説明

現像装置

【課題】簡単な構成で、不適正な改変がなし得ないようにした現像装置を提供する。
【解決手段】現像剤貯留室の壁部に、画像形成装置に対する装着方向に直交する方向に並列状態で形成された複数の取付孔と、該取付孔に上記壁部の表面に突出するよう取付けられた識別部材と、上記取付孔に該取付孔を塞ぐよう取付けられた閉塞部材とを備える。上記識別部材及び閉塞部材は、上記取付孔に対し、上記貯留室の内側から挿入され、且つ所定の組合せで取付け固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写装置、ファクシミリ装置、プリンタ或いはこれらの機能を備えた複合機等の画像形成装置に着脱自在に装着される現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の画像形成装置としては、電子写真方式の画像記録部を備えたものが多く採用されている。この電子写真方式の画像記録部の所定部位には、消耗品としての現像装置が着脱自在に装着される。近年、画像品質、画像形成速度等の技術的観点、或いは業務用、家庭用等の用途的観点において、ニーズが多様化され、これに対応し得るよう様々な機種の画像形成装置が開発されている。この場合、現像装置も各機種に1対1で対応するよう多種類準備され、使用に当っては各画像形成装置に対し、対応する現像装置を正しく所定部位に装着することが求められる。対応しない現像装置が装着されると、画像形成装置が故障するおそれを生じ、或いは所望の画像品質が得られなくなる事態も生じる。一方、上記のように多くの機種の画像形成装置を設計する場合、画像形成装置の筐体、現像装置のケーシング、或いはその他の構成部品等は可能な限り共通化する方が、製造の合理化、製造コストの低減等を図る上で有利である。現像装置のケーシングも同形状とされ、その為、機種毎の区別が付き難くなり、装着間違いによる上記トラブルも起こり易くなる。
【0003】
そこで、特許文献1及び特許文献2では、現像剤貯留室(トナーカートリッジ)の壁部に樹脂製の識別突部を貯留室の外方に突出するよう形成し、この識別突部の形成位置を所定の組合せとすることによって、画像形成装置の機種毎に適合する現像装置を特定するようにしている。これによれば、異なる機種用の現像装置を装着しようとしても、上記識別突部と画像形成装置内の突部とが干渉して、所定の部位に装着することができず、上記のような装着間違いによるトラブルの発生を未然に防止することができる。
【特許文献1】特開2001−272851号公報
【特許文献2】特開2005−301077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に開示された現像器(現像装置)の場合、識別突部は現像器のトップケース(壁部)に溶着させているだけであるから、識別突部を無理に取外し、或いは切除することができる。このように、識別突部が取外し、或いは切除された現像器は、画像形成装置内の突部と干渉しないから、いずれの画像形成装置にも装着することができる。その為、異なる機種用の現像器から識別突部を除去して画像形成装置に装着し、或いは識別突部を除去した現像器にシステムに適合しない現像剤を充填して画像形成装置に装着することも可能となる。このように不適正に改変された現像器が画像形成装置に装着されると、画像品質が低下し、或いは画像形成装置の故障の原因にもなり、ユーザに多大な不利益をもたらすことになる。
【0005】
特許文献1には、トナーカートリッジを特定する為に設けられた中空の識別突部(突起部)を切断及び除去し、その開口部をテープ等で塞ぐことにより、異なる機種の画像形成装置にも使用が可能とされる弊害について述べられている。その為、本特許文献1のトナーカートリッジでは、識別突部を中空とし、この中空の空洞部分に芯金を埋め込み、識別突部の切断及び除去ができないように構成されている。しかし、樹脂の成型体からなるトナーカートリッジに、異質の芯金が埋め込まれていると、リサイクル処理の際に手間がかかり、省資源化を推進する上では、これが障害となることが予想される。