説明

物品選別装置

【課題】搬送コンベヤから分岐コンベヤへ農産物を転動させることなく排出できる農産物選別装置を提供する。
【解決手段】バケットコンベヤのバケット6に設けた排出機構11の無端回動ベルト15を回動させて分岐コンベヤ側に農産物を移動させながら無端回動ベルト15をバケット6の搬送方向斜め後方にシフトさせることにより、バケット6から分岐コンベヤに農産物Pを移載する際に、農産物Pのバケット搬送方向における慣性力を小さくし、転動することなく農産物Pを分岐コンベヤに移載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベヤ上を移動する物品を仕分け区分毎に分岐コンベヤに排出させる物品選別装置に係り、特に前記搬送コンベヤから分岐コンベヤへ農産物等の物品を転動させることなく受け渡しできる排出機構を備えた物品選別装置に関する。
【0002】
選別対象の物品としては、分岐コンベヤへの受け渡しに際して転動し易い形状を備えた物品、例えば農産物にあってはみかん,リンゴ,梨,メロン等の略球形形状のもの、レモン,サツマイモ,大根,かぶ等の短手方向に沿った切断面を略円形断面とする楕円あるいは円柱状のものを例示でき、また農産物以外にあっては略球形形状または短手方向に沿った切断面を略円形断面としたものであれば良く、例えば球技用ボール等を例示できる。
【背景技術】
【0003】
農産物選別装置として、農産物搬送コンベヤであるバケットコンベヤのバケット上に載置した等階級判定済みの農産物を所定の仕分け排出位置で等階級毎に排出する際、農産物をバケットコンベヤの搬送方向と直交する方向に移動させて果菜選別籠に受け渡しする方式が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、上記した果菜選別籠に代えて分岐コンベヤを前記バケットコンベヤの搬送方向に向けて斜めに配置した構成も提案されている(特許文献2)。
【0005】
上記した特許文献1、2に記載されている排出機構は、バケットコンベヤの搬送方向と直交方向を排出方向として無端回動する農産物載置ベルトを有し、前記農産物載置ベルトを正方向回転させることで農産物載置ベルト上に載置した農産物を前記果菜選別籠、分岐コンベヤ側に移動させて受け渡しを行う。特許文献1の農産物選別装置では、農産物が果菜選別籠に受け渡しされる際に、農産物が有する農産物載置ベルトの搬送力とバケットコンベヤの搬送力との合力からなる慣性力により農産物が転動する場合がある。
【0006】
これに対し、特許文献2の農産物選別装置では、前記分岐コンベヤが前記慣性力の作用方向に沿って斜めに延びているため、農産物の有する慣性速度で分岐コンベヤを駆動することで農産物を転動させずに分岐コンベヤに受け渡しさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平06-023936号公報
【特許文献2】特開2004-209397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した特許文献2に記載のように、バケットコンベヤの搬送方向に対して分岐コンベヤを斜めに配置した場合、農産物を分岐コンベヤの搬送方向に沿って真っ直ぐ排出することが要求される。しかし、農産物は個々の形状が異なるため、斜め配置の分岐コンベヤに対して全てを真っ直ぐに排出できるとは限らず、排出方向がずれると農産物が転動するおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、このような課題を解決するためになされたもので、搬送コンベヤから分岐コンベヤへ農産物を転動させることなく排出できる物品選別装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を実現する物品選別装置は、物品が載置される物品載置面を有する物品載置手段と、前記物品載置手段を支持するバケット本体部とを備えるバケットと、前記物品載置手段上に載置される物品を排出する物品排出機構と、複数の前記バケットを無端回動軌道上で移動させる搬送コンベヤと、前記バケットに載置された仕分け区分決定済み物品を仕分け区分毎に受け取る前記搬送コンベヤの側方に配置した複数の分岐コンベヤと、前記物品排出機構を駆動して前記バケットに載置された仕分け区分決定済み物品を仕分け区分毎に前記搬送コンベヤの側方に配置した複数の分岐コンベヤに排出させる物品排出機構駆動手段とを備える物品選別装置において、前記物品載置手段は、前記バケット本体部に対し移動可能に設けられるとともに、前記物品排出機構は、物品排出機構駆動手段により駆動された際に、前記物品載置手段の物品載置面を前記分岐コンベヤに向けて前記バケットの搬送方向と直交する排出方向に移動させながら、前記バケットの搬送方向後方に移動させるガイド機構を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記した構成の物品選別装置において、前記ガイド機構は前記排出方向に対して斜めに配置したガイド部材を有し、前記物品排出機構を、前記ガイド部材にガイドされて前記物品排出機構駆動手段に係合する排出ピンと一体に移動するスライド部材と、前記スライド部材と前記物品載置面とを一体的に連結する連結部材とにより構成することができ、無端回動ベルト等で構成される物品載置手段をバケット搬送方向に対して斜め後方にシフト移動させながら無端回動ベルトのベルトを回動させて物品を分岐コンベヤに排出させる。
【0012】
上記した構成の物品選別装置において、前記ガイド機構は前記バケット本体部に設けられたカム溝を有し、前記物品排出機構は、前記物品載置手段を前記バケット搬送方向に沿って前記バケット本体部に移動自在に支持する支持手段と、前記カム溝に係合すると共に前記物品排出機構駆動手段との係合により前記分岐コンベヤ側に移動する排出ピンと、前記排出ピンと前記物品載置面とを一体的に連結して前記物品載置面を前記排出方向に移動させながら前記物品載置手段と一体的に前記バケット搬送方向に移動可能な連結手段と、により構成することができ、無端回動ベルト装置等の物品載置手段自体はバケット搬送方向と直交する排出方向には移動せず、バケット搬送方向後方にシフト移動し、無端回動ベルト等の物品載置面の排出方向への移動で物品を分岐コンベヤに排出する。
