説明

生コンクリート成型装置

【課題】移動式の生コンクリート成型装置において、型枠を可動装置により適宜移動させることができ、これにより左右の側型枠間の間隔を変動させ、巾員の異なる必要とする舗装面に対応して打設された生コンクリートを成型することができ、工期の短縮及びコストの低減を図りつつ連続的に生コンクリートを成型することのできる生コンクリート成型装置を提供するものである。
【解決手段】生コンクリート供給手段から供給された生コンクリートを平坦にする成型装置において、自走部並びに締固め、成型及び平坦機能を備え、該成型機能は、左右の側型枠及び上型枠により打設された生コンクリートの巾及び厚さを確定し、該側型枠の少なくとも一方側の内側面には該上型枠が非固定状態で載置される可動部を設け、該可動部を左右方向へ移動させる手段により生コンクリートの巾を可変させることを特徴とする生コンクリート成型装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動手段を有する生コンクリート成型装置によって道路や各種床等の舗装面に打設された生コンクリートを順次連続的に成型する装置に関し、特に道路や各種床において必要とする巾に直ちに対応することのできる生コンクリート成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路、空港での滑走路、大規模な駐車場や広場等の床(以下、総称して道路という)の表面側(以下、舗装面という)に打設された生コンクリートを順次連続的に成型するには、移動手段を有する生コンクリート成型装置により、該打設された生コンクリートを引き延ばして平坦にすることが行なわれている。そして、左右の側型枠や上型枠により成型される生コンクリートの巾及び厚さを定めていた。上記左右の側型枠間の巾員は予め定められているので、道路によっては端数の巾が残ることも多く、当該端数となる巾員については手打ちで対応することが行なわれていた。
【0003】
上記欠点を考慮し、巾員を変更することのできる生コンクリート成型装置が開発されている。図8に示すように、所定の横巾を有する基準モールドAに追加モールドBをボルト・ナット等の脱着手段により嵌め込み或いは取り外し固定することにより左右の側型枠間隔を変え、巾員の変更に対応していた。
【特許文献1】特開平07−138909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記移動する生コンクリート成型装置において、予め左右の側型枠間の巾員が固定されているモールドにより、該巾員に対応して道路の舗装面に連続的に打設された生コンクリートを該巾員に成型することが可能であるが、上記したように成型できる巾員が予め決められているので、巾員が異なることが多い各種道路において、端数な巾員が残らないように調整対応することは困難であった。
また、上記のように巾員を変更できる生コンクリート成型装置では、必要とする巾員に応じた追加モールドの入替を行なわなくてはならず、そのつど左右の側型枠によって定まる巾員に合わせるための着脱を繰り返す必要があった。
更に、巾員が漸次異なる道路や施工場所或いは追加モールドBの巾員に合わない端数の巾員が生じる生コンクリートの成型場所では上記の手段では対応できなかった。
【0005】
本発明は、上記欠点を解決したもので、移動式の生コンクリート成型装置において、型枠を可動装置により適宜移動させることができ、これにより左右の側型枠間の間隔を変動させ、巾員の異なる必要とする舗装面に対応して打設された生コンクリートを成型することができ、工期の短縮及びコストの低減を図りつつ連続的に生コンクリートを成型することのできる生コンクリート成型装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
具体的な手段として、生コンクリート供給手段から供給された生コンクリートを平坦にする成型装置において、自走部並びに締固め、成型及び平坦機能を備え、該成型機能は、左右の側型枠及び上型枠により打設された生コンクリートの巾及び厚さを確定し、該側型枠の少なくとも一方側の内側面には該上型枠が非固定状態で載置される可動部を設け、該可動部を左右方向へ移動させる手段により生コンクリートの巾を可変させる生コンクリート成型装置を特徴とする。
【0007】
また、上記可動部をL字型形状とし、下フランジ部に上型枠を非固定状態で載置してなる生コンクリート成型装置を特徴とする。
【0008】
更に、上記側型枠及び可動部は、油圧或いは空気圧シリンダーにより左右方向へ移動可能としてなる生コンクリート成型装置を特徴とする。
【0009】
また、上記側型枠及び可動部は、スクリュー歯或いは歯車により左右方向へ移動可能としてなる生コンクリート成型装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、道路或いは各種コンクリート構造物の舗装面に打設された生コンクリートの左右の巾員間隔を自動的に変えることができ、且つ巾員を変更するための型枠の組み換え作業が不要となり、そのための人員を用意する必要がなく、省力化が可能となった。
【0011】
また、上記左右の巾員間隔の変更が、漸次微細な巾員の増減にも対応することができ、打設面に端数となる巾員が生じることがなくなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の生コンクリート成型装置を含むスリップ工法に使用する装置全体を示す斜視図、図2は、生コンクリート成型装置の正面図を示している。上記スリップ工法に使用する装置としては、本発明に係る生コンクリート成型装置1を挟んで、前工程では生コンクリート車等によって運ばれてきた生コンクリートをベルトコンベア等により装置内へ移動させ、道路面に打設し、ある程度の巾に敷き均す敷き均し手段を備えた自走手段を有する生コンクリート打設装置2、後工程では巾員が確定され、締め固められた生コンクリートの表面を仕上げ、養生剤を散布する等の生コンクリート仕上装置3とを備えている。
