説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】安価な構成で、現像剤規制部66と現像ロール62との間隔を形成させる。
【解決手段】現像剤規制部66を筐体64に一体的に形成する。これにより、現像剤規制部66の剛性が向上するため、磁性材料66Bが現像ロール62の磁極の磁力に引っ張られて撓みにくい。このため、安価な小径の丸棒で形成された磁性材料66Bを用いることができる。また、現像ロール62と現像剤規制部66との間隔の寸法精度を出しやすくなるため、製造が容易となり、現像装置60の製造コストを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像装置としては、特許文献1に開示される現像装置が公知である。特許文献1に開示される現像装置は、現像ロール12が有する磁石ロール12bの一つの磁極12cと対向する位置に、現像スリーブ12aの周面と近接又は接触するように層厚規制ロール16を備える。この層厚規制ロール16は少なくとも一部が磁性材料で構成され、現像ロール12周面のほぼ法線方向に移動自在に支持されている。したがって、常にほぼ一定の圧接力が維持されるとともに、凝集したトナーや異物が圧接位置に滞留することがなく、現像ロール12上に均一な現像剤層が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−20717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、安価な構成で、現像剤規制部と現像剤保持体との間隔を形成させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る現像装置は、現像剤を表面に保持する現像剤保持体と、前記現像剤保持体を収容する筐体と、前記筐体に形成され、前記現像剤保持体に保持される現像剤量を規制する現像剤規制部と、を備える。
【0006】
本発明の請求項2に係る現像装置は、請求項1の構成において、前記現像剤規制部は、磁性材料と、前記磁性材料を収容するための中空部と、を備える。
【0007】
本発明の請求項3に係る現像装置は、請求項2の構成において、前記筐体には、その筐体の外面側から前記中空部に前記磁性材料を収容するための開口部が、前記現像剤保持体と対向する内面の反対側にある外面に形成されている。
【0008】
本発明の請求項4に係る現像装置は、請求項2又は請求項3の構成において、前記磁性材料は、側面視にて前記中空部よりも小さくされ、前記現像剤規制部は、側面視にて前記現像保持体の中心を通る水平線よりも上方に配置されている。
【0009】
本発明の請求項5に係る現像装置は、請求項4の構成において、前記現像剤保持体は、その現像剤保持体が前記筐体に収容されていない状態において前記現像剤規制部の中空部に収容された前記磁性材料の重心と前記筐体に収容された前記現像剤保持体の中心とを結ぶ直線と、前記現像剤保持体の中心を通る水平線と、で成す前記現像剤保持体表面の円弧上に、磁力の最も高い部分をもつ磁極を少なくとも有する。
【0010】
本発明の請求項6に係る現像装置は、請求項1〜5のいずれか1項の構成において、前記現像剤規制部は、側面視にて、前記中空部の内壁の形状と前記現像剤保持体側の外壁の形状とが同一形状されている。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置と、表面に形成された静電潜像が前記現像装置の前記現像剤によって現像される像保持体と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1の構成によれば、現像剤規制部が筐体に形成されていない場合に比べ、安価な構成で、現像剤規制部と現像剤保持体との間隔を形成させることができる。
【0013】
本発明の請求項2の構成によれば、現像剤規制部が磁性材料を有さない場合に比べ、精度よく現像剤を規制できる。
【0014】
本発明の請求項3の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、容易に筐体を製造できる。
【0015】
本発明の請求項4の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、現像剤規制部が規制する現像剤量が安定する。
【0016】
本発明の請求項5の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、現像剤規制部が規制する現像剤量が安定する。
【0017】
