説明

状態表示装置

【課題】 グループ通話に参加していない端末に対して、グループ通話の参加を促進することができる状態表示装置を提供する。
【解決手段】 構内無線システムにおける各端末の状態を表示する状態表示装置であり、構内無線システムの構内交換機から各端末の呼制御信号を取得する取得部6と、取得部が取得した呼制御信号に基づいて各端末がグループ通話に参加しているか参加していないかの状態表示をするための信号を生成する生成部19と、グループ通話に参加していない端末に対する指示信号を外部から受けてグループ通話に参加していない端末に対してグループ通話への参加を促す信号を生成して発信する発信部5,12をもつ状態表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PHS(Personal Handy-Phone System)等の無線通信端末のための状態表示装置に関するもので、特に、グループ通話の参加促進処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信システムのネットワーク内の信号状況をモニタリングする装置が知られており、利用されてきている。すなわち、通信システムのネットワーク内の各端末が現在どのような状態で他の端末と通信を行っているかをモニタしたいという要望があり、これに応じる表示装置が多く知られている。
【0003】
特許文献1は、携帯機から異常通報が行われた際に、端末器の位置を地図上に表示する状態表示装置を開示している。また、登録された携帯機等に対してグループ通話(会議通話)を設定する処理を行う回線制御機能をもった構内交換機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−074564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は、グループ通話時にグループ登録された端末の位置と状態を地図画面上で把握することはできない。また、状態表示装置の地図画面上から特定端末にグループ通話参加を促す通知を行なうことも示されていない。
本発明は、グループ通話に参加していない端末に対してグループ通話の参加を促進することができる状態表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決する一実施形態は、
構内無線システムにおける各端末の状態を表示する状態表示装置であって、
前記構内無線システムの構内交換機から前記各端末の呼制御信号を取得する取得部(6)と、
前記取得部が取得した呼制御信号に基づいて、前記各端末がグループ通話に参加しているか参加していないかの状態表示をするための信号を生成する生成部(19)と、
前記グループ通話に参加していない端末に対する指示信号を外部から受けて、前記グループ通話に参加していない端末に対して前記グループ通話への参加を促す信号を生成して発信する発信部(5,12)と、を具備することを特徴とする状態表示装置である。
【発明の効果】
【0007】
状態表示装置の画面上で、複数の各端末がグループ通話に参加しているか否かを認識でき、グループ通話に参加していない画面上の端末に対して操作することで、その端末に対してグループ通話への参加を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの一例を示すブロック図。
【図2】同じく状態表示装置の構成の一例を示すブロック図。
【図3】同じく状態表示装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図。
【図4】同じく状態表示装置の、開催型グループ管理テーブルに基づく開催型グループ一覧画面の一例を示す説明図。
【図5】同じく、参加型グループ管理テーブルに基づく参加型グループ一覧画面の一例を示す説明図。
【図6】同じく、地図ファイルに基づく地図画面の一例を示す説明図。
【図7】同じく、開催型グループ会議の地図表示の一例を示すフローチャート。
【図8】同じく、参加型グループ会議の地図表示の一例を示すフローチャート。
【図9】同じく、グループ会議不参加者への会議を促すために通知するためのダイヤル自動発信プログラムのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの一例を示すブロック図、図2は、同じく状態表示装置の構成の一例を示すブロック図、図3は、同じく状態表示装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。本発明に係る状態表示装置1は、図1に示すように、構内交換機2に接続されるものである。
【0010】
(構内交換機)
ここで、構内交換機2は、図1に示すように、開催型グループ会議、参加型グループ会議の不参加者に会議参入の自動通知を行うためのCOT(Central Office Trunk)5と、制御部11と、制御部11に接続される会議トランク10と、制御部11に接続される回線インタフェース部9と、回線インタフェース部9に接続される複数の基地局3−1、3−2、…3−nを有している。複数の基地局3−1、3−2、…3−nは、PHS等の通信端末4−1、4−2、…4−nと通信を行う。状態表示装置1とCOT5とは、一例として、専用線で接続されている。
