説明

生体情報管理装置、生体情報測定管理装置およびプログラム

【課題】被測定者に負担を強いることなく、生体情報をユーザ毎に正しく管理する。
【解決手段】血圧測定管理装置は、認証に失敗すると(S3;NO)、測定した生体情報と、過去の生体情報の測定結果との類似度に基づいて、被測定者と同一人物である登録ユーザを特定する(S4〜S8)。血圧測定管理装置は、登録ユーザを特定できれば登録ユーザ生体情報管理テーブルに測定結果を書き込み(S9)、特定できなければ、暫定ユーザIDに対応付けて暫定ユーザ生体情報管理テーブルに書き込む(S10,11)。また、血圧測定管理装置は、認証に成功すると(S3;YES)、過去に登録ユーザに対して暫定ユーザIDが割り当てられていたら、暫定ユーザ生体情報管理テーブルに書き込まれた測定結果を、登録ユーザの生体情報として、登録ユーザ生体情報管理テーブルに書き込む(S12〜S20)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者の生体情報を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
体重計や体脂肪計或いは血圧計などの各種の生体情報測定装置においては、指紋等を用いた認証を行ってユーザが誰であるかを特定し、その測定結果をユーザごとに管理する機能が実装されているものがある。
【0003】
しかし、認証情報として指紋を用いる場合、例えば指に怪我していたり、傷やゴミが付いているときには、採取した指紋と登録している指紋とが一致せず、これにより、予め登録された真のユーザであっても生体情報測定装置が認証できないことがある。このように、人間の生体的な特徴である生体情報に基づいて認証を行った場合、ユーザが同一人物であったとしても、生体情報の登録時と認証時とにおける健康状態や身体状態の違いにより生体情報が変化してしまい、このため、認証を誤ってしまって正しくユーザ管理を行えないことがある。そこで、特許文献1には、認証を誤ったときための措置として、ICカードや暗証番号など、生体情報以外の認証手段を用いて認証を行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−200113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、その認証方法がICカード等の物品を要する方法であれば、ユーザはこれを常に携帯して第3者に盗まれないように管理しておかなければならない。また、暗証番号を要する方法であれば、ユーザはこれを正しく記憶しておかなければならない。よって、いずれの方法を採ったとしても、ユーザに強いられる負担が大きい。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被測定者に負担を強いることなく、生体情報をユーザ毎に正しく管理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は、各ユーザのユーザ識別情報と前記各ユーザの生体情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、被測定者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記生体情報取得手段が取得した生体情報と、前記生体情報記憶手段に記憶された生体情報との類似度を算出する類似度算出手段と、算出された前記類似度が閾値を超える生体情報を特定し、特定した前記生体情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶されているユーザ識別情報を特定する特定手段と、前記特定手段によって前記ユーザ識別情報を特定することができた場合には、前記生体情報取得手段によって取得された前記生体情報を、特定された前記ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させ、前記特定手段によってユーザ識別情報を特定することができなかった場合には、前記生体情報取得手段によって取得された前記生体情報を、新たに生成した暫定ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させる記憶制御手段とを備えることを特徴とする生体情報管理装置を提供する。
これにより、被測定者に負担を強いることなく、生体情報をユーザ毎に正しく管理することができる。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、前記特定手段が特定した前記ユーザ識別情報を前記被測定者に通知し、通知したユーザ識別情報に対応付けて、前記生体情報取得手段が取得した生体情報を記憶してもよいか否かを前記被測定者に質問する第1の質問手段を備え、前記記憶制御手段は、前記第1の質問手段による質問に対し、生体情報を記憶してもよい旨の返答が前記被測定者からあったときには、前記生体情報取得手段が取得した前記生体情報を、通知した前記ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させてもよい。
このように、被測定者に通知したユーザ識別情報に対応付けて生体情報を記憶してもよいことを被測定者に確認してからユーザ識別情報と生体情報とを対応付けて記憶するので、生体情報をユーザ毎により正しく管理することができる。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、前記各ユーザのユーザ識別情報と、前記各ユーザを認証するための認証情報とをそれぞれ対応付けて記憶する認証情報記憶手段と、前記被測定者から認証情報を取得する認証情報取得手段と、前記認証情報取得手段が取得した認証情報と、前記認証情報記憶手段に記憶された認証情報とを照合し、一致した認証情報に対応付けて前記認証情報記憶手段に記憶されているユーザ識別情報を特定する認証手段とを備え、前記認証手段によってユーザ識別情報を特定することができた場合、前記記憶制御手段は、前記生体情報取得手段が取得した前記生体情報を、前記認証手段が特定した前記ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させ、前記認証手段によってユーザ識別情報を特定することができなかった場合、前記記憶制御手段は、前記生体情報取得手段が取得した前記生体情報を、前記特定手段が特定した前記ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させてもよい。
