説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】現像剤の排出量を適切に調整することのできる現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像剤担持体15に沿って一端から他端に延び、現像剤が収容される現像剤収容容器12と、収容された現像剤を撹拌しながら搬送する第1搬送部材13と、現像剤担持体に現像剤を供給する第2搬送部材14とを備えた構成とする。現像剤収容容器は、第1搬送部材が配置される第1収容部20と、第2搬送部材が配置される第2収容部21と、第1収容部と第2収容部を、一端側で連通する第1連通部22と、他端側で連通する第2連通部23と、第1収容部20の他端側であって、第2連通部よりも他端側に配置される現像剤補給部30と、第2収容部の他端側であって、第2連通部よりも他端側に配置される現像剤排出部31と、第2連通部と現像剤排出部の間に配置され、通過する現像剤量を調整する流量調整部60とを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、劣化したキャリアを含む現像剤を排出し、新たな現像剤を補給するようにした、いわゆるトリクル方式の画像形成装置では、例えば、次のような構成の現像装置を備えたものが公知である。
【0003】
すなわち、現像装置として、現像槽に現像剤が流入可能な突出部を形成し、その突出部の壁部に排出開口を形成することにより、現像槽が傾いたとしても、突出部により現像槽から一度に多量の現像剤が排出されることを抑制するようにしたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他の現像装置として、現像槽に形成した排出開口を、排出用ソレノイドを駆動して開閉蓋で開閉することにより、補給量に見合う量の現像剤を排出できるようにしたものが公知である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3014563号公報
【特許文献2】特開平6−250517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記いずれの現像装置であっても、現像剤の排出量を適切な値とすることは難しい。
【0007】
すなわち、特許文献1に記載された現像装置では、突出部によって現像剤が一度に排出開口へと至ることを防止できるだけである。現像剤の排出量は抑制するだけでなく、促進することも必要であるので、突出部によって抑制するだけでは適切な排出量とすることはできない。
【0008】
一方、特許文献2に記載された現像装置では、開閉蓋によって排出開口を開閉しているだけである。現像装置の傾きやシステム速度(感光体の回転速度、用紙搬送速度等)の変化により、現像装置内での場所によって現像剤の液面は変位するが、排出開口を開閉するだけでは、この液面の変位に対して十分に対応することができない。つまり、現像剤の排出量を適切に調整することは不可能である。
【0009】
そこで、本発明は、現像剤の排出量を適切に調整することのできる現像装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
現像装置を、
現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に沿って一端から他端に延び、現像剤が収容される現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器内に設けられ、収容された現像剤を撹拌しながら搬送する第1搬送部材と、
前記現像剤収容容器内に設けられ、前記現像剤担持体に現像剤を供給する第2搬送部材と、を備え、
前記現像剤収容容器は、
前記第1搬送部材が配置される第1収容部と、
前記第2搬送部材が配置される第2収容部と、
前記第1収容部と前記第2収容部を、一端側で連通する第1連通部と、
前記第1収容部と前記第2収容部を、他端側で連通する第2連通部と、
前記第1収容部の他端側であって、前記第2連通部よりも他端側に配置される現像剤補給部と、
前記第2収容部の他端側であって、前記第2連通部よりも他端側に配置される現像剤排出部と、
前記第2連通部と現像剤排出部の間に配置され、通過する現像剤量を調整する流量調整部と、
を備えた構成としたものである。
【0011】
