説明

生体適合性ポリマーに結合させたヒト成長ホルモン

本発明は、活性化された生体適合性ポリマーが2:1以下、好ましくは1:1のモル比でhGHのカルボキシル基に結合する、生体適合性ポリマー−hGH複合体、特にPEG−hGH、調製の方法、及び関連する薬学的組成物に関する。PEG−hGH複合体は、天然hGHの最大20%の活性を有するが、in vivoの半減期は10倍増加する。PEG−hGH複合体は、成長遅延又は成長阻害、特に子供の低身長、及び老化に関連する状態を処置するために治療的に使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、1:1のモル比で生体適合性ポリマーと結合するヒト成長ホルモン(hGH)、その調製方法並びに当該ヒト成長ホルモンを含む薬学的組成物及びキットに関する。治療方法も開示される。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2005年7月22日に出願された米国特許出願第11/187,522号の一部継続出願である。
【0003】
[配列表、表又はコンピュータープログラムリストへの参照]
配列表は24ページとして含まれる。
【背景技術】
【0004】
ヒト成長ホルモン(hGH)は191アミノ酸から成る単一のポリペプチド鎖である(Goeddel DV, et al., 1979, Nature, 231:542-548; Pearlman R, et al., 1993, YJ Wang
and R Pearlman編, Plenum Press, New York, 「タンパク質及びペプチド薬剤の安定性及び特性評価:事例歴」中の「ヒト成長ホルモンの安定性及び特性評価」)。内因性成長ホルモンは、子供及び青年の正常な骨格、結合組織、筋肉及び器官の成長を刺激する役割を有する。それは成人の代謝においても重要な役割を果たす。ソマトロピン(組換え型ヒト成長ホルモン)は、成長ホルモン(hGH)受容体に結合し、成長を促進する様々な生理的な効果をもたらす。成長ホルモンの生物学的作用の多くは、反応組織に対して直接作用するインスリン様成長因子−1によって媒介される(Clark R., 1997, Endocrine Reviews, 18:157-179)。
【0005】
ヒト成長ホルモンの一次構造を下記図1に示す。内因性hGHは脳下垂体前葉において産生される。ヒト成長ホルモンは1956年に最初に単離され、その構造は1972年に同定された(Pearlman R, et al., 1993, YJ Wang and R Pearlman編, Plenum Press, New York, 「タンパク質及びペプチド薬剤の安定性及び特性評価:事例歴」中の「ヒト成長ホルモンの安定性及び特性評価」)。1985年以前には、成長ホルモンはヒト死体から得ていたが、1970年代の終わりに、ヒト成長ホルモンのクローニング及び発現により、内因性hGHの正常機能を全て模倣するいくつかのhGH産物が市場に出まわり入手可能となった(Drake WM, et al., 2001, Endocrine Reviews, 22:425-450)。Genentechのプロトロピン(登録商標)は、元々成長ホルモン欠損による成長阻害を治療するために1980年代中頃にFDAによって承認された。それ以来、hGHの使用に対する他の適用は、慢性腎疾患で見られる発育不全、又はターナー症候群並びに悪液質及びAIDS消耗の治療目的を含めて承認された(Drake WM, et al., ibid.)。
【0006】
成長ホルモン治療における重要な進歩は、長時間作用性のhGH産物が利用可能になったことであるだろう。現在、hGHは子供に1週間当たり6回注射しなくてはならず、週一度の注射は市場に多大な影響を与えるだろう。Genentechは、hGHの長時間作用性製剤(ニュートロピン−デポー)を市場へ出したが、売上げ不振のために市場から撤退した。これは、hGHのデポー形態は、子供の成長率を上昇するのには効果的ではないと小児内分泌学者の間で広く信じられているためであった。本発明の実施の形態は、タンパク質のPEG付加による長時間作用性の成長ホルモンについてより好ましい手法に関する。
【0007】
in vivo及びin vitroで注入される場合、生体適合性ポリマーに結合させたhGHのような、タンパク質又は薬学的活性分子の複合体は大きな利点をもたらす。
生体適合性ポリマーに共有結合で結合された場合、生物学的活性物質は改変された表面特性及び可溶性を示し、それにより水又は有機溶媒への可溶性が増加する。さらに、生体適合性ポリマーの存在は、それらに結合したタンパク質及び/又はポリペプチドをin vivoでより安定させ、タンパク質の生体適合性を増加させると共に免疫反応を減少させ、腸、腎臓、脾臓又は肝臓によるタンパク質のクリアランス率を減少させることができる。
【0008】
GenentechによるhGHのPEG付加に関する以前の試みは、天然のhGHタンパク質と比較して1/400しか活性がないhGH調製物をもたらした。これは、これらの初期のPEG−成長ホルモンの臨床開発を妨げた。目的の比率でのポリマーとの結合後に、hGHのような生物学的活性分子の生物活性を維持することができ、部位特異的な複合体のホモログを得ることができれば、hGHのような分子の臨床有用性は著しく増加するだろう。本発明はこの問題に対処する。
【0009】
生体適合性ポリマー/hGHの比率を2:1未満、好ましくは1:1に保つことにより、安定性が改善された活性hGHが、本明細書において記述されるような方法によって得られた。PEG付加されていないタンパク質の比活性の最大20%を有し、in vivoでの半減期が増加した、PEG付加hGHが提供される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、生体適合性ポリマーが2:1以下のモル比でhGHのカルボキシル基に結合する、生体適合性ポリマー−ヒト成長ホルモン(hGH)複合体に関する。好ましくは、生体適合性ポリマーがPEG−20000又はPEG−30000である。
【0011】
好ましくは、hGHのカルボキシル基がhGHのC末端である。好ましくは、複合体の活性が、複合体を形成していないhGHタンパク質の活性の10〜20%である。より好ましくは、生体適合性ポリマーが1:1のモル比でhGHのカルボキシル基に結合する。さらに好ましくは、生体適合性ポリマーがPEGである。
【0012】
本発明の実施形態は、薬学的に許容可能な量の生体適合性ポリマー−hGH複合体及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物に関する。
【0013】
本発明の実施形態は、生体適合性ポリマー−hGH複合体の調製方法であって、
(a)精製hGHタンパク質を提供する工程、
(b)結合試薬を段階的に追加することによって生体適合性ポリマーを活性化する工程、及び、
(c)活性化された生体適合性ポリマーとhGHのカルボキシル基とを2:1以下のモル比で結合する工程
のうちの1つ又は複数の工程を含む方法に関する。好ましくは、活性化された生体適合性ポリマーに対するhGHのモル比は1:1〜1:20であり、結合試薬に対するhGHの比は1:1〜1:50であり、pHは2〜5の範囲内にある。好ましくは、生体適合性ポリマーが、カルボン酸及び/又は反応性カルボニル基と反応することができる反応性官能基により活性化される。好ましくは、生体適合性ポリマーがPEG−20000又はPEG−30000である。好ましくは、カルボキシル基がhGHのC末端である。
