現像装置及び画像形成装置
【課題】 現像剤の攪拌性を向上させた現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 現像剤を撹拌する撹拌ローラ7と、現像剤を静電潜像へ搬送する現像ローラ3と、該現像ローラ3から静電潜像へ搬送される現像剤量を規制する規制部材4と、該規制部材4の規制による余剰現像剤を撹拌ローラ7へ還流させる還流板6とを備え、還流板6の一縁は撹拌ローラ7の上方に配置されている現像装置において、還流板6の前記一縁は、複数の凸部6aが形成されており、非直線である。
【解決手段】 現像剤を撹拌する撹拌ローラ7と、現像剤を静電潜像へ搬送する現像ローラ3と、該現像ローラ3から静電潜像へ搬送される現像剤量を規制する規制部材4と、該規制部材4の規制による余剰現像剤を撹拌ローラ7へ還流させる還流板6とを備え、還流板6の一縁は撹拌ローラ7の上方に配置されている現像装置において、還流板6の前記一縁は、複数の凸部6aが形成されており、非直線である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤を攪拌する攪拌ローラと、現像剤を静電潜像へ搬送する現像ローラと、該現像ローラによって静電潜像へ搬送される現像剤量を規制する規制部材と、該規制部材の規制による余剰現像剤を前記攪拌ローラへ還流させる還流板とを備える現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は従来の現像装置の構成を示す断面図である。電子写真方式を採用した複写機等の画像形成装置に用いる現像装置は、2成分の現像剤が収容されるケース104と、ケース104内の現像剤を攪拌する攪拌ローラ105と、現像剤を静電潜像に搬送する現像ローラ101と、静電潜像へ搬送される現像剤量を規制する規制部材102と、規制部材102によって規制された余剰現像剤を攪拌ローラ105へ還流させる還流板103とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
現像ローラ101は、周方向の複数位置に磁極N及び磁極Sが交互に配設された非回転のマグネットローラ100と、マグネットローラ100に回転自在に外嵌された非磁性のスリーブ106とを備えている。還流板103は、一縁が攪拌ローラ105の上方に配置され、前記一縁の反対側は現像ローラ101の上方に配置されている。図12は、還流板103及び攪拌ローラ105の概略を示す斜視図である。還流板103は長方形状であり、攪拌ローラ105には、攪拌羽根105aが攪拌ローラ105の中心軸に沿って複数設けられている。攪拌羽根105aは、円板形状であり、攪拌ローラ105の中心軸に対して所定方向に傾斜されている。
【0004】
このように構成された現像装置は、ケース104内に収容された2成分の現像剤のキャリア(磁性粉体)及びトナーが攪拌ローラ105の回転(図では反時計回り)によって攪拌され、キャリアの周面にトナーが付着する。また、現像ローラ101のスリーブ106が回転(図では反時計回り)することにより、現像剤が現像ローラ101及び規制部材102間のギャップに向けて搬送され、静電潜像への搬送量が規制部材102によって規制される。ギャップを通過した現像剤は静電潜像へ搬送され、規制部材102によって規制された余剰現像剤は規制部材102及び還流板103間の空間に滞留する。滞留量が増加した現像剤は、還流板103へ流動し、還流板103に案内されて攪拌ローラ105へ還流される。また、還流板103上に仕切を設ける場合もある(例えば、特許文献2参照)。図13は、仕切103bが設けられた還流板103a上を流れる現像剤の例を示す斜視図である。
【特許文献1】特開平1−237577号公報
【特許文献1】特開平3−89273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図14(a)及び(b)は、還流板から攪拌ローラに落下した現像剤の攪拌状態を示す概念図である。ここで、図14(a)及び(b)は、還流板103の上面側から見た図であり、各図の攪拌ローラ105は互いに半回転ずれた状態である。現像剤は還流板103の前記一縁からほぼ一列に並んだ状態で攪拌ローラ105に落下するため、落下した現像剤は攪拌羽根105aによって殆どが同方向に移動することになる。そのため、現像剤の攪拌性が低いという問題がある。また、図13に示したように、還流板103aに仕切103bを設けた場合、構造が複雑になりコストが増大するという問題、及び、仕切103b周辺の現像剤の流量が低下するため、仕切103bがある部分とない部分との現像剤の流量に差が生じ、現像剤の攪拌性が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、攪拌ローラの上方に配置された還流板の一縁を非直線にしたことにより、現像剤の攪拌性を向上させた現像装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、還流板の前記一縁に複数の凸部又は複数の凹部を設けることにより、現像剤の攪拌性を向上させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記凸部又は凹部を攪拌ローラの攪拌羽根と同一間隔で配置することにより、現像剤の攪拌性を向上させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0009】
また、本発明は、還流板の上面の前記一縁付近に突起を設けたことにより、現像剤が落下する際の拡散性を向上させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、還流板の上面の前記一縁付近に、現像剤の還流方向に沿った溝を設けたことにより、現像剤の還流を安定させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、還流板の傾斜角を安息角よりも大きくすることにより、現像剤の還流を安定させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0012】
また、本発明は、還流板の前記一縁を、撹拌ローラの現像剤補給部側の上方に配置することにより、還流された現像剤及び補給された現像剤の混合を向上させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0013】
また、本発明は、小粒径現像剤を用いることにより、画質を向上させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0014】
また、本発明は、シートに形成される画像の画質を安定化できる画像形成装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る現像装置は、現像剤を攪拌する攪拌ローラと、現像剤を静電潜像へ搬送する現像ローラと、該現像ローラによって静電潜像へ搬送される現像剤量を規制する規制部材と、該規制部材の規制による余剰現像剤を前記攪拌ローラへ還流させる還流板とを備え、該還流板の一縁は前記攪拌ローラの上方に配置されている現像装置において、前記還流板の前記一縁は非直線であることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る現像装置は、前記還流板の前記一縁に、前記還流板と平行な方向に複数の凸部又は複数の凹部を有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る現像装置は、前記攪拌ローラは中心軸に沿って複数の攪拌羽根を備えており、前記凸部又は凹部は攪拌羽根と同一間隔で配置されていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る現像装置は、前記還流板の上面の前記一縁付近に、突起を有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る現像装置は、前記還流板の上面の前記一縁付近に、現像剤の還流方向に沿った溝を有することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る現像装置は、前記還流板は安息角よりも大きい角度で傾斜していることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る現像装置は、現像剤が補給される現像剤補給部を備え、該現像剤補給部及び前記現像ローラ間に前記攪拌ローラを配置してあり、前記還流板の前記一縁は、攪拌ローラの現像剤補給部側の上方に配置されていることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る現像装置は、前記現像剤は、平均粒径65μm以下の磁性粉体及び平均粒径7.5μm以下のトナーを含むことを特徴とする。
