特にコンクリート構造内の鉄筋の検査に適するトモグラフィ決定を改善する方法および配置
特にコンクリート内の棒鋼に適する、放射線を使用したトモグラフィ決定を改善する方法および配置。この方法には、物体を透過性放射線で照射し、前記物体を通過した前記放射線を記録手段に記録し、高密度の放射線吸収材料ででき独立して識別され個別化された複数の基準要素を備え、この基準要素を規則的に配置し、前述の測定を識別し、照射時間を決定し、測定に使用した記録手段に記録された情報に基づいて物体内の対象物の位置および寸法を決定することが含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被通過物の厚さと密度との積の関数として強度が減衰するX線またはガンマ線のような透過性放射線を使用して可視光線を通さない物体の3次元構造を解析する方法に関する。特に、発明の目的は構造を解析し、特に梁、柱およびスラブのような鉄筋コンクリート構造内の棒鋼の位置および直径を決定することにある。
【0002】
今までに実施された実験的作業ではガンマ線ソースが使用されている。しかし、別の適用と同じように,X線管、直線加速器またはその他の放射線ソースを使用する場合にこの方法を適用することは可能である。
【0003】
本発明には3次元解析に重要なパラメータを自動的に正確に決定する方法が含まれる。このパラメータには例えば、ソースの位置および通過放射線の記録手段の位置、記録手段が放射線強度の変化に高感度のフィルムを備えるとき像品質を改善するための最適な配置、低エネルギー放射性ソースを使用して非常に厚いコンクリートピース内の鉄筋のトモグラフィ決定をするための配置、およびこのような測定からトモグラフィ結果を得るための手法がある。
【背景技術】
【0004】
トモグラフィの手法は広く医学の分野で使われている。現在の方法は特に鉄筋コンクリートに適していて、またほかにも応用することができる。この分野では、従来の電子管で発生させたX線と、放射性物質または線形加速器から放射された高エネルギー電磁波から発せられたガンマ線とは、鉄筋コンクリートの一部を通過した放射線から放射線に対し感度の高いフィルム(従来の(アナログの)またはデジタルのX線撮影用プレート)(参考3)か,放射線を可視光の蛍光に変換するスクリーン(JP61−254837,US6333962)か,シンチレーションタイプまたは固体タイプ放射線検出器(US5933473)を使用して、2次元像を得るために使われてきた。これらの技術を利用して得た2次元の情報は、金属部分や、金属内に存在する腐食した部分や、空隙や、割れ目などを検出するのに利用することができる。3次元の問題、すなわち鉄筋コンクリート構造内の鉄筋の位置と直径を見積もることも、参考4に記載された方法を除いてはあまり進歩は見られない(参考1,2,3、US5828723)が、取り組まれてきた。この種の測定に関する問題のいくつかはまだ解決されていない。その問題は、トモグラフィにより鉄筋の位置を決めるため、ソースの位置と記録手段に関して、適切な精度でデータを得るのが困難なことにある。すなわち、放射線が散乱することと、移動式放射線ソースの出力が十分でなくコンクリートの厚さに限界があることのために、特に大きなサイズのコンクリート片の場合、像のコントラストが小さく、その像から位置を計算するのに困難さが伴うことにある。
【0005】
鉄筋のトモグラフィ決定の方法、すなわち鉄筋コンクリート内の棒鋼の位置および直径を決定するための方法の第1の工程においては、高さがソースと記録手段との間の距離に等しく底面が記録手段で覆われる面積に等しい角錐の容積内に検査中の部分が含まれるように、調査中の構造要素の1つの側面上の第1の位置に放射線ソースを配置し、照射中のソースの位置のほぼ反対側の側面上に記録手段を配置する。第2の工程においては、棒鋼を通過した放射線と棒鋼を通過しなかった放射線との間の最適なコントラストを得るために必要な通過放射線量を受ける記録手段に十分な長さの時間にわたってソースから放出された放射線に検査中の要素を曝す。照射時間は検査中の要素の厚さと密度との積の関数として決定される。続く工程においては、検査中の容積が第1の工程のものに類似するように、ソースおよびときどき記録手段を異なった位置に配置してこの方法を繰り返す。最後に、測定に含まれた容積内の構造ピースの位置および直径を得るために数学アルゴリズムを使用して、与えられた構造ピースに関するすべての測定に対して記録手段で記録された情報を解析する。
【0006】
前記数学アルゴリズムを適用するためには、調査中の構造ピースに固定された座標系に関し、異なった測定用にソースおよび記録手段の両方の位置を知る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】JP61−254837
【特許文献2】US6333962
【特許文献3】US5933473
【特許文献4】US5828723
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は前述の要求に関する先行技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
a)精度、信頼性および自動可能性を高めるためフィデューシャルマークを生成する基準要素の導入と、
b)得られた情報の質を改善するため、調査中の構造ピースから一定の距離(この距離の最適値はこの目的のために特別に開発されたモンテカルロ型シミュレーションプログラム(参考6)を使用して計算する)に、このような手段からなる記録手段を配置することと、
c)前記モンテカルロ型プログラム(参考6)で最適化された、散乱放射線を濾過する要素の配置と、
d)トモグラフィ問題を解くため記録手段に記録された情報を解析する方法論、すなわち、実質的に先行技術を改善する鉄筋コンクリート構造中の棒鋼の3次元マップ作成と
を備える。
【0010】
像を調整または校正する目的のため放射線吸収基準物体により生成され放射性透過フィルムまたはデジタル記録手段上に記録されるフィデューシャルマークの使用は医療放射線撮影(参考7)および工業用X線決定(参考5)でよく知られている。第1の場合は、基準要素が、異なった測定において患者の部位の変化から導き出した問題を解決するため患者の体内に組み込まれる。工業用X線決定の場合は、例えば、既知寸法の一連の放射線吸収棒が、スラブの厚さを決定するため鉄筋コンクリートスラブの上部に配置される。
【0011】
本発明において、フィデューシャルマークの使用は、鉄筋コンクリート構造内の棒鋼の位置および寸法のトモグラフィ決定の精度および信頼性の両方を改善する2重の目的に役立つ。他の工業用X線適用とは対照的に、放射線写真で像が記録される物体は一般に記録手段からかなり離れた位置にある。したがって、放射線ソースを異なった位置に置いて2つ以上の照射を行うことにより、立体再構築を通して位置データを得ることが可能である。正確に再構築を行うために調査中の構造に関しフィルムおよびソースの位置を正確に知ることが重要となる。
【0012】
本発明の方法においてフィデューシャルマークは、放射線吸収基準物体を放射線ソース側および/または記録手段側に位置するフレーム上に置くことで、記録手段、例えば放射線感光板上に記録する。この目的は誤差が生じ勝ちな現場作業の間で手動測定および記録の必要性を最小限にすることである。この方法でトモグラフィ決定に必要な情報は引き続くコンピュータ解析に使用する記録手段に自動的に記録され、このようにして、光への露出を回避するため置かれるカセット内の放射線感光板の位置のような手動決定およびその他の従来技術の決定による不正確さおよび誤差特性が防止される。
【0013】
基準要素に付け加え、本発明の方法において記録手段側のフレームには検査中の構造から最適の距離に記録手段を位置させる配置が含まれる。またフレームには、鉄筋コンクリートの場合に像の品質を厳しく制限する散乱放射線の影響を減衰させるのに十分なフィルタを追加する。最適な距離および最適なフィルタの両方はこの目的のために特別に開発されたコンピュータプログラムを使用して決定する。最後に、この方法には、フィデューシャルマークとフレームおよび支持の条件とを考慮に入れてトモグラフィ解析を実施するため特別に開発された手法が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は鉄筋コンクリートのスラブおよび壁内の鉄筋の位置および寸法を決定する配置に使用する「ソース組立品」の斜視図である。
【図2】図2は「外部ソース」を使用して、スラブおよび壁内の鉄筋の調査に使用する配置の断面図である。
【図3】図3は「内部ソース」を使用して、鉄筋コンクリート構造内の鉄筋の調査に使用する配置の断面図である。
【図4A】図4Aは梁の下部中央断面内の鉄筋を調査するための配置を示す。
【図4B】図4Bは同じく梁の下部中央断面内の鉄筋を調査するための配置を示す。
【図4C】図4Cは柱の鉄筋を調査するための配置を示す。
【図5A】図5Aは梁および柱の鉄筋の調査に使用するラックの開放位置における斜視図である。
【図5B】図5Bは梁および柱の鉄筋の調査に使用するラックの閉鎖位置における斜視図である。
【図5C】図5Cは梁および柱の鉄筋の調査に使用するラックの開放位置における斜視図である。
【図6】図6は梁上のラックの位置を示す。
【図7】図7は構造内の鉄筋の位置を決定するため本発明の方法の使用に含まれる誤差の計算で仮定するソース、鉄筋、基準要素およびプレート配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の方法には現場(現場作業)で使用するデータ収集装置およびトモグラフィ結果を得るためにこのデータを解析する手法が含まれる。この装置は以下の記載によって調査中の構造要素の特性に応じて異なった方法で配置することができる。
【0016】
最初に方法の一般的な側面を記載し、次に方法が異なった特定の場合(スラブおよび壁の検査、梁および柱の検査およびその他の場合)に適用される方法について説明する。
【0017】
本発明の目的である現場装置は第1の場所に「ソース組立品」と呼ばれる放射線ソース側の装置組立品を備える。放射線ソースが調査中のピースの外部に位置する「外部ソース」を使用して測定する場合、「ソース組立品」は、対応するコリメーター付きの放射線ソース(X線管、線形加速器、放射線ソースなど)の支持装置と、前記支持装置に着脱可能で関連要素を含む第1のラック(以後、「ラック1」と呼ぶ)とを備える。「ソース組立品」は遮蔽要素を備えることもできる。ラックは、軽量で強い材料(例えばAlなど)でできた長方形のフレームと、放射線吸収性の小さい材料(例えば、ある種のプラスチックなど)ででき、前記フレームに両側に取り付けられ、フレームと同一の形状で剛性のある2つのプレートとを備える。「ソース組立品」は検査する物体の一方側に固定する。測定を「内部ソース」を使用して実施する場合は、この方法は、放射性タブレットを放射線ソースとして使用する場合にのみ適用でき、このような場合、「ソース組立品」は単にソース容器/投射器の保持器および穿孔した穴を通して調査中のピース内に挿入される「延長部分」となり、その結果、放射性タブレットは検査中の物体内の異なった位置に置くことができる。