この構成により、流量調整部によって現像剤排出部に向かう現像剤量を調整して液面位置を安定させることができる。したがって、現像剤排出部で、直接、現像剤の排出量を調整する場合に比べて、現像剤の排出量を適切に調整することが可能となる。
【0012】
前記流量調整部は、通電により磁化して、通過しようとする現像剤を捕捉可能な磁性体で構成すればよい。
【0013】
前記流量調整部は、流路断面積を変更可能とすることにより通過する現像剤量を調整するようにしてもよい。
【0014】
前記現像剤収容容器内の現像剤重量を推測する現像剤重量推測手段と、
前記現像剤重量推測手段で推測した現像剤重量に基づいて、前記流量調整部を駆動制御して通過する現像剤量を調整する流量制御手段と、
をさらに備えるのが好ましい。
【0015】
この構成により、現像剤排出部を介して排出する現像剤量を、より一層適切な値とすることができる。すなわち、推測される現像剤重量が予め設定した基準値を超える場合、流量調整部により通過させる現像剤量を増大させることにより、現像剤収容容器内で循環する現像剤重量を迅速に基準値へと調整することができる。また、推測される現像剤重量が予め設定した基準値未満である場合、流量調整部により通過可能な現像剤量を減少させることにより、現像剤排出部を介して排出される現像剤量を抑えることができる。
【0016】
前記第2搬送部材は、回転軸の周囲に螺旋状の羽根部を備え、
前記羽根部は、
回転により現像剤を第1連通部側から第2連通部側へと攪拌しながら搬送する第1羽根部と、
前記第1羽根部によって搬送された現像剤に逆向きの抵抗を付与する第2羽根部と、
第2羽根部を乗り越えた現像剤を現像剤排出部へと導く第3羽根部と、
からなり、
前記流量調整部は、第2収容部を構成する内壁側と、前記羽根部が位置しない第2搬送部材の回転軸の周囲との間で開口領域を拡縮可能であるのが好ましい。
【0017】
この構成により、流量調整部によって回転軸の周囲まで開口領域を縮小すれば、流量調整部を通過可能な現像剤は殆どなくなり、現像剤排出部を介して排出される現像剤量をほぼ0とすることができる。
【0018】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、画像形成装置を、前記いずれかに記載の現像装置を備えた構成としたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、流量調整部によって現像剤排出部に至る前の段階で現像剤の通過量を調整することができる。したがって、現像剤排出部での現像剤の排出量を確実に所望の値にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略を示す正面図である。
【図2】図1の画像形成ユニットの概略を示す正面断面図である。
【図3】図2の現像装置の概略を示す平面断面図である。
【図4】図3の流量調整部の概略を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。
【図6】他の実施形態に係る流量調整部の概略を示す斜視図である。
【図7】他の実施形態に係る流量調整部の概略を示す斜視図である。
【図8】トナー濃度センサの出力とトナー濃度との関係を示すグラフである。
【図9】攪拌スクリューの回転に伴うトナー濃度センサの出力値の変化を示すグラフである。
【図10】トナー濃度センサの近傍での攪拌スクリューの回転に伴う現像剤の状態を示す横断面図である。
【図11】トナー濃度センサでの検出される信号波形の振幅とトナー濃度とに基づいて現像剤収容容器内の現像剤重量を推測するためのデータテーブルである。
【図12】トナー濃度センサでの検出される信号波形の周期の変動比とトナー濃度とに基づいて現像剤収容容器内の現像剤重量を推測するためのデータテーブルである。
【図13】圧力センサでの検出結果に基づいて現像剤収容容器内の現像剤重量を推測するためのデータテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
(1.全体構成)
図1は、2成分現像剤を用いた電子写真方式のうち、特に、トナーのみではなく現像剤を補給するようにした、いわゆるトリクル方式の画像形成装置を示す。この画像形成装置は、大略、画像形成ユニット1、転写ユニット2、露光ユニット3、定着ユニット4、給紙ユニット5、クリーニングユニット6、制御ユニット7(図5参照)等を備える。なお、画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及び、それらの機能を複合的に備えた複合機のいずれであってもよい。