【0023】
本発明に係る画像形成装置は、静電潜像を現像する上述した現像装置と、該現像装置が現像した画像をシートに形成する画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、攪拌ローラの上方に配置される還流板の一縁が非直線であり、攪拌ローラ中心軸と垂直な方向に対する現像剤の落下位置は一定ではない。現像剤の落下位置が一定でないため、現像剤の攪拌性が向上する。
【0025】
本発明においては、還流板は、前記一縁に、前記還流板と平行な方向に複数の凸部又は複数の凹部を有しており、攪拌ローラ中心軸と垂直な方向に対する現像剤の落下位置が、前記凸部又は凹部が設けられた部分とそうでない部分とで異なる。現像剤の落下位置が異なるため、現像剤の攪拌性が向上する。
【0026】
本発明においては、前記凸部又は凹部は、攪拌ローラの中心軸に沿って設けられた攪拌羽根と同一間隔で配置されており、前記凸部又は凹部から落下した現像剤と、前記凸部又は凹部が設けられていない部分から落下した現像剤とは、攪拌羽根毎に、前記中心軸と垂直な方向に対して異なる位置に落ちる。攪拌羽根毎に現像剤が異なる位置に落ちるため、現像剤の攪拌性が向上する。
【0027】
本発明においては、還流板の上面の前記一縁付近に、突起を有しており、還流する現像剤は前記突起に接触して拡散する。現像剤が拡散することにより、前記一縁から落下する際の現像剤の拡散性を向上させることができる。また、現像剤が拡散して落下することにより、攪拌ローラによる攪拌性が向上する。
【0028】
本発明においては、還流板の上面の前記一縁付近に、現像剤の還流方向に沿った溝を有しており、還流する現像剤は前記溝によって前記一縁まで案内される。前記溝に現像剤が流れ込むことにより、現像剤が還流しやすくなり、前記一縁から安定して現像剤を落下させることができる。また、現像剤の落下が安定することにより、攪拌ローラによる攪拌性も向上する。
【0029】
本発明においては、還流板の傾斜角を、堆積した現像剤が崩れずに安定を保つ安息角よりも大きくしているため、還流板に現像剤が堆積するのを防止できる。還流板に現像剤が堆積せず、還流を安定させることができる。
【0030】
本発明においては、還流板の一縁を、撹拌ローラの現像剤補給部側の上方に配置しており、還流板から撹拌ローラの現像剤補給部側へ余剰現像剤が還流されるため、還流された現像剤及び現像剤補給部から補給された現像剤の混合を向上できる。
【0031】
本発明においては、平均粒径65μm以下の磁性粉体及び平均粒径7.5μm以下のトナーを含む小粒径現像剤を用いており、画質を向上できる。ただし、小粒径化された現像剤は凝集し易いため、流動性が悪化して還流が不安定になる傾向がある。本発明では上述したように、現像剤の攪拌性を向上させたり、現像剤の還流板上の堆積を防止したり、現像剤の還流を安定させることができるため、小粒径現像剤を用いた場合であっても、現像剤の還流を安定して行うことができる。
【0032】
本発明においては、上述した本発明の現像装置で静電潜像を現像し、画像形成部で前記現像した画像をシートに形成しているため、上述したように、現像剤の還流を安定して行える。そのため、シートに形成される画質を安定化できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、攪拌ローラ中心軸と垂直な方向に対する現像剤の落下位置が一定でないため、現像剤の攪拌性が向上する。
【0034】
本発明によれば、還流板の凸部又は凹部が設けられた部分と設けられていない部分とでは、攪拌ローラ中心軸と垂直な方向に対して、攪拌羽根の異なる位置に現像剤が落下するため、現像剤の攪拌性が向上する。
【0035】
本発明によれば、還流板の一縁付近に設けられた突起に接触した現像剤が拡散し、前記一縁から落下する際の現像剤の拡散性を向上させることができる。また、現像剤が拡散して落下することにより、攪拌ローラによる攪拌性が向上する。
【0036】
本発明によれば、還流板の一縁付近に設けられた溝に流れ込んだ現像剤は還流しやすくなり、前記一縁から安定して落下させることができる。また、現像剤の落下が安定することにより、攪拌ローラによる攪拌性が向上する。
【0037】
本発明によれば、還流板に現像剤が堆積するのを防止し、現像剤の還流を安定させることができる。
【0038】
本発明によれば、還流された現像剤及び現像剤補給部から補給された現像剤の混合を向上できる。現像剤の混合を向上させて、画質を安定化できる。
【0039】
本発明によれば、小粒径現像剤を用いることにより、画質を向上できる。また、小粒径現像剤を用いた場合であっても、上述したように、現像剤の還流を安定して行うことができる。
【0040】
本発明によれば、上述したように現像剤の還流を安定して行える現像装置を用いることにより、シートに形成される画像の画質を安定化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る現像装置の構成を示す断面図である。現像装置は、2成分の現像剤が収容されるケース1と、ケース1内の現像剤を撹拌する撹拌ローラ7と、感光体ドラム2に担持された静電潜像へ現像剤を搬送し、前記静電潜像を現像するための現像ローラ3と、現像ローラ3との間で現像剤の静電潜像への搬送量を規制する規制部材4と、現像ローラ3及び規制部材4間の第1ギャップG1よりも大きい第2ギャップG2を空けて現像ローラ3と向き合い、第1ギャップG1へ搬送する現像剤の層厚を規制すると共に現像剤を摺擦するための摺擦部材5と、規制部材4によって規制された余剰現像剤を撹拌ローラ7へ還流する還流板6とを備えている。尚、規制部材4及び摺擦部材5は現像ローラ3に対応する長さに形成されている。
【0042】
ケース1は感光体ドラム2の周面に臨む位置に開放部1aが設けられた略角柱形をしており、開放部1aの反対側には現像剤補給部1bが開設されている。ケース1内の開放部1aに臨む位置には現像ローラ3及び規制部材4が配置され、現像剤補給部1bに臨む位置には撹拌ローラ7が配置されている。また、現像剤補給部1bと撹拌ローラ7との間には、現像剤補給部1bからケース1内へ供給された現像剤(トナー)を撹拌ローラ7へ搬送する搬送ローラ8が配置されている。撹拌ローラ7及び搬送ローラ8は反時計回りに回転するように構成されている。また、撹拌ローラ7の下側にはケース1内のトナーの濃度を検出するための透磁率センサ9が設けられており、撹拌ローラ7によって撹拌されるトナー量が適正量よりも減少した場合は、検出値に基づいて現像剤補給部1bからトナーを補給するように構成されている。
【0043】
現像ローラ3は、周方向の複数位置に断面形状が長方形の棒磁石からなる磁極N1,N2,N3及び磁極S1,S2,S3,S4が放射状に配設された多極着磁のマグネットローラ31と、マグネットローラ31に外嵌された非磁性のスリーブ32とを備えている。マグネットローラ31は非回転であるが、スリーブ32は反時計回りに回転するように構成されている。マグネットローラ31は両端がケース1の両側壁に非回転に支持されており、磁極N1が感光体ドラム2の周面と向き合う位置に配置され、磁極N2が第2ギャップG2と向き合う位置に配置されている。磁極N1,N2は、幅寸法(現像ローラ3の周方向の長さ)の中央が磁極の中心(磁極中心軸P1,P2)となっている。
【0044】
感光体ドラム2の周面と向き合う磁極N1は、感光体ドラム2の中心軸O1及び現像ローラ3の中心軸O2を通る直線に対して、磁極中心軸P1が現像剤の搬送上流側(磁極S1側)へ3°変位するように配置されている。磁極中心軸P1の変位量は計測器により計測される。この計測器は、例えば感光体ドラム2の中心軸O1を中心として回動する磁性の指針を有しており、この指針の回動角度に基づいて前記変位量が検出される。また、規制部材4は、カバー体10が取着されており、ケース1の開放部1a内側の磁極S1及びN2の間に配置されている。尚、規制部材4と摺擦部材5とは、アルミニウム、ステンレス等の金属板により形成されている。
【0045】
