説明

現像装置、及び、プロセスカートリッジ

【課題】光透過方式の現像剤残量検知方式において、可撓性を持った現像剤搬送部材の復元力を利用して現像剤を搬送させる場合や、現像剤搬送部材を高速で回転させた場合においても、精度良く残量検知を行う。
【解決手段】長手方向において光透過部材40とオーバーラップし、かつ短手方向先端は光透過部材40よるも下方となる位置に現像剤飛散防止部材30を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成装置に用いられる現像装置、及び電子写真画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
ここで、電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」ともいう)とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。画像形成装置の例としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置、ワードプロセッサ、及び、これらの複合機(マルチファンクションプリンタ)等が含まれる。
【0003】
また、現像装置とは、電子写真感光体などの像担持体上の静電像を、現像剤を用いて可視像化するための装置である。
【0004】
また、プロセスカートリッジとは、プロセス手段としての、帯電手段、現像手段またはクリーニング手段と電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置の装置本体に対して着脱可能とするものである。および、プロセス手段としての、帯電手段、現像手段、クリーニング手段の少なくとも1つと電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して電子写真画像形成装置の装置本体に着脱可能とするものである。更に、少なくともプロセス手段としての、現像手段と電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して電子写真画像形成の装置本体に着脱可能とするものをいう。
【背景技術】
【0005】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた電子写真画像形成装置においては、電子写真感光体及び電子写真感光体に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化している。そして、このカートリッジを電子写真画像形成装置の装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずユーザ自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。プロセスカートリッジの交換が行われる条件の一つには現像剤切れがあるが、最近では予め現像剤残量情報をユーザに知らせ、スムーズな交換を促すために、様々な方法でプロセスカートリッジ内の現像剤残量の検知が行われている。
【0006】
その方法の一つに光透過式現像剤残量検知がある(特許文献1)。その概略を説明する。電子写真画像形成装置の装置本体などに取り付けられたLEDなどの発光部より発光された検知光を電子写真画像形成装置或いはプロセスカートリッジの現像剤収納容器に取り付けられた光透過部材を介して現像剤収納容器内部へ導く。現像剤収納容器内に入射した検知光は、現像剤残量などの条件に依存して、光透過窓など(その他の例としては反射鏡がある)を介して再度現像剤収納容器外へ出射される。その後、検知光は、電子写真画像形成装置本体などに取り付けられた受光素子(フォトトランジスタなどの受光部)へ導かれる。また、現像剤収納容器内部には、現像剤を撹拌しつつ、現像ローラ方向へ現像剤を搬送するために、回転可能に支持された現像剤搬送部材が設けられている。現像剤搬送部材は可撓性を持っており、現像剤搬送部材はその表面上に現像剤を担持した状態で内壁面に当接し、弾性力に抗して付勢されて変形する。そして、現像剤搬送部材が内壁面との当接から開放される際の弾性復元力を利用して現像剤を飛翔させ、上方に設けた現像室へ現像剤を搬送している。この時、検知光は、現像剤搬送部材及び現像剤が検知窓を通過する際に遮られる。そして、現像剤残量が少なくなるほど現像剤によって光が遮られる時間が短くなる為、光の透過時間は長くなっていく。このような方法により、検知光の透過時間を検出することで現像剤収納容器内の現像剤残量を検知することができる。斯かる方法が光透過式の現像剤残量検知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−209897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述の従来技術をさらに発展させたものである。即ち、可撓性を持った現像剤搬送部材の復元力を利用して現像剤を搬送させる場合や、印刷枚数の高速化に伴い現像剤搬送部材を高速で回転させる必要がある場合において、現像剤収納容器内で現像剤が飛散する場合がある。現像剤が飛散するのは、現像剤搬送部材により掬い上げられた現像剤が、現像剤搬送部材から勢いよく落下する事や、可撓性の現像剤搬送部材の変形が開放された時に発生する気流が要因として挙げられる。