説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】本発明は、二成分現像剤を用いた現像装置において、トナー劣化やキャリア劣化を抑制し、高画質な画像形成を長期にわたって実現することのできる現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】表面に現像剤を担持するための複数の凹部を有し、現像剤担持体に対向して配置され、該凹部に担持される現像剤を現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、凹部に一定量の現像剤を充填するための規制部材と、を備え、現像剤供給部材は、一定量の現像剤を規制部材で充填した後、現像剤担持体に供給するまでの間、凹部に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアを含む現像剤を用いて、像担持体上の潜像を現像する現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式を用いた画像形成装置において、像担持体上に形成された静電潜像の現像方式としては現像剤としてトナーのみを用いる一成分現像方式およびトナーとキャリアを用いる二成分現像方式が知られている。
【0003】
一成分現像方式では、一般的にトナーを、トナー担持体とトナー担持体に押圧された規制板とによって形成される規制部を通過させることでトナーを帯電し、所望のトナー薄層を形成し静電潜像を現像する。一成分現像方式は、磁気ブラシによる画像のムラが発生せずドット再現性や画像の均一性に優れる、像担持体へのキャリアの消費が起こらない、装置の簡略化、小型化、低コスト化の面で有利である、などの特徴がある。しかし一方で、規制部の強いストレスによりトナーの劣化が促進され易く、トナーの電荷受容性が低下しやすい。さらに、トナー規制部材やトナー担持体表面がトナーや外添剤により汚染されることでトナーへの電荷付与性も低下して、かぶり等の問題を引き起こすため、結果として現像装置の寿命が短くなってしまう。このような一成分現像方式と比較すると、二成分現像方式では、トナーを、キャリアとの混合による摩擦帯電で帯電するため、ストレスが小さく、トナーの劣化に対して有利である。さらにトナーへの電荷付与部材であるキャリアも、その表面積が大きいため、トナーや外添剤による汚染に対しても相対的に強く、現像剤の長寿命化に関しては有利である。
【0004】
しかしながら、二成分現像方式においてもマグネットローラ上で現像剤層を形成する必要があり、その現像剤層を形成する層厚規制部において、現像剤にストレスが加えられる。これはマグネットローラ表面に磁力によって担持、搬送される現像剤が層厚規制部材によって擦り切られる際に生じるストレスである。このストレスは、一成分現像方式の規制部に比べれば小さいものの、磁力によって凝集力を生じている現像剤を強引に擦り切るため、十分に小さいとはいえない。実際に二成分現像方式においても画像部比率の小さい印刷を連続して行った場合にはこのストレスが主要因となりトナー表面に外添剤が埋没したり、トナーの割れなどが生じ、トナー劣化を引き起こす。また、キャリアも長期にわたる使用において、キャリアの表面コート樹脂の磨耗やトナー微粉や外添剤の付着などによるキャリア劣化が発生する。このような現像剤の劣化により、トナー帯電量の低下や逆極性トナーの発生、未帯電トナーの発生などが起こり、背景部のカブリや粉塵となったトナーによる汚れなどが画像欠陥として現れる。このように二成分現像方式といえども現像剤へのストレスに起因する課題は残存しており、現像剤の長寿命化に対して、更なる低ストレス化が望まれている。
【0005】
二成分現像剤を長寿命化する方法として、特許文献1には、トナーと共に、もしくは単独でキャリアを少量ずつ補給し、それに応じて、荷電性の低下した劣化現像剤を排出することで、キャリアの入れ替えを行い、劣化キャリア比率の増大を抑える現像装置が開示されている。この装置ではキャリアを入れ替えているため、キャリア劣化によるトナーの帯電量低下を一定のレベルで抑えることが可能となり、長寿命化に有利である。
【0006】
また、特許文献2には現像剤担持体に対してすでに量規制された現像剤を受け渡す概念の現像装置が開示されている。像担持体を現像する第2のMagローラと、第2のMagローラへ現像剤を供給する第1のMagローラを備え、第1のMagローラ上で現像剤層厚規制部材によって現像剤を定量し、その現像剤を第2のMagロールへと受け渡す構成となっている。
【0007】
また、特許文献3では、現像ローラに現像剤を供給する部材として、周囲に複数の凹部が配列された供給ローラを設け、この供給ローラですくい取った現像剤を現像ローラが磁気力により吸着し、担持搬送する方法が提案されている。この方法を用いることで、現像ローラ上の現像剤の層厚を規制する規制部材が不要となり、現像剤へのストレスを低減することができるとしている。
【特許文献1】特開昭59−100471号公報
