説明

物品搬送装置

【課題】 複数台の物品搬送台車にて効率よく物品の搬送を行うこと。
【解決手段】 制御手段は、複数の物品移載箇所1のうちから移載対象の物品移載箇所1aを指示する搬送要求情報に基づいて、複数台の物品搬送台車3のうちから搬送処理用の物品搬送台車を選択して、その選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所1aに走行させるように構成され、現在搬送処理中の物品搬送台車3aが存在する状態で搬送要求情報が発生したときには、その搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車3bの走行範囲Sが、現在搬送処理中の物品搬送台車3aに対応する移載対象の物品移載箇所1Aを起点として、軌道の長手方向に沿う設定長さの干渉範囲Kに対して、干渉しないことを条件として、その選択した搬送処理用の物品搬送台車3bを移載対象の物品移載箇所1aに走行させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品移載箇所を経由するように設置される有端形式の軌道上を走行する複数台の物品搬送台車と、それら複数台の物品搬送台車の走行を管理する制御手段とが設けられ、
前記制御手段は、前記複数の物品移載箇所のうちから移載対象の物品移載箇所を指示する搬送要求情報に基づいて、前記複数台の物品搬送台車のうちから搬送処理用の物品搬送台車を選択して、その選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させるように構成されている物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品搬送装置は、自動倉庫などに適応されるものであり、制御手段が、順次発生する搬送要求情報に基づいて搬送処理用の物品搬送台車を選択し、その選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させて、搬送要求情報が発生するごとに複数台の物品搬送台車のいずれかにて搬送処理を繰り返し行うことにより、複数の物品移載箇所の間での物品の搬送を行うようにしている。
【0003】
そして、このような物品搬送装置では、物品搬送台車どうしの衝突を回避しながら、複数台の物品搬送台車にて搬送処理を行うことが求められる。
そこで、従来、軌道の両端側に、二台の物品搬送台車のうち一台のみが侵入可能な複数の物品移載箇所を含む走行可能範囲を予め設定し、軌道の中央部に、二台の物品搬送台車ともが侵入可能であるが二台が同時に侵入することを禁止する共有範囲も予め設定し、制御手段が、現在搬送処理中の物品搬送台車が存在するか否かにかかわらず、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲が、他の走行可能範囲に対して、干渉しないことを条件として、選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させるようにしているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
説明を加えると、制御手段は、移載対象の物品移載箇所がどちらの走行可能範囲に存在するかなどにより、二台の物品搬送台車のうち、一台を搬送処理用の物品搬送台車として選択し、その選択した物品搬送台車の走行範囲が、残りの一台の走行可能範囲に対して、干渉しないことを条件として、選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させるように構成されている。
ちなみに、制御手段は、共有範囲に搬送処理用の物品搬送台車を走行させる場合には、既に共有範囲に存在する物品搬送台車を共有範囲外に移動させる、あるいは、共有範囲に存在する物品搬送台車が共有範囲外に移動するまで共有範囲外にて搬送処理用の物品搬送台車を待機させるなどして、二台の物品搬送台車が同時に共有範囲に侵入することを禁止するようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−175117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の物品搬送装置では、制御手段が、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させるに当り、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲が、他の走行可能範囲に対して、干渉しないことを条件としているので、その干渉範囲が大きく、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲が小さくなって、複数台の物品搬送台車にて効率よく物品の搬送を行うことができない虞がある。
【0007】
説明を加えると、予め設定されている走行可能範囲は、複数の物品移載箇所を含むものであるので、走行可能範囲には、搬送処理中の物品搬送台車が走行しない範囲も含まれることになる。
したがって、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲が、他の走行可能範囲に対して、干渉しないことを条件とすると、現在搬送処理中の物品搬送台車が走行しない範囲に対しても、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車が走行できないことになり、搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲が小さな範囲となる。
そして、例えば、現在搬送処理中の物品搬送台車が存在する状態で搬送要求情報が発生したときに、残りの一台が小さな走行範囲でしか走行することができないので、残りの一台にて搬送処理を行うことができないことになり、複数台の物品搬送台車にて効率よく物品の搬送を行うことができないことになる。
【0008】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、複数台の物品搬送台車にて効率よく物品の搬送を行うことができる物品搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品搬送装置の第1特徴構成は、複数の物品移載箇所を経由するように設置される有端形式の軌道上を走行する複数台の物品搬送台車と、それら複数台の物品搬送台車の走行を管理する制御手段とが設けられ、
前記制御手段は、前記複数の物品移載箇所のうちから移載対象の物品移載箇所を指示する搬送要求情報に基づいて、前記複数台の物品搬送台車のうちから搬送処理用の物品搬送台車を選択して、その選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させるように構成されている物品搬送装置において、
前記制御手段が、現在搬送処理中の物品搬送台車が存在する状態で前記搬送要求情報が発生したときには、その搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲が、現在搬送処理中の物品搬送台車に対応する移載対象の物品移載箇所を起点として、前記軌道の長手方向に沿う設定長さの干渉範囲に対して、干渉しないことを条件として、その選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させるように構成されている点にある。
