説明

物品洗浄装置

【課題】物品への汚れの再付着を低減できる物品洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄すべき物品を内部に密閉可能に収容する洗浄槽3と、洗浄槽3に形成される液体供給口5a及び上部に形成される液体排出口8に接続され、浄化されて循環する洗浄液7を貯留する洗浄液タンク手段6と、洗浄槽3に形成される液体供給口5a及び上部に形成される液体排出口8に接続され、浄化されて循環するすすぎ液16を貯留するすすぎ液タンク手段15と、一端が液体排出口8に接続され、他端が洗浄液タンク手段6又はすすぎ液タンク手段15に切り替え可能に接続されると共に、循環により通過する洗浄液7又すすぎ液16を浄化させるフィルタ手段9cと、フィルタ手段9cに接続され、液体排出口8とフィルタ手段9cとの間に滞留する洗浄液7又はすすぎ液16を排出可能なバルブ手段20gを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の表面に付着した汚れを洗浄する物品洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄槽内に収容される洗浄対象の物品を洗浄する物品洗浄装置としては、特許文献1に開示されるものが知られている。この特許文献1に開示される物品洗浄装置は、洗浄に供した洗浄液を浄化して循環利用させる液体循環回路として構成され、洗浄後に乾燥の工程を経て、表面に付着した汚れを除去した物品を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−238464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1に開示される物品洗浄装置においては、洗浄を複数回行う場合、液体循環回路中に残留した浄化前の洗浄液(古い洗浄液)と新たな洗浄液とが混ざり合って、古い洗浄液を含んだ洗浄液により洗浄を行っていた。また、洗浄液等をすすぎ液を用いて除去する工程(すすぎ工程)を加えた場合には、前工程で残留した汚れを含んだ洗浄液がすすぎ液に混ざり、すすぎ工程を経ても、洗浄液等が洗い流せていなかった。さらに、乾燥工程において、物品を乾燥させるために洗浄槽内に送り込まれる温風により、新たに汚れが付着していた。
つまり、上述した特許文献1に開示される物品洗浄装置においては、洗浄したことにより一度除去した汚れや装置から発生する新たな汚れが物品に再付着してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、物品への汚れの再付着を低減することができる物品洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品洗浄装置は、洗浄対象の物品を内部に密閉可能に収容し、液体供給口及び上部に設けられる液体排出口を有する洗浄槽と、前記液体供給口及び前記液体排出口に接続され、循環する洗浄液を貯留する洗浄液タンク手段と、前記液体供給口、及び前記液体排出口に接続され、循環するすすぎ液を貯留するすすぎ液タンク手段と、一端が前記液体排出口に接続され、他端が前記洗浄液タンク手段又は前記すすぎ液タンク手段に切り替え可能に接続されると共に、循環により通過する前記洗浄液又前記すすぎ液を浄化させる第1フィルタ手段と、前記第1フィルタ手段に接続され、前記液体排出口と前記第1フィルタ手段との間に滞留する前記洗浄液又は前記すすぎ液を排出可能に構成されるバルブ手段とを備える。
【0007】
また、本発明の物品洗浄装置は、洗浄対象の物品を内部に密閉可能に収容し、液体供給口、上部に設けられる液体排出口、及び温風供給口を有する洗浄槽と、前記液体供給口及び前記液体排出口に接続され、循環する洗浄液を貯留する洗浄液タンク手段と、前記液体供給口及び前記液体排出口に接続され、循環するすすぎ液を貯留するすすぎ液タンク手段と、前記温風供給口を介して、前記洗浄槽内に供給される温風を生成する温風発生手段と、前記温風供給口と前記温風発生手段との間に設けられる第2フィルタ手段とを備える。
【0008】
また、本発明の前記温風発生手段は、温風の通風路となるダクトに巻きつけて取り付けられるバンドヒータであることが好ましい。
【0009】
また、本発明の物品洗浄装置は、洗浄対象の物品を内部に密閉可能に収容する洗浄槽と、前記洗浄槽に接続され、循環する洗浄液を貯留する洗浄液タンク手段と、往復移動可能なシリンダロッド、並びに当該シリンダロッドにより隔てられると共に前記洗浄液タンク手段からの洗浄液を収容可能な供給側圧縮室及び駆動側圧縮室を内部に有するシリンダと、を備え、前記シリンダは、前記駆動側圧縮室に洗浄液が供給されることにより、前記シリンダロッドが前記供給側圧縮室方向に移動して前記供給側圧縮室に収容される洗浄液を圧縮し、圧縮した洗浄液を前記洗浄槽に供給する。
【0010】
また、本発明の物品洗浄装置は、洗浄対象の物品を内部に密閉可能に収容する洗浄槽と、前記洗浄槽に供給する洗浄液を貯留する洗浄液タンク手段と、前記洗浄槽に供給するエアを発生させるエア供給手段と、往復移動可能なシリンダロッド、並びに当該シリンダロッドにより隔てられる共に前記エア供給手段からのエアを収容可能な供給側圧縮室及び駆動側圧縮室を有するシリンダと、を備え、前記シリンダは、前記駆動側圧縮室に前記エア供給手段からエアが供給されることにより、前記シリンダロッドが前記供給側圧縮室方向に移動して前記供給側圧縮室に収容されるエアを圧縮し、前記洗浄槽に圧縮したエアを供給する。
【0011】
また、本発明の物品洗浄装置は、内部に洗浄対象の物品を回転可能に保持する容器部を有し、前記容器部を内部に密閉可能に収容する洗浄槽と、前記洗浄槽に供給する洗浄液を貯留する洗浄液タンク手段と、前記容器部を駆動源により駆動可能な駆動手段と、を備え、前記駆動手段は、往復移動可能なシリンダロッドを内部に有し、前記駆動源により当該シリンダロッドを往復移動させることにより、前記容器部を正回転又は逆回転に駆動させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物品への汚れの再付着を低減することができる物品洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る物品洗浄装置の第1実施形態を示す模式図である。
【図2】第1実施形態の物品洗浄装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】第1実施形態の物品洗浄方法を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態の物品洗浄装置を示す模式図である。
【図5】第3実施形態の物品洗浄装置を示す模式図である。
【図6】第4実施形態の物品洗浄装置を示す模式図である。
【図7】第5実施形態の物品洗浄装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る物品洗浄装置の第1実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明に係る物品洗浄装置の一実施形態を示す図である。図2は、本発明に係る物品洗浄装置の機能を示す機能ブロック図である。
本実施形態における物品洗浄装置1は、例えば、製造直後の電子部品や精密部品等の洗浄対象の物品となる物品(図示せず)の洗浄に供される。洗浄に供される物品の表面には、例えば、油脂、切削油、液晶、フラックス等の有機物を主体とする不純物(汚れ)が付着している。
【0015】
なお、本明細書において、説明の便宜上、単に「洗浄」という場合には、図3のフローに示すように、洗浄工程ステップS10、すすぎ工程ステップS20及び乾燥工程ステップS30を経ることをいう。また、「洗浄液による物品の洗浄」という場合には、後述する洗浄工程ステップS10(具体的には、ステップS13)のみを経ることをいう。
