説明

現像装置

【課題】非磁性1成分現像装置において、層厚規制ブレードへのトナーの融着を防止し、白すじ、画像むらなどの画像不良およびフィルミングの発生が非常に少なく、画像濃度が高くかつ均一な高画質画像を形成する。
【解決手段】現像槽5と、現像ローラ6と、供給ローラ7と、撹拌部材8と、層厚規制ブレード10を備える層厚規制部材9とを含み、1成分現像剤3を用いる現像装置1において、現像ローラ6の表面硬度を55〜60°(JIS−A硬度)、層厚規制ブレード10の現像ローラ6に対する当接圧が線圧で0.290〜0.985N/cmとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用する画像形成装置(以下単に「画像形成装置」とする)は、簡単な操作で記録媒体上に高画質画像を印刷できることから、現在では多くの分野において汎用される。画像形成装置は、たとえば、感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを含む。感光体はその表面に感光膜を有する。帯電手段は感光体表面を所定の極性および電位に帯電させる。露光手段は帯電状態にある感光体表面に静電潜像を形成する。現像手段は感光体表面の静電潜像にトナーによって現像してトナー像を形成する。転写手段は感光体表面のトナー像を記録媒体上に転写する。定着手段はトナー像を記録媒体に定着させる。これら各手段による処理を経ることによって、記録媒体上に画像情報に応じた画像が形成される。
【0003】
現像手段には、現像剤担持体と、層厚規制ブレードと、現像槽とを含む現像装置が汎用される。現像剤担持体はその表面に現像剤層を担持して軸線回りに回転し、感光体表面の静電潜像にトナーを供給し、トナー像を形成する。層厚規制ブレードは、現像剤担持体と平行に延びる板状部材であり、短手方向の一端が現像剤担持体表面に当接するかまたは僅かな間隙を有して離隔するように設けられる。層厚規制ブレードは現像剤担持体表面の現像剤層の層厚を規制するとともに、現像剤担持体との当接部分において現像剤を接触帯電させる。現像槽はその内部空間に現像剤担持体と層厚規制ブレードとを収容して回転するとともに、現像剤を収容する。現像剤には、トナーのみを含む1成分現像剤と、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤とがある。1成分現像剤を用いる場合には、層厚規制ブレードは、その一端が現像剤担持体表面に当接するように設けられる。1成分現像剤を用い、現像剤担持体と層厚規制ブレードとを当接させる形式の現像装置は、一般に、非磁性1成分現像装置と呼ばれる。
【0004】
非磁性1成分現像装置においては、感光体と現像剤担持体とが当接するように配置し、感光体表面の静電潜像に現像剤担持体表面の現像剤層を接触させることによって、静電潜像にトナーを供給し、トナー像を形成する。非磁性1成分現像装置の解決すべき課題の1つとして、現像剤担持体と層厚規制ブレードとの当接部における摩擦熱の発生が挙げられる。この摩擦熱は、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を主成分とする微細な粒状体であるトナーを溶融させる。溶融したトナーは層厚規制ブレード表面に融着・固化して堆積し、現像剤層表面に溝を作る。溝の部分では、静電潜像に現像剤が接触しないかまたは現像剤の接触量が少ないので、静電潜像に現像剤が充分に供給されない。こうして形成されるトナー像を記録媒体に定着させることによって形成される画像には、筋状の空白部分である白すじと呼ばれる画像不良が発生する。溶融したトナーは感光体表面にもフィルム状に付着し、感光体の帯電性能を低下させ、感光体の耐用寿命を短縮化するおそれがある。この現象はフィルミングと呼ばれる。また、画像の画像濃度が部分的に低下し、画像濃度が不均一になる画像むらと呼ばれる場合もある。
【0005】
層厚規制ブレードへのトナーの融着による白すじの発生を防止するために、従来から、様々な提案がなされている。たとえば、現像ローラ(現像剤担持体)と、帯電ブレード(層厚規制ブレード)と、帯電ブレードに保持される摩擦熱を放熱する放熱部材とを含む現像装置が提案される(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1における放熱部材は現像槽内部に設けられるので、その放熱効果は充分ではない。したがって、帯電ブレードへのトナーの融着を顕著に減少させることはできない。また、帯電ブレードの摩擦熱が現像槽内部の他の部分に伝導されることによって、現像槽内に収容されるトナーの帯電が不均一になるという問題もある。