【0023】
(1−1.画像形成ユニット1)
画像形成ユニット1は、転写ユニット2の中間転写ベルト44に沿って4箇所に配置され、それぞれ図1中、左側よりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の画像形成を行なうことにより、中間転写ベルト44の表面にカラー画像を形成する。各画像形成ユニット1は、図2に示すように、感光体ドラム8の周囲に、帯電装置9、現像装置10、クリーニング装置11、等を備える。
【0024】
帯電装置9は、感光体ドラム8の表面に所定の表面電位を形成する。この表面電位は、露光ユニット3によって露光されることにより静電潜像となる。ここでは、帯電装置9として非接触式のスコロトロン帯電器を使用しているが、例えば、ブレード状、ブラシ状等の接触式のものを使用することもできるし、帯電ローラを使用することも可能である。
【0025】
現像装置10は、図2及び図3に示すように、現像剤収容容器12に、攪拌スクリュー13、供給スクリュー14、及び、現像剤担持体である現像ローラ15をそれぞれ配設したものである。
【0026】
現像剤収容容器12は、図3に示すように、一端側から他端側へと延びる長尺な箱形状である。現像剤収容容器12内は、長手方向に沿って形成した仕切壁18によって第1収容部20と第2収容部21とに2分割されている。そして、第2収容部21は第1収容部20に対して斜め上方に位置している。第1収容部20と第2収容部21の両端側は第1連通部22と第2連通部23によってそれぞれ連通されている。これにより、現像剤収容容器内に収容された現像剤が循環移動可能となっている。
【0027】
第1収容部20には、単位体積当たりのトナー量を検出するための手段として、トナー濃度センサ29が設けられている。トナー濃度センサ29は、現像剤(キャリアに含まれる鉄分)の透磁率の違いを周波数として出力させ、トナー濃度(現像剤に対するトナーの重量比率)を演算する従来周知のものである。
【0028】
また、第1収容部20には、第2連通部23側の端部に現像剤補給口30が形成されている。すなわち、現像剤補給口30は、第2連通部23を介して移動する現像剤の循環経路から離れた一端側の領域(現像剤供給領域)に形成されている。そして、現像剤補給口30を介して後述する現像剤補給容器42から新たな現像剤が、適宜、補給されるようになっている。
【0029】
第2収容部21には、第2連通部23側の端部に現像剤排出口31が形成されている。すなわち、現像剤排出口31は、第2連通部を介して移動する現像剤の循環経路から離れた一端側の領域(現像剤排出領域、好ましくは、最も端の位置)に形成されている。そして、現像剤排出口31を介して現像剤が排出され、劣化したキャリアが長期間に亘って現像剤収容容器12内に残留することが防止されるようになっている。また、現像剤排出領域の入口には、流量調整部60が設けられている。
【0030】
流量調整部60は、図4に示すように、開口部61を有し、現像剤排出領域の入口に設けられる流路制限部62と、開口部61の両側にそれぞれ設けられる磁性部63とを備える。流路制限部62に形成する開口部61の形状は、ここでは円形であるが、楕円、四角形等の他の形状であってもよい。流路制限部62は、後述する供給スクリュー14の第1羽根部37と第2羽根部38の間に配置されている。磁性部63は、ここでは磁性材料からなる複数本の線材で構成しているが、1本の棒材等、磁化可能なものであれば何でもよい。また、磁性部63の一端側の外周には、コイル状に巻回した導線64が配置されている。そして、導線64に通電すれば、磁性部63を磁化することにより開口部61を通過しようとする現像剤中のキャリアを捕捉することができるようになっている。これにより、開口部61の実質的な開口面積を小さくして、現像剤の通過量を抑えることが可能である。つまり、導線64に通電しなければ、磁性部63で現像剤中のキャリアを捕捉することはできないため、開口部61の開口面積に応じた量の現像剤が通過する。一方、導線64に通電すれば、磁性部63でキャリアを捕捉して開口部61に現像剤を滞留させて、開口部61の実質的な開口面積を抑えることができる。このため、開口部61を通過する現像剤量を導線64に通電しない場合に比べて抑制することが可能となる。この場合、導線64の巻き数、あるいは、導線64に通電する電流値を変更することにより、磁性部63の磁力を調整するようにしてもよい。これにより、開口部61でのキャリアすなわち現像剤の捕捉量を変更し、実質的な開口面積を調整することが可能となる。
