生物学的物質のためのサンプルウェルおよびマイクロカード用のキャップ
サンプルウェルを密閉するためのキャップを備えた、生物学的サンプルウェルトレイ用の蓋。このキャップは、光をサンプルウェルに合焦させ、かつサンプルからの光を集光するためのウェルレンズを備える。別の局面では、このキャップは、入射光をサンプルウェル内に進ませ、かつサンプルウェルから出射させるように構成された細長部分を備える。種々の他の局面は、生物学的物質のためのマイクロカード、および複数のサンプルウェルストリップのための装置を含む。生物学的サンプルを試験するための方法もまた、提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本教示は、生物学的物質のサンプルを収容するための装置および方法に関する。本教示は、サンプル容器に収容することのできる生物学的物質のサンプル用のウェルレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
生物学的検査は、疾患の検出およびモニタリングにおける重要なツールになってきた。生物学的検査の分野では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応、抗体結合反応、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、および他の反応を使用して、核酸を分析することができる。生物学の分野では、細胞表面レセプター結合アッセイ、蛍光結合免疫吸着アッセイ(FLISA)、タンパク質間相互作用、酵素アッセイ、アポトーシスアッセイ、および他の反応を使用して、細胞を分析することができる。これらの反応は、クローニング、遺伝子発現の分析、DNA配列決定、および創薬のような用途を持つ貴重な研究ツールになってきた。
【0003】
当該分野の最近の発展は、生物学的検査装置に対する需要の増大を導いた。生物学的検査装置は現在、ますます多種多様な方法で使用されるようになっている。進行中の反応を分析するためにリアルタイム検出能力を提供することが望ましいと考えられる。
【0004】
リアルタイム検出装置では、光源からの光を試験されるサンプルに合焦(focus)させ、かつサンプルによって放射される光を集めるために、複数のレンズを使用することができる。これらのレンズはかさばり、サンプルウェルトレイの上のかなりの量の空間を占めることがあり得る。多数の構成部品の使用は、検出装置の光学部品の組立および位置合わせを時間のかかるものにし得る。したがって、単純な、あまり複雑でない構造を有することが望ましいと考えられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
種々の実施形態に従って、生物学的サンプルウェルトレイ用の蓋は、サンプルウェルを密閉するためのキャップを備えることができる。キャップは、光をサンプルウェルに合焦させ、サンプルによって放射される光を実質的に視準させるためのウェルレンズを備えることができる。ウェルは、光をサンプルウェルに合焦させかつサンプルによって放射される光を集めるためのウェルレンズを備えることができる。ウェルレンズはウェルの側部または底部に配置することができる。
【0006】
種々の実施形態に従って、生物学的サンプルウェルトレイ用の蓋は、サンプルウェルを密閉するためのキャップを備えることができる。キャップは、入射光をサンプルウェル内に進ませ、かつサンプルウェルから出射させるように構成された、細長部分を備えることができる。細長部分は、光をサンプルウェルに合焦させ、かつサンプルによって放射される光を集めるためのウェルレンズを備えることができる。細長部分は、キャップとサンプルとの間に間隙を設けるように配置することができる。
【0007】
種々の実施形態に従って、生物学的物質用のマイクロカードは第一部材および第二部材を備えることができる。第二部材は第一部材と第二部材との間に複数のサンプルチャンバを提供することができ、第二部材は複数のサンプルチャンバに対応する複数のウェルレンズを備える。ウェルレンズは、サンプルチャンバ内の生物学的物質のサンプルと流体接触することができる。ウェルレンズはサンプルウェルに光を合焦させ、かつサンプルによって放射される光を集めることができる。
【0008】
種々の実施形態に従って、複数のサンプルウェルストリップ用の装置を提供することができ、各サンプルウェルストリップは、側壁および底によって規定される複数のサンプルウェルおよび複数の底積み重ね突起を備える。各底積み重ね突起は、サンプルウェル底から下方に延びることができる。底積み重ね突起は、別のサンプルウェルストリップの別のサンプルウェルに被せるように構成することができる。側壁は、光をサンプルウェルに合焦させかつサンプルによって放射される光を集めるための複数のウェルレンズを備えることができる。
【0009】
種々の実施形態に従って、生物学的サンプルを試験するための方法は、以下:上記生物学的サンプルを収容するサンプルウェルまたはサンプルチャンバを提供する工程;サンプルウェル用のキャップを提供する工程であって、このキャップは、ウェルレンズを備える工程;光をサンプルウェルに合焦させる工程;およびサンプルによって放射される光を集める工程、を包含する。
【0010】
上記概要および種々の実施形態の以下の説明は、両方とも単なる例証および解説であって、限定的ではないことが理解されるべきである。
【0011】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、幾つかの例示的実施形態を図示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(種々の実施形態の説明)
今から、種々の例示的実施形態について言及し、その例を添付の図面に示す。図面および説明で同一または同様の部品を指すために、可能な限り、同一参照番号を使用する。
【0013】
本教示の種々の局面を記載するのに、「水平」、「垂直」、「上向き」、「下向き」、「側面」、「前」、「上方」、および「下方」のような用語を使用するが、そのような用語は教示をより容易に記載することが目的であって、教示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0014】
種々の実施形態に従って、生物学的サンプル用のサンプルウェルトレイを提供することができる。複数のサンプルウェル12を有するサンプルウェルトレイ10の一例を図1Dに示す。任意の型のサンプルウェルトレイを使用することができることを理解されたい。サンプルウェルトレイは代表的に、生物学的サンプルを保持するための複数のサンプルウェルを有する。図1Aはサンプルウェルトレイ10のサンプルウェル12を示す。サンプルウェルトレイは、長方形形態を有し得、行列状のサンプルウェル12がその中に含まれている。図1Dは8×12の行列状の96個のウェルを持つサンプルウェルトレイを示すが、本発明は、例えば24個および384個のサンプルウェルのように、1個のウェルから数千個のウェルまで任意の個数のウェルを持つサンプルウェルトレイで使用するように適用可能であることを理解されたい。任意の個数のサンプルウェルサイズを有するサンプルウェルトレイも使用することができる。サンプルウェルトレイという用語を使用するが、本教示の多くの局面は、マイクロカードサンプルトレイのような他の基体にも適することを理解されたい。その場合、サンプルウェルはサンプルチャンバに置き換えられる。
【0015】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルトレイは、多数の異なる熱循環器(thermal cycler)に組み込むのに適する。その熱循環器としては、96ウェルのApplied Biosystems熱循環器が挙げられるが、これに限定されない。熱循環器は生物学的物質のサンプルを熱循環させるために構成することができる。熱循環装置は、生物学的物質のサンプルで核酸増幅を実行するように構成することができる。生物学的サンプルの核酸増幅を実行する一つの一般的な方法はPCRである。例えばWoudenbergらの米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号に記載されているように、種々のPCR方法が当該分野で公知であり、その完全な開示は、いずれの目的のために本明細書中で参照として援用される。核酸増幅の他の方法として、例えばリガーゼ連鎖反応、オリゴヌクレオチド結合アッセイ、およびハイブリダイゼーションアッセイが挙げられる。これらおよび他の方法は、米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号により詳細に記載されている。
【0016】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルトレイは、熱循環中にサンプルディスク内のサンプルの核酸増幅のリアルタイム検出を実行する、熱循環装置で使用することができる。リアルタイム検出システムは、例えばWoudenbergらの米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号(本明細書中の上で援用されている)により詳細に記載されているように、当該分野で公知である。リアルタイム検出中に、サンプルの種々の特性が熱循環中に核酸増幅の技術分野で周知の方法で検出される。リアルタイム検出は、核酸増幅プロセス中にサンプルのより正確かつ効率的な検出およびモニタリングを可能にすることができる。代替的に、サンプルウェルトレイは、サンプルの核酸増幅の終点検出を実行する熱循環装置で使用することができる。
【0017】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルトレイは、サンプルウェルトレイのサンプルウェル中の生物学的物質を熱循環させるために、サンプルブロックに接触するように構成することができる。サンプルブロックは、ユーザが規定したプロファイルに従ってサンプルブロックの温度を上下させるようにプログラムされた温度制御ユニットに、作動可能に接続することができる。例えば、種々の実施形態で、ユーザは、温度制御ユニットの中央処理装置(CPU)にサンプルブロックの熱循環を制御させる制御コンピュータに、所望のPCRプロトコルの時間パラメータおよび温度パラメータを規定するデータを供給することができる。サンプルブロックの温度を上下させるための適切な温度制御ユニットの幾つかの非限定的な例が、Mullisらの米国特許第5,656,493号およびAtwoodらの米国特許第5,475,610号に記載されており、それらの開示は両方とも、いずれの目的のために本明細書中で参照として援用される。
【0018】
種々の実施形態に従って、図1A、1B、および1Cは、ウェルレンズが分離されたサンプルウェルトレイのサンプルウェルの密閉構造を示す。例えば図1Aは、接着性であり得る透明なプラスチックシートにより密閉される、サンプルウェルトレイ10のサンプルウェル12の断面図である。サンプルウェル12は側壁14および底面16を備え得る。図1Aのサンプルウェル12は、側壁14および底面16の内部に生物学的サンプルSを保存するように構成される。種々の実施形態に従って、サンプルウェルは約200μlの作業容積を持つことができる。サンプルウェルの容積は0.1μlから数千マイクロリットル(μl)までのいずれにでも変化することができる。種々の実施形態に従って、5μlと500μlとの間、または10μlと200μlとの間、または50μlの容積を使用することができる。図1Aでは、サンプルウェル12の頂面20を密閉するために、薄い接着性の透明なプラスチックシート18が設けられる。シート18は、核酸増幅の技術分野で周知の通り、PCRに適合する炭化水素ベースのポリマーのようないずれの適切な材料から作ることができる。これらのポリマーとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、およびポリエチレンが挙げられ得る。種々の実施形態に従って、シート18はPCR適合性である。シート18は、サンプルウェル12に適切な密閉をもたらすことができる。
【0019】
種々の実施形態に従って、図1Aに示すように、ウェルレンズ22をサンプルウェル12に隣接して設けることができる。ウェルレンズ22は、光源(図示せず)からの入射光24を生物学的物質Sのサンプルの領域に合焦させることができる。ウェルレンズ22は生物学的物質Sのサンプルからの放射光を集光し、それを光検出装置(図示せず)に向けることができる。多種多様なウェルレンズをこの目的のために使用することができる。
【0020】
種々の実施形態に従って、図1Bは、扁平キャップ30がサンプルウェル12に配置されたサンプルウェルトレイ10を示す。扁平キャップ30は、扁平な頂面34および扁平な底面36を有する頂部32を含む。キャップ30はさらに円筒形密閉構造38を含む。種々の実施形態に従って、扁平な底面36は、サンプルウェル12の頂面20と係合するための環状表面を形成する。円筒形密閉構造38はサンプルウェル12内に下方に延びて、側壁14の内側と係合する。円筒形密閉構造38の外面39の係合は、サンプルウェル12の密閉を促進するのに役立つ。キャップ30の頂部の扁平底面36とサンプルウェル12の頂面20との係合もまた、サンプルウェル12の密閉を促進するのに役立つ。図1Bのサンプルウェルの構成は、図1Aに関連してより詳細に述べた通り、入射光24を生物学的物質のサンプルSに向けるためのウェルレンズ22をさらに含む。
【0021】
種々の実施形態に従って、図1Bに示すキャップ30は、サンプルウェル12の頂部へのキャップの挿入およびそこからのキャップの取外しを容易にするために、ストリップ状またはシート状に個別に設けることができる。96ウェル構成では、キャップ30は、代表的に8個または12個いずれかの相互接続されたキャップを有するストリップ状に設けることができる。384ウェル構成では、キャップは、代表的に16個または24個いずれかの相互接続されたキャップを有するストリップ状に設けることができる。
【0022】
種々の実施形態に従って、図1Cは、円形ドーム状キャップ40がサンプルウェル12に配置されたサンプルウェルトレイ10を示す。円形キャップ40は図1Bの扁平キャップ30と同様であるが、わずかに湾曲したかあるいはドーム形の中央キャップ部42を有する。円形キャップ40は扁平キャップと同様に作動する。両方とも、入射光24を生物学的物質のサンプルS内に向けるために、キャップの上に配置される別個のウェルレンズ22を使用する必要がある。別個のウェルレンズの特徴は、サンプルウェルトレイの上の空間を占める。
【0023】
種々の実施形態に従って、生物学的サンプルウェルトレイ用の蓋を提供する。一局面では、蓋はサンプルウェルを密閉するためのキャップを含む。キャップは、光源からの光をサンプルウェルに合焦させ、かつ/またはサンプルによって検出装置に向かって放射される光を集光するためのウェルレンズを含むことができる。
【0024】
図2Aおよび2Bに示すような種々の実施形態では、一体化されたウェルレンズを持つキャップが提供される。例えば図2Aに示すように、サンプルウェル12は、キャップ50内に一体的に形成されたウェルレンズ52を有するキャップ50を設け得る。ウェルレンズ52は、別個のウェルレンズを必要とすることなく、入射光の生物学的物質のサンプルS内への合焦を達成し得る。これは空間を節約し、コストおよび部品の個数を低減し得、かつ集光効率を高め得る。図2Aに示すように、ウェルレンズ52は頂面54および底面58を含み得る。頂面54は湾曲し得、底面58は平坦であり得る。光源(図示せず)からの入射光24は、ウェルレンズ52の頂面54を通過し、底面58に通過してサンプルウェル12内に進み、生物学的物質のサンプルSの領域に合焦する。ウェルレンズ52はさらに、生物学的物質から放射される光を集光し、かつそれを光検出装置(図示せず)の方向に向けるように働き得る。本明細書中で使用される用語「放射される光」またはその文法上の変形は、生物学的物質から放射される光を指し、この用語は入射光による励起後にサンプルまたは色素分子(例えば、蛍光色素)によって放射される蛍光を包含し得る。放射される光はまた、生物学的サンプル中の物体の光散乱を包含し得る。放射される光はまた、化学発光、燐光、およびラマン散乱を包含し得る。前述の通り、光検出は、特定の用途に応じて、終点検出装置またはリアルタイム検出装置のいずれかによって実行し得る。
