説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】 現像剤の供給効率を向上させ、現像剤の供給不良による画像問題の発生を抑制することができる現像装置を提供する。
【解決手段】 枠体50Aと、現像ローラ3と、供給ローラ4と、枠体50Aの内部で供給ローラ4よりも下方に区画されて現像剤を収納するトナー収納室55と、トナー収納室55の内部に回転自在に設けられ、トナー収納室55から供給ローラ4へと現像剤を搬送する撹拌搬送部材6と、現像ローラ3の外周面に対向して配置され、上流側端部9aから下流側端部9bまでに亘って供給ローラ4の外周面を覆って配置され、供給ローラ4の外周との間に隙間53を形成し、現像ローラ3の外周との間に開口54を形成し、供給ローラ4を仕切る仕切り部材9と、を備える現像装置50を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式又は静電記録方式を用いて像担持体上に形成した静電潜像に現像装置を用いて可視化して顕画像を形成し、この顕画像を記録材上に転写及び定着して永久画像を得る画像形成装置、及び、この画像形成装置に適用される現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の感光体ドラムを鉛直方向と交差する方向に一列に配置したインライン方式の画像形成装置が知られている。そして、中間転写ベルト又は記録材搬送ベルトの下方に複数の画像形成部が配置され、中間転写ベルト又は記録材搬送ベルトの上方に定着装置が配置される画像形成装置が知られている。この構成であれば、画像形成部に感光体ドラム、現像装置、露光装置が含まれる場合に、これらの画像形成部の各要素が定着装置の熱の影響を受け難い等の利点がある。こうした構成に関する発明として、特許文献1に記載の発明がある。
【0003】
特許文献1に記載の発明は、中間転写ベルトの下方に感光体ドラム及び現像装置が配置され、中間転写ベルトの上方に定着装置が配置される画像形成装置に関する発明そのものである。そして、現像装置は、枠体の内部の下方に区画される現像剤収容室、及び、枠体の内部の上方に区画される現像室を有する。そして、現像剤収納室には、現像剤が収納されると共に現像剤を現像剤供給体へと搬送する現像剤搬送部材が設けられている。現像室には、感光体ドラムに現像剤を供給する現像剤担持体、及び、現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給体等が設けられている。現像室は現像剤収納室よりも上方に配置されることから、現像剤収納室から現像室への現像剤の供給にあたっては、現像剤は重力に逆らって搬送されることになる。
【0004】
ここで、現像剤供給体の外周部に複数のセルを有するスポンジ状の弾性部材が用いられた場合を想定する。当接ニップでは、現像剤供給体の回転方向の上流側の端部でセルが潰されるとセルから現像剤が吐き出され、現像剤供給体の回転方向の下流側の端部でセルが開放されるとセルに現像剤が吸引される。こうした構成の場合に、現像剤供給体へ現像剤を供給する場合には、現像剤供給体及び現像剤担持体の当接ニップのうち現像剤供給体の回転方向の下流側の端部に現像剤が搬送されると、現像剤の供給効率が向上すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−173083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の発明では、現像室内壁及び現像剤供給体の間の空間に浸入した現像剤は、現像剤供給体に供給されても、現像剤供給体及び現像剤担持体の当接ニップに到達しないうちに現像剤供給部の回転によって、現像室の床に落下する場合がある。または、そのような現像剤は、現像剤収納室へ戻ったりする場合がある。