説明

生分解性ポリ(アミノ酸)ポリマー

【課題】生分解性のスケール抑制剤及び腐食抑制剤を提供すること。
【解決手段】少なくとも1つのアミノ酸又はそれらの塩のアミノ酸単位及び少なくとも1つの誘導体化されたアミノ酸の誘導体化単位を含むポリマー主鎖構造を有し、300〜100,000の重量平均分子量を有する実質的に線状の生分解性ポリ(アミノ酸)ポリマーであって、前記誘導体化されたアミノ酸が、N−ヒドロキシアミド基、N−アルキルオールアミド基、N−アリールオールアミド基、N−エーテルアミド基、N−アルキルアミノアルキルアミド基、N−ホスホノアルキルアミド基及びN−ホスホノアリールアミド基から成る群より選ばれる置換基を含み、前記誘導体化単位を0.01〜50モル%含むポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境にやさしい新規生分解性ポリ(アミノ酸)ポリマー及びコポリマー並びにそれらの改良された新規製造方法に関する。より詳細には、本発明は、冷却液等の水処理用途において有用な高分子量ポリ(アミノ酸)ポリマー及びコポリマー誘導体に関する。このコポリマーは、ペンダントヒドロキシル、エーテル、ヒドロキシアルコキシアルキル、ヒドロキシアルキルアミノアルキル、カルボキシレート、及びホスホネート官能基が組み込まれて誘導体化されたものである。
【背景技術】
【0002】
ポリ(アミノ酸)は当該技術分野において公知である。ポリアスパラギン酸が生分解性であることは公知である。しかしながら、幾つかの改質ポリ(アミノ酸)は生分解性でない。例えば、アスパラギン酸のポリスクシンイミドを100モル%以上の2−ヒドロキシエチルアミンと反応させることにより合成されるヒドロキシエチルアスパルトアミドのホモポリマーは、酵素的に生分解しないと報告されている。ポリ(L−2−ヒドロキシエチルグルタミド)を種々の量のジアミノドデカン架橋剤と反応させることにより生成する架橋ポリヒドロキシエチルグルタミドは酵素により分解し、その分解速度は架橋密度が大きいほど大きい。しかしながら、同様な線状非架橋ポリマーはインビボ(in vivo)又はインビトロ(in vitro)で酵素的に分解しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
部分的に誘導体化されたポリアスパラギン酸の生分解性及びキレート化能は、本発明以前には知られておらず、またそれらを予測する既知の方法もない。本発明に係る部分的に誘導体化されたポリアスパラギン酸、すなわちアスパラギン酸含有コポリマーは、意外なことに未改質ポリアスパラギン酸及び100%誘導体化されたポリアスパラギン酸の双方よりも生分解性が高く、そしてかなり優れたスケール抑制剤及び腐食抑制剤であることが発見された。
【0004】
ポリ(アミノ酸)ポリマー及びコポリマーを製造する方法は公知である。ポリアスパラギン酸は、無水マレイン酸をアンモニアと反応させることにより調製される。代わりに、無水マレイン酸をアルコールと反応させて半エステルを形成させ、その後に、アンモニアのみと又はアミンと一緒にアンモニアと反応させてもよい。これらの方法は、約1000以下のかなり分子量の低いポリマーを調製するのに有効である。アスパラギン酸のみで又は酸触媒の存在下でのアスパラギン酸の固相重合も行われてきた。50,000以下の分子量を有する低分子量物質もこれらの方法により提供される。
【0005】
アスパラギン酸ポリマーにスルホン酸(例えば、タウリン又はスルホノメチルアミン)官能基を導入するための以前の試みは、有毒なジメチルホルムアミド溶剤中で出発物質を反応させることを伴う。ジメチルホルムアミド溶剤中で生成するポリマーの分子量は概して非常に小さく、約1000以下である。これらの方法は、複雑かつ費用のかかる方法を用いて有毒なジメチルホルムアミドを除去する工程と生成物であるポリマーを回収する工程を必要とする。さらに、従来の方法では、ポリマー主鎖の分解が起こり、得られる生成物の分子量が低分子量の出発物質よりも著しく低くなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述のとおり、意外にも無毒性かつ生分解性の高分子量ポリ(アミノ酸)ポリマー及びコポリマーを調製することができることが見出された。
一態様において、本発明は、70,000以上の重量平均分子量を有する新規かつ改良されたポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸ポリマーを提供する。これらのポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸ホモポリマーは生分解性であり、そして従来の方法から得られるものよりもかなり高い分子量を有する。
【0007】
一態様において、本発明は、高分子量ポリアスパラギン酸ポリマー及びポリグルタミン酸ポリマーを製造するための新規かつ改良された方法であって、
アスパラギン酸又はグルタミン酸を超ポリリン酸と混合して反応混合物を形成させること;
前記反応混合物を約100℃〜約200℃の高温かつ減圧下で加熱して軟らかい半流動質反応混合物を形成させること;
攪拌した半流動質反応混合物を約130℃〜約240℃の高温かつ減圧下でポリスクシンイミドを得るのに十分な時間加熱すること;
ポリスクシンイミドを反応混合物の残りの部分から分離すること;及び
その後、ポリスクシンイミドを加水分解させ、70,000以上の重量平均分子量を有するポリアスパラギン酸ポリマー又はポリグルタミン酸ポリマーを提供すること;
を含む方法を提供する。
【0008】
一態様において、本発明は、100,000を超える重量平均分子量を有する軽度に架橋した新規かつ改良された高分子量ポリアスパラギン酸ポリマー又はポリグルタミン酸ポリマーであって、水溶性又は水不溶性の形態にある高分子量ポリアスパラギン酸ポリマー又はポリグルタミン酸ポリマーを提供する。この軽度に架橋したポリアスパラギン酸ポリマー及びポリグルタミン酸ポリマーは、対応するポリスクシンイミドをジアミン又はトリアミン架橋剤と反応させることにより調製することができる。その後、前記架橋したポリスクシンイミドを加水分解して残存するスクシンイミド基をアスパラギン酸基又はグルタミン酸基に転化させ、架橋したポリアスパラギン酸ポリマー及びポリグルタミン酸ポリマーが提供される。この態様に係る前記架橋したポリ(アミノ酸)ホモポリマーは、少なくとも下記一般構造式:
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
(式中、Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキル置換アンモニウムカチオンから成る群より選ばれ;R3 は1〜2個の炭素原子を有する二価アルキレンであり;R4 は、1〜12個の炭素原子を有するアルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、又はアルカリーレンであり;WはCO2 Mであり;及び、YはR3 CO2 Mである)
により表され、100,000以上の重量平均分子量を有する。
【0012】
一態様において、これらの架橋ポリ(アミノ酸)の調製は、水性媒体又は極性有機溶剤に溶けた高分子量ポリスクシンイミドの溶液を形成すること、及び水又は極性有機溶剤に溶けた架橋剤の選ばれた量の溶液を加えて反応混合物を形成させることを含む。反応混合物は、架橋したポリスクシンイミドを形成させるのに十分な時間を要して室温で攪拌される。架橋したポリスクシンイミド生成物を沈殿させるために、極性の小さい有機溶剤を反応した溶液に加えられる。沈殿した架橋生成物を分離し、水中に懸濁させ、次いで加水分解させて架橋したポリ(アミノ酸)最終生成物が形成される。
【0013】
一態様において、本発明は、広範な分子量を有する新規かつ貯蔵安定性が改良された実質的に線状の生分解性ポリ(アミノ酸)を提供する。この新規且つ改良されたコポリマーは、少なくとも1つのアミノ酸又はそれらの塩のアミノ酸単位及び少なくとも1つの誘導体化されたアミノ酸の誘導体化単位を含む。前記誘導体化アミノ酸単位には、ヒドロキシアミド基、アルキルオールアミド基、アリールオールアミド基、ヒドロキシアルコキシアルキルアミド基、アルコキシアルキルアミド基、ヒドロキシアルキルアミノアルキルアミド基、N−(スルホ)オキシアルキルアミド基、N−(O−ホスホ)アルキルアミド基、スルホノアルキルアミド基及びホスホノアルキルアミド基が含まれる。前記コポリマーは、全て同種の誘導体化単位を含んでもよい。このコポリマーは多数の種々の誘導体化単位も含むことができるためコポリマー、ターポリマー及びポリポリマーが提供される。前記アミノ酸単位は、アスパラギン酸単位、グルタミン酸単位、又はこれらの単位の塩を含むことが好ましい。
【0014】
一態様において、本発明に係る新規かつ改良された誘導体化ポリ(アミノ酸)コポリマー、ターポリマー及びポリポリマーは、下記式:
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、R1 はH又はC1 〜C4 アルキルであり;R2 は、OH、ZOH、ZOPO32 、ZOSO3 M、ZOR4 又はGPO32 であり;R3 は1〜2個の炭素原子を有する二価アルキレンであり;R4 はC1 〜C4 のアルキル又はベンジルであり;Zは、C1 〜C12のアルキル、シクロアルキル及びアリール、CH2 CH2 (OCH2 CHR5p (OCH2 CH2q 、又はCH2 CH2 (NR5 CH2 CHR6r であって、pが0〜50、qが0〜50、p+q=1〜50、rが1〜50であるものであり;R5 はH又はCH3 であり;R6 はH又はCH3 であり;Gは、C1 〜C30のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、アラルキル、並びにOH基、O−アルキル基、Cl基、CO2 M基及びPO32 基から選ばれる少なくとも1つの基により置換された前記基のうちのいずれかから選ばれ;Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びアルキル置換アンモニウムカチオンから成る群より選ばれ;WはCO2 M及びCONR12 から選ばれ;YはR3 CO2 M及びR3 CONR12 から選ばれ;a、b、c及びdは、(a+b)/(a+b+c+d)×100=0.01%〜99.99%;a/(a+b)×100=0.00〜100.00%;b/(a+b)×100=0.00〜100.00%;c/(c+d)×100=0.00〜100.00%;及び、d/(c+d)×100=0.00〜100.00%を満たすようなモル百分率を表す)
により表されるポリマーを含む。上記式により表される新規かつ改良されたポリマーは、約500〜約100,000の重量平均分子量を有する。
【0017】
好ましい態様において、誘導体化された生分解性ポリ(アミノ酸)ポリマーが提供される。生分解性コポリマー、ターポリマー及びポリポリマーは上記式III により定義されるものであって、(a+b)/(a+b+c+d)×100が約0.01〜約50%であるものである。この式により定義されるN−アルキルオールアスパルトアミド含有コポリマー、ターポリマー及びポリポリマー、すなわち、R2 がa及びb誘導体化単位の少なくとも幾つかの中でアルキルオールであるものに対し、生分解性を付与するために、N−アルキルオールアスパルトアミド単位のモル百分率は0.01〜約30.0である。
【0018】
本発明によると、一態様において、水性媒体中で新規かつ改良された誘導体化されたポリ(アミノ酸)コポリマー、ターポリマー及びポリポリマーを調製し、出発物質の分子量と同じ又は出発物質の分子量よりも大きい分子量を有する完全に誘導体化されたポリマーが提供される。一般に、誘導体化されたポリマーは、アスパラギン酸又はグルタミン酸のポリスクシンイミドを水性媒体中で望ましい置換アミン誘導体化剤と反応させることにより調製され、誘導体化されたポリスクシンイミドが形成される。その後、誘導体化されたポリスクシンイミドを加水分解させ、残りの誘導体化されていないスクシンイミド単位をアスパラギン酸単位又はグルタミン酸単位に転化させて最終生成物を形成する。一般に、誘導体化反応は、−5℃〜100℃の間の温度及び約3〜約13のpHで進行する。種々の誘導体化剤を用いる誘導体化のための特別な条件は以下でより詳細に述べる。さらに、誘導体化されたコポリマーの分子量は、反応温度を変化又は調節することにより所望の通りに変化させることができる。
【0019】
好ましい態様において、N−ヒドロキシアスパルトアミド誘導体化単位を含む貯蔵安定性のある誘導体化された高分子量ポリマーが提供される。これらの誘導体化されたポリマーは、ヒドロキシアミンとポリスクシンイミドとの反応により水性媒体中で調製される。誘導体化の完了後、残留するヒドロキシルアミンを実質的に無反応性にしてポリマー主鎖の分解を防ぐために、反応混合物を処理する。透析;ヒドロキシルアミンをプロトン化するための酸性化;Br2 、Cl2 、I2 、エステル、アミド又は塩化アシルのような酸化剤を用いる酸化;及び、乾燥するまで溶液を蒸発させること;を含む種々の方法で反応混合物を処理して残留ヒドロキシルアミンを不活性にさせてもよい。
【0020】
本発明の利点は、ヒドロキシル、エーテル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、ヒドキシアルキルアミノ、カルボン酸及び/又はホスホン酸官能基を含有する一群の新規生分解性誘導体化ポリアミノ酸ポリマーが提供されることである。
【0021】
本発明により提供される他の利点は、比較的高分子量のポリ(アミノ酸)ホモポリマーが提供されることである。
【0022】
本発明の更なる利点は、種々の分子量を有する誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマーを水性媒体中で合成できることである。この方法は、あまり費用がかからず、また追加の複雑かつ費用のかかる工程を要せずに生成物が回収される。ジメチルホルムアミドのような有毒な有機溶剤を使用する必要はなくなる。
【0023】
本発明により提供される更に他の利点は、貯蔵安定性があり且つ生分解性である比較的高分子量の誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマーが提供されることである。
【0024】
本発明により提供される更なる利点は、誘導体化反応温度を調節することにより所望の低又は高分子量の誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマーが提供されることである。
【0025】
本発明により提供される更に別の利点は、N−ヒドロキシアミノ酸アミド誘導体化単位を含有する貯蔵安定性のある高分子量の誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマーが提供されることである。
