説明

物理量検出装置

【課題】故障の有無を判定するだけでなく、故障箇所をある程度特定することができる物理量検出装置を提供すること。
【解決手段】角速度検出装置1(物理量検出装置の一例)は、振動子100、駆動回路20、検出回路30、電圧判定回路50a、50b、故障判定回路60を含む。駆動回路20は、駆動信号を生成して振動子100に供給する。検出回路30は、振動子100の出力信号に基づいて、角速度(物理量の一例)に応じた検出信号を生成する。電圧判定回路50a、50bは、それぞれ、駆動回路20の入力信号又は出力信号の電圧レベル及び同期検波回路35の入力信号の電圧レベルが正常か否かを判定する。故障判定回路60は、電圧レベルが正常でないと判定した電圧判定回路50a又は50bに応じて異なる電圧レベルの信号を生成し、外部出力端子17を介して外部へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な物理量を検出する物理量検出装置が知られている。例えば、物理量として角速度を検出する角速度検出装置が知られており、角速度検出装置を搭載し、角速度検出装置により検出された角速度に基づいて所定の制御を行う様々な電子機器やシステムが広く利用されている。例えば、カーナビゲーションシステムや携帯電話機では角速度検出装置により検出された角速度に基づいて現在位置が特定され、デジタルカメラでは角速度検出装置により検出された角速度に基づいて手ぶれ補正が行われる。また、例えば、角速度検出装置により検出された角速度に基づいて自動車の傾きを検出し、傾きを一定にするように制御して横転事故を防止したり、横転を検出してサイドエアバックを作動させるシステムも開発されている。
【0003】
これらの電子機器やシステムでは、角速度検出装置が故障すると誤った制御が行われるので、最近では、角速度検出装置が故障していないかどうかを検出し、故障している場合には警告ランプを点灯して修理を促す等の対策が行われている。特に、前述した自動車の横転防止や横転検出のような人命に関わるような制御は誤りが許されないため、角速度検出装置の故障をすばやく検出することが重要である。
【0004】
例えば、特許文献1では、内部に故障判定回路を設けて故障の有無を判定し、故障判定信号を出力する角速度センサ装置が提案されている。
【特許文献1】特開平6−207946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
角速度センサ装置の故障の有無を判定し、故障した角速度センサ装置を交換すれば修理は行えるが、製品の信頼性を維持するためには故障箇所を特定し、今後の設計開発にフィードバックすることも重要である。
【0006】
しかし、特許文献1に記載された角速度センサ装置では、故障の有無を判定するだけであり、故障箇所を容易に特定することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、故障の有無を判定するだけでなく、故障箇所をある程度特定することができる物理量検出装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、所定の物理量を検出する物理量検出装置であって、前記物理量を検出し、検出した前記物理量の大きさに応じた信号を出力するセンサー素子と、駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記センサー素子に供給する駆動回路と、前記センサー素子の出力信号に基づいて、前記物理量に応じた検出信号を生成する検出回路と、複数の所定の信号の電圧レベルがそれぞれ正常か否かを判定する複数の電圧判定回路と、前記電圧レベルが正常でないと判定した前記電圧判定回路に応じて異なる電圧レベルの信号を出力する故障判定回路と、前記故障判定回路の出力信号を外部に出力するための少なくとも1つの外部出力端子と、を含むことを特徴とする。
【0009】
所定の物理量は、例えば、角速度、加速度、地磁気、圧力等である。
【0010】
本発明の物理量検出装置では、複数の電圧判定回路により複数の所定の信号の電圧レベルがそれぞれ正常か否かを判定し、1つの電圧判定回路のみが電圧レベルが正常でないと判定した場合、故障判定回路により当該電圧判定回路に応じて互いに異なる電圧レベルの信号を出力する。
【0011】
従って、本発明によれば、故障の有無を判定するだけでなく、故障箇所をある程度特定することができる物理量検出装置を提供することができる。
【0012】
(2)本発明の物理量検出装置において、前記故障判定回路は、前記電圧レベルが正常でないと判定した前記電圧判定回路の組み合わせに応じて互いに異なる電圧レベルの信号を出力するようにしてもよい。
【0013】
本発明の物理量検出装置によれば、故障判定回路の出力信号の電圧レベルにより、電圧レベルが正常でないと判定した電圧判定回路の組み合わせがわかるので、故障箇所が特定しやすくなる。
【0014】
(3)本発明の物理量検出装置において、前記故障判定回路は、所定数以上の前記電圧判定回路が前記電圧レベルが正常でないと判定した場合は、固有の電圧レベルの信号を出力するようにしてもよい。
【0015】
本発明の物理量検出装置によれば、所定数以上の電圧判定回路が電圧レベルが正常でないと判定すれば1つの固有の電圧レベルの信号を出力するので、電圧判定回路の数が比較的多く(例えば4つ)、電圧レベルが正常でないと判定した電圧判定回路の組み合わせ毎に故障判定回路が異なる電圧レベルの信号を出力するのが難しい場合でも、電圧レベルが正常でないと判定している電圧判定回路が所定数以上あるか否かがわかる。
【0016】
(4)本発明の物理量検出装置において、第1の前記電圧判定回路は、前記駆動回路の入力信号又は出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定するようにしてもよい。
【0017】
(5)本発明の物理量検出装置において、前記検出回路は、前記センサー素子の出力信号に対して検波処理を行う検波回路を有し、前記検波回路の出力信号に基づいて前記検出信号を生成し、第2の前記電圧判定回路は、前記検波回路の入力信号の電圧レベルが正常か否かを判定するようにしてもよい。
【0018】
(6)本発明の物理量検出装置において、第3の前記電圧判定回路は、前記検出回路の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定するようにしてもよい。
【0019】
(7)本発明の物理量検出装置において、前記第3の電圧判定回路は、当該物理量検出装置が移動している時は前記検出回路の出力信号の電圧レベルを第1の閾値と比較し、当該物理量検出装置が停止している時は前記検出回路の出力信号の電圧レベルを前記第1の閾値と異なる第2の閾値と比較し、比較結果に基づいて前記検出回路の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定するようにしてもよい。
【0020】
本発明の物理量検出装置では、検出回路の出力信号の正常電圧範囲が移動時と停止時で異なる範囲に設定される。従って、例えば、検出回路の出力信号について、停止時は0点電圧付近のごく狭い電圧範囲を正常電圧範囲とし、移動時は検出可能な物理量の大きさに応じて正常電圧範囲を広くすれば、故障の有無をより高い精度で判定することができる。
【0021】
(8)本発明の物理量検出装置において、前記第3の電圧判定回路は、当該物理量検出装置が停止している時は前記検出回路の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定し、当該物理量検出装置が移動している時は前記検出回路の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定しないようにしてもよい。
【0022】
