説明

生体認証装置及び生体認証方法

【課題】生体データの照合にかかる時間を改善することが可能な生体認証装置及び生体認証方法を提供する。
【解決手段】生体データを読み取る生体読取部(生体読取部13)と、前記生体データとの照合用データを複数記憶する照合用データ記憶部(記憶部14)と、前記複数の照合用データの読み出しに係る優先順位が設定された優先順位テーブルを記憶する優先順位テーブル記憶部(記憶部14)と、前記優先順位を前記優先順位テーブルに登録する一方、前記生体読取部により生体データが読み取られる毎に、前記優先順位テーブルに登録された前記優先順位に基づいた順序で前記照合用データを順次読み出して照合する制御部(制御部10)と、前記制御部による照合結果を報知する報知部(表示部12)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体データの認証を行う生体認証装置及び生体認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティ保護のため、人物が有する指紋、静脈、虹彩、網膜、掌形、顔貌、体型、声紋等の生体データを用いた生体認証が実現されている。また、複写機やMFP(Multi Function Printer)等の画像形成装置が人物照合機能を有する構成も考えられている。この生体データによる認証では、IDカード等の所有物認証のような紛失の問題がないため利便性が高く、なりすましが困難であるという特徴と有しているが、照合用の生体データ(以下、照合用データという)数が増加するとともに照合にかかる時間が増大し、利便性が低下するという問題がある。
【0003】
そのため、従来、複製した照合用指紋情報(照合用データ)の記憶位置を、アクセス頻度の高い順番に並べることで、照合処理の高速化を図った技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、複数の登録生態情報(照合用データ)により、一致度が所定レベル以上の登録者を段階的に絞り込むことで、照合処理の高速化を図った認証装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−149344号公報
【特許文献2】特開2003−186847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1、2の技術では、累積されたアクセスの実績に基づいて生体認証が行われるため、利用頻度の高い利用者の認証時間と比較して、利用頻度の低い利用者の照合にかかる時間が増大する可能性がある。例えば、人事異動等により、新たな利用者の照合用データが認証装置に記憶されたとすると、この新たな利用者の照合用データの優先順位は、所定の回数以上アクセス(認証)しない限り最も低く設定されることになるため、既存の利用者と比較して照合にかかる時間が増大する可能性がある。
【0005】
本発明の課題は、生体データの照合にかかる時間を改善することが可能な生体認証装置及び生体認証方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
生体データを読み取る生体読取部と、
前記生体データとの照合用データを複数記憶する照合用データ記憶部と、
前記複数の照合用データの読み出しに係る優先順位が設定された優先順位テーブルを記憶する優先順位テーブル記憶部と、
前記優先順位を前記優先順位テーブルに登録する一方、前記生体読取部により生体データが読み取られる毎に、前記優先順位テーブルに登録された前記優先順位に基づいた順序で前記照合用データを順次読み出して照合する制御部と、
前記制御部による照合結果を報知する報知部と、
を備えたことを特徴としている。
【0007】
また、上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、
生体データを読み取る生体読取部と、
前記生体データとの照合用データを複数記憶する照合用データ記憶部と、
前記複数の照合用データの読み出しに係る優先順位が設定された優先順位テーブルを記憶する優先順位テーブル記憶部と、
前記生体読取部により生体データが読み取られる毎に、前記優先順位に基づいた順序で前記照合用データを順次読み出して照合し、この照合結果が一致した場合に、当該一致した照合用データの優先順位を上位に変更するとともに、他の照合用データの優先順位を前記一致した照合用データの優先順位の変更に応じた順位に前記優先順位テーブルを更新する制御部と、
前記制御部による照合結果を報知する報知部と、
を備えたことを特徴としている。
【0008】
