説明

現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】嵩の増加による搬送不良を避ける際に生じる摩擦熱の発生や電力消費量の増加などを招くことなく現像剤の一方向循環を可能にするとともに、現像剤供給部への直接的な回収現像剤の侵入を防止して濃度偏差などを防止できる構成を備えた現像装置を提供する。
【解決手段】縦方向の上方に回収現像剤搬送室58を、そして下方に現像剤担持体51aに向け現像剤を供給する供給現像剤搬送室59を備え、攪拌喪失には第一、第二搬送スクリュー53,54により現像剤が攪拌搬送される現像装置において、前記各搬送室を遮蔽する遮蔽部材57には、現像剤担持体51aから離散する現像剤を第一搬送スクリューに向けガイドするガイド部57Aとガイド部57Aに隣接して第一搬送スクリュー53のスクリュー羽根にガイドされた現像剤が接触する位置の後方に位置する第三の連通部57Bとを備え、第三の連通部57Bは、第一搬送スクリュー53により移動する現像剤の移動方向中央から下流側の間に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関し、さらに詳しくは、二成分系現像剤の撹拌搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像を現像装置により可視像処理し、可視像をシートなどに転写することにより記録出力を得ることができる。
【0003】
現像に用いられる現像剤には磁性あるいは非磁性トナーのみの一成分系現像剤の他にトナーとキャリアとを混合した二成分系現像剤がある。
二成分系現像剤は、トナーとこれを担持するキャリアとで構成され、攪拌混合時に生起される摩擦帯電作用によりトナーを帯電させて感光体上の静電潜像に対して静電吸着できる状態とされる。
【0004】
搬送過程において現像剤を攪拌することができる現像装置の構成として、現像剤の搬送に用いられる搬送スクリューを上下方向に設置して現像剤担持体に対する現像剤供給部と現像剤回収部とを縦方向に並べた構成が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
特許文献1には、現像剤供給部が現像剤回収部の下方に位置し、現像剤供給部側には現像剤担持体の下方に現像剤の層厚を規定するドクターブレードを配置した構成が開示されている。
特許文献2,3には、特許文献1に開示された現像剤供給部と現像剤回収部とのは位置関係を縦方向で逆の関係に設定した構成が開示されている。
【0005】
これらの構成では、現像剤供給部と現像剤回収部とを搬送スクリューの軸方向両側にて連通させる仕切る部材により仕切り、各部で搬送スクリューが回転することにより現像剤が搬送される過程で攪拌できるとともに現像剤供給部から現像剤担持体に向け、そして現像剤担持体から現像剤回収部に至る現像剤が再度現像剤周部から現像剤供給部に移動するという一方向の循環経路が構成されている。
【0006】
一方、現像剤はトナーが消費されることにより現像剤濃度が低下すると新規トナーが補給されるようになっており、補給されたトナーは現像装置内で搬送スクリューにより攪拌・混合されながら搬送するようになっている。
上述した現像剤供給部では、現像剤を搬送スクリューの軸方向に搬送しながら現像剤担持体に内蔵されている汲み上げ磁極により現像剤が汲み上げられ、現像剤回収部では、現像剤担持体に内蔵されている剤離れ磁極によって現像剤担持体から反撥して離散した現像剤が回収されると搬送スクリューにより搬送されて現像剤供給部との連通部を介して現像剤回収部に現像剤を一方向へ循環されるようになっている。現像剤回収部から現像剤供給部への現像剤の移動はこれら各部の連通部において現像剤の自重落下を利用して行われる。
【0007】
上述した構成においては、搬送スクリューが縦方向に並設されているので、複数の搬送スクリューを水平方向に並置した構成に比べて現像装置の高さ方向のサイズを小さくできる。また、この構成による利点としては、水平方向に搬送スクリューを並置した構成と違って、現像剤担持体から回収される現像剤がそのまま現像剤供給部に入り込まないので現像剤供給部から供給される現像剤中に現像剤担持体側から回収された異物などの存在が少なく、これにより像担持体への異物付着などにより濃度偏差を小さくできることがある。
【0008】
また、現像装置に設けられているドクターブレードの位置が現像剤担持体の下方であるので、可視像処理されたトナー像を担持する感光体の転写位置および感光体の回転方向の設定によって次の利点がある。
例えば、感光体のトナー像転写位置が感光体の上方とされ、感光体としてドラムを用いた場合の回転方向が時計方向である場合、ドクターブレードが現像剤担持体の上方に設けられている構成のように、現像剤担持体が層厚規定後ほぼ半周してから感光体に剤担持面を対向させる時間よりも対向するまでの時間を短くすることができる。このようなドクターブレードの配置構成は、複数の作像部を転写部材に対して並列は位置したタンデム方式の画像形成装置においてファーストプリント時間を短くできるという理由から多用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現像剤回収部では、搬送スクリューの回転により搬送方向上流側から下流側に向けて剤の嵩が増加する。つまり、図11は、特許文献1に開示されている構成を対象とした図であり、同図において図11に示すように、回収側搬送空間GR1に配置されている搬送スクリュー101によって攪拌搬送される現像剤は、搬送スクリュー101の端部に達すると連通部R1側に押し寄せられることにより堆積することでさらに嵩が増加する。
【0010】
現像剤供給部では、図11に示すように、供給側搬送空間GR2に配置されている搬送スクリュー102による搬送過程において現像ローラに現像剤中のトナーが消費されることにより現像剤が減少し、搬送スクリュー102の端部に至るに従い、徐々に減少する。これにより、現像剤の嵩高さは低くなる。
搬送スクリュー102の端部に達した現像剤は、連通部R2を経由して再度、回収側搬送空間GR1に移行し、ここに現像剤の一方向循環が達成されるようになっている。
【0011】
このような現像剤の一方向循環に際しては、現像剤の循環が安定して行われることが必要であるが、現像剤回収部において上述したように現像剤の嵩が増加すると、その嵩が増加した位置での現像剤の回収が困難となる虞があり、結果として、現像剤担持体から現像剤の回収が行えず、現像剤担持体がローラなどの回転部材である場合にはその回転に連れ動いた現像剤の一部が現像剤供給部に直接侵入してしまうことがある。
現像剤供給部に対して現像ローラから直接侵入する現像剤は、攪拌帯電が正常に行われた現像剤ではないので、現像ローラに供給された場合に濃度偏差が生じる虞がある。