【0013】
上記した構成の物品選別装置において、前記ガイド機構は前記バケット本体部に設けられたカム溝を有し、前記物品排出機構を、前記物品載置手段を前記バケット搬送方向に沿って前記バケット本体部に移動自在に支持する支持手段と、前記物品載置手段の物品載置面と一体的に連結されて前記排出方向に移動自在で、かつ前記バケット搬送方向に沿って前記物品載置手段と一体的に移動自在な従動板と、前記従動板に連結されて前記カム溝に係合するカムフォロワと、前記従動板と一体的に連結され、前記物品排出機構駆動手段との係合により前記分岐コンベヤ側に前記従動板と共に移動する排出ピンと、により構成することができ、上述のカム溝を備えた構成の物品選別装置と同様に、物品載置手段をバケット搬送方向にのみシフト移動せることができ、カムフォロワを利用することで、物品載置手段の移動機構の自由度が増す。
【0014】
また、上記の各構成において、前記カム溝は、少なくとも前記排出方向に平行な排出駆動用カム溝部と前記排出駆動用カム溝部から前記バケット搬送方向斜め後方に向けて延び前記分岐コンベヤ側に傾斜したシフト駆動用カム溝部、あるいは、前記バケット搬送方向に沿って前後に離隔すると共に、前記排出方向にずれて配置され、前記排出方向に平行な一対の排出駆動用カム溝部と、前記一対の排出駆動用カム溝部の対向端に連接され、前記バケット搬送方向斜め後方に向けて延び前記分岐コンベヤ側に傾斜したシフト駆動用カム溝部とにより構成することができる。
【0015】
また、前記分岐コンベヤは、物品が移載される際に物品一個分に相当する距離だけ間欠駆動され、物品をプールすると共に、次に排出される物品の移載を確保する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バケットコンベヤ等の搬送コンベヤから分岐コンベヤに例えば転動し易い形状の物品を排出する際に、無端回動ベルト等の物品載置手段をバケット搬送方向後方にシフト移動させることにより、バケット搬送に伴うバケット搬送方向の慣性力を打ち消し、分岐コンベヤへ物品を移載する際に分岐コンベヤ上で物品が転動することを防止することができる。
【0017】
選別対象の物品である分岐コンベヤへの受け渡しに際して転動し易い形状を備えた物品として、例えば農産物にあってはみかん,リンゴ,梨,メロン等の略球形形状のもの、レモン,サツマイモ,大根,かぶ等の短手方向に沿った切断面を略円形断面とする楕円あるいは円柱状のものを例示でき、また農産物以外にあっては略球形形状または短手方向に沿った切断面を略円形断面としたものであれば良く、例えば球技用ボール等を例示できる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、上記した本発明の効果に加え、物品載置手段を斜め後方に直接排出移動かつシフト移動させる構成であるため、排出機構の構成を簡単にすることができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、上記した本発明の効果に加え、物品載置手段のバケット搬送方向の移動と物品載置面の排出方向の移動の駆動制御をカム溝を利用して行っているので、バケット搬送方向の移動速度の設定を任意に行え、またレーザー加工等によりカム溝を簡単に形成することができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、上記した請求項3に係る発明の効果に加え、カムフォロワを備えた従動板を利用することで、物品載置手段の移動機構の自由度が増すので、例えば排出ピンをガイド機構に係合させて排出機構の駆動力を取り出す際、駆動力の取り出しと、物品載置手段をシフト移動させるための機構を別々に構成することができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、簡単なカム溝構成とすることができる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、シフト駆動用カム溝部を経てさらに排出駆動用カム溝部で物品載置手段のシフト移動を停止させ、そこで物品を分岐コンベヤに移載するので、シフト移動中に物品が移載されることを確実に防止できる。また、カム溝を斜め一直線にした場合よりも傾斜を大きくすることができるため、シフト速度をより大きくすることができ、その結果、バケット搬送速度が大きい場合でも慣性力を打ち消すことができる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、前記分岐コンベヤに農産物等の物品を所定間隔でに整列状態でプールすることができ、また次に排出される物品をその前の物品と衝突することなく移載させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による農産物選別装置の第1実施形態を示す装置全体の概略図。
【図2】図1のバケットコンベヤのバケットおよびバケットに備えられる排出機構を示し、(a)は上面図であって農産物載置手段である無端回動ベルトが待機位置の状態を示し、(b)は正面図、(c)は(a)のA-A矢視図である。
【図3】図2に示す排出機構の上面図であって、農産物載置手段である無端回動ベルトが待機位置から排出位置まで回動するとともに、排出機構が待機位置から搬送方向後方に移動した状態を示す。
【図4】本発明の第2実施形態を示し、(a)はバケットコンベヤのバケットおよびバケットに備えられる排出機構の上面図であって農産物載置手段である無端回動ベルトが待機位置の状態を示し、(b)は正面図、(c)はバケット本体部の上面図、(d)は(a)のB-B矢視図である。
【図5】図4示す排出機構の上面図であって、農産物載置手段である無端回動ベルトが待機位置から排出位置まで回動するとともに、排出機構が待機位置から搬送方向後方にシフト移動した状態を示す。