【0031】
攪拌スクリュー13は、図3に示すように、攪拌側回転軸33の周囲に螺旋状の攪拌羽根34を備えた構成で、第1収容部20内に配置されている。攪拌スクリュー13は、攪拌側回転軸33の両端部を、第1収容部20を構成する両端壁にそれぞれ回転可能に支持されている。攪拌スクリュー13が回転すると、その攪拌羽根34で現像剤を第2連通部23側から第1連通部22側へと攪拌しながら搬送する。なお、攪拌側回転軸33の外周面には、適宜、攪拌パドル(図示せず)を形成し、第1連通部22を介して第1収容部20から第2収容部21に現像剤を強制的に移動させるようにしてもよい。
【0032】
供給スクリュー14は、図3に示すように、供給側回転軸35の周囲に螺旋状の供給羽根36を備えた構成である。供給側回転軸35の両端部は、第2収容部21を構成する両端壁に回転可能に支持されている。また、供給羽根36は、第1羽根部37、第2羽根部38、及び、第3羽根部39で構成されている。第1羽根部37は、供給側回転軸35の回転により、第2収容部21内の現像剤を、第1連通部22側から第2連通部23側へと攪拌しながら搬送できるように形成されており、その搬送過程で現像剤を現像ローラ15へと供給する。第2羽根部38は、第1羽根部37とは逆巻きで、第2連通部23を超えた現像剤排出領域の入口、詳しくは流路制限部62を超えた領域に位置し、現像剤排出口31側に向かう現像剤に対して一定の抵抗力を付与する。これにより、第2羽根部38を乗り越えて移動する現像剤量が抑制され、現像剤排出口31からは余剰の現像剤のみが排出される。第3羽根部39は、第1羽根部37とは巻き方向が同じで、現像剤排出領域内に配置され、第2羽根部を乗り越えた現像剤を現像剤排出口31へと導く。なお、供給側回転軸35の外周面には、適宜、供給パドル(図示せず)を形成し、第2連通部23を介して第2収容部21から第1収容部20に現像剤を強制的に移動させるようにしてもよい。
【0033】
現像ローラ15は、図2に示すように、円筒状のスリーブ40内に複数の永久磁石41を収容したものである(ここでは、5つの永久磁石S2,N2,S1,N1,S3を、この順で時計回り方向に配置している。)。スリーブ40は、図示しないスリーブ駆動手段によって図中矢印方向に回転するように構成されている。
【0034】
現像装置10の上方には、図1に示すように、トナーとキャリアからなる補給用2成分現像剤(以下、単に現像剤と記載する。)を補給する現像剤補給容器42が着脱可能となっている。現像剤補給容器42から補給される現像剤は、前記現像剤収容容器12に形成した現像剤補給口30を介して第1収容部20へと流入するようになっている。なお、予め現像剤収容容器12に収容する現像剤のトナー濃度は7%、現像剤補給容器42から補給する現像剤のトナー濃度は80%(キャリア濃度は20%、通常10〜20%)である。
【0035】
クリーニング装置11は、図1に示すように、感光体ドラム8の表面への転写後、この表面に残留するトナーを回収してクリーニングする。ここでは、クリーニング装置11として板状のブレードが使用されており、その一端側が感光体の外周面に接触している。なお、クリーニング装置11はブレードに限られるものでなく、その他のクリーニング部材(例えば、固定ブラシ、回転ブラシ、ローラ)を使用することもできる。また、複数のクリーニング装置11を併せて使用したり、クリーニング装置11の代わりに現像装置10により未転写トナーを回収するクリーナレス方式を採用したりしてもよい。
【0036】
(1−2.転写ユニット2)
転写ユニット2は、図1に示すように、一対の支持ローラ43に中間転写ベルト44を架け渡し、図示しない駆動手段により支持ローラ43を駆動させ、中間転写ベルト44を矢印方向に循環移動させるようにしたもので、1次転写部45、及び、2次転写部46を備える。
【0037】
(1−3.露光ユニット3)
露光ユニット3は、図1に示すように、前記感光体ドラム8に対してレーザ光を照射し、図示しないスキャナで読み取った画像データに対応する静電潜像を形成する。露光ユニット3としては、例えばレーザ又は発光ダイオード等が使用可能である。
【0038】
(1−4.定着ユニット4)
