説明

物品搬送用ポッド

【課題】物品を取り出す際のパーティクルの吸い込みを防止することができて、物品のセッティングや搬送効率を上げることのできる物品搬送用ポッドを、簡単な構成によって提供すること。
【解決手段】物品を収容する収容部11を備え、蓋12を開けて物品が出し入れされる物品搬送用ポッド10であって、蓋12を開けて物品を取り出す際に収容部11の内圧が低下するのを抑える内圧低下抑制手段20を設けたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルーム内の搬送環境内にて、ガラス板やシリコンウエハー等の物品を搬送し、種々な装置環境と搬送環境との間にあるゲート口から物品を受け渡す際に使用される物品搬送用ポッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、クリーンルームでは、空気を循環させながらフィルターでゴミやチリ(パーティクル)を除去してクリーン度を保つようになっており、クリーンルーム内に設置されて、シリコンウエハーやガラス板等の搬送や各種加工を行う装置も、それ自身の内部で空気を循環させながらフィルターで空気を清浄化していて、クリーンルーム内にゴミやチリを撒き散らさないようになっている。つまり、クリーンルームは、大掛かりな管理の下に、その内部クリーン度の維持や調整を行わなければならないものであり、もしこのクリーンルームの設定されたクリーン度が低下すると、製品に多大な悪影響を及ぼすことになる。
【0003】
また、クリーンルームといっても、物品の搬送環境や、物品に対する加工を行うため等の様々な装置(作業)環境が併設されており、各環境において求められているクリーン度は異なっているものである。例えば、物品としてシリコンウエハーを考えた場合、これを搬送する環境のクリーン度は、シリコンウエハーに蒸着等の加工を行う装置環境のクリーン度より低いことが多い。
【0004】
一方、シリコンウエハー等の物品を、搬送環境側から装置環境側に入れるには、枚葉搬入(一枚宛入れること)か複数枚搬入かを問わず、種々な装置環境と搬送環境との間にあるゲート口を通して受け渡しをしなければならない。一般的に、これら各ゲート口の外側はクリーン度の低い搬送環境であり、内側はクリーン度の高い装置(作業)環境であるが、クリーン度の比較的低い搬送環境内にあった物品搬送用ポッドあるいは収納されている物品に、装置環境のクリーン度を低下させてしまうようなパーティクルが存在あるいは付着している可能性がある。
【0005】
物品あるいはこれを収容したポッドにパーティクルが付着または存在していたとすると、種々な装置環境と搬送環境との間にあるゲート口の扉を開けたとき、このゲート口扉の動きによってポッド内の圧力が下がり、このポッド内や物品の周囲に空気の流れを発生させる。この空気の流れは、物品あるいはこれを収容したトレーに付着または存在していたパーティクルを、高いクリーンが要求されている装置環境内に送り込んでしまうことになって、装置環境内のクリーン度を低下させてしまう。
【0006】
このような、装置環境への物品の移動に伴う「クリーン度の低下」といった問題を解決するための様々な技術が、例えば、特許文献1や特許文献2等にて提案されている。
【特許文献1】特開平10−181882号公報、要約
【特許文献2】特開平10−321696号公報、要約
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、「クリーンルーム内のプロセス装置へ無人搬送車1が横付された場合のクリーンルームのダウンフローが阻害されることとプロセス装置と外部との圧力差による乱流によりI収容部11のウエハー等にパーティクルが付着したり、プロセス装置へパーティクルが侵入することを防ぐ」ことを目的とした「クリーンルーム用無人搬送車」が提案されている。
【0008】
この特許文献1の「クリーンルーム用無人搬送車」は、図7に示すように、「無人搬送車1の上面に吸込グリル5を設け、吸込用ファン6で吸入してフィルタ7を通して下面の排気孔8から床面に排気する」ようにしたものであり、これにより、「乱流の発生を防ぐので、無人搬送車1上のウエハー等へのパーティクルの付着や、プロセス装置へのパーティクルの侵入を防ぐことができる」ものであると考えられる。
【0009】
しかしながら、この特許文献1の「クリーンルーム用無人搬送車」は、シリコンウエハー等の物品を、種々な装置環境と搬送環境との間にあるゲート口から受け渡すことができないだけでなく、それ自体大掛かりな構成を有していて、パレットに入れた物品を効率よく搬送するということができないと考えられる。
【0010】