更に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記生体読取部は、生体データとして照合対照となる利用者の指紋、静脈、虹彩、網膜、掌形、顔貌、体型、声紋のうち少なくとも1つを読み取ることを特徴としている。
【0009】
また、上記課題を解決するため、請求項4に記載の発明は、
生体データを読み取る生体読取工程と、
前記生体データとの照合用データを複数記憶する照合用データ記憶工程と、
前記複数の照合用データの読み出しに係る優先順位が設定された優先順位テーブルを記憶する優先順位テーブル記憶工程と、
前記優先順位を前記優先順位テーブルに登録する一方、前記生体読取工程で生体データが読み取られる毎に、前記優先順位テーブルに登録された前記優先順位に基づいた順序で前記照合用データを順次読み出して照合する制御工程と、
前記制御工程による照合結果を報知する報知工程と、
を含むことを特徴としている。
【0010】
また、上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明は、
生体データを読み取る生体読取工程と、
前記生体データとの照合用データを複数記憶する照合用データ記憶工程と、
前記複数の照合用データの読み出しに係る優先順位が設定された優先順位テーブルを記憶する優先順位テーブル記憶工程と、
前記生体読取工程で生体データが読み取られる毎に、前記優先順位に基づいた順序で前記照合用データを順次読み出して照合し、この照合結果が一致した場合に、当該一致した照合用データの優先順位を上位に変更するとともに、他の照合用データの優先順位を前記一致した照合用データの優先順位の変更に応じた順位に前記優先順位テーブルを更新する制御工程と、
前記制御工程による照合結果を報知する報知工程と、
を含むことを特徴としている。
【0011】
更に、請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、
前記生体読取工程は、生体データとして照合対照となる利用者の指紋、静脈、虹彩、網膜、掌形、顔貌、体型、声紋のうち少なくとも1つを読み取ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、照合用データを読み出す優先順位を優先順位テーブルに登録することができ、この優先順位テーブルに登録された優先順位に基づいた順序で照合用データを読み出して、生体データとの照合を行う。これにより、利用者の利用状況に応じた優先順位を予め設定しておくことが可能となるため、生体データの照合にかかる時間を改善することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、優先順位テーブルに設定された優先順位に基づいた順序で照合用データを読み出し、生体データとの照合を行い、この照合結果が一致した場合に、当該一致した照合用データの優先順位を上位に変更するとともに、他の照合用データの優先順位を前記一致した照合用データの優先順位の変更に応じた順位に前記優先順位テーブルを更新する。これにより、次回の認証時から照合用データを優先的に読み出すことが可能となるため、生体データの照合にかかる時間を改善することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、生体データとして指紋、静脈、虹彩、網膜、掌形、顔貌、体型、声紋のうち少なくとも1つを用いることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、照合用データを読み出す優先順位を優先順位テーブルに登録することができ、この優先順位テーブルに設定された優先順位に基づいた順序で照合用データを読み出し、生体データとの照合を行う。これにより、利用者の利用状況に応じた優先順位を予め設定しておくことが可能となるため、生体データの照合にかかる時間を改善することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、優先順位テーブルに設定された優先順位に基づいた順序で照合用データを読み出し、生体データとの照合を行い、この照合結果が一致した場合に、当該一致した照合用データの優先順位を上位に変更するとともに、他の照合用データの優先順位を前記一致した照合用データの優先順位の変更に応じた順位に前記優先順位テーブルを更新する。これにより、次回の認証時から照合用データを優先的に読み出すことが可能となるため、生体データの照合にかかる時間を改善することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、生体データとして指紋、静脈、虹彩、網膜、掌形、顔貌、体型、声紋のうち少なくとも1つを用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されないものとする。