定着ユニット4は、図示しないが、定着ローラ及び加圧ローラを回転可能に支持したものである。定着ローラは導電性材料からなり、図示しないモータによって回転駆動され、図示しない励磁コイルによって誘導加熱される。加圧ローラは、定着ローラに圧接され、記録媒体48を挟み込む。これにより、記録媒体48に、転写ユニット2で転写されたトナーを定着させることができる。
【0039】
(1−5.給紙ユニット5)
給紙ユニット5は、図1に示すように、カセット47に収容した記録媒体48を、順次、搬送ローラ49を介して2次転写部46へと搬送する。2次転写部46に搬送された記録媒体48には、トナー像が転写され、定着ユニット4で転写させたトナー像が定着された後、排出トレイ50へと搬出される。
【0040】
(1−6.クリーニングユニット6)
クリーニングユニット6は、中間転写ベルト44に接離可能で、接近することにより中間転写ベルト44に残留するトナーを回収してクリーニングする。
【0041】
(1−7.制御ユニット7)
制御ユニット7は、図5に示すように、入力信号に基づいて画像形成処理を実行する。画像形成処理では、詳細については後述するが、攪拌スクリュー13及び供給スクリュー14を回転駆動し、現像剤を攪拌しながら循環させる。この過程で、現像ローラ15を介して感光体ドラム8にトナーを供給し、トナー濃度センサ29で検出される現像剤収容容器12内のトナー濃度に基づいて、適宜、現像剤補給容器42から新たな現像剤を補給し、現像剤収容容器12から劣化した現像剤を排出する。
【0042】
(2.全体動作)
次に、前記構成の画像形成装置の動作について説明する。
【0043】
画像形成時には、画像を読み取って得られたカラープリントデータ、又はパーソナルコンピュータ等から出力された画像データは、所定の信号処理が施された後、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色の画像信号として、各画像形成ユニット1に送信される。
【0044】
各画像形成ユニット1では、それぞれの感光体ドラム8上に画像信号で変調されたレーザ光を投射して画像潜像を形成する。そして、現像装置10から感光体ドラム8にトナーを供給する。
【0045】
現像装置10では、次のようにして現像処理が行われる。すなわち、攪拌スクリュー13及び供給スクリュー14を回転駆動することにより、現像剤収容容器12内に収容された現像剤を攪拌しながら循環させる。そして、供給スクリュー14から現像ローラ15にトナーを供給し、規制部材12aによって掻き落として一定量とした後、感光体ドラム8へと搬送する。なお、現像処理の詳細については後述する。
【0046】
これにより、各感光体ドラム8上にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像がそれぞれ形成される。形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像は、1次転写部45で、移動する中間転写ベルト44上に順次重ね合わせて1次転写される。このようにして中間転写ベルト44上に形成された重ね合わせトナー画像は、中間転写ベルト44の移動に従って2次転写部46へと移動する。
【0047】
また、給紙ユニット5から記録媒体48が供給される。供給された記録媒体48は、搬送ローラ49によって2次転写部46と中間転写ベルト44の間へと搬送され、中間転写ベルト44に形成されたトナー画像が転写される。トナー画像を転写された記録媒体48は、さらに定着ユニット4へと搬送され、そこで、転写されたトナー画像が定着された後、排出トレイ50へと排出される。
【0048】
(2−1.現像処理)
現像処理では、攪拌スクリュー13及び供給スクリュー14を回転駆動することにより、現像剤収容容器12内に収容された現像剤を攪拌させながら循環移動させる。この過程で、供給スクリュー14によって現像ローラ15にトナーが供給される。
【0049】
すなわち、第2収容部21では、供給スクリュー14の第1羽根部37によって現像剤が、第1連通部22側から第2連通部23側へと攪拌されながら搬送されると共に、現像ローラ15へと供給される。現像剤は、第2連通部23の近傍に至ると、流量調整部60によって現像剤排出領域に向かう現像剤の流量が調整される(流量調整処理)。また、流量調整部60を通過した現像剤は、逆巻きの第2羽根部38によって流動抵抗を受ける。これにより、現像剤は主に、第2連通部23を介して第1収容部20へと流動する。そして、現像剤の一部(余剰の現像剤)は、第2羽根部38を乗り越えて現像剤排出領域に至る。第2羽根部38を乗り越えた位置には第3羽根部39が設けられ、現像剤の攪拌及び流動が再び順方向となり、現像剤排出口31へと導かれ、外部へと排出される。
