球形農作物の包装装置
【課題】 投入口に挿入された球形農作物を包装シートで包み込んで封止する包装装置本体に、所定の取出し位置に供給された球形農作物を掴み上げて包装装置本体の投入口に送り込む移載装置に、取出し位置の球形農作物を掴み上げて投入口の直上にまで移動する把持機構を備え、把持機構の中心に、球形農作物を上方から押圧して投入口に送り込む押出し具を上下作動可能に装備した球形農作物の包装装置において、球形農作物を投入口へ安定した姿勢で送り込み、包装シートで好適に包み込むことができるようにする。
【解決手段】 押出し具72に、把持された球形農作物wにおける上向きの切り口を取り囲むように弾性接触する押圧部82を下向きに突出して備えるとともに、この押圧部82を、球形農作物wの径方向に幅狭で周方向に幅広く形成してある。好ましくは、押圧部82を、下端側ほど把持機構30の中心に近づくよう内向きに傾斜しておく。
【解決手段】 押出し具72に、把持された球形農作物wにおける上向きの切り口を取り囲むように弾性接触する押圧部82を下向きに突出して備えるとともに、この押圧部82を、球形農作物wの径方向に幅狭で周方向に幅広く形成してある。好ましくは、押圧部82を、下端側ほど把持機構30の中心に近づくよう内向きに傾斜しておく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レタスやキャベツなどの球形農作物を包装シートで包み込んで封止するよう構成した球形農作物の包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記包装装置としては、上向きの投入口に挿入供給された球形農作物を包装シートでくるんで封止するよう構成した包装装置本体に、球形農作物を載置保持する複数の受け部が循環回動される搬送装置を装備するとともに、前記搬送装置で所定位置まで搬送されてきた球形農作物を掴み上げて包装装置本体の前記投入口に送り込む移載装置を、包装装置本体の上部に配備したものがある。
この場合、前記移載装置に、前記搬送装置の取り出し位置に搬送されてきた球形農作物を掴み上げて前記投入口の直上にまで移動する把持機構を備えるとともに、把持機構の中心に、球形農作物を上方から押圧して投入口に送り込む押出し具を上下作動可能に装備したものが知られており、押出し具として、弾性変形可能なブロック状に構成された複数の押圧部を周方向に放射状に配置したものが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−95218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の上記包装装置において用いられる押出し具は、球形農作物の上向き切り口に触れることなく球形農作物の上方肩部を押圧するのであるが、押出し具の各押圧部の下向き押圧面がなく球形農作物の径方向および周方向に比較的幅の大きいものであるために、球形農作物の上方肩部の形状が歪な場合に、押出し具の各押圧部による押圧位置が球形農作物の径方向に大きく異なってしまい、この押圧位置の差によって球形農作物が押し動かされて姿勢や位置が変えられてしまうおそれがあった。このように、切り口が真上を向かない姿勢で球形農作物が投入口に供給されると、包装シートによる包み込みが好適に行われなくなるおそれがあった。
【0004】
各押圧部が径方向に大きいと、球形農作物を投入口に供給した後、次の球形農作物の供給のために把持機構が取り出し位置に向けて復帰移動する際に、絞り込まれた包装シートの絞込み上端辺に押出し具の押圧部の外周部部内側から接触して、せっかく絞り込まれた包装シートの一部が押し拡げられるおそれもあった。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、球形農作物を投入口へ安定した姿勢で送り込み、包装シートで好適に包み込むことができるようにすることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上向きの投入口に挿入供給された球形農作物を包装シートでくるんで封止するよう構成した包装装置本体に、所定の取出し位置に供給された球形農作物を掴み上げて包装装置本体の前記投入口に送り込む移載装置を配備し、この移載装置に、前記取出し位置の球形農作物を掴み上げて前記投入口の直上にまで移動する把持機構を備えるとともに、把持機構の中心に、球形農作物を上方から押圧して投入口に送り込む押出し具を上下作動可能に装備した球形農作物の包装装置において、
前記押出し具に、把持された球形農作物における上向きの切り口を取り囲むように弾性接触する押圧部を下向きに突出して備えるとともに、この押圧部を、球形農作物の径方向に幅狭で周方向に幅広く形成してあることを特徴とする。
【0007】
上記構成によると、把持された球形農作物が投入口に供給される際、下降する押出し具の押圧部の下端部が球形農作物の上方肩部に切り口を囲むように弾性押圧されることになるが、径方向に幅狭で周方向に幅広の押出し具の押圧部は球形農作物の中心から等距離の箇所に線状に接触することになり、球形農作物の上方肩部が多少歪になっていても、球形農作物に対する押圧位置が径方向に大きく変化することはなく、球形農作物が押出し具の押圧を受けて傾けられたり押し動かされたりすることはない。
【0008】
従って、第1の発明によると、多少歪んでいる球形農作物でも、投入口へ安定した姿勢で送り込み、包装シートで好適に包み込むことができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記押圧部を、下端側ほど把持機構の中心に近づくよう内向きに傾斜させてあるものである。
【0010】
上記構成によると、球形農作物を投入口に送り込んだ後、把持機構が取り出し位置に復帰移動する際に、球形農作物が小径で絞り込まれた包装シートが押出し具に接近しても、内向きに傾斜されている押出し具の押圧部の外周部が、絞り込まれた包装シートの絞込み上端辺に内側から強く接触することはなく、絞り込まれた包装シートの一部が退避移動する押出し具によって押し拡げられることはない。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、
前記押出し具を自重によって送り込み作動させるよう構成してあるものである。
【0012】
上記構成によると、押出し具を駆動下降させる構造のものに比べて送り込みが穏やかに行われ、球形農作物の姿勢や位置を変化させるおそれが更に低いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1および図2に、本発明に係る球形農作物の包装装置の一例であるレタス包装装置の正面と平面がそれぞれ示されている。この包装装置は、基本的には包装装置本体1、レタス搬入用の搬送装置2、および、移載装置3から構成されており、各部の構造および機能を以下に説明する。
【0014】
