説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】層厚規制部材の端部やギャップ規制部材の周囲に対してクリーニング作業が行い易い現像装置を提供する。
【解決手段】現像ローラ3に対峙して配置される層厚規制ブレード6は、スプリング部材11にて現像ローラ3に向かって付勢されている。層厚規制ブレード6を押し下げ、スプリング部材11を収縮させることで、現像ローラ3と層厚規制ブレード6との間に、クリーニング作業のためのクリーニングスペースCが形成される。また、ギャップ規制部材9は、層厚規制ブレード6における現像ローラ3対峙する辺に、スライド自在に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤を表面に担持して像担持体へと供給する現像剤担持体を備えた現像装置及び画像形成装置に関するものであり、より詳細には、現像剤担持体の表面に担持される現像剤の層の厚みを規制する層厚規制ブレード部材を備えた現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、キャリアとトナーとからなる2成分系の現像剤を用いて感光体(像担持体)表面の静電潜像の可視化(現像)を行う現像装置が多用されている。このような2成分系の現像剤を用いる現像装置において、現像剤は、回転駆動されるマグネットローラよりなる現像ローラ(現像剤担持体)の表面に担持されることで、感光体へと搬送される。
【0003】
現像ローラの表面に形成される現像剤の層(以下、現像剤層)は、現像ローラの磁力にて引き寄せられたキャリアと、このキャリアの周りに付着したトナーとからなる現像剤の穂立ちにて形成されている。ここで、トナーは、キャリアと摩擦されることで帯電し、クーロン力にてキャリアの表面に付着する。
【0004】
このような現像装置を搭載した画像形成装置において、現像ローラの表面に形成される現像剤層の厚み(穂立ちの高さ)は、形成される画像の画像濃度を左右する。そのため、現像ローラには、現像ローラの軸方向に対峙して層厚規制部材が配置され、表面に担持された現像剤層の厚みを規制するようになっている。層厚規制部材としては、ブレード状のものや、ローラ状のものなどがある。
【0005】
現像ローラの表面に担持された現像剤層の厚みは、層厚規制部材と現像ローラの表面との間のギャップに依存し、該ギャップが、所望する画像濃度になるように調整される。
【0006】
そして従来、このようなギャップを保持するために、現像装置、特に、現像ローラが長くなる高速機に搭載される現像装置においては、現像ローラの表面と層厚規制部材とに当接し、現像ローラの表面と層厚規制部材との間隔を規制するギャップ規制部材が設けられている。なお、ギャップ規制部材は、現像ローラの非画像形成領域に配置される。
【0007】
ギャップ規制部材が設けられた現像装置の従来技術として、例えば、特許文献1には、ローラ状の層厚規制部材の軸方向の両端部に、現像ローラのスリーブに当接する円柱状のギャップ規制部材を設け、該層厚規制部材を現像ローラのスリーブに弾性的に押し当てる構成が記載されている。
【特許文献1】特開平5−119630号公報(公開日:平成5年5月18日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ギャップ規制部材が設けられた従来の現像装置においては、ギャップ規制部材を設けたことを原因とする画像不良が引き起こされるといった問題がある。
【0009】
つまり、現像装置内の現像剤は、使用が進むにつれ、現像剤中にごみや紙粉等が混入され、凝集トナーも発生してくる。このようなごみや紙粉、凝集トナーは、現像剤の流れがよどみやすい層厚規制部材の端部、或いはギャップ規制部材の近傍に溜まり易い。そして、溜まったごみや紙粉、凝集トナーを起因とした異物が発生しやすくなる。
【0010】
このような異物が、現像剤に混ざると、画像不良が引き起こされる。そこで、従来から、画像不良を未然に防ぐために、サービスマンが定期的にクリーニング作業を行い、層厚規制部材の端部や、ギャップ規制部材に溜まった、ごみや紙粉、凝集トナーを取り除いて異物が発生しないようにしている。
【0011】
ところが、ギャップ規制部材が設けられた現像装置においては、ギャップ規制部材が邪魔になり、層厚規制部材の端部側に溜まったごみや紙粉、凝集トナーを十分に取り除くことができない。また、ギャップ規制部材の近傍も、ごみや紙粉、凝集トナーが溜まり易く、しかも隙間に詰まるように状態で溜まるため、十分に取り除くことが難しい。
【0012】
その結果、上述したように、十分なクリーニング作業が行えず、溜まったごみや紙粉、凝集トナーを起因とした異物が混入され易くなり、画像不良が発生する。もちろん、メンテナンスサイクルを短くすることで、画像不良の発生をある程度抑制することができるが、コストアップは避けられず、抜本的な解決策とはならない。
