説明

現像剤担持体及び現像装置

【課題】 回転する現像剤担持体の外周面にトナーとキャリアを含む現像剤を保持させて搬送させるにあたり、適切な量の現像剤を長期にわたって安定して搬送できるようにする。
【解決手段】 トナーとキャリアを含む現像剤Dを外周面に保持して回転する現像剤担持体12の外周面に凹凸を形成し、その凸部12aの頂部を平滑化させると共に、凹部12bの最下点から現像剤担持体の回転方向下流側の凸部の頂点までの50〜80%の範囲における傾斜角θの平均値を5°〜24°の範囲にし、現像剤担持体の外周面における十点平均粗さ(Rz)及び凹凸の平均間隔(Sm)と、キャリアの平均粒径(r)との関係が、0.17≦Rz/r≦0.92、3.3≦Sm/r≦13.3の条件を満たすようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、トナーとキャリアを含む現像剤を用いて像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置及びこの現像装置においてトナーとキャリアを含む現像剤を外周面に保持して回転する現像剤担持体に関するものである。特に、回転する現像剤担持体の外周面にトナーとキャリアを含む現像剤を保持させて搬送させるにあたり、適切な量の現像剤を長期にわたって安定して搬送できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、感光体等の像担持体に形成された静電潜像に現像装置からトナーを供給して、像担持体に形成された静電潜像を現像するようにしている。
【0003】
そして、このような現像装置としては、トナーとキャリアを含む現像剤を使用した2成分現像方式のものと、キャリアを使用せずにトナーのみを使用した1成分現像方式のものとが知られている。
【0004】
ここで、トナーとキャリアを含む現像剤を使用した2成分現像方式の現像装置においては、一般に、トナーとキャリアを含む現像剤を回転する現像剤担持体の外周面に保持させて、この現像剤担持体により現像剤を像担持体に向けて搬送させると共に、このように搬送される現像剤の量を規制部材により規制し、現像剤担持体によって所定量の現像剤を像担持体と対向する現像領域に導き、この現像剤中におけるトナーを像担持体に形成された静電潜像に供給して現像を行うようにしている。
【0005】
ここで、このようにトナーとキャリアを含む現像剤を回転する現像剤担持体の外周面に保持させて搬送させるにあたり、現像剤担持体の外周面に十分な量の現像剤が保持されて搬送されるようにするため、従来から、現像剤担持体の外周面に溝加工やブラスト加工を施して、現像剤担持体の外周面に凹凸を形成することが広く行われている。
【0006】
しかし、このように現像剤担持体の外周面に凹凸を形成した場合においても、このような現像剤担持体を長く使用して現像を行うと、現像剤担持体の外周面にトナーやトナーの外添剤が付着したり、また現像剤担持体の外周面における凸部がキャリアとの接触により摩耗されたりし、特に、アルミニウム等の軟質材料で構成された現像剤担持体においては、現像剤担持体の外周面における凸部の摩耗が大きくなり、現像剤担持体によって搬送される現像剤の量が次第に低下して、十分な画像濃度を有する画像が得られなくなる等の問題があった。
【0007】
また、従来においては、特許文献1に示されるように、使用するトナーの粒径等と現像剤担持体の外周面における十点平均粗さRzとを規定したものや、特許文献2に示されるように、現像剤担持体の外周面における凸部を平滑面にしたものや、特許文献3に示されるように、現像剤担持体の外周面における十点平均粗さRzや凹凸の平均間隔Sm等を規定したものが提案されている。
【0008】
しかし、特許文献1,3のものにおいても、現像剤担持体を長く使用して現像を行った場合に、現像剤担持体の外周面にトナーやトナーの外添剤が付着したり、現像剤担持体の外周面における凸部がキャリアとの接触によって摩耗されたりするのを十分に抑制することはできず、また現像剤担持体によって搬送される現像剤の量を適切に調整して、適切な量の現像剤を長期にわたって安定して搬送させるようにすることは困難であった。
【0009】
また、特許文献2のものにおいては、現像剤担持体の外周面における凸部が平滑面になっており、キャリアとの接触によって摩耗されるのが抑制されるが、現像剤担持体の外周面にトナーやトナーの外添剤が付着したりするのを十分に抑制することができず、また現像剤担持体によって搬送される現像剤の量を適切に調整して、適切な量の現像剤を長期にわたって安定して搬送させるようにすることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−258992号公報