【0050】
第1収容部20では、トナー濃度センサ29によってトナーが消費されたことが検出されており、この検出信号に基づいて、適宜、現像剤補給容器42から現像剤収容容器12へと現像剤が補給される。現像剤の補給は、第1収容部20に形成した現像剤補給口30を介して行われる。
【0051】
(2−2.流量調整処理)
流量調整処理では、印刷状態の違いに基づいて流量調整部60により流路断面積を調整する。
【0052】
例えば、BW比(出力画像(ここでは、紙に画像部のみを形成する100%印刷を行った場合、いわゆる「べたパッチ」を意味する。)に対する印刷部分(トナーが付着している部分)の割合)の高い画像を大量に印刷すると、トナー消費量が増大し、キャリアが十分な帯電能力を有しているにも拘わらず、現像剤排出口31を介して排出されることになる。そこで、BW比が所定値以上の印刷が連続して所定枚数以上行われることにより、流量調整部60で、コイル状に巻回した導線64への通電を開始して磁性部63を磁化させ、通過しようとする現像剤中のキャリアを吸引して捕捉する。これにより、開口部61に現像剤を滞留させて、実質的な開口面積を小さくし、開口部61を通過する現像剤量を抑制することができる。
【0053】
このように、流量調整部60を備えた現像装置10では、導線64に通電するか否かで、開口部61の実質的な開口面積を調整することができる。そして、第3羽根部39に至る現像剤量を調整して、現像剤排出領域での液面位置を安定させることが可能となる。したがって、キャリアの劣化度合いを、印刷時のBW比及び印刷枚数の違いから推測し、キャリアの劣化度合いに応じて現像剤の排出を適切に行うことが可能となる。
【0054】
なお、導線64に通電する際の電流値を変更するようにすれば、磁性部63で捕捉可能なキャリア量を調整することができるので、開口部61の実質的な開口面積をキャリアの劣化度合いに応じたものとすることも可能である。
【0055】
(3.他の実施形態)
本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0056】
前記実施形態では、流量調整部60を、磁性部63を磁化させるか否かにより開口部61の実質的な開口面積を変更する構成としたが、次のように、開閉部材により、直接、開口面積を変更する構成とするようにしてもよい。
【0057】
(3−1.第2の実施形態)
図6では、流量調整部60をレンズの絞りに使用されるような複数枚の絞り羽根65で構成することにより、開口部61の内径寸法を拡大又は縮小するようにしている。
【0058】
この構成によれば、絞り羽根65により開口面積を自由に調整することができる。したがって、磁化により実質的な開口面積を調整する場合に比べて正確な制御が可能となる。また、トナー消費量が極端に多くて現像剤の排出量を抑制する必要がある場合だけでなく、キャリアが劣化して帯電能力が低下した場合であっても対応することができる。
【0059】
例えば、通常時には開口面積を変更可能な中央値とし、BW比の高い画像を大量に印刷する場合、開口面積を最大値とすれば、劣化したキャリアを迅速に排出することができる。また、BW比の低い画像を大量に印刷する場合、トナー消費量が少なくなり、新規の現像剤が補給されない。このため、現像剤収容容器12内の現像剤に含まれるキャリアが長期に亘って攪拌されながら循環移動することになり、トナーを帯電させる能力(帯電能力)が劣化する。この場合、絞り羽根65を駆動制御して開口面積を最小値とすればよい。これにより、現像剤排出口31から排出する現像剤量を抑制することも可能となる。
【0060】
(3−2.第3の実施形態)
図7では、流量調整部60を、開口部61を開閉する接離可能な2枚の板材66で構成している。すなわち、円弧状に形成された内縁側を、開口部61内に前進又は開口部61から後退させる。これにより、開口部61の開口面積を調整することができる。また、板材は2枚ではなく、1枚で構成することも可能である。
【0061】
この構成によれば、絞り羽根を使用する場合に比べて構成を簡略化して安価に製作することができる。
【0062】
(3−3.第4の実施形態)
また、前記実施形態では、BW比と印刷枚数に基づいてキャリアの劣化度合いを推測し、流量調整部60での開度を調整するようにしたが、次のようにして現像装置10内の現像剤の総重量を推測し、その推測結果に基づいて調整するようにしてもよい。