現像剤収納容器内で現像剤が飛散すると、光透過部材の取り付け位置や現像剤収納容器内の現像剤の残量によっては飛散した現像剤が検知光を遮る可能性があり、光透過式現像剤残量検知の検知精度が低下する場合がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、現像剤搬送部材を高速で回転させる場合や現像剤搬送部材の復元力によって現像剤を搬送する場合でも、より精度良く現像剤残量が検知可能な現像装置、及び、プロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明に係る現像装置の代表的な構成は、電子写真感光体に形成された静電像を現像剤により現像する現像装置であって、現像剤を担持して前記電子写真感光体に搬送する回転可能な現像剤担持体と、前記現像剤担持体を備えた現像室と、前記現像剤が通過する開口部が設けられた壁面によって前記現像室と隔てられて配設され、前記現像室に供給する前記現像剤を収納した現像剤収納室と、前記現像剤収納室に回転自在に支持された回転軸と、前記回転軸の回転半径方向において一端が前記回転軸に取り付けられ、他端が前記現像剤収納室の内壁に接触することで変形し、前記回転軸が回転することで前記現像剤を搬送する可撓性を有する現像剤搬送部材と、前記現像剤収納室の現像剤の量を検知するために、検知光を前記現像剤収納室の内部に通過させるための光透過部材であって、前記回転軸の回転方向において前記開口部よりも上流側、かつ、前記現像剤収納室を形成する底面よりも下流側の前記現像剤収納室の壁面に取り付けられた光透過部材と、前記回転軸の回転方向において前記現像剤搬送部材に対し上流側で、前記回転軸の回転半径方向において一端が前記回転軸に取り付けられ、他端が前記光透過部材を摺擦する可撓性を有する清掃部材と、前記現像剤収納室の内壁に基部が取り付けられた可撓性を有する現像剤飛散防止部材と、を備え、前記現像剤飛散防止部材は、前記回転軸の軸線方向において、少なくとも前記光透過部材とオーバーラップする範囲に設けられ、かつ、前記基部とは反対側の先端は前記光透過部材よりも下方にあることを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するための本発明に係るプロセスカートリッジの代表的な構成は、電子写真画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、静電像が形成される電子写真感光体と、現像剤を担持して前記電子写真感光体に搬送し前記静電像を現像する回転可能な現像剤担持体と、前記現像剤担持体を備えた現像室と、前記現像剤が通過する開口部が設けられた壁面によって前記現像室と隔てられて配設され、前記現像室に供給する前記現像剤を収納した現像剤収納室と、前記現像剤収納室に回転自在に支持された回転軸と、前記回転軸の回転半径方向において一端が前記回転軸に取り付けられ、他端が前記現像剤収納室の内壁に接触することで変形し、前記回転軸が回転することで前記現像剤を搬送する可撓性を有する現像剤搬送部材と、前記現像剤収納室の現像剤の量を検知するために、検知光を前記現像剤収納室の内部に通過させるための光透過部材であって、前記回転軸の回転方向において前記開口部よりも上流側、かつ、前記現像剤収納室を形成する底面よりも下流側の前記現像剤収納室の壁面に取り付けられた光透過部材と、前記回転軸の回転方向において前記現像剤搬送部材に対し上流側で、前記回転軸の回転半径方向において一端が前記回転軸に取り付けられ、他端が前記光透過部材を摺擦する可撓性を有する清掃部材と、前記現像剤収納室の内壁に基部が取り付けられた可撓性を有する現像剤飛散防止部材と、を備え、前記現像剤飛散防止部材は、前記回転軸の軸線方向において、少なくとも前記光透過部材とオーバーラップする範囲に設けられ、かつ、前記基部とは反対側の先端は前記光透過部材よりも下方にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、現像剤飛散防止部材を設けることで、現像剤搬送部材から落下してくる現像剤を塞き止めることにより現像剤の飛散を減少させ、飛散した現像剤が光透過部材を遮る量を抑制することができる。従って、精度良く現像剤の残量検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例における画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】1つのカートリッジ部分の拡大横断面図である。
【図3】光透過部材の構成図である。
【図4】光透過部材の構成図である。
【図5】光学式トナー残量検知の説明図である。
【図6】回転軸、トナー搬送部材、清掃部材の構成図である。
【図7】トナー室内のトナー飛散防止構成の説明図である。
【図8】トナーが搬送されて来て、現像室へ跳ね上げられるまでの状態を示した図であり、(a)はトナー搬送部材が境界点に達する直前の状態図、(b)はトナー搬送部材の変形が開放された瞬間の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施例1]
(電子写真画像形成装置例の全体的な概略構成)
図1は、本実施例における電子写真画像形成装置100(以下、装置と記す)の断面図であり、インライン方式、中間転写方式のフルカラーレーザービームプリンタである。即ち、ホスト機器400から制御回路部200に入力する電気的画像情報に基づいて記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)12にフルカラー画像を形成することができる。ホスト機器400は装置100と通信可能に接続された画像読取装置(イメージリーダ)、パーソナルコンピュータ等である。制御回路部200はホスト機器400や操作部300との間で各種の電気的情報の授受をすると共に、装置100の画像形成動作を所定のプログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。
【0015】
装置100内には、図面上、左側から右側に順に、複数の画像形成部Sとしてそれぞれ異なる色のトナー像を形成する第1乃至第4の4つの画像形成部SY、SM、SC、SKが水平に対して右下がりの上下斜め方向に一列に並設されている。本実施例において、第1の画像形成部SYはイエロー(Y)色のトナー像を形成する画像形成部、第2の画像形成部SMはマゼンタ(M)色のトナー像を形成する画像形成部である。第3の画像形成部SCはシアン(C)色のトナー像を形成する画像形成部、第4の画像形成部SKはブラック(K)色のトナー像を形成する画像形成部である。
【0016】