【特許文献2】特開2008−40400号公報
【特許文献3】特開2008−292971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、トナーとキャリアを含む現像剤を用いて像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置において、回転する現像剤担持体の外周面にトナーとキャリアを含む現像剤を保持させて搬送させるにあたり、適切な量の現像剤を長期にわたって安定して搬送できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、トナーとキャリアを含む現像剤を外周面に保持して回転する現像剤担持体において、現像剤担持体の外周面に凹凸を形成し、その凸部の頂部を平滑化させると共に、現像剤担持体の外周面の凹部の最下点から現像剤担持体の回転方向下流側の凸部の頂点までの50〜80%の範囲における傾斜角θの平均値が5°〜24°の範囲にし、現像剤担持体の外周面についてJIS B 0601に基づく粗さ曲線における基準長さ(l)を2.5mm、カットオフ値(λc)を2.5mmにして求めた十点平均粗さ(Rz)及び凹凸の平均間隔(Sm)と、上記のキャリアの平均粒径(r)との関係が、0.17≦Rz/r≦0.92、3.3≦Sm/r≦13.3の条件を満たすようにした。
【0013】
また、本発明の現像装置においては、回転する現像剤担持体の外周面にトナーとキャリアを含む現像剤を保持させて搬送させるにあたり、上記のような現像剤担持体を用いるようにした。
【0014】
ここで、本発明の現像剤担持体のように、凹凸が形成された外周面における凸部の頂部を平滑化させると、この現像剤担持体の外周面に現像剤を保持させて搬送させる場合に、その凸部がキャリアとの接触により摩耗されるのが抑制され、現像剤担持体の外周面に保持されて搬送される現像剤の量が減少するのが抑制される。
【0015】
また、本発明の現像剤担持体のように、現像剤担持体の外周面の凹部の最下点から現像剤担持体の回転方向下流側の凸部の頂点までの50〜80%の範囲における傾斜角θの平均値を5°〜24°の範囲にすると、この現像剤担持体を回転させて現像剤を搬送させる場合に、現像剤が現像剤担持体の外周面に適切に保持されて十分な量の現像剤が搬送されるようになると共に、現像剤担持体の外周面にトナーやトナーの外添剤が付着するのが抑制される。すなわち、上記の傾斜角θの平均値が5°未満になると、現像剤担持体の外周面においてキャリアがスリップして、現像剤が現像剤担持体の外周面に適切に保持されなくなって、十分な量の現像剤を搬送させることができなくなる。一方、上記の傾斜角θの平均値が24°を超えると、傾斜した面に対してキャリアを押しつける力が強くなって、現像剤担持体の外周面にトナーやトナーの外添剤が付着しやすくなり、この現像剤担持体を長く使用すると、現像剤担持体の外周面に付着したトナーやトナーの外添剤により、現像剤が現像剤担持体の外周面に適切に保持されなくなって、十分な量の現像剤を搬送させることができなくなる。
【0016】
また、本発明の現像剤担持体のように、現像剤担持体の外周面における上記の十点平均粗さ(Rz)及び凹凸の平均間隔(Sm)と、上記のキャリアの平均粒径(r)との関係が、0.17≦Rz/r≦0.92、3.3≦Sm/r≦13.3の条件を満たすようにすると、適当量の現像剤が現像剤担持体の外周面に保持されて搬送されるようになる。すなわち、Rz/rの値が0.17未満になったり、Sm/rの値が3.3未満になったりすると、現像剤担持体の外周面における凹凸が小さくなりすぎて、現像剤担持体の外周面に十分の量の現像剤が保持されなくなって、十分な量の現像剤を搬送させることができなくなる。一方、Rz/rの値が0.92を超えたり、Sm/rの値が13.3を超えたりすると、現像剤担持体の外周面における凹凸が大きくなりすぎて、現像剤担持体の外周面に現像剤が過剰に保持されて搬送されるようになり、規制部材によって搬送される現像剤の量を適切に規制することが困難になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における現像剤担持体のように、その外周面に形成した凹凸における凸部の頂部を平滑化させ、また現像剤担持体の外周面の凹部の最下点から現像剤担持体の回転方向下流側の凸部の頂点までの50〜80%の範囲における傾斜角θの平均値を5°〜24°の範囲にすると共に、現像剤担持体の外周面についてJIS B 0601に基づく粗さ曲線における基準長さ(l)を2.5mm、カットオフ値(λc)を2.5mmにして求めた十点平均粗さ(Rz)及び凹凸の平均間隔(Sm)と、上記のキャリアの平均粒径(r)との関係が、0.17≦Rz/r≦0.92、3.3≦Sm/r≦13.3の条件を満たすようにすると、この現像剤担持体の外周面に現像剤を保持させて搬送させる場合に、適切な量の現像剤が現像剤担持体の外周面に保持されて搬送されるようになると共に、現像剤担持体の外周面における凸部が摩耗したり、現像剤担持体の外周面にトナーやトナーの外添剤が付着したりするのが抑制される。