規制部材4は、現像ローラ3との間で現像剤の搬送量を規制しつつ現像剤の主帯電を行うものであり、断面形状が長方形の非磁性の金属板からなり、規制部材4の一周面が現像ローラ3の周面と第1ギャップG1の間隔をあけて向き合っている。規制部材4と摺擦部材5とは線膨張係数がほぼ等しくなるように、例えば近似している材料で形成されており、規制部材4及び摺擦部材5が温度変化によって湾曲変位する場合においても、第1及び第2ギャップG1,G2の変動を最小限に抑えることができる。
【0046】
摺擦部材5は、現像ローラ3との間で第1ギャップG1へ搬送する現像剤の搬送量(層厚)を規制しつつ現像剤を摺擦して現像剤の予備帯電を行うものであり、摺擦部材5が非磁性の還流板6と一体に形成されている。還流板6は、現像ローラ3の上方(還流板6の上縁)から撹拌ローラ7の上方(還流板6の下縁)にかけて現像ローラ3側(上縁)が高くなるように傾斜配置されており、還流板6の上縁側を現像ローラ3側へ折り返すことにより折り返し片6aが形成されており、折り返し片6aを摺擦部材5としてある。
【0047】
第1ギャップG1へ現像剤を搬送するのに先立って、摺擦部材5によって現像剤を摺擦し、現像剤を予備帯電することができるため、2成分現像剤である場合、規制部材4によって発生した余剰の現像剤同士に反撥力を働かせて、余剰の現像剤同士を結合し難くでき、現像剤の循環をスムーズにすることができる。また、摺擦部材5と還流板6とが一体であるため、互いに補強し合って、現像剤を摺擦するときの抗力による摺擦部材5のギャップ拡大方向への変位を低減できる。なお、図1の例では摺擦部材5を還流板6に形成してあるが、摺擦部材は還流板とは別に形成された構成としてもよい。
【0048】
ケース1内に配置された規制部材4の近傍には、規制部材4によって搬送が規制された余剰現像剤が滞留するのを抑制するための第1現像剤滞留抑制部材12が設けられており、また、摺擦部材5の近傍には、第2ギャップG2へ搬送する現像剤が滞留するのを抑制するための第2現像剤滞留抑制部材13が取着されている。
【0049】
第1現像剤滞留抑制部材12及び第2現像剤滞留抑制部材13は現像ローラ3に対応する長さを有する金属又は合成樹脂等の非磁性材料からなる。第1現像剤滞留抑制部材12は、還流板6の上縁部及びケース1の上壁間に還流板6と離隔して配設されており、余剰現像剤を還流板6へスムーズに還流させる。尚、図1の第1現像剤滞留抑制部材12は規制部材4から還流板6の上縁部にかけて設けられているが、第1現像剤滞留抑制部材12の規制部材4からの長さは特に制限されない。また、第1現像剤滞留抑制部材12は規制部材4と一体であってもよい。第2現像剤滞留抑制部材13は、還流板6の上縁部から還流板6の下面に沿って配設されており、現像剤を第2ギャップG2へスムーズに搬送させる。尚、第2現像剤滞留抑制部材13は還流板6と一体であってもよい。
【0050】
図2は現像ローラ3及び還流板6等の支持構造を示す分解斜視図である。ケース1内に配置された現像ローラ3、規制部材4及び還流板6(摺擦部材5)は2つの共通の支持部材11,11に支持されており、支持部材11,11に支持した状態でケース1内に組み込めるように構成されている。また、攪拌ローラ7は、攪拌羽根7aが中心軸に沿って複数設けられている。攪拌羽根7aは、円板形状であり、攪拌ローラ7の中心軸に対して所定方向に傾斜している。
【0051】
還流板6は長方形状をしているが、下縁は、非直線であり、還流板6と平行な方向に凸部6aが設けられている。凸部6aは攪拌ローラ7の中心軸に沿った方向に複数設けられている。凸部6aは長方形状をしており、凸部6aの前記中心軸に沿った方向の幅と、凸部6a同士の間隔とは同じ長さである。現像剤は、還流板6の凸部6aから落下するものもあれば、凸部6aが設けられていない部分から落下するものもあり、横一列に並んで落下することはない。
【0052】
支持部材11,11は扁平の板体からなり、中央部には現像ローラ3の中心軸端部3a、3aが嵌入される大径の貫通孔11a,11aが穿設されている。また、支持部材11,11は、規制部材4に取着された第1現像剤滞留抑制部材12の両端部に穿設された複数のねじ孔12b,12bと向き合う小径の貫通孔11b,11b、及び、摺擦部材5及び還流板6に取着された第2現像剤滞留抑制部材13の両端部に穿設された複数のねじ孔13a,13aと向き合う小径の貫通孔11c,11cが穿設されている。
【0053】
そして、現像ローラ3の中心軸端部3a、3aが貫通孔11a,11aに嵌入され、支持部材11,11間に規制部材4及び摺擦部材5を配置した状態で貫通孔11b,11cからねじ孔12b,13aに小ねじ等の雄ねじを螺締することによりユニットを形成することができ、このユニットをケース1内に組み込むことができる。現像ローラ3、規制部材4及び還流板6(摺擦部材5)の相互の位置関係を精度良く維持することができるため、第1及び第2ギャップ量を維持することができる。しかも、現像ローラ3、規制部材4及び還流板6(摺擦部材5)をユニット化できるため、組立の作業性が向上する。また、支持部材11の形状及びケース1の形状を、支持部材11がケース1に正確に嵌合して固定されるように構成しておくことにより、還流板6の傾斜角度及び下縁の位置などを精度よく維持することができる。
【0054】
還流板6の傾斜角は、堆積した現像剤が崩れずに安定を保つ安息角よりも大きくなるようにしてある。ここで、図1は現像装置が水平に置かれた図であり、撹拌ローラ7の回転中心を原点として、水平右方向をX方向とし、鉛直上方向をY方向とし、傾斜角及び安息角はX方向を基準としている。図3(a)〜(c)は安息角の説明図である。図3(a)は水平状態の還流板6aの一端側に現像剤が堆積した図である。図3(b)は還流板6aの他端側を上げて傾斜させた図であるが、一端側に堆積した現像剤は崩れずに安定している。図3(c)は還流板6aをさらに傾斜させた図であり、一端側に堆積した現像剤は崩れている。現像剤の安息角はJISR9301−2−2で規定されているように、堆積した現像剤が崩れずに安定している最大傾斜角である。還流板6の傾斜角を安息角よりも大きくすることにより、還流板6上の現像剤の堆積を防止して、還流を安定して行うことができる。
【0055】
また、図1に示すように、撹拌ローラ7は、現像剤補給部1b及び現像ローラ3間に配置してあり、還流板6の下縁は、撹拌ローラ7の現像剤補給部1b側の上方に配置されている。図1の例では、還流板6の下縁は、撹拌ローラ7の回転中心軸O3よりも右側(X方向)に配置されている。余剰現像剤は還流板6によって撹拌ローラ7の現像剤補給部1b側に還流されるため、還流された現像剤と現像剤補給部1bから補給された現像剤との混合を向上できる。
【0056】
以上のように構成された現像装置のケース1内には2成分の現像剤が収容される。現像剤は磁性粉体等のキャリア及びトナーからなる。本実施の形態においては、一般的な粒径よりも小粒径の現像剤を用いている。キャリアは一般的な平均粒径が85μmであるのに対して、本実施の形態のキャリアは平均粒径を65μm以下としてある。また、トナーの一般的な平均粒径は8.5μmであるのに対して、本実施の形態のトナーは平均粒径を7.5μm以下としてある。小粒径の現像剤を用いることにより、画質を向上させることができる。
【0057】
感光体ドラム2に担持された静電潜像を現像する場合、感光体ドラム2は時計回りに回転し、現像ローラ3のスリーブ32及び撹拌ローラ7は反時計回りに回転し、ケース1内の現像剤は撹拌ローラ7により撹拌されつつ現像ローラ3により第2ギャップG2へ搬送され、この第2ギャップG2により搬送量(層厚)が規制され、摺擦部材5によって摺擦されつつ第2ギャップG2を通過する。
【0058】
第2ギャップG2へ搬送される現像剤は第2現像剤滞留抑制部材13により滞留が抑制されつつ第2ギャップG2へスムーズに搬送される。第2ギャップG2を通過した現像剤は第1ギャップG1へ搬送される。第2ギャップG2は第1ギャップG1よりも大きく設定してあるため、規制部材4により余剰現像剤を確実に発生させ、余剰現像剤は第1現像剤滞留抑制部材12により滞留が抑制されつつ還流板6側へ還流され、還流板6により撹拌ローラ7へ還流され、全体として還流板6の周りを現像剤が循環する。還流板6の下縁の形状は、上述したように凸部6aが設けられ、非直線であるため、現像剤の落下位置が変化し、攪拌性が向上する。また、還流板6の傾斜角は安息角よりも大きいため、還流を安定して行うことができる。さらに、還流板6には仕切がないため、現像剤の還流を安定し、攪拌性を向上させることができる。
【0059】