【0011】
制御部11は、マイクロプロセッサ、およびその周辺回路、メモリで構成され、交換制御部7と入出力制御部8とを含んでおり、会議トランク10、回線インタフェース部9を制御するプログラムが動作する。また制御部11のメモリには、どのような種類のインタフェース回線がどのスロットに何回線あるかなどの構成情報(工注情報)をもっている。制御部11のプログラムはこの工注情報を参照しながら、各回線インタフェース部9を制御する。制御部11は、通信端末4の位置情報、呼の接続状態を管理する内部テーブル等を有しており、位置情報管理、呼接続制御を行っている。
【0012】
会議トランク10は、複数のタイムスロットの音声データ(PCM符号のデータ)を合成し、1つの出力ハイウエイのタイムスロットに複数のハイウエイタイムスロットの音声を合成して出力し、会議通話状態を作る。
回線インタフェース部9は、複数の基地局3と制御部11を接続するためのインタフェース回路である。回線インタフェース部9は、制御信号とハイウエイが接続されており、基地局3との間の制御信号は、発信、着信、など公知技術(PHS標準規格 STD−28)の呼制御信号を伝える。
【0013】
通信端末4は、一例として、PHSであり、テンキー、オフフックキー、オンフックキー等を有し、ダイヤル発信、着信ができるものである。さらに、PHSに付加する高機能として、ワンタッチ(任意のダイヤルを登録可能)のボタンを設け、緊急時の連絡のときに、ワンタッチ操作で、ダイヤル発信する機能を有する。
【0014】
交換制御部7は、入出力制御部から送られる呼制御信号に基づき、会議トランク10等の接続制御を行なう。入出力制御部8は、回線インタフェース部との制御信号の入出力を行い、タイムスイッチ接続、会議トランク接続に必要な情報を交換制御部7でやりとりする。この構成で、交換制御部7と入出力制御部8の間のLANには、呼の接続を制御するための全ての信号が送受信される。
【0015】
状態表示装置1は、図2に示すように、全体の動作を制御しPHS構内交換機のキャプチャ信号を解析し通話状態を管理するため制御部12と、制御部12に接続されPHS構内交換機の送受信信号のキャプチャを行なうためのLANアダプタ14と、同様に制御部12に接続され外部と通信を行うためのモデム15と、制御部12に接続されマイク18等から音声データを取り込む音声ボード16と、キーボードやマウス等の操作部17と、制御部12に接続されPHS構内交換機の通話状態および地図情報、キャパチャデータを格納するためのメモリ13と、後述するようにPHS等の通信端末4の接続状態等を画面表示するための画像情報を生成する画像生成部19と、後述する通信端末4の通話状態を画面表示するための液晶画面等の表示部20を有している。ここで、モデム15、音声ボード16、マイク18等は、開催型グループ会議、参加型グループ会議の不参加者に会議の参入を促す通知を行うためのである。
【0016】
状態表示装置1は、交換制御部7と入出力制御部8との間にハブ6を備え、そこから接続する。これにより交換制御部7と入出力制御部8の間で送受信している呼制御信号を全てキャプチャすることができる。すなわち、状態表示装置1は、全ての呼に関して会議トランクの接続制御を行なうための信号(情報)を全て取り込むことができる。この構成をとることで、状態表示装置1は、交換制御部7や入出力制御部8の、プログラムや制御方法に影響を与えることなく、呼制御信号を取り出し、その状態を表示することが可能である。
【0017】
また、図3はメモリ13に格納され制御部12で実行されるプログラムおよびデータベースを示している。すなわち、地図ファイル30は、状態表示画面に表示する地図情報である。工注情報ファイル31は、構内交換機の情報である。ゾーン名称定義ファイル32は、基地局の所在地の情報である。キャプチャファイル33は、構内交換機内に流れるLANパケットをキャプチャしたデータである。LANドライバプログラム34は、フリーソフトである。UI(ユーザ・インタフェース)35は、表示部20への表示処理、PCのポインティングデバイスやキーボードからのイベント検出を行うためのソフトウェアである。キャプチャ解析プログラム36は、キャプチャファイルを読み出し、その電文を解析するプログラムである。位置登録管理37、転倒警報管理38、非常発報管理39、一斉通報管理40、開催型グループ管理41、参加型グループ管理42は、それぞれ、キャプチャ解析プログラム36が解析した結果に基づいて、各々の内部テーブルを更新する処理である。
【0018】
また、図4は、開催型グループ管理テーブルから生成する開催型グループ一覧画面の一例を示している。この画面では、『開催者(発信者)』、『接続(参加者)』、『呼出中(不参加者)』等が示されている。図5は、参加型グループ管理テーブルから生成する参加型グループ一覧画面の一例を示している。また、図6は、地図ファイル30に基づいて、ディスプレイに表示した地図画面の一例を示している。
【0019】
(動作)
