説明

物品搬送設備

【課題】消火剤が散布された直後でも移動体を走行させることができる物品搬送設備を提供すること。
【解決手段】地上側に設けられた停止制御用の被検出体DHと、移動体1側に設けられ、被検出体の存在を検出する被検出体検出装置SH1・SH2とが設けられ、移動体制御手段27が、光式測距手段21を用いた走行制御により移動体1の走行作動を制御する第1制御状態と、被検出体検出装置SH1が移載対象の物品保持部についての被検出体DHを検出するまで移動体1を走行させて、物品保持部についての目標走行位置に一致するように、移動体1の走行作動を制御する第2制御状態とに切り換え自在に構成され、かつ、火災検知手段により物品の火災が検知されていない場合は第1制御状態を維持し、火災検知手段により物品の火災が検知されると、第2制御状態に切り換える物品搬送設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に沿って走行自在でかつ前記走行経路に沿って複数配置された物品保持部との間で物品を移載自在な物品搬送用の移動体と、前記走行経路に沿う計測用光を投射して前記走行経路における走行用基準位置と前記移動体との間の距離を検出する光式測距手段と、前記複数の物品保持部の間で物品を搬送するべく、前記光式測距手段による検出距離に基づいて、前記移動体の前記走行経路における位置が、前記物品保持部に対応して設定された目標走行位置に一致するように、前記移動体の走行作動を制御する走行制御及び前記物品保持部についての前記目標走行位置に前記移動体を停止させた状態で当該物品保持部との間で物品を移載する移載制御を実行自在な移動体制御手段と、前記物品保持部に保持されている物品に火災が発生した場合に、火災の発生を検知する火災検知手段と、消火剤を散布自在な消火手段と、前記火災検知手段にて物品の火災の発生が検知されると、前記消火手段を作動させる消火制御手段とが設けられた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記物品搬送設備の従来例として、物品収納棚の各収納部及び入出庫コンベヤにおける荷受箇所を複数の物品保持部として、これらの物品保持部との間で移載自在な物品搬送用の移動体としてスタッカークレーンと、物品保持部に保持されている物品に火災が発生した場合に、火災の発生を検知する火災検知手段と、消火剤を散布自在な消火手段とが設けられた物品搬送設備がある(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、移動体の走行制御の構成については詳細な記載はないが、一般にスタッカークレーン等の物品搬送用の移動体においては、走行経路に沿う計測用光を投射して走行経路における走行用基準位置と移動体との間の距離を検出する光式測距手段を設けて、この光式測距手段の検出距離に基づいて、移動体を走行経路における目標走行位置まで走行させる技術が利用されている(例えば、特許文献2参照。)。
光式測距手段は、特許文献2にも記載されているが、計測用光としてレーザ光を使うものが多い。特許文献2のものでは、走行経路の端部付近に地上側の基準位置が設定され、この基準位置に、走行用レーザ測距計からのレーザ光を反射する反射板が設けられ、移動体側に走行用レーザ測距計が設けられている。そして、走行用レーザ測距計から反射板に向けて測距用のレーザ光が投射され、反射板にて反射して還元するレーザ光を走行用レーザ測距計が受けることで反射板までの距離を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3123424号公報
【特許文献2】特開2009−161321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の物品搬送設備において、火災が発生した物品に対して消火手段により消火剤が噴霧され消火が行われると、例えば、消火剤として炭酸ガスを用いる場合、炭酸ガスボンベから噴出された極低温の炭酸ガスが周辺の空気の水蒸気を凍らせて白い煙が発生する。この煙により、光式測距手段が投射する計測用光が遮光され、走行用基準位置と移動体との間の距離を検出することができなくなる。そのため、炭酸ガスを噴霧した直後は、移動体を走行させることができないため、例えば、周辺の物品の退避作業や、火災を起こした物品の搬出作業や追加の消火作業を移動体を活用して行うためには、少なくとも煙が消失するまで待たなければならず、消火作業後に移動体を迅速に走行させることができないという問題があった。このような問題は、消火剤として炭酸ガスを用いる場合は顕著であるが、そうでない場合、たとえば、微細な粉末の消火剤を用いた場合でも起こり得る問題である。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、消火剤が散布された直後でも移動体を走行させることができる物品搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る物品搬送設備の第1特徴構成は、走行経路に沿って走行自在でかつ前記走行経路に沿って複数配置された物品保持部との間で物品を移載自在な物品搬送用の移動体と、前記走行経路に沿う計測用光を投射して前記走行経路における走行用基準位置と前記移動体との間の距離を検出する光式測距手段と、前記複数の物品保持部の間で物品を搬送するべく、前記光式測距手段による検出距離に基づいて、前記移動体の前記走行経路における位置が、前記物品保持部に対応して設定された目標走行位置に一致するように、前記移動体の走行作動を制御する走行制御及び前記物品保持部についての前記目標走行位置に前記移動体を停止させた状態で当該物品保持部との間で物品を移載する移載制御を実行自在な移動体制御手段と、前記物品保持部に保持されている物品に火災が発生した場合に、火災の発生を検知する火災検知手段と、消火剤を散布自在な消火手段と、前記火災検知手段にて物品の火災の発生が検知されると、前記消火手段を作動させる消火制御手段とが設けられた物品搬送設備において、
前記物品保持部に対応して地上側に設けられた停止制御用の被検出体と、前記移動体側に設けられ、前記被検出体に検出作用して前記被検出体の存在を検出する被検出体検出装置とが設けられ、前記移動体制御手段が、前記走行制御により前記移動体の走行作動を制御する第1制御状態と、前記被検出体検出装置が移載対象の前記物品保持部についての前記被検出体を検出するまで前記移動体を走行させて、前記物品保持部に対応して設定された目標走行位置に一致するように、前記移動体の走行作動を制御する第2制御状態とに切り換え自在に構成され、かつ、前記火災検知手段により物品の火災が検知されていない場合は前記第1制御状態を維持し、前記火災検知手段により物品の火災が検知されると、前記第1制御状態から前記第2制御状態に切り換えるように構成されている点にある。
【0007】
本特徴構成によれば、火災が発生していなければ、火災検知手段により物品の火災は検知されないので、移動体制御手段は、第1制御状態を維持することになる。そのため、移動体制御手段は、走行制御を実行することで、光式測距手段による検出距離に基づいて、移動体の走行経路における位置が、物品保持部に対応して設定された目標走行位置に一致するように、移動体の走行作動を制御する。したがって、第1制御状態においては移動体の現在位置を把握しながら走行作動を制御して移動体を目標走行位置に走行させることができる。
【0008】
物品に火災が発生すると、火災検知手段にて火災が検知されることで、消火制御手段が、消火手段を作動させる。一方で、火災検知手段にて火災が検知されると、移動体制御手段が第1制御状態から第2制御状態に切り換わる。これにより、移動体制御手段は、被検出体検出装置が、移載対象の物品保持部についての被検出体を検出するまで、移動体を走行させて、移動体の位置が物品保持部に対応して設定された目標走行位置に一致するように、移動体の走行作動を制御することになる。つまり、第2制御状態では、光式測距手段による検出距離を用いることなく、移動体を目標走行位置に走行作動させることができるので、光式測距手段の計測用光が遮光される事態が生じても、移動体を目標走行位置に走行作動させることができる。
【0009】
したがって、火災検知手段により物品の火災が検知されて消火制御手段が消火手段を作動させた直後において、消火手段により散布された消火剤に起因して光式測距手段の計測用光が遮光される事態が生じても、移動体を走行作動させて、例えば、周辺の物品の退避作業や、火災を起こした物品の搬出作業や追加の消火作業を移動体を活用して行うことができる。このように、本特徴構成によれば、消火剤が散布された直後でも移動体を走行させることができる物品搬送設備を得るに至った。
【0010】
本発明に係る物品搬送設備の第2特徴構成は、前記複数の物品保持部の少なくとも一つが、火災が発生した火災物品の火災を鎮火させる鎮火手段が備えられた火災物品鎮火部にて構成され、前記被検出体が、前記火災物品鎮火部についてのみ設けられ、前記火災検知手段が、前記複数の物品保持部のうち前記火災物品が保持されている火災物品保持部を特定する状態で火災の発生を検知するように構成され、前記第2制御状態における前記移動体の走行速度は、前記第1制御状態における前記移動体の走行速度よりも低速に設定され、前記移動体制御手段が、前記第1制御状態において、前記火災検知手段にて火災の発生が検知されると、前記第1制御状態を維持した状態で、前記火災物品保持部まで前記移動体を走行させる消火前走行制御を実行し、前記消火前走行制御の実行が完了すると前記第1制御状態から前記第2制御状態に切り換え、前記第2制御状態において、前記火災物品保持部から前記火災物品鎮火部に当該火災物品を搬送するべく、前記移動体の走行作動及び移載作動を制御する火災物品搬送制御を実行するように構成され、前記消火制御手段が、前記消火前走行制御の実行が完了すると、前記消火手段を作動させる消火制御を実行するように構成されている点にある。
【0011】
物品保持部として鎮火手段が備えられた火災物品鎮火部が設けられているので、火災物品保持部にて保持された火災物品を極力早期に火災物品鎮火部に搬送して、確実に火災を鎮火することが求められる。