このように、認証情報に基づいてユーザ識別情報を特定することができた場合には、このユーザ識別情報に生体情報を対応付けるし、認証情報に基づいてユーザ識別情報を特定することができなかった場合には、生体情報に基づいて被測定者に割り当てられたユーザ識別情報を特定するから、生体情報をユーザ毎により正しく管理することができる。
【0009】
本発明の好ましい態様においては、前記被測定者について前記特定手段又は前記認証手段によってユーザ識別情報を特定することができ、且つ、前記生体情報記憶手段により前記暫定ユーザ識別情報に対応付けられた生体情報が記憶されている場合には、当該暫定ユーザ識別情報を被測定者に通知し、通知した暫定ユーザ識別情報に対応付けて記憶されている生体情報を、前記特定手段又は前記認証手段によってユーザ識別情報によって特定されたユーザ識別情報に対応付けて記憶してもよいか否かを前記被測定者に質問する第2の質問手段を備え、前記記憶制御手段は、前記第2の質問手段による質問に対し、生体情報を記憶してもよい旨の返答が前記被測定者からあったときには、前記暫定ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報を、当該暫定ユーザ識別情報に代えて、前記特定手段又は前記認証手段が特定したユーザ情報に対応付けて記憶させてもよい。
このように、ユーザ識別情報が特定された被測定者に対して暫定ユーザ識別情報を質問し、返答された暫定ユーザ識別情報に対応付けられた生体情報を、この被測定者に割り当てられたユーザ識別情報に対応付けるから、生体情報をユーザ毎により正しく管理することができる。
【0010】
本発明の好ましい態様においては、前記生体情報記憶手段は、前記生体情報取得手段が前記生体情報を取得した時期を、当該生体情報に対応付けて記憶し、前記特定手段は、前記時期に応じて決められた閾値を超える生体情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶されているユーザ識別情報を特定してもよい。
このように、生体情報を取得した時期に応じて、ユーザ識別情報を特定するための閾値を決めるから、仮に被測定者の生体情報に変化があったとしても、生体情報をユーザ毎により正しく管理することができる。
【0011】
本発明の好ましい態様においては、前記生体情報には、当該生体情報の時系列な変化の度合いに応じて前記閾値が設定されており、前記特定手段は、時系列な変化の度合いに応じて設定された閾値を超える生体情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶されているユーザ識別情報を特定してもよい。
このように、生体情報の時系列な変化の度合いに応じて、ユーザ識別情報を特定するための閾値が設定されるから、測定される生体情報の特性に関わらず、生体情報をユーザ毎により正しく管理することができる。
【0012】
また、本発明は、上記構成のいずれか1の生体情報管理装置と、前記被測定者の生体情報を測定し、その測定結果を出力する測定手段とを備え、前記生体情報管理装置の前記生体情報取得手段は、前記測定手段によって出力された測定結果を、前記被測定者の測定結果として取得することを特徴とする生体情報測定管理装置を提供する。
これにより、被測定者に負担を強いることなく、測定した生体情報をユーザ毎に正しく管理することができる。
【0013】
また、本発明は、コンピュータを、各ユーザのユーザ識別情報と前記各ユーザの生体情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、被測定者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記生体情報取得手段が取得した生体情報と、前記生体情報記憶手段に記憶された生体情報との類似度を算出する類似度算出手段と、算出された前記類似度が閾値を超える生体情報を特定し、特定した前記生体情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶されているユーザ識別情報を特定する特定手段と、前記特定手段によって前記ユーザ識別情報を特定することができた場合には、前記生体情報取得手段によって取得された前記生体情報を、特定された前記ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させ、前記特定手段によってユーザ識別情報を特定することができなかった場合には、前記生体情報取得手段によって取得された前記生体情報を、新たに生成した暫定ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させる記憶制御手段として機能させるためのプログラムを提供する。
これにより、被測定者に負担を強いることなく、生体情報をユーザ毎に正しく管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
この実施形態の説明においては、生体情報測定管理装置によって生体情報が測定される者を「被測定者」と呼ぶ。そして、この被測定者のうち、特に生体情報測定管理装置に予め登録された正規の被測定者のことを「登録ユーザ」と呼び、登録されていない被測定者のことを「暫定ユーザ」と呼ぶ。
【0015】
(A)実施形態の構成
図1は、本発明の一実施形態である血圧測定管理装置1の概観を示す斜視図である。
この血圧測定管理装置1は、脈波検知機能を備えた血圧/脈拍計であり、被測定者の生体情報である血圧値および脈拍数を測定して管理する生体情報測定管理装置である。被測定者が血圧値および脈拍数を測定したい場合には、まず、指紋読取デバイス18に指先を接触させて指紋を読み取らせる。指紋による認証を経て、血圧測定管理装置1へのログインがなされると、被測定者はカフ171を上腕部に巻回し、操作部14の所定のボタンを押下して測定の開始を指示する。この指示に応じて、血圧測定管理装置1は、後述する装置内の空気ポンプ172からカフ171へ空気を充填した後、その空気を徐々に抜きながら、ユーザの心拍に同期する血圧変化を検知し、その検知結果に基づいて血圧値および脈拍数を測定する。血圧測定管理装置1は、この測定により得られた血圧値および脈拍数を記憶すると共に、液晶ディスプレイである表示部15に表示する。
【0016】
(A−1)血圧測定管理装置1の構成
次に、図2は、血圧測定管理装置1の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、血圧測定管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、操作部14と、表示部15と、記憶部16と、測定部17と、指紋読取デバイス18とを備える。CPU11は、RAM13を作業用のワークエリアとして、ROM12に記憶された各種制御プログラムに記述された手順に従い演算処理を行って、装置全体を制御する。操作部14は、各種のキーを備えており、押下されたキーに対応した信号をCPU11へ出力する。表示部15は、液晶ディスプレイであり、CPU11の制御の下で、上述した測定結果のほか、血圧測定管理装置1を操作するためのメニュー画面や、被測定者に質問するための対話画面を表示する。