また、本実施形態における洗浄液7は、環境保護の観点から、例えば、ケロシン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素系溶剤、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系溶剤、フロン系溶剤以外の溶剤が用いられるが、これらに限られるものではない。
【0016】
本実施形態の物品洗浄装置1は、図1に示すように、洗浄槽3と、洗浄槽3の内部に収容される有孔容器4bと、有孔容器4bを回転させる回転駆動手段4aと、洗浄槽3を経由して洗浄液7を循環させる洗浄液供給手段と、洗浄槽3を経由してすすぎ液16を循環させるすすぎ液供給手段と、洗浄槽3にガスを供給するガス供給手段と、洗浄槽3に温風を供給する温風供給手段と、洗浄槽3への洗浄液等の供給を制御する制御手段30(図2参照)とを備える。
【0017】
なお、本明細書において、説明の便宜上、単に「洗浄」という場合には、図3のフローに示すように、洗浄工程ステップS10、すすぎ工程ステップS20及び乾燥工程ステップS30を経ることをいう。また、「洗浄液による物品の洗浄」という場合には、後述する洗浄工程ステップS10(具体的には、ステップS13)のみを経ることをいう。
また、本実施形態における洗浄液7は、環境保護の観点から、例えば、ケロシン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素系溶剤、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系溶剤、フロン系溶剤以外の溶剤を用いるが、これに限られるものではない。
【0018】
物品洗浄装置1は、図1に示すように、洗浄槽3と、有孔容器4bと、回転駆動手段4aと、洗浄液供給手段と、すすぎ液供給手段と、エア供給手段と、温風供給手段と、制御手段30(図2参照)とを備える。
【0019】
洗浄槽3は、容器部2bと、蓋手段2aとを備える。容器部2bは、上部が開放し、内部に有孔容器4bを収容可能に構成される。容器部2bは、上部の側方部分に、液体排出口8を備え、蓋手段2aに温風供給口18を備える。容器部2bは、下部の側方部分に、液体供給口5aとエア供給口5bとすすぎ液排出口17とを備える。容器部2bは、上部の開放部分に蓋手段2aを取り付けることにより、内部が密閉状態となる。容器部2bに蓋手段2aを取り付けて密閉状態にすることで、洗浄槽3は、後述する圧力調整手段10等による高圧条件下でも耐えられる耐圧性能を発揮することができる。
【0020】
有孔容器4bは、上方が開放し、内部に複数の物品を収容可能に形成される。有孔容器4bは、内部に物品の端縁を固定可能な固定部(図示せず)を有する。有孔容器4bは、側壁部分や底壁部分に直径5〜7mm程度の多数の孔4fを有する。有孔容器4bは、洗浄槽3の外部に突出してベルト4dに連結される回転軸4cを有する。
【0021】
回転駆動手段4aは、出力軸4eを有するインバータモータにより構成される。出力軸4eは、有孔容器4bの回転軸4cにベルト4dを介して接続される。本実施形態では、回転駆動手段4aがインバータモータにより構成されるために、洗浄処理、すすぎ処理及び乾燥処理の各処理に応じて、有孔容器4bの回転速度を変更することができる。なお、回転駆動手段4aは、インバータモータに限られず、電動モータ等の他の駆動手段であってもよい。
【0022】
洗浄液供給手段は、洗浄液タンク手段6と、加熱手段14aと、エア源28aと、バルブ手段20bと、ポンプ手段11と、フィルタ手段9cと、バルブ手段20gと、圧力調整手段10とを備える。
【0023】
洗浄液タンク手段6は、内部に洗浄液7を貯留可能に形成される。洗浄液タンク手段6は、サクションフィルタ9aを備える。サクションフィルタ9aは、バルブ手段20bに接続され、洗浄液7が通過することにより、洗浄液7に混入する塵等を除去するように構成される。
【0024】
また、洗浄液タンク手段6には、エアーブリーザ27aが接続される。エアーブリーザ27aは、洗浄液タンク手段6の内部のエア抜き可能に構成され、洗浄液タンク手段6の内部の圧力を調整することができる。
【0025】
また、洗浄液タンク手段6には、供給用電磁弁23a及びフロートスイッチ25aが接続される。また、洗浄液タンク手段6には、水位を計測可能な水面計24aが設けられる。供給用電磁弁23aは、外部タンク等(図示せず)に接続され、外部タンク等から洗浄液タンク手段6に洗浄液7を供給(補充)可能に構成される。フロートスイッチ25aは、供給用電磁弁23aに接続され、洗浄液タンク手段6の洗浄液7の水位に基づいて、供給用電磁弁23aを制御可能に構成される。
【0026】
なお、本実施形態では、供給用電磁弁23aがフロートスイッチ25aにより制御されるように構成したが、これに限られない。例えば、供給用電磁弁23aは、水面計24aにより計測される水位に基づいて、制御手段30により制御されるように構成することができる。
【0027】
また、洗浄液タンク手段6には、サーモスタッド26aが接続されている。サーモスタッド26aは、洗浄液7が一定の温度以下になったときに、洗浄液7を加温を開始する等の方法により、洗浄液7の自動的に加温可能に構成される。
【0028】
加熱手段14aは、洗浄液タンク手段6に接続される。加熱手段14aは、洗浄液タンク手段6に貯留される洗浄液7の水温を一定の温度に加温可能に構成される。本実施形態において、加熱手段14aは、洗浄液7の粘度を低くすると共に、油汚れを除去しやすくするために油の溶解温度帯と合致するように、洗浄液7を約40℃〜約60℃に加温する。
【0029】
エア源28aは、洗浄液タンク手段6に接続され、外部から取り込んだエアを洗浄液タンク手段6の内部に供給可能なエアコンプレッサにより構成される。
【0030】
バルブ手段20bは、ポンプ手段11に接続され、洗浄液タンク手段6の内部に貯留される洗浄液7を洗浄槽3に供給可能な電磁弁により構成される。
【0031】
ポンプ手段11は、洗浄槽3の液体供給口5aに接続され、洗浄液タンク手段6から洗浄液7を供給可能に構成される。また、ポンプ手段11は、圧縮した洗浄液7を洗浄槽3へ供給可能に構成される。本実施形態において、ポンプ手段11は、洗浄液7を13〜15MPA(本実施形態においては、例えば14MA)の圧力になるように洗浄槽3に供給する。
【0032】
液体供給口5aとポンプ手段11との間には、逆止弁21aが設けられる。逆止弁21aは、ポンプ手段11から洗浄槽3への方向から圧力が加わったときにのみ、洗浄液7が通過可能に構成される。また、ポンプ手段11と逆止弁21aとの間には、ポンプ手段11から供給される洗浄液7の圧力を計測可能な圧力計22aが設けられる。
【0033】
フィルタ手段9cは、洗浄槽3の液体排出口8に接続され、洗浄槽3の内部から洗浄液7の排出が行われたときに、物品から除去された汚れ等をろ過し、洗浄液7を浄化するように構成される。
【0034】
バルブ手段20gは、フィルタ手段9cに接続され、液体排出口8とフィルタ手段9cとの間に滞留した洗浄液7を排出可能な電磁弁により構成される。
【0035】
圧力調整手段10は、フィルタ手段9cに接続され、洗浄槽3の内部の圧力を調整可能に構成される。本実施形態において、圧力調整手段10は、洗浄槽3の内部の圧力を3〜10MPAに調整する。圧力調整手段10とフィルタ9cとの間には、洗浄槽3の内部の圧力を計測可能な圧力計22bが設けられる。
【0036】
バルブ手段20aは、圧力調整手段10に接続され、洗浄槽3の内部に貯留する洗浄液7を洗浄液タンク手段6に導入可能な電磁弁として構成される。
【0037】
すすぎ液供給手段は、すすぎ液タンク手段15と、加熱手段14bと、エア源28bと、バルブ手段20dと、ポンプ手段11と、バルブ手段20eとを備える。
【0038】
