説明

現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置

【課題】現像剤を収容する現像剤収容部を現像剤供給部材の上方に設けた縦型現像装置において、現像剤供給部材に安定して現像剤を補給することができ、良好な現像動作を行うことができる現像装置、画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することである。
【解決手段】現像剤を担持して感光体1との対向部まで搬送する現像ローラ2と、回転しながら現像ローラ2に当接して現像剤を供給する供給ローラ4と、供給ローラ4の上方に設けられ現像剤を収容する現像剤収容部5と、回転しながら現像剤収容部5内の現像剤を攪拌するアジテータ6とを備える現像装置23において、アジテータ6は、回転軸6aと、回転軸中心6Aから互いに異なる距離l、mをもつ位置にあって現像剤収容部5内の現像剤に攪拌作用を及ぼす複数の作用軸6b、6cとからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、これを採用した複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、非磁性又は磁性のトナーからなる現像剤を用いる一成分現像装置が知られている。一成分現像装置では、現像剤収容部内の現像剤を現像剤供給部材により現像剤担持体に供給し、金属薄板等の現像剤規制部材を現像剤担持体に押圧接触させ、現像担持体上の現像剤を摩擦帯電するとともに薄層化して像担持体上に形成された静電潜像を現像する。また、上記一成分現像装置として、大スペースの現像剤収容部を現像剤供給部材の上方に配置し、現像装置の薄型化を図るいわゆる縦型現像装置が知られている。縦型現像装置は、タンデム型のように4つの現像装置を並列に並べる画像形成装置において、装置全体の小型化を図るうえで有効なものである。
【0003】
しかしながら、縦型現像装置の構成では、現像剤収容部から現像剤供給部材への現像剤供給方向が重力方向と同方向となり、現像剤の収容量により現像剤供給量が変動してしまい現像剤の安定供給が難しい。その結果、過剰な未帯電現像剤によるかぶり等の現像不良や、濃度変動等の画像不良を招いていた。更に近年、高画質化に伴うトナーの小粒径化が進み、トナーの凝集度が上がる傾向にある。暫くの間、装置が使用されなかったり、放置されたりした場合には、現像装置内のトナーが重力によって凝集し、その後の使用時に、現像剤供給部材や現像剤担持体の極近傍のトナーだけが使用され、所謂「空洞化」現象を発生させてしまう。その結果、トナーの供給不良による濃度低下や、カスレという不具合を生じることもある。特許文献1(図7)には、現像剤供給部材へのトナーの圧力を低減するために、縦型現像装置を上下に分割するものが記載されている。特許文献2には、現像剤の凝集を防止するために、縦型現像装置で現像剤供給部材近傍に現像剤攪拌部材を設けるものが記載されている。
【0004】
図9に縦型現像装置の一例の概略構成図を示す。図9の現像装置100は、現像剤担持体としての現像ローラ102と、現像ローラ102上に押圧接触しトナー層を薄層化するドクタブレード103と、現像ローラ102に当接しながら回転してトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ410とを備えている。供給ローラ104の上方には、トナーを収容する縦長の現像剤収容部105が配置されている。現像剤収容部105内には、供給ローラ104に近接して配置され現像剤収容部105内のトナーを攪拌しながら供給ローラ104にトナーを供給する第1のアジテータ106、第1のアジテータ106よりも上方に配置され現像剤収容部105内のトナーを攪拌する第2のアジテータ107を備えている。第1のアジテータ106は、回転軸106aと回転軸中心106Aから所定距離にある2本の作用軸106b、106cとから構成される。第2のアジテータ107は、回転軸107aと回転軸中心107Aから所定距離にある2本の作用軸107b、107cとから構成される。第2のアジテータ107により攪拌された現像剤収容部105内のトナーは、第1のアジテータ106の回転により攪拌されながら供給ローラ104に供給される。供給ローラ104に供給されたトナーは、現像ローラ102に供給される。現像ローラ102に供給されたトナーは、途中ドクタブレード103により薄層化された後、像担持体である感光体ドラム101と対向する現像領域に搬送される。現像領域では、感光体ドラム101上に形成された静電潜像にトナーを供給して現像を行う。
【0005】
【特許文献1】特開2003−5487号公報
【特許文献2】特開2001−194883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9の現像装置100では、例えば第1のアジテータ106の2本の作用軸106b、106cが回転軸中心106Aから等距離に設けられている。そのため、作用軸106b、106cから攪拌作用を直接受ける攪拌領域より内側にあるトナーは、作用軸106b、106cによる作用を直接受けることがないため攪拌されにくく、特に回転軸106a付近のトナーは滞留しやすい。
【0007】
トナー劣化により帯電性が悪化したトナーが現像ローラ102上に帯電されると、感光体ドラム101上のトナー層は薄くなるが、初期状態に対し徐々に変化すれば、その変化は目立たない。一方、トナー劣化が促進された状態で、滞留した劣化していないトナーが供給ローラ104上に落下しドクタブレード103に進入すると、感光体ドラム101上のトナー層も濃く変化する。感光体ドラム101上のトナー層が濃く変化すると、画像濃度も濃くなる。その変化が突然発生した場合、例えば印刷物1枚の中で先端は薄く、後端は濃くなってしまう。