包装装置本体1は箱型に構成されており、その上部には包装台5とこれを上方から覆う上部カバー6が配備され、包装台5の中央にはレタス(球形農作物)wより幾分大きい目の投入口7が形成されるとともに、この投入口7に臨む大きい開口8が上部カバー6に形成されている。投入口7には放射状に切り込まれた弾性シート7aが備えられ、供給されたレタスwを弾性的に受け止めながら通過させるようになっている。包装装置本体1における一端部の上方にはシートロールSRを横向きに装着するシートロール装填部9が配備されており、シートロールSRから繰出された包装シートsが、内装されたシート切断機構16で所定の長さに寸法切りされて包装台5の上に供給されるようになっている。
【0015】
供給された包装シートsの上からレタスwを投入口7に押し込み供給することで、包装台5の下方においてレタスwを包装シートsでを包んで絞り込むとともに、包装シートsの絞り込み箇所を熱融着して封止し、包装したレタスwを排出口10から送り出するよう構成されており、包装作動の概略手順を図16に基づいて以下に説明する。
【0016】
先ず、図16(イ)に示すように、包装台5の上面に包装シートsが供給装填された状態で、切り口を上向きにしたレタスwを投入口7に送り込んで、投入口7の下方に待機している保持台11の上に供給する。
レタスwが送り込み供給されたことが光センサなどによって検知されると、図16(ロ)に示すように、保持台11が下降されるとともに、これに連動して一対の保持アーム12が接近作動し、投入口7に備えた弾性シート7aによって絞り込まれる包装シートsをレタスwに密着させながら更に絞り込む。
【0017】
次に、図16(ハ)に示すように、対向配備された一対の挟持板13が接近作動して、包装シートsの絞り込み箇所を更に前後および左右から小さく絞り込む。
次に、図16(ニ)に示すように、対向配備された一対のヒータ14が接近作動して、挟持板13で絞り込まれた箇所を熱融着して封止するとともに、その封止箇所より上方の余剰シート部分s’を溶融切断する。
封止が完了すると、図16(ホ)に示すように、保持アーム12が開放作動するとともに保持台11が側方に回倒作動して、包装されたレタスw’を排出シュート15に送り出す。
【0018】
以上のような包装作動を行う包装装置本体1へのレタス自動供給が前記搬送装置2および移載装置3によって行われる。
【0019】
前記搬送装置2は、包装装置本体1における前記シートロール装填部9と反対側の端部において包装装置本体1の上方に重複して配備されており、モータ20によって縦軸心周りに駆動回動される大径の駆動スプロケット21と、これと同径の遊転スプロケット22とに亘って搬送チェーン23を横回し巻回するとともに、チェーン回動方向に所定間隔をもって複数の受け部24を搬送チェーン23に取付け、かつ、搬送チェーン23を直線移動径路において図示されていないガイドレールで案内するよう構成されたものであり、受け部24が包装装置本体1の上方において長円状の搬送径路でもって平面的に循環回動されるようになっている。搬送チェーン23は、受け部24の配列間隔でピッチ送りされ、受け部24に載置収容されたレタスwが直線搬送径路中の所定位置に設定された取出し位置Aに搬送されるようになっている。
【0020】
前記受け部24は、弾性変形可能な4個の受け片24aを放射状に配置して構成されており、切り口が上向き姿勢のレタスwを傷つけることなく安定載置することが可能となっている。4個の受け片24aのうち、搬送方向と直交する方向で対向する一対の受け片24aの上面には目立つ色合いに着色した方向識別マークmが付されており、平面視で若干楕円形となっているレタスwを、楕円形状の長軸を搬送方向と直交する方向に向かわせる横置き姿勢、あるいは、楕円形状の長軸を搬送方向に向かわせる縦置き姿勢にして載置装填する場合に、前記方向識別マークmが目安となる。特に、搬送装置2の回動径路でレタスwを素早く横置き、あるいは、縦置き載置するのに便利に利用することができる。
【0021】
図13に示すように、前記取出し位置Aの搬送上手における直線径路の上方に、レタスwの上向きの切り口から滲み出た汁を拭き取り除去する汁拭き機構90が配備されている。この汁拭き機構90には、受け具24の間隔に合わせた間隔をもって前後一対の拭き取り具91が配備されている。
【0022】
汁拭き機構90の支持フレーム92は、前記搬送装置2における受け部循環回動径路の内側に立設固設されたブラケット25に連結されており、支持フレーム92の前後に支点p周りに上下揺動可能、かつ、互いに交差して一対の支持アーム93が装着され、各支持アーム93の遊端部に前記拭き取り具91が横向の支点q周りに自由揺動可能に装着されている。
【0023】
図15に示すように、拭き取り具91は、金属板材からなる基体94の下面に平板状のスポンジ95を貼付け固定するとともに、このスポンジ95にタオル96を巻き付け装着して構成されており、全体が前後に長い平板状に形成されるとともに、前端部が少し前上がりに屈曲傾斜されている。
【0024】
両支持アーム93の交差箇所近傍には、モータMによって横向の支点r周りに一定方向に回動されるクランクアーム97が配備されている。このクランクアーム97の遊端部には、両支持アーム93に下方から接当干渉するローラ98が装備されており、クランクアーム97が上方に回動することで、両支持アーム93が下方から持ち上げ揺動され、クランクアーム97が下方に回動することで、両支持アーム93が自重で下方揺動するようになっている。
【0025】
汁拭き機構90は以上のように構成されており、搬送されてきたレタスwの上向きの切り口に、上下動する拭き取り具91がその自重によって押し付けられ、レタスwの上向きの切り口に滲み出ている汁がタオル96に吸収除去される。この場合、平板状の拭き取り具91の前部は先上がり傾斜しているので、レタスwに引っかかることなくレタスwの上向きの切り口の上に乗りかかり、レタスwの上向きの切り口の向きに沿った姿勢に追従揺動して、タオル96の平面部で汁を残らず吸収する。
拭き取り具91は受け具24の間隔に合わせた間隔をもって前後一対配置されているので、1個のレタスwは2回の拭き取り処理を受ける。
【0026】
前記移載装置3には、レタスwを掴み取る把持機構30と、把持機構30を一定姿勢のままで昇降させる昇降機構31と、この昇降機構31を横移動させる横移動機構32とが備えられており、各部の詳細な構成を以下に説明する。
【0027】
図1〜図3に示すように、包装装置本体1の上部には、左右一対の支柱33a,33bを介して上下幅広の支持フレーム34が左右に亘って架設され、この支持フレーム34の前面に水平姿勢に固定されたガイドレール35に、昇降機構31を装着した可動台36が水平横移動可能に支持されている。図11に示すように、可動台36の上下には、支持フレーム34の前面を転動するガイドローラ37が装備されて、可動台36の前後への倒れが阻止されている。
【0028】
一方の支柱33aは、搬送装置2における受け部循環回動径路の内側に固設されたブラケット25に、縦向き支点p周りに旋回可能に支持され、他方の支柱33bは、シート切断機構16におけるカバーケース17の上面に脱着可能にボルト連結されている。従って、支柱33bとカバーケース17との連結を解除することで、図2中の仮想線で示すように、移載装置3の全体を前記縦向き支点p周りに旋回させて、包装装置本体1の上方から外れた箇所に退避移動させることができ、移載装置3に邪魔されることなく包装装置本体1の点検整備を行うことができるようになっている。移載装置3を上記のように旋回退避させた後、カバーケース17を取外すことで、シート切断機構16を大きく開放して点検整備を行うことができる。