移動時における検出回路の出力信号の正常電圧範囲は、検出可能な物理量に応じて広い範囲に設定しなければならない。そのため、故障があっても検出回路の出力信号の電圧レベルが正常電圧範囲にあれば検出できない。また、検出回路の出力信号の電圧レベルが正常電圧範囲を超えている場合であっても、故障しているのか検出可能な最大値よりも大きい物理量が加わったのかを区別することができない。すなわち、移動時は故障の有無を正確に判定するのは難しく、故障判定回路が故障の有無を誤判定する可能性がある。
【0023】
一方、停止時は検出回路の出力信号の正常電圧範囲を0点電圧を含む狭い範囲に設定できるので、故障判定回路が故障の有無を誤判定する可能性は低い。
【0024】
本発明の物理量検出装置によれば、停止時は検出回路の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定し、移動時は検出回路の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定しないので、故障判定回路が故障の有無を誤判定する可能性を低くすることができる。
【0025】
(9)本発明の物理量検出装置は、当該物理量検出装置が移動しているか停止しているかを示す制御信号が入力される外部入力端子を含み、前記第3の電圧判定回路は、前記制御信号に基づいて、当該物理量検出装置が移動しているか停止しているかを判断するようにしてもよい。
【0026】
一般的に、移動しているのか停止しているのかを物理量検出装置の内部で正確に判断するためには面積サイズの大きい複雑な回路が必要になるため、物理量検出装置のコストが高くなる。
【0027】
本発明によれば、移動しているか停止しているかを示す制御信号が外部から入力されるので、物理量検出装置のコストアップを抑制することができる。なお、外部のマイコンであれば、移動しているか停止しているかをより正確に判断して制御信号を生成し、本発明の物理量検出装置に供給することは比較的容易である。
【0028】
(10)本発明の物理量検出装置は、外部から供給される入力電源に基づいて内部電源を生成する電源回路を含み、第4の前記電圧判定回路は、前記入力電源又は前記内部電源の電圧レベルが正常か否かを判定するようにしてもよい。
【0029】
(11)本発明の物理量検出装置において、前記物理量は、角速度であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0031】
また、以下では、物理量として角速度を検出する物理量検出装置(角速度検出装置)を例にとり説明するが、本発明は、角速度、加速度、地磁気、圧力等の様々な物理量のいずれかを検出することができる装置に適用可能である。
【0032】
1.第1実施形態の角速度検出装置
図1は、第1実施形態の角速度検出装置の構成を示す図である。
【0033】
第1実施形態の角速度検出装置1は、振動子100と角速度検出用IC10を含む。以下、振動子100及び角速度検出用IC10について順に説明する。
【0034】
[振動子]
振動子100(本発明におけるセンサー素子の一例)は、角速度を検出し、検出した角速度の大きさに応じた信号を出力する。
【0035】
図2は、振動子100の平面図である。図2におけるX軸、Y軸、Z軸は水晶の軸を示す。
【0036】
図2に示すように、振動子100は、水晶などの圧電材料の薄板から形成され、2つの駆動用基部104a、104bからそれぞれ駆動振動腕101a、101b(広義には、駆動用振動片)が水晶のY軸方向に延出している。駆動振動腕101aの側面及び上面にはそれぞれ駆動電極112及び113が形成されており、駆動振動腕101bの側面及び上面にはそれぞれ駆動電極113及び112が形成されている。図1に示すように、駆動電極112、113は、それぞれ、角速度検出用IC10の外部出力端子11、外部入力端子12を介して駆動回路20に接続される。
【0037】
駆動用基部104a、104bは、それぞれ水晶のX軸方向に延びる連結腕105a、105bを介して検出用基部107に接続されている。検出振動腕102(広義には、検出振動片)は、検出用基部107から水晶のY軸方向に延出されている。検出振動腕102の上面には検出電極114及び115が形成されており、検出振動腕102aの側面には共通電極116が形成されている。図1に示すように、検出電極114、115は、それぞれ、角速度検出用IC10の外部入力端子13、14を介して検出回路30に接続される。また、共通電極116は接地される。
【0038】
駆動振動腕101a、101bの駆動電極112と駆動電極113との間に交番電圧/交番電流からなる駆動信号が与えられると、図3に示すように、駆動振動腕101a、101bは圧電効果によって矢印Bのように屈曲振動する。
【0039】
ここで、振動子100が水晶のZ軸を回転軸とした回転運動をすると、駆動振動腕101a、101bは、矢印Bの屈曲振動の方向と水晶のZ軸の両方に垂直な方向にコリオリの力を得る。その結果、図4に示すように、連結腕105a、105bは矢印Cで示すような振動をする。そして、検出振動腕102は、連結腕105a、105bの振動(矢印C)に連動して矢印Dのように屈曲振動をする。
【0040】
そして、これらの屈曲振動に基づいて発生する逆圧電効果によって、検出振動腕102の検出電極114、115と共通電極116との間には、それぞれ逆方向の交番電圧/交番電流が発生する。以上のようにして、振動子100は、水晶のZ軸を検出軸としてコリオリの力に基づく角速度成分を検出し、検出電極114、115を介して検出信号を出力する。
【0041】
なお、図2の構成では、振動子100のバランスを良くするために、検出用基部107を中央に配置し、検出用基部107から+Y軸と−Y軸の両方向に検出振動腕102を延出させている。さらに、検出用基部107から+X軸と−X軸の両方向に連結腕105a、105bを延出させ、連結腕105a、105bのそれぞれから、+Y軸と−Y軸の両方向に駆動振動腕101a、101bを延出させている。
【0042】
また、駆動振動腕101a、101bの先端を幅広の幅広部103にし、さらに、錘を付けることでコリオリの力を大きくしている。また、錘効果によって、所望の共振周波数を、短い振動腕で得ることができる。同様の理由で、検出振動腕102の先端を幅広の幅広部106にし、さらに、錘を付けている。
【0043】
なお、振動子100は、上述のWT型の構成に限らず、例えば、駆動振動腕と検出振動腕とを兼ねる構成であってもよく、また、駆動振動腕や検出振動腕に圧電膜を形成した構成であってもよい。
【0044】
[角速度検出用IC]
図1に示すように、角速度検出用IC10は、駆動回路20、検出回路30、電源回路40、電圧判定回路50a、50b、50c、故障判定回路60を含む。
【0045】
駆動回路20は、本発明における駆動回路として機能し、I/V変換回路(電流電圧変換回路)21、AC増幅回路22、振幅調整回路23を含んで構成されている。
【0046】
振動子100が振動すると、圧電効果に基づく交流電流が駆動電極113から出力され、I/V変換回路21に入力される。I/V変換回路21は、入力された交流電流を振動子100の振動周波数と同一の周波数の交流電圧信号に変換して出力する。
【0047】
I/V変換回路21から出力された交流電圧信号は、AC増幅回路22に入力される。AC増幅回路22は、入力された交流電圧信号を増幅して出力する。
【0048】
AC増幅回路22から出力された交流電圧信号は振幅調整回路23に入力される。振幅調整回路23は、入力された交流電圧信号の振幅を一定値に保持するように利得を制御し、利得制御後の交流電圧信号を振動子100の駆動電極112に出力する。この駆動電極112に入力される交流電圧信号(駆動信号)により振動子100が振動する。
【0049】
検出回路30は、本発明における検出回路として機能し、チャージアンプ回路31、32、差動増幅回路33、AC増幅回路34、同期検波回路35、平滑回路36、可変増幅器37、フィルター回路38を含んで構成されている。
【0050】