【0019】
<第1の実施形態>
まず、図1を参照して本実施形態の画像処理システム100の構成を説明する。
図1は、本発明の生体認証装置を適用した画像形成装置1の内部構成を示した図である。図1に示すように、画像形成装置1は、制御部10、操作部11、表示部12、生体読取部13、記憶部14、画像読取部15、用紙収納・搬送部16、画像形成部17、通信部18、I/F部19等を備えて構成され、各部はバス20を介して接続されている。
【0020】
制御部10は、不図示のCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等からなり、CPUは、RAMの所定領域を作業領域として、記憶部14に予め記憶された各種制御プログラムとの協働により各種処理を実行し、画像形成装置1を構成する各部の動作を統括的に制御する。
【0021】
具体的に、制御部10は、本画像形成装置1の利用に際して、後述する生体認証処理を実行し、生体読取部13により読み取られた生体データに対して、記憶部14に記憶された複数の照合用データ141を、優先順位テーブル142に予め登録された優先順位に基づいた順序で1対N照合し、生体データと照合用データ141とが一致した場合にのみ本画像形成装置1の利用を許可するよう制御する。
【0022】
また、制御部10は、画像読取部15により読み取られた画像データを記憶部14に記憶させる。また、制御部10は、用紙収納・搬送部16及び画像形成部17を制御することで、画像読取部15により読み取られた画像データや、通信部18を介して入力された文書データ等を印刷用紙に記録させる。
【0023】
操作部11は、入力キー等を備え、ユーザから操作入力された情報を入力信号として受け付け、その入力信号を制御部10に出力する。画像形成装置1の管理者又は利用者は、操作部11を介して記憶部14に記憶された照合用データ141の読み出しに係る優先順位を設定することが可能となっており、この設定された優先順位と照合用データ141との関係を定義した優先順位テーブル142が記憶部14に記憶される。
【0024】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、制御部10からの表示信号に基づいて各種情報を表示する。また、表示部12は、操作部11と一体的にタッチパネルを構成する態様としてもよい。
【0025】
生体読取部13は、人間の身体的な特徴を表す指紋、静脈、虹彩、網膜、掌形、顔貌、体型、声紋等の各種生体データのうち、少なくとも1つの生体データを読み取ることが可能な装置であって、読み取り対照となる生体データに応じた種々の機能部から構成されている。生体読取部13は、制御部10の制御の下、画像形成装置1の利用者の生体データを読み取り、この読み取った生体データを制御部10へと出力する。
【0026】
記憶部14は、磁気的、光学的記録媒体若しくは半導体メモリで構成される不揮発性の記憶媒体を備え、画像形成装置1の動作に必要なプログラム及び当該プログラムの実行に係るデータを記憶する。
【0027】
また、記憶部14は生体読取部13により読み取られる生体データと照合を行うための複数の照合用データ141をデータIDと対応付けて予め記憶(管理)している。ここで、データIDとは、例えば、利用者の従業員番号等の各利用者(照合用データ)を一意に識別可能な識別情報であって、このデータIDに基づいて照合用データは管理されている。また、記憶部14は、操作部11を介して設定された優先順位と、照合用データ141との関係を示した優先順位テーブル142を記憶する。
【0028】
図2は、記憶部14に記憶された優先順位テーブル142の一例を示した図である。図2に示すとおり、優先順位(1、2、3、4、5…9999、10000)と当該優先順位に対応する各照合用データ141のデータIDとが対応付けて設定されている。なお、本実施形態では、1位が最も優先順位が高いことを意味しており、この数値の増加に伴って優先順位が順次低くなるものとする。
制御部10は、後述する生体認証処理の際に、この優先順位テーブル142に設定されたデータIDを優先順位に基づいた順序で参照することで、各データIDに対応する照合用データ141を順次読み出し、生体読取部13により読み取られた利用者の生体データとの照合を行う。
【0029】