【0029】
図3に示すように、前記昇降機構31は、基端を可動台36に枢支連結した上下の昇降リンク38と、その遊端に亘って枢支連結された先端ブラケット39とからなる平行四連リンク機構として構成されており、先端ブラケット39に把持機構30が装備されている。
【0030】
支持フレーム34の前面には横移動機構32を構成する駆動アーム40が備えられ、この駆動アーム40の遊端が前記昇降リンク38の下部に枢支連結されている。この構成によると、駆動アーム40が左右に大きく反転回動されることによって昇降リンク38が上下揺動されるともに昇降機構31全体が可動台36と共に左右に押し動かさされ、駆動アーム40の左右の回動エンドにおいて、把持機構30が搬送装置2における取出し位置Aと包装装置本体1における投入口7の直上とに位置するようになっている。駆動アーム40は大径スプロケット41に固着されて一体に回動されるとともに、大径スプロケット41は、フレーム裏面からモータM1で正逆に駆動される小径スプロケット42にチェーン43を介して巻き掛け連動されている。
【0031】
図5〜図10に示すように、昇降機構31における先端ブラケット39に装備された前記把持機構30には、開閉自在な4本のフィンガー45が備えられている。このフィンガー45は、前記先端ブラケット39の前面に水平姿勢で固着された基板46の上部にそれぞれ支点a周りに内外に揺動可能に枢支されたフィンガーアーム47と、このフィンガーアーム47の下部に取付けられたゴム材などの弾性樹脂材からなる短冊状のフィンガー本体48とから構成されている。
【0032】
各フィンガーアーム47と基板46とに亘ってバネ49が張設され、各フィンガーアーム47が内向き、つまり、レタス把持方向に揺動付勢されている。図8に示すように、基板46にはフィンガーアーム47群の中心に位置させてボス部材50が鉛直に設けられるとともに、このボス部材50の下部外周にカム板51が水平回転可能に外嵌装着されている。カム板51は、各フィンガーアーム47の内側に備えられたローラ52に対向されており、内向きに揺動付勢された各フィンガーアーム47がローラ52を介してカム板51の外周で受け止め支持されるようになっている。
【0033】
図12に示すように、前記カム板51は、モータM2によって操作される2本の操作ワイヤ53,54に連結されており、モータM2の正逆回転によって両操作ワイヤ53,54が背反して引き操作および弛緩操作されることでカム板51が正逆に回転駆動され、カム板51の外周のカム形状に応じて全フィンガーアーム47が同時に外側に強制開放揺動および、内側に付勢閉じ揺動するようになっている。
【0034】
前記フィンガー本体48はその上端部のみがフィンガーアーム47にネジ連結されており、フィンガー本体48をフィンガーアーム47に沿わせた開き姿勢と、内方に向けて屈曲変形された掴み姿勢とに切換えることが可能となっている。フィンガー本体48の内向き面には、レタスwを傷つけることなく把持できるよう適度の弾性を有するスポンジ材55が貼付けられている。
【0035】
フィンガーアーム47の外側にはフィンガー本体48を内外に屈曲させるフィンガー駆動リンク56が配備されている。このフィンガー駆動リンク56の上端は、フィンガーアーム47の上部支点aに枢支された操作アーム57の遊端に枢支連結されるとともに、フィンガー駆動リンク56の下端が、フィンガー本体48の下端部外面から突設した連結片58に枢支連結され、更に、フィンガー駆動リンク56の長手方向中間に備えたピン59がフィンガーアーム47に形成した傾斜長孔60に係入されている。操作アーム57が揺動操作されてフィンガー駆動リンク56が上下に移動されると、ピン59と傾斜長孔60との案内作用でフィンガー駆動リンク56の下端部が内外方向に変位して、フィンガー本体48が内外に屈曲されるようになっている。
【0036】
前記基板46に設けられた前記ボス部材50には上下動自在にスライドボス61が外嵌装着されており、このスライドボス61から放射状に突設した操作突起62と前記操作アーム57の延長端とが長孔63とピン64を介して係合連動されている。また、前記基板46の上方に立設された一対のステー65を介してブラケット66が横架固定され、このブラケット66の支点b周りに回動可能に枢支された一対の駆動アーム67が、スライドボス61の外周対角位置に軸支装着されたローラ68にそれぞれ係合されている。スライドボス61から突設した一対のガイド片61aに前記ステー65が貫通されて、スライドボス61の縦軸心周りでの回転が阻止されている。
【0037】
前記駆動アーム67はモータM3によって操作される2本の操作ワイヤ69,70に連結されており、モータM3が正逆回転されて両操作ワイヤ69,70が背反して引き操作および弛緩操作されることで、駆動アーム67が正逆に回動されて全操作アーム57が揺動操作され、もって上記のように全フィンガー45のフィンガー本体48が同時に内外に屈曲されるようになっている。
【0038】
基板46に立設されたボス部材50には操作ロッド71が挿通支持され、この操作ロッド71の下端に押出し具72が装備されている。操作ロッド71の上部は、ブラケット66から立設した支持枠73に上下動可能に案内支持されるとともに、操作ロッド71の上端からは受動アーム74が片持ち状に突設されている。
【0039】
図4に示すように、前記先端ブラケット39に立設された支点金具75の上端に、前後向きの支点s周りに揺動可能に押し上げアーム76が枢支連結されており、この押し上げアーム76の一端に備えられた支持ローラ77が前記受動アーム74を下方から受け止め支持し、押し上げアーム76が正逆に揺動することで、受動アーム74を介して押し上げアーム76の一端部に受け止め支持された操作ロッド71が、押出し具72と共に自重で上下移動するよう構成されている。
【0040】
前記支持フレーム34の上部には、押し上げアーム76の他端に備えられた案内ローラ78に作用する案内レール79が固定装備されている。この案内レール79は、段違い状に形成されており、図4中の左側に示されるように、把持機構30が搬送装置2における取出し位置Aにある時には、案内レール79の下段水平案内部79aの下面から案内ローラ78が離れることで、押し上げアーム76が図4中、時計方向に揺動して操作ロッド71が自由となり、押出し具72が自重で下方移動して取出し位置Aにあるレタスwに乗りかかる。
【0041】
レタスwを把持した把持機構30が取出し位置Aから離れて斜め上方に向けて移動するに連れて、案内ローラ78は下段水平案内部79aから傾斜案内部79bを経て上段水平案内部79cに移行し、この間に、押し上げアーム76は操作ロッド71を押し上げる姿勢に揺動され、図4中の中央に示されるように、押出し具72はレタスwの上方に離される。
【0042】
把持機構30が最上昇位置を過ぎて斜め下方に向けて移動すると、図4中の右側に示されるように、上段水平案内部79cに対して押し上げアーム76の支点sが下方に離れてゆき、押し上げアーム76が支持ローラ77を下げる方向(図4では時計方向)に揺動可能となり、操作ロッド71および押出し具72が自重で下方移動し、レタスwの送り込み作動を行うようになっている。
