説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】現像剤の劣化を抑制できるとともに、量産性が高い現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置10は、現像剤Gとして2成分現像剤を用い、現像スリーブ14、及びドクターブレード16を備える。現像スリーブ14は、感光体ドラム2と対向する現像領域Aへ現像剤Gを搬送する。ドクターブレード16は、板状の磁性ブレード161を含み、現像スリーブ14の回転方向において現像領域Aより上流側で、磁性ブレード161の先端部が現像スリーブ14に間隙を設けて対向するように配置される。磁性ブレード161は、周面141のうち先端部が対向する部分に接する仮想面142に対して垂直に配置され、回転方向の下流側ほど周面141との間隙が狭くなるように仮想面142に対して20度以上45以下の角度βをなす斜面161Bを、先端部の周面141に対向する面に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2成分現像剤を用いた電子写真方式の画像形成処理において静電潜像を可視像化する現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成処理では、一様な電位に帯電した静電潜像担持体が画像データに応じた光で露光されることで、静電潜像担持体上に静電潜像が形成される。静電潜像は、現像装置によって可視像化される。静電潜像を可視像化する構成として、磁性1成分現像剤又は非磁性1成分現像剤を用いる1成分現像方式と、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を現像剤として用いる2成分現像方式とがある。
【0003】
2成分現像方式では、キャリアと呼ばれる磁性粒子とトナーとが撹拌されて互いに摩擦帯電することによって、キャリアの表面にトナーが担持される。磁石を内包する現像剤担持体の表面には、トナーを担持したキャリアが、穂と呼ばれる突起形状に形成される。穂中のトナーが現像剤担持体上から静電潜像担持体上の静電潜像へ移動することで、静電潜像が現像される。
【0004】
2成分現像方式は、1成分現像方式に比べて装置が若干複雑になるが、トナーの電位設定が比較的容易であり、高速対応性及び安定性に優れるので、多用されている。
【0005】
2成分現像方式において現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する構成として、非磁性部材を用いる方式と、磁性部材を用いる方式とがある。磁性部材を用いる方式では、磁性部材からの磁力によって、現像剤担持体上の現像剤の帯電が、促進される。しかし、磁性部材からの磁力が過剰な場合、現像剤が磁性部材で擦られる時間が長くなって、現像剤が劣化しやすい。
【0006】
現像剤の劣化を抑制する技術として、次のようなものがある。現像剤規制部材は磁性部材と非磁性部材とからなり、磁性部材は、現像剤担持体内の磁石との非対向領域で非磁性部材より現像剤担持体側へ突出した突出部と、磁石との対向領域で非磁性部材より窪んだ窪み部と、を有し、現像剤担持体の回転方向において非磁性部材の上流側に配設される技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、磁性部材の先端面が、現像剤担持体の回転方向の上流側面の下端に連なって上流側面に垂直なフラット面と、フラット面に連続した傾斜面とからなり、フラット面と傾斜面とのなす角度を0.3度以上5.5度以下とする技術がある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2000−098738公報
【特許文献2】特開2005−134480公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の従来技術は、現像剤の劣化の抑制の他に、現像剤担持体の両端からの現像剤の漏れを防止することを目的としているため、磁性部材の形状が複雑であり、非磁性部材と磁性部材との取り付けの際に正確な位置合わせに時間がかかり、量産性が低い。
【0009】
また、特許文献2の従来技術は、グレー画像についての縦筋発生の防止や、現像初期での黒点の発生の防止を目的としており、磁性部材の先端面は、フラット面と、現像剤担持体の回転方向の下流側ほど現像剤担持体から離間する傾斜面とからなる。このため、現像剤は、磁性部材と現像剤担持体との間に搬送された途端に、急激に大きなストレスを受ける。したがって、現像剤が劣化する。
【0010】