【0012】
現像剤の回収効率を上げるには、搬送スクリューの回転速度を上げることが考えられる。しかし、この方法では、嵩が増加した位置での現像剤同士の摩擦熱の発生により現像剤中のトナーの特性劣化を招く虞れがあるばかりでなく、嵩の増加による搬送スクリューへの負荷増加に対応すべく駆動力を増加する必要があることから駆動源での電力消費量の増加が生じるなどの問題がある。
【0013】
本発明の目的は、上記従来の現像装置、特に搬送スクリューを用いた場合の問題に鑑み、嵩の増加による搬送不良を避ける際に生じる摩擦熱の発生や電力消費量の増加などを招くことなく現像剤の一方向循環を可能にすることができる現像装置を提供することにある。
また本発明の目的は、現像剤供給部への直接的な回収現像剤の侵入を防止して濃度偏差などを防止できる構成を備えた現像装置およびプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成された潜像を前記現像剤のトナーで現像する現像装置であって、
前記像担持体に対向するとともに周囲に複数の磁極が形成された現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の下方に対向させて配設されて前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
現像装置内の縦方向で遮蔽されることで構成される空間のうちで、上方に位置して現像剤担持体からの現像剤を回収する空間をなす現像剤回収部と、
前記縦方向下部に位置して現像剤担持体に向けて現像剤を供給する現像剤供給部と、
前記現像剤回収部および現像剤供給部にそれぞれ配置されている第一の現像剤搬送部材および第二の現像剤搬送部材と、
前記第一、第二の現像剤搬送部の長手方向両端部に対応して前記現像剤回収部および現像剤供給部の連通部を有した遮蔽部材とを備え、
前記遮蔽部材には、前記現像剤担持体から離脱した現像剤を前記現像剤回収部に位置する第一の現像剤搬送部材に誘導するガイド部と前記連通部とは別に前記現像剤回収部と現像剤供給部とを連通される第三の連通部が設けられていることを特徴とする現像装置。
【0015】
(2)前記第三の連通部は、前記現像剤回収部に位置する第一の現像剤搬送部材における長手方向中央と現像剤移動方向において下流側の連通部との間に設けられていることを特徴とする(1)記載の現像装置。
【0016】
(3)前記第三の連通部は、前記遮蔽部材に有するガイド部を移動する現像剤が前記第一の現像剤搬送部材と接触し始める時期よりも後の時期に相当する位置に設けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載の現像装置。
【0017】
(4)前記第三の連通部における開口面積は前記遮蔽部材における前記第一の現像搬送部材による現像剤移動方向下流側に位置する連通部の開口面積よりも小さくされていることを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の現像装置。
【0018】
(5)前記第3の連通部における開口面積は、前記現像剤回収部での現像剤移動方向下流側に位置する連通部において現像剤担持体からの現像剤の回収ができなくなる嵩高さ分を現像剤供給部に向けて移動させることができる面積とされていることを特徴とする(4)記載の現像装置。
【0019】
(6)前記遮蔽部材におけるガイド部と前記第三の連通部とは、前記現像剤担持体に対向する先端から順に該現像剤担持体表面から遠ざかる位置関係による設けられていることを特徴とする(1)または(3)に記載の現像装置。
【0020】
(7)前記遮蔽部材における前記現像剤担持体に対向する先端部は、前記現像剤担持体に内蔵されている複数の磁極のうちで、互いに反撥する関係の磁極間のほぼ中央に位置決めされていることを特徴とする(1)乃至(5)のうちの一つに記載の現像装置。
【0021】
(8)前記第一、第二の搬送部材にはスクリュー部材が用いられ、スクリュー部材同士の回転方向が逆方向とされていることを特徴とする(1)記載の現像装置。
【0022】
(9)前記遮蔽部材に設けられている第三の連通部における現像剤回収部側には、メッシュを配置してあることを特徴とする(1)乃至(7)のうちの一つに記載の現像装置。
【0023】
(10)キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成された潜像を前記現像剤のトナーで現像する現像装置であって、
前記像担持体に対向するとともに周囲に複数の磁極が形成された現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の下方に対向させて配設されて前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
現像装置内の縦方向で遮蔽されることで構成される空間のうちで、上方に位置して現像剤担持体からの現像剤を回収する空間をなす現像剤回収部と、
前記縦方向下部に位置して現像剤担持体に向けて現像剤を供給する現像剤供給部と、
前記現像剤回収部および現像剤供給部にそれぞれ配置されているスクリュー部材が用いられる第一の現像剤搬送部材および第二の現像剤搬送部材と、
前記現像剤回収部および現像剤供給部の底部間に連通させて設けられている第三の連通部とを備え、
前記第三の連通部は、前記現像剤回収部側において第一の搬送部材におけるスクリュー羽根に対向する位置に開口し、前記現像剤供給部側において前記第二の搬送部材におけるスクリュー羽根間のスクリュー軸の位置に対向して開口していることを特徴とする現像装置。
【0024】
(11)前記第三の連通部には、前記現像剤回収部側に異物捕捉部材が設けられていることを特徴とする(1)乃至(10)のうちの一つに記載の現像装置。
【0025】
(12)前記現像剤に用いられるトナーは、形状系数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が200〜180の範囲にあることを特徴とする(1)または(10)に記載の現像装置。
【0026】
(13)前記潜像担持体、前記(1)乃至(11)のうちの一つに記載の現像装置および潜像担持体に対する帯電工程を行う帯電装置、該潜像担持体から未転写トナーを除去するクリーニング装置が纏めて収容されるケーシングを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0027】