このために、現像剤供給体への現像剤の供給量が不足して、現像剤供給不良による濃度ムラ等の画像問題が発生することがあった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑み、現像剤の供給効率を向上させ、現像剤の供給不良による画像問題の発生を抑制することができる現像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の現像装置は、現像装置本体と、前記現像装置本体に支持され、現像剤を担持しつつ回転自在な現像剤担持体と、前記現像装置本体に支持されて前記現像剤担持体に当接し、前記現像剤担持体に現像剤を供給しつつ回転自在な現像剤供給体と、前記現像装置本体の内部で前記現像剤供給体よりも下方に区画されて現像剤を収納する現像剤収納室と、前記現像剤収納室の内部に回転自在に設けられ、前記現像剤収納室から前記現像剤供給体へと現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、前記現像剤担持体の外周面に対向して配置され、一端部が前記現像剤担持体の外周面に所定寸法で離間した離間位置に位置づけられ、他端部が前記現像剤供給体の最上位置又は前記最上位置よりも前記現像剤供給体の回転方向の下流側に位置づけられ、前記現像剤供給体の外周面との間に隙間を形成し、前記現像剤担持体の外周面との間に開口を形成し、前記現像剤供給体を仕切る仕切り部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現像剤搬送部材によって現像剤供給体へと搬送される現像剤の一部は、仕切り部材を通り越して開口へと誘導される。したがって、現像剤供給体の最上位置を通り越して開口を通過した現像剤は、現像剤供給体の内部に吸い込まれるため、現像剤供給体及び現像剤担持体の当接ニップへと容易に到達することができる。そして、現像剤供給体表面に付着して現像剤供給体の回転によって現像剤担持体まで到達することなく現像剤収納室へと戻る現像剤の量は低減する。その結果、現像剤の供給効率が向上し、現像剤の供給不良による画像問題の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】現像装置の構成を示す断面図である。
【図3】現像装置の構成を示す拡大断面図等である。
【図4】トナー滞留部の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0011】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置100の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザビームプリンタである。実施例1では、複数色の画像形成を行うカラー画像形成装置について説明するが、この構成に限定されるものではなく、黒単色の画像形成を行う画像形成装置にも適用できる。
【0013】
図1に示されるように、画像形成装置100は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)100Aを有し、この装置本体100Aの内部には、画像を形成する複数の画像形成部SY、SM、SC、SKが設けられる。画像形成部SY、SM、SC、SKは、『像担持体』である感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、『1次転写装置』である1次転写ローラ13Y、13M、13C、13K等を含む。ここで、画像形成装置としては、電子写真方式の画像形成装置、例えば複写機、プリンタ(例えば、LEDプリンタ、レーザービームプリンタ等)、ファクシミリ装置、及び、ワードプロセッサ等が含まれる。
【0014】
尚、本実施例では、第1〜第4の画像形成部SY〜SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いては、実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えられた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
【0015】