【0010】
すなわち、制御手段が、現在搬送処理中の物品搬送台車が存在する状態で搬送要求情報が発生したときには、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲を干渉範囲に対して干渉しない範囲として、その選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させることができることになる。
そして、干渉範囲については、現在搬送処理中の物品搬送台車に対応する移載対象の物品移載箇所を起点として、軌道の長手方向に沿う設定長さに設定することにより、現在搬送処理中の物品搬送台車が走行する範囲を基準とする小さな範囲を干渉範囲として設定することができることになる。
【0011】
したがって、制御手段が、選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させるに当り、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲を極力大きな範囲とすることができるので、搬送処理用の物品搬送台車を大きな範囲で走行させて搬送処理を行うことができることとなって、複数台の物品搬送台車にて効率よく物品の搬送を行うことができる物品搬送装置を提供できるに至った。
【0012】
本発明にかかる物品搬送装置の第2特徴構成は、前記物品搬送台車が二台であり、前記制御手段が、現在搬送処理中の物品搬送台車が存在しない状態で前記搬送要求情報が発生したときには、二台の前記物品搬送台車のうちで、移載対象の物品移載箇所に近くに位置する物品搬送台車を搬送処理用の物品搬送台車として選択し、現在搬送処理中の物品搬送台車が存在する状態で前記搬送要求情報が発生したときには、残りの一台の物品搬送台車を搬送処理用の物品搬送台車として選択するように構成されている点にある。
【0013】
すなわち、制御手段が、現在搬送処理中の物品搬送台車が存在しない状態で搬送要求情報が発生したときには、二台の前記物品搬送台車のうちで、移載対象の物品移載箇所に近くに位置する物品搬送台車を搬送処理用の物品搬送台車として選択することにより、移載対象の物品移載箇所に対して短時間で走行できる物品搬送台車を搬送処理用の物品搬送台車として選択することができることになる。
また、制御手段が、現在搬送処理中の物品搬送台車が存在する状態で搬送要求情報が発生したときには、残りの一台の物品搬送台車を搬送処理用の物品搬送台車として選択することにより、すぐに搬送処理を行うことが可能な物品搬送台車を搬送処理用の物品搬送台車として選択することができることになる。
【0014】
したがって、制御手段が、効率よく搬送処理を行うことが可能な物品搬送台車を搬送処理用の物品搬送台車として選択することができ、それだけ効率よい物品の搬送を行うことができることになる。
【0015】
本発明にかかる物品搬送装置の第3特徴構成は、前記制御手段が、前記搬送要求情報に基づく搬送処理としての、物品を掬い取るための移載対象の物品移載箇所に選択した搬送処理用の物品搬送台車を走行させる掬い用の搬送処理と、その掬い用の搬送処理を行った後の物品搬送台車を物品を卸すための移載対象の物品移載箇所に走行させる卸し用の搬送処理とを、別の搬送処理として、前記物品搬送台車の走行を管理するように構成されている点にある。
【0016】
すなわち、制御手段が、まず、掬い用の搬送処理を行い、次に、卸し用の搬送処理を行い二つの搬送処理を行うことにより、物品を掬い取るための移載対象の物品移載箇所から物品を掬い取ったのち、物品を卸すための移載対象の物品移載箇所に物品を卸して、複数の物品移載箇所の間での物品の搬送を行うことができることになる。
そして、制御手段は、干渉範囲を設定するに当り、現在行っている搬送処理が掬い用の搬送処理であれば、物品を掬い取るための移載対象の物品移載箇所を起点として、干渉範囲を設定し、現在行っている搬送処理が卸し用の搬送処理であれば、物品を卸すための移載対象の物品移載箇所を起点として、干渉範囲を設定することができることになり、干渉範囲を極力小さな範囲とすることができることになる。
【0017】
説明を加えると、例えば、制御手段が、掬い用の搬送処理と卸し用の搬送処理とを一連の一つの搬送処理として行うものでは、物品を掬い取るための移載対象の物品移載箇所と物品を卸すための移載対象の物品移載箇所との二つの移載対象の物品移載箇所を起点として、干渉範囲を設定することになり、その干渉範囲が大きな範囲となる。
それに対して、制御手段が、掬い用の搬送処理と卸し用の搬送処理とを別の搬送処理として行うものでは、物品を掬い取るための移載対象の物品移載箇所と物品を卸すための移載対象の物品移載箇所とのいずれか一方の移載対象の物品移載箇所を起点として、干渉範囲を設定することができるので、その干渉範囲を小さな範囲とすることができることになる。
【0018】
したがって、干渉範囲を極力小さな範囲とすることができるので、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲をより大きな範囲とすることができることとなって、複数台の物品搬送台車にてより一層効率よく物品の搬送を行うことができることになる。
【0019】
本発明にかかる物品搬送装置の第4特徴構成は、前記制御手段が、現在搬送処理中の物品搬送台車と前記搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車との走行方向が同じである場合には、前記搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲が前記干渉範囲に対して干渉することを許容して、選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させ、かつ、その搬送処理用の物品搬送台車を、現在搬送処理中の物品搬送台車との衝突を回避させるべく走行させるように構成されている点にある。
【0020】
すなわち、現在搬送処理中の物品搬送台車と搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車との走行方向が同じである場合には、例えば、現在搬送処理中の物品搬送台車が搬送処理を終えることにより干渉しない可能性があったり、現在搬送処理中の物品搬送台車との衝突を回避するように搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車を停止させるなどの処理を行うことにより、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車を干渉範囲に対して干渉することを許容しても、物品搬送台車どうしの衝突を回避することができることになる。
【0021】
