説明

現像剤回収装置及び画像形成装置

【課題】回収収容容器が収容された引出し状の収容箱を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物が開口部から噴き出すことによる影響を抑制し得る現像剤回収装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】上部に開口部104を有する回収収容容器102と、これを収容する収容箱106と、収容箱106を支持し引出し/格納自在に伸縮する支持部材108と、収容箱側停止部材116及び筐体側停止部材112の両鉛直方向平面のどちらか一方若しくは双方に衝撃吸収部材114,118が設けられ、該衝撃吸収部材114,118と前記鉛直方向平面のどちらか一方若しくは衝撃吸収部材同士が、収容箱106の引出し途中または最終端で衝突しその後当該衝撃吸収部材が弾性変形することで引出し動作を規制する、収容箱106の下方に配された引出し動作規制機構110と、を含む現像剤回収装置100、及びこれを備えた画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤回収装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体状のトナーを用いて画像を形成する画像形成装置では、画像形成に使われなかった不要な廃トナー等の回収現像剤を収容する回収収容容器を装置筺体内に設置しておき、その回収収容容器が満杯になると装置筺体から取り出し、空の回収収容容器を再度その装置筺体内に設置するという作業が行われる。
【0003】
特許文献1には、廃トナーを回収して収容するボトル22と、ボトル22を収容する引出し状のトレイ25と、トレイ25を装置本体フレーム内外へ水平方向に引出し/格納自在にスライドさせるアキュライドレール26とを含む現像剤回収装置を備えた画像形成装置が開示されている(特許文献1の図3〜図7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−3294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、回収収容容器が収容された引出し状の収容箱を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から噴き出すことによる影響を抑制し得る現像剤回収装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の<1>〜<12>に示す本発明により達成される。
<1> 上部に回収現像剤を注ぎ入れる開口部を有し、該回収現像剤を回収して収容する回収収容容器と、
上方に開口し前記回収収容容器の少なくとも下部を収容する収容箱と、
装置の筐体に一端が固定されると共に前記収容箱を支持し、前記回収収容容器を収容した状態の前記収容箱を前記筐体内外へ水平方向に引出し/格納自在に伸縮する支持部材と、
前記収容箱の引出し最終端において該収容箱に対する位置関係が固定された状態の鉛直方向平面を有する収容箱側停止部材、及び、該収容箱側停止部材における鉛直方向平面に対向し、前記収容箱の引出し最終端において前記筐体に対する位置関係が固定された状態の鉛直方向平面を有する筐体側停止部材からなり、前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材の両鉛直方向平面のどちらか一方若しくは双方に、押圧により弾性変形を示す衝撃吸収部材が設けられ、該衝撃吸収部材と前記鉛直方向平面のどちらか一方若しくは衝撃吸収部材同士が、前記収容箱の引出し途中または最終端で衝突しその後当該衝撃吸収部材が弾性変形することで引出し動作を規制する引出し動作規制機構と、
を含み、該引出し動作規制機構が、前記筐体内に前記収容箱が格納された際における該収容箱の下方に位置するように配されることを特徴とする現像剤回収装置。
【0007】
<2> 前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材のどちらか一方若しくは双方が、板状体を折り曲げてその内側に前記鉛直方向平面が形成されてなり、かつ、該板状体が板ばね機能を有することを特徴とする<1>に記載の現像剤回収装置。
【0008】
<3> 前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材のどちらか一方若しくは双方が、前記鉛直方向平面に前記衝撃吸収部材が設けられ、かつその水平方向両側で前記鉛直方向平面と前記衝撃吸収部材の衝突面を含む平面との間に先止め用鉛直方向平面が設けられ、
前記収容箱の引出し時に、引出し途中または最終端手前で前記鉛直方向平面に対向する停止部材またはそこに設けられた衝撃吸収部材の鉛直方向平面が前記衝撃吸収部材と衝突し、最終端で、前記衝撃吸収部材の弾性変形と共に、当該鉛直方向平面の水平方向両端が前記先止め用鉛直方向平面と衝突することで引出し動作が規制されることを特徴とする<2>に記載の現像剤回収装置。
【0009】
<4> 前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材のどちらか一方若しくは双方が、前記鉛直方向平面の一辺から水平方向に立ち上がる水平方向平面を有し、当該鉛直方向平面に前記衝撃吸収部材が設けられ、かつその水平方向両側に、前記衝撃吸収部材よりも手前の前記水平方向平面から上方に立ち上がる傾斜面を有し、
前記収容箱の引出し時に、最終端手前で前記鉛直方向平面に対向する停止部材またはそこに設けられた衝撃吸収部材の鉛直方向平面の縁が前記傾斜面に乗り上げながら進行しつつ前記衝撃吸収部材と衝突し、最終端で、前記衝撃吸収部材が弾性変形することで引出し動作が規制されることを特徴とする<1>または<2>に記載の現像剤回収装置。
【0010】
<5> 前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材のどちらか一方若しくは双方が、前記鉛直方向平面の一辺から水平方向に立ち上がる水平方向平面を有し、当該鉛直方向平面に前記衝撃吸収部材が設けられ、かつその水平方向両側に、前記衝撃吸収部材よりも手前の前記水平方向平面から上方に立ち上がる傾斜面を有し、該傾斜面に続いて前記鉛直方向平面より手前で前記衝撃吸収部材の衝突面より後方に先止め用鉛直方向平面が設けられ、
前記収容箱の引出し時に、最終端手前で前記鉛直方向平面に対向する停止部材の鉛直方向平面の縁が前記傾斜面に乗り上げながら進行しつつ前記衝撃吸収部材と衝突し、最終端で、前記衝撃吸収部材の弾性変形と共に、縁が乗り上げた当該鉛直方向平面が前記先止め用鉛直方向平面と衝突することで引出し動作が規制されることを特徴とする<1>または<2>に記載の現像剤回収装置。
【0011】
<6> 前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材のどちらか一方若しくは双方が、前記鉛直方向平面の一辺から水平方向に立ち上がる水平方向平面を有し、当該鉛直方向平面に前記衝撃吸収部材が設けられ、かつその水平方向両側に、前記衝撃吸収部材よりも手前の前記水平方向平面から上方に立ち上がる傾斜面を有し、該傾斜面に続いて前記鉛直方向平面より手前で前記衝撃吸収部材の衝突面より後方に停止用水平方向平面が設けられ、
前記収容箱の引出し時に、最終端手前で前記鉛直方向平面に対向する停止部材の鉛直方向平面の縁が前記傾斜面に乗り上げながら進行しつつ前記衝撃吸収部材と衝突し、最終端直前で前記停止用水平方向平面に乗り上げ、さらに最終端で、前記衝撃吸収部材が弾性変形することで引出し動作が規制されることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の現像剤回収装置。
【0012】
<7> 上部に回収現像剤を注ぎ入れる開口部を有し、該回収現像剤を回収し収容する回収収容容器と、
上方に開口し前記回収収容容器の少なくとも下部を収容する収容箱と、
装置の筐体に一端が固定されると共に前記収容箱を支持し、前記回収収容容器を収容した状態の前記収容箱を前記筐体内外へ水平方向に引出し/格納自在に伸縮する支持部材と、
前記収容箱の引出し最終端において、該収容箱に収容された前記回収収容容器を、前記収容箱の引出し方向とは逆方向に傾ける回収収容容器傾倒手段と、
を含むことを特徴とする現像剤回収装置。
【0013】
<8> 前記回収収容容器内における前記開口部周辺の前記収容箱の引出し方向側の領域に、重力に応じて鉛直方向に垂下するように蓋体が取り付けられ、
該蓋体が、前記収容箱の引出し最終端において前記回収収容容器が傾けられた際に前記回収収容容器内で前記開口部側に重力の作用で移動して、収容された回収現像剤が収容箱の引出し方向手前側に噴き出すのを抑制することを特徴とする<7>に記載の現像剤回収装置。
【0014】
<9> 前記回収収容容器傾倒手段が、前記収容箱の引出しによる水平方向の駆動力を、その最終端において垂直方向上方への駆動力に変換し、当該駆動力により、前記収容箱に収容された前記回収収容容器における引出し方向寄りの底面を押し上げるように構成されてなることを特徴とする<7>または<8>に記載の現像剤回収装置。
【0015】
<10> 前記回収収容容器傾倒手段が、前記収容箱の引出しによる引出し方向の駆動力を、その最終端において逆方向に変換し、前記収容箱に収容された前記回収収容容器における上下方向重心高さより上方で当該回収収容容器の引出し方向側の面を押し込むように構成されてなることを特徴とする<7>または<8>に記載の現像剤回収装置。
【0016】
<11> 前記回収収容容器傾倒手段が、
前記収容箱に収容された前記回収収容容器における上下方向重心高さより上方で当該回収収容容器の引出し方向側の面に接触可能に位置し、前記収容箱の引出し時に該収容箱と共に移動し、その最終端の手前で前記筐体に対する絶対的な位置が固定される、水平方向に延びる棒状体からなり、
前記収容箱の引出し最終端の手前から最終端にかけて、前記棒状体が前記回収収容容器の引出し方向側の面を前記収容箱の引出し方向とは逆方向に押し込むように構成されてなることを特徴とする<7>または<8>に記載の現像剤回収装置。
【0017】
<12> 表面に形成された静電潜像を保持し得る静電潜像保持体と、該静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に現像剤を供給して現像像を形成する現像像形成手段と、前記現像像を記録媒体に転写する転写手段と、前記静電潜像保持体表面に残存する現像剤を除去して清掃する清掃手段と、該清掃手段で回収された現像剤を回収現像剤として回収する回収手段と、を備え、
該回収手段が<1>〜<11>のいずれかに記載の現像剤回収装置であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0018】
<1>にかかる発明によれば、引出し動作規制機構を組み込まなかった場合に比べて、回収収容容器が収容された引出し状の収容箱を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から噴き出すことによる影響を、衝撃吸収部材に衝撃を吸収させることにより抑制し得る現像剤回収装置を提供することができる。
【0019】
<2>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から噴き出すことによる影響を、板ばね機能を有する板状体にも衝撃を吸収する機能を分担させることにより長期的に抑制し得る現像剤回収装置を提供することができる。
【0020】
<3>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から噴き出すことによる影響を、先に柔らかな衝撃吸収部材により衝撃を吸収し、次に残りの衝撃を、板ばね機能を有する板状体からなる先止め用鉛直方向平面により吸収することによって効果的に吸収し、さらに衝撃吸収部材を塑性変形してしまわない程度までしか押しつぶさないように調整することができ、衝撃吸収部材の劣化を防止し、より長期的に抑制し得る現像剤回収装置を提供することができる。
【0021】
<4>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から噴き出すことによる影響を、傾斜面に乗り上がりながら進行させて衝撃を吸収させることにより(特に、当該傾斜面の傾きを緩やかに調整することで)、引出し方向における衝撃吸収範囲を広くして衝撃をより効果的に吸収し、抑制し得る現像剤回収装置を提供することができる。
【0022】
<5>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から噴き出すことによる影響を、傾斜面に乗り上がりながら進行させて衝撃を吸収させることにより(特に、当該傾斜面の傾きを緩やかに調整することで)、引出し方向における衝撃吸収範囲を広くして衝撃をより効果的に吸収し、さらに、傾斜面に続いて設けた先止め用鉛直方向平面により、衝撃吸収部材を塑性変形してしまわない程度までしか押しつぶさないように調整することができ、衝撃吸収部材の劣化を防止し、より長期的に抑制し得る現像剤回収装置を提供することができる。
【0023】
<6>にかかる発明によれば、引出しの最終端において、それが最終端であることを認識させる感触を引出し者の手に与え得る現像剤回収装置を提供することができる。
【0024】
<7>にかかる発明によれば、前記収容箱の引出し最終端において、該収容箱に収容された前記回収収容容器を傾けることの無い現像剤回収装置に比べて、回収収容容器が収容された引出し状の収容箱を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から噴き出してユーザーに降りかかることを、引出し方向と逆に傾けてユーザーから開口部を遠ざけることにより、噴き出しても降りかかり難くして、影響を抑制し得る現像剤回収装置を提供することができる。
【0025】