【0006】
一方、従来から現像剤担持体の表面硬度、表面粗さ、層厚規制ブレードの現像剤担持体に対する当接圧、層厚規制ブレードの弾性率(ヤング率)などを適宜調整することは行われている。たとえば、現像ローラ(現像剤担持体)表面に担持されるトナー層(現像剤層)の層厚をトナーの体積中心粒径の1〜2倍とし、かつ現像ローラの表面粗さを算術平均粗さ(Ra)として0.5〜1.5μmとする非磁性1成分現像装置が提案される(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2の技術では、現像ローラにトナーを補給するための補給ローラを現像ローラと当接するように設け、現像ローラ表面のアスカーC硬度を65〜75°に調整し、かつ弾性体規制ブレード(層厚規制ブレード)の現像ローラに対する当接圧を0.1〜0.6kg/mm(線圧)に調整する。これによって、トナー層の層厚が前記範囲になる。しかしながら、特許文献2は、トナー像を記録媒体に転写した後に、感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段を設けずに、画像形成装置を構成する技術に関するものであり、白すじの発生を防止しようとするものではない。
【0007】
【特許文献1】特開平7−248673号公報
【特許文献2】特開2000−338776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、非磁性1成分現像装置であって、層厚規制ブレードへのトナーの融着を防止し、白すじ、画像むらなどの画像不良およびフィルミングの発生が非常に少なく、画像濃度が高くかつ均一な高画質画像を形成するのに寄与し得る現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、表面に非磁性1成分現像剤層を担持して潜像担持体に非磁性一成分現像剤を供給する現像剤担持体と、現像剤担持体に当接するように設けられて現像剤担持体上の非磁性一成分現像剤層の層厚を規制する層厚規制ブレードとを含む現像装置において、
現像剤担持体の表面硬度がJIS−A硬度で55〜60°(55°以上、60°以下)であり、かつ層厚規制ブレードの現像剤担持体に対する当接圧が線圧で0.290〜0.985N/cm(0.290N/cm以上、0.985N/cm以下)であることを特徴とする現像装置である。
【0010】
また本発明の現像装置は、現像剤担持体の十点平均高さRzが10〜20μm(10μm以上、20μm以下)であることを特徴とする。
【0011】
さらに本発明の現像装置は、現像剤担持体の体積抵抗値が1×10〜5×10Ω・cm(1×10Ω・cm以上、5×10Ω・cm以下)であることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の現像装置は、現像剤担持体が、金属製軸体と、金属製軸体表面に設けられる厚さ1〜6mm(1mm以上、6mm以下)のウレタンゴム層と、ウレタンゴム層の表面に設けられる厚さ1〜10μm(1μm以上、10μm以下)のアクリル樹脂層とを含むことを特徴とする。
【0013】
さらに本発明の現像装置は、層厚規制ブレードがステンレス鋼からなり、その厚さが50〜200μm(5μm以上、200μm以下)であることを特徴とする。
【0014】
さらに本発明の現像装置は、層厚規制ブレードのヤング率が5×1010〜3×1011Pa(5×1010Pa以上、3×1011Pa以下)であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、現像剤担持体と層厚規制ブレードとを含む非磁性1成分現像装置であって、現像剤担持体の表面硬度をJIS−A硬度として55〜60°とし、かつ層厚規制ブレードの現像剤担持体に対する当接圧を線圧として0.290〜0.985N/cmとすることによって、現像剤担持体と層厚規制ブレードとの当接部において、現像剤担持体と層厚規制ブレードとの間の潤滑性が高くなり、両者の摩擦による発熱が著しく低減化される。その結果、現像剤担持体と層厚規制ブレードとの当接部およびその近傍部分の温度上昇が少なくなり、トナーの溶融それに伴う溶融トナーの層厚規制ブレードへの融着、固化および堆積が非常に少なくなる。したがって、本発明の現像装置を電子写真方式の画像形成装置に組み込めば、層厚規制ブレードへのトナーの融着が充分に防止され、白すじについても、視認できる程の白すじ、視認できなくても画像全体の品位を劣化させるような白すじは発生しない。また、画像むらなど他の画像不良、フィルミングなどの発生もない。すなわち、本発明の現像装置を用いれば、画像濃度の高い高品位・高画質画像を安定的にかつ長期的に形成できる。