また、本特許文献1の開示技術においては、それぞれ異なる位置に識別突部を備えたトナーカートリッジを対応機種毎に作製する必要がある為、画像形成装置の機種が多様化すると、設計上或いはコスト面等においてその対応が極めて難しくなる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、簡単な構成でありながら、不適正な改変がなし得ないようにした現像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の現像装置は、現像剤を貯留する現像剤貯留室を有し、画像形成装置内部の所定部位に着脱自在に装着される現像装置であって、上記現像剤貯留室の壁部に上記装着方向に直交する方向に並列状態で形成された複数の取付孔と、該取付孔に上記壁部の表面に突出するよう取付けられた識別部材と、上記取付孔に該取付孔を塞ぐよう取付けられた閉塞部材とを備え、上記識別部材及び閉塞部材は、上記取付孔に対し、上記貯留室の内側から挿入され、且つ所定の組合せで取付け固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記識別部材を前記突出側が閉塞された中空の筒状部材により構成することができる。また、前記識別部材及び閉塞部材は、前記取付孔の周縁部に対し、溶着によって取付け固定しても良い。この場合、前記壁部、識別部材及び閉塞部材は、同質の熱可塑性樹脂による成型体からなるものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の現像装置によれば、現像剤貯留室の壁部に形成された複数の取付孔に対して、識別部材及び閉塞部材を所定の組合せによって取付けているから、これらの組合せパターンによって、複数種の現像装置をそれぞれ特定することができる。画像形成装置は、画像品質、画像形成速度等の技術的観点、或いは業務用、家庭用等の用途的観点から多様な機種が準備され、現像装置も充填される現像剤の種類や、印加バイアス特性の異なるものが、各画像形成装置の機種に対応するよう準備される。従って、画像形成装置内の所定の現像装置装着部位に、各組合せパターンに対応する凹部及び突部を形成しておけば、画像形成装置の機種が多様化しても、対応する現像装置のみしか当該画像形成装置に装着することができないようにすることができる。よって、現像装置のケーシングの形状が同じであっても、異なる種類の現像装置を間違って装着してしまうような懸念がない。
【0010】
また、壁部に形成された複数の取付孔に識別部材及び閉塞部材を取付け固定しているから、ケーシングを共通にしながら、識別部材及び閉塞部材の適宜組合せによって、多様な機種に対応する多様な組合せパターンを簡易に形成することができる。しかも、識別部材及び閉塞部材は、取付孔に対して上記貯留室の内側から挿入して取付け固定されているから、外側からねじ等を介して取付け固定されるものに比べて、識別部材及び閉塞部材の除去が極めて困難となる。無理やり識別部材及び閉塞部材を引き抜き、或いは、貯留室内に押し込むと、取付孔が開放されることになるから、貯留室内の現像剤が漏れ出て使用ができなくなる。押し込まれた識別部材或いは閉塞部材は、貯留室内に残留することになるから、そのまま画像形成装置に装着しても現像装置内の攪拌部材或いは現像ローラ等の機構部の正常な動作が阻害され、たちまち使用不可となる。従って、現像装置の不適正な改変がなし得ず、前記トラブルの発生を効果的に防止することができる。
【0011】
本発明において、前記識別部材が、前記突出側が閉塞された中空の筒状部材からなる場合、仮に該識別部材が切除されたとしても、中空部を通じて取付孔が開放されるから、上記と同様に貯留室内の現像剤が漏れ出て使用ができなくなる。また、識別部材及び閉塞部材を、前記取付孔の周縁部に対し、溶着によって取付け固定した場合、ねじ等によって表側から取付け固定したものに比べて、識別部材及び閉塞部材の取外しがより困難となり、不適正な改変をより効果的に防ぐことができる。また、ねじ等の止め具を用いないので、リサイクル処理の際の止め具の取外しが不要とされる。特に、前記壁部、識別部材及び閉塞部材が同質の熱可塑性樹脂による成型体からなる場合は、リサイクル処理のより効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る現像装置を装着した画像形成装置全体の概略的縦断面図、図2は同現像装置の外観斜視図、図3は同現像装置を画像形成装置に装着する状態を概念的に示す図、図4は図2におけるX−X線矢視断面図、図5は同現像装置における識別部材及び閉塞部材の取付部の現像剤貯留室側から見た裏面図である。