【0014】
好ましい実施形態では、精製されたhGHは
(i)組換え型宿主においてhGHを産生する工程、
(ii)硫酸アンモニウムを使用してhGHを濃縮する工程、及び、
(iii)陰イオン交換クロマトグラフィーによって、濃縮されたhGHを精製する工

のうちの1つ又は複数の工程を含む方法によって提供される。好ましい実施形態では、クロマトグラフィーが、単一ステップとして実行される。
【0015】
好ましい実施形態は、効果的な量の生体適合性ポリマー−hGH複合体を、必要とする患者に投与することによって、成長阻害又は成長遅延を治療する方法に関する。好ましくは、生体適合性ポリマーがPEGである。より好ましくは、PEG−hGHが1:1のモル比で結合する。好ましくは、複合体が、複合体を形成していないhGHタンパク質の10〜20%の活性を有する。好ましい実施形態では、成長阻害又は成長遅延が、ホルモン欠損症、慢性腎疾患、ターナー症候群、悪液質又はAIDS消耗に起因する。好ましくは、複合体が、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて投与される。いくつかの好ましい実施形態では、投与が注射によって行われる。他の好ましい実施の形態では、投与が経口である。好ましくは、組成物が、必要とする患者に1週間当たり2回以下投与される。
【0016】
好ましい実施形態は、2回以下/週の頻度で、PEG−hGHを含む効果的な量の組成物を、必要とする患者に投与することによって、子供の低身長を治療する方法に関する。より好ましくは、PEGが1:1のモル比でhGHのC末端カルボキシル基に結合し、PEG−hGHが、複合体を形成していないhGHの10〜20%の活性を有する。
【0017】
好ましい実施の形態は、効果的な量のPEG−hGHを含む組成物を、必要とする患者に投与することによって、除脂肪筋肉の減少、血圧の上昇、コレステロールの増加、体脂肪の増加、皮膚の張りの消失及び骨密度の低下といった、老化と関連する悪影響を治療する方法に関する。好ましくは、PEGが1:1のモル比でhGHのカルボキシル基に結合する。
【0018】
本発明の実施形態は、好ましくは凍結乾燥された形態の生体適合性ポリマー−hGH複合体と、複合体を再構成するための薬学的に許容可能な担体と、再構成された複合体を必要とする患者に送達するための送達装置とを含むキットに関する。
【0019】
好ましくは、キットはまた、皮膚消毒薬及び手順書を含む。好ましくは、手順書が、1週間当たり2回以下、好ましくは1週間当たり1回、生体適合性ポリマー−hGH複合体組成物を、必要とする患者に投与することを指示する。いくつかの実施形態では、キットは、注射器中にあらかじめ充填されている生体適合性ポリマー−hGH複合体を含む。
【0020】
本発明のさらなる態様、特徴及び利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかとなろう。
【0021】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、発明を実施するための好ましい形態の図面に関連して記載され、これらは例示を意図し、本発明の限定を意図しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
記載される実施形態は本発明の好ましい実施形態を表しているが、変更が本発明の精神から逸脱することなく、当業者に想起されるであろうことが理解される。したがって、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって規定される。
【0023】
本発明の実施形態は、生体適合性ポリマー、特にPEGとhGHの複合体に関し、活性化された生体適合性ポリマーが2:1以下、好ましくは1:1のモル比で生物学的活性hGHのカルボキシル基へ結合する。好ましい実施形態では、参照によって本明細書に援用される米国特許出願第10/947,513号に記述されているように、PEG付加が行われる。簡潔には、EDACのような結合剤はpH2〜5、好ましくは≦3.0でhGH
及び生体適合性ポリマーに段階的に加えられる。
【0024】
別の態様では、本発明の実施形態は、生体適合性ポリマーが生物学的活性hGHのC末端に2:1以下、好ましくは1:1のモル比で結合される、薬学的に許容可能な量の複合体、及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物に関する。
【0025】
本発明の実施形態は、生体適合性ポリマー−生物学的活性hGH複合体であって、生物学的活性hGHのC末端において、2:1以下、好ましくは1:1のモル比で結合させる方法に関する。生物学的活性hGHを組換え法によって産生し、硫酸アンモニウム沈澱及びクロマトグラフィーを使用して精製する。活性化された生体適合性ポリマーに対する生物学的活性hGHのモル比が1:1〜1:20であり、結合試薬に対する生物学的活性hGHの比が1:1〜1:50であり、pHが2〜5の範囲内にあるという条件下で、結合試薬を段階的に追加することにより、精製されたhGHを活性化された生体適合性ポリマーに結合する。
【0026】
生体適合性ポリマー
生物学的活性分子の結合に対して使用される「複合体物質」という用語は、天然ポリマー又は合成ポリマーのような生物学的活性分子へ連結することができる任意の生体適合性ポリマーを意味する。
【0027】
「生体適合性」という用語は、身体において傷害、炎症、免疫反応及び/又は発癌を引き起こすことなく、生物組織又は生物系に生体適合性があり、無毒、非炎症性、及び非発癌性であることを意味する。
【0028】
生体適合性ポリマーは、hGHのような生物学的活性物質と結合される。本発明における有用なポリマーは様々な溶媒中に容易に可溶性であり、約300〜約100000Da、及び好ましくは約2000〜約40000Daの分子量を有する。生体適合性ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシエチレン(POE)、ポリトリメチレングリコール、ポリ乳酸及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミノ酸、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリ(L−リジン)、ポリアルキレンオキシド(PAO)、多糖、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、それらのコポリマー及び他の非免疫原性のポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0029】
本発明の生体適合性ポリマーは直鎖状ポリマーだけでなく、以下のようなポリマーも含むと意図される。本発明の生体適合性ポリマーは、脂肪族リンカー残基によって求核的に置換される、活性化された官能基に連結された可溶性で非抗原性のポリマーを含む(米国特許第5,643,575号及び同第5,919,455号)。また、本発明の生体適合性ポリマーは、中心炭素原子の周囲にポリマーの結合手を有する2つのリンカー断片、タンパク質のような生物学的活性物質に付着するために活性化できる残基、及び水素又はメチル基である側鎖、又は他のリンカー断片を有する、多結合手で単機能性の、加水分解に対して安定したポリマーを含む(米国特許第5,932,462号)。さらに、本発明の生体適合性ポリマーは、ポリマーの官能基がレポーター残基を有するリンカーの結合手を介して生物学的活性物質へ付着している分岐PEGのポリマーを含む(国際公開WO00/33881)。