各画像形成部Sは、現像手段に収容した現像剤としてのトナーの色が互いに異なることを除いて、実質的に同じ構造の電子写真プロセス機構である。各画像形成部Sは、静電像(静電潜像)が形成される回転可能な像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。また、ドラム1に作用するプロセス手段としての、帯電手段2、現像手段4、クリーニング手段6を有する。帯電手段2はドラム1の表面を所定の極性・電位に均一に帯電する手段であり、本実施例においては接触帯電部材である帯電ローラを用いている。現像手段4はドラム1の表面に形成された静電像をトナー像として現像する手段であり、本実施例においては非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)を用いた接触式の現像装置(以下、現像ユニットと記す)を用いている。クリーニング手段6はドラム1に形成されたトナー像を中間転写体に転写した後のドラム表面に残った現像剤(以下、トナーと記す)を除去する手段である。本実施例においては、クリーニング手段6として、エッジ部をドラム1に対してドラム回転方向にカウンタに当接させたブレードクリーニング部材を用いている。
【0017】
各画像形成部Sにおいて、それぞれ、ドラム1、帯電ローラ2、現像ユニット4及びクリーニング部材6が一体的にカートリッジ化されて装置本体100Aに対して着脱可能とされている。即ち、プロセスカートリッジ7(7Y、7M、7C、7K)とされている。装置本体100Aは、装置100の構成からカートリッジ7を除いた構成である。各カートリッジ7は、装置本体100Aに設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段(不図示)を介して、装置本体100Aに対して取り外し可能に装着される。
【0018】
各画像形成部Sの下側と上側には、それぞれ、露光手段としての露光ユニット(スキャナユニット、露光装置)3と中間転写ユニット5とが配設されている。露光ユニット3は各画像形成部Sのドラム1に対してそれぞれ画像情報に基づき変調されたレーザー光11を照射して静電像を形成する手段である。中間転写ユニット5は、各画像形成部Sのドラム1の上面に接触する移動可能な中間転写体としての、可撓性を有するエンドレスの中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)51を有する。ベルト51は第4の画像形成部SK側に配設された駆動ローラ52及び二次転写対向ローラ53と、第1の画像形成部SY側に配設された従動ローラ54と、の3本のローラ52・53・54間に懸回張設されている。ベルト51の内側には、各画像形成部Sに対応する4本の一次転写手段としての一次転写ローラ8が並設されている。各一次転写ローラ8はそれぞれ対応するドラム1の上面に対してベルト51の下行側ベルト部分を挟んで所定の押圧力で当接している。各画像形成部Sにおいてドラム1とベルト51との接触部がそれぞれ一次転写部(一次転写ニップ部)N1である。また、二次転写対向ローラ53には、二次転写手段としての二次転写ローラ9がベルト51を挟んで所定の押圧力で当接している。二次転写ローラ9とベルト51との接触部が二次転写部(二次転写ニップ部)N2である。一次転写ローラ8と二次転写ローラ9とは同様の構成を有する導電性ローラである。
【0019】
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。制御回路部200はプリント開始信号に基づいて装置100の画像形成動作を開始させる。即ち、画像形成タイミングに合わせて各画像形成部Sのドラム1が駆動手段(不図示)により矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される。ベルト51も駆動ローラ52の駆動により矢印の反時計方向(ドラムの回転に順方向)にドラム1の速度に対応した速度で循環移動駆動(回転駆動)される。露光ユニット3も駆動される。これらの駆動に同期して、各画像形成部Sにおいて、帯電バイアス電源(不図示)から所定の帯電バイアスが印加された帯電ローラ2によりドラム1の表面が所定の極性・電位に均一に帯電される。露光ユニット3は各ドラム1の表面をY、M、C、Kの各色の画像情報信号に応じて変調されたレーザー光11で走査露光する。これにより、各ドラム1の表面に対応色の画像情報信号に応じた静電像が形成される。形成された静電像は現像ユニット4によりトナー像として現像される。
【0020】
本実施例の装置100においては、各画像形成部Sのドラム1は帯電ローラ2によって負極性の所定電位に帯電された後、露光ユニット3によってイメージ露光方式でそれぞれ静電像が形成される。その静電像が現像ユニット4によって正規の帯電極性が負のトナー(ネガトナー)によって反転現像されることでトナー像として顕画化される。即ち、現像ユニット4は、ドラム1の帯電極性と同極性(負極性)に正規帯電したトナーを、ドラム1上の露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させることで静電像を現像する。
【0021】
上記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1の画像形成部SYのドラム1にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するY色トナー像が形成され、そのトナー像が該画像形成部SYの一次転写部N1においてベルト51上に一次転写される。第2の画像形成部SMのドラム1にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するM色トナー像が形成され、そのトナー像が該画像形成部SMの一次転写部N1においてベルト51上に既に転写されているY色のトナー像に重畳されて一次転写される。第3の画像形成部SCのドラム1にはフルカラー画像のシアン成分に対応するC色トナー像が形成され、そのトナー像が該画像形成部SCの一次転写部N1においてベルト51上に既に転写されているY色+M色のトナー像に重畳されて一次転写される。第4の画像形成部SKのドラム1にはフルカラー画像のブラック成分に対応するK色トナー像が形成され、そのトナー像が該画像形成部SKの一次転写部N1においてベルト51上に既に転写されているY色+M色+C色のトナー像に重畳されて一次転写される。各画像形成部Sの一次転写ローラ8には、それぞれ、所定の制御タイミングにて、一次転写バイアス電源(不図示)からトナーの正規の帯電極性とは逆極性で所定電位の一次転写バイアスが印加される。
【0022】
