状態検出装置
【課題】被介護者の異常を早期に発見することができるようにすること。
【解決手段】距離センサ1によって検出対象物14までの距離を検出し、検出した距離と距離センサ1の取り付け高さと距離センサ1の各センサライン0〜4の視野方向の鉛直軸からの傾き角度とから検出対象物14の高さ、幅、位置を算出し、算出結果から被介護者5の存在又は不在を検出し、被介護者5が存在する場合には被介護者5の検出位置から単位時間当たりの移動量を算出し、さらに移動量の所定時間における平均値を被介護者5の活動量として算出し、活動量が異常判定用活動量を下回る場合で且つ活動量低下時間計測タイマ7により計測した活動量低下時間が異常判定時間を上回って継続した場合に被介護者5は活動量が低下した異常状態であると判定する。
【解決手段】距離センサ1によって検出対象物14までの距離を検出し、検出した距離と距離センサ1の取り付け高さと距離センサ1の各センサライン0〜4の視野方向の鉛直軸からの傾き角度とから検出対象物14の高さ、幅、位置を算出し、算出結果から被介護者5の存在又は不在を検出し、被介護者5が存在する場合には被介護者5の検出位置から単位時間当たりの移動量を算出し、さらに移動量の所定時間における平均値を被介護者5の活動量として算出し、活動量が異常判定用活動量を下回る場合で且つ活動量低下時間計測タイマ7により計測した活動量低下時間が異常判定時間を上回って継続した場合に被介護者5は活動量が低下した異常状態であると判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護施設や一般住宅などにおけるトイレ、浴室、居室などにおいて、被介護者の有無や位置を測定して動作状態を検出し、異常が発生して動けなくなるといった状態を検出可能な状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述した被介護者の状態を検出する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。図12は、特許文献1で開示された状態検出装置の概略構成を示すブロック図である。距離センサ100において、一対の結像レンズ110a,110bにて被介護者の像を光センサアレイ120a,120b上に結像する。光センサアレイ120a,120bから出力される光電変換信号である像信号を信号処理部130に入力して像データに変換する。距離検出回路140は、像データから被介護者までの距離データを算出して、マイクロコンピュータ200へ出力する。マイクロコンピュータ200では、算出手段201が距離データに基づいて被介護者の高さを算出し、被介護者状態判定手段202は検出高さに基づいて被介護者が就寝、起床、離床、不在の何れかの状態であるかを判定する。
【特許文献1】特開2002−345766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の状態検出装置においては、被介護者が所定時間継続して動かなくなってから異常状態が発生したと認識しているため、被介護者に異常の兆候が現れた時点で発見するのは困難であった。
【0004】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、被介護者に異常の兆候が現れたか否かを検出でき、被介護者の異常を早期に発見することができる状態検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の状態検出装置は、監視領域の画像を結像する結像レンズと、前記結像レンズの結像面上に配置され複数のラインを形成するように配列された光センサアレイと、前記光センサアレイの出力する像信号から監視領域内に存在する検出対象物までの距離を検出する距離検出手段と、前記距離検出手段で検出された距離データに基づいて前記被介護者の活動量を計算し、該被介護者の活動量が所定量以下に低下したら異常と判断する状態判定手段と、を具備したことを特徴とする。
【0006】
このように構成された状態検出装置によれば、被介護者の活動量が所定量以下に低下したら異常と判断するので、被介護者が所定時間継続して動かなくなってから異常状態が発生したと認識する場合に比べて、被介護者の異常を早期に発見することができる。
【0007】
また本発明は、上記状態検出装置において、前記状態判定手段は、被介護者を検出した場合には、該被介護者の検出位置から単位時間当たりの移動量を算出し、算出した移動量の所定時間における平均値を前記被介護者の活動量として算出することを特徴とする。
【0008】
これにより、被介護者の検出位置から単位時間当たりの移動量を算出し、算出した移動量の所定時間における平均値を前記被介護者の活動量として算出するので、被介護者が全く動かなくなってから所定時間経過するまで待つことなく、活動量が低下した時点で異常状態が発生したと認識することができる。
【0009】
また本発明は、上記状態検出装置において、前記状態判定手段は、前記被介護者の活動量が、予め設定された健康時の活動量を下回る状態かどうかを判定し、健康時の活動量を下回る状態であり、且つ予め設定された異常判定時間を上回って継続した場合に、前記被介護者は活動量が低下した異常状態であると判断することを特徴とする。
【0010】
これにより、予め設定された健康時の活動量を基準にして活動量の低下を判断するので、被介護者の異常の兆候を確実に検知することができる。
【0011】
また本発明は、上記状態検出装置において、前記状態判定手段は、前記距離検出結果から検出対象物の高さ、幅及び位置を算出し、算出された前記検出対象の高さ、幅及び位置に基づいて前記被介護者の存在又は不在を判定し、被介護者が存在する場合に被介護者の活動量を計算することを特徴とする。
【0012】
これにより、被介護者の存在又は不在を判定した上で、被介護者が存在する場合に被介護者の活動量を計算するようにしたので、被介護者が不在の場合に被介護者の活動量を計算する無駄を排除することができ効率的な監視が可能になる。
【0013】
また本発明は、上記状態検出装置において、前記状態判定手段は、検出対象の高さが人体判定用の最小高さと最大高さの範囲内にあり、且つ前記検出対象の幅が人体判定用の最小幅と最大幅の範囲内にある場合には、前記検出対象が被介護者であると判断することを特徴とする。