洗浄液供給手段及びすすぎ液供給手段において、ポンプ手段11、フィルタ手段9c、バルブ手段20g及び圧力調整手段10は、兼用して使用される。
【0039】
すすぎ液タンク手段15は、洗浄液タンク手段6に並列的に配置され、内部にすすぎ液16を貯留可能に形成される。すすぎ液タンク手段15は、洗浄液タンク手段6と同様に、サクションフィルタ9bを備える。サクションフィルタ9bは、バルブ手段20dと接続され、すすぎ液16が通過することにより、すすぎ液16に混入する塵等を除去するように構成される。
【0040】
また、すすぎ液タンク手段15には、エアーブリーザ27bが接続される。エアーブリーザ27bは、すすぎ液タンク手段15の内部の圧力を調整するために、すすぎ液タンク手段15の内部のエア抜きが可能に構成される。
【0041】
また、すすぎ液タンク手段15には、洗浄液タンク手段6と同様に、供給用電磁弁23b、フロートスイッチ25b及び水面計24bが接続される。供給用電磁弁23bは、外部タンク等(図示せず)と接続され、外部タンク等からすすぎ液タンク手段15にすすぎ液16を供給(補充)可能に構成される。フロートスイッチ25bは、供給用電磁弁23bに接続され、すすぎ液タンク手段15のすすぎ液体16の水位に基づいて、供給用電磁弁23bの開放又は閉鎖(開閉)が制御される。
【0042】
なお、本実施形態では、供給用電磁弁23bがフロートスイッチ25bにより制御されるように構成したが、これに限られない。例えば、供給用電磁弁23bは、水面計24bにより計測される水位に基づいて、制御手段30により制御されるように構成することができる。
【0043】
また、すすぎ液タンク手段15には、洗浄液タンク手段6と同様に、サーモスタッド26bが接続される。サーモスタッド26bは、サーモスタッド26aと同様に、洗浄液7が一定の温度以下になったときに、洗浄液7を加温を開始する等の方法により、すすぎ液16の自動的に加温可能に構成される。
【0044】
加熱手段14bは、すすぎ液タンク手段15に取り付けられる。加熱手段14bは、すすぎ液タンク手段15に貯留されるすすぎ液16の水温を一定の温度に加温可能に構成される。なお、本実施形態において、加熱手段14bは、洗浄液7の油汚れを除去されやすくするために油の溶解温度帯と合致するように、すすぎ液16を約40℃〜約60℃に加温する。
【0045】
エア源28bは、すすぎ液タンク手段15に接続され、外部から取り込んだエアをすすぎタンク手段15の内部に供給可能なエアコンプレッサにより構成される。
【0046】
バルブ手段20dは、ポンプ手段11に接続され、すすぎ液タンク手段15の内部に貯留されるすすぎ液16を洗浄槽3に供給可能な電磁弁により構成される。
【0047】
バルブ手段20cは、圧力調整手段10に接続され、洗浄槽3の内部に貯留するすすぎ液16をすすぎ液タンク手段15に導入可能な電磁弁として構成される。
【0048】
エア供給手段は、エアの供給源となるエア源28と、エア増圧器13と、フィルタ手段9eとを備える。エア源28は、フィルタ手段9eに接続され、エアをエア増圧器13に供給可能なエアコンプレッサにより構成される。
【0049】
フィルタ手段9eは、エア増圧器13に接続され、エア源28から取り込んだエアから塵等が除去可能に構成される。
【0050】
エア増圧器13は、エア供給口5bに接続され、エア源28から供給されたエアを圧縮して、洗浄槽3の内部に供給可能に構成される。エア増圧器13と洗浄槽3との間には、逆止弁21bが接続される。逆止弁21bは、エア増圧器13から洗浄槽3への圧力が加わったときにのみ、エアが通過可能に構成される。
【0051】
温風供給手段は、エア源28と、フィルタ手段9eと、温風発生手段19と、バルブ手段20fと、第2フィルタ手段となるフィルタ手段9dとを備える。エア源28及びフィルタ手段9eは、塵等を除去したエアとして温風発生手段19に供給可能に構成される。本実施形態において、エア源28及びフィルタ手段9eは、兼用して使用される。
【0052】
温風発生手段19は、バルブ手段20fに接続され、物品を乾燥可能な程度の温度にエアを暖めるように構成される。本実施形態において、温風発生手段19は、エアのダクト19aに巻き付けられるバンドヒータにより構成される。ダクト19aは、バンドヒータ19の取り付けや熱の伝達効率等を考慮して、金属製のパイプにより形成される。
【0053】
バルブ手段20fは、フィルタ手段9dに接続され、エア源28からのエアを洗浄槽3の内部に供給可能な電磁弁により構成される。
【0054】
フィルタ手段9dは、洗浄槽3の温風供給口18に接続される。フィルタ手段9dは、バンドヒータ19により暖められたエアの通過により、ダクト19aの内部の塵(バンドヒータ19の熱により酸化したダクト19aの内壁から剥離した酸化膜等)を除去可能に構成される。
【0055】
フィルタ手段9dと洗浄槽3との間には、逆止弁21cが接続される。逆止弁21cは、フィルタ手段9dから洗浄槽3への圧力が加わったときにのみ、エアを通過可能に構成される。
【0056】
制御手段30は、図2に示すように、洗浄液供給手段と、すすぎ液供給手段と、エア供給手段と、温風供給手段と、回転駆動手段4aとに接続される。制御手段30は、バルブ手段20a〜20gの開閉と、ポンプ手段11による洗浄液7及びすすぎ液16の供給と、エア源28a、28bのエアの供給調整と、回転駆動手段4aの回転駆動と、圧力調整手段10の圧力調整と、エア供給手段のエアの供給とを制御可能に構成される。
【0057】
以上のように構成される第1実施形態の物品洗浄装置1は、液体循環回路中で、洗浄工程ステップS10と、すすぎ工程ステップS20と、乾燥工程ステップS30とを単一の装置だけで行うことができる。また、物品洗浄装置1は、洗浄を行うことにより、物品の製造時に物品に付着した汚れを除去すると共に、装置の運用により装置から新たに生成された汚れや、一度除去した汚れの物品への再付着を低減して、物品の洗浄を行うことができる。
【0058】
ここで、本実施形態の物品洗浄装置1における物品の洗浄方法について、図1〜図3を用いて、説明する。図3は、本発明に係る物品洗浄方法の一実施形態のフローを示すフローチャート図である。
本実施形態の物品洗浄方法は、洗浄工程ステップS10と、すすぎ工程ステップS20と、乾燥工程ステップS30との3工程により行われる。
【0059】
また、物品洗浄装置1における物品の洗浄方法においては、洗浄工程ステップS10に移行する前に、まず、洗浄槽3の有孔容器4bに物品を固定する。物品の固定は、有孔容器4bの固定部に物品の端縁を取り付けることにより行う。有孔容器4bを収容する容器部2bには、有孔容器4bに物品が固定された後に、蓋手段2aが取り付けられる。これにより、洗浄槽3の内部は、密閉状態で閉塞される。洗浄槽3においては、内部が密閉された状態で、圧力調整手段10により圧力の調整がなされる。この際、洗浄槽3の内部の圧力は、3〜10MPAに調整される。洗浄槽3の内部の圧力は、圧力調整手段10と洗浄槽3との間に設けられる圧力計22aにより計測された値に基づいて調整される。
【0060】
洗浄工程ステップS10のステップS11において、物品洗浄装置1では、バルブ手段20a〜20eの調整がされる。バルブ手段20a〜20eの調整は、制御手段30により、バルブ手段20bを開放し、バルブ手段20a、バルブ手段20c〜20gを閉鎖する制御をすることにより行われる。これにより、物品洗浄装置1においては、洗浄液7が洗浄液タンク手段6から洗浄槽3に供給可能な状態となる。
【0061】
ステップS12において、物品洗浄装置1では、洗浄槽3への洗浄液7の供給及びエアの供給が行われる。洗浄液7の供給は、制御手段30により、ポンプ手段11を洗浄液タンク手段6から洗浄液7を洗浄槽3に供給する制御をすることにより行われる。
【0062】
