説明

物品管理装置

【課題】容器の底部に無線タグを付す必要をなくすとともに、秤量皿の水平調整やゼロ調整に支障を来たさないようにする。
【解決手段】容器が載置される秤量皿12の側方から当該秤量皿12の上方に向けて無線タグとの交信領域を形成するようにアンテナ5A〜5Dを配置する。そして、秤量皿12に載置された容器の重量を重量検出部で検出するとともに、秤量皿12に載置された容器に付された無線タグのデータをタグ読取部でアンテナナ5A〜5Dを介して非接触で読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に付された無線タグのデータと当該容器の重量とにより当該容器に収容された薬品等の内容物を管理する物品管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この出願に関連する先行技術文献として、特許文献1がある。特許文献1は、薬品瓶に付された無線タグのデータと当該瓶の重量とにより当該瓶に収容された薬品を管理する装置を開示する。この装置は、電子秤量秤と無線タグリーダ・ライタとを備える。電子秤量秤は、秤量皿に載せられた薬品瓶を計量する。無線タグリーダ・ライタは、薬品瓶に付された無線タグのデータをアンテナを通じて非接触で読み取る。
【0003】
特許文献1は、アンテナを電子秤量秤の秤量皿に設けている。このため、アンテナは、秤量皿の面に対して垂直な方向に指向性を有している。薬品瓶に付される無線タグは、自ら電源を持たないパッシブ型である。無線タグは、通常、コイルアンテナを具備している。パッシブ型の無線タグは、コイルアンテナの面を多くの電波が横切ることによって起電する。無線タグが起電すると、無線タグリーダ・ライタは、無線タグのデータを読み取ることができる。したがって、特許文献1では、秤量皿の面に対して垂直な方向に指向性を有するアンテナから放射される電波がコイルアンテナの面を多く横切るように、薬品瓶の底面に無線タグを付す必要がある。底面以外に無線タグを貼り付けた場合には、無線タグの読取効率が著しく低下する。
【特許文献1】特許第3598341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、容器の底面に無線タグを付す必要があるため、次のような問題がある。すなわち、容器の底部は必ずしも窪んでいるとは限らない。また、無線タグ自体にも厚みがある。このため、容器の底面に付した無線タグが容器の底面より突出することがある。その場合、容器を秤量皿に載せた際に安定せず、計量中に容器が倒れてしまうことがある。また、容器を棚・机等に置いた際に無線タグが載置面と接触するため、無線タグが劣化しやすい。載置面が濡れていた場合には、無線タグの劣化が加速する。
【0005】
また従来は、アンテナを電子秤量秤の秤量皿に設けているため、次のような問題がある。すなわち、秤は、一般的に秤量皿の水平調整やゼロ調整が必要である。しかし、秤量皿自体にアンテナを設けてしまっては、これらの調整が難しく、実用的でなかった。
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、容器の底部に無線タグを付す必要がない上、秤量皿の水平調整やゼロ調整に支障を来たすことがなく、実用的な物品管理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器に付された無線タグのデータと当該容器の重量とにより当該容器に収容された内容物を管理する物品管理装置において、容器が載置される秤量皿と、この秤量皿の側方から当該秤量皿の上方に向けて前記無線タグとの交信領域を形成するアンテナと、秤量皿に載置された容器の重量を検出する重量検出部と、秤量皿に載置された容器に付された無線タグのデータをアンテナを介して非接触で読み取るタグ読取部と、このタグ読取部で読み取られた無線タグのデータと重量検出部で検出された容器の重量とを出力する出力手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
かかる手段を講じた本発明によれば、容器の底部に無線タグを付す必要がない上、秤量皿の水平調整やゼロ調整に支障を来たすことのなく、実用的な物品管理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、薬剤や試薬などの薬品が収容された瓶容器(以下、薬品瓶と称する)の重量と、この薬品瓶に付された無線タグのデータとにより、当該薬品瓶に収容された薬品を管理するための物品管理装置に本発明を適用した場合である。
【0010】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に拘る物品管理装置1の外観構成を、図1の斜視図及び図2の平面図を用いて説明する。
物品管理装置1は、LAN(Local Area Network)等の通信回線2を介してパソコン3に接続している。パソコン3は、物品管理装置1の上位機種として機能する。
【0011】
物品管理装置1は、直方体又は立方体状の箱型をなす装置本体11を有する。そして、装置本体11の上面に秤量皿12を取り付けている。また、装置本体11の前面に操作パネル13を取り付けている。操作パネル13は、キーボード等からなる入力部14と、液晶ディスプレイ等からなる表示部15とを有する。
【0012】
秤量皿12は、上方から見ると矩形状をなしている。そして、この秤量皿12の周縁より一定の間隔dを開けて、秤量皿12の外周に沿うようにアンテナ取付部材4を配置している。アンテナ取付部材4は、上方から見るとロ字状をなしている。なお、秤量皿12の形状は、矩形状に限定されるものではない。例えば円形状であってもよい。
【0013】
アンテナ取付部材4は、後述する無線タグリーダ・ライタ108のアンテナ5を取り付ける。本実施の形態では、図1及び図2に示すように、4枚の平面アンテナ5A,5B,5C,5Dがアンテナ取付部材4に固定されている。平面アンテナ5Aは、装置本体1の前面側に位置するアンテナ取付部材4の内面上部に、そのアンテナ面を秤量皿12側に向けた状態で固定されている。平面アンテナ5Bは、装置本体1の前面側から見て右側面側に位置するアンテナ取付部材4の内面上部に、そのアンテナ面を秤量皿12側に向けた状態で固定されている。平面アンテナ5Cは、装置本体1の後面側に位置するアンテナ取付部材4の内面上部に、そのアンテナ面を秤量皿12側に向けた状態で固定されている。平面アンテナ5Dは、装置本体1の前面側から見て左側面側に位置するアンテナ取付部材4の内面上部に、そのアンテナ面を秤量皿12側に向けた状態で固定されている。