上述した実施の形態において、還流板6の凸部6aの幅及び凸部6aの間隔は、攪拌ローラ7の攪拌羽根7aの間隔(ピッチ)と同じにすることが好ましい。図4は還流板及び攪拌ローラの例を示す図であり、図4(a)は還流板6上方から見た上面図であり、図4(b)は搬送ローラ8側から見た側面図であり、還流板6の凸部6aの幅及び凸部6aの間隔は、攪拌ローラ7の攪拌羽根7aの間隔(ピッチ)と同じである。また、図4(a)に示すように、還流板6の凸部6a先端は、攪拌ローラ7の中心軸を若干超えた位置に配置され、還流板7の凸部7aが設けられていない部分の根元は、攪拌ローラ7の外周上方よりも若干内側に配置されている。
【0060】
図5(a)及び(b)は、還流板から攪拌ローラに落下した現像剤の攪拌状態を示す概念図である。ここで、図5(a)及び(b)は、還流板6の上方から見た図であり、各図の攪拌ローラ7は互いに半回転ずれている。現像剤は還流板6の凸部6aから落下するものもあれば、凸部6aが設けられていない部分から落下するものもある。そのため、図5(a)、(b)に示すように、現像剤は、攪拌ローラ7の中心軸を境にして手前側(x方向側)に落下するものもあれば、奥側(−x方向)に落下するものもある。攪拌ローラ7に落下した現像剤は、攪拌羽根7aによって攪拌されるが、落下位置(手前側と奥側)が異なることに加え、手前側と奥側では移動方向が逆になるため、現像剤の攪拌性が更に向上する。
【0061】
上述した各実施の形態では、長方形状の凸部を設けた還流板を例にして説明したが、凸部の形状は長方形状に限定はされず、任意形状とすることが可能である。また、還流板の下縁は、非直線であればよく、下縁に凸部を形成することに限定はされず、下縁に凹部を設けるなど、任意に変形して非直線形状にすることが可能である。図6(a)〜(c)は、還流板の他の例を示す斜視図である。図6(a)の例では、還流板16の下縁に半円状の凸部16aが設けられており、図6(b)の例では、還流板17の下縁に半円状の凹部17bが設けられており、図6(c)の例では、還流板18の下縁に半円状の凸部18a及び凹部18bが設けられている。
【0062】
また、還流板上面の下縁付近に突起又は溝を設けることも可能である。図7(a)及び(b)は、還流板の他の例を示す斜視図である。図7(a)の例では、還流板19上面の凸部19a先端付近及び凸部が設けられていない部分の先端付近に半円柱状の突起19bが設けられている。現像剤は、突起19bと接触して散らばり、拡散して落下するため、攪拌性が向上する。また、図7(b)の例では、還流板20上面の凸部20a先端付近及び凸部が設けられていない部分の先端付近に、還流方向(矢印方向)に沿ったV字状の溝20bが形成されている。現像剤は、溝20bに案内されて落下するため、還流が安定する。
【0063】
なお、上述した突起の形状は半円柱状に限定はされず任意である。また、上述した溝の形状はV字状に限定はされず任意である。図8(a)及び(b)は還流板上面の突起の他の例を示す側面図であり、図8(c)は還流板上面の溝の他の例を示す正面図である。図8(a)の還流板27には断面が扇状の突起27bが設けられており、図8(b)の還流板28には断面が直角三角形状の突起28bが設けられている。また、図8(c)の還流板29には半筒状の溝29bが設けられている。
【0064】
また、攪拌ローラ7には、強度を補強するためのリブを設けることも可能である。図9(a)、(b)は攪拌ローラの他の例を示す図であり、図9(a)は還流板6上方から見た上面図であり、図9(b)は搬送ローラ8側から見た側面図であり、攪拌ローラ7には、攪拌羽根7aと、強度補強用のリブ7bが設けられている。また、攪拌羽根7aの形状、大きさ、攪拌ローラ中心軸に対する傾斜角度などは任意に決定するすることが可能である。
【0065】
以上のように構成された現像装置は例えば電子写真プロセス部を有するデジタル複写機(画像形成装置)に装着される。図10は本発明に係る現像装置が装着された画像形成装置の要部の構成を示す縦断正面図である。画像形成装置は、原稿の画像を読み取るためのスキャナ20と、周面に静電潜像が担持される回転可能な感光体ドラム2(画像形成部)と、感光体ドラム2を帯電する帯電手段21と、原稿画像に対応する静電潜像を感光体ドラム2に担持させるレーザービームスキャナーを有する露光手段と、前記静電潜像を現像する現像装置Aと、現像された感光体ドラム2のトナー画像をシートに転写する転写手段22と、感光体ドラム2に残留する現像剤を除去するクリーニング手段と、感光体ドラム2の帯電を取り除く除電手段と、感光体ドラム2に向けてシートを供給するシート供給ユニット23と、画像が形成されたシートを後処理するシート後処理部24とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る現像装置の構成を示す断面図である。
【図2】現像ローラ及び還流板等の支持構造を示す分解斜視図である。
【図3】安息角の説明図である。
【図4】還流板及び攪拌ローラの例を示す図である。
【図5】還流板から攪拌ローラに落下した現像剤の攪拌状態を示す概念図である。
【図6】還流板の他の例を示す斜視図である。
【図7】還流板の他の例を示す斜視図である。
【図8】(a)及び(b)は還流板上面の突起の他の例を示す側面図であり、(c)は還流板上面の溝の他の例を示す正面図である。
【図9】攪拌ローラの他の例を示す図である。
【図10】本発明に係る現像装置が装着された画像形成装置の要部の構成を示す縦断正面図である。
【図11】従来の現像装置の構成を示す断面図である。
【図12】従来の還流板及び攪拌ローラの概略を示す斜視図である。
【図13】仕切が設けられた従来の還流板上を流れる現像剤の例を示す斜視図である。
【図14】従来の還流板から攪拌ローラに落下した現像剤の攪拌状態を示す概念図である。
【符号の説明】
【0067】
1 ケース
1b 現像剤補給部
2 感光体ドラム(画像形成部)
3 現像ローラ
4 規制部材
5 摺擦部材
6,16,17,18,19,20,27,28,29 還流板
6a,16a,18a,19a,20a 凸部
17b,18b 凹部
19b,27b,28b 突起
20b,29b 溝
7 撹拌ローラ
7a 攪拌羽根
7b リブ
8 搬送ローラ
11 支持部材
12 第1現像剤滞留抑制部材
13 第2現像剤滞留抑制部材
31 マグネットローラ
32 スリーブ
A 現像装置
G1 第1ギャップ
G2 第2ギャップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤を攪拌する攪拌ローラと、現像剤を静電潜像へ搬送する現像ローラと、該現像ローラによって静電潜像へ搬送される現像剤量を規制する規制部材と、該規制部材の規制による余剰現像剤を前記攪拌ローラへ還流させる還流板とを備える現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は従来の現像装置の構成を示す断面図である。電子写真方式を採用した複写機等の画像形成装置に用いる現像装置は、2成分の現像剤が収容されるケース104と、ケース104内の現像剤を攪拌する攪拌ローラ105と、現像剤を静電潜像に搬送する現像ローラ101と、静電潜像へ搬送される現像剤量を規制する規制部材102と、規制部材102によって規制された余剰現像剤を攪拌ローラ105へ還流させる還流板103とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
現像ローラ101は、周方向の複数位置に磁極N及び磁極Sが交互に配設された非回転のマグネットローラ100と、マグネットローラ100に回転自在に外嵌された非磁性のスリーブ106とを備えている。還流板103は、一縁が攪拌ローラ105の上方に配置され、前記一縁の反対側は現像ローラ101の上方に配置されている。図12は、還流板103及び攪拌ローラ105の概略を示す斜視図である。還流板103は長方形状であり、攪拌ローラ105には、攪拌羽根105aが攪拌ローラ105の中心軸に沿って複数設けられている。攪拌羽根105aは、円板形状であり、攪拌ローラ105の中心軸に対して所定方向に傾斜されている。
【0004】
