落下する。このとき、ゴムチップ9が不完全燃焼のまま落下するようであれば次の手順(第3の手順)に移行する。
第3の手順として、給気部4の外部に設置してある送風機33を起動し、炉体内部の空間Sa,Sbに外気を送り込む。
以上の手順を経ることにより、材料投入部2の搬送路13で搬送されて上側燃焼空間Saに送り込まれたゴムチップ9を燃焼して炭化し、炉体内部のロストル11下方の取出口から取り出すことで、良質な炭化物を得ることができる。
【0019】
本発明の燃焼装置は、炉体1、材料投入部2、排気部3、給気部4,冷却部5のそれぞれの形状や大きさについて上記実施形態のものに限定するものではない。また、給気部4は、排気部3内および炉体内部に外気を送り込むことのできる形態であれば、上記実施形態のパイプ形状以外のもの(例えば、排気部3の煙道24を壁部で区画して取り入れた外気の流路を形成するものなど)でもよい。また、材料9として、本実施形態ではゴムチップ9を挙げたが、木材廃材や生ごみ等でもよく、燃性を有し炭化物を生成できるものであれば特に限定するものではない。
【0020】
本発明の他の実施形態として、図5と図6のように、炉体51、材料投入部(冷却部54a)52、排気部53(冷却部54b)の三つの構成部に分割して形成し、各々をフランジ57〜62合わせしてボルト75,76で固定したものである。
具体的には図5のように、炉体51上部の2箇所、材料投入部52の下端、排気部53(冷却部54b)の下端の各々に、端部の曲げ加工や溶接によってフランジ57〜62を取り付けてある。さらに、フランジ57〜62には、ボルト孔64〜69が各々に設けてあり、炉体51の傾斜状に設けられたフランジ57には、材料投入部52の下端に設けてあるフランジ59を合わせてボルト75で締結し、また、炉体51のほぼ水平に設けられたフランジ58には、排気部53(冷却部54b)の下端に設けられたフランジ61を合わせてボルト76で締結することにより、図6のように、炉体内部と煙道、および材料投入部52搬送路とが投入口70と排気口71とで連通した燃焼装置が形成される。さらに、材料投入部52側の冷却部54aと排気部53側の冷却部54bは、パイプ79で連通してあり、これにより、一方の冷却部54a,54bに水を注入すると、他方の冷却部54a,54bにおいても一緒に注入することができ、また、排水も一方を冷却部54a,54bを開放することで他方の冷却部54a,54bも行われる。また、本実施による燃焼装置は、各構成部がフランジ53〜62合わせであることから、炉体51から材料投入部52や排気部53を取り外すことができ、炉体内部の開放が容易であることから、ロストル55の交換や耐火レンガ56のメンテナンスなどが容易に行える。
尚、図5では、給気部73やバーナー77,78、送風機74などが省略されているが、予め、給気部73やバーナー77,78を取り付けてあるものを組み付けて、フランジ57〜62同士をボルト75,76で締結してもよい(図6参照)。また、符号80は、材料投入部52の投入口72を開閉する開閉蓋である。
【符号の説明】
【0021】
1,51 炉体
2,52 材料投入部
3,53 排気部
4,73 給気部
4a 隔壁
5a,54a 投入部側冷却部(冷却部)
5b,54b 排気部側冷却部(冷却部)
6 排気孔
9 ゴムチップ(材料)
11 ロストル
13 搬送路
16 投入孔
19 投入口
23 噴出孔
24 煙道
25 送風ノズル
25a 送風路
30 第一バーナー(バーナー)
31 第二バーナー(バーナー)
33 送風機(外気取入口)
34 送風口
77,78 バーナー
Sa 上側燃焼空間(空間)
Sb 下側燃焼空間(空間)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉体と、材料投入部と、排気部と、給気部とを備えており、
炉体は、炉体内部を囲む壁部の上壁に材料投入部と通じる投入孔と、排気部と通じる排気孔とが設けてあり、炉体内部を上下に隔てるロストルを有し、ロストルで隔てられた上下の空間にはバーナーが各々取り付けてあり、
材料投入部は、材料を炉体内部に搬送する搬送路を有する筒状をなし、筒状の一方側開口は、搬送路と通じる材料の投入口となり、他方側開口は、炉体の投入孔と通じており、
排気部は、周壁で囲まれた内部に煙道を有する筒状をなし、且つ炉体上壁からほぼ垂直に起立して煙道を排気孔に連通しており、
給気部は、排気部内の煙道に沿って取り付けてあり、煙道とは隔壁で隔てられた送風路を有し、送風路は、排気部外に通じる外気取入口と、外気取入口から取り入れた外気をロストル近傍に吹き込む送風口とを有しており、隔壁には煙道に向けて外気を吹き出す多数の噴出孔が設けてあることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
給気部は、送風口と連通して炉体内部に外気を送る送風ノズルがほぼ同一平面状に複数配設してあるとともに、各送風ノズルは、湾曲しながら斜め下向きに突出していることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
材料投入部と排気部の外周には、冷却部を取り付けてあり、各冷却部は、炉体上部と隣接することを特徴とする請求項1又は2記載の燃焼装置。



【図1】
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【図2(a)(b)】
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【図3(a)(b)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−237070(P2011−237070A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107318(P2010−107318)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(509170604)
【Fターム(参考)】