【0017】
測定部17は、上述したカフ171と空気ポンプ172のほか、圧力センサ173と、脈波検出センサ174と、血圧算出部175と、脈拍数算出部176とを備えており、被測定者の血圧値および脈拍数を測定して、その測定結果をCPU11へ出力する。空気ポンプ172は、カフ171に空気を充填したりカフ171から空気を抜いたりすることで、カフ171を膨張又は伸縮させる。圧力センサ173は、被測定者の脈に応じて変化する、カフ171の内気圧を検出する。脈波検出センサ174は、例えば光電センサや圧電素子であり、被測定者の脈波を検出する。血圧算出部175は、圧力センサ173によって検出された圧力と、脈波検出センサ174によって検出された脈波とに基づいて、収縮期血圧値(以下、「上の血圧値」という)及び拡張期血圧値(以下、「下の血圧値」という)を算出する。以下では、単に「血圧値」と称する場合には、これらの「上の血圧値」及び「下の血圧値」のことを指す。脈拍数算出部176は、脈波検出センサ174により検出される脈波の所定時間あたりの波数を計数して、これを「心拍数」として算出する。このように、測定部17は、「上の血圧値」、「下の血圧値」および「脈拍数」を、被測定者の生体情報として測定する。
【0018】
指紋読取デバイス18は、被測定者の指紋を読み取って、その指紋を表す指紋データ(またはその指紋データに応じたハッシュ値)を、被測定者を認証するための認証情報としてCPU11に供給する。つまり、指紋読取デバイス18は、認証情報が入力される入力手段である。CPU11は、指紋読取デバイス18から供給されてくる認証情報(指紋データ)と、記憶部16に認証情報として予め記憶された登録ユーザの指紋データとを照合することで認証を行って、被測定者が登録ユーザであるのかないのか、又は、被測定者が登録ユーザである場合にどの登録ユーザであるかを特定する。
【0019】
記憶部16は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶手段であり、登録ユーザから認証情報として予め採取した指紋データと、認証情報管理テーブル161と、登録ユーザ生体情報管理テーブル162と、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163とを記憶している。登録ユーザ生体情報管理テーブル162及び暫定ユーザ生体情報管理テーブル163は、被測定者の生体情報が記述(記憶)される手段である。
【0020】
(A−2)認証情報管理テーブル161の構成
ここで、図3は、認証情報管理テーブル161の内容の一例を示す図である。
図3に示すように、認証情報管理テーブル161には、「登録ユーザID」と「指紋ID」とが互いに対応付けて記述されている。「登録ユーザID」は、CPU11によって各々の登録ユーザに対して割り当てられたユーザ識別情報である。前述した「登録ユーザ」とは、この「登録ユーザID」が割り当てられているユーザのことである。「指紋ID」は、CPU11によって、各登録ユーザの指紋を表す指紋データに割り当てられた識別情報である。以下では、図中の登録ユーザID「UID−A」が割り当てられた登録ユーザを「登録ユーザA」と呼び、その指紋データの指紋IDを「指紋A」とする。同様に、登録ユーザID「UID−B」が割り当てられた登録ユーザを「登録ユーザB」と呼び、その指紋データの指紋IDを「指紋B」とする、さらに、登録ユーザID「UID−C」が割り当てられた登録ユーザを「登録ユーザC」と呼び、その指紋データの指紋IDを「指紋C」とする。これらの認証情報としての指紋データは、指紋登録時に指紋読取デバイス18によって読み取られ、CPU11によって指紋IDと関連づけられて記憶部16に記憶されたものである。
【0021】
(A−3)登録ユーザ生体情報管理テーブル162の構成
次に、図4は、登録ユーザ生体情報管理テーブル162の内容の一例を示す図である。
図4に示すように、登録ユーザ生体情報管理テーブル162には、「登録ユーザID」と「測定結果」とが互いに対応付けて記述されている。「登録ユーザID」は、上述したとおり、登録ユーザに割り当てられたユーザ識別情報である。「測定結果」は、登録ユーザである被測定者の各測定項目の生体情報(「上の血圧値」、「下の血圧値」および「脈拍数」)の測定結果を表す数値のことであり、図4に示したように、これらは「測定日時」に対応付けられている。この測定日時は、生体情報が測定された日時を表しているが、測定時刻に関してはその図示および説明を省略する。同図においては、測定日時に応じた時系列的に測定結果を示している。測定部17によって生体情報が測定されると、CPU11によって、この登録ユーザ生体情報管理テーブル162の対応するフィールドに、登録ユーザごとに分けて生体情報が書き込まれる。
【0022】
図4の例では、登録ユーザID「UID−A」に対応付けて、測定日時「2007/4/15」の生体情報の測定結果として、上の血圧値「130」、下の血圧値「70」、脈拍数「75」が記述され、測定日時「2007/7/18」の測定結果として、上の血圧値「135」、下の血圧値「72」、脈拍数「85」が記述され、測定日時「2007/8/8」の測定結果として、上の血圧値「130」、下の血圧値「72」、脈拍数「79」が記述され、測定日時「2007/8/23」の測定結果として、上の血圧値「127」、下の血圧値「65」、脈拍数「73」が記述されるといった具合に、生体情報の測定結果がその測定日時に沿って順次書き込まれている。ここでは、測定日時「2007/8/23」が最新の測定結果であり、その右側のフィールドはブランクである。また、その他の登録ユーザID「UID−B」、「UID−C」・・・においても同様に、測定日時と、生体情報の測定結果とが対応付けられて書き込まれている。
【0023】
(A−4)暫定ユーザ生体情報管理テーブル163の構成
次に、図5は、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163の内容の一例を示す図である。
図5に示すように、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163には、「暫定ユーザID」と「測定結果」とが互いに対応付けて書き込まれている。「暫定ユーザID」は、前述した暫定ユーザ、つまり認証情報管理テーブル161に登録ユーザIDが書き込まれていない、新たなユーザに割り当てられる。「測定結果」は、登録ユーザ生体情報管理テーブル162と同様に、暫定ユーザの各測定項目の測定結果(「上の血圧値」、「下の血圧値」および「脈拍数」)と、その測定日時とを含むものである。
