説明

状況通知装置、状況通知装置の状況通知制御プログラムおよび状況通知装置の状況通知制御方法

【課題】着呼時の呼び出しに応答がなかった場合の以後の呼び出しに対して応答の確率を高めることの可能な通知を発呼側に行う状況通知装置および状況通知装置の状況通知制御プログラムおよび状況通知制御方法を得ること。
【解決手段】携帯電話機が着呼したとき、発呼者が特定通知先として登録されていなければ通常の通話応答処理が実行される(ステップS303)。発呼者が特定通知先であり、呼出音に応答がなかった場合には(ステップS306:Y)、予約通知処理(ステップS313)として着呼側の状況変化が生じたときに発呼者にその旨が通知される。発呼者は通知された状況変化から呼び出しに応答可能と判断すれば、再度、発呼して高い確率で応答させることができる。応答がなかったときにスケジュールの中の関連するものを発呼側に知らせてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PHS等の移動端末の現在の状況あるいはそのユーザの状況を通信相手に通知する状況通知装置、状況通知装置の状況通知制御プログラムおよび状況通知装置の状況通知制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPHS(Personal Handy-phone System)あるいは通信機能を付加したPDA(Personal Digital Assistant)といった個人の使用する移動端末が普及している。このような移動端末は、ユーザが携行することによっていろいろな場所に移動したり、各種の状況に置かれることになる。この結果、その移動端末に電話が掛かってきても、ユーザが電話に応答しないという状況がしばしば発生する。たとえば、移動端末のユーザが公共交通機関に乗車中であったり、熟睡中であるといったような場合が電話に応答しない代表的な例である。移動端末のユーザが騒音の激しい場所にいるような場合も、着信音に気づかないことが多い。
【0003】
着呼側の移動端末がこのような状況にあるとき、発呼者はこの移動端末に対して呼び出しを行っても、着呼側のユーザから応答を得ることができない可能性が高い。緊急に伝えるべき事項が存在する場合、着呼側のユーザから応答が得られないと発呼者は、重ねてその移動端末に発呼することになる。この場合にも着呼側のユーザから応答がない場合、発呼者は着呼側のユーザの安否を心配したり、このユーザが移動端末をいつまでも応答しない状況に置いていることに対してストレスを感じる場合が多い。
【0004】
そこで、ユーザが電話に応答することのできない状況にあるときに、着呼側の移動端末がその装置の状況やそのユーザの状況を発呼側に通知するようにする提案が行われている(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
図11は、ネットワークに接続されたこの提案の移動端末の構成を表わしたものである。移動端末100は、各種の状況を検知する状況検知部101を備えている。状況検知部101には、図示しないジャイロセンサを用いて装置の移動速度を算出する移動速度情報取得部111と、一般的な人の声の周波数帯域の音を取得する声情報取得部112と、人が移動端末100の周囲に存在するか否かを判別するために周囲の温度を検出する人感情報取得部113と、人の声以外の音(80Hz〜4kHz以外の周波数帯域となる音)の音量を計測する音情報取得部114を有している。
【0006】
状況検知部101は、移動速度情報取得部111の算出した移動速度を基にして、ユーザが「Sitting」(座っている)状況、「Walking」(歩く)状況、「Running」(走る)状況、「On Ride」(乗車中)状況のいずれかであることを判別する。声情報取得部112は、声情報が0−50%の範囲にある場合には、「Quiet」(静かな)状況と関連付ける。また、声情報取得部112が取得した声情報が50−100%の範囲にある場合には、「Conversation」(会話中)状況と関連付ける。人感情報取得部113は、人感情報が0−50%の範囲にある場合、「Not Exist」(存在しない)状況と関連付け、人感情報取得部13が取得した人感情報が50−100%の範囲にある場合には、「Exist」(存在)状況と関連付ける。音情報取得部114は、音情報が0−50%の範囲にある場合、「Indoor」(屋内)状況と関連付ける。また、音情報取得部114が取得した音情報が50−100%の範囲にある場合には、「Outdoor」(屋外)状況と関連付ける。
【0007】
ユーザ状況情報生成部115は、これら移動速度情報取得部111、声情報取得部112、人感情報取得部113ならびに音情報取得部114の出力するこれらの情報を基にしてユーザ状況情報を生成する。そして、着信検知部121が着信を検知して、通話部122が通話を開始しなかった状況で、状況検知部101の検知出力に基づくユーザ状況情報生成部115の生成した情報をメールデータ生成部123で電子メールの本文に編集してメール送信部124から無線通信部125を介してネットワーク131に通信するようになっている。
【特許文献1】特開2005−295337号公報(第0018〜第0022段落、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この図11に示した提案によれば、着呼側の移動端末のユーザが電話に出ることのできない状況をある程度把握することができる。たとえば、そのユーザが「On Ride」(乗車中)であれば、電車やバス等の公共交通機関に乗っているために電話に出ることのできないことを推察することができる。ところが、発呼者はユーザがいつ、その公共交通機関を降車するか知ることができない。そこで、早急に伝達したいメッセージがあるような場合、発呼者はわずかな時間を置いて、再び着呼側の移動端末のユーザに発呼せざるを得ない。ところが、この時点でも同様に着呼側のユーザが「On Ride」(乗車中)であったような場合、発呼者はユーザが呼び出しに応答するまで、同様に無駄な発呼処理を繰り返すことを余儀なくされる。
【0009】
もちろん、発呼者がこのように頻繁に電話を掛けずに、1時間後とか2時間後といった比較的長い時間が経過した後に電話をすれば、着呼側の移動端末のユーザが着呼に応答する可能性は高くなる。しかしながら、この場合には着呼側の移動端末のユーザが1度目の着呼の後すぐに電車を降りて着呼に応答できるようになっていたような場合にも、長期間、呼に応答する機会がない。したがって、緊急の要件に対応することができなくなる。
