説明

現像装置および画像形成装置

【課題】小型化を図ると共に小型化した場合の現像剤濃度の均一性を確保できる構成を備えた現像装置を提供する。
【解決手段】表面に現像剤を担持可能な現像剤担持体40Aと、該現像剤担持体40Aに対向して担持されている現像剤の剤量を規制する規制部材403と前記現像剤担持体40Aの近傍に位置して該現像剤担持体40Aの長手方向一方側に向けて現像剤を搬送する搬送部材401とを備えた現像装置40において、前記現像剤担持体40Aは、前記搬送部材401と同じ方向に現像剤を搬送する構成として、現像剤を押し動かして移動させることができる螺旋状の凸部40A10からなる現像剤担持部40A1を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、現像剤の供給搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、複写機やプリンタあるいは印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像が現像装置から供給される現像剤によって可視像処理される。
【0003】
可視像処理されたトナー像は転写材に転写された後、定着装置による加熱・加圧によってトナーが融解・浸透することで定着されて複写画像とされる。
【0004】
画像形成の対象となる画像には、モノクロ画像のような単一色画像だけでなく、フルカラー画像を含む多色画像がある。
【0005】
現像に用いられる現像剤には磁性あるいは非磁性トナーのみの一成分系現像剤の他にトナーとキャリアとを混合した二成分系現像剤がある。
【0006】
二成分系現像剤は、トナーとこれを担持するキャリアとで構成され、攪拌混合時に生起される摩擦帯電作用によりトナーを帯電させて感光体上の静電潜像に対して静電吸着できる状態とされる。
【0007】
現像装置には、磁力により周面に現像剤を穂立ちさせて感光体上の静電潜像に向け現像剤を供給する現像スリーブと、現像スリーブに対して撹拌混合した現像剤を供給する撹拌スリーブとを備えた構成が知られており、感光体上の静電潜像の可視像処理にトナーが消費された現像剤が現像装置に回収されるようになっている。
【0008】
現像装置では、現像スリーブに供給する現像剤を攪拌しながら搬送し、トナーの帯電を行った上で現像スリーブに供給するための構成として、現像槽内において現像スリーブの後方に位置する空間内に平行する2本の攪拌搬送部材を設け、これら攪拌搬送部材を用いて相反する方向に現像剤を攪拌搬送する構成がよく知られている。
【0009】
具体的には、二成分系現像剤を用いて現像を行う2軸搬送タイプの現像装置として、現像剤担持体(現像ローラ(スリーブ))への現像剤供給及び現像剤担持体からの現像剤を回収するための現像剤搬送部材(スクリュー、オーガ等)及び供給回収搬送路と、新たに補給されるトナーと現像剤とを混合して攪拌搬送するための現像剤搬送部材(スクリュー、オーガ等)及び攪拌搬送路というように、2つの現像剤搬送部材(スクリュー、オーガ等)及び2つの搬送路で構成され、これらが現像剤担持体の下方に略水平方向に配置されている構成のものが知られている。
【0010】
上記2軸搬送タイプの現像装置では、供給回収搬送路において現像剤搬送部材により攪拌された現像剤が現像剤担持体に汲み上げられ、また、現像後の現像剤が現像剤担持体から供給回収搬送路に向けて回収されることになる。
供給回収搬送路内の現像剤は、現像剤担持体の長手方向に沿って攪拌搬送されるが、搬送方向下流側に至るまでの間に現像剤中のトナーが消費されて漸減し、搬送方向下流側ではトナーの濃度が低下してしまう。
【0011】
特に、トナーの消費率に影響する画像面積率においてその画像面積率が大きい印字が連続して行われるような場合には、搬送方向下流側に達する前の段階でのトナーの消費量が多くなることから、搬送方向下流側での濃度低下が顕著となる。
【0012】
この問題を回避するには、現像剤の搬送路における循環速度を上げて、濃度低下を補うことができる量のトナーを搬送方向下流側に搬送することが考えられる。
【0013】
しかし、搬送部材として用いられるスクリューの回転速度変更、特に増速することには、駆動源の大型化や回転速度上昇に伴う搬送速度の上昇により攪拌時間が減少するという新たな問題を招くことから限界がある。つまり、スクリューの回転数を増加するのみでは、補給トナーの攪拌時間が短いことにより攪拌性が悪くなり、十分な帯電が行えない。このような帯電性の悪化により十分な帯電量を持たないままのトナーが現像剤担持体に達すると、帯電不足により浮遊しやすくなっているトナーが飛散して現像装置外に排出され、画像形成装置内や画像を汚染する不具合がある。
【0014】
そこで、現像剤の循環速度を上げるような搬送補助部材を設けることも可能であるが、このような構成を用いた場合には、部材の追加による装置の大型化やコストアップという問題が生じる。
【0015】
このような不具合を防ぐ方法として、搬送部材とは別部材である現像剤担持体に現像剤の搬送機能を持たせることが考えられる。つまり、現像剤の搬送方向は現像剤担持体の長手方向に平行し、その方向での搬送を搬送部材だけでなく、現像剤担持体によっても行えるようにし、これによって、現像剤の循環速度を速めて現像剤の搬送方向下流側に達する現像剤中でのトナーの量を確保できるようにし、搬送方向下流側での濃度低下を補うようにする方法である。
【0016】
このような方法、つまり現像剤担持体に現像剤の搬送機能を付与する構成としては、現像剤担持体として用いられる現像スリーブに装備されている磁気ブラシ形成用の磁極を螺旋状として軸方向への現像剤の移動を可能にした構成(例えば、特許文献1,2)あるいは、一成分系現像剤を対象としてトナーの保持電極を螺旋状とした構成(例えば、特許文献3)がある。
【0017】
上記各特許文献には、現像剤担持体である現像スリーブ内に設けられている磁極を螺旋状に構成したりあるいは一成分系現像剤を担持する場合には導電体部を軸方向に沿って螺旋状に配置する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、現像剤担持体に内蔵されている磁極や導電体部を螺旋状とした場合においても、上述した濃度低下を改善することができないという問題がある。
【0019】
つまり、上記特許文献に開示されている構成は、いずれも、磁気ブラシの形成に用いられる磁極や一成分系現像剤を穂立ちさせる際の導電体が対象であるため、磁極あるいは導電体の位置で穂立ちした状態の現像剤が現像剤担持体表面に付着したままで何回も回転することが継続される。このことから、現像剤担持体の軸方向に螺旋状の穂立ち部分が現像剤担持体の軸方向に沿って感光体との対向部分を変化させるものの、穂立ち部分でトナーが消費されるとトナーが不足した状態の穂立ち部分が感光体に何度も対向する事態が生じ、長手方向での濃度均一性が非常に悪化するという問題がある。
【0020】
一方、上述した現像剤の濃度低下とは別の課題として、現像装置を具備する画像形成装置に対しては、近年、小型化の要望が高まってきているということがある。
現像装置において上述した2軸搬送タイプの搬送部材を備えた構成では、この構成自体を小型化することはほとんどできないのが現状である。
【0021】
そこで、小型化するには、例えば、2軸搬送タイプの搬送部材を1軸搬送タイプに変更することが考えられる。
【0022】
しかし、従来の現像装置においては、現像剤の搬送方向である搬送部材の長手方向一方から新規トナーを補給し、そのトナーを現像剤担持体から遠い位置にある搬送部材によって十分にキャリアとの混合を行った上で現像剤担持体に近い位置にある搬送部材によって現像剤担持体に現像剤を供給するとともに、現像剤担持体から回収した現像剤を上述した現像剤担持体から遠い位置にある搬送部材に向けて循環させるようになっている。
このような構成は、トナーの帯電性を向上させてトナーの飛散などを防止するための攪拌効率を得る上で重要となり、これが2軸搬送タイプの搬送部材を省くことができない理由となっている。