画像形成装置100は、『複数』すなわち4個の『像担持体』である『電子写真感光体』としての感光体ドラム1を並列されて備えている。感光体ドラム1は、ドラム型の電子写真感光体である。感光体ドラム1は、矢印R1の方向に図示しない駆動手段によって回転駆動する。感光体ドラム1は、直径24mmのアルミシリンダーの外周面に有機感光体(OPC)が塗布されている。しかし、これに限定されず、有機感光体ではなく、a−Si(アモルファスシリコン)、CdS、Seなどを塗布しても良い。また、感光体ドラム1は、周速135mm/secのプロセススピードで矢印R1の方向に回転する。
【0016】
画像形成動作が開始されると、感光体ドラム1は、感光体ドラム1に接触しつつ従動して矢印R2(図2参照)の方向に回転する帯電手段としての帯電ローラ2によって一様に帯電される。帯電ローラ2は、直径が10mmであり、ステンレスの円筒体である芯金2aの周囲に、基層としてウレタンゴム、表層としてフッ素系樹脂からなる弾性層2bを設けた多層構成とした(図2参照)。ただし、芯金2aの材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属が用いられても良く、弾性層2bの基層としては、NBR、EPDM、シリコーンゴムなどのゴム材が用いられても良い。また、弾性層2bの表層としては、エーテルウレタンやナイロンなどが用いられても良い。
【0017】
また、帯電ローラ2には、帯電部材電圧印加手段である帯電バイアス電源装置(図示せず)が接続され、帯電バイアスとしての直流バイアスが印加されることによって感光体ドラム1の表面が帯電し、感光体ドラム1の表面には所定の暗部電位が形成される。ここでは、帯電バイアスとして直流バイアスが用いられたが、帯電バイアスとして直流成分に交流成分を重畳したバイアスが用いられても良い。
【0018】
その後、感光体ドラム1の表面には、露光手段である露光装置としてのレーザビームスキャナ装置7によって静電像が形成される。レーザビームスキャナ装置7は、入力信号に対応した画像信号に応じて半導体レーザ(図示せず)が発光し、そのレーザ光L(図2参照)を高速回転しているポリゴンミラー(図示せず)で反射し、結像レンズ群(図示せず)を通って、感光体ドラム1に照射する。レーザ光が感光体ドラム1に照射されることによって、感光体ドラム1の表面には所定の明部電位が形成される。
【0019】
次に、感光体ドラム1の表面の静電像は、現像手段である現像装置50によって現像剤像(トナー像)として可視像化される。実施例1では、現像方式として反転現像方式が用いられている。そのため、帯電電荷と同極性(負極性)のトナーが、感光体ドラム1上の負極性の帯電電荷が減衰した部分(画像部)に付着する。
【0020】
また、現像手段である現像装置50では、現像ローラ3を感光体ドラム1に当接させ、現像ローラ3を感光体ドラム1と「接触」させた状態で現像を行う接触現像方式が採用されている。
【0021】
図2は、現像装置50の構成を示す断面図である。図2を参照しつつ、現像装置50の内部に配置されている各部材の構成に関して以下に詳述する。現像装置50は、感光体ドラム1に形成された静電像にトナーtを供給して現像する装置であり、『現像装置本体』である枠体50Aを備える。
【0022】
枠体50Aの内部では、下方に『現像剤収納室』であるトナー収納室55が区画されており、上方に現像室56が区画されている。トナー収納室55は、トナーtを収納する部屋であり、供給ローラ4よりも下方に区画されている。トナー収納室55の内部には、負帯電性の非磁性1成分現像剤(トナー)が収納される。また、トナー収納室55の内部には、トナー収納室55から供給ローラ4へとトナーtを搬送する『現像剤搬送部材』である撹拌搬送部材6が回転自在に設けられている。撹拌搬送部材6は、枠体50Aのトナー収納室55に支持されている。この撹拌搬送部材6は、トナー収納室55の内部のトナーtをほぐして、トナーtを供給ローラ4に搬送するために、矢印R6の方向に回転する。
【0023】