図1に戻り、画像読取部15は、原稿に光を照射する光源、原稿からの反射光を光電変換するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等のイメージセンサ、原稿に照射する光を走査する走査部、イメージセンサにより読み取られた電気信号に各種変換・処理を施し画像データを出力する画像処理部等(何れも不図示)を有する。画像読取部15は、制御部10の制御の下、原稿に記録された画像を読み取って画像データを生成し、制御部10に出力する。
【0030】
用紙収納・搬送部16は、記録用紙を収納する用紙収納部、該用紙収納部に用紙が収納されているか否かを検知する用紙有無検知部、用紙収納部に収納された記録用紙の用紙サイズを検知するサイズ検知部、用紙収納部に収納された記録用紙を搬送する搬送部等(何れも不図示)を有している。用紙収納・搬送部16は、制御部10の制御の下、画像データに応じた又は操作部11を介して指示された用紙サイズの記録用紙を、画像形成部17の画像形成位置まで搬送し、画像形成後の記録用紙を排紙する。
【0031】
画像形成部17は、インクジェット式、レーザ式、熱転写式、ドットインパクト式等のプリンタであり、制御部10から入力される画像データに基づいて、記録用紙上に画像を形成して記録する。
【0032】
通信部18は、モデム(MODEM:Modulator/DEModulator)、ターミナルアダプタ(Terminal Adapter)、LANアダプタ等であって、制御部10の制御下、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続される他の機器との間で授受される各種情報の通信制御を行う。
【0033】
I/F部19は、他の機器とのデータ通信を行う通信インターフェイスであって、例えば、USB(universal serial bus)やIEEE1284、IEEE1394、PCMCIA等により構成されている。なお、本実施形態では、照合用データ141及び優先順位テーブル142を記憶部14に記憶する態様としたが、I/F部19に外部記憶装置を接続した場合には、この外部記憶装置に照合用データ141及び/又は優先順位テーブル142を記憶させる態様としてもよい。
【0034】
以下、図3を参照して本実施形態の画像形成装置1の動作について説明する。
図3は、本実施形態の画像形成装置1における生体認証処理の手順を示した図である。なお、図3の各処理は、制御部10と、記憶部14に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。
【0035】
まず、生体読取部13から入力される生体の検知信号に基づいて本生体認証処理が開始され(ステップS11;Yes)、この生体読取部13により読み取られた生体データが取得(入力)される(ステップS12)。
【0036】
次いで、優先順位テーブル142のデータIDに基づいて照合用データを読み出す際の優先順位を指定するポインタPが、1位(P=1)に設定される(ステップS13)。
【0037】
続いて、優先順位テーブル142から、現在のポインタPに対応するデータIDが特定され(ステップS14)、このデータIDに対応付けて記憶された照合用データ141が記憶部14から読み出される(ステップS15)。そして、この読み出された照合用データ141と、ステップS12で取得された生体データとが照合され(ステップS16)、両データが一致するか否かが判定される(ステップS17)。
【0038】
ここで、照合用データ141と生体データとが一致すると判定された場合には(ステップS17;Yes)、生体データと照合用データ141とが一致した旨を示す情報(例えば、「認証に成功しました」等の文字情報)が表示部12に表示されることで、利用者に通知された後(ステップS18)、本処理は終了する。
【0039】
一方、ステップS17において、照合用データ141と生体データとが一致しないと判定された場合には(ステップS17;No)、この生体データに対して記憶部14に記憶された全ての照合用データ141を照合したか否かが判定される(ステップS19)。ここで、未照合の照合用データ141が存在すると判定された場合には(ステップS19;No)、ポインタPが1インクリメント(P=P+1)されることで優先順位が1位下げられた後(ステップS20)、ステップS14へと再び戻る。
【0040】
一方、ステップS19において、生体データに対して全ての照合用データ141を照合したと判定された場合には(ステップS19;Yes)、生体データと照合用データ141とが一致しなかった旨を示す情報(例えば、「照合用データが未登録です」等の文字情報)が表示部12に表示されることで、利用者に通知された後(ステップS21)、本処理は終了する。