【0013】
図1の画像形成装置1は、電子写真方式の記録部を備えたプリンタであることを示しているが、これに限らず、更に画像読取装置を備えた複写機、ファクシミリ装置或いはこれらの機能を兼ね備えた所謂複合機等であっても良い。図例の画像形成装置1においては、記録紙(用紙)の供給部11と、電子写真方式の画像記録部12と、印字後の記録紙の排出部13とにより装置本体10が構成され、これらが図に示す順序で高さ方向に積層されている。記録紙の供給部11は、多数枚の記録紙を堆積収納し得る抜差し可能な記録紙供給カセット111と、該記録紙供給カセット111の供給方向前端部に設置されたセパレートローラ112と、該セパレートローラ112の周面に弾性的に接する分離パッド113とよりなる。
【0014】
画像記録部12は、感光体ドラム2の周囲に、プラス或いはマイナス帯電方式の帯電器3、LED等からなる露光器4、現像装置5、転写ローラ6及びクリーニング装置7をこの順序で配したプロセス部と、その下流側の定着器8とより構成される。感光体ドラム2、帯電器3及びクリーニング装置7はドラムユニットとしてユニット化され、また現像装置5は現像器ユニットとしてユニット化され、各ユニットは装置本体10に対して個々に着脱可能に装着される。これら各ユニットは、図1における紙面の垂直方向に抜差し可能とされている場合の他、装置本体10の上方に取出し可能とされる場合、或いは装置本体10の他の側部より抜差し可能とされる場合もある。
尚、図例のドラムユニットと現像器ユニットとを分離可能或いは分離不能に一体化して、プロセスユニットとして構成し、本発明に係る現像装置5を、このプロセスユニットを構成する一構成部分として位置付けても良い。
【0015】
定着器8の下流側には、切替ゲート131、排出ローラ対132及び排出トレイ133が設けられ、これらによって記録紙の排出部13が構成される。上記プロセス部の上流側近傍には、レジストローラ対14が設置され、上記記録紙供給カセット111から、セパレートローラ112及び分離パッド113の作用により1枚ずつ分離され繰出された記録紙は、該レジストローラ対14によりレジストされて、前記感光体ドラム2と転写ローラ6とのニップ部に導入される。感光体ドラム2は図1の矢印方向に回転しながら、帯電器3によりその表面が一様にプラス帯電され、画像情報に基づく光学画像が露光器4によって感光体ドラム2の表面に照射され、感光体ドラム2の表面には静電潜像が形成される。この静電潜像は、感光体ドラム2の表面の光導電体の特性に基づき、光の照射部分と非照射部分で生じる電位の差により形成されるものである。
【0016】
上記静電潜像は、現像装置5で逐次現像されてトナー画像とされ、このトナー画像は感光体ドラム2の回転に伴い、転写ローラ6とのニップ部に至る。上記レジストローラ対14は、感光体ドラム2の表面のトナー画像の移動に同期して記録紙が上記ニップ部に導入されるようレジスト制御されて回転駆動される。転写ローラ6は、感光体ドラム2に接し且つ矢印方向(感光体ドラム2とウイズ方向)に回転駆動されながら記録紙をニップして搬送し、この間感光体ドラム2の表面のトナー像が記録紙に転写される。トナー像が転写された記録紙は、定着器8に導入され、永久画像として定着された後、切替ゲート131を押し上げ、排出ローラ対132を経て排出トレイ133上に排出される。この一連の記録紙の搬送は、記録紙供給カセット111からの繰出し直後に略垂直(鉛直)に立ち上がり、排出ローラ対132では記録紙供給カセット111からの繰出し方向とは略180度の方向にUターンするような主搬送パスPに沿ってなされる。このようなレイアウト構成により、装置全体のコンパクト化が図られる。
【0017】
図例の画像形成装置1は、両面記録機能を備えており、上記主搬送パスPの切替ゲート131の取付け位置から、前記レジストローラ対14の上流側で上記主搬送パスPに循環して合流する反転搬送パスP1が形成されている。この反転搬送パスP1に沿って搬送ローラ対15、16が設けられている。片面記録がされ主搬送パスPに沿って搬送された記録紙は、その後端が排出ローラ対132に至ると、該排出ローラ対132の逆転により反転搬送パスP1に供給される。反転搬送パスP1に供給された記録紙は、引き続き、搬送ローラ対15、16によって反転搬送パスP1を搬送され、主搬送パスPに合流し、レジストローラ対14に至る。その後、再度感光体ドラム2と転写ローラ6とのニップ部に導入されてその裏面の記録がなされる。両面記録された記録紙は、上記同様主搬送パスPに沿って排出トレイ133上に排出される。