供給ローラ4の外周面には、供給ローラ4の外周面に対向してその外周面を覆って供給ローラ4を仕切る仕切り部材9が配置されている。仕切り部材9が有する供給ローラ4の回転方向の上流側の『一端部』である上流側端部9aは、現像ローラ3の外周面に所定寸法で離間した離間位置3Lに位置づけられ、現像ローラ3の外周面に対向している。仕切り部材9が有する供給ローラ4の回転方向の下流側の『他端部』である下流側端部9bは、供給ローラ4の最上位置4L又は最上位置4Lよりも供給ローラ4の回転方向の下流側に位置付けられる。仕切り部材9は、供給ローラ4の外周面との間に隙間53(図3(a)参照)を形成し、現像ローラ3の外周面との間に開口54(図3(a)参照)を形成する。別の表現で言うならば、仕切り部材9は、仕切り部材9の最上位置9Lから離間位置3Lに向かって下方向に傾斜して形成されると言える。
【0024】
また、現像装置50は、供給ローラ4によって供給されたトナーtを規制して現像ローラ3の表面に現像剤の薄層を形成する『現像剤規制手段』である現像ブレード5を備える。
【0025】
さらに、枠体50Aは、『現像剤』であるトナーtを担持しつつ回転自在な『現像剤担持体』である現像ローラ3を支持している。この現像ローラ3は、トナーtを担持しつつ搬送してトナーtを感光体ドラム1に接触させて静電像を現像する。また、枠体50Aは、現像ローラ3に当接し、現像ローラ3にトナーtを供給しつつ回転自在な『現像剤供給体』である供給ローラ4を支持している。供給ローラ4は、多孔性及び弾性を有する部材例えばスポンジで成形される。供給ローラ4は現像室56の内部に配置されており、現像ローラ3の略半分は現像室56の外側に配置され、現像ローラ3の残りの略半分は現像室56の内側に配置されている。
【0026】
現像ローラ3は、周速160mm/secで矢印R3の方向に回転し、所定の当接圧にて感光体ドラム1に当接している。また、現像ローラ3は、直径が16mmであり、ステンレスの芯金3aの周囲に、基層としてのウレタンゴム、その上の表層としてのカーボンを混ぜたウレタンゴムからなる弾性層3bを設けた多層構成で、弾性層3bの長手方向の長さは230mmとしている。ただし、この限りではなく、芯金3aとして、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属の円筒体を用い、弾性層3bの基層はNBR、EPDM、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどのゴム材からなるものを用いても良い。また、弾性層3bの表層はエーテルウレタンやナイロンなどから構成されていても良い。また、現像ローラ3には現像バイアス印加手段である現像バイアス電源装置(図示せず)によって、−300Vの直流の現像バイアスが印加される。
【0027】
次に、供給ローラ4は、現像ローラ3に対してトナーtの供給及び回収を行うためのローラである。供給ローラ4は弾性発泡体からなる弾性ローラで、周速160mm/secで矢印R4の方向に回転している。また、供給ローラ4は現像ローラ3に対して侵入量が1.5mmとなるように配置されている。供給ローラ4は、直径が16mmであり、ステンレスの芯金4aの周囲に弾性層4bとしてウレタンフォームを設けたスポンジローラで、弾性層4bの長手方向の長さは230mmとしている。ただし、この限りではなく、芯金4aとして、アルミニウム、アルミニウム合金、などの金属の円筒体を用いても良い。
【0028】
次に、現像ブレード5は、現像ローラ3上のトナーtの層厚を規制するブレードであり、現像ローラ3を加圧するように設けられている。現像ブレード5は、厚さ0.1mmの板バネ状のSUS製の薄板の弾性規制部材とした。ただし、この限りではなく、リン青銅やアルミニウム等の金属薄板でも良い。また、現像ブレード5の表面に絶縁層として、ポリアミドエラストマーやウレタンゴムやウレタン樹脂等の薄膜を被覆しても良い。また、現像ブレード5には、規制部材バイアス印加手段としてのブレードバイアス電源装置(図示せず)によって、−500Vの直流のブレードバイアスが印加される。供給ローラ4によって、現像ローラ3上に供給されたトナーtは、現像ブレード5によって層厚を規制され、且つ、塗布されて現像ローラ3上にトナーtの薄層を形成する。更に、このときの現像ローラ3及び現像ブレード5それぞれの表面との摩擦によって、トナーtには現像に供するのに十分な電荷が付与される。
【0029】