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像剤を収容する現像剤収容部を現像剤供給部材の上方に設けた縦型現像装置において、現像剤供給部材に安定して現像剤を補給することができ、良好な現像動作を行うことができる現像装置、画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、現像剤を担持して潜像担持体との対向部まで搬送する現像剤担持体と、回転しながら該現像剤担持体に当接して現像剤を供給する現像剤供給部材と、該現像剤供給部材の上方に設けられ現像剤を収容する現像剤収容部と、回転しながら該現像剤収容部内の現像剤を攪拌する現像剤攪拌部材とを備える現像装置において、上記現像剤攪拌部材は、回転軸と、該回転軸中心から互いに異なる距離をもつ位置にあって上記現像剤収容部内の現像剤に攪拌作用を及ぼす複数の作用軸とからなることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記現像剤攪拌部材は、回転軸中心から最も近い距離にある作用軸の回転軌跡が回転軸中心を通る構成であることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2の現像装置において、上記現像剤撹拌部材が複数個設けられたことを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1、2又は3の現像装置において、上記現像剤供給部材の最も近傍に設けられた上記現像剤撹拌部材は、回転軸中心から最も遠い距離にある作用軸の回転軌跡最外周と該現像剤供給部材との間隔が1mm以下となる位置に配置されることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の現像装置において、上記現像剤には、体積平均粒径が3〜8ΜMで、体積平均粒径(DV)と個数平均粒径(DN)との比(DV/DN)が1.00〜1.40の範囲にあるトナーを用いることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又は5の現像装置において、上記現像剤には、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるトナーを用いることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6の現像装置において、上記現像剤には、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーを用いることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、潜像担持体と現像手段とを一体的に形成し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカ−トリッジにおいて、上記現像手段として請求項1、2、3、4、5、6又は7の何れかの現像装置を採用することを特徴とするものである。
請求項9の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、上記現像手段として請求項1、2、3、4、5、6又は7の何れかの現像装置を採用することを特徴とするものである。
この発明においては、現像剤攪拌部材の複数の作用軸が回転軸中心から互いに異なる距離に設けられている。そのため、作用軸が1本若しくは複数の作用軸が回転軸中心から等距離の位置に設けられている場合に比べ、作用軸の回転軌跡が占める領域が大きくなり、作用軸による攪拌作用を直接受ける現像剤が多くなる。その結果、現像剤が滞留しやすい領域が少なくなり、現像剤収容部内の現像剤を安定して現像剤供給部材へ補給することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像剤を収容する現像剤収容部を現像剤供給部材の上方に設けた縦型現像装置において、現像剤供給部材に安定して現像剤を補給することができ、良好な現像動作を行うことができる現像装置、画像形成装置、プロセスカートリッジを提供できるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をカラー画像形成装置に採用される現像装置に適用した一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る現像装置を採用するカラー画像形成装置の概略構成図である。図1のカラー画像形成装置は、タンデム型間接転写方式の画像形成装置であり、機枠体のほぼ中央部に作像ユニット20Y、M、C、Kを並べている。作像ユニット20Y、M、C、Kは、それぞれトナー像を担持するドラム状の感光体1Y、M、C、Kを備えている。ここで、Y、M、C、Kはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色を表す添字である。作像ユニット20Y、M、C、Kの上側には感光体1Y、M、C、Kに潜像を形成するための露光装置21を配置している。
【0012】
また、作像ユニット20Y、M、C、Kの下側には中間転写ベルト30を設置している。中間転写ベルト30の作像ユニット20Y、M、C、Kに対向する位置の内側には、1次転写ローラ31Y、M、C、Kが設けられている。また、1次転写ローラ31Y、M、C、Kの下流部には、中間転写ベルト30の表面に対向して、2次転写装置32が設けられている。また、記録媒体の搬送方向に関して、2次転写装置32より下流部には定着装置33が設けられている。
【0013】
各作像ユニット20Y、M、C、Kでは、それぞれの感光体1Y、M、C、K上に各色のトナー像が形成される。感光体1Y、M、C、K上に各色のトナー像は、順次中間転写ベルト30上に転写され、中間転写ベルト30上に単色トナー像を重ね合わせた複数色のカラートナー像が形成される。記録媒体はタイミングをとって、中間転写ベルト30と2次転写装置32との対向部に供給され、中間転写ベルト30の表面に形成されているカラートナー像を記録媒体上に転写される。トナー像が転写された記録媒体は、中間転写ベルト30から剥離され、定着装置33によってトナー像を定着されることにより画像が形成される。
【0014】
次に、作像ユニット20Y、M、C、Kについて説明する。これらの作像ユニット20Y、M、C、Kは、収容されるトナーの色が異なるほかは、同じの構成、動作をするものであるため、以下、添字Y、M、C、Kを省略して説明する。作像ユニット20は、感光体1の周囲に、帯電装置22、現像装置23、クリーニング装置24等が配置されている。また、感光体1とこれらの帯電装置22、現像装置23、クリーニング装置24等が一体的に形成され、画像形成装置本体に脱着可能なプロセスカートリッジの形態をなしており、メンテナンス性が向上する。
【0015】
