説明

生体認証装置及び生体認証方法

【課題】認証の成功確率を高めていくことが可能な生体認証装置及び生体認証方法を提供する。
【解決手段】生体認証装置1は、予め登録した登録者の身体的特徴と利用者によって入力された身体的特徴との照合を行って利用者の認証を行うものであって、認証装置10を備えている。認証装置10は、生体情報読取部11を介して利用者に入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出し、算出した一致度が基準閾値以上となると判断した場合、利用者が登録者本人であると判断する。また、認証装置10は、算出した一致度が基準閾値未満となると判断した場合、利用者により再入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出し、再入力を経て算出された一致度が基準閾値よりも小さい補助閾値以上となると判断した場合、且つ、暗証番号入力手段を介して利用者に入力された暗証番号が予め登録者により登録された暗証番号と一致すると判断した場合に、利用者が登録者本人であると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証装置及び生体認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指紋、静脈及び声紋などの身体的特徴を予め登録しておき、登録された身体的特徴と、新たに入力された身体的特徴との照合を行って利用者の認証を行う生体認証装置が知られている。このような生体認証装置は、予め登録された身体的特徴と、新たに入力された身体的特徴との一致度を算出し、算出された一致度が所定閾値よりも高い場合に、入力された身体的特徴が登録者本人のものであると判断している。
【0003】
このような身体的特徴の入力において、利用者が入力方法を誤ると、上記一致度が低くなり、利用者が登録者本人であるにも拘わらず、身体的特徴が登録者本人のものであると判断されなくなる場合がある。そこで、基準閾値と、基準閾値よりも低い補助閾値とを記憶し、得られた一致度が基準閾値以上であれば、身体的特徴が登録者本人のものであると判断し、得られた一致度が基準閾値未満且つ補助閾値以上であれば、暗証番号の入力を促して暗証番号が正確なものである場合に、身体的特徴が登録者本人のものであると判断する生体認証装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この装置によれば、基準閾値よりも低い補助閾値を用いることによるセキュリティ性の低下を暗証番号の入力によって補完して、セキュリティ性の低下を防止する。さらに、この装置によれば、登録者本人による身体的特徴の入力方法に多少の誤りなどがあっても補助閾値以上の一致度が得られれば、暗証番号の入力によって、入力された身体的特徴が登録者本人のものであると判断することができる。
【特許文献1】特開2001−290779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来装置において、身体的特徴の入力方法に多少の誤りがある登録者は、当該装置が元々身体的特徴の入力と暗証番号の入力とを行うものであると誤認する可能性があり、登録者本人による身体的特徴の入力に多少の誤りがあることなど知ることができない。このため、登録者は誤りがある入力方法のまま生体認証装置を使用し続けることとなってしまう。
【0006】
また、従来装置が入力方法に多少の誤りがある事実を通知したとしても、次回使用するまでの期間が長ければ、誤りがあった事実すら忘れ、登録者は、再び誤りがある入力方法のまま生体認証装置を使用し続けることとなってしまう。
【0007】
このように、従来装置では、登録者に対して身体的特徴の入力方法を教育することができず、誤りがある入力方法のまま使用され続けてしまう可能性があり、この場合には認証成功率(特に暗証番号の入力を不要とする成功の確率)は低いままとなってしまう。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、認証の成功確率を高めていくことが可能な生体認証装置及び生体認証方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る生体認証装置は、予め登録した登録者の身体的特徴と利用者によって入力された身体的特徴との照合を行って利用者の認証を行うものであって、利用者による身体的特徴の入力を受け付ける生体情報入力手段と、利用者による暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力手段と、予め登録した登録者の身体的特徴と利用者によって入力された身体的特徴との照合を行って利用者の認証を行う認証手段と、を備えている。認証手段は、生体情報入力手段を介して利用者に入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出し、算出した一致度が基準閾値以上となると判断した場合、利用者が登録者本人であると判断し、算出した一致度が基準閾値未満となると判断した場合、生体情報入力手段を介して利用者により再入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出し、再入力を経て算出された一致度が基準閾値よりも小さい補助閾値以上となると判断した場合、且つ、暗証番号入力手段を介して利用者に入力された暗証番号が予め登録者により登録された暗証番号と一致すると判断した場合に、利用者が登録者本人であると判断する。
【0010】
本発明に係る生体認証装置によれば、一致度が基準閾値未満となると判断した場合、基準閾値よりも小さい補助閾値を設定し、身体的特徴の再入力を行わせると共に、暗証番号を入力させる。このため、再度の生体認証については、やや緩やかな条件で行えることとなり、認証成功率を高めることができる。また、緩やかな条件で認証を行うものの暗証番号との併用によりセキュリティ性の低下を抑制することができる。特に、身体的特徴の再入力に関して利用者は、入力(すなわち、指紋認証や静脈認証に関しては指の置き方)を慎重に行うこととなり、登録者は入力方法の再確認等を行い易くなる。これにより、身体的特徴の入力方法の教育ともなり、今後については初回の入力についても認証の成功確率を高めることができ、認証の成功確率を高めていくことができる。
【0011】
また、生体認証装置において、利用者に身体的特徴の入力方法をガイドするガイド手段をさらに備え、ガイド手段は、基準閾値を対象とした利用者による身体的特徴の入力時と、補助閾値を対象とした身体的特徴の再入力時とで、ガイド内容を変更することが好ましい。
【0012】