【0018】
第2に、装置は、調査中のピースのソースの反対側の側面に位置する第2のラック(以後「ラックII」と呼ぶ)を備える。ラックIIは1つ以上の面を備える。それぞれの面はラックIのようにプレートおよび基準要素で覆われたフレームを有する。またラックIIはそれぞれの測定を識別する装置、散乱放射線フィルタ、記録手段の保持器および「ガンマ計」(以下に記載する)の保持器を備える。
【0019】
基準要素は密度の高い材料(PbまたはWなど)で作られ、ソースから放出された放射線が記録手段に到達する前に通過するように配置される。基準要素は棒、玉または類似の物体にすることができるが、以下に述べる理由で小さい玉が最も好ましい。これらの基準要素はラックのフレームに固定されたプレート上に配置される。
【0020】
「ソース組立品」の記載において前記した遮蔽は、ラックIのフレームを取り囲む、例えば4mmの厚さの鉛でできたプレートにすることができ、この配置は放射線が通過する最初のコンクリート層をほぼ90°以上の角度で散乱する放射線を吸収する目的をもつ。
【0021】
それぞれの特定の測定を識別する装置は、実施する特定の現場作業を識別するため吸収材料(Pb,Wなど)でできた文字の支持固定具にある。この支持固定具は現場作業中は不変で留まるが、それぞれの測定を識別する番号付けシステムを含む第2の支持固定具は連続する各測定で1単位増加する。この装置は各測定を識別する手法を容易にするためにラックIIにまとめられ、このようにして先行技術を改善する。
【0022】
散乱放射線フィルタは、記録手段に到達する直接放射線の強度と散乱放射線の強度との間の最適比率(この比率は記録手段上の被検査物体(例えば棒鋼)の像のコントラストに影響する)を達成するように、ラックIIの2つのプレート間に収容することができる。前記散乱放射線フィルタの要素の構成および厚さは、この目的のために特別に設計されたシミュレーションプログラムを使用して選択される。
【0023】
「ガンマ計」は放射線に高感度のいくつかのデバイスを支持した軽量材料製のプレートであり、その目的は測定の間に記録手段で記録された面積内の異なった点の放射量を遠隔で読み取ることにあり、このようにして測定のための最適な照射時間を評価することができる。
【0024】
「ソース組立品」およびラックIIを一旦配置すると、放射ソースを作動させて照射を開始する。「外部ソース」方式において、タブレットは「ソース組立品」の一部である吸収材料製のコリメーターに配置され、その結果、放射線は、ソースと記録手段の面積とで形成される立体角にほぼ等しいか、またはわずかに大きい立体角内の調査中の容積を特に「放射」する。ガンマ放射線ソースの場合、「内部ソース」方式においては、タブレットは検査中のピース内にあけた穴に導入した照射機構の延長部分を使用して移動させ、このようにしてソースと記録手段の面積によって形成された立体角に対応する容積で測定が可能になる。
【0025】
「ガンマ計」に指示された量に基づき、さらにソースと記録手段との異なった組合せの量に対する照射時間の関係を記載した表に基づき特定の時間で照射が起こる。
【0026】
測定が終了すると、記録手段が「オフライン」読みの必要な累積型(放射線感光板、フィルムまたはデジタル)である場合、その記録手段を取り外す。新しい記録手段をラックIIの場所に適切にセットする。測定数は1単位増加させ、「ソース組立品」の位置変更に関わらず、ソースを新しい位置に置いて新しい測定を行う。
【0027】
一定の構造「部分」の検査が終わり、必要な回数の測定が行われた後、トモグラフィ決定を実施する。本発明の方法の一部である解析手法には以下の工程を備えるコンピュータプログラムが含まれる。
【0028】
a)トモグラフィ解析の目的である(梁、柱など)の測定されるピース部分の寸法および方向データをエンターする。主座標系は調査中の構造に固定し、解析結果を参照するものに定義する。
【0029】
b)各測定で記録手段を配置する調査中のピース側面を表示する。
【0030】
c)記録手段のフィデューシャルマークを識別する。記録手段の座標系で前記フィデューシャルマークの位置を高精度で決定するためプログラムで最小二乗法調整を行う。この手法で行った精度はフィデューシャルマークが球状基準要素に対応する円または楕円であるときには改善される(この方法で達成できる精度については下記の注を参照)。フィデューシャルマークの位置で、1)記録手段および主座標系に関する各測定におけるソースの位置、および2)主座標系に関する記録手段の位置および構造の同一部分で行った残余の測定の記録手段の位置に関する記録手段の位置を決定する。
【0031】
d)「輪郭対」と呼ばれる、異なった部分における棒鋼投影の輪郭に対応するデータ対を決定する。
【0032】
e)調査中のピースの同一部分で行ったすべての測定で得られたソースおよび各輪郭対で定まった「陰影円錐」を計算する。
【0033】
f)検査中のピースに沿ってすべて行った異なった断面測定の「輪郭対」を考慮して、実際の棒鋼に対応する陰影円錐交差部を決定する。
【0034】
g)トモグラフィ結果、すなわち検査部分における各棒鋼の数、位置および直径を使って技術報告書を作成する。
【0035】
この解析手法は、異なった座標系(各記録手段に対する座標系)に起因するデータを簡単な方法で調査中のピースに固定した単独の主座標系で結合するという点において、先行技術とは異なり、特徴を有するものである。
【0036】
本発明の方法を使用して特定の場合について以下説明するが、説明例に限定するものではない。
【0037】
発明の特定の実施形態において、方法は、192Irソースを使用したスラブまたは壁内の鉄骨のトモグラフィ決定に使用する。この場合、装置は、測定される鉄骨のあるスラブまたは壁の1つの側面に固定された「ソース組立品」と、スラブまたは壁の反対側の側面に固定された「単一面」ラックIIとを備える。一般に、必ずしもそうではないが、スラブおよび壁の測定は「外部ソース」方式で実施される。
【0038】
「外部ソース」を使用してスラブを解析する実施形態を図1および2に示す。図1に示す「ソース組立品」はラックI101およびソース支持装置を備える。ラックI101はフレーム102と上部・下部プレートの2つのプレート103とからなり、基準要素104がプレート103上の正確なプリセット位置に取り付けられる。ソース支持装置は2つの柱105、横部材106、コリメーター支持装置107およびコリメーター108からなる。この組立品の寸法は検査の要求および条件に対応する。この実施形態に示す場合では、例えば35×43cmの放射線感光板を使用するように準備し、したがってラックI101のフレーム102は例えば39×49cmとなる。2つの柱105はラックI101のフレーム102に着脱可能に挿入される。柱105は2箇所で高さ調整した横部材106を支持する。放射線ソースを挿入したコリメーター108の支持装置107は横部材108上で水平にスライドする。コリメーター108の支持装置107は固定ボルトを使って異なったプリセット水平位置109で横部材106に固定してもよい。横部材106はラックI101を、中心を通る対角線で横切る。周エッジ放射の遮蔽に使用する放射線保護を強化する遮蔽体112をその一部を示す。フレーム102および横部材106はAlで作り、柱105は鋼で作るのが好ましい。
【0039】
組立品は異なった方法で調査中のスラブまたは壁に取り付ける。1つの方法としては、例えば、ラックI101の反対側のフレーム102に取り付けた2つの吸着器110を使用して平坦な床または舗装上に組立品全体を固定する。別の方法としては、このためにラックI101のフレーム102に穿孔した穴111に固定したねじを使用する。
【0040】
図2は、鉄筋コンクリートスラブ、サブフロアおよび床からなる構造物203を「外部ソース」で調査するために使用する配置の断面部を示すが、ここではラックI101を構造物203上に置き、ラックII205を前記構造物203の下に置く。この配置によって解析するために、ソースを2つの位置201および202に置く。この場合、前記位置はスラブ、サブフロアおよび床の組立品の厚さ203および密度を考慮した計算によって選択する。スラブ(または壁)の同一部分の両測定におけるソースの水平および垂直位置は以下の条件を最適にするように決定しなければならない。すなわち、
a)最大可能有効検査容積204は両測定で含まれること、
b)放射線感光板(ハウジング209内に置かれる)の最大可能有効記録面積の取得は、感光板の感度範囲および感光板の周囲と中心との間における放射線入射経路の違いを考慮すること、さらに
c)各測定の時間は最小限に保つことである。
【0041】
これらの条件に従ってソースを位置決めするために、ラックIは2つのプリセット高さが可能であり、また、この実施形態では横部材106の中心からそれぞれの側に1cmのプリセット距離で離した4つの水平位置109が可能である。
【0042】
また図2に示すように、ラックI101およびラックII205の一組の基準要素(この場合、小さい玉)104および207はそれぞれプレート103および206内に挿入される。ラックI101の場合、記録手段のそれぞれのフィデューシャルマークを読み取って測定ごとのソースの位置を容易に透視するために、一対の玉104はソースを位置決めするため横部材106の所定のそれぞれの水平位置109の垂直軸上に置く。基準要素に対応するフィデューシャルマークによって、同一断面で実施するすべての測定に共通する固定座標系に関してそれぞれ測定するためのソースおよび記録手段の正確な位置を決定することができる。ソースおよび記録手段に最も近い基準要素はそれぞれソースおよび記録手段の位置に関して最小誤差で前記決定ができる要素である。
【0043】
また図2は、散乱放射線フィルタ208および記録手段209(例えば、放射線感光板とのカセットおよびその中の通常の増幅遮光板)および記録手段の裏側に接するガンマ計210の配置を示す。記録手段の上面はフィルタ208に接する。上部と下部プレート206の間のスペースは、一旦記録手段を配置すると、参考6のプログラムで実施するシミュレーションで決定した被測定構造物からの距離が最適に維持できるスペースである。
【0044】
スラブまたは壁の鉄筋を調査する方法は、前述した方法の1つによって調査中の構造物の一方側の第1の場所に「ソ−ス組立品」を固定することにある。次いで、位置201が前述の条件を満たす位置に一致するような方法で、コリメーターを横部材106に沿って所定位置109の1つの位置まで水平移動させ、次に前記横部材を柱105の所定位置の1つの位置まで垂直に移動させる。次に、未露出の記録手段209を使用して第2のラックII205を構造物の反対側に配置する。次のステップでは所定の時間にわたって照射を行う(例えば、ガンマ計の指示に従って)。この時間の終わりにソースを遮蔽容器内に戻し、記録手段209が累積型(例えば、フィルムまたはデジタルの放射線感光板)である場合には処理を「オフライン」にする必要があるので、さらなる処理のために記録手段209を引き抜く。