【図6】本発明の第3実施形態を示し、(a)はバケットコンベヤのバケットおよびバケットに備えられる排出機構の上面図であって農産物載置手段である無端回動ベルト装置が待機位置の状態を示し、(b)は正面図、(c)は(a)のC−C矢視図、(d)は(a)のD-D矢視図である。
【図7】図6に示すバケットのバケット本体部の上面図を示す。
【図8】図6示す排出機構の上面図であって、農産物載置手段である無端回動ベルト装置が待機位置から排出位置まで回動するとともに、排出機構が待機位置から搬送方向後方にシフト移動した状態を示す。
【図9】本発明の第4実施形態を示し、(a)はバックサポータの分解上面図、(b)は(a)のバックサポータを組み立てた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明による物品選別装置を農産物選別装置に適用した実施形態に基づいて以下に説明する。
【0026】
第1実施形態
図1から図3は本発明の第1実施形態を示し、図1は農産物選別装置の全体構成の概略図、図2は図1のバケットの詳細を示し、図3はバケットが排出位置にシフトした状態を示している。なお、図2(a)および図3においては、無端回動ベルト15およびバックサポータ23を透過した状態でその背面側を描いており、該透過した背面側の部分を実線で示している。
【0027】
図1に示す農産物選別装置1は、駆動部2aと従動部2bとの間を無端回動する搬送コンベヤであるバケットコンベヤ2を有しており、搬送上流側における農産物供給部3において、コンテナ搬送コンベヤ4上の農産物入りのコンテナ5がバケットコンベヤ2の傍まで搬送され、農産物供給作業者W1がコンテナ5内の例えばメロン等の球形形状の農産物をバケットコンベヤ2の各バケット6に供給(載置)する。
【0028】
本実施形態において、バケットコンベヤ2は無端回動する後述のチェーン13に対し、バケット6の搬送方向と直交する方向(以下バケット幅方向とする)を長手方向とする後述の連結軸12が連結されていて、バケット6がこの連結軸12に前記バケット幅方向移動可能に連結され、農産物供給作業者W1の手操作でバケット6をバケット幅方向に移動して任意の位置に停止可能としている。
【0029】
本実施形態において、農産物供給作業者W1が目視により農産物の品質項目の一つである外観品質である等級(優、秀等)を判定し、農産物を載せたバケット6をバケット幅方向における各等級に対応して予め決められた位置に移動する手選別方式を採用している。
【0030】
農産物供給部3でバケット6の所定の等級位置に載置された農産物は等級判定装置7を通過する際に、例えば投光素子と受光素子との組み合わせからなる複数の光電スイッチ(不図示)によって前記所定の等級位置が検出され、不図示の処理装置に現在位置(バケット番号)と共に検出された等級情報が送信される。なお、図2(b)に示すように、バケット6のバケット幅方向の後端側に反射板6aを上下に移動可能に設け、バケット幅方向の同じ位置であっても、反射板6aを二点鎖線で示す上方位置に上げ、前記光電スイッチの光をこの反射板6aで反射させてON検知を行わせる場合と、反射板6aを実線で示す位置まで下げ、前記光電スイッチの光を通過させてOFF検知を行わせる場合とで、等級の指示を異ならせている。
【0031】
等級判定装置7を通過したバケット6上の農産物は続いて外形サイズ,内部品質等を測定する検査装置8に入って検査が行われ、当該農産物の検査結果情報が前記処理装置に送信されて農産物の品質の他の一項目である階級(S,M,L,LL等)が決定され、各農産物の仕分け区分が決定される。
【0032】
バケットコンベヤ2の側方には検査装置8と駆動部2aとの間に複数の分岐コンベヤ9が配置されている。本実施形態においては、例えば4条の分岐コンベヤ9を1グループとして、複数のグループ9A,9B・・・が配置されており、各分岐コンベヤ9には仕分け区分判定済みの農産物が仕分け区分毎にバケットコンベヤ2から移載される。各分岐コンベヤ9は、農産物を包装処理のためにプールするプールコンベヤとして機能し、バケットコンベヤ2の搬送方向と直交する方向を搬送方向として間欠駆動される。バケット6から農産物の排出動作が開始されるのに同期して分岐コンベヤ9の駆動動作が開始され、分岐コンベヤ9に受け渡された農産物が分岐コンベヤの搬送始端から所定の送り距離αだけ搬送されると分岐コンベヤ9の駆動が停止される。この所定の送り距離αを設けることにより、次の農産物を受け取る際に、前の農産物との間にスペースを確実に確保することができ、次に送り込まれる農産物と分岐コンベヤ9の搬送始端部に載置されている農産物との衝突を確実に回避できるようにしている。したがって、各分岐コンベヤ9上にプールされる農産物は所定間隔で整列した状態でプールされることになる。
【0033】
バケットコンベヤ2は、図2に示すように、多数のバケット6を無端回動するチェーン13に連結して構成されており、各バケット6は、前記無端回動するチェーン13に連結軸12を介して連結されるフレーム構造のバケット本体部10上に、農産物を載置した状態で分岐コンベヤ9に向けて排出する排出機構11を配置した構成としている。
【0034】
バケット6のバケット本体部10には、前記バケット幅方向に延びる連結軸12が回転自在にかつ移動自在に貫通し、バケット6を連結軸12に沿ってバケット幅方向に移動可能としている。
【0035】
なお、手選別領域3および等級判定装置7を通過するまではバケット6を等級設定のためにバケット幅方向の任意の位置に移動可能とし、また設定した等級位置をそれぞれ保持するために、バケット6をバケット幅方向の後述の片寄位置に強制移動させる位置規制は行っていない。
【0036】
そして、等級判定装置7を通過した後は、検査装置8においてバケット幅方向の一定位置での検査を行うため、および分岐コンベヤ9に対してバケット6をできるだけ分岐コンベヤ9側に近づけてバケット6の排出機構11による農産物の排出を行えるようにするため、図1に示すように、バケットコンベヤ本体に片寄位置復帰用ガイド部材33を検査装置8の直前に配置している。