チャージアンプ回路31、32には、振動子100により検出された互いに逆位相の検出信号(交流電流)が検出電極12、13を介して入力される。そして、チャージアンプ回路31、32は、入力された検出信号(交流電流)を基準電圧Vrefを中心とする交流電圧信号に変換する。
【0051】
差動増幅回路33はチャージアンプ回路31の出力信号とチャージアンプ回路32の出力信号を差動増幅する。差動増幅回路33の出力信号は、さらにAC増幅回路34で増幅される。
【0052】
同期検波回路35は、本発明における検波回路として機能し、AC増幅回路22が出力する交流電圧信号を基に、AC増幅回路34の出力信号を同期検波することにより角速度成分を抽出する。
【0053】
同期検波回路35で抽出された角速度成分の信号は、平滑回路36で直流電圧信号に平滑化され、可変増幅回路37に入力される。
【0054】
可変増幅回路37は、平滑回路36の出力信号(直流電圧信号)を、設定された増幅率(又は減衰率)で増幅(又は減衰)して角速度感度を変化させる。可変増幅回路37で増幅(又は減衰)された信号は、フィルター回路38に入力される。
【0055】
フィルター回路38は、可変増幅回路37の出力信号から高周波のノイズ成分を除去し(正確には所定レベル以下に減衰させ)、角速度の方向及び大きさに応じた極性及び電圧レベルの検出信号を生成する。そして、この検出信号は外部出力端子16から外部へ出力される。
【0056】
電圧判定回路50aは、本発明における第1の電圧判定回路として機能し、駆動回路20の出力信号(図1では振幅調整回路23の出力信号)が入力され、当該信号の電圧レベルが正常か否かを示す電圧判定信号を出力する。なお、電圧判定回路50aは、駆動回路20の入力信号(図1ではI/V変換回路21の入力信号)が入力され、当該信号の電圧レベルが正常か否かを示す電圧判定信号を出力するようにしてもよい。
【0057】
電圧判定回路50bは、本発明における第2の電圧判定回路として機能し、検出回路30に含まれる同期検波回路35の入力信号(図1では振幅調整回路23の出力信号)が入力され、当該信号の電圧レベルが正常か否かを示す電圧判定信号を出力する。
【0058】
電圧判定回路50cは、本発明における第3の電圧判定回路として機能し、検出回路30の出力信号(図1ではフィルター回路38の出力信号)が入力され、当該信号の電圧レベルが正常か否かを示す電圧判定信号を出力する。
【0059】
例えば、電圧判定回路50a、50b、50cは、各入力信号の電圧レベルが正常と判定すればローレベル、異常と判定すればハイレベルとなる電圧判定信号を出力するようにしてもよい。
【0060】
電源回路40は、電源入力端子15から入力された入力電源をレギュレートし、少なくとも電圧判定回路の数の異なる電源電圧の内部電源を生成する。図1では3つの電圧判定回路50a、50b、50cが含むれるので、例えば、電源回路40は3つの異なる電源電圧の内部電源であるVDD電源(例えば5V電源)、VDD電源(例えば4V電源)、VDD電源(例えば3V電源)を生成する。そして、VDD電源、VDD電源、VDD電源は、それぞれ電圧判定回路電圧判定回路50a、50b、50cに供給される。また、故障判定回路60には、VDD電源、VDD電源、VDD電源のすべてが供給される。なお、内部電源の数をできるだけ減らすために、駆動回路20、検出回路30にもVDD電源、VDD電源、VDD電源のいずれか、例えばVDD電源が供給されるようにしてもよい。
【0061】
故障判定回路60は、本発明における故障判定回路として機能し、電圧判定回路50a、50b、50cのうち、電圧レベルが正常でないと判定した電圧判定回路に応じて異なる電圧レベルの信号を出力する。具体的には、故障判定回路60は、電圧判定回路50aが出力する電圧判定信号が異常電圧であることを示す場合は電圧レベルがVDDとなり、電圧判定回路50bが出力する電圧判定信号が異常電圧であることを示す場合は電圧レベルがVDDとなり、電圧判定回路50cが出力する電圧判定信号が異常電圧であることを示す場合は電圧レベルがVDDとなり、電圧判定回路50a、50b、50cが出力する電圧判定信号がすべて正常電圧であることを示す場合は電圧レベルがグランド電位(0V)となる故障判定信号を生成する。そして、この故障判定信号は外部出力端子17から外部へ出力される。
【0062】
外部出力端子17には、通常使用時にホストCPUが接続され、ホストCPUは外部出力端子17の電圧レベルをモニターして角速度検出装置1が故障しているか否かをリアルタイムに判断し、故障していると判断すれば、例えば、警告ランプを表示することができる。
【0063】
角速度検出装置1が故障している場合には、外部出力端子17に故障解析装置(例えば、PC)を接続し、外部出力端子17の電圧レベルがVDD、VDD、VDDのいずれであるかにより、角速度検出装置1の故障箇所を特定することができる。また、通常使用時に外部出力端子17にホストCPUを接続し、ホストCPUが外部出力端子17の電圧レベルをモニターして角速度検出装置1の故障箇所をリアルタイムに特定し、故障箇所に応じてより詳細な制御を行うようにしてもよい。
【0064】
図5は、角速度検出装置1に角速度が加わっている時の図1のA点〜H点における信号波形の一例を示す図である。図5において横軸は時間、縦軸は電圧を表す。
【0065】
振幅調整回路23の出力(A点)には基準電圧Vrefを中心とする交流電圧信号(駆動信号)が発生し、この駆動信号が振動子100の駆動電極112に供給されて振動子100が振動し、AC増幅回路22の出力(B点)には振動子100の駆動電極113からフィードバックされた信号が増幅された交流電圧信号が発生する。
【0066】
振動子100にZ軸を中心とする角速度が加わると、振動子100の検出電極114、115には駆動電極112に供給される駆動信号と同じ周波数の交流電流が発生する。
【0067】
振動子100の検出電極114に発生した交流電流はチャージアンプ回路31により交流電圧信号に変換され、チャージアンプ回路31の出力(C点)にはAC増幅回路22の出力信号(B点の信号)と同じ位相の正弦波電圧信号が発生する。
【0068】
振動子100の検出電極115に発生する交流電流は検出電極114に発生する交流電流に対して逆位相であるので、チャージアンプ回路32の出力(D点)にはチャージアンプ回路31の出力信号(C点の信号)に対して逆位相の正弦波電圧信号が発生する。
【0069】
チャージアンプ回路31の出力信号(C点の信号)及びチャージアンプ回路32の出力信号(D点の信号)は差動増幅され、AC増幅回路34の出力(E点)には、チャージアンプ回路31の出力(C点)に発生する正弦波電圧信号と同位相の正弦波電圧信号が発生する。
【0070】
AC増幅回路34の出力信号(E点の信号)は、同期検波回路35によりAC増幅回路22の出力信号(B点の信号)に基づいて同期検波される。その結果、同期検波回路35の出力(F点)には、AC増幅回路34の出力信号(E点の信号)が全波整流された信号が発生する。なお、振動子100の検出電極114、115には、駆動電極112に供給される駆動信号と同位相で同じ周波数の不要な交流電流が発生するが、この不要な交流電流は同期検波回路35により除去される。
【0071】
平滑回路36により同期検波回路35の出力信号(F点の信号)が平滑化され、平滑回路36の出力(G点)には基準電圧Vrefよりも高い電圧の信号が発生し、その結果、フィルター回路38の出力(H点)、すなわち検出回路30の出力にも基準電圧Vrefよりも高い電圧の信号が発生する。
【0072】
なお、角速度検出装置1に図5と逆方向の角速度が加わった場合には、チャージアンプ回路31の出力信号(C点の信号)及びチャージアンプ回路32の出力信号(D点の信号)がともに180°反転した波形になる。そのため、検出回路30の出力には基準電圧Vrefよりも低い電圧の信号が発生する。
【0073】
このようにして検出回路30は角速度を検出することができる。そして、検出回路30が出力する検出信号は、その電圧レベルがコリオリの力の大きさ(角速度の大きさ)に比例し、その極性が回転方向により決まるので、外部出力端子16に接続された外部装置は、検出信号に基づいて角速度検出装置1に加えられた角速度を計算することができる。