そこで、本特徴構成によれば、移動体制御手段が、火災物品保持部から火災物品鎮火部に火災物品を搬送する火災物品搬送制御を行うのであるが、この火災物品搬送制御の実行を極力早期に開始するために、移動体制御手段が、第1制御状態に維持した状態で、火災物品保持部まで移動体を走行させる消火前走行制御を行う。つまり、第1制御状態における移動体の走行速度は、第2制御状態における移動体の走行速度よりも高速に設定されているので、第1制御状態を維持した状態で火災物品保持部まで移動体を走行させることで、極力迅速に火災物品保持部まで移動することができる。しかも、消火制御手段は、消火前走行制御の実行が完了すると消火制御を実行して消火手段を作動させるので、消火前走行制御の実行が完了するまで、消火手段は作動しない。よって消火前走行制御では、第1制御状態に維持しても、光式測距手段が投射する計測用光が煙により遮光されることはなく、移動体の走行を確実に行うことができる。
【0012】
このように、消火前走行制御による移動体の走行を迅速にかつ確実に行うことで、火災物品搬送制御を極力早期に実行開始できるので、火災物品保持部からできるだけ早期に火災物品を運び出すことができる。これにより、火災物品保持部の周辺への延焼防止を図ることができる。また、火災物品は、火災物品搬送制御により火災物品鎮火部に搬送されることで、確実に火災を鎮火させることができ、搬送先での延焼等の問題もない。
【0013】
要するに、本特徴構成によると、消火前走行制御による移動体の走行を迅速にかつ確実に行うことで、火災物品搬送制御を極力早期に実行を開始して火災物品保持部周辺への延焼を防止し、しかも、搬送先で火災物品を鎮火させることで搬送先での延焼も防止でき、設備を火災から適確に保護できる。
【0014】
本発明に係る物品搬送設備の第3特徴構成は、前記移動体制御手段が、前記第1制御状態において前記物品保持部の間で物品を搬送するべく前記走行制御又は前記移載制御を実行している途中に、前記火災検知手段にて火災の発生が検知されると、当該物品の搬送を中断又は完了させて前記移動体が物品を保持していない状態としてから、前記消火前走行制御を実行するように構成されている点にある。
【0015】
本特徴構成によれば、消火前走行制御を実行する際には、移動体を、物品を保持していない状態とできるので、消火前走行制御により火災物品保持部へ移動後に、火災物品保持部から火災物品を移載させて移動体に確実に保持させることができる。したがって、物品を保持した状態のまま火災物品保持部へ移動してしまい、火災物品を移動体に保持させることができず、火災物品搬送制御を実行できなくなるという不都合を解消できる。
【0016】
本発明に係る物品搬送設備の第4特徴構成は、前記消火手段が、前記移動体に配設され、前記火災物品保持部に保持されている前記火災物品に対して消火剤を散布自在で、かつ、前記移動体に保持されている前記火災物品に対して消火剤を散布自在に構成され、前記消火制御手段が、前記消火前走行制御の実行が完了すると、前記消火制御として、前記火災物品保持部に保持されている前記火災物品に対して第1設定時間だけ消火剤を散布するべく前記消火手段の作動を制御する一次消火制御を実行し、かつ、前記火災物品搬送制御により前記火災物品保持部から前記移動体に対する前記火災物品の移載が完了すると、前記消火制御として、前記移動体に保持されている前記火災物品に対して第2設定時間だけ消火剤を散布するべく前記消火手段の作動を制御する二次消火制御を実行するように構成され、前記移動体制御手段が、前記消火制御手段による前記一次消火制御が完了すると、前記火災物品搬送制御の実行を開始するように構成されている点にある。
【0017】
本特徴構成によれば、消火手段を移動体に設けることで、複数の物品保持体の夫々に消火手段を備えなくてもよいので、設備のコストダウンを図ることができる。また、消火制御手段が、一次消火制御を実行することで、移動体に備えた消火手段で火災物品保持部に保持されている火災物品を一次的に消火してから火災物品搬送制御の実行を開始するので、火災物品搬送制御にて火災物品を火災物品保持部から移動体に移載する作業を比較的安全に行うことができる。しかも、移動体に対する火災物品の移載が完了すると、消火制御手段が二次消火制御を実行することで、移動体に保持されている火災物品に対して消火剤が散布されるので、一次消火制御による消火に引き続き二次消火制御による消火を行うことになり、火災物品に対して十分な消火を行うことができる。そして、火災物品搬送制御は、一次消火制御が完了することにより、その実行が開始されるので、二次消火制御を実行している間、火災物品搬送制御の実行を並行して行え、火災物品に対して十分な消火を行いながらできるだけ迅速に火災物品鎮火部まで搬送して鎮火させることができる。
【0018】
本発明に係る物品搬送設備の第5特徴構成は、物品を収納する収納部を縦横に複数並べて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の棚横幅方向で棚外方側に設けられた荷受部と、前記物品収納棚の前面側に設定された前記走行経路に沿って走行自在でかつ前記収納部及び前記荷受部を前記物品保持部として、これらの物品保持部との間で物品を移載自在な前記移動体としてのスタッカークレーンとが設けられ、前記荷受部の少なくとも一つが前記火災物品鎮火部に設定され、
前記スタッカークレーンは、
前記走行経路に沿って走行自在な走行台車と、この走行台車に立設された昇降マストに沿う昇降経路を昇降自在な昇降台と、物品を載置支持する物品載置体を、前記走行経路側に引退した引退位置と前記物品収納棚側に突出した突出位置との間で出退移動自在に備えて前記昇降台と一体昇降自在に設けられた移載装置と、前記昇降マストに沿う計測用光を投射して前記昇降経路における昇降用基準位置と前記昇降台との間の距離を検出する昇降用光式測距手段と、前記火災物品鎮火部に対して物品を移載するときの前記昇降台の昇降高さに対応させて前記昇降マストに配設された昇降停止制御用の昇降用被検出体と、前記昇降台に設けられ、前記昇降用被検出体に検出作用して前記昇降用被検出体の存在を検出する昇降用被検出体検出装置とを備えて構成され、
前記移動体制御手段は、
前記第1制御状態において、前記物品保持部から前記スタッカークレーンに物品を移載する場合は、当該物品保持部に対応した目標走行位置に前記走行台車が位置するように、前記走行制御により前記走行台車の走行作動を制御し、かつ、前記昇降用光式測距手段による検出距離に基づいて、前記昇降台の位置が、当該物品保持部に対応した掬い用の目標昇降位置となるように、前記昇降台の昇降作動を制御し、前記移載制御として、前記走行台車を当該物品保持部に対応した目標走行位置に停止させた状態で、前記移載装置を突出作動させて前記物品載置体を物品の下方で前記突出位置に位置させた後、前記昇降用光式測距手段による検出距離が設定量だけ変化するように前記昇降台を上昇させ、その後、前記移載装置を引退作動させて前記物品載置体を前記引退位置に位置させる掬い制御を実行するように構成され、かつ、
前記第1制御状態において、前記物品保持部に前記スタッカークレーンから物品を移載する場合は、当該物品保持部に対応した目標走行位置に前記走行台車が位置するように、前記走行制御により前記走行台車の走行作動を制御し、かつ、前記昇降用光式測距手段による検出距離に基づいて、前記昇降台の位置が、当該物品保持部に対応した卸し用の目標昇降位置となるように、前記昇降台の昇降作動を制御し、前記移載制御として、前記走行台車を当該物品保持部に対応した目標走行位置に停止させた状態で、前記移載装置を突出作動させて前記物品載置体を当該物品保持部の上方で前記突出位置に位置させた後、前記昇降用光式測距手段による検出距離が設定量だけ変化するように前記昇降台を下降させ、その後、前記移載装置を引退作動させて前記物品載置体を前記引退位置に位置させる卸し制御を実行するように構成され、かつ、
前記第1制御状態において、前記火災検知手段にて火災の発生が検知されると、前記火災物品保持部としての前記収納部に対応して設定された目標走行位置まで前記スタッカークレーンを走行させるべく前記消火前走行制御を実行し、かつ、前記昇降用光式測距手段による検出距離に基づいて、前記昇降台の位置が、当該収納部に対応した掬い用の目標昇降位置となるように、前記昇降台の昇降作動を制御する消火前昇降制御を実行し、かつ、前記消火前走行制御及び前記消火前昇降制御の双方の実行が完了すると前記第1制御状態から前記第2制御状態に切り換えるように構成され、かつ、
前記第2制御状態にて前記火災物品搬送制御を実行する場合において、前記収納部から前記スタッカークレーンに前記火災物品を移載するときは、前記移載制御として、前記移載装置を突出作動させて前記物品載置体を前記火災物品の下方で前記突出位置に位置させた後、設定昇降速度で設定時間だけ前記昇降台を上昇させ、その後、前記移載装置を引退作動させて前記物品載置体を前記引退位置に位置させる火災物品搬送用掬い制御を実行するように構成され、かつ、
前記第2制御状態にて前記火災物品搬送制御を実行する場合において、前記火災物品鎮火部へ前記スタッカークレーンから前記火災物品を移載するときは、前記移載制御として、前記移載装置を突出作動させて前記物品載置体を前記火災物品鎮火部の上方で前記突出位置に位置させた後、設定昇降速度で設定時間だけ前記昇降台を下降させ、その後、前記移載装置を引退作動させて前記物品載置体を前記引退位置に位置させる火災物品搬送用卸し制御を実行するように構成されている点にある。
【0019】
本特徴構成によれば、縦横に複数の収納部を備えた物品収納部が設けられているので高い効率で物品が収納されることになるが、一方で、収納されている物品に火災が発生すると隣接する収納部での延焼の問題は顕著となる。その点、本特徴構成によれば、火災の発生が検知されると、移動体制御手段は、第1制御状態を維持したまま、消火前走行制御及び消火前昇降制御を実行し、双方の実行が完了すると、消火制御手段が消火制御を実行して消火手段を作動させるので、火災物品収納部に対してスタッカークレーンの移載装置を迅速に位置させて火災物品搬送制御をできるだけ早期に実行を開始させることができる。そのため、延焼のリスクの高い物品収納棚からできるだけ早期に火災物品を取り出して火災物品鎮火部まで搬送することができる。
【0020】
そして、物品載置体を出退自在に備えた移載装置にて収納部や荷受部に対して物品を卸したり掬ったりする場合、移載装置の突出作動、昇降台の昇降作動、移載装置の引退作動を順次行う必要がある。火災が発生していなければ、移動体制御手段は、第1制御状態において、物品保持部からスタッカークレーンに物品を移載する場合や、物品保持部にスタッカークレーンから物品を移載する場合は、移載制御として、移載装置を突出作動させた後、昇降用光式測距手段による検出距離が設定量だけ変化するように昇降台を上昇(掬い)又は下降(卸し)させ、その後、移載装置を引退作動させる掬い制御・卸し制御を実行することで、収納部や荷受部との間で物品を移載できる。