したがって、このような場合には、制御手段が、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲が干渉範囲に対して干渉することを許容して、選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させ、かつ、その搬送処理用の物品搬送台車を、現在搬送処理中の物品搬送台車との衝突を回避させるべく走行させることにより、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲をより大きな範囲としながら、物品搬送台車どうしの衝突を回避できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明にかかる物品搬送装置の実施形態について、図面に基づいて説明を加える。
この物品搬送装置は、物品収納棚を設けた自動倉庫などに適応され、図1に示すように、物品移載箇所としてのステーション1の複数にわたる軌道2上を走行する物品搬送台車としての荷捌き台車3を複数台設け、それら複数台の荷捌き台車3が、軌道2上を往復走行して、複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0023】
前記軌道2は、両端部が定められた有端式の直線状に構成され、この軌道2の左右両側に軌道2の長手方向に間隔を隔てて複数のステーション1が配設されている。
そして、複数のステーション1としては、物品収納棚から出庫する物品を搬送する出庫コンベヤを設けた出庫用のステーション1、物品収納棚へ入庫する物品を搬送する入庫コンベヤを設けた入庫用のステーション1、外部から搬入する物品を搬送する搬入コンベヤを設けた搬入用のステーション1、および、外部へ搬出する物品を搬送する搬出コンベヤを設けた搬出用のステーション1などを組み合わせて構成されている。
【0024】
前記荷捌き台車3は、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの二台設けられており、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの夫々には、自己とステーション1との間で物品Bを移載するローラコンベヤなどの電動式の移載装置4、軌道2に沿って配設された走行レールを走行する複数の走行車輪5などが設けられている。
前記走行車輪5は、インバータ式の走行モータ6にて回転駆動する駆動用の走行車輪5と、従動回転自在な従動用の走行車輪5とから構成されている。
【0025】
また、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの夫々には、図2に示すように、走行モータ6を作動させて荷捌き台車3を走行駆動させる走行用インバータ7、相手の荷捌き台車3との車間距離を検出する車間距離センサ8、相手の荷捌き台車3との間で情報を通信するための台車間光伝送装置9、車間距離センサ8や光伝送装置9などの作動を制御するスレーブコントローラ10、移載装置4を作動させる移載用インバータ11、移載装置4における物品Bの状態などを検出するセンサ類12、そのセンサ類12の検出情報を出力するための入出力装置13などが設けられている。
【0026】
そして、床面などの地上側には、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの運転を管理する制御手段としての地上側コントローラ14が一つ設けられ、その地上側コントローラ14が、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bにおける走行用インバータ7や移載用インバータ11などの作動を制御するように構成されている。
また、軌道2の両端部の夫々には、その端部から荷捌き台車3までの距離を検出することにより、軌道2上における荷捌き台車3の位置を検出する位置検出センサ15が設けられている。
【0027】
地上側に設けられた地上側コントローラ14、荷捌き台車3側に設けられた走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13の夫々には、図示はしないが、通信コントローラが備えられており、地上側コントローラ14と第1荷捌き台車3aとの間で情報の授受を行うための第1光伝送装置16と、地上側コントローラ14と第2荷捌き台車3bとの間で情報の授受を行うための第2光伝送装置17とが設けられている。
そして、地上側コントローラ14側に備えられた通信コントローラ、荷捌き台車3側に備えられた通信コントローラ、第1光伝送装置16、第2光伝送装置17により、通信ネットワークいわゆるデバイスネットが構成されており、地上側コントローラ14がマスタに構成され、走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13がスレーブに構成されている。
【0028】
また、軌道2の両端部に配設された位置検出センサ15の検出情報は、地上側コントローラ14に入力されるように構成されており、地上側コントローラ14は、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、軌道2上における第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの位置を管理するように構成されている。
【0029】
このようにして、地上側コントローラ14は、軌道2上における第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの位置を管理しながら、通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bとに各種指令情報を与えることにより、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの運転を管理するように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、複数のステーション1のうちから移載対象のステーション1aを指示する搬送要求情報に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとのいずれかにて移載対象のステーション1aとの間で物品Bの移載を行うべく、二台の荷捌き台車3の運転を管理するように構成されている。
【0030】
前記地上側コントローラ14にて二台の荷捌き台車3を運転させる構成について説明を加えると、地上側コントローラ14は、搬送要求情報に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理用の荷捌き台車3を選択する選択処理を行い、その選択処理にて選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1aに走行させたのち、移載対象のステーション1aとの間で物品Bの移載を行う搬送処理を行うように構成されている。
【0031】
ちなみに、搬送要求情報については、キーボードなどの人為操作式の入力装置や上位コンピュータなどにより、地上側コントローラ14に対して搬送要求情報を入力可能であり、例えば、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1aと物品Bを卸すための移載対象のステーション1aとを指示する搬送要求情報としている。
【0032】
