説明

現像装置、画像形成装置、及び、画像形成システム

【課題】現像剤担持体が回転する際に、当接部材をゴム状の性質にて適切に使用し、かつ、当接部材の温度上昇を抑制することにある。
【解決手段】規則的に配置された凹部を表面に有し、現像剤を担持した状態で回転可能な現像剤担持体と、ゴム弾性体から成り、前記現像剤担持体の前記表面に当接する当接部材であって、該現像剤担持体の回転に伴い振動する当接部材と、を備えた現像装置であって、前記現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さを、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチで割った値は、前記当接部材の、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が、最大になるときの該当接部材の振動数よりも小さい振動数のうち、前記損失弾性率が前記貯蔵弾性率よりも小さくなる振動数、と同じ大きさであることを特徴とする現像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、画像形成装置、及び、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームプリンタ等の画像形成装置は既によく知られている。かかる画像形成装置は、例えば、潜像を担持する像担持体と、現像剤によって像担持体に担持された潜像を現像する現像装置と、を有している。そして、画像形成装置は、コンピュータなどの外部装置から画像信号等が送信されると、像担持体に担持された潜像を、現像装置内の現像剤で現像して現像剤像を形成し、当該現像剤像を媒体に転写して、最終的に媒体に画像を形成する。
【0003】
上述の現像装置は、現像剤を担持した状態で回転可能な現像剤担持体を備えており、該現像剤担持体が、現像剤によって像担持体に担持された潜像を現像する。そして、この現像剤担持体の表面には、十分な量の現像剤が担持されること等を考慮して、規則的に配置された凹部が設けられている場合がある。また、現像装置には、ゴム弾性体から成り前記現像剤担持体の前記表面に当接する当接部材、が設けられているものがある。この当接部材として、例えば、現像剤担持体に担持された現像剤の層厚を規制する層厚規制部材がある。
【特許文献1】特開2006−259384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゴム弾性体から成る当接部材は、該当接部材の温度の大きさに応じて、ゴム状の性質またはガラス状の性質を示すことが知られている。そして、当接部材が一般的に使用される温度においては、該当接部材はゴム状の性質を示す。このため、当接部材が現像装置に設けられている場合にも、該当接部材がゴム状の性質として使用されることが、要請されている。
【0005】
また、当接部材が現像剤担持体の回転に伴い振動することがあるが、振動数の大きさに応じて、当接部材がゴム状の性質またはガラス状の性質を示すことが知られている。このため、上述した要請に応えるためには、当接部材がゴム状の性質を示すように、当接部材の振動数を管理することが望ましい。
【0006】
一方で、当接部材がゴム状の性質にて使用される場合においては、この当接部材の振動に伴い当接部材の温度が上昇する恐れがある。ここで、ゴム弾性体から成る当接部材は、動的粘弾性(弾性的な振る舞いと粘性的な振る舞い)を示すが、この二つの振る舞いのうちの粘性的な振る舞いの影響が大きい場合には、当接部材を構成する分子鎖が振動しやすいため熱が発生しやすくなり、この結果、当接部材の温度が上昇しやすい。
【0007】
そこで、本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、現像剤担持体が回転する際に、当接部材をゴム状の性質にて適切に使用し、かつ、当接部材の温度上昇を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、主たる本発明は、
規則的に配置された凹部を表面に有し、現像剤を担持した状態で回転可能な現像剤担持体と、
ゴム弾性体から成り、前記現像剤担持体の前記表面に当接する当接部材であって、該現像剤担持体の回転に伴い振動する当接部材と、
を備えた現像装置であって、
前記現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さを、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチで割った値は、
前記当接部材の、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が、最大になるときの該当接部材の振動数よりも小さい振動数のうち、前記損失弾性率が前記貯蔵弾性率よりも小さくなる振動数、
と同じ大きさであることを特徴とする現像装置である。
【0009】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
【0011】
規則的に配置された凹部を表面に有し、現像剤を担持した状態で回転可能な現像剤担持体と、
ゴム弾性体から成り、前記現像剤担持体の前記表面に当接する当接部材であって、該現像剤担持体の回転に伴い振動する当接部材と、
を備えた現像装置であって、
前記現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さを、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチで割った値は、
前記当接部材の、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が、最大になるときの該当接部材の振動数よりも小さい振動数のうち、前記損失弾性率が前記貯蔵弾性率よりも小さくなる振動数、
と同じ大きさであることを特徴とする現像装置。このような現像装置によれば、現像剤担持体が回転する際に、当接部材がゴム状の性質にて適切に使用し、かつ、当接部材の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0012】
また、かかる現像装置であって、
前記当接部材は、
前記表面に当接して、前記現像剤担持体に担持された現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材、
であることが望ましい。かかる場合には、層厚規制部材がゴム状の性質で適切に使用されて、現像剤の層厚が適切に規制される。
【0013】
また、かかる現像装置であって、
前記層厚規制部材は、
その長手方向が前記現像剤担持体の軸方向に沿うように、かつ、その短手方向の一端が該現像剤担持体の回転方向上流側に向くように、
前記表面に当接し、
前記層厚規制部材の、前記表面に当接する当接部は、前記短手方向において前記一端から離れていることが望ましい。かかる場合には、当接部と一端の間におけるフィルミングの発生が抑制される。
【0014】
また、かかる現像装置であって、
前記凹部は、前記周方向に対する傾斜角度が異なる2種類の螺旋状の溝部であり、
該2種類の螺旋状の溝部は、互いに交差して格子形状をなしており、
前記現像剤担持体は、前記2種類の螺旋状の溝部に囲まれた正方形の頂面を有し、
該正方形の頂面が有する2本の対角線のうちの一方が前記周方向に沿っていることが望ましい。かかる場合には、規則正しい凹部が、表面に形成されやすい。
【0015】
また、(a)潜像を担持するための像担持体と、
(b)現像剤にて該像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、
規則的に配置された凹部を表面に有し、現像剤を担持した状態で回転可能な現像剤担持体と、
ゴム弾性体から成り、前記現像剤担持体の前記表面に当接する当接部材であって、該現像剤担持体の回転に伴い振動する当接部材と、
を備え、
前記現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さを、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチで割った値は、