本発明の請求項6の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、筐体に変形が発生しにくい。
【0018】
本発明の請求項7の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、白抜けなどの画像障害が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る現像装置の構成を部分断面で示す概略側面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る筐体の外面側から磁性材料を収容可能な構成を示す概略側面図である。
【図4】図4は、側面視において中空部よりも小径な磁性材料を中空部に収容すると共に、現像剤規制部が現像ロールの中心を通る水平線よりも上方に配置される構成を示す概略側面図である。
【図5】図5は、図4に示す構成において、さらに、現像剤規制部の中空部に収容される磁性材料の位置を安定化させるための構成を示す概略側面図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る現像ロールの中心を通る水平線よりも下方に、現像剤規制部を配置した構成を示す概略側面図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る現像剤規制部の中空部の下側内壁を、側面視にてV字形状に形成した構成を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る画像形成装置の構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0021】
画像形成装置10は、図1に示すように、記録媒体Pが収容される記録媒体収容部12と、記録媒体Pに画像を形成する画像形成部14と、記録媒体収容部12から画像形成部14へ記録媒体Pを搬送する搬送部16と、画像形成部14によって画像が形成された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部20と、を備えている。記録媒体収容部12が収容する記録媒体Pとしては、用紙や、プラスチック・金属等のフィルムなどがある。
【0022】
画像形成装置10は、記録媒体収容部12、画像形成部14及び搬送部16が収容された装置本体11を備えている。
【0023】
画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kと、画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kで形成されたトナー画像を記録媒体Pに転写する転写部材28と、転写部材28によって転写されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置18と、を備えている。
【0024】
画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kは、表面に形成されたトナー画像を保持する像保持体の一例として、一方向(図1において時計回り方向)へ回転する感光体ドラム30をそれぞれ有している。
【0025】
各感光体ドラム30の周囲には、感光体ドラム30の回転方向上流側から順に、感光体ドラム30の表面を帯電させる帯電装置32と、帯電した感光体ドラム30の表面を露光して感光体ドラム30の表面に静電潜像を形成する露光装置34と、感光体ドラム30の表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置60と、が設けられている。なお、現像装置60の具体的構成は、後述する。
【0026】
転写部材28は、後述の搬送ベルト54を挟んで、感光体ドラム30に対向している。転写部材28と感光体ドラム30との間には、感光体ドラム30表面のトナー画像が記録媒体Pに転写される転写位置が形成される。この転写位置において、転写部材28が感光体ドラム30表面のトナー画像を圧接力と静電力により記録媒体Pに転写するようになっている。
【0027】
また、画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kは、装置本体11に対して着脱可能に支持されており、交換可能とされている。画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kでは、感光体ドラム30、帯電装置32及び現像装置60がユニット化されており、一体的に装置本体11から着脱される。なお、感光体ドラム30、帯電装置32及び現像装置60は別体で構成されていてもよく、別個独立して装置本体11に対して着脱可能に支持されていてもよい。