【0016】
本発明によれば、現像剤担持体の表面粗さが十点平均高さRzとして10〜20μmであることが好ましい。これによって、現像剤担持体と層厚規制ブレードとの潤滑性がさらに高くなり、両者の摩擦による発熱が一層低減化され、温度上昇は一層少なくなる。その結果、溶融トナーの層厚規制ブレードへの融着、固化および堆積それに伴う白すじなどの画像不良の発生もほとんどなくなる。また、画像むらの発生が顕著に抑制される。
【0017】
本発明によれば、現像剤担持体の体積抵抗値を1×10〜5×10Ω・cmの範囲にすることによって、現像条件を制御できる。すなわち、現像濃度を適切な範囲に制御することが容易であるため、画像濃度の低下などの画像不良を発生させることがない。
【0018】
本発明によれば、現像剤担持体として、金属製軸体と、厚さ1〜6mmのウレタンゴム層と、厚さ1〜10μmのアクリル樹脂層とをこの順番で積層した現像剤担持体が好ましい。このような構成の現像剤担持体を用いることによって、現像剤担持体と層厚規制ブレードとの当接部における両者の潤滑性能を一層高めることができる。また、上記のような構成の現像剤担持体を用いれば、層厚規制ブレードを構成する材料を変更しても、両者の潤滑性能の変動が少なく、高い水準の潤滑性能が安定して発揮される。したがって、層厚規制ブレードの材料の選択自由度が高まり、ひいては現像装置全体の設計自由度が高まる。
【0019】
本発明によれば、ステンレス鋼からなる厚さ50〜200μmの層厚規制ブレードを用いることによって、現像剤担持体との当接部における両者の潤滑性能がより一層向上する。特に、前記した金属製軸体とウレタンゴム層とアクリル樹脂層とをこの順番で積層した現像剤担持体と併用する場合には、潤滑性能が特に向上し、両者の摩擦による発熱量が最も少なくなる。
【0020】
本発明によれば、層厚規制ブレードの弾性率を、ヤング率として5×1010〜3×1011Paの範囲に調整することによって、現像剤担持体と層厚規制ブレードとの当接部における両者の潤滑性能を一層高め得る。それとともに、感光体表面に形成される静電潜像形成用の感光膜の膜減り量を低減化できるので、感光体の高寿命化を図り得るという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の実施の第1形態である現像装置1の構成を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す現像装置1の要部の構成を拡大して示す断面図である。現像装置1は、現像槽5と、現像剤担持体である現像ローラ6と、供給ローラ7と、撹拌部材8と、層厚規制部材9とを含む非磁性1成分現像装置である。現像装置1は、図示しない電子写真方式の画像形成装置において、現像ローラ6が感光体ドラム2表面に当接するように装着される。感光体ドラム2と現像ローラ6との当接部分が現像ニップ部である。現像装置1は、感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する。
【0022】
現像槽5は内部空間を有する容器状部材であり、その内部空間に現像剤を収容する。現像剤3はトナーを含む1成分現像剤である。また、現像槽5は現像ローラ6、供給ローラ7および撹拌部材8を収容してそれぞれを回転自在に支持しかつ層厚規制部材9を支持する。また、現像槽5の感光体ドラム2を臨む側面には、開口5aが形成される。開口5aから現像ローラ6の一部が現像槽5の外方に向けて突出して感光体ドラム2と当接する。また、現像槽壁の鉛直方向上方には、図示しないトナーカートリッジおよびトナーホッパが設けられる。より詳しくは、鉛直方向上方から下方に向けて、トナーカートリッジ、トナーホッパおよび現像槽5の順番で設けられる。