【0045】
次いで、ソースを第2の位置202に置き、新しい記録手段209を前者に類似した位置にセットして、この手法を繰り返す。本発明の基準システムのために、記録手段の位置は両測定において(先行技術にあるように)全く同一にする必要はない。
【0046】
最後に、調査中の構造物断面のプログラム化された測定が終了すると(この特定の実施形態では2つの放射線感光板)、すべての測定結果の情報を組み合せて棒鋼の数量、その直径、構造物内の状態および位置を決定するため、前に略述した手法に従って、トモグラフィ決定を実施する。
【0047】
図3には図2に類似する横断面図を示すが、配置は「内部ソース」方式(以下を参照)を使用する。この場合、ラックIは存在せず、本発明の方法ではラックIIのプレート206に基準要素207(この場合は玉)を使用して適用する。図2に示すフィルタ208および「ガンマ計」210はこの図3では図面を明確にするため表示しない。この場合、記録手段は白の領域301のある黒線で表される放射線感光板であり、白の領域301は、ソースから放出された放射線が基準要素207に吸収されて生成された「陰影」またはフィデューシャルマークをシミュレートする。オペレーターは構造物のいくつかの基準点に関してラックの位置を測定して記録するだけである。ソースおよび記録手段の位置は基準玉207の座標を認識して放射線感光板上の像301の位置を測定することで計算できる。
【0048】
「外部ソース」方式の場合、ラックを移動させることなく第2の記録手段をラックII上に置き、第2の位置にソースを置いて新たな測定を実施する。これら2つの測定、または必要に応じてより多くの測定からのデータをスラブ内の鉄筋の位置および寸法の決定に使用する。この方法は現場作業の間で時間と労力を節約する利点を有し、またソースおよび記録手段が異なる部屋にあるスラブまたは壁の場合に頻繁に起こり得る、特に構造物の両側に同時にアクセスすることができない場合に、エラーを防止し、したがって精度を格段に向上させることができる。この場合、記録手段に関するソースの位置の通常の測定は些細なことではない。
【0049】
ソースおよび記録手段の位置を決定するためには(鉄筋をトモグラフィで決定するのに必要)、それぞれに対し基準要素の像を2つ取得することで基本的に十分である。しかし、実際には、基準要素を2つ以上設けて対応するフィデューシャルマークを取得し、各対で得られた結果を平均することによって、これらのマークのいくつかを感光板の他のマークに重ねる可能性のために解釈が難しくなるものの、精度を向上させることができ便利である。独立する値を平均化できることは、読み取り誤差を減少させる点とともに基準要素の所定位置に関する製造公差から導かれる誤差を減少させる点において有利となる。
【0050】
発明の別の実施形態において、この方法は梁または柱の鉄筋のトモグラフィ決定に適用される。前述の場合と類似し、この場合の装置は、鉄筋が測定される梁または柱の1つの側面に固定した「ソース組立品」と、梁または柱の別の側面に固定した「単一面、二面または三面」ラックIIとを備える。
【0051】
この実施形態は梁の中央部分の調査に適用し図4A−4C,5A−5Cおよび6に示される。
【0052】
図4A−4Cはソースとして192Ir放射線タブレットを使用して梁および柱部分を調査するための2つの配置を概略的に示す。図4Aは「外部ソース」方式の配置を示す。「ソース組立品」はソースを入れたソース容器/投射器402の支持装置401を備え、この支持装置401は、フレームと基準要素を含む2つのプレートを有するラックI403(図1のラックI101に類似し、図1に示す要素の記載に従う)に固定する。周エッジ放射の強度を減少させる目的で図1の符号112で示すものに類似する遮蔽体(図4には示さない)を選択的に追加することができる。測定を開始するためにソースを容器402内からコリメーター404に移した後、コリメーター404で所望の方向(図では右側の方向)に放射線を向ける。ラックII405は2つの面からなり、各面は図2のラックII205の記載に類似して、プレートを有するフレーム、基準要素、フィルタ用スペース、記録手段の支持装置および選択的にガンマ計(図5Aおよび5B参照)を備える。ラックII405は、両面が梁の2つの側面(ソース支持装置を取り付けた側面の反対側の側面および隣接する側面)に接して、両面の交差線がソース側の反対側の梁のエッジに一致するように取り付ける。ソースを図4Aに示すように配置した「外部ソース」の場合、1つ以上の測定(垂直および水平方向で異なった位置にソースがある)は、ラックII405の垂直および水平面に記録手段の支持装置を配置した記録手段406で実施される。図4Bには、図4Aに類似する配置であるが、フレーム403およびその関連要素が「ソース組立品」から除かれた「内部ソース」方式が示され、コリメーター404は延長部分407で置き換えられる。延長部分407は適切な材料で、ソースの移動可能な適切な直径の管(例えば内径および外形がそれぞれ約12mmおよび15mm)からなり、この管は梁の下面から一定の距離(例えば、使用するソースが192Irの場合は約28cm、ソースが60Coの場合は50cm)の箇所の梁の側面の1つに穿孔した穴(例えば約17mm直径)に挿入する。例えば、このような管の長さおよびオリフィスの深さは梁の厚さより約10cm短くする。「内部ソース」を使用するとき、測定はN回行うことが好ましい(ここでNはA/10−1に最も近い整数、但しAはcmで測定した梁断面の幅)。最初の測定においては、ソースは、例えばソースを挿入する梁側面から約10cmの位置408に置き、記録手段は、その中心がソースの位置408の反対側になるようにラック405の支持装置内に、好ましくは位置410に置く。引き続く測定においては、ソースおよび記録手段の中心はソースを挿入する梁側面から、例えば20,30・・(A−10)cmの箇所に置く(ソースの位置409および記録手段の位置411および続く位置)。図4Cには適用標準、例えば英国標準1881、パート205の「試験用コンクリート」、コンクリートのX線撮影に対する推奨、1986(参考3)で決められたものよりも厚い柱の鉄筋を調査するため、図4Bに類似する「内部ソース」方式の配置を示す。この配置では、ソース192Irは、追加の面412をラックIIに追加する(詳細は図5Cに示すように)箇所で使用し、この面はソースを挿入する側面の隣接側面に接するように調整する(図4C)。穴と隣接側面との間の距離が、例えば20から30cmの場合には、穴はソースを挿入する側面の中心に穿孔するのが好ましく、そうでない場合は穴を2つ穿孔し、各穴はソース側の側面に隣接するいずれかの側面から、例えば20から30cmの距離となるようにする(60Coを使用する場合はこれらの値は約2.5倍に増加する)。最初の測定ではソースは、例えば柱内に10cm挿入する。穴が中心に1つしかない場合は、ソースを挿入する側面であって側面の中心がソースの反対側の側面に隣接する面上で互いに配置した2つの記録手段が同時に照射される。そうでない場合は、ソースを挿入する側面に隣接する側面の一方に、穴から、例えば20から30cmの距離の箇所に配置した単一の記録手段が照射される。複数回の測定が必要なときは、例えば、穴に平行な方向において柱の深さより10cm少ない寸法に等しい深さまで10cm間隔でソースを移動させる。各測定において記録手段(同時測定の場合は1つ以上)はソースの反対側に置く。ソースを挿入する側面の反対側の側面から、例えば20から30cmの箇所にソースを置く測定は、ソースを挿入する側面の反対側の側面に記録手段を配置して実施する。穴が2つの場合は、最初の一連の測定に使用した側面の反対側の側面に記録手段を配置して方法を繰り返す。
【0053】
図5A,5Bおよび5Cは今までに記載したように梁および柱の調査に使用するラックIIの配置を示す。図5Aおよび5Bは、互いの間で固定された垂直な2つの面である主面501と副面502を示すが、これらの面は、1)測定時の使用(図5A)に対しては開位置となり,2)搬送時の使用(図5B)に対しては閉位置となる、2つの交互の位置を選択できるように折ることができる。主面501に垂直で、かつ梁または柱の自由側面に接するように主面フレーム上でスライド可能な別の副面503を追加することができる。各面501,502および503は図2の「単一面」ラックII205に類似し、これと同じように、今までに記載したような基準システム、散乱放射線フィルタのハウジング、記録手段の支持装置およびガンマ計の支持装置を備える(明瞭化のため図5A,5Bおよび5Cにはこれらの要素のすべてを示すものではない)。面501および502上に配置した記録手段の中心位置は対応する面の1つの長さにほぼ等しい距離だけ変化させることができるが、一方、面503の場合、この変化はこの面の支持装置に配置した記録手段のエッジの1つが主面の上面で制限される事実によって限定される。図6に示すプロトタイプの主面の長さは適用によって決定され、例えば、約50cmであるが、補助装置を使用すれば延長可能である。また図5Aには、梁または柱にラックIIを固定する手段を備える金属ストラップ505と、記録手段が下方にスライドするのを防止するため(図4Aおよび4Bの場合のように)面502が垂直位置にあるときに面502に配置した記録手段を調整するねじ504とを示す。
【0054】
図6は、梁上の操作位置で面が直交し、記録手段209が垂直および水平の面にある(ガンマ計は示さないが)ラックIIの位置を示す。ラックIIは、面が梁または柱の側面に接触して面501および502の交差線が梁または柱のエッジの1つに一致するように、今までに記載した方法に代わるいずれかの方法で梁または柱に固定する。
【0055】
また本発明の方法は可視光線を通さない構造物およびその他の物体のその他の調査に適用できる。構造物の領域内で、例えば非長方形断面の柱を調査するため、今までに記載してきた属性をもって、柔軟なラックにすることに言及する。本発明の方法は、梁支持点近傍の剪断応力に抵抗するため棒鋼が方向を変える点を決定するために横梁の調査に適用でき、または梁支持点上方の梁の上部断面の調査または基礎の調査に適用でき、ピースの厚さが要求される場合は「内部ソース」方式を適用することができる。また本発明の方法は記念物および装飾物の内部金属構造物の調査にも使用できる。
【0056】
図7は「内部ソース」を使用する特定の配置を簡略化した図であり、本発明の方法を使用して鉄筋のトモグラフィ決定を行う際に達成できる精度を定量的に示すものである。これを説明するために、図7に示す位置(X,Y)に2つのソース位置701および702、2つの棒鋼703および704、ラックIIの上部プレート206に組み込まれた基準玉207のみを考慮する(明瞭化のためラックIIの下部プレート206、フィルタ208およびガンマ計210は図示しない)。前述したように、この玉は適切な直径(好ましくは2mm)の放射線吸収性の高い要素である。放射線を当てると、この玉207は背景から明確となる楕円形状で記録手段209上に「陰影」またはフィデューシャルマークを生成する。この基準要素の形状として球形が好ましい理由は次のとおりである。球の「陰影」は円または楕円であり、この形状は最小二乗法を使用して調整でき、この位置は他の形状を使用して達成できるものよりも高い精度で決定することができるからである。