【0028】
搬送部16は、記録媒体収容部12に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール50と、送出ロール50によって送り出された記録媒体Pを挟持搬送する搬送ロール対52と、搬送ロール対52によって搬送された記録媒体Pを転写位置に搬送する搬送体の一例としての搬送ベルト54と、を備えている。
【0029】
送出ロール50、搬送ロール対52及び搬送ベルト54は、記録媒体収容部12から記録媒体排出部20へ向けて延びる第1搬送路17に沿って、この順で配置されている。
【0030】
搬送ベルト54は、環状に形成され、記録媒体Pの搬送方向下流側に配置された巻掛ロール56と、記録媒体Pの搬送方向上流側に配置された巻掛ロール58とに巻き掛けられている。巻掛ロール56及び巻掛ロール58のいずれかが、一方向(図1における反時計回り方向)へ回転駆動することにより、搬送ベルト54が一方向(図1における反時計回り方向)へ回転(循環駆動)するように構成されている。
【0031】
この搬送ベルト54の搬送方向上流側には、搬送ベルト54の表面上を帯電させると共に、搬送ベルト54へ静電吸着される記録媒体Pを搬送ベルト54へ押し当てる帯電ロール57が搬送ベルト54に隣接して設けられている。
【0032】
なお、搬送ベルト54は、記録媒体Pを静電吸着して保持する構成に限定されるものではなく、記録媒体Pを吸引や粘着などの非静電的手段によって保持する構成であってもよい。
【0033】
定着装置18は、転写位置より搬送方向下流側に配置されており、転写位置で転写されたトナー画像を記録媒体Pへ定着させる。
【0034】
定着装置18よりも搬送方向下流側には、定着装置18によってトナー画像が定着された記録媒体Pを記録媒体排出部20に排出する排出ロール42が配置されている。
【0035】
また、片面に画像が形成された記録媒体Pを反転させて、再び第1搬送路17へ送り戻すための第2搬送路19が、搬送ベルト54を挟んで第1搬送路17に対向して形成されている。
【0036】
この第2搬送路19には、記録媒体Pを挟持搬送する複数の搬送ロール対23が配置されており、両面に画像を形成する際には、片面に画像が形成された記録媒体Pは、排出ロール42によりスイッチバックされて第2搬送路19に導かれ、複数の搬送ロール対23によって下方へ搬送され、第1搬送路17へ送り戻される。
【0037】
以上の構成により、本実施形態に係る画像形成装置10では、まず記録媒体収容部12から送り出された記録媒体Pが、搬送ベルト54によって、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した転写位置へ順次送り込まれる。
【0038】
転写位置へ送り込まれた記録媒体Pには、感光体ドラム30上に形成された各色のトナー画像が転写部材28によって転写され、各色のトナー画像が重ねられてカラー画像が形成される。さらに定着装置18へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置18により定着される。記録媒体Pの片面へのみ画像を形成する場合は、トナー画像が定着された後、記録媒体Pは排出ロール42により記録媒体排出部20へ排出される。
【0039】
記録媒体Pの両面へ画像を形成する場合には、片面に画像が形成された後、記録媒体Pは、排出ロール42でスイッチバックされ、反転して第2搬送路19へ送り込まれる。さらに、第2搬送路19から再び第1搬送路17へ送り込まれ、反対面側に上記と同様に画像が形成され、記録媒体Pの両面へ画像が形成される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0040】
なお、画像形成装置の構成としては、上記の構成に限られず、例えば、中間転写体を有する間接転写型の画像形成装置でもよく、種々の構成とすることが可能である。
【0041】
(本実施形態に係る現像装置60の構成)
次に、本実施形態に係る現像装置60の構成を説明する。図2は、本実施形態に係る現像装置60の構成を示す概略図である。
【0042】
本実施形態に係る現像装置60は、図2に示すように、現像剤を表面に保持する現像剤保持体の一例としての現像ロール62と、現像ロール62を収容する筐体64と、を備えている。この現像装置60では、現像剤として、非磁性トナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤が用いられる。