【0014】
これにより、被介護者のプライバシーを十分に保護した上で、被介護者の状態を高精度に検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被介護者に異常の兆候が現れたか否かを検出でき、被介護者の異常を早期に発見することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る状態検出装置の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施の形態の状態検出装置は、距離センサ1と、状態検出装置本体2とを備えて構成される。距離センサ1は、住宅内のトイレ、浴室、居間などの場所の天井3もしくは壁4に取り付けられ、その場所の被介護者5を検出する。図2は、図1の水平方向A側から眺めた様子を示す図であり、距離センサ1は、床から高さHsの位置で、且つ光軸方向13が水平方向Bに対して取り付け角度θsに相当する角度傾けて取り付けられている。なお、図2では天井の方向は水平方向Bと等しいものとしている。
【0018】
図1において、距離センサ1は5対の光センサアレイを有している。なお、光センサアレイは5対に限定されるものではなく、1対以上であれば良い。各光センサアレイは、センサラインの視野8〜12に示されるそれぞれの領域によって囲まれた部分を測定視野として持つ。距離センサ1は、各センサラインの像信号に基づいて距離データDdを計算する。距離センサ1は状態検出装置本体2に接続されていて、距離センサ1において計算した各センサラインの距離データDdを状態検出装置本体2に入力する。状態検出装置本体2は、状態判定部6と、活動量低下時間計測タイマ7とを備えている。状態判定部6は、距離センサ1からの距離データDdに基づいて室内の被介護者5の状態を検出する機能を備える。状態判定部6の検出原理については後述する。活動量低下時間計測タイマ7は、被介護者の健康時の活動量を下回る状態が所定期間継続したならば異常であると判断するための基準となる時間が設定される。
【0019】
次に、距離センサ1の構成及び距離センサ1における距離データDdの算出方法について説明する。
【0020】
図3は、距離センサ1の概略構成を示すブロック図である。同図において、距離センサ1は、結像レンズ31a,31bと、結像レンズ31a,31bの結像位置に配置された5対の光センサアレイ32a,32bと、光センサアレイ32a,32bの出力信号が入力される信号処理部35と、信号処理部35の出力信号が入力される距離検出回路39とを備えて構成される。
【0021】
結像レンズ31a,31bは、光軸間隔Bで配置されていて光軸13が所定の取付角度となるように設定されている。5対装備した光センサアレイ32a,32bはそれぞれ同様な原理にて動作する。ここでは、最も上側にある光センサアレイの対を例にして距離データDdの算出方法を説明する。
【0022】
最も上側にある光センサアレイの対である光センサアレイ32a,32bは、例えばCCD(Charge Coupled Device)リニアアレイセンサで構成され、それぞれ結像レンズ31a、31bに対して焦点距離fの位置に配置されている。光センサアレイ32a,32bは、結像レンズ31a,31bにより結像された被介護者5を含む検出対象物14の像を像信号S34a、S34bに変換して信号処理部35に入力する。
【0023】
信号処理部35は、増幅器35a,35bと、A/D変換器36a,36bと、記憶部37と、を備えて構成される。光センサアレイ32a,32bからの像信号S34a,S34bは増幅器35a,35bで増幅された後、A/D変換器36a,36bでデジタルデータに変換され、像データD38a,D38bとして記憶部37に入力される。
【0024】
距離検出回路39は、マイクロコンピュータで構成されており、記憶部37に記憶された左右の像データD38a,D38bに基づいて検出対象物14までの距離を算出する。距離検出回路39にて算出された距離データDdとして外部に出力する。距離検出の原理については後述する。残りの4対の光センサアレイからの像信号S34a、S34bも同様に信号処理部35に入力されて、それぞれの距離データDdが同様に求められて外部へ出力される。
【0025】
図4は、距離検出の原理を説明するための図である。各結像レンズ31a,31bの中心を原点Oとして横軸X、縦軸Yを設定し、結像位置L1、R1の座標(aL1,−f)、(aR1,−f)とする。結像レンズ31aの中心点OLの座標は(−B/2,0)、結像レンズ31bの中心点ORの座標は(B/2,0)であり、検出対象物14の点Mの座標を(x,y)とすれば、点MからX軸に下ろした垂線とX軸との交点Nの座標は(x,0)、点OLから光センサアレイ32aに下ろした垂線の位置L0の座標は(−B/2,−f)、点ORから光センサアレイ32bに下ろした垂線の位置R0の座標は(B/2,−f)である。このとき△MOLNと△OLL1L0、△MORNと△ORR1R0はそれぞれ相似であるから、以下に示す数式(1)〜数式(3)となり、結像位置L1,R1のX座標aL1,aR1が分かれば、検出対象物14までの距離Lが算出できる。
【0026】
(X+B/2)f=(−aL1−B/2)y …(1)
(X−B/2)f=(−aR1+B/2)y …(2)
数式(1)及び(2)から
y=B×f/(−aL1+aR1−B) …(3)
【0027】
次に、図5は距離検出回路39の動作を説明するための図である。距離検出回路39は、図5の実線に示すような光センサアレイ32a,32b上の像データ34a,34bを、設定した測定範囲15の部分について比較し、像が一致しなければ、同図の破線のように、例えば光センサアレイ32aについては像データ34aを右に、光センサアレイ32bについては像データD38bを左に順次シフトして比較していき、像データ34a,34bが一致したときのシフト量を検出する。図4に示す結像位置L1,R1のX座標aL1,aR1は、このシフト量に一致するので、距離検出回路39は、シフト量aL1,aR1から対象物14までの距離yを上述した数式(3)にて算出することができる。
【0028】
