説明

物品収納設備

【課題】収納部に収納されている物品の清浄度を高く保つ物品収納設備の提供。
【解決手段】収納部2を縦横に並べて複数備えた物品収納棚3と、物品収納棚3の前方の移動空間4を移動して収納部2に対する物品の出し入れを行う物品搬送装置5と、浄化空気を物品収納棚3の後部側から収納部2を通過させて移動空間4を上方側から下方側に流動させるダウンフロー式の浄化空気通風手段6と、物品搬送装置5の作動を制御する制御手段とが設けられている物品収納設備において、収納部2が、物品12として、物品12を保持している保持状態の物品保持体13A、及び、物品12を保持していない非保持状態の物品保持体13Bを収納自在に構成され、制御手段が、保持状態の物品保持体13Aを非保持状態の物品保持体13Bよりも上方側に収納させる形態で物品保持体13を収納部2に収納すべく、物品搬送装置5の作動を制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納部を縦横に並べて複数備えた物品収納棚と、前記収納部との間で物品を移載自在な物品移載手段を備え、前記物品収納棚の前方の移動空間を移動して前記収納部に対する物品の出し入れを行う物品搬送装置と、浄化空気を前記物品収納棚の後部側から前記収納部を通過させて前記移動空間を上方側から下方側に流動させるダウンフロー式の浄化空気通風手段と、前記物品搬送装置の作動を制御する制御手段とが設けられている物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品収納設備は、例えば、クリーンルーム内に設けられ、プラズマディスプレイ用のガラス基板などの板状の物品を塵埃の少ない清浄な環境において保管するために用いられている。そして、物品搬送装置が、移動空間を移動することによって、物品収納棚の収納部に物品を収納したり、収納部に収納された物品を取り出してその物品に処理を施す物品処理部に搬送するようにしている。
【0003】
このような物品収納設備として、従来、一対の物品収納棚が、その間に移動空間を形成する状態で通気孔が多数形成されたメッシュ状のグレーティング床上に設けられ、浄化空気通風手段が、グレーティング床を通過した空気をフィルタにより清浄化して浄化空気として天井側から下方側に向けて通風させるクリーンルーム用の通風手段と、各収納部に装備されて浄化空気を収納部の後部側から前部側に向けて通風させる収納部用の通風手段とから構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−81406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の物品収納設備では、浄化空気通風手段が浄化空気を物品収納棚の後部側から収納部を通過させて移動空間を上方側から下方側に流動させているので、塵埃は浄化空気にて床面に案内されて床面に貯留することになる。しかしながら、物品搬送装置が移動空間を移動するときには、その移動によって浄化空気通風手段による浄化空気の流れが乱されて、床面に貯留されている塵埃を巻き上げてしまうことがある。したがって、巻き上げられた塵埃が収納部まで移動してしまい、収納部に収納されている物品の清浄度を高く保つことができない虞がある。
【0006】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、収納部に収納されている物品の清浄度を高く保つことができる物品収納設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品収納設備の第1特徴構成は、収納部を縦横に並べて複数備えた物品収納棚と、前記収納部との間で物品を移載自在な物品移載手段を備え、前記物品収納棚の前方の移動空間を移動して前記収納部に対する物品の出し入れを行う物品搬送装置と、浄化空気を前記物品収納棚の後部側から前記収納部を通過させて前記移動空間を上方側から下方側に流動させるダウンフロー式の浄化空気通風手段と、前記物品搬送装置の作動を制御する制御手段とが設けられている物品収納設備において、
前記収納部が、物品として、物品を保持している保持状態の物品保持体、及び、物品を保持していない非保持状態の物品保持体を収納自在に構成され、前記制御手段が、前記保持状態の物品保持体を前記非保持状態の物品保持体よりも上方側に収納させる形態で前記物品保持体を前記収納部に収納すべく、前記物品搬送装置の作動を制御するように構成されている点にある。