【0024】
図5の例では、暫定ユーザID「PID−1」に対応付けて、測定日時「2007/8/2」の生体情報の測定結果として、上の血圧値「132」、下の血圧値「71」、脈拍数「74」が記述されている。また、暫定ユーザID「PID−2」に対応付けて、測定日時「2007/8/20」の測定結果として、上の血圧値「133」、下の血圧値「73」、脈拍数「82」が記述されている。
【0025】
(B)実施形態の動作
次に、図3〜図5に図示した各テーブルの内容に沿って、実施形態の動作を説明する。
図6は、血圧測定管理装置1のCPU11が実行する処理の流れを示すフローチャートである。図6において、まず、被測定者は、血圧測定管理装置1にログインするべく、指紋読取デバイス18に自身の指先を接触させる。CPU11は、指紋読取デバイス18にその指先の指紋を読み取らせて、その読取結果を表す指紋データを認証情報として取得する(ステップS1)。そして、CPU11は、記憶部16に記憶された指紋データと、指紋読取デバイス18から取得した指紋データとを照合して認証を行い(ステップS2)、記憶部16に記憶された指紋データの中に、指紋読取デバイス18から取得した指紋データに一致するものがあるか否かによって、被測定者の認証に成功したかどうかを判定する(ステップS3)。
【0026】
(B−1)認証に失敗した場合
ここで、ステップS3にてユーザ認証に失敗した場合の血圧測定管理装置1の動作について説明する。
CPU11は、取得した指紋データに一致する指紋データが記憶部16に記憶されていない場合には、認証に失敗したと判定し(ステップS3;NO)、認証を試みた被測定者が誰であるか不明のまま、ステップS4に進む。そして、CPU11は、表示部15に生体情報の測定方法を案内するメッセージを表示するなどして、被測定者の生体情報を測定部17に測定させる(ステップS4)。つまり、この案内に従って、被測定者がカフ171を上腕部に巻回し、操作部14を操作することによって生体情報の測定を指示すると、これに応じてCPU11は、測定部17に生体情報を測定させ、測定が終了したら、この測定結果を取得する。
【0027】
続いて、CPU11は、取得した生体情報の測定結果と、登録ユーザ生体情報管理テーブル162に書き込まれている過去の生体情報の測定結果との間の類似の度合いに基づいて、被測定者に対応する登録ユーザを特定するための処理を開始する。
まず、CPU11は、ステップS4で行った今回の測定における測定結果と、登録ユーザ生体情報管理テーブル162に書き込まれている過去の測定結果との類似度を、登録ユーザごとに算出する(ステップS5)。具体的には、CPU11は、現在日時から過去に遡った所定期間(例えば、3ヶ月間)の測定結果の平均値を、「上の血圧値」、「下の血圧値」、「脈拍数」のそれぞれの測定項目毎に算出する。例えば、現在日時が「2007/8/25」とすると、登録ユーザAについては、図4において「2007/07/18」〜「2007/08/23」の測定結果の平均値を算出することになる。CPU11は、それぞれの測定項目の平均値を、今回の測定結果の値で除算することにより類似度を算出する。そして、CPU11は、算出した類似度の全測定項目(「上の血圧値」、「下の血圧値」および「脈拍数」)についての平均値を算出し、これを百分率で表したものをその登録ユーザに対する類似度とする。両者の類似度が高いほど、算出値は「100%」に近づくことになる。
【0028】
そして、CPU11は、算出した類似度が最も高く、且つ、所定の閾値(例えば90%)を超える登録ユーザを特定する(ステップS6)。例えば、登録ユーザAに対する類似度が95%、登録ユーザBに対する類似度が73%、登録ユーザCに対する類似度が91%であるとすると、CPU11は、閾値を超え、且つ、類似度が最も高い測定結果に対応付けられた「登録ユーザA」が、今回の測定対象である被測定者と同一人物である可能性が高いと特定する。生体情報は、人物によってその特徴が異なるし、短期間に急激に変化することが少ないから、CPU11は、この生体情報を被測定者の特徴量として用いることで、被測定者と同一人物である可能性が高い登録ユーザを特定することができるのである。
【0029】
ここで、CPU11は、登録ユーザを特定することができたら(ステップS6;YES)、この登録ユーザが被測定者と同一人物であるか否かを被測定者に質問する(ステップS7)。具体的には、CPU11は、図7に示したような表示画面M1を表示部15に表示させる。ステップS6において、CPU11は、登録ユーザAを特定したから、図7に示したように、この表示画面M1には「あなたの登録ユーザIDは、『UID−A』ですか?」という質問のメッセージとともに、この質問に対して返答するための「はい」および「いいえ」というソフトボタンが表示される。つまり、CPU11は、通知した登録ユーザID「UID−A」に対応付けて生体情報の測定結果を記憶してもよいか否かを被測定者に質問することになる(第1の質問手段)。このとき、登録ユーザIDが「UID−A」などといった、単なる文字列であると、被測定者はそれが自身の登録ユーザIDであるかどうかを判別しづらいが、例えば「お父さん」や「○○ちゃん」等のニックネームを登録ユーザIDとして用いていれば、その判別は容易である。CPU11は、この表示画面M1を表示させ、被測定者によって操作部14が操作されることにより「はい」か「いいえ」かのいずれが選択されると、この操作内容に応じて、特定した登録ユーザIDが正しかったかどうかを判断することができる。
【0030】
ここで、被測定者が「はい」のソフトボタンを選択すると、この操作内容を表す制御信号を受信したCPU11は、類似度が最も高かった登録ユーザが被測定者と同一人物であると特定する(ステップS8;YES)。この場合、被測定者の返答操作によって、測定結果をこの登録ユーザIDに対応付けて記憶してよい旨が指示されたことになるから、CPU11は、登録ユーザ生体情報管理テーブル162における、この登録ユーザIDに対応付けて、測定日時と生体情報の測定結果とを書き込む(ステップS9)。この結果、登録ユーザ生体情報管理テーブル162の内容は、図8に示したようになる。図8に示すように、今回の測定結果が上の血圧値「132」、下の血圧値「72」、脈拍数「76」であったとすると、この処理によって、同図のフィールドF1に示したように、現在日時「2007/8/25」に対応付けて測定結果が新たに書き込まれることになる。
【0031】