【0014】
各平面アンテナ5A〜5Dの下端面は、秤量皿12の上面と略面一である。したがって、平面アンテナ5Aは、秤量皿12の前方から当該秤量皿12の上方に向けて無線タグとの交信領域を形成する。平面アンテナ5Bは、秤量皿12の右側方から当該秤量皿12の上方に向けて無線タグとの交信領域を形成する。平面アンテナ5Cは、秤量皿12の後方から当該秤量皿12の上方に向けて無線タグとの交信領域を形成する。平面アンテナ5Dは、秤量皿12の左側方から当該秤量皿12の上方に向けて無線タグとの交信領域を形成する。このように、本実施の形態では、アンテナ取付部材4に4枚の平面アンテナ5A〜5Dをそれぞれのアンテナ面の向きを異ならせて固定している。
【0015】
次に、薬品瓶6の一例を図3に示す。薬品瓶6は、収容する薬品毎に用意する。薬品瓶6は、その側面にネームラベル7を貼付する。ネームラベル7は、薬品の名称(例えば「薬品A」、「薬品B」)と、薬品の識別コード(例えば「1234567890」、「1357924680」)とを表示する。また、ネームラベル7は、薬品タグ8を固定する。ネームラベル7の表面に薬品タグ8を貼り付けて固定してもよいし、薬品瓶6とネームラベル7との間に薬品タグ8を挟み込んで固定してもよい。
【0016】
薬品タグ8は、自ら電源を持たないパッシブ型の無線タグである。無線タグは、アンテナとICチップとを備える。無線タグは、平面アンテナ5A〜5Dから放射される搬送波をアンテナで受信すると、この搬送波の電力を利用してICチップのメモリに記憶したタグデータをアンテナから無線送信する。また、同じく搬送波の電力を利用してアンテナで受信したデータをICチップのメモリに書き込む。なお、タグのアンテナは、磁界を使用する場合(周波数は13.56MHz帯)はコイルアンテナが主流であり、電界を使用する場合(周波数は900MHz帯あるいは2.4GHz帯)はダイポールアンテナが狩猟である。また、ループアンテナを用いてもよい。
【0017】
薬品タグ8のメモリが記憶するデータの一例を図4に示す。データは、薬品タグ8を識別するためのタグデータ81と、複数の履歴データ82とからなる。タグデータ81は、タグID、タグ種別コード、薬品名、識別コード及び空瓶重量W0の各項目データを含む。タグIDは、薬品タグ8毎に異なるように設定された固有のコードである。タグ種別コードは、無線タグが薬品タグ8であることを特定するためのコードである。薬品名及び識別コードは、当該薬品タグ8が付される薬品瓶6に収容される薬品の名称及び識別コードである。空瓶重量W0は、当該薬品タグ8が付される薬品瓶6に薬品が収容されていないときの当該薬品瓶6の重量である。履歴データ82は、計測日時と重量データとを含む。
【0018】
物品管理装置1の内部構成を、図5のブロック図で示す。物品管理装置1は、装置本体11に、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、時計部104、通信インターフェイス105、操作パネルコントローラ106、重量検出部107及び無線タグリーダ・ライタ108を内蔵している。バスライン109は、CPU101と、ROM102、RAM103、時計部104、通信インターフェイス105、操作パネルコントローラ106、重量検出部107及び無線タグリーダ・ライタ108の各部とを接続する。
【0019】
無線タグリーダ・ライタ108は、送信部、受信部、サーキュレータ、アンテナ切換部及びこれらを制御する制御部等を備える。送信部は、変調器と増幅器とを有する。変調器は、無線タグに対する送信データで搬送波信号を変調する。増幅器は、搬送波信号を増幅する。増幅された搬送波信号は、サーキュレータに供給される。サーキュレータは、送信部から入力された信号を各アンテナ5A〜5Dに供給する機能と、各アンテナ5A〜5Dで受信した信号を受信部に供給する機能とを有する。受信部は、増幅器と復調器とを有する。増幅器は、各アンテナ5A〜5Dからの受信信号を増幅する。復調器は、増幅された受信信号から受信データを復調する。復調された受信データは、制御部に供給される。制御部は、CPU101からの指令に応じて送信データを送信部に供給する機能と、受信部にて復調された受信データからタグデータを取得する機能とを有する。また、制御部は、アンテナ切換部の切換動作を制御する。アンテナ切換部は、サーキュレータと各アンテナ5A〜5Dとの接続を順次切り換える。
【0020】
ここに、無線タグリーダ・ライタ108は、秤量皿12に載置された容器(薬品瓶6)に付された無線タグ(薬品タグ8)のデータを、アンテナ5A〜5Dを介して非接触で読み取るタグ読取部として機能する。
【0021】
重量検出部107は、秤量皿12に載せられた物品の重量を検出する。操作パネルコントローラ106は、操作パネル13に設けられた入力部14と表示部15とを制御する。通信インターフェイス105は、通信回線2を介して接続されるパソコン3とのデータ通信を制御する。時計部104は、現在の日付及び時刻を計時する。
【0022】
RAM103は、入力データ、演算データ等の可変的なデータを記憶する。RAM103に形成される主要なメモリエリアを図6に示す。図示するように、物品管理装置1は、RAM103に、第1のリトライカウンタi1、第2のリトライカウンタi2、重量データカウンタh及びタグデータカウンタrの各カウンタエリアと、重量データバッファ91及びタグデータバッファ92のバッファエリアとを形成している。重量データバッファ91は、重量データカウンタhのカウント値をアドレスとする複数の重量データエリアを有する。タグデータバッファ92は、タグデータカウンタrのカウント値をアドレスとする複数のタグデータエリアを有する。
【0023】
ROM102は、プログラム等の固定的なデータを記憶する。ROM102に記憶されたプログラムに従って動作するCPU101の主要な制御手順を、図7〜図9の流れ図によって示す。
【0024】
例えば、入力部14に設けられたリセットボタンの押下によりリセット信号が入力されると、CPU101は、この制御を開始する。先ず、ST(ステップ)1として、CPU101は初期化処理を行う。この初期化処理により、重量検出部107は重量確定モードとなる。無線タグリーダ・ライタ108は停止状態となる。
【0025】
次に、ST2として、CPU101は重量検出部107が変動モードに切り換わるのを待機する。重量検出部107は、秤量皿12に物品が載せられると、重量確定モードから変動モードに切り換わり、計量を開始する。重量検出部107が変動モードに切り換わると(ST2のYES)、ST3として、CPU101は第1及び第2のリトライカウンタi1,i2を“0”にリセットする。また、ST4として、CPU101は重量データカウンタh及びタグデータカウンタrを“0”にリセットする。しかる後、ST5として、CPU101は無線タグリーダ・ライタ108に起動を指令する(起動制御手段)。