上記のような構成をもつ状態表示装置1は、以下に説明するように、開催型グループ会議の表示処理および会議への参加促進処理を行なう。図7のフローチャートは、開催型グループ会議の地図表示処理の一例を説明する。状態表示装置1の制御部12は、開催型グループ会議一覧画面で、ユーザが選択したグループ番号を読み取る(ステップS11)。状態表示装置1の制御部12は、取得したグループ番号と一致する開催型グループ会議のテーブルを取得する(ステップS12)。状態表示装置1の制御部12は、取得したテーブル内の内線番号と携帯機一覧テーブルの内線番号が一致するテーブルから、基地局のゾーン情報を取得する(ステップS13)。制御部12は、状態表示画面を開催型グループ会議一覧画面から地図画面に切り替える(ステップS14)。制御部12は、開催型グループ会議のグループ員の通話状態を判断する(ステップS15)。そのグループ員の状態が、起動者または会議の参加者でなければ、制御部12は、ステップS17に進み、その端末であるPHSを呼出中であるか判断する(ステップS18)。呼出中であれば、制御部12は、S18に進み地図上に呼出中のマークを表示する(ステップS18)。呼出中でなければ、制御部12は、このPHSが存在するゾーンに会議不参加のマークを表示する(ステップS19)。これにより、ユーザは、特に、グループ会議に対して各端末が現在どういう状態にあるのかを容易に知ることができるようになる。
【0020】
次に、図8のフローチャートは、参加型グループ会議の地図表示処理の一例を説明する。制御部12は、参加型グループ会議一覧画面でユーザが選択したグループ番号を読み取る(ステップS21)。次に制御部12は、取得したグループ番号と一致する参加型グループ会議のテーブルを取得する(ステップS22)。制御部12は、取得したテーブル内の内線番号と携帯機一覧テーブルの内線番号が一致するテーブルから基地局のゾーン情報を取得する(ステップS23)。次に、制御部12は、状態表示画面を参加型グループ会議一覧画面から地図画面に切り替える(ステップS24)。そして、制御部12は、この地図画面において、参加型グループ会議に参加しているPHSが存在するゾーンに会議参加中のマークを表示する(ステップS25)。これにより、ユーザは、各端末がグループ会議にどう関わっているかが一目で知ることができる。
【0021】
次に、図9のフローチャートは、グループ会議不参加者への会議を促すために通知するためのダイヤル自動発信処理を説明している。制御部12は、グループ会議地図画面においてユーザのダブルクリック操作を検出すると、ステップS32に進む(ステップS31)。ここにおいて、制御部12は、ユーザがダブルクリックした地図上のPHSの内線番号を取得する(ステップS32)。次に、制御部12は、取得した内線番号のダイヤルをモデム15に送信する(ステップS33)。そして、制御部12は、モデム15からCOTにダイヤルを送信し、COTからダイヤルを発信して、会議に不参加のPHSを呼び出す(ステップS34)。
このように、本発明に係る状態表示装置1においては、グループ会議を実施している場合、グループ会議の不参加者が表示部20に表示され、これを操作部17で操作することにより、直接、グループ会議の不参加者にグループ会議への参加を促すことが可能となる。
【0022】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0023】
1…状態表示装置、2…構内交換機、3…基地局、4…通信端末(PHS等)、5…COT(Central Office Trunk)、6…ハブ、7…交換制御部、8…入出力制御部、9…回路インタフェース部、10…会議トランク、11…画像形成部、12…制御部、13…メモリ、14…LANアダプタ、15…モデム、16…音声ボード、17…操作部、18…マイク、30…地図ファイル、31…工注情報ファイル、32…ゾーン名称定義ファイル、33…キャプチャファイル、34…LANドライバプログラム、35…ユーザインタフェースプログラム、36…キャプチャ解析プログラム、37…位置登録管理、38…転倒警報管理、39…非常発報管理、40…一斉通報管理、41…開催型グループ管理、42…参加型グループ管理。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構内無線システムにおける各端末の状態を表示する状態表示装置であって、
前記構内無線システムの構内交換機から前記各端末の呼制御信号を取得する取得部と、
前記取得部が取得した呼制御信号に基づいて、前記各端末がグループ通話に参加しているか参加していないかの状態表示をするための信号を生成する生成部と、
前記グループ通話に参加していない端末に対する指示信号を外部から受けて、前記グループ通話に参加していない端末に対して前記グループ通話への参加を促す信号を生成して発信する発信部と、を具備することを特徴とする状態表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−139212(P2011−139212A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297035(P2009−297035)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000166650)株式会社日立国際電気エンジニアリング (100)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】