【0018】
また、装置本体の側面には手差し供給トレイ17が開閉自在に設けられている。この手差し供給トレイ17にセットされた記録紙は、セパレートローラ171と分離パッド172との作用により1枚ずつ分離されて供給される。分離及び供給された記録紙は、手差搬送パスP2を経て主搬送パスPに合流し、レジストローラ対14によって感光体ドラム2と転写ローラ6とのニップ部に導入され、上記同様に画像情報に基づく記録がなされる。
【0019】
現像装置(現像器ユニット)5は、樹脂成型されたケーシング50の内部に現像剤を貯留する現像剤貯留室51を備えている。該貯留室51内には、樹脂フィルム製の攪拌羽根を備えた3個の回転攪拌部材52と、供給ローラ53と、バイアス印加される現像ローラ54とが設けられている。貯留室51内のこれら機構部52,53,54は、現像装置5を画像形成装置1内の後記する所定部位に装着した際、画像形成装置1内の駆動伝達機構(不図示)に連結され、その回転駆動が可能な状態とされる。また、現像ローラ54は、バイアス印加電源(不図示)に電気的に接続される。
尚、図例のような回転攪拌部材52に代えて、スクリューやパドル等の攪拌及び搬送部材を用いることもできる。
【0020】
画像形成装置1の装置本体10内には、現像装置5を装着し保持する為の空所(所定部位)101が設けられ、該空所101は装置本体10の前面側(図1の紙面手前側)が開口し、この開口部に開閉扉102が取付けられている。現像装置5は、この開閉扉102を開け、図3の白抜矢印方向に沿って(図1の紙面奥側に向け)水平状態で上記空所101内に挿入され、装着される。現像装置5のケーシング50は、ケーシング本体部501と、その上面開口部に一体に溶着されるトップケース(壁部)503とよりなり、ケーシング本体部501には、装着方向後側面に把手502が設けられている。この把手502の操作によって、上記空所101内への現像装置5の装着、或いは空所101からの現像装置5の取出しがなされる。
【0021】
上記ケーシング50のトップケース503には、前記装着方向(図3の白抜矢印方向)に直交する方向に並列状態で、複数個(図例では5個)の取付孔504…が形成されている。この取付孔504…は略方形状とされ、識別部材9及び閉塞部材90が、トップケース503の裏面から(貯留室51側から)該取付孔504…に挿入され、取付孔504…の各周縁部に溶着によって取付け固定されている。識別部材9及び閉塞部材90と、ケーシング50(トップケース503)とは、同質の熱可塑性樹脂、望ましくは現像剤を構成する樹脂トナーと同じポリスチレンの成型体からなる。これにより、上記溶着が強固になされると共に、リサイクル処理の合理化が図られる。
【0022】
識別部材9及び閉塞部材90は、いずれも中空の筒状部材からなる。即ち、トップケース503の表面側に位置する部位が閉塞された中空の筒状体91,901と、該筒状体91,901の貯留室51側に位置する開口部の周縁部に形成された外向きの鍔部92,902とより構成されている。筒状体91,901及び鍔部92,902の平面視形状は取付孔504と相似形の略方形状であり、筒状体91,901の外径は取付孔504の内径よりやや小、鍔部92,902の外径は取付孔504の内径より大とされている。従って、筒状体91,901は取付孔504に挿入し得るが、鍔部92,902が取付孔504の周縁部に当る為、取付孔504を通過させることは不可とされる。また、識別部材9の筒状体9は、鍔部92を取付孔504の周縁部に当るまで挿入した状態でその前半部がトップケース503の表面側に突出する大きさ(高さ)とされ、一方、閉塞部材90の筒状体901は、同様の状態でその前端面がトップケース503の表面と略同じ面をなす大きさ(高さ)とされている。上記鍔部92,902の筒状体91,901側に向く面には、周方向に連なる断面形状が山形の突起93,903が形成されている。