【0026】
本発明の更なる利点は、無毒性かつ生分解性である一群の新規ポリ(アミノ酸)ポリマー及び誘導体化されたポリマーであって、現在使用されている有毒性かつ非生分解性のアクリル系及びアクリルアミド系生成物の代わりに水処理用途に使用することができるポリマーが提供されることである。
【0027】
本発明の他の目的及び利点は、以下の発明の実施の形態の欄及び実施例の欄で明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
第1の観点によれば、本発明は、比較的高分子量の実質的に線状のポリ(アミノ酸)ホモポリマーを製造するための新規かつ改良された方法を提供する。このポリマーは、70,000以上、好ましくは90,000以上の重量平均分子量を有する。
【0029】
この方法は、アミノ酸、好ましくはL−アスパラギン酸又はL−グルタミン酸と約1当量の超ポリリン酸との混合物を形成することを含む。この混合物を、0.1mmHg以下の減圧下、約100〜200℃、好ましくは150℃の温度で、軟らかい半流動質混合物が得られるまで加熱する。軟化した混合物を完全に攪拌及び混合する。得られたペーストを、0.1mmHg以下の減圧下、約130〜約250℃の温度、好ましくは150〜227℃で、比較的高分子量のポリスクシンイミド生成物を得るのに十分な時間加熱する。約3〜6時間、好ましくは約4.5時間の加熱時間が通常十分である。所望であれば、粗生成物を粉砕機により粉砕し、微粉砕した生成物を約125〜200℃、好ましくは150℃の温度で2〜5時間、好ましくは約3.5時間更に加熱してかなり高い分子量のポリスクシンイミドを得ることができる。
水を用いる洗浄によって、又は最初に生成物を約50〜100℃、好ましくは50〜75℃の温度の極性有機溶剤、例えばジメチルホルムアミドに溶解させて溶液を形成させることによって、粗生成物及び再加熱された生成物はそれぞれ回収される。溶液を脱イオン水に注ぎ、ポリスクシンイミドを沈殿させる。その後、沈殿物を濾過し、脱イオン水により洗浄し、次いで乾燥させ、精製されたポリスクシンイミド生成物を得ることができる。好ましい態様に係る誘導体化コポリマー、ターポリマー及びポリポリマーを形成させるために、この精製されたポリスクシンイミド生成物を使用してよい。反応器の浄化を要せずに、コポリマー、ターポリマー及びポリポリマーを形成させるために置換アミンを用い、リン酸を含有する粗製ポリスクシンイミド及び再加熱されたリン酸含有ポリスクシンイミドを使用することもできる。
【0030】
対応するポリ(アミノ酸)ポリマーは、ポリスクシンイミド生成物を水中に懸濁させ、そして11.0以下のpHの約1当量の水酸化ナトリウムの滴下添加により加水分解させることによって調製される。最終的に得られるポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸の水溶液は7〜9の間のpHを有する。必要であればHCl又はH2 SO4 のような無機酸を添加して過剰の残留NaOHを中和してよい。この方法により調製されるポリマーは、70,000以上の重量平均分子量、通常90,000以上の重量平均分子量を有する。
【0031】
別の態様によると、水溶性又は水不溶性の架橋したポリ(アミノ酸)ポリマーの形態で高分子量ポリ(アミノ酸)ポリマーが提供される。この態様によれば、D−、L−、又はD,L−アスパラギン酸又はグルタミン酸のポリスクシンイミドは、水若しくはアルカノールに懸濁した懸濁液、又は無水ジメチルホルムアミド若しくはアルコールのような極性有機溶剤との溶液で提供される。アルキレンジアミン架橋剤又はトリス(アミノアルキル)アミン架橋剤の水溶液又はジメチルホルムアミド若しくはアルコールのような極性溶剤溶液をポリスクシンイミド溶液に添加して反応混合物が形成される。この反応混合物を、架橋が起こるのに十分な時間を要して密閉容器内で攪拌する。通常、約5〜約10時間、好ましくは7.5時間の架橋反応時間が十分である。エタノールとシクロヘキサンの混合物のようなあまり極性の高くない極性溶剤が好ましく、架橋したポリスクシンイミド生成物を形成させるために反応混合物に添加される。沈殿物を濾過し、洗浄し、次いで乾燥すると、10,000を超える分子量を有する精製された架橋したポリスクシンイミド生成物が得られる。
【0032】
対応する架橋したポリ(アミノ酸)は、固体の架橋したポリスクシンイミド生成物を脱イオン水中に懸濁させ、次いでNaOHを用いて加水分解することにより対応するポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸に生成物を形成させることにより調製される。最終的な溶液のpHは、塩酸又は硫酸のような酸を用いて11.0以上から6〜9の間に調節することができる。
【0033】
前記架橋したポリ(アミノ酸)は、100,000を超える重量平均分子量を有し、上記式I及びIIにより表される。
【0034】
架橋剤は、アルキレンジアミン若しくはトリス(アミノアルキル)アミン又はテトラ(アミノアルキル)アミドを含んでよい。使用してよいアルキレンジアミン架橋剤の例には、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキシレンジアミン等が含まれ、1,6−ヘキサンジアミンが好ましい。トリス(アミノアルキル)アミン架橋剤の例には、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、トリス(4−アミノブチル)アミン、トリス(6−アミノヘキシル)アミン等が含まれ、トリス(2−アミノエチル)アミンが好ましい。一般に、ポリスクシンイミドの重量に基づいて0.01〜約1.5重量%の架橋剤を使用して水溶性の架橋したポリ(アミノ酸)を調製することができる。水不溶性の架橋したポリ(アミノ酸)は、ポリスクシンイミドの重量に基づいて約2.0〜10重量%の架橋剤を使用して調製することができる。
【0035】
好ましい態様において、本発明は、上記式III により表される実質的に線状の誘導体化されたポリ(アミノ酸)コポリマー、ターポリマー及びポリポリマーを提供する。この誘導体化されたポリ(アミノ酸)ポリマーは、アミノ酸単位及び誘導体化されたアミノ酸単位を含む実質的に線状のポリマー主鎖を有する。この誘導体化された単位は、それらがヒドロキシアミド基、アルキルオールアミド基、アリールオールアミド基、ヒドロキシアルコキシアルキルアミド基、アルコキシアルキルアミド基、ヒドロキシアルコキシアミノアルキルアミド基、スルホノアルキルアミド基及び/又はホスホノアルキルアミド基を含むように誘導体化されたアミノ酸単位である。この誘導体化されたポリ(アミノ酸)は、全て同種の誘導体化単位を含んでも、複数の種々の誘導体化単位を含んでもよい。例えば、このポリマーは、N−ヒドロキシアミノ酸アミド誘導体単位のみを含んでも、N−ヒドロキシアミノ酸アミド誘導体単位を1つ以上のN−アルキロールアミノ酸アミド誘導体化単位と一緒に含んでもよい。このポリマーは、N−ヒドロキシアミノ酸アミド単位、1つ以上のN−アルキルオールアミノ酸アミド単位、及び1つ以上のN−スルホノアルキルアミノ酸アミド単位、N−ホスホノアルキルアミノ酸アミド単位又はアルキルアミド単位を含んでもよい。式III により表されるコポリマーの例としては、N−ヒドロキシアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−(2−メチル−1,3−ジヒドロキシプロピル)アスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−2−メトキシエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)エチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−ホスホノメチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、及びN−2−スルホノエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーが挙げられる。
【0036】
式III により表されるターポリマーの例としては、N−ヒドロキシアスパルトアミド/N−2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸ターポリマー、N−2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/N−ホスホノエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸ターポリマー、N−(2−メチル−1,3−ジヒドロキシプロピル)アスパルトアミド/N−2−スルホノエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸ターポリマー及びN−ヒドロキシアスパルトアミド/N−ホスホノメチルアスパルトアミド/アスパラギン酸ターポリマー、N−2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/N−ブチルアスパルトアミド/アスパラギン酸ターポリマー、並びにN−2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアスパルトアミド/N−2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸ターポリマーが挙げられる。
【0037】
ポリポリマーの例としては、N−ヒドロキシアスパルトアミド/N−2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/N−ホスホノメチルアスパルトアミド/アスパラギン酸及びN−ヒドロキシアスパルトアミド/N−2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/N−2−スルホノエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸が挙げられる。
【0038】
好ましい態様において、前記新規かつ改良された誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマーは生分解性である。この観点によると、ポリマー中に組み込まれる誘導体化単位のモル百分率は約0.01〜約50モル%である。N−アルキルオールアミノ酸アミド誘導体化単位のモル百分率は、完全な生分解性を付与するために0.01〜30モル%の間にあるべきである。誘導体化単位のモル百分率は上記範囲にわたって変化し、生分解性を提供する。
【0039】
一態様において、上記式III により定義される新規かつ改良された誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマーは多くの方法により調製することができる。これらの方法は、D−、L−若しくはD,L−アスパラギン酸又はグルタミン酸のポリスクシンイミドを供給する工程と、その後、D−、L−若しくはD,L−アスパラギン酸又はグルタミン酸のポリスクシンイミドを置換アミン誘導体化剤と反応させることによりD−、L−若しくはD,L−アスパラギン酸又はグルタミン酸のポリスクシンイミドを誘導体化させる工程とを含む。
【0040】
ポリスクシンイミド出発物質は種々の方法により調製することができる。5,000以下の重量平均分子量を有するポリスクシンイミドは、2〜6時間を要して約20℃〜85℃の温度の水中で無水マレイン酸を1当量の水酸化アンモニウムと反応させることにより公知の方法で調製することができる。この生成物は、約150℃〜約300℃、好ましくは180℃〜240℃の温度に加熱して溶剤を蒸発させ、ポリスクシンイミド固形物を残留させることにより得られる。これらのポリスクシンイミドは、マレイン酸とアンモニウムを用いて、又はマレイン酸モノ−若しくはジアンモニウムから調製することもできる。低分子量ポリスクシンイミドは、酸触媒の不在下でアスパラギン酸を加熱することによっても調製することができる。
【0041】
約20,000〜約60,000の重量平均分子量を有する若干分子量の大きいポリスクシンイミドは、O−リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、及び五酸化リンから選ばれる酸触媒の存在下でアミノ酸を加熱する公知の方法によって調製することができる。
【0042】
好ましくは、ポリスクシンイミド出発物質は、高分子量ポリスクシンイミド、すなわち、上記した通りの超ポリリン酸触媒を使用して本発明により調製される70,000以上の重量平均分子量を有するものを含む。
【0043】
好ましい態様において、ポリスクシンイミドは、水性反応媒体中で誘導体化される。水中でのポリスクシンイミドと誘導体化剤との反応によって、ポリマー主鎖の分解は起こらない又は激しく起こらず、ポリスクシンイミド出発物質とほぼ等しい又はそれよりも大きい分子量を有する誘導体化ポリマー生成物が提供される。
【0044】
より詳細には、本発明は、N−ホスホノアルキルアミノ酸アミド誘導体単位を含むように誘導体化された新規かつ改良された誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマーを提供する。これらの誘導体化されたアミノ酸ポリマーは、少なくとも2種の方法で調製することができる。好ましい方の第1の方法は、ポリスクシンイミドを水中に懸濁させること、次いでアミノアルキルホスホン酸二ナトリウムを添加して反応混合物を形成させることを含む。この反応混合物を、誘導体化が実質的に完全に起こるように十分な時間を要して室温で攪拌する。約10〜15時間の反応時間が通常十分である。代わりに、アミノアルキルホスホン酸誘導体化剤とトリメチルアミンとの水溶液を前記懸濁液に添加して誘導体化生成物を得ることができる。N−ホスホノアルキルアミノ酸アミド/ポリスクシンイミド生成物は、水酸化ナトリウムにより加水分解されて所望のN−ホスホノアルキルアミノ酸アミド/アミノ酸誘導体化ポリマーを形成する。
【0045】
他の方法によると、アミノアルキルホスホン酸二カリウム及び4−N,N−ジメチルピリジン触媒の無水アルカノール溶液、例えば無水エタノール溶液をポリスクシンイミドのジメチルホルムアミド溶液に添加し、反応混合物を形成させる。この反応混合物を室温で4〜100時間、好ましくは約5〜約10時間攪拌する。得られた固形物を、濾過し、洗浄し、次いで乾燥させる。固形物を水に溶解させ、そして残留スクシンイミドを塩基によりアミノ酸に加水分解させてN−ホスホノアルキルアミノ酸アミド/アミノ酸誘導体化ポリマーを提供する。
【0046】
これらの方法によると、N−ホスホノアルキルアミノ酸アミド誘導体化単位を導入するための誘導体化剤には、アミノメチルホスホン酸又はその二カリウム塩が含まれる。この種以外の誘導体化剤には、
【0047】
【化4】