【0074】
図6は、電圧判定回路50a、50b、50cの回路構成の一例を示す図である。
【0075】
図6に示すように、本実施形態における電圧判定回路50a、50b、50cは、整流回路52、平滑回路54及び比較回路56を含んで構成されている。
【0076】
本実施形態における整流回路52は、抵抗521、抵抗522、抵抗523、差動増幅器524、ダイオード525、ダイオード526及び抵抗527を含んで構成されている。
【0077】
抵抗521の第1端子及び抵抗522の第1端子は、入力端子Iと接続されている。入力端子Iには図1に示した駆動回路20の出力信号、同期検波回路35の入力信号又は検出回路30の出力信号が入力される。
【0078】
抵抗521と抵抗523の抵抗値は等しく、抵抗521の第2端子、抵抗523の第1端子及び差動増幅器524の非反転入力端子(+入力端子)が互いに接続されている。また、抵抗523の第2端子と差動増幅器524の出力端子が接続されている。また、抵抗522の第2端子、差動増幅器524の反転入力端子(−入力端子)及びダイオード525のアノード端子が互いに接続されている。また、ダイオード525のカソード端子、ダイオード526のカソード端子及び抵抗527の第1端子が互いに接続され、ダイオード526のアノード端子には基準電圧Vrefが供給される。抵抗527の第2端子は接地されている。
【0079】
ダイオード526には順方向の電流が流れるので、pn接合の順方向降下電圧をVとすると、ダイオード526のカソード端子の電圧はVref−Vになる。従って、ダイオード525のカソード端子の電圧もVref−Vになる。
【0080】
入力端子Iの電圧Vinが基準電圧Vrefよりも高い時、すなわち、Vin=Vref+ΔVの時はダイオード525に順方向の電流が流れるので、ダイオード525のアノード端子の電圧はVrefになる。従って、差動増幅器524の反転入力端子(−入力端子)及び非反転入力端子(+入力端子)の電圧もともにVrefになる。そうすると、抵抗521と抵抗523の抵抗値が等しいので、差動増幅器524の出力端子の電圧はVref−ΔV、すなわち、入力端子Iの電圧Vin(=Vref+ΔV)を基準電圧Vrefに対して折り返した電圧になる。
【0081】
一方、入力端子Iの電圧が基準電圧Vrefよりも低い時、すなわち、Vin=Vref−ΔVの時はダイオード525に電流が流れないので、ダイオード525のアノード端子の電圧は入力端子Iの電圧Vin(=Vref−ΔV)と等しくなる。従って、差動増幅器524の反転入力端子(−入力端子)及び非反転入力端子(+入力端子)の電圧もともにVin(=Vref−ΔV)になる。そのため、差動増幅器524の出力端子の電圧は入力端子Iの電圧Vin(=Vref−ΔV)と等しくなる。
【0082】
すなわち、整流回路52は、入力端子Iに供給される信号を基準電圧Vrefよりも低い電圧の信号に整流する。
【0083】
本実施形態における平滑回路54は、抵抗541及びコンデンサー542を含んで構成されている。抵抗541の第1端子は差動増幅器544の出力端子と接続されており、抵抗541の第2端子とコンデンサー542の第1端子が接続され、コンデンサー542の第2端子は接地されている。すなわち、抵抗541とコンデンサー542による積分回路が構成されており、整流回路52の出力信号は平滑回路54により平滑されて直流信号になる。
【0084】
本実施形態における比較回路56は、差動増幅器561、563、可変抵抗562、564、OR回路565を含んで構成されている。
【0085】
差動増幅器561の非反転入力端子(+入力端子)と差動増幅器563の反転入力端子(−入力端子)は抵抗541の第2端子及びコンデンサー542の第1端子と接続されており、差動増幅器561の出力端子及び差動増幅器561の出力端子はそれぞれOR回路565の第1入力端子及び第2入力端子と接続されている。可変抵抗562、564は、例えば、電源とグランドの間に複数の抵抗が直列接続された回路で実現することができ、選択信号(図示せず)に従い差動増幅器561の反転入力端子(−入力端子)及び差動増幅器563の非反転入力端子(+入力端子)がそれぞれ各抵抗の間のタップのいずれかと接続される。
【0086】
差動増幅器561及び563は、非反転入力端子(+入力端子)の電圧が反転入力端子(−入力端子)の電圧よりも高い時は出力端子にハイレベルの電圧を出力し、非反転入力端子(+入力端子)の電圧が反転入力端子(−入力端子)よりも低い時は出力端子にローレベルの電圧を出力する。差動増幅器561の反転入力端子(−入力端子)には、選択信号に従って電源電圧が抵抗分圧された電圧が上限閾値電圧として供給され、平滑回路54の出力信号の電圧レベルが上限閾値電圧と比較される。差動増幅器563の非反転入力端子(+入力端子)には、選択信号に従って電源電圧が抵抗分圧された電圧が下限閾値電圧として供給され、平滑回路54の出力信号の電圧レベルが下限閾値電圧と比較される。なお、本実施形態では、可変抵抗562及び564の抵抗値を変更することによって上限閾値電圧及び下限閾値電圧を変更することができるように構成されているが、上限閾値電圧及び下限閾値電圧を固定するようにしてもよい。
【0087】
そして、平滑回路54の出力信号の電圧レベルが下限閾値電圧と上限閾値電圧の間にあればOR回路565の出力信号がローレベルになり、平滑回路54の出力信号の電圧レベルが下限閾値電圧と上限閾値電圧の間になければOR回路565の出力信号がハイレベルになる。そして、OR回路565の出力端子は出力端子Oと接続されており、OR回路565の出力信号は、出力端子Oを介して図1に示したスイッチ回路70及び故障判定回路60に供給される。
【0088】
このように、本実施形態の電圧判定回路50a、50b、50cは、それぞれ、図1に示した駆動回路20の出力信号(A点の信号)、同期検波回路35の入力信号(E点の信号)に発生する交流電圧信号の電圧レベルの積算値(パワー)が所定範囲にあれば正常と判定してローレベルの電圧を出力し、所定範囲になければ異常と判定してハイレベルの電圧を出力する。
【0089】
図7は、故障判定回路60の回路構成の一例を示す図である。
【0090】
故障判定回路60は、3つの部分回路61、62、63及び出力端子Oとグランドの間に接続されたプルダウン抵抗68を含んで構成されている。入力端子I、I、Iにはそれぞれ電圧判定回路50a、50b、50cの出力信号(電圧判定信号)が入力される。これらの電圧判定信号の電圧レベルはハイレベル(VDD)又はローレベル(グランド電位)のいずれかである。
【0091】
部分回路61は、VDD電源で動作する反転回路612とPMOS(Positive Channel Metal Oxide Semiconductor)613を含む。反転回路612は、入力端子Iから入力された電圧判定信号を反転してPMOS613のゲート端子に供給する。PMOS613は、ソース端子がVDD電源に接続されており、ドレイン端子が出力端子Oと接続されている。そして、PMOS613は、ゲート端子の電圧がローレベルの時はオンし、ゲート端子の電圧がハイレベルの時はオフする。すなわち、入力端子Iから入力される電圧判定信号がハイレベル(VDD)の時は、PMOS613がオンする。
【0092】
部分回路62は、VDD電源で動作するレベルシフター621、反転回路622、PMOS623を含む。レベルシフター621は、入力端子Iから入力された電圧判定信号のハイレベルをVDDに変換して反転回路622に供給する。反転回路622は、入力端子Iから入力された電圧判定信号を反転してPMOS623のゲート端子に供給する。PMOS623は、ソース端子がVDD電源に接続されており、ドレイン端子が出力端子Oと接続されている。そして、PMOS623はゲート端子の電圧がローレベルの時はオンし、ゲート端子の電圧がハイレベルの時はオフする。すなわち、入力端子Iから入力される電圧判定信号がハイレベル(VDD)の時は、PMOS623がオンする。