このように構成された現像装置は、ケース104内に収容された2成分の現像剤のキャリア(磁性粉体)及びトナーが攪拌ローラ105の回転(図では反時計回り)によって攪拌され、キャリアの周面にトナーが付着する。また、現像ローラ101のスリーブ106が回転(図では反時計回り)することにより、現像剤が現像ローラ101及び規制部材102間のギャップに向けて搬送され、静電潜像への搬送量が規制部材102によって規制される。ギャップを通過した現像剤は静電潜像へ搬送され、規制部材102によって規制された余剰現像剤は規制部材102及び還流板103間の空間に滞留する。滞留量が増加した現像剤は、還流板103へ流動し、還流板103に案内されて攪拌ローラ105へ還流される。また、還流板103上に仕切を設ける場合もある(例えば、特許文献2参照)。図13は、仕切103bが設けられた還流板103a上を流れる現像剤の例を示す斜視図である。
【特許文献1】特開平1−237577号公報
【特許文献1】特開平3−89273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図14(a)及び(b)は、還流板から攪拌ローラに落下した現像剤の攪拌状態を示す概念図である。ここで、図14(a)及び(b)は、還流板103の上面側から見た図であり、各図の攪拌ローラ105は互いに半回転ずれた状態である。現像剤は還流板103の前記一縁からほぼ一列に並んだ状態で攪拌ローラ105に落下するため、落下した現像剤は攪拌羽根105aによって殆どが同方向に移動することになる。そのため、現像剤の攪拌性が低いという問題がある。また、図13に示したように、還流板103aに仕切103bを設けた場合、構造が複雑になりコストが増大するという問題、及び、仕切103b周辺の現像剤の流量が低下するため、仕切103bがある部分とない部分との現像剤の流量に差が生じ、現像剤の攪拌性が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、攪拌ローラの上方に配置された還流板の一縁を非直線にしたことにより、現像剤の攪拌性を向上させた現像装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、還流板の前記一縁に複数の凸部又は複数の凹部を設けることにより、現像剤の攪拌性を向上させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記凸部又は凹部を攪拌ローラの攪拌羽根と同一間隔で配置することにより、現像剤の攪拌性を向上させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0009】
また、本発明は、還流板の上面の前記一縁付近に突起を設けたことにより、現像剤が落下する際の拡散性を向上させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、還流板の上面の前記一縁付近に、現像剤の還流方向に沿った溝を設けたことにより、現像剤の還流を安定させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、還流板の傾斜角を安息角よりも大きくすることにより、現像剤の還流を安定させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0012】
また、本発明は、還流板の前記一縁を、撹拌ローラの現像剤補給部側の上方に配置することにより、還流された現像剤及び補給された現像剤の混合を向上させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0013】
また、本発明は、小粒径現像剤を用いることにより、画質を向上させた現像装置を提供することを他の目的とする。
【0014】
また、本発明は、シートに形成される画像の画質を安定化できる画像形成装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る現像装置は、現像剤を攪拌する攪拌ローラと、現像剤を静電潜像へ搬送する現像ローラと、該現像ローラによって静電潜像へ搬送される現像剤量を規制する規制部材と、該規制部材の規制による余剰現像剤を前記攪拌ローラへ還流させる還流板とを備え、該還流板の一縁は前記攪拌ローラの上方に配置されている現像装置において、前記還流板の前記一縁は非直線であることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る現像装置は、前記還流板の前記一縁に、前記還流板と平行な方向に複数の凸部又は複数の凹部を有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る現像装置は、前記攪拌ローラは中心軸に沿って複数の攪拌羽根を備えており、前記凸部又は凹部は攪拌羽根と同一間隔で配置されていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る現像装置は、前記還流板の上面の前記一縁付近に、突起を有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る現像装置は、前記還流板の上面の前記一縁付近に、現像剤の還流方向に沿った溝を有することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る現像装置は、前記還流板は安息角よりも大きい角度で傾斜していることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る現像装置は、現像剤が補給される現像剤補給部を備え、該現像剤補給部及び前記現像ローラ間に前記攪拌ローラを配置してあり、前記還流板の前記一縁は、攪拌ローラの現像剤補給部側の上方に配置されていることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る現像装置は、前記現像剤は、平均粒径65μm以下の磁性粉体及び平均粒径7.5μm以下のトナーを含むことを特徴とする。
【0023】
本発明に係る画像形成装置は、静電潜像を現像する上述した現像装置と、該現像装置が現像した画像をシートに形成する画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、攪拌ローラの上方に配置される還流板の一縁が非直線であり、攪拌ローラ中心軸と垂直な方向に対する現像剤の落下位置は一定ではない。現像剤の落下位置が一定でないため、現像剤の攪拌性が向上する。
【0025】
本発明においては、還流板は、前記一縁に、前記還流板と平行な方向に複数の凸部又は複数の凹部を有しており、攪拌ローラ中心軸と垂直な方向に対する現像剤の落下位置が、前記凸部又は凹部が設けられた部分とそうでない部分とで異なる。現像剤の落下位置が異なるため、現像剤の攪拌性が向上する。
【0026】
本発明においては、前記凸部又は凹部は、攪拌ローラの中心軸に沿って設けられた攪拌羽根と同一間隔で配置されており、前記凸部又は凹部から落下した現像剤と、前記凸部又は凹部が設けられていない部分から落下した現像剤とは、攪拌羽根毎に、前記中心軸と垂直な方向に対して異なる位置に落ちる。攪拌羽根毎に現像剤が異なる位置に落ちるため、現像剤の攪拌性が向上する。
【0027】
本発明においては、還流板の上面の前記一縁付近に、突起を有しており、還流する現像剤は前記突起に接触して拡散する。現像剤が拡散することにより、前記一縁から落下する際の現像剤の拡散性を向上させることができる。また、現像剤が拡散して落下することにより、攪拌ローラによる攪拌性が向上する。
【0028】
本発明においては、還流板の上面の前記一縁付近に、現像剤の還流方向に沿った溝を有しており、還流する現像剤は前記溝によって前記一縁まで案内される。前記溝に現像剤が流れ込むことにより、現像剤が還流しやすくなり、前記一縁から安定して現像剤を落下させることができる。また、現像剤の落下が安定することにより、攪拌ローラによる攪拌性も向上する。
【0029】
本発明においては、還流板の傾斜角を、堆積した現像剤が崩れずに安定を保つ安息角よりも大きくしているため、還流板に現像剤が堆積するのを防止できる。還流板に現像剤が堆積せず、還流を安定させることができる。
【0030】
本発明においては、還流板の一縁を、撹拌ローラの現像剤補給部側の上方に配置しており、還流板から撹拌ローラの現像剤補給部側へ余剰現像剤が還流されるため、還流された現像剤及び現像剤補給部から補給された現像剤の混合を向上できる。
【0031】
本発明においては、平均粒径65μm以下の磁性粉体及び平均粒径7.5μm以下のトナーを含む小粒径現像剤を用いており、画質を向上できる。ただし、小粒径化された現像剤は凝集し易いため、流動性が悪化して還流が不安定になる傾向がある。本発明では上述したように、現像剤の攪拌性を向上させたり、現像剤の還流板上の堆積を防止したり、現像剤の還流を安定させることができるため、小粒径現像剤を用いた場合であっても、現像剤の還流を安定して行うことができる。