そして、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在しない状態で搬送要求情報が発生したときには、選択処理にて搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3の走行範囲を制限することなく、その選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1aに走行させるように構成されている。
また、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在する状態で搬送要求情報が発生したときには、選択処理にて搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3の走行範囲が、現在搬送処理中の荷捌き台車3に対応する移載対象のステーション1Aを起点として、軌道2の長手方向に沿う設定長さの干渉範囲に対して、干渉しないことを条件として、その選択処理にて選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1aに走行させるように構成されている。
【0033】
そして、地上側コントローラ14は、搬送要求情報に基づく搬送処理としての、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1aに選択した荷捌き台車3を走行させる掬い用の搬送処理と、その掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を物品Bを卸すための移載対象のステーション1aに走行させる卸し用の搬送処理とを、別の搬送処理として、荷捌き台車3の運転を管理するように構成されている。
説明を加えると、地上側コントローラ14は、まず、掬い用の選択処理、掬い用の搬送処理を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1aに走行させて物品Bを掬い取り、その掬い用の搬送処理を行った後、卸し用の選択処理、卸し用の搬送処理を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1aに走行させて物品Bを卸すように構成されている。
【0034】
前記地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3と搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3との走行方向が同じである場合には、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲に対して干渉することを許容して、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1aに走行させ、かつ、その搬送処理用の荷捌き台車3を、現在搬送処理中の荷捌き台車3との衝突を回避させるべく走行させるように構成されている。
【0035】
説明を加えると、現在搬送処理中の荷捌き台車3と搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3との走行方向が同じである場合には、例えば、現在搬送処理中の荷捌き台車3が搬送処理を終えることにより干渉しない可能性があったり、現在搬送処理中の荷捌き台車3との衝突を回避するように搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3を停止させるなどの処理を行うことにより、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3を干渉範囲に対して干渉することを許容しても、物品搬送台車どうしの衝突を回避することができることになる。
したがって、地上側コントローラ14は、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3を干渉範囲Kに対して干渉することを許容して、その荷捌き台車3の走行範囲を極力大きな範囲とするように構成されている。
【0036】
前記選択処理について説明を加えると、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行うときには、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが現在搬送処理中であるか否か、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが軌道2上のどこに位置するか、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3の走行範囲が、干渉範囲に対して、干渉しないか否かなどの各種条件に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理用の荷捌き台車3を選択する掬い用の選択処理を行うように構成されている。
また、地上側コントローラ14は、卸し用の搬送処理を行うときにも、掬い用の搬送処理を行うときと同様に、各種条件に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理用の荷捌き台車3を選択する掬い用の選択処理を行うように構成されている。
【0037】
以下、掬い用の選択処理について説明する。
前記地上側コントローラ14は、搬送要求情報が発生すると、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうちから、掬い用の搬送処理を行うための搬送処理用の荷捌き台車3を選択するように構成されている。
【0038】
そして、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在しない状態で搬送要求情報が発生したときには、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bのうちで、移載対象のステーション1aに近くに位置する荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
また、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在する状態で搬送要求情報が発生したときには、その搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲Kに対して干渉しないことを条件として、残りの一台の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0039】
現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在する状態で搬送要求情報が発生した場合について図3に基づいて説明を加える。
ちなみに、図3においては、第1荷捌き台車3aを現在搬送処理中とし、その現在搬送処理中の第1荷捌き台車3aに対応する移載対象のステーションを1Aとし、第2荷捌き台車3bを搬送処理中ではない残りの一台とし、発生した搬送要求情報に対応する移載対象のステーションを1aとしている。
【0040】