【0023】
従って、2軸搬送タイプにおいて実行していた攪拌搬送作業を1軸の搬送部材により実行させようとすると、現像剤担持体の長手方向一方側から供給された現像剤が搬送方向下流側においてトナーの濃度低下を生じる問題が依然として残されたままであるばかりでなく、これとは別に、1軸であるが故に、現像剤が長手方向の片側に偏ってしまい、現像剤を循環させることができないという新たな問題が生じる。この問題は、現像剤の均一分布および攪拌が不十分となる事態を招き、現像剤の濃度分布が一様でなくなる虞がある。
【0024】
このような理由により、装置の小型化のために搬送部材の1次軸化を行うには無理がある。
【0025】
そこで、本発明は、第1番目の目的として、現像剤搬送路での現像剤の循環速度変更や磁気ブラシ形成用磁極や導電体への特別な構成を要することなく、画像面積率の高い印字が連続するような場合でも現像剤担持体の長手方向で濃度が不均一となるのを防止することができる構成を備えた現像装置および画像形成装置の提供を目的としている。
【0026】
本発明の第2番目の目的として、第1番目の目的に加えて、現像剤の搬送路での現像剤の循環機能を高めて搬送部材の1軸化を実現することにより装置の小型化を可能にした場合でも濃度低下を生じない構成を備えた現像装置および画像形成装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)表面に現像剤を担持可能な現像剤担持体であって、表面に現像剤を該現像剤持体の長手方向に移動させる現像剤搬送部を備えていることを特徴とする現像剤担持体。
(2)表面に現像剤を担持可能な現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向して担持されている現像剤の剤量を規制する規制部材と前記現像剤担持体の近傍に位置して該現像剤担持体の長手方向一方側に向けて現像剤を搬送する搬送部材とを備えた現像装置において、
前記現像剤担持体は、前記搬送部材と同じ方向に現像剤を搬送する構成を備えていることを特徴とする現像装置。
(3)前記現像剤担持体は、内部に固定された複数の磁極と、該磁極の外方で回転可能な円筒体とを備え、該円筒の表面には、前記現像剤を前記搬送部材と同じ方向に押し動かす現像剤担持部が設けられていることを特徴とする(2)に記載の現像装置。
(4)前記現像剤担持部は、前記円筒の表面で該円筒部の長手方向に沿って螺旋状に連続する凸部で構成され、現像剤が凸部で押し動かされて搬送されることを特徴とする(2)または(3)に記載の現像装置。
(5)前記螺旋状の凸部は、複数条設けられて現像剤の搬送部として用いられることを特徴とする(2)乃至(4)のいずれかに記載の現像装置。
(6)前記螺旋状の凸部は、前記現像剤担持体の長手方向に沿った断面形状が三角形状とされ、該現像剤担持体の表面に対する起上角は、該螺旋状の凸部が進行する際に現像剤を押す側となる面の起上角が現像剤の通過する面での起上角よりも大きくされていることを特徴とする(4)または(5)に記載の現像装置。
(7)前記現像剤担持体の表面はサンドブラスト加工により表面加工されていることを特徴とする(2)乃至(6)のいずれかに記載の現像装置。
(8)前記螺旋状の凸部は、前記現像剤担持体表面からの高さが100μm以内に設定されていることを特徴とする(4)乃至(6)のいずれかに記載の現像装置。
(9)前記現像剤担持体に担持される現像剤は、トナーとキャリアとを混在させた二成分系現像剤であり、該現像剤に含まれるキャリアの体積平均粒径が20μm以上50μm以下に設定されていることを特徴とする(2)乃至(8)のいずれかに記載の現像装置。
(10)(2)乃至(9)のいずれかに記載の現像装置を用いる画像形成装置であって、
静電潜像の担持面を有する潜像担持体と、
前記潜像担持面の表面を一様帯電する帯電手段と、
前記一様帯電後の潜像担持体表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する露光手段と、
前記現像装置により静電潜像を可視像処理された潜像担持体と接触しながら移動可能な転写体を介して可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
転写後の前記潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
(11)前記現像装置における現像剤担持体は、直流電圧に交流成分を重畳した交流バイアスが現像バイアスとして用いられることを特徴とする(10)に記載の画像形成装置。
(12)前記現像装置に設けられている現像剤担持体は、表面に担持されている現像剤を前記潜像担持体に対して非接触な状態で供給できる配置構成とされていることを特徴とする(10)または(11)に記載の画像形成装置。
(13)(1軸搬送タイプを対象とする構成)
静電潜像の担持面を有する潜像担持体と、
前記潜像担持面の表面を一様帯電する帯電手段と、
前記一様帯電後の潜像担持体表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する露光手段と、
露光手段により形成された潜像を現像剤による可視像処理する現像装置と、
前記現像装置により静電潜像を可視像処理された潜像担持体と接触しながら移動可能な転写体を介して可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
転写後の前記潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置において、
前記現像装置は、前記潜像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向して担持されている現像剤の剤量を規制する規制部材と前記現像剤担持体の近傍に位置して該現像剤担持体の長手方向一方側に向けて現像剤を搬送する搬送部材とを備え、
前記現像装置に設けられている搬送部材は、前記現像剤担持体近傍に配置された一つのスクリュー部材で構成されていることを特徴とする画像形成装置。
(14)前記現像剤担持体の近傍には、前記搬送部材による現像剤の搬送方向とは逆方向に現像剤を搬送する副搬送部材が設けられ、
該副搬送部材として、前記規制部材が用いられ、該規制部材には、現像剤を搬送部材の搬送方向と逆方向に搬送できる螺旋状の溝が形成されていることを特徴とする(13)に記載の画像形成装置。
(15)前記現像剤担持体には、その表面において長手方向に沿って連続して形成され、前記搬送部材との搬送方向と逆方向に現像剤を搬送可能な複数の螺旋溝と該現像剤担持体の長手方向に平行する複数の溝とが設けられていることを特徴とする(13)に記載の画像形成装置。
(16)前記螺旋溝は前記現像剤担持体の長手方向に平行する複数の溝の深さよりも深く形成されていることを特徴とする(15)に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、現像剤担持体の表面に現像剤を長手方向に沿って搬送可能な現像剤担持部を備えているので、現像剤担持体そのものによる現像剤の搬送が可能となる。特に、現像剤担持体表面に担持されている現像剤は、穂立ちした状態で現像剤担持体の表面に留まるのではなく、現像剤担持分が長手方向に移動するのに合わせて押し動かされて現像剤担持体表面を移動することができるので、現像剤の搬送速度が現像剤の強制的な押し動かし動作によって高められることにより、長手方向一方側にはその周面に留まっているだけの現像剤とは違って、新たな現像剤が供給されることになる。これにより、長手方向一方側での濃度低下を解消することができる。
【0029】
また本発明によれば、現像装置に装備されている搬送部材を一つのスクリューにより構成した場合、現像剤担持体の近傍に位置する規制部材を搬送部材による現像剤の搬送方向と逆方向に現像剤を搬送する搬送部材として用いることにより、現像剤の循環が行えることになる。これにより、一つの搬送部材を設けた場合でも現像剤の循環効率を低下させないようにして一つの搬送部材ですませることができ、装置の小型化が可能となる。