前記当接部材の、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が、最大になるときの該当接部材の振動数よりも小さい振動数のうち、前記損失弾性率が前記貯蔵弾性率よりも小さくなる振動数、
と同じ大きさである現像装置と、
(c)を有することを特徴とする画像形成装置。このような画像形成装置によれば、現像剤担持体が回転する際に、当接部材がゴム状の性質にて適切に使用し、かつ、当接部材の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0016】
また、(A)コンピュータ、及び、
(B)このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、
(a)潜像を担持するための像担持体と、
(b)現像剤にて該像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、
規則的に配置された凹部を表面に有し、現像剤を担持した状態で回転可能な現像剤担持体と、
ゴム弾性体から成り、前記現像剤担持体の前記表面に当接する当接部材であって、該現像剤担持体の回転に伴い振動する当接部材と、
を備え、
前記現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さを、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチで割った値は、
前記当接部材の、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が、最大になるときの該当接部材の振動数よりも小さい振動数のうち、前記損失弾性率が前記貯蔵弾性率よりも小さくなる振動数、
と同じ大きさである現像装置と、
(c)を有する画像形成装置、
(C)を具備したことを特徴とする画像形成システム。このような画像形成システムによれば、現像剤担持体が回転する際に、当接部材がゴム状の性質にて適切に使用し、かつ、当接部材の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0017】
===画像形成装置の全体構成例===
次に、図1と図2を用いて、画像形成装置としてレーザビームプリンタ(以下、プリンタともいう)10を例にとって、その概要について説明する。図1は、プリンタ10を構成する主要構成要素を示した図である。図2は、図1のプリンタ10の制御ユニットを示すブロック図である。
【0018】
<<プリンタ10の構成例>>
本実施の形態に係るプリンタ10は、図1に示すように、潜像を担持するための像担持体の一例としての感光体20の回転方向に沿って、帯電ユニット30、露光ユニット40、YMCK現像ユニット50、一次転写ユニット60、中間転写体70、クリーニングユニット75を有し、さらに、二次転写ユニット80、定着ユニット90、ユーザへの報知手段をなし液晶パネルでなる表示ユニット95、及び、これらのユニット等を制御しプリンタとしての動作を司る制御ユニット100を有している。
【0019】
感光体20は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。帯電ユニット30は、感光体20を帯電するための装置であり、露光ユニット40は、レーザを照射することによって帯電された感光体20上に潜像を形成する装置である。
【0020】
YMCK現像ユニット50は、感光体20上に形成された潜像を、現像装置に収容された現像剤の一例としてのトナー、すなわち、ブラック現像装置51に収容されたブラック(K)トナー、マゼンタ現像装置52に収容されたマゼンタ(M)トナー、シアン現像装置53に収容されたシアン(C)トナー、及び、イエロー現像装置54に収容されたイエロー(Y)トナーを用いて現像するための装置である。
【0021】
このYMCK現像ユニット50は、前記4つの現像装置51、52、53、54が装着された状態で回転することにより、前記4つの現像装置の位置を動かすことを可能としている。すなわち、このYMCK現像ユニット50は、前記4つの現像装置を4つの保持部55a、55b、55c、55dにより保持しており、前記4つの現像装置は、中心軸50aを中心として、それらの相対位置を維持したまま回転可能となっている。そして、1ページ分の画像形成が終了する毎に選択的に感光体20に対向し、それぞれの現像装置51、52、53、54に収容されたトナーにて、感光体20上に形成された潜像を順次現像する。なお、4つの現像装置の各々は、プリンタ本体10a(具体的には、前記保持部)に対して着脱可能となっている。また、各現像装置の詳細については後述する。
【0022】
一次転写ユニット60は、感光体20に形成された単色トナー像を中間転写体70に転写するための装置であり、4色のトナーが順次重ねて転写されると、中間転写体70にフルカラートナー像が形成される。二次転写ユニット80は、中間転写体70上に形成された単色トナー像やフルカラートナー像を紙、フィルム、布等の媒体に転写するための装置である。定着ユニット90は、媒体上に転写された単色トナー像やフルカラートナー像を媒体に融着させて永久像とするための装置である。クリーニングユニット75は、感光体20の表面に当接されたゴム製のクリーニングブレード76を有し、一次転写ユニット60によって中間転写体70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーをクリーニングブレード76により掻き落として除去するための装置である。
【0023】
制御ユニット100は、図2に示すようにメインコントローラ101と、ユニットコントローラ102とで構成されている。メインコントローラ101は、インターフェイス112を介してホストコンピュータと電気的に接続され、このホストコンピュータから入力された画像信号を記憶するための画像メモリ113を備えている。ユニットコントローラ102は、各ユニットと電気的に接続され、それらが備えるセンサからの信号を受信することによって、各ユニットの状態を検出しつつ、メインコントローラ101から入力される信号に基づいて、各ユニットを制御して画像を形成する。
【0024】
<<プリンタ10の動作例>>
次に、このように構成されたプリンタ10の動作について説明する。
まず、不図示のホストコンピュータからの画像信号及び制御信号がインターフェイス(I/F)112を介してプリンタ10のメインコントローラ101に入力されると、このメインコントローラ101からの指令に基づくユニットコントローラ102の制御により感光体20、及び、中間転写体70が回転する。
【0025】
感光体20は、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット30により順次帯電される。感光体20の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。感光体20上に形成された潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置54によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体20上にイエロートナー像が形成される。感光体20上に形成されたイエロートナー像は、感光体20の回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット60によって、中間転写体70に転写される。
【0026】
上記の処理が、第2色目、第3色目、及び、第4色目について、各々の現像装置毎に順次実行されることにより、各画像信号に対応した4色のトナー像が、中間転写体70に重なり合って転写される。これにより、中間転写体70上にはフルカラートナー像が形成される。
【0027】
中間転写体70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写体70の回転に伴って二次転写位置に至り、二次転写ユニット80によって媒体に転写される。なお、媒体は、給紙トレイ92から、給紙ローラ94、レジローラ96を介して二次転写ユニット80へ搬送される。媒体に転写されたフルカラートナー像は、定着ユニット90によって加熱加圧されて媒体に融着される。一方、感光体20は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット75に支持されたクリーニングブレード76によって、その表面に付着しているトナーTが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。