【0025】
種々の実施形態に従って、ウェルレンズは光学分野で周知の種々の種類のいずれかのものであり得る。図2Aは、平凸ウェルレンズを備えるキャップを示す。ウェルレンズ52は、生物学的サンプルS内の対物面上に実質的視準光を合焦し得、生物学的サンプルの対物面からの光を集光し、かつ光を実質的に視準させ得る。
【0026】
種々の実施形態に従って、キャップ50およびウェルレンズ52は、ポリプロピレンおよび他の炭化水素ベースのポリマーのような、いずれかの受容可能な材料から作り得る。他の適切な材料としては、ガラスおよびアクリルが挙げられる。材料は、核酸増幅の分野で周知の通り、PCRと適合性であり得る。キャップおよびウェルレンズは、射出成形または圧縮成形、真空成形、および加圧成形など、いずれかの周知の方法によって製造され得る。示した実施形態では、ウェルレンズ52はキャップ50と一体的に形成される。しかし、ウェルレンズ52はいずれかの周知の方法によって取り付けられ得ることを理解されたい。
【0027】
種々の実施形態に従って、キャップは、サンプルウェルの内面と係合するように構成された円筒形密閉部材を備え得る。図2Aに示すように、キャップ50は、サンプルウェル12の内部の密閉を促進するために、ウェルレンズ52と一体的に形成された密閉構造56を備え得る。密閉構造56は、ウェルレンズ52の底面58から下方に延びる略円筒形部材として示される。円筒形密閉構造56の外面59は、サンプルウェルの外気からの密閉の促進を助長するために、サンプルウェル12の内部側壁と接触またはその他の方法で係合し得る。外面59は、サンプルウェル12の内面と締まり嵌めを持つ大きさにされ得る。
【0028】
種々の実施形態に従って、キャップ50はサンプルウェル12の頂面20と係合するために外側環状扁平底面60をさらに備え得る。この係合もまた、サンプルウェル12の密閉を促進するように働く。
【0029】
種々の実施形態では、本教示のキャップは、多種多様なサンプルウェルに嵌め込むのに適している。図2Aは、円錐状にテーパを付けられた側壁14を持つサンプルウェル12のキャップ50を示す。サンプルウェル12の側壁14は、テーパを付けないか、あるいはいずれかの他の適切な形状であり得ることを理解されたい。加えて、底面16は丸みを帯びるように図示されているが、底面16はいずれかの他の適切な形状(例えば、扁平)を有し得る。キャップはまた、事実上どんな型のサンプルウェルにも適合する寸法に形成され得る。例えば図1Dに示すような96ウェルのサンプルウェルトレイでは、キャップは各サンプルウェル内に嵌る設計および大きさに形成され得る。384ウェルのサンプルトレイでは、キャップの大きさは一般的により小さい。寸法は、サンプルウェルの大きさに応じて大幅に変化させ得ることを理解されたい。さらに、キャップ50はストリップまたはシートに製造され得る。ストリップまたはシートの使用は、サンプルウェルからのキャップの挿脱を容易にし得る。
【0030】
種々の実施形態では、ウェルレンズ52をキャップ50に組み込むことによって、サンプルウェル12から間隔をおいて配置される別個のウェルレンズの必要性が排除され得、よって必要な部品の個数が低減する。より少数の部品により、ウェルレンズとサンプルウェルとの間の位置合わせに関する問題が軽減される。さらに、幾つかの部品を一体化することにより、装置をより小型にし得、占める空間が少なくなる。
【0031】
種々の実施形態では、ウェルレンズは、サンプルウェルキャップに組み込まれたフレネルレンズであり得る。図2Bは、キャップ70がテキサス州フォートワースのFresnel Technologiesによって製造された型のフレネルレンズの形のウェルレンズ72を備える実施形態を示す。図2Bは、キャップ70の頂面74に組み込まれたフレネルレンズ72を示す。フレネルレンズ72は、光源(図示せず)からの入射光24を生物学的物質のサンプルSに合焦させるように働く。図2Bに示すように、フレネルレンズは一方の面が扁平であり、他方の面には多数の隆起を備える。隆起の角度は、たとえレンズが扁平であっても、光を合焦させる。フレネルレンズの特徴は、中でも特に、それらが薄く、かつプラスチックから容易に作り得ることである。フレネルレンズは、正の焦点距離の集光器または視準器として使用され得る。フレネルレンズは凸レンズの集光力を有し得るが、より薄い。レンズの大部分における光路が実質的に短縮されるので、これは有利である。大きい透過損失は光路長に比例するので、光路長の短縮は透過損失を低減する。フレネルレンズ72はまた、試験されるべきサンプルSから放射される光を集光するようにも働く。フレネルレンズの使用は、別個のウェルレンズを必要とすることなく、光学的検出を可能にする。
【0032】
種々の実施形態に従って、サンプルウェル内の生物学的サンプル中まで延びる細長部分材を備える、サンプルウェルキャップが提供される。以下の構造のいずれかが上述した構造に類似する範囲では、詳細な説明は繰り返さない。例えば、サンプルウェルトレイ10およびサンプルウェル12は、前述したサンプルウェルトレイおよびサンプルウェルと同一であるかまたは少なくとも重要な点で類似していると考えられる。図3〜10に示す実施形態では、サンプルウェルトレイのサンプルウェルにキャップが提供され、このキャップは細長部分を有する。
【0033】
種々の実施形態に従って、細長部分材および別個のウェルレンズを備えるキャップが、提供され得る。例えば図3〜4に示すように、キャップ110は、サンプルウェル12に提供され得る。キャップ110は頂部112を備える。図3〜4に示す実施形態では、頂部112は扁平な頂面114および環状底面130を備える。頂部112は、サンプルウェル12の内部を外気から密閉するのに役立つ。頂部112は、図3に示すように、サンプルウェル12の頂面20と係合するための環状底面130を備え、サンプルウェル12の密閉を促進する。
【0034】
種々の実施形態に従って、キャップ110はさらに、頂部112から延びる中間部118を備え得る。示される実施形態では、中間部118は頂部112より小さい直径を有する。中間部118は、キャップ110の頂部112と長尺端部120との間に配置される。
【0035】
種々の実施形態に従って、中間部118は、サンプルウェル12に挿入したときに、中間部118の外面がサンプルウェルの側壁14の内面と係合するような大きさにされ得る略円筒形密閉部材116を備える。中間部118は、図3〜4では実線として図示される。図3に示した中間部118は、側壁14の内面と嵌合するように構成された外面122を備える。図3に示すように、側壁14の内面と係合する外面122の部分は、側壁14と係合しない中間部118の部分より大きい直径を有する。図3に示す外面122はサンプルウェル側壁14と線接触を提供して、サンプルウェル12を外気から密閉するのを助ける。代替的に、外面122は、大量の外面が側壁14の内面と係合するように、一定の直径を有し得ることを理解されたい。代替実施形態では、外面の一部分は、緊密な密封を確実にするために別個のリングまたはガスケットを備え得る。係合は、サンプルウェル12の内部と大気との間の密封を促進するのを助ける。
【0036】
種々の実施形態に従って、キャップ110は、キャップの中間部118から延びる細長部分120をさらに含むことができる。中間部118とは異なる直径を持つように示されているが、細長部分120は一部の実施形態では、中間部118と同一直径を持つことができることを理解されたい。代替的に、中間部118が必要とされず、細長部分だけを必要とし得る場合も考えられる。図3〜4に示す実施形態では、細長部分120は、中間部118の直径より小さい外径を持つ中実円筒である。細長部分120はいずれかの他の適切な形状とすることができることを理解されたい。細長部分120はさらに、サンプルウェル内の液体サンプルSと接触するように構成された底面138を含む。
【0037】
種々の実施形態に従って、細長部分120は、サンプルウェル12内のサンプルSの所望の部分に入射光が合焦し得るように構成される。入射光は、キャップの頂面114を通してキャップ110に入り得て、次いで細長部分120の底面138を通してキャップ110を出得て、直接液体サンプル中に進み得る。サンプルウェル12内の液体サンプルSと直接接触することによって、キャップの底面138における結露が防止される。キャップの底部における結露の形成は回避することが望ましい。結露は光路を遮断し得て、それによって光学データの品質を損なう。種々の実施形態で、キャップに隣接する空気は、キャップ上に結露を発生させることがあり得る。種々の実施形態で、加熱された蓋は、キャップ110およびサンプルウェル12の温度を所望の温度まで上昇させて結露を回避する。しかし、加熱された蓋は装置の複雑さを増大させ、コストを高める。種々の実施形態で、本教示で述べるようにサンプルSと直接接触するキャップ110の細長部分120を設けることによって、装置を単純化することができ、コストを低減することができる。
【0038】
種々の実施形態に従って、図3〜4に示すように、細長部分120を含むキャップ110は中実である。キャップ110は任意の材料から作成することができる。種々の実施形態に従って、キャップ110は光学的に透明なPCR適合性材料から作成される。適切な材料の例として熱可塑性プラスチック材料、例えばポリプロピレン、またはGE Plastics,Inc.(マサチューセッツ州ピッツフィールド)によってLEXAN(登録商標)として市販されている高い透明性(光透過率または清澄度)を備えたポリカーボネート樹脂があるが、それらに限定されない。別の適切な材料として、三井化学株式会社(日本国東京)によってTPX(登録商標)として市販されている、高い透明性ならびに耐熱性および耐化学薬品性を備えた樹脂系ポリメチルペンテンがある。キャップに使用できる透明性の高い他のプラスチックとして、BASF(ドイツ)によってLucryl(登録商標)として市販されているポリメチルメタクリレート(PMMA)がある。細長部分120を含むキャップ110は、例えば射出成形のようないずれかの周知の方法によって形成され得る。
【0039】
図3〜4に描かれたキャップ110は、いずれかの型のサンプルウェルと共に使用するのに適していることを理解されたい。サンプルウェルキャップは、事実上どんな型のサンプルウェルおよびサンプルウェルトレイにも適する寸法に作ることができる。96ウェルのトレイの一例では、図3〜4に示すキャップ110は次の寸法、すなわち頂部直径(d2)=8.00mm、細長部分直径(d1)=4.00mm、および高さ(h1)=12.00mmを有する。これらの寸法は単なる例示を目的とするものである。
【0040】
種々の実施形態に従って、図3に示すように、ウェルレンズをキャップ110に隣接して設けることができる。ウェルレンズ22は前述したものと同一とすることができる。ウェルレンズ22は、光源(図示せず)からの入射光を生物学的物質Sのサンプルの領域に向けるように働く。ウェルレンズ22はさらに、生物学的物質から放射される光を集光し、それを光検出装置(図示せず)に向けるように働く。
【0041】
上述の通り、キャップ上で発生する結露の量を最小化することが好ましい。種々の実施形態で、空隙A(図3参照)付近に、液体サンプルの最上位より上、中間部118より下に、発熱体を設けることができる。種々の実施形態で、サンプルウェル壁を加熱し、かつ空気が位置するサンプルウェルの内部における結露の発生を防止するために、抵抗または他の型の発熱体をサンプルウェル側壁14付近に設けることができる。種々の実施形態で、発熱体は抵抗発熱体、または熱循環の技術分野で周知の通り、金属サンプルブロックを加熱するために使用されるペルチェ発熱体とすることができる。
【0042】
種々の実施形態に従って、キャップは、キャップと一体化されたウェルレンズと、サンプルウェル中に延びる細長部分とを備えることができる。図5は、図3〜4に示したキャップと同様であるが、ウェルレンズ142がキャップの頂部112に取り付けられるかそれと一体化されたキャップ140を示す。図5に示されたウェルレンズ142は、上述したものと同様の湾曲したレンズである。図5に示す実施形態では、ウェルレンズ142はキャップ140内に組み込まれる。キャップ140は、射出成形または圧縮成形のようないずれかの周知の方法で形成することができる。ウェルレンズ142は、入射光をサンプルウェル12の内部の所望の位置に向け、かつ反射した出射光を検出装置(図示せず)に向けるように構成される。
【0043】
種々の実施形態に従って、ウェルレンズ142をキャップ140に組み込むことによって、サンプルウェルから間隔を置いて配置される別個のウェルレンズの必要性が排除され、よって必要な部品の個数が低減される。これは結果的に、位置合わせに関する問題が軽減され、装置が小型化され、コストが低減されるなど、図2Bに示す実施形態に関して説明した特徴をもたらす。
【0044】
種々の実施形態に従って、中空細長部分を持つサンプルウェルキャップを設けることができる。中空細長部分は、中実細長部分より小さなバルクの透過損失を持つことができる。図6A、7、および8に示すように、中空内部152を有するサンプルウェルキャップ150を設けることができる。キャップ150は頂部154および細長部分156を含む。頂部154は、サンプルウェル12の頂部20を前述の方法で係合するために、環状底面158を含む。
【0045】
種々の実施形態に従って、例えば図6Aに示すように、サンプルウェルキャップ150の細長部分156は、円錐台状に頂部154から延びる円錐状の壁162によって規定される。キャップ150がサンプルウェル12上に配置されたとき、円錐状の壁162と側壁14との間の接触点Cを除いて、円錐状の壁162の外面164とサンプルウェル側壁14の内面との間に空間が設けられるように、壁はテーパを付けられる。図6Aに示す実施形態では、細長部分156は、切欠き166を介して側壁の上部領域で側壁と接触する。図6Aに示すように、細長部分156の直径は、頂部154からの距離が増すにつれて漸次低減する。種々の実施形態で、細長部分の減少は線形的にまたは指数関数的に進む。
【0046】
種々の実施形態に従って、細長部分156はさらに底部(または底面)168を含む。例えば図6Aに示すように、細長部分156は、底部168の底面170が試験対象の生物学的物質Sのサンプル内に延びて接触するように構成される。光学的検出のために、光は底部168を通過することができる。図6Aに示す実施形態では、光源(図示せず)からの入射光24はウェルレンズ22を通過し、キャップの中空内部領域を通過し、次いで底部168を通過して試験対象のサンプルS内に進む。次いで反射光は底部168を逆方向に通過してウェルレンズ22および検出装置(図示せず)に進む。
【0047】
キャップ150はいずれかの適切な寸法とすることができる事を理解されたい。図7に示す実施例では、キャップは次の寸法、すなわち頂部直径(d2)=8.00mm、底面直径(d1)=4.00mm、および高さ(h1)=12.00mmを有する。この実施形態は96ウェルのトレイを反映する。キャップの大きさはサンプルウェルの作業容積から決定され、所望の作業容積に応じて変化する。図8はキャップ150の断面を示す。