【0030】
これらの中で、PEGは本発明の最も一般的な生体適合性ポリマーの1つである。一般に、PEGは反復単位、HO−(CH2CH2O)n−Hを有する無毒な親水性ポリマーである。様々なタンパク質が、PEGに結合させた場合、半減期の延長、可溶性の増大、安定性の増大、及び血漿中における免疫原性の減少を示すことが報告される。
【0031】
タンパク質又はペプチドのような生物学的活性物質へ結合したPEG分子の分子量の範囲は、約1000〜100000Daであり、1000Daを超えるPEGの毒性は非常に低いことが既知である。1000〜6000Daの範囲内のPEGは全身へ送達され、腎臓で取り除かれる。40000Daの分子量を有する分岐状PEGは、血液又は肝臓を含む器官に送達され、肝臓で代謝される。
【0032】
PEGは様々な分子量範囲において市販されており、各々のオキシエチレン単位は2〜3の水分子を結合するために接近できるように親水性であり、メトキシポリエチレングリコール由来の1つの末端官能基を持ったPEG誘導体は合成が容易であり、PEGは抗原−抗体反応についての危険性が非常に低く、関連する技術が十分に開発されているので、PEGは最も好ましい生体適合性ポリマーである。
【0033】
生物学的活性物質
「生物学的活性分子」又は「生物学的活性物質」という用語は、活性化された生体適合性ポリマーに結合した全ての求核分子を意味し、それは結合後に生物活性のうちの少なくともいくつかを保持する。好ましい実施形態は、hGHを含む生物学的活性分子に関する。本明細書において使用される「生物活性」という用語は、生理的活性又は薬理学的活性に限定されない。一般的に、生物学的活性分子は天然物質から単離されるか、又は組換えにより若しくは化学的に合成することができ、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、酵素、バイオ医薬、遺伝子、プラスミド又は有機残渣を含む。
【0034】
ヒト成長ホルモン
本明細書において使用される「ヒト成長ホルモン(hGH)」という用語は、ヒト成長ホルモン、及び天然に存在するポリペプチドと同じ機能を有するhGHのアナログ、断片、ホモログ、誘導体又は対立遺伝子多型のような、hGHのバリアントも包含する。本発明による成長ホルモンは、ヒト又は動物のソースから精製されても、化学的又は組換えにより産生されてもよい。hGHの調製物は市販されている。組換えにより生産されたhGHはシントロピン(商標)と呼ばれる。
【0035】
組換え型hGH種の製品は既知であり、参照により本明細書に援用される米国特許第6,566,328号、同第5,962,411号及び同第5,334,531号に教示されている。少なくとも1つのPEGが付着しているhGHは、本明細書において「PEG付加hGH」、「PEG−hGH」、「PEG付加シントロピン(商標)」又は「PEG−シントロピン」と呼ばれる。
【0036】
好ましい実施形態では、組換え型hGHは細菌の宿主細胞を使用して産生される。より好ましくは、細菌の宿主細胞は、溶菌及び組換え型hGHの放出を引き起こすバクテリオファージλによりトランスフェクションされる。さらにより好ましくは、バクテリオファージλは、参照によって本明細書に援用される米国特許第6,773,899号により教示されるように、溶菌を遅延させることが可能である。
【0037】
組換え又はヒト組織ソースからの単離のいずれかにより産生されたhGHタンパク質は、続いて、非限定的に硫酸アンモニウム沈澱、HPLC、イオン交換クロマトグラフィー及び親和性クロマトグラフィーを含むカラムクロマトグラフィー、ゲル排除等を含む、当該技術分野において既知の任意の手段によって精製することができる。好ましい実施形態では、硫酸アンモニウムを使用する濃縮工程の後に、イオン交換クロマトグラフィーと疎水性相互作用クロマトグラフィーとの組合せを使用する精製が続く。最も好ましい実施形態では、硫酸アンモニウムによる濃縮の後に、陰イオン交換カラム、好ましくはQセファロースFFカラムによる単一ステップカラムクロマトグラフイーが行われる。精製された
hGHタンパク質は、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、及びさらにより好ましくは90%を超える純度を有する。
【0038】
生体適合性ポリマー−生物学的活性hGH複合体の調製
生体適合性ポリマーと生物学的活性hGHとを結合するために、ポリマーの末端基のうちの1つは反応性官能基に変換される。この過程は「活性化」と呼ばれ、産物は「活性化された」ポリマーと呼ばれる。例えば、ポリ(アルキレンオキシド)(PAO)を結合するために、ポリマーのヒドロキシル末端基のうちの1つは炭酸のような反応性官能基に変換することができ、室温で可溶性である活性化されたPAOが産生される。この基は、C1〜4末端基を含むmPEG又は他の適切なアルキル置換PAO誘導体のような一置換のポリ(アルキレンオキシド)誘導体を含む。
【0039】
当該技術分野及び本明細書において使用される「反応性官能基」という用語は、生物学的活性hGHに結合するように生体適合性ポリマーを活性化する基又は残基である。
【0040】
本発明の反応性官能基は、カルボン酸及び反応性カルボニル基、例えば第一級アミン、又はヒドラジン官能基及びヒドラジド官能基(アシルヒドラジド、カルバジン酸、セミカルバジン酸、チオカルバジン酸等のような)と反応することができる官能基から選択される。
【0041】
当該技術分野及び本明細書において使用される「カルボキシル基の結合試薬」(以下、結合試薬と呼ぶ)という用語は、hGHのような生物学的活性物質のカルボキシル基と、上記の反応性官能基において活性化された生体適合性ポリマーとを結合するための任意の試薬を意味する。
【0042】
対象となる本発明中のカルボキシル基の結合試薬は、カルボジイミドイル結合試薬、例えばEDAC[N−(3−ジメチル−アミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩]、DIC[1,3−ジイソプロピルカルボジイミド]、DCC[ジシクロヘキシルカルボジイミド]、及びEDC[1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド]を含むが、これらに限定されない。カルボキシル基のための好ましい結合試薬はEDACである。
【0043】
本発明の複合体を調製する方法は、少なくとも生物学的活性分子の内因性生物活性の一部を保持している間に十分な結合が可能という条件下で、活性化された生体適合性ポリマーによる置換反応を実行できる、求核分子を含む生物学的活性hGHを反応させる工程を含んでいる。
【0044】
