現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】不良キャリアを画像形成時以外のタイミングで排出させるキャリア吐き出しモードにおいて、不良キャリアの吐き出し効率を高めることでキャリア吐き出しモードに必要な動作時間を短縮する。
【解決手段】2成分現像剤で像担持体上の潜像を現像する現像装置であって、現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、現像剤担持体に内蔵され現像剤担持体上に磁気ブラシを形成する磁界発生手段とを有する現像装置であって、現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱するための撹乱手段を更に有し、前記現像剤担持体から前記像担持体側へキャリアを移動させる力を作用させつつ像担持体と現像剤担持体を回転させて所定のキャリアを吐き出すことが可能なキャリア吐き出しモードを備え、キャリア吐き出しモードにおいて前記撹乱手段を作動させる。
【解決手段】2成分現像剤で像担持体上の潜像を現像する現像装置であって、現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、現像剤担持体に内蔵され現像剤担持体上に磁気ブラシを形成する磁界発生手段とを有する現像装置であって、現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱するための撹乱手段を更に有し、前記現像剤担持体から前記像担持体側へキャリアを移動させる力を作用させつつ像担持体と現像剤担持体を回転させて所定のキャリアを吐き出すことが可能なキャリア吐き出しモードを備え、キャリア吐き出しモードにおいて前記撹乱手段を作動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタあるいはこれら機能を兼ね備えた複合機などの画像形成装置に装着される現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、キャリアとトナーを有する2成分現像剤を用いて像担時体(感光体)上に形成された静電潜像をトナーで現像する2成分現像方式では、画質を向上させるために小粒径の現像剤が用いられるようになってきた。しかし、現像剤の小粒径化に伴い、像担持体上の画像部や非画像部にキャリアが付着し、画像の転写・定着時にオフセットが生じて画質が低下するという副作用(キャリア付着)が悪化してきた。特にリコー社製Aegis(モデル名)などのPP(普通紙)市場向けの機械では、現像剤担持体の回転数が中速機と比較して大きく、遠心力による作用も加わってキャリア付着の発生が一層増加する。
【0003】
キャリア付着は、キャリア1個が現像剤担持体から受ける磁気拘束力が小さいほど発生し易く、現像剤中キャリアの特性のバラツキに応じて、キャリア付着の発生し易さにも差が生じる。ここから、画像形成装置が画像形成動作を実行していないタイミングで、現像剤担持体と像担持体の間にトナーが現像されない範囲の電位差を生じさせ、キャリア付着し易いキャリア(以下、不良キャリアと称する)を吐き出すことで、画像形成時に発生するキャリア付着を低減させる制御(以下、キャリア吐き出しモードによる制御と称する)が既に知られている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された構成である。特許文献1には、キャリア吐き出しモード時に不良キャリアのみを優先的に排出する目的で、像担持体表面にフリンジ電界が生じるような潜像を形成する手法が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された構成を含め今までの現像装置でキャリア吐き出しモードを実行しても、現像剤担持体に保持される磁気ブラシのうち、現像剤担持体表面近傍に保持される不良キャリアについては、現像剤担持体から受ける磁気拘束力が比較的大きいため像担持体側に排出されづらかった。そのため、現像装置内全ての不良キャリアを吐き出すまでに必要な動作時間が長いという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、不良キャリアを画像形成時以外のタイミングで排出させるキャリア吐き出しモードにおいて、不良キャリアの吐き出し効率を高めることでキャリア吐き出しモードに必要な動作時間を短縮することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、2成分現像剤で像担持体上の潜像を現像する現像装置であって、現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、現像剤担持体に内蔵され現像剤担持体上に磁気ブラシを形成する磁界発生手段とを有する現像装置であって、現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱するための撹乱手段を更に有し、前記現像剤担持体から前記像担持体側へキャリアを移動させる力を作用させつつ像担持体と現像剤担持体を回転させて所定のキャリアを吐き出すことが可能なキャリア吐き出しモードを備え、キャリア吐き出しモードにおいて前記撹乱手段を作動させることによって、解決される。
【0008】
本発明は、要するに、現像剤担持体と像担持体が近接して現像可能な領域(以下、ニップ領域と称する;現像処理時の現像領域にほぼ対応する)にて現像剤を撹乱させることで、ニップ領域を通過する不良キャリアがニップ領域通過中に像担持体側へ移動するので、現像剤担持体から受ける磁気拘束力を現像剤担持体表面近傍の場合の高い値にとどまらせず、不良キャリアの排出効率を高め、キャリア吐き出しモードに要する時間を短縮可能にすることを骨子としている。
【0009】
前記磁界発生手段が、周方向にN極とS極が交互に着磁されたマグネットであり、現像剤担持体に対して回転可能であり、前記キャリア吐き出しモード時に、現像剤担持体と磁界発生手段とを夫々回転させることで現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱すれば、好適である。その際、前記磁界発生手段が現像時にも回転するものであれば、前記キャリア吐き出しモード時に前記現像剤担持体と前記磁界発生手段の少なくとも一方が、画像形成時よりも高い回転数で回転するのが、一層好適である。前記像担持体に設けられる別の磁界発生手段であって、前記キャリア吐き出しモード時にオンオフ切り替え可能な磁界発生手段を前記撹乱手段とすることも、好都合である。
【0010】
前記キャリア吐き出しモードを、現像剤と現像装置を新たにセットする際に、あるいは各種センサの較正処理、現像剤の帯電立ち上げ処理、定着装置が所定温度に上昇するまでの待機時間のいずれかに合わせて実行するのが、好ましい。また、前記キャリア吐き出しモードにおいて、前記像担持体表面に電界の回り込みによる強電界領域を発生させる所定の潜像パターンを前記像担持体上に形成すれば、好ましい。その際、前記潜像パターンは、同一形状のドットが規則的に配置されたものであることが想定される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キャリア吐き出しモード時に、ニップ領域中の現像剤を撹乱させることで不良キャリアの排出を効率化でき、現像剤中の不良キャリアを排出するために必要な動作時間を短縮することができる。
【0012】