次に、図6は距離センサ1側から室内を眺めたときの各光センサアレイ32a,32bのセンサラインの視野を表した図である。図3〜図5を用いて説明した距離の算出は、現実には図6に示すように行われる。同図において、光センサアレイ32a,32bそれぞれのライン上に並ぶ光センサの配列順に、光センサアレイ32a,32bの両端領域を除く所定領域の各光センサを中心とする所定の複数個の光センサからなる測定ウィンドウ(単にウィンドウとも略記する)を定め、各測定ウィンドウに対して当該ウィンドウを代表する光センサ(この場合、当該ウィンドウの中心の光センサ)の配列順に対応してウィンドウ番号(以下、ウィンドウNo.と略記する)を付ける。例えば図6で水平に置かれた光センサアレイ32a,32bそれぞれにおいて、左側のウィンドウから右側のウィンドウに向かって順に、0,1,2,…(全ウィンドウ数−1)のようにウィンドウNoを付ける。ここで、測定ウィンドウは、センサライン毎に且つ光センサアレイ32a,32b上に所定の等間隔(WP)に並ぶように定義している。距離検出回路39は、このウィンドウNo毎に、対となる当該ウィンドウ内の検出対象物14の画像相互の相関を求めて上述の原理により距離を算出し、センサライン毎の距離分布データを距離データDdとして出力する。
【0029】
次に、被介護者5の状態の判定原理について説明する。
図7は状態判定部6の動作手順を示すフロー図、図8は距離センサ1を図1において水平方向Aから眺めた図、図9は状態判定部6における被告介護者の存在判定手順を示すフロー図、図10は検出対象物14の幅Wの算出を説明するための図、図11は被介護者の状態判定手順を示すフロー図である。以上の各図を用いて説明する。
【0030】
図7において、まず動作開始後、距離測定を行う(ステップS1)。距離測定は全てのセンサライン、ウィンドウについて行われる。この場合、センサラインがi、ウィンドウがjである測定箇所の距離データDdはd(i,j)で表される。次いで、検出対象物14の高さの計算を行う(ステップS2)。高さの計算は全てのセンサライン、ウィンドウについて行われる。この場合、センサラインがi、ウィンドウがjである測定箇所の高さhはh(i,j)で表される。検出対象物14の高さは数式(4)に基づいて計算される。
【0031】
h(i,j)=Hs−d(i,j)×cosθi …(4)
ここで、Hs:取付高さ、θi:鉛直方向を基準としたときのセンサラインNo.iの視野方向角度
θiは図8をもとに数式(5)より計算される。
【0032】
θi=90°−{tan−1(mi/f)+θs} …(5)
ここで、θs:取付角度
ここで、図8において、miはセンサラインNo.iの光軸13からの距離である。mjの符号は上向きが正、下向きが負である。距離センサ1を取り付けている天井3の方向は鉛直方向と直交するものと考えて上記計算を行う。
【0033】
図7に戻り、検出対象物14の高さの計算を行った後、被介護者5の存在判定を行う(ステップS3)。ここで、被介護者5の存在判定は、図9のフロー図のステップS8からステップS15の動作手順で行われ、全てのセンサライン、ウィンドウについて行われる。同図において、まずステップS8で検出対象物14の検出高さの判定を行う。検出高さが人体判定最小高さ<h<人体判定最大高さであればステップS9に進む。そうでなければステップS13に進み、被介護者5は不在であると判断して被介護者5の存在判定処理を終了する。ステップS9に進んだ場合は、人体判定高さの範囲内の検出高さを持つ全てのウィンドウについて、最小ウィンドウWqminと最大ウィンドウWqmaxの検出を行う。次いで、検出対象物14の幅Wを算出する(ステップS10)。検出対象物14の幅Wは、図10をもとに数式(6)により算出する。
【0034】
w=d(i,Wqmax)×sin(tan−1(nWqmax/f))
−d(i,Wqmin)×sin(tan−1(nWqmin/f)) …(6)
【0035】
図10において、nWqmaxはウィンドウWqmaxの光軸からの距離であり、nWqminはウィンドウWqminの光軸からの距離である。nWqmax,nWqminの符号は光軸を中心として左向きが正、右向きが負である。
【0036】
検出対象物14の幅Wを計算した後に、該幅Wが人体判定用最小幅<W<人体判定用最大幅であるかどうか判定し(ステップS11)、幅Wが上記範囲内にあればステップS12に進む。そうでなければステップS13に進み、被介護者5は不在であると判定して被介護者5の存在判定処理を終了してステップS4に進む。
【0037】
ステップS12に進んだ場合は、被介護者5が存在すると判定し(ステップS12)、検出対象物14の検出高さが最大となるウィンドウWmaxとラインLmaxを検出する(ステップS14)。次いで、検出対象物14の位置を算出する(ステップS15)。ここでは、検出対象物14の最大高さの位置を検出対象物14の位置であるとする。検出対象物14の位置は数式(7)に基づいて算出する。
【0038】
Xw=d(Lmax,Wmax)×sinθlmax
Xl=d(Lmax,Wmax)×sin(tan−1(nwmax/f) …(7)
ここで、Xw:ウィンドウ方向の位置
Xl:ライン方向の位置
nwmax:ウィンドウWmaxと光軸位置のウィンドウとの距離
θlmax:数式(5)に基づいて計算されるセンサラインLmaxの視野方向角度
【0039】
検出対象物14の位置を算出した後、被介護者5の存在判定処理を終了してステップS4に進む。ステップS4では状態判定を行う。状態判定は図11のフロー図のステップS16からステップS26の動作手順で行われる。同図において、ステップS16では被介護者5が存在するかどうか判定し、存在している場合はステップS18に進む。そうでない場合はステップS17に進み、活動低下時間計測タイマ7が起動している場合には該タイマ7を停止した後、状態判定処理を終了してステップS5に進む。ステップS18に進んだ場合は被介護者5の単位時間あたりの移動量Mを数式(8)に基づいて算出する。
【0040】
M={(Xw−Xw0)2−(Xl−Xl0)2}1/2/T …(8)
ここで、Xw:前回のウインドウ方向の検出位置
Xl0:前回のライン方向の検出位置
T:測定周期
【0041】