トナーカートリッジは内部空間にトナーを収容する円筒状容器部材であり、現像装置1が装着される図示しない画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられる。また、トナーカートリッジは、画像形成装置に設けられる図示しない駆動手段によって、軸線回りに回転駆動する。トナーカートリッジの長手方向側面には長手方向に延びる細長い開口が形成され、トナーカートリッジの回転に伴って前記細長い開口からトナーが落下してトナーホッパに供給される。トナーカートリッジの回転は、画像形成装置に設けられる図示しない制御手段により、トナーの消費状況に応じて制御される。トナーホッパは、たとえば、その鉛直方向底面に形成される開口であるトナー補給口が、現像槽5の鉛直方向上面に形成される開口であるトナー受入口と鉛直方向に連通するように設けられる。トナーホッパはトナーカートリッジから供給されるトナーを現像槽5に補給する。現像槽5は、たとえば、合成樹脂、好ましくは射出成形可能な熱可塑性樹脂によって形成される。
【0023】
現像ローラ6は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられるローラ部材である。現像ローラ6は、現像槽5の開口部2a近傍に配置されて感光体ドラム2を臨み、感光体ドラム2に対して当接するように設けられる。現像ローラ6はその表面に図示しない現像剤層を担持して回転駆動し、現像ニップ部において、感光体ドラム2表面の静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する。現像ローラ6から感光体ドラム2の静電潜像にトナーを供給する際には、現像ローラ6に接続される図示しない電源から現像ローラ6に現像バイアス電圧が印加される。
【0024】
また、現像ローラ6の表面硬度は、JIS−A硬度で55〜60°である。JIS−A硬度が55°未満では、現像ローラ6と後記する層厚規制ブレード10との当接部において、現像ローラ6と層厚規制ブレード10との間の潤滑性が低下し、摩擦熱が大きくなってトナーを溶融させ、層厚規制ブレード10にトナーが固着・堆積するおそれがある。JIS−A硬度が60°を超えると、前記潤滑性自体には特に影響はないが、感光体ドラム2表面に形成される図示しない感光膜(静電潜像を形成するための樹脂層)の膜減り量が大きくなり、感光体ドラム2の耐用性を低下させるおそれがある。なお、本明細書において、JIS−A硬度はA型硬度計(商品名:HH−331、(株)ミツトヨ製)を用いて、JIS K 6253に準じて測定した。
【0025】
また、現像ローラ6は、その表面粗度が十点平均高さRzとして10〜20μmであることが好ましい。十点平均高さRzが10μm未満では、現像ローラ6と層厚規制ブレード10との当接部における両者の潤滑性が低下し、摩擦による発熱が大きくなるおそれがある。十点平均高さRzが20μmを超えると、最終的に形成される画像における画像濃度が不均一になり、画像むらが発生するおそれがある。なお、本明細書において、十点平均高さRzは、「JIS B 0601(1994)」に基づき、測定長さとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、で表したときの値をマイクロメートル(μm)で表したもので、表面粗さ測定器には小阪研究所社製、商品名:サーフコーダーSE−3400を用いた。
【0026】
また、現像ローラ6は、その体積抵抗値が1×10〜5×10Ω・mであることが好ましい。体積抵抗値が1×10Ω・m未満では、抵抗が低くなりすぎて、画像濃度が高くなり過ぎ、画質自体が硬調となるおそれがある。また、体積抵抗値が5×10Ω・mを超えると、抵抗が高くなりすぎて、画像濃度が低くなり過ぎ、画質自体が軟調となるおそれがある。なお、本明細書において、体積抵抗値は、現像ローラ6を円柱状の金属ドラムに当接させ、回転させた状態で、シャフトと金属ドラム間に直流500Vの電圧を印加し、金属ドラムと直列に接続した抵抗体にかかる電圧を測定し、ドラムとの接触幅を予め求めておき、この接触面積を用いて得られた抵抗値を体積抵抗値に換算した。
【0027】