その後、現像ローラ3上のトナーtの薄層は、現像ローラ3の回転に伴って、感光体ドラム1と現像ローラ3と当接する現像領域(現像ニップ)N1へと搬送され、トナーtは感光体ドラム1に接触した状態で現像に供される。即ち、感光体ドラム1と現像ローラ3との間に現像電界を形成するために、現像バイアス電源装置(図示せず)が接続され、現像電界の作用により現像ローラ3上のトナーtは、感光体ドラム1上に転移する。そして、トナーtは、感光体ドラム1の表面の静電像に対応してトナー像を形成し、静電像を可視化する。
【0030】
また、現像ローラ3の表面に担持されたトナーtの一部は、現像ニップN1へと担持されつつ搬送されるが、現像には寄与せずに、現像ローラ3の表面に担持されたまま更に移動し、供給ローラ4による摺擦で現像ローラ3の表面から掻き取られる。掻き取られたトナーtの一部は、新たに供給ローラ4の表面に供給されたトナーtと共に、再び供給ローラ4によって現像ローラ3の表面に供給され、残りはトナー収納室55の内部へと戻される。
【0031】
また、現像装置50の枠体50Aには、現像ローラ3の表面と対向する位置に、現像ローラ3からのトナーtの飛散を防止するために、吹き出し防止シート10が取り付けられている。この吹き出し防止シート10の位置は、現像ローラ3が感光体ドラム1に当接する現像ニップN1よりも現像ローラ3の回転方向で下流側に位置する。
【0032】
ここで、図1に戻って、画像形成装置100の構成に関してさらに説明する。『中間転写体』である中間転写ベルト12は、全ての感光体ドラム1と当接し、矢印R12の方向に移動する。中間転写ベルト12は、無端状のベルトで形成され、複数の支持部材に掛け渡されている。中間転写ベルト12の内周面側には、各々の感光体ドラム1に対向して『1次転写手段』である1次転写ローラ13Y〜13Kが4つ並列して配置されている。1次転写ローラ13Y〜13Kは中間転写ベルト12を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト12及び感光体ドラム1が接触して1次転写部N3にニップを形成する。そして、1次転写ローラ13には、1次転写バイアス電源装置(図示せず)によって、1次転写バイアスが印加される。それによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト12上に転写される。
【0033】
中間転写ベルト12の外周面側において、2次転写対向ローラ15に対向する位置には、2次転写手段としての2次転写ローラ14が配置されている。2次転写ローラ14は中間転写ベルト12を介して、2次転写対向ローラ15に圧接し、中間転写ベルト12と2次転写ローラ14が接触する2次転写部N4にニップを形成する。そして、2次転写ローラ14には、2次転写バイアス電源装置(図示せず)によって、2次転写バイアスが印加される。それによって、中間転写ベルト12上のトナー像が記録材Pに転写される。
【0034】
本実施例におけるフルカラー画像形成時には、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて帯電、露光、現像、1次転写のプロセスが順次行われ、中間転写ベルト12上に各色のトナー像が重ね合わされる。その後、2次転写ローラ14の作用によって、中間転写ベルト12上のトナー像は一括して記録材Pに転写される。
【0035】
その後、記録材Pに担持された未定着トナー像は、定着装置16に備えられる定着手段(ヒートローラ)による加熱、及び、加圧手段による加圧を受けて、記録材P上に永久画像として定着される。
【0036】
また、トナー像の1次転写を終了した感光体ドラム1上の転写残トナーは、ブレード状のクリーニング手段を備えるクリーニング装置8によって除去される。また、トナー像の2次転写を終了した中間転写ベルト12上の転写残トナーは、ブレード上のクリーニング手段を備える中間転写ベルトクリーニング装置17によって除去される。そして、続く画像形成動作に備える。
【0037】