この発明の目的は、現像剤の劣化を抑制できるとともに、量産性が高い現像装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の現像装置は、現像剤として2成分現像剤を用いた電子写真方式の画像形成処理において静電潜像を可視像化する現像装置であって、現像剤担持体、及び現像剤規制部材を備える。現像剤担持体は、内部に固定的に配置された磁石の磁力を介して周面に現像剤を担持しながら回転し、静電潜像担持体と対向する現像領域へ現像剤を搬送する。現像剤規制部材は、少なくとも板状の磁性部材を含み、現像剤担持体の回転方向において現像領域より上流側で、磁性部材の先端部が現像剤担持体の周面に間隙を設けて対向するように配置され、現像剤担持体の周面における現像剤の担持量を調整する。磁性部材は、周面のうち先端部が対向する部分に接する仮想面に対して所定角度に配置され、回転方向の下流側ほど周面との間隙が狭くなるように仮想面に対して20度以上45以下の角度をなす斜面を、先端部の周面に対向する面に有する。
【0012】
周面のうち先端部が対向する部分に接する仮想面に対する斜面の角度が20度未満である場合、現像剤にかかるストレスが大きくなる。上述の角度が45度を越える場合、現像剤規制部材の現像剤を規制する能力が小さくなるので、磁性部材と現像剤担持体との間隙を小さくする必要が生じ、現像剤にかかるストレスが大きくなる。上述の角度を20度以上45度以下とすることで、斜面と周面との間隙が、現像剤担持体の回転方向の上流側から下流側へ向けて適度に緩やかに狭くなり、現像剤にかかるストレスが低下する。
【0013】
また、斜面の下流側端部が周面に対して最も突き出た形状となり、斜面の下流側端部に磁力が集中するので、現像剤担持体上に形成される穂と呼ばれる現像剤の突起形状が、細長くなり、現像剤の密度が低くなる。これによって、静電潜像を可視像化する際、現像剤担持体の半径方向において穂の中間の現像剤が静電潜像担持体へ移動しやすくなり、現像効率が向上する。さらに、現像剤の密度が低くなるので、所定の搬送量を確保するために、磁性部材と現像剤担持体との間隙を大きくすることとなり、磁性部材が現像剤に与えるストレスが小さくなるとともに、現像剤の流動性が向上する。また、形状が簡易であるとともに、他の部材との位置合わせが困難にならない。
【0014】
磁性部材の回転方向に沿う方向の厚さは、0.2mm以上0.4mm以下であることが好ましい。回転方向に沿う方向の磁性部材の厚さを0.4mm以下にすることで、現像剤担持体上に現像剤が細長く立ち、現像剤担持体上における現像剤の密度が低くなる。このため、静電潜像を可視像化する際、現像剤担持体の半径方向において穂の中間の現像剤が静電潜像担持体へ移動しやすくなり、現像効率が向上する。また、磁性部材と現像剤担持体との間隙を大きくすることとなり、磁性部材が現像剤に与えるストレスが小さくなる。厚さが0.2mm未満の場合、他の部材に取り付ける際に撓みが発生しやすく、製造が困難となる。厚さ0.2mm以上0.4mm以下とすることで、現像剤の劣化が抑制されるとともに、製造が容易となる。
【0015】
磁性部材は、エッチング処理によって形成してもよい。厚さが0.2mm以上0.4mm以下であれば、エッチング処理で容易に精度よく形成することができる。0.2mm以上0.4mm以下という薄い磁性部材をプレス加工によって形成する場合、切断面に歪みやバリが生じ、磁性部材の位置を精密に調整することが困難となる。また、磁性部材の先端にバリがあると、現像剤の部分的な搬送不良が起こりやすく、画像形成した際の画像に濃度ムラや白抜けが生じやすくなる。これに対して、磁性部材をエッチング処理によって形成する場合、加工面に歪みやバリが生じず、磁性部材の位置を精密に調整できる。このため、現像剤の搬送不良が防がれ、画像の濃度ムラや白抜けが防止される。
【0016】
磁性部材は、回転方向の上流側に配置される面及び下流側に配置される面のうち、一方の面からのエッチング処理によって形成してもよい。ワイヤーカット加工では非常に薄い磁性部材の形状を正確に形成することが困難であるが、一方の面側からエッチング処理することで、磁性部材を所望の形状に形成することができる。
【0017】
磁性部材の透磁率は、300以上500未満であることが好ましい。磁性部材の透磁率が500以上である場合、細長く立った現像剤の先端部が磁性部材から離れるまでにかかる時間が長くなることで、現像剤の先端部が大きく傾いてしまい、現像効率が悪化する。また、磁性部材の透磁率が300未満である場合、現像剤が細長く立たず、現像効率が悪化する。磁性部材の透磁率が300以上500未満である場合に、現像剤が細長く立ち、現像剤担持体上における現像剤の密度が低くなり、磁性部材と現像剤担持体との間隙を大きくすることとなって、磁性部材が現像剤に与えるストレスが小さくなる。したがって、現像剤の劣化が抑制される。
【0018】
磁性部材として、ステンレス製のものを用いることもできる。ステンレス製の磁性部材と現像剤担持体との間で、磁力によって現像剤を細長く立たせることが可能となる。これによって、現像剤の劣化の抑制、高画質化、現像効率の向上が可能となる。
【0019】
