説明

生体照合装置の監視装置、通行制御装置の監視装置、生体照合システム、および、生体照合装置の監視方法

【課題】重要人物(VIP)などの特定人物の可能性がある通行者が認証NGとなっていることを監視員に警告することができ、特定人物に対する監視員による迅速な対応を促すことができる顔照合装置の監視用端末装置を提供する。
【解決手段】監視用端末装置は、顔照合装置1から前記認証対象者の顔画像と前記認証対象者が登録者であるか否かを示す判定結果と前記認証対象者の顔画像との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む処理結果を受信し、前記顔照合装置1から受信した処理結果として前記認証対象者の顔画像と前記判定結果とを表示部に表示し、前記顔照合装置1から受信した処理結果に含まれる前記判定結果が前記認証対象者を登録者と判定しなかったことを示す情報である場合、前記認証対象者との類似度が所定順位までの登録者に特定人物が含まれているか否かを判定し、報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば、カメラなどで撮影される顔画像などの人物の生体情報に基づいて人物を認証する生体照合装置の監視装置、通行制御装置の監視装置、生体照合システム、および、生体照合装置の監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顔画像などの生体情報により人物を認証する生体照合装置では、認証対象者の生体情報を取得し、取得した生体情報と予めデータベースに登録されている登録者の生体情報とを照合し、その照合結果に基づいて認証対象者が登録者であるか否かを判定する生体認証処理を行う。また、上記のような生体照合装置の運用形態の一例としては、認証対象者が登録者であるか否かによりドアあるいはゲートなどの開閉を制御する通行制御システムがある。一般に、生体照合装置では、生体情報が経年変化してしまったり、生体情報を取得する環境が変化してしまったりすることがあり、正当な登録者であっても認証が失敗してしまうことがある。このような場合、上記のような通行制御システムなどでは、係員(監視員)が人手で対応せざるを得ないこともある。
【0003】
このような状況を支援するため、従来のシステムでは、各生体照合装置(通行制御装置)の処理結果などを遠隔の監視装置で表示し、監視員が各生体照合装置の処理状況を常時監視したり、遠隔でドアの開放などを行ったりするものが提案されている。たとえば、顔画像による認証が失敗した場合に、遠隔地に設置された端末装置で顔画像などを表示するシステムが提案されている(たとえば、特許文献1)。
しかしながら、上記のようなシステムでは、認証が失敗した場合、認証対象者を特定の人物に絞り込むことが困難である。このため、従来の生体照合装置における処理内容を監視するシステムでは、認証対象者の属性に応じた正確な案内あるいは警告を監視員に対して報知することができないという問題点がある。
【特許文献1】特開2007−219683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の一形態では、各装置で実施された生体認証処理の結果に応じた監視員への報知処理が実現できる生体照合装置の監視装置、通行制御装置の監視装置、生体照合システム、生体照合装置の監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の一形態としての生体照合装置の監視装置は、認証対象者の生体情報と各登録者の生体情報との類似度に基づいて前記認証対象者が登録者であるか否かを判定する生体認証処理を行う生体照合装置の処理内容を監視するものにおいて、前記生体照合装置から前記認証対象者の生体情報と前記認証対象者が登録者であるか否かを示す判定結果と前記認証対象者の生体情報との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む処理結果を受信する受信手段と、この受信手段により前記生体照合装置から受信した処理結果として、前記認証対象者の生体情報と前記判定結果とを表示する表示手段と、前記受信手段により前記生体照合装置から受信した処理結果に含まれる前記判定結果が前記認証対象者を登録者と判定しなかったことを示す情報である場合、前記認証対象者との類似度が所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれているか否かを判定する判定手段と、この判定手段により所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれていると判定された場合、前記表示手段により表示されている処理結果となった通行者が特定人物である可能性がある旨を報知する報知手段とを有する。
【0006】
この発明の一形態としての通行制御装置の監視装置は、認証対象者の生体情報と登録者の生体情報との類似度に基づいて前記認証対象者が登録者であるか否かを判定し、この判定により登録者であると判定された前記認証対象者の通行を許可する通行制御装置における処理内容を監視するものにおいて、前記通行制御装置から前記認証対象者の生体情報と前記認証対象者の通行を許可したか否かを示す判定結果と前記認証対象者の生体情報との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む処理結果を受信する受信手段と、この受信手段により前記通行制御装置から受信した処理結果として、前記認証対象者の生体情報と前記判定結果とを表示する表示手段と、前記受信手段により前記通行制御装置から受信した処理結果に含まれる判定結果が前記認証対象者を通行不可と判定したことを示す情報である場合、前記認証対象者との類似度が所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれているか否かを判定する判定手段と、この判定手段により所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれていると判定された場合、前記表示手段により表示されている処理結果となった通行者が特定人物である可能性がある旨を報知する報知手段とを有する。
【0007】