【0010】
そこで本発明の目的は、着呼時の呼び出しに応答がなかった場合の以後の呼び出しに対して応答の確率を高めることの可能な通知を発呼側に行う状況通知装置および状況通知装置の状況通知制御プログラムおよび状況通知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明では、(イ)着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出し手段と、(ロ)この呼び出し手段が所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別手段と、(ハ)呼び出し手段が呼び出しを行ったとき以降の状況の変化を検出する状況変化検出センサと、(ニ)この状況変化検出センサが予め定めた状況の変化を検出したときこれを判別する状況変化判別手段と、(ホ)前記した特定人一致有無判別手段が前記した特定人と発呼者が一致すると判別したときで状況変化判別手段が前記した予め定めた状況の変化を判別したときこれを発呼者に通知する状況変化通知手段とを状況通知装置に具備させる。
【0012】
すなわち本発明では、着呼があったにもかかわらずこれに応答しない場合には、予め定めた特定人と発呼者が一致すると判別したときで状況変化判別手段が予め定めた状況の変化を判別したときこれを発呼者に電子メール等の通知手段によって通知することにしている。特定人に通知対象を限定したのは、関係のない者に状況通知装置側の状況変化を通知する必要がないからである。状況が変化した時に通知が行われるので、これを基にして発呼者が再び発呼を行うと、同じ状況で発呼を繰り返すよりも呼び出し時に応答を得やすくなる。
【0013】
請求項2記載の発明では、(イ)着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出し手段と、(ロ)この呼び出し手段が所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別手段と、(ハ)呼び出し手段によって呼び出された者のスケジュールを管理するスケジュール管理手段と、(ニ)前記した特定人一致有無判別手段が前記した予め定めた特定人と発呼者が一致すると判別したとき、スケジュール管理手段の管理するスケジュールの中で該当する時間帯のものを発呼者に通知する状況通知手段とを状況通知装置に具備させる。
【0014】
すなわち本発明では、着呼があったにもかかわらずこれに応答しない場合には、予め定めた特定人と発呼者が一致すると判別したときに、スケジュール管理手段の管理するスケジュールの中で該当する時間帯のものを発呼者に通知することにしている。特定人に通知対象を限定したのは、関係のない者にスケジュールを通知する必要がないからである。呼び出された者のスケジュールのうちの該当する時間帯のものを発呼者に呼び出しに応答する形で通知するので、これを参考にして発呼者が再び発呼を行うと、着呼側のユーザのスケジュールを知らずに発呼を繰り返すよりも呼び出し時に応答を得やすくなる。
【0015】
請求項7記載の発明では、発呼した発呼側の装置に着呼した自装置側の状況を通知する状況通知装置のコンピュータが、状況通知装置の状況通知制御プログラムとして、(イ)着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出し処理と、(ロ)この呼び出し処理で所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別処理と、(ハ)呼び出し処理で呼び出しを行ったとき以降の状況の変化を検出する状況変化検出処理と、(ニ)この状況変化検出処理で予め定めた状況の変化を検出したときこれを判別する状況変化判別処理と、(ホ)前記した特定人一致有無判別処理で前記した特定人と発呼者が一致すると判別したときで状況変化判別処理で前記した予め定めた状況の変化を判別したときこれを発呼者に通知する状況変化通知処理とを実行することを特徴としている。
【0016】
すなわち本発明では、請求項1記載の発明と同様の通知を状況通知装置で実現するために、この状況通知装置のコンピュータが各種の処理を実行することにしている。
【0017】
請求項8記載の発明では、発呼した発呼側の装置に着呼した自装置側の状況を通知する状況通知装置のコンピュータが、状況通知装置の状況通知制御プログラムとして、(イ)着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出し処理と、(ロ)この呼び出し処理で所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別処理と、(ハ)呼び出し処理によって呼び出された者のスケジュールを管理するスケジュール管理処理と、(ニ)前記した特定人一致有無判別処理で前記した予め定めた特定人と発呼者が一致すると判別したとき、スケジュール管理処理で管理するスケジュールの中で該当する時間帯のものを発呼者に通知する状況通知処理とを実行することを特徴としている。
【0018】
すなわち本発明では、請求項2記載の発明と同様の通知を状況通知装置で実現するために、この状況通知装置のコンピュータが各種の処理を実行することにしている。
【0019】
請求項9記載の発明では、(イ)着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出しステップと、(ロ)この呼び出しステップで所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別ステップと、(ハ)呼び出しステップで呼び出しを行ったとき以降の状況の変化を検出する状況変化検出ステップと、(ニ)この状況変化検出ステップで予め定めた状況の変化を検出したときこれを判別する状況変化判別ステップと、(ホ)前記した特定人一致有無判別ステップで前記した特定人と発呼者が一致すると判別したときで状況変化判別ステップで前記した予め定めた状況の変化を判別したときこれを発呼者に通知する状況変化通知ステップとを状況通知装置の状況通知制御方法に具備させる。
【0020】