【0043】
図14に示すように、操作ロッド71の下端に連結された前記押出し具72は、支持板80の四辺から下方に折り曲げ延出された舌片80aに下方からゴム板材81を巻き付けてなる押圧部82が構成されており、各押圧部82がレタスwの上方肩部を、レタスwの上向きの切り口を矩形環状に囲む4箇所において、レタスwの径方向に小幅で、かつ、周方向に幅広く線状に弾性接触するよう構成されている。
【0044】
図1および図4に示すように、前記支持フレーム34の上方箇所にはモータM4によって支点t周りに回動される送り込み補助用の駆動アーム83が装備されている。この駆動アーム83は、把持機構30が包装装置本体1における投入口7の直上の供給位置Bに移動された状態において、駆動アーム83の先端に備えたローラ84の回動軌跡内に前記受動アーム74が入り込むよう配置されており、駆動アーム83が回動して受動アーム74を下方に接当押圧することで操作ロッド71が強制的に下方に押し下げられるようになっている。
【0045】
本発明は以上のように構成されており、次にレタスwの自動供給作動について説明する。 (1)作業者は搬送装置2の周囲の適所に立って循環ピッチ回動する受け部24に、切り口を上向きにしてレタスwを載置供給することで、レタスwは移載装置3による取出し位置Aに向けて搬送されてゆく。この場合、受け部24に付された方向識別マークmを利用して、レタスwを所望の姿勢で供給することができる。
【0046】
(2)レタスwが取出し位置Aの手前近傍にまで搬送されると、汁拭き機構90における拭き取り具91の作用域に入り、レタスwの上向きの切り口に滲み出ている汁が拭き取り具91で吸収除去される。
【0047】
(3)搬送されてきたレタスwが前記取出し位置Aに到着すると、これが光センサあるいは接触センサなどの存否検出手段によって検知され、この検知に基づいて搬送装置2のピッチ送り作動が停止される。移載装置3の把持機構30が、フィンガー45が開かれるとともに押出し具72が自重下降可能な状態で下降され、取出し位置Aで停止しているレタスwに上から被せられる。
【0048】
(4)把持機構30が下限まで下降されると、カム板51が回動されてフィンガーアーム47が内向きに付勢揺動されるとともに、スライドボス61が上方作動してフィンガー本体48が内方に屈曲変形され、レタスwがフィンガー本体48によって四方から弾性的に把持される。この場合、押出し具72が自重で下方移動して取出し位置Aにあるレタスwを押圧し、レタスwを受け部24に適度に押し付けて姿勢を安定させた状態で把持作動が行われる。
【0049】
(5)レタスwの把持が完了すると、駆動アーム40が反転回動することで、レタスwを把持した把持機構30は略直線的に上昇した後、包装装置本体1側に山形の湾曲軌跡をもって横移動し、投入口7の上方近傍からは略直線的に下降し、把持したレタスwを投入口7の上方に持ち込む。この場合、押し上げアーム76が案内レール79から下方に離れることで、押出し具72は自重でレタスwの上に乗りかかる。
【0050】
(6)把持機構30が下限まで下降されると、図7に示すように、フィンガー本体48が外側に伸展されてレタスwの下方からの抱込み支持が解除され、レタスwは自重および押出し具72の重量で投入口7に送り込まれ、レタスwが包装シートsでくるまれる。
【0051】
この場合、押出し具72の押圧部82がレタスwの上方肩部を周方向4箇所において径方向に幅狭く、周方向に幅広く線状に弾性押圧するので、レタスwの表面の形状によって各押圧位置が径方向に大きく変化することがなく、中心から略等距離の箇所を矩形環状に押圧することになり、レタスwの姿勢および位置を変えることなく送り込むことができる。
投入口7への送り込みが不十分であると、駆動アーム82によって受動アーム74が押し下げ操作されて押出し具72が強制的に下降され、確実な送り込みが行われる。
【0052】
(7)投入口7へのレタスwの送り込みを終えた把持機構30は次のレタスwの移載のために取出し位置Aに向けて復帰移動されるとともに、押出し具72は案内レール79と押し上げアーム76の作用によって強制的に上方退避位置に復帰移動される。
【0053】
把持機構30が送り込み位置から上昇する際、押出し具72の押圧部82が内向きに傾斜しているために、小玉のレタスwを押出し具72で抱き込んでしまうことがなく、上方移動する押出し具72によって小玉で軽いレタスwが持ち上げられるようなことが回避される。押圧部82が内向きに傾斜しているために、包装シートsの絞り込み端に触れにくく、退避移動する押出し具72で包装シートsの一部が拡げられて、絞り込みが弛められることもない。
【0054】
〔他の実施例〕
(1)押出し具72の各押圧部82の横断形状を、内向きに凹入する部分円弧状に形成し、切り口を囲む円形環状に配列した複数の押圧部82でレタスwの上方肩部を環状に押圧する形態で実施することもできる。
【0055】
(2)包装シートsを絞り込んで封止する手段としては、上記のように熱融着する形態のほかに、絞込み切断箇所に粘着テープ片を貼付ける形態を利用することもできる。
【0056】
(3)前記把持機構30を、空気圧の変動によって内外に屈曲変形する細長いゴム風船状のフィンガー本体48で各フィンガー45を構成した形態で実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】包装装置の全体正面図
【図2】包装装置の全体平面図
【図3】把持機構の昇降機構および横移動機構を示す正面図
【図4】移載作動を示す正面図
【図5】開放作動状態の把持機構を示す正面図
【図6】把持作動状態の把持機構を示す正面図
【図7】排出作動状態の把持機構を示す正面図
【図8】把持機構の一部を示す縦断正面図
【図9】把持機構の一部を示す横断平面図
【図10】把持機構の要部を示す縦断側面図
【図11】把持機構の横移動機構の一部を示す縦断側面図
【図12】フィンガー開閉構造の要部を示す平面図
【図13】汁拭き機構側面図
【図14】押出し具の斜視図
【図15】汁拭き具の斜視図
【図16】包装作動の概略手順を示す説明図
【符号の説明】
【0058】
1 包装装置本体
3 移載装置
7 投入口
24 受け部
30 把持機構
72 押出し具
82 押圧部
s 包装シート
A 取出し位置
w 球形農作物(レタス)
【技術分野】
【0001】
本発明は、レタスやキャベツなどの球形農作物を包装シートで包み込んで封止するよう構成した球形農作物の包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記包装装置としては、上向きの投入口に挿入供給された球形農作物を包装シートでくるんで封止するよう構成した包装装置本体に、球形農作物を載置保持する複数の受け部が循環回動される搬送装置を装備するとともに、前記搬送装置で所定位置まで搬送されてきた球形農作物を掴み上げて包装装置本体の前記投入口に送り込む移載装置を、包装装置本体の上部に配備したものがある。