このようにして、走行するベルト51上にY色+M色+C色+K色の4色フルカラーの未定着トナー像が合成形成される。この未定着トナー像はベルト51の引き続く移動により搬送されて二次転写部N2に至る。また、各画像形成部Sにおいて、ベルト51に対するトナー像の一次転写後のドラム表面の一次転写残トナーがクリーニング部材6により拭掃除去される。クリーニングされたドラム表面が次の作像工程に供される。
【0023】
一方、給送カセット61内に積層されて収容されている記録材12が所定の制御タイミングで給送ローラ62aとリタードローラ62bによって1枚分給送されて搬送ローラ63によりレジストローラ対64へ搬送される。記録材12は、レジストローラ対64によって所定の制御タイミングで二次転写部N2へ搬送される。二次転写ローラ9には、所定の制御タイミングにて、二次転写バイアス電源(不図示)からトナーの正規の帯電極性とは逆極性で所定電位の二次転写バイアスが印加される。これにより、記録材12が二次転写部N2を挟持搬送されていく過程において、ベルト51上の4色重畳のトナー像が記録材12の面に順次に一括して二次転写される。二次転写部N2を出た記録材12はベルト51から分離され、定着手段である定着ユニット10へ搬送されてトナー像が記録材12上に定着される。トナー像の記録材12に対する定着は記録材12に熱及び圧力を加えることでなされる。定着ユニット10を出た記録材12は排出ローラ65によって排出トレイ66に排出される。記録材12に対するトナー像の二次転写後にベルト51の表面に残留した二次転写残トナーはベルトクリーニング装置55により除去される。クリーニングされたベルト表面が次の作像工程に供される。尚、装置100は、所望の単独又はいくつか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
【0024】
(プロセスカートリッジ)
各画像形成部Sにおけるカートリッジ7は、現像ユニット4に収容したトナーの色が前記のようにY色、M色、C色、K色と異なるだけで、構造は同じである。図2はその1つのカートリッジ部分の拡大横断面図である。カートリッジ7は大別して感光体ユニット13と現像ユニット4との結合物である。
【0025】
感光体ユニット13は、クリーニング枠体14に対して、ドラム1、帯電ローラ2及びクリーニング部材6が配設されているユニットである。クリーニング枠体14はドラム1の回転軸線方向を長手とする部材である。ドラム1の一端側と他端側は、それぞれ、クリーニング枠体14の長手方向一端側と他端側とに軸受(不図示)を介して回転自在に取り付け支持されている。また、クリーニング枠体14には、ブレードクリーニング部材(弾性ゴムブレード)6が支持板金6aを介して取り付けられている。クリーニング部材6は、ドラム1に対してほぼ並行に配設された、ドラム1に沿って長い部材であり、幅方向(短手方向)の先端エッジ部がドラム1に対してドラム回転方向にカウンタに所定の押圧力で当接している。
【0026】
また、クリーニング枠体14の長手方向一端側と他端側には、それぞれ、帯電ローラ軸受15が、帯電ローラ2の中心O2とドラム1の中心O1を通る直線上を中心O1に向かう矢印C方向に移動可能に取り付けられている。帯電ローラ2の一端側と他端側の軸2aはそれぞれクリーニング枠体14の長手方向一端側と他端側の軸受15に回転可能に支持されている。帯電ローラ2は、ドラム1に対してほぼ並行に配設されており、ドラム1に沿って長い部材である。一端側と他端側の軸受15は、それぞれ、加圧部材16によりドラム1に向かって加圧された状態である。これにより、帯電ローラ2がドラム1に対して所定の押圧力で当接している。
【0027】
現像ユニット4の現像容器(以下、現像枠体と記す)18は、トナー(現像剤T:図8)を収納した現像剤収納室(以下、トナー室)18aと、トナー室18aに対して上方に配置された現像室18bと、を有する。現像枠体18はドラム1の回転軸線方向を長手とする部材である。トナー室18aと現像室18bはトナーが通過する開口部18cが設けられた壁面18dによって隔てられている。現像室18bには、ドラム1に接触してドラム1にトナーを適用する現像剤担持体としての弾性層を有する現像ローラ17が配設されている。現像ローラ17は、ドラム1に対してほぼ並行に配設されており、ドラム1に沿って長い部材である。また、現像室18bには、ローラ17に対する現像剤供給部材としての弾性スポンジ層を有するトナー供給ローラ20が現像ローラ17に並行に、かつ、接触させて配設されている。供給ローラ20は現像ローラ17に沿って長い部材である。現像ローラ17と供給ローラ20の一端側と他端側は、それぞれ、現像枠体18の長手方向一端側と他端側とに軸受(不図示)を介して回転自在に取り付け支持されている。また、現像室18bには、現像ローラ17上のトナー層を規制するための現像剤層厚規制部材としての現像ブレード21が配置されている。現像ブレード21は現像ローラ17に沿って長い部材であり、幅方向(短手方向)の一端側が現像枠体18に固定されており、他端側が現像ローラ17に対して弾性的に腹当てされて接触している。
【0028】
トナー室18aの内部には、回転軸22が配設されている。回転軸22は現像枠体18の長手方向一端側と他端側とに軸受(不図示)を介して回転自在に取り付けられている。この回転軸22に対して、トナーを搬送するための可撓性を有するトナー搬送部材(現像剤搬送部材)23が取り付けられている。また、回転軸22には、可撓性を有する清掃部材24が取り付けられている。この清掃部材24は、トナー室18aの内部のトナーの量を検知するためにトナー室18aに配設された後述する光透過部材40の投光窓である光透過窓40a4及び受光窓である光透過窓40b4(図4)を摺擦して清掃する部材である。トナー搬送部材23と清掃部材24は回転軸22が回転駆動されることで、トナー室18a内を所定の方向Fに所定の速度で回転する。また、トナー室18aの内部の壁底部Wb上の内壁座面Wcには、トナー搬送部材23からトナー容器内へ落下してくるトナーを塞き止める現像剤飛散防止部材(以下、トナー飛散防止部材)30が設けられている。
【0029】