【0032】
本発明においては、上述した本発明の現像装置で静電潜像を現像し、画像形成部で前記現像した画像をシートに形成しているため、上述したように、現像剤の還流を安定して行える。そのため、シートに形成される画質を安定化できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、攪拌ローラ中心軸と垂直な方向に対する現像剤の落下位置が一定でないため、現像剤の攪拌性が向上する。
【0034】
本発明によれば、還流板の凸部又は凹部が設けられた部分と設けられていない部分とでは、攪拌ローラ中心軸と垂直な方向に対して、攪拌羽根の異なる位置に現像剤が落下するため、現像剤の攪拌性が向上する。
【0035】
本発明によれば、還流板の一縁付近に設けられた突起に接触した現像剤が拡散し、前記一縁から落下する際の現像剤の拡散性を向上させることができる。また、現像剤が拡散して落下することにより、攪拌ローラによる攪拌性が向上する。
【0036】
本発明によれば、還流板の一縁付近に設けられた溝に流れ込んだ現像剤は還流しやすくなり、前記一縁から安定して落下させることができる。また、現像剤の落下が安定することにより、攪拌ローラによる攪拌性が向上する。
【0037】
本発明によれば、還流板に現像剤が堆積するのを防止し、現像剤の還流を安定させることができる。
【0038】
本発明によれば、還流された現像剤及び現像剤補給部から補給された現像剤の混合を向上できる。現像剤の混合を向上させて、画質を安定化できる。
【0039】
本発明によれば、小粒径現像剤を用いることにより、画質を向上できる。また、小粒径現像剤を用いた場合であっても、上述したように、現像剤の還流を安定して行うことができる。
【0040】
本発明によれば、上述したように現像剤の還流を安定して行える現像装置を用いることにより、シートに形成される画像の画質を安定化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る現像装置の構成を示す断面図である。現像装置は、2成分の現像剤が収容されるケース1と、ケース1内の現像剤を撹拌する撹拌ローラ7と、感光体ドラム2に担持された静電潜像へ現像剤を搬送し、前記静電潜像を現像するための現像ローラ3と、現像ローラ3との間で現像剤の静電潜像への搬送量を規制する規制部材4と、現像ローラ3及び規制部材4間の第1ギャップG1よりも大きい第2ギャップG2を空けて現像ローラ3と向き合い、第1ギャップG1へ搬送する現像剤の層厚を規制すると共に現像剤を摺擦するための摺擦部材5と、規制部材4によって規制された余剰現像剤を撹拌ローラ7へ還流する還流板6とを備えている。尚、規制部材4及び摺擦部材5は現像ローラ3に対応する長さに形成されている。
【0042】
ケース1は感光体ドラム2の周面に臨む位置に開放部1aが設けられた略角柱形をしており、開放部1aの反対側には現像剤補給部1bが開設されている。ケース1内の開放部1aに臨む位置には現像ローラ3及び規制部材4が配置され、現像剤補給部1bに臨む位置には撹拌ローラ7が配置されている。また、現像剤補給部1bと撹拌ローラ7との間には、現像剤補給部1bからケース1内へ供給された現像剤(トナー)を撹拌ローラ7へ搬送する搬送ローラ8が配置されている。撹拌ローラ7及び搬送ローラ8は反時計回りに回転するように構成されている。また、撹拌ローラ7の下側にはケース1内のトナーの濃度を検出するための透磁率センサ9が設けられており、撹拌ローラ7によって撹拌されるトナー量が適正量よりも減少した場合は、検出値に基づいて現像剤補給部1bからトナーを補給するように構成されている。
【0043】
現像ローラ3は、周方向の複数位置に断面形状が長方形の棒磁石からなる磁極N1,N2,N3及び磁極S1,S2,S3,S4が放射状に配設された多極着磁のマグネットローラ31と、マグネットローラ31に外嵌された非磁性のスリーブ32とを備えている。マグネットローラ31は非回転であるが、スリーブ32は反時計回りに回転するように構成されている。マグネットローラ31は両端がケース1の両側壁に非回転に支持されており、磁極N1が感光体ドラム2の周面と向き合う位置に配置され、磁極N2が第2ギャップG2と向き合う位置に配置されている。磁極N1,N2は、幅寸法(現像ローラ3の周方向の長さ)の中央が磁極の中心(磁極中心軸P1,P2)となっている。
【0044】
感光体ドラム2の周面と向き合う磁極N1は、感光体ドラム2の中心軸O1及び現像ローラ3の中心軸O2を通る直線に対して、磁極中心軸P1が現像剤の搬送上流側(磁極S1側)へ3°変位するように配置されている。磁極中心軸P1の変位量は計測器により計測される。この計測器は、例えば感光体ドラム2の中心軸O1を中心として回動する磁性の指針を有しており、この指針の回動角度に基づいて前記変位量が検出される。また、規制部材4は、カバー体10が取着されており、ケース1の開放部1a内側の磁極S1及びN2の間に配置されている。尚、規制部材4と摺擦部材5とは、アルミニウム、ステンレス等の金属板により形成されている。
【0045】
規制部材4は、現像ローラ3との間で現像剤の搬送量を規制しつつ現像剤の主帯電を行うものであり、断面形状が長方形の非磁性の金属板からなり、規制部材4の一周面が現像ローラ3の周面と第1ギャップG1の間隔をあけて向き合っている。規制部材4と摺擦部材5とは線膨張係数がほぼ等しくなるように、例えば近似している材料で形成されており、規制部材4及び摺擦部材5が温度変化によって湾曲変位する場合においても、第1及び第2ギャップG1,G2の変動を最小限に抑えることができる。
【0046】
摺擦部材5は、現像ローラ3との間で第1ギャップG1へ搬送する現像剤の搬送量(層厚)を規制しつつ現像剤を摺擦して現像剤の予備帯電を行うものであり、摺擦部材5が非磁性の還流板6と一体に形成されている。還流板6は、現像ローラ3の上方(還流板6の上縁)から撹拌ローラ7の上方(還流板6の下縁)にかけて現像ローラ3側(上縁)が高くなるように傾斜配置されており、還流板6の上縁側を現像ローラ3側へ折り返すことにより折り返し片6aが形成されており、折り返し片6aを摺擦部材5としてある。
【0047】
第1ギャップG1へ現像剤を搬送するのに先立って、摺擦部材5によって現像剤を摺擦し、現像剤を予備帯電することができるため、2成分現像剤である場合、規制部材4によって発生した余剰の現像剤同士に反撥力を働かせて、余剰の現像剤同士を結合し難くでき、現像剤の循環をスムーズにすることができる。また、摺擦部材5と還流板6とが一体であるため、互いに補強し合って、現像剤を摺擦するときの抗力による摺擦部材5のギャップ拡大方向への変位を低減できる。なお、図1の例では摺擦部材5を還流板6に形成してあるが、摺擦部材は還流板とは別に形成された構成としてもよい。
【0048】
ケース1内に配置された規制部材4の近傍には、規制部材4によって搬送が規制された余剰現像剤が滞留するのを抑制するための第1現像剤滞留抑制部材12が設けられており、また、摺擦部材5の近傍には、第2ギャップG2へ搬送する現像剤が滞留するのを抑制するための第2現像剤滞留抑制部材13が取着されている。
【0049】
第1現像剤滞留抑制部材12及び第2現像剤滞留抑制部材13は現像ローラ3に対応する長さを有する金属又は合成樹脂等の非磁性材料からなる。第1現像剤滞留抑制部材12は、還流板6の上縁部及びケース1の上壁間に還流板6と離隔して配設されており、余剰現像剤を還流板6へスムーズに還流させる。尚、図1の第1現像剤滞留抑制部材12は規制部材4から還流板6の上縁部にかけて設けられているが、第1現像剤滞留抑制部材12の規制部材4からの長さは特に制限されない。また、第1現像剤滞留抑制部材12は規制部材4と一体であってもよい。第2現像剤滞留抑制部材13は、還流板6の上縁部から還流板6の下面に沿って配設されており、現像剤を第2ギャップG2へスムーズに搬送させる。尚、第2現像剤滞留抑制部材13は還流板6と一体であってもよい。
【0050】
図2は現像ローラ3及び還流板6等の支持構造を示す分解斜視図である。ケース1内に配置された現像ローラ3、規制部材4及び還流板6(摺擦部材5)は2つの共通の支持部材11,11に支持されており、支持部材11,11に支持した状態でケース1内に組み込めるように構成されている。また、攪拌ローラ7は、攪拌羽根7aが中心軸に沿って複数設けられている。攪拌羽根7aは、円板形状であり、攪拌ローラ7の中心軸に対して所定方向に傾斜している。
【0051】