【0021】
しかしながら、火災物品搬送制御は、消火手段にて消火剤が散布された後に実行されるため、走行制御や昇降制御と同様に、掬い制御や卸し制御においても消火剤の影響を考えると昇降用光距離計は利用できない。そこで、第2制御状態にて火災物品搬送制御を実行する場合において、収納部からスタッカークレーンに火災物品を移載するときや、第2制御状態にて火災物品搬送制御を実行する場合において、火災物品鎮火部へスタッカークレーンから火災物品を移載するときは、火災物品搬送用掬い制御や火災物品搬送用卸制御を実行して、移載装置を突出作動させた後、設定昇降速度で設定時間だけ昇降台を上昇又は下降させ、その後、移載装置を引退作動させる。これにより、消火剤の散布直後に火災物品搬送処理が実行されても、収納部や火災物品鎮火部での物品の移載を適確に行うことができる。
【0022】
本発明に係る物品搬送設備の第6特徴構成は、前記移動体制御手段が、前記走行経路の端部において地上側に設置された地上側制御装置と、前記移動体に設置され、前記走行経路に沿う通信用光を送受信する光式通信装置により前記地上側制御装置と無線通信自在に接続された移動体側制御装置とを備えて構成され、前記移動体制御手段が前記第1制御状態である場合に、前記通信用光が途絶えると前記移動体の走行作動を強制的に停止させる非常停止手段が設けられ、前記非常停止手段は、前記移動体制御手段が前記第2制御状態である場合は、当該通信用光が途絶えても前記移動体を強制的に停止させないように構成されている点にある。
【0023】
本特徴構成によれば、第1制御状態であれば、通信用光が途絶えると、光式通信装置に何らかの異常があったとして、非常停止手段により移動体の走行作動を強制的に停止させることで、移動体の暴走等想定外の事態の発生を防止できる。火災が発生して、消火剤が散布された後は、その影響で、光式通信装置が送受信する通信用光が遮光されてしまう場合があるが、このような場合にまで非常停止手段により移動体の走行作動を強制的に停止させると、例えば、移動体制御手段が、火災物品搬送制御を実行して移動体を走行作動させている最中に、地上側制御装との光通信を行っていないにも拘らず、移動体の走行作動が停止されてしまう。そこで、本特徴構成によれば、移動体制御手段が第2制御状態である場合は、非常停止手段は、当該通信用光が途絶えても移動体を強制的に停止させないことで、火災が発生して消火剤が散布された後も、第2制御状態で移動体の走行作動を継続して制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】物品搬送設備の全体平面図である。
【図2】物品収納棚の一部拡大斜視図である。
【図3】スタッカークレーンの側面図である。
【図4】昇降台の一部切欠平面図である。
【図5】スタッカークレーンの正面図である。
【図6】昇降台の正面図である。
【図7】走行台車の正面図である。
【図8】制御ブロック図である。
【図9】走行制御のフローチャートである。
【図10】掬い制御のフローチャートである。
【図11】卸し制御のフローチャートである。
【図12】非常停止制御のフローチャートである。
【図13】扉監視制御のフローチャートである。
【図14】火災対策制御のフローチャートである。
【図15】搬送作業終了制御のフローチャートである。
【図16】一次消火制御のフローチャートである。
【図17】二次消火制御のフローチャートである。
【図18】火災物品搬送用掬い制御のフローチャートである。
【図19】火災物品搬送用卸し制御のフローチャートである。
【図20】走行制御と火災物品搬送制御における走行速度の差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の物品搬送設備は、図1に示すように、移動体としてスタッカークレーン1を備えている。スタッカークレーン1は、床面に敷設された直線状の有端状の走行レール2に案内されることで直線状の走行経路に沿って走行自在となっている。スッタッカークレーンの走行経路の両側には、一対の物品収納棚3(図1で紙面右側の第1収納棚3a及び図1で紙面左側の第2収納棚3b)が、物品出し入れ方向が互いに対向する状態で間隔を隔てて設けられている。
【0026】
本実施形態の物品は、充電済みの二次電池であり、エイジングのために物品収納棚3に入庫され、一定期間保管された後、出庫される。保管中の物品が発熱して物品に火災が発生した場合に備えて、本物品搬送設備には、火災検知手段10や消火手段E等が設けられており、火災の消火と延焼の防止のための適切な処置を自動的に行う火災対策システムを備えている。以下、本物品搬送設備の構成と、火災が発生した場合の火災対策システムの動作等について説明する。
【0027】
〔物品収納棚〕
物品収納棚3は、物品を収納自在な収納部5を棚横幅方向及び棚上下方向に複数並べて構成されている。図2にも示すように、棚前後方向に並ぶ一対の支柱7を棚横幅方向に複数対並べ、一対の支柱7の夫々に上下方向に間隔を隔てて並ぶ複数の腕木9を取り付けることにより、収納部5が縦横に複数形成されている。収納部5に収納される物品は、隣接する一対の支柱7の夫々の腕木9に棚横幅方向の両側部を載置支持された状態で、収納部5において保持される。すなわち、収納部5は、物品保持部4として機能する。
【0028】
各収納部5は、その棚横幅方向の側面、上面及び下面、並びに背面をロックウール等の難燃性素材からなる防火パネル8により囲われている。これにより、上下左右に隣接する収納部同士が間仕切りされ、物品に火災が発生した場合に隣接する収納部5に延焼を防止できる。夫々の収納部5上面の防火パネル8には、収納部5に収納されている物品に火災が発生した場合に、その火災による熱又は煙を検知することで、当該収納部に火災が発生したことを検知する火災センサ10aが設けられている。
【0029】
〔火災検知手段〕
各収納部5の火災センサ10aは、火災検知装置10b(図8参照)に接続端子を異ならせるなどして識別可能に接続されている。そして、火災検知装置10bは、ある収納部5における火災センサ10aが火災を検知すると、その火災センサ10aを識別することで、火災センサ10aと収納部5との対応関係から火災が発生した物品(以下、火災物品Wfという)収納部5を特定する。そして、火災が発生した収納部5を識別可能な情報を、火災検知情報として後述の地上側コントローラ15(図8参照)に出力する。
【0030】
このように、本実施形態では、火災検知手段10が、各収納部5に設けられた複数の火災センサ10a及び、これらが識別可能に接続された火災検知装置10bにて構成されている。そして、火災検知手段10は、複数の物品保持部4としての収納部5のうち火災物品Wfが保持されている火災物品保持部を特定する状態で火災の発生を検知するように構成されている。
【0031】
〔荷受部〕
一対の物品収納棚3の棚横幅方向での一方側端部で同方向に隣接する箇所には、物品保持部4としての一対の荷受部6が設けられている。第1収納棚3aの棚横幅方向での一方側端部で同方向に隣接する箇所には、物品収納棚3に入庫する物品や物品収納棚3から出庫された物品(以下、通常物品Wnという)を保持する物品保持部4としての入出庫用荷受部6aが設定されている。また、第2収納棚3bの棚横幅方向での一方側端部で同方向に隣接する箇所には、火災物品Wfを保持する物品保持部4としての水没荷受部6bが設定されている。
【0032】
入出庫用荷受部6aは、外部との間で通常物品Wnを搬送する入庫コンベヤ14の位置端部に設定されており、スタッカークレーン1により通常物品Wnが授受される。入出庫用荷受部6aは、物品収納棚3における最下段の収納部5における保持高さと同じ高さで通常物品Wnを保持する。
【0033】
水没荷受部6bは、図5に示すように、火災物品Wfを鎮火するための水槽42の上方に設定されており、スタッカークレーン1により水槽42の上方に位置する荷受枠43に火災物品Wfが受け渡される。水没荷受部6bは、物品収納棚3における最下段の収納部5の保持高さと最下段から一段高い収納部5の保持高さとの中間に位置する高さで火災物品Wfを保持する。つまり、水没荷受部6bは、入出庫用荷受部6aよりも高い位置に設定されている。
【0034】
荷受枠43は、枠構造の筐体41の上部に設けられたシリンダ44のロッド先端部に吊り下げ支持されており、シリンダ44を伸縮作動させることで、水槽42の上方に位置する移載高さと水槽42の内部に没入する水没高さとに図外のガイドレールに沿って昇降自在となっている。このように、複数の物品保持部4の少なくとも一つが、火災物品Wfの火災を鎮火させる鎮火手段としての水槽42が備えられた火災物品鎮火部としての水没荷受部6bにより構成されている。また、荷受部6の少なくとも一つが火災物品鎮火部に設定されている。
【0035】
〔安全柵〕
走行経路の荷受部6側の端部(以下、ホームポジションHPという)周辺と、走行経路のホームポジションHPと反対側の端部(以下、オポジットポジションOP)の周辺には、走行経路内への作業者の進入を防止する安全柵11が設けられている。ホームポジションHP側の安全柵11には、安全柵に設けられた出入口を開閉自在なメンテナンス扉12、及び、このメンテナンス扉12の開閉状態を検出する開閉状態検出手段としての扉スイッチ13が設けられている。扉スイッチ13は、リミットスイッチにて構成されており、メンテナンス扉12が閉じ位置であるとオンし、閉じ位置から開き側の位置ではオフするように配置されている。これにより、扉スイッチ13はメンテナンス扉12が開操作されたことを検出できるようになっている。
【0036】
扉スイッチ13は、図8に示すように、後述の地上側コントローラ15に接続されており、扉スイッチ13がオンからオフに切り換わると、地上側コントローラ15が、メンテナンス扉12が開操作されたと判断し、スタッカークレーン1に対して集電ブラシ45により動作用電力を供給する給電レールへの給電状態を切り換える電力供給切換器46を制御して、電力遮断状態に切り換える。これにより、スタッカークレーン1が作動中に作業者がメンテナンス扉12を開き操作して走行経路に進入しようとした場合は、メンテナンス扉を開き操作した時点で、スタッカークレーン1の作動が強制的に停止されるようになっている。