【0048】
図6Bに示すように、種々の実施形態に従って、図6Aに示したキャップは、異なる寸法および異なるサンプルウェルを持つことができる。図6Bに示すサンプルウェルキャップ150’は、図6Aに示すサンプルウェルキャップ150と同様である。図6Bで、細長部分156’の上部174の外面は、平滑な外面を持つように図示されている。対照的に、図6Aに示す細長部分156の上部の外面は切欠き166を有する。
【0049】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルキャップは、底面にウェルレンズを組み込んだ中空細長部分を備える。図9Aは、図6A、7、および8に示すサンプルウェルキャップの変形を示す。図9Aに示すように、サンプルウェルキャップ180は、図6Aに描いたものと同様の頂部および細長部分186を有するが、サンプルウェルキャップ180の底面184に一体的に形成されたウェルレンズ182をさらに含む。この実施形態のウェルレンズは、上述したものと同様である。細長部分と一体のウェルレンズを設けることにより、サンプルウェルキャップの上に配置される別個のウェルレンズの必要性が排除される。別個のウェルレンズの必要性の排除は、前述した利点の全てを有する。
【0050】
種々の実施形態に従って、図9Bは、図9Aに示したのと同様であるが、異なる寸法および異なるサンプルウェルを持つキャップを示す。ほとんどの点で、サンプルキャップ180’は図9Aに示したサンプルキャップ180と同様である。種々の実施形態では、図9Bに示すように空気が存在しないので、つまり細長部分186の底がサンプルS中に浸漬されるので、レンズの底面に結露は形成し得ない。種々の実施形態では、図19に示すように、レンズの底面とサンプルSとの間に空隙が存在し得る。
【0051】
種々の実施形態で、中実細長部分および一体的ウェルレンズを持つサンプルウェルキャップを設けることができる。図10は、中実長尺管と、長尺管を取り囲む密閉部材とを持つキャップを示す。図10に示す実施形態では、キャップ200は密閉部材202および長尺管204を含む。密閉部材202は任意の形状とすることができる。図10に示す実施形態では、密閉部材202は、他の実施形態の頂部および中間部と同様である。例えば、密閉部材202は、前述の方法で密閉を促進するために、サンプルウェル12の頂面20と接触するための底面206と、サンプルウェルの側壁の内面と接触するための側面208とを含む。密閉部材202は、核酸増幅の技術分野で公知の通り、PCRと適合性の炭化水素ベースのポリマーをはじめ、種々の適切な材料から構成することができる。密閉部材202は、長尺管204をそこに固定することを可能にするために、その中心を貫通する貫通穴210を含むことができる。図10に示す実施形態では、長尺管204は、いずれかの公知の方法で、密閉部材202に不動に取り付けられる。長尺管204は密閉部材202と一体化することもできる。
【0052】
種々の実施形態に従って、図10に示すように、長尺管204の底に湾曲したレンズ210を含むことができる。湾曲したレンズ210は、光源(図示せず)からの入射光を試験対象のサンプルSに合焦させるように働く。湾曲したレンズ210は前述したものと同様である。一実施形態では、湾曲したレンズ210は球状凸レンズである。
【0053】
種々の実施形態に従って、生物学的物質用のマイクロカードを提供する。マイクロカードは、第一部材、および第一部材と第二部材との間に複数のサンプルチャンバを規定する第二部材を備えることができる。種々の実施形態で、第二部材は、複数のサンプルチャンバに対応する複数のウェルレンズを含むことができる。ウェルレンズは、サンプルチャンバ内の生物学的物質のサンプルと流体接触する。ウェルレンズは光をサンプルチャンバ内に合焦させ、光をサンプルチャンバの外に透過させる。
【0054】
種々の実施形態に従って、図11Aおよび11Bに示すように、マイクロカード250のような基体を提供することができる。マイクロカードは、連続的または非穿孔基体内に保持された二次元配列のサンプル場所である。マイクロカードは可撓性または剛性とすることができる。基体またはマイクロカードは、生物学的物質のサンプルを収容するために任意の個数のサンプルチャンバを含むことができる。サンプルチャンバの最も一般的な個数は60、96、384、または1536であるが、マイクロカードは一個から少なくとも数千個まで、任意の個数のサンプルチャンバを含むことができる。図11Aは、本教示の実施形態に係るマイクロカード250の一例を示す。
【0055】
種々の実施形態に従って、図11Bに示すように、マイクロカード250は第一部材262および第二部材264を含む。図20Bに示す実施形態では、第一部材262は、ポリマーシートの流路およびサンプルチャンバ266の特徴の全てを含む。複数のサンプルチャンバ266が第一および第二部材の間に規定される。
【0056】
種々の実施形態に従って、第一部材262は、ポリマーのようないずれかの適切な材料から作成することができる。一つのそのような適切なポリマーはポリプロピレンである。他の適切なポリマーとして、上述したように、例えばポリエステル、ポリカーボネート、およびポリエチレンがある。第一部材262はPCR適合性材料から作成することが望ましいと考えられる。第二部材264は実質的平板として提供され、第一部材262に取り付けられてサンプルチャンバおよび流路の特徴の形成を完成する。第二部材264は、金属箔のようないずれかの適切な材料から作成することができる。代替的に、第二部材は、第一部材に使用するのに適したポリマーのいずれかから作成することができる。金属箔は、一般的にマイクロカードの下に配置されるサンプルブロック(図示せず)からサンプルチャンバへの熱伝達を増強するので、特に適している。箔の裏当ては、試験対象のサンプルSを所望の温度に加熱することを容易にする。サンプルチャンバの必要不可欠な密封を形成するために、第一および第二部材は一般的に相互に接着される。
【0057】
種々の実施形態に従って、図11Bに示すように、第一部材262は、各々が光を通過させかつ試験対象のサンプルS内の領域で合焦させるためのレンズ270を規定する、複数の隆起部268を含む。レンズ270は上述したものと同様である。図示した実施形態では、レンズ270は、試験対象のサンプル内まで下方に延びる突起274を含む。突起は、傾斜面276および扁平な底面278によって規定される。突起は、例えば図11Bに示すように、底面が試験対象のサンプルと接触するような大きさにすることが好ましい。種々の実施形態では、空気が存在しないので、レンズの底面に結露が形成し得ない。
【0058】
種々の実施形態に従って、サンプルチャンバ内の生物学的物質を熱循環させるために、マイクロカードをサンプルブロックの上に配置することができる。サンプルブロックは、ユーザ定義プロファイルに従ってサンプルブロックの温度を上下させるようにプログラムされた、温度制御ユニットに作動的に接続することができる。種々の実施形態で、ユーザは、温度制御ユニットの中央処理装置(CPU)にサンプルブロックの熱循環を制御させる制御コンピュータに、所望のPCRプロトコルの時間および温度パラメータを定義するデータを供給することができる。マイクロカードまたは他のサンプル保持部材用のサンプルブロックの温度を上下させるための適切な温度制御ユニットの幾つかの非限定的な例が、上で本明細書に組み込んだMullisらの米国特許第5,656,493号およびAtwoodらの米国特許第5,475,610号に記載されている。いずれかの適切な光学検出装置を使用することもできる。
【0059】
種々の実施形態に従って、図11Cに示すように、マイクロカード250は垂直方向に向けることができる。マイクロカード250は、図11Bに示したマイクロカードと同様である。レンズ270は、サンプルチャンバ内に延びて試験対象のサンプルSと接触する突起を含む。これはレンズ270における結露の可能性を低減する。図11Cに示すように、垂直方向に向けられたサンプルカードの場合、突起274の扁平面278が液体中に浸漬されるように、サンプルが充分な量であることが好ましい。扁平面はサンプルS中に浸漬されるので、サンプルチャンバの内部で扁平面278に結露は形成し得ない。
【0060】
種々の実施形態に従って、複数のサンプルウェルストリップを含む装置を提供する。種々の実施形態で、複数のサンプルウェルは側壁および底によって規定される。サンプルウェルストリップは複数の底積み重ね突起(bottom stacking projection)をさらに含み、各底積み重ね突起はサンプルウェルの底から下方に延び、底積み重ね突起は別のサンプルウェルストリップの別のサンプルウェルに被せるように構成される。側壁は、光をサンプルウェルに合焦させかつサンプルによって放射される光を集光するための複数のウェルレンズを備えることができる。
【0061】
種々の実施形態に従って、図12〜14に示すように、複数のサンプルウェルストリップ310、310’、および310”を持つ装置300を提供する。図12は、相互に上下に積み重ねられた三列のサンプルウェルストリップ(310、310’、および310”として示される)を、第一列のサンプルウェルストリップ310を最下部に、第二列のサンプルウェルストリップ310’を真ん中に、かつ第三列のサンプルウェルストリップ310”を最上部に置いた状態で示す。説明を簡単にするために、ストリップは一般的に参照番号310で言及するが、必要な場合には310、310’、および310”として言及する。図12〜13には三列だけのサンプルウェルストリップを示すが、本教示に従って任意の適切な列数を設けることができることを理解されたい。
【0062】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップの各々が、側壁322および底面324によって規定される複数のサンプルウェル320を備えることができる。ストリップは、任意の個数のサンプルウェルを含むことができる。一実施形態では、各ストリップは20個のウェルを含む。他のサンプルウェルストリップは二個から数百個までの任意の数(anywhere)を含むことができる。一実施形態では、サンプルウェル320は約5μlの容積を持つが、サンプルウェルの大きさは0.001μlから数千マイクロリットル(μl)まで変化することができる。一実施形態では、各々20個のウェルを含むサンプルウェルストリップを48個積み重ねることができ、合計で960個のウェルとなる。本教示では任意の個数および大きさのサンプルウェルストリップを想定することができることを理解されたい。
【0063】
種々の実施形態に従って、サンプルウェル320の側壁332は任意の適切な形状とすることができる。種々の実施形態に従って、図12〜14に示すように、側壁は略矩形の形状であるが、側壁は任意の他の形状(例えば円筒形)にすることができると理解される。側壁322は略矩形である頂部サンプルウェル開口348を規定する。側壁332の頂面330は、図12〜14に示す例では略扁平である。
【0064】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップはさらに、サンプルウェルの底から下方に延びる複数の底積み重ね突起を備えることができる。図12および13に示すように、底積み重ね突起328は、サンプルウェル底面324の各々から下方に延びる。図12および13に示す底積み重ね突起328は、隣接するサンプルウェルストリップの頂部サンプルウェル開口348と嵌合するために、略矩形に形作られる。種々の実施形態に従って、底積み重ね突起328の外面326とサンプルウェル320の内面332との間には緊密な締まり嵌めがある。種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップが確実に固定し合うように、複数のサンプルウェルストリップがスナップ嵌め接続を持つ。この緊密な嵌合はサンプルウェル320の内部の密閉を増強する。種々の実施形態に従って、最大限の容積対表面積比を提供するために、開口凹部またはウェル内部は円筒形とすることができる。
【0065】
種々の実施形態に従って、図12〜14に示すように、底積み重ね突起328は開口凹部334を備える。開口凹部334は、側壁322が生物学的サンプルと完全に流体接触するようにヘッドスペースを設ける。サンプルウェルの底面324はさらに、底積み重ね突起328の周囲に底凹部344を規定する。底凹部344は底積み重ね突起328の間に配置される扁平面である。サンプルウェルストリップ310が積み重ねられる場合、側壁322の頂面330は、底凹部344の扁平面と係合する。前述の通り、底積み重ね突起328は、積み重ねられたときにサンプルウェルの各々に締まり嵌めができるような大きさにすることができる。積み重ねられたときに、側壁322の頂面330と底凹部344の係合は、サンプルウェル320の密閉をさらに促進する。
【0066】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップは、サンプルウェルストリップの側壁に配置された複数のレンズを備えることができる。図13および14に示すように、各サンプルウェル320の側壁に少なくとも一つのレンズ340を配置することができる。図12〜14に示す実施形態では、光学検出装置を複数のレンズの前面342に対して垂直に配置することができるように、レンズは前側壁の一つに配置される。レンズ340は上述したものと同様である。
【0067】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップのレンズを持つ側面に対向する側面を後面346と呼ぶが、「前」および「後」のような用語は、単に教示をより容易に記載するために使用するだけであって、教示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。サンプルウェルストリップは後面346を備える。一部の実施形態では、光学的検出は前面342を通して行われるので、サンプルブロックのような加熱部材(図示せず)は後面346に当てて配置することができる。これは、各々のサンプルウェルに均一の温度をもたらすのに役立つことができる。
【0068】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップは垂直または水平方向に積み重ねることができる。図12〜14は、ストリップが垂直に積み重ねられる実施形態を示しており、したがって、この実施形態について積み重ね動作を説明する。第一に、予め定められた量の試験されるサンプルが、例えばピペット操作などいずれかの周知の方法によって、第一サンプルウェルストリップ310のサンプルウェルに挿入される。次に、第二サンプルウェルストリップ310’が第一サンプルウェルストリップ310の上に配置される。第二サンプルウェルストリップにはサンプルをすでに搭載しておくことができ、あるいはまだサンプルを搭載せずにおくことができる。第二サンプルウェルストリップ310’の底積み重ね突起328は、次いで、第一サンプルウェルストリップ310のサンプルウェルの頂部開口348と位置合わせされ、その中に挿置される。第二サンプルウェルストリップ310’の底積み重ね突起328は、第一サンプルウェルストリップのサンプルウェルの開口と好ましくはスナップ嵌めにするか、または緊密な締まり嵌めを持つべきである。第二サンプルウェルストリップに液体サンプルが充填されていない場合、この時点でサンプルを充填することができる。このプロセスは、残りのストリップの全てに対して繰り返すことができる。図12〜14に示す実施形態では、最上部または第三のサンプルウェルストリップ310’は一般的にサンプルを搭載されず、代わりに第二サンプルウェルストリップ310’用のキャップとして使用されることに注目されたい。代替実施形態では、第三サンプルウェルストリップ310”はサンプルを搭載することができる。