この生体認証装置によれば、利用者による基準閾値を対象とした利用者による身体的特徴の入力時と、補助閾値を対象とした身体的特徴の再入力時とで、ガイド内容を変更するため、最初の入力に失敗した利用者、すなわち身体的特徴の入力に不慣れな利用者には詳細にガイドすることができる。一方、身体的特徴の入力に慣れた利用者、すなわち最初の入力により認証に成功する利用者には通常のガイドを行うことができる。これにより、生体認証に熟練した利用者には煩わしさを与えず、未熟な利用者のみを対象に正確な身体的特徴の入力を促すことができる。
【0013】
また、生体認証装置において、認証手段は、基準閾値を対象とした利用者による身体的特徴の入力時に、利用者による身体的特徴の入力方法を判断し、ガイド手段は、認証手段により判断された入力方法に応じて、身体的特徴の再入力時のガイド内容を変更することが好ましい。
【0014】
この生体認証装置によれば、認証手段は、利用者による基準閾値を対象とした利用者による身体的特徴の入力時に、利用者による身体的特徴の入力方法を判断する。このため、例えば、指の指紋や静脈の認証を行う場合に、指が浮いている状態や指が端に寄っている状態などを判断することができる。さらに、ガイド手段は、認証手段により判断された入力方法に応じて、身体的特徴の再入力時のガイド内容を変更する。このため、ガイド時に「指を浮かせないで下さい」や「指を真ん中に置いて下さい」などのガイドを行うことができる。これにより、身体的特徴の入力方法について利用者の入力傾向に沿った教育を行うことができ、今後については初回の入力についても認証の成功確率を高めることができる。
【0015】
また、生体認証装置において、ガイド手段は、認証手段により算出された一致度が基準閾値未満となると判断された場合、利用者に身体的特徴の再入力を促し、再入力を経て算出された一致度が補助閾値以上となると判断された場合に、暗証番号の入力を促すことが好ましい。
【0016】
この生体認証装置によれば、ガイド手段は、利用者に身体的特徴の再入力を促した後に暗証番号の入力を促すため、初回の認証に失敗した場合、身体的特徴の再入力までに暗証番号の入力が介在しないこととなり、連続的に身体的特徴の入力を行え、再入力の煩わしさを軽減することができる。
【0017】
また、生体認証装置において、ガイド手段は、認証手段により算出された一致度が基準閾値未満となると判断された場合、利用者に暗証番号の入力を促し、認証手段により暗証番号入力手段を介して入力された暗証番号が予め登録された暗証番号と一致すると判断された場合に、身体的特徴の再入力を促すことが好ましい。
【0018】
この生体認証装置によれば、ガイド手段は、暗証番号の入力を促した後に利用者に身体的特徴の再入力を促すため、初回の認証に失敗した場合、まず暗証番号を入力させて、連続的に身体的特徴の入力を行わせず、一度間隔を置くこととなる。これにより、初回の身体的特徴の入力が適切できなく、再入力についても初回入力時と同じように身体的特徴を再入力してしまう頻度を軽減することができ、身体的特徴の再入力について適切できなくなってしまう事態を抑制することができる。
【0019】
また、生体認証装置において、基準閾値の設定操作が可能な閾値設定手段をさらに備えることが好ましい。
【0020】
この生体認証装置によれば、基準閾値の設定操作が可能な閾値設定手段をさらに備えるため、基準閾値の大きさを生体認証装置が用いられる用途や環境等に応じて設定できることとなる。例えば、生体認証装置を初めて使用する者が多い環境では基準閾値を低くし、生体認証装置に熟練した利用者が多い環境では基準閾値を高くすることなどが可能となる。従って、利便性を向上させることができる。
【0021】
また、生体認証装置において、利用者の種別を判別する利用者判別手段をさらに備え、
閾値設定手段は、利用者判別手段により判別された利用者の種別毎に、基準閾値の設定操作が可能となっていることが好ましい。
【0022】
この生体認証装置によれば、閾値設定手段は、利用者判別手段により判別された利用者の種別毎に、基準閾値の設定操作が可能となっている。このため、例えばゴルフ場において、メンバーには基準閾値を高くし、ビジターには基準閾値を低く設定することなどが可能となる。従って、一層利便性を向上させることができる。
【0023】
また、本発明に係る生体認証方法は、予め登録した登録者の身体的特徴と利用者によって入力された身体的特徴との照合を行って利用者の認証を行う方法であって、利用者に入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出し、算出した一致度が基準閾値以上となると判断した場合、利用者が登録者本人であると判断し、算出した一致度が基準閾値未満となると判断した場合、利用者により再入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出し、再入力を経て算出された一致度が基準閾値よりも小さい補助閾値以上となると判断した場合、且つ、利用者に入力された暗証番号が予め登録者により登録された暗証番号と一致すると判断した場合に、利用者が登録者本人であると判断する。
【0024】
本発明に係る生体認証方法によれば、一致度が基準閾値未満となると判断した場合、基準閾値よりも小さい補助閾値を設定し、身体的特徴の再入力を行わせると共に、暗証番号を入力させる。このため、再度の生体認証については、やや緩やかな条件で行えることとなり、認証成功率を高めることができる。また、緩やかな条件で認証を行うものの暗証番号との併用によりセキュリティ性の低下を抑制することができる。特に、身体的特徴の再入力に関して利用者は、入力(すなわち、指紋認証や静脈認証に関しては指の置き方)を慎重に行うこととなり、登録者は入力方法の再確認等を行い易くなる。これにより、身体的特徴の入力方法の教育ともなり、今後については初回の入力についても認証の成功確率を高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る生体認証装置及び生体認証方法によれば、認証の成功確率を高めていくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る生体認証装置の構成図である。同図に示すように、生体認証装置1は、予め登録した登録者の身体的特徴(指紋、静脈、声紋など)と利用者によって入力された身体的特徴との照合を行って利用者が登録者本人であるか否かの認証を行うものである。この生体認証装置1は、認証装置10と、メモリ20と、液晶タッチパネル装置(暗証番号入力手段、ガイド手段、閾値設定手段)30と、音声出力部(ガイド手段)40と、ICカードリーダ(利用者判別手段)50と、CPU60とを備えている。
【0027】