この発明の一形態としての生体照合システムは、認証対象者の生体情報と登録者の生体情報との類似度に基づいて前記認証対象者が登録者であるか否かを判定する生体認証処理を行う生体照合装置と、前記生体照合装置の処理内容を監視する監視装置とを有するシステムにおいて、前記生体照合装置は、認証対象者の生体情報と各登録者の生体情報との類似度を算出し、算出された前記認証対象者の生体情報と各登録者の生体情報との類似度のうち最大類似度が所定の認証用の閾値以上であるか否かにより前記認証対象者が登録者であるか否かを判定する生体認証手段と、前記生体認証手段による処理結果として、前記認証対象者の生体情報と前記認証対象者を登録者と判定したか否かの判定結果と前記認証対象者の生体情報との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む情報を前記監視装置へ送信する送信手段とを有し、前記監視装置は、前記生体照合装置から前記認証対象者の生体情報と前記認証対象者が登録者であるか否かを示す判定結果と前記認証対象者の生体情報との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む処理結果を受信する受信手段と、この受信手段により前記生体照合装置から受信した処理結果として、前記認証対象者の生体情報と前記判定結果とを表示する表示手段と、前記受信手段により前記生体照合装置から受信した処理結果に含まれる前記判定結果が前記認証対象者を登録者と判定しなかったことを示す情報である場合、前記認証対象者との類似度が所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれているか否かを判定する判定手段と、この判定手段により所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれていると判定された場合、前記表示手段により表示されている処理結果となった通行者が特定人物である可能性がある旨を報知する報知手段とを有する。
【0008】
この発明の一形態としての生体照合装置の監視方法は、認証対象者の生体情報と各登録者の生体情報との類似度に基づいて前記認証対象者が登録者であるか否かを判定する生体認証処理を行う生体照合装置の処理内容を監視する監視装置に用いられる方法において、前記生体照合装置から前記認証対象者の生体情報と前記認証対象者が登録者であるか否かの判定結果と前記認証対象者の生体情報との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む処理結果を受信し、前記生体照合装置から受信した処理結果として、前記認証対象者の生体情報と前記判定結果とを表示し、前記生体照合装置から受信した処理結果に含まれる前記判定結果が前記認証対象者を登録者と判定しなかったことを示す情報である場合、前記認証対象者との類似度が所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれているか否かを判定し、この判定により所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれていると判定された場合、前記表示されている処理結果となった通行者が特定人物である可能性がある旨を報知する。
【発明の効果】
【0009】
この発明の一形態によれば、各装置で実施された生体認証処理の結果に応じた監視員への報知処理が実現できる生体照合装置の監視装置、通行制御装置の監視装置、生体照合システム、および、生体照合装置の監視方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態としての生体照合装置としての顔照合装置1(1A、…、1N、…)を含む通行制御システム(生体照合システム)の運用形態の例を示す図である。また、図2は、顔照合装置1の設置例を示す図である。
図1に示すように、通行制御システムは、顔照合装置1(1A、…、1N、…)、カメラ2(2A、…、2N、…)、ドア/ゲート3(3A、…、3N、…)、監視用端末装置4、データベース5、および、LAN6などにより構成される。
【0011】
上記顔照合装置1は、図2に示すように、主制御部(制御装置)11、表示部(表示装置)12、入力部(入力装置)13などにより構成されている。
上記主制御部11は、顔画像(生体情報)による照合処理あるいは顔画像(生体情報)の登録処理などを実行するためのユニットである。主制御部11内の構成例については、後で詳細に説明する。
【0012】
上記表示部12は、液晶表示装置などにより構成され、認証対象者あるいは管理者に対して操作案内などを表示する装置である。たとえば、後述する照合処理モードにおいて、表示部12には、顔照合装置1による顔照合(生体照合)の結果あるいは顔照合結果に基づく通行の可否を示す情報などが表示される。
【0013】
上記入力部13は、認証対象者あるいは管理者からの入力を受け付ける装置である。上記入力部13は、各顔照合装置1における動作モードを切替える操作を行ったり、顔登録情報の登録処理において個人を特定するための識別情報を入力したりするものである。入力部13は、例えば、テンキー、キーボードあるいはタッチパネルなどの入力キーにより構成される。入力部13の入力キーは、ハードキーで構成されるようにしても良いし、表示部12上に表示されるタッチキーで構成されるようにしても良い。また、上記入力部13は、カメラ2あるいは表示部12の近傍に設置したり、カメラ2あるいは表示部12と一体的に形成したりすることが可能である。たとえば、表示部12及び入力部13は、タッチパネルが内蔵された液晶表示装置により構成されるようにしても良い。
【0014】
上記カメラ2は、認証対象者の顔を含む画像を撮影するための撮影装置である。各カメラ2は、図2に示すように、各ドア3に向けて歩行中の歩行者(認証対象者)Mの顔を含む画像データを撮影するように設置される。上記カメラ2は、たとえば、CCDセンサなどの撮像素子を用い、A/D変換器を備えたテレビジョンカメラから構成されている。各カメラ2は、それぞれ各顔照合装置1の主制御部11に接続される。これにより、各カメラ2で撮影した画像は、対応する顔照合装置1の主制御部11に供給されるようになっている。
【0015】
上記ドア/ゲート3は、顔照合装置1による人物の認証結果あるいは監視用端末装置4からの開閉制御の指示に基づいて開閉されるものである。上記ドア/ゲート3は、登録者の通行を許可したり、未登録者の通行を阻止したりするためのものである。たとえば、ドア/ゲート3は、一般の人物が通行可能な通路から登録者のみの入場が許可されているセキュリティエリアへ入場するためのドアとして設置されている。
【0016】
上記監視用端末装置4は、各顔照合装置1およびデータベース5とLAN6を介して接続されている。上記監視用端末装置4は、各顔照合装置1による処理結果などを監視員が一元的に監視するための装置である。たとえば、上記監視用端末装置4は、各顔照合装置1による処理結果(カメラで撮影された顔画像、認証結果など)が表示される。また、監視用端末装置4では、必要に応じて各ドアの開閉の指示を各顔照合装置1に送信する機能も有している。ここで、上記監視用端末装置4は、所定のセキュリティ性が確保された監視室内に設けられているものとする。
【0017】
上記データベース5は、登録者の顔画像などの顔登録情報が格納される。上記顔登録情報としては、登録者に与えられた識別情報に対応づけて当該登録者の顔画像あるいは顔特徴情報が上記データベース5に記憶される。たとえば、顔照合装置1における後述する登録処理により、データベース5には、カメラ2で撮影された画像から得られる顔画像あるいは顔特徴情報と上記入力部13により入力される識別情報とを対応付けた登録者の情報(顔登録情報)が記憶される。さらに、データベース5には、上記識別情報と対応づけて当該登録者の属性を示す属性情報も保存される。また、顔照合装置1での認証処理では、データベース5に記憶されている顔登録情報が辞書パターンとして参照される。