現像ローラ6としては、たとえば、金属製軸体と、金属製軸体の表面に設けられる弾性層と、弾性層の表面に設けられる表面層とを含むローラ状部材を使用できる。金属製軸体は、たとえば、ステンレス鋼、鉄、アルミニウムなどの金属材料から形成される軸体である。弾性層は弾性を有するゴム材料によって形成される。弾性を有するゴム材料としては、ウレタンゴムが好ましい。弾性層の厚みは好ましくは1〜6mmである。1mm未満では、現像ローラ6としての弾性が不足し、感光体ドラム2表面を傷付け、感光体ドラム2の耐用性を低下させるおそれがある。6mmを超えると、現像ローラ6の表面硬度が前記に規定の範囲よりも低くなり、現像ローラ6と層厚規制ブレード10との当接部分における摩擦による発熱が大きくなるおそれがある。また、表面層は硬度の高い合成樹脂によって形成される。硬度の高い樹脂材料としてはアクリル樹脂が好ましい。表面層の厚みは、好ましくは1〜10μmである。1μm未満では、現像ローラ6の表面硬度が前記に規定の範囲よりも低くなり、前記と同様の問題が生じるおそれがある。10μmを超えると、現像ローラ6の表面硬度が高くなり過ぎ、感光体ドラム2における感光膜の膜減り量の増大およびそれに伴う感光体ドラム2の耐用寿命の低下が起こるおそれがある。本実施の形態では、径10mmの鉄製軸体と、厚さ3mmのウレタンゴム層と、厚さ0.5μmのアクリル樹脂層とを含むローラ状部材を使用する。
【0028】
供給ローラ7は、現像ローラ6を介して感光体ドラム2に対向するように設けられるローラ部材である。供給ローラ7は、現像ローラ6に対しては僅かな間隙を有して離隔するように設けられる。また、供給ローラ7は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。供給ローラ7は、その回転駆動によって、現像槽5の内部空間に収容される現像剤3を帯電させるとともに、現像剤3を現像ローラ6周辺に搬送する。撹拌部材8は、供給ローラ7を介して現像ローラ6に対向するように設けられ、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動する回転部材である。撹拌部材8は、現像槽5内に収容される現像剤3と、図示しないトナーホッパを介して図示しないトナーカートリッジから現像槽5内に新たに供給される現像剤3とを均一に混合し、供給ローラ7の周辺に搬送する。
【0029】
層厚規制部材9は、層厚規制ブレード10と、支持部材11とを含む。層厚規制ブレード10は、短手方向の一端が支持部材11によって支持され、かつ他端が現像ローラ6表面に対して当接するように設けられる板状部材である。なお、層厚規制ブレード10の現像ローラ6表面に当接する他端の先端部は、現像ローラ6表面に接線方向に当接する他端から、現像ローラ6の半径方向外方に向けて屈曲するように設けられる。
【0030】
層厚規制ブレード10は、その弾性率がヤング率(引張弾性率)として好ましくは5×1010〜3×1011Paである。5×1010Pa未満では層厚規制ブレード10の現像ローラ6に対する当接圧を適切な範囲に調整することが困難になり、現像ローラ6表面の現像剤層の層厚を充分に規制できないおそれがある。一方、3×1011Paを超えると、現像ローラ6の表面を損傷させるおそれがある。本明細書において、ヤング率は、JIS K 7127に準じて25×250mmの短冊試験片を用いて引張試験を行い、得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにから求められる。層厚規制ブレード10を形成するための弾性材料としては特に制限はないが、たとえば、金属、合成樹脂、ゴムなどが挙げられる。これらの中でも、現像ローラ6と層厚規制ブレード10との当接部における両者の潤滑性を適度に向上させることを考慮すると、金属が好ましい。金属の中でも、ステンレス鋼が好ましい。また、層厚規制ブレード10の厚みは、好ましくは50〜200μmである。50μm未満では、現像ローラ6表面の現像剤層の層厚を充分に規制できないおそれがある。200μmを超えると、層厚規制ブレード10が現像ローラ6表面を傷付けるおそれがある。層厚規制ブレード10の現像ローラ6表面に対する当接圧は、0.290〜0.985N/cmである。0.290N/cm未満では、現像ローラ6表面の現像剤層の層厚規制が不充分になるおそれがある。0.985N/cmを超えると、現像ローラ6と層厚規制ブレード10との当接部分における両者の潤滑性が低下し、摩擦による発熱が増大するおそれがある。
【0031】