不良キャリアを選別して排出するためのやり方として、キャリア吐き出しモードを用いる方法のほかに、工場での製造時に不良キャリアを選別する工程を設ける措置もある。具体的には、キャリア1個当たりの磁化が小さなものを選別して排出するやり方や、粒径の小さなキャリアを選別して排出するやり方等である。しかし、これらの方法は一律の閾値によりキャリアを選別するものであって、それぞれの現像剤が使用される画像形成装置本体の性能や、それら画像形成装置が使用される環境等、様々な条件のバラツキを考慮したものではない。キャリア排出モードでは、特別なメンテナンスやサービスマン等による作業を要さずに、それぞれの画像形成装置及び現像剤等、固有の条件に合わせて効率的に不良キャリアを選別することができ、コストや工数を抑えながらユーザーに提供する画像品質を大きく向上させることができる。更に、現像剤中の不良キャリアは、製造時のバラツキだけではなく、印刷を継続する間に経時的に生じてくる場合もある。例えば、現像装置内で現像剤が長時間循環すると、キャリア表面のコート層が剥れたり(膜削れ)、トナー成分が付着する(スペントする)場合があり、こうしたキャリアが不良キャリアとなることが知られている。本発明によれば、こうした経時的に発生する不良キャリアも効率的に短時間で排出することができ、長期にわたってユーザーに提供する画像品質を高く保つことができる。
【0013】
前記磁界発生手段が、周方向にN極とS極が交互に着磁されたマグネットであり、現像剤担持体に対して回転可能であり、前記キャリア吐き出しモード時に、現像剤担持体と磁界発生手段とを夫々回転させることで現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱すれば、撹乱手段として機能し、ニップ領域にて磁界交番が確実に起き、不良キャリアを現像剤から排出することが保証される。その際、前記磁界発生手段が現像時にも回転するものであって、前記キャリア吐き出しモード時に前記現像剤担持体と前記磁界発生手段の少なくとも一方が、画像形成時よりも高い回転数で回転すれば、現像剤撹乱の効果を高めることができ、不良キャリアの排出が効率化する。
【0014】
前記像担持体に設けられる別の磁界発生手段であって、前記キャリア吐き出しモード時にオンオフ切り替え可能な磁界発生手段を前記撹乱手段とすれば、像担持体側の磁界発生手段からの磁界によって現像剤撹乱効果が生まれ、不良キャリアの排出が効率化する。
【0015】
前記キャリア吐き出しモードを、現像剤と現像装置を新たにセットする際に、あるいは各種センサの較正処理、現像剤の帯電立ち上げ処理、定着装置が所定温度に上昇するまでの待機時間のいずれかに合わせて実行すれば、特別なメンテナンスやサービスマンによるサポート、ユーザーによる指示などを必要とせず、キャリア吐き出しモード実行のための待機時間を新たに想定しなくて済む。また、前記キャリア吐き出しモードにおいて、前記像担持体表面に電界の回り込みによる強電界領域を発生させる所定の潜像パターンを前記像担持体上に形成すれば、像担持体上の強電界領域にキャリア付着し易い不良キャリアを含めて排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る現像装置の概略構成図である。
【図3】キャリア付着の発生とキャリア吐き出しモードのメカニズムについて説明する図である。
【図4】キャリア吐き出しモード時のニップ領域の模式図で、(a)は従来のキャリア吐き出しモード時の現像剤挙動を示し、(b)はニップ領域の現像剤を撹乱する本発明のキャリア吐き出しモード時の現像剤挙動を示している。
【図5】現像剤撹乱手段の一例を示す概念図である。
【図6】現像ローラと感光体の線速を一定にして、ニップ領域での磁極交番の回数を変化させた場合のキャリア排出個数の変化を示すグラフである。
【図7】通常のキャリア吐き出しモードと回転数を上げたキャリ吐き出しモードでの不良キャリア含有率の変化を比較したグラフである。
【図8】現像剤撹乱手段の別の例を示す概念図である。
【図9】キャリア吐き出しモードで用いられる好ましい静電潜像パターンの一例を示す図である。
【図10】エッジ効果による電界バラツキを説明するグラフである。
【図11】画像形成枚数に応じたキャリア付着の数の推移を表わしたグラフである。
【図12】不良キャリアの特徴を具体的に説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面に基づき以下に詳細に説明する。
本発明に係る画像形成装置は、その全体の機構としては従来と基本的に同じであり、像担持体である感光体の周囲に、画像を形成するために必要な装置、例えば、帯電手段、露光手段、現像手段などが設けられており、当業者ならば全体構成と作動は容易に認識できるものである。構成を簡単に説明すると、図1において、画像形成装置は、帯電ローラ4で一様に帯電されたK(黒)、Y(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)の各作像ステーションの像担持体である感光体3上に、スキャナー1で読み取られた画像を書き込み装置2により色分解して色毎に書き込み、静電潜像を形成する。一例としてK(黒)のステーションで説明する。感光体3上に形成された潜像は、現像装置5によりKトナーを潜像に合わせて現像し、トナー像を形成する。現像されたKトナー像は、感光体3と1次転写ローラ8との間に挟み込まれる形で中間転写ベルト7が感光体3に接している部分において、中間転写ベルト7上に転写される。同様にY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)の各作像ステーションでも感光体3上でトナー像を形成し、中間転写ベルト7上に転写されたトナー像が2次転写位置に到達するタイミングに合わせてレジストローラから転写紙が給紙され、2次転写ローラ10により転写紙上に一括転写される。転写された転写紙は、搬送ベルト9で定着装置11に搬送され、定着されてコピー画像として排紙される。
【0018】
一方、中間転写ベルト7上に転写した後の感光体3は、クリーニング装置6で残留トナーを除去され、不図示の除電ランプで除電された後、再度、帯電ローラ4で一様に帯電される動作を繰り返す。感光体3と、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置6とで各色のプロセスカートリッジが構成されるが、帯電ローラ4やクリーニング装置6を備えずにプロセスカートリッジを構成するようにしてもよい。
【0019】
また、転写紙に転写した後の中間転写ベルト7は、不図示の中間転写ベルト用クリーニング装置により、残留トナーを除去された後、再度、感光体3から中間転写ベルト7上にトナー像を転写し、これを転写紙に一括転写するという作像工程を繰り返すようになっている。
【0020】
感光体3又は中間転写ベルト7から除去された残留トナー、すなわち廃トナーは、画像形成装置1内部に存在する不図示の廃トナー搬送経路を介して、画像形成装置1の下部に配置された廃トナー回収容器12に搬送される。廃トナー搬送経路は、各クリーニング装置から下方の回収容器12まで延在している。回収容器12は、排紙トレーの上方に設置されているが、他のスペースに配置されてもよい。
【0021】
図2に構成を詳細に示す現像装置5において、ケース20により囲まれた現像装置5の内部を現像剤が次のような流れで循環する。先ず、攪拌・搬送スクリュー22,23によってキャリアとトナーが混合されながら、現像装置長手方向に搬送され、現像剤担持体である現像ローラ25に現像剤が供給される。現像ローラ25は図中時計回りに現像剤を搬送し、ニップ領域でトナーを現像し、下部の攪拌・搬送スクリュー23へトナーが回収される。下部の攪拌・搬送スクリュー23に回収された現像剤は、長手方向に搬送されながら、現像装置5の端部で、上部の攪拌・搬送スクリュー22まで持ち上げられ、再度現像に使用される。
【0022】
