説明

生体認証装置および生体認証方法

【課題】 熟練者および初心者の何れにおいても、良好な撮影結果を迅速に得て本人認証を行う。
【解決手段】 被認証者の生体を撮影し、撮影結果に基づいて認証を行う生体認証装置10において、被写体に対する撮影焦点を自動的に調整して撮影を行う自動焦点撮影部12と、撮影結果が所定の品質基準を満たしているか否か判定し、所定の品質基準を満たさないとき、前記自動焦点撮影部に再撮影を指示する撮影品質判定部141と、被認証者の近接を検出すると、予め設定されている固定焦点で撮影を行うべく、前記自動焦点撮影部における自動的な焦点調整の停止を指示する自動焦点停止部142と、所定の時間内において、前記固定焦点における撮影で前記所定の品質基準を満たす撮影結果を得ることが出来ないとき、自動的に焦点調整を行って撮影すべく、前記自動焦点撮影部に前記停止指示の解除を指示する自動焦点停止解除部144と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証装置および生体認証方法に関し、特に被写体に対する撮影焦点を自動的に調整するオートフォーカス(自動焦点調整機能)を備えた生体認証装置および生体認証方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各個人固有の身体的特徴に基づいて本人認証を行う生体認証は、例えばアイリス(虹彩)などが認証に用いられている。具体的には、被認証者の目を撮影し、目におけるアイリスの特徴を求め、求めた特徴と予め登録してある特徴とを照合して本人認証を行う。
【0003】
ところで、特徴を得るための撮影は、撮影焦点が合うように撮影位置が予め定められており、被認証者が所定の撮影位置に立ち、撮影フレーム内に被写体としての目を合わせることで、目に焦点が合った撮影が行われる。
【0004】
ところで、被認証者の目の撮影焦点を自動的に調整するオートフォーカスと称される自動焦点機能が用いられており、利用者が撮影位置に近づくと、それを近接センサにより検出し、オートフォーカスが起動する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
とこのとき、被認証者における撮影の慣れ不慣れに応じて、撮影を行って鮮明な画像を取得するまで、次に示す問題が生じていた。
被認証者として撮影に慣れた熟練者は、短時間で撮影に適した撮影位置に立ち被写体としての目の位置合わせを行うことができる。このような、習熟者にとっては、測距や撮影を繰返して焦点調整を機械的に行うオートフォーカスは焦点調整に時間を要することから、被認証者による位置合わせ動作と、オートフォーカスによる焦点調整動作とが同時的に行われると、被認証者の動きにオートフォーカスによる焦点調整の動作が追従することができず、焦点がズレた位置で撮影が行われる。
【0006】
焦点がズレた撮影では、所定の撮影品質を得ることができず、良好な品質の撮影結果を得るまで再撮影を繰返す必要がある。このように熟練者の生体を撮影する際には、オートフォーカスを用いない方が迅速に良好な品質の撮影結果を得ることができる。
【0007】
一方、撮影に不慣れな初心者は、短時間で撮影に適した撮影位置に立ち被写体としての目の位置合わせを行うことができないため、オートフォーカスの助けがなければ、良好な品質の撮影結果を得るまで時間を要してしまう。
【0008】
前記したように、熟練者にはオートフォーカスが不要であり、初心者にはオートフォーカスが必要であり、これらの相反する関係にある問題を解決することが望まれていた。
【0009】
従って、本発明の目的は、熟練者および初心者の何れにおいても、良好な撮影結果を迅速に得て本人認証を行い得る生体認証装置および生体認証方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
〈構成1〉
被認証者の生体を撮影し、撮影結果に基づいて認証を行う生体認証装置において、被写体に対する撮影焦点を自動的に調整して撮影を行う自動焦点撮影部と、撮影結果が所定の品質基準を満たしているか否か判定し、所定の品質基準を満たさないとき、自動焦点撮影部に再撮影を指示する撮影品質判定部と、被認証者の近接を検出すると、予め設定されている固定焦点で撮影を行うべく、自動焦点撮影部における自動的な焦点調整の停止を指示する自動焦点停止部と、所定の時間内において、前記固定焦点における撮影で所定の品質基準を満たす撮影結果を得ることが出来ないとき、自動的に焦点調整を行って撮影すべく、自動焦点撮影部に前記停止指示の解除を指示する自動焦点停止解除部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