(14)(13)記載のプロセスカートリッジを複数備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、現像剤回収部に設けられている第一の搬送部材による現像剤移動方向両側に位置する連通部とは別に、現像剤移動方向中央から下流側の連通部の間に、現像剤供給部と連通する第三の連通部を設けているので、第一の搬送部材による現像剤移動方向下流側での現像剤の嵩が高くなるのを防止することができる。これにより、嵩が高くなった場合に現像剤が回収できなくなるのを防止して現像剤の循環を損ねないようにすることが可能となる。
【0029】
特に、第三の連通部は、現像剤回収部と現像剤供給部とを遮蔽する遮蔽部材において、回収される現像剤を第一の搬送部材に向けてガイドするガイド部と隣接し、かつ、第一の搬送部材に現像剤が接触し始める時期よりも後の時期に相当する位置に設けられることで回収された現像剤が第一の搬送部材による攪拌が行われた後に現像剤供給部に導入できるので、攪拌時での摩擦帯電低下した現像剤が現像剤供給部に供給されるのを防止することができる。これにより、帯電不足による画像濃度異常の発生を未然に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による現像装置を備えたプロセスカートリッジが適用される画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した作像部をなすプロセスカートリッジの構成を説明するための図である。
【図3】図2に示したプロセスカートリッジに用いられる現像装置の概略構成を説明するための図である。
【図4】図3に示した現像装置の要部を示す斜視図である。
【図5】図3に示した現像装置の平面視および正面視そして現像剤の循環状態を説明するための図である。
【図6】図3に示した現像装置における回収現像剤搬送室および供給現像剤搬送室での現像剤の循環状態を説明するための図である。
【図7】本発明による現像装置の実施例における特徴を説明するための図である。
【図8】図7に示した特徴を用いた場合の現像祭の循環状態を説明するための図である。
【図9】図3に示した構成の要部変形例を説明するための図3相当の図である。
【図10】図3に示した現像装置に用いられる第三の連通部に関する変形例を説明するための図である。
【図11】従来の現像装置における現像剤循環状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面により本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による現像装置が含まれるプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の構成を示す模式図である。
【0032】
図1において、符号10は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、32は原稿を搬送する原稿搬送部を備え原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、30は出力画像が積載される排紙トレイ、26は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、27は給紙部に収容される記録媒体Pを1枚ずつ給紙する給紙ローラ、28は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ対を示している。
また、符号6Y、6M、6C、6Bkは、各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk))の作像部であり、1Y、1M、1C、1BKは各色のトナー像が形成される像担持体としての感光体ドラム、5Y、5M、5C、5Bkは各感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK上に形成される静電潜像を現像する現像装置、9Y、9M、9C、9Bkは各感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)を示している。
符号8は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト8Aを備えた中間転写ユニット、19は中間転写ベルト8A上のカラートナー像を記録媒体P上に転写するための2次転写バイアスローラ、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、31は各色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナー(トナー粒子)を現像装置5Y、5M、5C、5Bkに供給する各色のトナーボトル31Y、31M、31C、31BKを収容するボトル収容器を示している。
【0033】
図1に示すように、中間転写ユニット8の中間転写ベルト8Aに対向するように、各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk))に対応した作像部6Y、6M、6C、6Bkが並設されている。なお、装置本体10に設置される4つの作像部6Y、6M、6C、6Bkは、作像プロセスに用いられるトナーの色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk))が異なる以外はほぼ同一構造であり、例えば図2に示すような構成となっている。図2においては、作像部6と感光体ドラム1と1次転写バイアスローラ9とにおける符号のアルファベット(Y、M、C、K)を省略して図示している。
【0034】
図2に示す作像部6は、像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電部4、現像部としての現像装置5、クリーニング部2等で構成されている(図1では現像装置5のみ表示)。感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。
作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像部(現像装置)5、クリーニング部2は、纏めて収容可能なユニットで構成されるプロセスカートリッジに設けられており、プロセスカートリッジは、それぞれ、画像形成装置本体100に対して着脱自在に設置できるように構成されている。そして、それぞれが、寿命に達したときに、新品のものに交換される。
このように、装置本体100に着脱自在に設置されるプロセスカートリッジとすることにより、作像部6のメンテナンスを行う際の作業性が向上し、かつ交換も容易となり、リサイクル性が向上する。
【0035】