【0028】
===現像装置について===
次に、図3〜図8を用いて、現像装置の構成例及び動作例について説明する。図3は、現像装置の概念図である。図4は、現像装置の主要構成要素を示した断面図である。図5は、現像ローラ510の斜視模式図である。図6は、現像ローラ510の正面模式図である。図7は、溝部512の断面形状を示した模式図である。図8は、図6の拡大模式図であり、溝部512及び頂面515を表した図である。なお、図4に示す断面図は、図3に示す長手方向に垂直な面で現像装置を切り取った断面を表したものである。また、図5〜図8においては、図を分かりやすくするために、溝部512等のスケールが実際のものと異なっている。
【0029】
YMCK現像ユニット50には、ブラック現像装置51、マゼンタ現像装置52、シアン現像装置53、及び、イエロー現像装置54が設けられているが、各現像装置の構成は同様であるので、以下においては、イエロー現像装置54について説明する。
【0030】
<<現像装置の構成例>>
イエロー現像装置54は、現像剤担持体の一例としての現像ローラ510、上シール520、トナー収容体530、ハウジング540、トナー供給ローラ550、規制ブレード560等を有している。
【0031】
現像ローラ510は、トナーTを担持した状態で回転することによりトナーTを感光体20と対向する対向位置(現像位置)に搬送する。この現像ローラ510は、アルミ合金、鉄合金等からなる部材である。
【0032】
現像ローラ510は、図5及び図6に示すように、トナーTを適切に担持させるためにその中央部510aの表面に凹部の一例としての溝部512を有している。当該溝部512として、互いに巻き方向の異なる2種類の螺旋状の溝部512、すなわち、第一溝部512a及び第二溝部512b、が設けられている。図6に示すように、第一溝部512a及び第二溝部512bの、現像ローラ510の周方向に対する傾斜角度、は互いに異なっており、また、第一溝部512aの長手方向と現像ローラ510の軸方向との成す鋭角の大きさと、第二溝部512bの長手方向と前記軸方向との成す鋭角の大きさは、共に、約45度である。また、図7に示すように、第一溝部512aのX方向の幅及び第二溝部512bのY方向の幅は約53μm、溝部512の深さは約7μm、溝角度(図7において、記号αで表される角度)は約90度である。さらに、溝部512は、底面514と側面513とを備えており、側面513の傾斜角度は、約45度である(図7参照)。
【0033】
このように構成された2種類の螺旋状の溝部512は、図5、図6及び図8に示すように、現像ローラ510の中央部510aの表面に、規則的に配置され、かつ、互いに交差して格子形状をなしている。したがって、溝部512に四方を囲われた正方形の頂面515が、中央部510aに網目上に多数形成されていることとなる。そして、頂面515が有する2本の対角線のうちの一方(他方)が現像ローラ510の周方向(軸方向)に沿っている。なお、頂面515の一辺の長さは、図7に示すように、約47μmである。
【0034】
さらに、現像ローラ510は、中心軸を中心に回転可能であり、図4に示すように、感光体20の回転方向と逆の方向(図4において反時計方向)に回転する。なお、本実施の形態においては、現像ローラ510が回転する際の現像ローラ510の表面の移動速さV(すなわち、現像ローラ510の表面における、現像ローラ510の線速度)は、50mm/sである。また、感光体20が回転する際の感光体20の表面の移動速さ(すなわち、感光体20の表面における、感光体20の線速度)は、200mm/sとなっており、現像ローラ510の感光体20に対する周速比は約0.25である。
【0035】
また、イエロー現像装置54が感光体20と対向している状態で、現像ローラ510と感光体20との間には空隙が存在する。すなわち、イエロー現像装置54は、感光体20上に形成された潜像を非接触状態で現像する。なお、本実施の形態に係るプリンタ10においては、ジャンピング現像方式が用いられ、感光体20上に形成された潜像を現像する際に、現像ローラ510と感光体20との間に交番電界が形成される。
【0036】
ハウジング540は、上ハウジング部542と下ハウジング部544を溶着して製造されたものであり、その内部に、トナーTを収容するためのトナー収容体530が形成されている。トナー収容体530は、内壁から内方へ(図4の上下方向)突出させたトナーTを仕切るための仕切り壁545により、第一トナー収容部530aと第二トナー収容部530bと、に分けられている。また、第一トナー収容部530aは下部に開口572を有しており、現像ローラ510が、この開口572に臨ませて設けられている。
【0037】
トナー供給ローラ550は、第一トナー収容部530aに設けられ、当該第一トナー収容部530aに収容されたトナーTを現像ローラ510に供給するとともに、現像後に現像ローラ510に残存しているトナーTを、現像ローラ510から剥ぎ取る。このトナー供給ローラ550は、ポリウレタンフォーム等からなり、弾性変形された状態で現像ローラ510に当接している。
【0038】
上シール520は、現像ローラ510にその軸方向に沿って当接して、現像位置を通過後に現像ローラ510上に残留しているトナーTのハウジング540内への移動を許容し、かつ、ハウジング540内のトナーTのハウジング540外への移動を規制する。この上シール520は、ポリエチレンフィルム等からなるシールである。
【0039】
規制ブレード560は、現像ローラ510の軸方向一端部から他端部に亘って現像ローラ510の表面に当接して、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制し、また、現像ローラ510に担持されたトナーTに電荷を付与する。この規制ブレード560は、図4に示すように、当接部材の一例としてのゴム部562と、ゴム支持部564と、を有している。
【0040】
ゴム部562は、現像ローラ510の表面に当接して、該現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制する層厚規制部材である。このゴム部562は、その長手方向が現像ローラ510の軸方向(図6)に沿うように、かつ、その短手方向の一端(規制ブレード560の先端560a)が現像ローラ510の回転方向上流側に向くように(図4参照)、配置されている。すなわち、ゴム部562は、いわゆるカウンタ当接している。また、ゴム部562の前記一端(規制ブレード560の先端560a)は、現像ローラ510に接触しておらず、ゴム部562の、現像ローラ510の表面に当接する当接部562aは、前記短手方向において前記先端560aから離れている。すなわち、ゴム部562は、現像ローラ510にエッジにて当接しておらず、腹当たりにて当接しており、ゴム部562が有する平面が現像ローラ510に当接することにより、前記層厚を規制する。また、ゴム部562は、現像ローラ510にその軸方向に沿って当接することにより、トナー収容体530からのトナーTの漏れを防止する機能も発揮する。
【0041】
ところで、ゴム部562は、ゴム弾性体から成る。ここで、ゴム弾性体を、ゴム弾性を備える弾性体と定義する。このゴム弾性体は、ゴムと熱可塑性エラストマーとに分類され、前記ゴムは、加熱により流動した状態から固化する弾性体(すなわち、熱硬化性を示す弾性体)であり、熱可塑性エラストマーは、加熱により固化した状態から流動化する弾性体(すなわち、熱可塑性を示す弾性体)である。そして、本実施の形態に係るゴム部562は、その熱可塑性により加工しやすい観点等から、熱可塑性エラストマーから成る。
【0042】