【0023】
次に、識別部材9及び閉塞部材90をトップケース503の取付孔504に取付け固定する要領について説明する。図5に示すように、トップケース503の裏面の各取付孔504に対応する部位には、1〜5の識別符号が付されており、また、識別部材9及び閉塞部材90の鍔部92,902の下面(突起93,903形成面と反対側の面)には、それぞれ部材記号A、Bが付されている。製品仕様に基づき、識別符号1,3,5が付された取付孔504には、部材記号Aが付された識別部材9の筒状体91をトップケース503の裏面より挿入する。一方、識別符号2,4が付された取付孔504には、部材記号Bが付された閉塞部材90の筒状体901を同様にトップケース503の裏面より挿入する(いずれも図4の一点鎖線矢印参照)。各鍔部92,902を取付孔504の周縁部に押し当てた状態で、不図示の加熱装置により各鍔部92,902を加圧及び加熱する。この加圧及び加熱に伴い、前記突起93,903が溶融し、溶融した突起93,903を介して各鍔部92,902が取付孔504の周縁部に溶着一体とされる。これによって、識別部材9及び閉塞部材90が所定の組合せで取付孔504に取付け固定される。上記製品仕様は、画像形成装置1の機種毎に作成され、取付孔504の各識別符号1〜5毎に部材記号A,Bのいずれの部材を装着するかの指示が記載されている。従って、組立現場においてはこの指示に基づき上記識別部材9及び閉塞部材90の取付孔504に対する取付け固定がなされる。
【0024】
上記のように識別部材9及び閉塞部材90が取付け固定されたトップケース503を、前記各機構部52〜54等が組み付けられたケーシング本体部501の上面開口部を塞ぐように溶着一体に固定することにより、ケーシング50が構成される。そして、不図示の現像剤注入口より現像剤が貯留室51内に注入及び充填される。現像剤注入口は、ケーシング本体部501における把手502の取付け面に設けられており、把手502をねじ等により取付け固定することにより閉塞される。トップケース503の表面には、点線状に連なる多数の凹部505…による方形の区画域部506が形成されている。この凹部505…の形成部位では、トップケース503の厚みが薄くなっており、区画域部506を強く押せば、凹部505…において破断され区画域部506を取り除くことができる。従って、リサイクル処理等の際に、この区画域部506を除去して貯留室51内の前記機構部52〜54等を取外して分別することにより、リサイクル処理の合理化を図ることができる。
【0025】
上記のように識別部材9及び閉塞部材90が所定の組合せで取付孔504に取付け固定された現像装置5は、特定の画像形成装置1のみに対応する現像装置として特定される。即ち、現像装置5を装着及び保持する為の前記空所101を構成する天板部103には、画像形成装置1の機種を特定する2個の識別突部104が下向きに形成されている。上記識別部材9及び閉塞部材90の組合せパターンは、現像装置5を図3の白抜矢印方向に沿って空所101内に挿入する際、識別部材9が識別突部104に干渉しないよう設定されている。従って、画像形成装置1の識別突部104の形成パターンと、現像装置5の識別部材9及び閉塞部材90の組合せパターンとにより、複数機種の各画像形成装置1に1対1に対応する複数の現像装置5が特定される。もし、上記挿入の際、識別部材9が識別突部104に干渉する場合には、それ以上挿入することができないから、装着しようとする現像装置5は、当該画像形成装置1には適合しないものであると簡易に判断することができる。これにより、現像装置5の装着間違いを生じる懸念がなく、装着間違いによる画像形成装置1の故障、或いは画像品質の低下と言ったトラブルの発生を未然に防止することができる。
【0026】