この際、ポンプ手段11は、洗浄液7の圧力を14MPAになるように圧縮して、洗浄液7を洗浄槽3に供給する。このため、洗浄槽3の内部は、ポンプ手段11により高圧の洗浄液7が供給されるために、物品に付着した汚れが除去されやすい状態になる。
【0063】
また、洗浄槽3には、ポンプ手段11により洗浄槽3の内部の圧力(3〜10MPA)よりも高い圧力(14MPA)の洗浄液7が供給される。これにより、本実施形態の物品洗浄装置1では、洗浄槽3の内部とポンプ手段11から供給される洗浄液7との圧力の差を利用して、洗浄液7の循環を円滑に行うことができる。この際の洗浄液7の圧力は、圧力計22aにより測定された値に基づいて調整される。
【0064】
また、供給される洗浄液7は、加熱手段14aやサーモスタッド26aにより約40℃〜約60℃の温度に加温されているために、洗浄液7の粘度が低い状態となる。その結果、物品洗浄装置1においては、高い洗浄力を発揮できる状態となる。この際、洗浄液7は、油脂等の溶解温度帯と合致する温度であるために、油汚れの溶解を促すことができる。
【0065】
また、本ステップにおいて、物品洗浄装置1では、洗浄槽3に洗浄液7の供給と同時にエア供給手段によりエア源28からエアが供給される。エアの供給は、まず、エア源28からエアを取り込むことにより行われる。取り込まれたエアは、フィルタ手段9eを経由して、エア増圧器13に取り込まれる。この際、エアに含まれる塵等は、フィルタ手段9eにより取り除かれる。エア増圧器13に取り込まれたエアは、圧縮されて洗浄槽3に供給される。この際、エア増圧器13により圧縮されたエアは、エア増圧器13側から供給されるため逆止弁21bを開放し、洗浄槽3に供給される。この際、圧縮されたエアを洗浄槽3の内部に供給するため、洗浄槽3の内部は、高圧となる。
【0066】
なお、物品洗浄装置1においては、高圧の洗浄液7やエアが洗浄槽3の内部に供給されても、バルブ手段20a〜20eが閉鎖されており、逆止弁21cには閉鎖する方向からの圧力がかかるために、洗浄液7やエアが他の供給経路に流れ込むことがない。
【0067】
ステップS13において、物品洗浄装置1では、制御手段30により、電動モータ4aにより有孔容器4bの回転制御が行われる。これにより、洗浄槽3の内部には、乱流が発生する。さらに、洗浄液7の中には、高圧のエア及び洗浄液7とで、微細な気泡が発生する。この結果、物品には、微細な気泡と洗浄液7とが衝突し、ハンマーリング作用によって、物品の表面の汚れが除去される。この際、物品には、微細の気泡が覆っており、この気泡がクッションとなり衝撃が緩和されるために、物品が破損しにくくなる。
【0068】
ステップS14において、物品洗浄装置1では、洗浄液7の洗浄槽3からの排出が行われる。洗浄液7の排出は、圧力調整手段10の圧力負荷を解除し、バルブ手段20aを開放することにより行われる。これにより、洗浄液7は、液体排出口8からフィルタ手段9cを通過して、洗浄液タンク手段6に流れ込む。そして、フィルタ手段9cを通過した洗浄液7は、使用済みの洗浄液7から汚れ等が取り除かれて(浄化されて)、再利用可能な状態となる。
【0069】
なお、洗浄液7が排出される液体排出口8は、洗浄槽3の上部に配置されている。このために、洗浄液7よりも比重が小さく洗浄液7の上部に浮き上がった油汚れは、液体排出口8の付近にあるために下部の洗浄液7よりも先に排出される。したがって、物品洗浄装置1においては、洗浄槽3の内壁や物品に油汚れが付着しにくくなる。
【0070】
また、本ステップS14において、物品洗浄装置1では、使用済みの洗浄液7を洗浄槽3から排出した後に、バルブ手段20gが開放され、液体排出口8とフィルタ手段9cとの間に滞留した使用済みの洗浄液7が排出される。これにより、液体排出口8とフィルタ手段9cとの間には、使用済みの洗浄液7が無いために、すすぎ液16と使用済みの洗浄液7とが混ざり合いにくくなる。
この際、物品洗浄装置1においては、使用済み洗浄液7が外部に排出された場合であっても、洗浄液タンク手段6に貯留される洗浄液7の残量が一定量になるとフロートスイッチ25aが作動して、供給用電磁弁23aが開放される。その結果、洗浄液タンク手段6には、外部タンク等から新たな洗浄液7が補充される。
【0071】
なお、物品洗浄装置1は、物品の汚れの程度等を考慮して、ステップS13とステップS14とを複数回繰り返し行うことも可能である。このように設定することにより、物品洗浄装置1は、高圧のエアや洗浄液7で物品の汚れを落とすと共に、加熱手段14a等により洗浄液7を汚れの落ちやすい温度にして物品の汚れ落ちを促進しているために、効率的に物品の汚れを除去することができると共に、洗浄液7を再利用することにより少ない洗浄液7で効率良く、また、低いランニングコストで洗浄をすることができる。
【0072】
ステップS21において、物品洗浄装置1では、バルブ手段20a〜20gの開閉が行われる。具体的には、制御手段30によりバルブ手段20dを開放し、バルブ手段20a〜バルブ手段20c、バルブ手段20f、及びバルブ手段20eを閉鎖する制御が行われる。このように制御されることにより、すすぎ液タンク手段15から洗浄槽3にすすぎ液16が供給可能な状態となる。
【0073】
ステップS22において、物品洗浄装置1では、すすぎ液16の洗浄槽3への供給が行われる。すすぎ液16の供給は、制御手段30により、すすぎ液16をすすぎ液タンク手段15から洗浄槽3に供給するようにポンプ手段11が制御されることにより行われる。このように制御することにより、すすぎ液16は、ポンプ手段11側から供給されるために、逆止弁21aが開放される。この結果、すすぎ液16は、洗浄槽3に供給される。
【0074】
この際、ポンプ手段11は、洗浄液7の循環の場合と同様に、すすぎ液16の圧力が14MPAになるようにすすぎ液16を圧縮して、洗浄槽3の内部にすすぎ液16を供給する。この際、洗浄槽3の内部は、3〜10MPAとなるように設定されており、この洗浄槽3の内部にすすぎ液16を洗浄槽3よりも高い14MPAの圧力で供給することにより、圧力の高低差を利用して、すすぎ液16の循環を円滑に行うことができる。
【0075】
ステップS23において、物品洗浄装置1では、洗浄槽3からすすぎ液16の排出が行われる。すすぎ液16の排出は、洗浄液7の排出と同様に、制御手段30により、圧力調整手段10の圧力負荷を解除し、バルブ手段20cを開放することにより行われる。その結果、すすぎ液16は、フィルタ手段9cを通過してすすぎ液タンク手段15に流れ込む。物品の表面に付着した洗浄液7と汚れを除去した使用済みのすすぎ液16は、フィルタ手段9cを通過することにより、使用済みのすすぎ液16が浄化されて、再利用可能な状態となる。
【0076】
使用済みのすすぎ液16は、使用済みの洗浄液7と同様に、洗浄槽3の上部に設けられた液体排出口8から排出される。このため、洗浄工程ステップS10では、除去しきれなかった油汚れがあった場合でも、効率的に除去することができる。
【0077】
また、本ステップにおいて、物品洗浄装置1では、洗浄液7の排出の場合と同様に、使用済みのすすぎ液16を洗浄槽3から排出した後に、バルブ手段20gが開放され、液体排出口8とフィルタ手段9cとの間に滞留した使用済みのすすぎ液16が排出される。これにより、液体排出口8とフィルタ手段9cとの間には、使用済みのすすぎ液16が無いために、洗浄液7と使用済みのすすぎ液16とが混ざり合いにくくなる。
この際、物品洗浄装置1においては、使用済みすすぎ液16が外部に排出された場合であっても、すすぎ液タンク手段15に貯留されるすすぎ液16の残量が一定量になるとフロートスイッチ25bが作動して、供給用電磁弁23bが開放される。その結果、すすぎ液タンク手段15には、外部タンク等から新たなすすぎ液16が補充される。
【0078】
また、本ステップにおいて、物品洗浄装置1では、制御手段30により、バルブ手段20eがバルブ手段20gと共に開放される。バルブ手段20eは、洗浄槽3の下部に設けられるすすぎ液排出口17に接続されるために、洗浄槽3の下部に沈降し、滞留した比重の大きい汚れ(例えば、金属片等)を積極的に排出することができる。