認証装置10は、利用者から身体的特徴の入力を受け付けたり、受け付けられた身体的特徴が登録者本人のものであるか否かを認証したりするものである。メモリ20は、認証装置10による認証に必要となる各種情報を記憶したものである。液晶タッチパネル装置30は、画像表示によって利用者に身体的特徴の入力方法をガイドしたり、生体認証装置1の管理者が設定操作を行う際の表示を行ったりするものである。また、液晶タッチパネル装置30は、利用者による暗証番号の入力を受け付ける構成ともなっている。音声出力部40は、音声によって利用者に身体的特徴の入力方法をガイドするものである。
【0028】
ICカードリーダ50は、利用者の情報を記憶したICカードを挿入可能なものである。このICカードリーダ50は、ICカードに記憶される情報に基づいて、利用者の種別を判別する機能を有している。例えば、生体認証装置1がゴルフ場に設置されている場合、ICカードリーダ50は、利用者がゴルフ場会員であるメンバーであるか、ゴルフ場非会員であるビジターであるかを判別する機能を有することとなる。CPU60は、生体認証装置1の全体を制御するものであり、他の部位10〜50との情報のやり取り等を行うものである。
【0029】
ここで、認証装置10は、生体情報読取部(生体情報入力手段)11と、認証部(認証手段)12とを有している。生体情報読取部11は、利用者の身体的特徴の入力を受け付けるものであり、身体的特徴が指紋や静脈である場合には撮像装置などによって構成され、身体的特徴が声紋である場合にはマイク等によって構成される。
【0030】
認証部12は、予め登録されメモリ20内に記憶されている登録者本人の身体的特徴と、生体情報読取部11を介して入力された利用者の身体的特徴との照合を行って利用者の認証を行うものである。この認証部12は、一致度算出部12aと、閾値比較部12bと、エラー判断部12cとを有している。
【0031】
一致度算出部12aは、生体情報読取部11を介して入力された利用者の身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出するものである。閾値比較部12bは、一致度算出部12aにより算出された一致度が閾値以上となるかを判断するものである。認証部12は、この閾値比較部12bによる閾値と一致度との比較結果に基づいて、利用者の認証を行う。
【0032】
エラー判断部12cは、利用者による身体的特徴の入力時に、利用者による身体的特徴の入力方法を判断するものである。例えば、生体認証装置1が静脈に基づく生体認証を行うものである場合、エラー判断部12cは、指らしきものが生体情報読取部11に置かれたにも拘わらず指を検出できない状態、指が生体情報読取部11の端に寄っている状態、指が静止していない状態、及び指が生体情報読取部11より浮いている状態などを判断する。
【0033】
また、メモリ20は、身体的特徴記憶部21と、認証レベル記憶部22と、設定記憶部23と、暗証番号記憶部24を有している。身体的特徴記憶部21は、予め登録された登録者本人の身体的特徴をデータ化して格納しておくものである。認証レベル記憶部22は、生体認証の際の認証レベル、すなわち閾値比較部12bによって一致度と比較される閾値を記憶しているものである。具体的には、認証レベル記憶部22は、基準閾値と、基準閾値よりも小さい補助閾値とを記憶している。
【0034】
設定記憶部23は、生体認証装置1を動作させるうえでの各種の設定内容を記憶したものである。本実施形態に係る生体認証装置1は、所定の設定をしておくことで、生体認証装置1を利用する利用者の種別毎に、閾値比較部12bによって一致度と比較される閾値を異ならせることができる。設定記憶部23は、上記のような利用者の種別毎の閾値の情報を記憶しておくこととなる。一例を挙げると、生体認証装置1がゴルフ場に設置されている場合、生体認証装置1を多く利用しているメンバーは身体的特徴を誤って入力(例えば静脈認証においては指を強く押しつけ過ぎるなど)することが少ないことから、管理者は、メンバーに対して高い閾値を設定しておくように、設定記憶部23に設定内容を記憶させておくことが可能となっている。一方、生体認証装置1をあまり利用していないビジターは身体的特徴を誤って入力する可能性が高いことから、管理者は、ビジターに対して低い閾値を設定しておくように、設定記憶部23に設定内容を記憶させておくことが可能となっている。これにより、メンバーに対してセキュリティ性を向上させることができると共に、ビジターが誤った入力を繰り返してしまい、認証が連続して成功しなくなってしまう可能性を軽減させるようにしている。なお、利用者の種別の情報は、例えば、ICカードリーダ50に挿入されるICカードに記憶されており、ICカードリーダ50がICカードの記憶情報を読み取ることにより判別される。
【0035】
暗証番号記憶部24は、生体認証装置1の使用開始時等に入力された暗証番号を記憶しておくものである。使用開始時等に暗証番号が記憶された後に、利用者が液晶タッチパネル装置30を介して暗証番号を入力すると、記憶された暗証番号がCPU60により読み取られる。そして、CPU60において、読み取られた暗証番号と入力された暗証番号とが一致するか否かが判断されるようになっている。
【0036】
次に、本実施形態に係る生体認証装置1による生体認証方法の概略を説明する。また、以下においては、生体認証装置1が荷物等の預け入れ及び取り出しが可能なロッカー装置に適用される場合を例に説明するものとする。また、以下においては、静脈認証装置を生体認証装置1の一例として説明する。
【0037】
図2は、図1に示す液晶タッチパネル装置30に表示される初期画像を示す説明図である。図2に示すように液晶タッチパネル装置30には、「預け入れは「1」を 取り出しは「3」を押して下さい」といった表示がされている。ここで、利用者が、液晶タッチパネル装置30のテンキーから「1」を選択して押下したとする。これにより、CPU60は、預け入れ処理を実行する。
【0038】
預け入れ処理において、まず、CPU60は、生体情報の登録を指示する。この際、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40を制御し、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は登録を指示する旨のガイドを行う。例えば、液晶タッチパネル装置30は「中指を読み取り装置に乗せて下さい」と画像表示し、音声出力部40は同様に「中指を読み取り装置に乗せて下さい」と音声出力する。
【0039】
以上のガイドにより、利用者が中指を所定箇所に載置し、生体情報読取部11が身体的特徴である静脈の情報を読み取る。そして、CPU60は、生体情報読取部11により読み取られた身体的特徴をデータ化(特徴点の抽出)を行い、身体的特徴記憶部21は、データ化された身体的特徴を記憶する。