【0018】
この結果、上記のような現像剤担持体を用いた現像装置においては、現像剤担持体を長く使用しても、この現像剤担持体により適切な量の現像剤が長期にわたって安定して搬送されるようになり、長期にわたって良好な現像が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る現像装置の概略説明図である。
【図2】上記の実施形態に係る現像装置に使用する現像剤担持体の外周面の状態を示した部分模式図である。
【図3】上記の実施形態に係る現像装置に使用する現像剤担持体において、その外周面の凹部の最下点から現像剤担持体の回転方向下流側の凸部の頂点までの50〜80%の範囲における傾斜角θを示した部分模式図である。
【図4】上記の実施形態に係る現像装置に使用する現像剤担持体において、上記の傾斜角θが大きい場合と、小さい場合とで、キャリアに作用する力が変化する状態を示した模式図である。
【図5】実験例において作製した現像剤担持体A2、A10、A26、A34、A41を用い、傾斜角θと各耐久時点での現像剤の搬送量残存率(%)との関係を求めた結果を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、この発明の実施形態に係る現像装置及びこの現像装置に用いる現像剤担持体を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る現像装置及び現像剤担持体は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0021】
この実施形態における現像装置においては、図1に示すように、トナーとキャリアを含む現像剤Dが収容されたハウジング10の開口部分に、内周側にマグネット部材11が固定して設けられた現像剤担持体12を設けている。また、上記のハウジング10内に上記の現像剤担持体12の軸方向に沿った隔壁13を設け、この隔壁13によってハウジング10内を、第1の搬送部材14aが設けられた第1の搬送部14と、第2の搬送部材15aが設けられた第2の搬送部15とに分離させている。
【0022】
ここで、上記の現像装置を用いて像担持体1に形成された静電潜像を現像するにあたっては、図1に示すように、上記の現像剤担持体12が像担持体1と所要間隔を介して対向するようにセットし、ハウジング10内に収容された現像剤Dを、上記の第1及び第2の搬送部材14a,15aにより混合攪拌させながら第1の搬送部14と第2の搬送部15とで逆方向に搬送させ、隔壁13の両端部に設けられた循環口(図示せず)を通して、この現像剤Dを第1の搬送部14と第2の搬送部15との間で循環させるようにする。
【0023】
そして、上記の第1の搬送部14において搬送される現像剤Dの一部を第1の搬送部材14aにより上記の現像剤担持体12の外周面に供給し、このように供給された現像剤Dを、現像剤担持体12の内周側に設けられた上記のマグネット部材11により現像剤担持体12の外周面に保持させるようにする。
【0024】
そして、上記の現像剤担持体12を回転させて、その外周面に保持された現像剤Dを現像剤担持体12によって像担持体1と対向する現像領域に向けて搬送させると共に、現像領域に搬送させる途中において、この現像剤担持体12と所要間隔を介して対向するように設けられた規制部材16により現像領域に搬送される現像剤Dの量を規制し、このように規制された現像剤Dを現像剤担持体12により像担持体1と対向する現像領域に導いて現像を行うようにしている。
【0025】
ここで、この実施形態においては、上記の現像剤担持体12として、アルミニウム等で構成された現像剤担持体12の外周面を、シリコンビーズ等の粒径が小さい砥粒を用いてブラスト処理し、現像剤担持体12の外周面に微細な凹凸を形成した後、砥粒を弾性体内に練り込んだ弾性メディアを用いて微細な凹凸が形成された現像剤担持体12の外周面を二次ブラスト処理し、図2に示すように、現像剤担持体12の外周面に形成された微細な凹凸における凸部12aを平滑化させたものを用いるようにした。