【0008】
前記制御手段は、保持状態の物品保持体を非保持状態の物品保持体よりも上方側に収納させる形態で物品保持体を収納部に収納すべく、物品搬送装置の作動を制御するので、保持状態の物品保持体は、非保持状態の物品保持体よりも上方側の収納部に収納される。
前記浄化空気通風手段が移動空間において浄化空気を上方側から下方側に流動させているので、物品搬送装置が移動空間を移動するときに巻き上げられる塵埃が移動する可能性があるのは、複数の収納部のうち、低い位置の収納部となる。
したがって、物品を保持している保持状態の物品保持体を、非保持状態の物品保持体よりも上方側の収納部に収納させることにより、物品が収納された収納部に対して塵埃が移動するのを防止できる。そして、非保持状態の物品保持体は物品を保持していないので、非保持状態の物品保持体に対して塵埃が移動しても、物品の清浄度を低下させる虞はない。
このようにして、収納部に収納されている物品の清浄度を高く保つことができる物品収納設備を提供できるに至った。
【0009】
本発明にかかる物品収納設備の第2特徴構成は、前記複数の収納部のうち、最下段から設定段までの収納部を前記非保持状態の物品保持体を収納する非保持状態用の収納部に設定し、且つ、設定段よりも上方の収納部を前記保持状態の物品保持体を収納する保持状態用の収納部に設定し、前記制御手段が、前記保持状態の物品保持体を前記保持状態用の収納部に収納し且つ前記非保持状態の物品保持体を前記非保持状態用の収納部に収納させる形態で前記物品保持体を前記収納部に収納すべく、前記物品搬送装置の作動を制御するように構成されている点にある。
【0010】
前記制御手段が、保持状態の物品保持体を保持状態用の収納部に収納し且つ非保持状態の物品保持体を非保持状態用の収納部に収納させる形態で物品保持体を収納部に収納することにより、保持状態の物品保持体を非保持状態の物品保持体よりも上方側の収納部に収納させることができる。
そして、制御手段は、保持状態の物品保持体を非保持状態の物品保持体よりも上方側の収納部に収納させるに当り、設定されている保持状態用の収納部及び非保持状態用の収納部の位置などの情報を管理するだけでよく、制御構成の簡素化を図ることができる。
【0011】
本発明にかかる物品収納設備の第3特徴構成は、前記浄化空気通風手段が、浄化空気を前記収納部の後部側から前記収納部を通過させる収納部通風手段を前記複数の収納部の夫々に装備させて構成されている点にある。
【0012】
前記収納部通風手段は、収納部の後部側から収納部を通過させるように浄化空気を積極的に通風させることができる。したがって、収納部に収納される物品に対して浄化空気を的確に通風させることができ、その物品の清浄度を的確に高く保つことができる。
【0013】
本発明にかかる物品収納設備の第4特徴構成は、前記保持状態の物品保持体が、上下方向に間隔を隔てて並べる状態で板状の物品の複数を保持するように構成され、前記浄化空気通風手段が、前記収納部に収納された前記保持状態の物品保持体に対して上下方向における板状の物品の間隙に浄化空気を通過させる形態で浄化空気を前記物品収納棚の後部側から前記収納部を通過させるように構成されている点にある。
【0014】
前記浄化空気通風手段が、保持状態の物品保持体に対して上下方向における板状の物品の間隙に浄化空気を積極的に通風させることができるので、複数の板状の物品に浄化空気を的確に通風させることができる。したがって、物品保持体に保持された複数の板状の物品の清浄度を的確に高く保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明にかかる物品収納設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
この物品収納設備は、図1〜図4に示すように、クリーンルーム1内に設置されており、収納部2を縦横に並べて複数備えた物品収納棚3と、物品収納棚3の前方の移動空間4を移動して収納部2に対する物品の出し入れを行う物品搬送装置5と、浄化空気を物品収納棚3の後部側から収納部2を通過させて移動空間4を上方側から下方側に流動させるダウンフロー式の浄化空気通風手段6とを備えて構成されている。
【0016】