【0048】
【化5】

【0049】
が含まれる。
【0050】
一態様において、本発明は、N−スルホノアルキルアミノ酸アミド誘導体化単位を含むように誘導体化された新規かつ改良された誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマーを提供する。これらの誘導体化アミノ酸ポリマーは、上記N−ホスホノアルキルアミノ酸アミド含有誘導体化ポリマーと実質的に同様な方法で水性媒体中で調製することができる。これらのポリマーは、ポリスクシンイミドの水性懸濁液を誘導体化剤としてのアミノアルキルスルホン酸又はアミノアルキルスルホン酸塩と反応させることによっても調製することができる。この方法の更に詳細な点は下記実施例に記載されている。
【0051】
これらのポリマーのための誘導体化剤の例には、タウリン酸ナトリウム及びアミノメチルスルホン酸が含まれる。本発明に使用することができる他のスルホン酸又はスルホン酸塩含有誘導体化剤には、
【0052】
【化6】

【0053】
【化7】

【0054】
が含まれる。
【0055】
一態様において、本発明は、N−アルキルオールアミノ酸アミド誘導体化単位、N−ヒドロキシアルコキシアルキルアミノ酸アミド誘導体化単位、N−アルコキシアルキルアミノ酸アミド誘導体化単位及び/又はN−ヒドロキシアルキルアミノアルキルアミノ酸アミド誘導体化単位を含むように誘導体化された新規かつ改良された誘導体化ポリアミノ酸ポリマーを提供する。これらの誘導体化アミノ酸ポリマーは、上記方法に従って水性媒体中で調製されても、上記方法に従って極性有機溶剤中、例えばジメチルホルムアミド中で調製されてもよい。
【0056】
N−アルキルオールアミノ酸アミド含有ポリマーを製造するのに適する誘導体化剤の例には、2−ヒドロキシエチルアミン;3−ヒドロキシプロピルアミン;2−ヒドロキシイソプロピルアミン;2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール;2,3−ジヒドロキシイソプロピルアミン;2−ヒドロキシメチル−1,3−ジヒドロキシプロピルアミン;N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミン;o−、m−又はp−フェノールアミン;及びジヒドロキシフェノールアミンが含まれる。これらの誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマーを製造することに関する更なる詳細を下記実施例で示す。
【0057】
N−ヒドロキシアルキル又はN−アルコキシアルキルアミノ酸アミド含有ポリマーを製造するのに適する誘導体化剤の例には、2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチルアミン(2−(2−アミノエトキシ)エタノールとしても周知)、2−メトキシエチルアミン及び3−メトキシプロピルアミンが含まれる。
【0058】
N−ヒドロキシアルキルアミノアルキルアミノ酸アミド含有ポリマーを製造するのに適する誘導体化剤の例には、2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミン及び2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)エチルアミンが含まれる。
【0059】
一態様において、本発明は、N−ヒドロキシアミノ酸アミド誘導体化単位及びN−アルキル−N−ヒドロキシアミノ酸アミド誘導体化単位を含むように誘導体化された新規かつ改良された誘導体化ポリアミノ酸ポリマーを提供する。これらの誘導体化されたアミノ酸ポリマーは、本発明の方法に従って水性媒体中で調製することができる。この方法によると、使用される誘導体化剤は、4.0〜11.0、好ましくは6.0〜9.0の間のpHを有する溶液を提供するように添加された水酸化ナトリウムを含む脱イオン水に溶けたヒドロキシルアミン酸錯体の水溶液である。誘導体化剤をポリスクシンイミドの水性懸濁液に添加すると反応混合物が形成される。反応混合物を約−5℃〜約100℃、好ましくは10℃〜60℃の間の温度で20〜35時間又は誘導体化反応が実質的に完了するまで攪拌する。残りのスクシンイミド単位を、攪拌しながら1〜約2時間を要してpHを9.00以上に上昇させることにより加水分解させる。その後、pHは7.0〜8.0の間に調節されてN−ヒドロキシアミノ酸アミド誘導体化ポリアミノ酸ポリマー生成物が提供される。
【0060】
ポリマー生成物中に残留するヒドロキシルアミン及び/又はN−アルキルヒドロキシアミンは高度に反応性であり、ポリマー主鎖に分解して望ましくないほど低い分子量を有するポリマーを生じる傾向を有する。
【0061】
本発明の方法によると、最終生成物の溶液中に存在する未反応ヒドロキシルアミン又はN−アルキルヒドロキシルアミンを実質的に無反応性となるように反応生成物を処理し、貯蔵安定性のある高分子量誘導体化ポリマーが提供される。処理工程は、残留ヒドロキシルアミンをプロトン化するために水性無機酸により酸性pHに反応生成物の溶液を酸性化することを含み得る。反応生成物溶液のpHが4.0以下、好ましくは3.5以下に達するまで塩酸又は硫酸が添加されることが好ましい。
【0062】
本発明のこの観点に係る代替的処理工程は、残留ヒドロキシルアミンが実質的に除去されるまで脱イオン水に対して反応生成物溶液を透析することである。通常、約5〜約60時間を要する透析は、MWCO 100−1000グレード透析膜を使用して十分に行われる。
【0063】
残留ヒドロキシルアミンを除去する別の方法は、I2 、Br2 、Cl2 、又はエステル、アミド、ハロゲン化アシル等のような強酸化剤により反応生成物を処理することを含む。酸化剤の添加前に反応生成物が3.0以下のpHになるまで酸性化されても、7.0〜8.0の間の初期pHで酸化剤が溶液に添加されてもよい。I2 の添加後、溶液のpHは急速かつ大幅に、すなわち1分間以内に7.2から2.9に低下する。
【0064】
他の処理方法には、残留ヒドロキシルアミンによる分解作用を抑制する乾燥状態になるまで最終生成物の溶液を蒸発させることを含む。
【0065】
この方法によると、ヒドロキシルアミン、N−アルキルヒドロキシアミン又はそれらの塩と反応性であるが、コポリマーと無反応性である他の化合物又は分子を脱活剤として使用してもよい。残留ヒドロキシルアミンが反応により消費されない場合には、ポリマー生成物は安定である。この目的に使用することができる他の脱活剤には、エステル、好ましくは例えば蟻酸グリコール及び酢酸グリコールのような水溶性エステルが含まれる。他の脱活剤には、残留ヒドロキシルアミン又はN−アルキルヒドロキシルアミンを反応して無反応性ヒドロキサム酸を形成する塩化アシル、アルデヒド、ケトン及びアミドが含まれる。他の脱活剤には、残留ヒドロキシルアミン又はN−アルキルヒドロキシルアミンと容易に反応して無反応性オキシム(HON=CR’R'')を形成するアルデヒド及びケトンも含まれる。これらの追加の試薬及び方法を用いて本発明に係るN−ヒドロキシアミノ酸アミド誘導体化アミノ酸ポリマー生成物を安定化させることができる。
【0066】
好ましい態様によると、調節された温度及び調節された反応時間で、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等のような極性有機溶剤中でポリスクシンイミドをアルキロールアミン、アリーロールアミン、ヒドロキシアルキルアルコキシアミン、アルコキシアルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミノアルキルアミン及びホスホノアルキルアミンから選ばれる誘導体化剤とポリスクシンイミドを反応させることによって、誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマーの重量平均分子量は本発明に従って選択的に調節することができる。
【0067】
本発明のこの側面によると、出発物質であるポリスクシンイミドの分子量を固定した場合に、当該誘導体化ポリマーの分子量は、反応温度の上昇とともに低下し、そしてある温度で反応時間が長くなるとともに増加する。本発明によると。誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマーの分子量は、ポリスクシンイミド出発物質の適切な選択、並びに当該誘導体化反応のために反応温度及び反応時間を選択及び調節することに基づいて予測又は指定することができる。従って、当該誘導体化ポリマーに対する所望の分子量を予測し、そのような分子量を有する誘導体化ポリマーを得ることができる。重要なことは、当該コポリマー、ターポリマー及びポリポリマーの分子量が、その後のスクシンイミド残留物を酸単位に転化させる加水分解反応による又はスクシンイミド単位を残すことによる影響を受けない。
【0068】
当該ポリマー及びそれらを製造する方法に関する更なる詳細を以下の実施例に示す。
【実施例】
【0069】
調製例1:無水マレイン酸と水酸化アンモニウムからの低分子量ポリ(スクシンイミド)の合成
脱イオン水(400g)中に無水マレイン酸(196g、2モル)を含むスラリーを機械的に攪拌し、次いで75℃に加熱した。得られた透明溶液を約20℃に冷却し、次いで30%水酸化アンモニウム(136g、2モル)を滴下添加した。水酸化アンモニウムの添加が完了した後、前記溶液を更に20℃で45分間攪拌し、次いで83℃で3.5時間攪拌した。得られた透明溶液を計量したところ539gであった。これを2つに分けパートA及びBとした。前記溶液のパートAを結晶化皿(100×170mm)に移し、次いで0.1mmHg以下の減圧オーブン内で150℃に加熱した。1時間を要して水を除去した。得られた白色固形物を更に150〜180℃/0.1mmHg以下で30分間加熱し、次いで180℃/0.1mmHg以下で3.5時間加熱し、砕けやすい橙色のポリ(スクシンイミド)固形物(83.1g、84.8%)を得、数グラムの白色固形物(恐らくは無水マレイン酸)が減圧オーブンの窓ガラスに付着した。調製例1のポリ(スクシンイミド)はジメチルホルムアミド(DMF)に可溶であったが、テトラヒドロフラン(THF)には不溶であった。IR(ペレット)では、ポリ(スクシンイミド)の環状イミドの特性吸収である1705(s)及び1792(vw)cm-1が示された。
【0070】
調製例2
調製例1の溶液のパートBを、120〜140℃の油浴中の二口フラスコ内で窒素気流中で加熱した。1.5時間を要して水を除去した。残留固形物を窒素気流中130〜140℃で8.5時間加熱した。得られた砕けやすい橙色固形物を計量したところ122.8gであった(恐らくポリ(スクシンイミド)オリゴマーとマレイン酸モノアンモニウム塩の混合物であろう)。この生成物はTHF又はDMFのいずれにも可溶でなかった。
【0071】
調製例3〜5:ポリ(スクシンイミド)の加水分解による低分子量ポリ(アスパラギン酸)の合成
【0072】
調製例3
低分子量ポリ(アスパラギン酸)を以下の通りに調製した:脱イオン水(72g)中に調製例1のポリ(スクシンイミド)(5.0g、0.051モル)を含む73℃、pH3.0〜7.2の懸濁液(pH=3.0)に18分間にわたって10.0%NaOH溶液(12.1g、0.0303モル)を滴下添加し、赤色溶液を得た。得られた溶液を脱イオン水で稀釈して100.0gとした。IR(溶液):1720(s)、1574(s)、1394(s)cm-1。GPCにより決定された分子量及びポリマー活性を表1にまとめた。生成物を冷蔵庫内で保存した。
【0073】
調製例4
調製例2のポリ(スクシンイミド)を0.1mmHg以下で180〜200℃で5.5時間加熱した。このポリ(スクシンイミド)50g(0.51モル)を脱イオン水(400g)に懸濁させ、次いで50%NaOH溶液(40.0g、0.51モル)を室温で1時間にわたって滴下添加した。NaOH溶液の最後の一滴が添加された後のpHは12.78であり、このpHは室温で更に40分間攪拌した後でも変化しなかった。その後、希塩酸(0.098モル)によりpHを8.6に調節した。得られた赤色溶液を計量したところ679.7gであった。これを冷蔵庫内で保存した。前記溶液のpHは4日後までは変化しなかったが、36日経過すると7.63に低下した。IR(溶液):1712(vw)、1632(s)、1577(s)及び1395(s)cm-1。GPCにより決定された分子量及びポリマー濃度を表1にまとめた。