【特許文献2】特開2007−3851号公報
【特許文献3】特開2001−125366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、排出されたキャリアを回収する機構が必要であることや、キャリアが消耗品となることからコスト、環境面などに問題がある。また、キャリアの新旧比率が安定するまでに所定量の印刷を繰り返す必要があり、初期の画像特性が変化するという問題がある。さらに、この構成においては、キャリアの劣化に対しては一定の効果は得られるものの、トナーの劣化に対しては従来と比べなんら効果は得られず、画像部比率の小さい印刷を連続して行った場合にはトナー劣化が発生し画像品質が低下するという問題がある。また、特許文献2の構成においても、第1のMagロール上で磁力により拘束された現像剤を規制部材で層厚規制する構成であることに変わりなく、現像剤にかかるストレスによりキャリア劣化及びトナー劣化という問題が生じる。また、特許文献3の構成では、凹部ですくい取った一定量の現像剤を現像ローラに供給するまでの間、供給ローラ表面に保持することが困難な構成であり、安定した現像剤量を供給ローラに供給できない。このため現像部における現像剤量が変化し、画像濃度変化や画像欠損を生じるという問題がある。
【0009】
本発明は上記のような背景から、トナー劣化やキャリア劣化を抑制し、高画質な画像形成を長期にわたって実現することのできる現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0011】
1.
トナーとキャリアを含む現像剤を磁力により表面に担持する現像剤担持体を備えた現像装置において、
表面に前記現像剤を担持するための複数の凹部を有し、前記現像剤担持体に対向して配置され、該凹部に担持される前記現像剤を前記現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、
前記凹部に一定量の現像剤を充填するための規制部材と、を備え、
前記現像剤供給部材は、前記一定量の現像剤を前記規制部材で充填した後、前記現像剤担持体に供給するまでの間、前記凹部に保持することを特徴とする現像装置。
【0012】
2.
前記現像剤供給部材は、前記規制部材で充填した後の前記凹部の一定量の現像剤を重力により前記凹部に保持することを特徴とする1に記載の現像装置。
【0013】
3.
前記現像剤供給部材は、円筒状の部材からなり、
前記現像剤供給部材の内部に着磁された磁性体を備え、
前記規制部材で充填した後の前記凹部の一定量の現像剤を前記磁性体の磁力によって前記凹部に保持するように前記磁性体を配置することを特徴とする1又は2に記載の現像装置。
【0014】
4.
前記凹部は、前記現像剤供給部材の回転軸方向に平行な向きで、全周にわたり設けられていることを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載の現像装置。
【0015】
5.
前記凹部は、前記現像剤供給部材の回転軸方向に垂直な向きで、全周にわたり設けられていることを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載の現像装置。
【0016】
6.
前記凹部は、前記現像剤供給部材の回転軸方向に対し、全周にわたりらせん状に形成された溝であることを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載の現像装置。
【0017】
7.
前記凹部は、前記現像剤供給部材の表面に形成された穴状の窪みであることを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載の現像装置。
【0018】
8.
前記現像剤供給部材の表面は、弾性部材で形成されていることを特徴とする1乃至7の何れか1項に記載の現像装置。
【0019】
9.
前記凹部は、前記現像剤供給部材の表面に多数本の毛を植毛したブラシ部で形成されることを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載の現像装置。
【0020】
10.
前記現像剤供給部材は、非磁性材料で形成されていることを特徴とする1乃至9の何れか1項に記載の現像装置。
【0021】
11.
前記現像剤供給部材は、常磁性材料で形成されていることを特徴とする1乃至9の何れか1項に記載の現像装置。
【0022】
12.
前記規制部材の先端部が可撓性をもつ材料で形成されていることを特徴とする1乃至11の何れか1項に記載の現像装置。
【0023】
13.
前記規制部材の先端部がブラシで形成されていることを特徴とする12に記載の現像装置。
【0024】
14.
前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材との周速比が可変であることを特徴とする1乃至13の何れか1項に記載の現像装置。
【0025】
15.