前記クリーンルーム1は、その床部を通気孔が多数形成された多孔状のグレーティング床7にて構成してあり、その天井に形成された天井吹出部8から浄化空気を床側に向けて通風させるように構成されている。そして、クリーンルーム1には、ブース11により上部及び側周囲が囲まれた空間が形成され、そのブース11にて囲まれた空間内に物品収納棚3が配設されている。
【0017】
前記物品収納棚3は、前方側を互いに向かい合わせる状態でグレーティング床7上に間隔を隔てて一対設けられている。そして、一対の物品収納棚3の間に移動空間4を形成している。各物品収納棚3は、棚横幅方向に間隔を隔てて立設された前後一対の支柱9と、前後一対の支柱9の夫々に支持されて棚上下方向に間隔を隔てて設けられた載置支持部10とから構成されている。
そして、前後一対の支柱9と左右一対の載置支持部10とにより1つの収納部2が形成され、この収納部2が縦横に複数並べて設けられている。各収納部2は、棚横幅方向に隣接するもの同士及び棚上下方向に隣接するもの同士が空気流動可能に連通されている。
また、最下段の収納部2は、設定高さよりも上方側に位置するように設けられ、その最下段の収納部2の下方には、浄化空気が流動する流動用空間16が形成されている。ちなみに、最下段の収納部2の高さは、物品搬出入部31にて物品処理部30との間で物品を搬送する高さよりも高くしている。
【0018】
前記収納部2は、物品として、例えば、ガラス基板などの板状の物品12を保持可能な物品保持体13を収納自在に構成されている。前記物品保持体13は、図5に示すように、格子状に形成された上枠体13a及び下枠体13bと、上枠体13aと下枠体13bとを連結する複数の連結体13cと、その連結体13cの上下方向に間隔を隔てて水平方向に延びる状態で設けられた棒状の支持部13dとから構成されている。そして、各支持部13dにて載置支持する状態で板状の物品12を上下方向に間隔を隔てて並べて保持しており、物品保持体13の上部、下部、及び、側部の全てにおいて空気流動可能に構成されている。このように、物品保持体13は、上下方向に間隔を隔てて並べる状態で板状の物品12の複数を保持するように構成されている。
【0019】
前記浄化空気通風手段6は、クリーンルーム1内に浄化空気を循環させる形態で供給するクリーンルーム通風手段14と、ブース11内に設けられた物品収納棚3の各収納部2に浄化空気を通風する収納部通風手段15と、ブース11内の空気をブース11外のクリーンルーム内1に排気する排気用開口部29とを備えて構成されている。
【0020】
前記クリーンルーム通風手段14は、グレーティング床7を通過した空気を清浄化して浄化空気として天井吹出部8から吹き出す形態で浄化空気をクリーンルーム1に循環させるように構成されている。
前記クリーンルーム通風手段14は、グレーティング床7の下方側に設けられた吸気室17、天井吹出部8の上方側に設けられた空気チャンバ室18、天井吹出部8に並設されたHEPAフィルタなどからなるエアーフィルタ19、吸気室17と空気チャンバ室18とを連通接続する接続流路20、その接続流路20に設けられて吸気室17に吸引作用する循環用送風機21、接続流路20において循環用送風機21の空気吐出側に設けられたプレフィルタ22から構成されている。
【0021】
前記クリーンルーム1内の空気は、循環用送風機21の通風作用によってグレーティング床7を通して吸気室17に吸い込まれて接続流路20を流動し、プレフィルタ22にて清浄化されて空気チャンバ室18に至る。そして、空気チャンバ室18に到達した空気は、エアーフィルタ19にて清浄化されて浄化空気として、天井吹出部8からクリーンルーム1内に向けて下向きに吹き出される。
このようにして、クリーンルーム1内の空気が、プレフィルタ22及びエアーフィルタ19にて清浄化されながら循環されて、浄化空気を天井吹出部8から下方側に吹き出す形態でクリーンルーム1に常時供給するように構成されている。
【0022】
前記接続流路20の循環用送風機21の吸い込み側には、外気取入流路23が接続されており、その外気取入流路23に外気取入量調節用ダンパ24が設けられている。また、接続流路20の循環用送風機21の吐出側には、排気流路25が接続されており、その排気流路25に排気量調節用ダンパ26が設けられている。
そして、外気取入量調節用ダンパ24及び排気量調節用ダンパ26の夫々の開度を調節することにより、クリーンルーム通風手段14にて循環されるクリーンルーム1内の空気のうちの所定量が新鮮な空気と交換されるように構成されている。