【0069】
種々の実施形態に従って、サンプルによって放射される光から実質的に直角な光源からの励起光を提供するために、サンプルウェルストリップを積み重ねることができる。種々の実施形態に従って、図17に示すように、励起光24aはサンプルウェルストリップ310および310’に進む。レンズ340は、サンプルからの放射光24bを集光し、集光された光を検出器(図示せず)に伝達することができる。励起光24aおよび放射光24bは実質的に直角とすることができる。種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップ310および310’は、励起光24aをサンプルの領域に合焦させるレンズを備えることができる。レンズ340は、サンプルからの放射光24bを集光し、集光された光を検出器に伝達することができる。
【0070】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルトレイは、蛍光検出を実行する装置で使用することができる。蛍光検出は、PCR以外の核酸、タンパク質、および細胞をはじめ、多くの用途の技術分野で周知である。例えば本明細書に援用されるManianらの米国特許第6,130,745号においても詳述されているように、蛍光検出システムは当該技術分野で周知である。種々の実施形態に従って、蛍光検出は低レベルの蛍光を検出する高い感度を達成することができる。種々の実施形態に従って、蛍光検出はサンプルの複数の励起および放射波長を検出するために多重化を提供することができる。
【0071】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルトレイの下からサンプルウェル内に入射する光を合焦し、かつサンプルによって放射される光を集光するために、サンプルウェルの底部にウェルレンズを配置することができる。種々の実施形態に従って、図15Aは扁平窓410を備えるサンプルウェル12を示す。窓410は扁平面であり、サンプルから放射される光24を合焦しない。種々の実施形態に従って、図15Bは、サンプルSから放射される光24を集光するためのウェルレンズ420を備えたサンプルウェル12を示す。ウェルレンズ420は、光源(図示せず)からの励起光24をサンプルSの領域に合焦することができる。ウェルレンズ420は平凸レンズとすることができる。レンズ半径は、曲率中心が平面上に存し、ウェルレンズを無収差にし、かつ実質的な球面収差、コマ収差、または非点収差を導入することなくウェルレンズ材料の屈折率に関係する率だけウェルレンズの開口数を増大するように、選択することができる。種々の実施形態に従って、装置は対物レンズを備えることができる。ウェルレンズを補償するために、サンプルウェルトレイと対物レンズとの間の距離を低減することができる。種々の実施形態に従って、装置はビーム拡大器を備えることができる。ビーム拡大器は、扁平窓と実質的に同様の光の焦点スポットサイズをもたらすために、ウェルレンズと共に使用することができる。種々の実施形態に従って、サンプルウェルの側面400は、放射される光が側面400を通して漏れるのを低減するために、暗色の材料から構成することができる。種々の実施形態に従って、ウェルレンズはフレネルレンズ、または光学の技術分野で周知の光を合焦および集光するための他のレンズとすることができる。種々の実施形態に従って、図16に示すように、ウェルレンズ420は、サンプルウェル12の他の位置に、例えば側面400に配置することができる。
【0072】
種々の実施形態に従って、上から励起光を受光するサンプルウェル、サンプルウェルストリップ、および/または下から励起光を受光するサンプルウェルの本教示は、組み合わせることができる。図18に示すように、サンプルウェル12は、キャップ70の頂面74に組み込まれたフレネルウェルレンズ72を備えるキャップ70を通して、光源(図示せず)からの励起光24aを受光することができる。ウェルレンズ72は励起光24aをサンプルSの領域に合焦させることができる。サンプルウェル12は、その側面に凹形ウェルレンズ420を備えることができる。ウェルレンズ420は、励起光24aの方向に対して実質的に直角方向にサンプルSから放射される光24bを集光することができる。種々の実施形態に従って、他の組合せが当業者には明白であろう。
【0073】
上述した構造および方法に種々の変化および変形を施すことができることは、当業者には明白であろう。したがって、本教示は明細書に記載した実施例に限定されないことを理解されたい。むしろ、本教示は変化および変形を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1A】図1Aは、種々の実施形態に従って、透明なプラスチックシートで密閉されたサンプルウェルトレイのサンプルウェルの断面図を示す。
【図1B】図1Bは、種々の実施形態に従って、扁平キャップを有するサンプルウェルトレイのサンプルウェルの断面図を示す。
【図1C】図1Cは、種々の実施形態に従って、ドーム形キャップを有するサンプルウェルトレイのサンプルウェルの断面図を示す。
【図1D】図1Dは、種々の実施形態に従って、複数のサンプルウェルを有するサンプルウェルトレイの透視図を示す。
【図2A】図2Aは、種々の実施形態に従って、サンプルウェル用のキャップであって、ウェルレンズを備えるキャップの断面図を示す。
【図2B】図2Bは、種々の実施形態に従って、サンプルウェル用のキャップであって、フレネルウェルレンズを備えるキャップの断面図を示す。
【図3】図3は、種々の実施形態に従って、中実細長部分を備えるキャップおよび別個のウェルレンズの断面図を示す。
【図4】図4は、種々の実施形態に従って、図3のキャップの側面図を示す。
【図5】図5は、種々の実施形態に従って、中実細長部分およびウェルレンズを含むキャップの断面図を示す。
【図6A】図6Aは、種々の実施形態に従って、サンプルウェル内に配置された中空細長部分を備えるキャップおよび別個のウェルレンズの断面図を示す。
【図6B】図6Bは、種々の実施形態に従って、図6Aと同様の中空細長部分を備えるキャップの断面図を示す。
【図7】図7は、種々の実施形態に従って、図6Aの中空細長部分を備えるキャップの側面図を示す。
【図8】図8は、種々の実施形態に従って、図6Aおよび図7の中空細長部分を備えるキャップの断面図を示す。
【図9A】図9Aは、種々の実施形態に従って、中空細長部分およびウェルレンズを備えるキャップの断面図を示す。
【図9B】図9Bは、種々の実施形態に従って、図9Aと同様の中空細長部分を備えるキャップの断面図を示す。
【図10】図10は、種々の実施形態に従って、中実細長部分およびウェルレンズを含むキャップの断面図を示す。
【図11A】図11Aは、種々の実施形態に従って、ウェルレンズを備える複数のサンプルチャンバを有するマイクロカードの上面図を示す。
【図11B】図11Bは、種々の実施形態に従って、図11Aの線11B−11Bに沿って切った図11Aのマイクロカードの断面図であり、水平向きに配置されたマイクロカードを示す。
【図11C】図11Cは、種々の実施形態に従って、図11Aのマイクロカードの断面図であり、垂直向きに配置されたマイクロカードを示す。
【図12】図12は、種々の実施形態に従って、積み重ね構成の複数のサンプルウェルストリップの正面断面図を示す。
【図13】図13は、種々の実施形態に従って、図12の複数のサンプルウェルストリップの側面断面図を示す。
【図14】図14は、種々の実施形態に従って、図12の複数のサンプルウェルストリップの上面図を示す。
【図15A】図15Aは、種々の実施形態に従って、底に扁平窓を有するサンプルウェルの断面図を示す。
【図15B】図15Bは、種々の実施形態に従って、底にウェルレンズを有するサンプルウェルの断面図を示す。
【図16】図16は、種々の実施形態に従って、側部にウェルレンズを有するサンプルウェルの断面図を示す。
【図17】図17は、種々の実施形態に従って、底および側部にウェルレンズを有する積み重ね構成の複数のサンプルウェルストリップの断面図を示す。
【図18】図18は、種々の実施形態に従って、サンプルに空隙を残す細長部分を有するサンプルウェルの断面図を示す。
【図19】記載なし。
【技術分野】
【0001】
(分野)
本教示は、生物学的物質のサンプルを収容するための装置および方法に関する。本教示は、サンプル容器に収容することのできる生物学的物質のサンプル用のウェルレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
生物学的検査は、疾患の検出およびモニタリングにおける重要なツールになってきた。生物学的検査の分野では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応、抗体結合反応、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、および他の反応を使用して、核酸を分析することができる。生物学の分野では、細胞表面レセプター結合アッセイ、蛍光結合免疫吸着アッセイ(FLISA)、タンパク質間相互作用、酵素アッセイ、アポトーシスアッセイ、および他の反応を使用して、細胞を分析することができる。これらの反応は、クローニング、遺伝子発現の分析、DNA配列決定、および創薬のような用途を持つ貴重な研究ツールになってきた。
【0003】
当該分野の最近の発展は、生物学的検査装置に対する需要の増大を導いた。生物学的検査装置は現在、ますます多種多様な方法で使用されるようになっている。進行中の反応を分析するためにリアルタイム検出能力を提供することが望ましいと考えられる。
【0004】
リアルタイム検出装置では、光源からの光を試験されるサンプルに合焦(focus)させ、かつサンプルによって放射される光を集めるために、複数のレンズを使用することができる。これらのレンズはかさばり、サンプルウェルトレイの上のかなりの量の空間を占めることがあり得る。多数の構成部品の使用は、検出装置の光学部品の組立および位置合わせを時間のかかるものにし得る。したがって、単純な、あまり複雑でない構造を有することが望ましいと考えられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
種々の実施形態に従って、生物学的サンプルウェルトレイ用の蓋は、サンプルウェルを密閉するためのキャップを備えることができる。キャップは、光をサンプルウェルに合焦させ、サンプルによって放射される光を実質的に視準させるためのウェルレンズを備えることができる。ウェルは、光をサンプルウェルに合焦させかつサンプルによって放射される光を集めるためのウェルレンズを備えることができる。ウェルレンズはウェルの側部または底部に配置することができる。
【0006】
種々の実施形態に従って、生物学的サンプルウェルトレイ用の蓋は、サンプルウェルを密閉するためのキャップを備えることができる。キャップは、入射光をサンプルウェル内に進ませ、かつサンプルウェルから出射させるように構成された、細長部分を備えることができる。細長部分は、光をサンプルウェルに合焦させ、かつサンプルによって放射される光を集めるためのウェルレンズを備えることができる。細長部分は、キャップとサンプルとの間に間隙を設けるように配置することができる。
【0007】
種々の実施形態に従って、生物学的物質用のマイクロカードは第一部材および第二部材を備えることができる。第二部材は第一部材と第二部材との間に複数のサンプルチャンバを提供することができ、第二部材は複数のサンプルチャンバに対応する複数のウェルレンズを備える。ウェルレンズは、サンプルチャンバ内の生物学的物質のサンプルと流体接触することができる。ウェルレンズはサンプルウェルに光を合焦させ、かつサンプルによって放射される光を集めることができる。
【0008】
種々の実施形態に従って、複数のサンプルウェルストリップ用の装置を提供することができ、各サンプルウェルストリップは、側壁および底によって規定される複数のサンプルウェルおよび複数の底積み重ね突起を備える。各底積み重ね突起は、サンプルウェル底から下方に延びることができる。底積み重ね突起は、別のサンプルウェルストリップの別のサンプルウェルに被せるように構成することができる。側壁は、光をサンプルウェルに合焦させかつサンプルによって放射される光を集めるための複数のウェルレンズを備えることができる。
【0009】
種々の実施形態に従って、生物学的サンプルを試験するための方法は、以下:上記生物学的サンプルを収容するサンプルウェルまたはサンプルチャンバを提供する工程;サンプルウェル用のキャップを提供する工程であって、このキャップは、ウェルレンズを備える工程;光をサンプルウェルに合焦させる工程;およびサンプルによって放射される光を集める工程、を包含する。
【0010】
上記概要および種々の実施形態の以下の説明は、両方とも単なる例証および解説であって、限定的ではないことが理解されるべきである。
【0011】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、幾つかの例示的実施形態を図示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(種々の実施形態の説明)
今から、種々の例示的実施形態について言及し、その例を添付の図面に示す。図面および説明で同一または同様の部品を指すために、可能な限り、同一参照番号を使用する。
【0013】
本教示の種々の局面を記載するのに、「水平」、「垂直」、「上向き」、「下向き」、「側面」、「前」、「上方」、および「下方」のような用語を使用するが、そのような用語は教示をより容易に記載することが目的であって、教示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0014】
種々の実施形態に従って、生物学的サンプル用のサンプルウェルトレイを提供することができる。複数のサンプルウェル12を有するサンプルウェルトレイ10の一例を図1Dに示す。任意の型のサンプルウェルトレイを使用することができることを理解されたい。サンプルウェルトレイは代表的に、生物学的サンプルを保持するための複数のサンプルウェルを有する。図1Aはサンプルウェルトレイ10のサンプルウェル12を示す。サンプルウェルトレイは、長方形形態を有し得、行列状のサンプルウェル12がその中に含まれている。図1Dは8×12の行列状の96個のウェルを持つサンプルウェルトレイを示すが、本発明は、例えば24個および384個のサンプルウェルのように、1個のウェルから数千個のウェルまで任意の個数のウェルを持つサンプルウェルトレイで使用するように適用可能であることを理解されたい。任意の個数のサンプルウェルサイズを有するサンプルウェルトレイも使用することができる。サンプルウェルトレイという用語を使用するが、本教示の多くの局面は、マイクロカードサンプルトレイのような他の基体にも適することを理解されたい。その場合、サンプルウェルはサンプルチャンバに置き換えられる。
【0015】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルトレイは、多数の異なる熱循環器(thermal cycler)に組み込むのに適する。その熱循環器としては、96ウェルのApplied Biosystems熱循環器が挙げられるが、これに限定されない。熱循環器は生物学的物質のサンプルを熱循環させるために構成することができる。熱循環装置は、生物学的物質のサンプルで核酸増幅を実行するように構成することができる。生物学的サンプルの核酸増幅を実行する一つの一般的な方法はPCRである。例えばWoudenbergらの米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号に記載されているように、種々のPCR方法が当該分野で公知であり、その完全な開示は、いずれの目的のために本明細書中で参照として援用される。核酸増幅の他の方法として、例えばリガーゼ連鎖反応、オリゴヌクレオチド結合アッセイ、およびハイブリダイゼーションアッセイが挙げられる。これらおよび他の方法は、米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号により詳細に記載されている。