移動量Mを算出した後は被介護者5の活動量Pを算出する(ステップS19)。活動量Pは移動量の時間平均値であり、数式(9)に基づいて算出される。
【0042】
P=(M1+M2+・・・+MN)/N …(9)
ここで、Mt:移動量の時系列データ
N:平均回数
【0043】
活動量Pを算出した後は、活動量Pが異常判定用活動量より小さいかどうか判定する(ステップS20)。異常判定用活動量は任意に設定可能であり、被介護者5の健康時の活動量を基準にして設定することが望ましい。活動量Pが異常判定用活動量より小さい場合はステップS23に進む。そうでない場合はステップS21に進み、被介護者5は正常状態であると判定する(ステップS21)。そして、活動量低下時間計測タイマ7が起動している場合には該タイマ7を停止し(ステップS22)、その後、異常状態判定処理を終了してステップS5に進む。
【0044】
一方、ステップS23に進んだ場合は、活動量低下時間計測タイマ7が起動済みであるかどうか判定し(ステップS23)、該タイマ7が起動していない場合はステップS24に進み、活動量低下時間計測タイマ7を起動し(ステップS24)、その後、状態判定処理を終了してステップS5に進む。ステップS23で活動量低下時間計測タイマ7が起動済みである場合は、活動量低下時間が異常判定時間を上回るかどうか判定し(ステップS25)、そうでない場合には異常状態判定処理を終了してステップS5に進む。そうである場合は、被介護者5は活動量低下異常状態であると判定し(ステップS26)、異常状態判定処理を終了してステップS5に進む。ステップS5では待機時間を設定し、ステップS6で一定時間待機し、該待機後、ステップS1に戻る。以降この動作を繰り返すことにより、被介護者5の異常の兆候である活動量の低下を検出する。
【0045】
このように本実施の形態の状態検出装置によれば、距離センサ1によって検出対象物14までの距離を検出し、検出した距離と、距離センサ1の取り付け高さと、距離センサ1の各センサライン0〜4の視野方向の鉛直軸からの傾き角度とから検出対象物14の高さ、幅、位置を算出し、算出した高さと幅から被介護者5の存在又は不在を検出し、被介護者5が存在する場合には、被介護者5の検出位置から単位時間当たりの移動量を算出し、さらに算出した移動量の所定時間における平均値を被介護者5の活動量として算出し、算出した活動量が異常判定用活動量を下回る場合で且つ活動量低下時間計測タイマ7により計測した活動量低下時間が異常判定時間を上回って継続した場合には、被介護者5は活動量が低下した異常状態であると判定する。これにより、被介護者5が異常状態になったことを早期に発見することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の状態検出装置は、介護施設や一般住宅などにおけるトイレ、浴室、居室などにおいて、人の有無や位置を測定して動作状態を検出する用途に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態に係る状態検出装置の概略構成を示すブロック図
【図2】図1の水平方向A側から眺めた様子を示す図
【図3】一実施の形態に係る状態検出装置の距離センサの概略構成を示すブロック図
【図4】一実施の形態に係る状態検出装置の距離センサにおける距離検出の原理を説明するための図
【図5】一実施の形態に係る状態検出装置の距離検出回路の動作を説明するための図
【図6】図1における距離センサ側から室内を眺めたときの各光センサアレイのセンサラインの視野を表した図
【図7】一実施の形態に係る状態検出装置の状態判定部の動作手順を示すフロー図
【図8】図1において距離センサ1を水平方向Aから眺めた図
【図9】一実施の形態に係る状態検出装置の状態判定部における被告介護者の存在判定手順を示すフロー図
【図10】一実施の形態に係る状態検出装置の状態判定部における検出対象物の幅の算出を説明するための図
【図11】一実施の形態に係る状態検出装置の状態判定部における被介護者の状態判定手順を示すフロー図
【図12】従来の状態検出装置の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0048】
1 距離センサ
2 状態判定装置本体
3 天井
4 壁
5 被介護者
6 状態判定部
7 活動量低下時間計測タイマ
8 センサライン0の視野
9 センサライン1の視野
10 センサライン2の視野
11 センサライン3の視野
12 センサライン4の視野
13 光軸方向
14 検出対象物
15 測距範囲
31a、31b 結像レンズ
32a、32b 光センサアレイ
35 信号処理部
35a、35b 増幅器
36a、36b A/D変換器
37 記憶部
39 距離検出回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護施設や一般住宅などにおけるトイレ、浴室、居室などにおいて、被介護者の有無や位置を測定して動作状態を検出し、異常が発生して動けなくなるといった状態を検出可能な状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述した被介護者の状態を検出する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。図12は、特許文献1で開示された状態検出装置の概略構成を示すブロック図である。距離センサ100において、一対の結像レンズ110a,110bにて被介護者の像を光センサアレイ120a,120b上に結像する。光センサアレイ120a,120bから出力される光電変換信号である像信号を信号処理部130に入力して像データに変換する。距離検出回路140は、像データから被介護者までの距離データを算出して、マイクロコンピュータ200へ出力する。マイクロコンピュータ200では、算出手段201が距離データに基づいて被介護者の高さを算出し、被介護者状態判定手段202は検出高さに基づいて被介護者が就寝、起床、離床、不在の何れかの状態であるかを判定する。
【特許文献1】特開2002−345766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の状態検出装置においては、被介護者が所定時間継続して動かなくなってから異常状態が発生したと認識しているため、被介護者に異常の兆候が現れた時点で発見するのは困難であった。