〈構成2〉
生体として、アイリス、網膜、静脈、指紋および顔型の少なくとも何れか一つに基づいて認証を行うことができる。
〈構成3〉
撮影品質判定部は、撮影結果における鮮明度に基づいて品質判定を行うべく、撮影結果の各画素において、近傍の各画素との輝度差分を求め、該輝度差分と所定の閾値とに基づいて判定することができる。
【0012】
〈構成4〉
自動焦点調整による撮影が行われることを、被認証者に通知する自動焦点撮影通知部を備えることを特徴とする。
〈構成5〉
前記自動焦点撮影通知部は、被認証者の視覚および聴覚の少なくとも何れか一つの感覚器官で把握可能に通知することができる。
【0013】
〈構成6〉
被認証者の被写体としての生体に対する撮影焦点を自動的に調整して撮影行い、撮影結果に基づいて認証を行う生体認証方法において、被認証者の近接を検出すると、予め設定されている固定焦点で撮影を行うべく、自動的な焦点調整の機能を停止すること、撮影結果が所定の品質基準を満たしているか否か判定し、所定の品質基準を満たしていないとき、再撮影を行うこと、所定の時間内において、固定焦点における撮影で所定の品質基準を満たす撮影結果を得ることが出来ないとき、自動焦点調整で撮影を行うべく、自動焦点の調整停止を解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所定の時間までは自動的な焦点調整の機能を停止して固定焦点で撮影を行い、所定の時間を経過した後は、自動的な焦点調整の機能停止の解除を行うことから、熟練者の生体を固定焦点で迅速に撮影することができ、初心者の生体も自動的に焦点調整を行って円滑に撮影することができ、熟練者および初心者の何れが被認証者でも、良好な品質の撮影結果を迅速に得て本人認証を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図を用いて詳細に説明する。以下の説明では、各実施の形態に用いる図面について同一の構成要素は同一の符号を付し、かつ重複する説明は可能な限り省略する。
【0016】
尚、以降の説明では、生体として目のアイリスの特徴に基づいて本人認証を行う生体認証装置の例で説明を行う。
【実施例1】
【0017】
本発明の生体認証装置10は、図1に示すように、被認証者の目を撮影する撮影部1と撮影した目のアイリスに基づいて本人認証を行う認証部2とを備えている。
撮影部1は、近接センサ部11と、オートフォーカスと称される自動的に焦点調整を行う機能を備え、調整された撮影焦点を用いて撮影を行う自動焦点撮影部12と、照明部13と、前記各部を統括的に制御する制御部14とを有しており、認証部2は、撮影部1での撮影結果に基づいて生体の特徴を求め、求めた特徴と予め保持してある特徴と照合を行って被認証者の本人認証を行う照合部21と、生体の特徴が示された認証情報を予め保持する認証情報保持部22とを有している。
【0018】
近接センサ部11は、赤外線センサなどであり、被認証者の接近を検出すると、検出信号を制御部14に出力する。
【0019】
自動焦点撮影部12は、制御部14での制御の下で動作しており、被写体に対する撮影焦点の調整を自動的に行うオートフォーカスと称される機能を制御するオートフォーカス部121と、該オートフォーカス部121で調整された撮影焦点で撮影を行ってイメージデータを生成するCCD部122とを備える。
【0020】
オートフォーカス部121は、複数のレンズを備えており、レンズの組合せ距離を機械制御して、被写体に対する焦点位置の調整を行う。このとき、オートフォーカス部121は、測距や仮撮影を適宜行っており、これらの結果に基づいて焦点位置の調整を自動的に行う。ところで、オートフォーカス部121は、起動時に所定の焦点位置で焦点が合うように調整されており、制御部14から焦点固定の指示を受けると、自動的な焦点調整の機能を停止し、前記した初期焦点位置に焦点を固定する。
【0021】