【0093】
部分回路63は、VDD電源で動作するレベルシフター631、反転回路632、PMOS633を含む。部分回路63の構成は部分回路62の構成と同じであり、入力端子Iから入力される電圧判定信号がハイレベル(VDD)の時は、PMOS633がオンする。
【0094】
従って、入力端子I、I、Iに入力される3つの電圧判定信号のうち、入力端子Iに入力される電圧判定信号のみがハイレベルであれば出力端子Oの電位がVDDになり、入力端子Iに入力される電圧判定信号のみがハイレベルであれば出力端子Oの電位がVDDになり、入力端子Iに入力される電圧判定信号のみがハイレベルであれば出力端子Oの電位がVDDになる。
【0095】
一方、入力端子I、I、Iに入力される3つの電圧判定信号がすべてローレベルであれば、PMOS613、623、633はすべてオフし、プルダウン抵抗68により出力端子Oの電位がグランド電位(0V)になる。
【0096】
すなわち、駆動回路20の出力信号が異常電圧の場合には故障判定回路60の出力信号(故障判定信号)の電圧レベルがVDDになり、同期検波回路35の入力信号が異常電圧の場合には故障判定信号の電圧レベルがVDDになり、検出回路30の出力信号が異常電圧の場合には故障判定信号の電圧レベルがVDDになる。
【0097】
そして、故障判定信号は外部出力端子17から外部へ出力されるので、外部出力端子17の電圧レベルがグランド電位であれば角速度検出装置1は故障していないと判断することができる。
【0098】
また、外部出力端子17の電圧レベルがVDDであれば、振動子100の駆動部が故障しているか、又は、駆動回路20のI/V変換回路21、AC増幅回路22、振幅調整回路23のいずれかが故障していると判断することができる。
【0099】
また、外部出力端子17の電圧レベルがVDDであれば、振動子100の検出部が故障しているか、又は、検出回路30のチャージアンプ回路31、32、差動増幅回路33、AC増幅回路34のいずれかが故障していると判断することができる。
【0100】
また、外部出力端子17の電圧レベルがVDDであれば、検出回路30の同期検波回路35、平滑回路36、可変増幅回路37、フィルター回路38のいずれかが故障していると判断することができる。
【0101】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態の角速度検出装置では、電圧判定回路50aにより駆動回路20(振幅調整回路23)の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定し、電圧判定回路50bにより同期検波回路35の入力信号の電圧レベルが正常か否かを判定し、電圧判定回路50cにより検出回路30(フィルター回路38)の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定し、電圧判定回路50cにより検出回路30(フィルター回路38)の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定する。そして、故障判定回路60により、電圧判定回路50a、50b、50cの出力信号に基づいて故障判定信号の電圧レベルがVDD、VDD、VDD又はグランド電位のいずれかになる。そして、故障判定回路60が出力する故障判定信号は外部出力端子17から外部に出力される。
【0102】
従って、第1実施形態の角速度検出装置によれば、外部出力端子17の電圧レベルがグランド電位か否かにより、故障の有無を外部から容易に判断することができる。
【0103】
また、第1実施形態の角速度検出装置によれば、故障がある場合は、外部出力端子17の電圧レベルがVDD、VDD、VDDのいずれであるかにより、駆動回路20又は検出回路30のいずれが故障しているかを外部からある程度特定することができる。
【0104】
さらに、第1実施形態の角速度検出装置によれば、1つの外部出力端子17により、故障の有無と故障箇所の特定ができるので、角速度検出用IC10のピン数の制約が厳しい場合にも有効である。
【0105】
[変形例]
例えば、振動子100の駆動電極112と角速度検出用IC10の外部出力端子11を接続する配線が切断すると、電圧判定回路50a、50b、50cのすべての電圧判定信号がハイレベルになる可能性がある。また、駆動回路20と検出回路30が同時に故障した場合には、少なくとも電圧判定回路50a、50cの電圧判定信号がハイレベルになる。
【0106】
しかし、図7に示した故障判定回路60では、入力端子I、I、Iに入力される3つの電圧判定信号のうちの2つ以上がハイレベルである場合、PMOS613、623、633の2つ以上が同時にオンするため、出力端子Oの電位が不定となり、故障箇所を容易に特定することができない。
【0107】
そこで、電圧判定回路50a、50b、50cが出力する電圧判定信号の2つ以上がハイレベルになった場合でもハイレベルの電圧判定信号の組み合わせを正確に判断するために、故障判定回路60を図8のように構成してもよい。
【0108】
図8に示す故障判定回路60は、7つの部分回路61、62、63、64、65、66、67、デコード回路69及び出力端子Oとグランドの間に接続されたプルダウン抵抗68を含んで構成されている。入力端子I、I、Iにはそれぞれ電圧判定回路50a、50b、50cの出力信号(電圧判定信号)が入力される。
【0109】
デコード回路69は、3つの入力ポートA、B、Cがそれぞれ入力端子I、I、Iに接続されており、入力ポートA、B、Cの電圧レベル(ローレベル/ハイレベル)の組み合わせに応じて7つの出力ポートQ〜Qの電圧レベル(ローレベル/ハイレベル)を制御するデジタル回路である。
【0110】
図9に、図8のデコード回路69の真理値表を示す。図9において、ローレベルを「L」、ハイレベルを「H」と表している。
【0111】
図9に示すように、入力ポートA、B、Cのすべてがローレベルであれば出力ポートQ〜Qはすべてローレベルになり、入力ポートA、B、Cのそれ以外の電圧レベルの7通りの組み合わせに応じて出力ポートQ〜Qのいずれか1つのみがハイレベルになる。
【0112】
部分回路61〜67は、それぞれデコード回路69の出力ポートQ〜Qに接続されており、それぞれ異なる電源電圧の内部電源であるVDD電源(例えば5V電源)、VDD電源(例えば4.5V電源)、VDD電源(例えば4V電源)、VDD電源(例えば3.5V電源)、VDD電源(例えば3V電源)、VDD電源(例えば2.5V電源)、VDD電源(例えば2V電源)でそれぞれ動作する。VDD電源、VDD電源、VDD電源、VDD電源、VDD電源、VDD電源、VDD電源は電源回路40が生成する。
【0113】
部分回路61〜63は図8に示した部分回路61〜63と同じ構成であり、部分回路64〜67は、供給される電源が異なる点を除いて図8に示した部分回路62、63と同じ構成である。
【0114】
従って、部分回路61〜67は、デコード回路69の出力ポートQ〜Qがハイレベル(VDD)の時に、それぞれPMOS613、623、633、643、653、663、673がオンする。
【0115】
ここで、図9に示した真理値表によると、デコード回路69の出力ポートQ〜Qの2つ以上が同時にハイレベルになることはなく、PMOS613、623、633、643、653、663、673の2つ以上が同時にオンすることはない。
【0116】
そのため、出力端子Oの電圧レベルは、VDD、VDD、VDD、VDD、VDD、VDD、VDD又はグランド電位のいずれかになり、電圧判定回路50a、50b、50cが出力する電圧判定信号の2つ以上がハイレベルになった場合でもハイレベルの電圧判定信号の組み合わせを正確に判断することができる。
【0117】
従って、図8に示した変形例の故障判定回路60によれば、2箇所以上が故障した場合も、故障箇所を特定できる可能性を高くすることができる。
【0118】
図10に、故障判定回路60の他の変形例を示す。
【0119】