すなわち本発明では、着呼があり呼び出しステップで呼び出しを行ったにもかかわらずこれに応答しない場合には、特定人一致有無判別ステップで予め定めた特定人と発呼者が一致すると判別したときで状況変化判別ステップで予め定めた状況の変化を判別したとき、状況変化通知ステップで発呼者に電子メール等の通知手段を用いて通知することにしている。特定人に通知対象を限定したのは、関係のない者に状況通知装置側の状況変化を通知する必要がないからである。状況が変化した時に通知が行われるので、これを基にして発呼者が再び発呼を行うと、同じ状況で発呼を繰り返すよりも呼び出し時に応答を得やすくなる。
【0021】
請求項10記載の発明では、(イ)着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出しステップと、(ロ)この呼び出しステップで所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別ステップと、(ハ)呼び出しステップで呼び出された者のスケジュールを管理するスケジュール管理ステップと、(ニ)前記した特定人一致有無判別ステップで前記した予め定めた特定人と発呼者が一致すると判別したとき、スケジュール管理ステップで管理するスケジュールの中で該当する時間帯のものを発呼者に通知する状況通知ステップとを状況通知装置の状況通知制御方法に具備させる。
【0022】
すなわち本発明では、着呼があり呼び出しステップで呼び出しを行ったにもかかわらずこれに応答しない場合には、特定人一致有無判別ステップで予め定めた特定人と発呼者が一致すると判別したときで、スケジュール管理ステップで管理するスケジュールの中で該当する時間帯のものがあればこれを発呼者に通知することにしている。特定人に通知対象を限定したのは、関係のない者にスケジュールを通知する必要がないからである。呼び出された者のスケジュールのうちの該当する時間帯のものを発呼者に呼び出しに応答する形で通知するので、これを参考にして発呼者が再び発呼を行うと、着呼側のユーザのスケジュールを知らずに発呼を繰り返すよりも呼び出し時に応答を得やすくなる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように請求項1、請求項7あるいは請求項9記載の発明によれば、着呼側の状況通知装置は呼び出しを行ったとき以降の状況の変化を検出してこれを基にして発呼側に通知を行うので、発呼側はこの通知に機械的に対応して再度、発呼を行うという単純な作業で着呼側の状況通知装置が呼び出しに応答する確率を高めることができる。また、状況の変化の通知は、電子メールを使用することで、通信コストを低くすることができる。
【0024】
また、請求項2、請求項8あるいは請求項10記載の発明によれば、発呼者が着呼者の応答の代わりにそのスケジュールにおける関連する時間帯の部分を通知されるので、発呼者はこれを分析して状況通知装置側の都合のよい時間に発呼することができるようになり、呼び出しに応答する確率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の一実施例における状況通知装置としての携帯電話機の構成の概要を表わしたものである。本実施例の携帯電話機200は、CPU(Central Processing Unit)201、プログラム記憶媒体202、作業用メモリ203、特定通知先登録テーブル204および状況定義格納部205を備えた制御部207を備えている。制御部207は、プログラム記憶媒体202に格納された制御プログラムをCPU201が実行することで、これに接続された各種の回路部品を使用して、携帯電話機200としての通常の制御を行うだけでなく、所定の状況通知のための処理を行うようになっている。
【0027】
制御部207に接続された部品の主なものは次の通りである。送受信部211は、アンテナ212を接続した無線機213を内蔵しており、図示しない基地局との間で通話あるいは通信のためのデータを送受信するようになっている。ユーザインタフェースとしての操作部214は図示しない複数の入力キーを配置しており、押下された入力キーに応じたコード情報を制御部207に入力するようになっている。表示部215は、図示しない1つまたは複数のディスプレイと表示用制御回路から構成されている。ディスプレイは、液晶表示装置あるいは有機EL(Electro Luminescence)表示装置からなり、文字や画像等の視覚的情報の表示を行うようになっている。
【0028】
オーディオ入出力部216は、外部出力用のスピーカ217と、通話のためのスピーカ218およびマイクロフォン219を備えている。このオーディオ入出力部216のマイクロフォン219と、加速度センサ部221、カメラ部222および照度センサ部223は、本実施例で携帯電話機200やそのユーザの状況を検出するためのセンサ部224を構成している。
【0029】
ここで加速度センサ部221には、たとえば北陸電気工業株式会社のHAAMシリーズの製品でピエゾ効果を利用した3次元の加速度センサを使用することが可能である。もちろん、これ以外の3次元センサも使用可能である。加速度センサ部221は、携帯電話機200の加速度を検出することで、これが静止状況になっているのか、または移動状況になっているのかを判別するのに使用される。カメラ部222は、図示しないカメラのレンズを通過した映像を出力するものである。カメラ部222を構成するカメラ自体は、被写体の撮影する方向および画角を固定した固定焦点タイプのものであってもよいし、図示しない回転軸を中心としてカメラの光軸が所定の角度範囲を旋回できるような構造となっているものであってもよい。照度センサ223は、感知した照度に応じて照度情報を出力するセンサである。この照度センサ223は、携帯電話機200の周囲の照度を感知するセンサであり、低照度とそれ以外の非低照度の判別を行うようになっている。
【0030】
本実施例の制御部207は、携帯電話機200の所持者としてのユーザが、着呼時に通話を行うことができない状況であっても、この携帯電話機200の現在の状況や以前に対する状況変化を検出するようになっている。そして、着呼側の電話機が電話に応答できる予め定めた条件を具備するようになると、発呼側の電話機が特定通知先である場合にこの応答可能な事実を通知するようになっている。特定通知先は、特定通知先登録テーブル204に予め登録されるようになっている。