ステンレス中のニッケル成分の割合は、1%以下であることが好ましい。ニッケル成分の割合が1%を超えると、磁性部材の透磁率が低くなりすぎ、現像剤の穂が太く、短くなり、現像効率が悪化する。また、ニッケル成分の割合が1%を超える場合、磁性部材と現像剤担持体との間隙を狭めなければ、現像効率を上昇させることが困難であるが、間隙を狭めると現像剤が劣化して、現像剤の流動性が低下する。これに対して、磁性部材のニッケル成分の割合が1%以下であれば、現像剤が細長く立ち、現像剤の流動性がよくなり、現像効率が向上する。
【0020】
現像剤担持体は、現像領域において、下方から上方へ現像剤を搬送するように構成してもよい。この場合、下部に十分に溜まっている現像剤を現像領域へ搬送することが可能となり、搬送不良が起こりにくくなる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、周面のうち先端部が対向する部分に接する仮想面に対する斜面の角度を20度以上45度以下とすることで、磁性部材の先端部と現像剤担持体の周面との間隙が、現像剤担持体の回転方向の上流側から下流側へ向けて適度に緩やかに狭くなり、現像剤にかかるストレスを低下させることができる。また、現像剤担持体上の現像剤の密度が低くなるので、現像剤が静電潜像担持体へ移動しやすくなり、現像効率を向上させることができる。さらに、所定の搬送量を確保するために磁性部材と現像剤担持体との間隙を大きくすることとなり、磁性部材が現像剤に与えるストレスが小さくなるとともに、現像剤の流動性が向上する。したがって、現像剤の劣化を抑制することができる。
【0022】
また、形状が簡易であるとともに、他の部材との位置合わせが困難にならないので、量産性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、この発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、この発明の実施形態に係る現像装置10を備えた画像形成装置1の一部の構成を示す正面断面図である。
【0024】
画像形成装置1は、現像剤として2成分現像剤を用いる2成分現像方式を採用している。2成分現像剤は、熱可塑性樹脂を主体とするトナー、及び、磁性粒子を主体とするキャリアを含む。画像形成装置1は、感光体ドラム2、帯電器3、露光装置4、現像装置10、転写器5、クリーニング装置6、除電器7、定着装置8、及び、電源9を備えている。
【0025】
感光体ドラム2は、この発明の静電潜像担持体に相当し、図1において時計方向に回転する。帯電器3、露光装置4、現像装置10、転写器5、クリーニング装置6、及び、除電器7は、感光体ドラム2の回転方向に沿って、この順に配置されている。
【0026】
記録媒体の一例である用紙Pは、感光体ドラム2と転写器5との間を、図1において右方向へ搬送される。定着装置8は、用紙Pの搬送方向において転写器5の下流側に配置されている。
【0027】
感光体ドラム2は、ドラム状の基材2A、及び、基材2Aの外周面上に薄膜状に形成された光導電層2Bを有している。基材2Aとして、アルミニウム等の金属が用いられる。光導電層2Bとして、有機光半導体(OPC:Organic Photo-Conductor)やアモルファスシリコン(a−Si)等が用いられる。
【0028】
帯電器3は、感光体ドラム2の外周面を一様に帯電させる。帯電器3として、コロナ帯電器、帯電ローラ、又は、帯電ブラシ等が用いられる。
【0029】
露光装置4は、画像データに応じて感光体ドラム2の外周面上に光を照射することで、静電潜像を形成する。露光装置4として、レーザ又はLED(Light Emitting Diode)等が用いられる。
【0030】
現像装置10は、感光体ドラム2と現像装置10との間に形成される現像電界によって、トナーを感光体ドラム2の外周面上に供給することで、静電潜像を可視像化してトナー像にする。現像装置10は、図示しないバイアス電源を備えている。
【0031】
転写器5は、電源9から負荷される転写バイアスによって、トナー像を用紙P上に転写する。転写器5として、転写ローラ、帯電ブラシ、又は、コロナ帯電器等が用いられる。
【0032】
定着装置8は、用紙P上に転写されたトナーを用紙Pに熱圧着することで、トナー像を用紙Pに定着させる。
【0033】
クリーニング装置6は、トナー像が用紙Pに転写された後の感光体ドラム2の外周面上に残留したトナーを除去する。クリーニング装置6は、例えばクリーニングブレードを有している。
【0034】
除電器7は、トナーが除去された後の感光体ドラム2の外周面の電荷を除去する。
【0035】
除電器7で電荷を除去された感光体ドラム2の外周面は、再び帯電器3によって一様に帯電され、感光体ドラム2の外周面に、露光装置4によって静電潜像が形成される。静電潜像は、現像装置10によってトナー像にされる。トナー像は、転写器5によって用紙Pに転写されて、定着装置8によって用紙Pに定着する。感光体ドラム2の外周面上に残留したトナーは、クリーニング装置6によって除去される。感光体ドラム2の外周面は、除電器7によって除電される。このような画像形成プロセスが、必要に応じて繰り返される。