【0074】
調製例5:o−リン酸触媒を使用する中分子量ポリ(スクシンイミド)の合成
スパチュラを用いて結晶化皿(170×100mm)内でL−アスパラギン酸(100g、0.752モル)とo−リン酸(43.3g、0.376モル、0.5当量)を混合し、前記皿の底にペーストとして均一に分散させた。小さな穴を有するアルミニウム箔を前記皿の上に載せた。次いで、前記皿を減圧オーブン内に置き、60〜180℃/ハウス減圧(約100mmHg)下で2.5時間加熱すると砕けやすい白色気泡が形成され、これをオーブンから即座に取り出し、フード内で冷却した。粗製固形ポリ(スクシンイミド)を80℃のDMF(350ml)に溶解させ、次いでこのDMF溶液を3リットルビーカー内の脱イオン水(2.5リットル)に攪拌しながら注ぎ入れると小片状の白色沈殿物が形成された。減圧濾過により沈殿物を集め、次いでpHが3.6に達するまで脱イオン水(300〜400ml×10)を用いて10回洗浄した。湿っていた固形物を約100℃/ハウス減圧下で20時間を要して乾燥させ、白色固形ポリ(スクシンイミド)(61.0g、83.1%)を得た。
【0075】
調製例6
脱イオン水(50g)中に調製例6(5.0g、0.051モル)のポリ(スクシンイミド)を含む懸濁液を83℃に加熱した。これにpHが10.4以下のNaOH溶液(50%NaOH4.1gを30gの脱イオン水で稀釈したもの、0.051モル)を25分間にわたって滴下添加した。得られた溶液の最終的なpHは7.9であり、その重さは72.7gであった。GPCにより決定された分子量及びポリマー濃度を表1にまとめた。
【0076】
調製例7
穴付きのアルミニウム箔をその上に有する結晶化皿内のL−アスパラギン酸(75.0g、0.564モル)と85%o−リン酸(37.5g、0.325モル)の混合ペーストを減圧オーブン内で145℃/5mmHg以下で75分間加熱し、次いで更に145〜184℃/5mmHg以下で2.0時間加熱した。得られた粗製ポリ(スクシンイミド)固形物を前記オーブン内で室温まで冷却し、次いで前記皿からひっかきだした。固形物を80℃のDMF(850ml)に溶解させた。このDMF溶液を70〜90℃/40mmHg以下で約300mlになるまで濃縮し、そして脱イオン水(1.5リットル)に注ぎ入れた。得られた白色沈殿物を減圧濾過により集め、脱イオン水(300ml×7)を用いて洗浄し、次いで120〜140℃/ハウス減圧下で14時間を要して乾燥させ、次いで70〜90℃/ハウス減圧下で37時間を要して乾燥させた。乾燥固形ポリ(スクシンイミド)の重さは54.5g(99.5%)であった。IR(KBr、ペレット):1803(w)、1713(s)、1635(sh)、1397(s)、1360(s)、1216(s)、及び1162(s)。
【0077】
調製例8
70℃の脱イオン水(75g)中に調製例8のポリ(スクシンイミド)(5.0g、0.051モル)を含む懸濁液に、14〜17ml/時間の速度で10.0%NaOH溶液(19.8g、0.049モル)を加え、pHを11.9以下に調節した。得られた溶液のpHを8.4に調節し、次いで脱イオン水を用いて稀釈し、100.0gにした。生成物を冷蔵庫内に保存した。IR(溶液):1636(m)、1576(s)、1395(s)、1101(m)。GPCにより決定された分子量及びポリマー濃度を表1にまとめた。
【0078】
調製例9
過剰のNaOHを加えたことを除き、同様にして調製例8のポリ(スクシンイミド)の50〜60℃での加水分解から別にポリ(アスパラギン酸)を合成した。希硫酸を用いて即座に溶液のpHを8〜9に調節した。分子量及びポリマー濃度を表1にまとめた。
【0079】
調製例10
結晶化皿内のL−アスパラギン酸(75.0g)とオルトリン酸(37.5g)の混合物を5mmHg以下の減圧下で75分間を要して145℃に加熱し、その後、145〜184℃/5mmHg以下で2.5時間加熱した。粗製ポリ(スクシンイミド)を精製し、次いで加水分解させて66,000の重量平均分子量を有するポリ(アスパラギン酸ナトリウム)とした。
【0080】
調製例11:超ポリリン酸触媒の合成
Fieser,M.により編集されたReagents for Organic Synthesis、第5巻、第540頁、John Wiley & Sons、New Yorkの記載に従って下記のように超ポリリン酸触媒を調製した:機械攪拌機を備えたジャー内のポリリン酸(670g)と五酸化リン(130.8g)の予備混合されたペーストを窒素気流中で30分間を要して140℃に加熱し、機械攪拌するのに十分に軟らかい流体を形成させた。次いで、この流体を攪拌しながら1時間加熱し、そして更に175〜190℃で2.0時間加熱して761.8gの粘着質の流体を得た。
【0081】
実施例1
L−アスパラギン酸(75.0g、0.564モル)と超PPA(48.0g、約1当量)の混合物を結晶化皿(170×100mm)に内に入れた。穴付きアルミニウム箔を上部に有するこの皿を減圧オーブン内に入れ、次いで0.1mmHg以下300°F(150℃、反応物の温度でない外側温度)に加熱すると軟質半流体が形成した。オーブンを開け、そしてスパチュラを用いて反応物を即座に混合した。次いで、ペーストを同じオブーン内で300〜440°F(150〜227℃)/0.1mmHg以下で4.5時間加熱した。粗生成物をオーブン内で室温に冷却し、次いで2つのパート(A及びB)に分けた。粗生成物のパートA(21.0g)を60℃のDMF(200ml)に溶解させた。このDMF溶液を60℃/1mmHgで120mlになるまで濃縮し、次いで脱イオン水(300ml)に注ぎ入れた。生成した沈殿物を減圧濾過により集め、脱イオン水(200ml×6)を用いて洗浄し、次いで160℃/0.1mmHg以下で1時間を要し、次いで120℃/ハウス減圧下で48時間を要して乾燥させ、11.1gの純粋な白色固形ポリ(スクシンイミド)を得た。
【0082】
実施例2
上記粗生成物のパートB(72.8g)を粉砕した(5mm及び0.5mmグラインダーをそれぞれ使用して2回粉砕した)。粉砕した67.0gの粗製ポリ(スクシンイミド)を180℃/0.1mmHg以下の減圧オーブン(180℃に予熱)内で3.5時間加熱し、62.8gの粗製ポリ(スクシンイミド)Dを得た。33.0gの粗製ポリ(スクシンイミド)Dを60〜70℃のDMF(300ml)に溶解させた。DMF溶液を脱イオン水(1000ml)に注ぎ入れた、沈殿物を濾過により集め、脱イオン水(400ml×7)を用いて洗浄し、次いで150〜160°/0.1mmHg以下で1時間を要して乾燥させ、次いで120℃/ウォール減圧下で32時間を要して乾燥させ、純粋な灰白色の固形ポリ(スクシンイミド)(18.3g)を得た。
【0083】
実施例3
粗製ポリ(スクシンイミド)D(29.8g)の残りを0.5mm以下に粉砕し、次いで180〜200℃/0.1mmHg以下で4.5時間加熱し、そして前述の通りの手順を用いて精製し、14.7gの淡灰色の純粋なポリ(スクシンイミド)を得た。
【0084】
実施例4〜7
調製例10の手順に従って、実施例1〜3のポリ(スクシンイミド)を加水分解させてポリ(アスパラギン酸)ポリマーを形成させ、これらを実施例4〜6とした。実施例5のIR(溶液):1638(m)、1575(s)、及び1396(s)。実施例4〜6に対してGPCにより決定された分子量及びポリマー濃度を表1にまとめた。
実施例1〜3の手順に従って、L−アスパラギン酸と超ポリリン酸から別のポリ(アスパラギン酸)ポリマーを調製した。実施例7とした対応するポリ(アスパラギン酸)を実施例4〜6の方法に従って調製した。
【0085】
実施例8
結晶化皿内のL−アスパラギン酸(75.0g)と超ポリリン酸(48.0g)の混合物を減圧下、150℃で30分間加熱し、次いで150〜227℃/0.1mmHg以下で更に4.5時間加熱した。固形生成物を室温に冷却した。この固形物の21.0gをDMFに溶解させ、水を用いて沈殿させ、水を用いて洗浄し、次いで乾燥させて純粋なポリ(スクシンイミド)を得た。続いて純粋なポリ(スクシンイミド)を水酸化ナトリウムを用いて加水分解させ、重量平均分子量80,000のポリ(アスパラギン酸ナトリウム)を得た。未精製ポリ(スクシンイミド)の残りの部分(67.0g)を粉砕して微粒子(0.5mm以下)とし、次いで180〜190℃/0.1mmHg以下で3.5時間再加熱して新たな固形物を得た。新たな固形物の33gを上記方法により精製し、続いて加水分解させて、94,000の重量平均分子量を有するポリ(アスパラギン酸ナトリウム)を得た。
【0086】
実施例9
乾燥DMF(20ml、活性4ÅMSにより乾燥されたもの)中に実施例3のポリ(スクシンイミド)(1.23g、0.0125モル)を含む溶液に、0.040%1,6−ヘキサンジアミン(0.10重量%)乾燥DMF溶液3.0gを加えた。この混合物を密閉ガラスジャー内で室温で7.5時間攪拌した。150mLの混合溶剤(エタノール:シクロヘキサン=1:2)を前記DMF溶液に加えた。生成した沈殿物を濾過し、混合溶剤を用いて洗浄し、次いで60℃/0.1mmHg以下で4時間を要して乾燥させ、1.24g(100%)の水不溶性の軽度に架橋したポリ(スクシンイミド)固形物を得た。この固形物を脱イオン水(77g)中に懸濁させ、次いで10.0%NaOH溶液(4.90g)を用いて室温で75分間を要して加水分解させた。希塩酸を用いて最終的な溶液のpHを13.10から6.83に調節した。軽度に架橋した水溶性ポリ(アスパラギン酸)の分子量を表1に示す。
【0087】
実施例10
DMF(20g)中にポリ(スクシンイミド)(1.23g)を含む溶液に、1,6−ジアミノヘキサンの溶液(0.040%DMF溶液3.0g)を加えた。溶液を室温で7.3時間攪拌した後、150mlの混合溶剤(エタノール:シクロヘキサン=1:2)を加えた。生成した沈殿物を濾過し、洗浄用溶剤を用いて洗浄し、減圧下60℃で乾燥させ、次いで10%NaOH(4.9g)を用いて加水分解させ、104,000の重量平均分子量を有する軽度に架橋した水溶性ポリ(アスパラギン酸ナトリウム)を得た。
【0088】
実施例11
1,6−ヘキサンジアミン架橋剤の代わりにトリス(2−アミノエチル)アミン架橋剤を用いたことを除き、実施例9〜10に記載の方法に従って別の軽度に架橋した水溶性ポリ(アスパラギン酸ナトリウム)を合成した。
【0089】
実施例12
DMF(15g)中にポリ(スクシンイミド)(1.23g)を含む溶液にトリス(アミノエチル)アミン(0.040%のDMF溶液3.0g)を加えた。この溶液を室温で7.3時間攪拌した後、150mlの混合溶剤(エタノール:シクロヘキサン=1:2)を加えた。生成した沈殿物を濾過し、洗浄用溶剤を用いて洗浄し、減圧下60℃で乾燥させ、次いで10%NaOH(4.90g)を用いて加水分解させ、114,000の重量平均分子量を有する軽度に架橋した水溶性ポリ(アスパラギン酸ナトリウム)を得た。
【0090】
実施例13
乾燥DMF中の実施例3のポリ(スクシンイミド)(1.23g、0.0125モル)を含む溶液に、1,6−ジアミノヘキサン(0.03g、2.4重量%のポリ(スクシンイミド))を加えた。この溶液を密閉ガラス容器内で室温で一晩攪拌しゲルを形成させた。このゲルをエタノール(30ml)と共に攪拌し、DMFを溶解させた。溶液をデカントし、次いでゲルを50〜70℃/0.1mmHg以下で1時間乾燥させ、1.57gの褐色がかった架橋ポリ(スクシンイミド)固形物を得た。この固形物を0.5mm以下に粉砕し、脱イオン水(34g)中に懸濁させた。この懸濁液に3.80g(0.00950モル)の10.0%NaOH溶液を加えた。この混合物を室温で3時間攪拌してゲル状の架橋ポリ(アスパラギン酸ナトリウム)を形成させた。pHを10.5から7.1に調節した。ゲルを回転式蒸発器により乾燥させ、次いで更に60℃/0.1mmHg以下で5.5時間乾燥させて架橋した固形ポリ(アスパラギン酸ナトリウム)(1.53g、89.5%)を得た。
上記のポリ(アスパラギン酸ナトリウム)ポリマーについてまとめたものを下記表1に示す。
【0091】
【表1】