【0037】
〔スタッカークレーン〕
図2に示すように、スタッカークレーン1は、走行経路に沿って走行自在な走行台車16と、走行台車16に立設された前後一対の昇降マスト17の間に形成された昇降経路を昇降自在な昇降台18と、通常物品Wnや火災物品Wfを載置支持する物品載置体としてのスライドフォークフォーク20を、走行経路側に引退した引退位置と物品収納棚3側に突出した突出位置との間で出退移動自在に備えて昇降台18と一体昇降自在に設けられた移載装置19とを備えている。そして、走行経路に沿った走行台車16の走行作動、昇降経路に沿った昇降台18の昇降作動により、移載装置19を収納部5及び荷受部6を物品保持部4として、これらの物品保持部4との間で通常物品Wnや火災物品Wfを移載自在となっている。なお、ホームポジションHPからオポジットポジションOPに向かう走行する場合を前進走行とし、逆向きに走行する場合を後進走行とする。以下の説明では、スタッカークレーン1の前進走行を基準として前後左右の各方向を説明している。
【0038】
〔光式測距手段〕
図1、図3及び図8に示すように、スタッカークレーン1の走行台車16におけるホームポジション側端部には、走行経路に沿う計測用光を投射して走行経路における走行用基準位置とスタッカークレーン1との間の距離を検出する光式測距手段としての走行用光式距離計21が設けられている。また、走行台車16には、昇経路に沿う計測用光を投射して昇降経路における昇降用基準位置と昇降台18との間の距離を検出する昇降用光式測距手段としての昇降用光式距離計22とが設けられている。
【0039】
走行用基準位置は、走行経路におけるホームポジションHPの近傍に設けられた反射板21aが設置された位置であり、昇降用基準位置と昇降台18の底部に設けられた反射板22aが設置された位置である。ちなみに、昇降用光式距離計22は、走行台車16において投射光が横向きとなる姿勢で設置されており、昇降用光式距離計22から投射された光は、走行台車16に設けられた中継反射板22bにより、光軸を縦向きに変更されて、昇降台18の反射板22aに反射し、同じ光路にて昇降用光式距離計22まで回帰するようになっている。
【0040】
〔駆動手段〕
図3に示すように、走行台車16のオポジットポジション側端部には、走行台車16を走行駆動する走行駆動手段としての走行用電動サーボモータM1、及び、昇降台18を昇降駆動する昇降駆動手段としての昇降用電動サーボモータM2が設けられている。また、昇降台18には、スライドフォーク20を出退駆動する出退駆動手段としてのフォーク用電動サーボモータM3が設けられている。
【0041】
走行用電動サーボモータM1は、走行台車16の前後両端部に設けられた前後一対の走行車輪23のうち、前端部に配設された駆動輪23aを正逆に回転駆動することで、走行台車16を走行レール2に沿って走行させる。なお、走行台車16の後端部に配設された走行車輪は従動輪23bとなっている。昇降用電動サーボモータM2は、前方マスト17に横軸心周りに回転自在に設けられた巻取ドラム24を正逆に回転駆動して、複数のガイドシーブ26に巻回案内されて昇降台18を吊り下げ支持する一対の吊下ワイヤ25を繰り出し又は巻き取ることで、昇降台18を一対の昇降マスト17に沿って昇降させる。フォーク用電動サーボモータM3は、図外の駆動伝達機構を介して、スライドフォーク20を引退位置から突出位置まで突出作動させ、また、突出位置から引退位置まで引退作動させる。
【0042】
〔消火手段〕
図3に示すように、スタッカークレーン1には、消火剤を散布自在な消火手段Eが設けられている。本実施形態では、消火手段Eは、消火剤として炭酸ガス(気体状の二酸化炭素)を散布する。消火手段Eは、液化炭酸ガスが充填された2本の炭酸ガスボンベ29、これらに接続された耐圧ホース30、耐圧ホース30の先端に接続されて昇降台18のフード35に取り付けられた3個の噴出ノズル31を備えて構成されている。炭酸ガスボンベ29は、前方マスト17に取り付けられたボンベケース40(図5参照)に図示しない固定具で固定された状態で収容されている。耐圧ホース30は、前方マスト17に取り付けられたケーブルベア32に内装された状態で、昇降台18に接続されており、昇降台18の昇降作動に支障がないようになっている。
【0043】
図4〜図6に示すように、昇降台18は、昇降マスト17に上下方向に沿って形成された案内溝に係合する複数のガイドローラを備えて一対の昇降ワイヤ25により昇降マスト17にて沿って昇降操作される前後一対の前側昇降部18F及び後側昇降部18Rと、左右に間隔を隔てて対向する状態で配置された前後方向に沿う長尺状の左右一対の底部フレーム18Bとを互いに接続して構成されている。
【0044】
昇降台18のフード35は、スチール製の複数のフレーム部材を縦横に枠組みした略立体格子状のフードフレーム36を備えており、このフードフレーム36を左右一対の底部フレーム18B上にボルト固定することで、昇降台18に固定状態で設けられている。フード35は、フードフレーム36の前後の両側面に縦向き配置した平板状の前面サイドパネル35F及び後面サイドパネル35Rを取り付け、フードフレーム36の上面に平置き配置した平板状の天面パネル35Tを取り付けて構成されている。また、図示は、省略するが、左右一対の底部フレーム18Bの間等からフード35内に空気か流入することを防止する左右一対の分割底部プレートが、スライドフォーク20の突出作動に干渉しない状態で設けられている。これにより、移載装置19のスライドフォーク20に載置支持される通常物品Wnや火災物品Wfは、前後上下を覆われた状態で搬送される。
【0045】
フード35の内部には、収納部5に保持されている火災物品Wfに対して炭酸ガスを散布する外部向け消火装置としての左右一対の第1棚向き噴出ノズル31L及び第2棚向き噴出ノズル31R、並びに、昇降台18のフード35内に保持されている火災物品Wfに対して炭酸ガスを散布する内部向け消火装置としてのフード内向き噴出ノズル31Cが、天面パネル35Tの裏側箇所におけるフードフレーム36にノズル取り付けブラケット37により固定状態で取り付けられている。
【0046】
図5に示すように、2本の炭酸ボンベ29は、収納部5に保持されている火災物品Wfに対して第1設定時間(本実施形態では10秒としている。)だけ散布するための炭酸ガスが充填された第1ボンベ29aと、昇降台18のフード35内に保持されている火災物品Wfに対して第2設定時間(本実施形態では第1設定時間と同じ10秒としている。)だけ消火剤を散布するための炭酸ガスが充填された第2ボンベ29bとからなる。
【0047】
第1ボンベ29a及び第2ボンベ29bの夫々には、電磁ソレノイド式の一次消火用ボンベ開閉弁39a及び二次消火用ボンベ開閉弁39bが設けられており、クレーンコントローラ27(図8参照)が実行する消火制御により開閉制御される。また、第1棚向き噴出ノズル31L及び第2棚向き噴出ノズル31Rは、第1ボンベ29aに一次消火用ボンベ開閉弁39aを介して接続された耐圧ホース30から、一次消火対象切換弁39c(図8参照)を介して分岐させた分岐供給路の夫々の先端に取り付けられており、消火制御では、火災物品Wfの収納部5が属する物品収納棚3の位置に応じて切換制御され、第1棚向き噴出ノズル31L及び第2棚向き噴出ノズル31Rの何れか一方だけが第1ボンベ29aから炭酸ガスの供給を受けることができるようになっている。
【0048】
このように、消火手段Eは、移動体としてのスタッカークレーン1に配設され、収納部5に保持されている火災物品Wfに対して消火剤である炭酸ガスを散布自在で、かつ、スタッカークレーン1に保持されている火災物品Wfに対して炭酸ガスを散布自在に構成されている。
【0049】
〔走行作動についての被検出体・被検出体検出装置〕
図3及び図7に示すように、走行台車16には、走行停止制御用第1近接センサSH1及び走行停止制御用第2近接センサSH2が設けられている。走行台車16は、走行レール2の両脇に配設された左右一対の左台車フレーム38L及び右台車フレーム38Rを備えて構成されており、上記2個の近接センサSH1・SH2は、左台車フレーム38Lの略中央部に設けられた走行方向視L字状のセンサ取付ブラケット33の下端部に支持されている。近接センサSH1・SH2は、走行レール2の高さ方向で中間位置に取り付けられた走行レールに沿う長尺状の走行停止用ドグDHとの左右方向の離間距離が調整されている。
【0050】
走行停止用ドグDHは、物品保持部4としての水没荷受部6bに対応して走行レール2に設けられており、停止制御用の被検出体として機能している。2個の近接センサSH1・SH2は、停止制御用の被検出体としての走行停止用ドグDHに検出作用して走行停止用ドグDHの存在を検出するので、被検出体検出装置として機能している。また、被検出体としての走行停止用ドグDHは、火災物品鎮火部に設定された物品保持部4である水没荷受部6bについてのみ設けられている。
【0051】
〔昇降作動についての被検出体・被検出体検出装置〕
図3、図4及び図6に示すように、昇降台18には、昇降停止制御用第1近接センサSV1及び昇降停止制御用第2近接センサSV2が設けられている。上記2個の近接センサSV1・SV2は、昇降台18の前側昇降部18Fに設けられた左方向視走行方向で凹入部が形成されるように折り曲げ加工されたセンサ取付ブラケット34の上下の縦向き板部分に支持されている。近接センサSV1・SV2は、前方マスト17に取り付けられた前方マスト17に沿う長尺状の昇降停止用ドグDVとの前後方向の離間距離が調整されている。
【0052】
昇降停止用ドグDVは、物品保持部4としての水没荷受部6bに対応して前方マスト17に設けられており、昇降停止制御用の昇降用被検出体として機能している。2個の近接センサSV1・SV2は、昇降停止制御用の昇降用被検出体としての昇降停止用ドグDVに検出作用して昇降停止用ドグDVの存在を検出するので、昇降用被検出体検出装置として機能している。また、昇降用被検出体としての昇降停止用ドグDVは、火災物品鎮火部に設定された物品保持部4である水没荷受部6bについてのみ設けられており、火災物品Wfを水没荷受部6bに移載作動を開始するときの昇降台18の昇降高さに対応させて前方マスト17に配設されている。
【0053】
〔制御構成〕
スタッカークレーン1の作動は、走行経路のホームポジションHP近傍において床面上に設置される地上側コントローラ15(図1参照)及びスタッカークレーン1の前方マスト17の下端部に設けられたクレーンコントローラ27(図3参照)により制御される。