【0036】
図2は、現像装置10の概略の構成を示す正面断面図である。
【0037】
現像装置10は、ハウジング11、攪拌搬送ローラ12,13、現像スリーブ14、磁石15、及び、ドクターブレード16を備えている。現像スリーブ14はこの発明の現像剤担持体に相当する。ドクターブレード16はこの発明の現像剤規制部材に相当する。
【0038】
上述のように、この発明では、現像剤Gとして、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤が用いられている。現像剤Gは、ハウジング11内に収容されている。例えば、トナーの粒径は6.2μmであり、キャリアの粒径は50μmである。
【0039】
攪拌搬送ローラ12,13は、ハウジング11内に収容されており、現像剤Gを、攪拌するとともに現像スリーブ14側へ搬送する。この際、キャリアとトナーとが攪拌搬送ローラ12,13によって撹拌されて互いに摩擦帯電することによって、キャリアの表面にトナーが担持される。そして、トナーはキャリアの表面に担持された状態で、現像スリーブ14側へ搬送される。
【0040】
現像スリーブ14は、一部がハウジング11の外部に露出するとともに感光体ドラム2の外周面に対向するように、ハウジング11内に回転自在に配置されている。現像スリーブ14は、磁性を有しないステンレス製である。現像スリーブ14は、アルミニウム製にすることもできる。
【0041】
現像装置10は、現像スリーブ14のハウジング11から露出している部分が下方から上方へ回転する汲み上げ現像方式を採用しており、感光体ドラム2の外周面とこれに対向する現像スリーブ14の外周面とは、同一方向に回転する。現像スリーブ14が下方から上方へ現像剤Gを搬送するように構成したことで、下部に十分に溜まっている現像剤Gを現像領域Aへ搬送することが可能となり、搬送不良が起こりにくくなる。
【0042】
磁石15は、磁極として、2個のS極21,22、及び、3個のN極31,32,33を有し、現像スリーブ14の内部に固定配置されている。
【0043】
ドクターブレード16は、現像スリーブ14の回転方向において、現像スリーブ14と感光体ドラム2とが対向する現像領域Aより上流側に配置されている。ドクターブレード16は、現像スリーブ14の外周面上に担持された現像剤Gの層厚を規制する。
【0044】
図3は、現像装置10の一部の構成を示す正面断面図である。
【0045】
この実施形態では、磁極21は、ドクターブレード16に対向する位置に配置され、規制極21(例えば、83.2mT。)とも呼ばれる。磁極31は、現像領域Aに対向する位置に配置され、主極31(例えば、114.9mT。)とも呼ばれる。磁石15の磁極21、磁極31、磁極22、磁極33、磁極32は、現像スリーブ14の回転方向に沿ってこの順に配置されている。
【0046】
ドクターブレード16は、それぞれ板状を呈する磁性ブレード161及び非磁性ブレード162からなる。磁性ブレード161は、この発明の磁性部材に相当する。磁性ブレード161は、現像スリーブ14の回転方向において、非磁性ブレード162より上流側に配置されている。磁性ブレード161と非磁性ブレード162とは、互いの間の隙間が100μm以下となるように密着した状態で、固定用板金17に、ネジ18又はリベット等で固定されている。固定用板金17は、ハウジング11に固定されている。磁性ブレード161及び非磁性ブレード162は、直接、ハウジング11に固定されていてもよい。
【0047】
磁性ブレード161は、ニッケル成分の割合が1%以下であるステンレスで構成されている。磁性ブレード161の透磁率は、300以上500未満にされる。磁性ブレード161の素材として、例えば、SUS403、SUS410、SUS410S、SUS416、SUS420J1、SUS420F、SUS410L、SUS430、SUS430F、SUS434が用いられる。
【0048】
磁性ブレード161の透磁率が500以上である場合、穂と呼ばれる細長い突起形状に立った現像剤Gの先端部が磁性ブレード161から離れるまでにかかる時間が長くなることで、現像剤Gの先端部が大きく傾いてしまい、現像効率が悪化する。また、磁性ブレード161の透磁率が300未満である場合、現像剤Gが細長く立たず、現像効率が悪化する。磁性ブレード161の透磁率が300以上500未満である場合に、現像剤Gが細長く立ち、現像スリーブ14上における現像剤Gの密度が低くなり、磁性ブレード161と現像スリーブ14との間隙を大きくすることとなって、磁性ブレード161が現像剤Gに与えるストレスが小さくなる。したがって、現像剤の劣化が抑制される。
【0049】