【0040】
次に、CPU60は、暗証番号の登録を指示する。この際、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40を制御し、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は暗証番号の登録を指示する旨のガイドを行う。例えば、液晶タッチパネル装置30は「テンキーを操作して4桁の暗証番号を入力して下さい」と画像表示し、音声出力部40は同様に「テンキーを操作して4桁の暗証番号を入力して下さい」と音声出力する。
【0041】
その後、CPU60は、ロッカーのボックスの扉を解錠する信号を送信し、ボックスの扉を解錠させる。これにより、利用者(この時点では登録者)は、ボックス内に荷物等を預け入れることができる。そして、CPU60は、登録者が扉を閉じたことを検出して、ボックスの扉を施錠させる信号を送信し、ボックスの扉を施錠させる。以上により預け入れ処理は終了する。
【0042】
また、利用者が、液晶タッチパネル装置30のテンキーから「3」を選択して押下したとする。これにより、CPU60は、取り出し処理を実行する。取り出し処理において、まず、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40を制御し、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は身体的特徴である静脈の情報の入力を促すガイドを行う。
【0043】
次いで、認証部12の一致度算出部12aは、生体情報読取部11を介して利用者に入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出する。その後、閾値比較部12bは、一致度算出部12aにより算出された一致度が基準閾値以上となるか否かを判断する。閾値比較部12bにより基準閾値以上となると判断された場合、認証部12は、利用者が登録者本人であると判断する。そして、CPU60は、ロッカーのボックスの扉を解錠する信号を送信し、ボックスの扉を解錠させる。これにより、登録者は、ボックス内に荷物等を取り出すことができる。そして、CPU60は、登録者が扉を閉じたことを検出して、ボックスの扉を施錠させる信号を送信し、ボックスの扉を施錠させる。
【0044】
一方、閾値比較部12bにより基準閾値未満となると判断された場合、認証部12は、基準閾値よりも小さい補助閾値を設定する。そして、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40を制御し、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40から身体的特徴である静脈の情報の再入力を促すガイドを行う。
【0045】
ここで、エラー判断部12cは、基準閾値を対象とした利用者による身体的特徴の入力時に、利用者による身体的特徴の入力方法を判断している。すなわち、エラー判断部12cは、指が生体情報読取部11の端に置かれていたり、指が静止していなかったりなどの入力方法を判断している。そして、再入力を促すガイド時においては、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は、基準閾値を対象とした身体的特徴の入力時(すなわち初回入力時)とでガイド方法を変更する。具体的に液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は、基準閾値を対象とした身体的特徴の入力時に「中指を読み取り装置に乗せて下さい」とガイドするが、指が生体情報読取部11の端に置かれていた場合には、再入力時において「中指を読み取り装置の真ん中に正確に乗せて下さい」などとガイドする。また、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は、指が生体情報読取部11から浮いていた場合には、再入力時において「中指を浮かせることなく読み取り装置に乗せて下さい」などとガイドする。
【0046】
そして、身体的特徴である静脈の情報が再入力されると、一致度算出部12aは、生体情報読取部11を介して利用者により再入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出する。その後、閾値比較部12bは、再入力を経て算出された一致度が補助閾値以上となるか否かを判断する。すなわち、閾値比較部12bは、一度認証に失敗した場合には、基準閾値よりも小さい補助閾値により認証を行う。
【0047】
その後、再入力を経て算出された一致度が補助閾値以上となると判断された場合、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40を制御し、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は暗証番号の入力を促すガイドを行う。そして、液晶タッチパネル装置30のテンキーを介して利用者に入力された暗証番号が予め登録者により登録された暗証番号と一致すると判断した場合、認証部12は、利用者が登録者本人であると判断する。そして、CPU60は、ボックスの解錠等を行うこととなる。
【0048】
一方、再入力を経て算出された一致度が補助閾値未満である場合や、暗証番号が一致しない場合、認証部12は、利用者が登録者本人でないと判断し、荷物の取り出し等を禁止することとなる。
【0049】
なお、上記では、身体的特徴の再入力の後に、暗証番号が入力されることとなっているが、これに限らず、暗証番号を入力させ、その後に身体的特徴の再入力が行われてもよい。また、ICカードリーダ50によって読み取られた利用者の種別毎に、基準閾値を変更してもよいし、補助閾値を変更してもよい。
【0050】
次に、本実施形態に係る生体認証装置1による取り出し処理の一例を詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る生体認証装置1による取り出し処理の一例を示すフローチャートである。なお、図3に示す例では、認証レベル記憶部22が第1の閾値と、第1の閾値よりも小さい第2の閾値と、第2の閾値よりも小さい第3の閾値との3つの閾値を記憶している場合を説明する。また、図3に示す例では、基準閾値は第1の閾値であり、補助閾値は第2及び第3の閾値であるとする。
【0051】
取り出し処理において、まず、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40を制御し、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40に身体的特徴の入力をガイドさせる(S1)。このとき、液晶タッチパネル装置30は、例えば「中指を読み取り装置に乗せて下さい」と画像表示し、音声出力部40は同様に「中指を読み取り装置に乗せて下さい」と音声出力する。