ゴム支持部564は、薄板564aと薄板支持部564bとから構成されており、その短手方向一端部564d(すなわち、薄板564a側の端部)でゴム部562を支持する。薄板564aは、リン青銅、ステンレス等からなり、バネ性を有している。薄板564aは、ゴム部562を支持しており、その付勢力によってゴム部562を現像ローラ510に押しつけている。薄板支持部564bは、ゴム支持部564の短手方向他端部564eに配置された金属製の板金であり、当該薄板支持部564bは、前記薄板564aの、ゴム部562を支持している側とは逆側の端、を支持した状態で、ハウジング540に取り付けられている。また、薄板支持部564bの現像ローラ510側とは逆側には、モルトプレーン等からなるブレード裏部材570が設けられている。
【0043】
<<現像装置の動作例>>
このように構成されたイエロー現像装置54において、トナー供給ローラ550がトナー収容体530に収容されているトナーTを現像ローラ510に供給する。現像ローラ510に供給されたトナーTは、現像ローラ510の回転に伴って、規制ブレード560の当接位置に至り、該当接位置を通過する際に、層厚が規制されるとともに電荷が付与される。層厚が規制され、電荷が付与された現像ローラ510上のトナーTは、現像ローラ510のさらなる回転によって、感光体20に対向する対向位置(現像位置)に搬送され、該対向位置にて感光体20上に形成された潜像の現像に供される。現像位置を通過した現像ローラ510上のトナーTは、上シール520を通過して、上シール520によって掻き落とされることなく現像装置内に回収される。さらに、未だ現像ローラ510に残存しているトナーTは、トナー供給ローラ550によって剥ぎ取られうる。
【0044】
===ゴム部562の物性と、温度との関係について===
ゴム弾性体から成るゴム部562等の物質の動的粘弾性を示すものとして、貯蔵弾性率と損失弾性率がある。貯蔵弾性率は、物質の弾性的な振る舞いを表し、損失弾性率は、物質の粘性的な振る舞いを表す。これら貯蔵弾性率や損失弾性率の大きさは、物質の温度に応じて変動する。そして、物質の貯蔵弾性率(損失弾性率)の大きさの変動に応じて、例えば、該物質が、ゴム状の性質(物性)またはガラス状の性質を示す。具体的には、貯蔵弾性率や損失弾性率が大きい場合には、該物質はガラス状の性質を示し、貯蔵弾性率や損失弾性率が小さい場合には、該物質はゴム状の性質を示す。
【0045】
図9を用いて、具体的に説明する。図9は、ゴム部562の温度に対する貯蔵弾性率等を示すグラフである。図9には、本実施の形態に係るゴム部562の貯蔵弾性率(図9中でG´)及び損失弾性率(図9中でG″)が、示されている。グラフに示されているように、貯蔵弾性率と損失弾性率の大きさは、ゴム部562の温度が低い場合には大きな値を示し、ゴム部562の温度が高い場合には小さな値を示す。そして、上述したように貯蔵弾性率(損失弾性率)が大きい場合にはガラス状の性質が示されるから、ゴム部562の温度が低い場合(例えば、−40℃)には、該ゴム部562はガラス状の性質を示す。一方で、貯蔵弾性率(損失弾性率)が小さい場合にはゴム状の性質が示されるから、ゴム部562の温度が高い場合(例えば、40℃)には、該ゴム部562はゴム状の性質を示す。
【0046】
また、図9には、損失弾性率G″を貯蔵弾性率G´で割った損失正接(図9中のtanδ)が、示されている。この損失正接が最も大きくなるピーク温度T(図9においては、−35℃付近)を境界として、ゴム部562の性質が変わる。すなわち、ピーク温度Tよりも低い温度の場合には、ゴム部562はガラス状の性質を示し、該ピーク温度Tよりも高い温度の場合には、ゴム部562はゴム状の性質を示す。なお、上記のピーク温度Tは、ガラス転移点温度とも呼ばれる。
【0047】
ちなみに、図9に示すグラフは、以下のような測定によって求められている。本測定の測定機として、TAインスルツルメント製のARESが使用され、測定の際の治具としてトーションタイプのものが使用されている。そして、測定モードとして、温度依存性測定モードが選択され、測定の温度範囲は−50℃〜60℃である(図9)。なお、−50℃から60℃までの昇温速度は、5℃/minである。このような測定条件にて測定されることにより、ゴム部562の貯蔵弾性率G´、損失弾性率G″、及び、損失正接(tanδ)が、求められる。
【0048】
ところで、本実施の形態に係るプリンタ10には、使用温度域が設定されており、具体的には、この使用温度域は、10℃〜35℃である。そして、プリンタ本体10aに装着された現像装置51、52、53、54のゴム部562の温度は、この使用温度域よりも少し(約10℃程度)高い温度なる。このため、ゴム部562は、上述したピーク温度T(約−35℃)よりも高い温度で使用されるから、温度との関係においてゴム状の性質を示すこととなる。
【0049】
このように、温度との関係においてゴム部562がゴム状の性質を示すことからも分かるように、ゴム部562が一般的に使用される場合には、該ゴム部562がゴム状の性質として使用されることが、要請されている。
【0050】
===ゴム部562の物性と、振動数(周波数)との関係について===
上述したようにゴム部562が現像ローラ510の表面に当接しているから、現像ローラ510は、その回転の際にゴム部562を摺擦する。このため、現像ローラ510の回転に伴いゴム部562が振動することとなる。特に、現像ローラ510の表面には溝部512が形成されているため、該現像ローラ510の回転に伴いゴム部562は振動しやすい。そして、ゴム部562の振動数の大きさに応じて、該ゴム部562の性質が異なる(ゴム部562が、ゴム状の性質またはガラス状の性質を示す)ことが知られている。かかる点について、以下において説明する。
【0051】
図10は、ゴム部562の振動数(周波数)に対する貯蔵弾性率等を示したグラフである。なお、以下においては、便宜上、振動数の代わりに周波数を用いる。また、図10に示すグラフの横軸の目盛りは、対数となっている。図10には、図9と同様に、ゴム部562の貯蔵弾性率(図10中でG´)及び損失弾性率(図10中でG″)が、示されている。グラフに示されているように、貯蔵弾性率と損失弾性率の大きさは、ゴム部562の周波数が小さい場合には小さい値を示し、ゴム部562の周波数が大きい場合には大きい値を示している。このため、ゴム部562の周波数が小さい場合には、ゴム部562はゴム状の性質であり、ゴム部562の周波数が大きい場合には、ゴム部562はガラス状の性質である。
【0052】
また、図10には、図9と同様に、損失弾性率G″を貯蔵弾性率G´で割った損失正接(図10中のtanδ)が、示されている。この損失正接が最も大きくなるピーク周波数f(図10においては、約20000Hz)を境界として、ゴム部562の性質が変わる。すなわち、20000Hzよりも低い周波数の場合には、ゴム部562はゴム状の性質を示し、20000Hzよりも高い周波数の場合には、ゴム部562はガラス状の性質を示す。
【0053】
このため、上述した要請、すなわち、現像ローラ510の回転に伴い振動するゴム部562をゴム状の性質として使用する要請、に応えるためには、ゴム部562の振動数(周波数)をピーク周波数fよりも低くすることが必要となる。
【0054】
ちなみに、図10に示すグラフは、図9に示すグラフと同様な測定によって求められている。すなわち、測定機として前述したARESが使用され、測定モードとして周波数依存性測定モードが選択されている。そして、測定対象のゴム部562に印加される周波数の範囲は、10−4〜1014であり(図10)、周波数の印加歪みは、0.1%(一定)である。また、測定の際のゴム部562の温度は、20℃に維持されている。
【0055】
<<振動するゴム部562をゴム状の性質にて使用させるための方策>>
次に、現像ローラ510の回転に伴い振動するゴム部562をゴム状の性質にて使用させるための具体的な方策について、説明する。この方策として、本実施の形態においては、現像ローラ510が回転する際の該現像ローラ510の表面の移動速さを、溝部512の、該現像ローラ510の周方向のピッチ、で割った値が、ゴム部562の、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が、最大になるときの該ゴム部562の振動数、よりも小さくなっている。
【0056】
以下、当該事項について、図8等を用いて、より詳しく説明する。前述したとおり、本実施の形態に係る現像ローラ510の表面には、周方向に対する傾斜角度が異なる2種類の螺旋状の溝部512が設けられており、当該2種類の螺旋状の溝部512は、互いに交差して格子形状をなしている。また、現像ローラ510は前記2種類の螺旋状の溝部512に囲まれた正方形の頂面515を有し、正方形の頂面が有する2本の対角線のうちの一本が周方向に沿っている(図8)。そして、このような現像ローラ510において、溝部512の、周方向のピッチ(図8に示す幅L1)は、約141μmである。