【0013】
なお、上記特許文献1に開示されている現像装置では、ギャップ規制部材が設けられた層厚規制部材を弾性的に現像ローラに押し当てる構成であるので、層厚規制部材が全く動かない構成に比しては、ややクリーニング作業が行い易いかもしれない。
【0014】
しかしながら、そもそも特許文献1の構成は、画像濃度に応じてギャップ調整を容易にすることを目的としたものであって、層厚規制部材の端部やギャップ規制部材近傍のクリーニング性を考慮したものではない。そのため、クリーニング不良が招く異物の混入による画像不良の問題を解決し得るものではない。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、層厚規制部材の端部やギャップ規制部材の周囲に対してクリーニング作業が行い易い現像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る現像装置及び画像形成装置は、上記課題を解決するために、表面に現像剤を担持する回転自在の現像剤担持体と、前記現像剤担持体の軸方向に対峙して配置され、前記現像剤担持体の表面に担持される現像剤の層の厚みを規制する層厚規制ブレード部材と、前記現像剤担持体の非画像形成領域に対応する部位にて、前記現像剤担持体と前記層厚規制ブレード部材とに当接して、前記現像剤担持体と前記層厚規制ブレード部材との間隔を規制するギャップ規制部材とを有する現像装置において、前記層厚規制ブレード部材は、弾性部材にて前記現像剤担持体に向かって付勢されており、前記弾性部材が収縮されることで、前記現像剤担持体と前記層厚規制ブレード部材との間に、クリーニング作業のためのスペースが形成されることを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、層厚規制ブレード部材は、弾性部材にて前記現像剤担持体に向かって付勢されており、弾性部材を収縮させることで、現像剤担持体と層厚規制ブレード部材との間に、クリーニング作業のためのスペースが形成される。
【0018】
したがって、ギャップ規制部材が設けられた構成であっても、クリーニング作業のためのスペースが形成されるので、このスペースを利用して、層厚規制部材の端部側やギャップ規制部材の近傍に溜まったごみや紙粉、凝集トナーを取り除くことができ、クリーニング作業が容易に実施できる。
【0019】
その結果、メンテナンスサイクルを短くすることなく、溜まったごみや紙粉、凝集トナーを起因とした異物による画像不良の発生を、効果的に抑制することができる。
【0020】
また、本発明に係る現像装置及び画像形成装置においては、さらに、前記層厚規制ブレード部材における相対する2面であって、前記現像剤担持体の軸方向に伸びると共に前記現像剤担持体に対峙する辺に連なる2面に、接触する案内部材が設けられていることを特徴とすることもできる。
【0021】
これによれば、層厚規制ブレード部材における、現像剤担持体の軸方向と直交する方向への移動が、案内部材にて規制される。これにより、層厚規制ブレード部材における長手方向の一辺が弾性部材にて支持された構成であっても、現像剤担持体の軸方向と直交する方向への位置ズレを効果的に防止して、現像剤担持体の中心軸に向かう方向に、層厚規制ブレード部材を、角度ずれを生じることなく移動させることができる。
【0022】
また、本発明に係る現像装置及び画像形成装置においては、さらに、前記ギャップ規制部材が、前記層厚規制ブレード部材における前記現像剤担持体に対峙する辺に、スライド自在に取り付けられていることを特徴とすることもできる。
【0023】
これによれば、ギャップ規制部材がスライド自在に取り付けられているので、ギャップ規制部材をスライド移動させることで、ギャップ規制部材の近傍に溜まったり、隙間に詰まったりしているごみや紙粉、凝集トナーを簡単に除去することができる。
【0024】
スライド自在に構成する場合、前記層厚規制ブレード部材における前記現像剤担持体に対峙する辺の長手方向両端側にテーパーを持たせることで、ギャップ規制部材のスライド移動が容易になり、軽く動かすことができ、作業性が良好になる。
【0025】
また、本発明の現像装置及び画像形成装置においては、さらに、前記ギャップ規制部材が、前記層厚規制ブレード部材における前記現像剤担持体に対峙する辺に、着脱自在に取り付けられていることを特徴とすることもできる。
【0026】
これによれば、ギャップ規制部材が着脱自在に取り付けられているので、ギャップ規制部材を取り外すことで、ギャップ規制部材の近傍に溜まったり、隙間に詰まったりしているごみや紙粉、凝集トナーを簡単に除去することができる。
【0027】
前記ギャップ規制部材の材質としては、樹脂やステンレス等を用いることができる。樹脂は、ステンレスに比して、現像剤担持体を磨耗させ難いといった利点がある。特に、強度、耐久性(耐摩耗性)に優れた硬質樹脂が好ましい。また、ステンレスは、非磁性のものであれば、強度、耐久性に優れている。