<8>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、回収収容容器が収容された引出し状の収容箱を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から噴き出すことによる影響を、前記収容箱の引出し最終端において、該収容箱に収容された前記回収収容容器を傾け、回収収容容器の内部に重力に応じて鉛直方向に垂下するように向けた蓋によって閉口しつつ、かつ、ユーザーから開口部を遠ざけて傾けることで、抑制し得る現像剤回収装置を提供することができる。
【0026】
<9>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、回収収容容器が収容された引出し状の収容箱を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から引出し方向の手前側のユーザーに向かって噴き出すことによる影響を、前記収容箱の引出し最終端において、該収容箱に収容された前記回収収容容器を引出し方向寄りの底面を押し上げることにより、引出し方向の駆動力を垂直方向上方への駆動力に変換して最終端の衝撃を吸収しつつ、かつ、ユーザーから開口部を遠ざけて傾けることで、抑制し得る現像剤回収装置を提供することができる。
【0027】
<10>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、回収収容容器が収容された引出し状の収容箱を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から引出し方向の手前側のユーザーに向かって噴き出すことによる影響を、前記収容箱の引出し最終端において、該収容箱に収容された前記回収収容容器を、引出し方向と逆側に回収収容容器の上方を規制して、引出し方向の駆動力を傾ける方向への駆動力に変換して最終端の衝撃を吸収しつつ、かつ、ユーザーから開口部を遠ざけて傾けることで、抑制し得る現像剤回収装置を提供することができる。
【0028】
<11>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、回収収容容器が収容された引出し状の収容箱を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から引出し方向の手前側のユーザーに向かって噴き出すことによる影響を、前記収容箱の引出し最終端において、該収容箱に収容された前記回収収容容器を、引出し方向と逆側に回収収容容器の上方をより簡単な構成で規制して、引出し方向の駆動力を傾ける方向への駆動力に変換して最終端の衝撃を吸収しつつ、かつ、ユーザーから開口部を遠ざけて傾けることで、抑制し得る現像剤回収装置を提供することができる。
【0029】
<12>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、回収収容容器が収容された引出し状の収容箱を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である回収現像剤が開口部から噴き出すことによる影響を抑制し得る現像剤回収装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の現像剤回収装置を備えた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】搬送機構の構成を図1における画像形成装置の背面側から図示したものである。
【図3】第1の本発明の例示的一態様である第1の実施形態の現像剤回収装置の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図3の現像剤回収装置におけるトレイ(収容箱)が筐体外部に引出された状態を示す斜視図である。
【図5】スライドレール(支持部材)に衝撃吸収機構を持たせた場合の現像剤回収装置の概略構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示された現像剤回収装置における回収収容容器の動きを説明するための模式側面図である。
【図7】第1の実施形態の変形例の現像剤回収装置の概略構成を示す斜視図である。
【図8】第1の本発明の例示的一態様である第2の実施形態における収容箱側停止部材及び筐体側停止部材の機能を説明するための説明図であり、(a)は収容箱側停止部材及び筐体側停止部材のみの拡大側面図を、(b)はこれに衝撃吸収部材が設けられた拡大側面図を示す。
【図9】第1の本発明の例示的一態様である第3の実施形態における筐体側停止部材及び衝撃吸収部材の一部を示す拡大斜視図である。
【図10】第3の実施形態での引出し最終端における収容箱側停止部材及び筐体側停止部材の関係を説明するための拡大側面図である。
【図11】第1の本発明の例示的一態様である第4の実施形態における筐体側停止部材及び衝撃吸収部材の一部を示す拡大斜視図である。
【図12】第4の実施形態での引出し最終端における収容箱側停止部材及び筐体側停止部材の関係を説明するための拡大側面図である。
【図13】第1の本発明の例示的一態様である第5の実施形態における筐体側停止部材及び衝撃吸収部材の一部を示す拡大斜視図である。
【図14】第5の実施形態での引出し最終端における収容箱側停止部材及び筐体側停止部材の関係を説明するための拡大側面図である。
【図15】第1の本発明の例示的一態様である第6の実施形態における筐体側停止部材及び衝撃吸収部材の一部を示す拡大斜視図である。
【図16】第6の実施形態での引出し最終端における収容箱側停止部材及び筐体側停止部材の関係を説明するための拡大側面図である。
【図17】第2の本発明の構成を説明するための模式側断面図である。
【図18】第2の本発明において、回収収容容器に蓋体を設けた改良策を説明する説明図である。
【図19】第2の本発明の例示的一態様である第7の実施形態の現像剤回収装置の概略構成を示す模式側断面図である。
【図20】第7の実施形態の現像剤回収装置における引出し最終端での各部材の関係を説明するための模式側断面図である。
【図21】第2の本発明の例示的一態様である第8の実施形態の現像剤回収装置の概略構成を示す模式側面図である。
【図22】図21におけるE−E矢視断面図である。
【図23】第8の実施形態の現像剤回収装置における引出し最終端での各部材の関係を説明するための模式側面図である。
【図24】第2の本発明の例示的一態様である第9の実施形態の現像剤回収装置の概略構成を示す模式側面図である。
【図25】図24におけるF−F矢視断面図である。
【図26】第9の実施形態の現像剤回収装置における引出し最終端での各部材の関係を説明するための模式側面図である。
【図27】第2の本発明の例示的一態様である第10の実施形態の現像剤回収装置の概略構成を示す模式側面図である。
【図28】第10の実施形態の現像剤回収装置における引出し最終端での各部材の関係を説明するための模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の現像剤回収装置及び画像形成装置について詳細に説明する。
<<第1の本発明>>
現像剤回収装置に係る本発明は、大きく第1及び第2の本発明に区別される。
第1の本発明の現像剤回収装置は、
上部に回収現像剤を注ぎ入れる開口部を有し、該回収現像剤を回収して収容する回収収容容器と、
上方に開口し前記回収収容容器の少なくとも下部を収容する収容箱と、
装置の筐体に一端が固定されると共に前記収容箱を支持し、前記回収収容容器を収容した状態の前記収容箱を前記筐体内外へ水平方向に引出し/格納自在に伸縮する支持部材と、
前記収容箱の引出し最終端において該収容箱に対する位置関係が固定された状態の鉛直方向平面を有する収容箱側停止部材、及び、該収容箱側停止部材における鉛直方向平面に対向し、前記収容箱の引出し最終端において前記筐体に対する位置関係が固定された状態の鉛直方向平面を有する筐体側停止部材からなり、前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材の両鉛直方向平面のどちらか一方若しくは双方に、押圧により弾性変形を示す衝撃吸収部材が設けられ、該衝撃吸収部材と前記鉛直方向平面のどちらか一方若しくは衝撃吸収部材同士が、前記収容箱の引出し途中または最終端で衝突しその後当該衝撃吸収部材が弾性変形することで引出し動作を規制する引出し動作規制機構と、
を含み、該引出し動作規制機構が、前記筐体内に前記収容箱が格納された際における該収容箱の下方に位置するように配されることを特徴とする。
【0032】
第1の本発明については、具体的な実施の形態として第1の実施形態〜第6の実施形態を挙げて、以下説明する。
【0033】
[第1の実施形態]
図1は、後述する本発明の現像剤回収装置を備えた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0034】
本実施形態における画像形成装置1は、給紙ユニット1Aと、画像形成ユニット1Bと、排紙ユニット1Cとから構成されている。
【0035】
給紙ユニット1Aは、用紙を収容する第1用紙収容部11〜第4用紙収容部14を備えている。また、第1用紙収容部11〜第4用紙収容部14の各々に対応して設けられ、各用紙収容部に収容された用紙を画像形成ユニット1Bに接続された搬送路に送り出す送り出しロール15〜18を備えている。
【0036】
画像形成ユニット1Bは、所謂タンデム型であり、用紙に画像を形成する画像形成部20、画像形成部20などを制御する制御部21、および、例えば画像読取装置4やパーソナルコンピュータ(PC)5に接続され、これらから受信した画像データに画像処理を施す画像処理部22を含んで構成されている。
【0037】
画像形成部20は、一定の間隔を置いて並列的に配置される6つの画像形成エンジン30T,30P,30Y,30M,30C,30K(以下、単に「画像形成エンジン30」と称する場合がある。)を備えている。各画像形成エンジン30は、矢印A方向に回転しながら静電潜像が形成される感光体ドラム(静電潜像保持体)31、感光体ドラム31の表面を一様に帯電する帯電ロール(帯電手段)32、感光体ドラム31表面に形成された静電潜像を現像する現像器(現像像形成手段)33、感光体ドラム31表面の未転写トナー等を除去するドラムクリーナ(清掃手段)34を備えている。また、画像形成エンジン30T,30P,30Y,30M,30C,30Kのそれぞれの感光体ドラム31をレーザ光で走査露光して、感光体ドラム31表面に静電潜像を形成するレーザ露光装置(静電潜像形成手段)26が設けられている。
【0038】
各画像形成エンジン30は、現像器33に収納されたトナー(現像剤)の色や種類が異なることを除いて、略同様に構成されている。そして、画像形成エンジン30Y,30M,30C,30Kの各々では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の現像像が形成される。
【0039】
ところで、プロセスカラーであるイエロー、マゼンタ、およびシアン、並びに黒の4色に加え、この4色では表現が困難または不可能であった特色等を用いて、用紙上に画像を形成したい場合がある。例えば、特定ユーザ専用のコーポレートカラーのトナー、点字用の発泡トナー、蛍光色トナー、光沢を向上させるトナー、強磁性トナー、あるいは赤外線領域に感度を有する不可視トナー等を用いて用紙に画像を形成したい場合がある。このため、本実施形態における画像形成ユニット1Bでは、プロセスカラーや黒トナーによる画像形成を行うための画像形成エンジン30Y,30M,30C,30Kに加え、特色等による画像形成を可能とする画像形成エンジン30T,30Pが設けられている。
【0040】
また、画像形成部20は、各画像形成エンジン30の感光体ドラム31にて形成された各色の現像像が多重転写される中間転写ベルト41、各画像形成エンジン30の各色現像像を一次転写部T1にて中間転写ベルト41に順次転写(一次転写)させる一次転写ロール42、中間転写ベルト41上に転写された重畳現像像を二次転写部T2にて用紙上に一括して二次転写する二次転写ロール(転写手段)40、中間転写ベルト41表面の未転写トナー等を除去するベルトクリーナ45、二次転写された画像を用紙上に定着する定着器(定着装置)52を備えている。
【0041】
画像形成部20は、制御部21からの制御信号に基づき、画像形成動作を行う。まず、画像読取装置4やPC5から入力された画像データは、画像処理部22によって画像処理が施され、レーザ露光装置26に供給される。そして、例えばマゼンタ(M)の画像形成エンジン30Mでは、帯電ロール32により感光体ドラム31の表面が予め定められた電位に一様に帯電された後、レーザ露光装置26により、画像処理部22から得られた画像データで変調されたレーザ光が感光体ドラム31に走査露光される。これにより、感光体ドラム31表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像器33により現像され、感光体ドラム31表面にはマゼンタの現像像が形成される。同様にして、画像形成エンジン30Y,30C,30Kにおいて、イエロー、シアン、黒の現像像が形成され、画像形成エンジン30T,30Pにおいて、特色等の現像像が形成される。
【0042】
各画像形成エンジン30にて形成された各色現像像は、図1の矢印C方向に回転する中間転写ベルト41表面に、一次転写ロール42により順次静電的に一次転写され、中間転写ベルト41表面に重畳された現像像が形成される。
【0043】
一方、一次転写時に感光体ドラム31表面に残留した未転写トナー等は、一次転写ロール42の下流側に配設されたドラムクリーナ34により除去される。ドラムクリーナ34は、感光体ドラム31の軸方向に沿って設けられ除去した未転写トナー等を画像形成ユニット1Bの背面側に搬送する搬送部材35を備えている。そして、搬送部材35により画像形成ユニット1Bの背面側に搬送された未転写トナー等からなる廃棄粉体(回収現像剤)は、同じく画像形成ユニット1Bの背面側に設けられた搬送機構50によって、排紙ユニット1Cに対し着脱可能に設けられた第1回収容器(回収収容容器)102A又は第2回収容器(回収収容容器)102Bへ搬送される。