CCD部122は、オートフォーカス部121で調整された焦点で、CCD(Charge Coupled Device)と称される光学素子を用いて被写体を撮影する。具体的には、CCD部122は、被写体として被認証者の目を撮影し、目の映像が示されたイメージデータを生成する。
【0022】
照明部13は発光ダイオードを備えており、制御部14から発光指示を受けると当該発光ダイオードを発光させ、その光で被写体を照らす。
【0023】
制御部14は、自動焦点撮影部12での撮影結果として生成するイメージデータに基づいて、当該撮影結果が所定の品質基準を満たしているか否かを判定し、所定の品質を満たすまで自動焦点撮影部12に再撮影を指示する撮影品質判定部141と、近接センサ部11で被認証者の近接を検出すると、前記した初期焦点で撮影を行うべく、自動焦点撮影部12のオートフォーカス部121に自動的な焦点調整の停止を指示する自動焦点停止部142と、自動的な焦点調整の停止を指示してから、所定の時間が経過するまでの計時を行うタイマ部143と、該タイマ部143でタイムアップを検出すると、自動的に焦点調整を行って撮影を行うべく、自動的な焦点調整の停止解除を自動焦点撮影部12のオートフォーカス部121に指示する自動焦点停止解除部144とを備える。
【0024】
ここで、撮影品質判定部141における撮影結果の品質判定を詳細に説明する。
撮影品質判定部141は、図2に示すような目の映像を示すイメージデータをCCD部122から取得すると、例えば図2におけるA−A′間の隣接する各画素の輝度差に基づいて焦点が合っているか(ピントが合っているか)否かを判定する。
【0025】
具体的には、例えば、画素の輝度が8ビットの256階調で示されているとき、焦点が合って鮮明に撮影されているならば、隣接する各画素との輝度差が図3(a)に示すグラフの様に明瞭になる。一方、焦点が合っておらず不鮮明に撮影されているならば、隣接する各画素との輝度差が図3(b)に示すグラフの様に不明瞭になる。このように、撮影品質判定部141は、図3のグラフにおける輝度差の明瞭度を所定の判定基準に基づいて判定しており、所定の判定基準を満たさないとき、自動焦点撮影部12に再撮影を指示する。
【0026】
尚、撮影品質判定部141で所定の品質を満たしていると判断されたイメージデータは、認証部2に送られる。
撮影部1からのイメージデータを取得した認証部2は、イメージデータに基づいてアイリスの特徴を従来から知られた方法を照合部21で求め、該照合部21で求めた特徴と予め認証情報保持部22で保持してある認証情報に示された特徴とを照合し、照合による一致を確認すること、被認証者が認証される。
【0027】
自動焦点停止部142は、近接センサ部11から被認証者の近接検出通知を受けると、所定の固定された焦点で撮影を行うべく、自動焦点撮影部12のオートフォーカス部121に対し、自動的な焦点調整の停止を指示する。停止指示を受けたオートフォーカス部121は、自動的な焦点調整の機能を停止し、所定の固定された焦点(初期焦点)に頂点調整を行う。これにより、CCD部122は、オートフォーカス部121で調整された初期焦点で撮影を行う。
【0028】
タイマ部143は、自動的な焦点調整の停止を指示してから、所定の時間が経過するまでの計時を行う。尚、タイマ部143において、所定の時間が経過したことを確認した自動焦点停止解除部144は、オートフォーカスを開始すべく、自動的な焦点調整の停止の解除をオートフォーカス部121に指示する。指示を受けたオートフォーカス部121は、自動的な焦点調整の停止を解除し、被写体に対し自動的に焦点調整を行う。これにより、CCD部122は、オートフォーカス部121で調整された焦点で被写体を撮影を行う。
【0029】
次に、本発明の生体認証装置10の動作を図4のフローチャートを用いて説明する。
尚、以降の説明では、生体認証装置にタイマ部143でタイムアウトを検出するための所定の時間と、撮影品質判定部141で品質を判定するための所定の判定基準と、被認証者の認証を行うための認証情報とが予め保持されていることを前提に説明を行う。
【0030】
近接センサ部11は、被認証者の近接を監視している(ステップS1)。近接センサ部11は、被認証者の近接を検出すると(ステップS2)、被認証者が近接したことを制御部14に通知する。通知を受けた制御部14は、自動焦点停止部142で自動的な焦点調整を停止する指示を自動焦点撮影部12に対し行って、タイマ部143において計時を開始する。