現像ユニット4は、現像枠体18の長手方向一端側と他端側とに配設されている軸受部材19R(19L)に設けられた穴19Ra(19La)に嵌合する軸26R(26L)を中心にして感光体ユニット13に対して回動自在に結合されている。そして、現像ユニット4は、感光体ユニット13との間に縮設された加圧バネ27により軸26R(26L)を中心に矢印Kの方向に回動付勢されている。現像ユニット4の矢印Kの回動方向は現像ローラ17が感光体ユニット13のドラム1に対して所定の押圧力で当接する方向である。ここで、現像ローラ17のドラム1に対する当接は、現像ローラ17自体がドラム1に当接する構成(接触現像)であってもよい。また、現像ローラ17の両端部のスペーサコロがドラム1に当接し、現像ローラ17がドラム1に対して所定の僅少な隙間を存して非接触に対向する構成(非接触現像)であってもよい。
【0030】
各画像形成部Sにおけるカートリッジ7は、装置本体100A側の対応するカートリッジ装着部に所定の要領にて取り外し可能に装着される。図2はカートリッジ7がその装着部(不図示)に所定に装着されている状態を示している。カートリッジ7の装着状態において感光体ユニット13が装着部の位置決め部に対して位置決め固定されて保持されている。現像ユニット4は自由状態にあり、加圧バネ27の付勢力で軸26R(26L)を中心に矢印Kの方向に回動付勢されて現像ローラ17或いはスペーサコロがドラム1に対して所定の押圧力で当接している。また、カートリッジ7の装着状態において感光体ユニット13側の駆動入力部(不図示)に対して装置本体100A側の駆動出力部(不図示)が機械的に結合した状態になっている。また、感光体ユニット13側の電気入力部(不図示)に対して装置本体100A側の電気出力部(不図示)が電気的に結合した状態になっている。これにより、装置100は画像形成動作が可能となる。
【0031】
即ち、駆動出力部から駆動入力部に入力する駆動力により、ドラム1が矢印Aの時計方向に所定の速度で回転駆動される。帯電ローラ2はドラム1の回転に従動して回転する。帯電ローラ2には電気出力部から電気入力部に入力する所定の帯電バイアスが印加される。これによりドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に帯電される。ドラム1の帯電面に対する露光は、露光ユニット3から出力されたレーザー光11が、感光体ユニット13と現像ユニット4との間の隙間通路を下から上に進入して、ドラム1の下面を走査露光することによりなされる。これにより、ドラム1の表面に走査露光像に対応した静電像が形成される。
【0032】
また、現像ユニット4側の現像ローラ17、供給ローラ20、回転軸22にも感光体ユニット13側から駆動力が伝達される。現像ローラ17はドラム1の回転方向Aに順方向の矢印Dの反時計方向に所定の速度で回転駆動される。供給ローラ20も矢印Eの反時計方向に所定の速度で回転駆動される。現像ローラ17と供給ローラ20は相互の接触部において互いに逆方向に回転することにより、現像室18bのトナーが供給ローラ20により現像ローラ17に対して塗布される。現像ローラ17に塗布されたトナーは現像ブレード21により層厚が所定に規制されて、引き続く現像ローラ17の回転により現像ローラ17とドラム1との接触部である現像位置に搬送される。また、現像ローラ17には電気出力部から電気入力部に入力する所定の現像バイアスが印加される。これにより、ドラム表面の静電像が現像ローラ17によりトナー像として現像される。現像ローラ17上の現像残りトナーは引き続く現像ローラ17の回転により現像ローラ17と供給ローラ20との接触部に戻され、供給ローラ20によって剥ぎ取り除去され、その現像ローラ17に対して供給ローラ20により再びトナーの塗布がなされる。
【0033】
そして、ドラム表面に形成されたトナー像が引き続くドラム1の回転により一次転写部N1にされて、矢印Bの方向に走行しているベルト51の表面に順次に一次転写される。ベルト51に対するトナー像の一次転写後のドラム表面の一次転写残トナーはクリーニング部材6により拭掃除去される。除去されたトナーは、クリーニング枠体14の除去トナー室14aに落下する。
【0034】
(トナー搬送構成)
トナー室18a内の回転軸22は、矢印Fの時計方向に所定の速度で回転駆動され、回転軸22に取り付けられているトナー搬送部材23と清掃部材24も回転軸22と共にトナー室18a内を矢印Fの時計方向に回転する。トナー搬送部材23はトナー室18aに収容されたトナーを撹拌すると共に、現像室18bのトナー供給ローラ20へトナーを搬送するための部材である。トナー搬送部材23の回転によりトナー室18a内のトナーが攪拌されると共に掬い上げられ、その一部がトナー搬送部材23の弾性復元力によって跳ね上げられて、開口部18cからトナー室18bのトナー供給ローラ20に供給される。
【0035】
これを今少し詳細に説明する。図2において、トナー室18aは、トナー搬送部材23の回転方向Fに沿って、底面である底壁面Wb及び傾斜壁面Waを有している。傾斜壁面Waは、トナー搬送部材23と当接する接触部Wa1と、トナー搬送部材23の回転方向において、接触部Wa1よりも下流側、かつ、開口部18cよりも上流側でトナー搬送部材23と当接しない非接触部Wa2を有する。トナー搬送部材23は、底壁面Wb及び接触部Wa1と当接(摺擦)することによって、トナー搬送部材23の有する弾性力に抗して撓められて(付勢されて)、回転方向下流側に凸に変形させられる。又、トナー搬送部材23は、底壁面Wb及び接触部Wa1に接触した状態で回転することで、その回転方向下流側の表面上にトナーを担持した状態で搬送するようになっている。トナー搬送部材23の回転に伴ってトナー搬送部材23の自由端側の先端(回転軸22側とは反対側端)が非接触部Wa2に達すると、トナー搬送部材23のトナー室18aの内壁との当接が開放される。トナー搬送部材23の当接が開放されると、トナー搬送部材23は、それ自体の弾性復元力によって自然状態(元の形状)へと形状変化しようとする。このトナー搬送部材23の復元方向への形状変化によって、トナー搬送部材23上に担持されて搬送されていたトナーは、トナー室18aの上方に設けられた開口部18cへ向けて重力に反して跳ね上げられる。その一部が開口部18cからトナー室18bのトナー供給ローラ20に供給される。ここで、本実施例において、接触部Wa1と非接触部Wa2の境界点pは、次に説明する光透過部材40の投光窓である光透過窓40a4及び受光窓である光透過窓40b4よりも上方に設けられている。