前記地上側コントローラ14は、図3に示すように、現在搬送処理中の荷捌き台車3に対応する移載対象のステーション1Aを起点として、その移載対象のステーション1Aと荷捌き台車3どうしの衝突を回避可能な最小台車間距離とを合せた範囲を干渉範囲Kとして設定するように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、現在行っている搬送処理が掬い用の搬送処理であれば、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1Aを起点として、干渉範囲Kを設定し、現在行っている搬送処理が卸し用の搬送処理であれば、物品Bを卸すための移載対象のステーション1Aを起点として、干渉範囲Kを設定するように構成されている。
【0041】
このようにして、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理と卸し用の搬送処理とを別の搬送処理として行い、干渉範囲Kを掬い用の搬送処理と卸し用の搬送処理とで別々に設定することにより、干渉範囲Kを極力小さな範囲として設定し、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3の走行範囲を極力大きな範囲とするように構成されている。
【0042】
そして、地上側コントローラ14は、図3の(イ)に示すように、残りの一台の第2荷捌き台車3bを移載対象のステーション1aまで走行させるとその走行範囲Sと現在搬送処理中の第1荷捌き台車3aの干渉範囲Kとが干渉する場合には、残りの一台の第2荷捌き台車3bの走行範囲Sが干渉範囲Kに対して干渉するとして、残りの一台の第2荷捌き台車3bを搬送処理用の荷捌き台車3として選択しないように構成されている。
また、地上側コントローラ14は、図3の(ロ)に示すように、残りの一台の第2荷捌き台車3bを移載対象のステーション1aまで走行させるとその走行範囲Sと現在搬送処理中の第1荷捌き台車3aの干渉範囲Kとが干渉しない場合には、残りの一台の第2荷捌き台車3bの走行範囲が干渉範囲Kに対して干渉しないとして、残りの一台の第2荷捌き台車3bを搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0043】
そして、地上側コントローラ14は、残りの一台の荷捌き台車3を移載対象のステーション1aまで走行させたときに、その残りの一台の荷捌き台車3と現在搬送処理中の荷捌き台車3との走行方向が同じである場合には、残りの一台の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲Kに対して干渉しても、残りの一台を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0044】
以下、卸し用の選択処理について説明するが、上述の掬い用の選択処理とは、搬送処理用の荷捌き台車3としての選択対象が、第1荷捌き台車3aあるいは第2荷捌き台車3bではなく、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3としている点が異なるので、簡略しながら説明を加える。
【0045】
前記地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3が、残り一台の荷捌き台車3と干渉することなく、卸し用の搬送処理を行うことができるか否かを判別し、卸し用の搬送処理を行うことができる場合には、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0046】
そして、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在しない状態で掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3が存在するときには、その掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0047】
また、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在する状態で掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3が存在するときには、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲Kに対して干渉しないことを条件として、その掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0048】
すなわち、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を移載対象のステーション1aに走行させると、その掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲Kに対して干渉するか否かを判別し、干渉しない場合には、その掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択し、干渉する場合には、搬送処理用の荷捌き台車3の選択を行わないように構成されている。
【0049】
また、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を移載対象のステーション1aに走行させたときに、現在搬送処理中の荷捌き台車3と掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3との走行方向が同じである場合には、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲Kに対して干渉しても、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0050】
前記地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲Kに対して干渉し、かつ、現在搬送処理中の荷捌き台車3と掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3との走行方向が異なる場合には、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を現在位置に待機させるか、あるいは、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を現在搬送処理中の荷捌き台車3の干渉範囲Kから退避する退避用のステーション1bに走行させるかを判別するように構成されている。
【0051】
図4に基づいて説明を加えるが、図4においては、第1荷捌き台車3aを現在搬送処理中とし、その現在搬送処理中の第1荷捌き台車3aに対応する移載対象のステーションを1Aとし、第2荷捌き台車3bを搬送処理中ではない残りの一台とし、発生した搬送要求情報に対応する移載対象のステーションを1aとしている。
【0052】
前記地上側コントローラ14は、まず、現在搬送処理中の荷捌き台車3の干渉範囲Kから退避して、最も移載対象のステーション1aに近いステーション1を退避用のステーション1bとして求めるように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、図4の(イ)に示すように、求めた退避用のステーション1bが掬い用の搬送処理を行った後の第2荷捌き台車3bの現在位置よりも移載対象のステーション1aに対して近づく場合には、掬い用の搬送処理を行った後の第2荷捌き台車3bを現在位置に待機させるように構成されている。