前記現像剤担持体と対向して配置され、前記現像剤担持体上の現像剤からトナーを分離し、表面に担持するトナー担持体を備えたことを特徴とする1乃至14の何れか1項に記載の現像装置。
【0026】
16.
像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する手段と、該像担持体上の静電潜像を現像するための1乃至15の何れか1項に記載の現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明の現像装置によれば、表面に現像剤を担持するための複数の凹部を有し、現像剤担持体に対向して配置され、該凹部に担持される現像剤を現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、凹部に一定量の現像剤を充填するための規制部材と、を備え、現像剤供給部材は、一定量の現像剤を規制部材で充填した後、現像剤担持体に供給するまでの間、凹部に保持する構成としている。このような構成を取ることで、現像剤にストレスをかけることなく、一定量の現像剤を現像剤供給部材の凹部に充填することができ、安定して所定量の現像剤を現像剤担持体に供給することができる。よって、従来のように現像剤担持体上で、現像剤が磁気拘束力を受けた状態で層厚規制する必要が無く、キャリアやトナーに与えるストレスが少なくなり、キャリア劣化及びトナー劣化を抑制することができる。その結果、画像の安定性に優れかつ長寿命な現像装置及びこの現像装置を用いた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
図1に本発明の画像形成装置に係る一実施形態を示す。この画像形成装置は、電子写真方式により像担持体(感光体)1に形成されたトナー像を用紙等の転写媒体Pに転写して画像形成を行うプリンタである。この画像形成装置は画像を担持するための像担持体1を有しており、像担持体1の周辺には、像担持体1を帯電するための帯電手段としての帯電部材3、像担持体1上の静電潜像を現像する現像装置2a、像担持体1上のトナー像を転写するための転写ローラ4、及び像担持体1上の残留トナー除去用のクリーニング部材5が、像担持体1の回転方向に沿って順に配置されている。
【0030】
像担持体1は、帯電部材3で帯電された後に、図中のE点の位置でレーザ発光器などを備えた図示しない露光装置により露光されて、その表面上に静電潜像が形成される。現像装置2aは、この静電潜像をトナー像に現像する。転写ローラ4は、この像担持体1上のトナー像を転写媒体Pに転写した後、図中の矢印方向に排出する。クリーニング部材5は、転写後の像担持体1上の残留トナーを、その機械的な力で除去する。画像形成装置に用いられる像担持体1、帯電部材3、転写ローラ4、クリーニングブレード5、露光装置等は、周知の電子写真方式の技術を任意に使用してよい。例えば、帯電手段として図中、帯電ローラが示されているが、像担持体1と非接触の帯電装置であってもよい。また例えば、クリーニング部材はなくてもよい。
【0031】
次に本発明の画像形成装置に用いられる現像装置について、図2を用いてさらに詳細に説明する。本実施形態において現像装置2aは、キャリアとトナーを含む2成分現像剤12を収容する現像剤槽13、表面に溝等の凹凸を有し、該現像剤槽から供給された現像剤を表面に担持搬送する現像剤供給部材10、現像剤供給部材10に当接もしくは一定の間隔を空けて対向するように配置した規制部材11、内部にマグネットローラ8を内包し、その外側に円筒状のスリーブローラ7をマグネットローラ8とは独立に回転可能に備えた現像剤担持体9、および現像剤担持体9上の現像剤からトナーを分離して担持するトナー担持体6を備える。
【0032】
現像剤槽13は、ケーシング19より形成されており、内部に現像剤12を攪拌するための攪拌部材14および15を収納している。ケーシング19の攪拌部材15に対向する位置には、トナー濃度検出用のATDC(Automatic Toner Density Control)センサ18が配設されている。
【0033】
現像装置2aは通常、現像で消費される分のトナーを現像材槽13内に補給するための補給部16を有している。補給部16を通じて補給トナー17がATDCセンサからの出力に応じて適宜補給される。
【0034】
トナーとキャリアの混合比は所望のトナー帯電量が得られるよう調整されれば良く、トナー比はトナーとキャリアとの合計量に対して3〜50質量%、トナーとキャリアの粒径差に起因する表面積の比にも依存するが、好ましくは5〜20質量%が適している。
【0035】
本現像装置に用いられる現像剤としては、キャリアとトナーを含む二成分現像剤が用いられる。
【0036】
トナーとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができ、バインダー樹脂中に着色剤や必要に応じて、荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理させたものを使用できる。トナー粒径としてはこれに限定されるものではないが、3〜15μm程度が好ましい。
【0037】
このようなトナーを製造するにあたっては、一般に使用されている公知の方法で製造することができ、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等を用いて製造することができる。
【0038】
トナーに使用するバインダー樹脂としては、これに限定されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)やポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂単体もしくは複合体により、軟化温度が80〜160℃の範囲のものを、またガラス転移点が50〜75℃の範囲のものを用いることが好ましい。