一方、特許文献2には、「メカニカルシールを不要とした構造の簡単な側面開口式クリーンボックスを用いて、被搬送物をクリーン気体による封止状態で移送可能とすること」を目的としてなされた「クリーンボックス、クリーン搬送方法及び装置」が示されている。
【0011】
この特許文献2にて提案されている「クリーンボックス、クリーン搬送方法及び装置」は、図8に示すように、「側面開口32を囲む吸着用環状溝33を形成し、それに連通した吸排気口34を有するボックス本体31と、吸着用環状溝33による吸着用空間搬送環境51内外の圧力差により吸着されて開口32を閉成する横蓋35と、吸排気口34を内外圧力差により閉成する付加蓋36とを備えるクリーンボックス30」であり、このクリーンボックス30を用いることにより、「クリーンルーム40のゲート口42にクリーンボックス30を連結し、真空チェンジャー50で付加蓋36を含むボックス本体外側の密閉空間を真空排気して付加蓋36の内外圧力差を無くして吸排気口34を開いて吸着用空間搬送環境51を大気圧とし、横蓋35をクリーンルーム40内に引き込んでクリーンボックスとクリーンルーム内部とを連通させて被搬送物を移送する」ことができるものと考えられる。
【0012】
しかしながら、この特許文献2の「クリーンボックス30」では、「真空チェンジャー50で付加蓋36を含むボックス本体外側の密閉空間を真空排気して付加蓋36の内外圧力差を無くして吸排気口34を開いて吸着用空間搬送環境51を大気圧とし」なければならないものであり、構成が非常に複雑であり、搬送効率(単位時間当たりの搬送数を多くすること)が非常に悪いのではないかと考えられる。
【0013】
そこで、本発明者等は、物品搬送用ポッドについて、物品を取り出す際のパーティクルの吸い込みを防止することができて、物品のセッティングや搬送効率を上げられるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0014】
すなわち、本発明の目的とするところは、物品を取り出す際のパーティクルの吸い込みを防止することができて、物品のセッティングや搬送効率を上げることのできる物品搬送用ポッドを、簡単な構成によって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「物品30を収容する収容部11を備え、蓋12を開けて物品30が出し入れされる物品搬送用ポッド10であって、
蓋12を開けて物品30を取り出す際に収容部11の内圧が低下するのを抑える内圧低下抑制手段20を設けた、物品搬送用ポッド10」
である。
【0016】
すなわち、この請求項1に係る物品搬送用ポッド10は、図1及び図2に示すようなクリーンルーム50において、例えばガラス板やシリコンウエハー等の物品30を、枚葉搬入(一枚宛入れること)か複数枚搬入かを問わず、搬送環境51側から装置環境52内の種々な加工装置53側に受け渡すために使用されるものである。また、この物品搬送用ポッド10は、図2の左側に示すように、その複数を積み重ねて、各装置環境52毎に配分されることもあり、この配分や各物品搬送用ポッド10からの物品30の枚葉毎の取り出しは、その箇所に適した取出アーム54によって行われるものである。
【0017】
ここで、クリーンルーム50について見てみると、図2に示すように、装置環境52は搬送環境51に対して明確に区画されており、例えば図5及び図6に示すように、搬送環境51と装置環境52との境界部分に形成してあるゲート口52aから、物品30を受け渡さすようになっている。この物品30の受け渡しは、枚葉搬入によってなされることもあるし、図5等に図示したように、複数枚纏めて搬入されることもあるものである。
【0018】
さて、この請求項1に係る物品搬送用ポッド10は、第1実施例を例示する図3〜図4、第2実施例を例示する図5及び図6、及び第3実施例を例示する図7に示すように、物品30あるいはこの物品30を入れたトレー31の複数を積み重ねて収容する収容部11を備えている。この収容部11は、図3に示した第1実施例では枠体11aによって構成され、図5〜図7に示した第2及び第3実施例では箱体11bによって構成される。そして、この収容部11の図示下方は、物品30またはこれを入れたトレー31が載置される蓋12によって覆蓋されている。
【0019】
蓋12は、例えば図5及び図6に示すように、昇降テーブル55によって外されて、装置環境52のゲート口52aから装置環境52内に移動されるものであり、この蓋12の移動に伴ってその上にある物品30の装置環境52側への受け渡しがなされるのである。この蓋12は収容部11内を閉止しているものであるから、この蓋12を開けて物品30を取り出す際には、収容部11内の内圧を低下させることになる。
【0020】