【0052】
次に、CPU60は、認証装置10に身体的特徴である静脈について照合を指示する(S2)。これにより、認証装置10は、メモリ20の身体的特徴記憶部21に記憶される身体的特徴のデータを読み出すと共に、認証装置10の生体情報読取部11は、利用者から身体的特徴である静脈の情報を読み取る。そして、一致度算出部12aは、メモリ20の身体的特徴記憶部21に記憶される身体的特徴のデータと、生体情報読取部11にて読み取った身体的特徴のデータとの一致度を算出する。この一致度の算出にあたっては、例えば、静脈の特徴点に基づいて行われる。
【0053】
その後、CPU60は、閾値比較部12bに第1の閾値と一致度とを比較させ、一致度の方が第1の閾値よりも高いか否かを判断させる。そして、認証部12は、閾値比較部12bにより一致度が第1の閾値以上であると判断された場合、利用者が登録者本人であると判断して認証成功を示す信号をCPU60に送信する。一方、認証部12は、閾値比較部12bにより一致度が第1の閾値未満であると判断された場合、認証失敗を示す信号をCPU60に送信する。
【0054】
そして、CPU60は、認証部12から認証に成功したか否かの情報を取得する(S3)。次いで、CPU60は、認証部12からの情報に基づいて、認証に成功したか否かを判断する(S4)。認証に成功していないと判断された場合(S4:NO)、CPU60は、カウンタ(図示せず)のカウント値をインクリメントする(S5)。
【0055】
また、エラー判断部12cは、認証に失敗した場合、どのような身体的特徴の入力方法により、認証に失敗したかを判断している。具体的に、エラー判断部12cは、指らしきものが生体情報読取部11に置かれたにも拘わらず指を検出できない状態、指が生体情報読取部11の端に寄っている状態、指が静止していない状態、及び指が生体情報読取部11より浮いている状態を判断する。そして、CPU60は、どのような状態であったかを示す認証エラーコードをエラー判断部12cから取得する(S6)。具体的に、CPU60は、指らしきものが生体情報読取部11に置かれたにも拘わらず指を検出できない状態である場合、認証エラーコード「1」の情報を受け取り、指が静止していない状態である場合、認証エラーコード「2」の情報を受け取る。また、CPU60は、指が生体情報読取部11より浮いている状態である場合、認証エラーコード「3」の情報を受け取り、指が生体情報読取部11の端に寄っている状態である場合、認証エラーコード「4」の情報を受け取る。
【0056】
そして、CPU60は、取得した認証エラーコードに従って、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40に対して、ガイドを行う旨を指示する(S7)。これにより、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は、認証に失敗したときに、どのように身体的特徴が入力されたかをガイドすることとなる。具体的に、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は、認証エラーコード「1」である場合、「指を検出できません」とガイドし、認証エラーコード「2」である場合、「指が静止していません」とガイドする。また、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は、認証エラーコード「3」である場合、「指が装置から浮いています」とガイドし、認証エラーコード「4」である場合、「指が端に寄っています」とガイドする。
【0057】
その後、CPU60は、認証レベルが「3」であるか、すなわち第3の閾値が設定されているか否かを判断する(S8)。第3の閾値が設定されていないと判断した場合(S8:NO)、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40に信号を送信し、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40にガイドを行わせる(S9)。このとき、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40に、再入力を促すガイドを行わせる。具体的に、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40に、「指を正しく装置に置き、やり直して下さい」とガイドさせる。
【0058】
その後、CPU60は、認証レベルをインクリメントする(S10)。これにより、認証装置10は、現在第1の閾値が設定されている場合、第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定することとなる。また、認証装置10は、現在第2の閾値が設定されている場合、第2の閾値よりも小さい第3の閾値を設定することとなる。そして、処理はステップS2に移行し、身体的特徴である静脈情報の入力、及び、認証が再度実行されることとなる。
【0059】
また、第3の閾値が設定されていると判断した場合(S8:YES)、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40に信号を送信し、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40に荷物の取り出しができない旨のガイドを行わせる(S11)。このとき、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40に、例えば「荷物の取り出しはできません」とガイドさせる。そして、図3に示す処理は終了する。
【0060】
ところで、ステップS4において認証に成功したと判断された場合(S4:YES)、CPU60は、カウンタのカウント値に基づいて、認証NG回数が1回以上であるか否かを判断する(S12)。認証NG回数が1回以上でないと判断した場合(S12:NO)、CPU60は、ロッカーのボックスの扉を解錠する信号を送信し、ボックスの扉を解錠させる。これにより、登録者は、ボックス内に荷物等を取り出すことができる。そして、CPU60は、登録者が扉を閉じたことを検出して、ボックスの扉が施錠する信号を送信し、ボックスの扉を施錠させる。そして、図3に示す処理は終了する。
【0061】