【0018】
また、上記データベース5には、各顔照合装置1での処理結果を示す情報が履歴情報(通行履歴情報)として蓄積されるようになっている。さらに、上記データベース5には、各種の設定情報も格納されるようにしても良い。これらの設定情報は、LAN6を介して通信可能な各顔照合装置1により参照される。なお、上記データベース5の一部または全部の機能は、たとえば、上記監視用端末装置4内の図示しない記憶部に設けるようにしても良い。
【0019】
次に、上記顔照合装置1の構成について説明する。
図3は、顔照合装置1の構成例を示す図である。
上記顔照合装置1は、図2に示すように、主制御部11と表示部12と入力部13とを有している。顔照合装置1の主制御部11は、図3に示すように、認証制御部21、画像取得部22、顔検出部23、顔特徴抽出部24、顔照合部25、通行制御部26および通信インターフェース(I/F)部27などから構成されている。主制御部11は、たとえば、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリおよび各種のインターフェースなどにより構成される。たとえば、上記認証制御部21、顔検出部23、顔特徴抽出部24、顔照合部25などは、図示しないCPUが図示しない不揮発性メモリに記憶されている制御プログラムを実行することにより実現される機能である。
【0020】
上記画像取得部22は、カメラ2により撮影された画像を取得するインターフェースである。つまり、画像取得部22は、カメラ2で撮影された歩行中の人物(歩行者)Mの顔を含む画像データを収集するものである。画像取得部22は、カメラ2から収集した画像データを顔検出部23に出力するようになっている。
【0021】
上記顔検出部23は、画像取得部22により取得した画像から顔が存在する候補領域(顔領域)を検出する処理を行う。また、顔検出部23は、検出した顔領域を示す情報を顔特徴抽出部24に出力するようになっている。なお、顔検出部23では、顔領域を検出する手法として種々の手法が適用可能である。たとえば、顔検出部23は、文献1(三田.金子.堀.”微小な差異を含む画像の認証に適した空間差分確率テンプレートの提案”,第9会画像センシングシンポジウム講演論文集.SSII3.2003)に記載されている手法が適用可能である。上記文献1の手法では、事前に、顔の学習パターンから検出用辞書パターンを作成しておき、辞書パターンと高い類似度を持つパターンを顔領域として入力画像から探すようになっている。
【0022】
上記顔特徴抽出部24は、顔検出部23により検出された顔領域から顔の特徴量としての顔特徴情報を抽出するものである。すなわち、顔特徴抽出部24は、画像取得部22により取得された画像のうち顔検出部23により検出された顔領域の画像から顔特徴情報を抽出する。例えば、顔特徴抽出部24は、顔領域の画像から顔の特徴点を基準に、一定の大きさ、形状に切り出し、その濃淡情報を特徴量(顔特徴情報)として用いる。顔特徴抽出部24は、算出した顔特徴情報を認証制御部21に出力するようになっている。
【0023】
ここでは、mピクセル×nピクセルの領域の濃淡値をそのまま情報として用い、m×n次元の情報を特徴ベクトルとするものとする。これらの特徴ベクトルの相関行列を求め、K−L展開による正規直交ベクトルを求めることにより、部分空間が計算される。なお、部分空間は、特徴ベクトルの相関行列(または共分散行列)を求め、そのK−L展開による正規直交ベクトル(固有ベクトル)を求めることにより、計算される。ここで、部分空間は、固有値に対応する固有ベクトルを、固有値の大きな順にk個選び、その固有ベクトル集合を用いて表現するものとする。
【0024】
上記顔特徴抽出部24では、相関行列Cdを特徴ベクトルから求め、相関行列Cd =Φd Λd Φd T と対角化して、固有ベクトルの行列Φを求めるものとする。この部分空間は、顔画像の照合を行うための顔特徴情報として利用される。なお、登録者の顔特徴情報は、あらかじめ登録者から取得し、それを辞書として登録しておけば良い。また、識別を行うための顔特徴情報として部分空間自身を利用してもよい。
【0025】
上記顔照合部25は、認証対象者の歩行者Mの顔画像と登録者の顔画像との照合処理を行うものである。ここでは、顔照合部25は、歩行者の顔特徴情報と登録者の顔特徴情報との類似度を算出し、その算出結果を認証制御部21に出力するものとする。顔照合部25の顔照合処理には、種々の手法を適用可能であるが、データベース5に記録されている顔登録情報を辞書パターンとし、認識対象者としての歩行者Mの顔特徴情報に対する類似度を計算するものとする。このような手法は、例えば、文献2(山口,福井,前田.”動画像を用いた顔認識システム”,信学技報PRMU97−50,pp.17−23,1997−06)に記載されている相互部分空間法を用いることで実現可能である。
【0026】
上記認証制御部21は、当該顔照合装置1全体の制御を司るものであり、種々の処理を行う機能を有している。たとえば、認証制御部21は、顔画像による照合処理において、顔照合部25による照合処理により得られる類似度に基づいて歩行者が登録者であるか否かを判定(認証)する機能、顔登録情報の登録処理において、顔検出部23により検出された顔領域の画像あるいは顔特徴抽出部24により抽出された顔特徴情報を顔登録情報としてデータベース5に登録する機能などを有している。また、認証制御部21は、当該顔照合装置1の動作モードを切替える機能、表示部12の表示制御機能、通行制御部26に対するドア3の開閉指示信号を出力する機能、あるいは、通行I/F部27による監視用端末装置4あるいはデータベース5との通信処理機能なども有している。さらには、認証制御部21は、監視用端末装置4からの指示に応じて通行制御部26によるドア3の開放を制御する機能も有している。
【0027】
上記通行制御部26は、認証制御部21により通知される制御信号に基づいてドア/ゲート3の開閉を行う。たとえば、通行制御部26は、認証制御部21からドアの開放を示す制御信号が与えられた場合にはドア/ゲート3を開放し、認証制御部21からドアの閉鎖を示す制御信号が与えられた場合にはドア/ゲート3を閉鎖する。
上記通信インターフェース(I/F)部27は、LAN6を介して監視用端末装置4あるいはデータベース5と通信を行うためのインターフェースである。
【0028】
次に、上記監視用端末装置4の構成について説明する。
図4は、監視用端末装置4の構成例を示す図である。
上記監視用端末装置4は、図4に示すように、制御部41、表示部42、入力部43、スピーカ44、通信インターフェース(I/F)部45どから構成されている。