【0057】
解決すべきトモグラフィ課題の未知変数に貢献し、かつ棒鋼703および704の位置および直径を決定する精度は、基準システムを含むすべての部品の製造交差によって決まり、さらに玉の像の中心および棒鋼から投影された陰影の断面図を記録手段から抽出する精度によっても決まる。本計算のために仮定した誤差源および誤差の大きさは表1の上部に要約する。
【0058】
本発明の方法に関連する誤差の計算は、この目的のために特別に開発された実際的なコンピュータソフトを使用して行った。このソフトは、ソース、基準玉、棒鋼および記録手段の位置の公称値に基づいた実際の状況をシミュレートするが、製造交差および感光板上のフィデューシャルマークの読み取り誤差に起因する誤差も考慮に入れている。これらの誤差は標準偏差を有する正規分布であると仮定して統計的手法で推定した。この計算で使用した値および座標系は図7に示す。棒鋼703および704はZ軸に平行であると仮定する。Z軸に対で並ぶ4つの玉207も、例えば図面の上下に10cmの位置にあると仮定する。
【0059】
表1の下部には、未知棒鋼の位置決定に本方法を使用したとき、2000回の測定をシミュレーションして得られた達成精度の結果を要約する。簡単にするため、計算にはラックに関するプレートの位置の不確定性を含めていない。この大きさは、ラックの下部プレートに挿入されラックに非常に近い玉のフィデューシャルマークを使用して非常に精度よく決定することができる。前述の誤差は、ソースの位置が演繹的に未知であるという仮定から基本的に結論される。したがってこの計算は、ソースの位置が予め既知であるとして考えた図1および2に関して前述の異なった配置に対応する。したがってこの計算はソースの位置が演繹的に精度よく知られていない「内部ソース」の場合に特に適切である。前述の近似にも関わらず、発明の方法による推定誤差は発明の適用に対して代表的なものと考えられる。
【0060】
【表1】
【技術分野】
【0001】
本発明は被通過物の厚さと密度との積の関数として強度が減衰するX線またはガンマ線のような透過性放射線を使用して可視光線を通さない物体の3次元構造を解析する方法に関する。特に、発明の目的は構造を解析し、特に梁、柱およびスラブのような鉄筋コンクリート構造内の棒鋼の位置および直径を決定することにある。
【0002】
今までに実施された実験的作業ではガンマ線ソースが使用されている。しかし、別の適用と同じように,X線管、直線加速器またはその他の放射線ソースを使用する場合にこの方法を適用することは可能である。
【0003】
本発明には3次元解析に重要なパラメータを自動的に正確に決定する方法が含まれる。このパラメータには例えば、ソースの位置および通過放射線の記録手段の位置、記録手段が放射線強度の変化に高感度のフィルムを備えるとき像品質を改善するための最適な配置、低エネルギー放射性ソースを使用して非常に厚いコンクリートピース内の鉄筋のトモグラフィ決定をするための配置、およびこのような測定からトモグラフィ結果を得るための手法がある。
【背景技術】
【0004】
トモグラフィの手法は広く医学の分野で使われている。現在の方法は特に鉄筋コンクリートに適していて、またほかにも応用することができる。この分野では、従来の電子管で発生させたX線と、放射性物質または線形加速器から放射された高エネルギー電磁波から発せられたガンマ線とは、鉄筋コンクリートの一部を通過した放射線から放射線に対し感度の高いフィルム(従来の(アナログの)またはデジタルのX線撮影用プレート)(参考3)か,放射線を可視光の蛍光に変換するスクリーン(JP61−254837,US6333962)か,シンチレーションタイプまたは固体タイプ放射線検出器(US5933473)を使用して、2次元像を得るために使われてきた。これらの技術を利用して得た2次元の情報は、金属部分や、金属内に存在する腐食した部分や、空隙や、割れ目などを検出するのに利用することができる。3次元の問題、すなわち鉄筋コンクリート構造内の鉄筋の位置と直径を見積もることも、参考4に記載された方法を除いてはあまり進歩は見られない(参考1,2,3、US5828723)が、取り組まれてきた。この種の測定に関する問題のいくつかはまだ解決されていない。その問題は、トモグラフィにより鉄筋の位置を決めるため、ソースの位置と記録手段に関して、適切な精度でデータを得るのが困難なことにある。すなわち、放射線が散乱することと、移動式放射線ソースの出力が十分でなくコンクリートの厚さに限界があることのために、特に大きなサイズのコンクリート片の場合、像のコントラストが小さく、その像から位置を計算するのに困難さが伴うことにある。
【0005】
鉄筋のトモグラフィ決定の方法、すなわち鉄筋コンクリート内の棒鋼の位置および直径を決定するための方法の第1の工程においては、高さがソースと記録手段との間の距離に等しく底面が記録手段で覆われる面積に等しい角錐の容積内に検査中の部分が含まれるように、調査中の構造要素の1つの側面上の第1の位置に放射線ソースを配置し、照射中のソースの位置のほぼ反対側の側面上に記録手段を配置する。第2の工程においては、棒鋼を通過した放射線と棒鋼を通過しなかった放射線との間の最適なコントラストを得るために必要な通過放射線量を受ける記録手段に十分な長さの時間にわたってソースから放出された放射線に検査中の要素を曝す。照射時間は検査中の要素の厚さと密度との積の関数として決定される。続く工程においては、検査中の容積が第1の工程のものに類似するように、ソースおよびときどき記録手段を異なった位置に配置してこの方法を繰り返す。最後に、測定に含まれた容積内の構造ピースの位置および直径を得るために数学アルゴリズムを使用して、与えられた構造ピースに関するすべての測定に対して記録手段で記録された情報を解析する。
【0006】
前記数学アルゴリズムを適用するためには、調査中の構造ピースに固定された座標系に関し、異なった測定用にソースおよび記録手段の両方の位置を知る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】JP61−254837
【特許文献2】US6333962
【特許文献3】US5933473
【特許文献4】US5828723
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は前述の要求に関する先行技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
a)精度、信頼性および自動可能性を高めるためフィデューシャルマークを生成する基準要素の導入と、
b)得られた情報の質を改善するため、調査中の構造ピースから一定の距離(この距離の最適値はこの目的のために特別に開発されたモンテカルロ型シミュレーションプログラム(参考6)を使用して計算する)に、このような手段からなる記録手段を配置することと、
c)前記モンテカルロ型プログラム(参考6)で最適化された、散乱放射線を濾過する要素の配置と、
d)トモグラフィ問題を解くため記録手段に記録された情報を解析する方法論、すなわち、実質的に先行技術を改善する鉄筋コンクリート構造中の棒鋼の3次元マップ作成と
を備える。
【0010】
像を調整または校正する目的のため放射線吸収基準物体により生成され放射性透過フィルムまたはデジタル記録手段上に記録されるフィデューシャルマークの使用は医療放射線撮影(参考7)および工業用X線決定(参考5)でよく知られている。第1の場合は、基準要素が、異なった測定において患者の部位の変化から導き出した問題を解決するため患者の体内に組み込まれる。工業用X線決定の場合は、例えば、既知寸法の一連の放射線吸収棒が、スラブの厚さを決定するため鉄筋コンクリートスラブの上部に配置される。
【0011】
本発明において、フィデューシャルマークの使用は、鉄筋コンクリート構造内の棒鋼の位置および寸法のトモグラフィ決定の精度および信頼性の両方を改善する2重の目的に役立つ。他の工業用X線適用とは対照的に、放射線写真で像が記録される物体は一般に記録手段からかなり離れた位置にある。したがって、放射線ソースを異なった位置に置いて2つ以上の照射を行うことにより、立体再構築を通して位置データを得ることが可能である。正確に再構築を行うために調査中の構造に関しフィルムおよびソースの位置を正確に知ることが重要となる。
【0012】
本発明の方法においてフィデューシャルマークは、放射線吸収基準物体を放射線ソース側および/または記録手段側に位置するフレーム上に置くことで、記録手段、例えば放射線感光板上に記録する。この目的は誤差が生じ勝ちな現場作業の間で手動測定および記録の必要性を最小限にすることである。この方法でトモグラフィ決定に必要な情報は引き続くコンピュータ解析に使用する記録手段に自動的に記録され、このようにして、光への露出を回避するため置かれるカセット内の放射線感光板の位置のような手動決定およびその他の従来技術の決定による不正確さおよび誤差特性が防止される。
【0013】
基準要素に付け加え、本発明の方法において記録手段側のフレームには検査中の構造から最適の距離に記録手段を位置させる配置が含まれる。またフレームには、鉄筋コンクリートの場合に像の品質を厳しく制限する散乱放射線の影響を減衰させるのに十分なフィルタを追加する。最適な距離および最適なフィルタの両方はこの目的のために特別に開発されたコンピュータプログラムを使用して決定する。最後に、この方法には、フィデューシャルマークとフレームおよび支持の条件とを考慮に入れてトモグラフィ解析を実施するため特別に開発された手法が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は鉄筋コンクリートのスラブおよび壁内の鉄筋の位置および寸法を決定する配置に使用する「ソース組立品」の斜視図である。
【図2】図2は「外部ソース」を使用して、スラブおよび壁内の鉄筋の調査に使用する配置の断面図である。
【図3】図3は「内部ソース」を使用して、鉄筋コンクリート構造内の鉄筋の調査に使用する配置の断面図である。
【図4A】図4Aは梁の下部中央断面内の鉄筋を調査するための配置を示す。
【図4B】図4Bは同じく梁の下部中央断面内の鉄筋を調査するための配置を示す。
【図4C】図4Cは柱の鉄筋を調査するための配置を示す。
【図5A】図5Aは梁および柱の鉄筋の調査に使用するラックの開放位置における斜視図である。
【図5B】図5Bは梁および柱の鉄筋の調査に使用するラックの閉鎖位置における斜視図である。
【図5C】図5Cは梁および柱の鉄筋の調査に使用するラックの開放位置における斜視図である。