【0028】
層厚規制ブレード部材に取り付けられたギャップ規制部材は、例えば断面コの字型の形状を有するギャップ規制部材を、層厚規制ブレード部材における前記現像剤担持体に対峙する辺に嵌合してなる構成にて、実現することができる。
【0029】
また、本発明の現像装置及び画像形成装置においては、さらに、前記現像剤担持体における軸方向端部側の前記ギャップ規制部材が常時接触する部分に、超硬加工処理が施されていることを特徴とすることもできる。
【0030】
現像剤担持体の両端部は、ギャップ規制部材が常時接触することにより、磨耗され易く、磨耗されると、ギャップが変化してしまい、画像濃度が変化する。このように、現像剤担持体の両端部を磨耗し難い構成とすることで、ギャップGを長期間精度よく保つことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る現像装置及び画像形成装置は、以上のように、層厚規制ブレード部材は、弾性部材にて現像剤担持体に向かって付勢されており、弾性部材が収縮されることで、前記現像剤担持体と前記層厚規制ブレード部材との間に、クリーニング作業のためのスペースが形成される構成である。
【0032】
これによれば、ギャップ規制部材が設けられた構成であっても、クリーニング作業のためのスペースを利用して、層厚規制部材の端部側やギャップ規制部材の近傍に溜まったごみや紙粉、凝集トナーを取り除くことができる。
【0033】
その結果、層厚規制部材の端部やギャップ規制部材の周囲に対してクリーニング作業が行い易い現像装置を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の実施形態について図1ないし図9に基づいて説明すると以下の通りである。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0035】
まず、図2の模式図を用いて、実施の一形態である現像装置1を備えた電子写真方式の画像形成装置について説明する。なお、図2では、画像形成装置100として、感光体を複数備えたタンデム方式のカラー画像形成装置を例示しているが、多回転方式のカラー画像形成装置であっても、モノクロ画像形成装置であってもよく、現像装置1を搭載する画像形成装置の構成が図2の構成に何ら限定されるものではない。
【0036】
画像形成装置100は、ネットワークを介して接続された、図示しない各端末装置から送信される画像データや、スキャナによって読み取られた画像データに基づいて、用紙(記録材、転写媒体、記録紙)Pに対して、カラー画像或いはモノクロ画像を形成するプリンタである。
【0037】
画像形成装置100は、現像装置1を有する画像形成ステーション部50、用紙搬送部30、定着装置40、及び供給トレイ60を備えている。
【0038】
画像形成ステーション部50は、黄色画像用、マゼンタ画像用、シアン画像用、及び黒画像用の4つの画像形成ステーション50Y・50M・50C・50Bから構成される。具体的な配置としては、供給トレイ20と定着装置40との間において、供給トレイ20側から、黄色画像形成ステーション50Y、マゼンタ画像形成ステーション50M、シアン画像形成ステーション50C、黒画像形成ステーション50Bが、この順に並設されている。これら各色の画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bは、各々、実質的に同一の構成を有しており、画像データに基づいて、黄色、マゼンタ、シアン、及び黒の各画像を形成して、最終的に用紙P上に転写するものである。
【0039】
各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bはそれぞれ、感光体51を備え、該感光体51の周囲に、帯電ローラ52、露光装置53、現像装置1、転写ローラ55、及びクリーニング装置56が配置されている。
【0040】
感光体51は、感光性材料を表面に有するドラム形状であり、矢印F方向に回転駆動する。帯電ローラ52は、感光体51の表面を一様(均一)に帯電するものである。
【0041】
露光装置53は、画素データに基づいて、帯電された感光体51の表面を露光し、静電潜像を形成するものである。露光装置53には、各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bに応じて、黄、マゼンタ、シアン、或いは黒の色画像データが入力されるようになっており、対応する色に応じた静電潜像を形成する。露光装置53としては、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)や、発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッド等が用いられる。
【0042】