以下、図1に示す画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。なお、各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk))の作像部6Y、6M、6C、6Bkにおいて感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK上で行なわれる作像プロセスについては、図2も参照して説明する。
【0036】
まず、原稿は、図示しない原稿搬送部の搬送ローラによって原稿台から搬送されて、原稿読込部32のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部32で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
より詳しく述べると、図示を省略しているが、原稿読込部32は、コンタクトガラス上の原稿の画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿にて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿のカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理を行ない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0037】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、例えばレーザ光走査方式の光書込装置からなる露光部(図示省略)に送信される。そして、露光部からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(図2)が、それぞれ、対応する感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK上に向けて発せられる。
【0038】
一方、4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1BKは、それぞれ、図1の時計回り方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム1Y、1M、1C、1BKの表面は、帯電部4(図2参照)との対向部で、一様に帯電される(帯電工程)。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK上には、帯電電位が形成される。
その後、帯電された感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される(露光工程)。
【0039】
より具体的には、露光部において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光Lが各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光Lは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる。
イエロー成分に対応したレーザ光Lは、紙面左側から1番目の感光体ドラム1Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム1Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部4にて帯電された後の感光体ドラム1Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光Lは、紙面左から2番目の感光体ドラム1M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光Lは、紙面左から3番目の感光体ドラム1C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光Lは、紙面左から4番目の感光体ドラム1BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0040】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK表面は、それぞれ、現像部の現像装置5Y、5M、5C、5Bkとの対向位置に達する。そして、各現像装置5Y、5M、5C、5Bkから感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK上の潜像が現像される(現像工程)。
【0041】
その後、現像工程後の感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト8Aとの対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト8Aの内周面に当接するように1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkが設置されている。そして、1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkの位置で、中間転写ベルト8A上に、感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程)。このとき、感光体ドラム1上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0042】
その後、転写工程後の各感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK表面は、それぞれ、クリーニング部2(図2参照)との対向位置に達する。そして、クリーニング部2のクリーニングブレード2a等で、感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。
その後、感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で各感光体ドラム1Y、1M、1C、1BK上の残留電位が除去される。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0043】
なお、上述した作像プロセスは、4つの作像部6Y、6M、6C、6BKで、それぞれおこなわれる。すなわち、図1を参照して、作像部の下方に配設された露光部から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6Y、6M、6C、6BKの感光体ドラム上に向けて照射される。詳しくは、露光部は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。その後、上述した現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される