【図6】図6は梁上のラックの位置を示す。
【図7】図7は構造内の鉄筋の位置を決定するため本発明の方法の使用に含まれる誤差の計算で仮定するソース、鉄筋、基準要素およびプレート配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の方法には現場(現場作業)で使用するデータ収集装置およびトモグラフィ結果を得るためにこのデータを解析する手法が含まれる。この装置は以下の記載によって調査中の構造要素の特性に応じて異なった方法で配置することができる。
【0016】
最初に方法の一般的な側面を記載し、次に方法が異なった特定の場合(スラブおよび壁の検査、梁および柱の検査およびその他の場合)に適用される方法について説明する。
【0017】
本発明の目的である現場装置は第1の場所に「ソース組立品」と呼ばれる放射線ソース側の装置組立品を備える。放射線ソースが調査中のピースの外部に位置する「外部ソース」を使用して測定する場合、「ソース組立品」は、対応するコリメーター付きの放射線ソース(X線管、線形加速器、放射線ソースなど)の支持装置と、前記支持装置に着脱可能で関連要素を含む第1のラック(以後、「ラック1」と呼ぶ)とを備える。「ソース組立品」は遮蔽要素を備えることもできる。ラックは、軽量で強い材料(例えばAlなど)でできた長方形のフレームと、放射線吸収性の小さい材料(例えば、ある種のプラスチックなど)ででき、前記フレームに両側に取り付けられ、フレームと同一の形状で剛性のある2つのプレートとを備える。「ソース組立品」は検査する物体の一方側に固定する。測定を「内部ソース」を使用して実施する場合は、この方法は、放射性タブレットを放射線ソースとして使用する場合にのみ適用でき、このような場合、「ソース組立品」は単にソース容器/投射器の保持器および穿孔した穴を通して調査中のピース内に挿入される「延長部分」となり、その結果、放射性タブレットは検査中の物体内の異なった位置に置くことができる。
【0018】
第2に、装置は、調査中のピースのソースの反対側の側面に位置する第2のラック(以後「ラックII」と呼ぶ)を備える。ラックIIは1つ以上の面を備える。それぞれの面はラックIのようにプレートおよび基準要素で覆われたフレームを有する。またラックIIはそれぞれの測定を識別する装置、散乱放射線フィルタ、記録手段の保持器および「ガンマ計」(以下に記載する)の保持器を備える。
【0019】
基準要素は密度の高い材料(PbまたはWなど)で作られ、ソースから放出された放射線が記録手段に到達する前に通過するように配置される。基準要素は棒、玉または類似の物体にすることができるが、以下に述べる理由で小さい玉が最も好ましい。これらの基準要素はラックのフレームに固定されたプレート上に配置される。
【0020】
「ソース組立品」の記載において前記した遮蔽は、ラックIのフレームを取り囲む、例えば4mmの厚さの鉛でできたプレートにすることができ、この配置は放射線が通過する最初のコンクリート層をほぼ90°以上の角度で散乱する放射線を吸収する目的をもつ。
【0021】
それぞれの特定の測定を識別する装置は、実施する特定の現場作業を識別するため吸収材料(Pb,Wなど)でできた文字の支持固定具にある。この支持固定具は現場作業中は不変で留まるが、それぞれの測定を識別する番号付けシステムを含む第2の支持固定具は連続する各測定で1単位増加する。この装置は各測定を識別する手法を容易にするためにラックIIにまとめられ、このようにして先行技術を改善する。
【0022】
散乱放射線フィルタは、記録手段に到達する直接放射線の強度と散乱放射線の強度との間の最適比率(この比率は記録手段上の被検査物体(例えば棒鋼)の像のコントラストに影響する)を達成するように、ラックIIの2つのプレート間に収容することができる。前記散乱放射線フィルタの要素の構成および厚さは、この目的のために特別に設計されたシミュレーションプログラムを使用して選択される。
【0023】
「ガンマ計」は放射線に高感度のいくつかのデバイスを支持した軽量材料製のプレートであり、その目的は測定の間に記録手段で記録された面積内の異なった点の放射量を遠隔で読み取ることにあり、このようにして測定のための最適な照射時間を評価することができる。
【0024】
「ソース組立品」およびラックIIを一旦配置すると、放射ソースを作動させて照射を開始する。「外部ソース」方式において、タブレットは「ソース組立品」の一部である吸収材料製のコリメーターに配置され、その結果、放射線は、ソースと記録手段の面積とで形成される立体角にほぼ等しいか、またはわずかに大きい立体角内の調査中の容積を特に「放射」する。ガンマ放射線ソースの場合、「内部ソース」方式においては、タブレットは検査中のピース内にあけた穴に導入した照射機構の延長部分を使用して移動させ、このようにしてソースと記録手段の面積によって形成された立体角に対応する容積で測定が可能になる。
【0025】
「ガンマ計」に指示された量に基づき、さらにソースと記録手段との異なった組合せの量に対する照射時間の関係を記載した表に基づき特定の時間で照射が起こる。
【0026】
測定が終了すると、記録手段が「オフライン」読みの必要な累積型(放射線感光板、フィルムまたはデジタル)である場合、その記録手段を取り外す。新しい記録手段をラックIIの場所に適切にセットする。測定数は1単位増加させ、「ソース組立品」の位置変更に関わらず、ソースを新しい位置に置いて新しい測定を行う。
【0027】
一定の構造「部分」の検査が終わり、必要な回数の測定が行われた後、トモグラフィ決定を実施する。本発明の方法の一部である解析手法には以下の工程を備えるコンピュータプログラムが含まれる。
【0028】
a)トモグラフィ解析の目的である(梁、柱など)の測定されるピース部分の寸法および方向データをエンターする。主座標系は調査中の構造に固定し、解析結果を参照するものに定義する。
【0029】
b)各測定で記録手段を配置する調査中のピース側面を表示する。
【0030】
c)記録手段のフィデューシャルマークを識別する。記録手段の座標系で前記フィデューシャルマークの位置を高精度で決定するためプログラムで最小二乗法調整を行う。この手法で行った精度はフィデューシャルマークが球状基準要素に対応する円または楕円であるときには改善される(この方法で達成できる精度については下記の注を参照)。フィデューシャルマークの位置で、1)記録手段および主座標系に関する各測定におけるソースの位置、および2)主座標系に関する記録手段の位置および構造の同一部分で行った残余の測定の記録手段の位置に関する記録手段の位置を決定する。
【0031】
d)「輪郭対」と呼ばれる、異なった部分における棒鋼投影の輪郭に対応するデータ対を決定する。
【0032】
e)調査中のピースの同一部分で行ったすべての測定で得られたソースおよび各輪郭対で定まった「陰影円錐」を計算する。
【0033】
f)検査中のピースに沿ってすべて行った異なった断面測定の「輪郭対」を考慮して、実際の棒鋼に対応する陰影円錐交差部を決定する。
【0034】
g)トモグラフィ結果、すなわち検査部分における各棒鋼の数、位置および直径を使って技術報告書を作成する。
【0035】
この解析手法は、異なった座標系(各記録手段に対する座標系)に起因するデータを簡単な方法で調査中のピースに固定した単独の主座標系で結合するという点において、先行技術とは異なり、特徴を有するものである。
【0036】
本発明の方法を使用して特定の場合について以下説明するが、説明例に限定するものではない。
【0037】
発明の特定の実施形態において、方法は、192Irソースを使用したスラブまたは壁内の鉄骨のトモグラフィ決定に使用する。この場合、装置は、測定される鉄骨のあるスラブまたは壁の1つの側面に固定された「ソース組立品」と、スラブまたは壁の反対側の側面に固定された「単一面」ラックIIとを備える。一般に、必ずしもそうではないが、スラブおよび壁の測定は「外部ソース」方式で実施される。
【0038】
「外部ソース」を使用してスラブを解析する実施形態を図1および2に示す。図1に示す「ソース組立品」はラックI101およびソース支持装置を備える。ラックI101はフレーム102と上部・下部プレートの2つのプレート103とからなり、基準要素104がプレート103上の正確なプリセット位置に取り付けられる。ソース支持装置は2つの柱105、横部材106、コリメーター支持装置107およびコリメーター108からなる。この組立品の寸法は検査の要求および条件に対応する。この実施形態に示す場合では、例えば35×43cmの放射線感光板を使用するように準備し、したがってラックI101のフレーム102は例えば39×49cmとなる。2つの柱105はラックI101のフレーム102に着脱可能に挿入される。柱105は2箇所で高さ調整した横部材106を支持する。放射線ソースを挿入したコリメーター108の支持装置107は横部材108上で水平にスライドする。コリメーター108の支持装置107は固定ボルトを使って異なったプリセット水平位置109で横部材106に固定してもよい。横部材106はラックI101を、中心を通る対角線で横切る。周エッジ放射の遮蔽に使用する放射線保護を強化する遮蔽体112をその一部を示す。フレーム102および横部材106はAlで作り、柱105は鋼で作るのが好ましい。
【0039】
組立品は異なった方法で調査中のスラブまたは壁に取り付ける。1つの方法としては、例えば、ラックI101の反対側のフレーム102に取り付けた2つの吸着器110を使用して平坦な床または舗装上に組立品全体を固定する。別の方法としては、このためにラックI101のフレーム102に穿孔した穴111に固定したねじを使用する。
【0040】
図2は、鉄筋コンクリートスラブ、サブフロアおよび床からなる構造物203を「外部ソース」で調査するために使用する配置の断面部を示すが、ここではラックI101を構造物203上に置き、ラックII205を前記構造物203の下に置く。この配置によって解析するために、ソースを2つの位置201および202に置く。この場合、前記位置はスラブ、サブフロアおよび床の組立品の厚さ203および密度を考慮した計算によって選択する。スラブ(または壁)の同一部分の両測定におけるソースの水平および垂直位置は以下の条件を最適にするように決定しなければならない。すなわち、
a)最大可能有効検査容積204は両測定で含まれること、
b)放射線感光板(ハウジング209内に置かれる)の最大可能有効記録面積の取得は、感光板の感度範囲および感光板の周囲と中心との間における放射線入射経路の違いを考慮すること、さらに
c)各測定の時間は最小限に保つことである。
【0041】
これらの条件に従ってソースを位置決めするために、ラックIは2つのプリセット高さが可能であり、また、この実施形態では横部材106の中心からそれぞれの側に1cmのプリセット距離で離した4つの水平位置109が可能である。
【0042】