【0023】
前記収納部通風手段15は、複数の収納部2の夫々に対応してブース11の側壁部11aに装備されている。そして、収納部通風手段15は、クリーンルーム1内の浄化空気を清浄化してブース11内に通風させる状態で浄化空気を収納部2の後部側から収納部2を通過させるように構成されている。
前記収納部通風手段15は、塵埃を除去する除塵フィルタ27と、ブース11外の浄化空気を吸引して除塵フィルタ27を通過させる状態で収納部2の後部側から収納部2を通過させるように浄化空気を通風させる送風ファン28とから構成されている。
前記送風ファン28によってブース11内に通風される浄化空気は、収納部2の後部側から前部側に向けて棚前後方向に沿って通風され、収納部2に収納された物品保持体13に対して上下方向における板状の物品12の間隙に通過する状態で収納部2を通過する。このように、浄化空気通風手段6は、収納部2に収納された保持状態の物品保持体13に対して上下方向における板状の物品12の間隙に浄化空気を通過させる形態で浄化空気を物品収納棚3の後部側から収納部2を通過させるように構成されている。
【0024】
前記排気用開口部29は、一対の物品収納棚3のうち、一方の後端部に対向するブース11の側壁部11aのみに設けられている。そして、排気用開口部29は、流動用空間16に対向する状態でブース11の側壁部11aの下端部に配設されている。
【0025】
前記ブース11内では、送風ファン28により浄化空気が通風されるのでその浄化空気の圧力が高くなる。それに対して、排気用開口部29により浄化空気が排気されるので、その浄化空気の圧力が低くなる。そして、この浄化空気の圧力差により、ブース11内の空気は、収納部2の後部側から前部側に向けて流動して移動空間4を上方側から下方側に向けて流動するダウンフローとなる。移動空間4を上方側から下方側に向けて流動する浄化空気は、その一部が、排気用開口部29に向けて流動してブース11外に排気されたのち、下方側に向けて流動してグレーティング床7を通して吸気室17に至る。残りの一部が、そのまま下方側に流動してグレーティング床7を通して吸気室17に至る。
このように、浄化空気通風手段6は、浄化空気を物品収納棚3の後部側から収納部2を通過させて移動空間4を上方側から下方側に流動させるダウンフロー式に構成されている。
【0026】
前記物品収納棚3の一部には、図2及び図3に示すように、最下段の収納部2に代えて、物品12に所定の処理を施す物品処理部30に対する物品12の搬出入を行う物品搬出入部31が設けられている。この物品搬出入部31では、物品保持体13から物品12を1つずつ取り出して物品処理部30に供給したり、物品処理部30から1つずつ供給される物品12を物品保持体13に保持させるように構成されている。ちなみに、図示は省略するが、物品搬出入部31は、複数配設されており、各物品搬出入部31において、物品処理部30に対する物品12の搬出又は物品処理部30からの物品12の搬入を行うようにしている。
前記物品搬出入部31には、物品保持体13を昇降自在に載置支持する左右一対の昇降支持体32と、物品12を載置支持自在で且つ載置支持した物品12を搬送自在な複数の駆動ローラを備えた搬送体33とが設けられている。搬送体33は、左右一対の昇降支持体32の間に配置されており、物品保持体13に対して上下方向に挿脱自在に設けられている。
そして、物品搬出入部31と物品処理部30とを連通する連通部分もブース11にて囲まれており、その連通部分に浄化空気を上方側から下方側に向けて通風させる搬出入用浄化空気通風手段34が設けられている。
【0027】
前記物品搬出入部31にて物品処理部30に物品12を1つずつ供給するときには、左右一対の昇降支持体32にて物品保持体13を下降させることにより、搬送体13が物品保持体13内に入り込み物品保持体13から1つの物品12を搬送体33に載置支持させる。その後、搬送体33にて物品12を載置支持して物品処理部30に搬送する。このような動作を繰り返すことによって、物品保持体13から物品12を1つずつ取り出して物品処理部30に供給する。
前記物品処理部30から1つずつ供給される物品12を物品搬出入部31にて物品保持体13に保持させるときには、左右一対の昇降支持体32にて物品保持体13を搬送体13に入り込ませた状態で載置支持しておく。その後、搬送体33が1つの物品12を物品保持体13にて保持可能な位置まで搬送して、左右一対の昇降支持体32にて物品保持体13を上昇させることにより、1つの物品12を物品保持体13に保持させる。このような動作を繰り返すことによって、物品処理部30から1つずつ供給される物品12を物品保持体13に上下方向に並べる状態で順次保持させる。