【0044】
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8Aを感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト8Aは、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8A上に重ねて1次転写される。
【0045】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成されたカラートナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
中間転写ベルト上に残存する未転写トナーは、図示せぬベルトクリーニングユニットによって除去されることで初期状態に復帰する。
こうして、中間転写ベルト8上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0046】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0047】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。
排紙ローラ対29によって装置本体100外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0048】
次に、図2において、作像部における現像装置の構成例について、さらに詳しく説明する。
図2は作像部6に用いられるプロセスカートリッジの概略断面図であり、図1に示す各色の作像部6Y、6M、6C、6Bkに着脱可能に装着されるものである。
図2において、現像部(現像装置)5は、現像器(ケーシング)50と、この現像器50内に配設され、感光体ドラム1に対向する現像剤担持体としての現像ローラ51と、現像ローラ51の下方に設置された現像剤規制部材としてのドクターブレード52と、現像器50の縦方向にそれぞれ配置されている空間からなる現像剤回収部および現像剤供給部に相当する回収現像剤搬送室および供給現像剤搬送室58,59と、これら各搬送室58,59に配設されているスクリュー部材で構成された第一、第二の搬送部材(以下、第一搬送スクリュー、第二搬送スクリューという)53,54とを備えている。
回収現像剤搬送室58,供給現像剤搬送室59内には、キャリアとトナーとからなる2成分系現像剤が収容されている。
本実施例における現像剤に用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものが用いられている。
【0049】
また、現像器50の搬送スクリュー54と対向する位置には、現像剤中のトナー濃度を検知するための、トナー濃度センサ56が設けられている。
なお、2つの搬送スクリューのうち、第一搬送スクリュー53は、現像ローラ51に対向し現像ローラ51から離脱した現像剤と補給トナーを混合攪拌する回収用搬送部材としての回収スクリュであり、第二搬送スクリュー54は、現像ローラ51の略下方に対向配置され現像剤を長手方向に搬送しながら現像ローラ51に現像剤を供給する供給用搬送部材としての供給スクリューであり、各搬送スクリュー53,54は回転方向を逆方向に設定されることで、相対方向に現像剤を移動させて図2を示す紙面と直角な方向に現像剤を循環させる構成とされている。
【0050】
図3は現像装置における現像剤の供給・回収状態を説明するための概略断面図であり、図4は図3に示す現像装置の斜視図である。
この現像装置の基本的な構成は図2の作像部(プロセスカートリッジ)6に組み込んだものと同様である。
図3に示すように、現像ローラ51は、内部に固設された複数の磁極を有するマグネットローラ55や、マグネットローラ55の周囲を回転する円筒状の現像スリーブ51a等で構成されている。
現像ローラ51のマグネットローラには、例えばP1極〜P5極の5つの磁極が形成されている。そして、5つの磁極が形成されたマグネットローラ55の周囲を現像スリーブ51aが回転することで、その回転にともない現像剤が現像ローラ51上(現像スリーブ上である。)を移動することになる。なお、図3の現像ローラ51のマグネットローラ55に付した放射状の曲線は、P1極〜P5極のそれぞれの磁場(磁力)の領域を示すものである。また、P1極は現像領域で現像剤の磁気ブラシを形成するための主磁極、P2極は搬送磁極、P3極は剤離れプレ極、P4極は剤離れ磁極、P5極は汲み上げ極である。
【0051】
なお、図3では5極の磁極(P1極〜P5極)が形成されたマグネットローラとしたが、磁極の数は5極に限らず、4極あるいは6極としてもよい。また、マグネットローラに代えて、複数の固定磁石を配置した構成としてもよい。また、図3に記載したP1極〜P5極の極性(N極、S極)は一例であり、N極とS極を逆にしてもよい。
【0052】
次に、一方向循環現像方式の構成例について説明する。
図3に示す現像装置5は、現像ローラ51とドクターブレード52、第一搬送スクリュー53とそれを収容した回収現像剤搬送室58、第二搬送スクリュー54とそれを収容した供給現像剤搬送室59、これら2つの現像剤搬送室58、59の空間同士を遮蔽して分離する遮蔽部材57から構成されている。
現像装置5の現像器(ケーシング)50内の各現像剤搬送室58,59には、ポリエステル樹脂を主成分とするトナー(粒径5.8μm)と磁性微粒子であるキャリア(粒径35μm)を7wt%に均一混合した現像剤が一定量(例えば300g)充填されており、並列に配置した第一搬送スクリュー53,第二搬送スクリュー54を所定の回転数(例えば600rpm)で回転させることによって補給後のトナー攪拌と搬送を同時に行い、トナーとキャリアの均一混合と帯電付与を行っている。
均一混合された現像剤は現像ローラ51の現像スリーブ51aに近接して平行に設けられた第二搬送スクリュー54で長手方向に相当する軸方向に沿って攪拌搬送され、現像スリーブ51aに内包されたマグローラ55のP4,P5磁極の磁力によって現像スリーブ外周部の表面に移送される。
現像スリーブ51aが図中矢印の通り回転することによって感光体1と現像スリーブ51aによって作られる現像領域に現像剤が運ばれ、図示しない高圧電源による現像電界を形成することによってトナーが感光体上の潜像を現像する。
現像後の現像剤は現像スリーブ51aの回転に伴って現像器50内に回収されるようになっており遮蔽部材57を介して第一搬送スクリュー53に回収されるようになっている。
【0053】
図5は、図4において矢印Aで示す方向の矢視図であり、同図においては、現像容器の城壁が取り除かれて示してある。