上記制御部41は、監視用端末装置4全体の制御を司るものであり、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリなどにより構成されている。上記制御部41は、ROMあるいは不揮発性メモリなどに記憶されている制御プログラムを実行することにより種々の機能を実現している。
【0029】
上記表示部42は、種々の情報を表示する表示装置により構成される。上記表示部42は、たとえば、各顔照合装置1における処理内容(たとえば、顔照合装置の設置場所、検出された顔画像、認証結果など)などが表示される。また、各顔照合装置1における処理内容は、たとえば、各顔照合装置による照合処理ごとの処理結果を一覧形式で表示されたり、特定の処理結果についての詳細な処理内容(たとえば、類似度の高い順から所定順位までの登録者の情報)が表示されたりするようになっている。これにより、監視員は、表示部42に表示された情報に基づいて、各顔照合装置1における処理結果を監視できるようになっている。
【0030】
上記入力部43は、キーボード、マウスなどのポインティングデバイスなどの入力装置により構成され、監視員により種々の操作指示が入力される。たとえば、入力部43では、表示部42による表示内容の変更指示、あるいは、各種の設定変更の指示などが入力される。
上記スピーカ44は、警告音などを発生させるものである。たとえば、各顔照合装置1から受信した処理結果が警告すべき内容であった場合、上記制御部41は、上記スピーカ44により警告音を発生させるようになっている。
上記通信インターフェース部45は、LAN6を介して各顔照合装置1あるいはデータベース5と通信を行うためのインターフェースである。たとえば、各顔照合装置1における処理結果を示す情報は、通信I/F部45を介して受信される。また、制御部41は、データベース5に対する情報の書き込み(更新)などを通信I/F部45を介して実行するようになっている。
【0031】
次に、上記監視用端末装置4における監視処理について説明する。
上記監視用端末装置4には、各顔照合装置1から各顔照合装置における認証処理などの処理結果を示す情報が適宜送信される。上記監視用端末装置4では、各顔照合装置1から受信した処理結果を示す情報に基づいて各顔照合装置1での処理結果(処理状況)を示す情報を表示部42に表示する。たとえば、監視用端末装置4の表示部42には、各顔照合装置1から受信する処理結果を示す情報が各処理ごとの一覧形式などで表示される。また、各顔照合装置から受信した処理結果を示す情報は、順次、ほぼリアルタイムで表示部42に表示される。
【0032】
また、監視用端末装置4では、監視員による特定のドア3を開放する旨の指示入力に応じて、当該ドア3に対応する顔照合装置1に対して、ドア3の開放(あるいは、ドアに設けられた電子錠の解錠)を要求する信号を出力する。
すなわち、上記監視用端末装置4では、上記のような表示により監視員が各顔照合装置1の処理状況などをほぼリアルタイムを視認することができ、さらに、特定のドアを監視員が開放させる操作を行うことができるようになっている。
【0033】
また、各顔照合装置1が監視用端末装置4に送信する処理結果を示す情報としては、たとえば、認証結果(認証OKか認証NGかを示す情報)、認証対象者の顔画像、認証処理を行った日時、場所(当該顔照合装置の設置場所)、類似度の高い順に所定順位までの各登録者を示す情報(たとえば、類似度の高い5番目までの各登録者を示す情報)、および、装置異常(たとえば、自動ドアの開放異常)を示す情報などがある。なお、上述した処理結果を示す情報は、上記データベース5に履歴情報としても保存される。
【0034】
次に、監視用端末装置4の表示部42に表示される各顔照合装置1の処理内容を監視するための監視画面について説明する。
図5は、上記監視用端末装置4の表示部42に表示される監視画面50の表示例を示す図である。
図5に示す表示例では、1回の認証処理の結果を表示するための小ウインドウ51a、51b、…が18個並べて表示されている。すなわち、図5に示す表示例では、各顔照合装置1で実行された18件分の認証処理の結果が一覧形式で表示されるようになっている。各小ウインドウ51a、51b、…には、それぞれ認証対象者(通行者)の顔画像とともに、認証処理を実行した日時と場所、認証結果が表示される。
【0035】
また、処理結果が認証OKである場合、当該小ウインドウ51には、最大類似度となった登録者(つまり、認証された人物)のID及び氏名が表示される。さらに、認証が成功した人物(最大類似度となった登録者)に特定人物である旨の属性情報が付与されている場合、当該小ウインドウ51には、当該人物が特定人物である旨が表示される。ここで、特定人物として属性情報が設定される人物としては、たとえば、重要人物(VIP)、特定のグループに属する人物、所定以上の権限を有している人物あるいは不審者などが想定される。本実施の形態では、重要人物を特定人物として設定することを想定して説明するものとする。
【0036】
また、処理結果が認証NGであった場合、小ウインドウ51a、51b内には、当該認証対象者(通行者)の通行を監視員が許可するための解錠ボタン(認証ボタン、通行許可ボタン)52a、52bが表示される。この解錠ボタン52a、51bは、監視員が入力部43としてのポインティングデバイスでクリックすることにより指示されるアイコンである。なお、解錠ボタン52cは、機器の異常などでドアが開放できなかった場合にも表示するようにしても良い。たとえば、図5に示す表示例において、小ウインドウ51cには、ドア3の開放異常となった旨の処理結果とともに、解錠ボタン52cが表示されている。
【0037】
さらに、処理結果が認証NGであった場合、当該小ウインドウ51には、各顔照合装置1から認証処理の処理結果として得られる認証対象者に対する候補者のうち何れかの登録者を示す情報が表示される。なお、各顔照合装置からは得られる処理結果には、認証対象者に対する候補者として、認証対象者との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報が含まれるものとする。
【0038】
たとえば、所定順位までの候補者に属性情報が特定人物に設定されている登録者が存在し、かつ、当該登録者に対する類似度が所定の表示判定用の閾値(少なくとも認証用の閾値よりも小さい値)以上である場合、当該小ウインドウ51には、属性情報が特定人物に設定されている登録者を示す情報を表示するとともに、当該登録者(候補者)が特定人物であることを示す情報が表示される。また、所定順位までの候補者に特定人物が含まれていない場合、あるいは、属性情報が特定人物となっている候補者に対する類似度が上記表示判定用の閾値未満である場合、当該小ウインドウ51には、認証対象者との類似度が最大類似度となった候補者(登録者)を示す情報が表示される。
【0039】