【0092】
実施例14〜40
以下の実施例において、新規かつ改良されたN−アルキルオールアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−ヒドロキシアルコキシアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−ヒドロキシアルキルアミノアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−アルコキシアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−(o−スルホアルキル)アスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを調製した。調製データのまとめたものを下記表2に示す。
【0093】
実施例14
水(20g)中にポリ(スクシンイミド)(2.50g、NaOHを用いてこのポリ(スクシンイミド)試料を加水分解させると、分子量66,000のポリ(アスパラギン酸ナトリウム)が得られる)を含む懸濁液にエタノールアミン(1.53g)の水溶液を加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌した後、透明溶液を得た。ポリマーの分子量は、GPC分析によると60,000であることが確認された。この試料の13C−NMR分析によって、このポリマーは30モル%のN−ヒドロキシエチルアスパルトアミドを含むことが示された。
【0094】
実施例15
MWCO 3500の膜を用いて実施例14の生成物の溶液を透析し、純粋なN−2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを得た。分子量及びN−ヒドロキシエチルアミン含有率を表2に示す。
【0095】
実施例16
わずかに0.50当量のエタノールアミンを装入したことを除き、実施例14の方法に従ってN−2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸溶液を調製した。脱イオン水(35g)中にポリ(スクシンイミド)(5.0g、0.050モル)を含む懸濁液をエタノールアミン(1.53g、0.0251モル、0.50当量)と共に室温で20.8時間攪拌し、0.041モルのNaOH溶液を滴下添加してpH12.98の透明溶液を形成させた。この溶液を更に1時間攪拌し、次いで希HClを用いてpH6.7に中和した。GPCにより決定された分子量及び13C−NMRにより決定されたEA含有率を表2にまとめた。
【0096】
実施例17
250mlフラスコ内の攪拌したポリ(スクシンイミド)(15.0g、0.153モル)の粉末に乾燥DMF(60g)及びエタノールアミン(4.66g、0.0765モル、0.50当量)を加えた。この溶液を室温で4時間撹拌し、次いで120〜150℃で1時間35分攪拌した。この溶液を室温に冷却した後、200mlのエタノールを加えた。沈殿物を減圧濾過し、70〜80℃/減圧下で乾燥させ、9.7gの固形物を得た。NaOH溶液(4.1gの50%NaOHと7.0gの脱イオン水を含む)を11.8以下のpHで25分間にわたって加えた。得られた溶液を更に50分間攪拌し、次いでpH7.5に中和して殆ど純粋なN−2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸(HEA/ASP)コポリマーを得た。
【0097】
実施例18
実施例17において調製したコポリマー溶液の一部を30時間を要して透析した(膜MWCO 500)。透析した溶液を濃縮し、純粋なEA−ポリ(アスパラギン酸)コポリマーを得た。分子量及びEA含有率を表2にまとめた。
【0098】
実施例19
他の誘導体化アスパラギン酸のコポリマーの合成も同様に行った。その結果を実施例19〜33として表3にまとめた。
【0099】
実施例34
水(20g)中にポリ(スクシンイミド)(2.50g、NaOHを用いてこのポリ(スクシンイミド)試料を加水分解させると、分子量66,000のポリ(アスパラギン酸ナトリウム)が得られる)を含む懸濁液に、水(23g)中に2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(2.63g)を含む溶液を加えた。反応混合物を室温で30時間攪拌し、透明溶液を得た。ポリマーの分子量は69,000であることが確認された。この試料の13C−NMR分析によって、このポリマーは2.9モル%のN−(2−メチル−1,3−ジヒドロキシプロピル)アスパルトアミドを含むことが示された。
【0100】
実施例35
DMF(15g)中にポリ(スクシンイミド)(1.23g、NaOHを用いてこのポリ(スクシンイミド)試料を加水分解させると、分子量94,000のポリ(アスパラギン酸ナトリウム)が得られる)を含む溶液に2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(1.33g)を加えた。この反応混合物を室温で18時間攪拌した。150mlの混合溶剤(エタノール;シクロヘキサン=1:2)を加え、次いで生成した沈殿物を遠心分離により集め、エタノールを用いて洗浄し、次いで減圧下60℃で乾燥させて水溶性コポリマーを得た。この試料の13C−NMR分析によって、このポリマーは29モル%のN−(2−メチル−1,3−ジヒドロキシプロピル)アスパルトアミドを含むことが示された。
【0101】
実施例36
実施例35に記載の方法に従って、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン誘導体化剤をポリスクシンイミドを反応させることによりN−(2−ヒドロキシメチル−1,3)アスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを調製した。得られた結果を表2に示す。
【0102】
実施例37
脱イオン水(10g)中にポリスクシンイミド(2.50g、NaOHを用いてこのポリスクシンイミド試料を加水分解した場合、48,000の分子量を有するポリ(アスパラギン酸ナトリウム)が得られる)を含む攪拌した懸濁液に、脱イオン水(5g)中に2−(2−アミノエトキシ)エタノール(1.34g)を含む溶液をpH10.4で滴下添加した。反応混合物を室温で12時間攪拌した後、NaOH溶液(1.46gの50%NaOHを5gの脱イオン水により稀釈したもの)を12以下のpHで滴下添加した。これによって、N−2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーの溶液を得た。コポリマー組成物の分子量を表2に示す。
【0103】
実施例38
DMF(115ml)中にポリスクシンイミド(15g、0.153モル)を含む攪拌した溶液に、DMF(30ml)中に2−メトキシエチルアミン(0.81g、0.01モル)を含む溶液を滴下添加した。この溶液を室温で15時間攪拌し、次いで100〜160℃で1.5時間攪拌した。この溶液を室温に冷却し、、次いで250mlのエタノールを加えた。沈殿物を濾過により集め、エタノールを用いて洗浄し、次いで減圧下で乾燥させた。乾燥した固形物を脱イオン水(52g)中に懸濁させた。NaOH溶液(11.7gの50%NaOHと40gの脱イオン水)を12.7以下のpHで滴下添加した。溶液を1時間10分攪拌し、次いでpHを8.11に調節した。コポリマーの分子量及び組成を表2に示す。
【0104】
実施例39
DMF(80ml)中にポリスクシンイミド(10g、0.102モル)を含む攪拌した懸濁液に、DMF(15ml)中にエタノールアミン(1.87g、0.0306モル)を含む溶液を滴下添加した。この溶液を室温で更に15時間攪拌した。DMF中にアミノエチルスルホネート(14.0g、0.092モル)を含む溶液とピリジン(10.0g)を加えた。溶液を22〜40℃で24時間攪拌した。180mlのエタノールを加えた。沈殿したポリマーを濾過により集め、減圧下で乾燥させ、粉砕し、次いで脱イオン水(60g)中に懸濁させた。50%NaOH(8.16g)をpH11.0以下の攪拌した溶液に滴下添加し、粗製N−(2−o−スルホ)エチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー(SEA/ASP)を得た。粗生成物の透析によって、純粋なEAS/ASPコポリマーを得た。GPCにより決定された生成物の分子量及び13C−NMRにより決定された組成を表2にまとめた。
【0105】
実施例40
脱イオン水(50g)中にポリスクシンイミド(10.0g)を含む懸濁液に、室温で脱イオン水(10g)中に2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール(5.31g)を含むpH10.2〜10.33の溶液を徐々に加えた。その後、懸濁液を室温で12時間攪拌した。pH11以下のNaOH溶液(5.87gの50%NaOH溶液と5.0gの脱イオン水)を加え、残りのスクシンイミド単位を加水分解させた。これによって、N−2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)エチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを得た。分子量及びコポリマーの組成を下記表2に示す。
【0106】
【表2】