【0031】
これにより、発呼側の電話機が家族あるいは親友等の特定通知先に該当していれば、着呼側の携帯電話機200のユーザが着呼に直接応答しなくても、ある程度の状況をこの特定通知先に通知することができ、両者のコミュニケーション不足を原因とするストレスの蓄積を防止することができる。ここで通知先を特定通知先登録テーブル204に登録されている者に限定したのは、プライバシの保護の観点からである。状況定義格納部205は、特定通知先へ通知を行う際の基準を定めたものである。このような本実施例による発呼側の電話機に対する通知処理を次に説明する。
【0032】
図2は、本実施例の携帯電話機が着呼した場合の処理の概要を表わしたものである。図1と共に説明する。制御部207は送受信部211の受信処理によって着呼を検出すると(ステップS301:Y)、その発呼者が特定通知先登録テーブル204に登録されている者であるか否かを判別する(ステップS302)。そして、特定通知先登録テーブル204に登録されている者でない場合には(N)、従来から行われている通常の通話対応処理を実行する(ステップS303)。すなわち、携帯電話機200は外部出力用のスピーカ217あるいはスピーカ218から呼出音を出力して、ユーザがこれに応答すれば通話が行われる。
【0033】
図3は、特定通知先登録テーブルの一部を表わしたものである。特定通知先登録テーブル204には、登録電話番号とユーザ名が記されている。ユーザ名は登録の際の注記的な記載内容のようなものであり、必ずしもその入力は必要としない。特定通知先の登録は操作部214を操作して電話番号等のデータをユーザが直接入力するようなものであってもよいし、図示しない電話帳に登録されている電話番号等のデータの中からユーザが所望のものを選択する簡略化された手法で行うようにしてもよい。また、電話帳をそのまま特定通知先登録テーブル204の内容としてもよいし、電話帳の中に「特定通知先の可否」というような項目を設けて、「可」とされたものを特定通知先として処理するようにしてもよい。
【0034】
図2に戻って説明を行う。図3に示した特定通知先登録テーブル204内に存在する登録電話番号に一致する特定通知先からの着信の場合には(ステップS302:Y)、図示しないクロック発生器の出力するクロックの計数を開始することでタイマの計時を開始する(ステップS304)。そして、外部出力用のスピーカ217あるいはスピーカ218から呼出音の出力を開始して(ステップS305)、あらかじめ定めた時間t1が経過する前にユーザが応答するかどうかを監視する(ステップS306、ステップS307)。時間t1は、ユーザが操作部214から任意に設定することができる。時間t1のデフォルト値は、たとえば15秒に設定されている。
【0035】
この時間t1が経過する前にユーザが操作部214を操作して通話のための応答を行った場合には(ステップS306N、ステップS307:Y)、タイマの計時動作が終了し(ステップS308)、呼出音の出力が停止して(ステップS309)、ユーザと発呼者との間で通話処理が行われる(ステップS310)。
【0036】
これに対して、時間t1が経過してもユーザが呼び出しに応答しない場合には(ステップS306:Y)、タイマの計時動作が終了し(ステップS311)、呼出音の出力が停止する(ステップS312)。この後、発呼者に発呼のタイミングを通知するための予約処理(以下、通知予約処理という。)が行われる(ステップS313)。これは、現在の状況が変化することで携帯電話機200のユーザが電話に出ることのできる可能性が生じたようなとき、発呼者にこの状況の変化を機械的に通知して、発呼者からユーザに対する発呼をタイミング良く行えるようにするサービスである。この通知予約処理によって発呼者が再び発呼したとき携帯電話機200のユーザが電話に出る確約はない。しかしながら、状況の変化を捉えて発呼が行われるので、携帯電話機200に無闇に発呼を繰り返すよりはそのユーザが電話に出る可能性が生じる。そこで、本実施例では通知予約処理で所定の場合に発呼者が再度発呼するタイミングを知らせる通知サービスが実行されるようにしている。
【0037】
図4は、この発呼者に対する通知予約処理の動作を具体的に表わしたものである。図1と共に説明する。図2のステップS313に示した発呼者に対する通知予約処理では、まず、制御部207がセンサ部224を構成する各センサの感知情報を受信する(図4ステップS331)。具体的にはマイクロフォン219、加速度制御部221、カメラ部222および照度センサ224から得られる感知情報をそれぞれ受信する。ただし、感知情報は通知予約処理の開始時点からその採取の作業を開始する必要はない。たとえば比較的短い周期で取得し更新することで最新の情報を作業用メモリ203に常に格納しておき、感知情報が必要とされたときに最も新しい情報を読み出すようにしてもよい。
【0038】
このようにして受信した各センサの感知情報を基にして、制御部207は現時点の状況を表わす文章を編集する(ステップS332)。この際に、制御部207は状況定義格納部205に格納された各感知情報についての定義を参照する。状況定義格納部205には定義がデフォルト値として設定されている。ユーザは操作部214および表示部215を使用して、これらの定義を修正することができる。これは、ユーザの年齢や住環境等の状況に応じて携帯電話機200やそのユーザの状況を判別する基準が相違する場合があるからである。
【0039】
図5は、状況定義格納部の格納内容の一例を示したものである。状況定義格納部205には、図1に示したセンサ部224を構成する各センサの感知条件と定義内容が記録されている。すなわち、マイクロフォン219については、入力される音の周波数に関係なく80dBSPL(Sound Pressure Level)以上の音を高騒音下と定義し、80dBSPL未満については非高騒音下と定義している。一般には通常の会話が70dBSPL、にぎやかな通りが80dBSPL、近くの叫び声が90dBSPL、音の大きなロック・グループの演奏が100dBSPLであるとされている。
【0040】
加速度センサ部221は、x,y,zの3軸の加速度を検出することができるので、これら各軸の加速度成分の自乗の和の平方根を算出して、これが100mGの重力加速度以下であるとき、静止状況であると定義している。また、100mGの重力加速度を超える場合には携帯電話機200が非静止すなわち移動しているものと定義している。