すなわち、各顔照合装置1から取得した処理結果が認証NGであった場合、監視用端末装置4では、各候補者に対する類似度などに基づいて認証対象者が特定人物である可能性が高いか否かが判定する。この判定により認証対象者が特定人物である可能性が高いと判定した場合、監視用端末装置4は、通行者が特定人物である可能性がある旨を監視員に報知する報知処理を行う。この報知処理として、監視用端末装置4は、たとえば、当該処理結果の表示領域に特定人物の可能性がある旨の表示を行うとともに、スピーカ44により警告音を発生させる処理を行う。このような報知処理により、監視員は、特定人物の可能性がある旨の監視画面50上の表示内容と警告音とにより認識することができ、特定人物の可能性がある人物の確認を確実かつ迅速に行うことが可能となる。
【0040】
また、図5に示す監視画面の表示例では、上記各小ウインドウ51とともに、詳細画面56が表示されるようになっている。詳細画面56は、特定の小ウインドウに表示されている処理結果を詳細に表示するための画面である。詳細画面56は、たとえば、特定の小ウインドウをポインティングデバイスによりクリックすることにより、当該小ウインドウに表示されている処理内容の詳細が表示されるようになっている。図5に示す表示例では、詳細画面56において、小ウインドウと同様な当該通行者Mの顔画像を含む表示内容とともに、当該通行者との類似度が高い順に5番目までの登録者の顔画像と類似度(スコア)とを含む情報が並べて表示されている。
【0041】
このような監視画面50内に表示される詳細画面56によれば、監視員は、5位までの候補者(登録者)の顔画像と当該通行者の顔画像とを簡単に比較でき、その比較結果に基づいて当該通行者が登録者であるか否かを容易に判断することが可能となる。この結果として、上記監視用端末装置4では、顔の経年変化あるいは撮影環境の変化などによって登録者が顔照合装置による認証処理で認証NGとなった場合であっても、監視員が、当該人物の通行制御を迅速かつ簡単に行うことを支援できる。
【0042】
次に、各顔照合装置1の動作例について説明する。
各顔照合装置1は、通常の運用状態において、照合処理モードで動作しているものとする。照合処理モードでは、各顔照合装置1は、カメラ2で撮影した画像から検出された通行者の顔画像と登録者の顔画像とを照合することにより、当該通行者が登録者であるか否かを判定する認証処理(生体認証処理)を行い、その判定結果に基づいて当該通行者に対する通行制御を行う。また、各顔照合装置1は、各通行者に対する上記のような認証処理の結果及び通行制御の結果などを処理結果を示す情報として監視用端末装置4へ出力する処理も行っている。
【0043】
図6は、顔照合装置1における照合処理モードの動作例を説明するためのフローチャートである。
すなわち、上記カメラ2の撮影範囲に通行者(認証対象者)Mが進入してくると、顔照合装置1は、上記カメラ2により撮影された当該通行者Mの画像(当該通行者Mの顔を含む画像)を上記画像取得部22により取得する(ステップS11、YES)。上記画像取得部22により通行者Mの顔を含む画像を取得すると、上記顔検出部23は、取得した画像から顔の領域を検出する顔検出処理を行う(ステップS12)。上記顔検出処理により通行者Mの顔の領域が検出されると、上記顔特徴抽出部24は、検出された顔領域の画像から顔特徴情報を抽出する顔特徴情報の抽出処理を行う(ステップS13)。
【0044】
上記顔特徴情報の抽出処理により通行者Mの顔特徴情報が抽出されると、上記認証制御部21は、抽出された顔特徴情報を顔照合部25に供給することにより、上記データベース5に登録されている登録者の顔特徴情報との照合処理を行わせる(ステップS14)。これにより、顔照合部25では、通行者Mの顔特徴情報と各登録者の顔特徴情報との照合を行い、その照合結果として通行者Mに対する各登録者の類似度を認証制御部21に供給する。
【0045】
上記顔照合部25から照合結果が供給されると、上記認証制御部21は、照合結果に基づいて通行者Mが登録者であるか否かを判定する認証処理を行う(ステップS15)。この認証処理において、上記認証制御部21は、当該通行者Mに対する各登録者の類似度のうち最大類似度が所定の閾値(認証用の閾値)以上であるか否かを判断する。この判断により最大類似度が所定の認証用の閾値以上であると判断した場合、認証制御部21は、当該通行者Mが最大類似度となった登録者であると認証する(認証OKと判定する)。また、上記判断により最大類似度が所定の認証用の閾値未満であると判断した場合、認証制御部21は、当該通行者Mと認証される登録者が存在しなかったと判定する(認証NGと判定する)。
さらに、上記認証制御部21は、認証処理として、少なくとも認証NGと判定された場合、当該通行者Mに対する各登録者の類似度のうち所定順位(たとえば、上位5番目)までの類似度となった各登録者を候補者として選出する。
【0046】
上記のような処理結果を示す情報は、当該顔照合装置1から上記監視用端末装置4へ送信される(ステップS16)。当該顔照合装置1から上記監視用端末装置4へ送信される処理結果を示す情報としては、上述したように、認証結果、通行者Mの顔画像、認証処理を行った日時と場所(当該顔照合装置の設置場所)、類似度の高い順に所定順位までの各登録者を示す情報(たとえば、類似度の高い5番目までの各登録者を示す情報)、および、装置異常(たとえば、自動ドアの開放異常)を示す情報などが含まれるものとする。
なお、上記のような顔照合装置1における処理結果を示す情報は、上記データベース5に通行履歴情報として保存するようにしても良い。この場合、上記監視用端末装置4では、上記データベース5に蓄積される通行履歴情報を監視し、上記データベース5に蓄積されている通行履歴情報の更新に応じて、上記データベース5に蓄積される通行履歴情報に基づいて図5に示すような監視画面を表示するようにしても良い。
【0047】
また、上記のような認証処理が完了した場合、上記認証制御部21は、認証処理の結果が認証OKであれば、つまり、通行者Mが登録者であることが認証されれば(ステップS17、YES)、当該通行者Mの通行を許可し、上記通行制御部26によりドア3を開放(あるいはドア3の設けられた電子錠を解錠)する処理を行う(ステップS18)。
【0048】
また、上記認証制御部21は、認証処理の結果が認証NGであれば、つまり、通行者Mが登録者であることが認証できなければ(ステップS17、NO)、当該通行者Mの通行を不許可し、上記通行制御部26によりドア3を閉鎖(あるいはドア3の設けられた電子錠を施錠)する処理を行う(ステップS20)。ただし、この場合、上記認証制御部21は、上記監視用端末装置4からの解錠要求を受付可能な状態とする。この状態において上記監視用端末装置4から解錠要求を受けた場合(ステップS19、YES)、認証制御部21は、当該通行者Mの通行を許可し、上記通行制御部26によりドア3を開放(あるいはドア3の設けられた電子錠を解錠)する処理を行う(ステップS18)。
【0049】
次に、監視用端末装置4の動作例について説明する。
監視用端末装置4では、各顔照合装置1から取得する処理結果を示す情報に基づいて、各顔照合装置1における処理状況を監視するための図5に示すような監視画面を表示する。さらに、監視用端末装置4では、上記監視画面を表示した状態において監視員からの操作指示に応じて特定のドアを開放する指示を顔照合装置1へ送信するようになっている。