【0004】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、被介護者に異常の兆候が現れたか否かを検出でき、被介護者の異常を早期に発見することができる状態検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の状態検出装置は、監視領域の画像を結像する結像レンズと、前記結像レンズの結像面上に配置され複数のラインを形成するように配列された光センサアレイと、前記光センサアレイの出力する像信号から監視領域内に存在する検出対象物までの距離を検出する距離検出手段と、前記距離検出手段で検出された距離データに基づいて前記被介護者の活動量を計算し、該被介護者の活動量が所定量以下に低下したら異常と判断する状態判定手段と、を具備したことを特徴とする。
【0006】
このように構成された状態検出装置によれば、被介護者の活動量が所定量以下に低下したら異常と判断するので、被介護者が所定時間継続して動かなくなってから異常状態が発生したと認識する場合に比べて、被介護者の異常を早期に発見することができる。
【0007】
また本発明は、上記状態検出装置において、前記状態判定手段は、被介護者を検出した場合には、該被介護者の検出位置から単位時間当たりの移動量を算出し、算出した移動量の所定時間における平均値を前記被介護者の活動量として算出することを特徴とする。
【0008】
これにより、被介護者の検出位置から単位時間当たりの移動量を算出し、算出した移動量の所定時間における平均値を前記被介護者の活動量として算出するので、被介護者が全く動かなくなってから所定時間経過するまで待つことなく、活動量が低下した時点で異常状態が発生したと認識することができる。
【0009】
また本発明は、上記状態検出装置において、前記状態判定手段は、前記被介護者の活動量が、予め設定された健康時の活動量を下回る状態かどうかを判定し、健康時の活動量を下回る状態であり、且つ予め設定された異常判定時間を上回って継続した場合に、前記被介護者は活動量が低下した異常状態であると判断することを特徴とする。
【0010】
これにより、予め設定された健康時の活動量を基準にして活動量の低下を判断するので、被介護者の異常の兆候を確実に検知することができる。
【0011】
また本発明は、上記状態検出装置において、前記状態判定手段は、前記距離検出結果から検出対象物の高さ、幅及び位置を算出し、算出された前記検出対象の高さ、幅及び位置に基づいて前記被介護者の存在又は不在を判定し、被介護者が存在する場合に被介護者の活動量を計算することを特徴とする。
【0012】
これにより、被介護者の存在又は不在を判定した上で、被介護者が存在する場合に被介護者の活動量を計算するようにしたので、被介護者が不在の場合に被介護者の活動量を計算する無駄を排除することができ効率的な監視が可能になる。
【0013】
また本発明は、上記状態検出装置において、前記状態判定手段は、検出対象の高さが人体判定用の最小高さと最大高さの範囲内にあり、且つ前記検出対象の幅が人体判定用の最小幅と最大幅の範囲内にある場合には、前記検出対象が被介護者であると判断することを特徴とする。
【0014】
これにより、被介護者のプライバシーを十分に保護した上で、被介護者の状態を高精度に検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被介護者に異常の兆候が現れたか否かを検出でき、被介護者の異常を早期に発見することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る状態検出装置の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施の形態の状態検出装置は、距離センサ1と、状態検出装置本体2とを備えて構成される。距離センサ1は、住宅内のトイレ、浴室、居間などの場所の天井3もしくは壁4に取り付けられ、その場所の被介護者5を検出する。図2は、図1の水平方向A側から眺めた様子を示す図であり、距離センサ1は、床から高さHsの位置で、且つ光軸方向13が水平方向Bに対して取り付け角度θsに相当する角度傾けて取り付けられている。なお、図2では天井の方向は水平方向Bと等しいものとしている。
【0018】
図1において、距離センサ1は5対の光センサアレイを有している。なお、光センサアレイは5対に限定されるものではなく、1対以上であれば良い。各光センサアレイは、センサラインの視野8〜12に示されるそれぞれの領域によって囲まれた部分を測定視野として持つ。距離センサ1は、各センサラインの像信号に基づいて距離データDdを計算する。距離センサ1は状態検出装置本体2に接続されていて、距離センサ1において計算した各センサラインの距離データDdを状態検出装置本体2に入力する。状態検出装置本体2は、状態判定部6と、活動量低下時間計測タイマ7とを備えている。状態判定部6は、距離センサ1からの距離データDdに基づいて室内の被介護者5の状態を検出する機能を備える。状態判定部6の検出原理については後述する。活動量低下時間計測タイマ7は、被介護者の健康時の活動量を下回る状態が所定期間継続したならば異常であると判断するための基準となる時間が設定される。
【0019】
次に、距離センサ1の構成及び距離センサ1における距離データDdの算出方法について説明する。
【0020】
図3は、距離センサ1の概略構成を示すブロック図である。同図において、距離センサ1は、結像レンズ31a,31bと、結像レンズ31a,31bの結像位置に配置された5対の光センサアレイ32a,32bと、光センサアレイ32a,32bの出力信号が入力される信号処理部35と、信号処理部35の出力信号が入力される距離検出回路39とを備えて構成される。
【0021】
結像レンズ31a,31bは、光軸間隔Bで配置されていて光軸13が所定の取付角度となるように設定されている。5対装備した光センサアレイ32a,32bはそれぞれ同様な原理にて動作する。ここでは、最も上側にある光センサアレイの対を例にして距離データDdの算出方法を説明する。
【0022】