【0079】
したがって、バルブ手段20gとバルブ手段20eにより洗浄槽3の内部には、物品から剥離した汚れがなくなるために、後述する乾燥工程ステップS30により、温風が洗浄槽3の内部に送り込まれても、物品に汚れが付着したり、汚れが衝突して物品に傷が付きにくくなる。
【0080】
ステップS31において、物品洗浄装置1では、バルブ手段20a〜20gの開閉の調整が行われる。具体的には、制御手段30により、バルブ手段20fを開放し、バルブ手段20a〜バルブ手段20eを閉鎖する制御を行う。これにより、洗浄槽3には、温風供給手段から乾燥した温風が供給可能な状態となる。
【0081】
ステップS32において、物品洗浄装置1は、洗浄工程ステップS10とすすぎ工程ステップS20により湿った物品の乾燥が行われる。物品の乾燥は、エア源28により取り込まれ、かつ、ダクト19aに巻きつけられるバンドヒータ19で温められたエアを洗浄槽3の内部に送り込むことにより行われる。
【0082】
この際、バンドヒータ19と洗浄槽3との間には、フィルタ手段9dが設けられているために、バンドヒータ19により酸化したダクト19aの内壁から剥離した酸化膜等は除去される。
【0083】
このように構成される物品洗浄装置1では、液体排出口8とフィルタ手段9cとの間にバルブ手段20gが設けられているために、洗浄工程ステップS10が終了した際に、液体排出口8とフィルタ手段との間に滞留した使用済の洗浄液7(浄化されていない洗浄液7)を排出することができる。
【0084】
これにより、複数回洗浄工程ステップS10やすすぎ工程ステップS20を行う場合に、前回除去した汚れや洗浄液7が再度物品に付着することを低減することができる。
【0085】
また、物品洗浄装置1においては、温風発生手段19と温風供給口18との間にフィルタ手段9dを設けることにより、温風発生手段19から塵等が洗浄槽3の内部に吹き込むことがなく、洗浄後の物品に汚れが再付着することを低減することができる。
【0086】
また、温風発生手段19は、温風の通風路となる金属製のパイプ(ダクト19a)に巻きつけられるバンドヒータにより構成される。このため、バンドヒータ19からの熱により酸化したダクト19aの内壁には、酸化膜が形成される。この酸化膜は、洗浄槽3への送風により洗浄槽3の内部に送り込まれてしまう虞がある。しかし、本実施形態の物品洗浄装置1においては、フィルタ手段9dがバンドヒータ19と洗浄槽3との間に設けられるために、酸化膜が洗浄槽3の内部に送り込まれることはなく、物品に汚れが付着しにくく、物品を傷付きにくくなる。
【0087】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上述した第1実施形態と異なる点を主に説明し、同様の点は、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。図4は、第2実施形態の物品洗浄装置を示す模式図である。
【0088】
第2実施形態における物品洗浄装置1は、前述の第1実施形態に加えて、さらにシリンダ31により増圧した高圧の洗浄液7やすすぎ液16を洗浄槽3に供給するような構成が主に変更される。
【0089】
具体的には、第2実施形態の物品洗浄装置1おいて、洗浄槽3は、洗浄対象の物品を内部に密閉可能に収容する。洗浄液タンク手段6は、洗浄槽3に接続され、循環する洗浄液7を貯留する。シリンダ31は、往復移動可能なシリンダロッド312、並びにシリンダロッド312により隔てられると共に洗浄液タンク手段6からの洗浄液7を収容可能な第3空間315(供給側圧縮室)及び第1空間313(駆動側圧縮室)を内部に有する。シリンダ31は、第1空間313に洗浄液7が供給されることにより、シリンダロッド312が第3空間315の方向に移動して第3空間315に収容される洗浄液7を圧縮し、圧縮した洗浄液7を洗浄槽3に供給する。
【0090】
詳細には、図4に示すように第2実施形態の物品洗浄装置1において、洗浄液供給手段は、ポンプ手段11と、逆止弁21a、21dと、プレッシャースイッチ29と、増圧手段と、逆止弁21eとを備える。ポンプ手段11と逆止弁21a、21dとの間には、圧力計22aが接続される。なお、図4においては、図1と共通する部分については、図示を省略している。
【0091】
プレッシャースイッチ29は、洗浄槽3と逆止弁21aとの間に接続され、洗浄槽3の圧力を感知可能に構成される。逆止弁21eは、シリンダ31及び逆止弁21dに接続され、ポンプ手段11の方向からのみの洗浄液7を通過可能に構成されると共に、ポンプ手段11の方向から所定の圧力が加わることにより開放するように構成される。
【0092】
増圧手段は、圧力調整弁32aと、バルブ手段20hと、速度調整弁33aと、速度調整弁33bと、シリンダ31とを備える。圧力調整弁32aは、ポンプ手段11とバルブ手段20hとの間に設けられ、シリンダ31の内部の圧力を調整可能に構成される。バルブ手段20hは、ポンプ手段11に接続され、洗浄液7の流れを制御可能な電磁弁として構成される。速度調整弁33aは、バルブ手段20hとシリンダ31との間に設けられ、シリンダ31(詳細には、後述する第1空間313)へ供給される洗浄液7の流量(速度)を調整可能に構成される。速度調整弁33bは、バルブ手段20hとシリンダ31との間に設けられ、シリンダ31(詳細には、後述する第2空間314)へ供給される洗浄液7の流量(速度)を調整可能に構成される。
【0093】
シリンダ31は、バルブ手段20hに接続され、高圧の洗浄液7を洗浄槽3に供給可能に構成される。シリンダ31は、シリンダ本体311と、シリンダ本体311の内部に設けられるシリンダロッド312とを有する。シリンダ本体311の内部には、シリンダロッド312により仕切られる第1空間313と、第2空間314と、第3空間315とが形成される。第1空間313は、速度調整弁33aに接続される。第2空間314は、速度調整弁33bに接続される。第3空間315は、逆止弁21eに接続される。第1空間313は、内径の直径が62〜64mm(本実施形態においては、例えば、63mm)とされ、第3空間315は、内径の直径が27〜29mm(本実施形態においては、例えば、28mm)とされる。
【0094】
すすぎ液供給手段は、すすぎ液16を供給するすすぎ液タンク手段15以外の構成については、洗浄液供給手段と共用される。すすぎ液供給手段は、すすぎ液タンク手段15と洗浄槽3との間に、すすぎ液タンク手段15に接続されるポンプ手段11と、ポンプ手段11に接続される逆止弁21a、21bと、プレシャースイッチ29と、シリンダ31とを備える。なお、ポンプ手段11と逆止弁21a、21bとの間には、圧力計22aが接続される。
【0095】
ここで、洗浄液供給手段による洗浄槽3への洗浄液7の供給を説明する。なお、すすぎ液供給手段による洗浄槽3へのすすぎ液16の供給についても、同様であるため、説明を省略する。
【0096】
まず、物品洗浄装置1では、制御手段30により、洗浄液タンク手段6から洗浄槽3へ洗浄液7を供給するように、ポンプ手段11の制御を行う。この際、逆止弁21eは、所定の圧力以下であるために開放しないため、逆止弁21aの側から洗浄液7が洗浄槽3へ供給されることとなる。
【0097】
次に、物品洗浄装置1では、洗浄槽3の内部に洗浄液7が一定量以上供給されると、プレッシャースイッチ29が作動(感知)する。物品洗浄装置1においては、このプレッシャースイッチ29の作動に基づいてバルブ手段20hが開放される。このバルブ手段20hの開放に伴って、洗浄液7は、速度調整弁33bを介して、第2空間314に供給される。第2空間314に洗浄液7が供給されることで、シリンダロッド312が第1空間313の側に移動するために、逆止弁21dを介して、第3空間315に洗浄液7が供給される。