また図2に示すように、ラックI101およびラックII205の一組の基準要素(この場合、小さい玉)104および207はそれぞれプレート103および206内に挿入される。ラックI101の場合、記録手段のそれぞれのフィデューシャルマークを読み取って測定ごとのソースの位置を容易に透視するために、一対の玉104はソースを位置決めするため横部材106の所定のそれぞれの水平位置109の垂直軸上に置く。基準要素に対応するフィデューシャルマークによって、同一断面で実施するすべての測定に共通する固定座標系に関してそれぞれ測定するためのソースおよび記録手段の正確な位置を決定することができる。ソースおよび記録手段に最も近い基準要素はそれぞれソースおよび記録手段の位置に関して最小誤差で前記決定ができる要素である。
【0043】
また図2は、散乱放射線フィルタ208および記録手段209(例えば、放射線感光板とのカセットおよびその中の通常の増幅遮光板)および記録手段の裏側に接するガンマ計210の配置を示す。記録手段の上面はフィルタ208に接する。上部と下部プレート206の間のスペースは、一旦記録手段を配置すると、参考6のプログラムで実施するシミュレーションで決定した被測定構造物からの距離が最適に維持できるスペースである。
【0044】
スラブまたは壁の鉄筋を調査する方法は、前述した方法の1つによって調査中の構造物の一方側の第1の場所に「ソ−ス組立品」を固定することにある。次いで、位置201が前述の条件を満たす位置に一致するような方法で、コリメーターを横部材106に沿って所定位置109の1つの位置まで水平移動させ、次に前記横部材を柱105の所定位置の1つの位置まで垂直に移動させる。次に、未露出の記録手段209を使用して第2のラックII205を構造物の反対側に配置する。次のステップでは所定の時間にわたって照射を行う(例えば、ガンマ計の指示に従って)。この時間の終わりにソースを遮蔽容器内に戻し、記録手段209が累積型(例えば、フィルムまたはデジタルの放射線感光板)である場合には処理を「オフライン」にする必要があるので、さらなる処理のために記録手段209を引き抜く。
【0045】
次いで、ソースを第2の位置202に置き、新しい記録手段209を前者に類似した位置にセットして、この手法を繰り返す。本発明の基準システムのために、記録手段の位置は両測定において(先行技術にあるように)全く同一にする必要はない。
【0046】
最後に、調査中の構造物断面のプログラム化された測定が終了すると(この特定の実施形態では2つの放射線感光板)、すべての測定結果の情報を組み合せて棒鋼の数量、その直径、構造物内の状態および位置を決定するため、前に略述した手法に従って、トモグラフィ決定を実施する。
【0047】
図3には図2に類似する横断面図を示すが、配置は「内部ソース」方式(以下を参照)を使用する。この場合、ラックIは存在せず、本発明の方法ではラックIIのプレート206に基準要素207(この場合は玉)を使用して適用する。図2に示すフィルタ208および「ガンマ計」210はこの図3では図面を明確にするため表示しない。この場合、記録手段は白の領域301のある黒線で表される放射線感光板であり、白の領域301は、ソースから放出された放射線が基準要素207に吸収されて生成された「陰影」またはフィデューシャルマークをシミュレートする。オペレーターは構造物のいくつかの基準点に関してラックの位置を測定して記録するだけである。ソースおよび記録手段の位置は基準玉207の座標を認識して放射線感光板上の像301の位置を測定することで計算できる。
【0048】
「外部ソース」方式の場合、ラックを移動させることなく第2の記録手段をラックII上に置き、第2の位置にソースを置いて新たな測定を実施する。これら2つの測定、または必要に応じてより多くの測定からのデータをスラブ内の鉄筋の位置および寸法の決定に使用する。この方法は現場作業の間で時間と労力を節約する利点を有し、またソースおよび記録手段が異なる部屋にあるスラブまたは壁の場合に頻繁に起こり得る、特に構造物の両側に同時にアクセスすることができない場合に、エラーを防止し、したがって精度を格段に向上させることができる。この場合、記録手段に関するソースの位置の通常の測定は些細なことではない。
【0049】
ソースおよび記録手段の位置を決定するためには(鉄筋をトモグラフィで決定するのに必要)、それぞれに対し基準要素の像を2つ取得することで基本的に十分である。しかし、実際には、基準要素を2つ以上設けて対応するフィデューシャルマークを取得し、各対で得られた結果を平均することによって、これらのマークのいくつかを感光板の他のマークに重ねる可能性のために解釈が難しくなるものの、精度を向上させることができ便利である。独立する値を平均化できることは、読み取り誤差を減少させる点とともに基準要素の所定位置に関する製造公差から導かれる誤差を減少させる点において有利となる。
【0050】
発明の別の実施形態において、この方法は梁または柱の鉄筋のトモグラフィ決定に適用される。前述の場合と類似し、この場合の装置は、鉄筋が測定される梁または柱の1つの側面に固定した「ソース組立品」と、梁または柱の別の側面に固定した「単一面、二面または三面」ラックIIとを備える。
【0051】
この実施形態は梁の中央部分の調査に適用し図4A−4C,5A−5Cおよび6に示される。
【0052】
図4A−4Cはソースとして192Ir放射線タブレットを使用して梁および柱部分を調査するための2つの配置を概略的に示す。図4Aは「外部ソース」方式の配置を示す。「ソース組立品」はソースを入れたソース容器/投射器402の支持装置401を備え、この支持装置401は、フレームと基準要素を含む2つのプレートを有するラックI403(図1のラックI101に類似し、図1に示す要素の記載に従う)に固定する。周エッジ放射の強度を減少させる目的で図1の符号112で示すものに類似する遮蔽体(図4には示さない)を選択的に追加することができる。測定を開始するためにソースを容器402内からコリメーター404に移した後、コリメーター404で所望の方向(図では右側の方向)に放射線を向ける。ラックII405は2つの面からなり、各面は図2のラックII205の記載に類似して、プレートを有するフレーム、基準要素、フィルタ用スペース、記録手段の支持装置および選択的にガンマ計(図5Aおよび5B参照)を備える。ラックII405は、両面が梁の2つの側面(ソース支持装置を取り付けた側面の反対側の側面および隣接する側面)に接して、両面の交差線がソース側の反対側の梁のエッジに一致するように取り付ける。ソースを図4Aに示すように配置した「外部ソース」の場合、1つ以上の測定(垂直および水平方向で異なった位置にソースがある)は、ラックII405の垂直および水平面に記録手段の支持装置を配置した記録手段406で実施される。図4Bには、図4Aに類似する配置であるが、フレーム403およびその関連要素が「ソース組立品」から除かれた「内部ソース」方式が示され、コリメーター404は延長部分407で置き換えられる。延長部分407は適切な材料で、ソースの移動可能な適切な直径の管(例えば内径および外形がそれぞれ約12mmおよび15mm)からなり、この管は梁の下面から一定の距離(例えば、使用するソースが192Irの場合は約28cm、ソースが60Coの場合は50cm)の箇所の梁の側面の1つに穿孔した穴(例えば約17mm直径)に挿入する。例えば、このような管の長さおよびオリフィスの深さは梁の厚さより約10cm短くする。「内部ソース」を使用するとき、測定はN回行うことが好ましい(ここでNはA/10−1に最も近い整数、但しAはcmで測定した梁断面の幅)。最初の測定においては、ソースは、例えばソースを挿入する梁側面から約10cmの位置408に置き、記録手段は、その中心がソースの位置408の反対側になるようにラック405の支持装置内に、好ましくは位置410に置く。引き続く測定においては、ソースおよび記録手段の中心はソースを挿入する梁側面から、例えば20,30・・(A−10)cmの箇所に置く(ソースの位置409および記録手段の位置411および続く位置)。図4Cには適用標準、例えば英国標準1881、パート205の「試験用コンクリート」、コンクリートのX線撮影に対する推奨、1986(参考3)で決められたものよりも厚い柱の鉄筋を調査するため、図4Bに類似する「内部ソース」方式の配置を示す。この配置では、ソース192Irは、追加の面412をラックIIに追加する(詳細は図5Cに示すように)箇所で使用し、この面はソースを挿入する側面の隣接側面に接するように調整する(図4C)。穴と隣接側面との間の距離が、例えば20から30cmの場合には、穴はソースを挿入する側面の中心に穿孔するのが好ましく、そうでない場合は穴を2つ穿孔し、各穴はソース側の側面に隣接するいずれかの側面から、例えば20から30cmの距離となるようにする(60Coを使用する場合はこれらの値は約2.5倍に増加する)。最初の測定ではソースは、例えば柱内に10cm挿入する。穴が中心に1つしかない場合は、ソースを挿入する側面であって側面の中心がソースの反対側の側面に隣接する面上で互いに配置した2つの記録手段が同時に照射される。そうでない場合は、ソースを挿入する側面に隣接する側面の一方に、穴から、例えば20から30cmの距離の箇所に配置した単一の記録手段が照射される。複数回の測定が必要なときは、例えば、穴に平行な方向において柱の深さより10cm少ない寸法に等しい深さまで10cm間隔でソースを移動させる。各測定において記録手段(同時測定の場合は1つ以上)はソースの反対側に置く。ソースを挿入する側面の反対側の側面から、例えば20から30cmの箇所にソースを置く測定は、ソースを挿入する側面の反対側の側面に記録手段を配置して実施する。穴が2つの場合は、最初の一連の測定に使用した側面の反対側の側面に記録手段を配置して方法を繰り返す。
【0053】
図5A,5Bおよび5Cは今までに記載したように梁および柱の調査に使用するラックIIの配置を示す。図5Aおよび5Bは、互いの間で固定された垂直な2つの面である主面501と副面502を示すが、これらの面は、1)測定時の使用(図5A)に対しては開位置となり,2)搬送時の使用(図5B)に対しては閉位置となる、2つの交互の位置を選択できるように折ることができる。主面501に垂直で、かつ梁または柱の自由側面に接するように主面フレーム上でスライド可能な別の副面503を追加することができる。各面501,502および503は図2の「単一面」ラックII205に類似し、これと同じように、今までに記載したような基準システム、散乱放射線フィルタのハウジング、記録手段の支持装置およびガンマ計の支持装置を備える(明瞭化のため図5A,5Bおよび5Cにはこれらの要素のすべてを示すものではない)。面501および502上に配置した記録手段の中心位置は対応する面の1つの長さにほぼ等しい距離だけ変化させることができるが、一方、面503の場合、この変化はこの面の支持装置に配置した記録手段のエッジの1つが主面の上面で制限される事実によって限定される。図6に示すプロトタイプの主面の長さは適用によって決定され、例えば、約50cmであるが、補助装置を使用すれば延長可能である。また図5Aには、梁または柱にラックIIを固定する手段を備える金属ストラップ505と、記録手段が下方にスライドするのを防止するため(図4Aおよび4Bの場合のように)面502が垂直位置にあるときに面502に配置した記録手段を調整するねじ504とを示す。