【0028】
前記物品搬送装置5は、移動空間4のグレーティング床7に設けられたガイドレール35及びブース11の上部に設けられた天井側ガイドレール36に案内されて走行する走行台車37と、その走行台車37に立設された昇降マスト38に沿って昇降自在な昇降台39と、その昇降台39に装備されて収納部2に対する物品保持体13の出し入れを行う物品移載手段としての物品移載装置40とを備えたスタッカークレーンにて構成されている。
【0029】
前記物品移載装置40は、図6及び図7に示すように、上下軸芯P1周りに旋回自在な旋回台41、及び、その旋回台41上に設けられた載置部42を出退移動自在に支持するリンク機構43から構成されている。そして、物品移載装置40は、旋回台41及びリンク機構43により載置部42を旋回移動可能でかつ出退移動可能に構成されている。
前記リンク機構43は、その基端部が上下軸芯P2周りで回動自在に旋回台41に連結された一対の操作リンク44と、操作リンク44の先端部に対して上下軸芯P3周りで回動自在に連結されかつ載置部42に対して上下軸芯P4周りで回動自在に連結された揺動リンク45とから構成されている。
図外の移載用電動モータにて一対の操作リンク44を連動して上下軸芯周りに揺動操作することにより、載置部42を昇降台39に対して突出させる突出状態(図7参照)と載置部42を昇降台39に対して引退させる引退状態(図6参照)とに切り換え自在に構成されている。そして、物品移載装置40は、突出状態と引退状態とに切り換えることによって、収納部2との間及び物品搬出入部31の昇降支持体32との間で物品保持体13を移載するように構成されている。
【0030】
前記物品搬送装置5の作動を制御する制御手段46が設けられている。そして、制御手段46は、図外の走行用電動モータの作動を制御して走行台車37の走行を制御し、且つ、図外の昇降用電動モータの作動を制御して昇降台39の昇降を制御するとともに、図外の移載用電動モータの作動を制御して物品移載装置40の作動を制御して、物品搬送装置5の作動を制御するように構成されている。ちなみに、制御手段46は、地上側に設ける地上側コントローラと走行台車37に設ける台車側コントローラとを通信自在に設け、地上側コントローラからの各種の指令に基づいて、台車側コントローラが物品搬送装置5の作動を制御するように構成されている。
【0031】
前記制御手段46は、収納部2との間で物品保持体13を移載するときには、移載対象の収納部2に対応する移載位置に昇降台39を移動させるべく、走行台車37の走行を制御し且つ昇降台39の昇降を制御し、その後、移載対象の収納部2との間で物品保持体13を移載すべく、物品移載装置40の作動を制御するように構成されている。
また、制御手段46は、物品搬出入部31の昇降支持体32との間で物品保持体13を移載するときには、昇降支持体32に対応する移載位置に昇降台39を移動させるべく、走行台車37の走行を制御し且つ昇降台39の昇降を制御し、その後、昇降支持体32との間で物品保持体13を移載すべく、物品移載装置40の作動を制御するように構成されている。
【0032】
ちなみに、図示は省略するが、走行台車37の走行位置を検出するために走行用レーザ測距計や走行用ロータリーエンコーダなどの走行位置検出手段が設けられ、昇降台39の昇降位置を検出するために昇降用レーザ測距計や昇降用ロータリーエンコーダの昇降位置検出手段が設けられている。そして、制御手段46は、走行位置検出手段の検出情報に基づいて、走行台車37の走行を制御し、且つ、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、昇降台39の昇降を制御する。
【0033】
そして、制御手段46は、物品搬出入部31に物品保持体13を搬送する搬送要求があると、複数の収納部2から搬送すべき物品保持体13が収納された収納部を移載対象の収納部2として選択し、その移載対象の収納部2から物品保持体13を取り出してその取り出した物品保持体13を物品搬出入部31の昇降支持体32に収納するように、物品搬送装置5の作動を制御するように構成されている。