【0041】
カメラ部222は、その捕らえた映像の中心部等の所定範囲の映像領域に所定の変化が現われた場合を、周囲場景に変化ありと定義し、これ以外を周囲場景に変化なしと定義している。具体例としては、撮影画像の中央の1cm四方枠内の画像情報が10%以上不一致部分が発生するような変化があったときに周囲場景に変化ありと定義する。このような周囲場景の変化を認識する技術は、たとえば防犯カメラの出力する時系列的な映像の中で、不審者が現われたり動いたりする録画すべき時点を定める判別技術として広く使用されている。
【0042】
照度センサ部223は、10lux以下を低照度と定義し、これを越えると非低照度としている。ここで、10luxとは夕日の明るさである。参考に、月明かりは約0.1lux、星明りが約0.001lux、太陽光の下が約10,000luxである。
【0043】
図4に戻って説明を続ける。ステップS332における文章の編集は、単に「高騒音下」や「静止」という判別された感知条件を表わした用語を羅列した文章を作成するものであってもよい。また、各感知条件に対応するそれぞれの定義を組み合わせた文章を編集結果として予め複数用意しておき、現在の感知条件に合った文章をその中から選択するようなものであってもよい。次のステップS333では、編集した文章を現在通話状況にある発呼者に合成音で音声出力して携帯電話機200がそのユーザに代わって機械的な応答を行う。これにより、携帯電話機200のユーザ側が電話に出ることのできない理由が相手に通知されることになる。たとえば、「ただいま、周囲雑音が大きくしかも暗がりの場所に携帯電話機がある関係上、ユーザが着信に気付いていない模様です。」とか、「ただいま、携帯電話機は静止状況から移動状況へと変わった模様です。」というような合成音が通知される。
【0044】
この音声出力の後、制御部207は、通知サービスがあることを発呼者に同じく合成音で案内する(ステップS334)。そして、発呼者がこの通知サービスを利用して状況の変化に対して通知を受けることを希望する操作を行うか(ステップS335)、通知サービスを利用しないので通知は不要(非通知)である旨の操作を行うか(ステップS336)、あるいは、これらのいずれの操作も行うことなく発呼者が一方的に回線を切断するか(ステップS337)のいずれが起きるかを監視する。発呼者が通知サービスを希望する操作を行った場合(ステップS335:Y)、図1に示す制御部207は作業用メモリ203の所定の領域に格納する通知フラグをオンにして(ステップS338)、通知サービスを予約状況にする(エンド)。
【0045】
これに対して、携帯電話機200のユーザ側の状況が変化したときであってもその通知を望まない場合、発呼者は通知サービスの利用をしない旨の応答を返してくる(ステップS336:Y)。この場合、制御部207は前記した所定の領域に格納する通知フラグをオフにする(ステップS339)。そして、処理を終了する(エンド)。この場合、携帯電話機200のユーザ側の状況が変化してもその通知は発呼者に対して行われない。発呼者がこれらの操作を行うことなく電話を切った場合には(ステップS337:Y)、通知サービスを望んでいないと考えられる。そこで通知は不要(非通知)である旨の操作を行った場合と同様に通知フラグがオフにされて(ステップS339)、処理が終了する(エンド)。この場合にも、通知サービスは予約されない。
【0046】
図6は、発呼者が通知サービスを予約した場合に行われる処理の様子を表わしたものである。図5のステップS338で発呼者が通知サービスを予約して通知フラグがオンになると、その時点の各センサの状態が図1に示す作業用メモリ203の図示しない不揮発性メモリ領域に格納される(ステップS351)。すなわち、マイクロフォン219、加速度センサ部221、カメラ部222および照度センサ部224から得られる感知情報のそれぞれの状況が記憶される。この状況で、携帯電話機200の制御部207は監視終了状況となる前に(ステップS352:N)、電話に応答する方向への状況の変化が発生したかどうかをチェックする(ステップS353)。そして、電話に応答する方向への状況の変化が発生した場合には(ステップS353:Y)、その状況変化を電子メールで相手側の電話機に通知する(ステップS354)。
【0047】
この後、新しい状況変化を前記した不揮発性メモリ領域に格納して(ステップS355)、ステップS353あるいはステップS352の監視状況に復帰することになる。携帯電話機200のユーザを呼び出す環境に変化するたびに、状況変化を記憶することで、更に確実にユーザを呼び出せる状況を検出できるようにするためである。
【0048】
図7は、図6のステップS352からステップS354までの処理を具体的に表わしたものである。ステップS353A〜ステップS353Dでは、図6のステップS351で記憶した各状況から見て、各センサの状態の変化が電話に応答するべき方向のものであるかどうかをチェックする。たとえば、図1に示したマイクロフォン219が現状を「高騒音」と認識していた場合であって、「非高騒音」に変化した場合には(ステップS353A:Y)、「周囲の音が静かになりました。」という文章による電子メールの通知が行われる(ステップS354A)。図6のステップS351で「非高騒音」が記憶されていた場合には「高騒音」に変化しても状況変化の通知は行われない。この例の場合には、周囲の音が静かになって、携帯電話機200のユーザが呼出音に気付く状況変化を想定している。
【0049】
同様に、図1に示した加速度センサ部221が現状を「非静止」と認識していた場合であって、これが「静止」に変化した場合には(ステップS353B:Y)、「高速移動中ではなくなりました。」という文章による電子メールの通知が行われる(ステップS354B)。図6のステップS351で「静止」が記憶されていた場合には「非静止」に変化しても状況変化の通知は行われない。この例の場合には、たとえば交通機関から降車して高速移動しなくなったため、携帯電話機200のユーザがマナーモードを解除して呼出音に気付く状況変化を想定している。
【0050】