【0098】
次に、物品洗浄装置1は、制御手段30により、バルブ手段20hを開放して、第1空間313に洗浄液7を供給するように制御される。この際、速度調整弁33a及び圧力調整弁32aの協調動作により、第1空間313の内部に所定の圧力の洗浄液7が供給される。このようにして、第1空間313の内部に所定の圧力の洗浄液7が供給されることにより、シリンダロッド312は、第3空間315の側へ移動する。シリンダロッド312の第3空間315への移動により、第3空間315の内部の洗浄液7が圧縮される。洗浄液7が圧縮されることで、物品洗浄装置1においては、逆止弁21eが開放し、洗浄槽3へ洗浄液7が供給される。このように構成することにより、物品洗浄装置1は、高圧の洗浄液7を洗浄槽3に供給することができ、さらに洗浄効率を高めることができる。また、物品洗浄装置1は、洗浄液7によりシリンダロッド312を駆動させるために、新たに、シリンダロッド312を移動させるための駆動源を設ける必要がない。このため、物品洗浄装置1の構造を簡単にすることができる。
【0099】
なお、本実施形態において、物品洗浄装置1は、洗浄液7を第1空間313及び第2空間314に供給してシリンダ31を動作させたが、これに限られない。例えば、洗浄液7、すすぎ液16を駆動源として用いたが、エア源や油圧源を別途用いて、シリンダ31を動作させてもよい。
【0100】
<第3実施形態>
第3実施形態については、上述した第1実施形態と異なる点を主に説明し、同様の点は、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。図5は、第3実施形態の物品洗浄装置を示す模式図である。
【0101】
第3実施形態における物品洗浄装置1は、第1実施形態においては、エア供給手段において、エアをエア増圧器13により増圧し、高圧のエアを洗浄槽3に供給するように構成したが、エアシリンダ36によりエアを圧縮して、さらに高圧のエアを洗浄槽3に供給するように構成が主に変更される。
【0102】
具体的には、第3実施形態の物品洗浄装置1において、洗浄槽3は、洗浄対象の物品を内部に密閉可能に収容する。洗浄液タンク手段6は、洗浄槽3に供給する洗浄液7を貯留する。エア供給手段は、洗浄槽3に供給するエアを発生させる。エアシリンダ36(シリンダ)は、往復移動可能なシリンダロッド362、並びにシリンダロッド362により隔てられる共にエア供給手段からのエアを収容可能な第3空間365(供給側圧縮室)及び第1空間363(駆動側圧縮室)を有する。また、エアシリンダ36は、第1空間363にエア供給手段からエアが供給されることにより、シリンダロッド362が第3空間365の方向に移動して第3空間に収容されるエアを圧縮し、洗浄槽3に圧縮したエアを供給する。
【0103】
詳細には、第3実施形態の物品洗浄装置1におけるエア供給手段は、エア源28と、フィルタ手段9eと、ストップバルブ34aと、エアレギュレータ35と、バルブ手段20iと、エアシリンダ36と、逆止弁21gとを備える。なお、エアレギュレータ35と、バルブ手段20iとの間には圧力計22cが接続される。また、逆止弁21gは、70〜72kg/paの圧力(本実施形態においては、例えば、71.75kg/pa)にのみ開放するように構成される。なお、図5においては、図1と共通する部分については、図示を省略している。
【0104】
ストップバルブ34aは、エア源28に接続されるフィルタ手段9eに接続され、エア供給手段へのエアの取り込みを制御すると共に、後述するエアシリンダ36のシリンダ速度を調整可能に構成される。エアレギュレータ35は、ストップバルブ34aに接続され、エアシリンダ36の内部のエア圧力を調節可能に構成される。バルブ手段20iは、エアレギュレータ35に接続され、エアの流れを制御な電磁弁として構成される。
【0105】
エアシリンダ36は、バルブ手段20iに接続され、圧縮したエアを洗浄槽3に供給可能に構成される。エアシリンダ36は、シリンダ本体361と、シリンダ本体316の内部に設けられるシリンダロッド362を有する。シリンダ本体361の内部には、シリンダロッド362により仕切られる第1空間363と、第2空間364と、第3空間365とが形成される。第1空間363及び第2空間364は、バルブ手段20iに接続される。第3空間365は、逆止弁21gに接続される。第1空間363は、内径の直径が79〜81mm(本実施形態においては、例えば、80mm)とされ、第3空間365は、内径の直径が24〜25mm(本実施形態においては、例えば、25mm)とされる。
【0106】
温風供給手段は、エア源28と、フィルタ手段9eと、バンドヒータ19と、フィルタ手段9dと、ストップバルブ34bと、逆止弁21cとを備える。ストップバルブ34bは、温風供給手段へのエアの取り込みを制御する。なお、第1実施形態と同様に、エア源28は、温風供給手段とエア供給手段とで共用される。
【0107】
次に、エア供給手段による洗浄槽3へのエアの供給を説明する。
まず、物品洗浄装置1では、エア源28からのエアをエア供給手段で利用するために、制御手段30により、温風供給手段のストップバルブ34bを閉鎖し、エア供給手段のストップバルブ34aを開放するように制御される。この状態でエア源28によりエアを供給すると、フィルタ手段9eにより塵が除去されたエアは、エアレギュレータ35と逆止弁21fとを通過してエアシリンダ36の第3空間365の内部に供給される。なお、逆止弁21gは、所定の圧力でのみ開放するように構成されるために、圧縮されていないエアが洗浄槽3に供給されることがない。
【0108】
次に、物品洗浄装置1では、エアレギュレータ35により5〜6kg/cm(本実施形態においては、例えば、7kg/cm)の圧力が調節されたエアをバルブ手段20iに供給する。エアは、バルブ手段20iが開放されることにより、第1空間363の側に供給される。そして、第1空間363の内部のエアにより、シリンダロッド362は、第3空間365の側に移動する。また、移動したシリンダロッド362により第3空間365では、エアが圧縮される。その結果、物品洗浄装置1においては、所定の圧力を超えることにより逆止弁21gが開放し、圧縮されたエアが洗浄槽3に供給される。この際、エア圧7kg/cmを第1空間363に供給する本実施形態の場合においては、シリンダ本体361の内径(第1空間の径)とシリンダロッド362の径(第3空間365の径)の面積比が10.25であるため、71.75kg/pa相当のエアが供給される。
【0109】
第3実施形態の物品洗浄装置1は、上述したように洗浄槽3にエアを供給した後には、バルブ手段20iにより第1空間363にエアの供給を停止し、第2空間364にエアが供給されることで、シリンダロッド362をエア圧縮前の原位置に復帰させて、再度のエア圧縮に備える。
【0110】
温風供給手段による洗浄槽3へのエアの供給は、ストップバルブ34aを閉鎖し、ストップバルブ34bを開放した状態で、エア源28によりエアを供給することで行うことができる。
【0111】
このように構成することにより、物品洗浄装置1は、高圧のエアを洗浄槽3に供給することができるため、洗浄効率及びすすぎ効率をさらに高めることができる。また、物品洗浄装置1は、エア源28により供給されるエアによりシリンダロッド362を駆動させるために、新たに駆動源を設ける必要がない。このため、物品洗浄装置1の構造を簡単にすることができる。
【0112】
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態については、上述した第1実施形態及び第3実施形態と異なる点を主に説明し、同様の点は、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態及び第3実施形態についての説明が適宜適用される。図6は、第4実施形態の物品洗浄装置を示す模式図である。
【0113】