一方、被測定者が「いいえ」のソフトボタンを選択すると、この操作内容を表す制御信号を受信したCPU11は、特定した登録ユーザが被測定者と同一人物ではないと判定し(ステップS8;NO)、登録ユーザIDとは異なる「暫定ユーザID」を生成する(ステップS10)。このとき生成する暫定ユーザIDは、既に暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に書き込まれている暫定ユーザID(PID−1およびPID−2)以外の暫定ユーザIDであり、例えば「PID−3」である。そして、CPU11は、生成した暫定ユーザIDと測定結果とを対応付けて、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に書き込む(ステップS11)。この結果、図9に示したように、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163のフィールドF2には、暫定ユーザID「PID−3」に対応付けて、生体情報の測定結果が書き込まれることになる。このとき、CPU11は、書き込んだ暫定ユーザID「PID−3」を表示部15に表示するなどして、その暫定ユーザIDを被測定者(暫定ユーザ)に通知する。暫定ユーザはそれを覚えるかメモに残すなどして、それを忘れないようにする。このとき通知された暫定ユーザIDは、後述する「認証に成功した場合」の処理で利用される。なお、暫定ユーザがこの暫定ユーザIDを忘れにくいように、例えば、測定日時を暫定ユーザIDに用いるとか、果物の名前を暫定ユーザIDに用いるなどのような工夫があると望ましい。
【0032】
ところで、ステップS6において判定結果が「NO」となり、類似度が閾値を超えるような登録ユーザIDが存在しない場合もある。この場合、被測定者が新規のユーザであるか、又は、被測定者は登録ユーザではあるが、その生体情報が当初の予想以上に大きく変化したためにその被測定者が誰であるかを特定できなかったことになる。この場合、CPU11はステップS10へ進んで、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に暫定ユーザIDと測定結果とを書き込む。
以上が、認証に失敗した場合の処理である。このように、認証に失敗したとしても、被測定者と同一人物である登録ユーザを特定することができれば、登録ユーザ生体情報管理テーブル162に測定結果を書き込み、登録ユーザを特定できなければ、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に暫定ユーザIDに対応付けて測定結果を書き込むことになる。
【0033】
(B−2)認証に成功した場合
次に、ステップS3にて認証に成功した場合の血圧測定管理装置1の動作について説明する。
ステップS3の判定結果が「YES」となり、CPU11は、取得した指紋データに一致する指紋データが記憶部16に記憶されており、認証に成功したと判定すると、認証情報管理テーブル161に基づいて、認証を試みた被測定者と同一人物である登録ユーザを特定する(ステップS12)。ここでは、CPU11は、被測定者に登録ユーザID「UID−A」が割り当てられていると特定したものとする。
【0034】
続いて、CPU11は、生体情報の測定を行う前に、暫定ユーザIDが割り当てられた暫定ユーザが、ここで特定した登録ユーザと同一人物であるか否かを判定するための処理を行う。上述したように、CPU11は、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に暫定ユーザIDが書き込まれている被測定者を新規のユーザとして扱っている。しかしながら、生体情報の類似度に基づく登録ユーザの特定は行えなかったものの、登録ユーザと、暫定ユーザとが同一の被測定者である可能性がある。なぜなら、例えばステップS4での測定結果は、例えば被測定者が激しい運動を行った直後に測定されたものであったり、健康状態が悪いときに測定されたものであれば、日常における生体情報と大きく異なることがあるが、この場合、CPU11は、生体情報の類似度から登録ユーザを特定できずに、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に測定結果を書き込むことになるからである。
【0035】
そこで、まず、CPU11は、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に、暫定ユーザIDが1つでも書き込まれているか否かを判定する(ステップS13)。ここで、CPU11は、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に暫定ユーザIDが全く書き込まれていないと判定すると(ステップS13;NO)、暫定ユーザIDが割り当てられた暫定ユーザは存在しないから、ここで、暫定ユーザIDに対応する被測定者を特定する処理を行う必要はない。よって、CPU11は、測定部17に被測定者の生体情報を測定させる(ステップS14)。そして、CPU11は、この生体情報の測定結果を、測定部17から取得すると、特定した登録ユーザIDと測定結果とを対応付けて、登録ユーザ生体情報管理テーブル162のフィールドに書き込む(ステップS15)。ここでの測定結果は、登録ユーザID「UID−A」に対応付けられ、各測定結果が上の血圧値「132」、下の血圧値「72」、脈拍数「76」であったとすると、この処理が行われた後の登録ユーザ生体情報管理テーブル162の内容は、図8と同様になる。
【0036】
一方、CPU11は、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に1つでも暫定ユーザIDが書き込まれていると判定すると(ステップS13;YES)、被測定者に、自身に過去に割り当てられた暫定ユーザIDがあるか否かを被測定者に質問する(ステップS16)。具体的には、CPU11は、図10に示したような表示画面M2を表示部15に表示させる。図10に示したように、この表示画面M2には、「過去に暫定ユーザIDで測定しましたか?」という質問のメッセージとともに、この質問に対して返答するための「はい」および「いいえ」というソフトボタンが表示される。
【0037】
ここで、被測定者が、自身に割り当てられた暫定ユーザIDがないと判断し、「いいえ」のソフトボタンを選択すると(ステップS16;NO)、この操作内容を表す制御信号を受信したCPU11は、生体情報の測定のみを行うべく、ステップS14へ進む。
【0038】