ところが、この請求項1に係る物品搬送用ポッド10では、蓋12を開けて物品30を取り出す際に収容部11の内圧が低下するのを抑える内圧低下抑制手段20を設けているから、蓋12を開けて物品30を取り出す際に、以下に詳述するように、収容部11内の内圧が低下することはない。
【0021】
この内圧低下抑制手段20としては、図4に示す実施例にあっては、枠体11aとこれを覆うシート体14が、また図5及び図6に示す実施例にあっては、図中の仮想線に示した「ゴム風船状のもの」が該当するものである。
【0022】
以上のようにした内圧低下抑制手段20は、蓋12を開けて物品30を取り出す際に収容部11の内圧が低下するのを、それぞれ次のようにして抑える。図4に示す実施例にあっては、収容部11の内圧が低下しようとする際に、枠体11aを覆っているシート体14が自由に撓んで収容部11内に入り込むから、このシート体14の外側になっている搬送環境51の内圧と、シート体14の内側になっている装置環境52の内圧との間に差がないように維持する。従って、蓋12を開けて物品30を取り出す際に空気の流れは発生せず、装置環境52側のクリーン度を低下させるパーティクルが物品搬送用ポッド10内に存在していたとしても、これが装置環境52側に入り込むことはないのである。
【0023】
また、図5及び図6に示す実施例にあっては、収容部11の内圧が低下しようとする際に、「ゴム風船状のもの」が、図5から図6の状態に縮んで中に有していた空気を収容部11内に送り込むから、搬送環境51及び装置環境52の内圧との間に差がないように維持する。従って、蓋12を開けて物品30を取り出す際に空気の流れは発生せず、装置環境52側のクリーン度を低下させるパーティクルが物品搬送用ポッド10内に存在していたとしても、これが装置環境52側に入り込むことはないのである。
【0024】
そして、この物品搬送用ポッド10においては、その内圧低下抑制手段20によって収容部11の内圧が低下するのが抑えられるから、搬送環境51における物品30の物品搬送用ポッド10に対するセッティングや、このセッティングを一つの物品搬送用ポッド10に対して多数の物品30を対象とすることを、蓋12を開けて物品30を取り出す際のパーティクルの吸い込みを考慮することなく行うことができるから、物品30の搬送効率を上げることができるのである。
【0025】
従って、この請求項1に係る物品搬送用ポッド10によれば、その内圧低下抑制手段20によって、蓋12を開けて物品30を取り出す際に収容部11の内圧が低下するのが抑えられるのであり、物品30を取り出す際のパーティクルの吸い込みを防止することができて、物品30のセッティングや搬送効率を上げることができるのである。
【0026】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の物品搬送用ポッド10について、
「内圧低下抑制手段20は、収容部11と連通する伸縮自在な空気室21であること」
である。
【0027】
すなわち、この請求項2に係る物品搬送用ポッド10では、その内圧低下抑制手段20を、収容部11と連通する伸縮自在な空気室21を採用したものであり、この内圧低下抑制手段20としては、図4に示す実施例にあっては、枠体11aとこれを覆うシート体14が、また図5及び図6に示す実施例にあっては、図中の仮想線に示した「ゴム風船状のもの」が該当するものである。
【0028】
図4に示す実施例にあっては、前述したように、収容部11の内圧が低下しようとする際に、枠体11aを覆っているシート体14が自由に撓んで収容部11内に入り込むから、このシート体14の外側になっている搬送環境51の内圧と、シート体14の内側になっている装置環境52の内圧との間に差がないように維持する。
【0029】
また、図5及び図6に示す実施例にあっては、前述したように、収容部11の内圧が低下しようとする際に、「ゴム風船状のもの」が、図5から図6の状態に縮んで中に有していた空気を収容部11内に送り込むから、搬送環境51及び装置環境52の内圧との間に差がないように維持する。
【0030】
そして、この物品搬送用ポッド10においては、収容部11と連通する伸縮自在な空気室21が収容部11内の圧力変化に応じて自動的に伸縮するから、内圧低下抑制手段20としてエアーの供給手段などを用いることなく、収容部11の内圧低下が抑えられるのである。
【0031】
従って、この請求項2に係る物品搬送用ポッド10によれば、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、内圧低下抑制手段20としてエアーの供給手段などを用いることなく、簡単な構成によって収容部11の内圧低下が抑えられるものとなっているのである。
【0032】