2:1以下、好ましくは1:1の比の生物学的活性hGH−生体適合性ポリマー複合体は、生物学的活性物質と化学量的に過剰量のポリマーとを反応させることにより得られる。例えば、hGH−PEGの調製では、PEGに対する生物学的活性hGHのモル比は、約1:1〜1:20、より好ましくは1:1〜1:10の範囲内にある。生物学的活性物質のカルボキシル基を活性化する試薬は以下の群から選択されるが、これらに限定されない。例えば、N−(3−ジメチル−アミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC)、3−[2−モルホリニル−(4)−エチル]のような水溶性カルボジイミド基、及びp−トルエンスルホネート、ウッドワード試薬Kのような5−置換イソキサゾリニウム塩が挙げられる。
【0045】
本発明で使用されるEDACに対する生物学的活性hGHのモル比は、約1:1〜1:50、より好ましくは約1:1〜1:30、及び最も好ましくは約1:1〜1:20の範囲内にある。好ましくは、EDACが水溶液中で容易に加水分解されるので、20倍モル
過剰のEDACを1回で加えるのではなく、EDACの追加は6回以上に、好ましくは5回又は6回に分けられる。
【0046】
hGHと活性化されたポリマーとの共役結合反応は、緩衝液として機能する水溶性溶媒のpHに依存する。一般的に、反応緩衝液のpHは2〜5、好ましくは2.5〜4.5の範囲内にある。これらの物質の安定化及び反応収率に対する最適の反応条件は、当該技術分野において既知である。共役結合反応に対する適切な温度は、0〜60℃の範囲、及び好ましくは4〜30℃の範囲内にある。溶媒の温度は、タンパク質又はペプチドの変性温度を上回るべきでない。反応時間は10分〜5時間が好ましい。調製されたhGH複合体は、硫酸アンモニウム沈澱、カラムクロマトグラフィー、膜分離精製又はこれらの過程の組合せによって回収及び精製することができる。
【0047】
薬学的組成物
本発明は、治療上効果的な用量の活性化された生体適合性ポリマー−hGH複合体を有効成分として含む薬学的組成物にも関する。
【0048】
当該技術分野及び本明細書において使用される「薬学的に許容可能な」という用語は、ヒトに投与された場合にアレルギー反応又は同様の反応を引き起こさないことを意味する。
【0049】
薬学的組成物の有効成分としての、生体適合性ポリマー−生物学的活性hGH複合体は、それ自体を使用するか、又は疾患の予防及び治療のための薬学的に許容可能な担体と組み合わせて配合することができる。
【0050】
当該技術分野及び本明細書において使用される、「薬学的に許容可能な担体」という用語は、生物学的活性hGHをある器官又は組織から他の器官又は組織へ運ぶ、薬学的に許容可能な分子、組成物、又は溶液、希釈剤、賦形剤若しくは溶媒のような媒質を意味する。本発明の薬学的組成物は、経口、局所、注射又は非経口経路によって投与することができ、その製剤は有効成分として治療上有効な量の生体適合性ポリマー−生物学的活性hGH複合体を含む。経口投与のための本発明の製剤は、丸剤、錠剤、コーティング錠剤、顆粒、トローチ、ウエハース、エリキシル剤、ハード及びソフトゼラチンカプセル剤、溶液、シロップ剤、エマルジョン、懸濁液又はスプレー等を含み、非経口投与のためには、注射可能な溶液、マイクロカプセル及び貼付剤等が含まれる。
【0051】
薬学的製剤は、薬学的に許容可能な不活性の無機又は有機添加剤の使用によって、既知の方法に従って調製することができる。例えば、ラクトース、トウモロコシデンプン及びその誘導体、タルク、又はステアリン酸及びその塩は、丸剤、錠剤及びハードゼラチンカプセル剤を調製するために使用することができる。ソフトゼラチンカプセル剤及び坐剤の添加剤は、例えば、油、ワックス、半固形又は液状のポリオール、及び天然又は凝固油である。溶液又はシロップ剤の調製のために適切な添加剤は、例えば、水、ショ糖、インベルターゼ、グルコース及びポリオールである。注射可能な溶液の調製のために適切な添加剤は、水、アルコール、グリセロール、ポリオール及び植物油等である。注射可能な溶液は、防腐剤、不活性薬剤、溶解剤及び安定剤の組合せとして使用することができる。局所投与のための製剤も、ガス、希釈剤、滑沢剤及び防腐剤と組み合わせて使用することができる。マイクロカプセル又は移植のために適切な添加剤は、コポリマー又はグリコール酸及び乳酸である。
【0052】
本発明の生体適合性ポリマー−生物学的活性hGH複合体の用量は、当該技術分野において既知であるように、hGHの吸収率、可溶性、患者の年齢、性別、疾患の状態及び重症度等によって変化する。以下で示される実施例4において、天然hGHの最大20%の
活性を保持し、動物の循環において有意に長い(10倍以上長い)半減期を有するPEG付加hGHタンパク質(hGH)が示される。好ましい実施形態では、PEG−hGHは、天然活性の少なくとも1%、より好ましくは5%、さらにより好ましくは10%、及びさらにより好ましくは15%を保持する。好ましい実施形態は、天然hGHの活性の10〜20%を保持する。
【0053】
好ましい実施形態では、本発明によるPEG付加hGHは、in vivoの循環において、天然hGHと比較して、少なくとも3倍、好ましくは少なくとも5倍、さらに好ましくは少なくとも7倍、及びより好ましくは少なくとも10倍長い半減期を有する。
【0054】
PEG−hGHは、非常に容易な投与形態と組み合わせて臨床的有用性を示す潜在能力を明確に有する。好ましい実施形態では、PEG付加hGHの投与は、毎日よりは少ない回数、好ましくは1週間当たり5回以下、より好ましくは1週間当たり4回以下、さらに好ましくは1週間当たり3回以下、さらに好ましくは1週間当たり2回以下、及びさらに好ましくは1週間当たり1回以下である。図10中の動物体重増加アッセイに示されるように、PEG付加hGH又はシントロピン(商標)(組換え型hGH)の毎週の注射は、現在の市場の全てのブランドの構成している天然のhGHを毎日注射した場合の効能に等しい。ヒト成長財団によれば、米国の10000〜15000人の子供が成長ホルモン欠損に起因する成長阻害を抱えていると推測される。このことはhGHの持続放出製剤の必要性を明確に実証している。
【0055】
特に、本発明の生体適合性ポリマー−生物学的活性hGH複合体の投与により、注射間隔が、毎日又は2日につき1回から、毎週又は2週に1回に減少する。したがって、頻繁な投与による薬剤の毒性及び副作用は大幅に減少する。
【0056】
治療上の用途
未改変成長ホルモン(GH)による治療に適している任意の条件も、本発明の実施形態によるPEG−hGHにより治療することができる。特に、本発明の実施形態によるPEG−hGHは、より広範囲な試験で成長ホルモン欠損を確認するが、1年当たり2インチ未満の身長の伸びとして一般に定義される、成長ホルモン(GH)欠損を有する子供を治療するために使用することができる。このGH欠損は、先天性の問題、腫瘍、感染又は頭頸部の腫瘍のためのような放射線処理に起因する。
【0057】
本発明の実施形態によるPEG−hGHは、子宮内成長制限の結果の治療のためにも使用することができる。場合によっては、乳児は、母性栄養、感染症、環境、過剰な母体のアルコール消費又は他の要因に起因して、妊娠時の間に小さくなる可能性がある。PEG−hGHの投与は、この障害を患う子供が成長中に同年代の子供に追いつくことを可能にする。
【0058】
本発明の実施形態によるPEG−hGHは、hGHが成長を刺激するのに効果的であるように、子供の慢性腎機能不全の治療に使用されてもよい。
【0059】