【0016】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルトレイは、熱循環中にサンプルディスク内のサンプルの核酸増幅のリアルタイム検出を実行する、熱循環装置で使用することができる。リアルタイム検出システムは、例えばWoudenbergらの米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号(本明細書中の上で援用されている)により詳細に記載されているように、当該分野で公知である。リアルタイム検出中に、サンプルの種々の特性が熱循環中に核酸増幅の技術分野で周知の方法で検出される。リアルタイム検出は、核酸増幅プロセス中にサンプルのより正確かつ効率的な検出およびモニタリングを可能にすることができる。代替的に、サンプルウェルトレイは、サンプルの核酸増幅の終点検出を実行する熱循環装置で使用することができる。
【0017】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルトレイは、サンプルウェルトレイのサンプルウェル中の生物学的物質を熱循環させるために、サンプルブロックに接触するように構成することができる。サンプルブロックは、ユーザが規定したプロファイルに従ってサンプルブロックの温度を上下させるようにプログラムされた温度制御ユニットに、作動可能に接続することができる。例えば、種々の実施形態で、ユーザは、温度制御ユニットの中央処理装置(CPU)にサンプルブロックの熱循環を制御させる制御コンピュータに、所望のPCRプロトコルの時間パラメータおよび温度パラメータを規定するデータを供給することができる。サンプルブロックの温度を上下させるための適切な温度制御ユニットの幾つかの非限定的な例が、Mullisらの米国特許第5,656,493号およびAtwoodらの米国特許第5,475,610号に記載されており、それらの開示は両方とも、いずれの目的のために本明細書中で参照として援用される。
【0018】
種々の実施形態に従って、図1A、1B、および1Cは、ウェルレンズが分離されたサンプルウェルトレイのサンプルウェルの密閉構造を示す。例えば図1Aは、接着性であり得る透明なプラスチックシートにより密閉される、サンプルウェルトレイ10のサンプルウェル12の断面図である。サンプルウェル12は側壁14および底面16を備え得る。図1Aのサンプルウェル12は、側壁14および底面16の内部に生物学的サンプルSを保存するように構成される。種々の実施形態に従って、サンプルウェルは約200μlの作業容積を持つことができる。サンプルウェルの容積は0.1μlから数千マイクロリットル(μl)までのいずれにでも変化することができる。種々の実施形態に従って、5μlと500μlとの間、または10μlと200μlとの間、または50μlの容積を使用することができる。図1Aでは、サンプルウェル12の頂面20を密閉するために、薄い接着性の透明なプラスチックシート18が設けられる。シート18は、核酸増幅の技術分野で周知の通り、PCRに適合する炭化水素ベースのポリマーのようないずれの適切な材料から作ることができる。これらのポリマーとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、およびポリエチレンが挙げられ得る。種々の実施形態に従って、シート18はPCR適合性である。シート18は、サンプルウェル12に適切な密閉をもたらすことができる。
【0019】
種々の実施形態に従って、図1Aに示すように、ウェルレンズ22をサンプルウェル12に隣接して設けることができる。ウェルレンズ22は、光源(図示せず)からの入射光24を生物学的物質Sのサンプルの領域に合焦させることができる。ウェルレンズ22は生物学的物質Sのサンプルからの放射光を集光し、それを光検出装置(図示せず)に向けることができる。多種多様なウェルレンズをこの目的のために使用することができる。
【0020】
種々の実施形態に従って、図1Bは、扁平キャップ30がサンプルウェル12に配置されたサンプルウェルトレイ10を示す。扁平キャップ30は、扁平な頂面34および扁平な底面36を有する頂部32を含む。キャップ30はさらに円筒形密閉構造38を含む。種々の実施形態に従って、扁平な底面36は、サンプルウェル12の頂面20と係合するための環状表面を形成する。円筒形密閉構造38はサンプルウェル12内に下方に延びて、側壁14の内側と係合する。円筒形密閉構造38の外面39の係合は、サンプルウェル12の密閉を促進するのに役立つ。キャップ30の頂部の扁平底面36とサンプルウェル12の頂面20との係合もまた、サンプルウェル12の密閉を促進するのに役立つ。図1Bのサンプルウェルの構成は、図1Aに関連してより詳細に述べた通り、入射光24を生物学的物質のサンプルSに向けるためのウェルレンズ22をさらに含む。
【0021】
種々の実施形態に従って、図1Bに示すキャップ30は、サンプルウェル12の頂部へのキャップの挿入およびそこからのキャップの取外しを容易にするために、ストリップ状またはシート状に個別に設けることができる。96ウェル構成では、キャップ30は、代表的に8個または12個いずれかの相互接続されたキャップを有するストリップ状に設けることができる。384ウェル構成では、キャップは、代表的に16個または24個いずれかの相互接続されたキャップを有するストリップ状に設けることができる。
【0022】
種々の実施形態に従って、図1Cは、円形ドーム状キャップ40がサンプルウェル12に配置されたサンプルウェルトレイ10を示す。円形キャップ40は図1Bの扁平キャップ30と同様であるが、わずかに湾曲したかあるいはドーム形の中央キャップ部42を有する。円形キャップ40は扁平キャップと同様に作動する。両方とも、入射光24を生物学的物質のサンプルS内に向けるために、キャップの上に配置される別個のウェルレンズ22を使用する必要がある。別個のウェルレンズの特徴は、サンプルウェルトレイの上の空間を占める。
【0023】
種々の実施形態に従って、生物学的サンプルウェルトレイ用の蓋を提供する。一局面では、蓋はサンプルウェルを密閉するためのキャップを含む。キャップは、光源からの光をサンプルウェルに合焦させ、かつ/またはサンプルによって検出装置に向かって放射される光を集光するためのウェルレンズを含むことができる。
【0024】
図2Aおよび2Bに示すような種々の実施形態では、一体化されたウェルレンズを持つキャップが提供される。例えば図2Aに示すように、サンプルウェル12は、キャップ50内に一体的に形成されたウェルレンズ52を有するキャップ50を設け得る。ウェルレンズ52は、別個のウェルレンズを必要とすることなく、入射光の生物学的物質のサンプルS内への合焦を達成し得る。これは空間を節約し、コストおよび部品の個数を低減し得、かつ集光効率を高め得る。図2Aに示すように、ウェルレンズ52は頂面54および底面58を含み得る。頂面54は湾曲し得、底面58は平坦であり得る。光源(図示せず)からの入射光24は、ウェルレンズ52の頂面54を通過し、底面58に通過してサンプルウェル12内に進み、生物学的物質のサンプルSの領域に合焦する。ウェルレンズ52はさらに、生物学的物質から放射される光を集光し、かつそれを光検出装置(図示せず)の方向に向けるように働き得る。本明細書中で使用される用語「放射される光」またはその文法上の変形は、生物学的物質から放射される光を指し、この用語は入射光による励起後にサンプルまたは色素分子(例えば、蛍光色素)によって放射される蛍光を包含し得る。放射される光はまた、生物学的サンプル中の物体の光散乱を包含し得る。放射される光はまた、化学発光、燐光、およびラマン散乱を包含し得る。前述の通り、光検出は、特定の用途に応じて、終点検出装置またはリアルタイム検出装置のいずれかによって実行し得る。
【0025】
種々の実施形態に従って、ウェルレンズは光学分野で周知の種々の種類のいずれかのものであり得る。図2Aは、平凸ウェルレンズを備えるキャップを示す。ウェルレンズ52は、生物学的サンプルS内の対物面上に実質的視準光を合焦し得、生物学的サンプルの対物面からの光を集光し、かつ光を実質的に視準させ得る。
【0026】
種々の実施形態に従って、キャップ50およびウェルレンズ52は、ポリプロピレンおよび他の炭化水素ベースのポリマーのような、いずれかの受容可能な材料から作り得る。他の適切な材料としては、ガラスおよびアクリルが挙げられる。材料は、核酸増幅の分野で周知の通り、PCRと適合性であり得る。キャップおよびウェルレンズは、射出成形または圧縮成形、真空成形、および加圧成形など、いずれかの周知の方法によって製造され得る。示した実施形態では、ウェルレンズ52はキャップ50と一体的に形成される。しかし、ウェルレンズ52はいずれかの周知の方法によって取り付けられ得ることを理解されたい。
【0027】
種々の実施形態に従って、キャップは、サンプルウェルの内面と係合するように構成された円筒形密閉部材を備え得る。図2Aに示すように、キャップ50は、サンプルウェル12の内部の密閉を促進するために、ウェルレンズ52と一体的に形成された密閉構造56を備え得る。密閉構造56は、ウェルレンズ52の底面58から下方に延びる略円筒形部材として示される。円筒形密閉構造56の外面59は、サンプルウェルの外気からの密閉の促進を助長するために、サンプルウェル12の内部側壁と接触またはその他の方法で係合し得る。外面59は、サンプルウェル12の内面と締まり嵌めを持つ大きさにされ得る。
【0028】
種々の実施形態に従って、キャップ50はサンプルウェル12の頂面20と係合するために外側環状扁平底面60をさらに備え得る。この係合もまた、サンプルウェル12の密閉を促進するように働く。
【0029】
種々の実施形態では、本教示のキャップは、多種多様なサンプルウェルに嵌め込むのに適している。図2Aは、円錐状にテーパを付けられた側壁14を持つサンプルウェル12のキャップ50を示す。サンプルウェル12の側壁14は、テーパを付けないか、あるいはいずれかの他の適切な形状であり得ることを理解されたい。加えて、底面16は丸みを帯びるように図示されているが、底面16はいずれかの他の適切な形状(例えば、扁平)を有し得る。キャップはまた、事実上どんな型のサンプルウェルにも適合する寸法に形成され得る。例えば図1Dに示すような96ウェルのサンプルウェルトレイでは、キャップは各サンプルウェル内に嵌る設計および大きさに形成され得る。384ウェルのサンプルトレイでは、キャップの大きさは一般的により小さい。寸法は、サンプルウェルの大きさに応じて大幅に変化させ得ることを理解されたい。さらに、キャップ50はストリップまたはシートに製造され得る。ストリップまたはシートの使用は、サンプルウェルからのキャップの挿脱を容易にし得る。
【0030】
種々の実施形態では、ウェルレンズ52をキャップ50に組み込むことによって、サンプルウェル12から間隔をおいて配置される別個のウェルレンズの必要性が排除され得、よって必要な部品の個数が低減する。より少数の部品により、ウェルレンズとサンプルウェルとの間の位置合わせに関する問題が軽減される。さらに、幾つかの部品を一体化することにより、装置をより小型にし得、占める空間が少なくなる。
【0031】
種々の実施形態では、ウェルレンズは、サンプルウェルキャップに組み込まれたフレネルレンズであり得る。図2Bは、キャップ70がテキサス州フォートワースのFresnel Technologiesによって製造された型のフレネルレンズの形のウェルレンズ72を備える実施形態を示す。図2Bは、キャップ70の頂面74に組み込まれたフレネルレンズ72を示す。フレネルレンズ72は、光源(図示せず)からの入射光24を生物学的物質のサンプルSに合焦させるように働く。図2Bに示すように、フレネルレンズは一方の面が扁平であり、他方の面には多数の隆起を備える。隆起の角度は、たとえレンズが扁平であっても、光を合焦させる。フレネルレンズの特徴は、中でも特に、それらが薄く、かつプラスチックから容易に作り得ることである。フレネルレンズは、正の焦点距離の集光器または視準器として使用され得る。フレネルレンズは凸レンズの集光力を有し得るが、より薄い。レンズの大部分における光路が実質的に短縮されるので、これは有利である。大きい透過損失は光路長に比例するので、光路長の短縮は透過損失を低減する。フレネルレンズ72はまた、試験されるべきサンプルSから放射される光を集光するようにも働く。フレネルレンズの使用は、別個のウェルレンズを必要とすることなく、光学的検出を可能にする。
【0032】
種々の実施形態に従って、サンプルウェル内の生物学的サンプル中まで延びる細長部分材を備える、サンプルウェルキャップが提供される。以下の構造のいずれかが上述した構造に類似する範囲では、詳細な説明は繰り返さない。例えば、サンプルウェルトレイ10およびサンプルウェル12は、前述したサンプルウェルトレイおよびサンプルウェルと同一であるかまたは少なくとも重要な点で類似していると考えられる。図3〜10に示す実施形態では、サンプルウェルトレイのサンプルウェルにキャップが提供され、このキャップは細長部分を有する。
【0033】
種々の実施形態に従って、細長部分材および別個のウェルレンズを備えるキャップが、提供され得る。例えば図3〜4に示すように、キャップ110は、サンプルウェル12に提供され得る。キャップ110は頂部112を備える。図3〜4に示す実施形態では、頂部112は扁平な頂面114および環状底面130を備える。頂部112は、サンプルウェル12の内部を外気から密閉するのに役立つ。頂部112は、図3に示すように、サンプルウェル12の頂面20と係合するための環状底面130を備え、サンプルウェル12の密閉を促進する。
【0034】
種々の実施形態に従って、キャップ110はさらに、頂部112から延びる中間部118を備え得る。示される実施形態では、中間部118は頂部112より小さい直径を有する。中間部118は、キャップ110の頂部112と長尺端部120との間に配置される。
【0035】
種々の実施形態に従って、中間部118は、サンプルウェル12に挿入したときに、中間部118の外面がサンプルウェルの側壁14の内面と係合するような大きさにされ得る略円筒形密閉部材116を備える。中間部118は、図3〜4では実線として図示される。図3に示した中間部118は、側壁14の内面と嵌合するように構成された外面122を備える。図3に示すように、側壁14の内面と係合する外面122の部分は、側壁14と係合しない中間部118の部分より大きい直径を有する。図3に示す外面122はサンプルウェル側壁14と線接触を提供して、サンプルウェル12を外気から密閉するのを助ける。代替的に、外面122は、大量の外面が側壁14の内面と係合するように、一定の直径を有し得ることを理解されたい。代替実施形態では、外面の一部分は、緊密な密封を確実にするために別個のリングまたはガスケットを備え得る。係合は、サンプルウェル12の内部と大気との間の密封を促進するのを助ける。
【0036】
種々の実施形態に従って、キャップ110は、キャップの中間部118から延びる細長部分120をさらに含むことができる。中間部118とは異なる直径を持つように示されているが、細長部分120は一部の実施形態では、中間部118と同一直径を持つことができることを理解されたい。代替的に、中間部118が必要とされず、細長部分だけを必要とし得る場合も考えられる。図3〜4に示す実施形態では、細長部分120は、中間部118の直径より小さい外径を持つ中実円筒である。細長部分120はいずれかの他の適切な形状とすることができることを理解されたい。細長部分120はさらに、サンプルウェル内の液体サンプルSと接触するように構成された底面138を含む。