ただし、ステップS353Bの状況変化を検出する場合、本実施例では最低5分間「静止」となった時点で、初めて「静止」と検出するようにしている。これは、電車が駅で停止している間に「非静止」から「静止」に切り替わったことを通知したり、乗用車が信号待ちを行ったり、渋滞で一時的な減速を行ったときに「非静止」から「静止」に切り替わったことを通知する事態を防止するためである。携帯電話機200のユーザは、「非静止」から「静止」に切り替わるまでの時間を任意に設定し、また変更することができる。
【0051】
以上と同様に、図1に示したカメラ部222が現状を「場景変化」と認識していた場合であって、これが「場景変化なし」に変化した場合には(ステップS353C:Y)、「画像が静止しました。」という通知が電子メールで行われる(ステップS354C)。「場景変化なし」と認識していた場合であって、これが「場景変化」に変化した場合も同様に「画像が動いています」という電子メールによる通知が行われる。すなわち、カメラ部222については、「場景変化」と「場景変化なし」のいずれの方向への変化も呼び出しに応答できる状況になったと捉えることが可能なので、双方の変化を通知の対象とし、かつ状況の変化の方向に応じて文章による電子メールの通知内容を異ならせている。
【0052】
以上と同様に、図1に示した照度センサ部223が現状を「低照度」と認識していた場合であって、これが「非低照度」に変化した場合には(ステップS353D:Y)、「周囲が明るくなりました。」という合成音による通知が行われる(ステップS354D)。図6のステップS351で「非低照度」が記憶されていた場合には「低照度」に変化しても状況変化の通知は行われない。この例の場合には、たとえば就寝のために部屋の電気を消して暗くなった状況から電気を付けたり太陽が照って明るくなった状況変化を想定している。この例の場合にも、「非低照度」になってある程度の時間が経っても「非低照度」の状況を維持しているとき、呼び出しを可能とする電子メールによる通知を発呼者側に行うようにユーザ設定してもよい。夜中にトイレに行くときに電話を掛けてもらっては困るという場合の措置である。
【0053】
このように本実施例では、携帯電話機200のユーザに発呼しても応答がないような場合、応答に繋がるようなユーザ側の状況の変化があった時点でその携帯電話機200から状況の変化を発呼者側に電子メールで通知するようにした。これにより、発呼者側はその状況変化を把握して、発呼を行うべきタイミングであると判断すれば携帯電話機200に電話を掛けて、高い確率で呼び出しに応答させることができる。もちろん、通知された状況変化をそのユーザの行動パターンと照らし合わせて、発呼を差し控えることも可能である。
【0054】
このように実施例の携帯電話機200は発呼者側に状況の変化を自動的に報知することにしたので、電話のユーザ間の状況の情報授受に関するユーザ操作を不要化あるいは軽減することができる。したがって、家族間等の特定人同士における災害時の安否確認等の連絡の際に威力を発揮することになる。
【0055】
<第1の変形例>
【0056】
なお、実施例ではそれぞれ1種類の感知情報に変化が生じたとき、発呼者側に電子メールによる通知を行って再度の発呼の検討を可能とさせたが、これに限るものではない。すなわち、2種類以上の感知情報が予め定めた特定の状況となったときに、発呼者に再度の呼び出しを行わせる通知を行ってもよい。この場合には、着呼があった時点の各センサの感知状況を必ずしも記憶しておく必要はない。
【0057】
図8は、図6に対応するもので、本発明の第1の変形例として感知情報が組み合わされて通知が行われる一例での通知サービス処理の内容を表わしたものである。図1に示した制御部207は、まず現時点の感知情報のそれぞれを作業用メモリ203から読み出す(ステップS401)。そして、図1に示したマイクロフォン219が現状を「非高騒音」と判別するかどうかをチェックする(ステップS402)。「高騒音」と判別する場合には(N)、呼び出しを行っても騒音が大きいため前と同様に携帯電話機200のユーザが応答しない可能性が高い。そこでこの場合には処理を終了して、次のタイミングで同様のチェックを行うことになる(リターン)。
【0058】
ステップS402で「非高騒音」と判別する場合には(Y)、加速度センサ部221が現状を「静止」と判別するかどうかをチェックする(ステップS403)。「非静止」と判別する場合には(N)、交通機関で移動中の可能性があるため前と同様に携帯電話機200のユーザが応答しない可能性が高い。そこでこの場合には処理を終了して、次のタイミングで同様のチェックを行うことになる(リターン)。
【0059】
ステップS403で「静止」と判別する場合には(Y)、交通機関に乗っていない可能性がある。そこで更に照度センサ部223が現状を「非低照度」と判別するかどうかをチェックする(ステップS404)。「低照度」と判別された場合には(N)、就寝中の場合があり前と同様に携帯電話機200のユーザが応答しない可能性が高い。そこでこの場合には処理を終了して、次のタイミングで同様のチェックを行うことになる(リターン)。
【0060】
ステップS404で「非低照度」と判別する場合には(Y)、カメラ部222が「場景変化」と「場景変化なし」の間で状況を切り替えたかどうかをチェックする(ステップS405)。切り替えた場合には(Y)、ユーザが携帯電話機200を手に持ったか手から離した直後であり、この携帯電話機200を持っているかその傍に居る可能性が高い。そこでこの場合には、この新しい状況を電子メールで発呼者に通知する(ステップS406)。「場景変化」と「場景変化なし」の間で状況に変化がない場合には(ステップS405:N)、処理を終了して、次のタイミングで同様のチェックを行うことになる(リターン)。
【0061】
ユーザは、自分の生活環境に合わせて、この図8に示した例以外の組み合わせで、発呼者に対して自分が呼び出しに応答できる確率の高い状況に変化したことを通知することができる。たとえば、公共機関としてのバスや電車に乗車せず、もっぱら専用車で移動するユーザの場合には、加速度センサ部221による判別結果を通知のための条件から除外することができる場合もある。
【0062】
<第2の変形例>
【0063】
図9は、本発明の第2の変形例における通知サービス処理の内容を表わしたものである。図9で図8と同一の部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。この第2の変形例では、図8のステップS404で照度センサ部223の判別結果を使用していたものを、図1に示した携帯電話機200の図示しない時計機構によって、平日の9時から18時までに該当するかどうかの判別結果(ステップS421)の使用に置き換えている。