本発明の実施形態によるPEG−hGHは、ターナー症候群を治療するために使用されてもよい。ターナー症候群はGH欠損によって引き起こされないが、GHの投与はターナー症候群を罹患している女児が正常な身長に達することを可能にする。本発明の実施形態によるPEG−hGHは、成長及び除脂肪体重を増加すると共に体脂肪を減少させるために、プラダー−ウィリ症候群の症状の治療に使用されてもよい。
【0060】
本発明の実施形態によるPEG−hGHは、特発性の低身長、すなわち子供の年齢及び性別の平均よりかなり下にある身長を治療するために使用されてもよい。成長ホルモン欠
損症を示さず肉体的に正常であるが、正常な身長の2標準偏差よりも低い身長である子供について、本発明の実施形態によるPEG−hGHは、この子供たちの身長を増加させるために使用することができる。
【0061】
子供の頃成長ホルモン治療を受けている子供は、成人となってもしばしばこの治療から同様に利益を受ける。成人となっても身長が高くなる必要はないであろうが、過剰な脂肪、筋肉質量の減少及び低い体力をもたらす成長ホルモンの不足がまだあるかもしれない。さらに、子供の頃成長ホルモン治療を受けていなかった成人の中には、成人となっても十分な量の成長ホルモンを産生することができないものもいるだろう。GH欠損の症状は、顔面及び腹部付近の脂肪の増加、除脂肪体重レベルの低下、骨損失、縮緬皺をともなう皮膚菲薄化、発汗又は体温調節の不全、性欲低下、睡眠障害、筋力低下、運動能力低下、コレステロール値上昇、インシュリン産生過多及び抑鬱を含む。本発明の実施形態によるPEG−hGHは、これらの患者ための治療計画に使用することができる。
【0062】
GHは、AIDS、熱傷又は外傷による消耗症候群の治療のための成人における使用についてFDAで承認されている。本発明の実施形態によるPEG−hGHは、これらの症状を治療するために使用することができる。
【0063】
GHは老化の影響と戦うのにも有用なことが示されている。老化過程の一部として、GHの産生は減退する。GHの枯渇は、体脂肪の増加(特にウエストのまわりで)、体力の低下、筋肉質量の減少、血圧及びコレステロールの増加並びに健康状態の低下を含む、老化の通常の兆候によって特徴づけられる。本発明の実施形態によるPEG−hGHは、これらの症状を治療するために使用することができる。
【0064】
上述されるような複合体を形成したhGHは、患者又は医療関係者に便利であるように、キットとして提供することができる。キットは、好ましくはあらかじめ測定された用量のhGH複合体を含む。キットは、好ましくは、あらかじめ測定された用量のhGH複合体の1つ又は複数の容器を含む。
【0065】
hGH複合体は、凍結乾燥された形態又は薬学的に許容可能な担体で提供される。hGH複合体が凍結乾燥された形態において提供される場合、好ましくはキットは複合体の再構成のために薬学的に許容可能な担体も含む。
【0066】
好ましい実施形態では、キットは、hGHを治療される個体に送達するための送達装置を含む。送達装置は好ましくは注射器である。いくつかの実施形態では、キットはあらかじめ測定された用量のhGH複合体があらかじめ充填された注射器を含んでもよい。
【0067】
いくつかの好ましい実施形態では、キットはまた、送達装置又は注射器を使用する送達前の皮膚処理のための皮膚消毒薬、包帯及び手順書のうちのいずれかを含んでもよい。
【0068】
以下の実施例は、本発明の範囲内の実施形態をさらに記載及び例示する。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく実施例の多数のバリエーションが可能であるので、実施例は例示目的のみのために示され、本発明を限定するようには意図されない。
【実施例】
【0069】
実施例1 ファージ依存的方法によるヒト成長ホルモンの産生
基本的に、参照によって本明細書に援用される米国特許第6,773,899号で教示されているように、組換え型hGHを調製した。大腸菌BL21(DE3)(NOVAGEN)の培養物を、ヒト成長ホルモン(配列番号4)をコードする化学的に合成された遺伝子の1コピーを含むプラスミドによって形質転換した。翻訳されたアミノ酸配列を、配列番号
5として示す。BL21(DE3)の培養物は、細菌ゲノム中の誘導可能なlac UV5プロモーターの制御下に、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子の単一コピーを含む(Studier et al. (1986) J. Mol. Biol., 189:113-130)。プラスミドpET−24a(+)(NOVAGEN)に、T7プロモーターの制御下にヒト成長ホルモン遺伝子を挿入した。ヒト成長ホルモン遺伝子の発現は、IPTGによるlac UV5プロモーターの誘導によって媒介される細胞中のT7 RNAポリメラーゼの合成後にのみ始まる。
【0070】
大腸菌BL21(DE3)の形質転換体の培養物を、50μg/mlカナマイシンを含むLB培地中で37℃で振盪し、2×108細胞/mlの密度まで増殖させた。次に細胞を、1細菌細胞当たり約10ファージ体の多重度でファージλcI857 Qam117 Ram54に感染させ、約14時間23℃で振盪により培養した。ファージと同時に、1 mM
IPTGを培地へ加えた。
【0071】
ファージλcl857 Qam117 Ram54を、好気条件下28℃でLB培地中でおよそ1×108細胞/mlの密度まで増殖させた大腸菌RLMIの溶原性培養物から調製した。溶原性培養物を43℃まで温め、cIリプレッサーを不活性化するために20分間インキュベートした。次に温度を37℃まで低下させ、60〜70分後に細菌細胞を1〜2×1010PFU/mlで形成されたファージで溶菌した。
【0072】
ファージ感染細胞を14時間インキュベーションした後に、遠心分離によって培養培地から残屑を取り除き、調製培地を産生した。
【0073】
実施例2 天然のhGHの精製−3工程法
実施例1からの調製培地(放出されたタンパク質を含む細菌溶菌後の細菌増殖培地)を硫酸アンモニウム沈澱により精製し、その後、Qセファロースカラム及びフェニルセファロースカラムで精製した。図2は、各々の一連の精製工程後に得られた製剤原料のSDS−PAGEゲルを示す。調製培地中の可溶性の生物学的活性成長ホルモン産物は、レーン2(図2)に示される。次に製剤原料に対して3工程の硫酸アンモニウム沈澱による精製手順が行われ、その後、Qセファロース及びフェニルセファロースでの連続したクロマトグラフィー工程が行われる。図2のレーン5に示される、精製された最終的な製剤原料は、図3に示されるようなこのレーンのデンシトメーターのスキャンによって、99%より高い純度であると判断された。この過程は、国際的な成長ホルモン基準と同等の生物活性を有する高純度のヒト成長ホルモン産物を産生する。その後のPEG付加研究に使用した。
【0074】
実施例3 天然のhGHの調製−1カラム法
いくつかの研究では1カラム精製法を用いた。ヒト成長ホルモン(hGH)に対するこのタンパク質精製手順は、単一カラムクロマトグラフィー工程を必要とする。第1の硫酸アンモニウム沈澱工程はカラムクロマトグラフィーを実行する前の濃縮工程である。
【0075】
硫酸アンモニウム沈殿工程
実施例1に記載された方法により産生されたhGHの3リットルの発酵物を冷凍し、溶解した細菌培養物を4℃で溶かし、16000gの遠心分離によって清澄にして調製培地を得た。等容積の飽和硫酸アンモニウム溶液を、撹拌しながら50%飽和の最終濃度まで調製培地に送り込み、混合物をさらに1時間撹拌した。沈殿を1時間16000gの遠心分離によって回収した。ペレットを、容積が調製培地の1/10のpH8.0の20mM