図10に示す故障判定回路60は、4つの部分回路61、62、63、64、デコード回路69及び出力端子Oとグランドの間に接続されたプルダウン抵抗68を含んで構成されている。入力端子I、I、Iにはそれぞれ電圧判定回路50a、50b、50cの出力信号(電圧判定信号)が入力される。
【0120】
デコード回路69は、3つの入力ポートA、B、Cがそれぞれ入力端子I、I、Iに接続されており、入力ポートA、B、Cの電圧レベル(ローレベル/ハイレベル)の組み合わせに応じて4つの出力ポートQ〜Qの電圧レベル(ローレベル/ハイレベル)を制御するデジタル回路である。
【0121】
図11に、図10のデコード回路69の真理値表を示す。図10において、ローレベルを「L」、ハイレベルを「H」と表している。
【0122】
図10に示すように、入力ポートA、B、Cのすべてがローレベルであれば出力ポートQ〜Qはすべてローレベルになり、入力ポートA、B、Cの1つのみがハイレベルであればそれぞれ出力ポートQ、Q、Qのみがハイレベルになり、入力ポートA、B、Cの2つ以上がハイレベルであればQのみがハイレベルになる。
【0123】
部分回路61〜64は、それぞれデコード回路69の出力ポートQ〜Qに接続されており、それぞれ異なる電源電圧の内部電源であるVDD電源(例えば5V電源)、VDD電源(例えば4V電源)、VDD電源(例えば3V電源)、VDD電源(例えば3.5V電源)でそれぞれ動作する。
【0124】
部分回路61〜64は図8に示した部分回路61〜64と同じ構成であり、デコード回路69の出力ポートQ〜Qがハイレベル(VDD)の時に、それぞれPMOS613、623、633、643がオンする。
【0125】
ここで、図11に示した真理値表によると、デコード回路69の出力ポートQ〜Qの2つ以上が同時にハイレベルになることはなく、PMOS613、623、633、643の2つ以上が同時にオンすることはない。そのため、出力端子Oの電圧レベルは、VDD、VDD、VDD、VDD又はグランド電位のいずれかになる。
【0126】
そして、出力端子Oの電圧レベルがVDD、VDD又はVDDであれば、それぞれ電圧判定回路50a、50b、50cの1つの電圧判定信号のみがハイレベルであり、出力端子Oの電圧レベルがVDDであれば電圧判定回路50a、50b、50cの2つ以上の電圧判定信号がハイレベルであることがわかる。
【0127】
従って、図10に示した変形例の故障判定回路60によれば、2つ以上の電圧判定信号が同時にハイレベルになっているか否かを判断することができるとともに、1つの電圧判定信号のみがハイレベルの場合は、その電圧判定信号を特定することができる。
【0128】
なお、図8に示した故障判定回路60では、外部出力端子17の電圧レベルがVDD(例えば5V)〜VDD(例えば2V)であれば角速度検出装置が故障していると判断し、外部出力端子17の電圧レベルがグランド電位(0V)であれば故障していないと判断するためには、故障の有無を判定する閾値を低く(例えば1V)しなければならない。従って、外部出力端子17に接続される外部装置(例えば、ホストCPU)の仕様が厳しくなり、汎用の装置を接続できなくなるおそれがある。一方、図10に示した故障判定回路60では、故障の有無を判定する閾値を高く(例えば2.5V)することができるので、外部出力端子17に接続される外部装置(例えば、ホストCPU)の仕様を緩めることができる。
【0129】
2.第2実施形態の角速度検出装置
図12は、第2実施形態の角速度検出装置の構成を示す図である。図12において、図1と同じ構成には同じ番号を付している。
【0130】
第2実施形態の角速度検出装置1では、図1に示した第1実施形態の構成に対して外部電圧判定回路50dが追加されている。
【0131】
電圧判定回路50dは、本発明における第4の電圧判定回路として機能し、電源回路40が生成するVDD電源が入力され、内部電源の電圧レベルが正常か否かを示す電圧判定信号を出力する。なお、電圧判定回路50dは、電源回路40に入力される入力電源が入力され、入力電源の電圧レベルが正常か否かを示す電圧判定信号を出力するようにしてもよい。
【0132】
図13は、電圧判定回路50dの回路構成の一例を示す図である。
【0133】
図13に示すように、本実施形態における電圧判定回路50dは、比較回路56のみで構成されている。電圧判定回路50dには図1に示した電源回路40が生成するVDD電源が供給されるが、VDD電源は一定の直流電圧信号であるため、電圧判定回路50a、50b、50cと異なり、整流回路52、平滑回路54は不要である。
【0134】
本実施形態の電圧判定回路50dは、図1に示した電源回路40が生成するVDD電源の電圧レベルが所定範囲にあれば正常と判定してローレベルの電圧を出力し、所定範囲になければ異常と判定してハイレベルの電圧を出力する。
【0135】
そして、故障判定回路60は、電圧判定回路50aが出力する電圧判定信号のみが異常電圧であることを示す場合は電圧レベルがVDDとなり、電圧判定回路50bが出力する電圧判定信号のみが異常電圧であることを示す場合は電圧レベルがVDDとなり、電圧判定回路50cが出力する電圧判定信号のみが異常電圧であることを示す場合は電圧レベルがVDDとなり、電圧判定回路50dが出力する電圧判定信号のみが異常電圧であることを示す場合は電圧レベルがVDDとなり、電圧判定回路50a、50b、50c、50dが出力する電圧判定信号がすべて正常電圧であることを示す場合は電圧レベルがグランド電位となる故障判定信号を生成する。
【0136】
このように、第2実施形態によれば、電源回路40の故障又は入力電源の異常も検出することができる。
【0137】
なお、第2実施形態と図8〜図11に示した第1実施形態の変形例を組み合わせてもよい。
【0138】
3.第3実施形態の角速度検出装置
角速度検出装置1の移動時は角速度が加わるので角速度を検出可能な範囲を正常電圧範囲とする必要がある。そのため、第1実施形態では、例えば、電圧判定回路50cにおいて、検出回路30の出力信号の正常電圧範囲は広い範囲に設定される。従って、検出回路30の出力信号が電源電圧に張り付くような故障が検出できる。
【0139】
一方、角速度検出装置1の停止時は角速度が0であり、検出回路30の出力信号は理想的には基準電圧Vrefの一定電圧の信号になるので、基準電圧Vrefを中心とする狭い範囲が正常電圧範囲である。そのため、第1実施形態では、検出回路30の出力信号の正常電圧範囲を移動時に合わせて広く設定していると、停止時の電圧(0点電圧)が基準電圧Vrefに対してオフセットを持つような故障を検出することができない。
【0140】
そこで、第3実施形態では、電圧判定回路50cにおいて、停止時と移動時における検出回路30の出力信号の正常電圧範囲が異なる範囲に設定される。
【0141】
図14は、第3実施形態の角速度検出装置の構成を示す図である。図14において、図1と同じ構成には同じ番号を付している。
【0142】
第3実施形態の角速度検出装置1では、図1に示した第1実施形態の構成に対して外部入力端子18が追加されており、外部入力端子18から電圧判定回路50cに制御信号182が入力される。制御信号182は、角速度検出装置1が移動しているか停止しているかを示す信号であり、例えば、移動時はハイレベル、停止時はローレベルとなる。
【0143】
第3実施形態における電圧判定回路50cは、制御信号182に基づいて、図6に示した差動増幅器561の反転入力端子(−入力端子)に供給する上限閾値電圧及び差動増幅器563の非反転入力端子(+入力端子)に供給する下限閾値電圧を変更する。すなわち、電圧判定回路50cは、検出回路30の出力信号における移動時の正常電圧範囲と停止時の正常電圧範囲が異なるように、例えば、移動時の正常電圧範囲を停止時の正常電圧範囲よりも広くすることができる。
【0144】