この場合、前記移載装置に、前記搬送装置の取り出し位置に搬送されてきた球形農作物を掴み上げて前記投入口の直上にまで移動する把持機構を備えるとともに、把持機構の中心に、球形農作物を上方から押圧して投入口に送り込む押出し具を上下作動可能に装備したものが知られており、押出し具として、弾性変形可能なブロック状に構成された複数の押圧部を周方向に放射状に配置したものが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−95218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の上記包装装置において用いられる押出し具は、球形農作物の上向き切り口に触れることなく球形農作物の上方肩部を押圧するのであるが、押出し具の各押圧部の下向き押圧面がなく球形農作物の径方向および周方向に比較的幅の大きいものであるために、球形農作物の上方肩部の形状が歪な場合に、押出し具の各押圧部による押圧位置が球形農作物の径方向に大きく異なってしまい、この押圧位置の差によって球形農作物が押し動かされて姿勢や位置が変えられてしまうおそれがあった。このように、切り口が真上を向かない姿勢で球形農作物が投入口に供給されると、包装シートによる包み込みが好適に行われなくなるおそれがあった。
【0004】
各押圧部が径方向に大きいと、球形農作物を投入口に供給した後、次の球形農作物の供給のために把持機構が取り出し位置に向けて復帰移動する際に、絞り込まれた包装シートの絞込み上端辺に押出し具の押圧部の外周部部内側から接触して、せっかく絞り込まれた包装シートの一部が押し拡げられるおそれもあった。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、球形農作物を投入口へ安定した姿勢で送り込み、包装シートで好適に包み込むことができるようにすることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上向きの投入口に挿入供給された球形農作物を包装シートでくるんで封止するよう構成した包装装置本体に、所定の取出し位置に供給された球形農作物を掴み上げて包装装置本体の前記投入口に送り込む移載装置を配備し、この移載装置に、前記取出し位置の球形農作物を掴み上げて前記投入口の直上にまで移動する把持機構を備えるとともに、把持機構の中心に、球形農作物を上方から押圧して投入口に送り込む押出し具を上下作動可能に装備した球形農作物の包装装置において、
前記押出し具に、把持された球形農作物における上向きの切り口を取り囲むように弾性接触する押圧部を下向きに突出して備えるとともに、この押圧部を、球形農作物の径方向に幅狭で周方向に幅広く形成してあることを特徴とする。
【0007】
上記構成によると、把持された球形農作物が投入口に供給される際、下降する押出し具の押圧部の下端部が球形農作物の上方肩部に切り口を囲むように弾性押圧されることになるが、径方向に幅狭で周方向に幅広の押出し具の押圧部は球形農作物の中心から等距離の箇所に線状に接触することになり、球形農作物の上方肩部が多少歪になっていても、球形農作物に対する押圧位置が径方向に大きく変化することはなく、球形農作物が押出し具の押圧を受けて傾けられたり押し動かされたりすることはない。
【0008】
従って、第1の発明によると、多少歪んでいる球形農作物でも、投入口へ安定した姿勢で送り込み、包装シートで好適に包み込むことができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記押圧部を、下端側ほど把持機構の中心に近づくよう内向きに傾斜させてあるものである。
【0010】
上記構成によると、球形農作物を投入口に送り込んだ後、把持機構が取り出し位置に復帰移動する際に、球形農作物が小径で絞り込まれた包装シートが押出し具に接近しても、内向きに傾斜されている押出し具の押圧部の外周部が、絞り込まれた包装シートの絞込み上端辺に内側から強く接触することはなく、絞り込まれた包装シートの一部が退避移動する押出し具によって押し拡げられることはない。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、
前記押出し具を自重によって送り込み作動させるよう構成してあるものである。
【0012】
上記構成によると、押出し具を駆動下降させる構造のものに比べて送り込みが穏やかに行われ、球形農作物の姿勢や位置を変化させるおそれが更に低いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1および図2に、本発明に係る球形農作物の包装装置の一例であるレタス包装装置の正面と平面がそれぞれ示されている。この包装装置は、基本的には包装装置本体1、レタス搬入用の搬送装置2、および、移載装置3から構成されており、各部の構造および機能を以下に説明する。
【0014】
包装装置本体1は箱型に構成されており、その上部には包装台5とこれを上方から覆う上部カバー6が配備され、包装台5の中央にはレタス(球形農作物)wより幾分大きい目の投入口7が形成されるとともに、この投入口7に臨む大きい開口8が上部カバー6に形成されている。投入口7には放射状に切り込まれた弾性シート7aが備えられ、供給されたレタスwを弾性的に受け止めながら通過させるようになっている。包装装置本体1における一端部の上方にはシートロールSRを横向きに装着するシートロール装填部9が配備されており、シートロールSRから繰出された包装シートsが、内装されたシート切断機構16で所定の長さに寸法切りされて包装台5の上に供給されるようになっている。
【0015】
供給された包装シートsの上からレタスwを投入口7に押し込み供給することで、包装台5の下方においてレタスwを包装シートsでを包んで絞り込むとともに、包装シートsの絞り込み箇所を熱融着して封止し、包装したレタスwを排出口10から送り出するよう構成されており、包装作動の概略手順を図16に基づいて以下に説明する。
【0016】
先ず、図16(イ)に示すように、包装台5の上面に包装シートsが供給装填された状態で、切り口を上向きにしたレタスwを投入口7に送り込んで、投入口7の下方に待機している保持台11の上に供給する。
レタスwが送り込み供給されたことが光センサなどによって検知されると、図16(ロ)に示すように、保持台11が下降されるとともに、これに連動して一対の保持アーム12が接近作動し、投入口7に備えた弾性シート7aによって絞り込まれる包装シートsをレタスwに密着させながら更に絞り込む。
【0017】
次に、図16(ハ)に示すように、対向配備された一対の挟持板13が接近作動して、包装シートsの絞り込み箇所を更に前後および左右から小さく絞り込む。
次に、図16(ニ)に示すように、対向配備された一対のヒータ14が接近作動して、挟持板13で絞り込まれた箇所を熱融着して封止するとともに、その封止箇所より上方の余剰シート部分s’を溶融切断する。
封止が完了すると、図16(ホ)に示すように、保持アーム12が開放作動するとともに保持台11が側方に回倒作動して、包装されたレタスw’を排出シュート15に送り出す。
【0018】
以上のような包装作動を行う包装装置本体1へのレタス自動供給が前記搬送装置2および移載装置3によって行われる。