また、認証NG回数が1回以上であると判断した場合(S12:YES)、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40に対して、暗証番号の入力指示を行う(S13)。これにより、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は、暗証番号の入力を行わせるガイドを行うこととなる。このとき、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40に、例えば「暗証番号を入力して下さい」とガイドさせる。
【0062】
その後、CPU60は、液晶タッチパネル装置30から暗証番号の情報を取得する(S14)。そして、CPU60は、取得した暗証番号が、メモリ20の暗証番号記憶部24に記憶されている暗証番号と一致するか否かを判断する(S15)。暗証番号が一致しないと判断した場合(S15:NO)、処理はステップS11に移行し、CPU60は、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40に荷物の取り出しができない旨のガイドを行わせる(S11)。そして、図3に示す処理は終了する。
【0063】
一方、暗証番号が一致したと判断した場合(S15:YES)、CPU60は、ロッカーのボックスの扉を解錠する信号を送信し、ボックスの扉を解錠させる(S16)。これにより、登録者は、ボックス内に荷物等を取り出すことができる。そして、CPU60は、登録者が扉を閉じたことを検出して、ボックスの扉が施錠する信号を送信し、ボックスの扉を施錠させる。これにより、図3に示す処理は終了する。
【0064】
次に、本実施形態に係る生体認証装置1の初期設定処理、すなわち管理者モードについて説明する。図3に示したフローチャートでは、第1の閾値を対象とする認証に失敗した場合に、第2の閾値が設定され、第2の閾値を対象とする認証に失敗した場合に、第3の閾値が設定され、第3の閾値を対象とする認証に失敗した場合に取り出し不可となっていた。管理者モードでは、認証を第1の閾値から始めることなく、第2又は第3の閾値から始めることができるように設定可能となっている。このため、第2の閾値から始めるように設定された場合、第2の閾値が基準閾値となり、第3の閾値のみが補助閾値となる。
【0065】
また、管理者モードでは、ICカードリーダ60に挿入されたICカードに記憶される利用者の種別毎に、閾値の設定操作が可能となっている。すなわち、利用者Aに対しては第1の閾値を基準閾値とし、利用者Bについては第2の閾値を基準閾値とすることなどが可能となる。以下、詳細に説明する。
【0066】
図4は、管理者モードの詳細を示すフローチャートであり、図5は、管理者モードが実行される際に液晶タッチパネル装置30に表示される表示内容を示す説明図である。まず、管理者モードに移行するためには、生体認証装置1の所定箇所に管理キーを挿入し、管理キーを回す。これにより、図5(a)に示すように、ロッカー装置は、管理者モード(オペレータモード)に移行する。そして、図4に示すように、CPU60は、画面上において管理者パスワード(シークレットNo)の入力を指示する(S20)。その後、CPU60は、管理者パスワードが入力され、予め登録された管理者パスワードと一致するか否かを判断する(S21)。一致していないと判断した場合(S21:NO)、処理はステップS20に移行する。
【0067】
一方、一致したと判断した場合(S21:YES)、CPU60は、液晶タッチパネル装置30に図5(b)に示すような管理者モードの初期画面を表示させる(S22)。この画面において、管理者は、テンキーの「0」を押すことにより「帳票」と「設定」とを選択でき、テンキーの「♯」を押すことにより選択項目に決定することができる。そして、CPU60は、「設定」が選択決定されたか否かを判断する(S23)。「設定」が選択決定されていないと判断した場合(S23:NO)、処理はステップS22に移行する。
【0068】
「設定」が選択決定されたと判断した場合(S23:YES)、CPU60は、液晶タッチパネル装置30に図5(c)に示すような各設定選択画面を表示させる(S24)。この画面において、管理者は、テンキーの「0」を押すことにより「一斉解錠」と「一斉施錠」と「認証レベル」とを選択でき、テンキーの「♯」を押すことにより選択項目に決定することができる。また、管理者はテンキーの「*」を押すことにより、図5(a)に示した画面に戻ることもできる(図5(a)の画面に戻る処理については図4に図示せず)。そして、CPU60は、「認証レベル」が選択決定されたか否かを判断する(S25)。「認証レベル」が選択決定されていないと判断した場合(S25:NO)、処理はステップS24に移行する。
【0069】
「認証レベル」が選択決定されたと判断した場合(S25:YES)、CPU60は、液晶タッチパネル装置30に図5(d)に示すような設定モード選択画面を表示させる(S26)。この画面において、管理者は、テンキーの「0」を押すことにより「一括設定」と「利用者毎」とを選択でき、テンキーの「♯」を押すことにより選択項目に決定することができる。また、管理者はテンキーの「*」を押すことにより、図5(a)に示した画面に戻ることもできる(図5(a)の画面に戻る処理については図4に図示せず)。そして、CPU60は、「利用者毎」が選択決定されたか否かを判断する(S27)。「利用者毎」が選択決定されると、例えばゴルフ場のメンバーに対しては第1の閾値を設定し、ビジターに対しては第2の閾値を設定するなど、利用者毎の設定が可能となる。
【0070】
具体的に、「利用者毎」が選択決定されたと判断した場合(S27:YES)、CPU60は、液晶タッチパネル装置30に図5(e)に示すような利用者指定画面を表示させる(S28)。この画面において、管理者は、テンキーの「0」を押すことにより「利用者A」と「利用者B」とを選択でき、テンキーの「♯」を押すことにより選択項目に決定することができる。また、管理者はテンキーの「*」を押すことにより、図5(a)に示した画面に戻ることもできる(図5(a)の画面に戻る処理については図4に図示せず)。そして、CPU60は、「利用者A」又は「利用者B」が選択決定されたか否か、すなわち利用者が選択決定されたか否かを判断する(S29)。利用者が選択決定されていないと判断した場合(S29:NO)、処理はステップS28に移行する。
【0071】
利用者が選択決定されたと判断した場合(S29:YES)、CPU60は、液晶タッチパネル装置30に図5(f)に示すような認証レベル設定画面を表示させる(S30)。この画面において、管理者は、テンキーの数字ボタン(例えば「1」から「3」)を押すことにより認証レベルを入力でき、テンキーの「♯」を押すことにより数値入力した認証レベルに決定することができる。また、管理者はテンキーの「*」を押すことにより、図5(a)に示した画面に戻ることもできる(図5(a)の画面に戻る処理については図4に図示せず)。そして、CPU60は、認証レベルが入力決定されたか否かを判断する(S31)。認証レベルが入力決定されていないと判断した場合(S31:NO)、処理はステップS30に移行する。