【0026】
起動が指令された無線タグリーダ・ライタ108は、無線タグのデータ読取コマンドを生成する。そして、このデータ読取コマンドで変調される搬送波信号を各アンテナ5A〜5Dに順次供給する。搬送波信号が供給されたアンテナ5A〜5Dからは、その搬送波信号に相当する電波が放射される。電波は、例えばUHF帯の周波数帯を利用して空中に放射される。各アンテナ5A〜5Dから放射された電波は、少なくとも秤量皿12の上方領域まで到達する。したがって、秤量皿12に薬品瓶6が載置されていた場合には、この薬品瓶6の側面にネームラベル7を利用して取り付けられた薬品タグ8が、少なくとも1つのアンテナ5A〜5Dからの電波を確実に受信する。
【0027】
無線タグは、アンテナ5A〜5Dからの電波を受信すると、その電波を復調してコマンドを理解する。コマンドがデータ読取コマンドであるとき、メモリ内のタグデータを読出し、バックスキャッタ方式により無線タグリーダ・ライタ108に無線送信する。無線タグから無線送信されるタグデータの信号は、アンテナ5A〜5Dで受信され、無線タグリーダ・ライタ108に取り込まれる。無線タグリーダ・ライタ108は、受信信号からタグデータを読み取り、CPU101に通知する。
【0028】
無線タグリーダ・ライタ108に起動を指令したCPU101は、ST6として、無線タグリーダ・ライタ108によってタグデータが読み取られるのを待機する。そして、タグデータが読み取られたならば(ST6のYES)、ST7として、CPU101はタグデータバッファ92を検索して、今回読み取られたタグデータと同一のタグデータが既に記憶されているか否かを判断する。記憶されていない場合、すなわち重複無しの場合には(ST7のNO)、ST8として、CPU101はタグデータカウンタrを“1”だけカウントアップする。そして、ST9として、CPU101はタグデータカウンタrの値をアドレスとするタグデータバッファ92のデータエリアに、今回読み取られたタグデータを格納する。
【0029】
これに対し、今回読み取られたタグデータと同一のタグデータがタグデータバッファ92に既に記憶されている場合、すなわち重複有りの場合には(ST7のYES)、ST10として、CPU101は今回読み取られたタグデータを破棄する。
【0030】
ST9またはST10の処理を終えたならば、ST11として、CPU101は重量検出部107が重量確定モードとなったか否かを判断する。重量確定モードになっていない場合には、CPU101は、次の無線タグデータが読み取られるのを待機する。こうして、重量検出部107が重量確定モードとなるまでの間、CPU101は、無線タグのデータが読み取られるのを待機し、読み取られる毎に、上記ST7,8,9またはST7,10の処理を実行する。
【0031】
重量検出部107にて計量が終了し、確定重量Whが得られると、重量検出部107は重量確定モードとなる。重量検出部107が重量確定モードとなると(ST11のYES)、ST12として、CPU101は重量データカウンタhを“1”だけカウントアップする。そして、ST13として、CPU101は重量データカウンタhの値をアドレスとする重量データバッファ91のデータエリアに、今回計測された確定重量Whを格納する。
【0032】
次に、ST14として、CPU101は確定重量Whが“0”であるか否かを判断する。例えば、物品管理装置1の使用者であるユーザが、秤量皿12に薬品瓶6を載せたが、重量が確定する前にその薬品瓶6を秤量皿12から取り除いた場合には、確定重量Whは“0”となる。確定重量Whが“0”であった場合(ST14のYES)、ST15として、CPU101は無線タグリーダ・ライタ108に停止を指令して(第2の停止制御手段)、今回の制御を終了する。停止が指令された無線タグリーダ・ライタ108は、各アンテナ5A〜5Dからの電波の発信を停止する。
【0033】
確定重量Whが“0”でない、すなわち“0”より大きい場合には(ST14のNO)、ST16として、CPU101は無線タグリーダ・ライタ108に停止を指令する(第1の停止制御手段)。しかる後、ST17として、CPU101はタグデータカウンタrが“1”であるか否かを判断する。
【0034】
重量検出部107が変動モードとなってから重量確定モードとなるまでの間に、無線タグリーダ・ライタ108によって読み取られた無線タグが唯1種類であった場合には、タグデータカウンタrは“1”となる。タグデータカウンタrが“1”であった場合(ST17のYES)、ST18として、CPU101はタグデータバッファ92のアドレスr(=1)に記憶されているタグデータが、薬品瓶6に付されている薬品タグ8のタグデータ81であるか否かを判断する。具体的には、タグデータ81のタグ種別コードが、薬品タグ8を示すコードであるか否かを判断する。
【0035】
薬品タグ8のタグデータ81であると認識した場合には(ST18のYES)、ST19として、CPU101はそのタグデータ81の中から空瓶重量W0を取得する。そしてST20として、CPU101は重量データバッファ91のアドレスhに格納されている確定重量Whが空瓶重量W0以下であるか否かを判断する。
【0036】
確定重量Whが空瓶重量W0以下でない場合には(ST20のNO)、ST21として、CPU101はタグデータ81の中から薬品名を取得し、この薬品名と確定重量Whとを表示部15に表示させる(出力手段)。これに対し、確定重量Whが空瓶重量W0以下である場合には(ST20のYES)、ST22として、CPU101は上記薬品名及び確定重量とともに、薬品瓶6が空瓶であることをユーザに告知するための情報を表示部15に表示させる(出力手段、空告知手段)。
【0037】
ST21またはST22の処理にて薬品名及び確定重量Wh等を表示部15に表示させたならば、ST23として、CPU101は時計部104で計時されている現在日時を取り込む。そして、この日時と確定重量Whとからなる履歴データの書込みを無線タグリーダ・ライタ108に指令して、今回の制御を終了する。
【0038】