【0036】
(光透過部材)
現像枠体18のトナー室18aを構成する壁面Waの外壁長手方向(現像ローラ17の長手方向)の中央付近には、光透過式にて現像剤残量検知(トナー残量検知)を行うためのトナー検知部材としての光透過部材40が配設されている。図3の(a)は図2の光透過部材40部分の拡大図、(b)は光透過部材40の受光ガイド部40b側の側面図、(c)は(b)のc−c線に沿う断面図、(d)は光透過部材40の外面図である。図4の(a)は光透過部材40を内面側から見た斜視図、(b)は発光ガイド部40aと受光ガイド部40bと検知ユニット41の斜視図である。
【0037】
光透過部材40は発光ガイド部40aと受光ガイド部40bを有し、それらが支持部材40eの外側に取り付けられている。トナー室18aの壁面Waの光透過部材配設位置には開口部18eが形成されている。光透過部材40は壁面Waの外側から内面側を開口部18eに対応させて壁面Waにあてがい支持部材40eを壁面Waに定着させることによりトナー室18aに対して配設されている。支持部材40eの中央部にはトナー搬送部材23の回転半径外側へ凸形状となる検知部40cが形成されている。発光ガイド部40aと受光ガイド部40bは支持部材40eの外側において検知部40cの両サイドに縦向きに配設されている。検知部40cは、トナー室18aと連通した、長手方向長さw1×短手方向長さw2の開口40dを備えた箱状の空間である。検知部40cは、トナー搬送部材23の回転軸方向にて対向配置された両側壁40c1、40c2と、トナー搬送部材23の回転方向上流側及び下流側に対向して形成された壁面40c3、40c4と、開口40dに対向する壁面40c5を有する。
【0038】
光透過部材40は、カートリッジ7が装置本体100Aに対して所定に装着され、かつ、現像ローラ17がドラム1へ当接している状態において、装置本体100A側の所定の位置に配設されている検知ユニット41の上方に所定に対応して位置する。検知ユニット41は、発光ガイド部40aの下端面である入射面40a1に対して検知光Linを発光する発光部(例えばLED)41aを有する。また、受光ガイド部40bの下端面である出射面40b1から出射される検知光Loutを受光する受光部41b(例えばフォトトランジスタ)を有する。発光部41aと受光部41bは支持部材41cに配設されており、その支持部材41cが装置本体100A側の不動部材(不図示)に定着されて配設されている。
【0039】
発光ガイド部40aと受光ガイド部40bの上端部側には、それぞれ、光透過窓40a4と40b4を有する。それらの光透過窓40a4、40b4は、それぞれ、支持部材40eの内側に位置している。そして、発光ガイド部40aの光透過窓40a4と受光ガイド部の光透過窓40b4は、図3の(c)に示すように、トナー搬送部材23の回転軸線方向に沿って対向配置されている。検知ユニット41の発光部41aより発光された検知光Linが入射面40a1から発光ガイド部材40a内へと導入される。検知光Linは、発光ガイド部40aの反射面40a2にてトナー室18a内へと偏光される。偏光された検知光は、図3の(c)に示すように、更に反射面40a3にて光透過窓40a4へと偏向され、トナー室18a内へと導かれる。発光ガイド部40aの光透過窓40a4から出射した検知光Lは、トナー室18a内を通り、対向配置された受光ガイド部40bの光透過窓40b4へと導入される。その後、検知光Lは、受光ガイド部40bの反射面40b3及び反射面40b2により偏向され、受光ガイド部40bを通り、出射面40b1から光透過部材40の外(カートリッジ外)へ出射される。出射された検知光Loutは、検知ユニット41の受光部41bへ入射する。本実施例では、図3の(c)に示すように、対向配置された光透過窓40a4、40b4は、トナー室18aに隣接している側の離間距離w4が、トナー室18aから遠い側における離間距離w5より広く(即ち、w4>w5)なるように形成されている。
【0040】
トナー室18a内のトナーは、トナー搬送部材23が画像形成動作に応じて矢印Fの方向に所定の速度で回転駆動されることで、トナー室18aの横断面において内壁面に沿って持ち上げられながら攪拌・搬送される。そして、その攪拌・搬送されるトナーの一部が開口部18cから現像室18bに送り込まれて画像形成に使用される。トナー室18aに収容されているトナーは現像室18bに逐次に送られて画像形成に使用されるにつれて減少していく。
【0041】
一方、光透過部材40において、トナー室18a内に突出している光透過窓40a4、40b4間にトナーが介在しているときには発光部41aから発光された検知光Lが遮断されて、受光部41bでは検知光Lが受光されなくなる。また、光透過窓40a4、40b4間にトナーが介在していないときには発光部41aから発光された検知光Lが遮断されることなく受光部41bに受光される。図5の(a)は、後述する清掃部材24が光透過窓40a4、40b4を清掃する直前の状態を示す図である。検知光Lは、トナー搬送部材23にて搬送されるトナーによりトナー室18aの内部で遮られ、受光ガイド部40bの光透過窓40b4に届かず、受光部41bで検知されない。一方、図5の(b)は、後述する清掃部材24が光透過窓40a4、40b4を清掃した直後の状態を示す図である。検知光Lは、トナー室18aの内部を透過し、受光ガイド部40bの光透過窓40b4を介して受光部41bで検知される。
【0042】
上記のように、光透過窓40a4、40b4間にトナーが介在した状態と介在していない状態は、画像形成動作に応じたトナー搬送部材23の回転に伴うトナーの流動により交互に生じる。そして、トナー室18aのトナーの量が減少していくにつれて、検知光Lの遮光時間は短くなっていき、逆に、検知光Lの透過時間は長くなっていく現象を生じる。制御回路部200は、このようにトナー搬送部材23の回転に伴うトナーの流動により受光部41bで検知される遮光時間と透過時間がトナーの量によって変化することを利用して、トナー室18a内のトナー残量を推定する。そして、その推定トナー残量と所定の閾値とを対比して、操作部300の表示部(不図示)に、そのカートリッジ7についての寿命予告或いは寿命警告を表示する。