【0037】
図2に示すように、片寄位置復帰用ガイド部材33には、バケット本体部10の片側(分岐コンベヤ9とは反対側)に取り付けたガイドローラ14が係合し、バケット6が搬送方向に搬送されるに従ってガイドローラ14を分岐コンベヤ9側に移動させる。バケット6が分岐コンベヤ9の設けられた領域を通過する際には、バケット6が分岐コンベヤ9にできるだけ近づいた位置である片寄位置を保持させるため、バケットコンベヤ2の搬送方向に沿って断面U字型のガイドレール34をバケットコンベヤ本体に設け、ガイドローラ14をガイドレール34のU字溝に係合させている。このガイドレール34を農産物供給部3の直前まで設けることで、バケット6をバケット幅方向の一定位置に保持した状態で移動させることができる。
【0038】
排出機構11は、前記バケット幅方向を搬送方向とする農産物載置手段としての無端回動ベルト15を本体部10の上端に配置した構成を有しており、第1ローラ16と第2ローラ17との間に無端回動ベルト15を架け渡している。本実施形態では第1ローラ16側を農産物排出側とし、前記バケット幅方向の略中央位置を排出される農産物Pの待機位置としている。
【0039】
バケットコンベヤ2の搬送方向(以下バケット搬送方向とする)における本体10の長さL1を無端回動ベルト15の長さL2よりも長くし、本体10のバケット幅方向の両端部に設けた支軸18,19に第1ローラ16,第2ローラ17を軸方向移動自在で回転自在に軸支させている。
【0040】
したがって、無端回動ベルト15は支軸18,19に回転自在に軸支された第1ローラ16と第2ローラ17に支持されて回動可能であり、また無端回動ベルト15は支軸18,19の軸方向、すなわちバケット搬送方向に移動可能となっている。
【0041】
無端回動ベルト15は農産物Pの載置される農産物載置面である上面ベルト部15aを第1ローラ16側に向けて移動させ、農産物Pが無端回動ベルト15の排出端に達する位置で排出方向の移動が停止し、その後例えば元の待機位置まで戻される。
【0042】
本実施形態では、無端回動ベルト15上の農産物Pを分岐コンベヤ9に排出する際、図2(a)に示す待機位置の無端回動ベルト15を排出方向に移動させながら、無端回動ベルト15を前記バケット搬送方向後方側にシフトさせて図3に示す排出位置に移動させており、以下に無端回動ベルト15の搬送駆動とシフト駆動の構成を図2を参照して説明する。
【0043】
本体部10には、無端回動ベルト15の下方に、前記バケット幅方向で、分岐コンベヤ9に向かうに従ってバケットコンベヤ2の搬送方向後方に向かう傾斜状態にガイドロッド20を前記バケット搬送方向に沿って前後に平行して2本固定しており、この2本のガイドロッド20にスライド部材21をスライド自在に取り付けている。図2(b)は、スライド部材21が分岐コンベヤ9から最も離れたバケット幅方向位置に位置した状態を示し、この状態を待機位置としている。したがって、スライド部材21は、スライドガイドロッド20にガイドされて分岐コンベヤ9に近づきつつバケットコンベヤ2の搬送方向後方にシフト移動する。
【0044】
スライド部材21には、本体部10の天板10aに形成した開口10bおよび無端回動ベルト15の下面ベルト部15bに形成したバケット幅方向に平行なスリット(二点鎖線で示す)15cを貫通して上面ベルト部15aに達する連結部材22が前記バケット搬送方向の前後に並設して固定されており、この2本の連結部材22に無端回動ベルト15の上面ベルト部15aを固定するが、本実施形態では農産物の載置位置を示し、また載置する農産物の排出方向背面側を支持するバックサポータ23を上面ベルト部15aに一体的に固定している。バックサポータ23の上面に板材24を宛がって取付ボルト25をバックサポータ23および上面ベルト部15aを貫通して連結部材22にねじ込むことにより、バックサポータ23と無端回動ベルト15を一体的に固定しつつ、連結部材22を介してスライド部材21と無端回動ベルト15とを一体に連結している。なお、傾斜スリット15cをガイドロッド20と平行に形成しているので、スライド部材21のスライド移動に伴って連結部材22が下面ベルト部15bと干渉することを回避している。
【0045】
また、スライド部材21には、下方に向けて排出ピン26が固定されており、バケットコンベヤ2に設けた排出機構11を駆動する駆動用ガイド部材27に排出ピン26が係合すると、バケット6が搬送方向に移動するに従って排出ピン26は待機位置から分岐コンベヤ9側の排出位置に向けて移動する。スライド部材21は、ガイドロッド20に案内されて移動するので、排出ピン26がガイド部材27に係合を開始すると、スライド部材21は本体部10に対し前記バケット幅方向を分岐コンベヤ9側に移動しつつ前記バケット搬送方向後方に移動する。
【0046】
そして、スライド部材21と一体に移動する無端回動ベルト15は、上面ベルト部15aを分岐コンベヤ9側に向けて移動し、バックサポータ23に支持された上面ベルト部15a上の農産物Pを分岐コンベヤ9側に搬送する。これと同時に、無端回動ベルト15がバケット搬送方向後方にシフトするので、無端回動ベルト15上に載置されている農産物Pは、上面ベルト部15aの搬送によるバケット幅方向の速度(以下排出速度とする)と、バケットコンベヤ2の搬送速度(以下バケット搬送速度とする)と、無端回動ベルト15がバケット搬送方向と反対方向にシフトする際の速度(以下シフト速度とする)を慣性速度として有している。
【0047】
したがって、無端回動ベルト15上の農産物Pには、実際に、前記バケット搬送速度と前記シフト速度との差である速度と、前記排出速度との合成された速度を合成方向に慣性速度として有することになる。そうすると、前記シフト速度をできるだけ前記バケット搬送速度に近づければ、無端回動ベルト15上の農産物Pの慣性速度の向きは前記排出速度の向きに近づく、換言すれば、排出先の分岐コンベヤ9から見たバケット6の相対的な搬送速度が小さくなるので、停止したコンベヤ間での受け渡しに近い状態となり、転動防止が可能となる。したがって、無端回動ベルト15から農産物Pを排出し、間欠駆動が開始されている分岐コンベヤ9に農産物Pを移載した際に、農産物Pは転動することがない。この場合、分岐コンベヤ9の搬送速度を無端回動ベルト15の排出速度に一致させている。