【0054】
図6は、梁上の操作位置で面が直交し、記録手段209が垂直および水平の面にある(ガンマ計は示さないが)ラックIIの位置を示す。ラックIIは、面が梁または柱の側面に接触して面501および502の交差線が梁または柱のエッジの1つに一致するように、今までに記載した方法に代わるいずれかの方法で梁または柱に固定する。
【0055】
また本発明の方法は可視光線を通さない構造物およびその他の物体のその他の調査に適用できる。構造物の領域内で、例えば非長方形断面の柱を調査するため、今までに記載してきた属性をもって、柔軟なラックにすることに言及する。本発明の方法は、梁支持点近傍の剪断応力に抵抗するため棒鋼が方向を変える点を決定するために横梁の調査に適用でき、または梁支持点上方の梁の上部断面の調査または基礎の調査に適用でき、ピースの厚さが要求される場合は「内部ソース」方式を適用することができる。また本発明の方法は記念物および装飾物の内部金属構造物の調査にも使用できる。
【0056】
図7は「内部ソース」を使用する特定の配置を簡略化した図であり、本発明の方法を使用して鉄筋のトモグラフィ決定を行う際に達成できる精度を定量的に示すものである。これを説明するために、図7に示す位置(X,Y)に2つのソース位置701および702、2つの棒鋼703および704、ラックIIの上部プレート206に組み込まれた基準玉207のみを考慮する(明瞭化のためラックIIの下部プレート206、フィルタ208およびガンマ計210は図示しない)。前述したように、この玉は適切な直径(好ましくは2mm)の放射線吸収性の高い要素である。放射線を当てると、この玉207は背景から明確となる楕円形状で記録手段209上に「陰影」またはフィデューシャルマークを生成する。この基準要素の形状として球形が好ましい理由は次のとおりである。球の「陰影」は円または楕円であり、この形状は最小二乗法を使用して調整でき、この位置は他の形状を使用して達成できるものよりも高い精度で決定することができるからである。
【0057】
解決すべきトモグラフィ課題の未知変数に貢献し、かつ棒鋼703および704の位置および直径を決定する精度は、基準システムを含むすべての部品の製造交差によって決まり、さらに玉の像の中心および棒鋼から投影された陰影の断面図を記録手段から抽出する精度によっても決まる。本計算のために仮定した誤差源および誤差の大きさは表1の上部に要約する。
【0058】
本発明の方法に関連する誤差の計算は、この目的のために特別に開発された実際的なコンピュータソフトを使用して行った。このソフトは、ソース、基準玉、棒鋼および記録手段の位置の公称値に基づいた実際の状況をシミュレートするが、製造交差および感光板上のフィデューシャルマークの読み取り誤差に起因する誤差も考慮に入れている。これらの誤差は標準偏差を有する正規分布であると仮定して統計的手法で推定した。この計算で使用した値および座標系は図7に示す。棒鋼703および704はZ軸に平行であると仮定する。Z軸に対で並ぶ4つの玉207も、例えば図面の上下に10cmの位置にあると仮定する。
【0059】
表1の下部には、未知棒鋼の位置決定に本方法を使用したとき、2000回の測定をシミュレーションして得られた達成精度の結果を要約する。簡単にするため、計算にはラックに関するプレートの位置の不確定性を含めていない。この大きさは、ラックの下部プレートに挿入されラックに非常に近い玉のフィデューシャルマークを使用して非常に精度よく決定することができる。前述の誤差は、ソースの位置が演繹的に未知であるという仮定から基本的に結論される。したがってこの計算は、ソースの位置が予め既知であるとして考えた図1および2に関して前述の異なった配置に対応する。したがってこの計算はソースの位置が演繹的に精度よく知られていない「内部ソース」の場合に特に適切である。前述の近似にも関わらず、発明の方法による推定誤差は発明の適用に対して代表的なものと考えられる。
【0060】
【表1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光線を通さない物体内にある対象物に放射線を照射して行うトモグラフィ決定を改善する方法であって、
a)前記物体に透過性放射線を照射し、
b)前記物体を通過した前記放射線を記録手段に記録する
工程とが含まれ、さらに前記方法には、
1)高密度の放射線吸収材料で作られ、独立して識別され個別化され、規則的に配置された複数の基準要素を基準システムに備え、
2)測定を識別し、
3)照射時間を決定し、
4)測定に使用した記録手段に記録された情報に基づき物体内の対象物の位置および寸法を決定する
工程が含まれる方法。
【請求項2】
散乱放射線に対する直接放射線の比率を最適化して像の品質を改善する工程がさらに含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最大コントラストの達成に必要な照射時間を決定する手段を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
放射線のソースはX線またはガンマ線である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
この方法は鉄筋コンクリートなどの構造ピース内の金属要素のトモグラフィ決定に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基準要素は剛または柔軟な支持手段内の棒、小球、玉などである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
プラスチック、アクリル、ルクサイトまたは類似材料からなる群から選択されたガンマ放射線吸収性の低い材料からできた1つ以上のプレートを備える基準要素の支持手段をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工業用X線決定に使用する放射性物質の適用標準に含まれるものよりも厚いコンクリートピースにおける決定問題を解消するため、コンクリートピースに穴をあけて前記穴に放射性ソースを導入する工程がさらに含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
可視光線を通さない物体内にある対象物の位置および寸法を3次元的に決定する配置であって、
a)前記物体を透過できる放射線ソースと、
b)この物体を通過した放射線を記録する記録手段と
を備え、さらに前記配置は、
1)放射線を吸収する高密度の材料で作られ、独立して識別され個別化され、規則的に配置された複数の基準要素を有する基準システムと、
2)測定の識別手段と、
3)照射時間を決定する手段と
を備える配置。
【請求項10】
散乱放射線に対する直接放射線の比率を最適化して像の品質を改善する手段を備える、請求項9に記載の配置。
【請求項11】
請求項9に記載の配置であって、外部ソースを使用したピースの調査に適用するため、
a)調査されるピースに固定で取り付けた放射線ソースの支持装置と、
b)ソースと調査中のピースとの間に配置され、前記物体に固定して取り付けられ、第1のフレームが基準システムを備える第1のラックと、
c)前記第1のフレームが配置された物体の側面の反対側側面または隣接する物体の側面に面がそれぞれ平行となるように、前記物体に固定して取り付けた1つ以上の面を備える第2のラックと
を備え、さらに第2のラックは、
1)放射線記録手段の支持装置と、
2)高密度の材料で作られ、規則的に配置され、それによって独立して識別され個別化され、前記ラックに固定された複数の基準要素を備える基準システムと
を備える配置。
【請求項12】
請求項9に記載の配置であって、内部ソースを使用したピースの調査に適用するため、
a)調査中のピースに穿孔した穴内にソースを配置する、いわゆる「内部ソース」の使用に適した調査中のピースに固定して取り付けた放射線ソースの支持装置と、
b)前記ソースの支持装置が配置された側面の反対側側面または隣接する物体の側面に面がそれぞれ平行となるように、前記物体に固定して取り付けた1つ以上の面を備えるラックと
を備え、前記フレームは、
1)放射線記録手段の支持装置と、
2)高密度の材料で作られ、規則的に配置され、それによって独立して識別され個別化され、前記ラックに固定された複数の基準要素を備える基準システムと
を備える配置。
【請求項13】
最大コントラストの達成に必要な照射時間を決定する手段を備える、請求項11または12に記載の配置。
【請求項14】
放射線ソースの支持装置およびラックの固定手段は調査中の物体に付着する吸着器からなる、請求項11または12に記載の配置。
【請求項15】
放射線ソースの支持装置およびラックの固定手段は調査中の物体に固定したボルトからなる、請求項11または12に記載の配置。
【請求項16】
調査中の物体と第2のラックの記録手段との間の最適距離は、検査ケースの特定の条件下で記録手段に到達する放射線の強度およびエネルギーを計算できるモンテカルロ法または均等の方法に基づくプログラムで実施する計算手段で決定する、請求項11または12に記載の配置。
【請求項17】
記録手段が配置される第2のラックは試験中の物体を横切る散乱放射線を選択的に減衰させる要素を備え、この要素は特に鉄筋コンクリートピースに厳密であり、この要素の特性および厚さは、それぞれの場合の特定の条件で調査中の物体を横切る放射線の強度およびエネルギーを計算できるモンテカルロ法または均等の方法に基づくプログラムを用いてシミュレーションで決定する、請求項11または12に記載の配置。
【請求項18】
第2のラックは調査中の物体に固定された2つの面からなり、その結果、2つの面の交差線は、前記フレーム上の基準要素と調査中の物体との間の関係が自動的に定まるような方法で前記物体のエッジに一致する、請求項11または12に記載の配置。
【請求項19】
フレームは、使用のためにフレームが互いに開いて配置される開放位置から、搬送を容易にするためフレームが互いに平行に配置される閉鎖位置まで折り畳み可能である、請求項11または12に記載の配置。
【請求項20】
第2のラックは互いに直交する3つの面からなり、第3の面は使用中に面が調査中のピースの隣接側面に対して配置されるように第1の面に関して移動可能であり、特に鉄筋コンクリートの梁および柱に適用できる、請求項11または12に記載の配置。
【請求項21】
請求項11に記載の配置と組み合せて使用され、鉄筋コンクリートスラブ内の鉄筋の場合のように、装置の寸法に比べて大きい寸法と平行な側面を有する物体内にある対象物の3次元決定用の配置であって、一定の時間で多重照射を実施しているとき、前記物体の厚さおよび使用する放射線ソースおよび記録手段の種類の関数として、ソースを支持する構造には検査中の有効容積および3次元解析の精度を最大にするように計画されたプリセット位置が含まれる。