【0037】
種々の実施形態に従って、細長部分120は、サンプルウェル12内のサンプルSの所望の部分に入射光が合焦し得るように構成される。入射光は、キャップの頂面114を通してキャップ110に入り得て、次いで細長部分120の底面138を通してキャップ110を出得て、直接液体サンプル中に進み得る。サンプルウェル12内の液体サンプルSと直接接触することによって、キャップの底面138における結露が防止される。キャップの底部における結露の形成は回避することが望ましい。結露は光路を遮断し得て、それによって光学データの品質を損なう。種々の実施形態で、キャップに隣接する空気は、キャップ上に結露を発生させることがあり得る。種々の実施形態で、加熱された蓋は、キャップ110およびサンプルウェル12の温度を所望の温度まで上昇させて結露を回避する。しかし、加熱された蓋は装置の複雑さを増大させ、コストを高める。種々の実施形態で、本教示で述べるようにサンプルSと直接接触するキャップ110の細長部分120を設けることによって、装置を単純化することができ、コストを低減することができる。
【0038】
種々の実施形態に従って、図3〜4に示すように、細長部分120を含むキャップ110は中実である。キャップ110は任意の材料から作成することができる。種々の実施形態に従って、キャップ110は光学的に透明なPCR適合性材料から作成される。適切な材料の例として熱可塑性プラスチック材料、例えばポリプロピレン、またはGE Plastics,Inc.(マサチューセッツ州ピッツフィールド)によってLEXAN(登録商標)として市販されている高い透明性(光透過率または清澄度)を備えたポリカーボネート樹脂があるが、それらに限定されない。別の適切な材料として、三井化学株式会社(日本国東京)によってTPX(登録商標)として市販されている、高い透明性ならびに耐熱性および耐化学薬品性を備えた樹脂系ポリメチルペンテンがある。キャップに使用できる透明性の高い他のプラスチックとして、BASF(ドイツ)によってLucryl(登録商標)として市販されているポリメチルメタクリレート(PMMA)がある。細長部分120を含むキャップ110は、例えば射出成形のようないずれかの周知の方法によって形成され得る。
【0039】
図3〜4に描かれたキャップ110は、いずれかの型のサンプルウェルと共に使用するのに適していることを理解されたい。サンプルウェルキャップは、事実上どんな型のサンプルウェルおよびサンプルウェルトレイにも適する寸法に作ることができる。96ウェルのトレイの一例では、図3〜4に示すキャップ110は次の寸法、すなわち頂部直径(d2)=8.00mm、細長部分直径(d1)=4.00mm、および高さ(h1)=12.00mmを有する。これらの寸法は単なる例示を目的とするものである。
【0040】
種々の実施形態に従って、図3に示すように、ウェルレンズをキャップ110に隣接して設けることができる。ウェルレンズ22は前述したものと同一とすることができる。ウェルレンズ22は、光源(図示せず)からの入射光を生物学的物質Sのサンプルの領域に向けるように働く。ウェルレンズ22はさらに、生物学的物質から放射される光を集光し、それを光検出装置(図示せず)に向けるように働く。
【0041】
上述の通り、キャップ上で発生する結露の量を最小化することが好ましい。種々の実施形態で、空隙A(図3参照)付近に、液体サンプルの最上位より上、中間部118より下に、発熱体を設けることができる。種々の実施形態で、サンプルウェル壁を加熱し、かつ空気が位置するサンプルウェルの内部における結露の発生を防止するために、抵抗または他の型の発熱体をサンプルウェル側壁14付近に設けることができる。種々の実施形態で、発熱体は抵抗発熱体、または熱循環の技術分野で周知の通り、金属サンプルブロックを加熱するために使用されるペルチェ発熱体とすることができる。
【0042】
種々の実施形態に従って、キャップは、キャップと一体化されたウェルレンズと、サンプルウェル中に延びる細長部分とを備えることができる。図5は、図3〜4に示したキャップと同様であるが、ウェルレンズ142がキャップの頂部112に取り付けられるかそれと一体化されたキャップ140を示す。図5に示されたウェルレンズ142は、上述したものと同様の湾曲したレンズである。図5に示す実施形態では、ウェルレンズ142はキャップ140内に組み込まれる。キャップ140は、射出成形または圧縮成形のようないずれかの周知の方法で形成することができる。ウェルレンズ142は、入射光をサンプルウェル12の内部の所望の位置に向け、かつ反射した出射光を検出装置(図示せず)に向けるように構成される。
【0043】
種々の実施形態に従って、ウェルレンズ142をキャップ140に組み込むことによって、サンプルウェルから間隔を置いて配置される別個のウェルレンズの必要性が排除され、よって必要な部品の個数が低減される。これは結果的に、位置合わせに関する問題が軽減され、装置が小型化され、コストが低減されるなど、図2Bに示す実施形態に関して説明した特徴をもたらす。
【0044】
種々の実施形態に従って、中空細長部分を持つサンプルウェルキャップを設けることができる。中空細長部分は、中実細長部分より小さなバルクの透過損失を持つことができる。図6A、7、および8に示すように、中空内部152を有するサンプルウェルキャップ150を設けることができる。キャップ150は頂部154および細長部分156を含む。頂部154は、サンプルウェル12の頂部20を前述の方法で係合するために、環状底面158を含む。
【0045】
種々の実施形態に従って、例えば図6Aに示すように、サンプルウェルキャップ150の細長部分156は、円錐台状に頂部154から延びる円錐状の壁162によって規定される。キャップ150がサンプルウェル12上に配置されたとき、円錐状の壁162と側壁14との間の接触点Cを除いて、円錐状の壁162の外面164とサンプルウェル側壁14の内面との間に空間が設けられるように、壁はテーパを付けられる。図6Aに示す実施形態では、細長部分156は、切欠き166を介して側壁の上部領域で側壁と接触する。図6Aに示すように、細長部分156の直径は、頂部154からの距離が増すにつれて漸次低減する。種々の実施形態で、細長部分の減少は線形的にまたは指数関数的に進む。
【0046】
種々の実施形態に従って、細長部分156はさらに底部(または底面)168を含む。例えば図6Aに示すように、細長部分156は、底部168の底面170が試験対象の生物学的物質Sのサンプル内に延びて接触するように構成される。光学的検出のために、光は底部168を通過することができる。図6Aに示す実施形態では、光源(図示せず)からの入射光24はウェルレンズ22を通過し、キャップの中空内部領域を通過し、次いで底部168を通過して試験対象のサンプルS内に進む。次いで反射光は底部168を逆方向に通過してウェルレンズ22および検出装置(図示せず)に進む。
【0047】
キャップ150はいずれかの適切な寸法とすることができる事を理解されたい。図7に示す実施例では、キャップは次の寸法、すなわち頂部直径(d2)=8.00mm、底面直径(d1)=4.00mm、および高さ(h1)=12.00mmを有する。この実施形態は96ウェルのトレイを反映する。キャップの大きさはサンプルウェルの作業容積から決定され、所望の作業容積に応じて変化する。図8はキャップ150の断面を示す。
【0048】
図6Bに示すように、種々の実施形態に従って、図6Aに示したキャップは、異なる寸法および異なるサンプルウェルを持つことができる。図6Bに示すサンプルウェルキャップ150’は、図6Aに示すサンプルウェルキャップ150と同様である。図6Bで、細長部分156’の上部174の外面は、平滑な外面を持つように図示されている。対照的に、図6Aに示す細長部分156の上部の外面は切欠き166を有する。
【0049】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルキャップは、底面にウェルレンズを組み込んだ中空細長部分を備える。図9Aは、図6A、7、および8に示すサンプルウェルキャップの変形を示す。図9Aに示すように、サンプルウェルキャップ180は、図6Aに描いたものと同様の頂部および細長部分186を有するが、サンプルウェルキャップ180の底面184に一体的に形成されたウェルレンズ182をさらに含む。この実施形態のウェルレンズは、上述したものと同様である。細長部分と一体のウェルレンズを設けることにより、サンプルウェルキャップの上に配置される別個のウェルレンズの必要性が排除される。別個のウェルレンズの必要性の排除は、前述した利点の全てを有する。
【0050】
種々の実施形態に従って、図9Bは、図9Aに示したのと同様であるが、異なる寸法および異なるサンプルウェルを持つキャップを示す。ほとんどの点で、サンプルキャップ180’は図9Aに示したサンプルキャップ180と同様である。種々の実施形態では、図9Bに示すように空気が存在しないので、つまり細長部分186の底がサンプルS中に浸漬されるので、レンズの底面に結露は形成し得ない。種々の実施形態では、図19に示すように、レンズの底面とサンプルSとの間に空隙が存在し得る。
【0051】
種々の実施形態で、中実細長部分および一体的ウェルレンズを持つサンプルウェルキャップを設けることができる。図10は、中実長尺管と、長尺管を取り囲む密閉部材とを持つキャップを示す。図10に示す実施形態では、キャップ200は密閉部材202および長尺管204を含む。密閉部材202は任意の形状とすることができる。図10に示す実施形態では、密閉部材202は、他の実施形態の頂部および中間部と同様である。例えば、密閉部材202は、前述の方法で密閉を促進するために、サンプルウェル12の頂面20と接触するための底面206と、サンプルウェルの側壁の内面と接触するための側面208とを含む。密閉部材202は、核酸増幅の技術分野で公知の通り、PCRと適合性の炭化水素ベースのポリマーをはじめ、種々の適切な材料から構成することができる。密閉部材202は、長尺管204をそこに固定することを可能にするために、その中心を貫通する貫通穴210を含むことができる。図10に示す実施形態では、長尺管204は、いずれかの公知の方法で、密閉部材202に不動に取り付けられる。長尺管204は密閉部材202と一体化することもできる。
【0052】
種々の実施形態に従って、図10に示すように、長尺管204の底に湾曲したレンズ210を含むことができる。湾曲したレンズ210は、光源(図示せず)からの入射光を試験対象のサンプルSに合焦させるように働く。湾曲したレンズ210は前述したものと同様である。一実施形態では、湾曲したレンズ210は球状凸レンズである。
【0053】
種々の実施形態に従って、生物学的物質用のマイクロカードを提供する。マイクロカードは、第一部材、および第一部材と第二部材との間に複数のサンプルチャンバを規定する第二部材を備えることができる。種々の実施形態で、第二部材は、複数のサンプルチャンバに対応する複数のウェルレンズを含むことができる。ウェルレンズは、サンプルチャンバ内の生物学的物質のサンプルと流体接触する。ウェルレンズは光をサンプルチャンバ内に合焦させ、光をサンプルチャンバの外に透過させる。
【0054】
種々の実施形態に従って、図11Aおよび11Bに示すように、マイクロカード250のような基体を提供することができる。マイクロカードは、連続的または非穿孔基体内に保持された二次元配列のサンプル場所である。マイクロカードは可撓性または剛性とすることができる。基体またはマイクロカードは、生物学的物質のサンプルを収容するために任意の個数のサンプルチャンバを含むことができる。サンプルチャンバの最も一般的な個数は60、96、384、または1536であるが、マイクロカードは一個から少なくとも数千個まで、任意の個数のサンプルチャンバを含むことができる。図11Aは、本教示の実施形態に係るマイクロカード250の一例を示す。
【0055】
種々の実施形態に従って、図11Bに示すように、マイクロカード250は第一部材262および第二部材264を含む。図20Bに示す実施形態では、第一部材262は、ポリマーシートの流路およびサンプルチャンバ266の特徴の全てを含む。複数のサンプルチャンバ266が第一および第二部材の間に規定される。
【0056】
種々の実施形態に従って、第一部材262は、ポリマーのようないずれかの適切な材料から作成することができる。一つのそのような適切なポリマーはポリプロピレンである。他の適切なポリマーとして、上述したように、例えばポリエステル、ポリカーボネート、およびポリエチレンがある。第一部材262はPCR適合性材料から作成することが望ましいと考えられる。第二部材264は実質的平板として提供され、第一部材262に取り付けられてサンプルチャンバおよび流路の特徴の形成を完成する。第二部材264は、金属箔のようないずれかの適切な材料から作成することができる。代替的に、第二部材は、第一部材に使用するのに適したポリマーのいずれかから作成することができる。金属箔は、一般的にマイクロカードの下に配置されるサンプルブロック(図示せず)からサンプルチャンバへの熱伝達を増強するので、特に適している。箔の裏当ては、試験対象のサンプルSを所望の温度に加熱することを容易にする。サンプルチャンバの必要不可欠な密封を形成するために、第一および第二部材は一般的に相互に接着される。
【0057】
種々の実施形態に従って、図11Bに示すように、第一部材262は、各々が光を通過させかつ試験対象のサンプルS内の領域で合焦させるためのレンズ270を規定する、複数の隆起部268を含む。レンズ270は上述したものと同様である。図示した実施形態では、レンズ270は、試験対象のサンプル内まで下方に延びる突起274を含む。突起は、傾斜面276および扁平な底面278によって規定される。突起は、例えば図11Bに示すように、底面が試験対象のサンプルと接触するような大きさにすることが好ましい。種々の実施形態では、空気が存在しないので、レンズの底面に結露が形成し得ない。
【0058】
種々の実施形態に従って、サンプルチャンバ内の生物学的物質を熱循環させるために、マイクロカードをサンプルブロックの上に配置することができる。サンプルブロックは、ユーザ定義プロファイルに従ってサンプルブロックの温度を上下させるようにプログラムされた、温度制御ユニットに作動的に接続することができる。種々の実施形態で、ユーザは、温度制御ユニットの中央処理装置(CPU)にサンプルブロックの熱循環を制御させる制御コンピュータに、所望のPCRプロトコルの時間および温度パラメータを定義するデータを供給することができる。マイクロカードまたは他のサンプル保持部材用のサンプルブロックの温度を上下させるための適切な温度制御ユニットの幾つかの非限定的な例が、上で本明細書に組み込んだMullisらの米国特許第5,656,493号およびAtwoodらの米国特許第5,475,610号に記載されている。いずれかの適切な光学検出装置を使用することもできる。
【0059】
種々の実施形態に従って、図11Cに示すように、マイクロカード250は垂直方向に向けることができる。マイクロカード250は、図11Bに示したマイクロカードと同様である。レンズ270は、サンプルチャンバ内に延びて試験対象のサンプルSと接触する突起を含む。これはレンズ270における結露の可能性を低減する。図11Cに示すように、垂直方向に向けられたサンプルカードの場合、突起274の扁平面278が液体中に浸漬されるように、サンプルが充分な量であることが好ましい。扁平面はサンプルS中に浸漬されるので、サンプルチャンバの内部で扁平面278に結露は形成し得ない。