一方、「はい」のソフトボタンが選択されると(ステップS16;YES)、CPU11は、被測定者に暫定ユーザIDを質問する(第2の質問手段)(ステップS17)。ここでは、CPU11は、暫定ユーザIDの入力を要求する表示画面M3を表示部15に表示させる。図11に示したように、表示画面M3には、「あなたの暫定ユーザIDを入力してください。」という質問のメッセージとともに、入力フォームM31と、暫定ユーザIDの入力が完了した時に選択する「完了」というソフトボタンと、暫定ユーザIDの入力を中止する「中止」というソフトボタンとが表示されている。ここで、被測定者は自身が覚えている暫定ユーザIDを入力フォームM31に入力し、「完了」のソフトボタンを選択する。これに応じて、CPU11は、入力された暫定ユーザIDが、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に書き込まれている暫定ユーザIDと一致するか否かを判定する(ステップS18)。なお、暫定ユーザIDそのものを被測定者が逐一入力するのではなく、CPU11が、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に書き込まれている暫定ユーザIDを一覧形式で表示部15に表示させ、その中から被測定者が自身の暫定ユーザIDを選択するという方法でも良い。
【0039】
ここで、CPU11は、一致する暫定ユーザIDがあると判定すると(ステップS18;YES)、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163においてこの暫定ユーザIDに対応付けられている測定結果を、認証で特定した登録ユーザID「UID−A」に対応付けて登録ユーザ生体情報管理テーブル162に書き込む(ステップS19)。この結果、登録ユーザ生体情報管理テーブル162は、図12に示したようになる。図12は、暫定ユーザID「PID−1」が被測定者によって入力された場合の登録ユーザID「UID−A」に対応するフィールドを示したものである。同図のフィールドF3に示したように、図5の暫定ユーザ生体情報管理テーブル163において暫定ユーザID「PID−1」に対応付けて書き込まれていた生体情報の測定結果が、登録ユーザ生体情報管理テーブル162の登録ユーザID「UID−A」に対応付けて書き込まれている。
【0040】
この測定結果の書き込みを行ったら、暫定ユーザID「PID−1」を割り当てられた暫定ユーザが、登録ユーザである「登録ユーザA」と同一人物と特定したことになるから、CPU11は暫定ユーザID「PID−1」および対応する測定結果を、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163から消去する(ステップS20)。
【0041】
ところで、ステップS18の判定結果が「NO」であり、CPU11が、入力された暫定ユーザIDと一致するものが暫定ユーザ生体情報管理テーブル163にないと判断すると、ステップS14へ進む。このとき、被測定者の入力ミスの可能性もあるので、所定回数(例えば5回)暫定ユーザIDの認証に失敗するまでは、CPU11は、「再入力してください。」というメッセージを表示部15に表示させてから、ステップS17に戻るようにしてもよい。また、表示画面M3において「中止」のソフトボタンが選択された場合においても、ステップS18でCPU11が暫定ユーザIDに対応するユーザを特定できなかったとして、ステップS14へ進む。
【0042】
以上説明した実施形態によれば、血圧測定管理装置1は、認証に失敗したら、今回の測定における生体情報の測定結果と、過去の測定結果との類似度に基づいて、被測定者が誰であるかを特定する。これによって被測定者が登録ユーザであると特定できれば、血圧測定管理装置1は、登録ユーザ生体情報管理テーブル162におけるこの登録ユーザIDに対応するフィールドに測定結果を書き込む。一方、被測定者が登録ユーザであることを特定できなければ、新たに生成した暫定ユーザIDに対応付けて、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163に測定結果を書き込む。また、上記認証に成功したら、過去に暫定ユーザIDを用いて測定したかを被測定者に質問し、被測定者によって暫定ユーザIDが入力されたら、この暫定ユーザIDに対応付けられた測定結果を、暫定ユーザ生体情報管理テーブル163から登録ユーザ生体情報管理テーブル162へ書き換える。
このように、生体情報の測定結果から被測定者が誰であるかを特定するので、装置構成は簡易なもので済むし、また、認証のために被測定者に煩雑な作業を行わせることなく、生体情報の測定結果を正しく管理することができる。
【0043】
(C)変形例
なお、上記実施形態を次のように変形してもよい。具体的には、例えば以下のような変形が挙げられる。これらの変形は、各々を適宜に組み合わせることも可能である。
(C−1)変形例1
上述した実施形態では、血圧値と脈拍数とを測定する生体情報測定管理装置を例に挙げて説明したが、これ以外の生体情報を測定する装置であってもよい。例えば、生体情報測定管理装置として体脂肪計を用いた場合、被測定者の体重や体脂肪率を生体情報として測定し、この測定結果に基づいて、ユーザ管理を行う。この場合、被測定者は測定部に設けられた所定の位置に立つことになるから、認証においては足の指の指紋を用いるとよい。これらの他にも、身長、肺活量等を測定する機器や、握力や背筋力等の筋力を測定する機器等の、被測定者によってその測定結果に特徴が現れる生体情報を測定する機器であれば、生体情報管理装置として用いることが可能である。
また、実施形態では、測定部を備える生体情報測定管理装置の例であったが、この測定部を外部構成とした生体情報管理装置であっても、本発明を構成することができる。この場合、生体情報管理装置のCPUは、被測定者の生体情報を測定してその測定結果を出力する測定部から、その測定結果を被測定者の測定結果として取得し、上述した処理を行う。
【0044】
(C−2)変形例2
上述した実施形態のステップS5の類似度の算出においては、今回の測定結果を、測定項目毎に過去の測定結果の平均値で除算し、さらに、これら全測定項目の平均値を算出して、これを登録ユーザに対する生体情報の類似度としていた。ただし、この類似度の算出においては、他の方法を用いて算出してもよい。
例えば、登録ユーザと被測定者とが同一人物でなくても、ある測定項目について偶然に類似度が高くなり、これに応じて、他の測定項目の類似度が低くても全測定項目についての類似度が高くなってしまい、この場合、登録ユーザの特定を誤ってしまう虞もある。よって、測定項目毎に閾値を設けておき、1つでも類似度がこの閾値を下回る測定項目があれば、CPU11はこの登録ユーザは、被測定者と異なる人物であると判定するようにしてもよい。
【0045】