【0031】
指示を受けた自動焦点撮影部12は、オートフォーカス部121における自動的な焦点調整を停止する。これにより、CCD部122は固定された初期焦点でもって撮影を行う(ステップS3)。
【0032】
CCD部122で撮影が行われて目のイメージデータが生成されると、撮影品質判定部141は、生成されたイメージデータに基づいて、隣接する画素の輝度差を求めて輝度差の明瞭度を所定の判定基準に基づいて判定する(ステップS4)。この判定で所定の品質基準を満たしていると判定されたイメージデータは認証部2へ送られる。
【0033】
イメージデータを受けた認証部2は、照合部21でアイリスの特徴を求め、求めた特徴と認証情報保持部22に保持してある認証情報に示された特徴とを照合し、照合の一致でもって被認証者を認証する。
【0034】
ところで、前記したステップS4で所定の品質基準を満たしてないと判定されると、タイマ部143で固定焦点撮影におけるタイムアウトの確認が行われ(ステップS5)、予め設定された経過時間に達していないとき、すなわちタイムアウトしていなければ前記したステップS3からの固定焦点撮影を繰返す。
【0035】
一方、固定焦点による撮影で所定の撮影品質を満たすことができず、前記したステップS5においてタイムアウトを確認すると、自動焦点停止解除部144は、自動焦点撮影部12に対し自動的な焦点調整の停止解除を指示し、図示しないオートフォーカス撮影用のタイマで計時を開始する。
【0036】
停止解除の指示を受けた自動焦点撮影部12は、オートフォーカス部121における自動的な焦点調整停止を解除し、被写体に対して自動的に焦点調整を行う。これにより、CCD部122は調整された焦点でもって被写体の撮影を行う(ステップS6)。
【0037】
CCD部122で被写体としての目を撮影し、目のイメージデータが生成されると、撮影品質判定部141は、生成されたイメージデータに基づいて、隣接する画素の輝度差を求めて輝度差の明瞭度を所定の判定基準に基づいて判定する(ステップS7)。この判定で所定の品質基準を満たしていると判断されたイメージデータは認証部2へ送られ、該認証部2で前記したように被認証者の認証判定が行われる。
【0038】
一方、前記したステップS7で所定の品質を満たしてないと判断されると、オートフォーカス撮影用のタイマにおけるタイムアウトの確認が行われ(ステップS8)、予め設定された経過時間に達していないとき、すなわちタイムアウトしていなければ前記したステップS6からの自動的な焦点調整による撮影を繰返す。
尚、前記したステップS8において、タイムアウトが確認されると、撮影失敗と判断して撮影を終了する。
【0039】
前記したように、実施例1の生体認証装置10によれば、タイムアウトするまで、自動的な焦点調整の機能を停止して固定焦点で撮影を行い、タイムアウトすると、自動的な焦点調整の機能停止を解除して、オートフォーカスにより自動的に焦点調整を行って撮影を行うことから、熟練者に対しては固定焦点で迅速に撮影することができ、初心者に対しても自動的に焦点調整を行って、ピントぼけによる再撮影の低減を図り円滑に撮影することができ、熟練者および初心者の何れにとっても、所定の品質基準を満たす良好な撮影結果を迅速に得て本人認証を行うことができる。
【実施例2】
【0040】
次に、オートフォーカスによる撮影が開始されることを被認証者に通知する生体認証装置20を説明する。
実施例2の生体認証装置20は、図5に示すように、前記した実施例1の構成に加えて、オートフォーカスによる撮影が開始されたことを被認証者に通知する自動焦点撮影通知部15を備える。
【0041】
尚、実施例2の制御部14は、前記した実施例1の構成に加えて、自動焦点撮影通知部15に起動を指示する通知起動部145を備える。
【0042】
自動焦点撮影通知部15は、図示しないスピーカを備えており、通知起動部145から起動指示を受けると、所定の電子音や音声案内などをスピーカから出力し、オートフォーカスによる撮影が開始されることを聴覚で把握可能に被認証者に通知する。
尚、利用者には、音声通知が行われると、オートフォーカスによる撮影が開始されることが予め知らされており、更にオートフォーカス撮影時に静止することで、自動的な焦点調整が円滑に行われることが予め知らされている。
【0043】