【0048】
駆動用ガイド部材27は、各分岐コンベヤ9に対応してそれぞれ配置され、モータ等からなる駆動装置28により、前記片寄位置に位置決めされて搬送されるバケット6の排出ピン26との係合が行える係合位置と、排出ピン26と非係合とする非係合位置との間を移動可能に回転する。
【0049】
バケット6上の農産物Pの仕分け区分が該当する分岐コンベヤ9に近づくと、前記処理装置から排出信号が当該分岐コンベヤ9に対応する駆動用ガイド部材27の駆動装置28に入力され、駆動用ガイド部材27が前記非係合位置から係合位置に移動し、バケット6の排出ピン26が駆動用ガイド部材27に係合する。そして、このバケット6上の無端回動ベルト15が排出方向に回動し、上面ベルト部15a上の農産物を分岐コンベヤ9側に移動させつつバケット搬送方向後方にシフト移動し、無端回動ベルト15のシフトの終了に合わせて分岐コンベヤ9への農産物Pの移載が終了し、農産物Pは転動することなく分岐コンベヤ9に移載される。
【0050】
プールコンベヤとしての分岐コンベヤ9に排出された農産物Pは間欠駆動により搬送され、図1に示すように、箱詰作業者W2により箱詰部31で包装箱に箱詰される。
【0051】
一方、農産物Pを排出した後の排出機構11は、無端回動ベルト15が排出完了位置に留まった状態で農産物供給部3に搬送されると、農産物Pの載置ができないので、例えば最も下流側に位置する分岐コンベヤ9と駆動部2aの間に排出ピン26と係合する待機位置復帰用ガイド部材32を配置し、無端回動ベルト15の上面ベルト部15aを元の待機位置に移動させつつ無端回動ベルト15をバケット搬送方向前方にシフトさせて元の待機位置に復帰させる。
【0052】
本実施形態の農産物選別装置において選別される農産物として、メロン、桃、トマト等の球形の外観形状を有し、外部からの衝撃により傷みやすい農産物に対して特に有利である。
【0053】
なお、上記した実施形態において、分岐コンベヤ9をバケット幅方向に沿った方向に配置しているが、バケットコンベヤ2の搬送方向に対して斜めに向けて配置しても良い。
【0054】
第2実施形態
図4および図5は本発明の第2実施形態を示す。なお、上記した図1から図3に示す部材と同様の部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0055】
本実施形態の農産物選別装置は、第1実施形態と同様に、複数のバケット6からなるバケットコンベヤ2によってバケット2上の農産物Pを分岐コンベヤ9に排出する際、バケット本体部10に対して排出機構11を構成する無端回動ベルト装置40をバケット搬送方向後方にシフトさせながら農産物Pをバケット幅方向に移動する点は上記した第1実施形態と同様であるが、無端回動ベルト装置40をバケット搬送方向に並設した2つの無端回動ベルト15Aと15Bにより構成した点と、無端回動ベルト装置40に対するベルト駆動とシフト駆動をバケット本体10のカム溝板49に設けたカム溝48を用いた点が異なる。
【0056】
本実施形態の無端回動ベルト装置40は、バケット幅方向に延びる断面U字形状に形成した装置フレーム41内に第1無端回動ベルト15Aと第2無端ベルト15Bとをバケット幅方向に隙間15Cを有して並設した構成で、隙間15Cを谷部とする断面V字形状に第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15Bを装置フレーム41に組み付けられている(図4(d)参照)。
【0057】
第1無端回動ベルト15Aは、バケット幅方向の前後に配置した第1ローラ16Aと第2ローラ17Aに架け渡され、同様に第2無端回動ベルト15Bは、第1ローラ16Bと第2ローラ17Bに架け渡されている。なお、これらのローラのローラ軸16C,16D、17C,17Dは装置フレーム41に取り付けられている。
【0058】
無端回動ベルト装置40を前記バケット搬送方向にシフトさせるために、バケット本体部10のバケット幅方向の両端部にバケット搬送方向に沿ってシフト用ガイドロッド42、43を取り付け、この一対のシフト用ガイドロッド42、43に装置フレーム41のバケット搬送方向前後の側板41a、41bをスライド自在に貫通させている。
【0059】
また、装置フレーム41の下部でバケット幅方向の両端部間に、スライド部材44がスライド自在に貫通するスライドガイドロッド45を前記バケット搬送方向の前後に並設している。そして、このスライド部材44から上方に連結ロッド46を無端回動ベルト装置40の隙間15Cを通して上方に立設させている。この連結ロッド46はバケット幅方向に沿って2本間隔を有して配置している。
【0060】
一方、第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15Bの上面ベルト部15aとの間をベルト連結板47で連結し、さらに2本の連結ロッド46をベルト連結板47に固定している。したがって、スライド部材44をバケット幅方向に沿って移動させると、第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15Bとが2本の連結ロッド46と連結板47を介してバケット幅方向に移動することになる。また、第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15Bの上面ベルト部15aには、第1実施形態と同様にバックサポータ23を取り付け、農産物Pの載置位置の位置決めと、農産物Pの背面支持を行っている。なお、バックサポータ23は、ベルト連結板47と一体の取付板47aにねじ等で固定されている。
【0061】