また、制御手段46は、物品搬出入部31から収納部2に物品保持体13を収納する搬送要求があると、複数の収納部2から物品保持体13を収納すべき収納部2を移載対象の収納部2として選択し、物品搬出入部31の昇降支持体32から物品保持体13を取り出してその取り出した物品保持体13を移載対象の収納部2に収納するように、物品搬送装置5の作動を制御するように構成されている。
このようにして、制御手段46は、収納部2に物品保持体13が収納されているか否か、及び、どの収納部2にどの物品保持体13を収納しているかの収納状態を管理しながら、物品搬送装置5の作動を制御して、物品搬出入部31と収納部2との間で物品保持体13を搬送するように構成されている。
【0034】
前記制御手段46は、物品保持体13を収納部2に収納させるに当り、図1、図3及び図4に示すように、物品12を保持している保持状態の物品保持体13Aを物品12を保持していない非保持状態の物品保持体13Bよりも上方側に収納させる形態で物品保持体13を収納部2に収納すべく、物品搬送装置5の作動を制御するように構成されている。
【0035】
説明を加えると、複数の収納部2のうち、最下段から設定段までの収納部2を非保持状態の物品保持体13Bを収納する非保持状態用の収納部2bに設定し、且つ、設定段よりも上方の収納部2を保持状態の物品保持体13Aを収納する保持状態用の収納部2aに設定している。この実施形態では、収納部2が4段設けられており、最下段の収納部2を非保持状態用の収納部2bに設定し、下から2段目〜4段目の収納部2を保持状態用の収納部2aに設定している。
そして、制御手段46が、保持状態の物品保持体13Aを保持状態用の収納部2aに収納し且つ非保持状態の物品保持体13Bを非保持状態用の収納部2bに収納させる形態で物品保持体13を収納部2に収納すべく、物品搬送装置5の作動を制御するように構成されている。
【0036】
前記制御手段46は、まず、収納部2に収納させる物品保持体13が保持状態の物品保持体13Aであるか又は非保持状態の物品保持体13Bであるかを判別する。そして、制御手段46は、保持状態の物品保持体13Aであると、下から2段目〜4段目の保持状態用の収納部2aから収納すべき移載対象の保持状態用の収納部2aを選択して、その選択した移載対象の保持状態用の収納部2aに収納するように、物品搬送装置5の作動を制御するように構成されている。また、制御手段46は、非保持状態の物品保持体13Bであると、最下段の非保持状態用の収納部2bから収納すべき移載対象の非保持状態用の収納部2bを選択して、その選択した移載対象の保持状態用の収納部2bに収納するように、物品搬送装置5の作動を制御するように構成されている。
【0037】
図8のフローチャートに基づいて、物品保持体13を収納部2に収納させるときの動作について説明する。
前記制御手段46は、まず、物品保持体13が保持状態の物品保持体13Aであるか又は非保持状態の物品保持体13Bであるかを判別する(ステップ1)。
そして、物品保持体13が保持状態の物品保持体13Aである場合には、制御手段46が、保持状態用の収納部2aからその保持状態の物品保持体13Aを収納すべき移載対象の保持状態用の収納部2aを選択する保持状態用の選択処理を行う(ステップ2)。次に、制御手段46が、保持状態用の選択処理にて選択した移載対象の保持状態用の収納部2aに保持状態の物品保持体13Aを収納すべく、物品搬送装置5の作動を制御する保持状態用の収納処理を行う(ステップ3)。
また、物品保持体13が非保持状態の物品保持体13Bである場合には、制御手段46が、非保持状態用の収納部2bからその非保持状態の物品保持体13bを収納すべき移載対象の非保持状態用の収納部2bを選択する非保持状態用の選択処理を行う(ステップ4,5)。次に、制御手段46が、非保持状態用の選択処理にて選択した移載対象の非保持状態用の収納部2bに非保持状態の物品保持体13Bを収納すべく、物品搬送装置5の作動を制御する非保持状態用の収納処理を行う(ステップ6)。
【0038】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、複数の収納部2のうち、最下段から設定段までの収納部2を非保持状態用の収納部2bに設定し、且つ、設定段よりも上方の収納部2を保持状態用の収納部2aに設定しているが、保持状態用の収納部2a及び非保持状態用の収納部2bを設定せずに実施することもできる。
【0039】