【0057】
また、前述したとおり、現像ローラ510が回転する際の現像ローラ510の表面の移動速さVは、50mm/sである。従って、現像ロータ510が回転する際の現像ローラ510の表面の移動速さVを前記ピッチL1で割った値V/L1は、約442Hzである。そして、図10に示すように、ゴム部562の損失正接(tanδ)が最大になるときの該ゴム部562のピーク周波数fは、約20000Hzであるから、本実施の形態において、V/L1<fの関係が満たされる。
【0058】
次に、このようなV/L1<fの関係が満たされると、どうして、現像ローラ510が回転する際にゴム部562がゴム状の性質として使用されるか、について説明する。前述したようにゴム部562は現像ローラ510の表面に当接するが、該表面には規則的に配置された溝部512が形成されている。このため、現像ローラ510が回転する際に、規則的に配置された溝部512がゴム部562を摺擦することにより、該ゴム部562が一定の振動数で振動することとなる。そして、ゴム部562の振動数の大きさは、溝部512の周方向におけるピッチL1と、該現像ローラ510の表面の移動速さVによって定まる。すなわち、現像ローラ510が回転する際のゴム部562の振動数は、V/L1となる。このため、このV/L1がゴム部562のピーク周波数fよりも小さければ(V/L1<f)、該ゴム部562はゴム状の性質と使用されることとなる。
【0059】
従って、本実施の形態に係る現像装置51、52、53、54においては、V/L1<fの関係が満たされることにより、現像ローラ510の回転に伴い振動するゴム部562の振動数(周波数)が、該ゴム部562のピーク周波数f(約20000Hz)よりも小さくなるため、現像ローラ510が回転する際にゴム部562がゴム状の性質にて使用されることとなる。この結果、ゴム部562が、現像ローラ510に担持されたトナーの層厚を規制する機能が、適切に発揮される。
【0060】
===ゴム部562の温度上昇に伴い発生するフィルミング===
V/L1<fの関係が満たされることにより、ゴム部562はゴム状の性質にて使用されることとなるが、当該ゴム部562がゴム状の性質にて使用される場合においては、現像ローラ510が回転中にゴム部562を摺擦することにより、ゴム部562の温度が上昇することがある。特に、現像ローラ510が連続して現像する(画像を形成する)場合には、現像ローラ510がゴム部562を長時間摺擦するため、ゴム部562の温度が上昇しやすい。
【0061】
そして、ゴム部562の温度上昇と、ゴム部562の前述した動的粘弾性(弾性的な振る舞いと、粘性的な振る舞い)には、関係がある。すなわち、二つの振る舞いのうちの粘性的な振る舞いの影響が大きい場合(別言すれば、損失弾性率G″の影響が大きい場合)には、ゴム部562を構成する分子鎖が振動しやすいため熱が発生しやすくなり、この結果、ゴム部562の温度が上昇しやすくなる。
【0062】
ところで、ゴムは一般的にタック性(粘着性)を有するので、ゴム部562がゴム状の性質にて使用される場合には、ゴム部562の表面にトナーが固着する恐れがある。そして、ゴム部562の温度が上昇すると(別言すると、損失弾性率G″の影響が大きい場合には)、トナーの固着が促進されて、ゴム部562の表面にフィルミング(固着したトナーの塊)が発生しやすい。そして、このフィルミングが発生すると、ゴム部562によるトナーの帯電が不適切となり、画質が劣化する恐れがある。
【0063】
<<ゴム部562の温度上昇に伴うフィルミングの発生態様>>
次に、フィルミングの発生態様について、図11Aと図11Bを用いて説明する。図11Aは、ゴム部562とその周辺部を示した図である。図11Bは、表面にフィルミングが発生したゴム部562を示した図である。
【0064】
本実施の形態に係るゴム部562は、前述したように、その長手方向が現像ローラ510の軸方向に沿うように、かつ、その短手方向の一端(すなわち、規制ブレード560の先端560a)が該現像ローラ510の回転方向上流側に向くように、現像ローラ510の表面に当接している。また、ゴム部562の、現像ローラ510の表面に当接する当接部562aは、前記短手方向において前記一端(先端560a)から離れている。かかる構成においては、トナーが、現像ローラ510の回転に伴い図11Aに示す部分D(ゴム部562と現像ローラ510の間の部分)に流入してくるため、当該トナーがゴム部562の表面(当接部562aと前記一端の間の部分)に固着しやすい。
【0065】
そして、現像ローラ510の回転に伴いゴム部562の温度が上昇した場合には、トナーの固着が促進される。この結果、図11Bに示すように、当接部562a(図11Bにおいては、当接部562aが点線にて示されている)から前記一端(先端560a)にわたってフィルミング(図11Bにおいて斜線で示されている)が発生する恐れがある。
【0066】
===ゴム562の温度上昇を抑制する方策===
次に、上述したゴム部562の温度上昇を抑制するための方策について、説明する。この方策として、現像ローラ510の移動速さVを溝部512のピッチL1で割った値V/L1(この値V/L1が、現像ローラ510が回転する際のゴム部562の振動数となる)が、損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも小さくなる周波数(振動数)と同じ大きさとなっている。
【0067】
当該事項について、図10を用いて説明する。前記値V/L1は、ピーク周波数f(20000Hz)よりも小さい。そして、ピーク周波数fよりも小さい周波数領域には、図10に示すように、貯蔵弾性率G´が損失弾性率G″よりも大きくなる周波数領域(以下、周波数領域A1とも呼ぶ)と、貯蔵弾性率G´が損失弾性率G″よりも小さくなる周波数領域(以下、周波数領域A2とも呼ぶ)とが含まれている。具体的には、貯蔵弾性率G´のグラフと損失弾性率G″のグラフが交わる周波数f1が約760Hzであり、760Hz〜20000Hzの領域(周波数領域A2)においては貯蔵弾性率G´が損失弾性率G″よりも小さく、760Hz以下の領域(周波数領域A1)においては貯蔵弾性率G´が損失弾性率G″よりも大きい。そして、前記値V/L1(ゴム部562の振動数)は約442Hzであるため、ゴム部562が振動するときには、損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも小さい関係となる。
【0068】
このように、損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも小さい場合には、粘性的な振る舞いのよりも弾性的な振る舞いの影響が大きくなる(支配的となる)。そして、ゴム部562の粘性的な振る舞いが抑制されることにより、ゴム部562を構成する分子鎖の振動が抑制されるため、熱の発生が抑制され、この結果、ゴム部562の温度上昇が抑制される。よって、ゴム部562におけるフィルミングの発生も抑制される。
【0069】
次に、本方策の具体的な効果を、図12に示す実験結果を用いて説明する。図12は、実験結果を示す表であって、値V/L1の大きさと、ゴム部562の温度及びフィルミング発生の有無との関係を示している。図12に示すゴム部562の温度は、以下の方法にて測定されている。すなわち、ゴム部562に熱電対を取り付けて、(株)KEYENCEのNR−1000(温度レコーダ)にてゴム部562の温度を測定している。また、フィルミング発生の有無は、以下の方法にて判断されている。すなわち、3000枚を連続して印刷した後に、ゴム部562の表面にフィルミングが発生したか否かを目視にて判断している。そして、本実験においては、現像ローラ510の移動速さVと、溝部512のピッチL1の大きさを変えた3つの場合(実施例1、比較例1、比較例2)における、ゴム部562の温度及びフィルミング発生の有無を調べている。
【0070】