また、測定項目毎に閾値を設ける場合、測定内容によっては、健康状態に応じて測定結果が変化しやすいものと、変化しにくいものとがある。例えば、「心拍数」は、成人男性の通常時の数値がおよそ「60〜100」であるのに対し、激しい運動を行った後などにおいては、「150」を超えることもあり、その変動量は大きい。一方で、「体重」や「体脂肪」などは短期間のうちに大きく変動することはごく希である。よって、「心拍数」のように、時系列の変化の度合いが大きい測定項目に対しては、その類似度判定に用いる閾値を低くしておき、「体重」や「体脂肪」のように、時系列の変化の度合いが小さい測定項目に対してはその閾値を高くするとよい。このような測定項目に応じた閾値は、血圧測定管理装置1の設計段階で予め設定されていてもよいし、血圧測定管理装置1自体が或る登録ユーザの過去の測定結果を参照して、その時間の経過に対する測定結果の変動量の大きさに基づいて、適切な閾値を設定するようにしてもよい。このような構成によれば、測定される生体情報の特性に関わらず、より正確に被測定者が誰であるかを特定することができる。
【0046】
また、実施形態では、過去3ヶ月にわたっての測定結果の平均値を算出していたが、平均値の算出対象期間は、これ以上長い期間であってもよいし、短い期間であってもよい。ただし、古い測定結果を類似度の算出に用いると、被測定者の成長や健康状態の変化等によって生体情報が大きく変化することもあるから、この期間を長く設定する場合には、類似度を判定する際の閾値を低くするのが好ましい。このようにすれば、被測定者の生体情報に変化があったとしても、被測定者が誰であるかを正確に特定することができる。逆に、この期間を短くする場合には、閾値を高くすると、被測定者が誰であるかを正確に特定することができる。
【0047】
(C−3)変形例3
上述した実施形態のステップS6,7においては、算出した測定結果の類似度が最も高く、且つ、類似度が所定の閾値(90%)を超える測定結果に対応する登録ユーザが、被測定者と同一人物である可能性が高いとし、被測定者にこれが正しいか否かを質問していた。上述したように、生体情報は、人物を特定するための特徴量となるため、類似度が100%に限りなく近い場合には、ほぼ間違いなく登録ユーザと被測定者とが同一人物であるといえる。よって、例えば類似度が第1の閾値(例えば、95%)以上であれば、CPU11はステップS7をスキップしてS8へ進み、被測定者に質問することなく、登録ユーザと被測定者とが同一人物であると特定し、類似度が第2の閾値(例えば、90%)以上、且つ、第2の閾値(95%)未満であれば、ステップS7において被測定者に登録ユーザであるか否かを質問する、という構成にしてもよい。
【0048】
(C−4)変形例4
上述した実施形態では、認証(ステップS1〜S3)に失敗した場合に、ステップS4〜S11の処理ステップを実行して、生体情報の類似度から登録ユーザを特定するための処理を行っていたが、この認証を省略する構成としてもよい。この場合、血圧測定管理装置1は、認証を行うことなくステップS4から処理を開始するので、被測定者が誰であるかを生体情報の測定結果のみから特定することになる。この場合において、被測定者は測定を行うよう操作部14を介して指示すると、血圧測定管理装置1は直ちに生体情報の測定を行い、そのときの測定結果と過去の測定結果との類似度に基づいて被測定者が誰であるかを特定する。このようにすれば、認証のための煩雑な作業を被測定者に行わせなくて済み、スムーズな測定が可能となる。
【0049】
(C−5)変形例5
上述した実施形態では、指紋による認証を行っていたが、これに代えて、例えば網膜認証や声帯認証などの生体情報を用いた、いわゆるバイオメトリクス認証を行うことができる。このようなバイオメトリクス認証を用いれば、パスワードの入力等の煩雑な作業をユーザに行わせることなく、容易に高精度な認証を行うことができる。
また、認証手段としては、生体情報の測定項目に応じたものを用いることが好ましい。例えば、血圧測定管理装置1においては、被測定者はカフ171を腕に巻回して測定を行うから、血圧測定管理装置1が、測定開始時にこのカフ171を介して認証に必要な認証情報を取得することができれば、被測定者が認証のために行わなければならない煩雑な作業を減らすことができる。このために、この血圧測定管理装置は、例えば脈波を用いた認証を行うとよい。
【0050】
(C−6)変形例6
また、上述したCPU11が実行するプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態である生体情報管理装置の概観を示す斜視図である。
【図2】血圧測定管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】認証情報管理テーブルの内容の一例を示す図である。
【図4】登録ユーザ生体情報管理テーブルの内容の一例を示す図である。
【図5】暫定ユーザ生体情報管理テーブルの内容の一例を示す図である。
【図6】血圧測定管理装置のCPUが実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】生体情報管理装置の表示画面の一例を示す図である。
【図8】登録ユーザ生体情報管理テーブルの内容の一例を示す図である。
【図9】暫定ユーザ生体情報管理テーブルの内容の一例を示す図である。
【図10】生体情報管理装置の表示画面の一例を示す図である。
【図11】表生体情報管理装置の表示画面の一例を示す図である。
【図12】登録ユーザ生体情報管理テーブルの内容の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…血圧測定管理装置、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…操作部、15…表示部、16…記憶部、161…認証情報管理テーブル、162…登録ユーザ生体情報管理テーブル、163…暫定ユーザ生体情報管理テーブル、17…測定部、171…カフ、172…空気ポンプ、173…圧力センサ、174…脈波検出センサ、175…血圧算出部、176…脈拍数算出部、18…指紋読取デバイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ユーザのユーザ識別情報と、前記各ユーザの生体情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、
被測定者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記生体情報取得手段が取得した生体情報と、前記生体情報記憶手段に記憶された生体情報との類似度を算出する類似度算出手段と、