図3(a)は、現像装置50の構成を示す拡大断面図である。この図3(a)を参照しつつ、本発明の特徴である供給ローラ4に対するトナーtの供給のメカニズムについて説明する。供給ローラ4の回転によって、供給ローラ4の外周部のセルがつぶされたときにトナーtの吐き出しが起こる。その後、供給ローラ4が開放されることによってセルが開き、そのときにセルに向けて吸気が行われ、トナーtの吸い込みが起こる。すなわち、供給ローラ4と現像ローラ3との当接ニップN2の供給ローラ4の回転方向を基準として、上流側でトナーtの吐き出しが(この位置を「トナー吐き出し部C」と呼ぶ)、下流側でトナーtの吸い込みが(この位置を「トナー吸い込み部D」と呼ぶ)起こる。
【0038】
また、本実施例では、供給ローラ4の上に仕切り部材9が設けられている。仕切り部材9は供給ローラ4の回転方向を基準とすると、現像ローラ3と供給ローラ4の当接ニップN2の下流側部位の近傍から、供給ローラ4の回転中心の直上よりも供給ローラ4の回転方向で下流側にかけて配置されている。また、仕切り部材9は供給ローラ4には接触せず、隙間が設けられており、本実施例において隙間は0.5mmとなっている。
【0039】
図3(b)は、現像装置50の構成を示す拡大断面図である。この図3(b)を参照しつつ、供給ローラ4及び現像ローラ3の当接ニップN2より供給ローラ4の回転方向で下流側すなわちトナー吸い込み部Dの近傍のトナーtの動きについて説明する。なお、図3(b)中には、トナー吸い込み部Dの近傍の空気の流れを示す矢印を記している。
【0040】
供給ローラ4の近傍では、供給ローラ4自身が回転することによって、仕切り部材9及び供給ローラ4の間の隙間53(図3(a)参照)に、矢印A1の方向に空気やトナーtの流れが生じている。この一方で、供給ローラ4及び現像ローラ3の当接ニップN2では、回転方向の上流側で圧縮の動き、回転方向の下流側で開放の動きが生じている。そして、トナー吐き出し部Cでは空気やトナーtを吐き出す流れに、下流側であるトナー吸い込み部Dでは空気やトナーtを吸い込む流れになっている。そのため、仕切り部材9の上方側での空気やトナーtの流れは、矢印A2のようになっており、供給ローラ4に積極的にトナーtが送り込まれるような流れになっている。
【0041】
トナー収納室55にある撹拌搬送部材6(図2参照)が回転することで、点線Tで示されるように、トナーtがトナー収納室55から仕切り部材9の上方に送り込まれる。そして、一旦、現像ローラ3の表面の付近に落下した後、現像ローラ3の回転や空気の流れによってトナーtがトナー吸い込み部Dに送り込まれる。それから、トナー吸い込み部Dにおいて、トナーtが積極的に吸い込まれ、効率的な供給ローラ4へのトナー供給が実現される。
【0042】
また、仕切り部材9が供給ローラ4の回転中心の直上からトナー吸い込み部Dの近傍まであることにより、撹拌搬送部材6によって搬送されたトナーtが供給ローラ4及び現像ローラ3の当接ニップN2に降りかかる。このトナーtは、供給ローラ4の表面に付着して供給ローラ4の回転によってトナー収納室55へ戻されるといったことが大幅に減少し、さらに効率的な供給ローラ4へのトナー供給が実現される。
【0043】
ところで、仕切り部材9と供給ローラ4の隙間53が広くなると、仕切り部材9と供給ローラ4間の空気の流れが矢印A1の方向だけでなく、逆方向であるトナー吸い込み部Dに向かう方向の流れが発生してしまい、効率的なトナーtの吸い込みが阻害されてしまう。そのため、仕切り部材9と供給ローラ4間の隙間は大きくても2mm以下が好ましい。なお、仕切り部材9と供給ローラ4との間の隙間53は、上流側端部9aの側で少し広めに設定されているが、これは、隙間53に円滑にトナーが流れ込むようにするためのものである。但し、この隙間53は、仕切り部材9の全長に亘って均等な広さでも良い。または、図3(a)に示されるように、下流側端部9bの側で広めに設定されても良い。
【0044】
図4は、トナー滞留部Bの構成を示す断面図である。図4に示されるように、枠体50Aの内部には、トナーtを滞留する『現像剤滞留領域』であるトナー滞留部Bが設けられている(図4中の斜線部)。トナー滞留部Bは、枠体50Aの内壁面11、現像ローラ3、仕切り部材9、仮想水平面H、仮想面I、吹き出し防止シート10で囲まれている領域である。仮想水平面Hは、仕切り部材9の最上点から水平方向に枠体50Aの内壁面11へと至る平面である。仮想面Iは、仕切り部材9の最下点から仕切り部材9の円周方向に現像ローラ3へと至る平面である。『吹き出し防止部材』である吹き出し防止シート10は、枠体50Aの開口50aに取り付けられ、現像室56の内部のトナーtが開口50a及び現像ローラ3の間から吹き出すのを防止するシートである。トナー滞留部Bの内部のトナーtは、開口54(図3(a)及び図3(b)参照)を通って供給ローラ4及び現像ローラ3の間に誘導されるようになっている。