還流板6は長方形状をしているが、下縁は、非直線であり、還流板6と平行な方向に凸部6aが設けられている。凸部6aは攪拌ローラ7の中心軸に沿った方向に複数設けられている。凸部6aは長方形状をしており、凸部6aの前記中心軸に沿った方向の幅と、凸部6a同士の間隔とは同じ長さである。現像剤は、還流板6の凸部6aから落下するものもあれば、凸部6aが設けられていない部分から落下するものもあり、横一列に並んで落下することはない。
【0052】
支持部材11,11は扁平の板体からなり、中央部には現像ローラ3の中心軸端部3a、3aが嵌入される大径の貫通孔11a,11aが穿設されている。また、支持部材11,11は、規制部材4に取着された第1現像剤滞留抑制部材12の両端部に穿設された複数のねじ孔12b,12bと向き合う小径の貫通孔11b,11b、及び、摺擦部材5及び還流板6に取着された第2現像剤滞留抑制部材13の両端部に穿設された複数のねじ孔13a,13aと向き合う小径の貫通孔11c,11cが穿設されている。
【0053】
そして、現像ローラ3の中心軸端部3a、3aが貫通孔11a,11aに嵌入され、支持部材11,11間に規制部材4及び摺擦部材5を配置した状態で貫通孔11b,11cからねじ孔12b,13aに小ねじ等の雄ねじを螺締することによりユニットを形成することができ、このユニットをケース1内に組み込むことができる。現像ローラ3、規制部材4及び還流板6(摺擦部材5)の相互の位置関係を精度良く維持することができるため、第1及び第2ギャップ量を維持することができる。しかも、現像ローラ3、規制部材4及び還流板6(摺擦部材5)をユニット化できるため、組立の作業性が向上する。また、支持部材11の形状及びケース1の形状を、支持部材11がケース1に正確に嵌合して固定されるように構成しておくことにより、還流板6の傾斜角度及び下縁の位置などを精度よく維持することができる。
【0054】
還流板6の傾斜角は、堆積した現像剤が崩れずに安定を保つ安息角よりも大きくなるようにしてある。ここで、図1は現像装置が水平に置かれた図であり、撹拌ローラ7の回転中心を原点として、水平右方向をX方向とし、鉛直上方向をY方向とし、傾斜角及び安息角はX方向を基準としている。図3(a)〜(c)は安息角の説明図である。図3(a)は水平状態の還流板6aの一端側に現像剤が堆積した図である。図3(b)は還流板6aの他端側を上げて傾斜させた図であるが、一端側に堆積した現像剤は崩れずに安定している。図3(c)は還流板6aをさらに傾斜させた図であり、一端側に堆積した現像剤は崩れている。現像剤の安息角はJISR9301−2−2で規定されているように、堆積した現像剤が崩れずに安定している最大傾斜角である。還流板6の傾斜角を安息角よりも大きくすることにより、還流板6上の現像剤の堆積を防止して、還流を安定して行うことができる。
【0055】
また、図1に示すように、撹拌ローラ7は、現像剤補給部1b及び現像ローラ3間に配置してあり、還流板6の下縁は、撹拌ローラ7の現像剤補給部1b側の上方に配置されている。図1の例では、還流板6の下縁は、撹拌ローラ7の回転中心軸O3よりも右側(X方向)に配置されている。余剰現像剤は還流板6によって撹拌ローラ7の現像剤補給部1b側に還流されるため、還流された現像剤と現像剤補給部1bから補給された現像剤との混合を向上できる。
【0056】
以上のように構成された現像装置のケース1内には2成分の現像剤が収容される。現像剤は磁性粉体等のキャリア及びトナーからなる。本実施の形態においては、一般的な粒径よりも小粒径の現像剤を用いている。キャリアは一般的な平均粒径が85μmであるのに対して、本実施の形態のキャリアは平均粒径を65μm以下としてある。また、トナーの一般的な平均粒径は8.5μmであるのに対して、本実施の形態のトナーは平均粒径を7.5μm以下としてある。小粒径の現像剤を用いることにより、画質を向上させることができる。
【0057】
感光体ドラム2に担持された静電潜像を現像する場合、感光体ドラム2は時計回りに回転し、現像ローラ3のスリーブ32及び撹拌ローラ7は反時計回りに回転し、ケース1内の現像剤は撹拌ローラ7により撹拌されつつ現像ローラ3により第2ギャップG2へ搬送され、この第2ギャップG2により搬送量(層厚)が規制され、摺擦部材5によって摺擦されつつ第2ギャップG2を通過する。
【0058】
第2ギャップG2へ搬送される現像剤は第2現像剤滞留抑制部材13により滞留が抑制されつつ第2ギャップG2へスムーズに搬送される。第2ギャップG2を通過した現像剤は第1ギャップG1へ搬送される。第2ギャップG2は第1ギャップG1よりも大きく設定してあるため、規制部材4により余剰現像剤を確実に発生させ、余剰現像剤は第1現像剤滞留抑制部材12により滞留が抑制されつつ還流板6側へ還流され、還流板6により撹拌ローラ7へ還流され、全体として還流板6の周りを現像剤が循環する。還流板6の下縁の形状は、上述したように凸部6aが設けられ、非直線であるため、現像剤の落下位置が変化し、攪拌性が向上する。また、還流板6の傾斜角は安息角よりも大きいため、還流を安定して行うことができる。さらに、還流板6には仕切がないため、現像剤の還流を安定し、攪拌性を向上させることができる。
【0059】
上述した実施の形態において、還流板6の凸部6aの幅及び凸部6aの間隔は、攪拌ローラ7の攪拌羽根7aの間隔(ピッチ)と同じにすることが好ましい。図4は還流板及び攪拌ローラの例を示す図であり、図4(a)は還流板6上方から見た上面図であり、図4(b)は搬送ローラ8側から見た側面図であり、還流板6の凸部6aの幅及び凸部6aの間隔は、攪拌ローラ7の攪拌羽根7aの間隔(ピッチ)と同じである。また、図4(a)に示すように、還流板6の凸部6a先端は、攪拌ローラ7の中心軸を若干超えた位置に配置され、還流板7の凸部7aが設けられていない部分の根元は、攪拌ローラ7の外周上方よりも若干内側に配置されている。
【0060】
図5(a)及び(b)は、還流板から攪拌ローラに落下した現像剤の攪拌状態を示す概念図である。ここで、図5(a)及び(b)は、還流板6の上方から見た図であり、各図の攪拌ローラ7は互いに半回転ずれている。現像剤は還流板6の凸部6aから落下するものもあれば、凸部6aが設けられていない部分から落下するものもある。そのため、図5(a)、(b)に示すように、現像剤は、攪拌ローラ7の中心軸を境にして手前側(x方向側)に落下するものもあれば、奥側(−x方向)に落下するものもある。攪拌ローラ7に落下した現像剤は、攪拌羽根7aによって攪拌されるが、落下位置(手前側と奥側)が異なることに加え、手前側と奥側では移動方向が逆になるため、現像剤の攪拌性が更に向上する。
【0061】
上述した各実施の形態では、長方形状の凸部を設けた還流板を例にして説明したが、凸部の形状は長方形状に限定はされず、任意形状とすることが可能である。また、還流板の下縁は、非直線であればよく、下縁に凸部を形成することに限定はされず、下縁に凹部を設けるなど、任意に変形して非直線形状にすることが可能である。図6(a)〜(c)は、還流板の他の例を示す斜視図である。図6(a)の例では、還流板16の下縁に半円状の凸部16aが設けられており、図6(b)の例では、還流板17の下縁に半円状の凹部17bが設けられており、図6(c)の例では、還流板18の下縁に半円状の凸部18a及び凹部18bが設けられている。
【0062】
また、還流板上面の下縁付近に突起又は溝を設けることも可能である。図7(a)及び(b)は、還流板の他の例を示す斜視図である。図7(a)の例では、還流板19上面の凸部19a先端付近及び凸部が設けられていない部分の先端付近に半円柱状の突起19bが設けられている。現像剤は、突起19bと接触して散らばり、拡散して落下するため、攪拌性が向上する。また、図7(b)の例では、還流板20上面の凸部20a先端付近及び凸部が設けられていない部分の先端付近に、還流方向(矢印方向)に沿ったV字状の溝20bが形成されている。現像剤は、溝20bに案内されて落下するため、還流が安定する。
【0063】
なお、上述した突起の形状は半円柱状に限定はされず任意である。また、上述した溝の形状はV字状に限定はされず任意である。図8(a)及び(b)は還流板上面の突起の他の例を示す側面図であり、図8(c)は還流板上面の溝の他の例を示す正面図である。図8(a)の還流板27には断面が扇状の突起27bが設けられており、図8(b)の還流板28には断面が直角三角形状の突起28bが設けられている。また、図8(c)の還流板29には半筒状の溝29bが設けられている。
【0064】