【0050】
図7は、監視用端末装置4における動作例を説明するためのフローチャートである。
なお、図7に示す動作例では、1件分の処理結果を受信した場合の図5に示すような監視画面の表示処理と解錠ボタンへの指示入力に応じた処理とを示している。すなわち、監視用端末装置4では、以下に説明するような処理が各顔照合装置1から処理結果を受信するごとに実施されるようになっている。
【0051】
まず、顔照合装置1から処理結果を示す情報を受信すると(ステップS41、YES)、監視用端末装置4の制御部41は、図5に示すような監視画面50において受信した処理結果を表示するための表示領域としての小ウインドウ51を確保する。上記表示部42における表示領域を確保すると、制御部41は、受信した処理結果を示す情報に含まれる当該通行者の顔画像と認証処理を行った日時と場所とを確保した表示領域に図5に示すような表示フォーマットで表示する(ステップS42)。これらの情報を当該処理結果の表示領域に表示すると、制御部41は、受信した処理結果を示す情報に基づいて当該通行者Mが登録者であると認証したか否か判定する(ステップS43)。
【0052】
上記判定により当該通行者Mを登録者と認証した処理結果を受信したと判定した場合、つまり、受信した処理結果において当該通行者が認証OKであった場合(ステップS43、YES)、制御部41は、当該処理結果の表示領域に当該通行者が認証OKであった旨を表示するとともに(ステップS44)、当該通行者であると判定された登録者(最大類似度となった登録者)を示す情報(たとえば、ID及び氏名)を表示する(ステップS45)。
【0053】
認証OKであった旨と最大類似度となった登録者(認証された人物)を示す情報とを表示すると、制御部41は、さらに、認証された人物(最大類似度となった登録者)が特定人物であるか否かを判定する(ステップS46)。認証された人物が特定人物であるか否かは、最大類似度となった登録者の属性情報が特定人物に設定されているか否かを確認することにより判定される。この判定により認証された人物が特定人物であると判定された場合、制御部41は、特定人物の報知処理を行う(ステップS47)。この特定人物の報知処理としては、監視員に特定人物が認証されたことを報知するために、当該表示領域に特定人物であることを表示するとともに、スピーカ44により警告音を発生させる処理を行う。これにより、重要人物などの特定人物が現れたことを監視員に警告することができ、特定人物に対する監視員による迅速な対応を促すことができるようになっている。
【0054】
また、上記判定により当該通行者Mを登録者として認証できなかった旨の処理結果を受信したと判定した場合、つまり、受信した処理結果において当該通行者が認証NGであった場合(ステップS43、NO)、制御部41は、当該処理結果の表示領域に当該通行者が認証NGであった旨を表示するとともに(ステップS51)、当該処理結果の表示領域内に解錠ボタン52を表示する(ステップS52)。上記解錠ボタン52は、上述したように、当該処理結果の送信元である顔照合装置1が開閉を制御するドア3の開放(あるいはドアに設けられた電子錠の解錠)を監視員が指示するためのアイコンである。このように、当該処理結果の表示領域内にドアの開放(当該通行者の通行許可)を指示するボタンを表示することにより、監視員は、当該表示領域に表示された情報を視認した監視員が迅速かつ確実にドアの開放の指示を行うことが可能となる。
【0055】
また、認証NGであった旨と解錠ボタン52とを当該処理結果の表示領域に表示すると、制御部41は、当該通行者が特定人物である可能性が高いか否か(当該通行者Mが特定人物の可能性があるとして監視員に対する報知処理を行う必要があるか否か)を判定する処理を行う(ステップS53、S55)。ここでは、所定順位(例えば、N位)以内の候補者で、かつ、所定の表示判定用の閾値(少なくとも認証用の閾値より小さい値)以上の類似度である候補者が特定人物であるか否かにより上記報知処理を行う必要があるか否かを判定するものとする。ただし、運用形態によっては、何れかの条件のみで報知処理を行うか否かを判定するようにしても良いし、別の条件に基づいて報知処理を行うようにしても良い。たとえば、所定順位以内の候補者のうち特定人物が存在する場合に報知処理を行うようにしても良いし、所定の表示判定用の閾値以上の類似度である特定人物が存在する場合に報知処理を行うようにしても良い。
【0056】
すなわち、制御部41は、受信した処理結果に含まれる当該通行者に対する各候補者のうち所定順位までの候補者に特定人物が存在するか否かを判断する(ステップS53)。この判断により所定順位までの候補者に特定人物が存在すると判断した場合(ステップS53、YES)、制御部41は、所定順位以内で特定人物となっている候補者に対する類似度が所定の表示判定用の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS55)。
【0057】
上記判断により所定順位までの候補者に特定人物が存在しないと判断した場合(ステップS53、NO)、あるいは、上記判断により候補者のうちの特定人物に対する類似度が所定の表示判定用の閾値未満であると判断した場合(ステップS55、NO)、制御部41は、当該通行者Mに対する類似度が最大類似度となった登録者を示す情報を当該処理結果の表示領域に表示する(ステップS54)。
【0058】
また、上記判断により所定順位以内の特定人物に対する類似度が所定の表示判定用の閾値以上であると判断した場合(ステップS55、YES)、制御部41は、当該特定人物を示す情報を当該処理結果の表示領域に表示するとともに(ステップS56)、特定人物の報知処理を行う(ステップS57)。この特定人物の報知処理としては、上記ステップS47の処理と同様に、特定人物である可能性が高い通行者が検出されたことを監視員に報知するために、当該表示領域に特定人物であることを表示するとともに、スピーカ44により警告音を発生させる処理を行う。これにより、重要人物(VIP)などの特定人物の可能性がある通行者が認証NGとなっていることを即座に監視員に警告することができ、特定人物に対する監視員による迅速な対応を促すことができるようになっている。
【0059】
また、図5に示すような監視画面50では、各処理結果の表示領域において登録者の顔画像(各候補者の顔画像)は表示されない。このため、各処理結果の表示領域に表示されている情報だけでは、監視員は、顔を覚えていない登録者に対する通行の可否判断を目視により簡単に判断することができないことも想定される。このような場合、監視員は、当該処理結果の詳細な情報(登録者の顔画像など)を確認するために、当該処理結果の表示領域を入力部43で指示する。これは、指示された表示領域の処理結果を詳細に表示することを監視員が要求する指示である。
【0060】