このとき、感光体3上には、所定量のトナーが移動して画像部のみ現像されることが望ましいが、実際には画像部や非画像部にキャリアが付着する現象が生じる(キャリア付着)。キャリア付着の発生を抑制するため、キャリア付着し易い不良キャリアを、画像形成時以外のタイミングにおいて感光体側に付着させて現像に使用されないようにする手法が、キャリア吐き出しモードである。特に、新しい現像剤あるいは現像装置をセットした直後に、自動あるいは手動設定でキャリア吐き出しモードを実行することで、初期の現像剤に含まれる不良キャリアを十分に排出して、その後の画像形成時のキャリア付着発生を大幅に低減させる。このキャリア吐き出しモード時に、ニップ領域中の現像剤を撹乱させることで不良キャリアの排出を更に効率化し、現像剤中の不良キャリアを排出するために必要な時間を短縮する。通常新しい現像装置や現像剤を画像形成装置本体にセットする際や、画像形成装置の電源を投入した際には、各種センサの校正処理や現像剤の帯電立ち上げ、及び画像形成装置に含まれる定着装置の温度上昇に時間を要するため、この時間に合わせてキャリア吐き出しモードを動作させれば、キャリア吐き出し専用の時間を確保する必要がなくなり、ユーザーの待機時間を増やすことなく画質向上を図ることができる。
【0023】
ここで、キャリア付着の発生とキャリア吐き出しモードのメカニズムについて説明する。ニップ領域中のキャリア1個に働く力は、(1)現像剤担持体や磁気ブラシから受ける磁気拘束力、(2)現像剤担持体や磁気ブラシの拘束から逃れようとする力、の二つに大まかに分けることができる。図3(a)中のグラフでは、縦軸にキャリア1個にかかる力の大きさをとり、横軸に現像剤担持体表面を原点とした距離を取り、丸付き番号1の磁気拘束力と丸付き番号2の拘束離脱力のおおよその傾向を模式的に表わしている。つまり、磁気拘束力が拘束離脱力を下回った斜線部の領域で、キャリアが像担持体側に移動・付着する。
【0024】
上記の磁気拘束力について詳述する。現像剤担持体(現像ローラ)は内部に磁界発生手段を有し、その磁力により現像剤を表面に保持する。しかし、磁界発生手段よりキャリア1個が受ける磁気力は、現像剤担持体の表面から離れるほど小さくなる。更に、現像剤中のキャリアは特性にバラツキがあり、磁界発生手段から受ける磁気力はキャリア毎に異なる。具体的には、粒径のバラツキと、磁化のバラツキがこのことに関係している。キャリア1個が受ける磁気力は、(磁化)×(粒径の3乗)の値に比例するため、粒径及び磁化が小さいキャリアは現像剤担持体側に拘束される力が弱まる。こうしたキャリアが不良キャリアであり、画像形成時にキャリア付着を起こしてしまう。図中のグラフでは、丸付き番号1が通常のキャリア、丸付き番号1’が不良キャリアに働く力である。実際には粒径も磁化も分布を有するため、通常キャリアと不良キャリアを明確に分けることはできないが、ここでは単純化させて模式的に2種類に分けて表わしている。
【0025】
上記拘束離脱力について説明する。拘束離脱力のうち定常的に存在する力として、現像剤担持体の回転による遠心力と、ニップ領域中の電界から受ける静電気力と、像担持体表面から受ける非静電付着力が挙げられる。図3(b)は、ニップ領域中の電界から受ける静電気力について説明するものである。キャリアが正に、トナーが負に帯電した現像剤では、像担持体側の電位を低くすることで、キャリアのみに像担持体側に引き付ける向きの力を作用させることができる。これらの電位及び電位差は任意に設定可能である。
【0026】
以上より、磁気拘束力が小さい不良キャリアほどキャリア付着し易く、同時にキャリアの位置が像担持体に近づくほどキャリア付着し易いことが分かる。キャリア吐き出しモードでは、画像形成時以外に、通常キャリアは排出しないが不良キャリアは排出するような範囲で拘束離脱力を生じさせ、不良キャリアを排出する。
【0027】
次に、キャリア吐き出しモード時のニップ領域での現像剤挙動について図4を用いて説明する。2成分現像剤は、実際にはキャリアとトナーを含むが、ここでは簡略化のためにキャリアのみを図示する。2成分現像方式では、キャリアとトナーの摩擦帯電によりキャリアは正に、トナーは負に帯電する。この帯電はそれぞれ逆極性でもよい。画像形成時には、像担持体上の画像部にはトナーを引きつける向きの電界がかかっており、通常キャリアは像担持体へ移らない。反対に、非画像部には、図に示すのと同様に、正に帯電したキャリアを引きつける向きの電界がかかっている。但し、具体的な電位の値は、使用する現像剤の特性に合わせて変更可能である。
【0028】
図4(a)は、従来の現像装置におけるキャリア吐き出しモード時の現像剤挙動を模式的に説明する図である。従来の現像装置では、現像剤担持体に保持された現像剤は、現像剤担持体内部の磁界発生手段により磁気拘束力を受け、磁気ブラシを形成する。この磁気ブラシには、通常キャリアと共に、或る割合で不良キャリアも含まれる。不良キャリアは、現像剤担持体から受ける磁気拘束力が通常キャリアより弱いため、ニップ領域中の電界から受ける静電気力により、像担持体側へ移動し易い。この差を利用して、キャリア吐き出しモードでは不良キャリアのみを像担持体側へ排出する。しかし、従来の現像装置では磁気ブラシが維持されたままニップ領域を通過するため、現像剤担持体表面近傍に保持されたキャリアは、図3に関して説明したように、比較的大きな磁気拘束力を受け続け、不良キャリアであっても像担持体側に排出されにくい。これに対して、図4(b)に示した本発明では、以下で説明するやり方でニップ領域内の現像剤を撹乱して、磁気ブラシ内でのキャリアの位置を相互に入れ替える。これにより、ニップ領域の上流では現像剤担持体表面近傍に保持された不良キャリアも、現像剤担持体からの距離が大きくなることにより、像担持体側へ排出される確率が高くなる。
【0029】
現像剤を撹乱する方法について、説明する。現像ローラ25は、円筒状に形成され回転する現像スリーブ26と、当該現像スリーブ表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁界発生手段として現像スリーブ内部に設けられたマグローラ27とを備えて構成されており、図5に示すように、キャリア吐き出しモード時にはマグローラ27も現像スリーブ26とは独立して回転可能に構成されている。現像ローラは、画像形成時にマグローラ27が固定支持されるタイプのものでもよいが、マグローラ27が回転するタイプのものでもよい。マグローラ27は、その外周に沿ってN極とS極が交互に配されており、キャリア吐き出しモード時に、現像スリーブ26と独立して回転するが、その回転の向きは図中時計回りでも反時計回りでもよい。このマグローラ27が回転することで、現像剤を保持するための磁界が交番し、その作用で現像ローラ25(現像スリーブ26)表面に保持された磁気ブラシが回転しながら移動する。この磁気ブラシの回転が、現像剤の撹乱作用を持つ。画像形成時にマグローラ27が回転するタイプのものでは、キャリア吐き出しモード時に、画像形成時よりも高い回転数で現像スリーブとマグローラを動作させることで、現像剤撹乱の効果を高めることができる。例えば、現像ローラと感光体の線速を600[mm/秒]に固定し、1秒間にニップ領域で磁極が交番する回数を変化させたとき、図6に示すように、キャリア排出の個数が変化した。例えば、通常は磁極の交番する回数が300[回/秒]のところ、キャリア吐き出しモード時に600[回/秒]とすることで、キャリアの排出効率が2倍になり、不良キャリア排出に要する時間を半減させることができた。比較のため、従来のキャリア吐き出しモードと、マグローラの回転数を上げた場合のキャリア吐き出しモードとで、不良キャリア含有率の下がり方の差を図7に示す。
【0030】