【0043】
(回転軸の構成)
次に、本発明における回転軸22について説明する。図6の(a)に示すように、回転軸22を形成する一面22aには、トナー搬送を行うためのトナー搬送部材23が回転軸22の長手方向の略全域にわたって取り付けられている。トナー搬送部材23は、例えば厚み50〜250μmのポリエステルフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリカーボネートフィルムなどの可撓性の樹脂製シートを用いて好適に作製した矩形状のシート部材である。トナー搬送部材23は、回転半径方向において、一端を回転軸22に設けられたボス22c〜22gを熱かしめ或いは超音波溶着することで回転軸22に固定されている。トナー搬送部材23は、回転軸中心から前記傾斜壁面Waの接触部Wa1までの距離より5〜20mm程度長く設定する。
【0044】
回転軸22には、回転軸22の長手中央付近において、トナー搬送部材23の取り付け面22aと対向する面22bが、トナー搬送部材23に対し、反時計回りにD=40度の位相(図6の(b))で設けられている。清掃部材24はこの面22bにおいて、トナー搬送部材23と同様、回転半径方向の一端を、回転軸に設けられたボス22h、22iを熱かしめ或いは超音波溶着することで、回転軸22に固定されている。ただし、トナー搬送部材23に対する清掃部材24の位相は、トナー搬送部材23がトナー室18aの内壁に当接して変形した際に、トナー搬送部材23の自由端側の先端が清掃部材24に接触しないように配置されていれば良く、40度に限定されるものではない。
【0045】
図6の(c)は清掃部材24の平面図である。清掃部材24の自由端側の先端は、台形状で、清掃部材24の回転半径方向の外側の端縁部24aが狭く(Xa)、高さHbだけ内側(回転軸22側)に離間した内側端縁部24bは広幅(Xb)(Xa<Xb)である。前述したように、本実施例では、図3の(c)に示すように、対向配置された光透過窓40a4、40b4は、トナー室18aに隣接している側の離間距離w4が、トナー室18aから遠い側における離間距離w5より広くなるように形成されている。従って、清掃部材24は、対向配置された傾斜面とされる光透過窓40a4、40b4の面と傾斜を合わせて清掃能力を向上するために、台形状とされているのである。回転軸22の回転に伴う清掃部材24の回転により、台形状に形成した清掃部材24の両傾斜側端部24cが、対を成して配置された光透過窓40a4、40b4に接触して、光透過窓40a4、40b4に付着したトナーを拭き落とす。
【0046】
清掃部材24は、例えば、ポリエステルフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルムなどの可撓性の樹脂製シートを用いて好適に作製することができる。シート状部材の厚みは、清掃部材24が光透過窓40a4と40b4の間に入り易くするために、50〜250μmが好適である。
【0047】
回転軸22への駆動力の伝達は、回転軸22の端部に設けられた嵌合穴28に、トナー室18aの側面壁を貫通して挿入された駆動ギア(不図示)が係合し、駆動ギアに駆動力が掛かる事で駆動力が伝達される。
【0048】
(トナー飛散防止構成)
トナー室18a内のトナー飛散防止構成について図7を用いて説明する。図7の(a)はカートリッジの主断面図、(b)はトナー飛散防止部材30と光透過部材40の長手方向の関係を示した説明図である。トナー室18aには、内壁に基部30aが取り付けられた可撓性を有するトナー飛散防止部材30が配設されている。より詳しくは、回転軸22の回転方向において、回転軸22の回転中心O22を通る垂直面Zと現像剤収納室内の底壁面Wbとの交点qよりも下流側、かつ、光透過窓40a4、40b4よりも上流側の内壁座面Wc上にトナー飛散防止部材30を設けている。トナー飛散防止部材30は、内壁座面Wc上に基部30aを両面テープ或いは熱かしめ等により固定されている。
【0049】
トナー飛散防止部材30の取り付け位置(基部30a)から自由端(先端)30bまでの高さL2は次のように設定されている。即ち、トナー飛散防止部材30がトナー搬送部材23と清掃部材24の弾性力に抗して弾性変形した際に、光透過窓40a4、40b4と干渉しないような高さに設定されている。例えば、トナー飛散防止部材30の取り付け位置から光透過窓40a4までの垂直距離L1が20mmの場合、トナー飛散防止部材30の垂直高さL2は10〜15mmが好適である。また、(b)に示すように、トナー飛散防止部材30の長手方向の長さY1は少なくとも光透過窓40a4、40b4の離間距離w4をカバーする長さ(Y1>w4)であり、光透過窓40a4、40b4を覆う範囲に設置されている。即ち、トナー飛散防止部材30は、回転軸22の軸線方向において、少なくとも光透過部材40とオーバーラップする範囲に設けられ、かつ、基部30aとは反対側の先端30bは光透過部材40(光透過窓40a4、40b4)よりも下方にある。
【0050】
トナー飛散防止部材30の弾性率は、清掃部材24と接触した際に清掃部材24の回転の妨げにならないよう、清掃部材24の弾性率よりも小さく設定されている。例えば、清掃部材24の材質がポリフェニレンサルファイドフィルムで、厚みを125〜250μmとした場合、トナー飛散防止部材30の材質はポリエステルフィルムで、厚みを50〜100μmとすると好適である。また、トナー飛散防止部材30の弾性率は、トナー搬送部材23と接触した際にトナー飛散防止部材30の回転の妨げにならないよう、トナー飛散防止部材30の弾性率よりも小さく設定されている。
【0051】
図8はトナーが搬送されて来て、現像室18bへ跳ね上げられるまでの状態を示した図で、(a)はトナー搬送部材23が境界点pに達する直前の状態図である。トナー搬送部材23の取り付け面が上面を向いて水平な状態の時より、回転軸22の回転が進むと、トナー搬送部材23上のトナーは重力によってトナー搬送部材23の表面から矢印G方向に向かって滑り落ちる。トナー搬送部材23がトナー室18aの非接触部Wa2までに達するまでに滑り落ちてくるトナーは、トナー室18a内の壁底部Wbにそのまま落下する。その際に、壁底部Wbに落下したトナーは、内壁座面Wcに設けたトナー飛散防止部材30によって一部塞き止められ、トナー落下による光透過窓40a4、40b4へのトナーの飛散を抑制することができる。