図5において、矢印は、現像剤の移動方向を示しており、(A−1)は、現像スリーブ51aから回収現像剤搬送室58内の第一搬送スクリュー53に向けて現像剤が回収された場合の大地搬送スクリュー53での現像剤の移動方向が示されている。(Aー2)は、(A−1)の正面視による図である。
図5(B)は、回収現像剤搬送室58および供給現像剤搬送室59での第一、第二搬送スクリュー53,54による現像剤の移動方向を示している。同図において、スクリュー端の領域aおよびbでは、上段の回収スクリューと下段の供給スクリューによる攪拌・搬送室が上下に連通しており、a部では上段から下段へ、b部では下段から上段へ現像剤が搬送されるようになっている。連通部におけるスクリューの形状はパドルや逆巻きのスクリューを設けており、搬送方向に対して垂直方向への搬送能力を持たせている。
【0054】
図6は、図3、図4に示す現像装置の長手方向の現像剤の動きを示す概略断面図である。図6に示す通り、供給現像剤搬送室59では、第二搬送スクリュー54により図示した太矢印のように現像剤の搬送を行うが、第二搬送スクリュー54で搬送される現像剤は現像ローラ51の磁力により現像スリーブ51a上に汲み上げられる。
現像後の現像剤は現像ローラ57の現像スリーブ51a上から遮蔽部材57を介して分離され第一搬送スクリュー53側の回収現像剤搬送室58内に送られる。また、2つの現像剤搬送室58,59は、現像ローラ51の現像領域外で遮蔽部材57の一部を欠如させることで連通しており、第二搬送スクリュー54で搬送される現像に使用されなかった現像剤は、第二搬送スクリュー54の搬送方向下流側の連通部から第一搬送スクリュー53側の回収現像剤搬送室58に受け渡される。
【0055】
第一搬送スクリュー53が配置されている回収現像剤搬送室58には、図4および図6に示すように、第一搬送スクリュー53のスクリュー羽根領域外にトナー補給口TIが設けられており、このトナー補給口TIからトナーが補給され、第二搬送スクリュー54から受け渡された現像剤と混合され、攪拌搬送される。また、第一搬送スクリュー53で攪拌搬送される現像剤には、現像後に現像ローラ51から回収した現像剤が混合され、同様に攪拌搬送される。
第一搬送スクリュー53で攪拌搬送された現像剤は、回収現像剤搬送室58の搬送方向下流側に位置する連通部で第二搬送スクリュー54が配置されている供給現像剤搬送室59に受け渡される。
【0056】
このように、本発明の現像装置5では、現像剤は第二搬送スクリュー54と第一搬送スクリュー53とにより一方向循環搬送され、その搬送過程で、現像ローラ51への供給、現像ローラ51からの回収及びトナー補給が行われる。
【0057】
以上のような構成の現像装置を対象として本発明の特徴を説明すると次の通りである。
図7は、本発明による現像装置の一実施例を説明するための図3相当の図である。
同図に示す構成の特徴は、回収現像剤搬送室58と供給現像剤搬送室59とを遮蔽する遮蔽部材57において、搬送スクリューの現像領域外に設けられている連通部(図5において符号a、bで示す箇所)とは別に、現像スリーブ51aから回収される現像剤を第一の搬送スクリュー53に向けガイドするガイド部59Aに隣接して第三の連通部59Bを設けた点にある。
【0058】
図7において、遮蔽部材57は、現像スリーブ51a内に配置されている磁極のうちで、磁力線が反撥関係となる剤離れ磁極P4と汲み上げ磁極P5との間のほぼ中央において現像スリーブ51aに対向する先端が位置決めされており、その先端側には、現像スリーブ51aから離散した現像剤を受け止めて第一搬送スクリュー53側に向けてガイドするガイド部59Aが設けられている。
【0059】
遮蔽部材57は、現像スリーブ51aから離散した現像剤を回収現像剤搬送室58の第一搬送スクリュー53に向けて現像剤の時流落下を利用して誘導できるように、先端に対して第一搬送スクリュー53のスクリュー羽根に対向する位置が下側となるように傾けられている。
【0060】
さらに、遮蔽部材57には、現像剤の回収方向(図中、現像剤循環方向と表示した矢印方向)に沿って上述したガイド部57Aに加えて、先端側から現像剤の回収方向に沿って遠ざかる位置に相当させて隣接する位置に貫通孔で構成された第三の連通部57Bが設けられている。
【0061】
ガイド部57Aは、反撥磁極間のほぼ中央に位置することにより現像スリーブ51aから離散した現像剤の捕捉性を確保できると共に、第三の連通部57Bは、回収されて攪拌されて現像剤移動方向下流側に移動する現像剤の一部を供給現像剤搬送室59に流下させる。これにより、現像剤移動方向下流側での嵩増加による現像剤の回収が飽和してしまうのを防いで現像剤の回収を継続できるようになっている。第三の連通部57Bにおける回収現像剤搬送室58側の開口部には、異物が供給現像剤搬送室59内に取り込まれるのを防止するためのメッシュ(図示されず)が配置されている。このメッシュの配置により現像剤担持体への異物の付着を防止して画像中に白スジなどの異常画像が発生するのを防止することができる。
第三の連通部57Bは、図8に示すように、第一搬送スクリュー53の回転による現像剤移動方向において中央から下流側の連通部までの間に設けられている。図8では、現像剤移動方向のほぼ中央部に設けた場合が示されている。
【0062】
また、第三の連通部57Bは、現像スリーブ51aからの現像剤の回収方向(図7中、現像剤循環方向と表示した矢印方向)において、一点鎖線Fで示すように、ガイド部57Aを移動した現像剤が第一搬送スクリュー53のスクリュー羽根に接触し始める時期よりも後の時期に現像剤が達する位置に相当させて開口されている。
【0063】
これにより、現像スリーブ51aから回収された現像剤が直接供給現像剤搬送室59に流れ込むのではなく、第一搬送スクリュー58のスクリュー羽根に接触できるようにして攪拌された現像剤の一部が供給現像剤搬送室59に流れ込めるようになっている。この結果、攪拌時の摩擦帯電が行われない現像剤が供給現像剤搬送室59に流れ込んだ場合に発生するトナーの帯電不足を防止して画像濃度の悪化を防止できるようになっている。
【0064】
さらに、第三の連通部9Bは、その開口面積が次の条件に基づき形成されている。
つまり、第三の連通部57Bの開口面積は、第一搬送スクリュー58による現像剤移動方向下流側に位置する連通部(図5において符号bで示す箇所)の開口面積よりも小さくされている。換言すれば、現像剤移動方向下流側で現像剤の回収ができなくなる嵩高さ分を現像剤移動方向下流側よりも上流側にて供給現像剤搬送室59に流し込むことができる面積とされている。これにより、現像剤移動方向下流側での濃度偏差が大きくなるのを防止できるようになっている。
【0065】