【0044】
本実施形態では、第1回収容器102Aおよび第2回収容器102Bの2つの回収容器が設けられている。このため、例えば、一方の回収容器が満杯となった際に他方の回収容器に未転写トナー等を搬送することで、画像形成動作を継続して行うことが可能となる。また例えば、大容量の一つの回収容器に未転写トナー等を収容する場合に比べ、未転写トナー等が収容された回収容器を取り外す際の回収容器の重量を減じることが可能となる。
【0045】
また、本実施形態では、第1回収容器102Aの検知を行う第1センサS1、第2回収容器102Bの検知を行う第2センサS2が設けられている。また、第1回収容器102Aの上部まで未転写トナー等が達した場合、すなわち第1回収容器102Aが未転写トナー等により満杯となった場合に、予め定められた信号を出力する第3センサS3が設けられている。さらに、第2回収容器102Bの上部まで未転写トナー等が達した場合、すなわち第2回収容器102Bが未転写トナー等により満杯となった場合に、予め定められた信号を出力する第4センサS4が設けられている。
【0046】
なお、本実施形態では、排紙ユニット1Cに第1回収容器102Aおよび第2回収容器102Bが設けられているが、画像形成ユニット1Bにこれらを設けてもよい。
【0047】
一方、中間転写ベルト41表面に形成された重畳現像像は、中間転写ベルト41の移動に伴って二次転写ロール40とバックアップロール49とが配設された二次転写部T2に向けて搬送される。一方、用紙は、例えば送り出しロール15により第1用紙収容部11から取り出され搬送路を経由した後、レジストロール43の位置まで搬送される。
【0048】
重畳現像像が二次転写部T2に搬送されると、そのタイミングに合わせてレジストロール43から二次転写部T2に用紙が供給される。そして、二次転写部T2にて二次転写ロール40とバックアップロール49との間に形成された転写電界の作用により、重畳現像像は用紙表面に一括して静電的に二次転写される。
【0049】
その後、重畳現像像が静電転写された用紙は、中間転写ベルト41から剥離され、定着器52まで搬送される。定着器52に搬送された用紙表面の未定着現像像は、定着器52によって熱および圧力による定着処理を受けることで用紙に定着される。そして定着画像が形成された用紙は、排紙ユニット1Cに設けられたカール補正部54を経由した後、不図示の排紙積載部へ搬送される。
【0050】
一方、二次転写後に中間転写ベルト41表面に残留した未転写トナー等は、二次転写の終了後に中間転写ベルト41に接触配置されたベルトクリーナ45によって除去される。ベルトクリーナ45は、画像形成ユニット1Bの前面側から背面側に向かって設けられ除去した未転写トナー等を画像形成ユニット1Bの背面側に搬送する搬送部材46を備えている。そして、搬送部材46により画像形成ユニット1Bの背面側に搬送された未転写トナー等は、搬送機構50によって、第1回収容器102A又は第2回収容器102Bへ搬送される。なお、以下、ドラムクリーナ34およびベルトクリーナ45から搬送機構50に搬送される未転写トナー等を廃トナー(回収現像剤)と称する。
【0051】
続いて、搬送機構50について詳細に説明する。
図2は、搬送機構50を図1における画像形成装置1の背面側から図示したものである。
【0052】
図2に示すように、搬送機構50は、各画像形成エンジン30に対応して設けられ、ドラムクリーナ34からの廃トナーを搬送する第1搬送機構64を備える。またベルトクリーナ45からの廃トナーが排出される排出部69を備えている。さらに、第1搬送機構64により搬送されてきた廃トナーおよび排出部69から排出されてきた廃トナーを搬送する第2搬送機構60、第2搬送機構60により搬送されてきた廃トナーを搬送する第3搬送機構70、第3搬送機構70により搬送されてきた廃トナーを搬送する第4搬送機構80、第4搬送機構80により搬送されてきた廃トナーを第1回収容器102A又は第2回収容器102Bに搬送する第5搬送機構90を備えている。
【0053】
第1搬送機構64は、ドラムクリーナ34に設けられた搬送部材35(図1参照)により搬送されてきた廃トナーの搬送路を形成する管状部材66、管状部材66の内部に設けられて上下動し管状部材66の内壁面に付着する廃トナーを崩すコイルスプリング68、搬送部材35を回転駆動するとともにコイルスプリング68を上下動させる第1モータM1を備えている。
【0054】
搬送部材35により搬送されてきた廃トナーは、この管状部材66の内部を落下していく。
【0055】
コイルスプリング68は、線材により形成され、また螺旋状(コイル状)の形状を有していて、その中心部を廃トナーが通過可能であって、管状部材66における廃トナーの落下を許容する形状となっている。このコイルスプリング68は、第1モータM1により管状部材66の内部で上下動し、管状部材66の内部にて固まった廃トナーを崩したり、管状部材66の内壁から廃トナーを除去したりする。
【0056】
第2搬送機構60は、画像形成エンジン30T,30P,30Y,30M,30C,30Kが配列された水平方向に延びて配置されるとともに管状部材66および排出部69に接続され、廃トナーの搬送路を形成する管状部材61を備えている。また、管状部材61の内部に配置され、各第1搬送機構64から搬送されてきた廃トナーおよび排出部69から排出されてきた廃トナーを搬送する搬送部材62、搬送部材62を回転駆動する第2モータM2を備えている。第2モータM2が回転すると、搬送部材62により管状部材61内の廃トナーが第3搬送機構70に向けて搬送される。
【0057】
第3搬送機構70は、垂直方向に配置されるとともに管状部材61に接続され、廃トナーの搬送路を形成する管状部材76を備えている。また、管状部材76の内部に設けられて上下動可能なコイルスプリング78、コイルスプリング78を上下動させる第3モータM3を備えている。
【0058】
第2搬送機構60により搬送されてきた廃トナーは、この管状部材76の内部を落下していく。
【0059】
コイルスプリング78は、上記コイルスプリング68と同様に、線材により形成され、また螺旋コイル状の形状を有し、その中心部を廃トナーが通過可能であって、管状部材76における廃トナーの落下を許容する形状となっている。このコイルスプリング78は、第3モータM3により管状部材76で上下動し、固まった廃トナーを崩したり、管状部材76の内壁から廃トナーを除去したりする。
【0060】
第4搬送機構80は、水平方向に配置され、廃トナーの搬送路を形成する管状部材81を備えている。また、管状部材81の内部に配置され第3搬送機構70からの廃トナーを搬送する搬送部材82、搬送部材82を回転駆動する第4モータM4を備えている。
【0061】
第5搬送機構90は、第4搬送機構80における管状部材81よりも下方に配置されるとともに管状部材81と平行に配置され、廃トナーの搬送路を形成する管状部材91を備えている。また、管状部材91の内部に配置され第4搬送機構80からの廃トナーを搬送する搬送部材92、搬送部材92を回転駆動する第5モータM5を備えている。
【0062】
第4搬送機構80では、第3搬送機構70によって搬送されてきた廃トナーを受け入れ搬送部材82が第4モータM4によって回転移動されることによりその受け入れ廃トナーを第5搬送機構90に受け渡す。第5搬送機構90では、第4搬送機構80から受け入れた廃トナーを第1回収容器102Aや第2回収容器102Bに運んでそれらの回収容器102A,102Bに廃トナーを収容させる。ここで、この第5搬送機構90に備えられた第5モータM5は、正逆転可能なモータであり、第5搬送機構90では、その第5モータM5の正転により搬送部材92が正転すると第4搬送機構80から受け入れた廃トナーが第1回収容器102Aに搬送されて第1回収容器102Aに廃トナーが収容される。
【0063】
第1回収容器102Aが廃トナーで満杯になると、今度は第5モータM5が逆転して搬送部材92が逆転し、第4搬送機構80から受け入れた廃トナーは今度は第2回収容器102Bに収容される。第2回収容器102Bが廃トナーで満杯になると、第5モータM5は再び正転を行い、これを交互に繰り返す。
【0064】
廃トナーで満杯になった回収容器(第1回収容器102Aあるいは、第2回収容器102B)は、排紙ユニット1C(図1参照)の筺体から取り出され、空の回収容器が再び筺体内に収容される。
【0065】
次に、第1回収容器102Aまたは第2回収容器102B周辺の、第1の本発明に相当する本実施形態の現像剤回収装置の構成について説明する。なお、説明の容易化のために、第1回収容器102A及び第2回収容器102Bの別無く、回収容器102として説明するが、本実施形態においては、第1回収容器102A及び第2回収容器102Bの双方とも以下の構成を具備するものである。ただし、何れか一方のみが以下の構成を具備するものであっても、当該構成については勿論本発明の範疇に含まれる。以降の実施形態においても同様である。
【0066】
なお、回収容器102に付随する部材(例えば、トレイ106)についても同様に、第1回収容器102Aあるいは第2回収容器102Bに付随するものとして説明する場合には「第1」あるいは「第2」を冠した上で符号の末にAあるいはBを付し、これらの別無く説明する場合にはこれらを付さない。
【0067】
図3は、本実施形態の現像剤回収装置100の概略構成を示す斜視図である。図3に示すように、本実施形態の現像剤回収装置100は、上部に廃トナーを注ぎ入れる開口部104を有し、該廃トナーを回収して収容する回収容器(回収収容容器)102と、上方に開口し回収容器102の下部を収容するトレイ(収容箱)106と、排紙ユニット1Cの筐体10(図1参照)に一端が固定されるとともにトレイ106を支持し、回収容器102を収容した状態のトレイ106を筐体10内外へ水平方向に引出し/格納自在に伸縮するスライドレール(支持部材)108とからなる一般的な構成に、引出し動作規制機構110を備えてなるものである。なお、図3において、破線は筐体10の内外境界線を示し、図3における破線の右側が筐体10の内部、同左側が筐体10の外部となる。後述する図4においても同様である。
【0068】
スライドレール108は伸縮する構造であり、トレイ106を矢印A方向に引出した際に図4に示すように2段階に延びるようになっている。すなわち、スライドレール108は、筐体10に固定された第1レール部材108aに引出し自在に第2レール部材108bが挿入され、かつ、その第2レール部材108bに引出し自在に第3レール部材108cが挿入され、その第3レール部材108cがトレイ106に固定されてこれを支持し、トレイ106を筐体10内外へ水平方向に引出し/格納自在に構成されてなるものである。
【0069】
筐体10内に格納されたトレイ106を図3中の矢印A方向に引出すと、まず、第3レール部材108cが第2レール部材108bから引出され、全部引出されると両者間にロックが掛かる(不図示)。続いて、第2レール部材108bが第1レール部材108aから引出されこれが全部引出されると、スライドレール108の引出し最終端となり、回収容器102が筐体10から外に出た状態になる。
【0070】
この2段階の引出し動作において、第3レール部材108cが第2レール部材108bから引出される際の負荷(摩擦力等。以下同様。)に比して、第2レール部材108bが第1レール部材108aから引出される際の負荷を大きくすることで、引出しする者が引出す際に、当該負荷を感触として引出しする者に感じさせることで、引出し開始から最終端までの間の後半に差し掛かったことを引出しする者は認識することができる。
【0071】
ところで、第3レール部材108bが第2レール部材108aから全部引出された際にもロックがかかる必要があるが、このロックはトレイ106自身とそこに収容された回収容器102の重さが全て負荷としてかかるため、何らかの衝撃対策を設けないと引出し最終端での衝撃が大きくなって、回収容器102に収容された廃トナーが開口部104から噴き出すことによる影響が懸念される。そのため、引出し最終端での衝撃を吸収するべく、弾性部材等を用いた衝撃吸収機構を採用することが望まれる。伸縮するスライドレール108が伸び切った最終端で衝撃吸収することからこのスライドレール108に衝撃吸収機構を持たせることが考えられる。
【0072】
図5は、スライドレール108に衝撃吸収機構を持たせた場合の現像剤回収装置の概略構成を示す斜視図である。また、図6は、図5に示された現像剤回収装置における回収収容容器(トレイ106A)の動きを説明するための模式側面図である。
【0073】
図5及び図6に示されるように、装置内スペースの都合から、第1回収容器102Aと第2回収容器102Bとは、それを収容するトレイ106A,106Bとともに近接配置され、スライドレール108a〜108cと108Bとはその高さ方向位置を変えて相互に干渉しないようにしてスペース効率を図っている。不図示ではあるが、これら部材の周囲についても、装置筺体の壁面や他の部材が近接配置され、装置内に余計な空間が極めて少ない状態になっている。
【0074】
したがって、図5及び図6に示すように、トレイ106Aを矢印A方向に引出し弾性部材120aが矢印X方向に移動して弾性部材120bと引出し最終端で衝突するように構成された衝撃吸収機構をスライドレール108a〜108cに装備しようとしても、その狭い空間に配置しなければならず、弾性部材120aと102bとの衝突面の幅が狭く、面積を大きくとることが困難である。
【0075】
これに対して、本実施形態においては、図3に示されるように、衝撃吸収機構の機能を備える引出し動作規制機構110がトレイ106の下方に位置するように配される。そのため、引出し動作規制機構110の構成部材である弾性部材114及び弾性部材118は、トレイ106の幅(矢印Aと垂直かつ水平方向の幅)いっぱいに衝突面を設けることができるので、図5に示す構造に比べて、衝突面全体の面積を広く確保することができる。
【0076】