また、バケット本体部10には、図4(c)に示すように、装置フレーム41に設けられているスライド部材44の下方に、カム溝48を形成したカム溝板49を設けている。そして、スライド部材44から下方に向けて取り付けられた排出ピン50がこのカム溝48に係合している。
【0062】
カム溝48は、図4(c)に示すように、バケット幅方向に沿って延びる排出駆動用カム溝部51と、排出駆動用カム溝部51に連設され、バケット搬送方向後方で排出端側に向け斜めに形成されたシフト駆動用カム溝部52とにより構成されている。
【0063】
無端回動ベルト装置40が待機位置に位置した状態で、排出ピン50は、カム溝48の排出駆動用カム溝部51内で、分岐コンベヤ9とは反対側に係合している。この排出ピン50が第1実施形態と同様に、各分岐コンベヤ9に対応してバケットコンベヤ2にそれぞれ設けたガイド部材27に係合すると、排出駆動用カム溝部51内をシフト駆動用カム溝部52に向けてバケット幅方向に真っ直ぐ移動するため、バケット本体10に対して無端回動ベルト装置40はバケット搬送方向には移動せず、第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15Bの上面ベルト部15aだけが排出端側に移動し、第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15B上に載置された農産物Pがバックサポータ23に支持されて前記バケット幅方向を分岐コンベヤ9に向けて真っ直ぐ移動する。
【0064】
ガイド部材27に対する排出ピン50の係合が進み、排出ピン50が排出駆動用カム溝部51からシフト駆動用カム溝部52に係合状態が移行すると、排出ピン50は、前記バケット幅方向を分岐コンベヤ9に向けて移動しつつバケット搬送方向後方に向けて移動する。このため、無端回動ベルト装置40が農産物Pを載置した状態でバケット搬送方向にシフトする。
【0065】
排出ピン50が排出駆動用カム溝部51からシフト駆動用カム溝部52に係合が切り替わるタイミングは、無端回動ベルト装置40上の農産物Pが排出先の分岐コンベヤ9への受け渡しを開始するタイミングに合わせており、図5に示すように、シフト駆動の終了に合わせて分岐コンベヤ9への農産物Pの移載を行っている。したがって、農産物Pが分岐コンベヤ9に移載された時に分岐コンベヤ9上で転動することを防止できる。
【0066】
図5は、無端回動ベルト装置40が排出位置まで駆動されて停止している状態を示し、バックサポータ23の弧状(凹面状)に形成した先端部23aの下流側突起部23bと上流側突起部23cが排出端より分岐コンベヤ9側に入り込んでいる。分岐コンベヤ9の搬送速度は無端回動ベルト装置40による農産物Pの排出速度と略等速としており、バックサポータ23の下流側突起部23bと上流側突起部23cとの係合が外れ、干渉することがない位置まで農産物Pを搬送すると分岐コンベヤ9の搬送駆動が停止される。バックサポータ23の下流側突起部23bと上流側突起部23cは、分岐コンベヤ9に農産物Pを移載する際に農産物Pの側面を支持して農産物の転動を防止している。
【0067】
第3実施形態
図6、図7、図8は本発明の第3実施形態を示す。なお、上記した図1から図5に示す部材と同様の部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0068】
本実施形態は、図6および図8に示すように、バケット本体部10のシフト用ガイドロッド42、43に無端回動ベルト装置40の装置フレーム41をガイドさせて無端回動ベルト装置40をバケット搬送方向にシフト自在とし、無端回動ベルト装置40をカム機構を利用してバケット搬送方向にシフトさせつつ、第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15Bをバケット幅方向に移動させて、第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15B上の農産物Pを分岐コンベヤ9に排出させている。
【0069】
本実施形態では、図7に示すように、バケット本体部10のバケット搬送方向前方に、バケット幅方向に真っ直ぐ延びる2本のガイドロッド45を間隔を有して配置し、バケット本体部10のバケット搬送方向後方にカム溝48が形成されたカム溝板49を配置している。
【0070】
本実施形態において、カム溝板49に形成したカム溝48は、バケット幅方向の一端側(分岐コンベヤ9と反対側)に形成した第1排出駆動用カム溝部51Aと、第1排出駆動用カム溝部51Aの他端に連接して形成したシフト駆動用カム溝部52と、さらにシフト駆動用カム溝部52の他端に連接して形成した第2排出駆動用カム溝部51Bとにより構成している。シフト駆動用カム溝部52は、上記第2実施形態と同様にバケット搬送方向後方に向かうに従って分岐コンベヤ9側であるバケット6の排出端側に向かう傾斜軌跡に形成され、第1排出駆動用カム溝部51Aと第2排出駆動用カム溝部51Bとはバケット幅方向に沿って真っ直ぐ延びた軌跡に形成されていて、バケット搬送方向にずれて形成されている。
【0071】
2本のガイドロッド45には、排出ピン50を下方に固定した直方体状のスライド部材44がスライド自在に貫通支持されている。スライド部材44の上面には、スライド部材44に対してバケット搬送方向にのみ移動自在の従動板61を配置している。従動板61にはバケット搬送方向に長い長孔62が形成されていて、抜け止め板63aを備えたガイドねじ63が長孔62を通してスライド部材44にねじ止めされている。従動板61はガイドねじ63にガイドされ、長孔62の両端にガイドねじ63が当接するまでバケット搬送方向に移動自在に支持されている。
【0072】
従動板61のバケット搬送方向後端側には、カム溝48に係合するカムフォロワ64が取り付けられている。また、従動板61から上方に向けて連結ロッド46がバケット幅方向の前後に取り付けられ、この2本の連結ロッド46の上端が第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15Bの上面ベルト部15a同士を連結するベルト連結板47に固定されている。