上記書込み指令を受けた無線タグリーダ・ライタ108は、無線タグへのデータ書込コマンドを生成する。このコマンドには、CPU101から受信した履歴データが含まれる。無線タグリーダ・ライタ108は、データ書込みコマンドで変調される搬送波信号を各アンテナ5A〜5Dに順次供給する。搬送波信号が供給されたアンテナ5A〜5Dからは、その搬送波信号に相当する電波が放射される。電波は、例えばUHF帯の周波数帯を利用して空中に放射される。各アンテナ5A〜5Dから放射された電波は、秤量皿12の上方を交信領域に含む。したがって、秤量皿12に薬品瓶6が載置されていた場合には、この薬品瓶6の側面にネームラベル7を利用して取り付けられた薬品タグ8が、少なくとも1つのアンテナ5A〜5Dからの電波を確実に受信する。
【0039】
薬品タグ8は、アンテナ5A〜5Dからの電波を受信すると、その電波を復調してコマンドを理解する。コマンドがデータ書込みコマンドであるとき、そのコマンドに含まれる書込みデータ、つまり日時と確定重量Whとからなる履歴データをメモリに書き込む。
【0040】
ところで、各アンテナ5A〜5Dから放射される電波の到達距離は、秤量皿12の上方のみに留まらず、その先まで届く場合がある。その場合、例えば物品管理装置1の周囲に薬品タグ8以外の無線タグが存在すると、無線タグリーダ・ライタ108がその無線タグのデータまで読み取る蓋然性がある。
【0041】
重量検出部107が確定重量Whを検出するまでの間に、無線タグリーダ・ライタ108が薬品タグ8以外の無線タグのデータのみ読み取ったとすると、タグデータバッファ92のアドレスr(=1)に記憶されているタグデータは薬品タグ8以外のデータとなる。この場合、すなわちアドレスr(=1)に記憶されているタグデータが薬品タグ以外のタグデータである場合(ST18のNO)、CPU101は、タグ読取エラーをユーザに報知するメッセージを表示部15に表示させる。以上で、今回の処理を終了する。
【0042】
また、重量検出部107が確定重量Whを検出するまでの間に、無線タグリーダ・ライタ108が秤量皿12に載せられた薬品瓶6の薬品タグ8だけでなく、その周囲にある別の無線タグ(薬品タグ8も含む)のデータを読み取ったとすると、タグデータカウンタrは“1”より大きくなる。あるいは、無線タグのデータを一つも読み取れなかったとすると、タグデータカウンタrは“0”のままとなる。この場合、すなわちタグデータカウンタrが“1”でない場合(ST17のNO)、ST24として、CPU101は、タグデータカウンタrは“1”より大きいか否かを判断する。タグデータカウンタrが“1”より大きい場合には(ST24のYES)、タグ読取エラーをユーザに報知するメッセージを表示部15に表示させる。以上で、今回の処理を終了する。
【0043】
一方、タグデータカウンタrが“0”の場合には(ST24のNO)、ST25として、CPU101は第1のリトライカウンタi1を“1”だけカウントアップする。そして、ST26としてCPU101は第1のリトライカウンタi1が設定値I1以下であるか否かを判断する。設定値I1は、無線タグデータ読取動作のリトライ回数であり、予め設定された範囲(例えば1〜6)のなかでユーザが任意の値を予め設定する。
【0044】
第1のリトライカウンタi1が設定値I1以下であると(ST26のYES)、リトライが可能である。この場合、ST27として、CPU101は無線タグリーダ・ライタ108に再起動を指令する。そして、ST28として、CPU101はタグデータが読み取られるのを待機する。
【0045】
タグデータが読み取られたならば(ST28のYES)、ST29として、CPU101はタグデータバッファ92を検索して、今回読み取られたタグデータと同一のタグデータが既に記憶されているか否かを判断する。記憶されていない場合、すなわち重複無しの場合には(ST29のNO)、ST30として、CPU101はタグデータカウンタrを“1”だけカウントアップする。そしてST31として、CPU101はタグデータカウンタrの値をアドレスとするタグデータバッファ92のデータエリアに、今回読み取られたタグデータを格納する。
【0046】
これに対し、今回読み取られたタグデータと同一のタグデータがタグデータバッファ92に既に記憶されている場合、すなわち重複有りの場合には(ST29のYES)、ST32として、CPU101は今回読み取られたタグデータを破棄する。
【0047】
ST31またはST32の処理を終えたならば、ST33として、CPU101は無線タグリーダ・ライタ108の再起動を指令してから一定時間が経過したか否かを判断する。この一定時間は、無線タグリーダ・ライタ108が秤量皿12上の無線タグを読み取るのに要する時間より十分に長い時間である。例えば、重量検出部107が変動モードになってから重量確定モードに至るまでに要する時間の平均時間としてもよい。一定時間が経過していない場合には、CPU101は、次のタグデータが読み取られるのを待機する。こうして、一定時間が経過するまでの間、CPU101は、無線タグのデータが読み取られるのを待機し、読み取られる毎に、上記ST29,30,31またはST29,32の処理を実行する。
【0048】
一定時間が経過したならば(ST33のYES)、CPU101は、ST16の処理に戻る。すなわち、無線タグリーダ・ライタ108を停止させる。そして、タグデータカウンタrをチェックする。ここで、タグデータカウンタrが再び“0”であった場合には(ST14,ST24でいずれもNO)、第1のリトライカウンタi1をさらに“1”だけカウントアップする(ST25)。こうして、タグデータを読み取ることができない場合は、第1のリトライカウンタi1が設定値I1を超えるまで、ST27以降の処理を繰り返す。
【0049】
第1のリトライカウンタi1が設定値I1を超えた場合には(ST26のNO)、ST34として、CPU101は第2のリトライカウンタi2を“1”だけカウントアップする。そしてST35として、CPU101は第2のリトライカウンタi2が設定値I2以下であるか否かを判断する。設定値I2は、計量動作のリトライ回数であり、予め設定された範囲(例えば1〜3)のなかでユーザが任意の値をあらかじめ設定する。
【0050】
第2のリトライカウンタi2が設定値I2以下であると(ST35のYES)、リトライが可能である。この場合、ST36として、CPU101は薬品瓶の再計量をユーザに指示するメッセージを表示部15に表示させる(再計量指示手段)。そしてST37として、CPU101は重量検出部107が変動モードになるのを待機する。
【0051】
再計量の指示を確認したユーザは、秤量皿12から薬品瓶6を一旦持ち上げ、再度、その薬品瓶6を秤量皿12に載せることで再計量を行う。秤量皿12から薬品瓶6が持ち上げられると、重量検出部107は変動モードなる。重量検出部107が変動モードになると、ST38として、CPU101は、重量検出部107が重量確定モードになるのを待機する。重量検出部107が重量確定モードとなると(ST38のYES)、ST39として、CPU101は重量データカウンタhを“1”だけカウントアップする。そして、ST40として、CPU101は重量データカウンタhの値をアドレスとする重量データバッファ91のデータエリアに今回の確定重量Whを格納する。