次に、現像装置23について説明する。図2は、現像装置の構成を説明する概略構成図である。図2の現像装置23は、現像剤として非磁性一成分のトナーを用いる現像装置である。現像装置23は、現像剤担持体としての現像ローラ2と、現像ローラ2上に押圧接触しトナー層を薄層化するドクタブレード3と、現像ローラ2に当接しながら回転して現像ローラ2にトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ4とを備えている。ドクタブレード3は、例えば金属薄板等の弾性部材からなる。供給ローラ4は、例えば発泡ポリウレタン等の弾性部材からなる。また、供給ローラ4の上方には、トナーを収容する縦長の現像剤収容部5が配置されている。現像剤収容部5内には、供給ローラ4に近接して配置され現像剤収容部5内のトナーを攪拌しながら供給ローラ4に供給する第1のアジテータ6、第1のアジテータ6よりも上方に配置され現像剤収容部5内のトナーを攪拌する第2のアジテータ7を備えている。
【0016】
現像剤収容部5内のトナーは、図中反時計回りに回転する第2のアジテータ7により攪拌され、図中時計回りに回転する第1のアジテータ6によって供給ローラ4に供給される。図中反時計周りに回転する供給ローラ4に供給されたトナーは、現像ローラ2へ供給される。図中反時計回りに回転する現像ローラ2に供給されたトナーは、途中ドクタブレード3により薄層化された後、感光体1と対向する現像領域に搬送される。現像領域では、感光体1上に形成された静電潜像にトナーを供給して現像を行う。また、供給ローラ4は、現像領域よりも下流で、現像ローラ2から余剰トナーを掻き落とす。掻き落とされたトナーは、供給ローラ4の回転よる現像剤の流れにより、供給ローラ4の上方に配置される現像剤収容部5へ移動し、現像剤収容部5のトナーと混ざりあった後、再び供給ローラ4を介して現像ローラ1に供給されることになる。
【0017】
次に、現像剤攪拌部材としての第1のアジテータ及び第2のアジテータについて説明する。図3は、現像装置の構成を説明する要部拡大構成図である。図4は、第1のアジテータの回転軌跡を説明する模式図である。図5の(a)は、第1のアジテータの構成を説明する平面図であり、(b)は第1のアジテータの回転軌跡を説明する模式図である。図6の(a)は、第2のアジテータの構成を説明する平面図であり、(b)は第2のアジテータの回転軌跡を説明する模式図である。図3乃至図5に示すように、第1のアジテータ6は、回転軸6aと、回転軸中心6Aから距離lにある円筒状の作用軸6bと、回転軸中心6Aから距離mにある円筒状の作用軸6cとから構成される。また、図6に示すように、第2のアジテータ7は、回転軸7と、回転軸中心7Aから距離nにある円筒状の作用軸7b、回転軸中心7Aから距離oにある円筒状の作用軸7c、回転軸中心7Aから距離pにある円筒状の作用軸7d、7eとから構成される。このとき、最外周にある作用軸7d、7eは、回転軸中心7Aから等距離に設けても良い。
【0018】
このように構成される第1・第2のアジテータ6、7は、回転することにより遠心力を発生させ周方向に攪拌力を持つことができ、また作用軸6b、6c、7b、7c、7d、7eが占める空間にトナーを落下せしめることになる。そのため、第1・第2のアジテータ6、7は、スクリュー状の攪拌部材やフィルム等からなる回転羽根等に比べ、上下方向への攪拌力が大きく、縦長の現像剤収容部5内のトナーを効率良く混合することができる。また、第1のアジテータ6は、2本の作用軸6b、6cが回転軸中心6Aから互いに異なる距離l、mをもつことで、作用軸6bによる攪拌領域6B(黒塗りで図示)と作用軸6cによる攪拌領域6C(図中黒塗り)とが互いに異なる。そのため、第1のアジテータ6は、回転軸中心から等距離に2本の作用軸をもつアジテータに比べトナーが滞留しやすい領域を少なくすることができ、トナーの攪拌力を向上させることができる。また、第2のアジテータ7は、4本の作用軸7b、7c、7d、7eが回転軸中心7Aから互いに異なる距離n、o、pをもつことで、作用軸7bによる攪拌領域7B(黒塗りで図示)、作用軸7cによる攪拌領域7C(黒塗りで図示)、作用軸7d、7eによる攪拌領域7DE(黒塗りで図示)とが互いに異なる。そのため、第2のアジテータ7は、回転軸中心から等距離に4本の作用軸をもつアジテータに比べトナーが滞留しやすい領域を少なくすることができ、トナーの攪拌力を向上させることができる。なお、これら回転軸6a、7a及び作用軸6b、6c、7b、7c、7d、7eの形状は円筒状に限定されるものではなく、断面形状が多角形状であってもよいが、円筒状の軸はトナーへの負荷が小さく、且つ生産性に優れる。
【0019】
また、本実施形態に係る第1のアジテータ6は、図5(b)に示すように、回転軸中心6Aから最も近い距離にある作用軸6bの回転軌跡6Bが回転軸中心6Aを通る構成となっている。第2のアジテータ7は、図6(b)に示すように、回転軸中心7Aから最も近い距離にある作用軸7bの回転軌跡7Bが回転軸中心7Aを通る構成となっている。ここで、回転軸中心と作用軸の中心とは異なる。このような構成とすることにより、トナーが最も滞留しやすい回転軸中心6A、7A領域のトナーを攪拌することができ、回転軸中心6A、7A領域でトナーが滞留することを防止できる。
【0020】
また、図2に示すように、現像装置23は、現像剤収容部5内に複数個のアジテータ6、7を設けることにより、1つのアジテータのみを設ける場合に比べ、現像剤収容部5内のトナーの攪拌性を向上させることができる。アジテータを複数個設ける場合には、互いの大きさが違ってよい。アジテータの大きさを変えることで、供給ローラ4にトナーを供給する第1のアジテータ6、現像剤収容部5内のトナーを循環させる第2のアジテータ7というように、目的が異なるアジテータにも対応できる。図3に示すように、第1のアジテータ6は、第1のアジテータ6の最外周の回転軌跡と供給ローラ4の間隔が1mm以下となるように、供給ローラ4の近傍に設けられている。そのため、第1のアジテータ6の回転によってトナーを矢印A方向に搬送しながら供給ローラ4に供給することができ、供給ローラ4へのトナー供給性を向上させることができる。第2のアジテータ7は、第1のアジテータ6に比べ作用軸が多く設けられ、最外周となる作用軸の回転軸中心からの距離も大きいため、第1のアジテータ6に比べトナーの攪拌力も大きくなる。
【0021】