【0041】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1によれば、優先順位テーブル142に設定された優先順位に基づいた順序で照合用データ141を読み出し、生体データとの照合を行う。これにより、利用者の利用状況に応じた優先順位を予め設定しておくことが可能となるため、生体データの照合にかかる時間を改善することができる。
【0042】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、説明の簡略化のため、上述した第1の実施形態と同一要素については同符号を付し、その詳細な説明は適宜省略する。
【0043】
まず、図1を参照して、本実施形態の画像形成装置1の内部構成について説明する。
本実施形態の制御部10は、本画像形成装置1の利用に際して、後述する生体認証処理を実行し、生体読取部13により読み取られた生体データに対して、記憶部14に記憶された複数の照合用データ141を、優先順位テーブル142に予め登録された優先順位に基づいた順序で順次照合することで画像形成装置1の利用者を認証し、生体データと照合用データ141とが一致した場合にのみ本画像形成装置1の利用を許可するよう制御する。
【0044】
ここで、制御部10は、生体データと一致した照合用データ141の優先順位を上位に変更するとともに、他の照合用データ141の優先順位を前記一致した照合用データ141の優先順位の変更に応じた順位に優先順位テーブル142を更新する。
【0045】
以下、図4〜6を参照して本実施形態の画像形成装置1の動作について説明する。
図4は、本実施形態の画像形成装置1における生体認証処理の手順を示した図である。なお、図4の各処理は、制御部10による制御の下、記憶部14に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。
【0046】
まず、生体読取部13から入力される生体の検知信号に基づいて本生体認証処理が開始され(ステップS31;Yes)、この生体読取部13により読み取られた生体データが取得(入力)される(ステップS32)。
【0047】
次いで、優先順位テーブル142のデータIDに基づいて照合用データを読み出す際の優先順位を指定するポインタPが、1位(P=1)に設定される(ステップS33)。
【0048】
続いて、優先順位テーブル142から、現在のポインタPに対応するデータIDが特定され(ステップS34)、このデータIDに対応付けて記憶された照合用データ141が記憶部14から読み出される(ステップS35)。そして、この読み出された照合用データ141と、ステップS12で取得された生体データとが照合され(ステップS36)、両データが一致するか否かが判定される(ステップS37)。
【0049】
ここで、照合用データ141と生体データとが一致すると判定された場合には(ステップS37;Yes)、生体データと照合用データ141とが一致した旨を示す情報(例えば、「認証に成功しました」等の文字情報)が表示部12に表示されることで、利用者に通知された後(ステップS38)、ステップS39の優先順位テーブル更新処理へと移行する。以下、図5を参照して、ステップS39の優先順位テーブル更新処理を説明する。
【0050】
図5は、優先順位テーブル更新処理の手順を示した図である。
まず、現在のポインタPに、1位を指示する「1」が設定されているか否かが判定される(ステップS40)。ここで、ポインタPに「1」が設定されていると判定された場合には(ステップS40;Yes)、本処理及び生体認証処理は直ちに終了する。
【0051】
一方、ステップS40において、ポインタPに「2」以上の値が設定されていると判定された場合には(ステップS40;No)、現在のポインタPに対応する優先順位のデータIDが不図示のRAM又は記憶部14の所定の領域に一時記憶された後(ステップS41)、現在のポインタPの値から1デクリメントされたP’(P’=P−1)に対応するデータIDが特定され(ステップS42)、この特定されたデータIDが現在のポインタPに対応する優先順位に対応付けて設定されることで、優先順位が1位繰り下げられる(ステップS43)。
【0052】
次いで、現在のポインタPに「2」が設定されているか否かが判定され、「3」以上の値が設定されていると判定された場合には(ステップS44;No)、現在のポインタPがP’に設定されることで(P=P’)、優先順位が1つ上位へと設定された後(ステップS45)、ステップS42へと再び戻る。
【0053】
一方、ステップS44において、現在のポインタPに「2」が設定されていると判定された場合には(ステップS44;Yes)、ステップS41において一時記憶されたデータIDが優先順位の最も高い1位に対応付けて設定され(ステップS46)、本処理及び生体認証処理は直ちに終了する。