現像装置1は、トナーとキャリアとを含む2成分系の現像剤を用いて、感光体51上に形成された静電潜像を現像してトナー像(可視像)を形成するものである。現像装置1には、各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bに応じて、黄、マゼンタ、シアン、或いは黒の現像剤が用いられる。詳細については後述するが、現像装置1はトリクル方式を採用している。
【0043】
転写ローラ55は、感光体51上のトナー像を、後述する搬送ベルト33にて搬送される用紙P上に転写するものであり、トナーとは逆極性のバイアス電圧が印加される。クリーニング装置56は、用紙Pへの画像転写後に感光体51上に残留しているトナーを除去するものである。
【0044】
用紙搬送部30は、駆動ローラ31、従動ローラ32、及び搬送ベルト33を備え、各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bに対して、トナー像を転写するための用紙Pを搬送するものである。搬送ベルト33は、駆動ローラ31と従動ローラ32とに巻回されており、供給トレイ60から送り込まれた用紙Pを、各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bへと順に搬送する。
【0045】
搬送される用紙Pには、各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bの感光体51との対向位置を通過する際に、搬送ベルト33の裏面に配された上述の転写ローラ55による転写電界の作用にて、感光体51上のトナー像が順次、重なり合うように転写される。
【0046】
定着装置40は、加熱ローラ41および加圧ローラ42を備え、これらのニップ部に用紙Pを搬送することで、用紙Pにトナー像を熱圧着して定着させるものである。定着装置40によってトナー像の定着処理が行われた後の用紙Pは図示しない排紙トレイに排出される。
【0047】
次に、上記現像装置1について詳細に説明する。図3に示すように、現像装置1は、トナーとキャリアとを含む2成分系の現像剤を収容する現像槽2を備えている。なお、図3においては、図2の概略図面とは現像装置1の向きが左右逆になっている。また、図3においては、後述するカバー部材10、スプリング部材11等の記載は、省略されている。
【0048】
上記現像槽2の内部には、現像剤の搬送及び撹拌を行う2つの撹拌/搬送部材4・5が配設されている。現像剤中のトナーは、撹拌/搬送部材・5の撹拌動作によってキャリアと撹拌されて摩擦帯電される。
【0049】
現像槽2における感光体51と対向する位置には、現像用開口が設けられ、該開口より一部を露出させた状態で、現像ローラ(現像剤担持体)3が配されている。現像ローラ3は、周面に多数の磁極を有するマグネットローラと、これを覆う円筒形状の非磁性のスリーブとを有し、スリーブが矢印方向に回転駆動するように構成されている。
【0050】
磁性体よりなるキャリアを含む現像剤は、マグネットの磁力によりスリーブ表面に吸着され、スリーブの回転により、回転方向に沿って搬送される。このとき、キャリアは磁力によってスリーブ表面に吸着されて磁気ブラシを形成し、トナーは摩擦帯電によるクーロン力にてキャリアに付着している。
【0051】
現像用開口におけるスリーブ回転方向上流側には、現像ローラ3表面に形成された磁気ブラシの穂立ちの高さ(現像剤の層厚)を規制するための層厚規制ブレード(層厚規制ブレード部材)6が配置されている。これにより、感光体51との対向位置には一定量の現像剤が供給されることとなる。
【0052】
感光体51との対向位置へと搬送された現像剤は、その中のトナーが、感光体51表面に形成された静電潜像の静電気力にて吸引され、静電潜像を現像してトナー像を形成する。一方、キャリア及び現像に供されなかったトナーは、スリーブの回転にて再び現像槽2内に戻される。また、現像槽2の上部には、現像槽2内に新しい現像剤を補給するための現像剤補給部7が設けられている。
【0053】
ここまでの構成は、現像装置の一般的な構成である。本実施形態の現像装置1における注目すべき構成は、前述した層厚規制ブレード6が、スプリング部材(弾性部材)にて現像ローラ3に向かって付勢されており、スプリング部材が収縮されることで、現像ローラ3と層厚規制ブレード6との間に、クリーニングためのスペースが形成される点である。
【0054】
図1(a)(b)を用いて、クリーニングのためのスペースを確保するための構成を詳細に示す。図1(a)は、層厚規制ブレード6周辺の構成を模式的に示す平面図であり、図1(b)は、その側面図である。
【0055】