【0052】
次に、ST41として、CPU101は確定重量Whが“0”であるか否かを判断する。例えば、ユーザが秤量皿12から薬品瓶6を持ち上げた後、その薬品瓶6を再び秤量皿12に載せなかった場合には、確定重量Whは“0”となる。確定重量Whが“0”であった場合(ST41のYES)、CPU101は、今回の制御を終了する。
【0053】
確定重量Whが“0”でない、すなわち“0”より大きい場合には(ST41のNO)、ST42として、CPU101は、重量データバッファ91のアドレスhに記憶されている重量データWhと、アドレス(h−1)に記憶されている重量データWh-1とを比較する(判定手段)。アドレスhには、今回確定した重量データが記憶されている。アドレスh−1には、前回確定した重量データが記憶されている。
【0054】
ユーザが秤量皿12から薬品瓶6を取り除いた後、その薬品瓶6を再び秤量皿12に載せた場合には、重量データWhと重量データWh-1とが等しくなる。これに対し、別の薬品瓶等を載せた場合には、重量データWhと重量データWh-1とが等しくならない可能性が極めて高い。
【0055】
重量データWhと重量データWh-1とが等しい場合には(ST42のYES)、ST43として、CPU101は第1及び第2のリトライカウンタi1,i2を“0”にリセットする。しかる後、ST27の処理に戻る。すなわち、CPU101は、無線タグリーダ・ライタ108に再び起動を指令して、再計量された薬品瓶6に付されている薬品タグ8のタグデータ読取りを再試行する。
【0056】
重量データWhと重量データWh-1とが等しくない場合には(ST42のNO)、ST44として、CPU101は重量データカウンタhを“1”だけカウントダウンする。また、ST45として、CPU101は再計量が不正であることを報知するメッセージを表示部15に表示させる(報知手段)。しかる後、ST37の処理に戻る。すなわち、CPU101は重量検出部107が変動モードから再び重量確定モードになるのを待機して、薬品瓶6の計量を再試行する。
【0057】
第2のリトライカウンタi2が設定値I2を超えた場合は(ST35のNO)、ST46として、CPU101は薬品タグの読取不可を報知するメッセージを表示部15に表示させる。以上で、今回の処理を終了する。
【0058】
このように本実施の形態においては、薬品瓶6が載置される秤量皿12の前後及び左右の各側方からそれぞれ当該秤量皿12の上方に向けて無線タグとの交信領域を形成するように、4枚の平面アンテナ5A〜5Dを配置している。したがって、薬品瓶6の側面に薬品タグ8を付すことによって、無線タグリーダ・ライタ108は、その薬品タグ8のデータを確実に読み取ることができる。換言すれば、薬品瓶6の側面に薬品タグ8を付すことができるので、容器の底面に無線タグを付さなければならないために生じ得る種々の不具合を全て解決することができる。
【0059】
例えば、薬品タグ8によって薬品瓶6の底面が不安定になることがないので、薬品瓶6を秤量皿12や机上などに安定して載置することができる。また、薬品瓶6を机上に置いた際に薬品タグ8がその机面に当たることがないので、薬品タグ8の劣化を抑制できる。さらに、薬品瓶6に付された薬品タグ8の状態を目視により確認する際に、薬品瓶6を傾けたり、高く持ち上げたりする必要がないので、薬品瓶6内の薬品を零すこともなくなる。
【0060】
また、本実施の形態では、秤量皿12の周縁より一定の間隔を開けてアンテナ取付部材4を配置し、このアンテナ取付部材4に複数の平面アンテナ5A〜5Dをそれぞれのアンテナ面の向きを異ならせて固定している。したがって、秤量皿12にアンテナを設ける必要がないので、秤量皿の水平調整やゼロ調整に支障を来たすことがなく、実用的である。
【0061】
また、本実施の形態では、重量検出部107の検出量が変動して当該重量検出部107が変動モードになると、無線タグリーダ・ライタ108が自動的に起動してアンテナ5A〜5Dから無線タグに対する電波が出力される。したがって、薬品瓶6を秤量皿12に載せるだけで、薬品瓶6の重量測定と当該薬品瓶6に付された薬品タグ8のデータ読取りとが並行して行われるので、使い勝手が良好である。作業効率も優れている。
【0062】
また、本実施の形態では、重量検出部107の検出量が安定して当該重量検出部107が確定モードになると、無線タグリーダ・ライタ108を停止させてアンテナ5A〜5Dからの電磁波出力を停止させるようにしている。あるいは、重量検出部107の検出量がゼロになった場合も、無線タグリーダ・ライタ108を停止させてアンテナ5A〜5Dからの電磁波出力を停止させるようにしている。このように、アンテナ5A〜5Dから不要な電波が出力されるのを極力抑制している。したがって、省力化を図ることができる。また、他の無線局への干渉も低減できる効果を奏する。
【0063】
また、本実施の形態では、薬品タグ8のデータ読み取りに失敗した場合は、薬品瓶6の再計量を促すようにしている。薬品タグ8のデータを読み取れない原因の一つに、アンテナ5A〜5Dと薬品タグ8との相対的な向きの関係がある。薬品瓶6の再計量を促すことによって、ユーザは、秤量皿12から薬品瓶6を一旦取り除き、再び、その薬品瓶6を秤量皿12に載せる。この際、アンテナ5A〜5Dと薬品タグ8との相対的な向きが変化して、薬品タグ8のデータを読み取れる可能性がある。
【0064】
また、再計量の際に、秤量皿12から取り除かれた薬品瓶6と再び載置された薬品瓶6とが異なった場合は、再計量の不正が報知される。したがって、ユーザによる誤った取り扱いを、未然に防ぐことができる。
【0065】
また、本実施の形態では、薬品タグ8のメモリに、当該タグ8が付される薬品瓶6の空瓶重量W0を記憶している。そして、計測した確定重量Whが空瓶重量W0以下であった場合には、薬品瓶6が空瓶であることを告知するようにしている。したがって、薬品瓶6が空であることを、ユーザは容易に知ることができる。
【0066】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に拘る物品管理装置200の外観構成を、図10の斜視図を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0067】