図8に示す例では、感光体3の内部に、オンオフ切り替え自在な磁界発生手段30を設けている。現像ローラ25側に設けられた磁界発生手段であるマグローラ27よりも弱い磁力を生じさせることで、キャリアを感光体側に引き付ける力を作用させ、現像剤撹乱の効果を奏することができる。更に、現像剤がニップ領域を通過する間に1回以上、磁界発生手段30のオンオフを切り替えれば、現像剤撹乱の効果をもたせることができる。例えば、現像剤の移動速度が600[mm/秒]、ニップ領域の幅が10[mm]とするとき、60Hz以上でオンオフを切り替えればよい。なお、この磁界発生手段30は、電磁石でもよいし、永久磁石に開閉可能な磁気短絡板等を取り付けたものでもよい。
【0031】
現像時(画像形成時)及びキャリア吐き出しモード時の現像領域では、実際には一様でない電界が生じている場合が多い。その要因としては、感光体表面の特性の不均一性や、感光体上に形成された静電潜像のパターンによるものや、現像剤自体が持つ誘電率及びそのバラツキなどが挙げられる。こうした不均一性により電界の回り込みが発生し、局所的な強電界領域(以下、エッジ部と称する)が生じることがあり、これがキャリア付着発生の要因となることがある。こうしたエッジ部に付着し易いキャリアは、図4に示すような一様な電位差に設定するだけでは十分に排出されないこともある。この問題に対処するためには、キャリア吐き出しモード時にも、感光体表面に局所的な強電界領域を生じさせるのがよい。例としては、図9に示すようなパターンの静電潜像を感光体上に形成しながらキャリア吐き出しモードを実行するやり方がある。その際、図中の黒塗り部と白塗り部に電位差があるように設定し、かつどちらの領域であっても、現像ローラ表面との電位差を考えれば、キャリアを感光体に移す向きに電界が発生するように設定する。これにより、図中黒塗り部と白塗り部の境界には、図10に示すように、電界の回り込みによる強電界領域が発生し、エッジ部にキャリア付着し易いキャリアも排出することが可能となる。
【0032】
キャリア吐き出しモード時に感光体に形成すべき潜像のパターンとしては、キャリア付着の排出効果の高いパターンを用いることが望ましい。全面均一なパターンより、面内に電位差のあるパターンの方がキャリア排出の効果が高いように、パターンによってもキャリア排出の効果に差が出るためである。例えば、一方向にしか電位が変化しないラダー状のパターンよりも、図9に示したような、二方向に電位が変化するドット状のパターンの方が排出効果が高い。また、同じドット状のパターンでも、そのドットのサイズによって排出効果が異なり、最適となるドットのサイズが存在する。このサイズなどは使用する画像形成装置の構成によっても異なるため、各条件に合わせて設定するのがよい。
【0033】
或る画像形成装置を用いた評価では、図9に示したようなパターンで実際に画像を出力した場合、各ドットサイズ及びピッチを40,80,160,320[μm]と振った中では、約160[μm]のときに発生したキャリア付着が最も多く、キャリア吐き出しモード時に用いる潜像のパターンも同じ周期を持たせればよいことが分かった。
【0034】
最後に、不良キャリアの影響と特徴について説明する。図11は、画像形成枚数に応じたキャリア付着数の推移を表わしたグラフである。通常、初期の現像剤には不良キャリアが或る割合で含まれるため、こうした不良キャリアによるキャリア付着が、通常キャリアのキャリア付着に上乗せされて発生する。しかし、画像出力を続けることで不良キャリアの含有率が減少し、キャリア付着の発生量が安定する。具体的な値については、画像形成の条件や、現像剤の特性、現像装置に含まれる現像剤の量など、種々の条件により異なるが、或る評価では、初期的にA4一枚の面積当たり1000個程度だったものが、A4面積の画像を500枚出力することで、100個程度まで減少した。つまり、新しく現像剤を用いる際に、キャリア吐き出しモードにより不良キャリアを排出することで、不良キャリアによるキャリア付着発生を防止することができる。
【0035】
また、不良キャリアは印刷を継続する間にキャリアが劣化し、経時的に生じてくる場合もある。例えば、現像装置内で現像剤が長時間循環すると、キャリア表面のコート層が剥れたり(膜削れ)、トナー成分が付着したり(スペント)する場合があり、こうしたキャリアが不良キャリアとなることが知られている。本発明によれば、こうした経時的に発生する不良キャリアも効率的に短時間で排出することができ、長期にわたってユーザーに提供する画像品質を高く保つことができる。
【0036】
図12は、不良キャリアの特徴を具体的に説明するためのグラフである。現像剤中のキャリアは、その特性にバラツキがある。例えば、未使用現像剤中のキャリアの粒径分布と、そのような分布を有するキャリアを用いた或る画像形成装置において実際に像担持体上に付着したキャリアの粒径分布は異なっており、粒径のピークが約30[μm]から約25[μm]へシフトしていることを確認した。つまり、現像装置に含まれるキャリアのうち、比較的小粒径のキャリアが不良キャリアとして優先的にキャリア付着していることが分かった。
【符号の説明】
【0037】
3 感光体
5 現像装置
20 ケース
22,23 攪拌・搬送スクリュー
25 現像ローラ
26 現像スリーブ
27 マグローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特許第3671525号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタあるいはこれら機能を兼ね備えた複合機などの画像形成装置に装着される現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、キャリアとトナーを有する2成分現像剤を用いて像担時体(感光体)上に形成された静電潜像をトナーで現像する2成分現像方式では、画質を向上させるために小粒径の現像剤が用いられるようになってきた。しかし、現像剤の小粒径化に伴い、像担持体上の画像部や非画像部にキャリアが付着し、画像の転写・定着時にオフセットが生じて画質が低下するという副作用(キャリア付着)が悪化してきた。特にリコー社製Aegis(モデル名)などのPP(普通紙)市場向けの機械では、現像剤担持体の回転数が中速機と比較して大きく、遠心力による作用も加わってキャリア付着の発生が一層増加する。
【0003】
キャリア付着は、キャリア1個が現像剤担持体から受ける磁気拘束力が小さいほど発生し易く、現像剤中キャリアの特性のバラツキに応じて、キャリア付着の発生し易さにも差が生じる。ここから、画像形成装置が画像形成動作を実行していないタイミングで、現像剤担持体と像担持体の間にトナーが現像されない範囲の電位差を生じさせ、キャリア付着し易いキャリア(以下、不良キャリアと称する)を吐き出すことで、画像形成時に発生するキャリア付着を低減させる制御(以下、キャリア吐き出しモードによる制御と称する)が既に知られている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された構成である。特許文献1には、キャリア吐き出しモード時に不良キャリアのみを優先的に排出する目的で、像担持体表面にフリンジ電界が生じるような潜像を形成する手法が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された構成を含め今までの現像装置でキャリア吐き出しモードを実行しても、現像剤担持体に保持される磁気ブラシのうち、現像剤担持体表面近傍に保持される不良キャリアについては、現像剤担持体から受ける磁気拘束力が比較的大きいため像担持体側に排出されづらかった。そのため、現像装置内全ての不良キャリアを吐き出すまでに必要な動作時間が長いという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、不良キャリアを画像形成時以外のタイミングで排出させるキャリア吐き出しモードにおいて、不良キャリアの吐き出し効率を高めることでキャリア吐き出しモードに必要な動作時間を短縮することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、2成分現像剤で像担持体上の潜像を現像する現像装置であって、現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、現像剤担持体に内蔵され現像剤担持体上に磁気ブラシを形成する磁界発生手段とを有する現像装置であって、現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱するための撹乱手段を更に有し、前記現像剤担持体から前記像担持体側へキャリアを移動させる力を作用させつつ像担持体と現像剤担持体を回転させて所定のキャリアを吐き出すことが可能なキャリア吐き出しモードを備え、キャリア吐き出しモードにおいて前記撹乱手段を作動させることによって、解決される。