【0064】
すなわち、新しい状況への変化を電子メールで発呼者に通知しようとしたとき、これが平日の9時から18時までに該当しなければ(ステップS421:N)、通知は行われない。これは、携帯電話機200が仕事中心に使用する機器の場合、仕事を行う時間中に呼び出した発呼者に対して、その時間中であることを条件として、新しい状況への変化を電子メールで発呼者に通知することにしたものである(ステップS406)。これにより、この例では照度センサ部223を携帯電話機200に設けることが不要になる。
【0065】
<第3の変形例>
【0066】
図10は、本発明の第3の変形例における着呼に対する携帯電話の処理の内容を表わしたものである。図10で図2と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。この第3の変形例では、図1に示した携帯電話機200が、そのユーザのスケジュールを管理する図示しないスケジューラをアプリケーションプログラムとして使用している。ユーザは、たとえば会議を行う予定が発生すると、「会議」が行われる日にちと時間帯をスケジューラに設定するようになっている。また、平日に通勤のために公共交通機関に乗車する時間帯についても、日常繰り返されるスケジュールとしてこのスケジューラに設定できるようになっている。
【0067】
図1に示した携帯電話機200の着呼が検出されると(ステップS301:Y)、制御部207は、特定通知先登録テーブル204を参照して、その発呼者がユーザのスケジューラの該当箇所の通知を許容する特定通知先であるかどうかを判別する(ステップS302)。特定通知先登録テーブル204に登録されている者でない場合には(N)、従来から行われている通常の通話対応処理を実行する(ステップS303)。すなわち、携帯電話機200は外部出力用のスピーカ217あるいはスピーカ218から呼出音を出力して、ユーザがこれに応答すれば通話が行われる。
【0068】
これに対して、発呼者が特定通知先登録テーブル204に登録されている者であった場合には(ステップS302:Y)タイマ計時を開始し(ステップS304)、呼出音の出力を開始して(ステップS305)、あらかじめ定めた時間t1が経過する前にユーザが応答しなかったことを条件として(ステップS306:Y)、タイマの計時動作が終了し(ステップS311)、呼出音の出力が停止する(ステップS312)。この後、発呼者に対して、スケジューラの現在の時刻に対応する該当箇所の読み出しが行われる(ステップS441)。スケジューラの現在の時刻に対応する該当箇所に何の予定も入っていない場合には、「現在、特別の予定が入っていません。少し経ってからおかけ直しください。」というような合成音のメッセージが発呼者に応答音として返される。この場合に、次の予定時刻を検索して、「11時までは、特別の予定が入っていません。これまでの間におかけ直しください。」というような音声メッセージが発呼者に返されてもよい。
【0069】
なお、この第3の変形例と先の実施例を組み合わせて、「11時までは、特別の予定が入っていませんが、現在、電車やバスで移動中の可能性があります。移動が終了したら、その時点を電子メールで通知しましょうか。」というような音声メッセージを発呼者に返してもよい。これに対して発呼者が電子メールによる通知を依頼すれば、実施例の図6で示したような通知サービス処理が開始することになる。
【0070】
以上説明した実施例および変形例では、感知情報を収集するセンサとしてマイクロフォン219、加速度センサ部221、カメラ部222および照度センサ223を使用したが、これらを適宜省略してもよいし、脈拍センサ、体温計、傾斜計、赤外線による人感センサや簡易的な声紋認識装置等の他のセンサを新たに追加して感知情報を収集するようにしてもよい。また、実施例ではこれらのセンサの出力をそれぞれ1つの閾値で2つの状況に分類したが、それぞれのセンサの出力を3つあるいはこれ以上の状況に分類して感知情報として出力するようにしてもよい。
【0071】
なお、実施例および変形例では携帯電話機200について説明したが、状況通知装置はこれに限定されるものではない。他人が通信によって呼びかけたとき、呼びかけられたユーザの状況を呼びかけた側に通知するあらゆる移動端末に本発明が適用できることは当然である。
【0072】
また実施例では電子メールによって状況の変化を通知することにしたが、時間的に間に合えば、発呼者の呼び出しに応答する形で合成音を用いて状況の変化を通知してもよいことは当然である。
【0073】
更に実施例では各センサの出力を閾値と比較して状況変化を通知することにしたが、例えば加速度センサの各成分の感知情報を標本化・量子化・時間的変位量の積分を行うことによって、携帯電話機等の状況通知装置の簡易的な位置情報を得るようにし、判別された位置と対応付けた状況の通知を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施例における状況通知装置としての携帯電話機の構成の概要を表わしたブロック図である。
【図2】本実施例の携帯電話機が着呼した場合の処理の概要を表わした流れ図である。
【図3】本実施例の特定通知先登録テーブルの一部を表わした説明図である。
【図4】本実施例で発呼者に対する通知予約処理の動作を具体的に表わした流れ図である。
【図5】本実施例で状況定義格納部の格納内容の一例を示した説明図である。
【図6】本実施例で発呼者が通知サービスを予約した場合に行われる処理の様子を表わした流れ図である。
【図7】図6のステップS352からステップS354までの処理を具体的に表わした流れ図である。
【図8】本発明の第1の変形例における感知情報が組み合わされて通知が行われる通知サービス処理の内容を表わした流れ図である。
【図9】本発明の第2の変形例における通知サービス処理の内容を表わした流れ図である。
【図10】本発明の第3の変形例における着呼に対する携帯電話の処理の内容を表わした流れ図である。
【図11】従来の提案の移動端末の構成を表わしたブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
200 携帯電話機
201 CPU