このような指示が入力部43により入力された場合(ステップS58)、制御部41は、当該表示領域に表示されている処理結果の詳細情報として、当該通行者との類似度が高い順に5番目までの登録者の顔画像を詳細画面56に表示する処理を行う(ステップS59)。たとえば、制御部41は、当該処理結果(あるいは通行履歴情報)に基づいて類似度が5番目までの候補者となる各登録者の顔画像と類似度(スコア)とをデータベース5から読み出し、読み出した各候補者の顔画像と類似度(スコア)とを順に当該通行者の顔画像と対応づけて表示する。このような詳細画面56を監視画面50内で表示することにより、監視者は、各候補者に対する類似度を参照しつつ、当該通行者の顔と5人分の候補者の顔と即座に見比べることが可能となる。この結果、監視員は、当該通行者が詳細画面56に表示された候補者(登録者)のいずれかであるかを容易かつ迅速に確認することでき、通行者に対する監視員による迅速な対応が行える。
【0061】
また、当該処理結果の表示領域あるいは当該処理結果を表示した詳細画面56に表示された解錠ボタン52が監視員により指示された場合(ステップS60、YES)、制御部41は、当該処理結果の送信元となる顔照合装置1にドア3の開放(あるいはドア3に設けられた電子錠の解錠)を要求する信号を当該顔照合装置1へ送信する(ステップS61)。このようなドア3の開放要求を受けた顔認証装置1の制御部11は、受信したドアの開放要求に応じてドア3を開放するようになっている。
【0062】
次に、上記のような特定人物を属性情報として特定の登録者に設定する設定方法の一例について説明する。
図8は、特定人物を属性情報として設定する処理を含む登録処理の流れを説明するためのフローチャートである。なお、図8に示す登録処理は、管理者の操作によって、動作モードを登録処理モードとした顔照合装置において実行されるものとする。
【0063】
すなわち、管理者は、まず、登録処理を行う顔照合装置1の動作モードを登録処理モードに変更する操作を行う。これにより、顔照合装置1の動作モードが登録処理モードに移行すると、管理者は、登録対象者(登録者)の付与する識別情報としてのユーザID(登録者のID)を入力部13により入力する。この際、登録者の氏名なども入力するようにしても良い。なお、上記ユーザIDは、認証制御部21が生成するようにしても良いし、データベース5から割り当てられるようにしても良い。当該登録対象者に対するユーザIDが確定すると、認証制御部21は、当該ユーザIDを登録者のIDとしてデータベース5に登録する(ステップS71)。なお、登録者の氏名などの情報は、上記ユーザIDに対応づけてデータベース5に登録される。
【0064】
さらに、管理者は、当該登録対象者を特定人物として登録する場合、当該登録対象者の属性情報を特定人物とする旨を入力部13により指示入力する。当該登録対象者を特定人物とする旨の指示が入力されている場合(ステップS72、YES)、認証制御部21は、当該登録対象者のユーザIDに対応づけた属性情報を特定人物としてデータベース5に登録する処理を行う(ステップS73)。
【0065】
このような属性情報が設定された場合、あるいは、当該登録対象者に属性情報が設定されない場合、認証制御部21は、当該登録対象者の顔情報を上記ユーザIDに対応づけてデータベース5に登録する処理を行う。たとえば、認証制御部21は、カメラ2にて撮影される当該登録対象者の顔を含む画像を画像取得部22により取り込み、取り込んだ画像から顔検出部23により顔画像を検出し、検出した顔画像から顔特徴抽出部24により顔特徴情報を抽出する。これにより、顔検出部23により検出した顔画像と顔特徴抽出部24により抽出した顔特徴情報とを当該登録対象者の顔登録情報として前記ユーザIDに対応づけてデータベース5に登録する処理を行う(ステップS74)。
【0066】
上記のような登録処理により登録者に対する属性情報として特定人物であることを設定することが可能である。なお、登録者に対する属性情報は、登録済みの登録者に対して設定できるようにしても良い。このような登録済みの登録者を特定人物に設定する場合、たとえば、管理者が監視用端末装置4の入力部43あるいは顔照合装置1の入力部13にて特定人物とする登録者のIDを指定することにより、当該登録者の属性情報を特定人物に更新するようすれば良い。
【0067】
以上、説明したように、本実施の形態に係る監視用端末装置4では、顔照合装置1から前記認証対象者の顔画像と前記認証対象者が登録者であるか否かを示す判定結果と前記認証対象者の顔画像との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む処理結果を受信し、前記顔照合装置1から受信した処理結果として前記認証対象者の顔画像と前記判定結果とを表示部42に表示し、前記顔照合装置1から受信した処理結果に含まれる前記判定結果が前記認証対象者を登録者と判定しなかったことを示す情報である場合、前記認証対象者との類似度が所定順位までの登録者に特定人物が含まれているか否かを判定し、この判定により類似度が所定順位までの登録者に特定人物が含まれていると判定された場合、前記表示部42に表示されている処理結果となった通行者が特定人物である可能性がある旨を報知する報知処理を行うようにたものである。
これにより、重要人物(VIP)などの特定人物の可能性がある通行者が認証NGとなっていることを監視員に警告することができ、特定人物に対する監視員による迅速な対応を促すことができる。
【0068】
なお、上述した実施の形態では、主として、顔画像を用いて認証対象者が登録者であるか否かを認証する顔照合装置および通行制御システムについて説明したが、上記実施の形態は、顔画像により生体認証を行うものに限定されるものではない。たとえば、上記実施の形態は、掌形、静脈パターン、指紋、虹彩、声紋などの生体情報により認証対象者が登録者であるか否かを生体認証する生体照合装置および通行制御システムにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】生体認証を用いた通行制御システムの構成例を示す図である。
【図2】顔照合装置の運用形態および設置例を説明するための図である。
【図3】顔照合装置の構成例を示す図である。
【図4】監視用端末装置の構成例を示す図である。
【図5】監視用端末装置の表示部に表示される監視画面の表示例を示す図である。
【図6】顔照合装置における照合処理モードでの動作例を説明するためのフローチャート。
【図7】監視用端末装置の動作例を説明するためのフローチャート。
【図8】監視用端末装置の登録処理モードでの動作例を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0070】