Tris−Clに溶解した。溶液をpH8.0の20mM Tris−Clに対して透析した。緩衝液交換溶液を遠心分離により清澄にした、すなわち任意の沈殿を除去するためにろ過した。
【0076】
QセファロースFFカラムクロマトグラフィー工程
緩衝液交換サンプルを、pH8の20mM Tris−Clにより平衡化したQセファロースFFカラムへかけた。A280nmの吸収がベースラインに達するまで、カラムを
pH8.0の20mM Tris−Clにより洗浄した。次に、A280nmでの吸収がベースラインに達するまで、カラムをpH8.0の70mM NaCl−20mM Tris−Clにより洗浄した。hGHをpH8.0の120mM NaCl−20mM Tris−Clにより溶出し、溶出ピークを回収した。溶出液の純度をSDS−PAGE及びHPLCによって求めた。典型的には、95%を超える純度のhGHを得た。
【0077】
図4Aは、精製の様々な工程におけるSDS−PAGEゲルによるhGH調製物の純度を示す。図4Aは、分子量基準を表すレーン1を有する実際のゲル画像を示し、レーン2〜4は精製工程を通じてのhGH調製物の相対的な純度を示す。レーン2は、発酵過程の後に得られた調製培地又はファージ溶解物のアリコートであり;レーン3は、硫酸アンモニウムによる調製培地の沈殿後であり;及びレーン4は、単一のQセファロースクロマトグラフィー工程後のhGHの一部分である。
【0078】
図4Bは、hGHの相対的な純度を計算する、SDS−PAGEゲルのレーン4のデンシトメーター分析を示す。これから分かるように、hGHは単一カラムクロマトグラフィー工程後に99.4パーセント純粋であると判断された。
【0079】
実施例4 PEG付加hGHの調製
上記の方法のうちの1つによって精製されたヒト成長ホルモンは、参照によって本明細書に援用される米国特許出願第10/947,513号に記載されているような方法を使用してPEG付加された。代替的に、hGHは市販のソースから得てもよい。簡潔には、1mgのhGHを、2mg/mlの最終濃度まで50mM MES緩衝溶液(pH3.0)に対して透析した(Centricon-10、アミコン、アメリカ)。このタンパク質溶液に、mPEG−ヒドラジド(Hz)(ISU Chemical、韓国、0.0005 mmol)を添加し、その後20μlのdH2O中に2mgのEDACの溶解によって調製された溶液中の20倍モル過剰のEDACを添加した。PEGを活性化するために、EDACを15倍モル過剰で使用した。反応は、PEG(20000)又はPEG(30000)のいずれかを使用して行った。反応は撹拌しながら室温(20〜25℃)で1時間行った。1時間後に、未反応hGH及び過剰の試薬をサイズ排除カラム又はイオン交換カラムによって除去した。好ましい実施形態では、EDACの量は20〜50倍モル過剰、及びmPEG−Hzは10〜20倍モル過剰の範囲にわたる。モノ−PEG−hGH(1つのPEGが1つのhGH分子に付着する、ロット番号BPM#04−003)及びジ−PEG−hGH(2つのPEGが1つのhGH分子に付着する、ロット番号BPM#04−004)を、サイズ排除カラムを使用して、HPLCによって分離した。精製されたPEG−hGH画分をさらなる分析まで4〜8℃でPBS溶液中で保存し、ラットにおけるPEG−hGHのin vitroの生物活性及び半減期を評価するために使用した。
【0080】
hGHと活性化されたPEG誘導体との反応を、図5に示されるように220nmでモニターされるサイズ排除カラムを使用したHPLCによって確認した。PEG−hGHの濃度を、紫外線−可視光線分光測光器を使用して、280nmにおける光学的濃度によって求めた。およそ48%、31%及び21%のモノ−PEG−hGH、ジ−PEG−hGH、及び未反応hGHがそれぞれ産生された。次に各々の画分をサイズ排除カラムによって精製し、図6A(モノ−PEG−hGH)及び図6B(ジ−PEG−hGH)に示されるようにHPLCで確認した。各PEG−hGHサンプルの純度は95%より高いと判断された。
【0081】
PEG−hGHの生物活性:ラットにおけるPEG−hGHのPK研究
モノ−及びジ−PEG−hGHの生物活性を、細胞増殖アッセイによって測定し、天然hGH(Phage Biotech製品)と比較した。モノ−及びジ−PEG−hGHを、体重220〜240gの7週齢スプレーグ・ドーリーラット(各群当たり少なくとも5匹のラット)に皮下注射によって用量200μg/kgでそれぞれ投与した。天然hGHを対照として使用した。注射後0、l0分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間及び96時間の時間間隔で血液を採取した。血清サンプルを12000rpmで遠心分離することによって得て、さらなる分析のために−20Cで保存した。
【0082】
図7は、細胞増殖アッセイによって測定されたモノ−及びジ−PEG−hGH並びに天然hGHの生物活性を示す。バイオアッセイは細胞増殖アッセイであり、hGHが全長ヒト成長ホルモン受容体を安定的にトランスフェクションしたBaF3細胞の増殖を刺激する。Baf−B03 B2B2と呼ばれるこの細胞株は、hGHに対する反応の点から広く特徴づけられた(Behncken SN, et al., 1997, J Biol Chem, 272:27077-27083)。モノ−及びジ−PEG−hGHの活性は、それぞれ15±5%及び8±2%であると判断された。
【0083】
PEG−hGHの薬物動態学の(PK)研究は、天然hGH(Phage Biotech)と比較するELISAアッセイを使用して、血清サンプル中のhGHの量を測定することによって実行された。図8は、天然hGHと比較してのPEG−hGHのPK研究を示す。天然hGHは注射後5時間以内に血液から除去されたことが示されたが、注射後72時間ではモノ−及びジ−PEG−hGHの両方が検出された。
【0084】
天然hGHと比較してモノ−及びジ−PEG−hGHは、それぞれ15±5%及び8±2%の生物活性を保持することが観察された。しかしながらPK研究によって、ラットにおいて天然hGHよりもPEG−hGHが非常に遅く除去されることが示された。したがって、この研究のPEG−hGHサンプルはhGHの新しい徐放性薬剤を提供することができる。
【0085】
実施例5 バイオアッセイ
上記の調製物の活性は、BaF3細胞による細胞増殖アッセイによって試験され、市販のhGHと比較された。シントロピン(商標)、ニュートロピン(登録商標)、及びヒューマトロープ(登録商標)は、市販のhGH製剤である。代表的な標準曲線は図9に示され、同様の用量応答曲線が4つの市販hGHで見られる。上記のように調製されたhGHの比活性は、市販のhGHと比較して遜色がない。予想通り、天然シントロピン(商標)のPEG付加は生物活性の消失をもたらし、より多くのPEG基が天然hGHと付着するにつれてより大きな活性消失が起こる。
【0086】
【表1】

【0087】
実施例6 オスの下垂体切除ラットにおける身体発育に対するPEG−hGHの効果
使用した第2のバイオアッセイは、古典的なラット体重増加アッセイ(Roswall EC, et