【0008】
本発明は、要するに、現像剤担持体と像担持体が近接して現像可能な領域(以下、ニップ領域と称する;現像処理時の現像領域にほぼ対応する)にて現像剤を撹乱させることで、ニップ領域を通過する不良キャリアがニップ領域通過中に像担持体側へ移動するので、現像剤担持体から受ける磁気拘束力を現像剤担持体表面近傍の場合の高い値にとどまらせず、不良キャリアの排出効率を高め、キャリア吐き出しモードに要する時間を短縮可能にすることを骨子としている。
【0009】
前記磁界発生手段が、周方向にN極とS極が交互に着磁されたマグネットであり、現像剤担持体に対して回転可能であり、前記キャリア吐き出しモード時に、現像剤担持体と磁界発生手段とを夫々回転させることで現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱すれば、好適である。その際、前記磁界発生手段が現像時にも回転するものであれば、前記キャリア吐き出しモード時に前記現像剤担持体と前記磁界発生手段の少なくとも一方が、画像形成時よりも高い回転数で回転するのが、一層好適である。前記像担持体に設けられる別の磁界発生手段であって、前記キャリア吐き出しモード時にオンオフ切り替え可能な磁界発生手段を前記撹乱手段とすることも、好都合である。
【0010】
前記キャリア吐き出しモードを、現像剤と現像装置を新たにセットする際に、あるいは各種センサの較正処理、現像剤の帯電立ち上げ処理、定着装置が所定温度に上昇するまでの待機時間のいずれかに合わせて実行するのが、好ましい。また、前記キャリア吐き出しモードにおいて、前記像担持体表面に電界の回り込みによる強電界領域を発生させる所定の潜像パターンを前記像担持体上に形成すれば、好ましい。その際、前記潜像パターンは、同一形状のドットが規則的に配置されたものであることが想定される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キャリア吐き出しモード時に、ニップ領域中の現像剤を撹乱させることで不良キャリアの排出を効率化でき、現像剤中の不良キャリアを排出するために必要な動作時間を短縮することができる。
【0012】
不良キャリアを選別して排出するためのやり方として、キャリア吐き出しモードを用いる方法のほかに、工場での製造時に不良キャリアを選別する工程を設ける措置もある。具体的には、キャリア1個当たりの磁化が小さなものを選別して排出するやり方や、粒径の小さなキャリアを選別して排出するやり方等である。しかし、これらの方法は一律の閾値によりキャリアを選別するものであって、それぞれの現像剤が使用される画像形成装置本体の性能や、それら画像形成装置が使用される環境等、様々な条件のバラツキを考慮したものではない。キャリア排出モードでは、特別なメンテナンスやサービスマン等による作業を要さずに、それぞれの画像形成装置及び現像剤等、固有の条件に合わせて効率的に不良キャリアを選別することができ、コストや工数を抑えながらユーザーに提供する画像品質を大きく向上させることができる。更に、現像剤中の不良キャリアは、製造時のバラツキだけではなく、印刷を継続する間に経時的に生じてくる場合もある。例えば、現像装置内で現像剤が長時間循環すると、キャリア表面のコート層が剥れたり(膜削れ)、トナー成分が付着する(スペントする)場合があり、こうしたキャリアが不良キャリアとなることが知られている。本発明によれば、こうした経時的に発生する不良キャリアも効率的に短時間で排出することができ、長期にわたってユーザーに提供する画像品質を高く保つことができる。
【0013】
前記磁界発生手段が、周方向にN極とS極が交互に着磁されたマグネットであり、現像剤担持体に対して回転可能であり、前記キャリア吐き出しモード時に、現像剤担持体と磁界発生手段とを夫々回転させることで現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱すれば、撹乱手段として機能し、ニップ領域にて磁界交番が確実に起き、不良キャリアを現像剤から排出することが保証される。その際、前記磁界発生手段が現像時にも回転するものであって、前記キャリア吐き出しモード時に前記現像剤担持体と前記磁界発生手段の少なくとも一方が、画像形成時よりも高い回転数で回転すれば、現像剤撹乱の効果を高めることができ、不良キャリアの排出が効率化する。
【0014】
前記像担持体に設けられる別の磁界発生手段であって、前記キャリア吐き出しモード時にオンオフ切り替え可能な磁界発生手段を前記撹乱手段とすれば、像担持体側の磁界発生手段からの磁界によって現像剤撹乱効果が生まれ、不良キャリアの排出が効率化する。
【0015】
前記キャリア吐き出しモードを、現像剤と現像装置を新たにセットする際に、あるいは各種センサの較正処理、現像剤の帯電立ち上げ処理、定着装置が所定温度に上昇するまでの待機時間のいずれかに合わせて実行すれば、特別なメンテナンスやサービスマンによるサポート、ユーザーによる指示などを必要とせず、キャリア吐き出しモード実行のための待機時間を新たに想定しなくて済む。また、前記キャリア吐き出しモードにおいて、前記像担持体表面に電界の回り込みによる強電界領域を発生させる所定の潜像パターンを前記像担持体上に形成すれば、像担持体上の強電界領域にキャリア付着し易い不良キャリアを含めて排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る現像装置の概略構成図である。
【図3】キャリア付着の発生とキャリア吐き出しモードのメカニズムについて説明する図である。
【図4】キャリア吐き出しモード時のニップ領域の模式図で、(a)は従来のキャリア吐き出しモード時の現像剤挙動を示し、(b)はニップ領域の現像剤を撹乱する本発明のキャリア吐き出しモード時の現像剤挙動を示している。
【図5】現像剤撹乱手段の一例を示す概念図である。
【図6】現像ローラと感光体の線速を一定にして、ニップ領域での磁極交番の回数を変化させた場合のキャリア排出個数の変化を示すグラフである。
【図7】通常のキャリア吐き出しモードと回転数を上げたキャリ吐き出しモードでの不良キャリア含有率の変化を比較したグラフである。
【図8】現像剤撹乱手段の別の例を示す概念図である。
【図9】キャリア吐き出しモードで用いられる好ましい静電潜像パターンの一例を示す図である。
【図10】エッジ効果による電界バラツキを説明するグラフである。
【図11】画像形成枚数に応じたキャリア付着の数の推移を表わしたグラフである。
【図12】不良キャリアの特徴を具体的に説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面に基づき以下に詳細に説明する。