最も上側にある光センサアレイの対である光センサアレイ32a,32bは、例えばCCD(Charge Coupled Device)リニアアレイセンサで構成され、それぞれ結像レンズ31a、31bに対して焦点距離fの位置に配置されている。光センサアレイ32a,32bは、結像レンズ31a,31bにより結像された被介護者5を含む検出対象物14の像を像信号S34a、S34bに変換して信号処理部35に入力する。
【0023】
信号処理部35は、増幅器35a,35bと、A/D変換器36a,36bと、記憶部37と、を備えて構成される。光センサアレイ32a,32bからの像信号S34a,S34bは増幅器35a,35bで増幅された後、A/D変換器36a,36bでデジタルデータに変換され、像データD38a,D38bとして記憶部37に入力される。
【0024】
距離検出回路39は、マイクロコンピュータで構成されており、記憶部37に記憶された左右の像データD38a,D38bに基づいて検出対象物14までの距離を算出する。距離検出回路39にて算出された距離データDdとして外部に出力する。距離検出の原理については後述する。残りの4対の光センサアレイからの像信号S34a、S34bも同様に信号処理部35に入力されて、それぞれの距離データDdが同様に求められて外部へ出力される。
【0025】
図4は、距離検出の原理を説明するための図である。各結像レンズ31a,31bの中心を原点Oとして横軸X、縦軸Yを設定し、結像位置L1、R1の座標(aL1,−f)、(aR1,−f)とする。結像レンズ31aの中心点OLの座標は(−B/2,0)、結像レンズ31bの中心点ORの座標は(B/2,0)であり、検出対象物14の点Mの座標を(x,y)とすれば、点MからX軸に下ろした垂線とX軸との交点Nの座標は(x,0)、点OLから光センサアレイ32aに下ろした垂線の位置L0の座標は(−B/2,−f)、点ORから光センサアレイ32bに下ろした垂線の位置R0の座標は(B/2,−f)である。このとき△MOLNと△OLL1L0、△MORNと△ORR1R0はそれぞれ相似であるから、以下に示す数式(1)〜数式(3)となり、結像位置L1,R1のX座標aL1,aR1が分かれば、検出対象物14までの距離Lが算出できる。
【0026】
(X+B/2)f=(−aL1−B/2)y …(1)
(X−B/2)f=(−aR1+B/2)y …(2)
数式(1)及び(2)から
y=B×f/(−aL1+aR1−B) …(3)
【0027】
次に、図5は距離検出回路39の動作を説明するための図である。距離検出回路39は、図5の実線に示すような光センサアレイ32a,32b上の像データ34a,34bを、設定した測定範囲15の部分について比較し、像が一致しなければ、同図の破線のように、例えば光センサアレイ32aについては像データ34aを右に、光センサアレイ32bについては像データD38bを左に順次シフトして比較していき、像データ34a,34bが一致したときのシフト量を検出する。図4に示す結像位置L1,R1のX座標aL1,aR1は、このシフト量に一致するので、距離検出回路39は、シフト量aL1,aR1から対象物14までの距離yを上述した数式(3)にて算出することができる。
【0028】
次に、図6は距離センサ1側から室内を眺めたときの各光センサアレイ32a,32bのセンサラインの視野を表した図である。図3〜図5を用いて説明した距離の算出は、現実には図6に示すように行われる。同図において、光センサアレイ32a,32bそれぞれのライン上に並ぶ光センサの配列順に、光センサアレイ32a,32bの両端領域を除く所定領域の各光センサを中心とする所定の複数個の光センサからなる測定ウィンドウ(単にウィンドウとも略記する)を定め、各測定ウィンドウに対して当該ウィンドウを代表する光センサ(この場合、当該ウィンドウの中心の光センサ)の配列順に対応してウィンドウ番号(以下、ウィンドウNo.と略記する)を付ける。例えば図6で水平に置かれた光センサアレイ32a,32bそれぞれにおいて、左側のウィンドウから右側のウィンドウに向かって順に、0,1,2,…(全ウィンドウ数−1)のようにウィンドウNoを付ける。ここで、測定ウィンドウは、センサライン毎に且つ光センサアレイ32a,32b上に所定の等間隔(WP)に並ぶように定義している。距離検出回路39は、このウィンドウNo毎に、対となる当該ウィンドウ内の検出対象物14の画像相互の相関を求めて上述の原理により距離を算出し、センサライン毎の距離分布データを距離データDdとして出力する。
【0029】
次に、被介護者5の状態の判定原理について説明する。
図7は状態判定部6の動作手順を示すフロー図、図8は距離センサ1を図1において水平方向Aから眺めた図、図9は状態判定部6における被告介護者の存在判定手順を示すフロー図、図10は検出対象物14の幅Wの算出を説明するための図、図11は被介護者の状態判定手順を示すフロー図である。以上の各図を用いて説明する。
【0030】
図7において、まず動作開始後、距離測定を行う(ステップS1)。距離測定は全てのセンサライン、ウィンドウについて行われる。この場合、センサラインがi、ウィンドウがjである測定箇所の距離データDdはd(i,j)で表される。次いで、検出対象物14の高さの計算を行う(ステップS2)。高さの計算は全てのセンサライン、ウィンドウについて行われる。この場合、センサラインがi、ウィンドウがjである測定箇所の高さhはh(i,j)で表される。検出対象物14の高さは数式(4)に基づいて計算される。
【0031】
h(i,j)=Hs−d(i,j)×cosθi …(4)
ここで、Hs:取付高さ、θi:鉛直方向を基準としたときのセンサラインNo.iの視野方向角度
θiは図8をもとに数式(5)より計算される。
【0032】
θi=90°−{tan−1(mi/f)+θs} …(5)
ここで、θs:取付角度
ここで、図8において、miはセンサラインNo.iの光軸13からの距離である。mjの符号は上向きが正、下向きが負である。距離センサ1を取り付けている天井3の方向は鉛直方向と直交するものと考えて上記計算を行う。
【0033】