引出し動作規制機構110は、トレイ106の底面と平行であって、引出し方向(矢印A方向)前後にスライド可能にトレイ106に接続された水平板状部、及び、該水平板状部の引出し方向(矢印A方向)とは逆側の端部で鉛直方向下方に折り曲げられた鉛直方向板状部からなるトレイ側アーム部材(収容箱側停止部材)112と、トレイ側アーム部材112の前記鉛直方向板状部における引出し側の面(矢印A方向を向く面。本願発明に言う「鉛直方向平面」。)に設けられた弾性部材(衝撃吸収部材)114と、弾性部材114に対向する平面(鉛直方向平面)を有するとともに筐体に固定される筐体側アーム部材(筐体側停止部材)116と、該筐体側アーム部材116の弾性部材(衝撃吸収部材)114に対向する平面(鉛直方向平面)に設けられた弾性部材118と、からなる。弾性部材114及び弾性部材118は、例えば天然ゴムや合成ゴム、エラストマーなどの弾性固体が用いられる他、ばねを用いても構わない。
【0077】
トレイ106を矢印A方向に引出すと、弾性部材114と弾性部材118とが衝突し、接触した状態になる。そのまま引出し続けると、図4に示すように、トレイ側アーム部材112がトレイ106の底面を矢印A方向の逆方向にスライドし、トレイ106が筐体の外に出て、トレイ106とトレイ側アーム部材112との間でロックが掛かるまでトレイ106が引出される。トレイ106とトレイ側アーム部材112との間のロックは、引出し最終端で掛かるようになっており(不図示)、このロックにより両者間が固定され、引出しの力が弾性部材114と弾性部材118とが接触した部分に掛かって、弾性部材114及び弾性部材118が弾性変形することで衝撃が緩和されつつ、引出し動作が規制される。
【0078】
このように、引出し動作規制機構110がトレイ106の下方に位置しているので、弾性部材114及び弾性部材118はトレイ106の幅(矢印Aと垂直かつ水平方向の幅)いっぱいに衝突面を設けることができるため、図5及び6に示す構造に比べて、衝突面全体の面積を広く確保することができる。衝突面全体の面積を広くすることで、衝撃を有効に緩和し得るのは勿論、弾性部材114及び弾性部材118への負荷が軽減され、弾性部材114及び弾性部材118の劣化を抑制することができる。したがって、引出し動作規制機構をスライドレール108に組み込んだ場合に比べて、回収容器102が収容された引出し状のトレイ106を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である廃トナーが開口部から噴き出すことによる影響を長期的に抑制することができる。
【0079】
本実施形態では、トレイ側アーム部材112の水平板状部に、引出し方向(矢印A方向)前後へのスライドを可能とする機能を持たせたが、当該機能は筐体側アーム部材116側に持たせることも可能であり、いずれか一方若しくは双方に当該機能を持たせることで、トレイ106を筐体10内外へ水平方向に引出し/格納可能に構成すればよい。このことは、本実施形態のみならず、以降の実施形態の全てにおいて共通する。
【0080】
また、本実施形態では、収容箱側停止部材(トレイ側アーム部材112)及び筐体側停止部材(筐体側アーム部材116)の双方に衝撃吸収部材(弾性部材114及び弾性部材118)が設けられた構成を例示したが、本発明において衝撃吸収部材は、両停止部材における鉛直方向平面のどちらか一方のみに設けられれば、本発明の効果を奏することが期待できる。
【0081】
図7は、筐体側停止部材の鉛直方向平面にのみ衝撃吸収部材が設けられた構成を示す、第1の実施形態の変形例の現像剤回収装置の概略構成を示す斜視図である。本変形例の現像剤回収装置100’は、引出し動作規制機構110’中に衝撃吸収部材として弾性部材118のみが設けられ、第1の実施形態における弾性部材114に相当する部材がない。本変形例の場合には、図7で示されるように、トレイ106を引出すと弾性部材118はトレイ側アーム部材112の鉛直方向平面と衝突し接触した状態になり、引出し最終端でロックが掛かった際に(不図示)両者間が固定され、引出しの力が弾性部材118に掛かって、弾性部材118が弾性変形することで衝撃が緩和されつつ、引出し動作が規制される。
【0082】
本変形例においても、引出し動作規制機構110’がトレイ106の下方に位置しているので、弾性部材118はトレイ106の幅(矢印Aと垂直かつ水平方向の幅)いっぱいに衝突面を設けることができるため、図5に示す構造に比べて、衝突面全体の面積を広く確保することができる。衝突面全体の面積を広くすることで、衝撃の緩和を有効に働かすことができるのは勿論、弾性部材118への負荷が軽減され、弾性部材118の劣化を抑制することができる。したがって、引出し動作規制機構をスライドレール108に組み込んだ場合に比べて、回収容器102が収容された引出し状のトレイ106を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である廃トナーが開口部から噴き出すことによる影響を長期的に抑制することができる。
【0083】
[第2の実施形態]
次に、現像剤回収装置における引出し動作規制機構の構造が第1の実施形態と異なる第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、収容箱側停止部材と筐体側停止部材のみが第1の実施形態と異なるので、これら停止部材のみ図示して説明する。現像剤回収装置の説明については、第1の実施形態の説明で用いた図3及び図4を用いる。
【0084】
図8は、本実施形態における収容箱側停止部材及び筐体側停止部材の機能を説明するための説明図であり、図8(a)は収容箱側停止部材及び筐体側停止部材のみの拡大側面図を、図8(b)はこれに衝撃吸収部材が設けられた拡大側面図を示す。
【0085】
本実施形態では、第1の実施形態における引出し動作規制機構110に代えて、トレイ側アーム部材(収容箱側停止部材)212と、トレイ側アーム部材212の前記鉛直方向板状部における引出し側の面(矢印A方向を向く面。本願発明に言う「鉛直方向平面」。)に設けられた弾性部材(衝撃吸収部材)214と、弾性部材214に対向する平面(鉛直方向平面)を有するとともに筐体に固定される筐体側アーム部材(筐体側停止部材)216と、該筐体側アーム部材216の弾性部材(衝撃吸収部材)214に対向する平面(鉛直方向平面)に設けられた弾性部材218と、からなる引出し動作規制機構210が備えられる。
【0086】
本実施形態における引出し動作規制機構210の構成は、第1の実施形態における引出し動作規制機構110の構成と基本的に同一である。そのため、基本的に同一な構成についての詳細な説明は省略する。ただし、トレイ側アーム部材212及び筐体側アーム部材216を構成する板状体が、共に板ばね機能を有している点が、第1の実施形態と異なる。本実施形態において、トレイ側アーム部材212及び筐体側アーム部材216を構成する板状体は、図8(a)に示すように、二点鎖線の位置から実線の位置まで弾性を以って変形可能な板ばね機能を有する。そのため、トレイ(106)を矢印A方向に引出し、弾性部材214と弾性部材218とが衝突して接触した状態で引出し最終端に達すると、弾性部材214及び弾性部材218の弾性変形の他、トレイ側アーム部材212及び筐体側アーム部材216が、その板ばね機能によって図8(b)に示されるように弾性変形し、引出しの力に基づく衝撃が緩和される。
【0087】
本実施形態では、第1の実施形態と同様、引出し動作規制機構210がトレイ(106)の下方に位置するため、弾性部材214及び弾性部材218の衝突面全体の面積を広く確保することができ、引出し最終端における衝撃を有効に緩和し得るとともに、弾性部材214及び弾性部材218への負荷が軽減され、弾性部材214及び弾性部材218の劣化を抑制することができる。また、本実施形態では、弾性部材214及び弾性部材218の弾性変形のみに頼ることなく、板ばね機能を有するトレイ側アーム部材212及び筐体側アーム部材216によっても衝撃が吸収され、衝撃を有効に緩和し得るのは勿論、弾性部材214及び弾性部材218への負荷が軽減され、弾性部材118の劣化を抑制することができる。したがって、引出し動作規制機構をスライドレール(108)に組み込んだ場合に比べて、回収容器(102)が収容された引出し状のトレイ(106)を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である廃トナーが開口部から噴き出すことによる影響を長期的に抑制することができる。
【0088】
なお、本実施形態では、収容箱側停止部材(トレイ側アーム部材212)及び筐体側停止部材(筐体側アーム部材216)の双方に衝撃吸収部材(弾性部材214及び弾性部材218)が設けられた構成を例示したが、本実施形態においても、両停止部材における鉛直方向平面のどちらか一方のみに衝撃吸収部材が設けられれば、本発明の効果を奏することが期待できる点は、第1の実施形態と同様である。
【0089】
[第3の実施形態]
次に、現像剤回収装置における引出し動作規制機構の構造が第1の実施形態と異なる第3の実施形態について説明する。本実施形態においては、筐体側停止部材及び衝撃吸収部材のみが第1の実施形態と異なるので、基本的に筐体側停止部材のみ図示して説明する。現像剤回収装置の説明については、第1の実施形態の説明で用いた図3及び図4を用いる。
【0090】
図9は、第3の実施形態における筐体側停止部材及び衝撃吸収部材の一部を示す拡大斜視図であり、図10は、引出し最終端における収容箱側停止部材及び筐体側停止部材の動きを説明するための拡大側面図である。
【0091】
本実施形態では、第1の実施形態における筐体側アーム部材116に代えてその形状が異なる筐体側アーム部材(筐体側停止部材)316が、弾性部材114に代えてその幅方向(図3における矢印A方向と垂直かつ水平方向)長さが僅かに切り詰められた弾性部材(衝撃吸収部材)318が、それぞれ備えられる。また、トレイ側アーム部材212及び筐体側アーム部材216を構成する板状体が、共に板ばね機能を有している。これら以外の引出し動作規制機構の構成は、第1の実施形態における引出し動作規制機構110の構成と基本的に同一である。そのため、基本的に同一な構成についての詳細な説明は省略する。
【0092】
図9は、本実施形態における筐体側アーム部材316及び弾性部材318を、図3における矢印A方向の左斜め上方から見た拡大斜視図であり、これらの部材の左端周辺部のみが示されている。
【0093】
筐体側アーム部材316は、板状体を切削及び板金加工して成形されたものであり、その端部が折り曲げられて鉛直方向平面320が形成され、ここに弾性部材318が設けられている。また、筐体側アーム部材316には、弾性部材318の矢印A方向から見た左側で、鉛直方向平面320と弾性部材318の衝突面322を含む平面との間に先止め用鉛直方向平面324が設けられている。不図示ではあるが、先止め用鉛直方向平面は弾性部材318の矢印A方向から見た右側にも設けられている。
【0094】
トレイ(106)を矢印A方向に引出すと、図10に示されるように、その途中で弾性部材314の鉛直方向平面326が、弾性部材318の衝突面322と衝突し、弾性部材318が弾性変形する。そして、そのまま鉛直方向平面326が進行すると、最終端で、弾性部材314及び弾性部材318の弾性変形と共に、弾性部材314の鉛直方向平面326’の水平方向両端が先止め用鉛直方向平面324と衝突することで引出し動作が規制される。
【0095】
本実施形態では、第1の実施形態と同様、引出し動作規制機構(110)がトレイ(106)の下方に位置するため、弾性部材314及び弾性部材318の衝突面全体の面積を広く確保することができ、引出し最終端における衝撃を有効に緩和し得るとともに、弾性部材314及び弾性部材318への負荷が軽減され、弾性部材314及び弾性部材318の劣化を抑制することができる。したがって、引出し動作規制機構をスライドレール(108)に組み込んだ場合に比べて、回収容器(102)が収容された引出し状のトレイ(106)を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である廃トナーが開口部から噴き出すことによる影響を長期的に抑制することができる。
【0096】
また、本実施形態では、先に柔らかな弾性部材314及び弾性部材318により衝撃を吸収し、次に残りの衝撃を、板ばね機能を有する板状体からなる先止め用鉛直方向平面324により吸収することによって効果的に衝撃を吸収することで、弾性部材314及び弾性部材318が無制限に変形することなく、予め設定した変形量に達した際に弾性部材314が先止め用鉛直方向平面324と衝突して引出し動作が規制されるため、弾性部材314及び弾性部材318への負荷が過大になることがなく、弾性部材314及び弾性部材318を塑性変形してしまわない程度までしか押しつぶさないように調整することができ、その劣化をより抑制することができる。
【0097】
なお、本実施形態では、収容箱側停止部材(トレイ側アーム部材312)及び筐体側停止部材(筐体側アーム部材316)の双方に衝撃吸収部材(弾性部材314及び弾性部材318)が設けられた構成を例示したが、本実施形態においても、両停止部材における鉛直方向平面のどちらか一方のみに衝撃吸収部材が設けられれば、本発明の効果を奏することが期待できる点は、第1の実施形態と同様である。
【0098】
また、本実施形態では、筐体側アーム部材316、即ち筐体側停止部材に先止め用鉛直方向平面324が設けられた構成を例に挙げたが、先止め用鉛直方向平面はトレイ側アーム部材312、即ち収容箱側停止部材に設けられても構わない。その場合、図9及び図10における筐体側停止部材と収容箱側停止部材との関係が入れ替わる。
【0099】
[第4の実施形態]
次に、現像剤回収装置における引出し動作規制機構の構造が第1の実施形態と異なる第4の実施形態について説明する。本実施形態においては、筐体側停止部材及び衝撃吸収部材のみが第1の実施形態と異なるので、基本的に筐体側停止部材のみ図示して説明する。現像剤回収装置の説明については、第1の実施形態の説明で用いた図3及び図4を用いる。