【0014】
該生コンクリート成型装置1は、自走手段4を備え、上記前工程により道路面に拡散オーガ等で左右方向へ敷き均された生コンクリートを、図3に示すようにオーガ等の敷き均し手段5、バイブレータ等の締め固め手段6、ダンパ等の上下動手段7及びコンフォーミングプレート8により所定高さに調整され、更に、左右の側型枠9、10により巾員が定められる。
【0015】
図5に示す上記左右の側型枠9、10は、自走手段4の走行面となる舗装面に達する型枠とされ、前工程で舗装面に打設され、左右方向へある程度敷き均された生コンクリートの側面を確定形成する型枠となる。
該側型枠9、10の内側には図2、4に示すように、断面L字型の可動部11、12が固定され、コンフォーミングプレート8を左右より載置支持している。コンフォーミングプレート8は、生コンクリート成型装置を構成する架構から垂下した支持部材13、14により支持され、同時に、該支持部材13、14は、上記側型枠9、10及び可動部11、12も支持している。該可動部11、12を左右方向へ移動させるための油圧或いは空気圧によるシリンダー15、16が、該コンフォーミングプレート8に固定され、そのロッド側は可動部11、12に固定されている。該シリンダー15、16の作動によりロッドが伸縮し、該可動部11、12を外方或いは内方の左右方向へ移動させることができるように構成している。
【0016】
上記シリンダー15、16の作動により可動部11、12を固定した側型枠9、10は左右方向へ移動することになり、舗装面に打設された生コンクリートの巾員Hを可変させることが可能となる。
【0017】
上記実施例1では、可動部11、12を側型枠9、10の両者に設けたが、片側のみでも良い。
【実施例2】
【0018】
図6は、側型枠17を移動させるための他の実施例を示したものである。該側型枠17及びそれに固定した可動部18にナット状筒19を固定し、該ナット状筒19内をボルト20が回動するスクリューネジとし、側型枠17及び可動部18を左右方向へ移動させるものである。
該ボルト20の回動は、カサ歯車、ウォームとウォームホイール等の歯車機構により行なうことができる。
【実施例3】
【0019】
図7は、上記同様、側型枠21を移動させるための他の実施例を示したものである。該側型枠21及びそれに固定した可動部22にラック23を固定し、該ラック23にピニオン24を歯合させ、該ピニオン24の回転により該側型枠21及び可動部22を移動させるものである。
【0020】
上記実施例1〜3の側型枠を移動させるための手段は、必要に応じて適宜カバー材により被覆し、外部からの生コンクリートやゴミの進入を防ぐことができる。
【0021】
上記実施例1〜3では、生コンクリート打設装置2及び生コンクリート仕上げ装置3を別体の装置として示したが、本実施例の生コンクリート成型装置に両者或いはいずれか一方が組み込まれた装置とすることも可能である。
【0022】
上記の通り、自走手段により移動しながら連続的に生コンクリートが打設され、敷き均され、締め固められ、且つ左右の巾員方向の間隔が必要に応じて適宜に調整された状態で生コンクリートによる舗装面が形成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】生コンクリートを舗装面に敷設するスリップ工法の一実施例の装置全体を示す斜視図。
【図2】本発明の生コンクリート成型装置の正面図。
【図3】生コンクリート成型部の概略側面図。
【図4】可動部を示す側断面図。
【図5】側型枠の側面図。
【図6】可動部の他の実施例の側断面図。
【図7】可動部の他の実施例の側断面図。
【図8】生コンクリート成型装置における型枠部の従来例の正面図。
【符号の説明】
【0024】
1 生コンクリート成型装置
2 生コンクリート打設装置
3 生コンクリート仕上げ装置
4 自走手段
5 敷き均し手段
6 締め固め手段
7 上下動手段
8 コンフォーミングプレート
9、10 側型枠
11、12 可動部
13、14 支持部材
15、16 シリンダー
17 側型枠
18 可動部
19 ナット状筒
20 ボルト
21 側型枠
22 可動部
23 ラック
24 ピニオン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリート供給手段から供給された生コンクリートを平坦にする成型装置において、自走部並びに締固め、成型及び平坦機能を備え、該成型機能は、左右の側型枠及び上型枠により打設された生コンクリートの巾及び厚さを確定し、該側型枠の少なくとも一方側の内側面には該上型枠が非固定状態で載置される可動部を設け、該可動部を左右方向へ移動させる手段により生コンクリートの巾を可変させることを特徴とする生コンクリート成型装置。
【請求項2】
可動部をL字型形状とし、下フランジ部に上型枠を非固定状態で載置してなることを特徴とする請求項1に記載の生コンクリート成型装置。
【請求項3】
側型枠及び可動部は、油圧或いは空気圧シリンダーにより左右方向へ移動可能としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の生コンクリート成型装置。
【請求項4】
側型枠及び可動部は、スクリュー歯或いは歯車により左右方向へ移動可能としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の生コンクリート成型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−225978(P2006−225978A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40670(P2005−40670)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000161817)ケイコン株式会社 (37)
【Fターム(参考)】