支持部材11は、層厚規制ブレード10の短手方向の一端を支持する板状部材であり、支持部材11自体は現像槽5によって支持される。支持部材11を形成する材料としては、たとえば、合成樹脂、金属材料などが挙げられる。
【0032】
現像装置1によれば、現像槽5の内部空間に収容される現像剤3が撹拌部材8によって均一に混合されて供給ローラ7周辺に送給される。供給ローラ7はその回転によって現像剤3を帯電させるとともに、帯電した現像剤3を現像ローラ6周辺に送給する。現像ローラ6は、その表面に帯電状態にある現像剤3を担持して現像剤層を形成して回転し、層厚規制ブレード10との当接部において現像剤層の層厚を均一化される。現像ローラ6は層厚を均一化された現像剤層を担持してさらに回転し、現像ニップ部において感光体ドラム2表面の静電潜像に現像剤3を供給してトナー像を形成する。現像ローラ6はさらに回転し、その表面に現像剤3を補充する。このトナー像形成動作が繰返し実行される。
【0033】
現像装置1は、トナー像を形成するための感光体ドラム2を含む電子写真方式の各種画像形成装置に用いられる。ここで、感光体ドラム2は、図示しない支持部材によって回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その表面に静電潜像ひいてはトナー像が形成される感光膜を有するローラ状部材である。感光体ドラム2には、たとえば、図示しない導電性基体と、導電性基体表面に形成される図示しない感光膜とを含むローラ状部材を使用できる。感光膜としては、有機感光膜、無機感光膜などが挙げられる。有機感光膜としては、電荷発生物質を含む樹脂層である電荷発生層と、電荷輸送物質を含む樹脂層である電荷輸送層との積層体、1つの樹脂層中に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含む樹脂層などが挙げられる。無機感光膜としては、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコンなどから選ばれる1種または2種以上を含む膜が挙げられる。導電性基体と感光膜との間には、下地膜を介在させてもよく、感光膜の表面には主に感光膜を保護するための表面膜(保護膜)を設けてもよい。
【実施例】
【0034】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1〜4および比較例1〜6)
レーザプリンタ(商品名:AR−C150、シャープ(株)製)において現像装置を非磁性1成分現像用に改造し、現像ローラを表2に示す表面硬度(°)およびRz(十点平均高さ、μm)を有する現像ローラに変更し、ステンレス鋼製の層厚規制ブレード(厚さ:100μm、ヤング率:2.06×1011Pa)の現像ローラに対する当接圧(表2では単に「当接圧」と表示する)を表2に示す値に調整し、本発明の現像装置を装着した実施例1〜4および比較例1〜6の画像形成装置を製造した。なお、実施例1〜4および比較例1〜6における現像ローラの構成および材質は表1に示す通りである。
【0035】
【表1】

【0036】
実施例1〜4および比較例1〜6の画像形成装置を用い、A4判普通紙上にトナー付着量が0.6mg/cmになるように調整して、べた画像部を含むテスト画像を未定着の状態で形成した。形成された未定着画像を、外部定着機によってA4判普通紙上に定着させ、得られた定着画像を評価用画像とした。外部定着機には、市販の画像形成装置(商品名:デジタルフルカラー複合機AR−150、シャープ(株)製)を改造した定着装置を用いた。
【0037】
[現像剤層の層厚]
現像ローラ表面の現像剤層の層厚(表2では単に「層厚」と表示する)は、単位面積当りのトナー重量値(mg/cm)として、以下のようにして求めた。層厚規制ブレードを通過した現像剤担持体上の現像剤をかきとり、その重量を測定する。その重量(mg)を、現像剤のかきとりが行われた部分の表面積(cm)で除することで求めた。その結果を表2に示す。
【0038】
[白すじおよび画像むら]
実施例1〜4および比較例1〜6の画像形成装置を用い、上記と同様にしてテスト画像10000枚を印刷した後、さらに同様にしてテスト画像100枚を印刷した。このテスト画像100枚について、目視により、白すじおよび画像むらの発生を判定した。白すじまたは画像むらが認められない場合を「○」、テスト画像1枚でも白すじまたは画像むらが認められる場合を「×」と判定した。