al., 1996, Biologicals, 24:25-39)であり、最初の7日間の毎日1回のhGHの皮下注射、又はモノ−若しくはジ−PEG−シントロピンの1日目の1回の注射の後に、4〜5週齢の下垂体切除ラット(Orient, Inc., 143-1, Sangdaewon-dong, Sung-Nam, Kyunggi-do)の重量を28日の期間にわたりモニターした。際立ってそして予想外に、細胞に基づいたバイオアッセイにおけるPEG−シントロピンがむしろ低い効能であったことを考慮して(表1)、天然hGHの毎日の注射に対して週に一度のみ注射された場合、PEG付加シントロピンは天然のhGHと同等の活性を示した(図10を参照)。天然hGHを毎日注射されたラットは、モノPEG−シントロピン−又はジ−PEG−シントロピンのいずれかの単回注射を行ったラットと、7日目でほぼ同じ重量であることが図10から分かる。また予想外であったことは、天然シントロピンを投与された動物に対する、PEG−シントロピンを投与された動物における体重増加の速度である。図10において、天然hGHを毎日の注射により投与された動物よりも、モノ−PEG−hGH又はジ−PEG−hGHのいずれかを単回用量で投与されたラットで、最初の4日にわたり有意に大きな速度で体重が増加することが分かる。PEG付加成長ホルモンが投与された動物の体重に、天然hGHを投与された動物が「追いつく」ことができたのは7日目であった。
【0088】
オスの下垂体切除ラットの身体発育に対するPEG−hGHの効果を、異なる用量でさらに研究した。4〜5週齢の下垂体切除ラットを購入し、5日間飼育し、皮下にPEG−hGH(G6〜G8)を1回投与し、11日間体重を毎日測定した。陰性対照(媒質対照、Gl)として生理食塩水、及び天然hGH(陽性対照、G2〜G4)を、6日間毎日(1日目〜6日目)皮下に投与し、各ラットの体重を11日間測定した。また、高用量(180μg)のhGH(G5)を皮下に1回投与し、体重を測定して他の群と比較した。
【0089】
異常な症状はどの処理の結果としても観察されず、体重の有意な変化は生理食塩水の対照(G1、図11A〜C)又はhGH投与群(G5、図11A及び図11C)において観察されなかった。
【0090】
この研究から、陽性対照のラットの体重であるG2、G3及びG4は、毎日のhGH投与の間に、それぞれ7.37%、9.03%、及び10.79%増加した(図11A及び図11B)が、PEG−hGHのラットの体重であるG6、G7及びG8は、PEG−hGHの単回投与後に、それぞれ8.42%、12.48%、及び18.37%増加した(図11A及び図11C)ことが見出された。この結果は、体重の増加が投与されたhGHの量又は投与されたPEG−hGHの量に比例することを示す。しかしながら、1回のh
GH(180μg/ラット)の高用量ボーラス投与は、わずかな一時的な反応のみを引き起こした(G5、図11A及び図11C)が、PEG−hGHの単回投与は非常に大きなより持続的な反応をもたらした。
【0091】
下垂体切除ラットへのPEG−hGHの単回注射は体重を顕著に増加させ、少なくとも6日間は増加した体重を十分に維持することが観察された。hGHの毎日の注射は体重を増加させたが、hGHの投与が中止されるとすぐに体重は減少し始めた。hGH(G5)の単回ボーラス高用量注射は、投与の翌日の体重を4%未満増加させ、その後陰性対照と同程度まで体重を減少させることも観察されたが、これは、PEG付加されていないhGHサンプルにより体重を継続的に増加させるには、天然hGHの継続的な注射が必要であることを示している。
【0092】
用量依存的な体重増加はPEG−hGHと同様にhGHについても観察された。換言すれば、体重増加は、下垂体切除ラットに投与されたhGH又はPEG−hGHの量に比例した。
【0093】
この研究は、PEG−hGHの単回注射が、下垂体切除ラットにおいて少なくとも6日間の身体成長の促進及び十分な体重の維持を促すが、PEG付加されていないhGHを毎日6日間注射することが、ラットの体重増加を継続的に維持するのには必要であることを示している。週に1回の注射可能な薬剤としてのPEG−hGHは、hGHの毎日の注射に対する有望な代替物である。
【0094】
このように、本発明の好ましい実施形態を記載したが、当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、本明細書において説明された特許請求の範囲の意味、真の範囲をさらに修正及び変更した全ての物、並びにそれと同等な物を含む他の実施形態を行なうことができることを理解するだろう。上記の実施例は、本発明の範囲内の実施形態をさらに記載及び実証する。それらの実施例は例示のみのために挙げられ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その多くの変更が可能なように、本発明の限定として解釈することはできない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】ヒト成長ホルモン(hGH)の一次構造を示す図である。
【図2】連続した精製工程を経たシントロピン製剤原料のSDS−PAGEゲルを示す図である。レーン1:分子量マーカー;レーン2:hGH調製培地;レーン3:硫酸アンモニウム沈殿hGH培地;レーン4:Qセファロースカラムによって精製されたhGH;レーン5:Q−セファロース及びフェニル−セファロースカラムによって精製されたhGH。
【図3】精製されたシントロピン薬剤原料のSDS−PAGEゲルのデンシトメータースキャンを示す図である。物質の99.9%はピーク2番にある。
【図4A】1工程のカラムクロマトグラフィー後のヒト成長ホルモン(hGH)のSDS−PAGE分析を示す図である。図4AはSDS−PAGEゲルを示す。図4Bはレーン4のデンシトメーターのスキャンを示す。
【図4B】1工程のカラムクロマトグラフィー後のヒト成長ホルモン(hGH)のSDS−PAGE分析を示す図である。図4AはSDS−PAGEゲルを示す。図4Bはレーン4のデンシトメーターのスキャンを示す。
【図5】サイズ排除カラムでの、hGHのPEG化のHPLCプロファイルを示す図である。
【図6A】サイズ排除カラムで精製されたモノ−及びジ−PET−hGHのHPLCプロファイルを示す図である。図6Aはモノ−PEG−hGHについてプロファイルを示す。図6Bはジ−PEG−hGHについてプロファイルを示す。
【図6B】サイズ排除カラムで精製されたモノ−及びジ−PET−hGHのHPLCプロファイルを示す図である。図6Aはモノ−PEG−hGHについてプロファイルを示す。図6Bはジ−PEG−hGHについてプロファイルを示す。
【図7】細胞増殖アッセイによるPEG−hGHの生物活性を示す。
【図8】ラット(用量=200μg/kg、皮下注射)におけるPEG−hGHのPK研究を示す。
【図9】全長hGH受容体を発現する細胞におけるhGHのバイオアッセイをした図である。
【図10】動物体重増加の28日間モニターによる、hGH及びPEG−hGHを下垂体切除ラットに注射する動物研究を示す図である。