【0072】
認証レベルが入力決定されたと判断した場合(S31:YES)、CPU60は、認証レベルを設定し(S32)、液晶タッチパネル装置30に図5(g)に示すような設定完了画面を表示させる。そして、CPU60は、全ての利用者に対して認証レベルが設定されたか否かを判断する(S33)。全ての利用者に対して認証レベルが設定されていないと判断した場合(S33:NO)、処理はステップS29に移行し、再度、利用者毎の認証レベルの選択が行われる。一方、全ての利用者に対して認証レベルが設定されたと判断した場合(S33:YES)、図4に示す処理は終了する。
【0073】
ところで、「利用者毎」が選択決定されていないと判断した場合(S27:NO)、すなわち「一括設定」が選択決定された場合、ステップS34からステップS36に示す処理が実行される。この処理はステップS30からステップS32の処理と同様である。そして、ステップS36の処理終了後、図4に示す処理は終了する。
【0074】
このようにして、本実施形態に係る生体認証装置1及び生体認証方法によれば、一致度が基準閾値未満となると判断した場合、基準閾値よりも小さい補助閾値を設定し、身体的特徴の再入力を行わせると共に、暗証番号を入力させる。このため、再度の生体認証については、やや緩やかな条件で行えることとなり、認証成功率を高めることができる。また、緩やかな条件で認証を行うものの暗証番号との併用によりセキュリティ性の低下を抑制することができる。特に、身体的特徴の再入力に関して利用者は、入力(すなわち、指紋認証や静脈認証に関しては指の置き方)を慎重に行うこととなり、登録者は入力方法の再確認等を行い易くなる。これにより、身体的特徴の入力方法の教育ともなり、今後については初回の入力についても認証の成功確率を高めることができ、認証の成功確率を高めていくことができる。
【0075】
また、利用者による基準閾値を対象とした利用者による身体的特徴の入力時と、補助閾値を対象とした身体的特徴の再入力時とで、ガイド内容を変更するため、最初の入力に失敗した利用者、すなわち身体的特徴の入力に不慣れな利用者には詳細にガイドすることができる。一方、身体的特徴の入力に慣れた利用者、すなわち最初の入力により認証に成功する利用者には通常のガイドを行うことができる。これにより、生体認証に熟練した利用者には煩わしさを与えず、未熟な利用者のみを対象に正確な身体的特徴の入力を促すことができる。
【0076】
また、認証部12のエラー判断部12cは、利用者による基準閾値を対象とした利用者による身体的特徴の入力時に、利用者による身体的特徴の入力方法を判断する。このため、例えば、指の指紋や静脈の認証を行う場合に、指が浮いている状態や指が端に寄っている状態などを判断することができる。さらに、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は、エラー判断部12cにより判断された入力方法に応じて、身体的特徴の再入力時のガイド内容を変更する。このため、ガイド時に「指を浮かせないで下さい」や「指を真ん中に置いて下さい」などのガイドを行うことができる。これにより、身体的特徴の入力方法について利用者の入力傾向に沿った教育を行うことができ、今後については初回の入力についても認証の成功確率を高めることができる。
【0077】
また、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は、利用者に身体的特徴の再入力を促した後に暗証番号の入力を促すため、初回の認証に失敗した場合、身体的特徴の再入力までに暗証番号の入力が介在しないこととなり、連続的に身体的特徴の入力を行え、再入力の煩わしさを軽減することができる。
【0078】
また、液晶タッチパネル装置30及び音声出力部40は、暗証番号の入力を促した後に利用者に身体的特徴の再入力を促すため、初回の認証に失敗した場合、まず暗証番号を入力させて、連続的に身体的特徴の入力を行わせず、一度間隔を置くこととなる。これにより、初回の身体的特徴の入力が適切できなく、再入力についても初回入力時と同じように身体的特徴を再入力してしまう頻度を軽減することができ、身体的特徴の再入力について適切できなくなってしまう事態を抑制することができる。
【0079】
また、液晶タッチパネル装置30により基準閾値の設定操作が可能となっているため、基準閾値の大きさを生体認証装置1が用いられる用途や環境等に応じて設定できることとなる。例えば、生体認証装置1を初めて使用する者が多い環境では基準閾値を低くし、生体認証装置1に熟練した利用者が多い環境では基準閾値を高くすることなどが可能となる。従って、利便性を向上させることができる。
【0080】
また、ICカードリーダ50によって判別された利用者の種別毎に、基準閾値の設定操作が可能となっている。このため、例えばゴルフ場において、メンバーには基準閾値を高くし、ビジターには基準閾値を低く設定することなどが可能となる。従って、一層利便性を向上させることができる。
【0081】
以上、本発明に係る生体認証装置及び生体認証方法を実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0082】
例えば、上記実施形態では、静脈認証及びロッカー装置をメインに説明したが、これに限らず、例えば、指紋認証や声紋認証等であってもよいし、ロッカー装置に限らず、玄関等の通用口を施解錠する装置に適用されてもよいし、特定人のみが操作できる機器の認証に用いられてもよい。
【0083】
また、上記実施形態において、ICカードリーダ50は、メンバー及びビジターを判断しているが、これに限らず、子供、大人及び高齢者を判別するものであってもよい。さらに、利用者の種別を判別できればICカードリーダ50に限らず、利用者の身体的特徴から子供や大人であるなど判別するなど、他の方法によって利用者を判別してもよい。
【0084】
また、上記図3に示すフローチャートでは、第1から第3の閾値による処理を説明したが、これに限らず、生体認証装置1は、4つ以上の閾値を有していてもよい。また、基準閾値と補助閾値とはそれぞれ1つずつであってもよい。
【0085】
また、上記実施形態において、基準閾値と複数の補助閾値とを有し、初回入力時において一致度が基準閾値よりも大きく(所定値以上)下回る場合、複数の補助閾値のうち、最も大きい補助閾値でなく、2番目以上に大きい補助閾値を設定して、次回の認証に用いるようにしてもよい。これにより、順次閾値を下げていき、その度に認証失敗となって利用者が煩わしくなってしまう事態を防止できるからである。具体的に、図3に示す例では、一致度が第1の閾値を大きく下回った場合、第2の閾値を設定せず、第3の閾値を設定するようにしてもよい。