【0100】
図11は、第4の実施形態における筐体側停止部材及び衝撃吸収部材の一部を示す拡大斜視図であり、図12は、引出し最終端における収容箱側停止部材及び筐体側停止部材の動きを説明するための拡大側面図である。
【0101】
本実施形態では、第1の実施形態における筐体側アーム部材116に代えてその形状が異なる筐体側アーム部材(筐体側停止部材)416が、弾性部材118に代えてその幅方向(図3における矢印A方向と垂直かつ水平方向)長さが僅かに切り詰められた弾性部材(衝撃吸収部材)418が、それぞれ備えられる。また、トレイ側アーム部材112の弾性部材114に代えて、その幅方向(図3における矢印A方向と垂直かつ水平方向)長さが僅かに切り詰められた弾性部材(衝撃吸収部材)414が備えられる。弾性部材418及び弾性部材414は、前記幅方向長さが、略同じ長さになっている。これら以外の引出し動作規制機構の構成は、第1の実施形態における引出し動作規制機構110の構成と基本的に同一である。そのため、基本的に同一な構成についての詳細な説明は省略する。
【0102】
筐体側アーム部材416は、板状体を切削及び板金加工して成形されたものであり、その端部が折り曲げられて鉛直方向平面420が形成され、ここに弾性部材418が設けられている。また、筐体側アーム部材416には、弾性部材418の矢印A方向から見た左側で、弾性部材418よりも手前の水平方向平面430から上方に立ち上がる傾斜面428が設けられている。不図示ではあるが、傾斜面は弾性部材418の矢印A方向から見た右側にも設けられている。
【0103】
トレイ(106)を矢印A方向に引出すと、図12に示されるように、引出し最終端手前で弾性部材414の鉛直方向平面426が弾性部材418とぶつかり弾性部材414と弾性部材418とが圧縮されることによって衝撃を吸収していく途中で、トレイ側アーム部材412が傾斜面428に乗り上がる抵抗により引出し最終端の直前の衝撃を吸収し、傾斜面428がトレイ側アーム部材412に押し下げられ矢印H方向に弾性変形することで引出し動作が規制される。
【0104】
本実施形態では、第1の実施形態と同様、引出し動作規制機構(110)がトレイ(106)の下方に位置するため、弾性部材414及び弾性部材418の衝突面全体の面積を広く確保することができ、引出し最終端における衝撃を有効に緩和し得るとともに、弾性部材414及び弾性部材418への負荷が軽減され、弾性部材414及び弾性部材418の劣化を抑制することができる。したがって、引出し動作規制機構をスライドレール(108)に組み込んだ場合に比べて、回収容器(102)が収容された引出し状のトレイ(106)を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である廃トナーが開口部から噴き出すことによる影響を長期的に抑制することができる。
【0105】
また、本実施形態では、最終端に達する前にトレイ側アーム部材412が傾斜面428に乗り上げながら進行するので、その負荷が引出しする者に感触として伝わり、引出し最終端に近づいたことを引出しする者は認識することができる。一方、傾斜面428に乗り上がることによる負荷は、引出し方向における衝撃吸収範囲を広くして衝撃をより効果的に吸収することができる。特に、当該傾斜面428の傾きを緩やかに調整することで、この衝撃吸収範囲をより一層広く取ることができる。
【0106】
なお、本実施形態では、収容箱側停止部材(トレイ側アーム部材412)及び筐体側停止部材(筐体側アーム部材416)の双方に衝撃吸収部材(弾性部材414及び弾性部材418)が設けられた構成を例示したが、本実施形態においても、両停止部材における鉛直方向平面のどちらか一方のみに衝撃吸収部材が設けられれば、本発明の効果を奏することが期待できる点は、第1の実施形態と同様である。
【0107】
また、本実施形態では、筐体側アーム部材416、即ち筐体側停止部材に傾斜面428が設けられた構成を例に挙げたが、傾斜面はトレイ側アーム部材412、即ち収容箱側停止部材に設けられても構わない。その場合、図11及び図12における筐体側停止部材と収容箱側停止部材との関係が入れ替わる。
【0108】
[第5の実施形態]
次に、現像剤回収装置における引出し動作規制機構の構造が第1の実施形態と異なる第5の実施形態について説明する。本実施形態においては、筐体側停止部材及び衝撃吸収部材のみが第1の実施形態と異なるので、基本的に筐体側停止部材のみ図示して説明する。現像剤回収装置の説明については、第1の実施形態の説明で用いた図3及び図4を用いる。
【0109】
図13は、第5の実施形態における筐体側停止部材及び衝撃吸収部材の一部を示す拡大斜視図であり、図14は、引出し最終端における収容箱側停止部材及び筐体側停止部材の動きを説明するための拡大側面図である。
【0110】
本実施形態では、第1の実施形態における筐体側アーム部材116に代えてその形状が異なる筐体側アーム部材(筐体側停止部材)516が、弾性部材118に代えてその幅方向(図3における矢印A方向と垂直かつ水平方向)長さが僅かに切り詰められた弾性部材(衝撃吸収部材)518が、それぞれ備えられる。また、トレイ側アーム部材112の弾性部材114に代えて、その幅方向(図3における矢印A方向と垂直かつ水平方向)長さが僅かに切り詰められた弾性部材(衝撃吸収部材)514が備えられる。弾性部材518及び弾性部材514は、前記幅方向長さが、略同じ長さになっている。これら以外の引出し動作規制機構の構成は、第1の実施形態における引出し動作規制機構110の構成と基本的に同一である。そのため、基本的に同一な構成についての詳細な説明は省略する。
【0111】
筐体側アーム部材516は、板状体を切削及び板金加工して成形されたものであり、その端部が折り曲げられて鉛直方向平面520が形成され、ここに弾性部材518が設けられている。また、筐体側アーム部材516には、弾性部材518の矢印A方向から見た左側で、弾性部材518のよりも手前の水平方向平面530から上方に立ち上がる傾斜面528が設けられ、傾斜面528に続いて鉛直方向平面520より手前で弾性部材518の衝突面522より後方に先止め用鉛直方向平面524が設けられている。不図示ではあるが、傾斜面及び先止め用鉛直方向平面は弾性部材518の矢印A方向から見た右側にも設けられている。
【0112】
トレイ(106)を矢印A方向に引出すと、図14に示されるように、引出し最終端手前で弾性部材514の鉛直方向平面526が弾性部材518とぶつかり弾性部材514と弾性部材518とが圧縮されることによって衝撃を吸収していく途中で、トレイ側アーム部材512が傾斜面528に乗り上がる抵抗により引出し最終端の直前の衝撃を吸収し、傾斜面528がトレイ側アーム部材512に押し下げられ矢印B方向に弾性変形する。そして引出し最終端で、弾性部材514及び弾性部材518の弾性変形と共に、トレイ側アーム部材512が先止め用鉛直方向平面524と衝突することで引出し動作が規制される。
【0113】
本実施形態では、第1の実施形態と同様、引出し動作規制機構(110)がトレイ(106)の下方に位置するため、弾性部材514及び弾性部材518の衝突面全体の面積を広く確保することができ、引出し最終端における衝撃を有効に緩和し得るとともに、弾性部材514及び弾性部材518への負荷が軽減され、弾性部材514及び弾性部材518の劣化を抑制することができる。したがって、引出し動作規制機構をスライドレール(108)に組み込んだ場合に比べて、回収容器(102)が収容された引出し状のトレイ(106)を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である廃トナーが開口部から噴き出すことによる影響を長期的に抑制することができる。
【0114】
また、本実施形態では、最終端に達する前にトレイ側アーム部材512が傾斜面528を乗り上げながら進行するので、その負荷が引出しする者に感触として伝わり、引出し最終端に近づいたことを引出しする者は認識することができる。一方、傾斜面528に乗り上がることによる負荷は、引出し方向における衝撃吸収範囲を広くして衝撃をより効果的に吸収することができる。特に、当該傾斜面528の傾きを緩やかに調整することで、この衝撃吸収範囲をより一層広く取ることができる。
【0115】
さらに、本実施形態では、先に柔らかな弾性部材514及び弾性部材518により衝撃を吸収し、次に残りの衝撃を、板ばね機能を有する板状体からなる先止め用鉛直方向平面524により吸収することによって効果的に衝撃を吸収することで、弾性部材514及び弾性部材518が無制限に変形することなく、予め設定した変形量に達した際に弾性部材514が先止め用鉛直方向平面524と衝突して引出し動作が規制されるため、弾性部材514及び弾性部材518への負荷が過大になることがなく、弾性部材514及び弾性部材518を塑性変形してしまわない程度までしか押しつぶさないように調整することができ、その劣化をより抑制することができる。
【0116】
なお、本実施形態では、収容箱側停止部材(トレイ側アーム部材512)及び筐体側停止部材(筐体側アーム部材516)の双方に衝撃吸収部材(弾性部材514及び弾性部材518)が設けられた構成を例示したが、本実施形態においても、両停止部材における鉛直方向平面のどちらか一方のみに衝撃吸収部材が設けられれば、本発明の効果を奏することが期待できる点は、第1の実施形態と同様である。
【0117】
また、本実施形態では、筐体側アーム部材516、即ち筐体側停止部材に傾斜面528及び先止め用鉛直方向平面524が設けられた構成を例に挙げたが、傾斜面及び先止め用鉛直方向平面はトレイ側アーム部材512、即ち収容箱側停止部材に設けられても構わない。その場合、図13及び図14における筐体側停止部材と収容箱側停止部材との関係が入れ替わる。
【0118】
[第6の実施形態]
次に、現像剤回収装置における引出し動作規制機構の構造が第1の実施形態と異なる第6の実施形態について説明する。本実施形態においては、筐体側停止部材及び衝撃吸収部材のみが第1の実施形態と異なるので、基本的に筐体側停止部材のみ図示して説明する。現像剤回収装置の説明については、第1の実施形態の説明で用いた図3及び図4を用いる。
【0119】
図15は、第6の実施形態における筐体側停止部材及び衝撃吸収部材の一部を示す拡大斜視図であり、図16は、引出し最終端における収容箱側停止部材及び筐体側停止部材の動きを説明するための拡大側面図である。
【0120】
本実施形態では、第1の実施形態における筐体側アーム部材116に代えてその形状が異なる筐体側アーム部材(筐体側停止部材)616が、弾性部材118に代えてその幅方向(図3における矢印A方向と垂直かつ水平方向)長さが僅かに切り詰められた弾性部材(衝撃吸収部材)618が、それぞれ備えられる。また、トレイ側アーム部材112の弾性部材114に代えて、その幅方向(図3における矢印A方向と垂直かつ水平方向)長さが僅かに切り詰められた弾性部材(衝撃吸収部材)614が備えられる。弾性部材618及び弾性部材614は、前記幅方向長さが、略同じ長さになっている。これら以外の引出し動作規制機構の構成は、第1の実施形態における引出し動作規制機構110の構成と基本的に同一である。そのため、基本的に同一な構成についての詳細な説明は省略する。
【0121】
筐体側アーム部材616は、板状体を切削及び板金加工して成形されたものであり、その端部が折り曲げられて鉛直方向平面620が形成され、ここに弾性部材618が設けられている。また、筐体側アーム部材616には、弾性部材618の矢印A方向から見た左側で、弾性部材618のよりも手前の水平方向平面630から上方に立ち上がる傾斜面628が設けられ、傾斜面628に続いて弾性部材618の衝突面622より後方に停止用水平方向平面632が設けられ、さらに停止用水平方向平面632に続いて鉛直方向平面620より手前に先止め用鉛直方向平面624が設けられている。不図示ではあるが、傾斜面、停止用水平方向平面及び先止め用鉛直方向平面は弾性部材618の矢印A方向から見た右側にも設けられている。
【0122】
トレイ(106)を矢印A方向に引出すと、図16に示されるように、引出し最終端手前で弾性部材614の鉛直方向平面626が弾性部材618とぶつかり弾性部材614と弾性部材618とが圧縮されることによって衝撃を吸収していく途中で、トレイ側アーム部材612が傾斜面628に乗り上がる抵抗により引出し最終端の直前の衝撃を吸収し、傾斜面628がトレイ側アーム部材612に押し下げられ矢印B方向に弾性変形する。そのまま進行すると、今度は、図16に示されるように、引出し最終端直前で停止用水平方向平面632に乗り上げ、次いでトレイ側アーム部材612が、衝突面624と衝突することで引出し動作が規制される。
【0123】
本実施形態では、第1の実施形態と同様、引出し動作規制機構(110)がトレイ(106)の下方に位置するため、弾性部材614及び弾性部材618の衝突面全体の面積を広く確保することができ、引出し最終端における衝撃を有効に緩和し得るとともに、弾性部材614及び弾性部材618への負荷が軽減され、弾性部材614及び弾性部材618の劣化を抑制することができる。したがって、引出し動作規制機構をスライドレール(108)に組み込んだ場合に比べて、回収容器(102)が収容された引出し状のトレイ(106)を引出した際に、引出し最終端における衝撃で内容物である廃トナーが開口部から噴き出すことによる影響を長期的に抑制することができる。
【0124】
また、本実施形態では、最終端に達する前にトレイ側アーム部材612が傾斜面628を乗り上げながら進行するので、その負荷が引出しする者に感触として伝わり、引出し最終端に近づいたことを引出しする者は認識することができる。
【0125】
さらに、本実施形態では、トレイ側アーム部材612が傾斜面628を乗り上げながら進行する際の負荷が、停止用水平方向平面632への乗り上げにより解放されることで、それが引出しする者に感触として伝わり、引出し最終端に到達したことを引出しする者は認識することができる。これは、引出しする者に、引出し完了の「クリック感」として認識されるものである。そして、停止用水平方向平面632への乗り上げた状態で引出し動作を完了させると、ロックが掛かった状態になり、トレイ(106)が引出された状態が固定される。