【0045】
撹拌搬送部材6(図2参照)は、トナー滞留部Bを経由して供給ローラ4及び現像ローラ3の間へとトナーtを搬送する。ここで、撹拌搬送部材6が回転する1周期の間で移動する『現像剤量』であるトナー量に関して説明する。撹拌搬送部材6が回転する1周期の間では、トナー滞留部Bで収納可能なトナー量は、供給ローラ4及び現像ローラ3の『当接部位』である当接ニップN2のうち『供給ローラ4の回転方向の下流側の端部』で供給ローラ4が吸い込むトナー量より多く設定される。また、撹拌搬送部材6が回転する1周期の間では、撹拌搬送部材6がトナー滞留部Bに搬送するトナー量は、当接ニップN2のうち『供給ローラ4の回転方向の下流側の端部』であるトナー吸い込み部Dで供給ローラ4が吸い込むトナー量よりも多く設定される。これによって、トナー滞留部Bに滞留可能なトナー量は1.5gで、トナー吸い込み部Dにて供給ローラ4に吸い込まれるトナー量は1秒あたり0.25gとなっている。また、1秒毎に撹拌搬送部材6が回転し、1回あたり撹拌搬送部材6がトナー滞留部Bに搬送するトナー量は1gとなっている。
【0046】
画像形成時においては、トナー収納室55の撹拌搬送部材6が回転することによって、トナー滞留部Bに汲み上げられたトナーtは、一旦、トナー滞留部Bに貯められる。そして、トナー滞留部Bに貯められたトナーtは次々と供給ローラ4に吸い込まれていき、トナー吐き出し部Cまで搬送される。そして、トナー吐き出し部Cにおいてトナーtが吐き出され、現像ローラ3に塗布される。そして、現像ブレード5で層厚が規制されて、現像ローラ3上は最適なトナーコート状態となって、感光体ドラム1と接触して現像される。
【0047】
本実施例の構成にてベタ濃度追従性の評価を行った。評価条件は、画像形成装置を25℃、50%Rhにて1日放置して環境になじませ、その後、画像比率5%の横線画像をA4サイズの用紙に100枚印字した後に、ベタ黒画像を3枚連続出力し、1枚目の画像濃度と3枚目の画像濃度を比較した。濃度の測定は、X−Rite社製spectorodensitometer500を用いて行った。その結果、1枚目の画像濃度と3枚目の画像濃度差が0.2未満と良好な結果となり、トナー供給不良による画像問題の発生を防止することができた。
【0048】
実施例の現像装置50によれば、撹拌搬送部材6によって供給ローラ4へと搬送されるトナーtの一部は、仕切り部材9を通り越して開口54(図3(a)参照)へと誘導される。したがって、供給ローラ4の最上位置4Lを通り越して上流側端部9aで形成される開口54を通過したトナーtは、供給ローラ4に付着せずに供給ローラ4及び現像ローラ3の当接ニップN2へと容易に到達することができる。そして、供給ローラ4に付着して供給ローラ4の回転によって現像ローラ3に到達することなくトナー収納室55へと戻るトナーtの量は低減する。その結果、トナーtの供給効率が向上し、トナーtの供給不良による画像問題の発生が抑制される。
【0049】
加えて、供給ローラ4上部に仕切り部材9を設けることで、供給ローラ4へのトナーtや空気の循環を制御することが可能となり、供給ローラ4のトナーtの吸い込み力を最大限に活用した供給ローラ4へのトナー供給が可能となった。
【0050】
また、仕切り部材9、現像ローラ3及び枠体50Aの上方にトナー滞留部Bが確保されると、トナーtがトナー滞留部Bに貯められるので、供給ローラ4及び現像ローラ3の間に供給されるトナーtの量は増加可能となる。
【0051】
さらに、撹拌搬送部材6が1回転する時間当たりに供給ローラ4が供給ローラ4及び現像ローラ3の当接ニップN2のうち吸い込み部Dで吸い込むトナー量よりも、撹拌搬送部材6がトナー滞留部Bに搬送するトナー量が多く設定される。加えて、撹拌搬送部材6が1回転する時間当たりに供給ローラ4が供給ローラ4及び現像ローラ3の当接ニップN2のうち吸い込み部Dで吸い込むトナー量よりも、トナー滞留部Bに滞留可能なトナー量が多く設定される。その結果、トナー滞留部Bにトナーtが常に滞留された状態とし、供給ローラ4は常にトナーtを吸い込むことができる。