本実施形態のように、移動速さVが50mm/sで、かつピッチL1が141μmである場合、すなわち、値V/L1(ゴム部562の振動数)が442Hzである場合には(実施例1)、損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも小さい(図10参照)。そして、ゴム部562の温度は43.2℃であり、ゴム部562の表面にフィルミングは発生していない。
【0071】
一方で、比較例1として、移動速さVが160mm/sで、かつ、ピッチL1が141μmである場合(値V/L1が1135Hz)には、損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも大きい。そして、ゴム部562の温度は50.3℃であり、ゴム部562の表面にフィルミングが発生している。また、比較例2として、移動速さVが320mm/sで、かつ、ピッチL1が113μmである場合(値V/L1が2831Hz)には、損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも大きい。そして、ゴム部562の温度は54.7℃であり、ゴム部562の表面にフィルミングが発生している。
【0072】
このように、ゴム部562が振動するときに損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも小さい関係となっている場合(実施例1)には、ゴム部562が振動するときに損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも大きい関係となっている場合(比較例1、比較例2)に比べてゴム部562の温度が低く、ゴム部562の表面にフィルミングが発生しない。これにより、本方策の有効性が、実験により実証されたことになる。
【0073】
以上から、本実施の形態に係るプリンタ1においては、前記値V/L1が、ゴム部562の損失正接(tanδ)が最大になるときのゴム部562の振動数(ピーク周波数f)よりも小さい振動数のうち、損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも小さくなる振動数、と同じ大きさであることにより、現像ローラ510が回転する際に、ゴム部562をゴム状の性質にて適切に使用し、かつ、ゴム部562の温度上昇を抑制する(これに伴い、フィルミングの発生も抑制する)ことが可能となる。
【0074】
===第二実施形態に係るゴム部562===
次に、上述した実施形態(第一実施形態)に係るゴム部562とは材質が異なる第二実施形態に係るゴム部562について説明する。なお、現像ローラ510等の構成は、第一実施形態と同様である。
【0075】
図13は、第二実施形態に係るゴム部562の振動数(周波数)に対する貯蔵弾性率G´等を示したグラフである。図13には、図10と同様に、ゴム部562の貯蔵弾性率G´、損失弾性率G″、及び、損失正接(tanδ)が示されている。また、グラフの横軸の目盛りは、対数となっている。
【0076】
第二実施形態に係るゴム部562の損失正接(tanδ)が最も大きくなるときのピーク周波数fは、図13に示すように約6700Hzである。そして、前述したように、現像ローラ510の移動速さVは50mm/sであり、溝部512のピッチL1は141μmであるため、値V/L1(ゴム部562の振動数)は約442Hzである。かかる場合には、V/L1<fの関係が成り立ち、当該ゴム部562も現像ローラ510が回転する際にゴム状の性質にて使用されることとなる。
【0077】
また、図13に示すように、ピーク周波数fよりも小さい周波数領域には、貯蔵弾性率G´が損失弾性率G″よりも大きくなる周波数領域が含まれているが、図10とは異なり、貯蔵弾性率G´が損失弾性率G″よりも小さくなる周波数領域は含まれていない。そして、前記値V/L1(ゴム部562の振動数)が約442Hzであるため、ゴム部562が振動するときには、損失弾性率G´が損失弾性率G″よりも小さい関係となる。よって、第二実施形態に係るゴム部562においても、粘性的な振る舞いよりも弾性的な振る舞いが支配的となり、当該ゴム部562の温度上昇が抑制され、この結果、フィルミングの発生も抑制される。
【0078】
ここで、第二実施形態に係るゴム部562の温度上昇が抑制される(これに伴い、フィルミングの発生も抑制される)効果について、図14に示す実験結果を用いて具体的に説明する。図14は、実験結果を示す表であって、値V/L1の大きさと、ゴム部562の温度及びフィルミング発生の有無との関係を示している。なお、図14に示す温度の測定方法とフィルミング発生の有無の判断方法は、前述した通りである。
【0079】
そして、移動速さVが50mm/sで、かつピッチL1が141μmである場合、すなわち、値V/L1が442Hzである場合(実施例2)には、損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも小さい。そして、ゴム部562の温度は42.4℃であり、ゴム部562の表面にフィルミングが発生していない。
【0080】
同様に、実施例3として、移動速さVが160mm/sで、かつピッチL1が141μmである場合(値V/L1が1135Hz)や、実施例4として、移動速さVが320mm/sで、かつ、ピッチL1が113μmである場合(値V/L1が2830Hz)にも、損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも小さい。そして、二つの場合のゴム部562の温度は、実施例2の場合の温度とほぼ同じであり、ゴム部562の表面にフィルミングが発生していない。
【0081】
以上から、第二実施形態においても、前記値V/L1が、ゴム部562の損失正接(tanδ)が最大になるときのゴム部562の振動数(ピーク周波数f)よりも小さい振動数のうち、損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも小さくなる振動数、と同じ大きさであることにより、現像ローラ510が回転する際に、ゴム部562をゴム状の性質にて適切に使用し、かつ、ゴム部562の温度上昇を抑制する(これに伴い、フィルミングの発生も抑制する)ことが可能となる。
【0082】
===現像ローラ510の製造方法===
ここでは、現像ローラ510の製造方法について、図15A〜図15E、図16を用いて説明する。図15A〜図15Eは、現像ローラ510の製造工程における、現像ローラ510の変遷を示した模式図である。図16は、現像ローラ510の転造加工を説明するための説明図である。
【0083】
先ず、図15Aに示すように、現像ローラ510の基材としてのパイプ材600を準備する。当該パイプ材600の肉厚は0.5〜3mmである。次に、図15Bに示すように、当該パイプ材600の長手方向両端部にフランジ圧入部602を作る。当該フランジ圧入部602は、切削加工により作られる。次に、図15Cに示すように、当該フランジ圧入部602にフランジ604を圧入する。フランジ604のパイプ材600への固定を確実にするために、フランジ604の圧入後、フランジ604をパイプ材600へ接着又は溶接するようにしてもよい。次に、図15Dに示すように、フランジ604が圧入されたパイプ材600の表面にセンタレス研磨を施す。当該センタレス研磨は、当該表面の全面に亘って実施され、センタレス研磨後の当該表面の十点平均粗さRzは、1.0μm以下となる。次に、図15Eに示すように、フランジ604が圧入されたパイプ材600に、転造加工を施す。本実施の形態においては、2つの丸ダイス650、652を用いた所謂スルーフィード転造(歩み転造、通し転造とも呼ばれている)加工が実施される。
【0084】
すなわち、図16に示すように、ワークとしてのパイプ材600を挟むように配置された二つの丸ダイス650、652、を当該パイプ材600に所定の圧力(当該圧力の方向を、図16中記号Pで示す)で押し付けた状態で、二つの丸ダイス650、652を同方向に回転させる。スルーフィード転造においては、丸ダイス650、652が回転することにより、パイプ材600が丸ダイス650、652の回転方向とは逆方向に回転しながら、図16中記号Hで示した方向に移動する。丸ダイス650、652の表面には、溝680を形成するための凸部650a、652aが備えられており、当該凸部650a、652aがパイプ材600を変形させることにより、パイプ材600に溝680(図5の溝部512に対応)が形成される。