【0052】
(b)は、トナー搬送部材23の変形が開放された瞬間の状態を示した図である。トナー搬送部材23の変形が一気に開放されると、トナー室18a内には、トナー搬送部材23の回転方向に向かって気流Jが発生すると共に現像室18b内に入りきれなかったトナーがトナー室18a内に落下する。この時、トナー飛散防止部材30がトナー搬送部材23よりも回転軸22の回転方向下流側に設けられている。そのため、トナー搬送部材23より発生した気流Jとトナー落下によって飛散したトナーはトナー飛散防止部材30によって光透過窓40a4、40b4の手前で塞き止められる。それにより、トナー搬送部材23の弾性力を利用してトナーを上方に搬送させる構成においても、光透過式トナー残量検知を安定して精度良く行うことができるのである。
【符号の説明】
【0053】
1・・電子写真感光体、T・・現像剤、4・・現像装置、17・・現像剤担持体、18a・・現像剤収納室、18b・・現像室、18c・・開口部、18d・・壁面、22・・回転軸、23・・現像剤搬送部材、L・・検知光、40・・光透過部材、Wb・・底面、24・・清掃部材、30・・現像剤飛散防止部材、30a・・基部、30b・・先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体に形成された静電像を現像剤により現像する現像装置であって、
現像剤を担持して前記電子写真感光体に搬送する回転可能な現像剤担持体と、
前記現像剤担持体を備えた現像室と、
前記現像剤が通過する開口部が設けられた壁面によって前記現像室と隔てられて配設され、前記現像室に供給する前記現像剤を収納した現像剤収納室と、
前記現像剤収納室に回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸の回転半径方向において一端が前記回転軸に取り付けられ、他端が前記現像剤収納室の内壁に接触することで変形し、前記回転軸が回転することで前記現像剤を搬送する可撓性を有する現像剤搬送部材と、
前記現像剤収納室の現像剤の量を検知するために、検知光を前記現像剤収納室の内部に通過させるための光透過部材であって、前記回転軸の回転方向において前記開口部よりも上流側、かつ、前記現像剤収納室を形成する底面よりも下流側の前記現像剤収納室の壁面に取り付けられた光透過部材と、
前記回転軸の回転方向において前記現像剤搬送部材に対し上流側で、前記回転軸の回転半径方向において一端が前記回転軸に取り付けられ、他端が前記光透過部材を摺擦する可撓性を有する清掃部材と、
前記現像剤収納室の内壁に基部が取り付けられた可撓性を有する現像剤飛散防止部材と、
を備え、
前記現像剤飛散防止部材は、前記回転軸の軸線方向において、少なくとも前記光透過部材とオーバーラップする範囲に設けられ、かつ、前記基部とは反対側の先端は前記光透過部材よりも下方にあることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤飛散防止部材の弾性率は、前記清掃部材の弾性率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤飛散防止部材は、前記回転軸の回転方向において、前記回転軸の回転中心を通る垂直面と前記現像剤収納室の底面との交点よりも下流側で、かつ、前記光透過部材よりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
電子写真画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
静電像が形成される電子写真感光体と、
現像剤を担持して前記電子写真感光体に搬送し前記静電像を現像する回転可能な現像剤担持体と、
前記現像剤担持体を備えた現像室と、
前記現像剤が通過する開口部が設けられた壁面によって前記現像室と隔てられて配設され、前記現像室に供給する前記現像剤を収納した現像剤収納室と、
前記現像剤収納室に回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸の回転半径方向において一端が前記回転軸に取り付けられ、他端が前記現像剤収納室の内壁に接触することで変形し、前記回転軸が回転することで前記現像剤を搬送する可撓性を有する現像剤搬送部材と、
前記現像剤収納室の現像剤の量を検知するために、検知光を前記現像剤収納室の内部に通過させるための光透過部材であって、前記回転軸の回転方向において前記開口部よりも上流側、かつ、前記現像剤収納室を形成する底面よりも下流側の前記現像剤収納室の壁面に取り付けられた光透過部材と、
前記回転軸の回転方向において前記現像剤搬送部材に対し上流側で、前記回転軸の回転半径方向において一端が前記回転軸に取り付けられ、他端が前記光透過部材を摺擦する可撓性を有する清掃部材と、
前記現像剤収納室の内壁に基部が取り付けられた可撓性を有する現像剤飛散防止部材と、
を備え、
前記現像剤飛散防止部材は、前記回転軸の軸線方向において、少なくとも前記光透過部材とオーバーラップする範囲に設けられ、かつ、前記基部とは反対側の先端は前記光透過部材よりも下方にあることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記現像剤飛散防止部材の弾性率は、前記清掃部材の弾性率よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記現像剤飛散防止部材は、前記回転軸の回転方向において、前記回転軸の回転中心を通る垂直面と前記現像剤収納室の底面との交点よりも下流側で、かつ、前記光透過部材よりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−112826(P2011−112826A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268425(P2009−268425)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】