また、磁性ブレード161のうちのニッケル成分の割合が1%を超えると、磁性ブレード161の透磁率が低くなりすぎ、現像剤Gの穂が太く、短くなり、現像効率が悪化する。また、この場合、磁性ブレード161と現像スリーブ14との間隙を狭めなければ、現像効率を上昇させることが困難であるが、間隙を狭めると現像剤Gが劣化して、現像剤Gの流動性が低下する。これに対して、ニッケル成分の割合が1%以下である磁性ブレード161を用いることで、現像剤Gが細長く立ち、現像剤Gの流動性がよくなり、現像効率が向上する。
【0050】
非磁性ブレード162は、磁性を有しない金属製であれば特に素材を限定されない。非磁性ブレード162の素材として、例えば、SUS302、SUS303、SUS304、SUS304Cu、SUS304L、SUS304N1、SUS304J3、SUS305、SUS305J1、SUS309S、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS316N、SUS316Ti、SUS316J1、SUS316F、SUS317、SUS317F、SUS321、SUS347等のステンレスや、アルミニウム、又は、銅が用いられる。
【0051】
図4(A)は、磁性ブレード161の構成を示す斜視図であり、図4(B)は、磁性ブレード161の拡大正面断面図である。
【0052】
現像スリーブ14の回転方向に沿う方向の磁性ブレード161の厚さLは、0.2mm以上0.4mm以下の範囲内の値にされる。
【0053】
現像スリーブ14の回転方向に沿う方向の磁性ブレード161の厚さLを0.4mm以下にすることで、現像スリーブ14上に現像剤Gが細長く立ち、現像スリーブ14上における現像剤Gの密度が低くなる。このため、静電潜像を可視像化する際、現像スリーブ14の半径方向において穂の中間の現像剤Gが感光体ドラム2へ移動しやすくなり、現像効率が向上する。また、現像剤Gの密度が低下するので、単位時間あたりに所定量の現像剤Gを搬送するために、磁性ブレード161と現像スリーブ14との間隙を大きくすることとなり、磁性ブレード161が現像剤Gに与えるストレスが小さくなる。厚さが0.2mm未満の場合、他の部材に取り付ける際に撓みが発生しやすく、製造が困難となる。厚さ0.2mm以上0.4mm以下とすることで、現像剤の劣化が抑制されるとともに、製造が容易となる。
【0054】
磁性ブレード161の長手方向(現像スリーブ14の軸方向)の長さMは、この実施形態では300mmであり、現像スリーブ14の軸方向の長さと略同じである。
【0055】
磁性ブレード161は、現像スリーブ14の周面141のうち磁性ブレード161の先端部が対向する部分に接する仮想面142に対して、垂直に配置されている。
【0056】
磁性ブレード161は、現像スリーブ14の回転方向において、上流側に配置される第1側面161C、及び、下流側に配置される第2側面161Dを有し、第1側面161C及び第2側面161Dのそれぞれは、仮想面142に対して、垂直に配置されている。
【0057】
磁性ブレード161の現像スリーブ14に対向する面は、平面161A及び斜面161Bからなっている。現像スリーブ14の回転方向において、斜面161Bは平面161Aより下流側に配置されている。平面161Aは、仮想面142に対して、平行に配置される。斜面161Bは、現像スリーブ14の回転方向において、下流側ほど周面141との間隙が狭くなる方向に傾斜している。
【0058】
磁性ブレード161は、第2側面161Dと斜面161Bとがなす角度αが、45度以上70度以下の範囲内の所定値となるように、形成されている。これによって、斜面161Bは、仮想面142に対してなす角度βが、20度以上45以下の範囲内の所定値となるように配置される。
【0059】
これによって、磁性ブレード161の先端部と現像スリーブ14との間隙が、現像スリーブ14の回転方向において上流側から下流側へ向けて適度に緩やかに狭くなる。このため、磁性ブレード161の現像スリーブ14に対向する面が仮想面141に平行な平面のみからなる場合と比べて、現像剤Gにかかるストレスが低下する。なお、角度αが70度を超える場合(角度βが20度未満の場合)、現像剤Gにかかるストレスが許容値より大きくなる。角度αが45度未満の場合(角度βが45度を越える場合)、現像剤Gを規制する能力が小さくなり、磁性ブレード161と現像スリーブ14との間隙を小さくする必要が生じ、現像剤Gにかかるストレスが大きくなる。角度αが45度以上70以下の場合(角度βが20度以上45度以下の場合)に、現像剤Gにかかるストレスを低下させることができる。
【0060】