【0039】
また、着色剤としては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができ、一般に上記のバインダー樹脂100質量部に対して2〜20質量部の割合で用いることが好ましい。
【0040】
また、上記の荷電制御剤としても、公知のものを用いることができ、正帯電性トナー用の荷電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などがある。負帯電性トナー用荷電制御剤としては、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物などがある。荷電制御剤は一般に上記のバインダー樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部の割合で用いることが好ましい。
【0041】
また、上記の離型剤としても、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス等を単独あるいは2種類以上組み合わせて使用することができ、一般に上記のバインダー樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部の割合で用いることが好ましい。
【0042】
また、上記の外添剤としても、一般に使用されている公知のものを用いることができ、流動性改善例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子を使用することができ、特にシランカップリング剤やチタンカップリング剤やシリコンオイル等で疎水化したものを用いるのが好ましい。そして、このような流動化剤を上記のトナー100質量部に対して0.1〜5質量部の割合で添加させて用いるようにする。外添剤の個数平均一次粒径は10〜100nmであることが好ましい。また、外添剤の帯電極性としてトナーと同極性に帯電するもの、トナーと逆極性に帯電するものの両方を用いることができる。
【0043】
キャリアとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリアを使用することができ、バインダー型キャリアやコート型キャリアなどが使用できる。キャリア粒径としてはこれに限定されるものではないが、15〜100μmが好ましい。
【0044】
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、キャリア表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたり、表面コーティング層を設けることもできる。バインダー型キャリアの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御することができる。
【0045】
バインダー型キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が例示される。
【0046】
バインダー型キャリアの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。その形状は粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。また、化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリアを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリア中に50〜90質量%の量で添加することが適当である。
【0047】
バインダー型キャリアの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられ、これらの樹脂を表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、帯電付与能力を向上させることができる。
【0048】
バインダー型キャリアの表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリアと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリアの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与え、微粒子を磁性樹脂キャリア中に打ち込むようにして固定することにより行われる。この場合、微粒子は、磁性樹脂キャリア中に完全に埋設されるのではなく、その一部を磁性樹脂キャリア表面から突き出すようにして固定される。帯電性微粒子としては、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的には、有機系としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂およびこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子を用いることができ、帯電レベルおよび極性については、素材、重合触媒、表面処理等により、希望するレベルの帯電および極性を得ることができる。また、無機系としては、シリカ、二酸化チタン等の負帯電性の無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正帯電性の無機微粒子などが用いられる。
【0049】