また、地上側コントローラ14は、図4の(ロ)に示すように、求めた退避用のステーション1bが掬い用の搬送処理を行った後の第2荷捌き台車3bの現在位置よりも移載対象のステーション1aに対して遠ざかる場合には、掬い用の搬送処理を行った後の第2荷捌き台車3bを求めた退避用のステーション1bに走行させるように構成されている。
【0053】
前記地上側コントローラ14は、一度退避用のステーション1bまで走行した掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3については、再度退避用のステーション1bまで走行させることなく、優先して搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
このようにして、地上側コントローラ14は、卸し用の搬送処理を行うための搬送処理用の荷捌き台車3については、優先する状態で卸し用の搬送処理を行うべく、搬送処理用の荷捌き台車3を選択するように構成されている。
【0054】
前記地上側コントローラ14の選択処理における動作を、図5のフローチャートに基づいて説明する。
前記地上側コントローラ14は、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1aと物品Bを卸すための移載対象のステーション1aとを指示する搬送要求情報が発生して、掬い用の搬送処理を行うときには、掬い用の選択処理を行い(ステップ1,2)、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3が存在して、卸し用の搬送処理を行うときには、卸し用の選択処理を行う(ステップ3,4)。
そして、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理および卸し用の搬送処理のいずれの搬送処理をも行わないときには、追い出し用の選択処理を行う(ステップ5)。
【0055】
前記掬い用の選択処理においては、図6のフローチャートに示すように、まず、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在するか否かを判別し、現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在しないときには、移載対象のステーション1aに近くに位置する荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択する(ステップ11,12)。
【0056】
そして、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在するときには、搬送要求情報に基づいて選択する残りの一台の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲Kに対して干渉しなければ、残りの一台を搬送処理用の荷捌き台車3として選択する(ステップ13,14)。
また、地上側コントローラ14は、搬送要求情報に基づいて選択する残りの一台の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲Kに対して干渉しても、現在搬送処理中の荷捌き台車3と搬送要求情報に基づいて選択する残りの一台の荷捌き台車3との走行方向が同じである場合には、残りの一台を搬送処理用の荷捌き台車3として選択する(ステップ15,16)。
【0057】
前記卸し用の選択処理においては、図7のフローチャートに示すように、まず、地上側コントローラ14が、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3とは別の残りの一台が現在搬送処理中であるか否かを判別し、現在搬送処理中でなければ、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として、退避フラグがONであれば、その退避フラグをOFFする(ステップ21〜23)。
【0058】
そして、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3と掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3との走行方向が同じである場合(ステップ24)、または、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲Kに対して干渉しない場合には(ステップ25)、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として、退避フラグがONであれば、その退避フラグをOFFする(ステップ22,23)。
【0059】
また、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3と掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3との走行方向が異なり、かつ、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲Kに対して干渉する場合には、退避フラグがOFFであれば、退避用のステーション1bを算出する(ステップ26,27)。
【0060】
そして、地上側コントローラ14は、退避用のステーション1bが掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3の現在位置よりも移載対象のステーション1aに対して遠ざかる場合には、退避フラグをONして、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を退避用のステーション1bに移動させる退避処理を行う(ステップ28〜30)。
【0061】
前記追い出し用の選択処理においては、図8のフローチャートに示すように、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在するか否かを判別し、存在する場合には、残りの一台の荷捌き台車3の現在位置が、現在搬送処理中の荷捌き台車3の干渉範囲Kに対して干渉するか否かを判別する(ステップ41,42)。
そして、地上側コントローラ14は、残りの一台の荷捌き台車3の現在位置が、現在搬送処理中の荷捌き台車3の干渉範囲Kに対して干渉する場合には、残りの一台の荷捌き台車3を干渉範囲K外でかつ現在位置に最も近くに位置するステーション1を追い出し用のステーション1と求めて、残りの一台の荷捌き台車3をその追い出し用のステーションに移動させる追い出し処理を行う(ステップ43)。
【0062】
以下、選択処理において、例えば、第1荷捌き台車3aを搬送処理用の荷捌き台車3として選択し、その第1荷捌き台車3aにて搬送処理を行う場合について説明を加える。
前記地上側コントローラ14が、設定時間が経過するごとに、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に走行開始指令や速度指令情報などの走行指令情報を送信するように構成されている。