【0054】
図1及び図8に示すように、地上側コントローラ15及びクレーンコントローラ27は、走行経路に沿う通信用光を送受信する光式通信装置28により無線通信自在に接続されている。光式通信装置28は、走行経路の端部に配設された地上側送受信部28bとスタッカークレーン1の走行台車16に配設された移動体側送受信部としてのクレーン側送受信部28aを備えて、走行経路に沿う通信用光を送受信する。
【0055】
地上側コントローラ15から光式通信装置28を介してクレーンコントローラ27に搬送指令が指令される。搬送指令は、搬送元及び搬送先の物品保持部4を指定する形態で指令され、クレーンコントローラ27は、地上側コントローラ15が指令する搬送指令に基づいてスタッカークレーン1の走行作動・昇降作動・移載作動を制御する。
【0056】
〔地上側コントローラ〕
地上側コントローラ15は、火災検知手段10により通常物品Wnの火災が検知されていない場合は第1制御状態を維持している。地上側コントローラ15は、第1制御状態であれば、上位の管理装置からの指令に基づいて、通常物品Wnの入庫作業及び出庫作業を行うべく、複数の物品保持部4の間、つまり、入出庫用荷受部6aと収納部5との間で通常物品Wnを搬送するための搬送指令をクレーンコントローラ27に指令する。ちなみに、第2制御状態に切り換わった後は、地上側コントローラ15からスタッカークレーン1に搬送指令は指令されない。
【0057】
搬送指令は、搬送元の物品保持部4(入庫作業の場合は入出庫用荷受部6a)への空搬送指令、搬送元の物品保持部4での掬い移載指令、搬送先の物品保持部4(入庫作業の場合は収納部5)への実搬送指令、搬送先の物品保持部4での卸し移載指令の4つの指令種別がある。地上側コントローラ15は、空搬送指令を指令した後は、残りの3つの指令を、各指令の完了情報をクレーンコントローラ27から受信する度に順次クレーンコントローラ27に送信する。
【0058】
〔クレーンコントローラ〕
クレーンコントローラ27は、図8に示すように、搬送制御部H1、消火制御部H2、及び、非常停止制御部H2をプログラム形式で備えており、光式通信装置28をはじめ、各種の入出力機器が接続されている。クレーンコントローラ27は、地上側コントローラ15が第1制御状態から第2制御状態に切り換わることにより地上側コントローラ15から出力される制御状態切換情報を受信するまでは、第1制御状態を維持している。つまり、火災検知手段10により通常物品Wnの火災が検知されて、地上側コントローラ15が第1制御状態から第2制御状態に切り換わると略同時にクレーンコントローラ27も第1制御状態から第2制御状態に切り換わる。以下、各制御部の構成について説明する。
【0059】
〔搬送制御部〕
搬送制御部H1は、第1制御状態において、空搬送指令や実搬送指令が指令されると、走行制御部及び昇降制御部を機能させて走行台車16の走行作動及び昇降台18の昇降作動を制御する。すなわち、スタッカークレーン1の移載装置19の走行経路における位置及び昇降経路における位置が移載対象の物品保持部4(空搬送指令であれば入出庫用荷受部6aであり、実搬送指令であれば収納部5である。)について設定された目標昇降位置及び目標走行位置に一致するように、走行用光式距離計21及び昇降用光式距離計22による検出距離に基づいて、走行台車16の走行作動を制御する走行制御及び昇降台18の昇降作動を制御する昇降制御を実行する。
【0060】
図9のフローチャートに示すように、走行制御が実行されると、まず、移載対象の収納部5又は入出庫用荷受部6aについての目標走行位置を取得する(#A1)。そして、走行用光式距離計21により走行経路におけるスタッカークレーン1の現在位置を確認する(#A2)。次に、現在位置から目標走行位置までの必要走行距離、設定加減速度、設定上限速度等に基づいて走行速度パターン(図20参照)を生成する(#A3)。そして、この速度パターンに従って、走行用電動サーボモータM1に対して速度指令を出力して走行が開始される(#A4)。走行作動中は、走行用光式距離計21の検出距離に基づく走行経路における位置の変化率から現在の走行速度を算出し、その現在の走行速度が走行速度パターンで示された値になるようにフィードバック制御が行われる。こうして、走行作動が継続することで、走行用光式距離計21の検出距離に基づく走行経路における位置が目標走行位置に一致すると、走行作動が停止する(#A5)。
【0061】
昇降制御が実行された場合も同様に、昇降用光式距離計22にて確認した現在位置と目標昇降位置とから求まる必要昇降距離等から昇降速度パターンが生成され、昇降用光式距離計22の検出距離に基づく昇降経路における位置の変化率から現在昇降速度を算出しながら、その現在の昇降速度が昇降速度パターンで示された値になるようにフィードバック制御が行われ、昇降作動が継続することで、昇降用光式距離計22の検出距離に基づく昇降経路における位置が目標昇降位置に一致すると昇降作動が停止する。
【0062】
搬送制御部H1は、第1制御状態において、掬い移載指令や卸し移載指令が指令されると、移載制御部を機能させて移載装置19の出退作動及び昇降台の昇降作動を制御する。すなわち、移載対象の物品保持部4についての目標走行位置にスタッカークレーン1を停止させた状態で物品保持部4との間で通常物品Wnを移載する移載制御としての掬い制御や卸し制御を実行する。
【0063】
図10のフローチャートに示すように、掬い制御が実行されると、まず、移載装置19を突出作動させてスライドフォーク20を通常物品Wnの下方で突出位置に位置させるべく、フォーク用電動サーボモータM3からのフィードバック信号に基づき、突出量を制御する(#B1)。その状態で、昇降用光式距離計22による検出距離が設定量だけ変化(増加)するように昇降台18を上昇させるべく、フィードバック制御する(#B2)〜(#B4)。最後に、移載装置19を引退作動させてスライドフォーク20を引退位置に位置させるべく、フォーク用電動サーボモータM3からのフィードバック信号に基づき、引退量を制御する(#B5)。
【0064】
図11のフローチャートに示すように、卸し制御が実行されると、まず、移載装置19を突出作動させてスライドフォーク20を通常物品Wnの下方で突出位置に位置させるべく、フォーク用電動サーボモータM3からのフィードバック信号に基づき、突出量を制御する(#C1)。その状態で、昇降用光式距離計22による検出距離が設定量だけ変化(減少)するように昇降台18を下降させるべく、フィードバック制御する(#C2)〜(#C4)。最後に、移載装置19を引退作動させてスライドフォーク20を引退位置に位置させるべく、フォーク用電動サーボモータM3からのフィードバック信号に基づき、引退量を制御する(#C5)。
【0065】
このように、第1制御状態において、地上側コントローラ15が空搬送指令、掬い移載指令、実搬送指令、卸し移載指令を、光式通信措置28を介して指令すると、クレーンコントローラ27の搬送制御部H1が走行制御、昇降制御、移載制御を実行することで、複数の物品保持部4の間、つまり、入出庫用荷受部6aと収納部5との間で通常物品Wnを搬送して通常物品Wnの入庫作業及び出庫作業を行うことができるようになっている。したがって、本実施形態では、地上側コントローラ15が地上側制御装置として機能し、クレーンコントローラ27が移動体側制御装置として機能し、移動体制御手段が、地上側コントローラ15及びクレーンコントローラ27を備えて構成されている。
【0066】
〔消火制御部〕
収納部5に収納されている通常物品Wnが発火して火災が発生し、これが火災検知手段10にて検知されると、消火手段Eを作動させる消火制御手段が、クレーンコントローラ27における消火制御部H2としてプログラム形式で備えられている。そして、搬送制御部H1及び消火制御部H2は、火災検知手段10の検知情報に基づく制御動作を互いに連携自在に構成されている。
【0067】
すなわち、火災検知手段10により火災の発生が検知されると、消火制御部H2は、搬送制御部H1が実行する後述の消火前走行制御の実行が完了すると、消火手段Eを作動させる消火制御を実行するように構成されている。また、消火制御部H2は、消火前走行制御の実行が完了すると、火災検知情報に基づいて、第1棚向き噴出ノズル31L及び第2棚向き噴出ノズル31Rのうち、火災物品Wfを収納している収納部5が属する物品収納棚3に対応する側のノズルに第1ボンベ29aからのガス供給路を接続するべく、一次消火対象切換弁39cを切り換え制御する。その後、消火制御として、収納部5に保持されている火災物品Wfに対して第1設定時間だけ炭酸ガスを散布するべく消火手段Eの作動を制御する一次消火制御を実行し、かつ、搬送制御部H1が実行する火災物品搬送制御により収納部5からスタッカークレーン1に対する火災物品Wfの移載(掬い移載)が完了すると、消火制御として、スタッカークレーン1に保持されている火災物品Wfに対して第2設定時間だけ炭酸ガスを散布するべく消火手段Eの作動を制御する二次消火制御を実行するように構成されている。
【0068】
図16のフローチャートに示すように、一次消火制御が実行されると、一次消火用ボンベ開閉弁39aが開き操作され、第1ボンベ29aに充填されている炭酸ガスが、予め切り換えられている第1棚向き噴出ノズル31L又は第2棚向き噴出ノズル31Rから噴出が開始される。そして、開弁後10秒が経過すると、一次消火用ボンベ開閉弁39aが閉じ操作され、搬送制御部H1に対して、一次消火完了信号が出力される。同様に、二次消火制御が実行されると、図17のフローチャートに示すように、二次消火用ボンベ開閉弁39bが開き操作され、第2ボンベ29bに充填されている炭酸ガスが、フード内向き噴出ノズル31Cから噴出が開始される。そして、開弁後10秒が経過すると、二次消火用ボンベ開閉弁39bが閉じ操作され、搬送制御部H1に対して、二次消火完了信号が出力される。
【0069】
〔非常停止制御部〕
クレーンコントローラ27は、第1制御状態である場合に、光通信装置28の通信用光が途絶えるとスタッカークレーン1の走行作動を強制的に停止させる非常停止手段としての非常停止制御部H3をプログラム形式で備えている。すなわち、図12のフローチャートに示すように、非常停止制御部H3は、第1制御状態であるかどうか判別し、第1制御状態である間は、光通信装置28の通信用光の有無を監視しており、通信光が途絶えると、搬送制御部H1に対して停止指令を指令することで、地上側コントローラ15から搬送指令を送信できない、又は、クレーンコントローラ27から完了情報を送信できない事態が発生した場合は、スタッカークレーン1の作動を停止して、スタッカークレーン1の暴走等のトラブルを防止している。