【請求項22】
鉄筋コンクリートスラブ内の鉄筋の場合のように、装置の寸法に比べて大きい寸法と平行な側面を有する物体内にある対象物の3次元決定を行う方法であって、
a)放射線ソースの支持装置を横部材に沿ってプリセット位置に移動し、
b)放射線ソースの前記支持装置を調査中の物体から様々なプリセット距離で横部材に固定し、
c)第1のラックに挿入され第1のラックに関して斜めに配置された2つの棒を使って前記横部材を保持し、
d)オペレータの介入を必要とせず高精度でソースの位置を決定する
工程が含まれる方法。
【請求項23】
調査中の物体内にある対象物の3次元決定を行う方法であって、
a)座標系を検査中の物体に固定して定義し、
b)前記座標系に関して記録手段を配置し、
c)ラックの基準要素に起因するフィデューシャルマークの位置を決定して、このフィデューシャルマークの位置に基づいて調査中のピースに関しソースおよび記録手段の両方の位置を決定し、
d)記録手段上における棒鋼の投影輪郭を決定し、
e)同一断面上の様々な測定の間に得られた情報を組み合せて、棒鋼の投影輪郭とソースの位置とによって定まった円錐内で棒鋼の位置および直径の3次元マップを作成し、
f)前記座標上でトモグラフィ再構築に対応する結果を提供する
工程が含まれる方法。
【請求項24】
記録手段表面の異なった点に加えられる放射線量を遠隔で連続的にモニターし、照射時間を決定する装置であって、複数の放射線感受性デバイスを記録手段の後方に配置したラックを備える装置。
【請求項1】
可視光線を通さない物体内にある対象物に放射線を照射して行うトモグラフィ決定を改善する方法であって、
a)前記物体に透過性放射線を照射し、
b)前記物体を通過した前記放射線を記録手段に記録する
工程とが含まれ、さらに前記方法には、
1)高密度の放射線吸収材料で作られ、独立して識別され個別化され、規則的に配置された複数の基準要素を基準システムに備え、
2)測定を識別し、
3)照射時間を決定し、
4)測定に使用した記録手段に記録された情報に基づき物体内の対象物の位置および寸法を決定する
工程が含まれる方法。
【請求項2】
散乱放射線に対する直接放射線の比率を最適化して像の品質を改善する工程がさらに含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最大コントラストの達成に必要な照射時間を決定する手段を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
放射線のソースはX線またはガンマ線である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
この方法は鉄筋コンクリートなどの構造ピース内の金属要素のトモグラフィ決定に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基準要素は剛または柔軟な支持手段内の棒、小球、玉などである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
プラスチック、アクリル、ルクサイトまたは類似材料からなる群から選択されたガンマ放射線吸収性の低い材料からできた1つ以上のプレートを備える基準要素の支持手段をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工業用X線決定に使用する放射性物質の適用標準に含まれるものよりも厚いコンクリートピースにおける決定問題を解消するため、コンクリートピースに穴をあけて前記穴に放射性ソースを導入する工程がさらに含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
可視光線を通さない物体内にある対象物の位置および寸法を3次元的に決定する配置であって、
a)前記物体を透過できる放射線ソースと、
b)この物体を通過した放射線を記録する記録手段と
を備え、さらに前記配置は、
1)放射線を吸収する高密度の材料で作られ、独立して識別され個別化され、規則的に配置された複数の基準要素を有する基準システムと、
2)測定の識別手段と、
3)照射時間を決定する手段と
を備える配置。
【請求項10】
散乱放射線に対する直接放射線の比率を最適化して像の品質を改善する手段を備える、請求項9に記載の配置。
【請求項11】
請求項9に記載の配置であって、外部ソースを使用したピースの調査に適用するため、
a)調査されるピースに固定で取り付けた放射線ソースの支持装置と、
b)ソースと調査中のピースとの間に配置され、前記物体に固定して取り付けられ、第1のフレームが基準システムを備える第1のラックと、
c)前記第1のフレームが配置された物体の側面の反対側側面または隣接する物体の側面に面がそれぞれ平行となるように、前記物体に固定して取り付けた1つ以上の面を備える第2のラックと
を備え、さらに第2のラックは、
1)放射線記録手段の支持装置と、
2)高密度の材料で作られ、規則的に配置され、それによって独立して識別され個別化され、前記ラックに固定された複数の基準要素を備える基準システムと
を備える配置。
【請求項12】
請求項9に記載の配置であって、内部ソースを使用したピースの調査に適用するため、
a)調査中のピースに穿孔した穴内にソースを配置する、いわゆる「内部ソース」の使用に適した調査中のピースに固定して取り付けた放射線ソースの支持装置と、
b)前記ソースの支持装置が配置された側面の反対側側面または隣接する物体の側面に面がそれぞれ平行となるように、前記物体に固定して取り付けた1つ以上の面を備えるラックと
を備え、前記フレームは、
1)放射線記録手段の支持装置と、
2)高密度の材料で作られ、規則的に配置され、それによって独立して識別され個別化され、前記ラックに固定された複数の基準要素を備える基準システムと
を備える配置。
【請求項13】
最大コントラストの達成に必要な照射時間を決定する手段を備える、請求項11または12に記載の配置。
【請求項14】
放射線ソースの支持装置およびラックの固定手段は調査中の物体に付着する吸着器からなる、請求項11または12に記載の配置。
【請求項15】
放射線ソースの支持装置およびラックの固定手段は調査中の物体に固定したボルトからなる、請求項11または12に記載の配置。
【請求項16】
調査中の物体と第2のラックの記録手段との間の最適距離は、検査ケースの特定の条件下で記録手段に到達する放射線の強度およびエネルギーを計算できるモンテカルロ法または均等の方法に基づくプログラムで実施する計算手段で決定する、請求項11または12に記載の配置。
【請求項17】
記録手段が配置される第2のラックは試験中の物体を横切る散乱放射線を選択的に減衰させる要素を備え、この要素は特に鉄筋コンクリートピースに厳密であり、この要素の特性および厚さは、それぞれの場合の特定の条件で調査中の物体を横切る放射線の強度およびエネルギーを計算できるモンテカルロ法または均等の方法に基づくプログラムを用いてシミュレーションで決定する、請求項11または12に記載の配置。
【請求項18】
第2のラックは調査中の物体に固定された2つの面からなり、その結果、2つの面の交差線は、前記フレーム上の基準要素と調査中の物体との間の関係が自動的に定まるような方法で前記物体のエッジに一致する、請求項11または12に記載の配置。
【請求項19】
フレームは、使用のためにフレームが互いに開いて配置される開放位置から、搬送を容易にするためフレームが互いに平行に配置される閉鎖位置まで折り畳み可能である、請求項11または12に記載の配置。
【請求項20】
第2のラックは互いに直交する3つの面からなり、第3の面は使用中に面が調査中のピースの隣接側面に対して配置されるように第1の面に関して移動可能であり、特に鉄筋コンクリートの梁および柱に適用できる、請求項11または12に記載の配置。
【請求項21】
請求項11に記載の配置と組み合せて使用され、鉄筋コンクリートスラブ内の鉄筋の場合のように、装置の寸法に比べて大きい寸法と平行な側面を有する物体内にある対象物の3次元決定用の配置であって、一定の時間で多重照射を実施しているとき、前記物体の厚さおよび使用する放射線ソースおよび記録手段の種類の関数として、ソースを支持する構造には検査中の有効容積および3次元解析の精度を最大にするように計画されたプリセット位置が含まれる。
【請求項22】
鉄筋コンクリートスラブ内の鉄筋の場合のように、装置の寸法に比べて大きい寸法と平行な側面を有する物体内にある対象物の3次元決定を行う方法であって、
a)放射線ソースの支持装置を横部材に沿ってプリセット位置に移動し、
b)放射線ソースの前記支持装置を調査中の物体から様々なプリセット距離で横部材に固定し、
c)第1のラックに挿入され第1のラックに関して斜めに配置された2つの棒を使って前記横部材を保持し、
d)オペレータの介入を必要とせず高精度でソースの位置を決定する
工程が含まれる方法。
【請求項23】
調査中の物体内にある対象物の3次元決定を行う方法であって、
a)座標系を検査中の物体に固定して定義し、
b)前記座標系に関して記録手段を配置し、
c)ラックの基準要素に起因するフィデューシャルマークの位置を決定して、このフィデューシャルマークの位置に基づいて調査中のピースに関しソースおよび記録手段の両方の位置を決定し、
d)記録手段上における棒鋼の投影輪郭を決定し、
e)同一断面上の様々な測定の間に得られた情報を組み合せて、棒鋼の投影輪郭とソースの位置とによって定まった円錐内で棒鋼の位置および直径の3次元マップを作成し、
f)前記座標上でトモグラフィ再構築に対応する結果を提供する
工程が含まれる方法。
【請求項24】
記録手段表面の異なった点に加えられる放射線量を遠隔で連続的にモニターし、照射時間を決定する装置であって、複数の放射線感受性デバイスを記録手段の後方に配置したラックを備える装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2010−509608(P2010−509608A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537147(P2009−537147)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/022868
【国際公開番号】WO2008/060398
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(509135038)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/022868
【国際公開番号】WO2008/060398
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(509135038)
【Fターム(参考)】
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