物品管理装置200は、無線タグリーダ・ライタ108を装置本体11の外部に設けている。無線タグリーダ・ライタ108は、専用の通信回線201を介してパソコン3に接続している。無線タグリーダ・ライタ108は、複数のアンテナ端子202を備えている。そして、各アンテナ端子202に、各アンテナ5A〜5Dを1つずつ接続している。
【0068】
この第2の実施の形態においては、図6に示したメモリエリアを、パソコン3のRAM上に形成する。また、図7〜図9の流れ図に示した制御手順を、パソコン3のCPUが実行する。
【0069】
このような構成の第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様な作用効果を奏する。また、装置本体11として、既存の電子料金秤をそのまま使用できる利点がある。
【0070】
なお、第1又は第2の実施の形態において、アンテナ5の枚数は4枚に限定されるものではなく、適宜選択することができる。例えば、アンテナ5は1枚だけであってもよい。この場合は、薬品瓶6を秤量皿12に載置する際に、薬品タグ8がアンテナ5のアンテナ面と対向するように配置すればよい。薬品タグ8は、薬品瓶6の側面に設けられているので、ユーザは容易にアンテナ5と薬品タグ8とを対向させて配置することができる。また、2枚のアンテナを、秤量皿12の前方又は後方のいずれか一方と、左方又は右方のいずれか一方に配置することによって、薬品瓶6を秤量皿12に載置する際の向きの制約を少なくすることができる。勿論、アンテナの枚数が3枚であってもよいし、5枚以上であってもよい。要は、秤量皿12の側方から当該秤量皿12の上方に向けて無線タグとの交信領域を形成するように1乃至複数枚のアンテナ5を配置すればよい。
【0071】
また、アンテナ取付部材4の形状も、必ずしもロ字状である必要はなく、秤量皿12の周縁より一定の間隔を開けて、秤量皿12の側方から当該秤量皿12の上方に向けて無線タグとの交信領域を形成するようにアンテナ5を取り付けられる形状であればよい。
【0072】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に拘る物品管理装置300の外観構成を、図11の斜視図を用いて説明する。なお、第1または第2の実施の形態と共通する部分には同一符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0073】
物品管理装置300は、秤量皿12の外周に沿うように、アンテナ取付部材4の上面に漏洩同軸ケーブル301を敷設している。漏洩同軸ケーブル301は、漏洩伝送路の一態様である。漏洩同軸ケーブル301は、その一端を、無線タグリーダ・ライタ108のアンテナ端子202Aに接続し、他端を、無線タグリーダ・ライタ108の終端端子202Bに接続している。
【0074】
漏洩同軸ケーブル301は、ケーブルの所々に孔を設けている。無線タグリーダ・ライタ108のアンテナ端子202Aから漏洩同軸ケーブル301に信号を流すと、信号は漏洩同軸ケーブル301を通って終端端子まで流れる。その際、各孔から電波が放射される。
【0075】
漏洩同軸ケーブル301は、各孔がそれぞれ内側を向くように、すなわち、各孔から放射される電波が、全て秤量皿12の側方から秤量皿12の上方に向けて放射されるように、アンテナ取付部材4に設けている。
【0076】
この第3の実施の形態においても、図6に示したメモリエリアを、パソコン3のRAM上に形成する。また、図7〜図9の流れ図に示した制御手順を、パソコン3のCPUが実行する。
【0077】
このような構成の第3の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様な作用効果を奏する。また、秤量皿12に載せられる薬品瓶6の向きに制限がなくなるので、読取効率をより一層高めることができる。さらに、平面アンテナを用いた第1又は第2の実施の形態と比較して、電波の放射領域を絞ることができるので、不要な無線タグのデータを読み取る危険性が少なくなり、また、電波干渉の点でも有利である。
【0078】
なお、この第3の実施の形態において、漏洩伝送路は漏洩同軸ケーブル301に限定されるものではなく、フィーダ線を用いてもよい。
【0079】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に拘る物品管理装置400の外観構成を、図12の斜視図を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0080】
物品管理装置400は、アンテナ取付部材4のコーナの1箇所に、使用者用カード保持部401を形成している。使用者用カード保持部401は、例えば図13に示すような使用者カード402を載置可能な部位である。
【0081】
使用者カード402は、物品管理装置400の使用が承認された各ユーザに対して配布される身分証明カード(IDカード)である。使用者カード402は、ユーザタグ403を内蔵している。
ユーザタグ403は、薬品タグ8と同様に、自ら電源を持たないパッシブ型の無線タグである。
【0082】
ユーザタグ403のメモリが記憶するデータの一例を図14に示す。データは、ユーザタグ403を特定するためのタグデータ404と、複数の履歴データ405とからなる。タグデータ404は、タグID、タグ種別コード、所属部署、ユーザ番号、氏名の各項目データを含む。タグIDは、ユーザタグ毎に異なるように設定された固有のコードである。タグ種別コードは、無線タグがユーザタグ403であることを特定するためのコードである。ユーザタグ403のタグ種別コードと薬品タグ8のタグ種別コードとが異なることはいうまでもない。所属部署、ユーザ番号及び氏名は、当該ユーザタグ403が内蔵された使用者カード402を所持するユーザに関する情報である。履歴データは、計測日時と薬品名とを含む。
【0083】
物品管理装置400の内部構成は、図5に示す第1の実施の形態と同一である。また、RAM103に形成されるメモリエリアも、図6に示す第1の実施の形態と同一である。
【0084】
例えば、入力部14に設けられたリセットボタンの押下によりリセット信号が入力されると、第1の実施の形態と同様に、CPU101は、図7のST1〜ST14の処理を順に実行する。ST14にて、確定重量Whが“0”であった場合には(ST14のYES)、ST15として、CPU101は無線タグリーダ・ライタ108に停止を指令して、今回の制御を終了する。
【0085】
これに対し、確定重量Whが“0”でない、すなわち“0”より大きい場合には(ST14のNO)、CPU101は、図15の流れ図に示す処理に移行する。すなわち、ST51として、CPU101は、タグデータカウンタrが“2”であるか否かを判断する。