【0043】
筐体64は、全体として扁平形状とされている。具体的には、筐体64は、図2に示す側面視における横方向の長さが、上下方向の長さよりも長く、感光体ドラム30の軸方向に沿った長さが、図2に示す側面視における横方向の長さよりも長い。
【0044】
なお、筐体64の上下方向は、感光体ドラム30の周方向に沿った方向であり、図2に示す側面視における横方向は、感光体ドラム30の半径方向に沿った方向である。
【0045】
また、筐体64は、感光体ドラム30側に開口部65を有する箱状に形成されている。筐体64は、その上下方向において2分割されており、下部筐体64Aと上部筐体64Bとが接合させて構成されている。
【0046】
筐体64の内部には、現像剤を収容する現像室68が形成されている。この現像室68には、感光体ドラム30に対向する現像ロール62が、筐体64の開口部65に配置されている。現像ロール62は、筐体64の開口部65から筐体64の外側に外周一部が露出すると共に、感光体ドラム30の軸方向に沿った方向を回転軸として回転するようになっている。
【0047】
現像ロール62は、筐体64の側面に回転可能に支持された中空円筒形状からなる非磁性のスリーブ62Aと、このスリーブ62Aの中空内に固定された状態で配置され、複数の磁極が予め定められた角度に適宜配置されたマグネットロール62Bとで構成されている。マグネットロール62Bの磁極の磁力によって、現像剤が穂立ちとなって磁気ブラシを形成し、スリーブ62Aの外周面に保持される。
【0048】
また、現像室68には、現像剤を循環搬送するための循環搬送路76が、現像ロール62から見て感光体ドラム30とは反対側の領域に形成されている。
【0049】
循環搬送路76は、現像ロール62の回転軸方向に沿って延び設けられた往路76Aと、現像ロール62の回転軸方向に沿って延び設けられた復路76Bと、を備えている。この往路76Aと復路76Bとは、下部筐体64Aに形成された仕切壁63によって仕切られている。往路76Aは、上流端部が復路76Bの下流端部と通じており、上流端部において現像剤が復路76Bから流入可能となっている。また、往路76Aは、下流端部が復路76Bの上流端部と通じており、下流端部において現像剤が復路76Bへ流入可能となっている。
【0050】
往路76Aには、現像室68内の現像剤を搬送する搬送部材70が配置され、復路76Bには、現像室68内の現像剤を搬送する搬送部材72が配置されている。
【0051】
搬送部材70及び搬送部材72は、それぞれ、搬送スクリューで構成されており、筐体64に回転可能に支持された回転軸70A、72Aと、その回転軸70A、72Aにその軸周りに螺旋状に設けられ回転軸70A、72Aの回転によりトナーを搬送可能な羽根部材70B、72Bとを備えている。回転軸70A、72Aの端部には、図示しないギアが固定されており、図示しないモータからの回転力がギアへ伝達され、該ギアを介して回転軸70A、72Aが回転するようになっている。
【0052】
搬送部材70の回転軸70Aが回転することにより、羽根部材70Bで現像剤が、往路76Aの上流端部から下流端部に向けて搬送される。往路76Aを搬送された現像剤は、復路76Bの上流端部に流入する。復路76Bの上流端部に流入した現像剤は、搬送部材72の回転軸72Aが回転することにより、羽根部材72Bで復路76Bの上流端部から下流端部に向けて搬送され、復路76Bの下流端部で往路76Aの上流端部に流入する。このようにして、現像剤が循環搬送路76を循環する。
【0053】
また、現像室68には、搬送部材72が搬送する現像剤を現像ロール62に供給する供給部材74が、搬送部材72と現像ロール62との間に配置されている。
【0054】
供給部材74は、パドルホイールで構成されており、筐体64に回転可能に支持された回転軸74Aと、回転軸74Aの周方向に沿って90度毎に設けられた4枚の板体(パドル)74Bとを備えている。
【0055】
回転軸74Aの端部には、図示しないギアが固定されており、図示しないモータからの回転力がギアへ伝達され、該ギアを介して供給部材74が回転するようになっている。
【0056】
これにより、復路76Bを搬送される現像剤の一部は、供給部材74の回転軸74Aが回転することにより、板体74Bで現像ロール62へ供給される。
【0057】
ここで、本実施形態では、現像ロール62に保持される現像剤量を規制する現像剤規制部66が、筐体64に形成されている。すなわち、本実施形態では、現像剤量を規制する機能を筐体64に持たせている。具体的には、現像剤規制部66は、筐体64の上蓋の機能を備えた上部筐体64Bの内壁に一体成型により形成されている。