【0026】
そして、この実施形態における現像剤担持体12においては、上記のように外周面に凸部12aが平滑化された凹部12bと凸部12aとを設けるにあたり、図3に示すように、現像剤担持体12の外周面の凹部12bの最下点から現像剤担持体12の回転方向xの下流側における凸部12aの頂点までの50〜80%の範囲における傾斜角θの平均値が5°〜24°の範囲になるようにした。
【0027】
ここで、図4(A)に示すように、現像剤担持体12における上記の傾斜角θが大きくなると、現像剤D中のキャリアCに作用する力Fにおいて、キャリアCを現像剤担持体12の外周面に対して垂直方向に押し付ける力Fbが強くなり、現像剤D中におけるトナーやトナーの外添剤が現像剤担持体12の外周面に次第に付着し、現像剤Dが現像剤担持体12の外周面に適切に保持されなくなって十分な量の現像剤Dを搬送させることができなくなる。
【0028】
一方、図4(B)に示すように、現像剤担持体12における上記の傾斜角θが小さくなると、現像剤D中のキャリアCに作用する力Fにおいて、キャリアCを現像剤担持体12の外周面に対して垂直方向に押し付ける力Fbが弱くなって、現像剤D中におけるトナーやトナーの外添剤が現像剤担持体12の外周面に付着するのが抑制される一方、キャリアCを現像剤担持体12の外周面に沿って移動させる方向の力Faが強くなる。そして、この傾斜角θが小さくなりすぎると、現像剤担持体12の外周面においてキャリアCがスリップし、現像剤Dが現像剤担持体12の外周面に適切に保持されなくなって十分な量の現像剤Dを搬送させることができなくなる。
【0029】
そして、この実施形態における現像剤担持体12のように、上記の傾斜角θを5°〜24°の範囲にすると、トナーやトナーの外添剤が現像剤担持体12の外周面に付着するのが抑制されると共に、現像剤担持体12の外周面に現像剤Dが適切に保持されて、十分な量の現像剤Dが搬送されるようになる。
【0030】
また、上記の現像剤担持体12の外周面についてJIS B 0601に基づく粗さ曲線における基準長さ(l)を2.5mm、カットオフ値(λc)を2.5mmにして求めた十点平均粗さ(Rz)及び凹凸の平均間隔(Sm)と、上記の現像剤D中におけるキャリアCの平均粒径(r)との関係が、0.17≦Rz/r≦0.92、3.3≦Sm/r≦13.3の条件を満たすようにした。
【0031】
このようにすると、前記のように現像剤担持体12の外周面に十分の量の現像剤Dが保持されなくなって、十分な量の現像剤Dを搬送させることができなくなったり、現像剤担持体12の外周面に現像剤Dが過剰に保持されて搬送され、像担持体1に搬送される現像剤Dの量を規制部材16によって適切に規制することが困難になったりすることなく、現像剤担持体12により適当な量の現像剤Dが像担持体1に安定して搬送されるようになる。
【0032】
この結果、上記のような現像剤担持体12を使用して現像を行うようにした場合、この現像剤担持体12により一定した量の現像剤Dが像担持体1に長期にわたって安定して搬送されるようになり、長期にわたって良好な現像が安定して行えるようになる。
【0033】
次に、市販の画像形成装置(コニカミノルタ社製:bizhub C360)に使用されている現像装置において、現像剤中におけるキャリアとして、粒径rが30μm,磁化量が43Am/kgのキャリアを用いると共に、現像剤担持体の外周面に凹凸を形成する条件を変更させて、上記の傾斜角θ、十点平均粗さ(Rz)及び凹凸の平均間隔(Sm)を変更させた現像剤担持体A1〜A42を用いるようにした。
【0034】
ここで、上記の現像剤担持体A1〜A42を得るにあたっては、アルミニウム製の現像剤担持体の外周面に対して、下記の表1に示すように、粒径の異なるシリコンビーズを用いると共に加工圧を変更させて、それぞれ60秒間ブラスト処理し、各現像剤担持体の外周面に凹凸を形成した後、粒径が300〜400μmの市販の弾性メディア(不二製作所社製:シリウス#3000)を用い、0.4MPaの加工圧でそれぞれ80秒間二次ブラスト処理して、各現像剤担持体の外周面に形成された凹凸における凸部の頂部を平滑化させて、現像剤担持体A1〜A42を作製した。
【0035】
【表1】

【0036】
そして、上記のように作製した現像剤担持体A1〜A42について、それぞれ上記の傾斜角θを求めると共に、十点平均粗さ(Rz)及び凹凸の平均間隔(Sm)とキャリアの平均粒径(r)との関係、Rz/r及びSm/rの値を求め、その結果を下記の表2に示した。