【0019】
前記搬送装置2は、包装装置本体1における前記シートロール装填部9と反対側の端部において包装装置本体1の上方に重複して配備されており、モータ20によって縦軸心周りに駆動回動される大径の駆動スプロケット21と、これと同径の遊転スプロケット22とに亘って搬送チェーン23を横回し巻回するとともに、チェーン回動方向に所定間隔をもって複数の受け部24を搬送チェーン23に取付け、かつ、搬送チェーン23を直線移動径路において図示されていないガイドレールで案内するよう構成されたものであり、受け部24が包装装置本体1の上方において長円状の搬送径路でもって平面的に循環回動されるようになっている。搬送チェーン23は、受け部24の配列間隔でピッチ送りされ、受け部24に載置収容されたレタスwが直線搬送径路中の所定位置に設定された取出し位置Aに搬送されるようになっている。
【0020】
前記受け部24は、弾性変形可能な4個の受け片24aを放射状に配置して構成されており、切り口が上向き姿勢のレタスwを傷つけることなく安定載置することが可能となっている。4個の受け片24aのうち、搬送方向と直交する方向で対向する一対の受け片24aの上面には目立つ色合いに着色した方向識別マークmが付されており、平面視で若干楕円形となっているレタスwを、楕円形状の長軸を搬送方向と直交する方向に向かわせる横置き姿勢、あるいは、楕円形状の長軸を搬送方向に向かわせる縦置き姿勢にして載置装填する場合に、前記方向識別マークmが目安となる。特に、搬送装置2の回動径路でレタスwを素早く横置き、あるいは、縦置き載置するのに便利に利用することができる。
【0021】
図13に示すように、前記取出し位置Aの搬送上手における直線径路の上方に、レタスwの上向きの切り口から滲み出た汁を拭き取り除去する汁拭き機構90が配備されている。この汁拭き機構90には、受け具24の間隔に合わせた間隔をもって前後一対の拭き取り具91が配備されている。
【0022】
汁拭き機構90の支持フレーム92は、前記搬送装置2における受け部循環回動径路の内側に立設固設されたブラケット25に連結されており、支持フレーム92の前後に支点p周りに上下揺動可能、かつ、互いに交差して一対の支持アーム93が装着され、各支持アーム93の遊端部に前記拭き取り具91が横向の支点q周りに自由揺動可能に装着されている。
【0023】
図15に示すように、拭き取り具91は、金属板材からなる基体94の下面に平板状のスポンジ95を貼付け固定するとともに、このスポンジ95にタオル96を巻き付け装着して構成されており、全体が前後に長い平板状に形成されるとともに、前端部が少し前上がりに屈曲傾斜されている。
【0024】
両支持アーム93の交差箇所近傍には、モータMによって横向の支点r周りに一定方向に回動されるクランクアーム97が配備されている。このクランクアーム97の遊端部には、両支持アーム93に下方から接当干渉するローラ98が装備されており、クランクアーム97が上方に回動することで、両支持アーム93が下方から持ち上げ揺動され、クランクアーム97が下方に回動することで、両支持アーム93が自重で下方揺動するようになっている。
【0025】
汁拭き機構90は以上のように構成されており、搬送されてきたレタスwの上向きの切り口に、上下動する拭き取り具91がその自重によって押し付けられ、レタスwの上向きの切り口に滲み出ている汁がタオル96に吸収除去される。この場合、平板状の拭き取り具91の前部は先上がり傾斜しているので、レタスwに引っかかることなくレタスwの上向きの切り口の上に乗りかかり、レタスwの上向きの切り口の向きに沿った姿勢に追従揺動して、タオル96の平面部で汁を残らず吸収する。
拭き取り具91は受け具24の間隔に合わせた間隔をもって前後一対配置されているので、1個のレタスwは2回の拭き取り処理を受ける。
【0026】
前記移載装置3には、レタスwを掴み取る把持機構30と、把持機構30を一定姿勢のままで昇降させる昇降機構31と、この昇降機構31を横移動させる横移動機構32とが備えられており、各部の詳細な構成を以下に説明する。
【0027】
図1〜図3に示すように、包装装置本体1の上部には、左右一対の支柱33a,33bを介して上下幅広の支持フレーム34が左右に亘って架設され、この支持フレーム34の前面に水平姿勢に固定されたガイドレール35に、昇降機構31を装着した可動台36が水平横移動可能に支持されている。図11に示すように、可動台36の上下には、支持フレーム34の前面を転動するガイドローラ37が装備されて、可動台36の前後への倒れが阻止されている。
【0028】
一方の支柱33aは、搬送装置2における受け部循環回動径路の内側に固設されたブラケット25に、縦向き支点p周りに旋回可能に支持され、他方の支柱33bは、シート切断機構16におけるカバーケース17の上面に脱着可能にボルト連結されている。従って、支柱33bとカバーケース17との連結を解除することで、図2中の仮想線で示すように、移載装置3の全体を前記縦向き支点p周りに旋回させて、包装装置本体1の上方から外れた箇所に退避移動させることができ、移載装置3に邪魔されることなく包装装置本体1の点検整備を行うことができるようになっている。移載装置3を上記のように旋回退避させた後、カバーケース17を取外すことで、シート切断機構16を大きく開放して点検整備を行うことができる。
【0029】
図3に示すように、前記昇降機構31は、基端を可動台36に枢支連結した上下の昇降リンク38と、その遊端に亘って枢支連結された先端ブラケット39とからなる平行四連リンク機構として構成されており、先端ブラケット39に把持機構30が装備されている。
【0030】
支持フレーム34の前面には横移動機構32を構成する駆動アーム40が備えられ、この駆動アーム40の遊端が前記昇降リンク38の下部に枢支連結されている。この構成によると、駆動アーム40が左右に大きく反転回動されることによって昇降リンク38が上下揺動されるともに昇降機構31全体が可動台36と共に左右に押し動かさされ、駆動アーム40の左右の回動エンドにおいて、把持機構30が搬送装置2における取出し位置Aと包装装置本体1における投入口7の直上とに位置するようになっている。駆動アーム40は大径スプロケット41に固着されて一体に回動されるとともに、大径スプロケット41は、フレーム裏面からモータM1で正逆に駆動される小径スプロケット42にチェーン43を介して巻き掛け連動されている。
【0031】
図5〜図10に示すように、昇降機構31における先端ブラケット39に装備された前記把持機構30には、開閉自在な4本のフィンガー45が備えられている。このフィンガー45は、前記先端ブラケット39の前面に水平姿勢で固着された基板46の上部にそれぞれ支点a周りに内外に揺動可能に枢支されたフィンガーアーム47と、このフィンガーアーム47の下部に取付けられたゴム材などの弾性樹脂材からなる短冊状のフィンガー本体48とから構成されている。
【0032】