一方、コート型キャリアは磁性体からなるキャリアコア粒子に樹脂コートがなされてなるキャリアであり、コート型キャリアにおいてもバインダー型キャリア同様、キャリア表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたりできる。コート型キャリアの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子により制御することができ、バインダー型キャリアと同様の材料を用いることができる。特にコート樹脂はバインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
【0050】
現像剤供給部材10はその一部が現像剤槽13中の現像剤に埋没するような位置に配置され、図2に示す矢印の方向に回転し、表面に形成された溝等の凹部に現像剤が入り込むかたちで現像剤を担持搬送する。その後、回転方向下流側に現像剤供給部材10表面に当接もしくは一定の間隔を空けて対向するように設けられた規制部材11によって、凹部からはみ出して搬送されてきた余剰現像剤は表面から排除される。この規制部材11が現像剤供給部材10と当接もしくは対向する位置の現像剤供給部材10の表面は、磁束密度がほぼ0になるように設計されており、余剰現像剤はほとんどストレスを受けることなく容易に規制され、排除することができる。規制部材11により規制された凹部の一定量の現像剤は、凹部において重力により保持され状態で、現像剤担持体9との対向部に搬送される。現像剤担持体9との対向部に搬送された現像剤は、現像剤担持体9の磁極N1の吸引力により現像剤担持体9の表面に担持される。
【0051】
現像剤供給部材10の表面に形成する凹部は、例えば、図3に示すように現像剤供給部材10の回転軸方向Kに平行な向きで、全周にわたり等間隔に設けられている複数の溝101を用いることができる。
【0052】
また、例えば、図4に示すように現像剤供給部材10の回転軸方向Kに垂直な向きで、全周にわたり等間隔に設けられている溝102を用いることもできる。
【0053】
また、さらに図5に示すように現像剤供給部材10の回転軸方向Kに対し、全周にわたりらせん状に形成された溝103、さらには図6に示すように互いに逆向きのらせん溝を組み合わせた溝104を用いることもできる。図3に示す現像剤供給部材10の回転軸方向Kに平行な溝の場合、一般によく用いられる引き抜き加工による溝の形成が可能になり、比較的低コストで容易に溝を形成することができる。一方、図5、図6のような回転軸方向Kと平行でないらせん状の溝の場合、規制部材11を当接させた場合に規制部材11が溝に入りこまず溝中の現像剤を掻き出してしまうことがないため現像剤の定量が容易に行えるというメリットがある。また、現像剤供給部材10の表面の凹部として、図7(a)、(b)に示すように、溝の代わりに一定のパターンで設けられた穴状の窪み105、106を用いることもできる。この場合も規制部材を当接させた場合に規制部材11が溝に入りこまず、溝中の現像剤を掻き出してしまうことが無いため現像剤の定量が容易に行えるというメリットがある。
【0054】
そのほか、現像剤供給部材10として、上記の形状でかつ表面の材質をウレタン等の弾性部材とすることで現像剤にかかるストレスがさらに低減され望ましい。
【0055】
また、現像剤供給部材10として、図8に示すように、表面に毛107を多数植毛したブラシ部を有するブラシローラを用いることができる。このブラシローラに規制部材11を当接し、ブラシ部に一定量の現像剤を担持させるようにすることで、ブラシの可撓性により現像剤へのストレスをより低減することができる。
【0056】
現像剤供給部材10表面の凹部として溝を用いた場合の凹部の断面形状は図9(a)〜(c)に示すようにV字型、コの字型、U字などが考えられる。また断面は非対称である必要は無く、例えば図10に示すように非対称のV字型などでもよい。非対称の断面形状を用いた場合、図10に示すように、回転方向に対して上流側のV字形状の稜線L1が外周面と接する点の接線n1と成す角度θ1が、下流側の稜線L2が外周面と接する点の接線n2と成す角度θ2よりも大きいことがより好ましい。このような形状にすることで、より現像剤の溝への取り込み性が向上する効果が得られ、高速化した場合でも、現像剤の凹部への取り込み性が保持され有利となる。
【0057】
現像剤供給部材10は、内部に着磁された磁性体を備え、この磁性体の磁力によって、規制部材11で規制した後の凹部の一定量の現像剤を現像剤供給部材10の表面に保持するのが好ましい。図11に着磁された磁性体120を内部に備えた現像剤供給部材10とその周辺部の拡大図を示す。磁性体120の磁力は、規制部材11で規制する規制部Aの周辺の現像剤には及ばないように設定し、固定配置する。規制部Aの磁束密度をほぼ0とすることにより、規制部Aで現像剤を規制するときの現像剤にかかるストレスを低減することができる。規制部材11で規制した直後の凹部の現像剤は重力により現像剤供給部材10の凹部に保持され、図中矢印方向に搬送され、その後、現像剤供給部材10の表面から現像剤が離脱しないように磁気吸引力が作用するように磁性体を配置する。このように配置することで、現像剤供給部材10の内部に着磁された磁性体を有しながら、規制部における磁束密度をほぼ0とすることができ、一定量の現像剤を低ストレスで規制し、現像剤供給部材10の表面に充填することができる。また、画像形成装置が高速化し、それに伴って現像剤供給部材10の回転数が増加しても、現像剤が遠心力により凹部から離脱するということがない。
【0058】
現像剤供給部材10の材料としては、規制部材11の規制部Aの磁束密度がほぼ0になる設定であれば、特に材料を選ばないが、加工の容易性や製造コストの面から自発磁化を持たない非磁性材料又は常磁性材料を用いることが好ましい。