本発明に係る画像形成装置は、その全体の機構としては従来と基本的に同じであり、像担持体である感光体の周囲に、画像を形成するために必要な装置、例えば、帯電手段、露光手段、現像手段などが設けられており、当業者ならば全体構成と作動は容易に認識できるものである。構成を簡単に説明すると、図1において、画像形成装置は、帯電ローラ4で一様に帯電されたK(黒)、Y(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)の各作像ステーションの像担持体である感光体3上に、スキャナー1で読み取られた画像を書き込み装置2により色分解して色毎に書き込み、静電潜像を形成する。一例としてK(黒)のステーションで説明する。感光体3上に形成された潜像は、現像装置5によりKトナーを潜像に合わせて現像し、トナー像を形成する。現像されたKトナー像は、感光体3と1次転写ローラ8との間に挟み込まれる形で中間転写ベルト7が感光体3に接している部分において、中間転写ベルト7上に転写される。同様にY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)の各作像ステーションでも感光体3上でトナー像を形成し、中間転写ベルト7上に転写されたトナー像が2次転写位置に到達するタイミングに合わせてレジストローラから転写紙が給紙され、2次転写ローラ10により転写紙上に一括転写される。転写された転写紙は、搬送ベルト9で定着装置11に搬送され、定着されてコピー画像として排紙される。
【0018】
一方、中間転写ベルト7上に転写した後の感光体3は、クリーニング装置6で残留トナーを除去され、不図示の除電ランプで除電された後、再度、帯電ローラ4で一様に帯電される動作を繰り返す。感光体3と、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置6とで各色のプロセスカートリッジが構成されるが、帯電ローラ4やクリーニング装置6を備えずにプロセスカートリッジを構成するようにしてもよい。
【0019】
また、転写紙に転写した後の中間転写ベルト7は、不図示の中間転写ベルト用クリーニング装置により、残留トナーを除去された後、再度、感光体3から中間転写ベルト7上にトナー像を転写し、これを転写紙に一括転写するという作像工程を繰り返すようになっている。
【0020】
感光体3又は中間転写ベルト7から除去された残留トナー、すなわち廃トナーは、画像形成装置1内部に存在する不図示の廃トナー搬送経路を介して、画像形成装置1の下部に配置された廃トナー回収容器12に搬送される。廃トナー搬送経路は、各クリーニング装置から下方の回収容器12まで延在している。回収容器12は、排紙トレーの上方に設置されているが、他のスペースに配置されてもよい。
【0021】
図2に構成を詳細に示す現像装置5において、ケース20により囲まれた現像装置5の内部を現像剤が次のような流れで循環する。先ず、攪拌・搬送スクリュー22,23によってキャリアとトナーが混合されながら、現像装置長手方向に搬送され、現像剤担持体である現像ローラ25に現像剤が供給される。現像ローラ25は図中時計回りに現像剤を搬送し、ニップ領域でトナーを現像し、下部の攪拌・搬送スクリュー23へトナーが回収される。下部の攪拌・搬送スクリュー23に回収された現像剤は、長手方向に搬送されながら、現像装置5の端部で、上部の攪拌・搬送スクリュー22まで持ち上げられ、再度現像に使用される。
【0022】
このとき、感光体3上には、所定量のトナーが移動して画像部のみ現像されることが望ましいが、実際には画像部や非画像部にキャリアが付着する現象が生じる(キャリア付着)。キャリア付着の発生を抑制するため、キャリア付着し易い不良キャリアを、画像形成時以外のタイミングにおいて感光体側に付着させて現像に使用されないようにする手法が、キャリア吐き出しモードである。特に、新しい現像剤あるいは現像装置をセットした直後に、自動あるいは手動設定でキャリア吐き出しモードを実行することで、初期の現像剤に含まれる不良キャリアを十分に排出して、その後の画像形成時のキャリア付着発生を大幅に低減させる。このキャリア吐き出しモード時に、ニップ領域中の現像剤を撹乱させることで不良キャリアの排出を更に効率化し、現像剤中の不良キャリアを排出するために必要な時間を短縮する。通常新しい現像装置や現像剤を画像形成装置本体にセットする際や、画像形成装置の電源を投入した際には、各種センサの校正処理や現像剤の帯電立ち上げ、及び画像形成装置に含まれる定着装置の温度上昇に時間を要するため、この時間に合わせてキャリア吐き出しモードを動作させれば、キャリア吐き出し専用の時間を確保する必要がなくなり、ユーザーの待機時間を増やすことなく画質向上を図ることができる。
【0023】
ここで、キャリア付着の発生とキャリア吐き出しモードのメカニズムについて説明する。ニップ領域中のキャリア1個に働く力は、(1)現像剤担持体や磁気ブラシから受ける磁気拘束力、(2)現像剤担持体や磁気ブラシの拘束から逃れようとする力、の二つに大まかに分けることができる。図3(a)中のグラフでは、縦軸にキャリア1個にかかる力の大きさをとり、横軸に現像剤担持体表面を原点とした距離を取り、丸付き番号1の磁気拘束力と丸付き番号2の拘束離脱力のおおよその傾向を模式的に表わしている。つまり、磁気拘束力が拘束離脱力を下回った斜線部の領域で、キャリアが像担持体側に移動・付着する。
【0024】
上記の磁気拘束力について詳述する。現像剤担持体(現像ローラ)は内部に磁界発生手段を有し、その磁力により現像剤を表面に保持する。しかし、磁界発生手段よりキャリア1個が受ける磁気力は、現像剤担持体の表面から離れるほど小さくなる。更に、現像剤中のキャリアは特性にバラツキがあり、磁界発生手段から受ける磁気力はキャリア毎に異なる。具体的には、粒径のバラツキと、磁化のバラツキがこのことに関係している。キャリア1個が受ける磁気力は、(磁化)×(粒径の3乗)の値に比例するため、粒径及び磁化が小さいキャリアは現像剤担持体側に拘束される力が弱まる。こうしたキャリアが不良キャリアであり、画像形成時にキャリア付着を起こしてしまう。図中のグラフでは、丸付き番号1が通常のキャリア、丸付き番号1’が不良キャリアに働く力である。実際には粒径も磁化も分布を有するため、通常キャリアと不良キャリアを明確に分けることはできないが、ここでは単純化させて模式的に2種類に分けて表わしている。
【0025】
上記拘束離脱力について説明する。拘束離脱力のうち定常的に存在する力として、現像剤担持体の回転による遠心力と、ニップ領域中の電界から受ける静電気力と、像担持体表面から受ける非静電付着力が挙げられる。図3(b)は、ニップ領域中の電界から受ける静電気力について説明するものである。キャリアが正に、トナーが負に帯電した現像剤では、像担持体側の電位を低くすることで、キャリアのみに像担持体側に引き付ける向きの力を作用させることができる。これらの電位及び電位差は任意に設定可能である。
【0026】
以上より、磁気拘束力が小さい不良キャリアほどキャリア付着し易く、同時にキャリアの位置が像担持体に近づくほどキャリア付着し易いことが分かる。キャリア吐き出しモードでは、画像形成時以外に、通常キャリアは排出しないが不良キャリアは排出するような範囲で拘束離脱力を生じさせ、不良キャリアを排出する。
【0027】
次に、キャリア吐き出しモード時のニップ領域での現像剤挙動について図4を用いて説明する。2成分現像剤は、実際にはキャリアとトナーを含むが、ここでは簡略化のためにキャリアのみを図示する。2成分現像方式では、キャリアとトナーの摩擦帯電によりキャリアは正に、トナーは負に帯電する。この帯電はそれぞれ逆極性でもよい。画像形成時には、像担持体上の画像部にはトナーを引きつける向きの電界がかかっており、通常キャリアは像担持体へ移らない。反対に、非画像部には、図に示すのと同様に、正に帯電したキャリアを引きつける向きの電界がかかっている。但し、具体的な電位の値は、使用する現像剤の特性に合わせて変更可能である。