図1(a)(b)に示すように、層厚規制ブレード6は、現像ローラ3の軸方向に長い(例えば、330mm)、ステンレス(例えば、SUS304)等からなる厚さ2mm程度の平板状をなし、現像ローラ3にその軸方向に沿って対峙して配されている。層厚規制ブレード6における現像ローラ3に対峙する辺には、現像ローラ3と層厚規制ブレード6とに当接し、現像ローラ3と層厚規制ブレード6との間に形成されるギャップGの寸法(現像ローラ3と層厚規制ブレード6との間隔)を規制するギャップ規制部材9が取り付けられている。
【0056】
ギャップ規制部材9が設けられることで、層厚規制ブレード6を現像ローラ3に押し付けるようにして保持することで、ギャップGの寸法を、現像ローラ3の軸方向において、ギャップ規制部材9の厚さ分に適切に保持することができる。ギャップ規制部材9の厚さは、必要なギャップGの厚さ(例えば、0.4mm〜0.6mm)に調整されている。
【0057】
このようなギャップ規制部材9は、層厚規制ブレード6における両端部にそれぞれ配置されており、現像ローラ3とは、その両端部の画像形成に関わらない非画像形成領域において当接する。
【0058】
また、図1(a)に示すように、現像ローラ3における両端部のギャップ規制部材9が常時接触する部分3aには、超硬加工処理が施されている。現像ローラ3における両端部は、ギャップ規制部材9が常時接触することにより、磨耗され易い。磨耗が起こると、ギャップGが変化してしまい、画像濃度に影響する。現像ローラ3の両端部を磨耗し難い構成とすることで、ギャップGを長期間精度よく保つことができる。
【0059】
このような超硬化加工処理には、例えば、アルミ合金に高い耐磨耗性を付与するのに用いられている、ダイモンドコーティング技術や、超微結晶ダイヤモンドコーティング技術、DLC(Diamond like Carbon)コーティングを用いることができる。
【0060】
ダイヤモンドコーティングは、天然ダイヤに順ずる硬さを有している。超微結晶ダイヤモンドコーティングでは、さらに、ダイヤモンドコーティングでは実現できない加工面粗さをさらに実現できる。DLCは、グラファイトとダイヤモンドの中間の物性で、低摩耗係数、高硬度、耐磨耗性に優れている(これらの技術については、日本機会学会誌(発行人:日本機械学会)2001.10 Vol.104 No.995 第709頁、第710頁に記載されている)。
【0061】
さらに、本実施形態の現像装置1においては、層厚規制ブレード6は、現像ローラ3と対峙する辺とは逆側の辺において、弾性部材であるスプリング部材(例えば、材質SUS304,ばね定数k=2.0N/mm)11にて支持され、該スプリング部材11の弾性にて、層厚規制ブレード6は現像ローラ3に向かって付勢されている。
【0062】
スプリング部材11としては、層厚規制ブレード6を現像ローラ3に向かって、現像剤層の厚みを規制し得るに問題のない力で付勢し得るものであることは当然であるが、別の要件として、層厚規制ブレード6が現像ローラ3より離れる方向に押し下げられて収縮した場合に、現像ローラ3と層厚規制ブレード6との間に、クリーニングためのクリーニングスペースCを形成し得るものである必要がある。クリーニングスペースCとしては、現像ローラ3の表面と層厚規制ブレード6における現像ローラ3に対峙する辺との距離において、3mm以上、より好ましくは5mm以上である。
【0063】
このような条件を満たすスプリング部材11を用いることで、本実施形態の現像装置1においては、図4に示すように、クリーニング時、層厚規制ブレード6を押し下げて、現像ローラ3より離間させることで層厚規制ブレード6と現像ローラ3との間にクリーニングスペースCを確保し、現像剤中に混入される異物の発生原因である、層厚規制ブレード6の両端部や、ギャップ規制部材9の近傍に溜まるごみや紙粉、凝集トナーを、スムーズに除去することが可能となる。
【0064】
なお、図1(a)においては、弾性部材としてスプリング部材11を使用し、また、層厚規制ブレード6の長手方向両端部と中央部の3箇所に配置した構成を例示している。しかしながら、層厚規制ブレード6を現像ローラ3に対し、現像ローラ3の軸方向にほぼ均一に必要な力で付勢できると共に、収縮することでクリーニングスペースCを確保できれば、弾性部材の種類や数、及び配置場所は、特に限定されない。
【0065】
さらに、本実施形態の現像装置1においては、図1(a)(b)に示すように、層厚規制ブレード6を現像ローラ3に対峙する辺側を除いて覆う構成のカバー部材(案内部材)10が設けられている。カバー部材10は、層厚規制ブレード6における相対する2面6a・6bであって、現像ローラ3の軸方向に伸びると共に現像ローラ3に対峙する辺に連なる2面6a・6bに沿うように形成され、該2面6a・6bと接触する案内面10a・10bを有している。前記したスプリング部材11は、このカバー部材10内部に設けられている。このような構成では、図4に示すように、層厚規制ブレード6は、カバー部材10内部を上下動して、現像ローラ3に近接した状態、或いは離間した状態へと切り替る。
【0066】