また、現像スリーブ14の回転方向において磁性ブレード161の先端部の斜面161Bのうち下流側の端部に磁力が集中するので、現像スリーブ14上に形成される現像剤Gの穂が細長くなり、現像剤Gの密度が低くなる。これによって、静電潜像を可視像化する際、現像スリーブ14の半径方向において穂の中間の現像剤Gが感光体ドラム2へ移動しやすくなり、現像効率が向上する。さらに、現像剤Gの密度が低くなるので、所定の搬送量を確保するために、磁性ブレード161と現像スリーブ14との間隙を大きくすることとなり、磁性ブレード161が現像剤Gに与えるストレスが小さくなるとともに、現像剤Gの流動性が向上する。したがって、現像剤Gの劣化が抑制される。また、形状が簡易であるとともに、他の部材との位置合わせが困難にならないので、量産性が高い。
【0061】
図5は、磁性ブレード161の製造工程を示すフローチャートである。
【0062】
磁性ブレード161は、現像スリーブ14の回転方向の上流側に配置される第1面及び下流側に配置される第2面のうち、一方の面側からのエッチング処理によって形成されている。
【0063】
まず、エッチング処理の前工程として、第1面及び第2面のうち少なくともエッチング処理する面についての脱脂処理(S1)、及び、エッチング処理しない部分の保護処理がされる(S2)。次に、磁性ブレード161の第1面及び第2面のうちの所定の一方の面からエッチング処理が施される(S3)。エッチング処理では、処理剤として、例えば、塩化鉄(III)水溶液、希塩酸、希硫酸、又は、希硝酸が用いられる。
【0064】
次に、エッチング処理の後工程として、エッチング処理で使用された処理剤の水洗(S4)、S2で使用された保護剤の除去処理(S5)、水洗(S6)、及び、乾燥処理(S7)が施される。
【0065】
0.4mm以下の薄い磁性ブレード161をプレス加工によって形成すると、切断面に歪みやバリが生じ、磁性ブレード161の取り付け位置を精密に調整することが困難となる。また、磁性ブレード161の先端部にバリがあると、現像剤Gの部分的な搬送不良が起こりやすく、画像形成した際の画像に濃度ムラや白抜けが生じやすくなる。これに対して、磁性ブレード161をエッチング処理によって形成すると、加工面に歪みやバリが生じず、磁性ブレード161の取り付け位置を精密に調整できる。このため、現像剤Gの搬送不良が防がれ、画像の濃度ムラや白抜けが防止される。
【0066】
また、ワイヤーカット加工では非常に薄い磁性ブレード161の形状を正確に形成することが困難であるが、第1面及び第2面のうち一方の面側からエッチング処理することで、磁性ブレード161を所望の形状に形成することができる。
【0067】
次に、現像装置10を搭載した画像形成装置1によって画像処理された画像の白抜け、及び、画像形成装置1で使用された現像剤Gの流動性、を評価した実験結果について説明する。
【0068】
図6は、実施例1〜7及び比較例1〜6のそれぞれの実験条件及び実験結果を示す図である。図6には、左側から順に、磁性ブレード161の第2側面161Dと斜面161Bとがなす角度α(°)、磁性ブレード161の厚さL(mm)、磁性ブレード161が含むニッケル成分の割合(%)、及び、磁性ブレード161の透磁率の各条件と、感光体ドラム2上のトナー付着量、トナーの流動性、及び、総合評価からなる実験結果と、を示している。
【0069】
(実施例1)
厚さ0.3mm、ニッケル成分の割合が1%以下で透磁率475のSUS430板に対して、脱脂剤(商品名:HFEハヤクリンDS−255、サンハヤト(株)社製)を用いて、脱脂処理を行った。その後、エッチング保護剤(商品名:フラックスH−10F、サンハヤト(株)社製)を用いて、エッチング処理しない部分を保護し、エッチング液(商品名:エッチング処理液H−20L、サンハヤト(株)社製)に10分間浸した。水洗した後、保護剤除去剤(商品名:フラックス除去剤H−1000P、サンハヤト(株)社製)でエッチング保護剤を除去した後、再度水洗し、乾燥させた。これによって、厚さ0.3mm、高さ10mm、角度αが60°、透磁率475の磁性ブレードを形成した。
【0070】
(実施例2)
エッチング液に浸す時間を15分とすることで角度αを45°にしたことを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0071】
(実施例3)
エッチング液に浸す時間を6分40秒とすることで角度αを70°にしたことを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0072】
(実施例4)
厚さ0.2mmとし、エッチング液に浸す時間を7分としたことを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0073】
(実施例5)
厚さ0.4mmとし、エッチング液に浸す時間を15分としたことを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0074】
(実施例6)
透磁率300にすることを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0075】
(実施例7)
透磁率499、厚さ0.4mmとしたことを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0076】