【0070】
また、図12のフローチャートに示すように、非常停止部H3は、地上側コントローラ15及びクレーンコントローラ27が第2制御状態である場合は、光通信装置28の通信光の監視を行わない。これにより、消火剤としての炭酸ガスの影響で通信光が遮光されて、通信用光が途絶えてもスタッカークレーン1を強制的に停止させないようにしている。ところが、このように、第2制御状態では、非常停止制御部H3の機能を停止させるので、第2制御状態において、後述の火災物品搬送制御を実行してスタッカークレーン1を搬送作動させる場合に、走行作動・昇降作動を非常停止できない。そこで、先述の通り、地上側コントローラ15に、図13に示すフローチャートで示す扉監視制御を実行させて、扉スイッチによるメンテナンス扉の開き操作を監視して、開き操作された場合は、電力供給切換器46を遮断状態に切り換えて、作動用電力を遮断してスタッカークレーン1を強制的に停止させる機能を追加している。
【0071】
〔火災対策システム〕
地上側コントローラ15及びクレーンコントローラ27は、火災検知手段10により通常物品Wnの火災が検知されていない場合は、第1制御状態を維持し、火災検知手段10により通常物品Wnに火災が発生してそれが検知されると、第1制御状態から第2制御状態に切り換えるように構成されている。なお、地上側コントローラ15は火災検知手段10の火災検知情報に基づき制御状態を切り換え、クレーンコントローラ27は、地上側コントローラ15から出力される制御状態切換情報を受信すると制御状態が切り換わる。
【0072】
第1制御状態では、クレーンコントローラ27の搬送制御部H1は、走行用光式距離計21の検出距離に基づいて走行台車16の走行作動を制御する走行制御及び昇降用光式距離計22の検出距離に基づいて昇降台18の昇降作動を制御する昇降制御が実行される。
【0073】
第2制御状態では、クレーンコントローラ27の搬送制御部H1は、火災物品Wfが保持されている収納部5から水没荷受部6bに当該火災物品Wfを搬送するべく、スタッカークレーン1の走行作動及び移載作動を制御する火災物品搬送制御を実行する。
【0074】
火災物品搬送制御は、消火制御部H2による一次消火制御が完了すると実行が開始される。消火手段Eを作動させた直後は、極低温の炭酸ガスにより空気中の水蒸気が凝結することで霧状のガスが形成されるので、投射光が遮光されて走行用光式距離計21が使用できない状況が想定される。昇降用光式距離計22についても同様の事情である。そこで、火災物品搬送制御では、走行用光式距離計21や走行用光式距離計22の検出距離を用いずに、換言すると、走行中や昇降中の現在位置を把握することなく目標走行位置や目標昇降位置に停止させるようにしている。
【0075】
第2制御状態で走行台車16の走行作動を制御する場合、走行台車16の現在位置を把握できないので、走行停止用ドグDHの走行方向で下流側(オポジットポジション側)の端部に対して走行停止制御用第1近接センサSH1及び走行停止制御用第2近接センサSH2を順次検出作用させることで、走行台車16の減速及び停止を円滑に行うことができる。すなわち、図20に示すように、走行停止制御用第1近接センサSH1が走行停止用ドグDHの端部を検出したときに減速を開始させ、走行台車16の移動に伴って2つ目の走行停止制御用第2近接センサSH2が走行停止用ドグDHの端部を検出したときに走行用電動サーボモータM1に停止指令を指令する。そして、走行停止用ドグDHの走行方向の長さを走行停止制御用第1近接センサSH1及び走行停止制御用第2近接センサSH2の設置間隔よりも若干長くしておくことで、走行台車16を停止させた後に、二つの近接センサSH1・SH2がいずれもが走行停止用ドグDHを検出していることを確認することで、スタッカークレーン1が目標走行位置に適切に停止していることを確認できる。昇降台18の昇降制御についても同様である。
【0076】
第2制御状態におけるスタッカークレーン1の走行速度は、図20に示すように、第1制御状態におけるスタッカークレーン1の走行速度よりも低速に設定されており、第2制御状態における昇降台18の昇降速度についても、第1制御状態における前記昇降台18の昇降速度よりも低速に設定されているため、消火前走行制御及び消火前昇降制御では光距離計利用の比較的高速な走行作動及び昇降作動が行われるが、一次消火制御が完了した後に実行される火災物品搬送制御では停止制御用ドグ検出のための比較的低速な走行作動及び昇降作動が行われる。
【0077】
火災物品搬送制御では、クレーンコントローラ27の搬送制御部H1は、走行停止制御用第1近接センサSH1及び走行停止制御用第2近接センサSH2が、水没荷受部6bについての走行停止用ドグDHを検出するまでスタッカークレーン1を走行させて、スタッカークレーン1の走行経路における位置が、水没荷受部6bに対応して設定された目標走行位置に一致するように、スタッカークレーン1の走行作動を制御し、かつ、昇降停止制御用第1近接センサSV1及び昇降停止制御用第2近接センサSV2が、水没荷受部6bについての昇降停止用ドグDVを検出するまで昇降台18を昇降させて、昇降台18の昇降経路における位置が、水没荷受部6bに対応して設定された目標昇降位置に一致するように、昇降台18の昇降作動を制御する。
【0078】
クレーンコントローラ27の搬送制御部H1は、第2制御状態にて火災物品搬送制御を実行する場合において、収納部5からスタッカークレーン1に火災物品Wfを移載するときは、移載制御として、移載装置19を突出作動させてスライドフォーク20を火災物品Wfの下方で突出位置に位置させた後、設定昇降速度で設定時間だけ昇降台18を上昇させ、その後、移載装置19を引退作動させてスライドフォーク20を引退位置に位置させる火災物品搬送用掬い制御を実行するように構成されている。
【0079】
図18のフローチャートに示すように、火災物品搬送用掬い制御が実行されると、まず、移載装置19を突出作動させてスライドフォーク20を火災物品Wfの下方で突出位置に位置させるべく、フォーク用電動サーボモータM3からのフィードバック信号に基づき、突出量を制御する。その状態で、設定昇降速度で昇降台18の上昇作動を開始させ、設定時間が経過するまで上昇作動を継続させ、設定時間が経過すると、昇降台18の上昇作動を停止させる。そして、移載装置19を引退作動させてスライドフォーク20を引退位置に位置させるべく、フォーク用電動サーボモータM3からのフィードバック信号に基づき、引退量を制御する。
【0080】
クレーンコントローラ27の搬送制御部H1は、第2制御状態にて火災物品搬送制御を実行する場合において、水没荷受部6bへスタッカークレーンから火災物品Wfを移載するときは、移載制御として、移載装置19を突出作動させてスライドフォーク20を水没荷受台6bの上方で突出位置に位置させた後、設定昇降速度で設定時間だけ昇降台18を下降させ、その後、移載装置19を引退作動させてスライドフォーク20を引退位置に位置させる火災物品搬送用卸し制御を実行するように構成されている。
【0081】
図19のフローチャートに示すように、火災物品搬送用卸し制御が実行されると、まず、移載装置19を突出作動させてスライドフォーク20を水没荷受台6bの上方で突出位置に位置させるべく、フォーク用電動サーボモータM3からのフィードバック信号に基づき、突出量を制御する。その状態で、設定昇降速度で昇降台18の下降作動を開始させ、設定時間が経過するまで下降作動を継続させ、設定時間が経過すると、昇降台18の下降作動を停止させる。そして、移載装置19を引退作動させてスライドフォーク20を引退位置に位置させるべく、フォーク用電動サーボモータM3からのフィードバック信号に基づき、引退量を制御する。
【0082】
次に、収納部5に収納されている通常物品Wnが発火して火災が発生した場合の火災対策システムの制御フローを図14のフローチャートに基づいて説明する。まず、通常物品Wnに火災が発生すると、火災センサ10aが火災を検知し、火災検知装置10bがその火災物品Wfを収納する収納部5の位置情報特定する状態火災発生情報を出力する(#1〜#2)。これを受けた地上側コントローラ15は、スタッカークレーン1が待機状態であるか現在搬送作業中であるかを確認する。これは。指令済みの搬送指令についての完了情報の有無で確認できる(#3)。スタッカークレーン1が待機状態であれば、地上側コントローラ15は、クレーンコントローラ27に火災物品搬送処理を指令する(#5)。しかし、スタッカークレーン1が待機状態でなく、未完了の搬送指令の処理中であれば、地上側コントローラにて搬送作業終了制御が実行される(#4)。
【0083】
搬送作業終了制御は、図15のフローチャートに示すように、スタッカークレーン1が移載作動中か走行・昇降作動中かを確認する。これは、完了情報待ちの指令の種別を確認することで判別できる。すなわち、空搬送指令や実搬送指令の完了情報待ちであれば、スタッカークレーン1は走行・昇降作動中であると判別し、掬い移載指令や卸し移載指令の完了情報待ちであれば、スタッカークレーン1は移載作動中であると判別する(#D1)。移載作動中であれば、#D2で移載種別が判別される。これも完了情報待ちの指令済みの搬送指令の種別を確認することで判別できる(#D2)。卸し移載作動中であれば、その卸し作動が完了するまで待機するし、完了情報を受信次第、スタッカークレーン1は待機状態となるので、搬送作業終了制御は終了する(#D3)。掬い移載作動中であれば、当該移載作動を中断させ(#D4)、中断した状態から通常の掬い動作の逆モーションでスライドフォーク20を引退位置に復帰させる(#D5)。復帰が完了すればスタッカークレーン1は待機状態となるので、搬送作業終了制御は終了する。スタッカークレーン1が走行・昇降作動中である場合、まず、実搬送(通常物品Wnを搬送している状態)であるか空搬送(通常物品Wnを搬送していないが走行・昇降作動している状態)であるか判別される。これも、完了情報待ちの指令済みの搬送指令の種別を確認することで判別できる(#D6)。実搬送指令の処理中であれば、その搬送指令についての完了情報を待つ(#D7)。空搬送指令の処理中であれば、走行作動・昇降作動を中断して、スタッカークレーン1を即座に待機状態とすることができる(#D8)。