【0030】
しかも、上述した規制部材の構成あるいは現像剤担持体に形成されている螺旋溝や現像剤担持体の長手方向に平行する溝の構成により搬送部材との間での現像剤の循環を促進して搬送部材での現像剤の偏りを防ぐことができる。これにより、一つの搬送部材を用いた場合でも2軸搬送タイプと同様な現像剤循環機能を得ることが可能となり、一つの搬送部材を用いることにより装置の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による現像装置を用いた画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジの構成を説明するための模式図である。
【図3】本発明による現像装置に用いられる現像スリーブの外観図である。
【図4】図3に示した現像スリーブの表面を示す部分拡大図である。
【図5】図4に示した表面の要部断面を示す模式図である。
【図6】図4に示した表面の要部変形例を示す図である。
【図7】本発明による現像装置の作用を説明するための模式図である。
【図8】本発明による現像装置で得られる現像剤の移動形態を説明するための模式図である。
【図9】本発明による現像装置に用いられるトナーの形状係数を説明するための図である。
【図10】本発明による現像装置の別形態を説明するための図である。
【図11】図10に示した別形態による現像装置の作用を説明するための模式図である。
【図12】図10に示した別形態により得られる現像剤の移動形態を説明するための模式図である。
【図13】本発明による現像装置の要部変形例を説明するための図である。
【図14】図13に示した溝の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面により本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による現像装置を用いた画像形成装置の一例を示す模式図であり、同図に示した画像形成装置100は、複数色の画像形成が可能なレーザープリンタを示している。なお、本発明は、画像形成装置としてプリンタに限らず、複写機やファクシミリ装置あるいは印刷機さらにはこれら各機能を複合させた装置を含むものである。
【0033】
図1において、画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkを並設したタンデム構造が採用されている。以下、各部材の詳細について説明する。
【0034】
図1に示す構成の画像形成装置100は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkに形成された可視像が、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトが用いられる中間転写体(以下、中間転写ベルトという)11に対して1次転写行程を実行してそれぞれの画像が重畳転写され、その後、記録シートなどが用いられる転写紙Sに対して2次転写行程を実行することで一括転写されるようになっている。
【0035】
各感光体ドラムの周囲には、感光体ドラムの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されており、図1においてイエロー(Y)画像形成を行う感光体ドラム20Yを対象として説明すると、感光体ドラム20Yの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置30Y,現像装置40Y、1次転写ローラ12Yおよびクリーニング装置50Yが配置されている。
【0036】
帯電後に行われる書き込みは、後述する光走査装置8が用いられる。なお、感光体ドラム12Yには、これに対向してクリーニング装置50Yによる残留トナーの除去後に除電を行う除電装置(図示されず)も設けられている。
【0037】
図1に示す構成において、イエロー画像の形成を対象とする位置に配置されている感光体ドラム20Yおよびこれに対峙する帯電装置30Y,現像スリーブ40A(図2参照)を備えた現像装置40Yおよびクリーニング装置50Yは、図2を用いて後述するプロセスカートリッジに纏めて収納されており、プロセスカートリッジは画像形成装置100に対して着脱可能に設けられることにより一括して消耗部品を交換できる構成とされている。なお、図1において、書き込み装置8から出射される書き込みレーザ光は一点鎖線で示されている。
【0038】
中間転写ベルト11に対する重畳転写は、中間転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkに形成された可視像が、中間転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、中間転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkに対向して配設された1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Bkによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0039】
各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Bkは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像をそれぞれ形成するための画像ステーションを構成するプロセスカートリッジに備えられている。
【0040】
画像形成装置100は、各色の画像形成処理を行う4つの作像ステーションと、各感光体ドラム20Y,20M,20C,20Bkの上方に対向して配設されると共に中間転写ベルト11および1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Bkを備えた転写ベルトユニット10と、中間転写ベルト11に対向して配設され中間転写ベルト11に従動し、連れ回りする2次転写手段としての転写ローラである2次転写ローラ5と、中間転写ベルト11に対向して配設され中間転写ベルト11上をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置13と、これら4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置としての光走査装置8とを有している。
【0041】
本実施形態における感光体ドラムは、例えば直径30〜90mm程度のアルミニウム円筒基体上に感光層を形成したいわゆる有機感光体である。更にその感光層の上にポリカーボネート系の樹脂で保護層を形成したものであり、また、感光層と保護層との間に中間層を設けても良い。本実施例では直径30mmの感光体ドラムが用いられている。
【0042】
本実施例における光走査装置8は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、ミラーおよび回転多面鏡などを装備しており、各感光体ドラム20Y,20M,20C,20Bkに対して色毎に対応した書き込み光(図1において、前述したように一点鎖線で示す部分)を出射して感光体ドラム20Y,20M,20C,20Bkに静電潜像を形成する構成とされている。
【0043】
画像形成装置100には、感光体ドラム20Y,20M,20C,20Bkと中間転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙Sを積載した給紙カセットを有するシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙Sを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各感光体ドラム20Y,20M,20C,20Bkと中間転写ベルト11との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対4と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとが設けられている。