【0060】
種々の実施形態に従って、複数のサンプルウェルストリップを含む装置を提供する。種々の実施形態で、複数のサンプルウェルは側壁および底によって規定される。サンプルウェルストリップは複数の底積み重ね突起(bottom stacking projection)をさらに含み、各底積み重ね突起はサンプルウェルの底から下方に延び、底積み重ね突起は別のサンプルウェルストリップの別のサンプルウェルに被せるように構成される。側壁は、光をサンプルウェルに合焦させかつサンプルによって放射される光を集光するための複数のウェルレンズを備えることができる。
【0061】
種々の実施形態に従って、図12〜14に示すように、複数のサンプルウェルストリップ310、310’、および310”を持つ装置300を提供する。図12は、相互に上下に積み重ねられた三列のサンプルウェルストリップ(310、310’、および310”として示される)を、第一列のサンプルウェルストリップ310を最下部に、第二列のサンプルウェルストリップ310’を真ん中に、かつ第三列のサンプルウェルストリップ310”を最上部に置いた状態で示す。説明を簡単にするために、ストリップは一般的に参照番号310で言及するが、必要な場合には310、310’、および310”として言及する。図12〜13には三列だけのサンプルウェルストリップを示すが、本教示に従って任意の適切な列数を設けることができることを理解されたい。
【0062】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップの各々が、側壁322および底面324によって規定される複数のサンプルウェル320を備えることができる。ストリップは、任意の個数のサンプルウェルを含むことができる。一実施形態では、各ストリップは20個のウェルを含む。他のサンプルウェルストリップは二個から数百個までの任意の数(anywhere)を含むことができる。一実施形態では、サンプルウェル320は約5μlの容積を持つが、サンプルウェルの大きさは0.001μlから数千マイクロリットル(μl)まで変化することができる。一実施形態では、各々20個のウェルを含むサンプルウェルストリップを48個積み重ねることができ、合計で960個のウェルとなる。本教示では任意の個数および大きさのサンプルウェルストリップを想定することができることを理解されたい。
【0063】
種々の実施形態に従って、サンプルウェル320の側壁332は任意の適切な形状とすることができる。種々の実施形態に従って、図12〜14に示すように、側壁は略矩形の形状であるが、側壁は任意の他の形状(例えば円筒形)にすることができると理解される。側壁322は略矩形である頂部サンプルウェル開口348を規定する。側壁332の頂面330は、図12〜14に示す例では略扁平である。
【0064】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップはさらに、サンプルウェルの底から下方に延びる複数の底積み重ね突起を備えることができる。図12および13に示すように、底積み重ね突起328は、サンプルウェル底面324の各々から下方に延びる。図12および13に示す底積み重ね突起328は、隣接するサンプルウェルストリップの頂部サンプルウェル開口348と嵌合するために、略矩形に形作られる。種々の実施形態に従って、底積み重ね突起328の外面326とサンプルウェル320の内面332との間には緊密な締まり嵌めがある。種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップが確実に固定し合うように、複数のサンプルウェルストリップがスナップ嵌め接続を持つ。この緊密な嵌合はサンプルウェル320の内部の密閉を増強する。種々の実施形態に従って、最大限の容積対表面積比を提供するために、開口凹部またはウェル内部は円筒形とすることができる。
【0065】
種々の実施形態に従って、図12〜14に示すように、底積み重ね突起328は開口凹部334を備える。開口凹部334は、側壁322が生物学的サンプルと完全に流体接触するようにヘッドスペースを設ける。サンプルウェルの底面324はさらに、底積み重ね突起328の周囲に底凹部344を規定する。底凹部344は底積み重ね突起328の間に配置される扁平面である。サンプルウェルストリップ310が積み重ねられる場合、側壁322の頂面330は、底凹部344の扁平面と係合する。前述の通り、底積み重ね突起328は、積み重ねられたときにサンプルウェルの各々に締まり嵌めができるような大きさにすることができる。積み重ねられたときに、側壁322の頂面330と底凹部344の係合は、サンプルウェル320の密閉をさらに促進する。
【0066】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップは、サンプルウェルストリップの側壁に配置された複数のレンズを備えることができる。図13および14に示すように、各サンプルウェル320の側壁に少なくとも一つのレンズ340を配置することができる。図12〜14に示す実施形態では、光学検出装置を複数のレンズの前面342に対して垂直に配置することができるように、レンズは前側壁の一つに配置される。レンズ340は上述したものと同様である。
【0067】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップのレンズを持つ側面に対向する側面を後面346と呼ぶが、「前」および「後」のような用語は、単に教示をより容易に記載するために使用するだけであって、教示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。サンプルウェルストリップは後面346を備える。一部の実施形態では、光学的検出は前面342を通して行われるので、サンプルブロックのような加熱部材(図示せず)は後面346に当てて配置することができる。これは、各々のサンプルウェルに均一の温度をもたらすのに役立つことができる。
【0068】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップは垂直または水平方向に積み重ねることができる。図12〜14は、ストリップが垂直に積み重ねられる実施形態を示しており、したがって、この実施形態について積み重ね動作を説明する。第一に、予め定められた量の試験されるサンプルが、例えばピペット操作などいずれかの周知の方法によって、第一サンプルウェルストリップ310のサンプルウェルに挿入される。次に、第二サンプルウェルストリップ310’が第一サンプルウェルストリップ310の上に配置される。第二サンプルウェルストリップにはサンプルをすでに搭載しておくことができ、あるいはまだサンプルを搭載せずにおくことができる。第二サンプルウェルストリップ310’の底積み重ね突起328は、次いで、第一サンプルウェルストリップ310のサンプルウェルの頂部開口348と位置合わせされ、その中に挿置される。第二サンプルウェルストリップ310’の底積み重ね突起328は、第一サンプルウェルストリップのサンプルウェルの開口と好ましくはスナップ嵌めにするか、または緊密な締まり嵌めを持つべきである。第二サンプルウェルストリップに液体サンプルが充填されていない場合、この時点でサンプルを充填することができる。このプロセスは、残りのストリップの全てに対して繰り返すことができる。図12〜14に示す実施形態では、最上部または第三のサンプルウェルストリップ310’は一般的にサンプルを搭載されず、代わりに第二サンプルウェルストリップ310’用のキャップとして使用されることに注目されたい。代替実施形態では、第三サンプルウェルストリップ310”はサンプルを搭載することができる。
【0069】
種々の実施形態に従って、サンプルによって放射される光から実質的に直角な光源からの励起光を提供するために、サンプルウェルストリップを積み重ねることができる。種々の実施形態に従って、図17に示すように、励起光24aはサンプルウェルストリップ310および310’に進む。レンズ340は、サンプルからの放射光24bを集光し、集光された光を検出器(図示せず)に伝達することができる。励起光24aおよび放射光24bは実質的に直角とすることができる。種々の実施形態に従って、サンプルウェルストリップ310および310’は、励起光24aをサンプルの領域に合焦させるレンズを備えることができる。レンズ340は、サンプルからの放射光24bを集光し、集光された光を検出器に伝達することができる。
【0070】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルトレイは、蛍光検出を実行する装置で使用することができる。蛍光検出は、PCR以外の核酸、タンパク質、および細胞をはじめ、多くの用途の技術分野で周知である。例えば本明細書に援用されるManianらの米国特許第6,130,745号においても詳述されているように、蛍光検出システムは当該技術分野で周知である。種々の実施形態に従って、蛍光検出は低レベルの蛍光を検出する高い感度を達成することができる。種々の実施形態に従って、蛍光検出はサンプルの複数の励起および放射波長を検出するために多重化を提供することができる。
【0071】
種々の実施形態に従って、サンプルウェルトレイの下からサンプルウェル内に入射する光を合焦し、かつサンプルによって放射される光を集光するために、サンプルウェルの底部にウェルレンズを配置することができる。種々の実施形態に従って、図15Aは扁平窓410を備えるサンプルウェル12を示す。窓410は扁平面であり、サンプルから放射される光24を合焦しない。種々の実施形態に従って、図15Bは、サンプルSから放射される光24を集光するためのウェルレンズ420を備えたサンプルウェル12を示す。ウェルレンズ420は、光源(図示せず)からの励起光24をサンプルSの領域に合焦することができる。ウェルレンズ420は平凸レンズとすることができる。レンズ半径は、曲率中心が平面上に存し、ウェルレンズを無収差にし、かつ実質的な球面収差、コマ収差、または非点収差を導入することなくウェルレンズ材料の屈折率に関係する率だけウェルレンズの開口数を増大するように、選択することができる。種々の実施形態に従って、装置は対物レンズを備えることができる。ウェルレンズを補償するために、サンプルウェルトレイと対物レンズとの間の距離を低減することができる。種々の実施形態に従って、装置はビーム拡大器を備えることができる。ビーム拡大器は、扁平窓と実質的に同様の光の焦点スポットサイズをもたらすために、ウェルレンズと共に使用することができる。種々の実施形態に従って、サンプルウェルの側面400は、放射される光が側面400を通して漏れるのを低減するために、暗色の材料から構成することができる。種々の実施形態に従って、ウェルレンズはフレネルレンズ、または光学の技術分野で周知の光を合焦および集光するための他のレンズとすることができる。種々の実施形態に従って、図16に示すように、ウェルレンズ420は、サンプルウェル12の他の位置に、例えば側面400に配置することができる。
【0072】
種々の実施形態に従って、上から励起光を受光するサンプルウェル、サンプルウェルストリップ、および/または下から励起光を受光するサンプルウェルの本教示は、組み合わせることができる。図18に示すように、サンプルウェル12は、キャップ70の頂面74に組み込まれたフレネルウェルレンズ72を備えるキャップ70を通して、光源(図示せず)からの励起光24aを受光することができる。ウェルレンズ72は励起光24aをサンプルSの領域に合焦させることができる。サンプルウェル12は、その側面に凹形ウェルレンズ420を備えることができる。ウェルレンズ420は、励起光24aの方向に対して実質的に直角方向にサンプルSから放射される光24bを集光することができる。種々の実施形態に従って、他の組合せが当業者には明白であろう。
【0073】
上述した構造および方法に種々の変化および変形を施すことができることは、当業者には明白であろう。したがって、本教示は明細書に記載した実施例に限定されないことを理解されたい。むしろ、本教示は変化および変形を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1A】図1Aは、種々の実施形態に従って、透明なプラスチックシートで密閉されたサンプルウェルトレイのサンプルウェルの断面図を示す。
【図1B】図1Bは、種々の実施形態に従って、扁平キャップを有するサンプルウェルトレイのサンプルウェルの断面図を示す。
【図1C】図1Cは、種々の実施形態に従って、ドーム形キャップを有するサンプルウェルトレイのサンプルウェルの断面図を示す。
【図1D】図1Dは、種々の実施形態に従って、複数のサンプルウェルを有するサンプルウェルトレイの透視図を示す。
【図2A】図2Aは、種々の実施形態に従って、サンプルウェル用のキャップであって、ウェルレンズを備えるキャップの断面図を示す。
【図2B】図2Bは、種々の実施形態に従って、サンプルウェル用のキャップであって、フレネルウェルレンズを備えるキャップの断面図を示す。
【図3】図3は、種々の実施形態に従って、中実細長部分を備えるキャップおよび別個のウェルレンズの断面図を示す。
【図4】図4は、種々の実施形態に従って、図3のキャップの側面図を示す。
【図5】図5は、種々の実施形態に従って、中実細長部分およびウェルレンズを含むキャップの断面図を示す。
【図6A】図6Aは、種々の実施形態に従って、サンプルウェル内に配置された中空細長部分を備えるキャップおよび別個のウェルレンズの断面図を示す。
【図6B】図6Bは、種々の実施形態に従って、図6Aと同様の中空細長部分を備えるキャップの断面図を示す。
【図7】図7は、種々の実施形態に従って、図6Aの中空細長部分を備えるキャップの側面図を示す。
【図8】図8は、種々の実施形態に従って、図6Aおよび図7の中空細長部分を備えるキャップの断面図を示す。
【図9A】図9Aは、種々の実施形態に従って、中空細長部分およびウェルレンズを備えるキャップの断面図を示す。
【図9B】図9Bは、種々の実施形態に従って、図9Aと同様の中空細長部分を備えるキャップの断面図を示す。
【図10】図10は、種々の実施形態に従って、中実細長部分およびウェルレンズを含むキャップの断面図を示す。
【図11A】図11Aは、種々の実施形態に従って、ウェルレンズを備える複数のサンプルチャンバを有するマイクロカードの上面図を示す。
【図11B】図11Bは、種々の実施形態に従って、図11Aの線11B−11Bに沿って切った図11Aのマイクロカードの断面図であり、水平向きに配置されたマイクロカードを示す。
【図11C】図11Cは、種々の実施形態に従って、図11Aのマイクロカードの断面図であり、垂直向きに配置されたマイクロカードを示す。
【図12】図12は、種々の実施形態に従って、積み重ね構成の複数のサンプルウェルストリップの正面断面図を示す。
【図13】図13は、種々の実施形態に従って、図12の複数のサンプルウェルストリップの側面断面図を示す。
【図14】図14は、種々の実施形態に従って、図12の複数のサンプルウェルストリップの上面図を示す。
【図15A】図15Aは、種々の実施形態に従って、底に扁平窓を有するサンプルウェルの断面図を示す。
【図15B】図15Bは、種々の実施形態に従って、底にウェルレンズを有するサンプルウェルの断面図を示す。
【図16】図16は、種々の実施形態に従って、側部にウェルレンズを有するサンプルウェルの断面図を示す。
【図17】図17は、種々の実施形態に従って、底および側部にウェルレンズを有する積み重ね構成の複数のサンプルウェルストリップの断面図を示す。
【図18】図18は、種々の実施形態に従って、サンプルに空隙を残す細長部分を有するサンプルウェルの断面図を示す。