図7に戻り、検出対象物14の高さの計算を行った後、被介護者5の存在判定を行う(ステップS3)。ここで、被介護者5の存在判定は、図9のフロー図のステップS8からステップS15の動作手順で行われ、全てのセンサライン、ウィンドウについて行われる。同図において、まずステップS8で検出対象物14の検出高さの判定を行う。検出高さが人体判定最小高さ<h<人体判定最大高さであればステップS9に進む。そうでなければステップS13に進み、被介護者5は不在であると判断して被介護者5の存在判定処理を終了する。ステップS9に進んだ場合は、人体判定高さの範囲内の検出高さを持つ全てのウィンドウについて、最小ウィンドウWqminと最大ウィンドウWqmaxの検出を行う。次いで、検出対象物14の幅Wを算出する(ステップS10)。検出対象物14の幅Wは、図10をもとに数式(6)により算出する。
【0034】
w=d(i,Wqmax)×sin(tan−1(nWqmax/f))
−d(i,Wqmin)×sin(tan−1(nWqmin/f)) …(6)
【0035】
図10において、nWqmaxはウィンドウWqmaxの光軸からの距離であり、nWqminはウィンドウWqminの光軸からの距離である。nWqmax,nWqminの符号は光軸を中心として左向きが正、右向きが負である。
【0036】
検出対象物14の幅Wを計算した後に、該幅Wが人体判定用最小幅<W<人体判定用最大幅であるかどうか判定し(ステップS11)、幅Wが上記範囲内にあればステップS12に進む。そうでなければステップS13に進み、被介護者5は不在であると判定して被介護者5の存在判定処理を終了してステップS4に進む。
【0037】
ステップS12に進んだ場合は、被介護者5が存在すると判定し(ステップS12)、検出対象物14の検出高さが最大となるウィンドウWmaxとラインLmaxを検出する(ステップS14)。次いで、検出対象物14の位置を算出する(ステップS15)。ここでは、検出対象物14の最大高さの位置を検出対象物14の位置であるとする。検出対象物14の位置は数式(7)に基づいて算出する。
【0038】
Xw=d(Lmax,Wmax)×sinθlmax
Xl=d(Lmax,Wmax)×sin(tan−1(nwmax/f) …(7)
ここで、Xw:ウィンドウ方向の位置
Xl:ライン方向の位置
nwmax:ウィンドウWmaxと光軸位置のウィンドウとの距離
θlmax:数式(5)に基づいて計算されるセンサラインLmaxの視野方向角度
【0039】
検出対象物14の位置を算出した後、被介護者5の存在判定処理を終了してステップS4に進む。ステップS4では状態判定を行う。状態判定は図11のフロー図のステップS16からステップS26の動作手順で行われる。同図において、ステップS16では被介護者5が存在するかどうか判定し、存在している場合はステップS18に進む。そうでない場合はステップS17に進み、活動低下時間計測タイマ7が起動している場合には該タイマ7を停止した後、状態判定処理を終了してステップS5に進む。ステップS18に進んだ場合は被介護者5の単位時間あたりの移動量Mを数式(8)に基づいて算出する。
【0040】
M={(Xw−Xw0)2−(Xl−Xl0)2}1/2/T …(8)
ここで、Xw:前回のウインドウ方向の検出位置
Xl0:前回のライン方向の検出位置
T:測定周期
【0041】
移動量Mを算出した後は被介護者5の活動量Pを算出する(ステップS19)。活動量Pは移動量の時間平均値であり、数式(9)に基づいて算出される。
【0042】
P=(M1+M2+・・・+MN)/N …(9)
ここで、Mt:移動量の時系列データ
N:平均回数
【0043】
活動量Pを算出した後は、活動量Pが異常判定用活動量より小さいかどうか判定する(ステップS20)。異常判定用活動量は任意に設定可能であり、被介護者5の健康時の活動量を基準にして設定することが望ましい。活動量Pが異常判定用活動量より小さい場合はステップS23に進む。そうでない場合はステップS21に進み、被介護者5は正常状態であると判定する(ステップS21)。そして、活動量低下時間計測タイマ7が起動している場合には該タイマ7を停止し(ステップS22)、その後、異常状態判定処理を終了してステップS5に進む。
【0044】
一方、ステップS23に進んだ場合は、活動量低下時間計測タイマ7が起動済みであるかどうか判定し(ステップS23)、該タイマ7が起動していない場合はステップS24に進み、活動量低下時間計測タイマ7を起動し(ステップS24)、その後、状態判定処理を終了してステップS5に進む。ステップS23で活動量低下時間計測タイマ7が起動済みである場合は、活動量低下時間が異常判定時間を上回るかどうか判定し(ステップS25)、そうでない場合には異常状態判定処理を終了してステップS5に進む。そうである場合は、被介護者5は活動量低下異常状態であると判定し(ステップS26)、異常状態判定処理を終了してステップS5に進む。ステップS5では待機時間を設定し、ステップS6で一定時間待機し、該待機後、ステップS1に戻る。以降この動作を繰り返すことにより、被介護者5の異常の兆候である活動量の低下を検出する。
【0045】
このように本実施の形態の状態検出装置によれば、距離センサ1によって検出対象物14までの距離を検出し、検出した距離と、距離センサ1の取り付け高さと、距離センサ1の各センサライン0〜4の視野方向の鉛直軸からの傾き角度とから検出対象物14の高さ、幅、位置を算出し、算出した高さと幅から被介護者5の存在又は不在を検出し、被介護者5が存在する場合には、被介護者5の検出位置から単位時間当たりの移動量を算出し、さらに算出した移動量の所定時間における平均値を被介護者5の活動量として算出し、算出した活動量が異常判定用活動量を下回る場合で且つ活動量低下時間計測タイマ7により計測した活動量低下時間が異常判定時間を上回って継続した場合には、被介護者5は活動量が低下した異常状態であると判定する。これにより、被介護者5が異常状態になったことを早期に発見することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の状態検出装置は、介護施設や一般住宅などにおけるトイレ、浴室、居室などにおいて、人の有無や位置を測定して動作状態を検出する用途に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態に係る状態検出装置の概略構成を示すブロック図
【図2】図1の水平方向A側から眺めた様子を示す図