【0044】
画像形成装置100には、トナー像が転写された記録媒体として用いられる転写紙Sにトナー像を定着させるための熱ローラ定着方式の定着ユニットとしての定着装置62と、定着済みの転写紙Sを画像形成装置100の本体外部に排出する排紙ローラ7と、画像形成装置100の本体上部に配設され排出ローラ7により画像形成装置100の本体外部に排出された転写紙Sを積載する排紙トレイ17と、排紙トレイ17の下側に位置し、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9M、9C、9Bkとが備えられている。
【0045】
転写ベルトユニット10は、中間転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Bkの他に、中間転写ベルト11が掛け回されている懸架ローラに相当している2次転写バックアップローラ72,クリーニングバックアップローラ73およびテンションローラ74を有している。
【0046】
クリーニングバックアップローラ73およびテンションローラ74は、中間転写ベルト11に対する張力付勢手段としての機能も備えており、このため、これらローラには、バネなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Bkと、2次転写ローラ5と、クリーニング装置13とで転写装置71が構成されている。
【0047】
シート給送装置61は、画像形成装置100の本体下部に配設されており、最上位の転写紙Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
【0048】
定着装置62は、熱源を内部に有する加熱ローラ62Aおよび定着ローラ62Bに掛け回された定着ベルト62Cと、定着ローラ62Bに対向して圧接されている加圧ローラ63とを有しており、トナー像を担持した転写紙Sを定着ベルト62Bと加圧ローラ63との圧接部である定着部に通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙Sの表面に定着するようになっている。
【0049】
転写装置71に装備されているクリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、中間転写ベルト11に対向当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、中間転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、中間転写ベルト11をクリーニングするようになっている。クリーニング装置13はまた中間転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための図示しない排出手段を有している。
【0050】
転写ベルトユニット10は、前述したように、中間転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Bkの他に、中間転写ベルト11が掛け回されている懸架ローラに相当している2次転写バックアップローラ72,クリーニングバックアップローラ73およびテンションローラ74を備えた構成である。
【0051】
図2は、各色の作像部に設けられている感光体ドラムを対象とする画像形成処理に用いられる帯電装置、現像装置およびクリーニング装置を共に纏めて収容可能なプロセスカートリッジの構成を示している。
図2において、プロセスカートリッジPCは、例えば、樹脂成形された筐体で構成され、プロセスカートリッジPCの筐体101における転写ベルト(図示されないが、図1において符号11で示す部材)に対向する壁部には、感光体ドラム(便宜上、色の種別を示す符号を外して数字のみで示す)20の一部を露出させるための開口PC1および書き込み装置(図示されず)側に対向する底面101Aには、書き込み光の導入口PC2がそれぞれ形成されている。
【0052】
一方、プロセスカートリッジPC内には、現像装置40を構成する現像ユニットが設けられている。なお、図2に示す現像装置40は、後述する搬送部材として2個の搬送スクリューを用いた場合を対象としているが、本発明では、後で説明する本発明の特徴において示すように、1個の搬送スクリューとすることも可能である。
【0053】
図2において現像ユニット内には感光体ドラム20と対向する現像スリーブ40Aと、現像スリーブ40Aよりも下方の位置で現像スリーブ40Aが収容されている空間とは別の空間に配置されて現像剤を現像スリーブ40Aに向けて供給搬送する搬送部材としての第1,第2の搬送スクリュー401,402と、現像スリーブ40上に担持される現像剤の層厚を規定するドクターブレード403とが設けられている。
【0054】
第1,第2の搬送スクリュー401,402が、傾斜している底面101Aに対して水平方向に並置され、第1の搬送スクリュー401に対して現像スリーブ40Aは、搬送スクリュー401の中心を通過する垂直線(図示されず)に対して水平方向に離れた関係で位置決めされている。
【0055】
現像スリーブ40Aには、現像バイアスとして、直流電圧に交流成分を重畳した交流バイアスが用いられるようになっている。
【0056】
また、本実施形態における現像装置に用いられる現像剤は、トナーとキャリアとを混合した二成分系現像剤であり、キャリアの体積平均粒径が20μm以上50μm以下のものが用いられるようになっている。
【0057】
一方、現像剤に含まれるトナーは消費されると画像濃度が低下することから補給対象となるものであり、トナー濃度センサなどの検知手段からの検知信号に応じて補給を行われる。トナーの補給に際しては、図1において符号9Y,9M,9C,9Bkで示すトナーボトルに収容されている新規トナーが図示しないホッパーや搬送経路を介して現像装置の上面に設けられたトナー補給口(図2中、符号INで示す箇所)に向け供給される。
【0058】
図2において感光体ドラム20に対する帯電行程を実行する帯電装置30は、帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ30Aを備える。
【0059】
帯電ローラ30Aには帯電用の電源を接続されている。これにより、感光体表面と帯電ローラ表面との間の微小な空隙での近接放電により、感光体表面を均一に帯電する。印加電圧は、本発明においては直流成分であるDC電圧に交流成分であるAC電圧を重畳した交番電圧を用いている。帯電ローラに印加する印加電圧としてDC電圧にAC電圧を重畳させた交番電圧を印加すると、微小ギャップ変動による帯電電位のばらつきなどの影響が抑制されて均一な帯電が可能となる。本実施形態においてはDC電圧が−700V、ACはピークツウピーク電圧が2kV、周波数が2kHzの矩形波のバイアスを用いている。
【0060】
帯電ローラは円柱状を呈する導電性支持体としての芯金と、芯金の外周面上に形成された抵抗調整層を有する。帯電ローラの表面は硬質であることが望ましい。ローラ部材としてはゴム部材も使用できるが、ゴム部材もように変形しやすい部材であると感光体ドラムとの微小ギャップの均一な維持が困難となり、作像条件によっては帯電ローラの中央部のみが感光体表面に突発的に接触する可能性がある。帯電ローラが感光体表面に局所的/突発的に接触する事によって生じる、トナーの乱れに対応することは困難であるため、非接触帯電方式を使用する場合にはたわみが少ない硬質の部材が望ましい。表面が硬質な帯電ローラ2aの具体例としては、例えば、抵抗調整層を高分子型イオン導電剤が分散する熱可塑性樹脂組成物(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン及びその共重合体等)により形成し、抵抗調整層の表面を硬化剤により硬化皮膜処理されたものが挙げられる。また硬化皮膜処理は、例えば、イソシアネート含有化合物を含む処理溶液に抵抗調整層を浸漬させることにより行われるが、抵抗調整層の表面に改めて硬化処理皮膜層を形成することにより行われてもよい。本実施例では、帯電ローラをφ10mm(直径10mm)で形成した。帯電ローラ30Aには、帯電ローラ30Aの表面に接触してクリーニングする帯電クリーニング部材30Bが設けられている。