(比較例1)
エッチング処理を行わず、ワイヤーカット加工を行い、角度αが90°であることを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0077】
(比較例2)
エッチング液に浸す時間を15分20秒とするで角度αを44°にしたことを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0078】
(比較例3)
エッチング液に浸す時間を6分とすることで角度αを71°にしたことを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0079】
(比較例4)
透磁率295にしたことを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0080】
(比較例5)
透磁率505、厚さ0.4mmとしたことを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0081】
(比較例6)
含有するニッケル成分が3%であることを除いて、実施例1と同様の磁性ブレードを形成した。
【0082】
上述の実施例1〜7及び比較例1〜6の現像装置を、以下のようにして評価した。
【0083】
(感光体ドラム2上のトナー付着量についての評価)
複写機(商品名:MX−7000N、シャープ(株)製)において、全面ベタ画像を5枚連続印刷し、1枚目排出時にジャムを発生させ、感光体ドラム2上のトナーを吸引することで、単位面積当たりの感光体ドラム2上のトナー付着量を測定した。
【0084】
この時、感光体ドラム2上の付着量が、実験によって形成された印刷画像に白抜けが全く確認できないレベルである0.9mg/cm以上である場合を◎、印刷画像に白抜けがほとんど確認できないレベルである0.7mg/cm以上であって0.9mg/cm未満である場合を○、印刷画像に白抜けが少し確認できるレベルである0.5mg/cm以上であって0.7mg/cm未満である場合を△、印刷画像に白抜けが明らかに確認できるレベルである0.5mg/cm未満である場合を×とした。
【0085】
(現像剤Gの流動性評価)
複写機(商品名:MX−7000N、シャープ(株)製)において、十分に現像剤Gに負荷がかかるように、印刷面積5%の画像を10000枚連続印刷した後、流動性測定装置(商品名:振動移送式流動性測定装置、株式会社エトワス製)によって現像剤Gの流動性を測定した。
【0086】
この時、2gの現像剤Gを用いて、電圧60V、振動数137Hzで、流出開始時間を測定し、未使用の現像剤Gの移送時間は5分未満であったことから、現像剤Gがほとんど劣化しておらず、現像剤Gの移送時間が初期レベルと同等の5分未満のものを◎、現像剤Gの劣化を確認できるが、これによる画質不良が発生していないレベルである5分以上7分未満のものを○、現像剤Gの劣化によるベタ画像のカスレが発生するレベルである7分以上10分未満のものを△、現像剤Gの著しい劣化によるベタ画像の白スジが発生するレベルである10分以上のものを×とした。
【0087】
(総合評価)
感光体ドラム2へのトナーの付着量、及び、現像剤Gの流動性、の2つの評価がともに◎のものを◎とした。△又は×がなく、付着量及び流動性のいずれか一方が○であるものを○とした。×が無く、付着量及び流動性の少なくともいずれか一方が△であるものを△とした。付着量及び流動性の少なくとも1つが×であるものを×とした。
【0088】
上述のような評価方法に基づいて、まず、角度α(°)について検討する。ここで、実施例2(角度α=45°)及び実施例3(角度α=70°)と、比較例2(角度α=44°)及び比較例3(角度α=71°)と、を比較する。実施例2,3では、付着量及び流動性が○又は◎であったが、比較例2及び比較例3では、付着量及び流動性が△又は○であった。因みに、比較例1(角度α=90°)では、付着量及び流動性が×であった。これらのことから、角度αが45°以上70°以下である場合に、感光体ドラム2へのトナーの付着量、及び、現像剤Gの流動性を、ともに良好にすることができることが分かった。
【0089】
次に、磁性ブレード161の厚さL(mm)について検討する。実施例4(厚さL=0.2mm)及び実施例5(厚さL=0.4mm)では、付着量及び流動性が○又は◎であった。エッチング処理によっては、厚さLが、0.2mm未満のもの、及び、0.4mmを超えるものを形成することはできない。磁性ブレード161の厚さLは、0.2mm以上0.4mm以下であるので、エッチング処理によって精度よく形成される。
【0090】
磁性ブレード161中のニッケル成分の割合(%)について検討する。実施例1(1%)では付着量及び流動性が◎であったが、比較例6(3%)では付着量が×であったことから、磁性ブレード161中のニッケル成分の割合は、1%以下であることが好ましいと分かった。