各フィンガーアーム47と基板46とに亘ってバネ49が張設され、各フィンガーアーム47が内向き、つまり、レタス把持方向に揺動付勢されている。図8に示すように、基板46にはフィンガーアーム47群の中心に位置させてボス部材50が鉛直に設けられるとともに、このボス部材50の下部外周にカム板51が水平回転可能に外嵌装着されている。カム板51は、各フィンガーアーム47の内側に備えられたローラ52に対向されており、内向きに揺動付勢された各フィンガーアーム47がローラ52を介してカム板51の外周で受け止め支持されるようになっている。
【0033】
図12に示すように、前記カム板51は、モータM2によって操作される2本の操作ワイヤ53,54に連結されており、モータM2の正逆回転によって両操作ワイヤ53,54が背反して引き操作および弛緩操作されることでカム板51が正逆に回転駆動され、カム板51の外周のカム形状に応じて全フィンガーアーム47が同時に外側に強制開放揺動および、内側に付勢閉じ揺動するようになっている。
【0034】
前記フィンガー本体48はその上端部のみがフィンガーアーム47にネジ連結されており、フィンガー本体48をフィンガーアーム47に沿わせた開き姿勢と、内方に向けて屈曲変形された掴み姿勢とに切換えることが可能となっている。フィンガー本体48の内向き面には、レタスwを傷つけることなく把持できるよう適度の弾性を有するスポンジ材55が貼付けられている。
【0035】
フィンガーアーム47の外側にはフィンガー本体48を内外に屈曲させるフィンガー駆動リンク56が配備されている。このフィンガー駆動リンク56の上端は、フィンガーアーム47の上部支点aに枢支された操作アーム57の遊端に枢支連結されるとともに、フィンガー駆動リンク56の下端が、フィンガー本体48の下端部外面から突設した連結片58に枢支連結され、更に、フィンガー駆動リンク56の長手方向中間に備えたピン59がフィンガーアーム47に形成した傾斜長孔60に係入されている。操作アーム57が揺動操作されてフィンガー駆動リンク56が上下に移動されると、ピン59と傾斜長孔60との案内作用でフィンガー駆動リンク56の下端部が内外方向に変位して、フィンガー本体48が内外に屈曲されるようになっている。
【0036】
前記基板46に設けられた前記ボス部材50には上下動自在にスライドボス61が外嵌装着されており、このスライドボス61から放射状に突設した操作突起62と前記操作アーム57の延長端とが長孔63とピン64を介して係合連動されている。また、前記基板46の上方に立設された一対のステー65を介してブラケット66が横架固定され、このブラケット66の支点b周りに回動可能に枢支された一対の駆動アーム67が、スライドボス61の外周対角位置に軸支装着されたローラ68にそれぞれ係合されている。スライドボス61から突設した一対のガイド片61aに前記ステー65が貫通されて、スライドボス61の縦軸心周りでの回転が阻止されている。
【0037】
前記駆動アーム67はモータM3によって操作される2本の操作ワイヤ69,70に連結されており、モータM3が正逆回転されて両操作ワイヤ69,70が背反して引き操作および弛緩操作されることで、駆動アーム67が正逆に回動されて全操作アーム57が揺動操作され、もって上記のように全フィンガー45のフィンガー本体48が同時に内外に屈曲されるようになっている。
【0038】
基板46に立設されたボス部材50には操作ロッド71が挿通支持され、この操作ロッド71の下端に押出し具72が装備されている。操作ロッド71の上部は、ブラケット66から立設した支持枠73に上下動可能に案内支持されるとともに、操作ロッド71の上端からは受動アーム74が片持ち状に突設されている。
【0039】
図4に示すように、前記先端ブラケット39に立設された支点金具75の上端に、前後向きの支点s周りに揺動可能に押し上げアーム76が枢支連結されており、この押し上げアーム76の一端に備えられた支持ローラ77が前記受動アーム74を下方から受け止め支持し、押し上げアーム76が正逆に揺動することで、受動アーム74を介して押し上げアーム76の一端部に受け止め支持された操作ロッド71が、押出し具72と共に自重で上下移動するよう構成されている。
【0040】
前記支持フレーム34の上部には、押し上げアーム76の他端に備えられた案内ローラ78に作用する案内レール79が固定装備されている。この案内レール79は、段違い状に形成されており、図4中の左側に示されるように、把持機構30が搬送装置2における取出し位置Aにある時には、案内レール79の下段水平案内部79aの下面から案内ローラ78が離れることで、押し上げアーム76が図4中、時計方向に揺動して操作ロッド71が自由となり、押出し具72が自重で下方移動して取出し位置Aにあるレタスwに乗りかかる。
【0041】
レタスwを把持した把持機構30が取出し位置Aから離れて斜め上方に向けて移動するに連れて、案内ローラ78は下段水平案内部79aから傾斜案内部79bを経て上段水平案内部79cに移行し、この間に、押し上げアーム76は操作ロッド71を押し上げる姿勢に揺動され、図4中の中央に示されるように、押出し具72はレタスwの上方に離される。
【0042】
把持機構30が最上昇位置を過ぎて斜め下方に向けて移動すると、図4中の右側に示されるように、上段水平案内部79cに対して押し上げアーム76の支点sが下方に離れてゆき、押し上げアーム76が支持ローラ77を下げる方向(図4では時計方向)に揺動可能となり、操作ロッド71および押出し具72が自重で下方移動し、レタスwの送り込み作動を行うようになっている。
【0043】
図14に示すように、操作ロッド71の下端に連結された前記押出し具72は、支持板80の四辺から下方に折り曲げ延出された舌片80aに下方からゴム板材81を巻き付けてなる押圧部82が構成されており、各押圧部82がレタスwの上方肩部を、レタスwの上向きの切り口を矩形環状に囲む4箇所において、レタスwの径方向に小幅で、かつ、周方向に幅広く線状に弾性接触するよう構成されている。
【0044】
図1および図4に示すように、前記支持フレーム34の上方箇所にはモータM4によって支点t周りに回動される送り込み補助用の駆動アーム83が装備されている。この駆動アーム83は、把持機構30が包装装置本体1における投入口7の直上の供給位置Bに移動された状態において、駆動アーム83の先端に備えたローラ84の回動軌跡内に前記受動アーム74が入り込むよう配置されており、駆動アーム83が回動して受動アーム74を下方に接当押圧することで操作ロッド71が強制的に下方に押し下げられるようになっている。
【0045】
本発明は以上のように構成されており、次にレタスwの自動供給作動について説明する。 (1)作業者は搬送装置2の周囲の適所に立って循環ピッチ回動する受け部24に、切り口を上向きにしてレタスwを載置供給することで、レタスwは移載装置3による取出し位置Aに向けて搬送されてゆく。この場合、受け部24に付された方向識別マークmを利用して、レタスwを所望の姿勢で供給することができる。
【0046】
(2)レタスwが取出し位置Aの手前近傍にまで搬送されると、汁拭き機構90における拭き取り具91の作用域に入り、レタスwの上向きの切り口に滲み出ている汁が拭き取り具91で吸収除去される。
【0047】