【0107】
【表3】

【0108】
【表4】

【0109】
【表5】

【0110】
【表6】

【0111】
実施例41
ポリ(スクシンイミド)(1.23g、NaOHを用いてこのポリ(スクシンイミド)を加水分解させた場合、分子量66,000のポリ(アスパラギン酸ナトリウム)が得られる)の懸濁液に、水(5g)中のアミノメチルホスホネート(1.13g)を含む水溶液に水酸化ナトリウム溶液(10.0g、10.0%)を加えることにより調製されたアミノメチルホスホン酸二ナトリウムの溶液(pH=11.0)を加えた。反応混合物を室温で13時間攪拌した。水酸化ナトリウム溶液(0.3g、10.0%)を加えて未反応ポリ(スクシンイミド)を加水分解させた。13C及び31P−NMR法により生成物を確認した。ポリマーの分子量が71,000であることが分かった。試料のNMR分析によって、ポリマーは2モル%のN−ホスホノメチルアスパルトアミドを含むことが示された。
【0112】
実施例42
実施例41において調製されたN−ホスホノメチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーの一部を、透析膜(MWCO 3500)を使用して脱イオン水に対して溶液を透析することにより精製し、精製コポリマー溶液を得た。GPC分析により決定された分子量並びに13C及び31P−NMRにより決定されたAMPA含有率を表3にまとめた。
【0113】
実施例43〜44
1当量のNaOHを使用したことを除き、実施例41の方法に従って、更にN−ホスホノメチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを調製した。
【0114】
実施例45
水(15g)中にポリ(スクシンイミド)(1.23g、NaOHを用いてこのポリ(スクシンイミド)を加水分解させた場合、分子量94,000のポリ(アスパラギン酸ナトリウム)が得られる)及びアミノメチルホスホン酸(1.38g)を含む懸濁液に、25%トリメチルアミン水溶液(7.9g、pH=11.4)を加えた。反応混合物を攪拌し、透明溶液を得た。13C及び31P−NMR法により生成物を確認した。ポリマーの分子量が89,000であることが分かった。試料のNMR分析によって、ポリマーは2モル%のN−ホスホノメチルアスパルトアミドを含むことが示された。
【0115】
実施例46
KOH(2.74g、0.0500モル)及び無水エタノール(40ml)から調製されたアルコール溶液に30分間を要してAMPA(99%、2.78g、0.025モル)及びDMAP(4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、3.05g、触媒として)を加えた。氷水により冷却したこの攪拌した溶液に、窒素雰囲気下でDMF(25ml)中にポリ(スクシンイミド)(2.45g、0.0250モル)を含む溶液を滴下添加した。ポリ(スクシンイミド)溶液にAMPAカリウム塩の溶液を加えるにつれて桃色沈殿物が形成された。二相混合物を10〜12℃で1.3時間攪拌し、次いで室温で55時間攪拌した。100mlの1:1エタノール/ジエチルエーテル混合溶剤を加え、ポリマー生成物を沈殿させた。固形物を減圧濾過し、1:1エタノール/エーテル(100ml)を用いて洗浄し、次いで80℃/ハウス減圧下で乾燥させ、6.4gの淡桃色固形物(収率89.0%)を得た。
【0116】
実施例47
実施例46において調製した粗生成物を脱イオン水に溶解させた。希NaOHを用いてこの溶液のpHを12.0に調節し、残留ポリ(スクシンイミド)を加水分解させ、次いで室温で20分間攪拌した。次いで、この溶液をpH1.1に酸性化し、そして1:1エタノール/アセトン(ml)を用いて沈殿させた。上澄みをデカントし、次いで沈殿物を脱イオン水に溶解させた。この手順をもう一度繰返し、DMAP及び/又はAMPA残留物を除去した。この精製されたポリマーを透析し(膜MWCO 12−14K)、純粋なN−2−アミノ−2−メチル−1,3−ジヒドロキシプロピルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを得た。31P及び13C−NMR分析法の双方を用いて純度を確認した。分子量及びAMPA含有率を表3にまとめた。
【0117】
実施例48
DMF(25ml)中にポリ(スクシンイミド)(2.46g、NaOHを用いてこのポリ(スクシンイミド)を加水分解させた場合、分子量94,000のポリ(アスパラギン酸ナトリウム)が得られる)を含む溶液に、無水エタノール中にアミノメチルホスホン酸二ナトリウム及び4−N,N−ジメチルピリジンを含む溶液(無水エタノール(13.5ml)中にKOH(2.80g)を含む溶液にアミノメチルホスホン酸(3.16g、純度87%)及び4−N,N−ジメチルピロジン(1.67g)を加えることにより調製)を加えた。この懸濁液を室温で89時間攪拌した。得られた固形物を濾過し、エタノールを用いて洗浄し、60℃で減圧乾燥させ、そして最後に水に溶解させた。溶液のpHを9.9に調節した。30分間攪拌した後、溶液のpHを8.5に再調節した。13C及び31P−NMR法により生成物を確認した。ポリマーの分子量が17,000であることが分かった。試料のNMR分析によって、ポリマーが9モル%のN−ホスホノメチルアスパルトアミドを含むことが示された。
【0118】
実施例49
分子量3250のポリスクシンイミドを出発物質として使用し、誘導体化剤として100モル%のAMPAを装入したことを除き、実施例46の方法に従ってN−(2−スルホノエチル)アスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを調製した。結果を下記表3に示す。
【0119】
【表7】

【0120】
【表8】

【0121】
実施例50
水(10g)中にポリ(スクシンイミド)(1.23g、NaOHを用いてこのポリ(スクシンイミド)を加水分解させた場合、分子量66,000のポリ(アスパラギン酸ナトリウム)が得られる)を含む溶液に、タウリン酸ナトリウムの溶液(pH=10.7、水5gにタウリン1.59gを含む水溶液に10%NaOH5.0gを加えることにより調製)を加えた。pH9.9の得られた反応混合物を室温で13時間攪拌し、透明溶液を得た。試料の13C−NMR分析によって、ポリマーが11モル%のN−スルホノエチルアスパルトアミドを含むことが示された。ポリマーの分子量が72,000であることがわかった。
【0122】
実施例51
透析膜(MWCO 3500)を使用して脱イオン水に対して実施例50の粗製コポリマーを透析し、精製されたコポリマー生成物を得た。分子量及びタウリン含有率を表4に示す。
【0123】
実施例52
水(5g)中にタウリン(0.48g)を含む懸濁液に、10.0%NaOH(1.3g)を加え、ナトリウムタウレート(pH=9.87)の溶液を得た。この溶液を、水(10g)中にポリ(スクシンイミド)(1.23g、NaOHを用いてこのポリ(スクシンイミド)を加水分解させた場合に、分子量66,000のポリ(アスパラギン酸ナトリウム)が得られる)を含む懸濁液に加えた。懸濁液を室温で13時間攪拌した。10.0%NaOH溶液(3.72g)を加えて未反応スクシンイミドを加水分解させ、透明溶液を得た。試料の13C−NMR分析によって、ポリマーが1モル%のN−スルホノエチルアスパルトアミドを含むことが示された。ポリマーの分子量が70,000であることがわかった。
【0124】
実施例53
実施例40と同様な手順を用いてアミノメチルスルホン酸(AMS)のナトリウム塩とポリ(スクシンイミド)との反応を実施した。GPCにより決定された精製された生成物の分子量は68,000であったが、13C−NMR分析により不確かなAMS含有率(3%)が示された。
【0125】
【表9】

【0126】
実施例54
ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.95g、0.0285モル、1.11モル当量)に脱イオン水(20g)及び50%NaOH(11.06g、0.0279モル)を加え、pH7.84の透明溶液を得た。この溶液を、脱イオン水(20.8g)中にポリ(スクシンイミド)(2.46g、0.025モル)を含む懸濁液に1〜2分間を要して加えた。この懸濁液を室温で34時間電磁攪拌した(その後の別の実験から固形物は15時間以内に消失することが確認された)。pHを5.9から9.0に調節した後、溶液を2.3時間攪拌した。最終的にpHを8.7〜7.7に調節し、粗製N−ヒドロキシアスパルトアミド/アスパラギン酸生成物を得た。
【0127】
実施例55
実施例54の粗生成物を脱イオン水に対して48時間を要して透析(膜MWCO 1000)して未反応ヒドロキシルアミンを除去し、精製されたコポリマー生成物を得た。GPCにより決定された分子量及び13C−NMRにより決定されたHA含有率を表5にまとめた。
【0128】
実施例56〜59
実施例54に記載の方法に従って更にN−ヒドロキシアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを調製した。分子量及びHA含有率を表5にまとめた。
【0129】
実施例60
脱イオン水(50.0ml)中にポリ(スクシンイミド)(20.2g、0.204モル)を含む窒素雰囲気下にある機械攪拌された懸濁液(500mlフラスコ内)に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(8.50g、0.122モル、0.60当量)、脱イオン水(18.0g)及び50%NaOH(10.3g、0.129モル)から調製されたヒドロキシルアミンの溶液を滴下添加した。この懸濁液を窒素雰囲気下、室温で更に21時間攪拌した。NaOH(9.86g、0.123モル、0.60当量)及び脱イオン水(16.1g)から調製されたNaOH溶液を、室温で、pH9.5以下の攪拌された懸濁液に滴下添加した。得られた褐色溶液を更に1時間20分攪拌した。希HClを用いてpHを8.9から7.3に調節し、N−ヒドロキシアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを得た。
【0130】
実施例61
実施例60において調製されたコポリマーの一部を30時間を要して透析し、精製されたN−ヒドロキシアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを得た。GPCにより決定された分子量及び13C−NMRにより決定されたHA含有率を表5にまとめた。
【0131】
実施例62〜66
実施例60及び61に記載の手順に従って更にN−ヒドロキシアスパルトアミド/アスパラギン酸を調製した。分子量及びHA含有率を表5にまとめた。
【0132】
【表10】

【0133】
【表11】

【0134】
実施例67
脱イオン水(25.0g)中にポリ(スクシンイミド)(5.0g、0.050モル)を含む攪拌された懸濁液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(3.52g、0.050モル、1.0当量)、脱イオン水及び50%NaOHから調製されたヒドロキシルアミンの溶液を加えた。初期pHは7.44であった。懸濁液を室温で14.5時間攪拌した。pHを5.8から7.1に調節した後、溶液を25時間攪拌した。pHを再び9.0に調節し、次いで溶液を4.5時間攪拌した。pHを最終的に7.2に調節し、粗製N−ヒドロキシアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー(71g)を得た。
【0135】
実施例68
ヒドロキシルアミン残留物をプロトン化するために、実施例67のコポリマーの12.5gを希HClを用いてpH3.5まで酸性にした。
【0136】
実施例69
実施例67のコポリマーの12.0gをpH2.3まで酸性にし、次いでI2 (1.08g)と共に3時間攪拌した。pHは1.63に低下した(依然としてI2 が存在していた)。
【0137】
実施例70
実施例67のコポリマーの10.4gを乾燥するまで蒸発させ、1.52gの固形物を得た。
【0138】
実施例71
実施例67のコポリマー(pH7.2)の12.0gをI2 (1.08g)と共に攪拌した。1分間以内にpHは7.2から2.9に低下し、そして10分間以内に2.27に低下した。
処理から2日後にこれらのポリマー試料の分子量をGPCにより決定し、そしてそれらを冷蔵庫内で1.5カ月間貯蔵した後に再び分子量を決定した。その結果を表6にまとめた。実施例67のpH7.2のコポリマー溶液の一部に蟻酸グリコールを加えた場合、コポリマーの分子量は少なくとも3か月間変化しなかった。
【0139】
【表12】