【符号の説明】
【0052】
3 現像ローラ(現像剤担持体)
4 供給ローラ(現像剤供給体)
6 撹拌搬送部材(現像剤搬送部材)
9 仕切り部材
50 現像装置
50A 枠体(現像装置本体)
54 開口
55 トナー収納室(現像剤収納室)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置本体と、
前記現像装置本体に支持され、現像剤を担持しつつ回転自在な現像剤担持体と、
前記現像装置本体に支持されて前記現像剤担持体に当接し、前記現像剤担持体に現像剤を供給しつつ回転自在な現像剤供給体と、
前記現像装置本体の内部で前記現像剤供給体よりも下方に区画されて現像剤を収納する現像剤収納室と、
前記現像剤収納室の内部に回転自在に設けられ、前記現像剤収納室から前記現像剤供給体へと現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、
前記現像剤担持体の外周面に対向して配置され、一端部が前記現像剤担持体の外周面に所定寸法で離間した離間位置に位置づけられ、他端部が前記現像剤供給体の最上位置又は前記最上位置よりも前記現像剤供給体の回転方向の下流側に位置づけられ、前記現像剤供給体の外周面との間に隙間を形成し、前記現像剤担持体の外周面との間に開口を形成し、前記現像剤供給体を仕切る仕切り部材と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像装置本体の内部には、前記現像装置本体の内壁面、前記現像剤担持体、前記仕切り部材、前記仕切り部材の最上点から水平方向に前記現像装置本体の内壁面へと至る仮想水平面、前記仕切り部材の最下点から前記仕切り部材の円周方向に前記現像剤担持体へと至る仮想面、前記現像装置本体の開口に取り付けられて、前記現像装置本体の開口及び前記現像剤担持体の間から現像剤が吹き出すのを防止する吹き出し防止部材で囲まれて、現像剤を滞留する現像剤滞留領域が設けられ、
前記現像剤滞留領域の内部の現像剤が、前記開口を通って前記現像剤供給体及び前記現像剤担持体の間に誘導されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤供給体は、多孔性及び弾性を有する部材で形成され、
前記現像剤搬送部材は、前記現像剤滞留領域を経由して前記現像剤供給体及び現像剤担持体の間へと現像剤を搬送し、
前記現像剤搬送部材が回転する1周期の間では、
前記現像剤滞留領域で収納可能な現像剤量は、前記現像剤供給体及び前記現像剤担持体の当接部位のうち前記現像剤供給体の回転方向の下流側の端部で前記現像剤供給体が吸い込む現像剤量よりも多く、
前記現像剤搬送部材が前記現像剤滞留領域に搬送する現像剤量は、前記現像剤供給体及び前記現像剤担持体の当接部位のうち前記現像剤供給体の回転方向の下流側の端部で前記現像剤供給体が吸い込む現像剤量よりも多いことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記仕切り部材は、前記仕切り部材の前記最上位置から前記離間位置に向かって下方向に傾斜して形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
像担持体と、
前記像担持体に形成された静電像に現像剤を供給して現像する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の現像装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−150113(P2011−150113A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10744(P2010−10744)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】