通知起動部145は、タイマ部143におけるタイムアウトを監視しており、該タイマ部143によりタイムアウトを検出すると、自動焦点撮影通知部15に対し起動を指示する。
【0044】
次に、実施例2の生体認証装置20の動作を図6のフローチャートに沿って説明する。
近接センサ部11は、被認証者の近接を監視している(ステップS11)。近接センサ部11は、被認証者の近接を検出すると(ステップS12)、被認証者が近接したことを制御部14に通知する。通知を受けた制御部14は、自動焦点停止部142で自動的な焦点調整を停止する指示を自動焦点撮影部12に対し行って、タイマ部143において計時を開始する。
【0045】
停止指示を受けた自動焦点撮影部12は、オートフォーカス部121における自動的な焦点調整を停止する。これにより、CCD部122は固定された初期焦点でもって撮影を行う(ステップS13)。
【0046】
CCD部122でイメージデータが生成されると、撮影品質判定部141は、イメージデータに基づいて、所定の品質基準を満たしているか否かを判定する(ステップS14)。所定の品質基準を満たしていると判定されたイメージデータは認証部2へ送られ、照合部21でアイリスの特徴を求め、求めた特徴と認証情報保持部22に保持してある認証情報に示された特徴とを照合し、照合の一致でもって被認証者を認証する。
【0047】
ところで、前記したステップS14で所定の品質基準を満たしてないと判定されると、タイマ部143で固定焦点撮影におけるタイムアウトの確認が行われ(ステップS15)、タイムアウトしていなければ前記したステップS13からの固定焦点撮影を繰返す。
【0048】
一方、前記したステップS15においてタイムアウトを確認した自動焦点停止解除部144は、自動焦点撮影通知部15に起動を指示し、タイムアウトを確認した自動焦点停止解除部144は、自動焦点撮影部12に対し自動的な焦点調整の停止解除を指示し、図示しないオートフォーカス撮影用のタイマで計時を開始する。
【0049】
起動指示を受けた自動焦点撮影通知部15は、所定の電子音を図示しないスピーカから発して、被認証者にオートフォーカス機能を用いた撮影が開始されることを通知する(ステップS16)。これにより、通知を受けた被認証者が固定焦点による撮影のための焦点位置合わせのための動きを止めて静止することにより、オートフォーカスによる焦点調整を円滑に行うことができる。
【0050】
ところで、停止解除の指示を受けた自動焦点撮影部12は、オートフォーカス部121における自動的な焦点調整停止を解除し、被写体に対して自動的に焦点調整を行い、調整された焦点でもってCCD部122は被写体の撮影を行う(ステップS17)。
【0051】
CCD部122で被写体としての目を撮影し、目のイメージデータが生成されると、撮影品質判定部141は、生成されたイメージデータに基づいて、所定の品質基準を満たしているか否かを判定する(ステップS18)。この判定で所定の品質基準を満たしていると判断されたイメージデータは認証部2へ送られ、該認証部2で前記したように被認証者の認証判定が行われる。
【0052】
一方、前記したステップS18で所定の品質基準を満たしてないと判断されると、オートフォーカス撮影用のタイマにおけるタイムアウトの確認が行われ(ステップS19)、予め設定された経過時間に達していないとき、すなわちタイムアウトしていなければ前記したステップS17からの自動的な焦点調整による撮影を繰返す。
尚、前記したステップS19において、タイムアウトが確認されると、撮影失敗と判断して撮影を終了する。
【0053】
前記したように、実施例2の生体認証装置20によれば、タイムアウトするまで、自動的な焦点調整の機能を停止して固定焦点で撮影を行い、タイムアウトすると、被認証者にオートフォーカスによる撮影が開始されること音声通知することにより、通知を受けた被認証者が意識して静止することができる。従って、実施例2の生体認証装置20によれば、認証者の静止により、オートフォーカスによる自動的な焦点調整を円滑に行って撮影することができ、所定の品質基準を満たす良好な撮影結果を迅速に得て本人認証を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
前記した実施例ではアイリス認証を例に説明を行ったが、これに限る必要は無く、非接触により生体の撮影を行う各種の生体認証装置に本発明を適用することができる。