【0126】
加えて、本実施形態では、弾性部材614及び弾性部材618が無制限に変形することなく、予め設定した変形量に達した際に弾性部材614が先止め用鉛直方向平面624と衝突して引出し動作が規制されるため、弾性部材614及び弾性部材618への負荷が過大になることがなく、弾性部材614及び弾性部材618の劣化をより抑制することができる。
【0127】
ただし、本実施形態では、弾性部材614が先止め用鉛直方向平面624に達する前に停止用水平方向平面632への乗り上げによる「クリック感」が引出しする者に伝わり、これを引出し最終端と認識することができるため、弾性部材614が先止め用鉛直方向平面624に達する前に引出し動作を終了することができる。したがって、本実施形態の構成にあっては、先止め用鉛直方向平面によって積極的に引出し動作を規制する必要性は必ずしも無く、先止め用鉛直方向平面を設けなくても同様の効果を奏することが期待できる。勿論、トレイ(106)を勢いよく引出した場合には、クリック感の有無に関係なく最終端まで引出されるので、先止め用鉛直方向平面を設けた方が弾性部材614及び弾性部材618への負荷が過大になることがなく、弾性部材614及び弾性部材618の劣化をより抑制することができる。
【0128】
なお、本実施形態では、収容箱側停止部材(トレイ側アーム部材612)及び筐体側停止部材(筐体側アーム部材616)の双方に衝撃吸収部材(弾性部材614及び弾性部材618)が設けられた構成を例示したが、本実施形態においても、両停止部材における鉛直方向平面のどちらか一方のみに衝撃吸収部材が設けられれば、本発明の効果を奏することが期待できる点は、第1の実施形態と同様である。
【0129】
また、本実施形態では、筐体側アーム部材616、即ち筐体側停止部材に傾斜面628、停止用水平方向平面632及び先止め用鉛直方向平面624が設けられた構成を例に挙げたが、傾斜面及び停止用水平方向平面632(必要に応じてさらに先止め用鉛直方向平面)はトレイ側アーム部材612、即ち収容箱側停止部材に設けられても構わない。その場合、図15及び図16における筐体側停止部材と収容箱側停止部材との関係が入れ替わる。
【0130】
<<第2の本発明>>
次に第2の本発明について説明する。
第2の本発明の現像剤回収装置は、
上部に廃トナーを注ぎ入れる開口部を有し、該廃トナーを回収し収容する回収収容容器と、
上方に開口し前記回収収容容器の少なくとも下部を収容する収容箱と、
装置の筐体に一端が固定されると共に前記収容箱を支持し、前記回収収容容器を収容した状態の前記収容箱を前記筐体内外へ水平方向に引出し/格納自在に伸縮する支持部材と、
前記収容箱の引出し最終端において、該収容箱に収容された前記回収収容容器を、前記収容箱の引出し方向とは逆方向に傾ける回収収容容器傾倒手段と、
を含むことを特徴とする。
【0131】
図17は、第2の本発明の構成を説明するための模式側断面図である。当該図においては、現像剤回収装置の基本構成を説明するべく、上部に廃トナーを注ぎ入れる開口部104を有し、該廃トナーを回収して収容する回収容器(回収収容容器)102と、上方に開口し回収容器102の下部を収容するトレイ(収容箱)106の2つの部材のみが示されている。第2の本発明においては、これらの他、第1の実施形態におけるスライドレール108に相当する支持部材と回収収容容器傾倒手段とが必須の構成となる。また、トレイ106には、引出し者が掴んで引出すための把手164が設けられている。
【0132】
なお、これらの部材は、以下に示す第2の本発明に特徴的な構成を除き、基本的に第1の本発明の場合と同様であるため、第1の実施形態で説明した内容がそのまま適用される。
【0133】
トレイ106が装置の筐体内に格納された状態では、回収容器102は二点鎖線に示された状態でトレイ106に収容されている。第2の本発明においては、この状態から矢印A方向にトレイ106が引出され、装置の筐体外に位置する引出し最終端に達すると、不図示の回収収容容器傾倒手段によって回収容器102がトレイ106の引出し方向(矢印A方向)とは逆方向に傾けられ、図中の実線で表される状態になる。
【0134】
引出し最終端において、このように引出しをする者が位置する場所であるトレイ106の把手164側から遠ざかる方向に開口部104が向くように回収容器102が傾けられるため、たとえ引出し最終端での衝撃によって内容物である廃トナーが開口部104から噴き出した場合であっても、引出しをする者への影響を抑制することができる。
第2の本発明においては、開口部104が動くため、内容物である廃トナーが開口部104から噴き出す場合がある。勿論、噴き出した場合にも上記のように引出しする者への影響が抑制されるが、トレイ106の引出し方向手前側に噴き出すこと自体を抑制するべく、回収容器102が傾けられた際に開口部104を塞ぐように移動する蓋体を設けることができる。
【0135】
図18は、第2の本発明において、回収収容容器の開口部から収容箱の引出し方向手前側に内容物が噴き出すことを抑制するための蓋体を設けた改良策を説明する説明図である。図18においては、回収容器(回収収容容器)102’のみが側面方向から描かれており、二点鎖線及び波線はトレイ106が装置の筐体内に格納された状態を示し、実線は、トレイ106が引出されその最終端においてトレイ106の引出し方向(矢印A方向)とは逆方向に傾けられた状態を示す。
【0136】
図18に示されるように、本改良策において回収容器102’には、その内面における開口部104’周辺のトレイ106の引出し方向(矢印A方向)側の領域に、重力に応じて鉛直方向に垂下するように蓋体166が取り付けられている。この蓋体166は、トレイ106の引出し最終端において回収容器102’が傾けられた際に、実線で示されるように、回収容器102’内で開口部104’側に重力の作用で移動して、開口部104’を塞ぐように位置し、収容された廃トナーが開口部104’からトレイ106の引出し方向手前側に噴き出すことが抑制される。
【0137】
回収収容容器傾倒手段としては、引出し最終端において、トレイ106に収容された回収容器102をトレイ106の引出し方向(矢印A方向)とは逆方向に傾けることができる手段であれば如何なる態様のものも採用可能である。以下に、回収収容容器傾倒手段の異なる実施形態を挙げて、第2の本発明の具体例を説明する。
【0138】
[第7の実施形態]
まず、第2の本発明の例示的一態様である第7の実施形態について説明する。画像形成装置の説明については、第1の実施形態の説明で用いた図1及び図2を用いる。
【0139】
図19は、本実施形態の現像剤回収装置の概略構成を示す模式側断面図である。図19に示すように、本実施形態の現像剤回収装置は、上部に廃トナーを注ぎ入れる開口部704を有し、該廃トナーを回収して収容する回収容器(回収収容容器)702(図1及び図2における102A,102Bに相当)と、上方に開口し回収容器702の下部を収容するトレイ(収容箱)706と、排紙ユニット1Cの筐体10(図1参照)に一端が固定されるとともにトレイ706を支持し、回収容器702を収容した状態のトレイ706を筐体10内外へ水平方向に引出し/格納自在に伸縮するスライドレール(支持部材、不図示、図3参照)とからなる一般的な構成に、回収容器傾倒機構(回収収容容器傾倒手段)730を備えてなるものである。なお、当該図19は、トレイ706が排紙ユニット1Cの筐体10内に格納された状態を表すものである。
【0140】
回収容器傾倒機構(回収収容容器傾倒手段)730は、大きく分けて、筐体側アーム部材726とトレイ側アーム部材768(732〜740)とからなり、これらがトレイ706の下方に位置するように配されている。
【0141】
筐体側アーム部材726は板状体からなり、一端が筐体10に固定され(不図示)他端は折り曲げられて、引出し方向(矢印A方向)に対向する向きに鉛直方向平面が形成されるとともに、当該鉛直方向平面に弾性部材728が設けられてなる。これは、第1の実施形態における筐体側アーム部材116と基本的に同じ構造である。これに対して、トレイ側アーム部材732〜738は、第1の実施形態におけるトレイ側アーム部材112と大きくその構造が異なっている。
【0142】
トレイ側アーム部材768は、軸740を中心として回転可能にトレイ706に固定された(不図示)板状体からなる第1アーム部材732と、トレイ706の底面と平行であって、引出し方向(矢印A方向)前後にスライド可能に配された水平板状部、及び、該水平板状部の引出し方向(矢印A方向)とは逆側の端部で鉛直方向下方に折り曲げられた鉛直方向板状部からなる第2アーム部材734と、からなる。
【0143】
第2アーム部材734の鉛直方向板状部は、筐体側アーム部材726に設けられた弾性部材728と対向するように位置し、トレイ706が引出された際にこれにつられて矢印A方向に移動して弾性部材728の対向面と衝突するようになっている。
【0144】
第1アーム部材732における軸740の引出し方向(矢印A方向)とは逆側の上面に、矢印A方向に向かって漸次厚みが減少する傾斜面736が形成されるとともに、第2アーム部材734における鉛直方向板状部とは逆の端部の下面に、矢印A方向に向かって漸次厚みが増加する傾斜面738が形成され、傾斜面736と傾斜面738とが対向接触するように構成されている。なお、図19においては、両者が接触した状態が描かれているが、両者はトレイ706の筐体10への格納時に必ずしも接触していなくてもよく、トレイ706を引出すことによって第1アーム部材732が矢印A方向に移動する過程で両者が接触するように構成されていれば構わない。
【0145】
第1アーム部材732における引出し方向(矢印A方向)側の端部近傍には、上方に向けて立ち上がる突起742が設けられ、トレイ706の底面に穿たれた孔744に貫入して、その先端が回収容器702の引出し方向(矢印A方向)寄りの底面に達している。
【0146】
図20は、本実施形態の現像剤回収装置における引出し最終端での各部材の関係を説明するための模式側断面図である。図19及び図20を用いて、本実施形態の作用について説明する。
【0147】
トレイ706を矢印A方向に引出すと、トレイ706に軸740で固定された第1アーム部材732も矢印A方向に移動する。そして、これらに連れて、傾斜面736と対向接触する傾斜面738が形成された第2アーム部材734も矢印A方向に移動し、その鉛直方向平面が、筐体側アーム部材726に設けられた弾性部材728と衝突し接触する。そのまま引出し続けると、図20に示すように、第2アーム部材734の傾斜面738を第1アーム部材732の傾斜面736を滑るようにスライドし、この両傾斜面の厚み変動によって第1アーム部材732の引出し方向(矢印A方向)とは反対側の端部が押し下げられる。すると、第1アーム部材732は、軸740を中心に回転運動して引出し方向(矢印A方向)側の端部が押し上げられる方向(矢印D方向)に移動して、トレイ706底面の孔744に貫入する突起742が回収容器702の引出し方向(矢印A方向)寄りの底面を押し上げ、回収容器702がトレイ706の引出し方向(矢印A方向)とは逆方向に傾けられる。
【0148】
引出し最終端において、このように引出しする者が位置する場所であるトレイ706の把手764側から遠ざかる方向に開口部704が向くように回収容器702が傾けられるため、たとえ引出し最終端での衝撃によって内容物である廃トナーが開口部704から噴き出した場合であっても、引出しする者への影響を抑制することができる。
【0149】
また、トレイ706の引出しによる水平方向の駆動力を、その最終端において垂直方向上方への駆動力に変換し、当該駆動力により、トレイ706に収容された回収容器702における引出し方向(矢印A方向)寄りの底面を押し上げるように構成されているため、引出し最終端で回収容器702の底面を押し上げる負荷がトレイ706の引出しによる水平方向の駆動力にブレーキをかける(制動する)作用を示す。したがって、本実施形態によれば、引出し最終端における衝撃を緩和することができ、回収容器702の内容物である廃トナーが開口部704から噴き出すことによる影響を抑制することができる。
【0150】
なお、引出したトレイ706を矢印A方向とは逆方向に動かして元に戻すと、全ての部材が基本的に引出し時と逆の動きを示して、傾けられた回収容器702が元に戻り、トレイ706が元通り筐体10内に格納される。
【0151】
[第8の実施形態]
第2の本発明の例示的一態様である第8の実施形態について説明する。画像形成装置の説明については、第1の実施形態の説明で用いた図1及び図2を用いる。
【0152】
図21は、本実施形態の現像剤回収装置の概略構成を示す模式側面図であり、図22は、図21におけるE−E矢視断面図である。図21及び図22に示すように、本実施形態の現像剤回収装置は、上部に廃トナーを注ぎ入れる開口部804を有し、該廃トナーを回収して収容する回収容器(回収収容容器)802(図1及び図2における102A,102Bに相当)と、上方に開口し回収容器802の下部を収容するトレイ(収容箱)806と、排紙ユニット1Cの筐体10(図1参照)に一端が固定されるとともにトレイ806を支持し、回収容器802を収容した状態のトレイ806を筐体10内外へ水平方向に引出し/格納自在に伸縮するスライドレール(支持部材)808とからなる一般的な構成に、回収容器傾倒機構(回収収容容器傾倒手段)830を備えてなるものである。なお、図21は、トレイ806が排紙ユニット1Cの筐体10内から若干引出された状態を表すものである。
【0153】
スライドレール808は伸縮する構造であり、トレイ806を矢印A方向に引出した際に2段階に延びるようになっている。当該スライドレール808の構造や機能は、第1の実施形態で図4を用いて説明したスライドレール108と同様であり、重複した説明は割愛する。
【0154】