また、攪拌ローラ7には、強度を補強するためのリブを設けることも可能である。図9(a)、(b)は攪拌ローラの他の例を示す図であり、図9(a)は還流板6上方から見た上面図であり、図9(b)は搬送ローラ8側から見た側面図であり、攪拌ローラ7には、攪拌羽根7aと、強度補強用のリブ7bが設けられている。また、攪拌羽根7aの形状、大きさ、攪拌ローラ中心軸に対する傾斜角度などは任意に決定するすることが可能である。
【0065】
以上のように構成された現像装置は例えば電子写真プロセス部を有するデジタル複写機(画像形成装置)に装着される。図10は本発明に係る現像装置が装着された画像形成装置の要部の構成を示す縦断正面図である。画像形成装置は、原稿の画像を読み取るためのスキャナ20と、周面に静電潜像が担持される回転可能な感光体ドラム2(画像形成部)と、感光体ドラム2を帯電する帯電手段21と、原稿画像に対応する静電潜像を感光体ドラム2に担持させるレーザービームスキャナーを有する露光手段と、前記静電潜像を現像する現像装置Aと、現像された感光体ドラム2のトナー画像をシートに転写する転写手段22と、感光体ドラム2に残留する現像剤を除去するクリーニング手段と、感光体ドラム2の帯電を取り除く除電手段と、感光体ドラム2に向けてシートを供給するシート供給ユニット23と、画像が形成されたシートを後処理するシート後処理部24とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る現像装置の構成を示す断面図である。
【図2】現像ローラ及び還流板等の支持構造を示す分解斜視図である。
【図3】安息角の説明図である。
【図4】還流板及び攪拌ローラの例を示す図である。
【図5】還流板から攪拌ローラに落下した現像剤の攪拌状態を示す概念図である。
【図6】還流板の他の例を示す斜視図である。
【図7】還流板の他の例を示す斜視図である。
【図8】(a)及び(b)は還流板上面の突起の他の例を示す側面図であり、(c)は還流板上面の溝の他の例を示す正面図である。
【図9】攪拌ローラの他の例を示す図である。
【図10】本発明に係る現像装置が装着された画像形成装置の要部の構成を示す縦断正面図である。
【図11】従来の現像装置の構成を示す断面図である。
【図12】従来の還流板及び攪拌ローラの概略を示す斜視図である。
【図13】仕切が設けられた従来の還流板上を流れる現像剤の例を示す斜視図である。
【図14】従来の還流板から攪拌ローラに落下した現像剤の攪拌状態を示す概念図である。
【符号の説明】
【0067】
1 ケース
1b 現像剤補給部
2 感光体ドラム(画像形成部)
3 現像ローラ
4 規制部材
5 摺擦部材
6,16,17,18,19,20,27,28,29 還流板
6a,16a,18a,19a,20a 凸部
17b,18b 凹部
19b,27b,28b 突起
20b,29b 溝
7 撹拌ローラ
7a 攪拌羽根
7b リブ
8 搬送ローラ
11 支持部材
12 第1現像剤滞留抑制部材
13 第2現像剤滞留抑制部材
31 マグネットローラ
32 スリーブ
A 現像装置
G1 第1ギャップ
G2 第2ギャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を攪拌する攪拌ローラと、現像剤を静電潜像へ搬送する現像ローラと、該現像ローラによって静電潜像へ搬送される現像剤量を規制する規制部材と、該規制部材の規制による余剰現像剤を前記攪拌ローラへ還流させる還流板とを備え、該還流板の一縁は前記攪拌ローラの上方に配置されている現像装置において、
前記還流板の前記一縁は非直線であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記還流板の前記一縁に、前記還流板と平行な方向に複数の凸部又は複数の凹部を有することを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記攪拌ローラは中心軸に沿って複数の攪拌羽根を備えており、
前記凸部又は凹部は攪拌羽根と同一間隔で配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の現像装置。
【請求項4】
前記還流板の上面の前記一縁付近に、突起を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかひとつに記載の現像装置。
【請求項5】
前記還流板の上面の前記一縁付近に、現像剤の還流方向に沿った溝を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかひとつに記載の現像装置。
【請求項6】
前記還流板は安息角よりも大きい角度で傾斜していることを特徴とする請求項1乃至5の何れかひとつに記載の現像装置。
【請求項7】
現像剤が補給される現像剤補給部を備え、該現像剤補給部及び前記現像ローラ間に前記攪拌ローラを配置してあり、
前記還流板の前記一縁は、攪拌ローラの現像剤補給部側の上方に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかひとつに記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤は、平均粒径65μm以下の磁性粉体及び平均粒径7.5μm以下のトナーを含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れかひとつに記載の現像装置。
【請求項9】
静電潜像を現像する請求項1乃至8の何れかひとつの現像装置と、
該現像装置が現像した画像をシートに形成する画像形成部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
現像剤を攪拌する攪拌ローラと、現像剤を静電潜像へ搬送する現像ローラと、該現像ローラによって静電潜像へ搬送される現像剤量を規制する規制部材と、該規制部材の規制による余剰現像剤を前記攪拌ローラへ還流させる還流板とを備え、該還流板の一縁は前記攪拌ローラの上方に配置されている現像装置において、
前記還流板の前記一縁は非直線であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記還流板の前記一縁に、前記還流板と平行な方向に複数の凸部又は複数の凹部を有することを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記攪拌ローラは中心軸に沿って複数の攪拌羽根を備えており、
前記凸部又は凹部は攪拌羽根と同一間隔で配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の現像装置。
【請求項4】
前記還流板の上面の前記一縁付近に、突起を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかひとつに記載の現像装置。
【請求項5】
前記還流板の上面の前記一縁付近に、現像剤の還流方向に沿った溝を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかひとつに記載の現像装置。
【請求項6】
前記還流板は安息角よりも大きい角度で傾斜していることを特徴とする請求項1乃至5の何れかひとつに記載の現像装置。
【請求項7】
現像剤が補給される現像剤補給部を備え、該現像剤補給部及び前記現像ローラ間に前記攪拌ローラを配置してあり、
前記還流板の前記一縁は、攪拌ローラの現像剤補給部側の上方に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかひとつに記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤は、平均粒径65μm以下の磁性粉体及び平均粒径7.5μm以下のトナーを含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れかひとつに記載の現像装置。
【請求項9】
静電潜像を現像する請求項1乃至8の何れかひとつの現像装置と、
該現像装置が現像した画像をシートに形成する画像形成部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−189731(P2006−189731A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3131(P2005−3131)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]