【0086】
重量検出部107が変動モードとなってから重量確定モードとなるまでの間に、無線タグリーダ・ライタ108によって読み取られた無線タグが2種類であった場合には、タグデータカウンタrは“2”となる。タグデータカウンタrが“2”であった場合(ST51のYES)、ST52として、CPU101はタグデータバッファ92のアドレスr−1(=1)及びr(=2)に記憶されている2種類のタグデータが、薬品瓶6に付されている薬品タグ8のタグデータ81と、使用者カード402に内蔵されているユーザタグ403のタグデータ404の組み合わせであるか否かを判断する。
【0087】
秤量皿12に薬品瓶6が1本置かれた場合、この薬品瓶6の側面に付された薬品タグ8のデータが無線タグリーダ・ライタ108によって読み取られる。また、使用者カード保持部401に使用者カード402が1枚置かれた場合、この使用者カード402に内蔵されたユーザタグ403のデータも無線タグリーダ・ライタ108によって読み取られる。
【0088】
タグデータ81とタグデータ404との組合せであると認識した場合には(ST52のYES)、ST53として、CPU101は無線タグリーダ・ライタ108に停止を指令する(第3の停止制御手段)。
【0089】
しかる後、ST54として、CPU101は薬品タグ8のタグデータ81の中から空瓶重量W0を取得する。そしてST55として、CPU101は重量データバッファ91のアドレスhに格納されている確定重量Whが空瓶重量W0以下であるか否かを判断する。
【0090】
確定重量Whが空瓶重量W0以下でない場合には(ST55のNO)、ST56として、CPU101は薬品タグ8のタグデータ81の中から薬品名を取得し、この薬品名と確定重量Whとを表示部15に表示させる(出力手段)。これに対し、確定重量Whが空瓶重量W0以下である場合には(ST55のYES)、ST57として、CPU101は上記薬品名及び確定重量とともに、薬品瓶6が空瓶であることをユーザに告知するための情報を表示部15に表示させる(出力手段、空告知手段)。
【0091】
ST56またはST57の処理にて薬品名及び確定重量Wh等を表示部15に表示させたならば、ST58として、CPU101は時計部104で計時されている現在日時を取り込む。また、ユーザタグ403のタグデータ404からユーザ番号を取得する。そして、この日時及びユーザ番号と確定重量Whとからなる履歴データの薬品タグ8に対する書込みを無線タグリーダ・ライタ108に指令する。
【0092】
上記書込み指令を受けた無線タグリーダ・ライタ108は、薬品タグ8へのデータ書込コマンドを生成する。このコマンドには、CPU101から受信した履歴データが含まれる。また、書込み先アドレスとして、薬品タグ8のタグデータ81に含まれるタグIDが付加される。無線タグリーダ・ライタ108は、データ書込みコマンドで変調される搬送波信号を各アンテナ5A〜5Dに順次供給する。搬送波信号が供給されたアンテナ5A〜5Dからは、その搬送波信号に相当する電波が放射される。電波は、例えばUHF帯の周波数帯を利用して空中に放射される。各アンテナ5A〜5Dから放射された電波は、秤量皿12の上方を交信領域に含む。したがって、秤量皿12に薬品瓶6が載置されていた場合には、この薬品瓶6の側面にネームラベル7を利用して取り付けられた薬品タグ8が、少なくとも1つのアンテナ5A〜5Dからの電波を確実に受信する。
【0093】
薬品タグ8は、アンテナ5A〜5Dからの電波を受信すると、その電波を復調してコマンドを理解する。コマンドがデータ書込みコマンドであるとき、そのコマンドに含まれるタグIDが自己のものか否かを判断する。そして、自己のものである場合に限り、書込みデータ、つまり日時と確定重量Whとからなる履歴データをメモリに書き込む。
【0094】
薬品タグ8に対する履歴データの書込みを終了すると、ST59として、CPU101は薬品タグ8のタグデータから薬品名を取得する。そして、この薬品名と時計部104から取得した現在日時のデータとを含む履歴データのユーザタグ403に対する書込みを無線タグリーダ・ライタ108に指令して、今回の制御を終了する。
【0095】
上記書込み指令を受けた無線タグリーダ・ライタ108は、ユーザタグ403へのデータ書込コマンドを生成する。このコマンドには、CPU101から受信した履歴データが含まれる。また、書込み先アドレスとして、ユーザタグ403のタグデータ404に含まれるタグIDが付加される。無線タグリーダ・ライタ108は、データ書込みコマンドで変調される搬送波信号を各アンテナ5A〜5Dに順次供給する。搬送波信号が供給されたアンテナ5A〜5Dからは、その搬送波信号に相当する電波が放射される。電波は、例えばUHF帯の周波数帯を利用して空中に放射される。各アンテナ5A〜5Dから放射された電波は、秤量皿12の上方を交信領域に含む。したがって、使用者カード保持部401に使用者カード402が載置されていた場合には、この使用者カード402に内蔵されたユーザタグ403が、少なくとも1つのアンテナ5A〜5Dからの電波を確実に受信する。
【0096】
ユーザタグ403は、アンテナ5A〜5Dからの電波を受信すると、その電波を復調してコマンドを理解する。コマンドがデータ書込みコマンドであるとき、そのコマンドに含まれるタグIDが自己のものか否かを判断する。そして、自己のものである場合に限り、書込みデータ、つまり日時と薬品名とからなる履歴データをメモリに書き込む。
【0097】
ST51にてタグデータカウンタrが”2”でない場合、あるいは、ST52にてタグデータ81とタグデータ404との組み合わせでなかった場合には、CPU101は、タグ読取エラーをユーザに報知するメッセージを表示部15に表示させる。以上で、今回の処理を終了する。
【0098】
このように、第4の実施の形態においては、物品管理装置400の使用者カード保持部401に使用者カード402が置かれている場合のみ、薬品瓶6の重量データと薬品タグ8のデータとが正当に処理される。したがって、物品管理装置400を使用して薬品の量を管理するユーザを必ず特定することができる。
【0099】
なお、この第4の実施の形態において、使用者カード保持部401の位置は、図12に示す位置に限定されるものではない。要は、アンテナ5A〜5Dによってユーザタグ403のデータを読み取ることができる位置であればよい。また、この第4の実施の形態において、アンテナを、第3の実施の形態のような漏洩伝送路としてもよい。
【0100】