【0073】
また、図6(d)に示すように、従動板61は装置フレーム41の逆U字形状形成した下部フレーム部41cにバケット幅方向に対し摺動自在に係合し、バケット搬送方向に対して移動不能に係合し、従動板61がバケット幅方向に移動する際には第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15Bの移動を許容し、従動板61がバケット搬送方向に移動する際には無端回動ベルト装置40と一体にシフト移動する。
【0074】
したがって、排出ピン50がガイド部材27と係合することにより、スライド部材44が、図6(a)に示す待機位置から排出端側にガイド部材27にガイドされてバケット幅方向を直進すると、従動板61もガイドねじ63に係合して同方向に一体的に移動する。その際、2本の連結ロッド46と共にベルト連結板47も同方向に移動し、第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15Bの上面ベルト部15aが排出端側に移動して、載置している農産物Pを排出端側に移動させる。
【0075】
この従動板61の移動に伴って、カムフォロワ64が第1排出駆動用カム溝部51Aを排出端側に移動するが、第1排出駆動用カム溝部51Aはスライド部材44をガイドするガイドロッド45と平行であるため、従動板61は待機位置からバケット幅方向に真っ直ぐ移動する。
【0076】
カムフォロワ64が第1排出駆動用カム溝部51Aからシフト駆動用カム溝部52に進むと、カムフォロワ64がバケット搬送方向の後方へ移動するので、従動板61もカムフォロワ64に従ってシフト駆動用カム溝部52の軌跡に倣ってバケット搬送方向後方へ移動する。そうすると、従動板61に係合する装置フレーム41と共に無端回動ベルト装置40をシフト駆動用カム溝部52の軌跡に倣ってバケット搬送方向後方へ移動させるシフト動作が行われることになる。このシフト動作により、無端回動ベルト装置40上の農産物Pに対するバケット搬送方向の慣性力が略打ち消されることになる。
【0077】
本実施形態では、カムフォロワ64がシフト駆動用カム溝部52の終端に達し、さらに第2排出駆動用カム溝部51Bに進んだ状態で、第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15B上の農産物Pを分岐コンベヤ9に移載させている。これは、全てのバケット6に対し、カムフォロワ64がシフト駆動用カム溝部52の終端位置に到達した時点と農産物Pが分岐コンベヤ9に移載されるタイミングを合わせることは、農産物Pの形状、大きさ等の不確定な要素から必ずしも容易ではない。もしも、無端回動ベルト装置40がバケット本体部10に対してバケット搬送方向後方へのシフト動作が行われている途中の状態で分岐コンベヤ9に農産物Pが移載されると、どうしても農産物Pがシフト方向に放り投げられる状態で分岐コンベヤ9に移載され易くなる。このような状態を回避するために、シフト駆動用カム溝部52の終端にカムフォロワ64が達した時点で農産物Pを分岐コンベヤ9に移載させず、図8に示すように、カムフォロワ64がさらに第2排出駆動用カム溝部51Bに進んだ状態、すなわち無端回動ベルト装置40のシフト動作を完全に停止させてから農産物Pを分岐コンベヤ9に移載させている。
【0078】
本実施形態では、第1、第2実施形態と同様に、バックサポータ23を第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15Bの上面ベルト部15aの所定位置に取り付けており、カムフォロワ64がシフト駆動用カム溝部52から第2排出駆動用カム溝部51Bに進入すると、第1無端回動ベルト15Aと第2無端回動ベルト15Bの上面ベルト部15aをさらに分岐コンベヤ9上まで進出させ、バックサポータ23の先端部23aの上流側突起23bと下流側突起23cにより、分岐コンベヤ9に排出された農産物Pをバケット搬送方向の前後で支持し、農産物Pの転動を防止する。
【0079】
なお、本実施形態のカム溝48の構成を上記した第2実施形態のカム溝48に適用しても良い。
【0080】
第4実施形態
図9は本発明の第3実施形態を示す。
【0081】
上記した第1、第2、第3実施形態において、バックサポータ23は、図5の説明で示すように、先端部23aの下流側突起部23bと上流側突起部23cの先端位置をバケット幅方向において同位置(同じ長さ)としている。
【0082】
これに対し、本第4実施形態では、上流側突起部23cを廃止あるいは下流側突起部23bよりも短く形成し、農産物Pを分岐コンベヤ9に移載する際に、先端部23aの上流側で農産物Pにバックサポータ23の一部が衝突しないようにしている。
【0083】
すなわち、農産物Pをバックサポータ23から排出する際に、上流側突起部23cが長いと、農産物Pが長い上流側突起部23cに当接し、矢印方向の回転が発生する場合がある。そこで、上流側突起部23cを廃止あるいは短くし、排出時に農産物Pの搬送方向上流側側面にバックサポータ23の一部が当接しないようにし、無用な回転を与えることなく農産物Pを分岐コンベヤ9に排出できるようにしている。
【0084】
また、本実施形態のバックサポータ23は、先端部23aと後端部23eとを嵌合させることで一体化した2分割構造としている。先端部23aは果実などの農産物Pが当接するため、ゴム,硬質スポンジ等の弾性部材により形成し、先端部23aの後端部に形成した凹部23dに後端部23eの先端に形成した凸部23fを嵌め込むようにしている。なお、本実施形態のバックサポータ23を上記した各実施形態に適用することできるのはいうまでもないことである。
【0085】