【0055】
前記した実施例では、オートフォーカス機能を用いて撮影が開始されことを音声により、被認証者の聴覚で把握可能に通知する例で説明したが、これに限る必要は無く、例えば発光素子を発光させ、被認証者の視覚で把握可能に通知するように適宜変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例1の生体認証装置のブロック図である。
【図2】イメージデータによって示される目の映像を示す図である。
【図3】隣接する各画素の輝度差を示すグラフである。
【図4】実施例1の生体認証装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施例2の生体認証装置のブロック図である。
【図6】実施例2の生体認証装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 撮影部
2 認証部
10、20 生体認証装置
11 近接センサ部
12 自動焦点撮影部
13 照明部
14 制御部
15 自動焦点撮影通知部
21 照合部
22 認証情報保持部
121 オートフォーカス部
122 CCD部
141 撮影品質判定部
142 自動焦点停止部
143 タイマ部
144 自動焦点停止解除部
145 通知起動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証者の生体を撮影し、撮影結果に基づいて認証を行う生体認証装置において、
被写体に対する撮影焦点を自動的に調整して撮影を行う自動焦点撮影部と、
撮影結果が所定の品質基準を満たしているか否か判定し、所定の品質基準を満たさないとき、前記自動焦点撮影部に再撮影を指示する撮影品質判定部と、
被認証者の近接を検出すると、予め設定されている固定焦点で撮影を行うべく、前記自動焦点撮影部における自動的な焦点調整の停止を指示する自動焦点停止部と、
所定の時間内において、前記固定焦点における撮影で前記所定の品質基準を満たす撮影結果を得ることが出来ないとき、自動的に焦点調整を行って撮影すべく、前記自動焦点撮影部に前記停止指示の解除を指示する自動焦点停止解除部と、を備えることを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
前記生体として、アイリス、網膜、静脈、指紋および顔型の少なくとも何れか一つに基づいて認証を行うことを特徴とする請求項1記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記撮影品質判定部は、前記撮影結果における鮮明度に基づいて品質判定を行うべく、撮影結果の各画素において、近傍の各画素との輝度差分を求め、該輝度差分と所定の閾値とに基づいて判定を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記自動焦点調整による撮影が行われることを、被認証者に通知する自動焦点撮影通知部を備えることを特徴とする請求項1記載の生体認証装置。
【請求項5】
前記自動焦点撮影通知部は、被認証者の視覚および聴覚の少なくとも何れか一つの感覚器官で把握可能に通知することを特徴とする請求項4記載の生体認証装置。
【請求項6】
被認証者の被写体としての生体に対する撮影焦点を自動的に調整して撮影行い、撮影結果に基づいて認証を行う生体認証方法において、
被認証者の近接を検出すると、予め設定されている固定焦点で撮影を行うべく、自動的な焦点調整の機能を停止すること、
撮影結果が所定の品質基準を満たしているか否か判定し、所定の品質基準を満たしていないとき、再撮影を行うこと、
所定の時間内において、前記固定焦点における撮影で前記所定の品質基準を満たす撮影結果を得ることが出来ないとき、自動焦点調整で撮影を行うべく、前記自動焦点の調整停止を解除することを特徴とする生体認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−58377(P2007−58377A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240746(P2005−240746)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】