【0063】
すなわち、印刷処理が開始されると、攪拌スクリュー13及び供給スクリュー14を同期して回転させながら、トナー濃度センサ29での検出信号を読み込む。読み込まれた検出信号は、攪拌スクリュー13の回転により、図9に示すようなリップル波形となる。これは、攪拌スクリュー13の回転によって、図10に示すように、トナー濃度センサ29の検出範囲内での現像剤重量の変動に伴い、検出される透磁率が周期的に変化するからである。
【0064】
そこで、検出範囲での現像剤重量が最小値となった図10(b)に示す状態での検出値に基づいて、図8のグラフに従ってトナー濃度を算出する。そして、トナー濃度センサ29での検出信号に基づいて、検出範囲での現像剤重量が最大値となった図10(a)に示す状態での検出値と、検出範囲での現像剤重量が最小値となった図10(b)に示す状態での検出値とから信号波形の振幅(最大振幅)を算出する。
【0065】
続いて、算出された振幅と、トナー濃度センサ29で検出されるトナー濃度とに基づいて、図11に示すデータテーブルに従って現像剤重量を推測する。すなわち、振幅が小さくなれば小さくなるほど、現像剤重量が多いと判断する。これは、現像剤収容容器12内の現像剤重量が多いと、攪拌スクリュー13を回転させたとしても、トナー濃度センサ29の検出範囲内に於ける現像剤重量がそれほど変化せず、透磁率がそれほど変動しないと考えられるからである。また、振幅が大きくなれば大きくなるほど、現像剤重量が少ないと判断する。これは、現像剤収容容器12内の現像剤重量が少ないと、攪拌スクリュー13の回転により、検出範囲内の現像剤重量が変化しやすく、透磁率が大きく変動すると考えられるからである。さらに、トナー濃度が低ければ低いほど、現像剤重量は多いと判断する。これは、現像剤収容容器12内の現像剤重量が多いと、現像剤に含まれるキャリアがトナー濃度センサ29の検出範囲に集まりやすくなり、相対的に検出範囲でのトナー濃度が低くなるからである。さらにまた、トナー濃度が高ければ高いほど、現像剤重量は少ないと判断する。これは、現像剤収容容器12内の現像剤重量が少ないと、現像剤が十分に攪拌され、相対的にトナー濃度が高くなると考えられるからである。なお、図11では、重量小2、重量小1、適正、重量大1、重量大2の順で現像剤重量が多くなるように5段階で区分けしている。
【0066】
また、トナー濃度センサ29での検出トナー濃度と、予め記憶してある目標トナー濃度との差に基づいて、現像剤の補給量を算出する。そして、算出された補給量の現像剤を現像剤補給容器42から補給する補給処理を開始する。
【0067】
その後、補給処理が終了すれば、推測された現像剤重量のレベルに応じて流量調整部60を駆動制御することにより開口部61の開度を調整する。ここでは、現像剤重量を5段階で推測しているので、流量調整部60の開口部61を全開する場合と、全閉する場合とを含めて5段階で開度を調整するようにしている。
【0068】
(3−4.第5の実施形態)
また、前記実施形態では、現像剤収容容器12内の現像剤重量をトナー濃度センサ29から入力される信号波形の振幅とトナー濃度とに基づいて推測するようにしたが、次のようにして推測することも可能である。
【0069】
例えば、トナー濃度センサ29から入力される信号波形の周期の変動比と、トナー濃度とに基づいて、図12のデータテーブルに従って現像剤収容容器12内の現像剤重量を推測するようにしてもよい。すなわち、現像剤収容容器12内の現像剤重量が増大すると、攪拌スクリュー13に作用する負荷が大きくなり、回転速度が低下する。このため、トナー濃度センサ29から出力される信号波形の周期が長くなる(変動比が大きく(プラスに)なる。)。一方、現像剤収容容器12内の現像剤重量が減少すると、攪拌スクリュー13に作用する負荷が小さくなり、回転速度が上昇する。このため、トナー濃度センサ29から出力される信号波形の周期が短くなる(変動比が小さく(マイナスに)なる。)。そこで、信号波形の周期の変動比と、検出されるトナー濃度とから図10のデータテーブルに従って現像剤収容容器12内の現像剤重量を推測すればよい。
【0070】
(3−5.第6の実施形態)
また、トナー濃度センサ29とは別に圧力センサ(図示せず)を設け、この圧力センサで、現像剤収容容器12内の現像剤から直接受ける圧力を検出し、その検出結果に基づいて、図13のデータテーブルに従って現像剤収容容器12内の現像剤重量を推測するようにしてもよい。