【0140】
【表13】

【0141】
実施例72
本発明のコポリマー、ターポリマー及びポリポリマーの生分解性を評価した。P.Neri等及びM.S.Freemanによりそれぞれ開示されているように、2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド又は2−ヒドロキシエチルグルタミドのホモポリマーは生分解性ではないが、意外にも本発明のコポリマー、ターポリマー及びポリポリマーが生分解性であることが見出された。ポリマーの生分解性は、アルカノールアミド/アミノ酸のモル比が減少するにつれて増加する。アルカノールアミド/アミノ酸のモル比が約30/70以下であるコポリマーは容易に且つ完全に生分解しうるものである。このコポリマーは無接種原毒性であり、且つ、非生分解性であった。
1.固有生分解性試験方法
1992年7月17日に議会により採択された「化学物質の試験に関するOECDガイドライン」の試験方法302Bとして記載されているZahn−Wellens/EMPA試験法を用いて本発明の前記ポリマーの固有生分解性を決定した。生分解過程は、試験容器から採取した濾過された試料中に含まれるDOC(分解した有機炭素)を決定することによりモニターした。各時間間隔後、ブランクに対して補正された除去された(減少した)DOCの初期DOC値に対する割合(DOCの減少率)をサンプリング時での生分解率(%)として表した。30/70のL−2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーの濃縮された最終的な試験用懸濁液の13C−NMR分光分析によって、残留L−2−ヒドロキシエチルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーは存在しないことが示された。
【0142】
対照化合物:活性スラッジの機能性を調べるために、生分解性が既知であるエチレングリコールを用いて各実験と平行して試験を行った。
装置:(a)容積4リットルのガラスジャッグ、それぞれ通気及び攪拌を可能にするための電磁攪拌棒及びガラスジャッグの底部の上方約5cmの位置にある空気を導入するためのガラス管を備えている。(b)CO2 、塵、油及び有機不純物を含まない空気を放出するCO2 精製機及び2回脱イオン化された水を含む洗壜からの圧縮空気の供給。0.45μmフィルターを使用してDOC分析用の試料を濾過した。
【0143】
無機媒体及び無機溶液用の原液:これらは、「化学物質の試験に関するOECDガイドライン」の試験方法302Bに記載されているのと同じ方法により調製した。2回脱イオン化された水を水源として使用した。
接種物:イリノイ州ナパービル(Naperville)所在のスプリングブルック下水処理プラントの通気溜ますから活性スラッジの新しい試料を採取し、そして15分間を要して遠心分離した。沈殿したスラッジを無機媒体を用いて2回洗浄し、次いで遠心分離した。次いで、スラッジを無機媒体中に分散させ、そして6日間通気した。接種物は、試験物質に適合しなかった。
【0144】
試験容器の準備:2.5リットルの最終容量でDOC45〜400mg/リットル、懸濁したスラッジ1.0g/リットルにそれぞれ達するように、各試験ジャグに2400mlの無機媒体及び適量の試験物質並びに接種物を導入した。試験化合物(DOCとして)に対する接種物の比は表7に示したように5〜22であった。以下の試験ジャグを使用した:
50/50HEA/ASPコポリマー(DOC400mg/リットル)及び接種物(懸濁したスラッジ1000mg/リットル)(試験懸濁液)を含む2つの試験ジャグ;
80/20HEA/ASPコポリマー(DOC400mg/リットル)及び接種物(懸濁したスラッジ1000mg/リットル)(試験懸濁液)を含む1つの試験ジャグ;
30/70HEA/ASPコポリマー(DOC45mg/リットル)及び接種物(懸濁したスラッジ1000mg/リットル)(試験懸濁液)を含む1つの試験ジャグ;
接種物(懸濁したスラッジ1000mg/リットル)(試験懸濁液)のみを含む2つの試験ジャグ(接種物対照);
対照エチレングリコール(DOC400mg/リットル)及び接種物(懸濁したスラッジ1000mg/リットル)を含む1つの試験ジャグ(手順対照);
対照50/50HEA/ASPコポリマー(コポリマーからのDOC400g/リットル)、エチレングリコール(エチレングリコールからのDOC400g/リットル)及び接種物(懸濁したスラッジ1000mg/リットル)を含む1つの試験ジャグ(毒性対照)。
【0145】
試験を暗がりで行った。最初に希NaOH又はHClを用いて試験懸濁液のpHを7.0〜7.4に調節し、分析のために試料を採取した。スラッジ懸濁液の試料を、10mlのシリンジ上に取り付けられた0.45μmのフィルターを用いて濾過した。試験条件及び得られた結果を表7にまとめた。
【0146】
【表14】

【0147】
実施例73
迅速極限生分解性試験方法
1992年7月17日に採択された「化学物質の試験に関するOECDガイドライン」に記載されている301B CO2 放出試験方法により本発明のポリマーの迅速極限生分解性を試験した。有機炭素の唯一の供給源として既知濃度の試験ポリマー(DOC15mg/リットル)を含む接種物(懸濁したスラッジ30mg/リットル)無機媒体の測定容量(2.5リットル)を暗がりで二酸化炭素を含まない空気を制御された速度(80ml/リットル)で通すことにより曝気した。生成したCO2 量を決定することにより生分解性をモニターした。試験物質から生成した二酸化炭素の量を理論CO2 量の百分率(理論CO2 %)として表した。
装置:(a)1ガロン入りジャグ、容器のほぼ底部に達する通気管及びプラスチック管を通じて0.0125M水酸化バリウム溶液100mlを含むトラッピングシリンダーに接続された出口をそれぞれ備えている。(b)各試験ジャグに対して使用される電磁攪拌棒。(c)CO2 を含まない空気を試験ジャグに供給するためのCO2 精製機を通じて圧縮空気を供給する。
水源:2回脱イオン化された水を試験の間中使用した。
無機媒体及び無機媒体溶液の原液の調製:1992年7月17日に採択された「化学物質の試験に関するOECDガイドライン」に記載されているのと同じ方法に従ってそれらを調製した。
接種物:上記固有生分解性の項に記載されているのと同じ方法に従って接種物源を調製した。また、接種物は試験物質に採用しなかった。
試験ジャグの準備:(a)各1ガロン入りガラスジャグに2400mlの無機媒体、活性スラッジ懸濁液を加え、最終的な接種された混合物2.5リットル中の懸濁された固形物の接種濃度を30mg/リットルとした。これらの接種された混合物に、CO2 を含まない空気を一晩通気し、系内の二酸化炭素をパージした。(b)既知濃度の各試験物質又は対照原液を加え、試験物質を加えなかったブランク対照用の2つのジャグ以外に、15mgDOC/リットルの濃度とした。既にCO2 を含まない空気が通気された無機媒体の添加により全てのジャグ内の懸濁液の最終的な容積を2.5リットルとした。(c)試験ポリマー及び対照(酢酸ナトリウム)の双方を双方ともDOC15mg/リットルで加えることによって、1つのジャグを用いて各試験ポリマーの抑制効果を調べた。(d)また、各試験ポリマーの未接種溶液を用いることにより試験ポリマーが生分解したか否かを調べるために1つのジャグを用いた。
有毒物質として2mlのH22 を加え、試験溶液を滅菌した。(e)各々0.0125M水酸化バリウム溶液100mlを含む3つの吸収シリンダーを各1ガロン入りジャグに連結した。溶液は沈殿物を含まず、その強度は使用前に決定した。(f)CO2 を含まない空気を通気することにより試験を開始し、70ml/分の割合で試験の間中通気した。
【0148】
ジャグの数:
50/50HEA/ASP及び接種物(試験懸濁液)を含む2つのジャグ;
30/70HEA/ASP及び接種物(試験懸濁液)を含む2つのジャグ;
2−ヒドロキシエチルアミン及び接種物(試験懸濁液)を含む1つのジャグ;
接種物のみを含む2つのジャグ(接種物ブランク);
対照酢酸ナトリウム及び接種物を含む1つのジャグ(手順対照);
50/50HEA/ASPコポリマー、酢酸ナトリウム及び接種物を含む1つのジャグ(毒性対照);
50/50HEA/ASPコポリマー及び滅菌剤H22 を含む1つのジャグ(無生物無菌対照)。
CO2 の決定:全ての試験ジャグに対して平行にCO2 の発生量を調べた。数日間のCO2 の測定後、試験ジャグに近接する水酸化バリウム吸収剤を除去し、次いで指示薬としてフェノールフタレインを使用して0.04723MのHClにより滴定した。残りの吸収剤を試験ジャグに近接して配置し、次いで新しい0.0125Mの水酸化バリウム100mlを含む新しい吸収剤をその列の最も端に配置した。第1番目のトラップ内で沈殿が確認され、そして第2番目のトラップ内で沈殿が確認される前に滴定を行った。
【0149】
結果の処理:
発生したCO2 の量を下記式1を用いて計算した:
【数1】

【0150】
【数2】

【0151】
発生したCO2 の百分率を下記式を用いて計算した:
【数3】

【0152】
化学物質の試験に関するOECDガイドラインに基づき、CO2 発生試験によって、生分解性を提供するためには二酸化炭素の理論発生量の60%の限度が決定された。有機炭素の残りは、生物量及び新しい代謝副生成物の形成に消費される。実際に、30/70HEA/ASPコポリマー及び接種物を含むジャグからの濃縮された最終試験懸濁液に対する13C−NMR実験によると、試験懸濁液中にコポリマーの残留物が存在しないことが示され、コポリマーが完全に生分解することが示唆された。表8にまとめられている試験結果は、HEA/ASPコポリマーの生分解性はHEA/ASP比が減少するにつれて増加することを示している。容易かつ完全な生分解は、コポリマーのHEA/ASPを約30/70に又は30/70以下に調節することにより達成することができる。他のコポリマー若しくはターポリマー又はポリポリマーの生分解性も同様に調節することができる。毒性対照試験及び無生物対照試験の結果は、HEA/ASPコポリマーが無毒であり、かつ、無生物的分解性であることを示している。ポリスクシンイミドと反応させてHEA/ASPコポリマーを製造するために使用される2−ヒドロキシエチルアミンも容易かつ完全に生分解しうる。コポリマー、ターポリマー及びポリポリマー溶液中の未反応ヒドロキシルアミン及びアルコキシアルキルアミン残留物は、自然界でのそれらの生分解性に関する問題を生じない。
【0153】
【表15】

【0154】
本発明を特定の好ましい態様を用いて説明してきたが、当業者により改良及び変更がなされるであろう。例えば、実施例に示したアスパラギン酸の代わりにグルタミン酸を用いてもよい。同一反応混合物中で複数種の誘導体化剤をポリ(スクシンイミド)と同時に反応させる回分式加工法、又は1種の誘導体化剤によりポリスクシンイミドを逐次的に誘導体化し、コポリマーの回収及び再懸濁が各誘導体化工程の間に行われる逐次誘導体化法のいずれかにより本明細書に記載の手順に従ってターポリマー及びポリポリマーを調製することができる。特許請求の範囲に定義される本発明の範囲及び真意から逸脱することなく、そのようなあらゆる改良及び変更をなすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアミノ酸又はそれらの塩のアミノ酸単位及び少なくとも1つの誘導体化されたアミノ酸の誘導体化単位を含むポリマー主鎖構造を有し、300〜100,000の重量平均分子量を有する実質的に線状の生分解性ポリ(アミノ酸)ポリマーであって、前記誘導体化されたアミノ酸が、N−ヒドロキシアミド基、N−アルキルオールアミド基、N−アリールオールアミド基、N−エーテルアミド基、N−アルキルアミノアルキルアミド基、N−ホスホノアルキルアミド基及びN−ホスホノアリールアミド基から成る群より選ばれる置換基を含み、前記誘導体化単位を0.01〜50モル%含むポリマー。
【請求項2】
前記アミノ酸単位が、アスパラギン酸、グルタミン酸及びそれらの塩から選ばれる請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
前記誘導体化単位が誘導体化されたアスパラギン酸単位又は誘導体化されたグルタミン酸単位から成る請求項1記載のポリマー。
【請求項4】
前記アミノ酸単位が同種のアミノ酸又はアミノ酸塩から成る請求項1記載のポリマー。
【請求項5】
誘導体化単位が同種の誘導体化されたアミノ酸から成る請求項1記載のポリマー。
【請求項6】
誘導体化単位が前記誘導体化されたアミノ酸の1種以上から成る請求項1記載のポリマー。
【請求項7】
1種以上のアミノ酸のアミノ酸単位及び前記誘導体化されたアミノ酸の1種以上の誘導体化されたアミノ酸単位を含む請求項1記載のポリマー。
【請求項8】
アミノ酸単位がアスパラギン酸から成り、及び誘導体化単位がN−ヒドロキシアスパルトアミド又はN−アルキル−N−ヒドロキシアスパルトアミドから成る請求項1記載のポリマー。
【請求項9】
アミノ酸単位がアスパラギン酸から成り、及び誘導体化単位がN−ヒドロキシアルキルアスパルトアミドから成る請求項1記載のポリマー。
【請求項10】
アルキルアミド側鎖を含有する誘導体化されたアミノ酸単位を1つ以上更に含む請求項1記載のポリマー。
【請求項11】
アミノ酸単位がアスパラギン酸から成り、及び誘導体化単位がN−アルコキシアルキルアスパルトアミド又はN−アルコキシアリールアスパルトアミド単位から成る請求項1記載のポリマー。
【請求項12】
アミノ酸単位がアスパラギン酸から成り、及び誘導体化単位がN−アルコキシアルキルアスパルトアミドから成る請求項1記載のポリマー。
【請求項13】
アミノ酸単位がアスパラギン酸から成り、及び誘導体化単位がN−ヒドロキシアルコキシアルキルアスパルトアミドから成る請求項1記載のポリマー。
【請求項14】
アミノ酸単位がアスパラギン酸から成り、及び誘導体化単位がN−ヒドロキシアルキルアミノアルキルアスパルトアミドから成る請求項1記載のポリマー。
【請求項15】
アミノ酸単位がアスパラギン酸から成り、及び誘導体化単位がN−ポリエーテルアルキルアスパルトアミドから成る請求項1記載のポリマー。
【請求項16】
アミノ酸単位がアスパラギン酸から成り、及び誘導体化単位がN−ホスホノアルキルアスパルトアミド又はN−ホスホノアリールアスパルトアミドから成る請求項1記載のポリマー。
【請求項17】
アミノ酸単位がアスパラギン酸単位から成り、及び誘導体化単位がN−(スルホ)−オキシアルキルアスパルトアミド単位から成る請求項1記載のポリマー。
【請求項18】
下記式:
【化1】