また、上記した各実施形態は、物品として農産物を例にして説明したが、選別対象の物品としては、分岐コンベヤへの受け渡しに際して転動し易い形状を備えた物品、例えば農産物にあってはみかん,リンゴ,梨,メロン等の略球形形状のもの、レモン,サツマイモ,大根,かぶ等の短手方向に沿った切断面を略円形断面とする楕円あるいは円柱状のものを例示でき、また農産物以外にあっては略球形形状または短手方向に沿った切断面を略円形断面としたものであれば良く、例えば球技用ボール等を例示できる。
【符号の説明】
【0086】
P 農産物
W1 農産物供給作業者
W2 農産物箱詰作業者
1 農産物選別装置(物品選別装置)
2 バケットコンベヤ(搬送コンベヤ)
3 農産物供給部
4 コンテナ
5 コンテナ搬送コンベヤ
6 バケット
7 等級判定装置
8 検査装置
9 分岐コンベヤ
10 バケット本体部
11 排出機構
12 連結軸
13 チェーン
14 ガイドローラ
15 無端回動ベルト(物品載置手段)
15a 上面ベルト部(物品載置面)
15A、15B 無端回動ベルト(物品載置手段)
16 第1ローラ
17 第2ローラ
18、19 支軸
20 ガイドロッド
21 スライド部材
22 連結部材
23 バックサポータ
24 板材
25 取付ボルト
26 排出ピン
27 駆動用ガイド部材
28 駆動装置
31 箱詰部
32 待機位置復帰用ガイド部材
33 片寄位置復帰用ガイド部材
34 ガイドレール
40 無端回動ベルト装置(物品載置手段)
41 装置フレーム
42、43 シフト用ガイドロッド
44 スライド部材
45 スライドガイドロッド
46 連結ロッド
47 ベルト連結板
48 カム溝
49 カム溝板
50 排出ピン
51 排出駆動用カム溝部
52 シフト駆動用カム溝部
61 従動板
62 長孔
63 ガイドねじ
64 カムフォロワ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が載置される物品載置面を有する物品載置手段と、前記物品載置手段を支持するバケット本体部とを備えるバケットと、
前記物品載置手段上に載置される物品を排出する物品排出機構と、
複数の前記バケットを無端回動軌道上で移動させる搬送コンベヤと、
前記バケットに載置された仕分け区分決定済み物品を仕分け区分毎に受け取る前記搬送コンベヤの側方に配置した複数の分岐コンベヤと、
前記物品排出機構を駆動して前記バケットに載置された仕分け区分決定済み物品を仕分け区分毎に前記搬送コンベヤの側方に配置した複数の分岐コンベヤに排出させる物品排出機構駆動手段と
を備える物品選別装置において、
前記物品載置手段は、前記バケット本体部に対し移動可能に設けられるとともに、
前記物品排出機構は、物品排出機構駆動手段により駆動された際に、前記物品載置手段の物品載置面を前記分岐コンベヤに向けて前記バケットの搬送方向と直交する排出方向に移動させながら、前記バケットの搬送方向後方に移動させるガイド機構を備えたことを特徴とする物品選別装置。
【請求項2】
前記ガイド機構は前記排出方向に対して斜めに配置したガイド部材を有し、前記物品排出機構は、前記ガイド部材にガイドされて前記物品排出機構駆動手段に係合する排出ピンと一体に移動するスライド部材と、前記スライド部材と前記物品載置面とを一体的に連結する連結部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の物品選別装置。
【請求項3】
前記ガイド機構は前記バケット本体部に設けられたカム溝を有し、前記物品排出機構は、前記物品載置手段を前記バケット搬送方向に沿って前記バケット本体部に移動自在に支持する支持手段と、前記カム溝に係合すると共に前記物品排出機構駆動手段との係合により前記分岐コンベヤ側に移動する排出ピンと、前記排出ピンと前記物品載置面とを一体的に連結して前記物品載置面を前記排出方向に移動させながら前記物品載置手段と一体的に前記バケット搬送方向に移動可能な連結手段と、により構成したことを特徴とする請求項1に記載の物品選別装置。
【請求項4】
前記ガイド機構は前記バケット本体部に設けられたカム溝を有し、前記物品排出機構は、前記物品載置手段を前記バケット搬送方向に沿って前記バケット本体部に移動自在に支持する支持手段と、前記物品載置手段の物品載置面と一体的に連結されて前記排出方向に移動自在で、かつ前記バケット搬送方向に沿って前記物品載置手段と一体的に移動自在な従動板と、前記従動板に連結されて前記カム溝に係合するカムフォロワと、前記従動板と一体的に連結され、前記物品排出機構駆動手段との係合により前記分岐コンベヤ側に前記従動板と共に移動する排出ピンと、により構成したことを特徴とする請求項1に記載の物品選別装置。
【請求項5】
前記カム溝は、少なくとも前記排出方向に平行な排出駆動用カム溝部と前記排出駆動用カム溝部から前記バケット搬送方向斜め後方に向けて延び前記分岐コンベヤ側に傾斜したシフト駆動用カム溝部からなることを特徴とする請求項3または4に記載の物品選別装置。
【請求項6】
前記カム溝は、前記バケット搬送方向に沿って前後に離隔すると共に、前記排出方向にずれて配置され、前記排出方向に平行な一対の排出駆動用カム溝部と、前記一対の排出駆動用カム溝部の対向端に連接され、前記バケット搬送方向斜め後方に向けて延び前記分岐コンベヤ側に傾斜したシフト駆動用カム溝部とからなることを特徴とする請求項3または4に記載の物品選別装置。
【請求項7】
前記分岐コンベヤは、物品が移載される際に物品一個分に相当する距離だけ間欠駆動されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の物品選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−5464(P2011−5464A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154083(P2009−154083)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(508134337)静岡シブヤ精機株式会社 (20)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)
【Fターム(参考)】