さらに、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項2に記載の物品搬送用ポッド10について、
「空気室21は、収容部11を構成する枠体11aに弛んだ状態で部分的に取り付けられたシート体14によって構成されること」
である。
【0033】
すなわち、この請求項3の物品搬送用ポッド10は、図4に示すように、まず、収容部11を構成する枠体11aにシート体14を弛んだ状態で部分的に取り付けて、この枠体11a内に伸縮自在で収容部11と連通する空気室21を構成し、この空気室21を内圧低下抑制手段20としたものである。
【0034】
なお、この場合、枠体11aとしてはあくまでも収容部11を構成することになる「枠」であるから、シート体14がなければ、その開口を通して搬送環境51と収容部11とを連通させるものであり、この開口はシート体14によって覆われるのであれば一部に存在していてもよいものである。逆に、この枠体11aによって形成される開口が部分的であれば、シート体14としてはこの部分的な開口を覆う程度の大きさのものであればよい。
【0035】
従って、この請求項3に係る物品搬送用ポッド10は、上記請求項2のそれと同様な機能を発揮する他その空気室21を、枠体11aとシート体14とによって非常に簡単に構成し得るものとなっているのである。
【発明の効果】
【0036】
以上、説明した通り、本発明においては、
「物品30を収容する収容部11を備え、蓋12を開けて物品30が出し入れされる物品搬送用ポッド10であって、
蓋12を開けて物品30を取り出す際に収容部11の内圧が低下するのを抑える内圧低下抑制手段20を設けたこと」
に、その構成上の主たる特徴があり、これにより、その内圧低下抑制手段20によって、蓋12を開けて物品30を取り出す際に収容部11の内圧が低下するのが抑えられるのであり、物品30を取り出す際のパーティクルの吸い込みを防止することができて、物品30のセッティングや搬送効率を上げることができる物品搬送用ポッド10を、簡単な構成によって提供することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を図面に示した最良の形態である物品搬送用ポッド10について説明するが、この物品搬送用ポッド10は、図1及び図2に示したクリーンルーム50において、ガラス板やシリコンウエハー等の物品30を、枚葉搬入(一枚宛入れること)か複数枚搬入かを問わず、搬送環境51側から装置環境52内の種々な加工装置53側に受け渡すために使用するものである。また、この物品搬送用ポッド10は、図2の左側に示すように、その複数を積み重ねて、各装置環境52毎に配分されることもあり、この配分や各物品搬送用ポッド10からの物品30の枚葉毎の取り出しは、その箇所に適した取出アーム54によってなされる。
【0038】
さらに、本発明に係る物品搬送用ポッド10としては、図3及び図4にその第1実施例が、図5及び図6にその第2実施例が、それぞれ示してある。そして、この物品搬送用ポッド10は、第1実施例を例示する図3〜図4、第2実施例を例示する図5及び図6に示すように、物品30あるいはこの物品30を入れたトレー31の複数を積み重ねて収容する収容部11を備えている。
【0039】
そして、この収容部11は、図3に示した第1実施例では枠体11aによって構成され、図5〜図7に示した第2実施例では箱体11bによって構成される。そして、この収容部11の図示下方は、物品30またはこれを入れたトレー31が載置される蓋12によって覆蓋されている。
【0040】
蓋12は、例えば図5及び図6に示すように、昇降テーブル55によって外されて、装置環境52のゲート口52aから装置環境52内に移動されるものであり、この蓋12の移動に伴ってその上にある物品30の装置環境52側への受け渡しがなされるのである。この蓋12は収容部11内を閉止しているから、この蓋12を開けることにより、物品30の取り出しあるいは受け渡しがなされる。
【0041】
(第1実施例)
図3及び図4に示した第1実施例に係る物品搬送用ポッド10は、特に図4に示したように、蓋12の上に例えばアングル材によって形成した枠体11aを組み付け、この枠体11aに可撓性を有するシート体14を溶着等の手段によって取り付けたものである。当然のことながら、この枠体11aは、各アングル材の間に、収容部11となる所定の空間を有しており、各アングル材間は、当該収容部11内と外部の搬送環境51とを連通させる開口となっている。
【0042】
この枠体11aが有している開口は、可撓性を有したシート体14によって覆われているから、このシート体14の内外に圧力の変化があってシート体14が圧力の低い方へ撓めば、このシート体14の撓みを許容するものとなる。つまり、このシート体14によって覆われた空間が、収容部11と連通する伸縮自在な空気室21となっているのである。