また、図5及び図6に示す第1・第2のアジテータ6、7においては、全ての作用軸6b、6c、7b、7c、7d、7eの直径が同径となるように構成されているが、回転振れを抑制するために複数設けられた作用軸の直径が互いに異なっていてもよい。図7(a)は、別の実施形態に係るアジテータの構成を示す平面図であり、(b)はこのアジテータの回転軌跡を説明する模式図である。図7に示すアジテータ8は、回転軸8aと、回転軸中心8Aから距離qにあり、直径qの円筒状の作用軸8bと、回転軸中心8Aから距離rにあり、直径qよりも小さい直径sとなる円筒状の作用軸8cとから構成される。このように構成されるアジテータ8は、重心と回転軸中心8Aが一致するため、回転振れが抑制される。
【0022】
次に、本実施形態で使用されるトナーについて説明する。
600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの重量平均粒径は3〜8[μm]が好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。重量平均粒径(D4)が3[μm]未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。重量平均粒径(D4)が8[μm]を超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。また、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0023】
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
【0024】
まず、電解水溶液100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5[ml]加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20[mg]加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100[μm]アパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上乃至40.30[μm]未満の粒子を対象とする。
【0025】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図8(a)(b)は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を表した模式図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0026】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0027】
また、本実施形態で好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0028】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
【0029】
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0030】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0031】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0032】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0033】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
【0034】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0035】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0036】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40[wt%]、好ましくは1〜30[wt%]、さらに好ましくは2〜20[wt%]である。0.5[wt%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40[wt%]を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0037】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0038】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
【0039】
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
【0040】
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0041】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えるか、1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0042】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0043】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0044】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0045】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0046】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブ
リリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0047】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0048】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)
、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0049】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0050】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙
げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
【0051】
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0052】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2[μm]であることが好ましく、特に5×10−3〜0.5[μm]であることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500[m/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5[wt%]であることが好ましく、特に0.01〜2.0[wt%]であることが好ましい。
【0053】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2[μm]以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0054】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
【0055】
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0056】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
【0057】
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0058】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミ
ド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0059】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0060】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1[μm]、及び3[μm]、ポリスチレン微粒子0.5[μm]及び2[μm]、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1[μm]、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0061】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノ
メタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、
ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0062】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20[μm]にするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000[rpm]、好ましくは5000〜20000[rpm]である。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0063】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0064】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0065】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0066】
以上、本実施形態の現像装置23によれば、現像剤攪拌部材であるアジテータ6は、作用軸6b、6cが回転軸中心6Aから互いに異なる距離l、mに設けられている。アジテータ7は、作用軸7b、7c、7dが回転軸中心7Aから互いに異なる距離n、o、pに設けられている。アジテータ8は、作用軸8b、8cが回転軸中心8Aから互いに異なる距離q、rに設けられている。そのため、作用軸が1本若しくは複数の作用軸が回転軸中心から等距離の位置に設けられている場合に比べ、アジテータ6、7、8では、作用軸の回転軌跡6B、6C、7B、7C、7D、8B、8Cが占める領域が大きくなり、作用軸による攪拌作用を直接受ける現像剤が多くなる。その結果、現像剤が滞留しやすい領域が少なくなり、現像剤収容部5内の現像剤を安定して現像剤供給部材へ補給することができる。
また、本実施形態に係る現像装置23によれば、アジテータ6、7、8の回転軸中心6A、7A、8Aから最も近い距離にある作用軸6b、7b、8bの回転軌跡6B、7B、8Bの回転軌跡が回転軸中心6A、7A、8Aを通る構成となっている。そのため、トナーが最も滞留しやすい回転軸中心6A、7A領域のトナーを攪拌することができ、回転軸中心6A、7A領域でトナーが滞留することを防止できる。
また、本実施形態に係る現像装置23によれば、複数個のアジテータ6、7が設けられているため、現像剤収容部5内のトナー攪拌性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る現像装置23によれば、供給ローラ4の最も近傍に設けられたアジテータ6は、回転軸中心6Aから最も遠い距離にある作用軸6cの回転軌跡6Cの最外周と供給ローラ4との間隔が1mm以下となる位置に配置される。これにより、供給ローラ4へのトナー供給性を向上させることができる。
また、上記現像装置23で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8[μm]、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とするものである。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーを用いることで、トナー帯電量分布が均一で、地肌かぶりの少ない高品位の画像を得るとともに、高転写率を得ることができる。一方、このような小粒径のトナーは凝集度が高いので、本発明の課題が顕著に発生するため、上記現像装置23を用いることは有効である。