【0028】
図4(a)は、従来の現像装置におけるキャリア吐き出しモード時の現像剤挙動を模式的に説明する図である。従来の現像装置では、現像剤担持体に保持された現像剤は、現像剤担持体内部の磁界発生手段により磁気拘束力を受け、磁気ブラシを形成する。この磁気ブラシには、通常キャリアと共に、或る割合で不良キャリアも含まれる。不良キャリアは、現像剤担持体から受ける磁気拘束力が通常キャリアより弱いため、ニップ領域中の電界から受ける静電気力により、像担持体側へ移動し易い。この差を利用して、キャリア吐き出しモードでは不良キャリアのみを像担持体側へ排出する。しかし、従来の現像装置では磁気ブラシが維持されたままニップ領域を通過するため、現像剤担持体表面近傍に保持されたキャリアは、図3に関して説明したように、比較的大きな磁気拘束力を受け続け、不良キャリアであっても像担持体側に排出されにくい。これに対して、図4(b)に示した本発明では、以下で説明するやり方でニップ領域内の現像剤を撹乱して、磁気ブラシ内でのキャリアの位置を相互に入れ替える。これにより、ニップ領域の上流では現像剤担持体表面近傍に保持された不良キャリアも、現像剤担持体からの距離が大きくなることにより、像担持体側へ排出される確率が高くなる。
【0029】
現像剤を撹乱する方法について、説明する。現像ローラ25は、円筒状に形成され回転する現像スリーブ26と、当該現像スリーブ表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁界発生手段として現像スリーブ内部に設けられたマグローラ27とを備えて構成されており、図5に示すように、キャリア吐き出しモード時にはマグローラ27も現像スリーブ26とは独立して回転可能に構成されている。現像ローラは、画像形成時にマグローラ27が固定支持されるタイプのものでもよいが、マグローラ27が回転するタイプのものでもよい。マグローラ27は、その外周に沿ってN極とS極が交互に配されており、キャリア吐き出しモード時に、現像スリーブ26と独立して回転するが、その回転の向きは図中時計回りでも反時計回りでもよい。このマグローラ27が回転することで、現像剤を保持するための磁界が交番し、その作用で現像ローラ25(現像スリーブ26)表面に保持された磁気ブラシが回転しながら移動する。この磁気ブラシの回転が、現像剤の撹乱作用を持つ。画像形成時にマグローラ27が回転するタイプのものでは、キャリア吐き出しモード時に、画像形成時よりも高い回転数で現像スリーブとマグローラを動作させることで、現像剤撹乱の効果を高めることができる。例えば、現像ローラと感光体の線速を600[mm/秒]に固定し、1秒間にニップ領域で磁極が交番する回数を変化させたとき、図6に示すように、キャリア排出の個数が変化した。例えば、通常は磁極の交番する回数が300[回/秒]のところ、キャリア吐き出しモード時に600[回/秒]とすることで、キャリアの排出効率が2倍になり、不良キャリア排出に要する時間を半減させることができた。比較のため、従来のキャリア吐き出しモードと、マグローラの回転数を上げた場合のキャリア吐き出しモードとで、不良キャリア含有率の下がり方の差を図7に示す。
【0030】
図8に示す例では、感光体3の内部に、オンオフ切り替え自在な磁界発生手段30を設けている。現像ローラ25側に設けられた磁界発生手段であるマグローラ27よりも弱い磁力を生じさせることで、キャリアを感光体側に引き付ける力を作用させ、現像剤撹乱の効果を奏することができる。更に、現像剤がニップ領域を通過する間に1回以上、磁界発生手段30のオンオフを切り替えれば、現像剤撹乱の効果をもたせることができる。例えば、現像剤の移動速度が600[mm/秒]、ニップ領域の幅が10[mm]とするとき、60Hz以上でオンオフを切り替えればよい。なお、この磁界発生手段30は、電磁石でもよいし、永久磁石に開閉可能な磁気短絡板等を取り付けたものでもよい。
【0031】
現像時(画像形成時)及びキャリア吐き出しモード時の現像領域では、実際には一様でない電界が生じている場合が多い。その要因としては、感光体表面の特性の不均一性や、感光体上に形成された静電潜像のパターンによるものや、現像剤自体が持つ誘電率及びそのバラツキなどが挙げられる。こうした不均一性により電界の回り込みが発生し、局所的な強電界領域(以下、エッジ部と称する)が生じることがあり、これがキャリア付着発生の要因となることがある。こうしたエッジ部に付着し易いキャリアは、図4に示すような一様な電位差に設定するだけでは十分に排出されないこともある。この問題に対処するためには、キャリア吐き出しモード時にも、感光体表面に局所的な強電界領域を生じさせるのがよい。例としては、図9に示すようなパターンの静電潜像を感光体上に形成しながらキャリア吐き出しモードを実行するやり方がある。その際、図中の黒塗り部と白塗り部に電位差があるように設定し、かつどちらの領域であっても、現像ローラ表面との電位差を考えれば、キャリアを感光体に移す向きに電界が発生するように設定する。これにより、図中黒塗り部と白塗り部の境界には、図10に示すように、電界の回り込みによる強電界領域が発生し、エッジ部にキャリア付着し易いキャリアも排出することが可能となる。
【0032】
キャリア吐き出しモード時に感光体に形成すべき潜像のパターンとしては、キャリア付着の排出効果の高いパターンを用いることが望ましい。全面均一なパターンより、面内に電位差のあるパターンの方がキャリア排出の効果が高いように、パターンによってもキャリア排出の効果に差が出るためである。例えば、一方向にしか電位が変化しないラダー状のパターンよりも、図9に示したような、二方向に電位が変化するドット状のパターンの方が排出効果が高い。また、同じドット状のパターンでも、そのドットのサイズによって排出効果が異なり、最適となるドットのサイズが存在する。このサイズなどは使用する画像形成装置の構成によっても異なるため、各条件に合わせて設定するのがよい。
【0033】
或る画像形成装置を用いた評価では、図9に示したようなパターンで実際に画像を出力した場合、各ドットサイズ及びピッチを40,80,160,320[μm]と振った中では、約160[μm]のときに発生したキャリア付着が最も多く、キャリア吐き出しモード時に用いる潜像のパターンも同じ周期を持たせればよいことが分かった。
【0034】
最後に、不良キャリアの影響と特徴について説明する。図11は、画像形成枚数に応じたキャリア付着数の推移を表わしたグラフである。通常、初期の現像剤には不良キャリアが或る割合で含まれるため、こうした不良キャリアによるキャリア付着が、通常キャリアのキャリア付着に上乗せされて発生する。しかし、画像出力を続けることで不良キャリアの含有率が減少し、キャリア付着の発生量が安定する。具体的な値については、画像形成の条件や、現像剤の特性、現像装置に含まれる現像剤の量など、種々の条件により異なるが、或る評価では、初期的にA4一枚の面積当たり1000個程度だったものが、A4面積の画像を500枚出力することで、100個程度まで減少した。つまり、新しく現像剤を用いる際に、キャリア吐き出しモードにより不良キャリアを排出することで、不良キャリアによるキャリア付着発生を防止することができる。
【0035】
また、不良キャリアは印刷を継続する間にキャリアが劣化し、経時的に生じてくる場合もある。例えば、現像装置内で現像剤が長時間循環すると、キャリア表面のコート層が剥れたり(膜削れ)、トナー成分が付着したり(スペント)する場合があり、こうしたキャリアが不良キャリアとなることが知られている。本発明によれば、こうした経時的に発生する不良キャリアも効率的に短時間で排出することができ、長期にわたってユーザーに提供する画像品質を高く保つことができる。