【0071】
(3−6.第7の実施形態)
また、前記各実施形態では、トナー濃度センサ29から入力される信号波形の振幅あるいは周期と、トナー濃度とから現像剤重量を推測するようにしたが、多少精度は落ちるものの、現像剤重量は、信号波形の振幅のみ、周期のみ、あるいは、圧力のみから推測するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…画像形成ユニット
2…転写ユニット
3…露光ユニット
4…定着ユニット
5…給紙ユニット
6…クリーニングユニット
7…制御ユニット
8…感光体ドラム
9…帯電装置
10…現像装置
11…クリーニング装置
12…現像剤収容容器
13…攪拌スクリュー(第1搬送部材)
14…供給スクリュー(第2搬送部材)
15…現像ローラ(現像剤担持体)
18…仕切壁
20…第1収容部
21…第2収容部
22…第1連通部
23…第2連通部
29…トナー濃度センサ
30…現像剤補給口(現像剤補給部)
31…現像剤排出口(現像剤排出部)
33…攪拌側回転軸
34…攪拌羽根
35…供給側回転軸
36…供給羽根
37…第1羽根部
38…第2羽根部
39…第3羽根部
40…スリーブ
41…永久磁石
42…現像剤補給容器
43…支持ローラ
44…中間転写ベルト
45…1次転写部
46…2次転写部
47…カセット
48…記録媒体
49…搬送ローラ
50…排出トレイ
60…流量調整部(流量調整部)
61…開口部
62…流路制限部
63…磁性部
64…導線
65…絞り羽根
66…板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に沿って一端から他端に延び、現像剤が収容される現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器内に設けられ、収容された現像剤を撹拌しながら搬送する第1搬送部材と、
前記現像剤収容容器内に設けられ、前記現像剤担持体に現像剤を供給する第2搬送部材と、を備え、
前記現像剤収容容器は、
前記第1搬送部材が配置される第1収容部と、
前記第2搬送部材が配置される第2収容部と、
前記第1収容部と前記第2収容部を、一端側で連通する第1連通部と、
前記第1収容部と前記第2収容部を、他端側で連通する第2連通部と、
前記第1収容部の他端側であって、前記第2連通部よりも他端側に配置される現像剤補給部と、
前記第2収容部の他端側であって、前記第2連通部よりも他端側に配置される現像剤排出部と、
前記第2連通部と現像剤排出部の間に配置され、通過する現像剤量を調整する流量調整部と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記流量調整部は、通電により磁化して、通過しようとする現像剤を捕捉可能な磁性体で構成したことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記流量調整部は、流路断面積を変更可能とすることにより通過する現像剤量を調整することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤収容容器内の現像剤重量を推測する現像剤重量推測手段と、
前記現像剤重量推測手段で推測した現像剤重量に基づいて、前記流量調整部を駆動制御して通過する現像剤量を調整する流量制御手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記第2搬送部材は、回転軸の周囲に螺旋状の羽根部を備え、
前記羽根部は、
回転により現像剤を第1連通部側から第2連通部側へと攪拌しながら搬送する第1羽根部と、
前記第1羽根部によって搬送された現像剤に逆向きの抵抗を付与する第2羽根部と、
第2羽根部を乗り越えた現像剤を現像剤排出部へと導く第3羽根部と、
からなり、
前記流量調整部は、第2収容部を構成する内壁側と、前記羽根部が位置しない第2搬送部材の回転軸の周囲との間で開口領域を拡縮可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−224105(P2010−224105A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69767(P2009−69767)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】