算出された前記類似度が閾値を超える生体情報を特定し、特定した前記生体情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶されているユーザ識別情報を特定する特定手段と、
前記特定手段によって前記ユーザ識別情報を特定することができた場合には、前記生体情報取得手段によって取得された前記生体情報を、特定された前記ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させ、前記特定手段によってユーザ識別情報を特定することができなかった場合には、前記生体情報取得手段によって取得された前記生体情報を、新たに生成した暫定ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させる記憶制御手段と
を備えることを特徴とする生体情報管理装置。
【請求項2】
前記特定手段が特定した前記ユーザ識別情報を前記被測定者に通知し、通知したユーザ識別情報に対応付けて、前記生体情報取得手段が取得した生体情報を記憶してもよいか否かを前記被測定者に質問する第1の質問手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記第1の質問手段による質問に対し、生体情報を記憶してもよい旨の返答が前記被測定者からあったときには、前記生体情報取得手段が取得した前記生体情報を、通知した前記ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項1に記載の生体情報管理装置。
【請求項3】
前記各ユーザのユーザ識別情報と、前記各ユーザを認証するための認証情報とをそれぞれ対応付けて記憶する認証情報記憶手段と、
前記被測定者から認証情報を取得する認証情報取得手段と、
前記認証情報取得手段が取得した認証情報と、前記認証情報記憶手段に記憶された認証情報とを照合し、一致した認証情報に対応付けて前記認証情報記憶手段に記憶されているユーザ識別情報を特定する認証手段と
を備え、
前記認証手段によってユーザ識別情報を特定することができた場合、前記記憶制御手段は、前記生体情報取得手段が取得した前記生体情報を、前記認証手段が特定した前記ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させ、
前記認証手段によってユーザ識別情報を特定することができなかった場合、前記記憶制御手段は、前記生体情報取得手段が取得した前記生体情報を、前記特定手段が特定した前記ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項1に記載の生体情報管理装置。
【請求項4】
前記被測定者について前記特定手段又は前記認証手段によってユーザ識別情報を特定することができ、且つ、前記生体情報記憶手段により前記暫定ユーザ識別情報に対応付けられた生体情報が記憶されている場合には、当該暫定ユーザ識別情報を被測定者に通知し、通知した暫定ユーザ識別情報に対応付けて記憶されている生体情報を、前記特定手段又は前記認証手段によってユーザ識別情報によって特定されたユーザ識別情報に対応付けて記憶してもよいか否かを前記被測定者に質問する第2の質問手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記第2の質問手段による質問に対し、生体情報を記憶してもよい旨の返答が前記被測定者からあったときには、前記暫定ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報を、当該暫定ユーザ識別情報に代えて、前記特定手段又は前記認証手段が特定したユーザ情報に対応付けて記憶させる
ことを特徴とする請求項3に記載の生体情報管理装置。
【請求項5】
前記生体情報記憶手段は、前記生体情報取得手段が前記生体情報を取得した時期を、当該生体情報に対応付けて記憶し、
前記特定手段は、前記時期に応じて決められた閾値を超える生体情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶されているユーザ識別情報を特定する
ことを特徴とする請求項4に記載の生体情報管理装置。
【請求項6】
前記生体情報には、当該生体情報の時系列な変化の度合いに応じて前記閾値が設定されており、
前記特定手段は、時系列な変化の度合いに応じて設定された閾値を超える生体情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶されているユーザ識別情報を特定する
ことを特徴とする請求項4に記載の生体情報管理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体情報管理装置と、
前記被測定者の生体情報を測定し、その測定結果を出力する測定手段と
を備え、
前記生体情報管理装置の前記生体情報取得手段は、前記測定手段によって出力された測定結果を、前記被測定者の測定結果として取得する
ことを特徴とする生体情報測定管理装置。
【請求項8】
コンピュータを、
各ユーザのユーザ識別情報と前記各ユーザの生体情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、
被測定者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記生体情報取得手段が取得した生体情報と、前記生体情報記憶手段に記憶された生体情報との類似度を算出する類似度算出手段と、
算出された前記類似度が閾値を超える生体情報を特定し、特定した前記生体情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶されているユーザ識別情報を特定する特定手段と、
前記特定手段によって前記ユーザ識別情報を特定することができた場合には、前記生体情報取得手段によって取得された前記生体情報を、特定された前記ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させ、前記特定手段によってユーザ識別情報を特定することができなかった場合には、前記生体情報取得手段によって取得された前記生体情報を、新たに生成した暫定ユーザ識別情報に対応付けて前記生体情報記憶手段に記憶させる記憶制御手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−95450(P2009−95450A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269095(P2007−269095)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】