そして、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7は、地上側コントローラ14からの走行指令情報に基づいて、走行モータ6に対する電流値を調整することにより、第1荷捌き台車3aの走行速度を調整しながら走行駆動させるように構成されている。
また、地上側コントローラ14に対して位置検出センサ15の検出情報が入力されているので、地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aの走行位置を管理しながら、第1荷捌き台車3aを走行駆動させるように構成されている。
【0063】
このようにして、地上側コントローラ14が、第1荷捌き台車3aの走行位置を管理しながら走行駆動させている状態において、第1荷捌き台車3aの走行位置が移載対象のステーション1aに対応する目標停止位置に達すると、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に停止指令情報を送信するように構成されている。
そして、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7は、地上側コントローラ14からの停止指令情報に基づいて、第1荷捌き台車3aを目標停止位置に停止させるように構成されている。
【0064】
前記地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aを目標停止位置に停止させた状態において、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの移載用インバータ11に移載指令情報を送信するように構成されている。
そして、第1荷捌き台車3aの移載用インバータ11は、地上側コントローラ14からの移載指令情報に基づいて、移載装置4を作動させて、移載対象のステーション1aに存在する物品Bを掬い取るあるいは移載対象のステーション1aに物品Bを卸すように構成されている。
【0065】
また、入出力装置13は、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、センサ類12の検出情報を地上側コントローラ14に送信するように構成されており、地上側コントローラ14は、入出力装置13からの情報に基づいて、移載対象のステーション1aとの間で物品Bの移載が完了したことを認識するように構成されている。
【0066】
ちなみに、退避処理において掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を退避用のステーション1bに移動させる場合や、追い出し処理において荷捌き台車3を追い出し用のステーション1に移動させる場合も、地上側コントローラ14が、通信ネットワークを介して、走行用インバータ7に走行開始指令や速度指令情報などの走行指令情報を送信することにより、荷捌き台車3を所望のステーション1に走行させるように構成されている。
【0067】
前記第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bには、地上側コントローラ14とは独立した車間距離センサ8およびスレーブコントローラ10を設けることにより、地上側コントローラ14の暴走などにより誤って荷捌き台車3どうしが衝突する虞がある場合でも、その衝突を防止するように構成されている。
説明を加えると、スレーブコントローラ10は、車間距離センサ8の検出情報に基づいて、荷捌き台車3どうしの相対車間距離および相対速度を監視し、荷捌き台車3どうしが衝突する虞のある場合には、荷捌き台車3を強制的に走行停止させるように構成されている。
【0068】
すなわち、スレーブコントローラ10は、相対車間距離が許容車間距離以上となるかあるいは相対速度が許容相対速度以上となると、走行モータ6への電力供給を停止する電力停止手段18を作動させて、走行モータ6への電力供給を停止することにより、荷捌き台車3を走行停止させるように構成されている。
また、スレーブコントローラ10は、台車間光伝送装置9にて相手の荷捌き台車3におけるスレーブコントローラ10に対して荷捌き台車3を走行停止させるように停止指令情報を送信するように構成されており、その停止指令情報を受信したスレーブコントローラ10は、電力停止手段18を作動させて、走行モータ6への電力供給を停止することにより、荷捌き台車3を走行停止させるように構成されている。
【0069】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、地上側コントローラ14が、現在搬送処理中の荷捌き台車3の干渉範囲Kを設定するに当り、現在搬送処理中の荷捌き台車3に対応する移載対象のステーション1Aと荷捌き台車3どうしの衝突を回避可能な最小台車間距離とを合せた範囲を干渉範囲Kとして設定いるが、干渉範囲については、現在搬送処理中の第1荷捌き台車3aに対応する移載対象のステーション1Aを起点とするものであればよく、どのような範囲を干渉範囲Kと設定するかについては適宜変更が可能である。
【0070】
例えば、図9に示すように、現在搬送処理中の第1荷捌き台車3aの位置とその現在搬送処理中の第1荷捌き台車3aに対応する移載対象のステーション1Aとの間の範囲を干渉範囲Kとして設定することも可能である。
【0071】
ちなみに、図9においては、第1荷捌き台車3aを現在搬送処理中とし、その現在搬送処理中の第1荷捌き台車3aに対応する移載対象のステーションを1Aとし、第2荷捌き台車3bを搬送処理中ではない残りの一台とし、発生した搬送要求情報に対応する移載対象のステーションを1aとしている。
【0072】
また、図9に示すように、現在搬送処理中の荷捌き台車3の位置と移載対象のステーション1aとの間の範囲を干渉範囲Kとして設定する場合には、現在搬送処理中の荷捌き台車3が搬送処理を行う前の位置と移載対象のステーション1aとの間の範囲を干渉範囲Kとして一定の干渉範囲Kを設定したり、現在搬送処理中の荷捌き台車3の位置を設定時間が経過するごとに検出し、設定時間が経過するごとに検出された荷捌き台車3の位置と移載対象のステーション1aとの間の範囲を干渉範囲Kとして設定時間が経過するごとに干渉範囲Kを更新設定することも可能である。
【0073】
(2)上記実施形態では、地上側コントローラ14は、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、複数台の荷捌き台車3の軌道2上での位置を管理するように構成されているが、例えば、荷捌き台車3の夫々にエンコーダを設けて、そのエンコーダの検出情報を入出力装置13にて地上側コントローラ14に通信することにより、地上側コントローラ14が、複数台の荷捌き台車3の軌道2上での位置を管理するようにして実施することも可能である。
【0074】
(3)上記実施形態では、二台の荷捌き台車3の走行を管理する地上側コントローラ14を一つ地上側に設けているが、例えば、荷捌き台車3の夫々に自己の走行を管理する車体側コントローラを設けて、荷捌き台車の車体側コントローラにて通信しながら、二台の荷捌き台車3の運転を管理して実施することも可能である。
【0075】