カバー部材10を設けることで、層厚規制ブレード6における、現像ローラ3の軸方向と直交する方向への移動が案内面10a・10bにて規制される。これにより、長手方向の一辺がスプリング部材11にて支持された構成であっても、現像ローラ3の軸方向と直交する方向への位置ズレを効果的に防止して、現像ローラ3の中心軸に向かう方向に、層厚規制ブレード6を、角度ずれを生じることなく移動させることができる。
【0067】
さらに、本実施形態の現像装置1においては、図5に示すように、上記したギャップ規制部材9は、層厚規制ブレード6の現像ローラ3に対峙する辺に、スライド自在に取り付けられている。
【0068】
このような構成とすることで、ギャップ規制部材9をスライドさせることで、ギャップ規制部材9の近傍に溜まったり、隙間に詰まったりしているごみや紙粉、凝集トナーを簡単に除去することができる。
【0069】
ここで、ギャップ規制部材9の移動領域は、現像ローラ3の非画像形成領域に対応した領域とすることが好ましい。これは、画像形成領域にまで移動可能な構成としておくと、実使用時の振動等にて、ギャップ規制部材9が画像形成領域まで移動する虞があるためである。これにより、画像形成領域に移動したギャップ規制部材9にて、画像不良が引き起こされるといった事態を回避できる。
【0070】
さらに、図5に示すように、層厚規制ブレード6における長手方向の端部には、ギャップ規制部材9の脱落を防止するストッパー12を取り付けておくことが好ましい。これにより、実使用時の振動等にて、ギャップ規制部材9が層厚規制ブレード6から脱落してしまい、ギャップが保持されなくなって、画像不良が引き起こされるといった事態を回避できる。
【0071】
そして、このようにギャップ規制部材9を移動自在な構成とした場合、図6に示すように、層厚規制ブレード6の現像ローラ3に対峙する辺の両端部にテーパーを付ける構成とすることが好ましい。テーパーを付けることで、ギャップ規制部材9の移動が容易になり、実使用時の振動等による脱落防止のために、層厚規制ブレード6に対して強い力で取り付けられていたとしても、軽い力で端部をクリーニングすることができる。
【0072】
さらに、別の構成として、図7に示すように、上記したギャップ規制部材9が、層厚規制ブレード6の現像ローラ3に対峙する辺に、着脱自在に取り付けられている構成としてもよい。このような構成としても、ギャップ規制部材9を一旦取り外すことで、ギャップ規制部材9の周囲に溜まった現像剤や挟まれた異物を簡単に除去することができる。
【0073】
図8、図9に、ギャップ規制部材9と層厚規制ブレード6との具体的な取り付け状態を示す。図8に示す形態では、平板状の層厚規制ブレード6に、断面コの字型の形状を有するギャップ規制部材9が嵌合されている。ギャップ規制部材9は、層厚規制ブレード6における前述の相対する2面6a・6aを、ギャップ規制部材9の相対する2面9b・9b
にて、挟持するようになっている。そして、その際の挟む力で、ギャップ規制部材9の脱落を防止している。
【0074】
また、図9に示す形態では、断面コの字型の形状を有するギャップ規制部材9における相対する2面9b・9bに、その先端部が内側に折れ曲がったような折曲状部9a・9aが形成されている。そして、平板状の層厚規制ブレード6には、ギャップ規制部材9が嵌合されることで、折曲状部9a・9aが入り込む溝6b・6bが形成されている。このような構成では、ギャップ規制部材9の脱落が、より効果的に防止できる。
【0075】
また、溝6b・6bの形成領域を非画像形成領域とし、かつ、層厚規制ブレード6の端部まで溝6b・6bを形成しないことで、簡単に、画像形成領域にギャップ規制部材9が侵入することもなく、層厚規制ブレード6からの脱落もない構成とすることができる。
【0076】
また、上記ギャップ規制部材9の材質としては、樹脂やステンレス等を用いることができる。樹脂は、ステンレスに比して、現像剤担持体を磨耗させ難いといった利点がある。樹脂においては、強度、耐久性(耐摩耗性)に優れた、ジュラコン樹脂や、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の、硬質樹脂が好ましい。また、ステンレスは、SUS304、SUS316等の非磁性のものであれば、強度、耐久性に優れており、ギャップ規制部材9の材質として適している。
【0077】
以上のように、本発明に係る現像装置1は、層厚規制ブレード6が、スプリング部材11にて現像ローラ3に向かって付勢されており、スプリング部材11を収縮させることで、現像ローラ3と層厚規制ブレード6との間に、クリーニング作業のためのクリーニングスペースCが形成されるようになっている。
【0078】
これにより、ギャップ規制部材9が設けられた構成であっても、クリーニングスペースCを利用して、層厚規制部材の端部側やギャップ規制部材の近傍に溜まったごみや紙粉、凝集トナーを取り除くことができ、クリーニング作業を容易に実施できる。