【0084】
図14に戻って、待機状態であるスタッカークレーン1に対して地上側コントローラ15が搬送指令として、火災物品Wfが収納されている収納部5を移載対象とする空搬送指令を指令する(#5)。そして、クレーンコントローラ27の搬送制御部が機能して、当該収納部5についての目標走行位置及び目標昇降位置を設定する(#6)。そして、走行用光式距離計21を利用した消火前走行制御(#7)、昇降用光距離計を利用した消火前昇降制御(#8)が第1制御状態において実行される。当然ながら、消火前走行制御及び消火前昇降制御は、通常物品Wnを出庫する場合に空搬送指令が指令されたときに実行される走行制御及び昇降制御と同じ処理内容である。
【0085】
このように、地上側コントローラ15及びクレーンコントローラ27が、第1制御状態において物品保持部4の間で通常物品Wnを搬送するべく走行制御又は移載制御を実行している途中に、火災検知手段10にて火災の発生が検知されると、通常物品Wnの搬送を中断又は完了させてスタッカークレーン1が通常物品Wnを保持していない状態としてから、消火前走行制御及び消火前昇降制御を実行するように構成されている。
【0086】
そして、走行制御及び昇降制御が完了すると、完了情報がクレーンコントローラ27から地上側コントローラ15に送信され、これにより地上側コントローラ15は第1制御状態から第2制御状態に切り換わるとともに、クレーンコントローラ27に対して制御状態切換情報を出力する。これによりクレーンコントローラ27も第1制御状態から第2制御状態に切り換わる(#9)。なお、地上側コントローラ15及びクレーンコントローラ27の夫々において、状態フラグを使って制御状態情報を管理するようにしてもよい。
【0087】
このように、地上側コントローラ15及びクレーンコントローラ27が、第1制御状態において、火災検知手段10にて火災の発生が検知されると、第1制御状態を維持した状態で、火災物品Wfを収納している火災物品保持部としての収納部5までスタッカークレーン1を走行させる消火前走行制御、及び、昇降用光式距離計22による検出距離に基づいて、昇降台18の位置が、当該収納部5に対応した掬い用の目標昇降位置となるように、昇降台18の昇降作動を制御する消火前昇降制御を実行し、これらの消火前走行制御及び消火前昇降制御の双方の実行が完了すると第1制御状態から第2制御状態に切り換えるように構成されている。
【0088】
第2制御状態に切り換わると、クレーンコントローラ27は、地上側コントローラ15の指令を受けることなく、昇降用光式距離計22の検出距離から昇降台18の昇降経路における位置(高さ)を取得し、予め記憶されている水没荷受台6bの高さ情報と比較して、火災物品搬送処理において昇降台18を昇降させるべき方向(上昇か下降か)を判別する(#10)。そして、判別した昇降方向は、メモリーに記録される(#11)。予定昇降方向の記憶が完了すると搬送制御部H1は、消火制御部H2に消火許可情報を出し、これにより消火制御部H2が、火災物品Wfを収納している収納部5が属する物品収納棚3に対応する側の噴出ノズルを選択するべく一次消火対象切換弁39cを切り換えた(#12)後、一次消火制御を実行する(#13)。
【0089】
一次消火制御が完了すると、消火制御部H2が搬送制御部H1に完了情報を出し、これにより搬送制御部H1が、火災物品搬送用掬い制御を実行する(#14)。一次消火制御により10秒間炭酸ガスが噴出された直後であるため周囲には煙が蔓延しているが、火災物品搬送用掬い制御では、前述の通り、昇降用光式距離計22を利用せずに、掬い時の上昇ストロークはタイマ制御により行うので、一次消火制御が完了した直後でも火災物品Wfを収納部5からスタッカークレーン1に移載することができる。
【0090】
火災物品搬送用掬い制御が完了すると、搬送制御部H1は、消火制御部H2に移載完了情報を渡すとともに、走行台車16をホームポジションHPに向く方向にて走行台車16を走行作動させ始め(#16)、同時に、昇降台18を記憶済みの昇降方向にて昇降台18を昇降作動させ始める(#19)。
【0091】
走行台車16は火災物品搬出用の走行速度で走行作動し続けて、走行停止制御用第1近接センサSH1が走行停止用ドグDHのオポジット側端部を検出すると、減速が開始され、続いて、走行停止制御用第2近接センサSH2が走行停止用ドグDHのオポジット側端部を検出すると走行台車の走行作動が停止される(#17〜#18)。
【0092】
昇降台18は火災物品搬出用の昇降速度で昇降作動し続けて、昇降停止制御用第1近接センサSH1が昇降停止用ドグDHのオポジット側端部を検出すると、減速が開始され、続いて、走行停止制御用第2近接センサSH2が走行停止用ドグDHのオポジット側端部を検出すると走行台車の走行作動が停止される(#20〜#21)。
【0093】
二次消火制御では、フード内向き噴出ノズル31Cから炭酸ガスが10秒間噴出される。二次消火制御が完了する前にスタッカークレーン1の移載装置19が水没荷受台6bに到着した場合は、二次消火制御が完了するまでそのまま待機する。そして、二次消火制御が完了すると、消火制御部H2が搬送制御部H1に対して、二次消火完了信号を出力する。これにより、スタッカークレーン1の移載装置19が水没荷受台6bに到着した後に、搬送制御部H1が火災物品搬送用卸し制御を実行する(#22)。一次消火制御による10秒間の炭酸ガスの噴出の後に二次消火制御により10秒間炭酸ガスが噴出された直後であるため周囲には煙が蔓延しているが、火災物品搬送用卸し制御では、前述の通り、昇降用光式距離計22を利用せずに、卸し時の下降ストロークはタイマ制御により行うので、二次消火制御が完了した直後でも火災物品Wfを収納部5からスタッカークレーン1に移載することができる。
【0094】
火災物品搬送用卸し制御が完了すると、スタッカークレーン1に設けた図外のインターロック用のセンサ等にて、水没荷受部6bの昇降制御部に移載完了信号を送信する。これにより、昇降制御部がシリンダ44を伸張させて、火災物品Wfが載置されている荷受枠43を水没高さに切り換えることで水槽42内に水没させ、火災物品Wfの火災を鎮火する(#23)。
【0095】
〔別の実施形態〕
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下、本発明の別実施形態について説明する。
【0096】
(1)上記実施形態では、物品搬送用の移動体としてスタッカークレーンを例示したが、これに限らず、物品搬送用の移動体としては、例えば、走行経路に沿って走行自在でかつ走行経路に沿って設定された複数の物品保持部としてのステーションとの間で物品を移載自在な自動搬送台車や、天井側に設けられた吊り下げレールに沿って走行自在な天井搬送車であってもよい。
【0097】
(2)上記実施形態では、地上側制御装置と移動体側移載装置とが光通信装置により無線通信自在に接続されたものを例示したが、これにかえて、例えば、走行経路に沿うフィーダ線を用いたフィーダ無線装置や、一般的な近距離無線通信装置により無線通信自在に接続されたものでもよい。
【0098】
(3)上記実施形態では、光式測距手段が移動体に設けられたものを例示したが、地上側に設けられたものでもよい。この場合、地上側制御装置が移動体側移載装置に走行速度指令を逐次指令する形態が好ましい。
【0099】
(4)上記実施形態では、消火手段が、移動体に設けられたものを例示したが、これに代えて又は加えて、例えば、物品収納棚3や床面に設ける等、消火手段を地上側に設けてもよい。
【0100】
(5)上記実施形態では、消火制御手段が移動体側制御装置と一体的に備えられたものを例示したが、消火制御手段を例えば、地上側の別の制御装置として設ける等、消火制御手段の具体的構成は、種々変更可能である。
【0101】
(6)上記実施形態では、消火剤として炭酸ガスであるものを例示したが、これに代えて、粉末消火剤や、発泡性消火剤などでもよい。
【0102】
(7)上記実施形態では、被検出体検出装置や昇降用被検出体検出装置が近接センサにて構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、リミットスイッチやフォトマイクロスイッチ等にて構成するなど、適宜変更可能である。また、被検出体検出装置や昇降用被検出体検出装置の取り付け箇所や形状や大きさ等も変更可能であり、被検出体検出装置や昇降用被検出体検出装置に応じて構成すればよい。
【0103】
(8)上記実施形態では、被検出体検出装置として近接センサを移動方向に一対並べて設けたものを例示したが、被検出体検出装置として近接センサを一つ又は3つ以上設けてもよい。昇降用被検出体についても同様である。
【0104】
(9)上記実施形態では、被検出体を火災物品鎮火部についてのみ設けられたものを例示したが、火災物品鎮火部を含む全ての又は一部の物品保持部に対応する位置に設けてもよい。
【0105】
(10)上記実施形態では、消火制御手段が一次消火制御及び二次消火制御を実行するものを例示したが、これに限らず、例えば、いずれかのみ実行する、又は、双方を実行した上にさらなる消火制御を実行するものであってもよい。
【0106】
(11)上記実施形態では、移載装置が物品載置体を出退自在に備えたものを例示したが、移載装置としては、一対の把持部を出退自在に備えたものであってもよい。物品保持部と移動体との移載態様は、種々変更可能である。
【0107】
(12)上記実施形態では、鎮火手段が水槽であるもの例示したが、鎮火手段としては、例えば、物品を砂や礫で消火剤を浴びながら低速で通過させる消火ゲートなど、種々のものが考えられる。
【符号の説明】
【0108】
Wn 物品
Wf 火災物品
E 消火手段
SH1、SH2 被検出体検出装置
SV1、SV2 昇降用被検出体検出装置
DH 被検出体
DV 昇降用被検出体
H2 消火制御手段
H3 非常停止手段
1 スタッカークレーン(移動体)
3 物品収納棚
4 物品保持部
5 収納部
6 荷受部
6b 火災物品鎮火部
10 火災検知手段
15 地上側制御装置(移動体制御装置)
16 走行台車
17 昇降マスト
18 昇降台
19 移載装置
20 物品載置体
21 光式測距手段
22 昇降用光式測距手段
27 移動体側制御装置(移動体制御手段)
28 光通信装置