【0058】
現像剤規制部66を含む筐体64は、非磁性材料で形成されている。非磁性材料としては、ABS樹脂やPS(polystyrene)樹脂などのエンジニアリングプラスティックなどがある。
【0059】
現像剤規制部66は、現像ロール62の外周面と予め定められた間隔をあけて、現像ロール62に対向して配置されている。現像ロール62に対向する側の表面形状は、湾曲した曲面で形成されており、側面視にてR形状とされている。
【0060】
現像剤規制部66には、現像ロール62の軸方向に沿って形成された中空部66Aを備えている。中空部66Aは、現像ロール62の軸方向に沿って延び設けられており、長手方向両端側の少なくとも一方が開放されている。
【0061】
この中空部66Aには、磁性材料66Bが配置されている。この磁性材料66Bは、例えば、一般的な低炭素鋼や、フェライト系のステンレス鋼から構成されている。磁性材料66Bの形状は、現像剤規制部66の表面形状に合わせて丸棒であることが好ましいが、必ずしも丸棒に限定されず、角材でもよい。また、磁性材料66Bとしては、中空部66Aに充填される鉄粉などであってよい。
【0062】
磁性材料66Bは、中空部66Aに対して、中空部66Aの開放された長手方向一端側から収容されるようになっている。
【0063】
現像剤規制部66では、磁性材料66Bの磁極により現像剤を保持する保持力が発生し、この保持力によって、現像ロール62に保持された現像剤の一部が掻き取られる。
【0064】
このように、現像剤規制部66は、現像ロール62表面の現像剤の通過量を規制して、現像ロール62表面に予め決められた厚さの現像剤層を形成するようになっている。
【0065】
また、磁性材料66Bの体積は、従来のように現像ロール62表面に丸棒の現像剤規制部材を直接対面させた形態の現像剤規制部よりも小さい。
【0066】
(本実施形態に係る現像装置60の作用)
次に、本実施形態に係る現像装置60の作用を説明する。
【0067】
本実施形態に係る現像装置60では、現像室68に収容された現像剤が、搬送部材70及び搬送部材72によって循環搬送路76を循環する。
【0068】
循環搬送路76の復路76Bを搬送される現像剤の一部は、供給部材74によって現像ロール62に供給される。
【0069】
現像ロール62に供給された現像剤は、現像ロール62表面に吸着され、穂立ち状態になって磁気ブラシを形成する。
【0070】
現像ロール62表面の現像剤の磁気ブラシは、現像剤規制部66によって現像剤の量が規制されて、感光体ドラム30と対向する位置へ搬送される。そして、感光体ドラム30表面に形成された静電潜像が、現像ロール62表面の現像剤によってトナー画像として可視化される。
【0071】
ところで、現像剤規制部66が、物理的接触のみによって現像剤量を規制する非磁性体で有る場合では、磁気ブラシの穂立ち状態が崩れるのに対して、本実施形態では、現像剤規制部66は磁性材料66Bを有するので、現像剤は、磁気ブラシの穂立ち状態を維持したまま、感光体ドラム30まで搬送される。
【0072】
本実施形態では、現像剤規制部66は、表面が曲面で形成されているので、異物等が現像剤規制部66と現像ロール62との間に留まりにくい。このため、現像ロール62表面に形成される現像剤層が乱れることによる白抜けのような画像障害も引き起こしにくい。
【0073】
また、現像剤規制部66の表面が曲面で形成されていることにより、現像ロール62表面の現像剤からうける圧力が均一化され、現像剤規制部66が磨耗しにくい。
【0074】
また、本実施形態では、現像ロール62に保持された現像剤が現像剤規制部66との間を通過する際には、現像剤規制部66を押し上げる力が働くが、現像剤規制部66は筐体64と一体に形成されているので、従来のように現像ロール62表面に丸棒の現像剤規制部材を直接対面させた形態の現像剤規制部と比べて、現像剤規制部66がたわみ難く剛性が向上するので、現像剤規制部66と現像ロール62との間隙は、現像ロール62の磁力によらずに一定に保持され、現像ロール62表面の現像剤量が安定する。
【0075】