【0061】
図2において、トナー像を転写した後の感光体ドラム20の表面をクリーニングするクリーニング装置50は、クリーニングブレード50Aを感光体ドラム20の表面に当接させて異物を除去するようになっている。
【0062】
なお、図2において符号80は、感光体ドラム20に対する潤滑剤の供給手段として潤滑剤塗布装置80を示している。
潤滑剤塗布装置80は、詳細な説明を省くが、潤滑剤保持部材(図示されず)により支持されている固形潤滑剤80Aと、固形潤滑剤80Aに接触して削り取った潤滑剤を被塗布対象物である感光体ドラム200の表面に供給する潤滑剤塗布手段としてのブラシローラ80Bと、潤滑剤保持部材を被塗布対象物である感光体ドラム20に向けて押圧可能な潤滑剤保持部材押圧手段としてのバネなどの弾性体80Cとを備えている。
【0063】
以上のような画像形成装置を対象として本実施形態の特徴について以下に説明する。
本実施形態の特徴は、現像剤担持体、詳しくは、現像剤担持体の表面に現像剤の穂立ち機能とは別の機能である現像剤の搬送機能を持たせたことにある。
つまり、現像剤担持体である現像スリーブは、内部に設けられている複数の固定磁極によりその外方に位置する円筒スリーブの表面に現像剤を穂立ちさせて磁気ブラシを形成することができるが、磁気ブラシは、磁極に対応する磁力線に沿って保持され、スリーブの回転により隣接する磁極に対向した際に転がることで軸方向に移動するに過ぎない。このため、あくまでも現像剤の軸方向での移動は、磁気ブラシと対向磁極の変化が前提となっているだけで磁気ブラシ中の現像剤自体に長手方向(軸方向)への外力が作用して移動するものではない。
【0064】
本実施形態では、現像スリーブそのものが穂立ちさせている磁気ブラシ中の現像剤を押し動かせるようにして軸方向に搬送するようになっている。
【0065】
現像スリーブ40Aの表面には、現像剤を押し動かして現像スリーブ40Aの長手方向(軸方向)に移動させるための現像剤担持部40A1が設けられており、現像剤担持部40A1は、図3に示すように、複数条の螺旋部で構成されている。
【0066】
螺旋部としては、図4に示すように、螺旋状の凸部40A10が用いられ、凸部40A10は、現像スリーブ40Aの長手方向断面の形状が、図5に示すように三角形状とされている。
【0067】
図4において凸部40A10は、現像スリーブ40Aの外周面を一辺とし、残りの各辺での起上角に関して、螺旋状の凸部が進行する際に現像剤を押し動かす側(図5において符号Aで示す側)の面40A11での起上角αが現像剤の通過する側(図5において符号Bで示す側)の面40A12での起上角βよりも大きく(α>β)されている。これにより、現像剤を押し動かす側の面(図4において符号40A10で示す面)は、現像スリーブ40Aの外周面から縦壁に近い状態となり、現像剤に対する接触面が大きくされている。
【0068】
上記起上角に関しては、現像剤が通過する側の面(図4,5において符号40A11で示す面)の起上角を、図7に示すように、隣接する凸部における現像剤を押し動かす側の面の端部に連続させる斜面となるような角度とすることもできる。
【0069】
このような凸部40A10の螺旋の向き、いわゆる、リード方向は、現像スリーブ40Aにより供給される現像剤の濃度が低くなりやすい軸方向一方側に、より多くの現像剤を搬送できる方向に設定されており、図2に示すように、2本の搬送スクリュー401,402を用いた場合には、現像スリーブ40Aに直接現像剤を供給できる側、換言すれば、現像スリーブ40Aに近い位置にある搬送スクリュー401での螺旋方向と同じ方向とされている。
【0070】
この螺旋方向に関しては、例えば、現像装置の一様式として説明する図11に示すように、搬送スクリューを1個だけ設けて装置の小型化を図るような場合においても適用可能であり、さらに、螺旋方向の設定は、現像剤の攪拌帯電能力や循環能力を確保できるようにする意味で、搬送スクリューと反対方向とすることも可能である。
【0071】
本実施形態での凸部40A10の形状特性として、現像スリーブ40Aの外周面から凸部40A10の頂点までの高さが100μm以下に設定されており、具体的には、現像スリーブ40Aの外径が18mm、凸部40A10の高さを50μm、凸部40A10の一巻きの周期(リード)が10mmの2条巻き、そして、隣接する凸部40A10の頂部間のピッチを5mmにそれぞれ設定されている。凸部は、例えば、円筒状のアルミ素管の方面を旋盤などによって切削することで形成することができる。
【0072】
この形状特性を用いて現像スリーブ40Aを図3において矢印で示す方向に回転させると、左巻き螺旋状の凸部40A10が軸方向に沿って新たな面を感光体ドラムに対向させるように移動することで、図4において縦壁に近い状態の面により現像剤が押し動かされて現像剤が左側に移動することになる。なお、螺旋方向を上述した場合と逆方向に設定すれば、現像剤は、上述した場合とは逆に移動する。
【0073】
上述した螺旋状の凸部40A10を有する現像スリーブ40Aに担持されている現像剤は、スリーブ表面で内部磁極の磁界により保持されているが、スリーブの回転により、スリーブ表面と現像剤磁気ブラシの表面摩擦が前述の磁界の拘束力に打ち勝つことで、磁気ブラシが磁力から開放されて、次の磁極に向かって現像剤はスリーブ上を転がって移動する。その現像剤が磁力から解放されて転がる際に螺旋状の凸形状部によって現像剤が押されることで現像剤が長手方向に押される成分が発生するため、長手方向に搬送することができる。よって現像剤は図3の左方向に移動することになる。
【0074】
以上のような構成を備えた現像装置40では、次のような現像剤の流れが生じる。
図7は、図2に示した構成の現像装置を模式的に示す断面図を示しており、同図において、内部に配置されている固定磁極による法線方向の磁力線分布を符号hで示してある。
【0075】
搬送スクリュー(便宜上、符号401で示す)にある現像剤は磁力により現像スリーブ上へと汲み上げられ(F1)、現像スリーブ40A上に磁力により拘束されたまま、現像スリーブ40Aの回転によりその表面上を転がりながら現像領域を通過して現像スリーブ上を搬送される(F2)。
その後、剤切り極と呼ばれる反発磁力間で形成されて磁力のないh0で示した部分において、現像剤は現像スリーブから離れて再度、搬送スクリュー401上に戻る(F3)。以上が、現像剤の現像スリーブ周方向における移動のサイクルであり、これを繰り返す。
【0076】
一方、長手方向(軸方向)での現像剤の移動を模式的に示したものが図8であり、現像スリーブの後ろ側から見た図である(図7の左から見た図)。
ここで、前述したように現像スリーブ40Aは現像剤を長手方向に搬送する機能を持つ。よって汲み上げられた現像剤F1は、現像スリーブ40A上でF2のように図の左方向に搬送されて、剤切り極で攪拌スクリュー401に落下する(F3)。
【0077】
一方、攪拌スクリュー401は、図8の右方向の一方向に現像剤を搬送するが、F1のように汲み上げられた現像剤は、現像スリーブ40A上で左方向に搬送されて攪拌スクリュー402上に戻るため、現像剤量のバランスを保つことが可能となる。このように現像剤は常に左右に搬送され非常に攪拌性が高いため、均一なトナー濃度を維持でき、かつ適正な帯電量の現像剤を現像領域に供給することが可能となる。なお、図8においては、攪拌スクリュー401,402内を移動する現像剤の量を矢印の太さで表現している。
【0078】