【図3】一実施の形態に係る状態検出装置の距離センサの概略構成を示すブロック図
【図4】一実施の形態に係る状態検出装置の距離センサにおける距離検出の原理を説明するための図
【図5】一実施の形態に係る状態検出装置の距離検出回路の動作を説明するための図
【図6】図1における距離センサ側から室内を眺めたときの各光センサアレイのセンサラインの視野を表した図
【図7】一実施の形態に係る状態検出装置の状態判定部の動作手順を示すフロー図
【図8】図1において距離センサ1を水平方向Aから眺めた図
【図9】一実施の形態に係る状態検出装置の状態判定部における被告介護者の存在判定手順を示すフロー図
【図10】一実施の形態に係る状態検出装置の状態判定部における検出対象物の幅の算出を説明するための図
【図11】一実施の形態に係る状態検出装置の状態判定部における被介護者の状態判定手順を示すフロー図
【図12】従来の状態検出装置の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0048】
1 距離センサ
2 状態判定装置本体
3 天井
4 壁
5 被介護者
6 状態判定部
7 活動量低下時間計測タイマ
8 センサライン0の視野
9 センサライン1の視野
10 センサライン2の視野
11 センサライン3の視野
12 センサライン4の視野
13 光軸方向
14 検出対象物
15 測距範囲
31a、31b 結像レンズ
32a、32b 光センサアレイ
35 信号処理部
35a、35b 増幅器
36a、36b A/D変換器
37 記憶部
39 距離検出回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域の画像を結像する結像レンズと、
前記結像レンズの結像面上に配置され複数のラインを形成するように配列された光センサアレイと、
前記光センサアレイの出力する像信号から監視領域内に存在する検出対象物までの距離を検出する距離検出手段と、
前記距離検出手段で検出された距離データに基づいて被介護者の活動量を計算し、該被介護者の活動量が所定量以下に低下したら異常と判断する状態判定手段と、
を具備したことを特徴とする状態検出装置。
【請求項2】
前記状態判定手段は、被介護者を検出した場合には、該被介護者の検出位置から単位時間当たりの移動量を算出し、算出した移動量の所定時間における平均値を前記被介護者の活動量として算出することを特徴とする請求項1記載の状態検出装置。
【請求項3】
前記状態判定手段は、前記被介護者の活動量が、予め設定された健康時の活動量を下回る状態かどうかを判定し、健康時の活動量を下回る状態であり、且つ予め設定された異常判定時間を上回って継続した場合に、前記被介護者は活動量が低下した異常状態であると判断することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の状態検出装置。
【請求項4】
前記状態判定手段は、前記距離検出結果から検出対象物の高さ、幅及び位置を算出し、算出された前記検出対象の高さ、幅及び位置に基づいて前記被介護者の存在又は不在を判定し、被介護者が存在する場合に被介護者の活動量を計算することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の状態検出装置。
【請求項5】
前記状態判定手段は、検出対象の高さが人体判定用の最小高さと最大高さの範囲内にあり、且つ前記検出対象の幅が人体判定用の最小幅と最大幅の範囲内にある場合には、前記検出対象が被介護者であると判断することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の状態検出装置。
【請求項1】
監視領域の画像を結像する結像レンズと、
前記結像レンズの結像面上に配置され複数のラインを形成するように配列された光センサアレイと、
前記光センサアレイの出力する像信号から監視領域内に存在する検出対象物までの距離を検出する距離検出手段と、
前記距離検出手段で検出された距離データに基づいて被介護者の活動量を計算し、該被介護者の活動量が所定量以下に低下したら異常と判断する状態判定手段と、
を具備したことを特徴とする状態検出装置。
【請求項2】
前記状態判定手段は、被介護者を検出した場合には、該被介護者の検出位置から単位時間当たりの移動量を算出し、算出した移動量の所定時間における平均値を前記被介護者の活動量として算出することを特徴とする請求項1記載の状態検出装置。
【請求項3】
前記状態判定手段は、前記被介護者の活動量が、予め設定された健康時の活動量を下回る状態かどうかを判定し、健康時の活動量を下回る状態であり、且つ予め設定された異常判定時間を上回って継続した場合に、前記被介護者は活動量が低下した異常状態であると判断することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の状態検出装置。
【請求項4】
前記状態判定手段は、前記距離検出結果から検出対象物の高さ、幅及び位置を算出し、算出された前記検出対象の高さ、幅及び位置に基づいて前記被介護者の存在又は不在を判定し、被介護者が存在する場合に被介護者の活動量を計算することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の状態検出装置。
【請求項5】
前記状態判定手段は、検出対象の高さが人体判定用の最小高さと最大高さの範囲内にあり、且つ前記検出対象の幅が人体判定用の最小幅と最大幅の範囲内にある場合には、前記検出対象が被介護者であると判断することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の状態検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−181517(P2007−181517A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273(P2006−273)
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
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