より詳述すると、従来のような現像ロール62表面に丸棒の現像剤規制部材を直接対面させた形態の現像剤規制部では、現像剤規制部材である丸棒の両端部を筐体で保持しているだけであり、現像剤規制部材である丸棒の中央部は筐体で保持されていない為、丸棒の中央部は撓み易い。例えば、現像剤が現像ロールと現像剤規制部材との間に侵入しようとする際に生じさせる圧力や、丸棒を磁性材料で形成させた場合には丸棒が現像ロールの磁石にて引き付けられる力が、現像剤規制部材である丸棒に加わり、現像ロールと現像剤規制部材との間隔が中央部と両端部とで予定外の間隔となってしまうことがある。この為、現像剤規制部材に丸棒を用いる場合には、丸棒の直径を剛性を保てる程度、言い換えると、現像ロールと現像剤規制部材との間隔が中央部と両端部とで予定外の間隔となって印字画質に影響が出ない程度に太くする必要がある。
【0076】
本実施形態では、現像剤規制部66は筐体64と一体に形成されて剛性が向上するため、現像剤規制部66の磁性材料66Bに、大径よりも安価な小径の丸棒を用いた場合でも、現像ロール62の磁極の磁力に引っ張られにくい。このため、磁性材料66Bが現像ロール62側へ撓みにくい。
【0077】
また、現像剤規制部66が筐体64と一体に形成されて剛性が向上することにより、現像ロール62と現像剤規制部66との間隔の寸法精度を出しやすくなる。
【0078】
また、現像装置60を交換する際に、交換者が現像装置60を手で掴むときにも現像装置60の筐体64の剛性が高いと交換がしやすい。現像装置60と感光体ドラム30とが一体となった画像形成ユニットの場合も同様に交換がしやすくなる。
【0079】
なお、現像剤規制部66としては、非磁性体で構成されていてもよい。この構成では、現像ロール62表面の現像剤に物理的接触により、その通過量を規制して現像ロール62表面に予め決められた厚さの現像剤層を形成するようになっている。この場合では、物理的接触により、現像ロール62表面の現像剤の通過量を規制するため、現像ロール62と現像剤規制部66との間隔の精度が必要となるが、本実施形態の構成では現像剤規制部66の剛性が高いため、現像ロール62と現像剤規制部66との間隔の精度が出しやすい。
【0080】
また、上記の構成では、現像装置60は、感光体ドラム30の横方向に配置されていたが、画像形成装置10の構成によって、感光体ドラム30に対する現像装置60の配置位置は、適宜変更可能である。従って、現像装置60は、感光体ドラム30の上方や下方等、感光体ドラム30の周方向のいずれか位置に配置することが可能である。
【0081】
また、上記の構成では、磁性材料66Bが中空部66Aに対して中空部66Aの開放された長手方向一端側から収容される構成となっていたが、図3に示すように、筐体64の外面側から磁性材料66Bを収容可能な構成とされていてもよい。この構成では、筐体64の外面側から中空部66Aに磁性材料66Bを収容するための開口部78が、現像ロール62と対向する内面の反対側にある外面に形成されている。これにより、中空部66Aが開口部78を通じて開放される。
【0082】
開口部78には、この開口部78を開閉可能な開閉部80が設けられている。開閉部80は、例えば、PETフィルムやウレタンシートや筐体64と同じ材料で構成され、両面テープやスナップフィットなどによる構造によって筐体64に保持されて開口部78を閉鎖する。開閉部80によって開口部78が閉鎖させることにより、磁性材料66Bが中空部66Aに保持される。
【0083】
このように、開口部78を形成することにより、筐体64を一体成型した際に、型からぬきやすく、筐体64が形成しやすくなる。また、中空部66Aの軸方向の両端に部品が配置された場合でも、その部品が磁性材料66Bを収容する際に邪魔にならない。
【0084】
なお、この構成においては、中空部66Aの長手方向は、開放されていても閉鎖されていてもよい。また、開閉部80を有さない構成であってもよく、この場合は、例えば、磁性材料66Bは中空部66Aに圧入されて中空部66Aに保持される。
【0085】
また、図4(A)及び図4(B)に示すように、側面視において中空部66Aよりも小径な磁性材料66Bを中空部66Aに収容する構成であってもよい。この磁性材料66Bは、中空部66Aよりも小径とされるため、中空部66Aの内壁との間に隙間が形成され、磁性材料66Bの軸方向(長手方向)と直交する直交方向に移動する。
【0086】
この構成においては、現像剤規制部66は、現像ロール62の中心Cを通る水平線Sよりも上方に配置されるのが好ましい。この構成により、磁性材料66Bの重力が現像ロール62側に作用するため、現像ロール62から受ける磁力と、磁性材料66Bの重力とが相反する方向に作用せず、磁性材料66Bの位置が安定化するためである。
【0087】