次に現像条件について説明する。現像スリーブには直流バイアスに交流成分を重畳したAC電圧を印加することができる。本実施例では、感光体上の非画像部電位:−500V、画像部電位:−100Vであり、現像バイアスとしては、DC成分が−350V、AC成分のピークツウピーク電圧(Vpp)が1500V、交流周波数2kHz、サイン波形である。なお、この条件に限定するのもではなく、矩形波バイアスなどを用いても良い。交流バイアスにより現像領域におけるトナーは現像スリーブ側と感光体側に交互の電界を受けながら移動するため、本発明のような凸部材のある現像スリーブであっても均一な現像特性を得ることができる。
また現像領域においては、現像スリーブ上の現像剤の形成する磁気ブラシと、感光体とが接触しないような構成にすることもできる。これにより現像スリーブの凸部材により現像スリーブと感光体間のギャップが変化するような場合においても、トナーが飛翔して現像することで、現像ムラを起こすことなく均一な現像を行うことが可能となる。本実施例では、感光体と現像スリーブの最近接部を500μmに設定して、非接触の現像を行った。
【0079】
本実施形態においては、現像剤に含まれるキャリアの機械的特性として、体積平均粒径が20μm以上50μm以下のキャリアを用いた。これにより現像でのトナー付着ムラやキャリア飛散などの影響なく、現像剤を効率的に長手方向に搬送することができる。
キャリアの体積平均粒径は、凸部40A10の頂部までの高さと関係づけてあり、キャリア粒径が50μmを超えると、凸部においてキャリアがないことによる現像能力が低下し、現像での濃度ムラが発生する。また凸部によって押されるキャリアが少ないため搬送効率が低下する。
キャリア径が20μmより小さいとキャリア飛散は発生し、白くぬける異常画像が発生したり、クリーニングブレードを破損してクリーニング不良による黒スジなどが発生するため好ましくない。
【0080】
キャリアの平均粒径測定については、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7(μm)以上125(μm)以下のレンジ設定で行うことができる。
一方、キャリアの物性としては、芯剤に磁性体であるフェライトを用いてその表層を樹脂でコーティングしたフェライトキャリアを用いた。マグネタイト系キャリアや樹脂キャリアを用いても良い。
【0081】
次に本発明に用いるトナーについて説明する。
本発明に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーを用いた。
【0082】
トナーの体積平均粒径は4〜10μmが好ましい。平均粒径が10μm以下の小粒径トナーを用いると、現像剤の嵩密度を高めることができるため、安定した剤の攪拌・搬送が可能となり、転写残トナーの回収効率も向上する。また粒径分布がシャープであることから、現像剤の流動性が良く、長期的に安定した剤循環を行うことが可能となり、補給トナーの拡散性が向上する。更に、透明電極部での薄層化も容易となり薄層化されたことでトナーへの光り照射・電極との接触が均一化し電荷注入が安定して行えるようになる。このためブラシでの回収・吐き出し及び現像部での捕集も容易となる。一方、トナー同士の間隙が小さくなり画像中のトナーのうまりが良くなるので必要なトナー付着量およびトナー像の高さ(パイルハイト)の低減が図れる。また600dpi以上の微少ドットの再現性について、この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。画像の安定性が高くなる。
【0083】
一方、体積平均粒径(D4)が4μm未満では、転写効率の低下、ブラシでの回収性の低下といった現象が発生しやすい。体積平均粒径(D4)が10μmを超えると、画像のパイルハイトが大きくなり、文字やラインの飛び散りを抑えることが難かしくなる。また、同時に重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.30の範囲が好ましい。
(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。
このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0084】
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
【0085】
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0086】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。
図9は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
【0087】
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0088】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
【0089】
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0090】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
【0091】
トナーの形状が球形に近くなると、トナー間の接触状態が点接触となるためにトナー同士の吸着力は弱まりしたがって流動性が高くなり剤とトナーの攪拌効率も向上する。
また、トナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなり高画質化に寄与する。一方、形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、流動性が悪化し、剤循環性および補給トナーの拡散性が悪いために好ましくない。また転写率が低下し薄層化が安定せず電荷注入も不安定になるため好ましくない。
【0092】
本発明のトナーは、トナーの粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3mg/cm以上の微粒子(以下、単に微粒子という)を付着させたものである。なお、通常の流動性向上剤にシリカ等がよく用いられるが、例えば、このシリカの平均一次粒径は通常10〜30nm、嵩密度が0.1〜0.2mg/cmである。
【0093】
本発明において、トナーの表面に適切な特性の微粒子が存在することで、トナー粒子と対象体との間に適度な空隙が形成される。また、微粒子は、トナー粒子、感光体、搬送ベルト等との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、搬送ベルトに面した未定着像のトナーが搬送ベルトに付着しづらいために画像の乱れが少ない。また現像・転写効率が向上し、ドットの再現性が向上するため画像が安定して搬送時の乱れに対して余裕度が高くなる。
【0094】
しかも、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。これらの特性は、トナー粒子の受けるシェアを低減させる作用を示すので、高速定着(低エネルギー定着)のためトナーに含有されている低レオロジー成分によるトナー自身のフィルミングの低減効果を発揮する。
さらに、詳細は明らかでないが、表面処理された微粒子はトナーに外部添加されても、仮にキャリアを汚染した場合においても現像剤劣化の度合が少ない。よって経時的にトナーの流動性および帯電性の変化が少ないため、長期的に現像剤の循環および補給トナーの拡散を安定に行うことができる。また画質の安定性も高くなる。
【0095】
微粒子の平均一次粒径(以下、平均粒径という)は、50〜500nmのものが用いられ、特に100〜400nmのものが好ましい。50nm未満であると、微粒子がトナー表面の凹凸の凹部分に埋没してコロの役割を低下する場合が生じる。一方、500μmよりも大きいとトナー自身の接触面積と同レベルのオーダーとなりトナーに対するコロの効果が減少する。