M…歩行者(認識対象者)、1(1A、…、1N、…)…顔照合装置(生体照合装置)、2(2、…、2N、…)…カメラ、3(3A、…、3N、…)…ドア/ゲート、4…監視用端末装置(監視端末)、5…データベース、6…LAN、11…主制御部、12…表示部、13…入力部、21…認証制御部、22…画像取得部、23…顔検出部、24…顔特徴抽出部、25…顔照合部、26…通行制御部、27…通信インターフェース部、41…制御部、42…表示部、43…入力部、44…スピーカ、45…通信インターフェース部、50…監視画面、51(51a.51b、51c、…)…小ウインドウ、52(52a.52b、…)…解錠ボタン、56…詳細画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象者の生体情報と各登録者の生体情報との類似度に基づいて前記認証対象者が登録者であるか否かを判定する生体認証処理を行う生体照合装置の処理内容を監視する監視装置において、
前記生体照合装置から前記認証対象者の生体情報と前記認証対象者が登録者であるか否かを示す判定結果と前記認証対象者の生体情報との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む処理結果を受信する受信手段と、
この受信手段により前記生体照合装置から受信した処理結果として、前記認証対象者の生体情報と前記判定結果とを表示する表示手段と、
前記受信手段により前記生体照合装置から受信した処理結果に含まれる前記判定結果が前記認証対象者を登録者と判定しなかったことを示す情報である場合、前記認証対象者との類似度が所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれているか否かを判定する判定手段と、
この判定手段により所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれていると判定された場合、前記表示手段により表示されている処理結果となった通行者が特定人物である可能性がある旨を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする生体照合装置の監視装置。
【請求項2】
認証対象者の生体情報と登録者の生体情報との類似度に基づいて前記認証対象者が登録者であるか否かを判定し、この判定により登録者であると判定された前記認証対象者の通行を許可する通行制御装置における処理内容を監視する監視装置において、
前記通行制御装置から前記認証対象者の生体情報と前記認証対象者の通行を許可したか否かを示す判定結果と前記認証対象者の生体情報との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む処理結果を受信する受信手段と、
この受信手段により前記通行制御装置から受信した処理結果として、前記認証対象者の生体情報と前記判定結果とを表示する表示手段と、
前記受信手段により前記通行制御装置から受信した処理結果に含まれる判定結果が前記認証対象者を通行不可と判定したことを示す情報である場合、前記認証対象者との類似度が所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれているか否かを判定する判定手段と、
この判定手段により所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれていると判定された場合、前記表示手段により表示されている処理結果となった通行者が特定人物である可能性がある旨を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする通行制御装置の監視装置。
【請求項3】
認証対象者の生体情報と登録者の生体情報との類似度に基づいて前記認証対象者が登録者であるか否かを判定する生体認証処理を行う生体照合装置と、前記生体照合装置の処理内容を監視する監視装置とを有する生体照合システムにおいて、
前記生体照合装置は、
認証対象者の生体情報と各登録者の生体情報との類似度を算出し、算出された前記認証対象者の生体情報と各登録者の生体情報との類似度のうち最大類似度が所定の認証用の閾値以上であるか否かにより前記認証対象者が登録者であるか否かを判定する生体認証手段と、
前記生体認証手段による処理結果として、前記認証対象者の生体情報と前記認証対象者を登録者と判定したか否かの判定結果と前記認証対象者の生体情報との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む情報を前記監視装置へ送信する送信手段と、を有し、
前記監視装置は、
前記生体照合装置から前記認証対象者の生体情報と前記認証対象者が登録者であるか否かを示す判定結果と前記認証対象者の生体情報との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む処理結果を受信する受信手段と、
この受信手段により前記生体照合装置から受信した処理結果として、前記認証対象者の生体情報と前記判定結果とを表示する表示手段と、
前記受信手段により前記生体照合装置から受信した処理結果に含まれる前記判定結果が前記認証対象者を登録者と判定しなかったことを示す情報である場合、前記認証対象者との類似度が所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれているか否かを判定する判定手段と、
この判定手段により所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれていると判定された場合、前記表示手段により表示されている処理結果となった通行者が特定人物である可能性がある旨を報知する報知手段と、を有する、
ことを特徴とする生体照合システム。
【請求項4】
認証対象者の生体情報と各登録者の生体情報との類似度に基づいて前記認証対象者が登録者であるか否かを判定する生体認証処理を行う生体照合装置の処理内容を監視する監視装置に用いられる生体照合装置の監視方法において、
前記生体照合装置から前記認証対象者の生体情報と前記認証対象者が登録者であるか否かの判定結果と前記認証対象者の生体情報との類似度が高い順に所定順位までの各登録者を示す情報とを含む処理結果を受信し、
前記生体照合装置から受信した処理結果として、前記認証対象者の生体情報と前記判定結果とを表示し、
前記生体照合装置から受信した処理結果に含まれる前記判定結果が前記認証対象者を登録者と判定しなかったことを示す情報である場合、前記認証対象者との類似度が所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれているか否かを判定し、
この判定により所定の条件を満たす登録者に特定人物が含まれていると判定された場合、前記表示されている処理結果となった通行者が特定人物である可能性がある旨を報知する、
ことを特徴とする生体照合装置の監視方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−93373(P2009−93373A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262624(P2007−262624)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】