【0059】
規制部材11は、金属や樹脂等の材料からなり、特に制約無く選択できるが、現像剤供給部材10と当接して用いる場合は、当接圧を低減し当接部で現像剤供給部材10および現像剤に与えるストレスを低減するため、少なくとも当接部が可撓性を持つ材料で形成されていることが望ましい。例えば、薄い樹脂性のフィルムや図12に示すブラシ等を用いることができる。
【0060】
図2に戻り、規制部材11により現像剤供給部材10の凹部又はブラシ部に充填された一定量の現像剤は、現像剤供給部材10の表面に担持搬送され、現像剤担持体9との対向部に移動する。この対向部で、現像剤担持体9の磁力によって現像剤供給部材10上の現像剤が現像剤担持体9表面へと吸着される。
【0061】
現像剤担持体9は、固定配置されたマグネットローラ8と、これを内包する回転自在なスリーブローラ7とから構成される。マグネットローラ8は、スリーブローラ7の回転方向に沿ってN1,S1,N2,S2,N3の5つの磁極を有する。これらの磁極のうち、主磁極S2は、トナー担持体6と対向する位置に配されており、また、スリーブローラ7上の現像剤を剥離するための反発磁界を発生させる同極部N1,N3は、現像剤槽13の現像剤収容部側に対向する位置に配置されている。磁極N1は現像剤供給部材10との対向位置近傍に配置され、現像剤供給部材10上の現像剤を現像剤担持体9表面に吸着する吸着極として利用される。
【0062】
現像剤供給部材10と現像剤担持体9の周速比は、現像剤供給部材10の凹部により搬送する現像剤供給部材10の表面の単位面積当たりの現像剤供給量と、現像剤担持体9が最適な画像を形成するために必要な現像剤担持体9の表面に単位面積当たりの現像剤量とにより決定する。
【0063】
現像剤担持体9と現像剤供給部材10との周速比は可変であることが好ましい。周速比を可変できるようにすることで、例えば、環境変動などにより現像剤の流動性が変化した場合、現像剤供給部材10上の規制後の現像剤量が、わずかに変化する場合がある。規制部材11により規制しているのでその変化はわずかであるが、それでも画像濃度に影響する場合がある。このような場合に、現像剤担持体9上の現像剤量を検知もしくは予測する手段を設けて、その検知結果、又は予測値を基に、現像剤供給部材10の周速を変化させ、必要な現像剤量を現像剤担持体9に供給することができる。
【0064】
現像剤担持体9上に形成された現像剤層はスリーブローラ7の回転によってトナー担持体6との対向位置に運ばれる。現像剤担持体9およびトナー担持体6は電源51、52に接続され、対向位置で所定のトナー分離バイアスが印加され、これによって、現像剤中のトナーが分離され、トナー担持体6の表面に担持される。トナー担持体6によって分離・担持されたトナーは、当該トナー担持体6によって搬送され、現像領域Bにおいて像担持体1上の静電潜像を現像する。現像剤担持体9およびトナー担持体6に印加されるバイアスはトナーの帯電極性によって異なり、すなわちトナーが負に帯電されるときは、現像剤担持体9に印加される電圧の平均値よりも高い平均値となる電圧がトナー担持体6に印加され、トナーが正に帯電されるときは、現像剤担持体9に印加される電圧の平均値よりも低い平均値となる電圧がトナー担持体6に印加される。トナー分離バイアスは上記の条件を満たす範囲であれば交流バイアスであっても良い。
【0065】
また、図13に示す現像装置2bのように、トナー担持体6を省略し、現像剤担持体9で直接像担持体1を現像する構成でも良い。このような構成にすることで現像装置の小型化、低コスト化の面では有利となる。しかし、高濃度画像を連続して大量にプリントした場合、現像剤槽中のトナー濃度が一時的に低下し、現像剤担持体9上のわずかな現像剤層の厚みムラが画像に出る恐れがある。通常、現像剤供給部材10によって供給された現像剤は、現像剤担持体9上を搬送される間に、均一化されるが、より均一化するためにはトナー担持体6を設置することが好ましい。
【0066】
トナー担持体6は上記電圧を印加可能な限り、いかなる材料からなっていてよく、例えば、表面処理を施したアルミローラが挙げられる。そのほかアルミ等の導電性基体上に、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂コートやシリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等のゴムコーティングを施したものを用いてもよい。コーティング材料としては、これに限定されるものではない。さらに上記コーティングのバルクもしくは表面に導電剤が添加されていてもよい。導電剤としては、電子導電剤もしくはイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤として、ケッチンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラックや、金属粉、金属酸化物の微粒子等が挙げられるが、これに制約されない。イオン導電剤として、四級アンモニウム塩等のカチオン性化合物や、両性化合物、その他イオン性高分子材料が挙げられるが、これにこだわらない。さらに、アルミ等の金属材料からなる導電性ローラであっても構わない。
【0067】
以上述べてきたように、本発明にかかる現像装置を用いることで、現像剤担持体9上で、磁場の影響下にある現像剤層の厚みを規制する規制部を設ける必要が無く、従来、現像剤に作用していた高ストレスを与えることがない、よって、現像剤が受けるストレスを極端に小さくすることで現像剤の劣化を防止し、高画質で長寿命な現像装置及び該現像装置を用いた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る一実施形態による画像形成装置の主要部を示す概略図である。