回収容器傾倒機構(回収収容容器傾倒手段)830は、大きく分けて、筐体側アーム部材826と回収容器傾倒部材846とからなり、筐体側アーム部材826の全部と回収容器傾倒部材846の一部がトレイ806の下方に位置するように配されている。
【0155】
筐体側アーム部材826は板状体からなり、一端が筐体10に固定され(不図示)他端は折り曲げられて、引出し方向(矢印A方向)に対向する向きに鉛直方向平面が形成されるとともに、当該鉛直方向平面に弾性部材828が設けられてなる。これは、第1の実施形態における筐体側アーム部材116と基本的に同じ構造である。
【0156】
回収容器傾倒部材846は、図22に示されるように、矢視E方向から見て上部が開口したコの字型を有し、その側面は図21に示されるように引出し方向(矢印A方向)と逆側に斜辺を有し、他の二辺が水平及び鉛直に配された直角三角形状となっている。当該側面の最上部に位置する頂点には、両側面を橋渡しするようにシャフト848が取り付けられ、当該シャフト848は、トレイ806の両側面に穿たれた孔850を介してトレイ806内を貫通している。トレイ806内においてシャフト848は、回収容器802における上下方向重心高さより上方で接近した位置になるように配されている。孔850はシャフト848が貫通する位置よりも引出し方向(矢印A方向)とは逆側に広がっている。
【0157】
回収容器傾倒部材846の側面における底辺の引出し方向(矢印A方向)と逆側の頂点からは、上方が開口したコの字型形状の底面が延伸し、その先端で鉛直方向下方に折り曲げられて、筐体側アーム部材826の鉛直方向平面に設けられた弾性部材828に対向する鉛直方向平面820が形成されている。
【0158】
図23は、本実施形態の現像剤回収装置における引出し最終端での各部材の関係を説明するための模式側面図である。図21〜図23を用いて、本実施形態の作用について説明する。
【0159】
トレイ806を矢印A方向に引出すと、トレイ806内で回収容器802側面にシャフト848が接触し、それに連れて回収容器傾倒部材846も矢印A方向に移動して、引出し最終端手前で、図23に示すように、回収容器傾倒部材846の鉛直方向平面820が弾性部材828に衝突して回収容器傾倒部材846の矢印A方向への動きが制止される。そのまま引出し続けると、引出し最終端において、動きが規制された回収容器傾倒部材846に固定されたシャフト848が、トレイ806に対して相対的に矢印A方向とは逆方向へ動き、回収容器802側面を矢印A方向とは逆方向に押し込み、回収容器802がトレイ806の引出し方向とは逆方向(矢印C方向)に傾けられる。
【0160】
引出し最終端において、このように引出しする者が位置する場所であるトレイ806の把手864側から遠ざかる方向に開口部804が向くように回収容器802が傾けられるため、たとえ引出し最終端での衝撃によって内容物である廃トナーが開口部804から噴き出した場合であっても、引出しする者への影響を抑制することができる。
【0161】
また、トレイ806の引出しによる水平方向の駆動力を、その最終端において逆方向への駆動力に変換し、当該駆動力により、トレイ806に収容された回収容器802における上下方向重心高さより上方で当該回収容器802における引出し方向(矢印A方向)側の面を押し込むように構成されているため、引出し最終端で回収容器802の側面を押し込む負荷がトレイ806の引出しによる水平方向の駆動力にブレーキをかける(制動する)作用を示す。したがって、本実施形態によれば、引出し最終端における衝撃を緩和することができ、回収容器802の内容物である廃トナーが開口部804から噴き出すことによる影響を抑制することができる。
【0162】
なお、引出したトレイ806を矢印A方向とは逆方向に動かして元に戻すと、全ての部材が基本的に引出し時と逆の動きを示して、傾けられた回収容器802が元に戻り、トレイ806が元通り筐体10内に格納される。
【0163】
[第9の実施形態]
第2の本発明の例示的一態様である第9の実施形態について説明する。画像形成装置の説明については、第1の実施形態の説明で用いた図1及び図2を用いる。
【0164】
図24は、本実施形態の現像剤回収装置の概略構成を示す模式側面図であり、図25は、図24におけるF−F矢視断面図である。図24及び図25に示すように、本実施形態の現像剤回収装置は、上部に廃トナーを注ぎ入れる開口部904を有し、該廃トナーを回収して収容する回収容器(回収収容容器)902(図1及び図2における102A,102Bに相当)と、上方に開口し回収容器902の下部を収容するトレイ(収容箱)906と、排紙ユニット1Cの筐体10(図1参照)に一端が固定されるとともにトレイ906を支持し、回収容器902を収容した状態のトレイ906を筐体10内外へ水平方向に引出し/格納自在に伸縮するスライドレール(支持部材)908a〜908cとからなる一般的な構成に、回収容器傾倒機構(回収収容容器傾倒手段)を備えてなるものである。なお、当該図24は、トレイ906が排紙ユニット1Cの筐体10内から若干引出された状態を表すものである。
【0165】
スライドレール908(908a〜908c)は伸縮する構造であり、トレイ906を矢印A方向に引出した際に2段階に延びるようになっている。すなわち、スライドレール908a〜908cは、筐体10に固定された第1レール部材908aに引出し自在に第2レール部材908bが挿入され、かつ、その第2レール部材908bに引出し自在に第3レール部材908cが挿入され、その第3レール部材908cがトレイ906を支持し、トレイ906を筐体10内外へ水平方向に引出し/格納自在に構成されてなるものである。当該スライドレール908a〜908cの構造や機能は、第1の実施形態で図4を用いて説明したスライドレール108と近似しているが、本実施形態においては第3レール部材908cとトレイ906との間が固定されておらず、両者間に後述する回収容器傾倒機構に係る構成が含まれる。ただし、当該回収容器傾倒機構に係る構成を除き、第1の実施形態で図4を用いて説明したスライドレール108と略同様であり、同様の構成についての重複した説明は割愛する。
【0166】
本実施形態において、回収容器傾倒機構は以下のとおりである。
図25に示されるように、第3レール部材908cは、矢視F方向から見てトレイ906の左右に一対配されている(勿論、第1レール部材908a及び第2レール部材908bにおいても同様)。当該第3レール部材908cの引出し方向(矢印A方向)先端近傍に、一対の第3レール部材908cを橋渡しするようにシャフト948が取り付けられ、当該シャフト948は、トレイ906の両側面に穿たれた孔950を介してトレイ906内を貫通している。トレイ906内においてシャフト948は、回収容器902における上下方向重心高さより上方で接近した位置になるように配されている。孔950はシャフト948が貫通する位置よりも引出し方向(矢印A方向)とは逆側に広がっている(不図示)。また、シャフト948には孔950の上辺が乗って、トレイ906が水平方向に移動可能な状態で、回収容器902を含むトレイ906の重力の少なくとも一部が荷重されて、スライドレール908a〜908cによってトレイ906が支持されている。
【0167】
図26は、本実施形態の現像剤回収装置における引出し最終端での各部材の関係を説明するための模式側面図である。図24〜図26を用いて、本実施形態の作用について説明する。
【0168】
トレイ906を矢印A方向に引出すと、トレイ906内で回収容器902側面にシャフト948が接触し、それに連れて第3レール部材908cも矢印A方向に移動して、スライドレール908a〜908cが引き伸ばされ、引出し最終端手前で全部引き伸ばされてロックが掛かる(不図示)。そして、そのまま引出し続けると、引出し最終端において、図26に示すように、伸び切って動きが規制された第3レール部材908cに固定されたシャフト948が、トレイ906に対して相対的に矢印A方向とは逆方向へ動き、回収容器902側面を矢印A方向とは逆方向に押し込み、回収容器902がトレイ906の引出し方向とは逆方向(矢印C方向)に傾けられる。
【0169】
引出し最終端において、このように引出しする者が位置する場所であるトレイ906の把手964側から遠ざかる方向に開口部904が向くように回収容器902が傾けられるため、たとえ引出し最終端での衝撃によって内容物である廃トナーが開口部904から噴き出した場合であっても、引出しする者への影響を抑制することができる。
【0170】
また、トレイ906の引出しによる水平方向の駆動力を、その最終端において逆方向への駆動力に変換し、当該駆動力により、トレイ906に収容された回収容器902における上下方向重心高さより上方で当該回収容器902における引出し方向(矢印A方向)側の面を押し込むように構成されているため、引出し最終端で回収容器902の側面を押し込む負荷がトレイ906の引出しによる水平方向の駆動力にブレーキをかける(制動する)作用を示す。したがって、本実施形態によれば、引出し最終端における衝撃を緩和することができ、回収容器902の内容物である廃トナーが開口部904から噴き出すことによる影響を抑制することができる。
【0171】
なお、引出したトレイ906を矢印A方向とは逆方向に動かして元に戻すと、全ての部材が基本的に引出し時と逆の動きを示して、傾けられた回収容器902が元に戻り、トレイ906が元通り筐体10内に格納される。
【0172】
[第10の実施形態]
第2の本発明の例示的一態様である第10の実施形態について説明する。画像形成装置の説明については、第1の実施形態の説明で用いた図1及び図2を用いる。
【0173】
図27は、本実施形態の現像剤回収装置の概略構成を示す模式側面図である。図27に示すように、本実施形態の現像剤回収装置は、上部に廃トナーを注ぎ入れる開口部1004を有し、該廃トナーを回収して収容する回収容器(回収収容容器)1002(図1及び図2における102A,102Bに相当)と、上方に開口し回収容器1002の下部を収容するトレイ(収容箱)1006と、排紙ユニット1Cの筐体10(図1参照)に一端が固定されるとともにトレイ1006を支持し、回収容器1002を収容した状態のトレイ1006を筐体10内外へ水平方向に引出し/格納自在に伸縮するスライドレール(支持部材、不図示、図3参照)とからなる一般的な構成に、回収容器傾倒機構(回収収容容器傾倒手段)1030を備えてなるものである。なお、当該図27は、トレイ1006が排紙ユニット1Cの筐体10内に格納された状態を表すものである。
【0174】
回収容器傾倒機構(回収収容容器傾倒手段)1030は、大きく分けて、筐体側アーム部材1016とトレイ側アーム部材1012と、トレイ1006の底板1052からなり、これらがトレイ1006の下方に位置するように配されている。
【0175】
トレイ1006の底板1052は、板状体を折り曲げて成形したものであり、回収容器1002が載せ置かれる領域であって、トレイ1006が筐体10に格納された状態で水平状態となる水平部1054と、回収容器1002が載せ置かれる領域の端部から傾斜を以って立ち上がる傾斜部1056と、傾斜部1056の端部で傾斜方向と逆方向におり返された爪部1058とから構成される。底板1052の水平部1054における引出し側(矢印A方向側)端部は、トレイ1006の引出し側(矢印A方向側)側面の最下部で軸1060を介して回転自在に取り付けられ、トレイ1006が筐体10に格納された状態においてトレイ1006の底面を構成する。
【0176】
筐体側アーム部材1016は板状体からなり、一端が筐体10に固定され(不図示)他端は折り曲げられて、引出し方向(矢印A方向)に対向する向きに鉛直方向平面が形成されるとともに、当該鉛直方向平面に弾性部材1018が設けられてなる。これは、第1の実施形態における筐体側アーム部材116と基本的に同じ構造である。
【0177】
トレイ側アーム部材1012は板状体からなり、トレイ1006が筐体10に格納された状態において水平部1054が載るとともに、引出し方向(矢印A方向)前後にスライド可能にトレイ1006に接続された水平板状部、及び、該水平板状部の引出し方向(矢印A方向)とは逆側の端部で鉛直方向下方に折り曲げられた鉛直方向板状部を有する。当該鉛直方向板状部は、筐体側アーム部材1016に設けられた弾性部材1018と対向するように位置し、トレイ1006が引出された際にこれにつられて矢印A方向に移動して弾性部材1018の対向面と衝突するようになっている。
【0178】
図28は、本実施形態の現像剤回収装置における引出し最終端での各部材の関係を説明するための模式側断面図である。図27及び図28を用いて、本実施形態の作用について説明する。
【0179】
トレイ1006を矢印A方向に引出すと、それに連れてトレイ側アーム部材1012も矢印A方向に移動し、その鉛直方向板状部が弾性部材1018と衝突し、接触した状態になる。そのまま引出し続けると、トレイ側アーム部材1012が底板1052における水平部1054に接触しながら矢印A方向の逆方向にスライドする。そして、トレイ側アーム部材1012の引出し側(矢印A方向側)先端部が水平部1054の端部に達し、傾斜部1056に差し掛かると、底板1052に載せ置かれた回収容器1002の重さによって、底板1052が軸1060を中心として下方(矢印G方向)に回転する。さらに引出し続けると、トレイ側アーム部材1012の引出し側(矢印A方向側)先端部が傾斜部1056に接触しながら進むとともに、底板1052はさらに下方(矢印G方向)に回転し、爪部1058がトレイ1006底部の受け部1062に引っ掛かるまで底板1052が落ちる。すると、底板1052に載せ置かれた回収容器1002がトレイ1006の引出し方向(矢印A方向)とは逆方向に傾けられる。最後に、トレイ側アーム部材1012とトレイ1006との間、あるいは不図示のスライドレールに設けられたロックによって、引出し動作が規制される。
【0180】
引出し最終端において、このように引出しする者が位置する場所であるトレイ1006の把手1064側から遠ざかる方向に開口部1004が向くように回収容器1002が傾けられるため、たとえ引出し最終端での衝撃によって内容物である廃トナーが開口部1004から噴き出した場合であっても、引出しする者への影響を抑制することができる。