【0085】
そして、転造加工の終了後に、前記中央部510aの表面にメッキを施す。本実施の形態においては、当該メッキとして無電解Ni−Pメッキを用いるが、これに限定されるものではなく、例えば、硬質クロームメッキや電気メッキを用いてもよい。
【0086】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係る画像形成装置等を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0087】
上記実施の形態においては、画像形成装置として中間転写型のフルカラーレーザビームプリンタを例にとって説明したが、本発明は、中間転写型以外のフルカラーレーザビームプリンタ、モノクロレーザビームプリンタ、複写機、ファクシミリなど、各種の画像形成装置に適用可能である。
【0088】
また、上記実施の形態において、ゴム部562は、ゴム弾性体の一種である熱可塑性エラストマーから成ることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ゴム部562は、ゴム(より具体的には、ウレタンゴム)から成ることとしてもよい。
【0089】
また、上記実施の形態においては、図4に示すように、前記当接部材は、現像ローラ510の表面に当接して現像ローラ510に担持されたトナーの層厚を規制するためのゴム部562(層厚規制部材)であることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、当接部材は、ゴム弾性体から成っていれば、上シール520やトナー供給ローラ550であることとしてもよい。
ただし、前記当接部材がゴム部562である場合には、上述したV/L1<fの関係が満たされることにより、該ゴム部562がゴム状の性質で適切に使用されて、トナーの層厚が適切に規制される点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0090】
また、上記実施の形態においては、図4に示すように、その長手方向が現像ローラ510の軸方向に沿うように、かつ、その短手方向の一端(すなわち、規制ブレード560の先端560a)が該現像ローラ510の回転方向上流側に向くように、現像ローラ510の表面に当接している。そして、ゴム部562の、現像ローラ510の表面に当接する当接部562aは、前記短手方向において前記一端から離れている(すなわち、ゴム部562は、腹当たりにて現像ローラ510に当接している)。しかし、上記に限定されるものではない。例えば、ゴム部562の当接部は、前記一端である(すなわち、ゴム部562は、エッジにて現像ローラ510に当接している)。
ただし、以下に説明するように、ゴム部562の当接部562aと前記一端(先端560a)の間におけるフィルミングの発生を抑制できる点で、上記実施形態の方がより望ましい。すなわち、ゴム部562が現像ローラ510に腹当たりにて当接する場合には、仮に、ゴム部562が温度上昇したときに、当接部562aと前記一端の間にフィルミングが発生することがある。そこで、前記値V/L1を、損失弾性率G″が貯蔵弾性率G´よりも小さくなる振動数と同じ大きさにさせることにより、ゴム部562の温度上昇が抑制され、この結果、当接部562aと前記一端の間におけるフィルミングの発生が抑制される。
【0091】
また、上記実施の形態においては、図6に示すように、前記凹部は、現像ローラ510の周方向に対する傾斜角度が異なる2種類の螺旋状の溝部512、であり、該2種類の螺旋状の溝部512は、互いに交差して格子形状をなしていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、凹部は、溝状のものでなくてもよい。また、凹部が、溝部である場合に、溝部は螺旋状でなくてもよい。また、凹部として、1種類の溝部のみが設けられていてもよい。
【0092】
また、上記実施の形態においては、図6に示すように、現像ローラ510は、2種類の螺旋状の溝部512に囲まれた正方形の頂面515を有し、該正方形の頂面515が有する2本の対角線のうちの一方が現像ローラ510の周方向に沿っていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、図17Bに示すように、頂面は、正方形でない菱形、であってもよい。また、頂面は、菱形でもなく、例えば、図17Cに示すように、円形であってもよい。また、図17Aに示すように、正方形の頂面が有する2本の対角線の双方が、前記周方向に沿っていないこととしてもよい。なお、図17A〜図17Cは、現像ローラ510の表面形状についてのバリエーションを示した図である。
【0093】
また、上記実施の形態においては、溝部512が、底面514と側面513とを備えており、側面513の傾斜角度は、約45度である(図7参照)こととしたが、これに限定されるものではなく、例えば、側面513の傾斜角度が、約90度であることとしてもよい。
【0094】
===画像形成システム等の構成===
次に、本発明に係る実施の形態の一例である画像形成システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0095】
図18は、画像形成システムの外観構成を示した説明図である。画像形成システム700は、コンピュータ702と、表示装置704と、プリンタ706と、入力装置708と、読取装置710とを備えている。コンピュータ702は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置704は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ706は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置708は、本実施形態ではキーボード708Aとマウス708Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置710は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置710AとCD−ROMドライブ装置710Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magneto Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0096】
図19は、図18に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ702が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ802と、ハードディスクドライブユニット804等の外部メモリがさらに設けられている。
【0097】
なお、以上の説明においては、プリンタ706が、コンピュータ702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710と接続されて画像形成システムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、画像形成システムが、コンピュータ702とプリンタ706から構成されても良く、画像形成システムが表示装置704、入力装置708及び読取装置710のいずれかを備えていなくても良い。また、例えば、プリンタ706が、コンピュータ702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ706が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【0098】
このようにして実現された画像形成システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】プリンタ10を構成する主要構成要素を示した図である。
【図2】図1のプリンタ10の制御ユニットを示すブロック図である。
【図3】現像装置の概念図である。
【図4】現像装置の主要構成要素を示した断面図である。
【図5】現像ローラ510の斜視模式図である。
【図6】現像ローラ510の正面模式図である。