また、トナーの形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲とする。このような形状のトナーを用いることで、流動性を良好にし、トナーの供給性を向上させ、また、トナー層の均一化を保ちムラのない高品位な画像を得ることができる。さらに、トナー間の吸着力、感光体1とトナー吸着力を弱め、高転写率を得ることができる。一方、このようなトナーは、本発明の課題が顕著に発生するため、上記現像装置23を用いることは有効である。
また、トナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるものとする。これは、形状及び表面のモフォロジー制御可能なトナーの工法であり、小粒径で、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。これにより、高品位の画像を得るとともに、高転写率を得ることができる。
また、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、感光体1と上記現像装置23とを一体的に形成し、画像形成装置本体に脱着可能なプロセスカ−トリッジとして構成することにより、メンテナンス性の向上が図れる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、上述したように良好な現像動作を行うことができる現像装置を備えていることから、画像濃度が急激に変化することを抑制して高品質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態に係る現像装置を採用するカラー画像形成装置の概略構成図。
【図2】同現像装置の構成を説明する概略構成図。
【図3】同現像装置の構成を説明する要部拡大構成図。
【図4】同現像装置の第1のアジテータの回転軌跡を説明する模式図。
【図5】(a)は、第1のアジテータの構成を説明する平面図であり、(b)は第1のアジテータの回転軌跡を説明する模式図。
【図6】(a)は、第2のアジテータの構成を説明する平面図であり、(b)は第2のアジテータの回転軌跡を説明する模式図。
【図7】(a)は、別の実施形態に係るアジテータの構成を示す平面図であり、(b)はこのアジテータの回転軌跡を説明する模式図。
【図8】形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を表した模式図。
【図9】従来の現像装置の構成を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0068】
1 感光体
2 現像ローラ
3 ドクタブレード
4 供給ローラ
5 現像剤収容部
6 第1のアジテータ
6a 回転軸
6A 回転軸中心
6b、6c 作用軸
7 第2のアジテータ
7a 回転軸
7A 回転軸中心
7b、7c、7d 作用軸
20 作像ユニット
21 露光装置
22 帯電装置
23 現像装置
24 クリーニング装置
30 中間転写ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持して潜像担持体との対向部まで搬送する現像剤担持体と、回転しながら該現像剤担持体に当接して現像剤を供給する現像剤供給部材と、該現像剤供給部材の上方に設けられ現像剤を収容する現像剤収容部と、回転しながら該現像剤収容部内の現像剤を攪拌する現像剤攪拌部材とを備える現像装置において、
上記現像剤攪拌部材は、回転軸と、該回転軸中心から互いに異なる距離をもつ位置にあって上記現像剤収容部内の現像剤に攪拌作用を及ぼす複数の作用軸とからなることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記現像剤攪拌部材は、回転軸中心から最も近い距離にある作用軸の回転軌跡が回転軸中心を通る構成であることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2の現像装置において、
上記現像剤撹拌部材が複数個設けられたことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3の現像装置において、
上記現像剤供給部材の最も近傍に設けられた上記現像剤撹拌部材は、回転軸中心から最も遠い距離にある作用軸の回転軌跡最外周と該現像剤供給部材との間隔が1mm以下となる位置に配置されることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4の現像装置において、
上記現像剤には、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるトナーを用いることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5の現像装置において、
上記現像剤には、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるトナーを用いることを特徴とする現像成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6の現像装置において、
上記現像剤には、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
潜像担持体と現像手段とを一体的に形成し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカ−トリッジにおいて、
上記現像手段として請求項1、2、3、4、5、6又は7の何れかの現像装置を採用することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
潜像担持体と、該潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、
上記現像手段として請求項1、2、3、4、5、6又は7の何れかの現像装置を採用することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−251337(P2009−251337A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100086(P2008−100086)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】