以上のような構成においては、現像剤の回収不能および現像剤の供給不足を防止することが可能となる。つまり、本実施例では、第二搬送スクリュー54により攪拌搬送を行いつつ現像スリーブ51aに現像剤供給を行い、第一搬送スクリュー53にすべて回収する方式を取っているため、図10に示したように、現像剤の堆積状態が斜めになる(供給スクリュー中の現像剤量が下流方向に従って減少する)。
【0066】
いまここに、第二搬送スクリュー54の径、スクリュー羽根のピッチと回転数とから得られる現像剤搬送量能力をWmとし、現像スリーブ51a上の現像剤搬送量をWsとした場合、これらの関係がWm>Wsとなる場合に現像剤が一様に現像スリーブ51a上に搬送されるようになる。
この条件が成立しないと第二搬送スクリュー54による現像剤移動方向下流側において現像剤が不足してしまい現像スリーブ51への現像剤の供給が不可能となってしまう。
【0067】
また、同様に現像スリーブ51から第一搬送スクリュー53に回収される現像剤は、現像剤移動方向下流側において嵩が高くなることにより、その部分での回収能力が飽和してしまうと、回収されない現像剤が分離板57と現像スリーブ51aの隙間から第二搬送スクリュー54側へ入り込み、第二搬送スクリュー54により十分に攪拌されることなく再び現像ニップへ供給されてしまう。
このような現象の発生を防止するには、第一、第二搬送スクリュー53,54の回転数を現像スリーブ51a上での現像剤搬送量を上回るように設定する必要があり、必然的にスクリューは高回転に設定になってしまう。
スクリューが高回転となると、現像剤での摩擦熱の発生や駆動負荷の増加などの新たな問題が生じる。
【0068】
これに対し本実施例では、回収現像剤搬送室58に配置されている第一搬送スクリュー53による現像剤移動方向下流側に移行する現像剤の一部を第三の連通部57Bを介して供給現像剤搬送室59に向け移動させている。これにより、回収現像剤搬送室58において現像剤移動方向下流側に移動する現像剤量を低減でき、現像剤移動方向下流側で現像剤の嵩が高くなるのを抑えて回収不能となるのを防止できる。
さらに、第三の連通部57Bを介して供給現像剤搬送室59に移行する現像剤は、第一搬送スクリュー53のスクリュー羽根に接触することで攪拌された状態で移行するので、摩擦帯電が行われた状態で現像剤を移行させることができる。
しかも、現像剤移動方向下流側での現像剤の嵩増加を抑制できることで回収不能となった場合に生じる、現像剤が現像スリーブ51aと連れ回るのを防止して供給される現像剤とのトナー濃度のバラツキも抑えることができる。
【0069】
本実施例においては、第三の連通部57Bが遮蔽部材57を自由落下する現像剤のガイド部に隣接して設けられているので、例えば、遮蔽部材に連通部を有した構成が開示されている、特開2002−148927号公報(参考文献)の場合と違って、連通部に向け現像剤を強制的に導入する構成などを必要としないで済む。つまり、上記参考文献には、本実施例と現像剤の循環形式が異なってはいるものの、遮蔽部材に設けられている連通部に対して現像剤を持ち上げて導入するために、搬送スクリューの軸方向で連通部に対応する位置の外径を大きくする構成が開示されているが、この構成では、搬送スクリューのスクリュー羽根の面積が小さくなり、その分、搬送量も低減してしまう虞がある。
【0070】
本実施例では、現像スリーブ51aから離散した現像剤がそのままガイド部57Aによる誘導された後に第三の連通部57Bに対応するだけで回収現像搬送室58から供給現像剤搬送室59に向けて誘導できるので、搬送量の低減や特別な構造を必要としないで済む。
しかも、本実施例では、第三の連通部57Bが搬送スクリューにおけるスクリュー羽根の位置と関係づけて設けられているので、導入される現像剤が供給現像剤搬送室59に位置する第二搬送スクリュー54におけるスクリュー羽根54Aの存在しない位置に向けて導入できることにより、羽根の回転により導入が阻害されることもなく円滑な導入が可能となる。
また、回収現像剤搬送室58での現像剤移動方向下流側での嵩の増加を抑制できることで、第一搬送スクリュー53の回転速度を上げることなく現像剤の一方向循環が行えるので、回転速度を上げた場合に生じる攪拌時での現像剤への摩擦熱の発生による劣化や駆動負荷の増加を防止することが可能となる。
【0071】
次に本発明の要部変形例について説明する。
図9に示す構成は、第三の連通部を遮蔽部材ではなく、各搬送室58,59の底部間に設けたことを特徴としている。
図9において、第三の連通部(便宜上、符号60で示す)は、回収現像剤搬送室58および供給現像剤搬送室59における底部近傍で、それぞれの搬送室58,59に配置されている第一、第二搬送スクリュー53,54の接線方向に沿った流路で構成されている。
【0072】
しかも、第三の連通部60は、便宜上、一実施例の説明に用いた図8において示すように、回収現像剤搬送室58側の第一搬送スクリュー53におけるスクリュー羽根53Aと対向する位置が流路の一方端とされ、供給現像剤搬送室59側の第二搬送スクリュー54におけるスクリュー羽根54Aと対向しない位置、つまり、第二搬送スクリュー54の軸部54A1に対向する位置が流路の他方端とされている。
【0073】
この構成により、現像剤が第三の連通部60を流下する際に、回収現像剤搬送室58では第一搬送スクリュー53のスクリュー羽根53Aにより押し動かされて導入しやすい状態とされ、供給現像剤搬送室59では第二搬送スクリュー54のスクリュー羽根54Aと干渉しにくい状態とされて供給現像剤搬送室59内への導入が容易に行われることになる。
【0074】
なお、上記実施例に示した第三の連通部の構成、特に、遮蔽部材57に設けられている第三の連通部57Bの構成としては、図10(A)に示すように、単なる貫通孔に限らず、例えば、図10(B)に示すように、供給現像剤搬送室に導入する際の指向性を持たせる形態としても良い。図10(B)に示す形態の場合には、供給現像剤搬送室において現像剤の不足を来す虞のある剤嵩の低い位置に向けた指向性を設定することにより、供給現像剤搬送室での現像剤の嵩を均一化して濃度偏差や剤不足を防止することができる。
【符号の説明】
【0075】
1、1Y、1M、1C、1Bk 感光体ドラム(像担持体)
2 クリーニング部
4 帯電部(帯電装置)
5、5Y、5M、5C、5Bk 現像部(現像装置)
6、6Y、6M、6C、6Bk 作像部(プロセスカートリッジ)
8 中間転写ユニット
8A 中間転写ベルト
10 画像形成装置本体
19 2次転写バイアスローラ
20 定着装置
26 給紙部
50 現像器(ケーシング)
51 現像ローラ(現像剤担持体)
51a 現像スリーブ
52 ドクターブレード(現像剤規制部材)
53 供給スクリュー(供給用搬送部材)
54 回収スクリュー(回収用搬送部材)