(式中、R1 はH又はC1 〜C4 アルキルであり;R2 は、OH、ZOH、ZOPO32 、ZOSO3 M、ZOR4 又はGPO32 であり;R3 は1〜2個の炭素原子を有する二価アルキレンであり;R4 はC1 〜C4 のアルキル又はベンジルであり;Zは、C1 〜C12のアルキル、シクロアルキル及びアリール、CH2 CH2 (OCH2 CHR5p (OCH2 CH2q 、又はCH2 CH2 (NR5 CH2 CHR6r であって、pが0〜50、qが0〜50、p+q=1〜50、rが1〜50であるものであり;R5 はH又はCH3 であり;R6 はH又はCH3 であり;Gは、C1 〜C30のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、アラルキル基、並びにOH基、O−アルキル基、Cl基、CO2 M基及びPO32 基から選ばれる少なくとも1つの基により置換された前記基のうちの1つから選ばれ;Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びアルキル置換アンモニウムカチオンから成る群より選ばれ;WはCO2 M及びCONR12 から選ばれ;YはR3 CO2 M及びR3 CONR12 から選ばれ;a、b、c及びdは、(a+b)/(a+b+c+d)×100=0.01%〜99.99%;a/(a+b)×100=0.00〜100.00%;b/(a+b)×100=0.00〜100.00%;c/(c+d)×100=0.00〜100.00%;及び、d/(c+d)×100=0.00〜100.00%を満たすようなモル百分率を表す)
により表される300〜100,000の重量平均分子量を有する誘導体化ポリ(アミノ酸)ポリマー。
【請求項19】
生分解性であり且つ(a+b)/(a+b+c+d)×100が0.01%〜50%である請求項18記載のポリマー。
【請求項20】
Rがアルキロールであり且つ(a+b)/(a+b+c+d)×100が0.01%〜30%である請求項18記載のポリマー。
【請求項21】
N−置換アスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを製造する方法であって、
アスパラギン酸ポリスクシンイミドの水性懸濁液又は有機溶剤溶液を提供する工程;
前記懸濁液に少なくとも1種の置換アミン誘導体化剤を添加して反応混合物を形成する工程;
−5℃〜180℃の温度かつ3〜13のpHで前記置換アミン誘導体化剤を前記ポリスクシンイミドと反応させてN−置換アスパルトアミド誘導体化単位を形成させるのに十分な時間前記反応混合物を攪拌する工程;及び
その後、残留する誘導体化されなかったスクシンイミドをアスパラギン酸に加水分解させ、前記N−置換アスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーの溶液を提供する工程;
を含む方法。
【請求項22】
置換アミン誘導体化剤が、アルキルオールアミン、アリールオールアミン、ヒドロキシアルキルアルコキシアミン、アルコキシアルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミノアルキルアミン、アルキルアミン、アリールアミン、ポリ(グリコール)アミン、及びこれらのいかなる混合物から成る群より選ばれる請求項21記載の方法。
【請求項23】
N−置換アスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーが、N−ヒドロキシアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−ヒドロキシアリールアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−ヒドロキシアルコキシアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−アルコキシアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−ヒドロキシアルキルアミノアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−アルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、N−アリールアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー、及びN−ポリエーテルアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーから成る群より選ばれる請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記N−置換アスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー溶液から残留する未反応置換アミンを分離する工程を更に含む請求項21記載の方法。
【請求項25】
置換アミンがニートで又は水溶液若しくは懸濁液又は有機溶剤溶液として添加される請求項21記載の方法。
【請求項26】
水性反応媒体を選択し且つ比較的低い反応温度を用いることにより比較的低いモル百分率で装入された置換アミンを使用して重量平均分子量の大きいコポリマーが得られるように並びに有機溶剤反応媒体を選択し且つ比較的高い反応温度及び前記比較的高い反応温度で比較的長い反応時間を用いることにより比較的高いモル百分率で装入された置換アミンを使用して重量平均分子量の小さいコポリマーが得られるように、所定のポリスクシンイミド出発物質から調製されたN−置換アスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーの重量平均分子量が、ポリスクシンイミドの重量平均分子量を選択することによって、添加される置換アミンのモル百分率を調節することによって、水性又は有機溶剤反応媒体を選択することによって、反応温度を調節することによって、並びに選ばれた反応温度で反応時間を調節することによって制御される請求項21記載の方法。
【請求項27】
N−ヒドロキシアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー及びN−アルキル−N−ヒドロキシアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーから成る群より選ばれるN−置換アスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを製造する方法であって、
アスパラギン酸ポリスクシンイミドの水性懸濁液を提供する工程;
前記懸濁液にヒドロキシルアミン酸塩又はN−アルキル−N−ヒドロキシルアミンの中性水溶液又は有機溶剤溶液を添加して4.0〜10.0のpHを有する反応混合物を形成させる工程;
−5℃〜100℃の温度かつ5〜10のpHでヒドロキシルアミン又はN−アルキル−N−ヒドロキシルアミンをポリスクシンイミドと反応させてN−ヒドロキシアスパルトアミド又はN−アルキル−N−ヒドロキシアスパルトアミド誘導体単位をそれぞれ形成させるのに十分な時間前記反応混合物を攪拌する工程;
残留する誘導体化されなかったスクシンイミドをアスパラギン酸単位に加水分解させ、前記N−ヒドロキシアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマー又は前記N−アルキル−N−ヒドロキシアスペルトアミド/アスパラギン酸コポリマーの溶液とする工程;及び
その後、前記溶液を処理して前記溶液中に存在する残留する未反応ヒドロキシルアミン又はN−アルキル−N−ヒドロキシルアミンを実質的に無反応性にし、貯蔵安定性のあるコポリマーを提供する工程;
を含む方法。
【請求項28】
前記処理工程において、溶液が脱イオン水に対して透析されて未反応ヒドロキシルアミン又はN−アルキル−N−ヒドロキルアミンが実質的に除去される請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記処理工程において、溶液のpHが中性又は酸性pHに調節され、次いで処理剤が添加されて処理混合物が形成され、次いで未反応ヒドロキシルアミン又はN−アルキル−N−ヒドロキシルアミンを消費するのに十分な時間前記処理混合物が攪拌される請求項27記載の方法。
【請求項30】
処理剤が、I2 、Br2 、Cl2 、エステル、アミド、ハロゲン化アシル、アルデヒド、ケトン、及びこれらの混合物から成る群より選ばれる請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記処理工程において、存在する未反応ヒドロキシルアミン又はN−アルキル−N−ヒドロキシルアミンをプロトン化するために、溶液のpHが十分に酸性にされる請求項27記載の方法。
【請求項32】
前記処理工程において、ヒドロキシルアミン又はN−アルキル−N−ヒドロキシルアミンを実質的に無反応性にするために、溶液を乾燥するまで蒸発させる請求項27記載の方法。
【請求項33】
N−ホスホノアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを製造する方法であって、
ポリスクシンイミドの水性懸濁液又は有機溶剤溶液を提供する工程;
0℃〜150℃の温度かつ5〜12のpHで少なくとも1種のアミノアルキルホスホン酸の水溶液又は有機溶剤溶液を添加して反応混合物を形成させる工程;
前記アミノアルキルホスホン酸をポリスクシンイミドと反応させてN−ホスホノアルキルアスパルトアミド誘導体単位を形成させるのに十分な時間前記反応混合物を攪拌する工程;及び
その後、残留する誘導体化されなかったスクシンイミドをアスパラギン酸単位に加水分解させ、前記N−ホスホノアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーの溶液を提供する工程
を含む方法。
【請求項34】
トリメチルアミンの水溶液を触媒として前記反応混合物に添加する工程を更に含む請求項33記載の方法。
【請求項35】
N−ホスホノアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを製造する方法であって、
極性有機溶剤に溶解した少なくとも1種のアミノアルキルホスホン酸二カリウム塩及び4−N,N−ジメチルピリジンの第1溶液を提供する工程;
極性有機溶剤に溶解したアスパラギン酸ポリスクシンイミドの第2溶液を提供する工程;
前記第1溶液と第2溶液とを混合して反応混合物を形成させる工程;
−5℃〜100℃の温度かつ4〜11のpHでアミノアルキルホスホン酸二カリウム塩をアスパラギン酸ポリスクシンイミドと反応させてN−ホスホノアルキルアスパルトアミド誘導体単位を形成させ、沈殿物を生じさせるのに十分な時間前記反応混合物を攪拌する工程;
沈殿物を分離する工程;
分離した沈殿物を水に懸濁又は溶解させて第3懸濁液又は溶液を形成させる工程;
その後、第3懸濁液又は溶液中に残留する誘導体化されなかったスクシンイミドをアスパラギン酸単位に加水分解させ、前記N−ホスホノアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーの溶液を提供する工程;
を含む方法。
【請求項36】
第1溶液中の極性有機溶剤が、エタノール、メタノール及びイソプロパノールから成る群より選ばれ、及び第2溶液中の極性有機溶剤がジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドである請求項35記載の方法。
【請求項37】
N−スルホノアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーを製造する方法であって、
アスパラギン酸ポリスクシンイミドの水性懸濁液を提供する工程;
約4〜11のpHを有するアミノアルキルスルホン酸ナトリウム又はカリウムの水溶液を前記懸濁液に添加して反応混合物を提供する工程;
−5℃〜100℃の温度かつ4〜11のpHでアミノアルキルスルホン酸ナトリウム又はカリウムをポリスクシンイミドと反応させてN−スルホノアルキルアスパルトアミド誘導体単位を形成させるのに十分な時間前記反応混合物を攪拌する工程;
その後、残留する誘導体化されなかったスクシンイミドをアスパラギン酸単位に加水分解させ、前記N−スルホノアルキルアスパルトアミド/アスパラギン酸コポリマーの溶液を提供する工程;
を含む方法。
【請求項38】
アミノアルキルスルホン酸ナトリウム又はカリウムがタウリン酸ナトリウム若しくはカリウム、アミノメチルスルホン酸ナトリウム若しくはカリウム、又は4−アミノ−フェニルスルホン酸ナトリウム又はカリウムを含む、請求項37記載の方法。

【公開番号】特開2006−124719(P2006−124719A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368725(P2005−368725)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【分割の表示】特願平9−217335の分割
【原出願日】平成9年8月12日(1997.8.12)
【出願人】(390037992)ナルコ ケミカル カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】NALCO CHEMICAL COMPANY
【Fターム(参考)】