【図7】溝部512の断面形状を示した模式図である。
【図8】図6の拡大模式図である。
【図9】ゴム部562の温度に対する貯蔵弾性率等を示すグラフである。
【図10】ゴム部562の振動数(周波数)に対する貯蔵弾性率等を示したグラフである。
【図11】図11Aは、ゴム部562とその周辺部を示した図である。図11Bは、フィルミングが発生したゴム部562を示した図である。
【図12】実験結果を示す表である。
【図13】第二実施形態に係るゴム部562の振動数(周波数)に対する貯蔵弾性率G´等を示したグラフである。
【図14】実験結果を示す表である。
【図15】図15A〜図15Eは、現像ローラ510の製造工程における、現像ローラ510の変遷を示した模式図である。
【図16】現像ローラ510の転造加工を説明するための説明図である。
【図17】図17A〜図17Cは、現像ローラ510の表面形状についてのバリエーションを示した図である
【図18】画像形成システムの外観構成を示した説明図である。
【図19】図18に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0100】
10 プリンタ、10a プリンタ本体、20 感光体、30 帯電ユニット、
40 露光ユニット、50 YMCK現像ユニット、50a 中心軸、
51 ブラック現像装置、52 マゼンタ現像装置、53 シアン現像装置、
54 イエロー現像装置、55a、55b、55c、55d 保持部、
60 一次転写ユニット、70 中間転写体、75 クリーニングユニット、
76 クリーニングブレード、80 二次転写ユニット、90 定着ユニット、
92 給紙トレイ、94 給紙ローラ、95 表示ユニット、96 レジローラ、
100 制御ユニット、101 メインコントローラ、
102 ユニットコントローラ、112 インターフェイス、113 画像メモリ、
510 現像ローラ、510a 中央部、510b 軸部、512 溝部、
512a 第一溝部、512b 第二溝部、513 側面、514 底面、
515 頂面、520 上シール、530 トナー収容体、
530a 第一トナー収容部、530b 第二トナー収容部、540 ハウジング、
542 上ハウジング部、544 下ハウジング部、545 仕切り壁、
550 トナー供給ローラ、560 規制ブレード、
560a 先端、562 ゴム部、562a 当接部、564 ゴム支持部、
564a 薄板、564b 薄板支持部、564d 短手方向一端部、
564e 短手方向他端部、570 ブレード裏部材、572 開口、
600 パイプ材、602 フランジ圧入部、
604 フランジ、650 丸ダイス、650a 凸部、652 丸ダイス、
652a 凸部、680 溝、700 画像形成システム、702 コンピュータ、
704 表示装置、706 プリンタ、708 入力装置、708A キーボード、
708B マウス、710 読取装置、
710A フレキシブルディスクドライブ装置、
710B CD−ROMドライブ装置、
802 内部メモリ、804 ハードディスクドライブユニット、
T トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
規則的に配置された凹部を表面に有し、現像剤を担持した状態で回転可能な現像剤担持体と、
ゴム弾性体から成り、前記現像剤担持体の前記表面に当接する当接部材であって、該現像剤担持体の回転に伴い振動する当接部材と、
を備えた現像装置であって、
前記現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さを、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチで割った値は、
前記当接部材の、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が、最大になるときの該当接部材の振動数よりも小さい振動数のうち、前記損失弾性率が前記貯蔵弾性率よりも小さくなる振動数、
と同じ大きさであることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置であって、
前記当接部材は、
前記表面に当接して、前記現像剤担持体に担持された現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材、
であることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の現像装置であって、
前記層厚規制部材は、
その長手方向が前記現像剤担持体の軸方向に沿うように、かつ、その短手方向の一端が該現像剤担持体の回転方向上流側に向くように、
前記表面に当接し、
前記層厚規制部材の、前記表面に当接する当接部は、前記短手方向において前記一端から離れていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の現像装置であって、
前記凹部は、前記周方向に対する傾斜角度が異なる2種類の螺旋状の溝部であり、
該2種類の螺旋状の溝部は、互いに交差して格子形状をなしており、
前記現像剤担持体は、前記2種類の螺旋状の溝部に囲まれた正方形の頂面を有し、
該正方形の頂面が有する2本の対角線のうちの一方が前記周方向に沿っていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
(a)潜像を担持するための像担持体と、
(b)現像剤にて該像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、
規則的に配置された凹部を表面に有し、現像剤を担持した状態で回転可能な現像剤担持体と、
ゴム弾性体から成り、前記現像剤担持体の前記表面に当接する当接部材であって、該現像剤担持体の回転に伴い振動する当接部材と、
を備え、
前記現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さを、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチで割った値は、
前記当接部材の、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が、最大になるときの該当接部材の振動数よりも小さい振動数のうち、前記損失弾性率が前記貯蔵弾性率よりも小さくなる振動数、
と同じ大きさである現像装置と、
(c)を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
(A)コンピュータ、及び、
(B)このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、
(a)潜像を担持するための像担持体と、
(b)現像剤にて該像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、
規則的に配置された凹部を表面に有し、現像剤を担持した状態で回転可能な現像剤担持体と、
ゴム弾性体から成り、前記現像剤担持体の前記表面に当接する当接部材であって、該現像剤担持体の回転に伴い振動する当接部材と、
を備え、
前記現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さを、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチで割った値は、
前記当接部材の、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が、最大になるときの該当接部材の振動数よりも小さい振動数のうち、前記損失弾性率が前記貯蔵弾性率よりも小さくなる振動数、
と同じ大きさである現像装置と、
(c)を有する画像形成装置、
(C)を具備したことを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−31521(P2009−31521A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195002(P2007−195002)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】