【0039】
[フィルミング]
実施例1〜4および比較例1〜6の画像形成装置を用い、上記と同様にしてテスト画像10000枚を印刷した後、現像ローラおよび感光体ドラムの長手方向の実使用する長さに相当するソリッド画像を出力させ、得られたソリッド画像を目視によって観察し、ソリッド画像へのフィルミング痕の発生の有無を判断した。また感光体ドラム表面を電子顕微鏡によって観察し、ソリッド画像の目視による観察結果と合わせ、感光体表面へのトナーのフィルミングの有無を調べ、ソリッド画像の目視観察および電子顕微鏡による観察のいずれにおいてもフィルミングの発生が認められないものを「○」、ソリッド画像の目視観察および電子顕微鏡による観察のいずれか一方でもフィルミングの発生が認められるものを「×」と評価した。
【0040】
[画像濃度]
得られた評価用画像について、分光測色濃度計(商品名:X−Rite938、日本平版印刷機材(株)製)を用いて、べた画像部の20箇所の光学濃度を測定した。測定された光学濃度の平均値を画像濃度の評価指標として用い、光学濃度が1.2以上であるものを「○」、光学濃度が1.2未満であるものを「×」と評価した。
【0041】
[総合評価]
上記試験項目の評価が全て「○」のものを「○」、上記試験項目のうち1つでも「×」があるものを「×」と評価した。
【0042】
【表2】

【0043】
表2から、本発明の現像装置を用いることによって、白すじおよび画像むらといった画像不良、さらにはフィルミングの発生が防止され、画像濃度の高い画像を安定的に形成できることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の第1形態である現像装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す現像装置の要部の構成を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 現像装置
2 感光体ドラム
3 現像剤
5 現像槽
6 現像ローラ
7 供給ローラ
8 撹拌部材
9 層厚規制部材
10 層厚規制ブレード
11 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に非磁性1成分現像剤層を担持して潜像担持体に非磁性一成分現像剤を供給する現像剤担持体と、現像剤担持体に当接するように設けられて現像剤担持体上の非磁性一成分現像剤層の層厚を規制する層厚規制ブレードとを含む現像装置において、
現像剤担持体の表面硬度がJIS−A硬度で55〜60°であり、かつ層厚規制ブレードの現像剤担持体に対する当接圧が線圧で0.290〜0.985N/cmであることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
現像剤担持体の十点平均高さRzが10〜20μmであることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
現像剤担持体の体積抵抗値が1×10〜5×10Ω・cmであることを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
【請求項4】
現像剤担持体が、金属製軸体と、金属製軸体表面に設けられる厚さ1〜6mmのウレタンゴム層と、ウレタンゴム層の表面に設けられる厚さ1〜10μmのアクリル樹脂層とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置。
【請求項5】
層厚規制ブレードがステンレス鋼からなり、その厚さが50〜200μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の現像装置。
【請求項6】
層厚規制ブレードのヤング率が5×1010〜3×1011Paであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−145885(P2008−145885A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335048(P2006−335048)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】