【0091】
磁性ブレード161の透磁率について検討する。実施例6(透磁率300)、実施例1(透磁率475)、及び、実施例7(透磁率499)では、付着量及び流動性が○又は◎であったが、比較例4(透磁率295)では付着量が×で流動性が△であり、比較例5(透磁率505)では付着量が△で流動性が×であった。これらのことから、磁性ブレード161の透磁率は、300以上500未満であることが好ましいと分かった。
【0092】
なお、磁性ブレード161を仮想面142に対して垂直以外の所定角度に配置してもよく、この状態で斜面161Bが仮想面に対して20度以上45度以下の角度をなすように磁性ブレード161を形成してもよい。
【0093】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】この発明の実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の一部の構成を示す正面断面図である。
【図2】現像装置の概略の構成を示す正面断面図である。
【図3】現像装置の一部の構成を示す正面断面図である。
【図4】(A)は、現像装置に備えられた磁性ブレードの構成を示す斜視図であり、(B)は、磁性ブレードの拡大正面断面図である。
【図5】磁性ブレードの製造工程を示すフローチャートである。
【図6】実施例及び比較例のそれぞれの実験条件及び実験結果を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 画像形成装置
2 感光体ドラム(静電潜像担持体)
10 現像装置
14 現像スリーブ(現像剤担持体)
15 磁石
16 ドクターブレード(現像剤規制部材)
141 現像スリーブの周面
142 仮想面
161 磁性ブレード(磁性部材)
161A 平面
161B 斜面
A 現像領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤として2成分現像剤を用いた電子写真方式の画像形成処理において静電潜像を可視像化する現像装置であって、
内部に固定的に配置された磁石の磁力を介して周面に現像剤を担持しながら回転し、静電潜像担持体と対向する現像領域へ現像剤を搬送する現像剤担持体と、
少なくとも板状の磁性部材を含み、前記現像剤担持体の回転方向において前記現像領域より上流側で、前記磁性部材の先端部が前記周面に間隙を設けて対向するように配置され、前記現像剤担持体の前記周面における現像剤の担持量を調整する現像剤規制部材と、を備え、
前記磁性部材は、前記周面のうち前記先端部が対向する部分に接する仮想面に対して所定角度に配置され、前記回転方向の下流側ほど前記周面との間隙が狭くなるように前記仮想面に対して20度以上45以下の角度をなす斜面を、前記先端部の前記周面に対向する面に有する現像装置。
【請求項2】
前記磁性部材の前記回転方向に沿う方向の厚さは、0.2mm以上0.4mm以下である請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁性部材は、エッチング処理によって形成される請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記磁性部材は、前記回転方向の上流側に配置される面及び下流側に配置される面のうち、一方の面からのエッチング処理によって形成される請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記磁性部材の透磁率は、300以上500未満である請求項1から4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記磁性部材は、ステンレス製である請求項1から5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記ステンレス中のニッケル成分の割合は、1%以下である請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤担持体は、前記現像領域において、下方から上方へ現像剤を搬送するように構成される請求項1から7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
静電潜像を担持する静電潜像担持体と、
請求項1から8のいずれかに記載の現像装置であって、前記静電潜像担持体に担持された静電潜像を可視像化する現像装置と、を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−58852(P2009−58852A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227374(P2007−227374)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】