202 プログラム記憶媒体
203 作業用メモリ
204 特定通知先登録テーブル
205 状況定義格納部
207 制御部
219 マイクロフォン
221 加速度センサ部
222 カメラ部
223 照度センサ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出し手段と、
この呼び出し手段が所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別手段と、
前記呼び出し手段が呼び出しを行ったとき以降の状況の変化を検出する状況変化検出センサと、
この状況変化検出センサが予め定めた状況の変化を検出したときこれを判別する状況変化判別手段と、
前記特定人一致有無判別手段が前記特定人と発呼者が一致すると判別したときで状況変化判別手段が前記予め定めた状況の変化を判別したときこれを前記発呼者に通知する状況変化通知手段
とを具備することを特徴とする状況通知装置。
【請求項2】
着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出し手段と、
この呼び出し手段が所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別手段と、
前記呼び出し手段によって呼び出された者のスケジュールを管理するスケジュール管理手段と、
前記特定人一致有無判別手段が前記予め定めた特定人と発呼者が一致すると判別したとき、前記スケジュール管理手段の管理するスケジュールの中で該当する時間帯のものを前記発呼者に通知する状況通知手段
とを具備することを特徴とする状況通知装置。
【請求項3】
前記呼び出し手段は呼び出し用の音あるいは光を出力する手段であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の状況通知装置。

【請求項4】
前記状況変化通知手段は、状況の変化を表わす内容を本文とする電子メールを前記発呼者のアドレスに送信する手段であることを特徴とする請求項1記載の状況通知装置。
【請求項5】
状況変化判別手段は、それぞれ異なった種類の状況について変化を判別する複数のセンサを備えており、これら複数のセンサの少なくとも1つが前記呼び出しに対する応答を行いやすい予め定めた状況に変化したと判別したときに前記状況の変化を判別することを特徴とする請求項1記載の状況通知装置。
【請求項6】
状況変化判別手段は、それぞれ異なった種類の状況について変化を判別する複数のセンサを備えており、これら複数のセンサが共に前記呼び出しに対する応答を行いやすい予め定めた状況に変化したと判別したときに前記状況の変化を判別することを特徴とする請求項1記載の状況通知装置。
【請求項7】
発呼した発呼側の装置に着呼した自装置側の状況を通知する状況通知装置のコンピュータが、
着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出し処理と、
この呼び出し処理で所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別処理と、
前記呼び出し処理で呼び出しを行ったとき以降の状況の変化を検出する状況変化検出処理と、
この状況変化検出処理で予め定めた状況の変化を検出したときこれを判別する状況変化判別処理と、
前記特定人一致有無判別処理で前記特定人と発呼者が一致すると判別したときで状況変化判別処理で前記予め定めた状況の変化を判別したときこれを前記発呼者に通知する状況変化通知処理
とを実行することを特徴とする状況通知装置の状況通知制御プログラム。
【請求項8】
発呼した発呼側の装置に着呼した自装置側の状況を通知する状況通知装置のコンピュータが、
着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出し処理と、
この呼び出し処理で所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別処理と、
前記呼び出し処理によって呼び出された者のスケジュールを管理するスケジュール管理処理と、
前記特定人一致有無判別処理で前記予め定めた特定人と発呼者が一致すると判別したとき、前記スケジュール管理処理で管理するスケジュールの中で該当する時間帯のものを前記発呼者に通知する状況通知処理
とを実行することを特徴とする状況通知装置の状況通知制御プログラム。
【請求項9】
着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出しステップと、
この呼び出しステップで所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別ステップと、
前記呼び出しステップで呼び出しを行ったとき以降の状況の変化を検出する状況変化検出ステップと、
この状況変化検出ステップで予め定めた状況の変化を検出したときこれを判別する状況変化判別ステップと、
前記特定人一致有無判別ステップで前記特定人と発呼者が一致すると判別したときで状況変化判別ステップで前記予め定めた状況の変化を判別したときこれを前記発呼者に通知する状況変化通知ステップ
とを具備することを特徴とする状況通知装置の状況通知制御方法。
【請求項10】
着呼があったとき、これに応答させるための呼び出しを行う呼び出しステップと、
この呼び出しステップで所定時間呼び出しを行ってもこれに応答がないとき、予め定めた特定人と発呼者が一致するかを判別する特定人一致有無判別ステップと、
前記呼び出しステップで呼び出された者のスケジュールを管理するスケジュール管理ステップと、
前記特定人一致有無判別ステップで前記予め定めた特定人と発呼者が一致すると判別したとき、前記スケジュール管理ステップで管理するスケジュールの中で該当する時間帯のものを前記発呼者に通知する状況通知ステップ
とを具備することを特徴とする状況通知装置の状況通知制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−67097(P2008−67097A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243295(P2006−243295)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】