【0181】
なお、引出したトレイ1006を矢印A方向とは逆方向に動かして元に戻すと、まず、トレイ1006に対してトレイ側アーム部材1012が相対的にスライドし、その引出し側(矢印A方向側)先端部が傾斜部1056に衝突する。そのままトレイ1006を矢印A方向とは逆方向に動かすと、トレイ側アーム部材1012が筐体側アーム部材1016に対してスライドし、両者との間で縮み側のロックが掛かる(不図示)。両者の関係は、図27における両者の関係(他の部材との関係は含まない。)になる。
【0182】
さらにトレイ1006を矢印A方向とは逆方向に動かすと、傾斜部1056がトレイ側アーム部材1012の引出し側(矢印A方向側)先端部を摺擦して乗り上げるようにして、底板1052が軸1060を中心として上方(矢印G方向の逆方向)に回転する。トレイ側アーム部材1012の引出し側(矢印A方向側)先端部が傾斜部1056と水平部1054との境界に達した段階で底板1052の回転は止まる。そして、そのままトレイ側アーム部材1012を矢印A方向とは逆方向に動かすと、トレイ側アーム部材1012の上面を底板1052における水平部1054が接触しながら矢印A方向の逆方向にスライドし、最終的にトレイ1006が筐体10内に格納される。
【0183】
以上、第1及び第2の本発明について、10種類の好ましい実施形態と変形例を挙げて説明したが、本発明の現像剤回収装置及び画像形成装置はこれら実施形態の構成に限定されるものではない。
【0184】
例えば、第2の本発明における回収収容容器傾倒手段については、以上の構成に限定されるものでは無く、各種機械的な構成や電気的な構成に代替することができる。具体的には、収容箱(トレイ)の引出しによる水平方向の駆動力を、その最終端において垂直方向上方への駆動力に変換する態様として、第7の実施形態の如き構成の他、梃子の原理、複数のギアの組合せ等によって機械的に駆動力のベクトルを変換させたり、電気的に駆動力のベクトルを変換させたり等の構成を採用しても構わない。収容箱(トレイ)の引出しによる引出し方向の駆動力を、その最終端において逆方向に変換する態様についても、第8や9の実施形態の如き構成の他、同様に機械的に、あるいは電気的に駆動力のベクトルを変換させる等の構成を採用しても構わない。
【0185】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の現像剤回収装置及び画像形成装置を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の現像剤回収装置乃至画像形成装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0186】
1:画像形成装置、 4:画像読取装置、 10:筐体、 11,12,13,14:用紙収容部、 15,16,17,18:送り出しロール、 20:画像形成部、 21:制御部、 22:画像処理部、 25:トレイ、 26:アキュライドレール、 26:レーザ露光装置(静電潜像形成手段)、 30:画像形成エンジン、 31:感光体ドラム(静電潜像保持体)、 32:帯電ロール(帯電手段)、 33:現像器(現像像形成手段)、 34:ドラムクリーナ(清掃手段)、 35,46,62,82,92:搬送部材、 40:二次転写ロール(転写手段)、 41:中間転写ベルト、 42:一次転写ロール、 43:レジストロール、 45:ベルトクリーナ、 49:バックアップロール、 50:搬送機構、 52:定着器、 54:カール補正部、 60:第2搬送機構、 61,66,76,81,91:管状部材、 64:第1搬送機構、 68,78:コイルスプリング、 69:排出部、 70:第3搬送機構、 80:第4搬送機構、 90:第5搬送機構、 100:現像剤回収装置(回収手段)、 102,702,802,902,1002:回収容器(回収収容容器)、 104,704,804,904,1004:開口部、 106,706,806,906,1006:トレイ(収容箱)、 108,808,908:スライドレール(支持部材)、 110,210:引出し動作規制機構、 112,212,312,412,512,612:トレイ側アーム部材(収容箱側停止部材)、 114,118,214,218,314,318,414,418,514,518,614,618:弾性部材(衝撃吸収部材)、 116,216,316,416,516,616:筐体側アーム部材(筐体側停止部材)、 164,764,864,964,1064:把手、 166:蓋体、 320,326,420,426,520,526,620,626,820 :鉛直方向平面、 322,422,522,622:衝突面、 324,524,624:先止め用鉛直方向平面、 428,528,628:傾斜面、 430,530,630:水平方向平面、 632:停止用水平方向平面、 726,826,1016:筐体側アーム部材、 728,828,1018:弾性部材、 730:回収容器傾倒機構(回収収容容器傾倒手段)、 732:第1アーム部材、 734:第2アーム部材、 736,738:傾斜面、 740,1060:軸、 742:突起、 744,850,950:孔、 768,1012:トレイ側アーム部材、 846:回収容器傾倒部材(回収収容容器傾倒手段)、 848,948:シャフト、 1052:底板、 1054:水平部、 1056:傾斜部、 1058:爪部、 1062:受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に回収現像剤を注ぎ入れる開口部を有し、該回収現像剤を回収して収容する回収収容容器と、
上方に開口し前記回収収容容器の少なくとも下部を収容する収容箱と、
装置の筐体に一端が固定されると共に前記収容箱を支持し、前記回収収容容器を収容した状態の前記収容箱を前記筐体内外へ水平方向に引出し/格納自在に伸縮する支持部材と、
前記収容箱の引出し最終端において該収容箱に対する位置関係が固定された状態の鉛直方向平面を有する収容箱側停止部材、及び、該収容箱側停止部材における鉛直方向平面に対向し、前記収容箱の引出し最終端において前記筐体に対する位置関係が固定された状態の鉛直方向平面を有する筐体側停止部材からなり、前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材の両鉛直方向平面のどちらか一方若しくは双方に、押圧により弾性変形を示す衝撃吸収部材が設けられ、該衝撃吸収部材と前記鉛直方向平面のどちらか一方若しくは衝撃吸収部材同士が、前記収容箱の引出し途中または最終端で衝突しその後当該衝撃吸収部材が弾性変形することで引出し動作を規制する引出し動作規制機構と、
を含み、該引出し動作規制機構が、前記筐体内に前記収容箱が格納された際における該収容箱の下方に位置するように配されることを特徴とする現像剤回収装置。
【請求項2】
前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材のどちらか一方若しくは双方が、板状体を折り曲げてその内側に前記鉛直方向平面が形成されてなり、かつ、該板状体が板ばね機能を有することを特徴とする請求項1に記載の現像剤回収装置。
【請求項3】
前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材のどちらか一方若しくは双方が、前記鉛直方向平面に前記衝撃吸収部材が設けられ、かつその水平方向両側で前記鉛直方向平面と前記衝撃吸収部材の衝突面を含む平面との間に先止め用鉛直方向平面が設けられ、
前記収容箱の引出し時に、引出し途中または最終端手前で前記鉛直方向平面に対向する停止部材またはそこに設けられた衝撃吸収部材の鉛直方向平面が前記衝撃吸収部材と衝突し、最終端で、前記衝撃吸収部材の弾性変形と共に、当該鉛直方向平面の水平方向両端が前記先止め用鉛直方向平面と衝突することで引出し動作が規制されることを特徴とする請求項2に記載の現像剤回収装置。
【請求項4】
前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材のどちらか一方若しくは双方が、前記鉛直方向平面の一辺から水平方向に立ち上がる水平方向平面を有し、当該鉛直方向平面に前記衝撃吸収部材が設けられ、かつその水平方向両側に、前記衝撃吸収部材よりも手前の前記水平方向平面から上方に立ち上がる傾斜面を有し、
前記収容箱の引出し時に、最終端手前で前記鉛直方向平面に対向する停止部材またはそこに設けられた衝撃吸収部材の鉛直方向平面の縁が前記傾斜面に乗り上げながら進行しつつ前記衝撃吸収部材と衝突し、最終端で、前記衝撃吸収部材が弾性変形することで引出し動作が規制されることを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤回収装置。
【請求項5】
前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材のどちらか一方若しくは双方が、前記鉛直方向平面の一辺から水平方向に立ち上がる水平方向平面を有し、当該鉛直方向平面に前記衝撃吸収部材が設けられ、かつその水平方向両側に、前記衝撃吸収部材よりも手前の前記水平方向平面から上方に立ち上がる傾斜面を有し、該傾斜面に続いて前記鉛直方向平面より手前で前記衝撃吸収部材の衝突面より後方に先止め用鉛直方向平面が設けられ、
前記収容箱の引出し時に、最終端手前で前記鉛直方向平面に対向する停止部材の鉛直方向平面の縁が前記傾斜面に乗り上げながら進行しつつ前記衝撃吸収部材と衝突し、最終端で、前記衝撃吸収部材の弾性変形と共に、縁が乗り上げた当該鉛直方向平面が前記先止め用鉛直方向平面と衝突することで引出し動作が規制されることを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤回収装置。
【請求項6】
前記収容箱側停止部材及び前記筐体側停止部材のどちらか一方若しくは双方が、前記鉛直方向平面の一辺から水平方向に立ち上がる水平方向平面を有し、当該鉛直方向平面に前記衝撃吸収部材が設けられ、かつその水平方向両側に、前記衝撃吸収部材よりも手前の前記水平方向平面から上方に立ち上がる傾斜面を有し、該傾斜面に続いて前記鉛直方向平面より手前で前記衝撃吸収部材の衝突面より後方に停止用水平方向平面が設けられ、
前記収容箱の引出し時に、最終端手前で前記鉛直方向平面に対向する停止部材の鉛直方向平面の縁が前記傾斜面に乗り上げながら進行しつつ前記衝撃吸収部材と衝突し、最終端直前で前記停止用水平方向平面に乗り上げ、さらに最終端で、前記衝撃吸収部材が弾性変形することで引出し動作が規制されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の現像剤回収装置。
【請求項7】
上部に回収現像剤を注ぎ入れる開口部を有し、該回収現像剤を回収し収容する回収収容容器と、
上方に開口し前記回収収容容器の少なくとも下部を収容する収容箱と、
装置の筐体に一端が固定されると共に前記収容箱を支持し、前記回収収容容器を収容した状態の前記収容箱を前記筐体内外へ水平方向に引出し/格納自在に伸縮する支持部材と、
前記収容箱の引出し最終端において、該収容箱に収容された前記回収収容容器を、前記収容箱の引出し方向とは逆方向に傾ける回収収容容器傾倒手段と、
を含むことを特徴とする現像剤回収装置。
【請求項8】
前記回収収容容器内における前記開口部周辺の前記収容箱の引出し方向側の領域に、重力に応じて鉛直方向に垂下するように蓋体が取り付けられ、
該蓋体が、前記収容箱の引出し最終端において前記回収収容容器が傾けられた際に前記回収収容容器内で前記開口部側に重力の作用で移動して、収容された回収現像剤が前記収容箱の引出し方向手前側に噴き出すのを抑制することを特徴とする請求項7に記載の現像剤回収装置。
【請求項9】
前記回収収容容器傾倒手段が、前記収容箱の引出しによる水平方向の駆動力を、その最終端において垂直方向上方への駆動力に変換し、当該駆動力により、前記収容箱に収容された前記回収収容容器における引出し方向寄りの底面を押し上げるように構成されてなることを特徴とする請求項7または8に記載の現像剤回収装置。
【請求項10】
前記回収収容容器傾倒手段が、前記収容箱の引出しによる引出し方向の駆動力を、その最終端において逆方向に変換し、前記収容箱に収容された前記回収収容容器における上下方向重心高さより上方で当該回収収容容器の引出し方向側の面を押し込むように構成されてなることを特徴とする請求項7または8に記載の現像剤回収装置。
【請求項11】
前記回収収容容器傾倒手段が、
前記収容箱に収容された前記回収収容容器における上下方向重心高さより上方で当該回収収容容器の引出し方向側の面に接触可能に位置し、前記収容箱の引出し時に該収容箱と共に移動し、その最終端の手前で前記筐体に対する絶対的な位置が固定される、水平方向に延びる棒状体からなり、
前記収容箱の引出し最終端の手前から最終端にかけて、前記棒状体が前記回収収容容器の引出し方向側の面を前記収容箱の引出し方向とは逆方向に押し込むように構成されてなることを特徴とする請求項7または8に記載の現像剤回収装置。
【請求項12】
表面に形成された静電潜像を保持し得る静電潜像保持体と、該静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に現像剤を供給して現像像を形成する現像像形成手段と、前記現像像を記録媒体に転写する転写手段と、前記静電潜像保持体表面に残存する現像剤を除去して清掃する清掃手段と、該清掃手段で回収された現像剤を回収現像剤として回収する回収手段と、を備え、
該回収手段が請求項1〜11のいずれかに記載の現像剤回収装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−37812(P2012−37812A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179663(P2010−179663)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】