【0043】
なお、この第1実施例に係る物品搬送用ポッド10では、その枠体11aに種々な取手13が取り付けてあり、当該物品搬送用ポッド10全体の手による運搬や、図1等に示した取出アーム54による搬送が行い易くしてある。また、シート体14については、透明な合成樹脂シートを採用することにより、物品搬送用ポッド10内の視認を容易に行えるようにするとともに、このシート体14の枠体11aに対する溶着を行い易くしてある。
【0044】
(第2実施例)
図5及び図6に示した第2実施例に係る物品搬送用ポッド10では、収容部11はこれを包み込む形状の箱体11bによって構成されるものであり、この箱体11bの一部には、図5及び図6中の仮想線に示したゴム風船体が取り付けてある。なお、本実施例では、箱体11bを硬質で透明な合成樹脂によって形成することにより、収容部11の形状維持を図るとともに、内部の視認を容易に行えるようにしてある。
【0045】
この箱体11bに取り付けたゴム風船体の内部は、その取付部にて収容部11内に連通したものとしてあり、蓋12が装置環境52側に移動されたときには、このゴム風船体が図6に示したように縮んで収容部11内に空気を送り込む。これによって、収容部11内の圧力低下が抑制されるのである。つまり、このゴム風船体内が収容部11と連通する伸縮自在な空気室21となっているのである。
【0046】
(その他の実施例)
図5及び図6に示したゴム風船体に代えて、次のように実施してもよい。つまり、剛性体である箱体11bの一部に開口を形成しておき、この開口をシート体14によって覆うようにしてもよいのである。これにより、収容部11内の圧力が低下しようとするとき、シート体14が開口から収容部11内に撓み込み、収容部11内の圧力低下が抑制されることになるからである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る物品搬送用ポッドが使用されるクリーンルームの部分平面図である。
【図2】同クリーンルームの部分縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る物品搬送用ポッドを示すもので、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は当該物品搬送用ポッドの収容部内に入れられるべき物品の多数を積み上げた状態の正面図である。
【図4】同物品搬送用ポッドの部分破断拡大正面図である。
【図5】第2実施例に係る物品搬送用ポッドを示すもので、収容部内に多数の物品を入れた状態の縦断面図である。
【図6】同物品搬送用ポッドを示すもので、多数の物品を蓋とともに装置環境側に移動させたときの縦断面図である。
【図7】従来の技術を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図8】従来の他の技術を示す部分拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 物品搬送用ポッド
11 収容部
11a 枠体
11b 箱体
12 蓋
13 取手
14 シート体
20 内圧低下抑制手段
21 空気室
22 隙間
30 物品
31 トレー
40 チューブ
41 連通口
42 ゲート
50 クリーンルーム
51 搬送環境
52 装置環境
52a ゲート口
53 加工装置
54 取出アーム
55 昇降テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容する収容部を備え、蓋を開けて前記物品が出し入れされる物品搬送用ポッドであって、
前記蓋を開けて物品を取り出す際に前記収容部の内圧が低下するのを抑える内圧低下抑制手段を設けた、物品搬送用ポッド。
【請求項2】
前記内圧低下抑制手段は、前記収容部と連通する伸縮自在な空気室であることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送用ポッド。
【請求項3】
前記空気室は、前記収容部を構成する枠体に弛んだ状態で部分的に取り付けられたシート体によって構成されることを特徴とする請求項2に記載の物品搬送用ポッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−335525(P2007−335525A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163654(P2006−163654)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】