嵩密度が0.3mg/cm未満では、流動性向上への寄与はあるものの、トナー及び微粒子の飛散性および付着性が高くなるために、トナーとコロとしての効果や働きが低下してしまう。
【0096】
本発明で用いられるトナーの微粒子において、無機化合物としては、SiO、TiO、Al、MgO、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO、SrTiO等を例示することができ、好ましくは、SiO、TiO、Alが挙げられる。 特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。
【0097】
また、有機化合物の微粒子としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0098】
ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
嵩密度(g/cm)=微粒子量(g/100ml)÷100
本発明での上記微粒子を、トナー表面に外添加し付着させる方法としては、トナー母体粒子と微粒子を各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法や、液相中でトナー母体粒子と微粒子を界面活性剤などで均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法などがある。
【0099】
次に上記実施形態に示した構成の要部変形例について説明する。
現像スリーブ40A自体に現像剤の搬送機能を持たせる構成としては、上述した螺旋状の凸部40A10が主要部であるが、凸部40A10の搬送機能に加えて現像スリーブ表面の組成によっても搬送能力を上げることができる。
本実施形態では、搬送能力向上のための構成として、現像スリーブ40Aの表面形態に着目している。
【0100】
本実施形態の現像装置においては上記現像スリーブとして、表面粗さが5〜20μmのもの、好ましくは表面粗さRzが5〜15μmのものを用いる。現像スリーブ7の表面粗さRzを上記の範囲に調整するには、例えばサンドブラスト加工、溝加工、研削加工、サンドペーパー法、インデックスセーバー加工などを用いればよい。なかでも、サンドブラスト加工は、操作が簡易で加工の効率もよく、更にランダムに表面加工(粗面化)が行われるため、全ての方向に対する現像剤と現像スリーブの摩擦抵抗が等しく施される。表面粗さRzは、十点平均粗さを意味し、小坂研究所製,サーフコーダーSE−30Hにより測定した。なおこの十点平均粗さは、固体表面の微細な凹凸の深さを良く反映するものである。また、用いられる現像スリーブの材質としては、通常の現像装置に用いられるものであれば特に限定されることない。具体的には、ステンレス鋼、アルミニウム、セラミックス等の非磁性材料や、更にこれらにコーティング等したものなどが用いられる。また、粗さに代えて、長手方向(軸方向)に平行な複数の溝を設けることも可能である。
【0101】
この構成においては、現像スリーブ40Aの表面が適度な粗さになっているので、現像剤がスリーブ表面との摩擦により回転方向に搬送されやすくなり、隣接する磁極へ移動しやすくなる。このような回転方向への移動が促進されると、その移動過程において凸部40A10に接触する機会が増えるので、長手方向(軸方向)に沿って押し動かされる機会も増えて搬送されやすくなる。
【0102】
次に本発明の現像装置における別実施形態について説明する。
図10は、本実施形態を説明するための図2と同等な模式的な断面図である。
同図に示す構成は、現像スリーブ40Aに供給する現像剤を攪拌搬送する搬送スクリューが1個(図10において符号401で示す部材)しか設けられていないことと、これによる現像剤の集約位置が偏るのを防止することと、搬送スクリューを1個だけとした場合でも現像剤の循環を良好に行わせて上述した濃度低下を抑えられることを特徴としている。以下、この構成を用いる理由について説明し、その後構成を説明する。
【0103】
つまり、現像スリーブ40Aと搬送スクリュー401とは、その螺旋方向が同じでることから現像剤の長手方向(軸方向)での搬送方向が同じとなる。このため、搬送スクリューを1個だけ設けると、装置の小型化は可能となる反面、現像槽内で搬送される現像剤は搬送方向一方側に集中して偏ってしまい、循環させることができなくなる。従来では、搬送スクリューを2軸構成とすることで長手方向一方側から他方側に搬送された現像剤を循環させるようになっていたが、1個の搬送スクリューではそれが望めない。
【0104】
そこで、本発明では、現像剤の循環機能を現像スリーブ40Aに担持されている現像材料を規制する部材によって得ようとするものである。
【0105】
図10において、現像スリーブ40Aに対向して配置されている現像剤規制部材(便宜上、符号403Aで示す)は、回転可能なローラで構成され、その表面には、現像スリーブ40Aによって搬送される現像剤の搬送方向と逆方向を設定できる構成が用いられている。この表面の構成としては、搬送スクリュー401による現像剤の搬送方向と逆方向に現像剤を搬送できる方向を設定する螺旋状の凸部あるいは螺旋溝などが用いられる。凸部の場合の構成としては、図3乃至図6に示した場合と同様な構成が用いられ、層厚規制とともに現像剤の搬送機能を両立させている。
【0106】
この構成においては、搬送スクリュー401によって攪拌搬送され、その長手方向一方側から現像スリーブ40Aに供給される現像剤が現像剤規制部材403Aによって搬送スクリュー401とは逆方向に搬送されることになる。
【0107】
図11および図12は、この場合の現像剤を移動過程を示す図であり、図11は、図7に示した場合と同様に、磁力線の分布状況による現像剤の移動過程を示している。
【0108】
図12において、搬送スクリュー401では現像剤が図の右側に向け搬送されるが、現像スリーブ40Aに汲み上げられて層厚を規制された余剰の現像剤が規制部材403Aにより搬送スクリュー401での搬送方向とは逆方向に搬送されて搬送スクリュー401に戻り、いわゆる、循環されることになる。これにより、現像剤が搬送方向一方側に偏ってしまうことがなく、現像剤量のバランスを長手方向で保つことができ、さらには、現像剤が長手方向左右に搬送されて攪拌性を高められることになるので、長手方向で均一な濃度を維持することができ、攪拌製鋼状による適正な帯電量の現像剤を現像領域に供給することができることになる。
【0109】
このように、層厚の規制部材403Aに現像剤の搬送機能を持たせることで、現像剤の循環性を確保できるので、図7,図8で説明した場合と同様に、長手方向での現像剤量のバランスを保って長手方向一方側での濃度低下を防止することができることに加えて、現像剤の循環性を維持できることで2軸搬送スクリュー構造を用いなくても1軸搬送スクリュー構造によっても2軸搬送スクリュー構造と同じ作用が得られることにより搬送スクリューを一部省いて装置の小型化を可能にできる。
【0110】
次に上記実施例において用いられる現像スリーブの現像剤担持部の変形例について説明する。
図13に示す現像スリーブは、その表面での現像剤の搬送性を向上させる点に特徴を有している。
【0111】
つまり、図13において現像スリーブ40Aの表面には、現像剤担持部として、現像スリーブ40Aの長手方向に沿って連続する複数条の螺旋溝と長手方向に平行する複数の溝(便宜上、平行溝と称する)が設けられている。
【0112】
螺旋溝および平行溝は、図14(A)、(B)に示すように、溝の延長方向と直角な方向の断面形状が角形状などの頂部を有する錐形状あるいは矩形形状が選択されており、いずれの形状の場合においても、深さに関しては、螺旋溝の深さが平行溝の深さよりも深くされている。
【0113】
このような構成は次の理由に立脚している。
平行溝だけの場合には、掬い上げる現像剤量を確保できる反面、長手方向での搬送量を確保することが難しくなる。このため、螺旋溝を設けて長手方向での搬送量を確保している。これにより、搬送スクリューが1個の場合でも現像剤の搬送量を長手方向で安定させることができ、搬送方向下流側での濃度低下を防止することができ、搬送スクリューの省略によって装置の小型化ができることになる。