55 マグネットローラ
56 トナー濃度検知センサ
57 遮蔽部材
57A ガイド部
57B、60 第三の連通部
58、59:現像剤搬送室
P1〜P5:磁極
a,b 連通部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開平11−174810号公報
【特許文献2】特開平05−333691号公報
【特許文献3】特開2003−307924号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成された潜像を前記現像剤のトナーで現像する現像装置であって、
前記像担持体に対向するとともに周囲に複数の磁極が形成された現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の下方に対向させて配設されて前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
現像装置内の縦方向で遮蔽されることで構成される空間のうちで、上方に位置して現像剤担持体からの現像剤を回収する空間をなす現像剤回収部と、
前記縦方向下部に位置して現像剤担持体に向けて現像剤を供給する現像剤供給部と、
前記現像剤回収部および現像剤供給部にそれぞれ配置されている第一の現像剤搬送部材および第二の現像剤搬送部材と、
前記第一、第二の現像剤搬送部の長手方向両端部に対応して前記現像剤回収部および現像剤供給部の連通部を有した遮蔽部材とを備え、
前記遮蔽部材には、前記現像剤担持体から離脱した現像剤を前記現像剤回収部に位置する第一の現像剤搬送部材に誘導するガイド部と前記連通部とは別に前記現像剤回収部と現像剤供給部とを連通される第三の連通部が設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第三の連通部は、前記現像剤回収部に位置する第一の現像剤搬送部材における長手方向中央と現像剤移動方向において下流側の連通部との間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記第三の連通部は、前記遮蔽部材に有するガイド部を移動する現像剤が前記第一の現像剤搬送部材と接触し始める時期よりも後の時期に相当する位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第三の連通部における開口面積は前記遮蔽部材における前記第一の現像搬送部材による現像剤移動方向下流側に位置する連通部の開口面積よりも小さくされていることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の現像装置。
【請求項5】
前記第3の連通部における開口面積は、前記現像剤回収部での現像剤移動方向下流側に位置する連通部において現像剤担持体からの現像剤の回収ができなくなる嵩高さ分を現像剤供給部に向けて移動させることができる面積とされていることを特徴とする請求項4記載の現像装置。
【請求項6】
前記遮蔽部材におけるガイド部と前記第三の連通部とは、前記現像剤担持体に対向する先端から順に該現像剤担持体表面から遠ざかる位置関係による設けられていることを特徴とする請求項1または3に記載の現像装置。
【請求項7】
前記遮蔽部材における前記現像剤担持体に対向する先端部は、前記現像剤担持体に内蔵されている複数の磁極のうちで、互いに反撥する関係の磁極間のほぼ中央に位置決めされていることを特徴とする請求項1乃至5のうちの一つに記載の現像装置。
【請求項8】
前記第一、第二の搬送部材にはスクリュー部材が用いられ、スクリュー部材同士の回転方向が逆方向とされていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項9】
前記遮蔽部材に設けられている第三の連通部における現像剤回収部側には、メッシュを配置してあることを特徴とする請求項1乃至7のうちの一つに記載の現像装置。
【請求項10】
キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成された潜像を前記現像剤のトナーで現像する現像装置であって、
前記像担持体に対向するとともに周囲に複数の磁極が形成された現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の下方に対向させて配設されて前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
現像装置内の縦方向で遮蔽されることで構成される空間のうちで、上方に位置して現像剤担持体からの現像剤を回収する空間をなす現像剤回収部と、
前記縦方向下部に位置して現像剤担持体に向けて現像剤を供給する現像剤供給部と、
前記現像剤回収部および現像剤供給部にそれぞれ配置されているスクリュー部材が用いられる第一の現像剤搬送部材および第二の現像剤搬送部材と、
前記現像剤回収部および現像剤供給部の底部間に連通させて設けられている第三の連通部とを備え、
前記第三の連通部は、前記現像剤回収部側において第一の搬送部材におけるスクリュー羽根に対向する位置に開口し、前記現像剤供給部側において前記第二の搬送部材におけるスクリュー羽根間のスクリュー軸の位置に対向して開口していることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
前記第三の連通部には、前記現像剤回収部側に異物捕捉部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のうちの一つに記載の現像装置。
【請求項12】
前記現像剤に用いられるトナーは、形状系数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が200〜180の範囲にあることを特徴とする請求項1または10記載の現像装置。
【請求項13】
前記潜像担持体、前記請求項1乃至11のうちの一つに記載の現像装置および潜像担持体に対する帯電工程を行う帯電装置、該潜像担持体から未転写トナーを除去するクリーニング装置が纏めて収容されるケーシングを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
請求項13記載のプロセスカートリッジを複数備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−133212(P2012−133212A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286498(P2010−286498)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】