このように設定することにより、例えば、故障により停止時であっても検出回路30の出力信号の電圧レベルが基準電圧Vrefにごく近い値にならない場合、移動時は検出回路30の出力信号の正常電圧範囲が広いので故障検出ができないが、停止時における検出回路30の出力信号の正常電圧範囲を基準電圧Vrefを中心とするごく狭い範囲としておけば、停止時に故障を検出することができるようになる。
【0145】
第3実施形態におけるその他の構成は、第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0146】
なお、移動時における検出回路30の出力信号の正常電圧範囲は、検出すべき角速度の大きさの最大値と感度電圧に基づいて決定することができる。
【0147】
例えば、角速度検出装置1を自動車の横転防止や横転検出に利用する場合、自動車が横転する角速度が約±300dps(degree per second)、角速度検出装置1の感度電圧を6mV/dpsとすると、自動車が横転する時の検出回路30の出力信号の電圧レベルは、基準電圧Vref±1.8Vである。実際には、角速度が約±250dpsを超えることは稀であるとすると、移動時における検出回路30の出力信号の正常電圧範囲を基準電圧Vref−1.5V以上基準電圧Vref+1.5V以下とすることができる。
【0148】
しかし、基準電圧Vref−1.5V以上基準電圧Vref+1.5V以下を正常電圧範囲とすると、急カーブを高速で走行した場合等に、検出回路30が故障していないのに故障判定回路60から故障を示す故障判定信号が出力されて警告ランプを点灯する等の制御が行われる可能性がある。従って、検出回路30が確実に故障している場合だけ故障判定回路60から故障を示す故障判定信号が出力されるようにするためには、ノイズの影響も考慮して、移動時における検出回路30の出力信号の正常電圧範囲を、例えば、基準電圧Vref−2.0V以上基準電圧Vref+2.0V以下とすることが望ましい。
【0149】
一方、停止時における検出回路30の出力信号の正常電圧範囲は、基準電圧Vrefを中心とする狭い範囲でよい。
【0150】
例えば、停止時における検出回路30の出力信号の正常電圧範囲は、ノイズの影響も考慮して、基準電圧Vref−0.5V以上基準電圧Vref+0.5V以下とすることができる。さらに、なるべく早く故障を検出することに重点を置くのであれば、停止時における検出回路30の出力信号の正常電圧範囲を基準電圧Vref−0.3V以上基準電圧Vref+0.3V以下とすることが望ましい。
【0151】
このように、第3実施形態の角速度検出装置において、検出回路30の出力信号について、停止時は0点電圧付近のごく狭い電圧範囲を正常電圧範囲とし、移動時は検出可能な角速度の大きさに応じて正常電圧範囲を広くすることにより、故障の有無をより高い精度で判定することができる。
【0152】
4.第4実施形態の角速度検出装置
第4実施形態の角速度検出装置の構成は、図14に示した第3実施形態の角速度検出装置1と同じ構成であるが、電圧判定回路50cの構成が異なる。
【0153】
前述のとおり、角速度検出装置1の移動時は、一般に、検出回路30の出力信号の正常電圧範囲は広い範囲に設定される。そして、角速度検出装置1が故障していたとしても検出回路30の出力信号の電圧レベルが正常電圧範囲にあれば故障検出できない。また、一般的には、検出回路30の出力信号の電圧レベルが正常電圧範囲を超えている場合(例えば、検出回路30の出力信号が電源電圧に張り付くような場合)であっても、角速度検出装置1が故障しているのか検出可能な最大の角速度よりも大きい角速度が加わったのかを区別することができない。すなわち、角速度検出装置1の移動時は故障の有無を正確に判定するのは難しく、故障判定回路60が故障の有無を誤判定する可能性がある。
【0154】
一方、一般的に、角速度検出装置1の停止時における検出回路30の出力信号の正常電圧範囲は0点電圧を含む狭い電圧範囲に設定されるので、故障判定回路60が故障の有無を誤判定する可能性は低い。
【0155】
従って、角速度検出装置1の停止時にのみ検出回路30の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定するのが現実的である場合もある。そこで、第4実施形態における電圧判定回路50cは、外部入力端子18から入力される制御信号182に基づいて角速度検出装置1が移動しているか停止しているかを判断し、停止時は検出回路30の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定し、停止時は検出回路30の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定しない。
【0156】
図15に、第4実施形態における電圧判定回路50cの構成例を示す。第4実施形態における電圧判定回路50cは、図6に示した第1実施形態における電圧判定回路50cに対して、入力端子I、反転回路566及びAND回路567が追加されており、その他の構成は同じである。
【0157】
反転回路566の入力端子は入力端子Iと接続されており、反転回路566の出力端子はAND回路の第2入力端子と接続されている。AND回路567の第1入力端子はOR回路565の出力端子と接続されており、AND回路567の出力端子は出力端子Oと接続されている。そして、AND回路567の出力信号は、出力端子Oを介して図14に示した故障判定回路60に供給される。
【0158】
反転回路566には、入力端子Iを介して制御信号182が入力される。そして、制御信号182は、角速度検出装置1が移動している時はハイレベル、停止している時はローレベルとなる。
【0159】
従って、角速度検出装置1の移動時は反転回路566の出力がローレベルになり、その結果、AND回路567の出力もローレベルとなる。すなわち、電圧判定回路50cは、角速度検出装置1の移動時は、常に検出回路30の出力信号の電圧レベルが正常であることを示す電圧判定信号を出力する。従って、角速度検出装置1の移動時は、電圧判定回路50cが出力する電圧判定信号は故障判定回路60による故障判定に影響を与えない。
【0160】
一方、角速度検出装置1の停止時は反転回路566の出力がハイレベルになり、その結果、AND回路567の出力にOR回路565の出力信号が伝搬する。すなわち、電圧判定回路50cは、角速度検出装置1の停止時は、検出回路30の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定し、電圧判定信号を出力する。従って、角速度検出装置1の停止時は、電圧判定回路50cが出力する電圧判定信号は故障判定回路60による故障判定に使用される。
【0161】
このように、第4実施形態の角速度検出装置によれば、停止時は検出回路30の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定し、移動時は検出回路30の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定しないので、故障判定回路60が故障の有無を誤判定する可能性を低くすることができる。
【0162】
なお、第1実施形態〜第4実施形態の角速度検出装置は、デジタルカメラ、携帯電話機、携帯型情報端末、カーナビゲーションシステム、自動車等の移動体やロボットの姿勢検出、姿勢制御を行う装置、バーチャルリアリティー等に使用されるヘッドマウントディスプレイ、頭の姿勢角度を検出するトラッカー、3Dゲームパッド等を使用するゲーム機等の種々の電子機器やシステムに組み込むことができる。
【0163】
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0164】
例えば、電圧判定回路50a、50b、50cを図13に示した電圧判定回路50dと同じ回路構成で実現してもよい。
【0165】
また、例えば、電圧判定回路50a、50b、50c、50dが出力する電圧判定信号のハイレベルはすべてVDDであるが、電圧判定回路50a、50b、50c、50dの比較回路56にそれぞれVDD電源、VDD電源、VDD電源、VDD電源を供給し、電圧判定回路50a、50b、50c、50dが出力する電圧判定信号のハイレベルがそれぞれVDD、VDD、VDD、VDDとなるようにしてもよい。この場合、故障判定回路60のレベルシフターが不要になる。