42 鎮火手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って走行自在でかつ前記走行経路に沿って複数配置された物品保持部との間で物品を移載自在な物品搬送用の移動体と、
前記走行経路に沿う計測用光を投射して前記走行経路における走行用基準位置と前記移動体との間の距離を検出する光式測距手段と、
前記複数の物品保持部の間で物品を搬送するべく、前記光式測距手段による検出距離に基づいて、前記移動体の前記走行経路における位置が、前記物品保持部に対応して設定された目標走行位置に一致するように、前記移動体の走行作動を制御する走行制御及び前記物品保持部についての前記目標走行位置に前記移動体を停止させた状態で当該物品保持部との間で物品を移載する移載制御を実行自在な移動体制御手段と、
前記物品保持部に保持されている物品に火災が発生した場合に、火災の発生を検知する火災検知手段と、
消火剤を散布自在な消火手段と、
前記火災検知手段にて物品の火災の発生が検知されると、前記消火手段を作動させる消火制御手段とが設けられた物品搬送設備であって、
前記物品保持部に対応して地上側に設けられた停止制御用の被検出体と、
前記移動体側に設けられ、前記被検出体に検出作用して前記被検出体の存在を検出する被検出体検出装置とが設けられ、
前記移動体制御手段が、前記走行制御により前記移動体の走行作動を制御する第1制御状態と、前記被検出体検出装置が移載対象の前記物品保持部についての前記被検出体を検出するまで前記移動体を走行させて、前記物品保持部に対応して設定された目標走行位置に一致するように、前記移動体の走行作動を制御する第2制御状態とに切り換え自在に構成され、かつ、前記火災検知手段により物品の火災が検知されていない場合は前記第1制御状態を維持し、前記火災検知手段により物品の火災が検知されると、前記第1制御状態から前記第2制御状態に切り換えるように構成されている物品搬送設備。
【請求項2】
前記複数の物品保持部の少なくとも一つが、火災が発生した火災物品の火災を鎮火させる鎮火手段が備えられた火災物品鎮火部にて構成され、
前記被検出体が、前記火災物品鎮火部についてのみ設けられ、
前記火災検知手段が、前記複数の物品保持部のうち前記火災物品が保持されている火災物品保持部を特定する状態で火災の発生を検知するように構成され、
前記第2制御状態における前記移動体の走行速度は、前記第1制御状態における前記移動体の走行速度よりも低速に設定され、
前記移動体制御手段が、前記第1制御状態において、前記火災検知手段にて火災の発生が検知されると、前記第1制御状態を維持した状態で、前記火災物品保持部まで前記移動体を走行させる消火前走行制御を実行し、前記消火前走行制御の実行が完了すると前記第1制御状態から前記第2制御状態に切り換え、前記第2制御状態において、前記火災物品保持部から前記火災物品鎮火部に当該火災物品を搬送するべく、前記移動体の走行作動及び移載作動を制御する火災物品搬送制御を実行するように構成され、
前記消火制御手段が、前記消火前走行制御の実行が完了すると、前記消火手段を作動させる消火制御を実行するように構成されている請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記移動体制御手段が、前記第1制御状態において前記物品保持部の間で物品を搬送するべく前記走行制御又は前記移載制御を実行している途中に、前記火災検知手段にて火災の発生が検知されると、当該物品の搬送を中断又は完了させて前記移動体が物品を保持していない状態としてから、前記消火前走行制御を実行するように構成されている請求項2記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記消火手段が、前記移動体に配設され、前記火災物品保持部に保持されている前記火災物品に対して消火剤を散布自在で、かつ、前記移動体に保持されている前記火災物品に対して消火剤を散布自在に構成され、
前記消火制御手段が、前記消火前走行制御の実行が完了すると、前記消火制御として、前記火災物品保持部に保持されている前記火災物品に対して第1設定時間だけ消火剤を散布するべく前記消火手段の作動を制御する一次消火制御を実行し、かつ、前記火災物品搬送制御により前記火災物品保持部から前記移動体に対する前記火災物品の移載が完了すると、前記消火制御として、前記移動体に保持されている前記火災物品に対して第2設定時間だけ消火剤を散布するべく前記消火手段の作動を制御する二次消火制御を実行するように構成され、
前記移動体制御手段が、前記消火制御手段による前記一次消火制御が完了すると、前記火災物品搬送制御の実行を開始するように構成されている請求項2又は3記載の物品搬送設備。
【請求項5】
物品を収納する収納部を縦横に複数並べて構成された物品収納棚と、
前記物品収納棚の棚横幅方向で棚外方側に設けられた荷受部と、
前記物品収納棚の前面側に設定された前記走行経路に沿って走行自在でかつ前記収納部及び前記荷受部を前記物品保持部として、これらの物品保持部との間で物品を移載自在な前記移動体としてのスタッカークレーンとが設けられ、
前記荷受部の少なくとも一つが前記火災物品鎮火部に設定され、
前記スタッカークレーンは、
前記走行経路に沿って走行自在な走行台車と、
この走行台車に立設された昇降マストに沿う昇降経路を昇降自在な昇降台と、
物品を載置支持する物品載置体を、前記走行経路側に引退した引退位置と前記物品収納棚側に突出した突出位置との間で出退移動自在に備えて前記昇降台と一体昇降自在に設けられた移載装置と、
前記昇降マストに沿う計測用光を投射して前記昇降経路における昇降用基準位置と前記昇降台との間の距離を検出する昇降用光式測距手段と、
前記火災物品鎮火部に対して物品を移載するときの前記昇降台の昇降高さに対応させて前記昇降マストに配設された昇降停止制御用の昇降用被検出体と、
前記昇降台に設けられ、前記昇降用被検出体に検出作用して前記昇降用被検出体の存在を検出する昇降用被検出体検出装置とを備えて構成され、
前記移動体制御手段は、
前記第1制御状態において、前記物品保持部から前記スタッカークレーンに物品を移載する場合は、当該物品保持部に対応した目標走行位置に前記走行台車が位置するように、前記走行制御により前記走行台車の走行作動を制御し、かつ、前記昇降用光式測距手段による検出距離に基づいて、前記昇降台の位置が、当該物品保持部に対応した掬い用の目標昇降位置となるように、前記昇降台の昇降作動を制御し、前記移載制御として、前記走行台車を当該物品保持部に対応した目標走行位置に停止させた状態で、前記移載装置を突出作動させて前記物品載置体を物品の下方で前記突出位置に位置させた後、前記昇降用光式測距手段による検出距離が設定量だけ変化するように前記昇降台を上昇させ、その後、前記移載装置を引退作動させて前記物品載置体を前記引退位置に位置させる掬い制御を実行するように構成され、かつ、
前記第1制御状態において、前記物品保持部に前記スタッカークレーンから物品を移載する場合は、当該物品保持部に対応した目標走行位置に前記走行台車が位置するように、前記走行制御により前記走行台車の走行作動を制御し、かつ、前記昇降用光式測距手段による検出距離に基づいて、前記昇降台の位置が、当該物品保持部に対応した卸し用の目標昇降位置となるように、前記昇降台の昇降作動を制御し、前記移載制御として、前記走行台車を当該物品保持部に対応した目標走行位置に停止させた状態で、前記移載装置を突出作動させて前記物品載置体を当該物品保持部の上方で前記突出位置に位置させた後、前記昇降用光式測距手段による検出距離が設定量だけ変化するように前記昇降台を下降させ、その後、前記移載装置を引退作動させて前記物品載置体を前記引退位置に位置させる卸し制御を実行するように構成され、かつ、
前記第1制御状態において、前記火災検知手段にて火災の発生が検知されると、前記火災物品保持部としての前記収納部に対応して設定された目標走行位置まで前記スタッカークレーンを走行させるべく前記消火前走行制御を実行し、かつ、前記昇降用光式測距手段による検出距離に基づいて、前記昇降台の位置が、当該収納部に対応した掬い用の目標昇降位置となるように、前記昇降台の昇降作動を制御する消火前昇降制御を実行し、かつ、前記消火前走行制御及び前記消火前昇降制御の双方の実行が完了すると前記第1制御状態から前記第2制御状態に切り換えるように構成され、かつ、
前記第2制御状態にて前記火災物品搬送制御を実行する場合において、前記収納部から前記スタッカークレーンに前記火災物品を移載するときは、前記移載制御として、前記移載装置を突出作動させて前記物品載置体を前記火災物品の下方で前記突出位置に位置させた後、設定昇降速度で設定時間だけ前記昇降台を上昇させ、その後、前記移載装置を引退作動させて前記物品載置体を前記引退位置に位置させる火災物品搬送用掬い制御を実行するように構成され、かつ、
前記第2制御状態にて前記火災物品搬送制御を実行する場合において、前記火災物品鎮火部へ前記スタッカークレーンから前記火災物品を移載するときは、前記移載制御として、前記移載装置を突出作動させて前記物品載置体を前記火災物品鎮火部の上方で前記突出位置に位置させた後、設定昇降速度で設定時間だけ前記昇降台を下降させ、その後、前記移載装置を引退作動させて前記物品載置体を前記引退位置に位置させる火災物品搬送用卸し制御を実行するように構成されている請求項2〜4のいずれか1項記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記移動体制御手段が、前記走行経路の端部において地上側に設置された地上側制御装置と、前記移動体に設置され、前記走行経路に沿う通信用光を送受信する光式通信装置により前記地上側制御装置と無線通信自在に接続された移動体側制御装置とを備えて構成され、
前記移動体制御手段が前記第1制御状態である場合に、前記通信用光が途絶えると前記移動体の走行作動を強制的に停止させる非常停止手段が設けられ、
前記非常停止手段は、前記移動体制御手段が前記第2制御状態である場合は、当該通信用光が途絶えても前記移動体を強制的に停止させないように構成されている請求項1〜5のいずれか1項記載の物品搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−25549(P2012−25549A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166304(P2010−166304)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】