この他、本発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、管理対象の物品は薬品に限定されるものではない。また、容器も瓶型に限定されるものではない。さらに、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。また、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1の実施の形態における物品管理装置の外観構成を示す斜視図。
【図2】同実施の形態における物品管理装置の外観構成を示す平面図。
【図3】同実施の形態において使用される薬品瓶の一例を示す模式図。
【図4】同実施の形態において使用される薬品タグのメモリに記憶されるデータ構造の一例を示す図。
【図5】同実施の形態における物品管理装置の内部構成を示すブロック図。
【図6】同実施の形態における物品管理装置のRAMに形成される主要なメモリエリアを示す図。
【図7】同実施の形態における物品管理装置のCPUが実行する処理手順を示す流れ図。
【図8】同実施の形態における物品管理装置のCPUが実行する処理手順を示す流れ図。
【図9】同実施の形態における物品管理装置のCPUが実行する処理手順を示す流れ図。
【図10】本発明の第2の実施の形態における物品管理装置の外観構成を示す斜視図。
【図11】本発明の第3の実施の形態における物品管理装置の外観構成を示す斜視図。
【図12】本発明の第4の実施の形態における物品管理装置の外観構成を示す斜視図。
【図13】同第4の実施の形態において使用される使用者カードの外観構成を示す平面図。
【図14】同第4の実施の形態において使用されるユーザタグのメモリに記憶されるデータ構造の一例を示す図。
【図15】同第4の実施の形態における物品管理装置のCPUが実行する処理手順の要部を示す流れ図。
【符号の説明】
【0102】
1,200,300,400…物品管理装置、3…パソコン、4…アンテナ取付部材、5A〜5D…平面アンテナ、6…薬品瓶、8…薬品タグ、11…装置本体、12…秤量皿、13…操作パネル、14…入力部、15…表示部、101…CPU、107…重量検出部、108…無線タグリーダ・ライタ、401…使用者カード保持部、402…使用者カード、403…ユーザタグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に付された無線タグのデータと当該容器の重量とにより当該容器に収容された内容物を管理する物品管理装置において、
前記容器が載置される秤量皿と、
この秤量皿の側方から当該秤量皿の上方に向けて前記無線タグとの交信領域を形成するアンテナと、
前記秤量皿に載置された容器の重量を検出する重量検出部と、
前記秤量皿に載置された容器に付された無線タグのデータを前記アンテナを介して非接触で読み取るタグ読取部と、
このタグ読取部で読み取られた無線タグのデータと前記重量検出部で検出された前記容器の重量とを出力する出力手段と、
を具備したことを特徴とする物品管理装置。
【請求項2】
前記アンテナは、平面アンテナであり、
前記秤量皿の周縁より一定の間隔を開けてアンテナ取付部材を配置し、このアンテナ取付部材に複数の前記平面アンテナをそれぞれのアンテナ面の向きを異ならせて固定したことを特徴とする請求項1記載の物品管理装置。
【請求項3】
前記アンテナは、漏洩伝送路であり、
前記秤量皿の外周に沿ってアンテナ取付部材を配置し、このアンテナ取付部材に前記秤量皿の外周に沿って前記漏洩伝送路を固定したことを特徴とする請求項1記載の物品管理装置。
【請求項4】
前記重量検出部の検出量が変動して当該重量検出部が変動モードになると、前記タグ読取部を起動させて前記アンテナから電磁波を出力させる起動制御手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の物品管理装置。
【請求項5】
前記重量検出部の検出量が安定して当該重量検出部が確定モードになると、前記タグ読取部を停止させて前記アンテナからの電磁波出力を停止させる第1の停止制御手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の物品管理装置。
【請求項6】
前記重量検出部の検出量がゼロになると、前記タグ読取部を停止させて前記アンテナからの電磁波出力を停止させる第2の停止制御手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の物品管理装置。
【請求項7】
前記タグ読取部により前記容器に付された無線タグのデータとともに使用者を特定する無線タグのデータを同時に読み取ると、前記タグ読取部を停止させて前記アンテナからの電磁波出力を停止させる第3の停止制御手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の物品管理装置。
【請求項8】
前記タグ読取部の起動から所定時間内が経過しても前記無線タグのデータを読み取れなかったとき、容器の再計量を促す再計量指示手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項記載の物品管理装置。
【請求項9】
前記再計量指示手段による指示の後に前記重量検出部が変動モードになるのを待機し、変動モードになると再度確定モードになるのを待機し、確定モードになるとそのときの重量検出部の検出量が、前記再計量指示手段による指示の前に確定モードとなったときの重量検出部の検出量と一致するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段により一致しないと判定されると再計量の不正を報知する報知手段と、
をさらに具備したことを特徴とする請求項8記載の物品管理装置。
【請求項10】
前記容器に付された無線タグのデータは、当該無線タグが付された容器が空のときの重量を含んでおり、
前記重量検出部で検出された重量が、前記タグ読取部で読み取られた無線タグのデータに含まれる容器空重量と一致するとき、前記容器が空であることを告知する空告知手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至3記載の物品管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−134782(P2010−134782A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311449(P2008−311449)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】