【0036】
図12は、不良キャリアの特徴を具体的に説明するためのグラフである。現像剤中のキャリアは、その特性にバラツキがある。例えば、未使用現像剤中のキャリアの粒径分布と、そのような分布を有するキャリアを用いた或る画像形成装置において実際に像担持体上に付着したキャリアの粒径分布は異なっており、粒径のピークが約30[μm]から約25[μm]へシフトしていることを確認した。つまり、現像装置に含まれるキャリアのうち、比較的小粒径のキャリアが不良キャリアとして優先的にキャリア付着していることが分かった。
【符号の説明】
【0037】
3 感光体
5 現像装置
20 ケース
22,23 攪拌・搬送スクリュー
25 現像ローラ
26 現像スリーブ
27 マグローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特許第3671525号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2成分現像剤で像担持体上の潜像を現像する現像装置であって、現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、現像剤担持体に内蔵され現像剤担持体上に磁気ブラシを形成する磁界発生手段とを有する現像装置であって、現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱するための撹乱手段を更に有し、前記現像剤担持体から前記像担持体側へキャリアを移動させる力を作用させつつ像担持体と現像剤担持体を回転させて所定のキャリアを吐き出すことが可能なキャリア吐き出しモードを備え、キャリア吐き出しモードにおいて前記撹乱手段を作動させることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記磁界発生手段が、周方向にN極とS極が交互に着磁されたマグネットであり、現像剤担持体に対して回転可能であり、前記キャリア吐き出しモード時に、現像剤担持体と磁界発生手段とを夫々回転させることで現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁界発生手段が現像時にも回転するものであり、前記キャリア吐き出しモード時に前記現像剤担持体と前記磁界発生手段の少なくとも一方が、画像形成時よりも高い回転数で回転することを特徴とする、請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記像担持体に設けられる別の磁界発生手段であって、前記キャリア吐き出しモード時にオンオフ切り替え可能な磁界発生手段を前記撹乱手段とすることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像装置と像担持体とを備えるプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像装置と像担持体とを備える画像形成装置。
【請求項7】
前記キャリア吐き出しモードを、現像剤と現像装置を新たにセットする際に、実行することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記キャリア吐き出しモードを、各種センサの較正処理、現像剤の帯電立ち上げ処理、定着装置が所定温度に上昇するまでの待機時間のいずれかに合わせて実行することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記キャリア吐き出しモードにおいて、前記像担持体表面に電界の回り込みによる強電界領域を発生させる所定の潜像パターンを前記像担持体上に形成することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記潜像パターンは、同一形状のドットが規則的に配置されたものであることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項1】
2成分現像剤で像担持体上の潜像を現像する現像装置であって、現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、現像剤担持体に内蔵され現像剤担持体上に磁気ブラシを形成する磁界発生手段とを有する現像装置であって、現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱するための撹乱手段を更に有し、前記現像剤担持体から前記像担持体側へキャリアを移動させる力を作用させつつ像担持体と現像剤担持体を回転させて所定のキャリアを吐き出すことが可能なキャリア吐き出しモードを備え、キャリア吐き出しモードにおいて前記撹乱手段を作動させることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記磁界発生手段が、周方向にN極とS極が交互に着磁されたマグネットであり、現像剤担持体に対して回転可能であり、前記キャリア吐き出しモード時に、現像剤担持体と磁界発生手段とを夫々回転させることで現像領域での磁気ブラシ中の現像剤を撹乱することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁界発生手段が現像時にも回転するものであり、前記キャリア吐き出しモード時に前記現像剤担持体と前記磁界発生手段の少なくとも一方が、画像形成時よりも高い回転数で回転することを特徴とする、請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記像担持体に設けられる別の磁界発生手段であって、前記キャリア吐き出しモード時にオンオフ切り替え可能な磁界発生手段を前記撹乱手段とすることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像装置と像担持体とを備えるプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像装置と像担持体とを備える画像形成装置。
【請求項7】
前記キャリア吐き出しモードを、現像剤と現像装置を新たにセットする際に、実行することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記キャリア吐き出しモードを、各種センサの較正処理、現像剤の帯電立ち上げ処理、定着装置が所定温度に上昇するまでの待機時間のいずれかに合わせて実行することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記キャリア吐き出しモードにおいて、前記像担持体表面に電界の回り込みによる強電界領域を発生させる所定の潜像パターンを前記像担持体上に形成することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記潜像パターンは、同一形状のドットが規則的に配置されたものであることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−180345(P2011−180345A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44049(P2010−44049)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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