【0054】
以下、図2及び図6を参照して、優先順位テーブル更新処理の動作を説明する。
図2で示した優先順位テーブル142を記憶部14に記憶した画像形成装置1において、制御部10は、当該画像形成装置1の利用者の生体データと、優先順位が4位のデータIDの照合用データ141との照合が一致したと判定すると、上記した優先順位テーブル更新処理(ステップS39)を実行することにより、図6に示すように、元4位のデータIDを1位へと繰り上げるとともに、元1位から元3位までのデータIDを2位から4位へと繰り下げる。
【0055】
このように、生体データと照合用データ141との照合が一致した場合に、当該一致した照合用データ141に対応するデータIDの優先順位を最上位(1位)に変更することで、この照合用データ141を優先的に読み出すよう設定し、他の照合用データ141に対応するデータIDの優先順位を前記一致した照合用データ141に対応するデータIDの優先順位の変更に応じた順位に変更する。なお、本実施形態では、生体データと一致した照合用データ141に対応するデータIDの優先順位を最上位に繰り上げる態様としたが、元の優先順位から上位の優先順位へと変更を行う態様であれば、その変更後の優先順位は特に問わないものとする。
【0056】
図4に戻り、ステップS37において、照合用データ141と生体データとが一致しないと判定された場合には(ステップS37;No)、この生体データに対して記憶部14に記憶された全ての照合用データ141を照合したか否かが判定される(ステップS47)。ここで、未照合の照合用データ141が存在すると判定された場合には(ステップS47;No)、ポインタPが1インクリメント(P=P+1)されることで優先順位が1位下げられた後(ステップS48)、ステップS34へと再び戻る。
【0057】
一方、ステップS47において、生体データに対して全ての照合用データ141を照合したと判定された場合には(ステップS47;Yes)、生体データと照合用データ141とが一致しなかった旨を示す情報(例えば、「照合用データが未登録です」等の文字情報)が表示部12に表示されることで、利用者に通知された後(ステップS49)、本処理は終了する。
【0058】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1によれば、優先順位テーブル142に設定された優先順位に基づいた順序で照合用データ141を読み出し、生体データとの照合を行い、この照合結果が一致した場合に、当該一致した照合用データ141の優先順位を上位に変更するとともに、他の照合用データ141の優先順位を前記一致した照合用データ141の優先順位の変更に応じた順位に優先順位テーブル142を更新する。これにより、次回の認証時から照合用データ141を優先的に読み出すことが可能となるため、生体データの照合にかかる時間を改善することができる。
【0059】
上記実施形態における画像形成装置1の細部構成及び詳細動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、照合用データ141を記憶部14に予め記憶する態様としたが、これに限らず、図7に示すように、データベース等のデータ管理領域を有した記憶部31を備えた生体データサーバ3に記憶する態様としてもよい。ここで、画像形成装置1と生体データサーバ3とは、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して相互に通信可能に接続されているものとする。
【0061】
この態様において、制御部10は、生体データサーバ3の記憶部31に記憶された照合用データ311を、定期的又は随時取得(ダウンロード)し、記憶部14に照合用データ141として記憶するようになっている。このように、複数の画像形成装置1が、1のデータベース装置2に記憶された照合用データ141を共用する態様とすることにより、照合用データ141を一元化することができるため、画像形成装置1毎での照合用データ141の管理を行う必要がなくなり、効率よくシステムを運営することが可能となる
【0062】
また、上記実施形態では、上記した各処理の手順の実行を制御部10と記憶部14に記憶された所定のプログラムとの協働により実現させる態様としたが、これに限らず、専用のハードウエア回路によって実現させる態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の生体認証装置を適用した画像形成装置1の内部構成を示した図である。