【図11A】異なる投薬量におけるhGH及びPEG−hGHの、下垂体切除ラットの体重に対する効果を示す図である。データは平均+/−標準誤差として表示される。陽性対照(G5)及び試験サンプルを皮下注射によって単回用量として投与した。賦形剤対照(Gl)及び陽性対照を、皮下注射によって6日間毎日投与した。G1:賦形剤対照(n=6);G2:陽性対照hGH、5μg/頭、毎日の注射(n=9);G3:陽性対照hGH、10μg/頭、毎日の注射(n=9);G4:陽性対照hGH、30μg/頭、毎日の注射(n=9);G5:陽性対照hGH、180μg/頭、単回投与(n=9);G6:試験サンプルPEG−hGH、30μg/頭、単回投与(n=9);G7:試験サンプルPEG−hGH、60μg/頭、単回投与(n=9);G8:試験サンプルPEG−hGH、180μg/頭、単回投与(n=9)。図11Aは、単一のグラフ上にG1〜G8を示す。図11BはG1〜G4のみを示す。図11CはGl及びG5〜G8のみを示す。
【図11B】図11Aの続き。図11BはG1〜G4のみを示す。
【図11C】図11Aの続き。図11CはG1及びG5〜G8のみを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合性ポリマーが、2:1以下のモル比でhGHのカルボキシル基に結合する、生体適合性ポリマー−ヒト成長ホルモン(hGH)複合体。
【請求項2】
前記生体適合性ポリマーが、PEG−20000及びPEG−30000から成る群から選択される、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
薬学的に許容可能な量の請求項1に記載の複合体、及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物。
【請求項4】
前記カルボキシル基がhGHのC末端である、請求項1に記載の複合体。
【請求項5】
複合体の活性が、複合体を形成していないhGHタンパク質の活性の10〜20%である、請求項1に記載の複合体。
【請求項6】
前記生体適合性ポリマーが、1:1のモル比でhGHのカルボキシル基に結合する、請求項1に記載の生体適合性ポリマー−hGH複合体。
【請求項7】
前記生体適合性ポリマーがPEGである、請求項6の複合体。
【請求項8】
請求項1に記載の生体適合性ポリマー−hGH複合体を調製する方法であって、
(a)精製hGHタンパク質を提供する工程、
(b)結合試薬を段階的に追加することによって生体適合性ポリマーを活性化する工程、及び、
(c)活性化された生体適合性ポリマーとhGHのカルボキシル基とを2:1以下のモル比で結合する工程
を含み、活性化された生体適合性ポリマーに対するhGHのモル比が1:1〜1:20であり、結合試薬に対するhGHの比が1:1〜1:50であり、pHが2〜5の範囲内である方法。
【請求項9】
前記生体適合性ポリマーが、カルボン酸及び/又は反応性カルボニル基と反応することができる反応性官能基により活性化される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生体適合性ポリマーが、PEG−20000及びPEG−30000から成る群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記カルボキシル基がhGHのC末端である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
(i)組換え型宿主においてhGHを産生する工程、
(ii)硫酸アンモニウムを使用してhGHを濃縮する工程、及び、
(iii)陰イオン交換クロマトグラフィーによって、濃縮されたhGHを精製する工程
によって精製されたhGHを提供することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記クロマトグラフィーが単一ステップとして実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
効果的な量の請求項1の複合体を、必要とする患者に投与することによって、成長阻害又は成長遅延を治療する方法。
【請求項15】
前記生体適合性ポリマーがPEGである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記PEG−hGHが1:1のモル比で結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複合体が、複合体を形成していないhGHタンパク質の10〜20%の活性を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
成長阻害又は成長遅延が、ホルモン欠損症、慢性腎疾患、ターナー症候群、悪液質又はAIDS消耗に起因する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記複合体が、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記投与が注射によって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記投与が経口投与である、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、必要とする患者に1週間当たり2回以下投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
効果的な量の請求項2に記載のPEG−hGHを含む組成物を、必要とする患者に2回以下/週の頻度で投与することによって、子供の低身長を治療する方法であって、前記PEGが1:1のモル比でhGHのC末端カルボキシル基に結合し、PEG−hGHが、複合体を形成していないhGHの10〜20%の活性を有する方法。
【請求項24】
効果的な量の請求項2に記載のPEG−hGHを含む組成物を、必要とする患者に投与することによって、除脂肪筋肉の減少、血圧の上昇、コレステロールの増加、体脂肪の増加、皮膚の張りの消失及び骨密度の低下から成る群から選択される老化と関連する悪影響を治療する方法であって、前記PEGが1:1のモル比でhGHのカルボキシル基に結合する方法。
【請求項25】
凍結乾燥された形態の請求項1に記載の複合体、
前記複合体を再構成するための薬学的に許容可能な担体、及び、
前記再構成された複合体を、必要とする患者に送達するための送達装置
を含むキット。
【請求項26】
皮膚消毒薬、及び
手順書
をさらに含む、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記手順書が、生体適合性ポリマー−hGH複合体を1週間当たり2回以下、必要とする患者に投与することを指示する、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
注射器中にあらかじめ充填されている請求項1の複合体を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【公表番号】特表2009−502779(P2009−502779A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522759(P2008−522759)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/046791
【国際公開番号】WO2007/018583
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(503063401)ファージ バイオテクノロジー コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】