【図19】記載なし。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的サンプルウェルトレイ用の蓋であって、該蓋は、サンプルウェルを密閉するためのキャップを備え、該キャップは、光をサンプルウェルに合焦させかつサンプルによって放射される光を集光するためのウェルレンズを備える、蓋。
【請求項2】
前記ウェルレンズが、凸レンズである、請求項1に記載の蓋。
【請求項3】
前記ウェルレンズが、フレネルレンズである、請求項1に記載の蓋。
【請求項4】
前記キャップが、前記サンプルウェルの内面と係合するように構成された円筒形密閉部材をさらに備える、請求項1に記載の蓋。
【請求項5】
前記キャップが、細長部分をさらに備える、請求項1に記載の蓋。
【請求項6】
前記細長部分が、実質的に円筒形である、請求項5に記載の蓋。
【請求項7】
前記細長部分が、中実または中空である、請求項5に記載の蓋。
【請求項8】
前記ウェルレンズが、前記細長部分に配置されている、請求項7に記載の蓋。
【請求項9】
前記細長部分が、中空である、請求項8に記載の蓋。
【請求項10】
前記ウェルレンズが、前記中空の細長部分の底面に配置されている、請求項9に記載の蓋。
【請求項11】
前記ウェルレンズが、前記生物学的サンプル内に延びる湾曲レンズを備える、請求項7に記載の蓋。
【請求項12】
生物学的サンプルウェルトレイ用の蓋であって、該蓋は、サンプルウェルを密閉するためのキャップを備え、該キャップは、細長部分を備え、該細長部分は、入射光をサンプルウェル内に進ませ、かつ該サンプルウェルから外に出射させるように構成されている、蓋。
【請求項13】
前記細長部分が、中実または中空である、請求項12に記載の蓋。
【請求項14】
光を前記サンプルウェルに合焦させ、かつ光を前記サンプルウェルから外に伝達させるために前記キャップに隣接して配置されたウェルレンズをさらに備える、請求項13に記載の蓋。
【請求項15】
光を前記サンプルウェルに合焦させ、かつ光を前記サンプルウェルから外に伝達させるために前記キャップ内に配置されたウェルレンズをさらに備える、請求項13に記載の蓋。
【請求項16】
前記細長部分が、中空である、請求項15に記載の蓋。
【請求項17】
前記ウェルレンズが、前記中空細長部分の底面に配置されている、請求項16に記載の蓋。
【請求項18】
前記細長部分が、実質的に円筒形であり、前記ウェルレンズが前記生物学的サンプル内に延びる湾曲レンズを備える、請求項15に記載の蓋。
【請求項19】
生物学的物質用のマイクロカードであって、該マイクロカードは、第一部材と、第一部材と第二部材との間に複数のサンプルチャンバを規定する第二部材とを備え、該第二部材は、該複数のサンプルチャンバに対応する複数のウェルレンズを備え、該ウェルレンズは、該サンプルチャンバ内の生物学的物質のサンプルと流体接触し、該ウェルレンズは、光を該サンプルチャンバに合焦させ、かつ該サンプルによって放射される光を集光する、マイクロカード。
【請求項20】
前記ウェルレンズが、円形レンズを備える、請求項19に記載のマイクロカード。
【請求項21】
前記ウェルレンズが、扁平底面をさらに備える、請求項19に記載のマイクロカード。
【請求項22】
前記ウェルレンズが、前記扁平底面に対して傾斜突起をさらに備える、請求項21に記載のマイクロカード。
【請求項23】
前記第一部材が、略平板である、請求項19に記載のマイクロカード。
【請求項24】
前記第一部材が、金属である、請求項23に記載のマイクロカード。
【請求項25】
前記第一部材が、ポリプロピレンである、請求項19に記載のマイクロカード。
【請求項26】
前記複数のサンプルチャンバが、行列状に配置されている、請求項19に記載のマイクロカード。
【請求項27】
生物学的物質のサンプルを保持するための装置であって、該装置は、複数のサンプルウェルストリップを備え、各サンプルウェルストリップは、
側壁および底によって規定される複数のサンプルウェルと、
複数の底積み重ね突起と、
を備え、各底積み重ね突起は、サンプルウェルの底から下方に延び、該底積み重ね突起は、別のサンプルウェルストリップの別のサンプルウェルに被せるように構成され、
該側壁は、光を該サンプルウェルに合焦させ、かつ該サンプルウェルから外に光を伝達させるための複数のウェルレンズを備える、装置。
【請求項28】
前記サンプルストリップの前記側壁の前記複数のレンズが、前記サンプルウェルストリップの前記側壁内に成形されている、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記サンプルウェルストリップが、垂直方向に積み重ねられ、前記ウェルレンズが、前記生物学的サンプルと流体接触する、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
生物学的サンプルを試験するための方法であって、該方法は、
該生物学的サンプルを含むサンプルウェルまたはサンプルチャンバを設けること;
キャップがウェルレンズを備える、該サンプルウェル用の該キャップを設けること;
光を該サンプルウェルに合焦させること;および
該サンプルからの光を集光すること;
を包含する、方法。
【請求項31】
前記光を合焦させることが、光源からの光を前記生物学的サンプルに向けることを包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記集光することが、前記生物学的サンプルからの光を検出器に向けることを包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記生物学的サンプルから向けられる前記光が、蛍光を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記生物学的サンプルから向けられる光が、散乱、化学発光、燐光、およびラマン散乱のうちの少なくとも一つを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
生物学的物質のサンプルを保持するための装置であって、該装置は、複数の円錐状サンプルウェルを備え、各サンプルウェルは、光を該サンプルに合焦させ、かつ該サンプルから放射される光を集光するためのウェルレンズを備え、各円錐状サンプルウェルは、円形開口および傾斜閉鎖を有し、該ウェルレンズは、各円錐状サンプルウェルの傾斜閉鎖を形成する、装置。
【請求項36】
生物学的物質のサンプルを保持するための装置であって、該装置は、複数のサンプルウェルを備え、各サンプルウェルは、光を該サンプルに合焦させ、かつ該サンプルから放射される光を集光するためのウェルレンズを備え、該ウェルレンズは、該サンプルウェルのための底を設け、該ウェルレンズは、フレネルレンズである、装置。
【請求項37】
生物学的物質のサンプルを分析するためのシステムであって、該システムは、
複数のサンプルウェルであって、各サンプルウェルは、光を該サンプルに合焦させ、かつ該サンプルから放射される光を集光するためのウェルレンズを備え、該ウェルレンズは、該サンプルウェルのための底を設ける、該複数のサンプルウェルと、
該サンプルウェルに励起光を提供するための光源と、
検出器であって、該検出器は、各サンプルウェルからの集光を検出するための表面積を設け、該表面積は、各サンプルウェルに対応する領域を備える、検出器と、
を備える、システム。
【請求項1】
生物学的サンプルウェルトレイ用の蓋であって、該蓋は、サンプルウェルを密閉するためのキャップを備え、該キャップは、光をサンプルウェルに合焦させかつサンプルによって放射される光を集光するためのウェルレンズを備える、蓋。
【請求項2】
前記ウェルレンズが、凸レンズである、請求項1に記載の蓋。
【請求項3】
前記ウェルレンズが、フレネルレンズである、請求項1に記載の蓋。
【請求項4】
前記キャップが、前記サンプルウェルの内面と係合するように構成された円筒形密閉部材をさらに備える、請求項1に記載の蓋。
【請求項5】
前記キャップが、細長部分をさらに備える、請求項1に記載の蓋。
【請求項6】
前記細長部分が、実質的に円筒形である、請求項5に記載の蓋。
【請求項7】
前記細長部分が、中実または中空である、請求項5に記載の蓋。
【請求項8】
前記ウェルレンズが、前記細長部分に配置されている、請求項7に記載の蓋。
【請求項9】
前記細長部分が、中空である、請求項8に記載の蓋。
【請求項10】
前記ウェルレンズが、前記中空の細長部分の底面に配置されている、請求項9に記載の蓋。
【請求項11】
前記ウェルレンズが、前記生物学的サンプル内に延びる湾曲レンズを備える、請求項7に記載の蓋。
【請求項12】
生物学的サンプルウェルトレイ用の蓋であって、該蓋は、サンプルウェルを密閉するためのキャップを備え、該キャップは、細長部分を備え、該細長部分は、入射光をサンプルウェル内に進ませ、かつ該サンプルウェルから外に出射させるように構成されている、蓋。
【請求項13】
前記細長部分が、中実または中空である、請求項12に記載の蓋。
【請求項14】
光を前記サンプルウェルに合焦させ、かつ光を前記サンプルウェルから外に伝達させるために前記キャップに隣接して配置されたウェルレンズをさらに備える、請求項13に記載の蓋。
【請求項15】
光を前記サンプルウェルに合焦させ、かつ光を前記サンプルウェルから外に伝達させるために前記キャップ内に配置されたウェルレンズをさらに備える、請求項13に記載の蓋。
【請求項16】
前記細長部分が、中空である、請求項15に記載の蓋。
【請求項17】
前記ウェルレンズが、前記中空細長部分の底面に配置されている、請求項16に記載の蓋。
【請求項18】
前記細長部分が、実質的に円筒形であり、前記ウェルレンズが前記生物学的サンプル内に延びる湾曲レンズを備える、請求項15に記載の蓋。
【請求項19】
生物学的物質用のマイクロカードであって、該マイクロカードは、第一部材と、第一部材と第二部材との間に複数のサンプルチャンバを規定する第二部材とを備え、該第二部材は、該複数のサンプルチャンバに対応する複数のウェルレンズを備え、該ウェルレンズは、該サンプルチャンバ内の生物学的物質のサンプルと流体接触し、該ウェルレンズは、光を該サンプルチャンバに合焦させ、かつ該サンプルによって放射される光を集光する、マイクロカード。
【請求項20】
前記ウェルレンズが、円形レンズを備える、請求項19に記載のマイクロカード。
【請求項21】
前記ウェルレンズが、扁平底面をさらに備える、請求項19に記載のマイクロカード。
【請求項22】
前記ウェルレンズが、前記扁平底面に対して傾斜突起をさらに備える、請求項21に記載のマイクロカード。
【請求項23】
前記第一部材が、略平板である、請求項19に記載のマイクロカード。
【請求項24】
前記第一部材が、金属である、請求項23に記載のマイクロカード。
【請求項25】
前記第一部材が、ポリプロピレンである、請求項19に記載のマイクロカード。
【請求項26】
前記複数のサンプルチャンバが、行列状に配置されている、請求項19に記載のマイクロカード。
【請求項27】
生物学的物質のサンプルを保持するための装置であって、該装置は、複数のサンプルウェルストリップを備え、各サンプルウェルストリップは、
側壁および底によって規定される複数のサンプルウェルと、
複数の底積み重ね突起と、
を備え、各底積み重ね突起は、サンプルウェルの底から下方に延び、該底積み重ね突起は、別のサンプルウェルストリップの別のサンプルウェルに被せるように構成され、
該側壁は、光を該サンプルウェルに合焦させ、かつ該サンプルウェルから外に光を伝達させるための複数のウェルレンズを備える、装置。
【請求項28】
前記サンプルストリップの前記側壁の前記複数のレンズが、前記サンプルウェルストリップの前記側壁内に成形されている、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記サンプルウェルストリップが、垂直方向に積み重ねられ、前記ウェルレンズが、前記生物学的サンプルと流体接触する、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
生物学的サンプルを試験するための方法であって、該方法は、
該生物学的サンプルを含むサンプルウェルまたはサンプルチャンバを設けること;
キャップがウェルレンズを備える、該サンプルウェル用の該キャップを設けること;
光を該サンプルウェルに合焦させること;および
該サンプルからの光を集光すること;
を包含する、方法。
【請求項31】
前記光を合焦させることが、光源からの光を前記生物学的サンプルに向けることを包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記集光することが、前記生物学的サンプルからの光を検出器に向けることを包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記生物学的サンプルから向けられる前記光が、蛍光を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記生物学的サンプルから向けられる光が、散乱、化学発光、燐光、およびラマン散乱のうちの少なくとも一つを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
生物学的物質のサンプルを保持するための装置であって、該装置は、複数の円錐状サンプルウェルを備え、各サンプルウェルは、光を該サンプルに合焦させ、かつ該サンプルから放射される光を集光するためのウェルレンズを備え、各円錐状サンプルウェルは、円形開口および傾斜閉鎖を有し、該ウェルレンズは、各円錐状サンプルウェルの傾斜閉鎖を形成する、装置。
【請求項36】
生物学的物質のサンプルを保持するための装置であって、該装置は、複数のサンプルウェルを備え、各サンプルウェルは、光を該サンプルに合焦させ、かつ該サンプルから放射される光を集光するためのウェルレンズを備え、該ウェルレンズは、該サンプルウェルのための底を設け、該ウェルレンズは、フレネルレンズである、装置。
【請求項37】
生物学的物質のサンプルを分析するためのシステムであって、該システムは、
複数のサンプルウェルであって、各サンプルウェルは、光を該サンプルに合焦させ、かつ該サンプルから放射される光を集光するためのウェルレンズを備え、該ウェルレンズは、該サンプルウェルのための底を設ける、該複数のサンプルウェルと、
該サンプルウェルに励起光を提供するための光源と、
検出器であって、該検出器は、各サンプルウェルからの集光を検出するための表面積を設け、該表面積は、各サンプルウェルに対応する領域を備える、検出器と、
を備える、システム。
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2007−521485(P2007−521485A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517637(P2006−517637)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/020335
【国際公開番号】WO2005/001434
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【出願人】(505463995)
【出願人】(505464006)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/020335
【国際公開番号】WO2005/001434
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【出願人】(505463995)
【出願人】(505464006)
【Fターム(参考)】
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