第4実施形態における物品洗浄装置1は、第1実施形態においては、インバータモータ4aにより洗浄槽3を駆動するように構成したが、第4実施形態においては、出力が調節可能な油圧駆動手段により洗浄槽3を駆動するように構成が変更される。
【0114】
また、第4実施形態における物品洗浄装置1は、第3実施形態においては、エア供給手段において、エアをエアシリンダ36により増圧し、高圧のエアを洗浄槽3に供給するように構成したが、第4実施形態においては、油圧シリンダ40によりエアを圧縮して、高圧のエアを洗浄槽3に供給するように構成が変更される。
【0115】
図6に示すように第4実施形態の物品洗浄装置1における油圧駆動手段は、油圧源37と、油圧電磁弁20kと、調整弁38aと、オイルモータ39と、油圧電磁弁20lと、調整弁38bとを備える。なお、図6においては、図1と共通する部分については、図示を省略している。
【0116】
油圧源37は、圧油を供給可能な油圧ポンプ等により構成される。油圧電磁弁20kは、油圧源37に接続され、オイルモータ39への油圧の供給を調節可能に構成される。調整弁38aは、油圧電磁弁20kに接続され、オイルモータ39の回転速度を調整可能に構成される。
【0117】
オイルモータ39は、調整弁38aに接続され、油圧源37から供給される圧油により回転軸(図示しない)を回転させることにより、回転駆動するように構成される。また、オイルモータ39は、回転軸からの出力をベルト4dを介して洗浄槽3に出力可能に構成される。
【0118】
油圧電磁弁20lは、油圧電磁弁20kと調整弁38aとの間に接続され、導入される油圧を調節する。調整弁38bは、油圧電磁弁20lに接続され、油圧を調節する。これら油圧電磁弁20l及び調整弁38bは、協調制御されることにより、オイルモータ39を減速可能に構成される。
【0119】
エア供給手段は、エア源28と、フィルタ手段9eと、ストップバルブ34aと、逆止弁21fと、エア圧縮手段と、逆止弁21gとを備える。
【0120】
エア圧縮手段は、油圧源37と、油圧調整弁32bと、バルブ手段20jと、速度調整弁33cと、速度調整弁33dと、油圧シリンダ40とを備える。なお、油圧源37と油圧調整弁32bとの間には圧力計22dが接続される。また、本実施形態において、油圧源37は、オイルモータ39と共用して使用される。
【0121】
油圧調整弁32bは、油圧源37とバルブ手段20jとの間に接続され、油圧源37からの圧油の12〜14kg/cm(本実施形態においては、例えば、13kg/cm)の油圧を調整可能に構成される。バルブ手段20jは、油圧源37に接続され、油圧シリンダ40への圧油の供給を調節可能に構成される。速度調整弁33cは、油圧シリンダ40(詳細には、後述する第1空間403)へ供給する圧油の流量(速度)を調節可能に構成される。速度調整弁33dは、油圧シリンダ40(詳細には、後述する第2空間404)へ供給される圧油の流量(速度)を調節可能に構成される。
【0122】
油圧シリンダ40は、バルブ手段20jに接続され、圧縮したエアを洗浄槽3に供給可能に構成される。油圧シリンダ40は、シリンダ本体401と、シリンダ本体401の内部にシリンダロッド402を有する。シリンダ本体401の内部には、シリンダロッド402により仕切られる第1空間403と、第2空間404と、第3空間405とが形成される。第1空間403は、速度調整弁33cに接続される。第2空間404は、速度調整弁33dに接続される。第3空間405は、逆止弁21gに接続される。第1空間403は、内径の直径が49〜51mm(本実施形態においては、例えば、50mm)とされ、第3空間405は、内径の直径が21〜23mm(本実施形態においては、例えば、22mm)とされる。
【0123】
次に、油圧駆動手段による洗浄槽3の回転駆動について説明する。
まず、物品洗浄装置1では、制御手段30により、油圧電磁弁20kを開放することにより、油圧源37から圧油がオイルモータ39に供給され、オイルモータ39の回転軸が駆動するように制御を行う。これにより、物品洗浄装置1においては、回転軸にベルト4dを介して接続される洗浄槽3を回転させることができる。この際、物品洗浄装置1では、調整弁38aにより油圧を調整することにより、オイルモータ39の回転速度を加速させることができる。また、物品洗浄装置1は、油圧電磁弁20l及び調整弁38bを協働制御することにより、オイルモータ39の回転速度を減速させることができる。したがって、本実施形態の物品洗浄装置1は、油圧の調整を行うことにより、洗浄槽3の回転速度を所定の速度に調整することができる。また、物品洗浄装置1は、油圧を調整することにより、出力を大きくすることができるために、洗浄に供される物品が大きいものであったり、重量物であったりしても、洗浄が可能になる。
【0124】
次に、エア供給手段による洗浄槽3へのエアの供給を説明する。
まず、物品洗浄装置1では、制御手段30により、ストップバルブ34bを閉鎖すると共に、ストップバルブ34aを開放するように制御を行う。これにより、物品洗浄装置1では、エア源28により、エアが油圧シリンダ40の第3空間405に供給される。
【0125】
次に、物品洗浄装置1では、制御手段30により、バルブ手段20jを開放するように制御され、油圧源37から圧油を第1空間403に供給する。この際、第1空間403の内部の油圧は、油圧調整弁32bにより、13kg/cmに調整される。この結果、シリンダロッド402は、第3空間405の側に油圧で移動するために、第3空間405の内部のエアが圧縮される。物品洗浄装置1では、この圧縮されたエアが所定の圧力を超えることにより逆止弁21gを介して洗浄槽3に送り込まれる。この際、圧縮されるエアは、油圧13kg/cmによりシリンダロッド402を移動させるため本実施形態の場合、油圧シリンダ40の内径とシリンダロッド402の径の面積比が5.16であるため、67.08kg/pa相当の圧力となる。
【0126】
<第5実施形態>
以下、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態については、上述した第1実施形態と異なる点を主に説明し、同様の点は、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。図7は、第5実施形態の物品洗浄装置を示す模式図である。
【0127】
第5実施形態における物品洗浄装置1は、第1実施形態においては、インバータモータにより洗浄槽3を駆動するように構成したが、第5実施形態においては、油圧シリンダ41によりラックギア42を駆動させる洗浄槽駆動手段により洗浄槽3を正回転及び逆回転に回転駆動するように構成が主に変更される。
【0128】
具体的には、第5実施形態の物品洗浄装置1において、洗浄槽3は、内部に洗浄対象の物品を回転可能に保持する容器部を有し、前記容器部を内部に密閉可能に収容する。洗浄液タンク手段6は、洗浄槽3に供給する洗浄液7を貯留する。シリンダ41(駆動手段)は、有孔容器4b(容器部)を油圧源37(駆動源)により駆動可能に構成される。また、シリンダ41は、往復移動可能なシリンダロッド411を内部に有し、油圧源37によりシリンダロッド411を往復移動させることにより、有孔容器4bを正回転又は逆回転に駆動させる。
【0129】
詳細には、物品洗浄装置1における洗浄槽駆動手段は、油圧源37と、油圧調整弁32cと、バルブ手段20mと、速度調整弁33eと、速度調整弁33fと、油圧シリンダ41と、ラックギア42とを備える。なお、油圧源37と油圧調整弁32cとの間には圧力計22dが接続される。なお、図7においては、図1と共通する部分については、図示を省略している。
【0130】