【0114】
一方、深さに関しては、平行溝に比べて掬い上げる現像剤量が少なくなりがちな螺旋状の溝においても現像剤の長手方向(軸方向)での搬送量を確保できるようになっている。これにより、上述したように、搬送スクリューを1個として構造の簡略化を実現した場合でも、現像剤の搬送性を高めることで濃度低下の防止が可能となる。なお、図13,図14に示す平行溝に代えて、スリーブ表面での現像剤担持量を確保する構成としては、前述した表面粗さの設定を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0115】
100 画像形成装置
20 感光体ドラム
40 現像装置
40A 現像スリーブ
40A10 凸部
40A11 現像剤を押し動かす側の面
40A12 現像剤が通過する側の面
401 搬送スクリュー
403,403A 現像剤規制部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0116】
【特許文献1】特開閉11−95554号公報
【特許文献2】特開閉04−37779号公報
【特許文献3】特許第3606057号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に現像剤を担持可能な現像剤担持体であって、表面に現像剤を該現像剤担持体の長手方向に移動させる現像剤搬送部を備えていることを特徴とする現像剤担持体。
【請求項2】
表面に現像剤を担持可能な現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向して担持されている現像剤の剤量を規制する規制部材と前記現像剤担持体の近傍に位置して該現像剤担持体の長手方向一方側に向けて現像剤を搬送する搬送部材とを備えた現像装置において、
前記現像剤担持体は、前記搬送部材と同じ方向に現像剤を搬送する構成を備えていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
前記現像剤担持体は、内部に固定された複数の磁極と、該磁極の外方で回転可能な円筒体とを備え、該円筒の表面には、前記現像剤を前記搬送部材と同じ方向に押し動かす現像剤担持部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤担持部は、前記円筒の表面で該円筒部の長手方向に沿って螺旋状に連続する凸部で構成され、現像剤が凸部で押し動かされて搬送されることを特徴とする請求項2または3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記螺旋状の凸部は、複数条設けられて現像剤の搬送部として用いられることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記螺旋状の凸部は、前記現像剤担持体の長手方向に沿った断面形状が三角形状とされ、該現像剤担持体の表面に対する起上角は、該螺旋状の凸部が進行する際に現像剤を押す側となる面の起上角が現像剤の通過する面での起上角よりも大きくされていることを特徴とする請求項4または5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像剤担持体の表面はサンドブラスト加工により表面加工されていることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記螺旋状の凸部は、前記現像剤担持体表面からの高さが100μm以内に設定されていることを特徴とする請求項4乃至6いずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像剤担持体に担持される現像剤は、トナーとキャリアとを混在させた二成分系現像剤であり、該現像剤に含まれるキャリアの体積平均粒径が20μm以上50μm以下に設定されていることを特徴とする請求項2乃至8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
請求項2乃至9のいずれかに記載の現像装置を用いる画像形成装置であって、
静電潜像の担持面を有する潜像担持体と、
前記潜像担持面の表面を一様帯電する帯電手段と、
前記一様帯電後の潜像担持体表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する露光手段と、
前記現像装置により静電潜像を可視像処理された潜像担持体と接触しながら移動可能な転写体を介して可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
転写後の前記潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記現像装置における現像剤担持体は、直流電圧に交流成分を重畳した交流バイアスが現像バイアスとして用いられることを特徴とする(10)に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記現像装置に設けられている現像剤担持体は、表面に担持されている現像剤を前記潜像担持体に対して非接触な状態で供給できる配置構成とされていることを特徴とする(10)または(11)に記載の画像形成装置。
【請求項13】
静電潜像の担持面を有する潜像担持体と、
前記潜像担持面の表面を一様帯電する帯電手段と、
前記一様帯電後の潜像担持体表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する露光手段と、
露光手段により形成された潜像を現像剤による可視像処理する現像装置と、
前記現像装置により静電潜像を可視像処理された潜像担持体と接触しながら移動可能な転写体を介して可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
転写後の前記潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置において、
前記現像装置は、前記潜像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向して担持されている現像剤の剤量を規制する規制部材と前記現像剤担持体の近傍に位置して該現像剤担持体の長手方向一方側に向けて現像剤を搬送する搬送部材とを備え、
前記現像装置に設けられている搬送部材は、前記現像剤担持体近傍に配置された一つのスクリュー部材で構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記現像剤担持体の近傍には、前記搬送部材による現像剤の搬送方向とは逆方向に現像剤を搬送する副搬送部材が設けられ、
該副搬送部材として、前記規制部材が用いられ、該規制部材には、現像剤を搬送部材の搬送方向と逆方向に搬送できる螺旋状の溝が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記現像剤担持体には、その表面において長手方向に沿って連続して形成され、前記搬送部材との搬送方向と逆方向に現像剤を搬送可能な複数の螺旋溝と該現像剤担持体の長手方向に平行する複数の溝とが設けられていることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記螺旋溝は前記現像剤担持体の長手方向に平行する複数の溝の深さよりも深く形成されていることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−217697(P2010−217697A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66240(P2009−66240)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】