【図2】本発明に係る現像装置の主要部を示す概略図である。
【図3】本発明に係る現像剤供給部材を示す概略図である。
【図4】本発明に係る現像剤供給部材を示す概略図である。
【図5】本発明に係る現像剤供給部材を示す概略図である。
【図6】本発明に係る現像剤供給部材を示す概略図である。
【図7】本発明に係る現像剤供給部材の表面部を示す概略図である。
【図8】本発明に係る現像剤供給部材を示す概略図である。
【図9】本発明に係る現像剤供給部材の凹部の形状を示す概略図である。
【図10】本発明に係る現像剤供給部材の凹部の形状を示す概略図である。
【図11】本発明に係る現像剤供給部材の周辺の概略拡大図である。
【図12】本発明に係る規制部材を示す概略図である。
【図13】本発明に係る現像装置の主要部を示す概略図である。
【符号の説明】
【0069】
1 像担持体(感光体ドラム)
2a、2b 現像装置
3 帯電装置
4 転写ローラ
5 クリーニングブレード
6 トナー担持体
7 スリーブローラ
8 マグネットローラ
9 現像剤担持体
10 現像剤供給部材
11 規制部材
12 現像剤
13 現像剤槽
14、15 攪拌部材
16 トナー補給部
17 補給トナー
18 ATDCセンサ
19 ケーシング
P 転写体
E 露光位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアを含む現像剤を磁力により表面に担持する現像剤担持体を備えた現像装置において、
表面に前記現像剤を担持するための複数の凹部を有し、前記現像剤担持体に対向して配置され、該凹部に担持される前記現像剤を前記現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、
前記凹部に一定量の現像剤を充填するための規制部材と、を備え、
前記現像剤供給部材は、前記一定量の現像剤を前記規制部材で充填した後、前記現像剤担持体に供給するまでの間、前記凹部に保持することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤供給部材は、前記規制部材で充填した後の前記凹部の一定量の現像剤を重力により前記凹部に保持することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤供給部材は、円筒状の部材からなり、
前記現像剤供給部材の内部に着磁された磁性体を備え、
前記規制部材で充填した後の前記凹部の一定量の現像剤を前記磁性体の磁力によって前記凹部に保持するように前記磁性体を配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記現像剤供給部材の回転軸方向に平行な向きで、全周にわたり設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記凹部は、前記現像剤供給部材の回転軸方向に垂直な向きで、全周にわたり設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記凹部は、前記現像剤供給部材の回転軸方向に対し、全周にわたりらせん状に形成された溝であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記凹部は、前記現像剤供給部材の表面に形成された穴状の窪みであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤供給部材の表面は、弾性部材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項9】
前記凹部は、前記現像剤供給部材の表面に多数本の毛を植毛したブラシ部で形成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項10】
前記現像剤供給部材は、非磁性材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項11】
前記現像剤供給部材は、常磁性材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項12】
前記規制部材の先端部が可撓性をもつ材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項13】
前記規制部材の先端部がブラシで形成されていることを特徴とする請求項12に記載の現像装置。
【請求項14】
前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材との周速比が可変であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項15】
前記現像剤担持体と対向して配置され、前記現像剤担持体上の現像剤からトナーを分離し、表面に担持するトナー担持体を備えたことを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項16】
像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する手段と、該像担持体上の静電潜像を現像するための請求項1乃至15の何れか1項に記載の現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−281739(P2008−281739A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125384(P2007−125384)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】