識別部材9及び閉塞部材90は、各鍔部92,902を取付孔504の周縁部に対してトップケース503の裏面側より溶着することにより取付け固定されているから、これらをトップケース503の表面側に引き抜くことは困難である。他方、識別部材9及び閉塞部材90を表面側から無理やり叩くようにして、貯留室51内に押し込むことは可能である。従って、全ての識別部材9を貯留室51内に押し込んで、識別突部104に干渉する突出物をなくすように改変すれば、改変された現像装置5は画像形成装置1の全ての機種に装着が可能となる。しかし、識別部材9或いは閉塞部材90の押し込みにより、取付孔504が開放され、貯留室51内の現像剤が漏れ出ることになる。また、押し込まれた識別部材9或いは閉塞部材90は貯留室51内に残存することになるから、貯留室51内の前記各機構部52〜54の正常な動作を阻害する。更に、識別部材9は樹脂の成型体からなるから、鋭利な刃物等によって、トップケース503の表面に突出する部分を切除することもできる。しかし、この切除によって筒状体91の中空部を通じて取付孔504が開放され、この開放部より貯留室51内の現像剤が漏れ出ることになる。このように不適正に改変された現像装置5は、最早使用に耐えるものではなくなるから、改変自体が無意味となる。従って、不適正な改変がなされる懸念がなく、ユーザに多大な不利益をもたらすことが未然に防止される。
【0027】
尚、取付孔504の個数は5個に限定されず、画像形成装置1の機種数に応じて適宜設定される。取付孔504の個数に応じて、識別部材9及び閉塞部材90の組合せパターンの数が定まり、画像形成装置1の多様な機種に応じた現像装置5の1対1の対応パターンの設定を行うことができる。従って、取付孔504の個数が5個である場合の識別部材9及び閉塞部材90の組合せパターンも図例のものに限定されず、他の組合せパターンも可能であることは当然である。また、取付孔504の形成部位はトップケース503に限定されず、ケーシング本体部501の側部或いは前端部であっても良い。更に、現像装置5を、画像形成装置1に対してその長手方向に沿って装着する例を示しているが、現像装置5の幅方向に沿って装着するようにしても良い。加えて、現像装置5としては、一成分現像方式或いは二成分現像方式のいずれであっても良い。後者の場合には、現像装置の一構成部分として、画像形成装置に着脱自在に装着されるトナー供給コンテナ(トナーカートリッジ)にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る現像装置を装着した画像形成装置全体の概略的縦断面図である。
【図2】同現像装置の外観斜視図である。
【図3】同現像装置を画像形成装置に装着する状態を概念的に示す図である。
【図4】図2におけるX−X線矢視断面図である。
【図5】同現像装置における識別部材及び閉塞部材の取付部の現像剤貯留室側から見た図である。
【符号の説明】
【0029】
1 画像形成装置
101 空所(所定部位)
5 現像装置
51 現像剤貯留室
503 トップケース(壁部)
504 取付孔
9 識別部材
90 閉塞部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を貯留する現像剤貯留室を有し、画像形成装置内部の所定部位に着脱自在に装着される現像装置であって、
上記現像剤貯留室の壁部に上記装着方向に直交する方向に並列状態で形成された複数の取付孔と、該取付孔に上記壁部の表面に突出するよう取付けられた識別部材と、上記取付孔に該取付孔を塞ぐよう取付けられた閉塞部材とを備え、
上記識別部材及び閉塞部材は、上記取付孔に対し、上記貯留室の内側から挿入され、且つ所定の組合せで取付け固定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記識別部材が、前記突出側が閉塞された中空の筒状部材からなることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の現像装置において、
前記識別部材及び閉塞部材は、前記取付孔の周縁部に対し、溶着によって取付け固定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の現像装置において、
前記壁部、識別部材及び閉塞部材は、同質の熱可塑性樹脂による成型体からなることを特徴とする現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−3326(P2009−3326A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166059(P2007−166059)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】