(3)搬送されてきたレタスwが前記取出し位置Aに到着すると、これが光センサあるいは接触センサなどの存否検出手段によって検知され、この検知に基づいて搬送装置2のピッチ送り作動が停止される。移載装置3の把持機構30が、フィンガー45が開かれるとともに押出し具72が自重下降可能な状態で下降され、取出し位置Aで停止しているレタスwに上から被せられる。
【0048】
(4)把持機構30が下限まで下降されると、カム板51が回動されてフィンガーアーム47が内向きに付勢揺動されるとともに、スライドボス61が上方作動してフィンガー本体48が内方に屈曲変形され、レタスwがフィンガー本体48によって四方から弾性的に把持される。この場合、押出し具72が自重で下方移動して取出し位置Aにあるレタスwを押圧し、レタスwを受け部24に適度に押し付けて姿勢を安定させた状態で把持作動が行われる。
【0049】
(5)レタスwの把持が完了すると、駆動アーム40が反転回動することで、レタスwを把持した把持機構30は略直線的に上昇した後、包装装置本体1側に山形の湾曲軌跡をもって横移動し、投入口7の上方近傍からは略直線的に下降し、把持したレタスwを投入口7の上方に持ち込む。この場合、押し上げアーム76が案内レール79から下方に離れることで、押出し具72は自重でレタスwの上に乗りかかる。
【0050】
(6)把持機構30が下限まで下降されると、図7に示すように、フィンガー本体48が外側に伸展されてレタスwの下方からの抱込み支持が解除され、レタスwは自重および押出し具72の重量で投入口7に送り込まれ、レタスwが包装シートsでくるまれる。
【0051】
この場合、押出し具72の押圧部82がレタスwの上方肩部を周方向4箇所において径方向に幅狭く、周方向に幅広く線状に弾性押圧するので、レタスwの表面の形状によって各押圧位置が径方向に大きく変化することがなく、中心から略等距離の箇所を矩形環状に押圧することになり、レタスwの姿勢および位置を変えることなく送り込むことができる。
投入口7への送り込みが不十分であると、駆動アーム82によって受動アーム74が押し下げ操作されて押出し具72が強制的に下降され、確実な送り込みが行われる。
【0052】
(7)投入口7へのレタスwの送り込みを終えた把持機構30は次のレタスwの移載のために取出し位置Aに向けて復帰移動されるとともに、押出し具72は案内レール79と押し上げアーム76の作用によって強制的に上方退避位置に復帰移動される。
【0053】
把持機構30が送り込み位置から上昇する際、押出し具72の押圧部82が内向きに傾斜しているために、小玉のレタスwを押出し具72で抱き込んでしまうことがなく、上方移動する押出し具72によって小玉で軽いレタスwが持ち上げられるようなことが回避される。押圧部82が内向きに傾斜しているために、包装シートsの絞り込み端に触れにくく、退避移動する押出し具72で包装シートsの一部が拡げられて、絞り込みが弛められることもない。
【0054】
〔他の実施例〕
(1)押出し具72の各押圧部82の横断形状を、内向きに凹入する部分円弧状に形成し、切り口を囲む円形環状に配列した複数の押圧部82でレタスwの上方肩部を環状に押圧する形態で実施することもできる。
【0055】
(2)包装シートsを絞り込んで封止する手段としては、上記のように熱融着する形態のほかに、絞込み切断箇所に粘着テープ片を貼付ける形態を利用することもできる。
【0056】
(3)前記把持機構30を、空気圧の変動によって内外に屈曲変形する細長いゴム風船状のフィンガー本体48で各フィンガー45を構成した形態で実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】包装装置の全体正面図
【図2】包装装置の全体平面図
【図3】把持機構の昇降機構および横移動機構を示す正面図
【図4】移載作動を示す正面図
【図5】開放作動状態の把持機構を示す正面図
【図6】把持作動状態の把持機構を示す正面図
【図7】排出作動状態の把持機構を示す正面図
【図8】把持機構の一部を示す縦断正面図
【図9】把持機構の一部を示す横断平面図
【図10】把持機構の要部を示す縦断側面図
【図11】把持機構の横移動機構の一部を示す縦断側面図
【図12】フィンガー開閉構造の要部を示す平面図
【図13】汁拭き機構側面図
【図14】押出し具の斜視図
【図15】汁拭き具の斜視図
【図16】包装作動の概略手順を示す説明図
【符号の説明】
【0058】
1 包装装置本体
3 移載装置
7 投入口
24 受け部
30 把持機構
72 押出し具
82 押圧部
s 包装シート
A 取出し位置
w 球形農作物(レタス)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きの投入口に挿入供給された球形農作物を包装シートで包み込んで封止するよう構成した包装装置本体に、所定の取出し位置に供給された球形農作物を掴み上げて包装装置本体の前記投入口に送り込む移載装置を配備し、この移載装置に、前記取出し位置の球形農作物を掴み上げて前記投入口の直上にまで移動する把持機構を備えるとともに、把持機構の中心に、球形農作物を上方から押圧して投入口に送り込む押出し具を上下作動可能に装備した球形農作物の包装装置において、
前記押出し具に、把持された球形農作物における上向きの切り口を取り囲むように弾性接触する押圧部を下向きに突出して備えるとともに、この押圧部を、球形農作物の径方向に幅狭で周方向に幅広く形成してあることを特徴とする球形農作物の包装装置。
【請求項2】
前記押圧部を、下端側ほど把持機構の中心に近づくよう内向きに傾斜させてある請求項1記載の球形農作物の包装装置。
【請求項3】
前記押出し具を自重によって送り込み作動させるよう構成してある請求項1または2記載の球形農作物の包装装置。
【請求項1】
上向きの投入口に挿入供給された球形農作物を包装シートで包み込んで封止するよう構成した包装装置本体に、所定の取出し位置に供給された球形農作物を掴み上げて包装装置本体の前記投入口に送り込む移載装置を配備し、この移載装置に、前記取出し位置の球形農作物を掴み上げて前記投入口の直上にまで移動する把持機構を備えるとともに、把持機構の中心に、球形農作物を上方から押圧して投入口に送り込む押出し具を上下作動可能に装備した球形農作物の包装装置において、
前記押出し具に、把持された球形農作物における上向きの切り口を取り囲むように弾性接触する押圧部を下向きに突出して備えるとともに、この押圧部を、球形農作物の径方向に幅狭で周方向に幅広く形成してあることを特徴とする球形農作物の包装装置。
【請求項2】
前記押圧部を、下端側ほど把持機構の中心に近づくよう内向きに傾斜させてある請求項1記載の球形農作物の包装装置。
【請求項3】
前記押出し具を自重によって送り込み作動させるよう構成してある請求項1または2記載の球形農作物の包装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−68909(P2008−68909A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251396(P2006−251396)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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