【0086】
さらに、上記実施形態において、エラー判断部12cは、指らしきものが生体情報読取部11に置かれたにも拘わらず指を検出できない状態、指が生体情報読取部11の端に寄っている状態、指が静止していない状態、及び指が生体情報読取部11より浮いている状態している。しかし、これらに限らず、エラー判断部12cは、人差し指が生体情報読取部11に乗せられている状態や、指が強く生体情報読取部11に乗せられている状態など、他の状態を判断できる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態に係る生体認証装置の構成図である。
【図2】図1に示す液晶タッチパネル装置に表示される初期画像を示す説明図である。
【図3】本実施形態に係る生体認証装置による取り出し処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】管理者モードの詳細を示すフローチャートである。
【図5】管理者モードが実行される際に液晶タッチパネル装置に表示される表示内容を示す説明図である。
【符号の説明】
【0088】
1 生体認証装置
10 認証装置
11 生体情報読取部
12 認証部
12a 一致度算出部
12b 閾値比較部
12c エラー判断部
20 メモリ
21 身体的特徴記憶部
22 認証レベル記憶部
23 設定記憶部
24 暗証番号記憶部
30 液晶タッチパネル装置
40 音声出力部
50 ICカードリーダ
60 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め登録した登録者の身体的特徴と利用者によって入力された身体的特徴との照合を行って利用者の認証を行う生体認証装置であって、
利用者による身体的特徴の入力を受け付ける生体情報入力手段と、
利用者による暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力手段と、
予め登録した登録者の身体的特徴と利用者によって入力された身体的特徴との照合を行って利用者の認証を行う認証手段と、を備え、
前記認証手段は、
前記生体情報入力手段を介して利用者に入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出し、
算出した一致度が基準閾値以上となると判断した場合、利用者が登録者本人であると判断し、
算出した一致度が基準閾値未満となると判断した場合、前記生体情報入力手段を介して利用者により再入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出し、
再入力を経て算出された一致度が前記基準閾値よりも小さい補助閾値以上となると判断した場合、且つ、前記暗証番号入力手段を介して利用者に入力された暗証番号が予め登録者により登録された暗証番号と一致すると判断した場合に、利用者が登録者本人であると判断する
ことを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
利用者に身体的特徴の入力方法をガイドするガイド手段をさらに備え、
前記ガイド手段は、前記基準閾値を対象とした利用者による身体的特徴の入力時と、前記補助閾値を対象とした身体的特徴の再入力時とで、ガイド内容を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記認証手段は、前記基準閾値を対象とした利用者による身体的特徴の入力時に、利用者による身体的特徴の入力方法を判断し、
前記ガイド手段は、前記認証手段により判断された入力方法に応じて、身体的特徴の再入力時のガイド内容を変更する
ことを特徴とする請求項2に記載の生体認証装置。
【請求項4】
前記ガイド手段は、前記認証手段により算出された一致度が前記基準閾値未満となると判断された場合、利用者に身体的特徴の再入力を促し、再入力を経て算出された一致度が前記補助閾値以上となると判断された場合に、暗証番号の入力を促す
ことを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の生体認証装置。
【請求項5】
前記ガイド手段は、前記認証手段により算出された一致度が前記基準閾値未満となると判断された場合、利用者に暗証番号の入力を促し、前記認証手段により前記暗証番号入力手段を介して入力された暗証番号が予め登録された暗証番号と一致すると判断された場合に、身体的特徴の再入力を促す
ことを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の生体認証装置。
【請求項6】
前記基準閾値の設定操作が可能な閾値設定手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の生体認証装置。
【請求項7】
利用者の種別を判別する利用者判別手段をさらに備え、
前記閾値設定手段は、前記利用者判別手段により判別された利用者の種別毎に、前記基準閾値の設定操作が可能となっている
ことを特徴とする請求項6に記載の生体認証装置。
【請求項8】
予め登録した登録者の身体的特徴と利用者によって入力された身体的特徴との照合を行って利用者の認証を行う生体認証方法であって、
利用者に入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出し、
算出した一致度が基準閾値以上となると判断した場合、利用者が登録者本人であると判断し、
算出した一致度が基準閾値未満となると判断した場合、利用者により再入力された身体的特徴と、予め登録された登録者の身体的特徴との一致度を算出し、
再入力を経て算出された一致度が前記基準閾値よりも小さい補助閾値以上となると判断した場合、且つ、利用者に入力された暗証番号が予め登録者により登録された暗証番号と一致すると判断した場合に、利用者が登録者本人であると判断する
ことを特徴とする生体認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−157782(P2009−157782A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337196(P2007−337196)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000170598)株式会社アルファ (433)
【出願人】(506226658)株式会社アルファロッカーシステム (39)
【Fターム(参考)】