(4)上記実施形態では、地上側コントローラ14が、掬い用の搬送処理と卸し用の搬送処理とを別の搬送処理として行うようにしているが、掬い用の搬送処理と卸し用の搬送処理とを一連の一つの搬送処理として行うことも可能である。
この場合には、地上側コントローラ14は、現在搬送処理中の荷捌き台車3が存在すると、物品を掬い取るための移載対象の物品移載箇所と起点とする干渉範囲と、物品を卸すための移載対象の物品移載箇所との二つの移載対象の物品移載箇所を起点とする干渉範囲とを設定することになる。
【0076】
また、掬い用の搬送処理と卸し用の搬送処理とを一連の一つの搬送処理として行う場合に、図9に示した如く、現在搬送処理中の第1荷捌き台車3aの位置とその現在搬送処理中の荷捌き台車3に対応する物品を掬い取るための移載対象のステーション1と物品を卸すための移載対象のステーション1との間の範囲を干渉範囲Kとして設定することも可能である。
【0077】
(5)上記実施形態では、地上側コントローラ14が、現在搬送処理中の荷捌き台車3と搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3との走行方向が同じである場合には、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲に対して干渉することを許容して、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1aに走行させようにしているが、現在搬送処理中の荷捌き台車3と搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3との走行方向が同じである場合でも、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3の走行範囲が干渉範囲に対して干渉しないことを条件として、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1aに走行させようにして実施することも可能である。
【0078】
(6)上記実施形態において、ステーション1の数やどの位置にステーション1を配置するかについては適宜変更可能である。
【0079】
(7)上記実施形態では、二台の荷捌き台車3の夫々に、車間距離センサ8およびスレーブコントローラ10を設けた例を示したが、二台の荷捌き台車3の一方のみに、車間距離センサ8およびスレーブコントローラ10を設け、相対車間距離が許容車間距離以上となるかあるいは相対速度が許容相対速度以上となり衝突の可能性がある場合には、台車間光伝送装置9にて相手の荷捌き台車3に対して衝突の可能性があることを通信し、その通信により相手の荷捌き台車3を停止させるように構成して実施することも可能である。
【0080】
(8)上記実施形態では、荷捌き台車3を二台設けた例を示したが、荷捌き台車3の台数については適宜変更可能である。
【0081】
(9)上記実施形態では、物品搬送台車として荷捌き台車3を例示したが、物品搬送台車としては、例えば、一対の物品収納棚の間口に沿う軌道上を往復走行するスタッカークレーンを適応することも可能であり、荷捌き台車3以外の物品搬送台車も適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】搬送装置の平面図
【図2】搬送装置のブロック図
【図3】搬送装置の平面図
【図4】搬送装置の平面図
【図5】地上側コントローラの選択処理における動作を示すフローチャート
【図6】地上側コントローラの掬い用の選択処理における動作を示すフローチャート
【図7】地上側コントローラの卸し用の選択処理における動作を示すフローチャート
【図8】地上側コントローラの追い出し用の選択処理における動作を示すフローチャート
【図9】別実施形態における搬送装置の一部省略平面図
【符号の説明】
【0083】
1 物品移載箇所
2 軌道
3 物品搬送台車
14 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品移載箇所を経由するように設置される有端形式の軌道上を走行する複数台の物品搬送台車と、それら複数台の物品搬送台車の走行を管理する制御手段とが設けられ、
前記制御手段は、前記複数の物品移載箇所のうちから移載対象の物品移載箇所を指示する搬送要求情報に基づいて、前記複数台の物品搬送台車のうちから搬送処理用の物品搬送台車を選択して、その選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させるように構成されている物品搬送装置であって、
前記制御手段が、
現在搬送処理中の物品搬送台車が存在する状態で前記搬送要求情報が発生したときには、その搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲が、現在搬送処理中の物品搬送台車に対応する移載対象の物品移載箇所を起点として、前記軌道の長手方向に沿う設定長さの干渉範囲に対して、干渉しないことを条件として、その選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させるように構成されている物品搬送装置。
【請求項2】
前記物品搬送台車が二台であり、
前記制御手段が、
現在搬送処理中の物品搬送台車が存在しない状態で前記搬送要求情報が発生したときには、二台の前記物品搬送台車のうちで、移載対象の物品移載箇所に近くに位置する物品搬送台車を搬送処理用の物品搬送台車として選択し、現在搬送処理中の物品搬送台車が存在する状態で前記搬送要求情報が発生したときには、残りの一台の物品搬送台車を搬送処理用の物品搬送台車として選択するように構成されている請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段が、
前記搬送要求情報に基づく搬送処理としての、物品を掬い取るための移載対象の物品移載箇所に選択した搬送処理用の物品搬送台車を走行させる掬い用の搬送処理と、その掬い用の搬送処理を行った後の物品搬送台車を物品を卸すための移載対象の物品移載箇所に走行させる卸し用の搬送処理とを、別の搬送処理として、前記物品搬送台車の走行を管理するように構成されている請求項1または2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段が、
現在搬送処理中の物品搬送台車と前記搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車との走行方向が同じである場合には、前記搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送台車の走行範囲が前記干渉範囲に対して干渉することを許容して、選択した搬送処理用の物品搬送台車を移載対象の物品移載箇所に走行させ、かつ、
その搬送処理用の物品搬送台車を、現在搬送処理中の物品搬送台車との衝突を回避させるべく走行させるように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−44934(P2006−44934A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232269(P2004−232269)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】