【図2】記憶部に記憶された優先順位テーブルの一例を示した図である。
【図3】第1の実施形態の画像形成装置における生体認証処理の手順を示した図である。
【図4】第2の実施形態の画像形成装置における生体認証処理の手順を示した図である。
【図5】優先順位テーブル更新処理の手順を示した図である。
【図6】優先順位テーブル更新処理の動作の一例を説明するための図である。
【図7】本発明の他の態様を説明するための図である。
【符号の説明】
【0064】
1 画像形成装置
10 制御部
11 操作部
12 表示部
13 生体読取部
14 記憶部
141 照合用データ
142 優先順位テーブル
15 画像読取部
16 用紙収納・搬送部
17 画像形成部
18 通信部
19 I/F部
20 バス
3 生体データサーバ
31 記憶部
311 照合用データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体データを読み取る生体読取部と、
前記生体データとの照合用データを複数記憶する照合用データ記憶部と、
前記複数の照合用データの読み出しに係る優先順位が設定された優先順位テーブルを記憶する優先順位テーブル記憶部と、
前記優先順位を前記優先順位テーブルに登録する一方、前記生体読取部により生体データが読み取られる毎に、前記優先順位テーブルに登録された前記優先順位に基づいた順序で前記照合用データを順次読み出して照合する制御部と、
前記制御部による照合結果を報知する報知部と、
を備えたことを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
生体データを読み取る生体読取部と、
前記生体データとの照合用データを複数記憶する照合用データ記憶部と、
前記複数の照合用データの読み出しに係る優先順位が設定された優先順位テーブルを記憶する優先順位テーブル記憶部と、
前記生体読取部により生体データが読み取られる毎に、前記優先順位に基づいた順序で前記照合用データを順次読み出して照合し、この照合結果が一致した場合に、当該一致した照合用データの優先順位を上位に変更するとともに、他の照合用データの優先順位を前記一致した照合用データの優先順位の変更に応じた順位に前記優先順位テーブルを更新する制御部と、
前記制御部による照合結果を報知する報知部と、
を備えたことを特徴とする生体認証装置。
【請求項3】
前記生体読取部は、生体データとして照合対照となる利用者の指紋、静脈、虹彩、網膜、掌形、顔貌、体型、声紋のうち少なくとも1つを読み取ることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体認証装置。
【請求項4】
生体データを読み取る生体読取工程と、
前記生体データとの照合用データを複数記憶する照合用データ記憶工程と、
前記複数の照合用データの読み出しに係る優先順位が設定された優先順位テーブルを記憶する優先順位テーブル記憶工程と、
前記優先順位を前記優先順位テーブルに登録する一方、前記生体読取工程で生体データが読み取られる毎に、前記優先順位テーブルに登録された前記優先順位に基づいた順序で前記照合用データを順次読み出して照合する制御工程と、
前記制御工程による照合結果を報知する報知工程と、
を含むことを特徴とする生体認証方法。
【請求項5】
生体データを読み取る生体読取工程と、
前記生体データとの照合用データを複数記憶する照合用データ記憶工程と、
前記複数の照合用データの読み出しに係る優先順位が設定された優先順位テーブルを記憶する優先順位テーブル記憶工程と、
前記生体読取工程で生体データが読み取られる毎に、前記優先順位に基づいた順序で前記照合用データを順次読み出して照合し、この照合結果が一致した場合に、当該一致した照合用データの優先順位を上位に変更するとともに、他の照合用データの優先順位を前記一致した照合用データの優先順位の変更に応じた順位に前記優先順位テーブルを更新する制御工程と、
前記制御工程による照合結果を報知する報知工程と、
を含むことを特徴とする生体認証方法。
【請求項6】
前記生体読取工程は、生体データとして照合対照となる利用者の指紋、静脈、虹彩、網膜、掌形、顔貌、体型、声紋のうち少なくとも1つを読み取ることを特徴とする請求項4又は5に記載の生体認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−206942(P2007−206942A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24513(P2006−24513)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】