また、現像ロール62の中心Cを通る水平線Sよりも上方に現像剤規制部66を配置する構成においては、さらに、現像剤規制部66の中空部66Aに収容される磁性材料66Bの位置を安定化させるため、以下の構成としてもよい。この構成では、図5に示すように、現像ロール62を筐体64に収容されていない状態において中空部66Aに収容された磁性材料66Bの重心Gと筐体64に収容された現像ロール62の中心Cとを結ぶ直線Aと、現像ロール62の中心Cを通る水平線Bと、で成す現像ロール62表面の円弧上に、磁力の最も高い部分をもつ磁極62Cを少なくとも有している。
【0088】
図5では、点線にて、磁力分布(磁束密度)を示している。この点線で示す磁力分布は、現像ロール62の半径方向の外側に広がる部分ほど、磁力(磁束密度)が高いことを示している。従って、二点鎖線P部分が、磁力の最も高い部分(ピーク)となる。
【0089】
なお、図6に示すように、現像ロール62の中心Cを通る水平線よりも下方に、現像剤規制部66を配置する場合は、鉄粉などの磁性材料66Bを中空部66Aが満たされるように、中空部66Aに充填するのが良い。また、中空部66Aとほぼ同じ径の磁性材料66Bを収容するか、あるいは、中空部66Aよりも若干大径とされた磁性材料66Bを中空部66Aに圧入しても良い。
【0090】
また、側面視において中空部66Aよりも小径な磁性材料66Bを中空部66Aに収容する構成においては、図7に示すように、現像剤規制部66の中空部66Aの下側内壁を、側面視にてV字形状に形成しても良い。これにより、磁性材料66Bが移動しにくくなり、磁性材料66Bの位置が安定する。
【0091】
このように内壁形状をV字状とする場合において、現像ロール62側の外壁の表面形状をR形状とした場合には、この部分で筐体64の肉厚が変わるので、筐体64にそりや変形などが生じてしまう可能性がある。
【0092】
従って、図7に示すように、現像剤規制部66において、側面視にて、中空部66Aの内壁の形状と、現像ロール62側の外壁の形状とを同一形状として、筐体64の肉厚が変わらないようにする。これにより、筐体64にそりや変形などが生じにくくなる。
【0093】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 画像形成装置
30 感光体ドラム(像保持体)
60 現像装置
62 現像ロール(現像剤保持体)
62C 磁極
64 筐体
66 現像剤規制部
66B 磁性材料
66A 中空部
78 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を表面に保持する現像剤保持体と、
前記現像剤保持体を収容する筐体と、
前記筐体に形成され、前記現像剤保持体に保持される現像剤量を規制する現像剤規制部と、
を備える現像装置。
【請求項2】
前記現像剤規制部は、
磁性材料と、前記磁性材料を収容するための中空部と、を備える請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記筐体には、その筐体の外面側から前記中空部に前記磁性材料を収容するための開口部が、前記現像剤保持体と対向する内面の反対側にある外面に形成されている請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記磁性材料は、側面視にて前記中空部よりも小さくされ、
前記現像剤規制部は、側面視にて前記現像保持体の中心を通る水平線よりも上方に配置されている請求項2又は請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像剤保持体は、
その現像剤保持体が前記筐体に収容されていない状態において前記現像剤規制部の中空部に収容された前記磁性材料の重心と前記筐体に収容された前記現像剤保持体の中心とを結ぶ直線と、前記現像剤保持体の中心を通る水平線と、で成す前記現像剤保持体表面の円弧上に、磁力の最も高い部分をもつ磁極を少なくとも有する請求項4に記載の現像装置
【請求項6】
前記現像剤規制部は、側面視にて、前記中空部の内壁の形状と前記現像剤保持体側の外壁の形状とが同一形状されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置と、
表面に形成された静電潜像が前記現像装置の前記現像剤によって現像される像保持体と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−210993(P2010−210993A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57589(P2009−57589)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】