(2)上記実施形態では、浄化空気通風手段6が、クリーンルーム通風手段14、収納部通風手段15、及び、排気用開口部29を備えて構成されているが、浄化空気通風手段6は、浄化空気を物品収納棚3の後部側から収納部2を通過させて移動空間4を上方側から下方側に流動させるダウンフロー式のものであればよく、どのような構成とするかは適宜変更が可能である。
【0040】
(3)上記実施形態では、物品保持体13として、板状の物品12を4枚保持可能とするものを例示しているが、板状の物品12を保持する枚数については適宜変更が可能である。また、物品保持体13は、上下方向に間隔を隔てて並べる状態で板状の物品12の複数を保持しているが、どのような状態で複数の物品12を保持するかは適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】物品収納設備の断面図
【図2】物品収納設備の平面図
【図3】図2のA−A断面図
【図4】物品収納設備の側面図
【図5】物品保持体の斜視図
【図6】引退状態における物品搬送装置の平面図
【図7】突出状態における物品搬送装置の平面図
【図8】制御手段の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0042】
2 収納部
2a 保持状態用の収納部
2b 非保持状態用の収納部
3 物品収納棚
4 移動空間
5 物品搬送装置
6 浄化空気通風手段
12 板状の物品
13 物品保持体
13A 保持状態の物品保持体
13B 非保持状態の物品保持体
15 収納部通風手段
40 物品移載手段
46 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部を縦横に並べて複数備えた物品収納棚と、
前記収納部との間で物品を移載自在な物品移載手段を備え、前記物品収納棚の前方の移動空間を移動して前記収納部に対する物品の出し入れを行う物品搬送装置と、
浄化空気を前記物品収納棚の後部側から前記収納部を通過させて前記移動空間を上方側から下方側に流動させるダウンフロー式の浄化空気通風手段と、
前記物品搬送装置の作動を制御する制御手段とが設けられている物品収納設備であって、
前記収納部が、物品として、物品を保持している保持状態の物品保持体、及び、物品を保持していない非保持状態の物品保持体を収納自在に構成され、
前記制御手段が、前記保持状態の物品保持体を前記非保持状態の物品保持体よりも上方側に収納させる形態で前記物品保持体を前記収納部に収納すべく、前記物品搬送装置の作動を制御するように構成されている物品収納設備。
【請求項2】
前記複数の収納部のうち、最下段から設定段までの収納部を前記非保持状態の物品保持体を収納する非保持状態用の収納部に設定し、且つ、設定段よりも上方の収納部を前記保持状態の物品保持体を収納する保持状態用の収納部に設定し、
前記制御手段が、前記保持状態の物品保持体を前記保持状態用の収納部に収納し且つ前記非保持状態の物品保持体を前記非保持状態用の収納部に収納させる形態で前記物品保持体を前記収納部に収納すべく、前記物品搬送装置の作動を制御するように構成されている請求項1に記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記浄化空気通風手段が、浄化空気を前記収納部の後部側から前記収納部を通過させる収納部通風手段を前記複数の収納部の夫々に装備させて構成されている請求項1又は2に記載の物品収納設備。
【請求項4】
前記保持状態の物品保持体が、上下方向に間隔を隔てて並べる状態で板状の物品の複数を保持するように構成され、
前記浄化空気通風手段が、前記収納部に収納された前記保持状態の物品保持体に対して上下方向における板状の物品の間隙に浄化空気を通過させる形態で浄化空気を前記物品収納棚の後部側から前記収納部を通過させるように構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品収納設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−7223(P2008−7223A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176716(P2006−176716)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】