【0166】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】第1実施形態の角速度検出装置の構成を示す図。
【図2】振動子の平面図。
【図3】振動子の動作について説明するための図。
【図4】振動子の動作について説明するための図。
【図5】角速度検出装置に角速度が加わっている時の信号波形の一例を示す図。
【図6】電圧判定回路の回路構成の一例を示す図。
【図7】故障判定回路の回路構成の一例を示す図。
【図8】故障判定回路の回路構成の変形例を示す図。
【図9】図8の故障判定回路におけるデコード回路の真理値表を示す図。
【図10】故障判定回路の回路構成の変形例を示す図。
【図11】図10の故障判定回路におけるデコード回路の真理値表を示す図。
【図12】第2実施形態の角速度検出装置の構成を示す図。
【図13】電圧判定回路の回路構成の一例を示す図。
【図14】第3実施形態及び第4実施形態の角速度検出装置の構成を示す図。
【図15】第4実施形態における電圧判定回路の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0168】
1 角速度検出装置、10 角速度検出用IC、20 駆動回路、21 I/V変換回路(電流電圧変換回路)、22 AC増幅回路、23 振幅調整回路、30 検出回路、31 チャージアンプ回路、32 チャージアンプ回路、33 差動増幅回路、34 AC増幅回路、35 同期検波回路、36 平滑回路、37 可変増幅器、38 フィルター回路、40 電源回路、50a〜50d 電圧判定回路、52 整流回路、54 平滑回路、56 比較回路、60 故障判定回路、68 プルダウン抵抗、69 デコード回路、70 スイッチ回路、80 スイッチ回路、100振動子、 101a 駆動振動腕、101b 駆動振動腕、102 検出振動腕、103 幅広部、104a 駆動用基部、104b 駆動用基部、105a 連結腕、105b 連結腕、106 幅広部、107 検出用基部、112 駆動電極、113 駆動電極、114 検出電極、115 検出電極、116 共通電極、182 制御信号、521 抵抗、522 抵抗、523 抵抗、524 差動増幅器、525 ダイオード、526 ダイオード、527 抵抗、541 抵抗、542 コンデンサー、561 差動増幅器、562 可変抵抗、563 差動増幅器、564 可変抵抗、565 OR回路、566 反転回路、567 AND回路、612 反転回路、613 PMOS、621 レベルシフター、622 反転回路、623 PMOS、631 レベルシフター、632 反転回路、633 PMOS、641 レベルシフター、642 反転回路、643 PMOS、651 レベルシフター、652 反転回路、653 PMOS、661 レベルシフター、662 反転回路、663 PMOS、671 レベルシフター、672 反転回路、673 PMOS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の物理量を検出する物理量検出装置であって、
前記物理量を検出し、検出した前記物理量の大きさに応じた信号を出力するセンサー素子と、
駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記センサー素子に供給する駆動回路と、
前記センサー素子の出力信号に基づいて、前記物理量に応じた検出信号を生成する検出回路と、
複数の所定の信号の電圧レベルがそれぞれ正常か否かを判定する複数の電圧判定回路と、
前記電圧レベルが正常でないと判定した前記電圧判定回路に応じて異なる電圧レベルの信号を出力する故障判定回路と、
前記故障判定回路の出力信号を外部に出力するための少なくとも1つの外部出力端子と、を含むことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記故障判定回路は、
前記電圧レベルが正常でないと判定した前記電圧判定回路の組み合わせに応じて互いに異なる電圧レベルの信号を出力することを特徴とする物理量検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記故障判定回路は、
所定数以上の前記電圧判定回路が前記電圧レベルが正常でないと判定した場合は、固有の電圧レベルの信号を出力することを特徴とする物理量検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
第1の前記電圧判定回路は、
前記駆動回路の入力信号又は出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定することを特徴とする物理量検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記検出回路は、
前記センサー素子の出力信号に対して検波処理を行う検波回路を有し、前記検波回路の出力信号に基づいて前記検出信号を生成し、
第2の前記電圧判定回路は、
前記検波回路の入力信号の電圧レベルが正常か否かを判定することを特徴とする物理量検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
第3の前記電圧判定回路は、
前記検出回路の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定することを特徴とする物理量検出装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第3の電圧判定回路は、
当該物理量検出装置が移動している時は前記検出回路の出力信号の電圧レベルを第1の閾値と比較し、当該物理量検出装置が停止している時は前記検出回路の出力信号の電圧レベルを前記第1の閾値と異なる第2の閾値と比較し、比較結果に基づいて前記検出回路の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定することを特徴とする物理量検出装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記第3の電圧判定回路は、
当該物理量検出装置が停止している時は前記検出回路の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定し、当該物理量検出装置が移動している時は前記検出回路の出力信号の電圧レベルが正常か否かを判定しないことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項9】
請求項7又は8において、
当該物理量検出装置が移動しているか停止しているかを示す制御信号が入力される外部入力端子を含み、
前記第3の電圧判定回路は、
前記制御信号に基づいて、当該物理量検出装置が移動しているか停止しているかを判断することを特徴とする物理量検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
外部から供給される入力電源に基づいて内部電源を生成する電源回路を含み、
第4の前記電圧判定回路は、前記入力電源又は前記内部電源の電圧レベルが正常か否かを判定することを特徴とする物理量検出装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記物理量は、角速度であることを特徴とする物理量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−169408(P2010−169408A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9649(P2009−9649)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】