【0079】
その結果、メンテナンスサイクルを短くすることなく、溜まったごみや紙粉、凝集トナーを起因とした異物による画像不良の発生を、効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、図1(a)は、現像装置における層厚規制ブレード周辺の構成を模式的に示す平面図、図1(b)はその側面図である。
【図2】上記現像装置を備えた画像形成装置の画像形成要部の概略構成を示す模式図である。
【図3】上記現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図4】上記現像装置における、層厚規制ブレードが上下動する様子を示す説明図である。
【図5】上記現像装置における、層厚規制ブレードにギャップ規制部材がスライド自在に取り付けられている構成を示す説明図である。
【図6】上記現像装置の変形例を示すもので、層厚規制ブレードの端部にテーパーが付けられている構成を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態の現像装置を示すもので、層厚規制ブレードにギャップ規制部材が着脱自在に取り付けられている構成を示す説明図である。
【図8】上記現像装置における、ギャップ規制部材と層厚規制ブレードとの取り付けを示す説明図である。
【図9】上記現像装置の変形例を示すもので、ギャップ規制部材と層厚規制ブレードとの取り付けを示す説明図である。
【符号の説明】
【0081】
1 現像装置
2 現像槽
3 現像ローラ(現像剤担持体)
6 層厚規制ブレード(層厚規制ブレード部材)
9 ギャップ規制部材
10 カバー部材(案内部材)
11 スプリング部材(弾性部材)
C クリーニングスペース
G ギャップ
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に現像剤を担持する回転自在の現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の軸方向に対峙して配置され、前記現像剤担持体の表面に担持される現像剤の層の厚みを規制する層厚規制ブレード部材と、
前記現像剤担持体の非画像形成領域に対応する部位にて、前記現像剤担持体と前記層厚規制ブレード部材とに当接して、前記現像剤担持体と前記層厚規制ブレード部材との間隔を規制するギャップ規制部材とを有する現像装置において、
前記層厚規制ブレード部材は、弾性部材にて前記現像剤担持体に向かって付勢されており、前記弾性部材が収縮されることで、前記現像剤担持体と前記層厚規制ブレード部材との間に、クリーニング作業のためのスペースが形成されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記層厚規制ブレード部材における相対する2面であって、前記現像剤担持体の軸方向に伸びると共に前記現像剤担持体に対峙する辺に連なる2面に、接触する案内部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記ギャップ規制部材が、前記層厚規制ブレード部材における前記現像剤担持体に対峙する辺に、スライド自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記層厚規制ブレード部材における前記現像剤担持体に対峙する辺の長手方向両端側が、テーパーを有することを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記ギャップ規制部材が、前記層厚規制ブレード部材における前記現像剤担持体に対峙する辺に、着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項6】
前記ギャップ規制部材の材質が樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項7】
前記ギャップ規制部材の材質がステンレスであることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項8】
前記ギャップ規制部材は、断面コの字型の形状を有し、前記層厚規制ブレード部材における前記現像剤担持体に対峙する辺に嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像剤担持体における軸方向端部側の前記ギャップ規制部材が常時接触する部分に、超硬加工処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−185650(P2008−185650A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17149(P2007−17149)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】