【0037】
また、上記の各現像剤担持体A1〜A42をそれぞれ上記の現像装置に使用して初期における現像剤の搬送特性(初期搬送特性)を調べ、その結果を表2に示した。ここで、初期搬送特性については、各現像剤担持体A1〜A42と規制部材との間隔を0.3.3〜0.5mmの範囲に設定した場合において、適当な現像剤搬送量とされている150〜250g/mの搬送量が得られた場合を「適」と表示する一方、現像剤搬送量が150g/m未満である場合を「不足」、現像剤搬送量が250g/mを超える場合を「過剰」として表示した。
【0038】
【表2】

【0039】
この結果、Rz/rの値が0.17未満であったり、Sm/rの値が3.3未満であったりする現像剤担持体A5〜A7,A12〜A14,A20,A21,A27,A28,A35,A42においては、上記の初期搬送特性が「不足」であり、初期から適当な量の現像剤を搬送させることができなかった。
【0040】
また、Rz/rの値が0.92を超えたり、Sm/rの値が13.3を超えたりする現像剤担持体A22,A29,A30,A36〜A38においては、上記の初期搬送特性が「過剰」であり、現像剤担持体と規制部材との間隔が僅かに変動するだけで、現像剤担持体によって搬送される現像剤の量が大きく変動し、現像剤担持体によって搬送される現像剤の量を規制部材によって適切に規制することが困難になる。
【0041】
これに対して、Rz/r及びSm/rの値が、0.17≦Rz/r≦0.92及び3.3≦Sm/r≦13.3の条件を満たす現像剤担持体A1〜A4,A8〜A11,A15〜A19,A23〜A26,A31〜A34,A39〜A41においては、上記の初期搬送特性が「適」であり、初期から適当な量の現像剤を現像剤担持体によって搬送させることができた。
【0042】
次に、傾斜角θが6°の現像剤担持体A2と、傾斜角θが8°の現像剤担持体A10と、傾斜角θが16°の現像剤担持体A26と、傾斜角θが24°の現像剤担持体A34と、傾斜角θが28°の現像剤担持体A41とを用い、それぞれ30万枚の耐久試験を行い、初期における現像剤の搬送量に対する各耐久時点での現像剤の搬送量残存率(%)を求め、その結果を図5に示した。
【0043】
この結果、傾斜角θが小さくなるほど、耐久後における現像剤の搬送量残存率の低下が少なくなっており、傾斜角θが5°〜24°の範囲になった現像剤担持体A2,A10,A26,A34においては、30万枚の耐久試験を行った後においても搬送量残存率が75%以下になるということがなく、画質低下が生じなかった。これに対して、傾斜角θが28°になった現像剤担持体A41においては、10万枚の耐久試験の時点において搬送量残存率が75%以下になっており、画質低下が生じた。
【符号の説明】
【0044】
1 像担持体
10 ハウジング
11 マグネット部材
12 現像剤担持体
12a 凸部
12b 凹部
13 隔壁
14 第1の搬送部
14a 第1の搬送部材
15 第2の搬送部
15a 第2の搬送部材
16 規制部材
C キャリア
D 現像剤
θ 傾斜角


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアを含む現像剤を外周面に保持して回転する現像剤担持体において、現像剤担持体の外周面に凹凸が形成され、その凸部の頂部が平滑化されてなると共に、現像剤担持体の外周面の凹部の最下点から現像剤担持体の回転方向下流側の凸部の頂点までの50〜80%の範囲における傾斜角θの平均値が5°〜24°の範囲であり、現像剤担持体の外周面についてJIS B 0601に基づく粗さ曲線における基準長さ(l)を2.5mm、カットオフ値(λc)を2.5mmにして求めた十点平均粗さ(Rz)及び凹凸の平均間隔(Sm)と、上記のキャリアの平均粒径(r)との関係が、0.17≦Rz/r≦0.92、3.3≦Sm/r≦13.3の条件を満たすことを特徴とする現像剤担持体。
【請求項2】
回転する現像剤担持体の外周面にトナーとキャリアを含む現像剤を保持させて搬送させるようにした現像装置において、請求項1に記載した現像剤担持体を用いたことを特徴とする現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−103301(P2012−103301A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249315(P2010−249315)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】