油圧調整弁32cは、油圧源37とバルブ手段20mとの間に接続され、油圧源37からの圧油の油圧を調整可能に構成される。バルブ手段20mは、油圧源37に接続され、油圧シリンダ41の後述する第1空間412及び後述する第2空間413への圧油の供給を調節可能に構成される。速度調整弁33eは、油圧シリンダ41(詳細には、第1空間412)への供給される圧油の流量(速度)を調節可能に構成される。速度調整弁33fは、油圧シリンダ41(詳細には、第2空間413)への供給される圧油の流量(速度)を調節可能に構成される。
【0131】
油圧シリンダ41は、バルブ手段20mに接続され、シリンダ本体410及びシリンダ本体410の内部にシリンダロッド411を有する。シリンダ本体410の内部には、シリンダロッド411により仕切られる第1空間412と、第2空間413とが形成される。第1空間412は、速度調整弁33eに接続される。第2空間413は、速度調整弁33fに接続される。
【0132】
ラックギア42は、シリンダロッド411に接続され、シリンダロッド411の並進移動を、洗浄槽の回転運動に変換可能に構成される。また、ラックギア42は、シリンダロッド411の1の往復移動で、往移動で洗浄槽3を回転させ、復移動で洗浄槽3を反転させるように構成される。
【0133】
次に、第5実施形態の洗浄槽駆動手段による洗浄槽の駆動について、説明する。
まず、物品洗浄装置1では、制御手段30により、バルブ手段20mを開放するように制御し、油圧源37から圧油が第1空間412に供給される。第1空間412に圧油が供給されることにより、シリンダロッド411が第2空間413の側へ移動する。シリンダロッド411に接続されるラックギア42は、シリンダロッド411の移動と共に移動するために、ラックギア42と接続される回転軸4cを回転させる。
【0134】
次に、物品洗浄装置1では、制御手段30により、バルブ手段20mの速度調整弁33eの側に供給可能に開放する。そして、物品洗浄装置1では、油圧調整弁32c及び速度調整弁33eを協調動作させることにより、油圧源37から圧油が第1空間412に供給される。第1空間412に圧油が供給されることにより、シリンダロッド411が第2空間413の側へ移動する。シリンダロッド411に接続されるラックギア42がシリンダロッド411の移動と共に移動するために、ラックギア42と接続される回転軸が正回転する。
【0135】
次に、物品洗浄装置1では、制御手段30により、バルブ手段20mの速度調整弁33fの側に供給可能に開放するように制御される。そして、物品洗浄装置1では、油圧調整弁32c及び速度調整弁33fを協調動作させることにより、油圧源37から圧油が第2空間413に供給される。第2空間413に圧油が供給されることにより、シリンダロッド411が第1空間412の側へ移動する。シリンダロッド411に接続されるラックギア42がシリンダロッド411の移動と共に移動するために、ラックギア42と接続される回転軸が逆回転する。
【0136】
このように構成することにより、物品洗浄装置1は、洗浄槽3を回転・逆回転に駆動させるために、洗浄槽3の内部に乱流が発生し、この乱流によりさらに洗浄効率及びすすぎ効率を高めることができる上に、物品を表裏面均一に洗浄することができる。
【0137】
以上、本発明に係る物品洗浄装置1及び物品洗浄方法の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る物品洗浄装置1及び物品洗浄方法は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。また、各実施形態の各構成を適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0138】
1 物品洗浄装置
3 洗浄槽
4b 有孔容器(容器部)
5a 液体供給口
6 洗浄液タンク手段
8 液体排出口
7 洗浄液
9c フィルタ手段(第1フィルタ手段)
9e フィルタ手段(第2フィルタ手段)
11 ポンプ手段
15 すすぎ液タンク手段
16 すすぎ液
31 シリンダ
36 シリンダ
37 駆動源
41 駆動手段(シリンダ)
312 シリンダロッド
362 シリンダロッド
411 シリンダロッド
313 第1空間(駆動側圧縮室)
315 第3空間(供給側圧縮室)
363 第1空間(駆動側圧縮室)
365 第3空間(供給側圧縮室)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象の物品を内部に密閉可能に収容し、液体供給口及び上部に設けられる液体排出口を有する洗浄槽と、
前記液体供給口及び前記液体排出口に接続され、循環する洗浄液を貯留する洗浄液タンク手段と、
前記液体供給口及び前記液体排出口に接続され、循環するすすぎ液を貯留するすすぎ液タンク手段と、
一端が前記液体排出口に接続され、他端が前記洗浄液タンク手段又は前記すすぎ液タンク手段に切り替え可能に接続されると共に、循環により通過する前記洗浄液又前記すすぎ液を浄化させる第1フィルタ手段と、
前記第1フィルタ手段に接続され、前記液体排出口と前記第1フィルタ手段のと間に滞留する前記洗浄液又は前記すすぎ液を排出可能に構成されるバルブ手段と、を備える物品洗浄装置。
【請求項2】
洗浄対象の物品を内部に密閉可能に収容し、液体供給口、上部に設けられる液体排出口及び温風供給口を有する洗浄槽と、
前記液体供給口及び前記液体排出口に接続され、循環する洗浄液を貯留する洗浄液タンク手段と、
前記液体供給口及び前記液体排出口に接続され、循環するすすぎ液を貯留するすすぎ液タンク手段と、
前記温風供給口を介して、前記洗浄槽内に供給される温風を生成する温風発生手段と、
前記温風供給口と前記温風発生手段との間に設けられる第2フィルタ手段と、を備える物品洗浄装置。
【請求項3】
前記温風発生手段は、温風の通風路となるダクトに巻きつけて取り付けられるバンドヒータである請求項2記載の物品洗浄装置。
【請求項4】
洗浄対象の物品を内部に密閉可能に収容する洗浄槽と、
前記洗浄槽に接続され、循環する洗浄液を貯留する洗浄液タンク手段と、
往復移動可能なシリンダロッド、並びに当該シリンダロッドにより隔てられると共に前記洗浄液タンク手段からの洗浄液を収容可能な供給側圧縮室及び駆動側圧縮室を内部に有するシリンダと、を備え、
前記シリンダは、前記駆動側圧縮室に洗浄液が供給されることにより、前記シリンダロッドが供給側圧縮室方向に移動して前記供給側圧縮室に収容される洗浄液を圧縮し、圧縮した洗浄液を前記洗浄槽に供給する物品洗浄装置。
【請求項5】
洗浄対象の物品を内部に密閉可能に収容する洗浄槽と、
前記洗浄槽に供給する洗浄液を貯留する洗浄液タンク手段と、
前記洗浄槽に供給するエアを発生させるエア供給手段と、
往復移動可能なシリンダロッド、並びに当該シリンダロッドにより隔てられる共に前記エア供給手段からのエアを収容可能な供給側圧縮室及び駆動側圧縮室を有するシリンダと、を備え、
前記シリンダは、前記駆動側圧縮室に前記エア供給手段からエアが供給されることにより、前記シリンダロッドが供給側圧縮室方向に移動して前記供給側圧縮室に収容されるエアを圧縮し、前記洗浄槽に圧縮したエアを供給する物品洗浄装置。
【請求項6】
内部に洗浄対象の物品を回転可能に保持する容器部を有し、前記容器部を内部に密閉可能に収容する洗浄槽と、
前記洗浄槽に供給する洗浄液を貯留する洗浄液タンク手段と、
前記容器部を駆動源により駆動可能な駆動手段と、を備え、
前記駆動手段は、往復移動可能なシリンダロッドを内部に有し、前記駆動源により当該シリンダロッドを往復移動させることにより、前記容器部を正回転又は逆回転に駆動させる物品洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−16071(P2011−16071A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162013(P2009−162013)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(504298866)
【Fターム(参考)】